(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、実施形態について、技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、実施形態は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0036】
図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分については同一の図面符号を付した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとする時、これは、他の部分の「直上」にある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるとする時は、中間に他の部分がないことを意味する。
【0037】
以下、図面を参照して、一実施形態に係る光学フィルムを説明する。
【0038】
図1は、一実施形態に係る光学フィルムの概略的な断面図であり、
図2は、
図1の光学フィルムで使用された偏光フィルムを示す概略的な断面図である。
【0039】
図1を参照すれば、一実施形態に係る光学フィルム100は、偏光フィルム110と、第1光配向膜120と、第1液晶層130とを含む。
【0040】
図2を参照すれば、偏光フィルム110は、ポリオレフィン71と二色性染料72との溶融混合物(melt blend)で作られた一体型延伸フィルムであってもよい。
【0041】
ポリオレフィン71は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンとポリプロピレンとの共重合体(PE−PP)、またはこれらの混合物であってもよい。
【0042】
ポリプロピレン(PP)は、例えば、約0.1g/10分〜約5g/10分の溶融流れ指数(melt flow index、MFI)を有することができる。ここで、溶融流れ指数(MFI)は、10分あたりに溶融状態の高分子が流れる量を示すもので、溶融状態のポリオレフィンの粘度と関係がある。つまり、溶融流れ指数(MFI)が小さいほどポリオレフィンの粘度が大きく、溶融流れ指数(MFI)が大きいほどポリオレフィンの粘度が小さいことが分かる。前記ポリプロピレンの溶融流れ指数(MFI)が前記範囲内の場合、加工性を効果的に改善することができ、最終製品の物性を効果的に向上させることができる。具体的には、ポリプロピレンは、約0.5g/10分〜約5g/10分の溶融流れ指数(MFI)を有することができる。
【0043】
ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)は、前記共重合体の総含有量に対して、約1重量%〜約50重量%のエチレン基を含むことができる。ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)においてエチレン基の含有量が前記範囲内の場合、ポリプロピレンと前記ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)の相分離を効果的に防止または緩和することができる。また、優れた光透過度および配向性を有しながらも、延伸時の延伸率を増加させることができ、改善された偏光特性を実現することができる。具体的には、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)は、前記共重合体の総含有量に対して、約1重量%〜約25重量%のエチレン基を含むことができる。
【0044】
ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)は、約5g/10分〜約15g/10分の溶融流れ指数(MFI)を有することができる。ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)の溶融流れ指数(MFI)が前記範囲内の場合、加工性を効果的に改善することができ、最終製品の物性を効果的に向上させることができる。具体的には、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(PE−PP)は、約10g/10分〜約15g/10分の溶融流れ指数(MFI)を有することができる。
【0045】
ポリオレフィン71は、約5%以下のヘイズを有することができる。ポリオレフィン71が前記範囲のヘイズを有することによって、透過度が増加し、優れた光学特性を有することができる。具体的には、ポリオレフィン71は、約2%以下のヘイズを有することができ、より具体的には約0.5%〜約2%のヘイズを有することができる。
【0046】
ポリオレフィン71は、約50%以下の結晶化度を有することができる。ポリオレフィン71が前記範囲の結晶化度を有することによって、ヘイズを低下させることができ、優れた光学特性を達成することができる。具体的には、ポリオレフィン71は、約30%〜約50%の結晶化度を有することができる。
【0047】
ポリオレフィン71は、約400〜780nmの波長領域で透過度が約85%以上であってもよい。ポリオレフィン71は一軸方向に延伸している。前記一軸方向は、後述する二色性染料72の長さ方向と同じであり得る。
【0048】
二色性染料72は、ポリオレフィン71に分散しており、ポリオレフィン71の延伸方向に沿って一方向に配列されている。二色性染料72は、所定の波長領域に対して2つの偏光直交成分のうちの1つの偏光直交成分のみを透過させることができる。
【0049】
二色性染料72は、ポリオレフィン71の100重量部に対して、約0.01〜5重量部含まれてもよい。前記範囲に含まれることによって、偏光フィルムに形成時、透過度を低下させることなく十分な偏光特性を示すことができる。前記範囲内で、ポリオレフィン71の100重量部に対して、約0.05〜1重量部含まれてもよい。
【0050】
偏光フィルム110は、可視光線領域の最大吸収波長(λ
max)で二色比(dichroic ratio)が約2〜14であってもよい。前記範囲内で約3〜10であってもよい。ここで、二色比は、高分子の軸(axis)に垂直な方向の平面偏光吸収をその水平な方向への偏光吸収で割った値で、下記数式1によって求められる。
【0051】
[数式1]
DR=Log(1/T
⊥)/Log(1/T
‖)
前記数式1において、
DRは、偏光フィルムの二色比であり、
T
‖は、偏光フィルムの透過軸に平行に入射した光に対する偏光フィルムの光透過度であり、
T
⊥は、偏光フィルムの透過軸に垂直に入射した光に対する偏光フィルムの光透過度である。
【0052】
前記二色比は、偏光フィルム110内で二色性染料72が一方向に並んで配列されている程度を示すことができ、可視光線波長領域で前記範囲の二色比を有することによって、ポリオレフィン鎖の配向に応じて二色性染料72の配向を誘導することができ、偏光特性を改善することができる。
【0053】
偏光フィルム110は、約80%以上の偏光効率を有することができ、前記範囲内で約83〜99.9%の偏光効率を有することができる。ここで、偏光効率は、下記数式2によって求められる。
【0054】
[数式2]
PE(%)=[(T
‖−T
⊥)/(T
‖+T
⊥)]
1/2×100
【0055】
前記数式2において、
PEは、偏光効率であり、
T
‖は、偏光フィルムの透過軸に平行に入射した光に対する偏光フィルムの透過度であり、
T
⊥は、偏光フィルムの透過軸に垂直に入射した光に対する偏光フィルムの透過度である。
【0056】
偏光フィルム110は、約50μm以下の比較的薄い厚さを有することができ、例えば、約10μm〜約50μmの厚さを有することができる。前記範囲の厚さを有することによって、トリアセチルセルロース(TAC)のような保護層が要求されるポリビニルアルコール偏光板と比較して厚さを大きく低減することができ、これによって、薄型表示装置を実現することができる。
【0057】
第1光配向膜120は、光照射によって所定方向に配向性を有し得る薄膜で、例えば、光反応性化合物の架橋、重合および/または二量化などによる反応生成物を含むことができる。前記光反応性化合物は、例えば、少なくとも1つの光反応性官能基と少なくとも1つの架橋官能基とを有することができる。例えば、前記光反応性化合物は、光二量化化合物であってもよい。
【0058】
光反応性官能基は、例えば、下記化学式Dで表されるシンナメート(cinnamate)系官能基、下記化学式Eで表されるカルコン(chalcone)系官能基、または下記化学式Fで表されるクマリン(coumarin)系官能基などであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0062】
前記化学式D〜Fにおいて、
R
1は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1〜C3アルキル基、置換もしくは非置換のC1〜C3アルコキシ基またはシアノ基であり、
R
2は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、または置換もしくは非置換のシクロヘキシル基であってもよい。
【0063】
第1光配向膜120は、後述する第1液晶層130の液晶にプレチルト角(pretilt angle)を付与して所定方向に配向可能にする。例えば、第1光配向膜120の光反応性化合物の反応生成物は、偏光フィルム110の表面に対して所定方向に配向しているとよく、前記光反応性化合物の反応生成物の配向方向に応じて第1液晶層130の液晶が配向できる。ここで、所定方向は、偏光フィルム110の表面に対して0度超過であってもよいし、例えば、0度超過〜180度未満であってもよい。例えば、偏光紫外線を照射して配向性を付与する時、前記所定方向は、照射される偏光方向と実質的に平行な方向、または実質的に垂直な方向であってもよい。
【0064】
第1光配向膜120は、偏光フィルム110の真上にコーティングされて形成され得、これによって、偏光フィルム110と第1光配向膜120は、粘着剤または接着剤の介在なしに互いに密着できる。
【0065】
第1光配向膜120は、例えば、偏光フィルム110の一面に光反応性化合物および溶媒を含む光配向膜用溶液をコーティングし乾燥することによって形成できる。
【0066】
溶媒は、光反応性化合物を溶解できるものから選択されてもよいし、例えば、トルエン(toluene)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、シクロペンタノン(cyclopentanone)、n−ブチルアセテート(n−butyl acetate)、またはプロピレングリコールメチルエーテル(propylene glycol methyl ether)が挙げられ、これらの中から選択された2種以上の混合溶媒を使用してもよい。その他にも、各成分の種類に応じてこれらを効果的に溶解して基板上に塗布可能な任意の溶媒を使用することができる。
【0067】
この時、第1光配向膜120のコーティング性は、偏光フィルム110と光配向膜用溶液の相互作用(interaction)の程度に応じて決定可能であり、具体的には、偏光フィルム110に含まれているポリオレフィン71と光配向膜用溶液に含まれている溶媒の相互作用の程度に応じて決定可能である。
【0068】
ポリオレフィン71と光配向膜用溶液に含まれている溶媒の相互作用は、溶解度パラメータ(solubility parameter)で表される。溶解度パラメータは、化合物間の相互作用の程度を示す数値で、化合物間の溶解度パラメータの差が少ないほど相互作用が大きいことを意味し、化合物間の溶解度パラメータの差が大きいほど相互作用が少ないことを意味する。
【0069】
溶解度パラメータは、例えば、ハンセン溶解度パラメータ(Hansen solubility parameter)で表される。ハンセン溶解度パラメータは、化合物間の分散力(dispersion)、極性(polarity)および水素結合(hydrogen bonding)を考慮して相互作用の程度を示すことができる。
【0070】
一例として、ポリオレフィン71と光配向膜用溶液に含まれている溶媒は、下記関係式1〜3の溶解度パラメータを満足することができる。
【0071】
[関係式1]
0.9≦│H
D(P)−H
D(S)│≦1.7
[関係式2]
1.9≦│H
P(P)−H
P(S)│≦4.1
[関係式3]
4.9≦│H
H(P)−H
H(S)│≦10.8
前記関係式1〜3において、
H
D(P)は、ポリオレフィンの分散力に対するハンセン溶解度パラメータであり、
H
D(S)は、溶媒の分散力に対するハンセン溶解度パラメータであり、
H
P(P)は、ポリオレフィンの極性に対するハンセン溶解度パラメータであり、
H
P(S)は、溶媒の極性に対するハンセン溶解度パラメータであり、
H
H(P)は、ポリオレフィンの水素結合に対するハンセン溶解度パラメータであり、
H
H(S)は、溶媒の水素結合に対するハンセン溶解度パラメータである。
【0072】
前記関係式1〜3の溶解度パラメータを満足することによって、ディウェッティング(dewetting)なく偏光フィルム110上に第1光配向膜用溶液が良好にコーティングされ得、これによって、偏光フィルム110と第1光配向膜120とが互いに密着できる。
【0073】
一例として、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含むことができ、溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルとトルエンとの混合溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルとシクロヘキサノンとの混合溶媒のうちのいずれか1つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0074】
第1光配向膜120は、約500nm以下の厚さを有することができ、前記範囲内で、例えば、約5nm〜300nmの厚さを有することができ、前記範囲内で約10nm〜200nmの厚さを有することができる。
【0075】
第1液晶層130は、少なくとも1種の液晶を含むことができる。
【0076】
前記液晶は、一方向に延びた鋼体棒(rigid−rod)形状または平らなディスク形状であってもよいし、例えば、モノマー、オリゴマーおよび/または重合体であってもよい。前記液晶は、例えば、正または負の複屈折値を有することができる。前記液晶は、光軸に沿って一方向に配向できる。
【0077】
前記液晶は、反応性メソゲン液晶(reactive mesogenic liquid crystal)であってもよいし、例えば、1つ以上の反応性架橋基を有することができる。前記反応性メソゲン液晶は、例えば、1つ以上の反応性架橋基を有する棒状の芳香族誘導体、プロピレングリコール1−メチル、プロピレングリコール2−アセテート、およびP1−A1−(Z1−A2)n−P2で表される化合物(ここで、P1およびP2のうちの少なくとも1つは、アクリレート(acrylate)、メタクリレート(methacrylate)、ビニル(vinyl)、ビニルオキシ(vinyloxy)、エポキシ(epoxy)、またはこれらの組み合わせを含んでもよく、A1とA2は、それぞれ独立に1,4−フェニレン(1,4−phenylene)、ナフタレン(naphthalene)−2,6−ジイル(diyl)基、またはこれらの組み合わせを含んでもよく、Z1は、単一結合、−COO−、−OCO−、またはこれらの組み合わせを含んでもよく、nは、0、1または2であってもよい)のうちの少なくとも1つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0078】
一例として、第1液晶層130は、位相遅延層であってもよい。
【0079】
位相遅延は、面内位相差(in−plane retardation、R
e)で示すことができ、面内位相差(R
e)は、R
e=(n
x−n
y)dで表される。ここで、n
xは、第1液晶層130の面内屈折率が最も大きい方向(以下、「遅軸(slow axis)」という)における屈折率であり、n
yは、第1液晶層130の面内屈折率が最も小さい方向(以下、「進軸(fast axis)」という)における屈折率であり、dは、第1液晶層130の厚さである。
【0080】
第1液晶層130の遅軸および/または進軸における屈折率および/または厚さを変化させて、所定範囲の面内位相差を有するように調節することができる。一例によれば、550nmの波長(以下、「基準波長」という)に対する第1液晶層130の面内位相差(R
e)は、約110nm〜160nmであってもよく、例えば、λ/4プレートであってもよい。この場合、第1液晶層130は、偏光フィルム110を通過した光を円偏光させて位相差を発生させることができ、光の反射および/または吸収に影響を与えることができる。
【0081】
一方、位相差は、面内位相差(R
e)のほか、厚さ方向位相差(R
th)がある。厚さ方向位相差(R
th)は、第1液晶層130の厚さ方向に発生する位相差で、第1液晶層130の厚さ方向位相差(R
th)は、R
th={[(n
x+n
y)/2]−n
z}dで表される。ここで、n
xは、第1液晶層130の遅軸における屈折率であり、n
yは、第1液晶層130の進軸における屈折率であり、n
zは、n
xおよびn
yに垂直な方向における屈折率である。一例として、基準波長に対する第1液晶層130の厚さ方向位相差(R
th)は、約−250nm〜250nmであってもよい。
【0082】
第1液晶層130は、異方性液晶層であってもよく、正または負の複屈折値を有することができる。
【0083】
第1液晶層130は、例えば、下記関係式4〜6のうちのいずれか1つを満足する屈折率を有することができる。
【0084】
[関係式4]
n
x>n
y=n
z
[関係式5]
n
x<n
y=n
z
[関係式6]
n
x>n
z>n
y
前記関係式4〜6において、n
xは、第1液晶層130の遅軸における屈折率であり、n
yは、第1液晶層130の進軸における屈折率であり、n
zは、n
xおよびn
yに垂直方向の屈折率である。
【0085】
一例として、第1液晶層130は、偏光フィルム110の保護層であってもよい。
【0086】
第1液晶層130は、偏光フィルム110の表面を保護すると共に、例えば、高温高湿環境において偏光フィルム110に含まれている二色性染料72が他の層に移動(migration)するのを防止することができる。これによって、高温高湿環境において光学フィルムの光学的特性が劣化するのを防止することができる。
【0087】
第1液晶層130は、第1光配向膜120上にコーティングされるとよい。
【0088】
第1液晶層130は、約10μm以下の厚さを有することができる。前記範囲内で約1μm〜10μmの厚さを有することができ、前記範囲内で約1μm〜5μmの厚さを有することができる。
【0089】
光学フィルム100は、表示装置の一側または両側に備えられてもよいし、特に、表示装置の画面部側に配置され、外部から流入する光(以下、「外光」という)が反射するのを防止することができる。したがって、外光反射による視認性の低下を防止することができる。
【0090】
図3は、光学フィルムの外光反射防止原理を示す概略図である。
【0091】
図3を参照すれば、入射する非偏光光(incident unpolarized light)は、偏光フィルム110を通過しながら、2つの偏光直交成分のうちの1つの偏光直交成分、つまり、第1偏光直交成分のみが透過し、偏光された光は、第1液晶層130を通過しながら円偏光に変化し得る。前記円偏光された光は、基板、電極などを含む表示パネル50で反射しながら円偏光方向が変化し、前記円偏光された光が第1液晶層130を再び通過しながら、2つの偏光直交成分のうちの他の1つの偏光直交成分、つまり、第2偏光直交成分のみが透過できる。前記第2偏光直交成分は、偏光フィルム110を通過できず外部に光が放出されないので、外光反射防止効果を有することができる。
【0092】
上述のように、偏光フィルム110、第1光配向膜120、および第1液晶層130は、コーティングによって互いに密着しており、これによって、別途の粘着剤または接着剤なしに一体型構造を有することができる。これによって、光学フィルム100の厚さを低減することができ、光学フィルム100は、例えば、約50μm以下の厚さを有することができ、前記範囲内で、例えば、約35μm以下の厚さを有することができる。例えば、光学フィルム100は、約10〜35μmの厚さを有することができる。
【0093】
このように薄い厚さを有することによって、フォルダブル(foldable)表示装置またはベンダブル(bendable)表示装置のようなフレキシブル表示装置に効果的に適用可能である。例えば、光学フィルム100は、曲率半径約10mm以下の屈曲性を有するフレキシブルフィルムであってもよい。ここで、光学フィルム100が曲率半径約10mm以下の屈曲性を有するとは、光学フィルム100を曲率半径約10mm以下となるように折り畳んで固定し、常温で240時間放置する静的(static)屈曲テストを行った後、広げて折り畳まれた部分の変化が実質的にないことをいう。例えば、光学フィルム100は、曲率半径約9mm以下、約8mm以下、約7mm以下、約6mm以下、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、または約1mm以下の屈曲性を有することができる。例えば、光学フィルム100は、曲率半径約1nm〜10mm、約1nm〜9mm、約1nm〜8mm、約1nm〜7mm、約1nm〜6mm、約1nm〜5mm、約1nm〜4mm、約1nm〜3mm、約1nm〜2mmの屈曲性を有することができる。以下、他の実施形態に係る光学フィルムを説明する。
【0094】
図4は、他の実施形態に係る光学フィルムの概略的な断面図である。
【0095】
図4を参照すれば、本実施形態に係る光学フィルム200は、上述した実施形態と同様に、偏光フィルム110と、第1光配向膜120と、第1液晶層130とを含む。
【0096】
しかし、本実施形態に係る光学フィルム200は、上述した実施形態とは異なり、補助層140をさらに含む。図面では、説明の便宜のために、偏光フィルム110の一面に補助層140が位置していることを示したが、これに限定されず、第1液晶層130の一面に補助層140が位置していてもよい。
【0097】
一例として、補助層140は、位相遅延層として使用された第1液晶層130と組み合わせて補償機能を強化させることができる。補助層140は、例えば、等方性液晶層を含むことができる。補助層140は、例えば、垂直配向性液晶を含むことができる。
【0098】
例えば、補助層140は、下記関係式7を満足する屈折率を有することができる。
【0100】
前記関係式7において、n
xは、補助層140の遅軸における屈折率であり、n
yは、補助層140の進軸における屈折率であり、n
zは、n
xおよびn
yに垂直な方向の屈折率である。
【0101】
例えば、補助層140の面内位相差は、0nm≦R
0≦1nmであってもよく、前記範囲内で、例えば、0nm≦R
0≦0.5nmであってもよく、実質的に0であってもよい。
【0102】
一例として、補助層140は、保護層であってもよい。補助層140は、偏光フィルム110の表面を保護すると共に、例えば、高温高湿環境において偏光フィルム110に含まれている二色性染料72が他の層に移動するのを防止することができる。
【0103】
補助層140は、偏光フィルム110または第1液晶層130上にコーティングされるとよい。
【0104】
以下、さらに他の実施形態に係る光学フィルムを説明する。
【0105】
図5は、さらに他の実施形態に係る光学フィルムの概略的な断面図である。
【0106】
図5を参照すれば、本実施形態に係る光学フィルム300は、上述した実施形態と同様に、偏光フィルム110と、第1光配向膜120と、第1液晶層130とを含む。
【0107】
しかし、本実施形態に係る光学フィルム300は、上述した実施形態とは異なり、第2光配向膜150と、第2液晶層160とをさらに含む。
【0108】
第2光配向膜150は、光照射によって所定方向に配向性を有し得る薄膜で、例えば、光反応性化合物の架橋、重合および/または二量化などによる反応生成物を含むことができる。前記光反応性化合物は、例えば、少なくとも1つの光反応性官能基と少なくとも1つの架橋官能基とを有することができる。例えば、前記光反応性化合物は、光二量化化合物であってもよい。
【0109】
光反応性官能基は、例えば、下記化学式Dで表されるシンナメート系官能基、下記化学式Eで表されるカルコン系官能基、または下記化学式Fで表されるクマリン系官能基などであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0113】
前記化学式D〜Fにおいて、
R
1は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC1〜C3アルキル基、置換もしくは非置換のC1〜C3アルコキシ基またはシアノ基であり、
R
2は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、または置換もしくは非置換のシクロヘキシル基であってもよい。
【0114】
第2光配向膜150は、後述する第2液晶層160の液晶にプレチルト角を付与して所定方向に配向可能にする。
【0115】
第2光配向膜150は、第1液晶層130の真上にコーティングされて形成され得、これによって、第1液晶層130と第2光配向膜150は、粘着剤または接着剤の介在なしに互いに密着できる。
【0116】
第2光配向膜150は、例えば、第1液晶層130の一面に光反応性化合物および溶媒を含む光配向膜用溶液をコーティングし乾燥することによって形成できる。
【0117】
溶媒は、光反応性化合物を溶解できるものから選択されてもよいし、例えば、トルエン(toluene)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、シクロペンタノン(cyclopentanone)、n−ブチルアセテート(n−butyl acetate)、またはプロピレングリコールメチルエーテル(propylene glycol methyl ether)が挙げられ、これらの中から選択された2種以上の混合溶媒を使用してもよい。その他にも、各成分の種類に応じてこれらを効果的に溶解して基板上に塗布可能な任意の溶媒を使用することができる。
【0118】
第2光配向膜150は、後述する第2液晶層160の液晶にプレチルト角(pretilt angle)を付与して所定方向に配向可能にする。例えば、第2光配向膜150の光反応性化合物の反応生成物は、第1液晶層130の表面に対して所定方向に配向しているとよく、前記光反応性化合物の反応生成物の配向方向に応じて第2液晶層160の液晶が配向できる。ここで、所定方向は、第1液晶層130の表面に対して0度超過であってもよいし、例えば、0度超過〜180度未満であってもよい。例えば、偏光紫外線を照射して配向性を付与する時、前記所定方向は、照射される偏光方向と実質的に平行な方向、または実質的に垂直な方向であってもよい。
【0119】
第2光配向膜150は、約500nm以下の厚さを有することができ、前記範囲内で、例えば、約5nm〜300nmの厚さを有することができ、前記範囲内で約10nm〜200nmの厚さを有することができる。
【0120】
第2液晶層160は、少なくとも1種の液晶を含むことができる。
【0121】
前記液晶は、一方向に延びた鋼体棒形状または平らなディスク形状であってもよいし、例えば、モノマー、オリゴマー、および/または重合体であってもよい。前記液晶は、例えば、正または負の複屈折値を有することができる。前記液晶は、光軸に沿って一方向に配向できる。
【0122】
前記液晶は、反応性メソゲン液晶であってもよいし、例えば、1つ以上の反応性架橋基を有することができる。前記反応性メソゲン液晶は、例えば、1つ以上の反応性架橋基を有する棒状の芳香族誘導体、プロピレングリコール1−メチル、プロピレングリコール2−アセテート、およびP1−A1−(Z1−A2)n−P2で表される化合物(ここで、P1およびP2のうちの少なくとも1つは、アクリレート(acrylate)、メタクリレート(methacrylate)、ビニル(vinyl)、ビニルオキシ(vinyloxy)、エポキシ(epoxy)、またはこれらの組み合わせを含んでもよく、A1とA2は、それぞれ独立に1,4−フェニレン(1,4−phenylene)、ナフタレン(naphthalene)−2,6−ジイル(diyl)基、またはこれらの組み合わせを含んでもよく、Z1は、単一結合、−COO−、−OCO−、またはこれらの組み合わせを含んでもよく、nは、0、1または2であってもよい)のうちの少なくとも1つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0123】
一例として、第2液晶層160は、位相遅延層であってもよい。
【0124】
一例として、第1液晶層130と第2液晶層160は、それぞれ位相遅延層であってもよい。
【0125】
一例として、第1液晶層130と第2液晶層160は、互いに異なる位相遅延を有することができる。例えば、第1液晶層130および第2液晶層160のうちのいずれか1つは、550nmの波長に対する面内位相差が約230nm〜300nmであってもよく、第1液晶層130および第2液晶層160のうちの他の1つは、550nmの波長に対する面内位相差が約110nm〜160nmであってもよい。例えば、第1液晶層130および第2液晶層160のうちのいずれか1つは、λ/2位相遅延層であってもよく、第1液晶層130および第2液晶層160のうちの他の1つは、λ/4位相遅延層であってもよい。
【0126】
第1液晶層130と第2液晶層160は、それぞれ異方性液晶層であってもよく、それぞれ独立に正または負の複屈折値を有することができる。
【0127】
第1液晶層130と第2液晶層160は、それぞれ独立に、例えば、下記関係式4〜6のうちのいずれか1つを満足する屈折率を有することができる。
【0128】
[関係式4]
n
x>n
y=n
z
[関係式5]
n
x<n
y=n
z
[関係式6]
n
x>n
z>n
y
【0129】
前記関係式4〜6において、n
xは、第1液晶層130および第2液晶層160の遅軸における屈折率であり、n
yは、第1液晶層130および第2液晶層160の進軸における屈折率であり、n
zは、n
xおよびn
yに垂直方向の屈折率である。
【0130】
第2液晶層160は、第2光配向膜150上にコーティングされるとよい。
【0131】
第2液晶層160は、約10μm以下の厚さを有することができる。前記範囲内で約1μm〜10μmの厚さを有することができる。
【0132】
本実施形態に係る光学フィルム300は、偏光フィルム110、第1光配向膜120、第1液晶層130、第2光配向膜150、および第2液晶層160がコーティングによって互いに密着しており、これによって、別途の粘着剤または接着剤なしに一体型構造を有することができる。
【0133】
以下、さらに他の実施形態に係る光学フィルムを説明する。
【0134】
図6は、さらに他の実施形態に係る光学フィルムの概略的な断面図である。
【0135】
図6を参照すれば、本実施形態に係る光学フィルム400は、上述した実施形態と同様に、偏光フィルム110と、第1光配向膜120と、第1液晶層130と、第2光配向膜150と、第2液晶層160とを含む。
【0136】
しかし、本実施形態に係る光学フィルム400は、上述した実施形態とは異なり、補助層140をさらに含む。図面では、説明の便宜のために、偏光フィルム110の一面に補助層140が位置していることを示したが、これに限定されず、第2液晶層160の一面に補助層140が位置していてもよい。
【0137】
一例として、補助層140は、位相遅延層として使用された第1液晶層130および第2液晶層160と組み合わせて補償機能を強化させることができる。補助層140は、例えば、等方性液晶層を含むことができる。補助層140は、例えば、垂直配向性液晶を含むことができる。
【0138】
例えば、補助層140は、下記関係式7を満足する屈折率を有することができる。
【0140】
前記関係式7において、n
xは、補助層140の遅軸における屈折率であり、n
yは、補助層140の進軸における屈折率であり、n
zは、n
xおよびn
yに垂直な方向の屈折率である。
【0141】
例えば、補助層140の面内位相差は、0nm≦R
0≦1nmであってもよく、前記範囲内で、例えば、0nm≦R
0≦0.5nmであってもよく、実質的に0であってもよい。
【0142】
一例として、補助層140は、保護層であってもよい。補助層140は、偏光フィルム110の表面を保護すると共に、例えば、高温高湿のような環境において偏光フィルム110に含まれている二色性染料72が他の層に移動するのを防止することができる。
【0143】
補助層140は、偏光フィルム110または第2液晶層160上にコーティングされるとよい。
【0144】
以下、上述した光学フィルムの一実施形態に係る製造方法について説明する。
【0145】
一実施形態に係る光学フィルムの製造方法は、偏光フィルム110を準備する段階と、第1光配向膜120を形成する段階と、第1液晶層130を形成する段階とを含む。
【0146】
偏光フィルム110を準備する段階は、ポリオレフィン71と二色性染料72とを含む組成物を溶融混合する段階と、前記溶融混合物をモールドに入れて加圧してシートを製造する段階と、前記シートを一軸延伸する段階とを含むことができる。
【0147】
ポリオレフィン71と二色性染料72は、それぞれ粉末(powder)のような固体形態で含まれてもよいし、ポリオレフィン71の融点(melting point、Tm)以上の温度で溶融混合し、延伸して、偏光フィルム110に製造できる。
【0148】
前記溶融混合する段階は、前記組成物を、例えば、約300℃以下、具体的には約130〜300℃で溶融混合することができる。前記シートを製造する段階は、前記モールドに溶融混合物を入れて高圧プレス機で加圧するか、またはT−ダイ(T−die)を通してチルロール(chill roll)に吐出して形成することができる。前記一軸延伸する段階は、約25〜200℃の温度で、約400%〜約1000%の延伸率で延伸することができる。ここで、延伸率とは、前記シートの延伸前の長さと延伸後の長さの比率をいうもので、一軸延伸後にシートの伸びた程度を意味する。
【0149】
第1光配向膜120を形成する段階は、光反応性化合物および溶媒を含む溶液を準備する段階と、偏光フィルム110の一面に前記溶液を塗布する段階と、乾燥する段階と、光照射する段階とを含む。
【0150】
前記光反応性化合物は、例えば、少なくとも1つの光反応性官能基と少なくとも1つの架橋官能基とを有することができる。例えば、前記光反応性化合物は、光二量化化合物であってもよい。例えば、前記光反応性化合物は、シンナモイル基を有する光二量化化合物であってもよい。
【0151】
前記溶媒は、上述のように、偏光フィルム110の一面に密着してコーティングできる溶媒の中から選択されてもよいし、一例として、上述した関係式1〜3の溶解度パラメータを満足する溶媒の中から選択されてもよい。
【0152】
一例として、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含むことができ、溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルとトルエンとの混合溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルとシクロヘキサノンとの混合溶媒のうちのいずれか1つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0153】
偏光フィルム110の一面に前記溶液を塗布する段階は、例えば、スピンコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、インクジェットコーティングなどであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0154】
前記乾燥する段階は、約100℃以下で行われてもよいし、例えば、約25〜100℃で行われてもよい。
【0155】
前記光照射は、例えば、紫外線照射であってもよいし、例えば、偏光紫外線照射であってもよいが、これに限定されるものではない。例えば、偏光紫外線を照射して第1光配向膜120に配向性を付与する時、前記光反応性化合物の反応生成物は、照射される偏光方向と実質的に平行な方向、または実質的に垂直な方向に配向できる。前記第1液晶層130を形成する段階は、第1光配向膜120上に液晶と溶媒とを含む液晶溶液を塗布する段階と、液晶溶液を乾燥する段階と、硬化する段階とを含むことができる。
【0156】
前記液晶溶液を塗布する段階は、例えば、スピンコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、インクジェットコーティングなどであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0157】
前記液晶溶液を乾燥する段階は、約100℃以下で行われてもよいし、例えば、約25〜100℃で行われてもよい。
【0158】
前記硬化する段階は、光硬化および/または熱硬化であってもよいし、例えば、UV照射であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0159】
上述した実施形態により、補助層140を形成する段階をさらに含むことができる。
【0160】
補助層140は、偏光フィルム110または第1液晶層130上に液晶と溶媒とを含む液晶溶液を塗布する段階と、液晶溶液を乾燥する段階と、硬化する段階とを含むことができる。
【0161】
前記液晶溶液を塗布する段階は、例えば、スピンコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、インクジェットコーティングなどであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0162】
前記液晶溶液を乾燥する段階は、約100℃以下で行われてもよいし、例えば、約25〜100℃で行われてもよい。
【0163】
前記硬化する段階は、光硬化および/または熱硬化であってもよいし、例えば、UV照射であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0164】
上述した実施形態により、第2光配向膜150および第2液晶層160を形成する段階をさらに含むことができる。第2光配向膜150および第2液晶層160を形成する段階は、第1光配向膜120および第1液晶層130を形成する段階と同じであり得る。
【0165】
上述した実施形態により、第2光配向膜150、第2液晶層160、および補助層140を形成する段階をさらに含むことができる。
【0166】
光学フィルム100、200、300、400は、多様な表示装置に適用可能である。特に、上述のように、光学フィルム100、200、300、400は、薄い厚さを有することによって、フォルダブル(foldable)表示装置またはベンダブル(bendable)表示装置のようなフレキシブル表示装置に効果的に適用可能である。
【0167】
一実施形態に係る表示装置は、表示パネルと、表示パネルの一面に位置する光学フィルムとを含む。表示パネルは、液晶表示パネルまたは有機発光表示パネルであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0168】
以下、表示装置の一例として有機発光表示装置について説明する。
【0169】
図7は、一実施形態に係る有機発光表示装置を概略的に示す断面図である。
【0170】
図7を参照すれば、一実施形態に係る有機発光表示装置は、有機発光パネル400と、有機発光パネル400の一面に位置する光学フィルム100とを含む。
【0171】
有機発光パネル400は、ベース基板410と、下部電極420と、有機発光層430と、上部電極440と、封止基板450とを含むことができる。
【0172】
ベース基板410は、ガラスまたはプラスチックで作られるとよい。
【0173】
下部電極420および上部電極440のうちの1つはアノード(anode)であり、他の1つはカソード(cathode)であってもよい。アノードは、正孔(hole)が注入される電極で、仕事関数(work function)が高く、発光した光が外部に出ることが可能な透明導電物質で作られ、例えば、ITOまたはIZOであってもよい。カソードは、電子(electrode)が注入される電極で、仕事関数が低く、有機物質に影響を与えない導電物質で作られ、例えば、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、およびバリウム(Ba)から選択されてもよい。
【0174】
有機発光層430は、下部電極420および上部電極440に電圧が印加された時に光を出すことが可能な有機物質を含む。
【0175】
下部電極420と有機発光層430との間、および上部電極440と有機発光層430との間には、付帯層(図示せず)をさらに含むことができる。付帯層は、電子と正孔のバランスを取るための正孔伝達層(hole transporting layer)、正孔注入層(hole injecting layer)、電子注入層(electron injecting layer)、および電子伝達層(electron transporting layer)を含むことができる。
【0176】
封止基板450は、ガラス、金属、または高分子で作られるとよいし、下部電極420、有機発光層430、および上部電極440を封止して、外部から水分および/または酸素が流入するのを防止することができる。
【0177】
光学フィルム100は、光の出る側に配置されてもよい。例えば、ベース基板410側に光の出る背面発光(bottom emission)構造の場合、ベース基板410の外側に配置されてもよく、封止基板450側に光の出る前面発光(top emission)構造の場合、封止基板450の外側に配置されてもよい。
【0178】
光学フィルム100は、上述のように、偏光フィルム110、第1光配向膜120、および第1液晶層130がコーティングによって互いに密着した一体型構造であり、偏光フィルム110を通過した光が有機発光パネル400の電極などのような金属によって反射して表示装置の外側に出るのを防止し、外部から流入する光による視認性の低下を防止することができる。したがって、有機発光表示装置の表示特性を改善することができる。
【0179】
ここでは、説明の便宜上、光学フィルム100を示したが、上述した光学フィルム200、300、400も同様に適用可能である。
【0180】
以下、表示装置の一例として液晶表示装置について説明する。
【0181】
図8は、一実施形態に係る液晶表示装置を概略的に示す断面図である。
【0182】
図8を参照すれば、一実施形態に係る液晶表示装置は、液晶表示パネル500と、液晶表示パネル500の一面または両面に位置する光学フィルム100とを含む。
【0183】
液晶表示パネル500は、ツイストネマチック(twist nematic、TN)モード、垂直配向(patterned vertical alignment、PVA)モード、平面整列スイッチング(in plane switching、IPS)モード、OCB(optically compensated bend)モードなどであってもよい。
【0184】
液晶表示パネル500は、第1表示板510と、第2表示板520と、第1表示板510と第2表示板520との間に介在している液晶層530とを含む。
【0185】
第1表示板510は、例えば、基板(図示せず)上に形成されている薄膜トランジスタ(図示せず)と、これに連結されている第1電場生成電極(図示せず)とを含むことができ、第2表示板520は、例えば、基板(図示せず)上に形成されているカラーフィルタ(図示せず)と、第2電場生成電極(図示せず)とを含むことができる。しかし、これに限定されず、カラーフィルタが第1表示板510に含まれてもよく、第1電場生成電極と第2電場生成電極が第1表示板510に共に位置していてもよい。
【0186】
液晶層530は、複数の液晶分子を含むことができる。液晶分子は、正または負の誘電率異方性を有することができる。液晶分子が正の誘電率異方性を有する場合、電場がない状態でその長軸が第1表示板510および第2表示板520の表面に対してほぼ平行をなすように配向し、電場が印加された状態でその長軸が第1表示板510および第2表示板520の表面に対してほぼ垂直をなすように配向してもよい。これとは逆に、液晶分子が負の誘電率異方性を有する場合、電場がない状態でその長軸が第1表示板510および第2表示板520の表面に対してほぼ垂直に配向し、電場が印加された状態でその長軸が第1表示板510および第2表示板520の表面に対してほぼ平行に配向してもよい。
【0187】
光学フィルム100は、液晶表示パネル500の外側に位置し、図面では液晶表示パネル500の下部および上部にそれぞれ形成されたものとして示したが、これに限定されず、液晶表示パネル500の下部および上部のうちのいずれか1つにのみ形成されてもよい。
【0188】
光学フィルム100は、上述のように、偏光フィルム110、第1光配向膜120、および第1液晶層130がコーティングによって互いに密着した一体型構造であり、上述した通りである。
【0189】
ここでは、説明の便宜上、光学フィルム100を示したが、上述した光学フィルム200、300、400も同様に適用可能である。
【0190】
以下、実施例を通じて、上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するわけではない。
【0191】
[偏光フィルムの製造]
[製造例1]
ポリプロピレン(HU300、サムスントータル社)100重量部に対して、下記化学式A、BおよびCで表される二色性染料をそれぞれ0.5、0.2および0.3重量部を混合した偏光フィルム用組成物を準備する。
【0195】
前記偏光フィルム用組成物を、約250℃で、DSM社のMicro−compounderを用いて溶融混合する。前記溶融混合物をシート形状のモールドに入れた後、高温高圧プレスで加圧して、フィルムを製造する。次に、115℃で、前記フィルムを1000%の倍率で一軸延伸(Instron社の引張試験機使用)して、20umの厚さの偏光フィルムを製造する。
【0196】
偏光フィルムの溶解度パラメータ、接触角および表面エネルギーは、表1の通りである。
【0198】
[比較製造例1]
ポリビニルアルコール(PVA)フィルム(PS60、Kuraray)を30μmに延伸して、延伸したPVAフィルムを準備する。次に、前記延伸したPVAフィルムの両面に、それぞれ40μmの厚さのTACフィルム(Fuji Film社製造)をそれぞれ付着させて、偏光板を製造する。
【0199】
[光配向膜用組成物の準備]
[製造例2〜9と比較製造例2、3]
シンナモイル基を含む光二量化タイプの光配向性重合体(Nissan Chemical Industries,LTD.)3重量%と溶媒97重量%とを混合して、光配向膜用組成物を準備する。
【0200】
製造例2〜9と比較製造例2、3で使用した溶媒の溶解度パラメータは、表2の通りである。
【0202】
[光学フィルムの製造]
[実施例1]
製造例1による偏光フィルムの一面に、製造例2による光配向膜用組成物をバーコーティングで塗布し、70℃で乾燥する。次に、30mW/cm
2の光量で5秒間UV照射して、光配向膜を形成する。次に、光配向膜上に、液晶A(UCL−017、DIC Corporation)を塗布し、70℃で乾燥して液晶層を形成して、光学フィルムを製造する。
【0203】
[実施例2]
液晶Aの代わりに液晶B(RMS03−013C、Merck社)を使用したことを除き、実施例1と同様の方法で光学フィルムを製造する。
【0204】
[実施例3]
製造例2による光配向膜用組成物の代わりに製造例3による光配向膜用組成物を使用したことを除き、実施例1と同様の方法で光学フィルムを製造する。
【0205】
[実施例4]
製造例2による光配向膜用組成物の代わりに製造例3による光配向膜用組成物を使用し、液晶Aの代わりに液晶B(RMS03−013C、Merck社)を使用したことを除き、実施例1と同様の方法で光学フィルムを製造する。
【0206】
[実施例5]
製造例2による光配向膜用組成物の代わりに製造例4による光配向膜用組成物を使用し、100℃で乾燥したことを除き、実施例1と同様の方法で光学フィルムを製造する。
【0207】
[実施例6]
製造例1による偏光フィルムの一面に、製造例2による光配向膜用組成物をバーコーティングで塗布し、70℃で乾燥する。次に、30mW/cm
2の光量で5秒間UV照射して、下部光配向膜を形成する。次に、下部光配向膜上に液晶A(UCL−017、DIC Corporation)を塗布し、70℃で乾燥して、下部液晶層を形成する。次に、下部液晶層上に下部光配向膜と同様の方式で上部光配向膜を塗布し、液晶溶液(UCL−017、DIC社)を塗布し、70℃で乾燥して上部液晶層を形成して、光学フィルムを製造する。
【0208】
[実施例7]
製造例1による偏光フィルムの他の一面に液晶C(UCL−018、DIC社)を塗布し、70℃で乾燥して補助層をさらに形成したことを除き、実施例1と同様の方法で光学フィルムを製造する。
【0209】
[実施例8]
製造例1による偏光フィルムの他の一面に液晶C(UCL−018、DIC社)を塗布し、70℃で乾燥して補助層をさらに形成したことを除き、実施例6と同様の方法で光学フィルムを製造する。
【0210】
[比較例1]
比較製造例1による偏光板とポリカーボネートλ/4位相遅延層(WRS、Teijin)とを粘着剤(PS−47、Soken社)を用いて結合して、光学フィルムを製造する。
【0211】
[比較例2]
製造例2による光配向膜用組成物の代わりに比較製造例2による光配向膜用組成物を使用し、100℃で乾燥したことを除き、実施例1と同様の方法で光学フィルムを製造する。
【0212】
[比較例3]
製造例2による光配向膜用組成物の代わりに比較製造例3による光配向膜用組成物を使用し、110℃で乾燥したことを除き、実施例1と同様の方法で光学フィルムを製造する。
【0213】
[評価]
[評価1]
製造例1で得られた偏光フィルムと、製造例2〜9と比較製造例2、3で使用した溶媒の溶解度パラメータの差は、表3の通りである。
【0215】
[評価2:厚さ]
実施例1〜8と比較例1による光学フィルムの厚さを比較する。
【0218】
表4を参照すれば、実施例1〜8による光学フィルムは、約50μm以下の厚さを有し、比較例1による光学フィルムと比較して大きく薄い厚さを有することを確認することができる。
【0219】
[評価3:コーティング性]
実施例1〜8と比較例2、3による光学フィルムにおいて、偏光フィルム上に(下部)光配向膜のコーティング性および光配向膜の配向性の程度を評価する。
【0220】
コーティング性は偏光顕微鏡(Olympus、USA)で評価し、配向性はKOBRA−WPR(Oji Scientific Instruments、Japan)で評価する。
【0223】
表5を参照すれば、実施例1〜8による光学フィルムは、コーティング性および配向性が良好であることを確認することができる。
【0224】
[評価4:屈曲性]
実施例1〜8と比較例1による光学フィルムの屈曲性評価を行う。
【0225】
屈曲テストは、静的(static)屈曲テストで行い、2つのステンレス板の間に、実施例1〜8と比較例1による光学フィルムを曲率半径(r)1mmとなるように折り畳んで固定し、常温で240時間放置した後、広げて折り畳まれた部分のクラックおよびシワ発生の有無から評価する。
【0228】
表6を参照すれば、実施例1〜8による光学フィルムは、曲率半径(r)1mmに折り畳まれた状態で外観変形がなくて、フォルダブルおよび/またはベンダブル表示装置に効果的に適用可能であることを確認することができる。これに対し、比較例1による光学フィルムは、シワおよび/またはクラックが多量発生したことを確認することができる。
【0229】
[評価5:光学特性の安定性]
実施例1による光学フィルムの光学的特性の安定性を評価する。
【0230】
光学フィルムの光学的特性の安定性は、液晶層が偏光フィルムの保護層として役割を果たすことを確認するもので、高温で偏光フィルムの光学的特性の変化程度と比較して光学的特性の安定性を比較する。基準例は、液晶層が形成されていない製造例1による偏光フィルムである。
【0231】
光学的特性の安定性は、光透過度および偏光度を測定した後、前記光学フィルムを85℃で500時間放置した後、光透過度および偏光度を再び測定して、変化の有無から評価する。
【0232】
光透過度は、JASCO社のV−7100 UV/Vis spectrophotometerを用いて評価する。
【0233】
前記測定した光透過度を用いて偏光度(polarizing efficiency、PE)を求める。
【0234】
偏光度は、下記数式1によって求める。
【0235】
[数式1]
PE(%)=[(T
‖−T
⊥)/(T
‖+T
⊥)]
1/2×100
【0236】
前記数式1において、
PEは、偏光度であり、
T
‖は、偏光フィルムの透過軸に平行に入射した光に対する偏光フィルムの光透過度であり、
T
⊥は、偏光フィルムの透過軸に垂直に入射した光に対する偏光フィルムの光透過度である。
【0237】
その結果は、表7〜表10の通りである。
【0242】
表7〜表10を参照すれば、実施例1による光学フィルムは、液晶層が形成されていない偏光フィルム(基準例)と比較して、高温で長時間放置後に光透過度および偏光度の減少程度が大きく低いことが分かる。これは、光学フィルムの液晶層が偏光フィルムの保護層として使用され、偏光フィルムの二色性染料が外部に移動するのを防止することができ、これから光学フィルムの光学的特性の安定性が改善されたものと予想する。
【0243】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。