特許第6808329号(P6808329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6808329有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808329
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20201221BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20201221BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20201221BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   H01L27/32
   G09F9/30
   C09K11/06 610
   C09K11/06 645
   C09K11/06 630
   C09K11/06 655
   C09K11/06 625
   C09K11/06 635
【請求項の数】5
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2016-34871(P2016-34871)
(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-152585(P2017-152585A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】高城 淳
【審査官】 小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−179817(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/017741(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0274762(US,A1)
【文献】 特表2003−520391(JP,A)
【文献】 特開2002−050483(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/154064(WO,A1)
【文献】 特許第5594750(JP,B2)
【文献】 特許第5679496(JP,B2)
【文献】 特許第5124785(JP,B2)
【文献】 特許第5525665(JP,B1)
【文献】 特許第5520423(JP,B1)
【文献】 特許第5683763(JP,B1)
【文献】 特開2002−289351(JP,A)
【文献】 特許第4048645(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01L 51/50 − 51/56
H01L 27/32
G09F 9/30
C09K 11/06
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光性ドーパント部と、アシストドーパント部とを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料であって、
前記発光性ドーパント部と前記アシストドーパント部との結合は、一般式(2)〜(6)の何れかで表され
前記アシストドーパント部が下記一般式(7)〜(24)の何れかで表され、
前記発光性ドーパント部が下記一般式(27)〜(31)の何れかで表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料。
【化1】

【化2】



【化3】

(ここで、
式(2)〜(6)中、Dは発光性ドーパント部を、Aはアシストドーパント部を示し、Lは単結合、窒素原子、酸素原子、硫黄、置換若しくは無置換の炭素数1〜2の炭化水素の二価基、置換若しくは無置換の二重結合を1つ以上含む炭素数2の炭化水素の二価基、又は置換若しくは無置換の三重結合を1つ以上含む炭素数2の炭化水素の二価基から選択され
式(9)中、Rは水素原子又はカルバゾリル基であり、
式(11)中、Rは水素原子、メチル基又はフェニル基であり、
式(17)中、Rは水素原子、メチル基又はフェニル基であり、Y1、Y2及びY3は、Y2及びY3が窒素原子でY1がメチン基を表すか、又は、Y1、Y2及びY3のすべてが窒素原子を表し、Z1及びZ2は、各々独立に水素原子又は置換基を表し、Y2及びY3が窒素原子でY1がメチン基であるとき、Z2は、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、R1〜R8は、各々独立に水素原子又は置換基を表し、R1〜R8の少なくとも1つは、置換若しくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基を表し、Y1、Y2及びY3のすべてが窒素原子であるとき、R1〜R8の少なくとも1つは、置換若しくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換若しくは無置換の9−カルバゾリル基を表し、カルバゾール構造を少なくとも2つ含み、
式(18)〜(22)中、Arは独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示し、Rは独立に水素又は1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成する構造又は環を形成しない構造を含み、
式(23)中、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、R1〜R9は、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、縮合多環芳香族基又はアリールオキシ基であり、単結合又は、メチレン基、酸素原子若しくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有し、R10、R11は、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、縮合多環芳香族基またはアリールオキシ基であり、単結合又は、メチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有し、Ar1、Ar2、Ar3は、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表し、Ar2とAr3は単結合又は、メチレン基、酸素原子若しくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有し、Aは、芳香族炭化水素、芳香族複素環若しくは縮合多環芳香族の2価基、又は単結合を表し、Aが芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族の2価基である場合、AとAr2は単結合又は、メチレン基、酸素原子若しくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有し、
式(24)中、Aは、単結合又は芳香族炭化水素の2価基、芳香族複素環の2価基もしくは縮合多環芳香族の2価基を表し、Ar1は、無置換のフェニル基であり、Ar2は、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表し、R1〜R9は同一又は異なっており、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表し、W、X、Y、Zは炭素原子又は窒素原子を表し、W、X、Y、Zはそのいずれか1つのみが窒素原子であり、前記窒素原子はR1〜R4の水素原子又は置換基を有さず、
式(30)中、R1〜R7はそれぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基及びシロキサニル基の中から選ばれるか、または、R1〜R7はそれぞれ、隣接する置換基との間に環構造を形成し、
式(31)において、R1〜R14はそれぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ハロアルカン、アミノ基、シリル基、シロキサニル基、隣接置換基との間に形成される縮合環、複素環および脂肪族環の中から選ばれる。)
【請求項2】
発光性ドーパント部の励起一重項状態S1準位エネルギーが2.6 eV以上3.0 eV以下であり、アシストドーパント部の励起一重項状態S1準位エネルギーが2.4 eV以上3.0 eV以下且つ励起一重項状態S1と励起三重項状態T1とのエネルギーギャップΔESTが0 eV以上2.0 eV以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料。
【請求項3】
発光性ドーパント部とアシストドーパント部とを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料と、ホスト材料とを含む発光層を備え、
前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料は、
前記発光性ドーパント部と前記アシストドーパント部との結合、一般式(2)〜(6)の何れかで表され
前記アシストドーパント部が下記一般式(7)〜(24)の何れかで表され、
前記発光性ドーパント部が下記一般式(27)〜(31)の何れかで表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【化4】

【化5】



【化6】

(ここで、
式(2)〜(6)中、Dは発光性ドーパント部を、Aはアシストドーパント部を示し、Lは単結合、窒素原子、酸素原子、硫黄、置換若しくは無置換の炭素数1〜2の炭化水素の二価基、置換若しくは無置換の二重結合を1つ以上含む炭素数2の炭化水素の二価基、又は置換若しくは無置換の三重結合を1つ以上含む炭素数2の炭化水素の二価基から選択され
式(9)中、Rは水素原子又はカルバゾリル基であり、
式(11)中、Rは水素原子、メチル基又はフェニル基であり、
式(17)中、Rは水素原子、メチル基又はフェニル基であり、Y1、Y2及びY3は、Y2及びY3が窒素原子でY1がメチン基を表すか、又は、Y1、Y2及びY3のすべてが窒素原子を表し、Z1及びZ2は、各々独立に水素原子又は置換基を表し、Y2及びY3が窒素原子でY1がメチン基であるとき、Z2は、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、R1〜R8は、各々独立に水素原子又は置換基を表し、R1〜R8の少なくとも1つは、置換若しくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基を表し、Y1、Y2及びY3のすべてが窒素原子であるとき、R1〜R8の少なくとも1つは、置換若しくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換若しくは無置換の9−カルバゾリル基を表し、カルバゾール構造を少なくとも2つ含み、
式(18)〜(22)中、Arは独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示し、Rは独立に水素又は1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成する構造又は環を形成しない構造を含み、
式(23)中、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、R1〜R9は、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、縮合多環芳香族基又はアリールオキシ基であり、単結合又は、メチレン基、酸素原子若しくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有し、R10、R11は、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、縮合多環芳香族基またはアリールオキシ基であり、単結合又は、メチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有し、Ar1、Ar2、Ar3は、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表し、Ar2とAr3は単結合又は、メチレン基、酸素原子若しくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有し、Aは、芳香族炭化水素、芳香族複素環若しくは縮合多環芳香族の2価基、又は単結合を表し、Aが芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族の2価基である場合、AとAr2は単結合又は、メチレン基、酸素原子若しくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有し、
式(24)中、Aは、単結合又は芳香族炭化水素の2価基、芳香族複素環の2価基もしくは縮合多環芳香族の2価基を表し、Ar1は、無置換のフェニル基であり、Ar2は、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表し、R1〜R9は同一又は異なっており、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表し、W、X、Y、Zは炭素原子又は窒素原子を表し、W、X、Y、Zはそのいずれか1つのみが窒素原子であり、前記窒素原子はR1〜R4の水素原子又は置換基を有さず、
式(30)中、R1〜R7はそれぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基及びシロキサニル基の中から選ばれるか、または、R1〜R7はそれぞれ、隣接する置換基との間に環構造を形成し、
式(31)において、R1〜R14はそれぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ハロアルカン、アミノ基、シリル基、シロキサニル基、隣接置換基との間に形成される縮合環、複素環および脂肪族環の中から選ばれる。)
【請求項4】
発光性ドーパント部の励起一重項状態S1準位エネルギーが2.6 eV以上3.0 eV以下であり、アシストドーパント部の励起一重項状態S1準位エネルギーが2.4 eV以上3.0 eV以下且つ励起一重項状態S1と励起三重項状態T1とのエネルギーギャップΔESTが0 eV以上2.0 eV以下であることを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項5】
前記ホスト材料は、励起三重項状態T1準位エネルギーが2.8 eV以上、且つアシストドーパント部の励起一重項状態S1準位エネルギー+0.4 eV以上であることを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。特に、発光層におけるドーパントのエネルギー移動の効率を向上させた有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)は、有機エレクトロルミネセンス材料(以下、「有機EL材料」ともいう。)を含む薄膜を一対の電極で挟んだ構造を有している。有機EL素子は、ホールとキャリアが発光層のホスト分子で再結合することにより生じる一重項励起子が、発光性ドーパントである蛍光分子へエネルギー移動することにより、蛍光分子が発光する。有機EL素子は、印加する電圧又は素子に流れる電流量によって発光強度を制御することができるため、この特性を利用して画素を形成し、表示画面を構成した表示装置が開発されている。
【0003】
有機EL素子を用いた表示装置は、個々の画素の発光を個別に制御して画像を表示することが可能である。そのため、透過型の液晶表示装置で必要とされているバックライトが不要となり、表示装置の薄型化を可能としている。一方で、発光層でホールとキャリアが再結合することにより生じる一重項励起子は25%であり、残りの75%は三重項励起子となり、熱失活するため、効率の高い発光素子ではなかった。
【0004】
近年、三重項励起子を一重項励起子に変換することにより、蛍光分子へ一重項励起子をエネルギー移動可能なアシストドーパントを、発光性ドーパントと共に発光層へドープする技術が報告されている。アシストドーパントを用いて三重項励起子を一重項励起子へ理論上ほぼ変換可能であるため、高効率の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の実現が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−226055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アシストドーパントを用いて三重項励起子を一重項励起子へ理論上ほぼ変換可能であるが、発光性ドーパントへエネルギー移動する効率が十分でなければ、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の効率を高めることはできない。
【0007】
このような問題に鑑み、本発明は、発光層におけるドーパントのエネルギー移動の効率を向上させた有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、発光性ドーパント部と、アシストドーパント部とを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料が提供される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、発光性ドーパント部とアシストドーパント部とを有する材料と、ホスト材料とを含む発光層を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るフレキシブル表示装置を説明する断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るフレキシブル表示装置を説明する断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るフレキシブル表示装置を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
本明細書において、ある部材又は領域が、他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0013】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料は、発光性ドーパント部と、アシストドーパント部とを有する。一実施形態において、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料は、発光性ドーパント部と、アシストドーパント部とが、単結合、又は連結基により結合した化合物である。
【0014】
従来は、発光性ドーパントとアシストドーパントを発光層に用いる場合、発光性ドーパント、アシストドーパント及びホスト材料を三元蒸着して形成していたため、各分子は発光層中にランダムな分散状態となっていた。このため、発光性ドーパントとアシストドーパントの分子間距離にばらつきが生じ、近い距離にある分子間では高い確率でエネルギー移動を起こすが、離れた距離にある分子間ではエネルギー移動を起こさない。このようなエネルギー移動のメカニズムは、フェルスター(Forster)型と呼ばれ、その速度定数は2つの分子間距離Rの6乗に比例する。従って、2種以上のドーパントをランダムにホスト材料中に分散させた状態では、多くの分子間で上記エネルギー移動が円滑に行われないことになる。
【0015】
一方、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料は、発光性ドーパント部と、アシストドーパント部とが、単結合、又は連結基により結合した化合物であるため、発光性ドーパント部と、アシストドーパント部とが常に所定の距離に存在することとなり、アシストドーパント部から発光性ドーパント部へのエネルギー移動が極めて高い確率で生じ、高い発光効率を得ることができる。
【0016】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料は、一実施形態において、発光性ドーパント部の励起一重項状態S1準位エネルギーが2.6 eV以上3.0 eV以下であり、アシストドーパント部の励起一重項状態S1準位エネルギーが2.4 eV以上3.0 eV以下且つ励起一重項状態S1と励起三重項状態T1とのエネルギーギャップΔESTが0 eV以上2.0 eV以下である。
【0017】
発光性ドーパント部とアシストドーパント部がこのようなエネルギー準位の特性を有することにより、アシストドーパント部で励起三重項状態T1から励起一重項状態S1へエネルギーが高効率で変換されるとともに、アシストドーパント部から発光性ドーパント部へのエネルギー移動が極めて高い効率で実現することができる。
【0018】
一実施形態において、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料は、下記一般式(1)〜(6)の何れかで表わされる化合物である。
【化1】
【0019】
上記のように、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料は、発光性ドーパント部に対してアシストドーパント部を1〜6の配合比率で有する化合物であることが好ましい。
【0020】
ここで、Dは発光性ドーパント部を示し、Aはアシストドーパント部を示す。Lは単結合、窒素原子、酸素原子、硫黄、置換若しくは無置換の炭化水素の二価基、置換若しくは無置換の二重結合を1つ以上含む炭化水素の二価基、置換若しくは無置換の三重結合を1つ以上含む炭化水素の二価基、又は置換若しくは無置換の二重結合及び三重結合を1つ以上含む炭化水素の二価基から選択される。
【0021】
置換若しくは無置換の炭化水素の二価基としては、単結合の二価基であって、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基が挙げられる。置換若しくは無置換の二重結合を1つ以上含む炭化水素の二価基としては、置換又は無置換のアルケニレン基、置換又は無置換のフェニレン基、ヘテロアリーレン基が挙げられる。また、置換若しくは無置換の三重結合を1つ以上含む炭化水素の二価基とは、置換又は無置換のアルキニレン基である。
【0022】
また、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料は、アシストドーパント部が、例えば、下記一般式(7)〜(24)の何れかで表わされる化合物であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【化2】
【0023】
ここで、式(9)中、Rは水素原子又はカルバゾリル基である。式(11)中、Rは水素原子、メチル基又はフェニル基である。式(17)中、Rは水素原子、メチル基又はフェニル基であり、Y1、Y2及びY3は、Y2及びY3が窒素原子でY1がメチン基を表すか、又は、Y1、Y2及びY3のすべてが窒素原子を表し、Z1及びZ2は、各々独立に水素原子又は置換基を表し、Y2及びY3が窒素原子でY1がメチン基であるとき、Z2は、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、R1〜R8は、各々独立に水素原子又は置換基を表し、R1〜R8の少なくとも1つは、置換若しくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基を表し、Y1、Y2及びY3のすべてが窒素原子であるとき、R1〜R8の少なくとも1つは、置換若しくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換若しくは無置換の9−カルバゾリル基を表し、カルバゾール構造を少なくとも2つ含む。
【0024】
式(17)において、Z1およびZ2は、各々独立に水素原子または置換基を表す。Z1およびZ2がとりうる好ましい置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数12〜40のジアリールアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のカルバゾリル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、および水酸基等が挙げられ、これらはさらに置換基により置換されていてもよい。Z1およびZ2は、より好ましくは、各々独立に水素原子、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のカルバゾリル基である。Z1およびZ2は、さらに好ましくは、各々独立に水素原子、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数12〜24の置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基である。Z1は、さらにより好ましくは、炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数12〜24の置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基である。Z2は、さらにより好ましくは、水素原子、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。
【0025】
アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基を挙げることができる。アリール基は、単環でも融合環でもよく、具体例としてフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。ヘテロアリール基も、単環でも融合環でもよく、具体例としてピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、トリアジル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基を挙げることができる。これらのヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して結合する基であってもよいが、好ましいのはヘテロアリール環を構成する炭素原子を介して結合する基である。9−カルバゾリル基が置換されている場合は、上記のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基や、シアノ基、ジアリールアミノ基、カルバゾリル基で置換されていることが好ましい。
【0026】
一般式(17)において、R1〜R8は、各々独立に水素原子または置換基を表す。R1〜R8がとりうる好ましい置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数3〜30のヘテロアリール基、シアノ基、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、炭素数12〜30のジアリールアミノ基、炭素数12〜30のカルバゾリル基、炭素数12〜30のジアラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、水酸基、アミド基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基が挙げられ、これらはさらに置換基により置換されていてもよい。R1〜R8は、より好ましくは、各々独立に水素原子、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、環形成炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、環形成炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、環形成炭素数12〜30の置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、環形成炭素数12〜30のカルバゾリル基である。R1〜R8は、さらに好ましくは、各々独立に水素原子、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、環形成炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、環形成炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、環形成炭素数12〜24の置換もしくは無置換のジフェニルアミノ基、環形成炭素数12〜24のカルバゾリル基である。
【0027】
一般式(17)において、R1〜R8の少なくとも1つは、置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、または置換もしくは無置換のカルバゾリル基を表す。カルバゾリル基の具体例として、9−カルバゾリル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基を挙げることができ、好ましくは9−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基であり、より好ましくは9−カルバゾリル基である。ジアリールアミノ基やカルバゾリル基が置換基を有するとき、置換基の種類は特に制限されないが、上記のR1〜R8がとりうる好ましい置換基を好ましい例として挙げることができる。一般式(17)においては、R1〜R8のいずれが置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、または置換もしくは無置換のカルバゾリル基であってもよいが、R3およびR6の少なくとも1つが置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、または置換もしくは無置換のカルバゾリル基であることが好ましい。
【0028】
また、一般式(17)で表される化合物は分子中にカルバゾール構造を少なくとも2つ含む。一般式(17)にはすでにカルバゾール構造が1つ記載されているため、R1〜R8、Z1およびZ2の少なくとも1つがカルバゾール構造を含む基であることが必要とされる。好ましいのは、R1〜R4、R5〜R8およびZ1の少なくとも1つがカルバゾール構造を含む基である場合である。より好ましいのは、R3、R6およびZ1の少なくとも1つがカルバゾール構造を含む基である場合である。R3、R6およびZ1のうちのいずれか2つがカルバゾール構造を含む基であることも好ましく、これらの全てがカルバゾール構造を含む基であることも好ましい。
【0029】
一般式(17)で表される化合物は、分子中にカルバゾール構造を少なくとも3つ含むものがより好ましく、分子中にカルバゾール構造を少なくとも4つ含むものがさらに好ましい。
【0030】
式(18)〜(22)中、Arは独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示し、Rは独立に水素又は1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成する構造又は環を形成しない構造を含む。
【0031】
式(18)〜(22)中、Arは好ましくは環形成炭素数6〜100の芳香族炭化水素基又は環形成炭素数3〜100の芳香族複素環基、より好ましくは環形成炭素数5〜50の芳香族炭化水素基又は環形成炭素数3〜50の芳香族複素環基である。更に好ましくは環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基又は環形成炭素数3〜50の環形成芳香族複素環基である。これら芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が1つ以上の置換基を有する場合は、炭素数の計算にはそれら置換基の炭素数を含む。
【0032】
好ましい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基としては、ベンゼン、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、オクタレン、インダセン、アセナフチレン、フェナレン、フェナンスレン、アントラセン、トリンデン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラフェン、テトラセン、プレイアデン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、コラントリレン、ヘリセン、ヘキサフェン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ピラントレン、オバレン、コラヌレン、フルミネン、アンタントレン、ゼトレン、テリレン、ナフタセノナフタセン、トルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、キサンテン、オキサトレン、ジベンゾフラン、ペリキサンテノキサンテン、チオフェン、チオキサンテン、チアントレン、フェノキサチイン、チオナフテン、イソチアナフテン、チオフテン、チオファントレン、ジベンゾチオフェン、ピロール、ピラゾール、テルラゾール、セレナゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、フラザン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ナフチリジン、フタラジン、キナゾリン、ベンゾジアゼピン、キノキサリン、シンノリン、キノリン、プテリジン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、カルボリン、フェノテルラジン、フェノセレナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アンチリジン、テベニジン、キンドリン、キニンドリン、アクリンドリン、フタロペリン、トリフェノジチアジン、トリフェノジオキサジン、フェナントラジン、アントラジン、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾイソチアゾール又はこれら芳香環が複数連結された芳香族化合物から1つの水素を除いて生じる基等が挙げられる。より好ましくはベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、イソインドール、インダゾール、プリン、イソキノリン、イミダゾール、ナフチリジン、フタラジン、キナゾリン、ベンゾジアゼピン、キノキサリン、シンノリン、キノリン、プテリジン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、カルボリン、インドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、又はこれら芳香環が複数連結された芳香族化合物から1つの水素を除いて生じる基が挙げられる。なお、芳香環が複数連結された芳香族化合物から生じる基である場合、連結される数は2〜10が好ましく、より好ましくは2〜7であり、連結される芳香環は同一であっても異なっていても良い。その場合、Nと結合するArの結合位置は限定されず、連結された芳香環の末端部の環であっても中央部の環であってもよい。また、Arにおいて、芳香環が複数連結された芳香族化合物から1つの水素を除いて生じる基の場合、式(18)〜(22)中のNと最初に結合する芳香環が芳香族炭化水素環の場合は芳香族炭化水素基に含め、Nと最初に結合する芳香環が芳香族複素環の場合は芳香族複素環基に含める。ここで、芳香環は芳香族炭化水素環及び芳香族複素環を総称する意味である。
【0033】
上記芳香環が複数連結されて生じる基の具体例としては、例えばビフェニル、ターフェニル、ビピリジン、ビピリミジン、ビトリアジン、ターピリジン、ビストリアジルベンゼン、ジカルバゾリルベンゼン、カルバゾリルビフェニル、ジカルバゾリルビフェニル、インドロカルバゾリルトリアジン、フェニルターフェニル、カルバゾリルターフェニル、ビナフタレン、フェニルピリジン、フェニルカルバゾール、ジフェニルカルバゾール、ジフェニルピリジン、フェニルピリミジン、ジフェニルピリミジン、フェニルトリアジン、ジフェニルトリアジン、フェニルナフタレン、ジフェニルナフタレン、インドロカルバゾリルベンゼン、インドロカルバゾリルピリジン、又はインドロカルバゾリルトリアジン等から1つの水素を除いて生じる基が挙げられる。
【0034】
前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基は置換基を有していても良く、置換基の総数は1〜10、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4である。なお、芳香環が複数連結された芳香族化合物から生じる基も同様に置換基を有することができる。好ましい置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、環形成炭素数12〜24のジアリールアミノ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、又は水酸基等が挙げられる。より好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、又はジフェニルアミノ基が挙げられる。置換基を2つ以上有する場合は、同一であっても異なっていても良い。
【0035】
上記式(18)〜(22)中のArの少なくとも1つは、芳香族複素環基であることが好ましく、一般式(25)で示される基であることがより好ましい。
【化3】
Xは独立にN、C-H又はC-Ar1を示し、少なくとも1つはNである。Ar1は独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示す。好ましくはNが1〜3個であり、より好ましくはNが2〜3個であり、更に好ましくはNが3個である。XがC-Ar1の場合、Ar1とXを含む環とで一辺を共有する縮合環を形成してもよい。好ましいAr1の具体例は、Arで説明した芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基と同様である。また、好ましい置換基も同様である。
【0036】
上記一般式(25)で表わされる基の具体例としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、又はトリアジンから生じる基が挙げられる。一般式(2)がArとXを含む環とで一辺を共有する縮合環を形成する場合の具体例としては、インドリジン、プリン、キノリジン、イソキノリン、ナフチリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、キノリン、プテリジン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、カルボリン、アンチリジン、テベニジン、キンドリン、キニンドリン、アクリンドリン、又はフタロペリンから1つの水素を除いて生じる基が挙げられる。好ましくは、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、プリン、キノリジン、ナフチリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、又はアンチリジンから1つの水素を除いて生じる基である。
【0037】
上記式(18)〜(22)中のRは独立に、水素又は1価の置換基を表す。Rとしては、水素又は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、シアノ基、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、環形成炭素数12〜20のジアリールアミノ基、炭素数12〜20のジアラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、水酸基、アミド基、置換若しくは未置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基又は置換若しくは未置換の環形成炭素数3〜30の芳香族複素環基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、又は炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基が例示できる。好ましくは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換若しくは未置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基又は置換若しくは未置換の環形成炭素数3〜30の芳香族6員複素環基等が挙げられる。より好ましくは、Rは水素又は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、フェニル基、又はピリジル基である。
【0038】
式(23)中、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、R1〜R9は、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、縮合多環芳香族基又はアリールオキシ基であり、単結合又は、メチレン基、酸素原子若しくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有し、R10、R11は、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、縮合多環芳香族基またはアリールオキシ基であり、単結合又は、メチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有し、Ar1、Ar2、Ar3は、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表し、Ar2とAr3は単結合又は、メチレン基、酸素原子若しくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有し、Aは、芳香族炭化水素、芳香族複素環若しくは縮合多環芳香族の2価基、又は単結合を表し、Aが芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族の2価基である場合、AとAr2は単結合又は、メチレン基、酸素原子若しくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成する構造又は環を形成しない構造を有する。
【0039】
上記一般式(23)で表される本発明の化合物のうち、Aが結合しているベンゼン環において、R1、R2、R3及びAが、下記一般式(26)で表される位置で結合している化合物が好適である。
【化4】
【0040】
Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。Xが硫黄原子のとき、本発明の化合物は、ベンゾチエノアクリダン環構造を有する。また、Xが酸素原子のとき、本発明の化合物は、ベンゾフロアクリダン環構造を有する。
【0041】
R1〜R9は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、縮合多環芳香族基またはアリールオキシ基を表す。これらの基は、単結合または、置換基を有してよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0042】
R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基等を挙げることができる。R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキル基や炭素原子数2〜6のアルケニル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0043】
〜Rで表される炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基は置換基を有してもよい。置換基としては、重水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、例えばメチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、アルケニル基、例えばアリル基、アリールオキシ基、例えばフェニルオキシ基、トリルオキシ基、アリールアルキルオキシ基、例えばベンジルオキシ基、フェネチル、オキシ基、芳香族炭化水素基または縮合多環芳香族基、例えばフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、芳香族複素環基、例えばピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基を挙げることができる。これらの置換基は、さらに置換基を有してもよい。更に有する置換基としては、上記の置換基と同じ例を挙げることができる。また、置換基同士が単結合または、置換基を有してもよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0044】
R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基または炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基等を挙げることができる。R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0045】
R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基または炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基は置換基を有してもよい。置換基としては、R〜Rで表される炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基が有しても良い置換基と同じ例を挙げることができる。また、これらの置換基は、さらに置換基を有してもよい。更に有する置換基としても、R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基が有しても良い置換基と同じ例を挙げることができる。上記で例示した置換基は、単結合または、置換基を有してもよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0046】
R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基としては、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピリジル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基等を挙げることができる。R1〜R9で表される芳香族複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、ジベンゾチエニル基などの含硫黄芳香族複素環基が好ましい。
【0047】
R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基は置換基を有してもよい。置換基としては、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、例えばメチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、アルケニル基、例えばアリル基、アラルキル基、例えばベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基、アリールオキシ基、例えばフェニルオキシ基、トリルオキシ基、アリールアルキルオキシ基、例えばベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基、例えばフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、芳香族複素環基、例えばピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基、アリールビニル基、例えばスチリル基、ナフチルビニル基、アシル基、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ジアルキルアミノ基、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基で置換されたジ置換アミノ基、例えばジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ジアラルキルアミノ基、例えばジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基、芳香族複素環基で置換されたジ置換アミノ基、例えばジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基、ジアルケニルアミノ基、例えばジアリルアミノ基、アルキル基、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、アラルキル基、芳香族複素環基またはアルケニル基から選択される置換基で置換されたジ置換アミノ基等を挙げることができる。これらの置換基は、さらに置換基を有してもよい。更に有する置換基としては、R1〜R9で表される芳香族炭化水素基等が有する上記の置換基と同じ例を挙げることができる。また、置換基同士が単結合または、置換基を有してもよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0048】
R1〜R9で表されるアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ターフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、フルオレニルオキシ基、インデニルオキシ基、ピレニルオキシ基、ペリレニルオキシ基等を挙げることができる。
【0049】
R1〜R9で表されるアリールオキシ基は置換基を有してもよい。置換基としては、R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基が有してもよい置換基と同じ例を挙げることができる。これらの置換基は、さらに置換基を有してもよい。更に有する置換基としても、R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基が有しても良い置換基と同じ例を挙げることができる。置換基同士が単結合または、置換基を有してもよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0050】
R10、R11は、相互に同一でも異なってもよく、炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、縮合多環芳香族基またはアリールオキシ基を表す。これらの基は、単結合または、置換基を有してよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0051】
R10、R11で表される炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基としては、R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基と同じ例を挙げることができる。例示された基から理解される通り、R10、R11で表される炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0052】
R10、R11で表される炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基は置換基を有してもよい。置換基としては、R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基が有してもよい置換基と同じ例を挙げることができる。これらの置換基は、さらに置換基を有してもよい。更に有する置換基としても、R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基が有しても良い置換基と同じ例を挙げることができる。置換基同士は、単結合または、置換基を有してもよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0053】
R10、R11で表される炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基または炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基としては、R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基または炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基と同じ例を挙げることができる。炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0054】
R10、R11で表される炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基または環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基は置換基を有してもよい。置換基としては、R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基が有しても良い置換基と同じ例を挙げることができる。また、これらの置換基は、さらに置換基を有してもよい。更に有する置換基としても、R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキル基、環形成炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基が有しても良い置換基と同じ例を挙げることができる。上記で例示した置換基は、単結合または、置換基を有してもよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0055】
R10、R11で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基としては、R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基と同じ例を挙げることができる。R10、R11で表される芳香族複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、ジベンゾチエニル基などの含硫黄芳香族複素環基が好ましい。
【0056】
R10、R11で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基は置換基を有してもよい。置換基としては、R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基が有してもよい置換基と同じ例を挙げることができる。これらの置換基は、さらに置換基を有してもよい。更に有する置換基としても、R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基が有してもよい置換基と同じ例を挙げることができる。置換基同士は、単結合または、置換基を有してもよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0057】
R10、R11で表されるアリールオキシ基としては、R1〜R9で表されるアリールオキシ基と同じ例を挙げることができる。
【0058】
R10、R11で表されるアリールオキシ基は置換基を有してもよい。置換基としては、R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基が有してもよい置換基と同じ例を挙げることができる。これらの置換基は、さらに置換基を有してもよい。更に有する置換基としても、R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基が有してもよい置換基と同じ例を挙げることができる。置換基同士は、単結合または、置換基を有してもよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0059】
Ar1、Ar2、Ar3は、相互に同一でも異なってもよく、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表す。Ar1、Ar2、Ar3の基は、単結合または、置換基を有してもよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよく、例えば、Ar2とAr3は、単結合または、置換基を有してよいメチレン基、酸素原子若しくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0060】
Ar1、Ar2、Ar3で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基としては、R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基と同じ例を挙げることができる。Ar1、Ar2、Ar3で表される芳香族複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、ジベンゾチエニル基等の含硫黄芳香族複素環基、または、フリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ジベンゾフラニル基などの含酸素芳香族複素環が好ましい。
【0061】
Ar1、Ar2、Ar3で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基は置換基を有してもよい。置換基としては、重水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、例えばメチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、アルケニル基、例えばアリル基、アリールオキシ基、例えばフェニルオキシ基、トリルオキシ基、アリールアルキルオキシ基、例えばベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基、例えばフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基等を挙げることができる。芳香族複素環基、例えばピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基など、アリールビニル基、例えばスチリル基、ナフチルビニル基など、アシル基、例えばアセチル基、ベンゾイル基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、さらに置換基を有してもよい。更に有する置換基としても、Ar1、Ar2、Ar3で表される芳香族炭化水素基などが有する置換基と同じ例を挙げることができる。置換基同士または置換基とAr1、Ar2、Ar3とは、単結合または、置換基を有してもよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0062】
Ar1としては、芳香族炭化水素基、含硫黄芳香族複素環基または縮合多環芳香族基が好ましく、特に、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニリル基、フルオレニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基が最も好ましい。Ar2、Ar3としては、芳香族炭化水素基、含酸素芳香族複素環基、含硫黄芳香族複素環基または縮合多環芳香族基が好ましく、特に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、トリフェニレニル基、フリル基、チエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基、トリフェニレニル基、フリル基、チエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基が最も好ましい。
【0063】
Aは、芳香族炭化水素、芳香族複素環もしくは縮合多環芳香族の2価基、または単結合を表す。かかる芳香族炭化水素、芳香族複素環および縮合多環芳香族としては、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、テトラキスフェニル、スチレン、ナフタレン、アントラセン、アセナフタレン、フルオレン、フェナントレン、インダン、ピレン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、フラン、ピロール、チオフェン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドリン、カルバゾール、カルボリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノキサリン、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ナフチリジン、フェナントロリン、アクリダン等を挙げることができる。Aで表される2価基は、上記芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族から水素原子を2個取り除いてできる。芳香族複素環としては、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾール、ジベンゾチオフェンなどの含硫黄芳香族複素環、または、フラン、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ジベンゾフランなどの含酸素芳香族複素環が好ましい。
【0064】
芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族は置換基を有してもよい。置換基としては、Ar1、Ar2、Ar3で表される芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族が有してもよい置換基と同じ例を挙げることができる。これらの置換基は、さらに置換基を有してもよい。更に有する置換基としても、Ar1、Ar2、Ar3で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基が有してもよい置換基と同じ例を挙げることができる。また、置換基同士は、単結合または、置換基を有してもよいメチレン基、酸素原子もしくは硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0065】
Aとしては、芳香族炭化水素の2価基、縮合多環芳香族の2価基または単結合が好ましく、特にベンゼンから誘導される2価基または単結合が好ましい。
【0066】
式(24)中、Aは、単結合又は芳香族炭化水素の2価基、芳香族複素環の2価基もしくは縮合多環芳香族の2価基を表し、Ar1は、無置換のフェニル基であり、Ar2は、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表し、R1〜R9は同一又は異なっており、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表し、W、X、Y、Zは炭素原子又は窒素原子を表し、W、X、Y、Zはそのいずれか1つのみが窒素原子であり、前記窒素原子はR1〜R4の水素原子又は置換基を有さない。
【0067】
式(24)において、Aは、単結合または芳香族炭化水素の2価基、芳香族複素環の2価基もしくは縮合多環芳香族の2価基を表す。芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族としては、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、テトラキスフェニル、スチレン、ナフタレン、アントラセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナントレン、インダン、ピレン、トリフェニレン、フルオランテン、ベンゾフルオランテン、クリセン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、フラン、ピロール、チオフェン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドリン、カルバゾール、カルボリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノキサリン、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ナフチリジン、フェナントロリン、アクリジン、ビピリジン、フェニルピリジン等が挙げられる。
【0068】
Aで表される芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族の2価基は、上記芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族から水素原子を2個取り除いてできる。尚、芳香族炭化水素は、縮合多環構造を有さない。一方、芳香族複素環は、縮合多環構造を有するものであってもよい。
【0069】
Aで表される芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族の2価基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、重水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、例えばメチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、アルケニル基、例えばアリル基、アリールオキシ基、例えばフェニルオキシ基、トリルオキシ基、アリールアルキルオキシ基、例えばベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、芳香族炭化水素基または縮合多環芳香族基、例えばフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、テトラキスフェニル基、スチリル基、アセナフテニル基、フェニルナフチル基、芳香族複素環基、例えばピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基、トリアジニル基、ピリミジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、アリールビニル基、例えばスチリル基、ナフチルビニル基、アシル基、例えばアセチル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。上述の置換基のうち、炭素原子数1〜6のアルキル基および炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。上述の置換基は、さらに上記の例示置換基で置換されていてもよい。また、置換基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0070】
式(24)において、Ar1、Ar2は同一でも異なってもよく、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表す。Ar1、Ar2で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基としては、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、テトラキスフェニル基、スチリル基、ナフチル基、アントラセニル基、アセナフテニル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、トリアジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基等を挙げることができる。
【0071】
Ar1、Ar2で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上記Aで表される芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族の2価基が有してもよい置換基として例示したものと同じものを挙げることができる。置換基がとりうる態様も同様である。
【0072】
一般式(24)において、R1〜R9は同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表す。R1〜R9で表される炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、tert−ヘキシル基等を挙げることができる。炭素原子数1〜6のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0073】
R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基としては、上記Ar1、Ar2で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基で例示したものと同じものを挙げることができる。
【0074】
R1〜R9で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上記Aで表される芳香族炭化水素、芳香族複素環または縮合多環芳香族の2価基が有してもよい置換基として例示したものと同じものを挙げることができる。置換基がとりうる態様も同様である。
【0075】
式(24)において、W、X、Y、Zは炭素原子または窒素原子を表し、W、X、Y、Zのいずれか1つのみが窒素原子(残りの3つが炭素原子)である。W、X、Y、Zのいずれか1つが窒素原子である場合、この窒素原子はR1〜R4の水素原子もしくは置換基を有さないものとする。即ち、Wが窒素原子である場合はR1が、Xが窒素原子である場合はR2が、Yが窒素原子である場合はR3が、Zが窒素原子である場合はR4が存在しない。
【0076】
式(24)で表される本発明のベンゾピリドインドール誘導体において、Aとしては、1個あるいは2個の環を有する芳香族炭化水素の2価基、1個あるいは2個の環を有する芳香族複素環の2価基、ナフタレンの2価基または単結合が好ましい。1個あるいは2個の環を有する芳香族炭化水素および1個あるいは2個の環を有する芳香族複素環としては、ベンゼン、ビフェニル、スチレン、インダン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、フラン、ピロール、チオフェン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノキサリン、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、ナフチリジン、ビピリジン、フェニルピリジン等が挙げられる。さらに、Aとしては、1個あるいは2個の環を有する芳香族炭化水素の2価基もしくはナフタレンの2価基または単結合が好ましく、ベンゼン、ビフェニルもしくはナフタレンから水素原子を2個取り除いてできる2価基または単結合がより好ましく、ベンゼンもしくはビフェニルから水素原子を2個取り除いてできる2価基または単結合が特に好ましい。
【0077】
Ar1としては、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、ジベンゾチエニル基などの含硫黄芳香族複素環、またはジベンゾフラニル基などの含酸素芳香族複素環が好ましく、化合物のバイポーラ性の観点から、フェニル基がより好ましく、無置換のフェニル基が特に好ましい。
【0078】
Ar2としては、3個以上の環を有する芳香族炭化水素基、3個以上の環を有する芳香族複素環基または3環性以上の縮合多環芳香族基が好ましい。3個以上の環を有する芳香族炭化水素基、3個以上の環を有する芳香族複素環基または3環性以上の縮合多環芳香族基としては、ターフェニリル基、テトラキスフェニル基、アントラセニル基、アセナフテニル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、ピレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基等を挙げることができる。更に、Ar2は、ベンゾピリドインドール誘導体に電荷の偏りを付与するという観点から、3個以上の環を有する芳香族炭化水素基もしくは3環性以上の縮合多環芳香族基またはジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、フェナントロリニル基、ジベンゾフラニル基が好ましく、3個以上の環を有する芳香族炭化水素基または3環性以上の縮合多環芳香族基がより好ましく、アントラセニル基が特に好ましい。アントラセニル基は、無置換でも置換基を有していてもよいが、置換基を有する方が好ましい。
【0079】
Ar2が有していてもよい置換基としては、芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基または芳香族複素環基、例えばフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、テトラキスフェニル基、スチリル基、ナフチル基、アントラセニル基、アセナフテニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ピリジル基、トリアジニル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基またはアクリジニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、ピリジル基、トリアジニル基、ピリミジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンジチエニル基がより好ましく、ベンゾピリドインドール誘導体に電荷の偏りを付与するという観点から、フェニル基、ナフチル基が特に好ましい。
【0080】
R1〜R9は、炭素原子数1〜6のアルキル基または水素原子が好ましく、全て水素原子であることが特に好ましい。合成がしやすいからである。
【0081】
W、X、Y、Zのうち、Yが窒素原子であることが好ましい。
【0082】
発光性ドーパント部としては、例えば、下記式(27)〜(31)の何れかで表わされる化合物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【化5】
【0083】
上記式(30)中、R1〜R7はそれぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基の中から選ばれる。また、R1〜R7はそれぞれ、隣接する置換基との間に環構造を形成しても良い。
【0084】
上記式(30)において、アルキル基とは例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、シクロアルキル基とは例えばシクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、アラルキル基とは例えばベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルケニル基とは例えばビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、シクロアルケニル基とは例えばシクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルキニル基とは例えばアセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。
【0085】
また、アルコキシ基とは例えばメトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルキルチオ基とはアルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。また、アリールエーテル基とは例えばフェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。また、アリールチオエーテル基とはアリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。また、アリール基とは例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、複素環基とは例えばフリル基、チエニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
【0086】
ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキンとは例えばトリフルオロメチル基などの、上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基の一部あるいは全部が、上記ハロゲンで置換されたものを示し、残りの部分は無置換でも置換されていてもかまわない。アルデヒド基、カルボニル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基には脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換されたものも含み、さらに脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基とは例えばトリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シロキサニル基とは例えばトリメチルシロキサニル基などのエーテル結合を介したケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、隣接置換基との間に環構造を形成しても構わない。形成される環構造は無置換でも置換されていてもかまわない。
【0087】
上記式(31)において、R1〜R14はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ハロアルカン、アミノ基、シリル基、シロキサニル基、隣接置換基との間に形成される縮合環、複素環および脂肪族環の中から選ばれる。
【0088】
これらの置換基の説明の内、アルキル基とは例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、シクロアルキル基とは例えばシクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、アラルキル基とは例えばベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルケニル基とは例えばビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、シクロアルケニル基とは例えばシクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルキニル基とは例えばアセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルコキシ基とは例えばメトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルキルチオ基とはアルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。また、アリールエーテル基とは例えばフェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。また、アリールチオエーテル基とはアリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。また、アリール基とは例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、複素環基とは例えばフラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキンとは例えばトリフルオロメチル基などの、前述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基の一部あるいは全部が、前述のハロゲンで置換されたものを示し、残りの部分は無置換でも置換されていてもかまわない。アルデヒド基、カルボニル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基には脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換されたものも含み、さらに脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基とは例えばトリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シロキサニル基とは例えばトリメチルシロキサニル基などのエーテル結合を介したケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。
【0089】
以下に、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料におけるアシストドーパント部と発光性ドーパント部との結合様式の例を示す。一例として、アシストドーパント部として化学式(7)の化合物(ACRSA)、化学式(8)の化合物(2CzON)を用い、発光性ドーパント部として化学式(27)の化合物(TBPe)を用いて説明する。
【0090】
化学式(7)の化合物(ACRSA)と化学式(27)の化合物(TBPe)との結合様式は、例えば、化学式(7)の化合物(ACRSA)と化学式(27)の化合物(TBPe)とが単結合により連結する場合、化学式(32)で示されるが、これに限定されるものではない。
【化6】
【0091】
化学式(8)の化合物(2CzON)と化学式(27)の化合物(TBPe)との結合様式は、例えば、化学式(8)の化合物(2CzON)と化学式(27)の化合物(TBPe)とが単結合により連結する場合、化学式(33)で示されるが、これに限定されるものではない。
【化7】
【0092】
アシストドーパント部と発光性ドーパント部との結合様式は、上記一般式(1)〜(6)で示した配置を取りうる範囲で、任意に設定可能である。
【0093】
上述した特徴を有する本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料は、一実施形態において、励起一重項状態S1準位エネルギーが2.7 eV以上の青色蛍光材料であることが好ましい。また、励起一重項状態S1と励起三重項状態T1とのエネルギーギャップΔESTが0.03 eVであることが好ましい。本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料は、内部量子収率が理論上の25%を超え、100%までの範囲をとる490 nm〜440 nmの波長を有する青色蛍光材料であることが好ましい。
【0094】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料は、励起三重項状態T1準位エネルギーが2.8 eV以上、且つアシストドーパント部の励起一重項状態S1準位エネルギー+0.4 eV以上であるホスト材料と組み合わせて用いることができる。ホスト材料の準位エネルギーが上記範囲にあれば、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料とのエネルギー移動が高い効率で生じるため好ましい。なお、ホスト材料の準位エネルギーが上記の条件を満たせば、公知のホスト材料を組合せることができる。
【0095】
エネルギー受け渡しのために、蛍光ドーパントの近傍にアシストドーパントが存在する必要があるが、従来は3元蒸着により発光層を形成するため、蛍光ドーパントとアシストドーパントとの配置の制御が困難であった。本発明においては、アシストドーパントと蛍光ドーパントとを結合させた化合物を用いることにより、配合比率と分子距離が制御可能となり、発光効率が向上するとともに、有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料を安定的に供給することができる。
【0096】
<有機エレクトロルミネッセンス表示装置の構成>
以下に、本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の構成を図1(A)及び(B)に示す。図1(A)は有機エレクトロルミネッセンス表示装置100の平面図を示し、図中に示すA−B線に対応する断面構造を図1(B)に示す。
【0097】
有機エレクトロルミネッセンス表示装置100は、複数の画素が二次元的に配列された画素部106を有している。画素部106は第1基板102に設けられている。第1基板102には、走査線駆動回路162、映像信号線駆動回路164、入力端子部166などが設けられていてもよい。第2基板104は第1基板102に対向し、画素部106を封止するように設けられている。
【0098】
第2基板104と第1基板102とはシール材160により固定されている。第2基板104と第1基板102とは数マイクロメートルから数十マイクロメートルの間隙をもって固定されており、当該間隙部には充填材142が設けられている。充填材142としては樹脂材料が好適に用いられる。第2基板104と第1基板102の間に画素部106を挟み込み、充填材142を封入する構成は固体封止とも呼ばれている。
【0099】
画素部106における各画素には発光素子が設けられている。発光素子の発光層には、有機EL材料として一般に用いられるホスト材料と、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料とが用いられる。画素部106における各画素は、画素回路により発光が個別に制御される。各画素の発光を制御する信号は、走査線駆動回路162及び映像信号線駆動回路164から与えられる。
【0100】
図1で示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置100は、画素部106の発光が第2基板104側に射出されるトップエミッション型の構成を有している。
【0101】
なお、トップエミッション型の場合、第2基板104は透光性を有する必要があるため、ガラス又は樹脂材料が用いられる。透光性の優れた樹脂材料としては、例えば、ポリベンゾオキサゾール、脂環式構造を有するポリアミドイミド、脂環式構造を有するポリイミド、ポリアミド及びポリ(p−キシリレン)から選択される樹脂材料を含むものが好ましく、これらの樹脂材料を単独で含んでいてもよいし、複数種が組み合わされていてもよい。例えば、第2基板104をポリイミド樹脂で形成する場合には、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸(一部がイミド化されたポリアミック酸を含む、)又は、可溶性ポリイミドを含む溶液を支持基板152に塗布し、焼成することで形成することができる。
【0102】
画素部106の構成を、図2及び図3を参照して説明する。図2は、画素部106における有機EL素子122の構成を断面図で示す。図3は、画素部106における画素120の構成を断面図で示す。有機EL素子122は、画素電極(第1の電極層)124上に有機EL層125及び共通電極(第2の電極層)126が積層された構成を有している。有機EL層125は、低分子系又は高分子系の有機材料を用いて形成することができる。有機EL層125は、ホスト材料と本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料とを含む発光層114に加え、当該発光層114を挟むように正孔輸送層112や電子輸送層116等のキャリア輸送層が設けられている。また、有機EL層125は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色を発光するものであってもよいし、いわゆる白色発光を呈するものであってもよい。有機EL層125が赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色を発光する場合には、アシストドーパントと各色を発光する発光ドーパントとにより構成された有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料を用い、各色の画素毎に塗り分けることにより、有機EL層125を形成することができる。
【0103】
また、一実施形態において、有機EL層125は、画素電極124と正孔輸送層112との間に正孔注入層を配置し、共通電極126と電子輸送層116との間に電子注入層を配置してもよい。
【0104】
なお、本実施形態において、正孔輸送層112、発光層114、電子輸送層116、正孔注入層及び電子注入層を構成する材料として、公知の材料を用いることができる。
【0105】
正孔輸送層112及び正孔注入層に用いる正孔輸送性材料としては、例えばベンジジン又はその誘導体、スチリルアミン又はその誘導体、トリフェニルメタン又はその誘導体をはじめ、ポルフィリン又はその誘導体、トリアゾール又はその誘導体、イミダゾール又はその誘導体、オキサジアゾール又はその誘導体、ポリアリールアルカン又はその誘導体、フェニレンジアミン又はその誘導体、アリールアミン又はその誘導体、オキサゾール又はその誘導体、アントラセン又はその誘導体、フルオレノン又はその誘導体、ヒドラゾン又はその誘導体、スチルベン又はその誘導体、フタロシアニンまたはその誘導体、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、チオフェン系化合物、アニリン系化合物等の複素環式共役系のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。
【0106】
このような正孔輸送性材料の具体的な例としては、α−ナフチルフェニルジアミン(αNPD)、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリン、金属ナフタロシアニン、4,4’,4”−トリメチルトリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)p−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾール、4−ジ−p−トリルアミノスチルベン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリ(2,2’−チエニルピロール)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0107】
電子輸送層116及び電子注入層に用いる電子輸送性材料として使用可能な材料としては、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)、8−ヒドロキシメチルキノリンアルミニウム、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、又はこれらの誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0108】
発光層114は、上述した正孔輸送性材料、電子輸送性材料、さらには両電荷輸送性材料の中から適宜必要とされるホスト材料を組み合わせて構成され、さらに、画素の配置に応じて、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料を含有することができる。ホスト材料は、励起三重項状態T1準位エネルギーが2.8 eV以上、且つアシストドーパント部の励起一重項状態S1準位エネルギー+0.4 eV以上である材料を用いることが好ましい。ホスト材料の準位エネルギーが上記範囲にあれば、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料とのエネルギー移動が高い効率で生じるため好ましい。
【0109】
画素電極124に適用可能な材料としては、例えば、ニッケル、銀、金、白金、パラジウム、セレン、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、ニオブやこれらの合金、あるいは酸化錫(SnO)、酸化インジウム錫(ITO:Indium tin oxide)、酸化亜鉛、酸化チタン等があるが、これらに限定されるものではない。また、共通電極126に適用可能な材料としては、例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とAg、Al、In等の金属との合金、或いはこれらを積層した構造があるが、これらに限定されるものではない。
【0110】
図3を参照して、画素部106における画素120の構成をさらに説明する。画素120には有機EL素子122とトランジスタ132が含まれている。画素電極124の周縁部はバンク層130によって覆われており、有機EL層125は画素電極124の上面からバンク層130にかけて設けられている。また、有機EL素子122の上面側には、封止膜128が設けられていてもよい。封止膜128は、画素部106の略前面を覆うように設けられている。
【0111】
本実施形態では、トップエミッション型の画素構成を有するため、有機EL素子122の構成は、共通電極126が透光性であり、画素電極124には光反射面が設けられていることが好ましい。有機EL層125の発光は、立体角で表せば4πの全方向に放射されるため、第2基板104側に放射される光は、少なくとも、有機EL層125から直接放射される光の成分と、画素電極124で反射して第2基板104側へ放射される光の成分が混在している。いずれにしても、有機EL層125で発光した光は、さまざまな角度で第2基板104に入射することとなる。
【0112】
共通電極126は複数の画素に共通の電位が印加され、これに対し画素電極124は、各画素にそれぞれ個別の電位が印可されて有機EL素子122に流れる電流が制御される。画素電極124の電位はトランジスタ132によって制御される。
【0113】
トランジスタ132は、半導体層134とゲート電極138がゲート絶縁層136によって絶縁された電界効果トランジスタである。具体的には、薄膜の半導体層134にチャネルが形成される薄膜トランジスタの形態を有している。トランジスタ132と有機EL素子122の間には層間絶縁層144が設けられていることが好ましく、画素電極124はこの層間絶縁層144上に設けられており、コンタクトホールを介してソース・ドレイン電極140と接続されている。
【0114】
なお、有機EL素子122が白色発光である場合、第2基板104には、遮光層146、カラーフィルタ層148、オーバーコート層150が設けられていてもよい。このような構成によりカラー表示が可能となる。
【0115】
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス表示装置100は、画素部106からの光射出面側(表示画面側)に封止用の基板と一体化された光学素子108を設けることにより、薄型化を図りつつ、光の取り出し効率を高めることを可能としている。次に、このような有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料の製造方法について説明する。
【0116】
(製造方法)
本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料の製造方法の概要を説明する。有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料の製造工程には、公知の製造工程を用いることができる。
【0117】
まず、第2基板に画素回路を形成する。このとき、必要に応じて走査線駆動回路や映像信号線駆動回路、入力端子部なども形成する。画素回路を構成するトランジスタやキャパシタなどの各素子は、半導体、絶縁体、金属による薄膜の積層とフォトリソグラフィー法によるパターニングを繰り返して作製される。
【0118】
画素回路などが形成された回路素子層158の上に発光素子を形成する。各画素の有機EL素子を形成するために、画素回路と電気的に接続される画素電極を形成する。画素電極はトランジスタを埋設する層間絶縁層の上に形成する。次いで、画素電極の周縁部を覆うバンク層を形成する。画素電極は、画素ごとに形成され、周縁部をバンク層で囲まれることにより、各画素の領域が画定されることになる。
【0119】
画素電極上に正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を形成する。各層の形成は、例えば、蒸着法やインクジェットを用いた印刷法を用いることができる。また、一実施形態において、画素電極と正孔輸送層との間に正孔注入層を形成し、共通電極と電子輸送層との間に電子注入層を形成してもよい。このように、有機EL層を形成することができる。
【0120】
発光層は、上述した正孔輸送性材料、電子輸送性材料、さらには両電荷輸送性材料の中から適宜必要とされるホスト材料と、画素の配置に応じて、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置用材料とを2元蒸着することにより形成することができる。また、2元蒸着又はインクジェットを用いた印刷法を用いて、画素毎に材料を塗り分けて形成することができる。
【0121】
さらに共通電極を形成する。共通電極の上層には窒化シリコン膜などで封止膜を形成する。このように画素回路及び画素部を形成することができる。
【符号の説明】
【0122】
100・・・有機エレクトロルミネッセンス表示装置、102・・・第1基板、104・・・第2基板、106・・・画素部、108・・・光学素子、112・・・正孔輸送層、114・・・発光層、116・・・電子輸送層、120・・・画素、122・・・有機EL素子、124・・・画素電極、125・・・有機EL層、126・・・共通電極、128・・・封止膜、130・・・バンク層、132・・・トランジスタ、134・・・半導体層、136・・・ゲート絶縁層、138・・・ゲート電極、140・・・ソース・ドレイン電極、142・・・充填材、144・・・層間絶縁層、146・・・遮光層、148・・・カラーフィルタ層、150・・・オーバーコート層、158・・・回路素子層、160・・・シール材、162・・・走査線駆動回路、164・・・映像信号線駆動回路、166・・・入力端子部。
図1
図2
図3