特許第6808375号(P6808375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808375
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/04 20060101AFI20201221BHJP
   A61J 1/00 20060101ALI20201221BHJP
   A61J 7/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   B65D83/04 D
   A61J1/00 430
   A61J7/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-126847(P2016-126847)
(22)【出願日】2016年6月27日
(65)【公開番号】特開2018-2172(P2018-2172A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】有井 純一
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−000676(JP,A)
【文献】 特開2014−151917(JP,A)
【文献】 特開2003−237836(JP,A)
【文献】 特開2016−013840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/04
A61J 1/00
A61J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物を内側に収容した突出部と前記突出部の周囲に設けられたフランジ部を有するプラスチック成形体に、破断可能な蓋材シートが貼り付けられて前記突出部の開口部が閉鎖されたPTPシートを取り付ける台紙からなり、前記台紙には、前記PTPシートが取り付けられる側面と、前記側面に折罫線で区切られて連続し前記側面に折り返す覆い片が設けられ、前記覆い片には、付属物を収容する保持片が設けられ、
前記保持片は、前記覆い片の一対の側縁部に折罫線で区切られて一対が設けられ、前記覆い片に前記折罫線で折り返され、前記保持片には各々ポケット用切込線が設けられ、前記付属物は、前記ポケット用切込線に両端部が各々差し込まれて保持され、
前記ポケット用切込線は、前記付属物の差し込み方向に交差する前記付属物の幅よりも長く形成され、前記付属物の前記両端部は、前記ポケット用切込線に各々完全に差し込まれて前記保持片と前記覆い片の間に挟み込まれることを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記覆い片は、前記側面に前記PTPシートの前記突出部を挟んで折り返され、前記覆い片と前記側面との間には、前記突出部の高さより少し大きい幅を有する厚み形成片が設けられている請求項1記載の包装体。
【請求項3】
前記覆い片には、前記側面に係止される係止片が設けられている請求項2記載の包装体
【請求項4】
前記ポケット用切込線の形状は、前記折罫線に向かって凸形となる形状で、中心は前記折罫線の近傍で前記折罫線に対して平行な直線であり、中心の両端部は前記折罫線から離れる方向に略直角に折り曲げられて延出し、さらに略直角に折り曲げられて前記折罫線に対し平行に互いに離れる方向に延出する請求項1記載の包装体。
【請求項5】
前記側面は、前記PTPシートを挟んだ状態で重ねて保持する第1側面と第2側面が設けられ、前記第1側面と前記第2側面には、互いに重ねられた時に前記PTPシートの前記突出部の開口部に対向する透孔が互いに一致して各々設けられ、前記第1側面の前記透孔には前記PTPシートの前記突出部が嵌合されて突出し、前記第2側面の前記透孔は前記PTPシートに収容された収容物が通過して取り出されるものであり、前記覆い片は、前記第1側面または前記第2側面に設けられている請求項1記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PTP(プレススルーパッケージ)シートに台紙を取り付け、PTPシートと、PTPシートに収容された錠剤を服用する時に必要な嚥下補助飲料等の付属物を包装する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤、粉末剤、カプセル剤などの経口投与される医薬品は、水等の嚥下補助飲料と一緒に服用されている。しかし、外出先で嚥下補助飲料が無い時に、服用することができず不便である。近年は、コンビニエンスストアなどの一般小売店で医薬品が販売され、特に、緊急対応の場合、外出先で必要な場合に対応する1回分〜数回分の小容量の医薬品が販売されている。特許文献1には、小容量の医薬品を服用する時に必要な量の水を得ることができるものとして、少容量の医薬品と服用するための水を一体とした、医薬品と水とのセット包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−245982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術の場合、医薬品を収容した医薬品包装体を、水が入れられたボトルに取り付けるものであり、医薬品と水を、1個の包装体でコンパクトに包装するものではない。特許文献1の実施形態5には、水をパウチ等に密封して、医薬品包装体とともに1個の包装用箱に収容することが開示されているが、2重に包装され、かさばるものである。
【0005】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造でコンパクトであり、医薬品等とその付属物を一体に包装することができる包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、医薬品等の収容物を内側に収容した突出部と前記突出部の周囲に設けられたフランジ部を有するプラスチック成形体に、破断可能な蓋材シートが貼り付けられて前記突出部の開口部が閉鎖されたPTPシートを取り付ける台紙からなり、前記台紙には、前記PTPシートが取り付けられる側面と、前記側面に折罫線で区切られて連続し前記側面に折り返す覆い片が設けられ、前記覆い片には、嚥下補助飲料等の付属物を収容する保持片が設けられている包装体である。前記保持片は、前記覆い片の一対の側縁部に折罫線で区切られて一対が設けられ、前記覆い片に前記折罫線で折り返され、前記保持片には各々ポケット用切込線が設けられている。前記付属物は、前記ポケット用切込線に両端部が各々差し込まれて保持され、前記ポケット用切込線は、前記付属物の差し込み方向に交差する前記付属物の幅よりも長く形成され、前記付属物の前記両端部は、前記ポケット用切込線に各々完全に差し込まれて前記保持片と前記覆い片の間に挟み込まれている。前記付属物である嚥下補助飲料等は、平坦な容器に入れられて、前記ポケット用切込線に両端部が差し込まれて収容される。
【0007】
また、前記覆い片は、前記側面に前記PTPシートの前記突出部を挟んで折り返され、前記覆い片と前記側面との間には、前記突出部の高さより少し大きい幅を有する厚み形成片が設けられている。
【0008】
前記覆い片には、前記側面に係止される係止片が設けられている。
【0009】
前記ポケット用切込線の形状は、前記折罫線に向かって凸形となる形状で、中心は前記折罫線の近傍で前記折罫線に対して平行な直線であり、中心の両端部は前記折罫線から離れる方向に略直角に折り曲げられて延出し、さらに略直角に折り曲げられて前記折罫線に対し平行に互いに離れる方向に延出する。
【0010】
また、前記側面は、前記PTPシートを挟んだ状態で重ねて保持する第1側面と第2側面が設けられ、前記第1側面と前記第2側面には、互いに重ねられた時に前記PTPシートの前記突出部の開口部に対向する透孔が互いに一致して各々設けられ、前記第1側面の前記透孔には前記PTPシートの前記突出部が嵌合されて突出し、前記第2側面の前記透孔は前記PTPシートに収容された収容物が通過して取り出されるものであり、前記覆い片は、前記第1側面または前記第2側面に設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装体は、簡単な構造でコンパクトであり、医薬品等と嚥下補助飲料等の付属物を一体に包装することができる。外出先でも嚥下補助飲料等の付属物を、PTPシートに収容された医薬品等とともに使用することができ、好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施形態の包装体の覆い片を開いた状態を示す斜視図である。
図2】この実施形態の包装体の斜視図である。
図3】この実施形態の包装体の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1図3はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の包装体10は、紙製等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された台紙12が設けられている。図3は、台紙12を表面から見た展開図である。台紙12は、第1側面14と第2側面16が、折罫線18を介して設けられている。第1側面14と第2側面16はほぼ同形状であり、折罫線18に交差する方向が少し短い矩形である。
【0014】
第1側面14には、後述するPTPシート48のプラスチック成形体50の突出部50aに対向する円形の透孔20が設けられている。透孔20は正円であり、5個ずつ並べられた列が2列、互いに平行に形成され、合計10個の透孔20が設けられている。10個の透孔20は、第1側面14の中心よりも、折罫線18に交差する一方の側縁部14aに少し近い位置に設けられている。透孔20と折罫線18の間には、短い切断線22が設けられている。切断線22は、折罫線18に沿って設けられ、中心部が折罫線18から離れるように僅かに湾曲されている。切断線22の、両端部と中心の3箇所には、折罫線18と反対側へ延出する短い切断線が連続して交差して設けられている。第1側面14の、折罫線18と反対側の側縁部14bには、外側に突出する小さい突起24が2個設けられている。
【0015】
第2側面16には、折罫線18で第1側面14に折り重ねた時に透孔20に対向する位置に、透孔26が設けられている。透孔26は透孔20と同じ大きさの正円であり、5個に並べられた列が2列、合計10個の透孔26が設けられている。10個の透孔は、第1側面14の側縁部14aに連続する側縁部16aに近い位置に設けられている。
【0016】
第2側面16の折罫線18と反対側の側縁部には、厚み形成片28が折罫線30で区切られて設けられている。厚み形成片28は、折罫線30で第2側面16に対して直角に折り曲げられるものであり、後述するPTPシート48の突出部50aの高さより少し大きい幅に形成されている。折罫線30の途中の2か所には、コの字形の切断線32が設けられている。切断線32は、コの字形の中心の直線部分は折罫線30に対して平行で厚み形成片28に位置し、中心の直線部分の両側にある短い直線部分は折罫線30に対して直角に交差し、開口部は第2側面16に位置している。切断線32の内側部分は、折罫線30を折り曲げた時に第2側面16と面一に折罫線30よりも外側に突出し、切断線32の内側が開口する。
【0017】
厚み形成片28の、折罫線30と反対側の側縁部には、第2側面16に、厚み形成片28の幅を離間して重ねられる覆い片34が折罫線36で区切られて設けられている。覆い片34は、厚み形成片28との連接方向に交差する長さは第2側面16とほぼ同じであり、連接方向の長さは第2側面16より少し小さい矩形である。覆い片34の、折罫線36と反対側の側縁部34aの中心には、係止片38が設けられている。係止片38は、側縁部34aから外側に突出する矩形の突起であり、係止片38の突出方向の長さは、台紙12の後述する第1側面14と第2側面16が折り畳まれた状態で、覆い片34を第1側面14に重ねられた時に、折罫線18の近傍に達するものである。なお、係止片38は第1側面14の切断線22に差し込まれて係止されるものであり、係止片38の突出方向に交差する幅は、切断線22の長手方向の長さよりも少し短く、差し込み可能なものである。
【0018】
覆い片34の、側縁部34aに交差する一対の側縁部には、互いに同形状の保持片40が折罫線42で区切られて各々設けられている。保持片40は、覆い片34に重ねてポケットとなるものであり、折罫線42に対して平行な長さが覆い片34よりも少し短く、折罫線42に対して直角な長さが覆い片34の半分以下の長さの矩形であり、折罫線42と反対側の側縁部の両端部分は直線で面取りされている。保持片40には、後述する嚥下補助飲料54の一部が差し込まれるポケット用切込線44が設けられている。ポケット用切込線44の形状は、折罫線42に向かって凸形となる形状で、中心は折罫線42の近傍で折罫線42に対して平行な直線であり、中心の両端部は折罫線42から離れる方向に直角に折り曲げられて延出し、さらに直角に折り曲げられて折罫線42対して平行に互いに離れる方向に延出し、その先端部は折罫線42側に折り返すように湾曲する曲線となっている。なお、各折罫線には、折りやすくするために破断線が設けられていてもよい。
【0019】
次に、包装体10の包装方法について説明する。包装体10は、収容物である錠剤46が入れられたPTPシート48に取り付けて包装するものである。ここで、PTPシート48について説明する。PTPシート48は、プラスチック成形体50が設けられ、プラスチック成形体50には、収容物である錠剤46を収容する突出部50aと、突出部50aの周縁部のフランジ部50bが設けられている。突出部50aは、5個に並べられた列が2列、合計10個設けられている。プラスチック成形体50のフランジ部50bには、突出部50aの突出方向と反対の面に薄いアルミ製の蓋材シート52が貼り付けられ、突出部50aが閉鎖されている。
【0020】
次に、包装体10の組立方法について説明する。ここでは図3が台紙12の表面を見たものであり、表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。まず、第1側面14の裏面に糊56を塗布する。そして、折罫線18を正折りし、第1側面14の裏面と第2側面16の裏面を糊付けする。次に、第1側面14を第2側面16に対して側縁部14b側から開くようにして、PTPシート48を挿入し、突出部50aを透孔20に嵌合させ、第1側面14の突起24を、切断線32で形成された開口に差し込む。これにより台紙12はPTPシート48を保持した状態となる。なお、PTPシート48の、プラスチック成形体50の突出部50aの裏面には、第2側面16の透孔26が一致する。
【0021】
次に、一対の保持片40を折罫線42で正折りして覆い片34の裏面に重ね、図1に示すように、一対のポケット用切込線44に、嚥下補助飲料54を取り付ける。嚥下補助飲料54は、水や服薬用ゼリーであり、パウチに密閉されている。パウチは、一方向に長い矩形に形成され、長手方向の両端部がポケット用切込線44に各々差し込まれて、保持される。ポケット用切込線44は凸形に形成され、中心の直線の長さは、嚥下補助飲料54の幅よりも少し長く形成され、ポケット用切込線44の両端部は、折罫線42から離れるように折り曲げられて形成されているため、差し込む際に大きく開くことができ、差し込みやすい。
【0022】
覆い片34を、嚥下補助飲料54を取り付けた状態で、折罫線30,36で直角に正折りして、PTPシート48を挟んで固定した第1側面14と第2側面16の、第1側面14側に重ねる。そして覆い片34の係止片38を、第1側面14の切断線22に差し込み係止する。切断線22には、両端部と中心の3箇所に、折罫線18と反対側へ延出する短い切断線が連続して交差して設けられているため、係止片38を差し込む際に第1側面14が変形し、差し込みやすい。また、厚み形成片28は、第2側面16と覆い片34に対して直角に位置し、第2側面16と覆い片34の間隔を、PTPシート48の突出部50aの高さに保っている。また、嚥下補助飲料54が第2側面16と覆い片34の間でつぶされることがない。これでPTPシート48の、台紙12の取り付けが完了し、図2に示すように包装体10により包装される。
【0023】
包装体10から錠剤46を取り出す時は、係止片38を切断線22から引き抜いて係合を解除し、覆い片34を第1側面14と第2側面16から開き、第1側面14の透孔20から突出するPTPシート48の突出部50aを押す。錠剤46がPTPシート48の蓋材シート52を破断し、錠剤46がPTPシート48から出て、第2側面16の透孔26を通過して取り出される。取り出した錠剤46を服用する時は、保持片40から嚥下補助飲料54を外し、嚥下補助飲料54を収容しているパウチの任意の位置を切断して飲む。
【0024】
この実施形態の包装体10によれば、簡単な構造でコンパクトであり、錠剤46と嚥下補助飲料54を一体に包装することができる。包装体10は薄形であり、厚み形成片28を挟んで折り重ねられた第2側面16と覆い片34の間に、PTPシート48と嚥下補助飲料54を収容し、携帯に便利である。どのような場所でも、嚥下補助飲料54を使用して錠剤46を飲むことができ、外出先で飲料水等が無い場合に後回しにして飲み忘れることを防ぎ、決められた日時に服用が可能であり、錠剤46を正しい用法で服用することができる。嚥下補助飲料54を使用した後、新しい嚥下補助飲料54をセットし、残りの錠剤46を飲むときに使用することができ、錠剤46がなくなるまで、使用することができる。また、錠剤46を包装体10で包装して嚥下補助飲料54とともに販売することができ、花粉症等の症状を緊急に抑えるために錠剤46を購入してすぐに服用することもできる。
【0025】
なお、この発明の包装体は、上記実施形態に限定されるものではなく、保持片により収容する付属物は、嚥下補助飲料に限らず、薬剤情報提供文書、同時に飲む他の薬、メモ書き等でも良く、付属物の種類は問わない。収容する保持片台紙の形状や透孔の位置、組立工程、糊の塗付の位置など、適宜変更可能である。保持片は一対が設けられていなくてもよく、例えば1個が設けられ保持片の一部が覆い片に糊付けされてポケットを形成するものでもよい。ポケット用切込線の形状は適宜変更可能であり、直線や、長丸等自由に変更可能である。PTPシートを取り付ける方向は逆でもよく、第2側面の透孔に突出部が差し込まれて取り付けてもよい。
【0026】
また、第1側面14又は第2側面16の裏面に糊や、ホットメルトその他ヒートシール剤を設け、PTPシート48を第1側面14の裏面に重ねて取り付けた後、第1側面14と第2側面16を貼り合わせても良く、第1側面14と第2側面16の貼り合わせは適宜の方法で行えば良い。
【符号の説明】
【0027】
10 包装体
12 台紙
14 第1側面
16 第2側面
20,26 透孔
28 厚み形成片
30,36,42 折罫線
34 覆い片
38 係止片
40 保持片
44 ポケット用切込線
48 PTPシート
50a 突出部
50b フランジ部
50 プラスチック成形体
52 蓋材シート
54 嚥下補助飲料
図1
図2
図3