(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヒートパイプ(13)を伝熱要素とする外気冷却式の第1熱交換体(14)と、水冷式の第2熱交換体(15)と、これら両者を収容する中空箱状のケース本体(16)と、低温の冷却水を第2熱交換体(15)へ供給する送水設備(17)とを備えるヒートパイプ式の熱交換装置であって、
ケース本体(16)の内部は傾斜する仕切板(20)で内気送給室(21)と外気送給室(22)に区分されており、
内気送給室(21)に臨むケース本体(16)に内気入口(23)と内気出口(24)が設けられ、外気送給室(22)に臨むケース本体(16)に、外気入口(25)と外気出口(26)が開口されており、
内気送給室(21)に熱気を送給する第1送風ファン(27)と、外気送給室(22)に外気を送給する第2送風ファン(28)のそれぞれがケース本体(16)に設けられており、
第1熱交換体(14)は傾斜配置されて、ヒートパイプ(13)の吸熱部(13a)が内気送給室(21)に位置し、ヒートパイプ(13)の放熱部(13b)が外気送給室(22)に位置する状態で仕切板(20)と交差しており、
第2熱交換体(15)は、第1熱交換体(14)と内気出口(24)の間に配置されており、
第1熱交換体(14)の傾斜角度が水平面に対して30度以上で60度以下の角度に設定されており、
第2熱交換体(15)が、繰返し反転状に折曲げられた通水パイプ(34)と、通水パイプ(34)の外面に固定される一群の放熱フィン(35)とで四角ブロック状に構成されており、
第2熱交換体(15)は内気送給室(21)の出口領域の底部に配置されて、その通気出口面が内気送給室(21)の底部に開口した内気出口(24)に臨んでおり、
反転状に折曲げられた通水パイプ(34)の屈曲部が、四角ブロック状の第2熱交換体(15)の一方の対向辺部の外に露出され、前記対向辺部のいずれか一方に冷却水入口(48)および冷却水出口(49)が導出されており、
冷却水入口(48)および冷却水出口(49)が、仕切板(20)と内気送給室(21)の底部で挟まれる隅部に臨む状態で第2熱交換体(15)が配置されていることを特徴とするヒートパイプ式の熱交換装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の冷却装置は、冷却ケース内にヒートパイプを斜めに配置するので、冷却装置の高さ寸法が大きくなることを解消できる。また、筐体内に収容した通信機器が発生した熱を、ヒートパイプを介して筺体の外へ放出できる。しかし、冷却装置の外の空気のみでヒートパイプの放熱部の冷却を行うので、外気の温度が高くなった場合の冷却能力に限界があり、冷却対象が比較的小型の電気機器を収容する筐体に限られる。
【0006】
その点、特許文献2の熱交換装置は、外気で冷却される第1熱交換体とは別に、送水設備から送給された冷却水で冷却される第2熱交換体を併用するので、熱交換装置に対する熱負荷が大きい場合でも、問題なくサーバーラック内の空気調和を行える。しかし、特許文献2の熱交換装置では、外気によって冷却される放熱室の内部、つまりヒートパイプの放熱部の側に水冷式の第2熱交換体を配置している。そのため、放熱室に送給された外気を第2熱交換体で冷却したのち、冷却された外気でヒートパイプの放熱部を間接的に冷却するので、熱交換装置とサーバーラックの間を循環する空気を効果的に冷却できない。通常のヒートパイプ式の熱交換装置の例では、熱交換効率(温度効率)は50%程度であるので、例えば、放熱室に送給された外気の温度を第2熱交換体で5〜10℃下げたとしても、サーバーラックに送給される空気の温度低下は、先の低下温度の半分程度にしか下がらず、冷却水の冷熱を有効に利用できない。また、特許文献2の空気調和装置では、個々のサーバーラックの天井壁に熱交換装置、外気ダクト、および排気ダクトを設置する必要があるので、各機器の据付けに多くの手間と時間が掛かり、サーバーシステム用の空気調和装置の全体コストが嵩む。
【0007】
本発明の目的は、全体装置の構造を簡素化しながら、ヒートパイプの熱輸送量を向上して熱交換効率を向上し、さらに、外気温の状況に応じて冷却対象を確実に冷却できるヒートパイプ式の熱交換装置を提供することにあ
る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る熱交換装置は、ヒートパイプ13を伝熱要素とする外気冷却式の第1熱交換体14と、水冷式の第2熱交換体15と、これら両者を収容する中空箱状のケース本体16と、低温の冷却水を第2熱交換体15へ供給する送水設備17を備える。
図1に示すように、ケース本体16の内部は傾斜する仕切板20で内気送給室21と外気送給室22に区分する。内気送給室21に臨むケース本体16に内気入口23と内気出口24が設けられ、外気送給室22に臨むケース本体16に、外気入口25と外気出口26を開口する。内気送給室21に熱気を送給する第1送風ファン27と、外気送給室22に外気を送給する第2送風ファン28のそれぞれをケース本体16に設ける。第1熱交換体14は傾斜配置されて、ヒートパイプ13の吸熱部13aが内気送給室21に位置し、ヒートパイプ13の放熱部13bが外気送給室22に位置する状態で仕切板20と交差している。第2熱交換体15は、第1熱交換体14と内気出口24の間に配置する。第1熱交換体14の傾斜角度は水平面に対して30度以上で60度以下の角度に設定する。
【0009】
第2熱交換体15は、繰返し反転状に折曲げられた通水パイプ34と、通水パイプ34の外面に固定される一群の放熱フィン35とで四角ブロック状に構成する。
図7に示すように、第2熱交換体15は内気送給室21の出口領域の底部に配置されて、その通気出口面が内気送給室21の底部に開口した内気出口24に臨ませてある。
【0010】
反転状に折曲げられた通水パイプ34の屈曲部が、四角ブロック状の第2熱交換体15の一方の対向辺部の外に露出され、対向辺部のいずれか一方に冷却水入口48および冷却水出口49が導出してある。
図9に示すように、冷却水入口48および冷却水出口49が、仕切板20と内気送給室21の底部で挟まれる隅部に臨む状態で第2熱交換体15を配置する。
【0011】
内気送給室21の出口領域の底部に隣接して第2熱交換体15を収容する熱交換室32を設け、熱交換室32の底部に内気出口24を開口する。
図11に示すように、第2熱交換体15を熱交換室32の内部に傾斜配置して、第2熱交換体32の傾斜下端に臨んでドレン水を排出するドレン受33を配置する。
【0012】
図4に示すように、熱交換室32の内部に2個の第2熱交換体15・15をV字状に傾斜配置する。
【0013】
図12に示すように、V字状に傾斜配置した2個の第2熱交換体15・15の傾斜上端側を、ケース本体16に固定したヒンジ50で傾動可能に支持する。2個の第2熱交換体15・15は、傾動下端がV字状に隣接する使用姿勢と、各第2熱交換体15・15が熱交換室32の周囲壁に沿う不使用姿勢の間で傾動できる。外気温が低い状態において、第2熱交換体15・15を不使用姿勢にして、第1熱交換体14のみで内気送給室21に送給される熱気を冷却する。
【0014】
図6に示すように、第2熱交換体15は、内気送給室21の出口領域のうち、第1熱交換体14の通気出口面に隣接して配置する。
【0015】
図2に示すように熱交換装置は、外気温度を検知する外気温度センサー61と、第1送風ファン27、第2送風ファン28および送水設備17の作動状態を制御する制御装置64を備えている。外気温度が設定温度に達したことを外気温度センサー61が検知した状態において、外気温度センサー61からの出力信号に基づき、制御装置64が送水設備17を作動させて冷却水を第2熱交換体15に送給し、第1熱交換体14と第2熱交換体15の両者で内気送給室21に送給される熱気を冷却する。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、外気冷却式の第1熱交換体14と、水冷式の第2熱交換体15と、これらを収容するケース本体16と、低温の冷却水を第2熱交換体15へ供給する送水設備17などで熱交換装置Cを構成した。また、ケース本体16の内部を傾斜する仕切板20で内気送給室21と外気送給室22に区分して、ヒートパイプ13の吸熱部13aが内気送給室21に位置し、ヒートパイプ13の放熱部13bが外気送給室22に位置する状態で、第1熱交換体14を傾斜配置した。さらに、第2熱交換体15は、第1熱交換体14と内気出口24の間に配置した。
【0021】
上記のように本発明においては、第1熱交換体14と内気出口24の間に第2熱交換体15を配置して、第1熱交換体14を通過した熱気を第2熱交換体15で直接冷却するようにした。こうした熱交換装置Cによれば、水冷式の第2熱交換体をヒートパイプの放熱部の側に配置した従来装置に比べて、熱気の冷却を効果的に行って、内気出口24から送出される冷気の温度を充分に下げることができる。また、第1熱交換体14の傾斜角度を水平面に対して30度以上で60度以下の角度に設定して、放熱部13bで凝縮した作動液を吸熱部13aへ速やかに流下できるようにするので、第1熱交換体14の熱輸送量を向上し、熱交換装置Cの冷却能力を増強できる。
【0022】
因みに、第1熱交換体14の傾斜角度が30度未満であると、放熱部13bで凝縮した作動液を吸熱部13aへ速やかに流下させることができず、第1熱交換体14の熱輸送量を十分に向上できない。一方で、第1熱交換体14の傾斜角度が60度を越えると、凝縮した作動液を吸熱部13aへ速やかに流下できるものの、熱交換装置Cの上下寸法が大きくなり全体装置が大型化するのを避けられない。さらに、外気入口25から取込んだ外気で第1熱交換体14を冷却し、熱交換後の熱気を外気出口26から大気中に放出するので、ダクトなどの付随構造を省略でき、熱交換装置Cの構造を簡素化できる。以上のように、本発明の熱交換装置Cによれば、全体装置の構造を簡素化しながら、ヒートパイプ13の熱輸送量を向上して熱交換効率を向上し、さらに、外気温の状況に応じて冷却対象を確実に冷却できるヒートパイプ式の熱交換装置を提供できる。
【0023】
四角ブロック状に構成した第2熱交換体15を、内気送給室21の出口領域の底部に配置すると、
図6に示すように、第2熱交換体15が第1熱交換体14の通気出口面に隣接して配置してある場合に比べて、放熱フィン35の左右寸法を大きくして、通水パイプ34の配列数を増加して冷却能力を増強できる。さらに、内気が第2熱交換体15を通過するときの圧力損失を小さくできるので、第2熱交換体15を使用しない季節(秋から春)における空気調和のための電力消費量を削減して省エネルギーに寄与できる。
【0024】
冷却水入口48および冷却水出口49が、仕切板20と内気送給室21の底部で挟まれる隅部に臨む状態で第2熱交換体15を配置すると、
図7に示すように送水管路40および回収管路41が、内気送給室21の出口領域の底部左右に配置してある場合に比べて、内気と接触する放熱フィン35の全体面積を大きくして、熱交換効率を向上できる。先の隅部を利用して冷却水入口48および冷却水出口49を配置できるからである。
【0025】
内気送給室21に隣接して熱交換室32を設け、その内部に第2熱交換体15を傾斜配置し、第2熱交換体32の傾斜下端にドレン受33を配置すると、
図7、
図9に示すように、第2熱交換体15が出口領域の底部に配置してある場合に比べて、第2熱交換体15の通気面積を拡大して熱交換効率を向上できる。また、放熱フィン35の表面に凝縮した水分が、熱交換体15の傾斜に沿って流下し、ドレン受33へと速やかに排出されるので、放熱フィン35の表面に付着する凝縮水膜を常に薄く保つことができる。従って、第2熱交換体15の熱交換効率を向上しながら、第2熱交換体15を通過する熱交換風の圧力損失を低減できる。
【0026】
図4に示すように、熱交換室32の内部に2個の第2熱交換体15・15をV字状に傾斜配置すると、第2熱交換体15の合計の通風面積を大きくでき、しかも内気送給室21を通過する熱交換風の圧力損失を低減して熱交換装置Cの冷却能力を増強できる。また、放熱フィン35の表面に凝縮した水分が、各熱交換体15・15の傾斜に沿って流下できるので、放熱フィン35の表面に付着する凝縮水膜を常に薄く保つことができる。従って、第2熱交換体15の熱交換効率を向上しながら、第2熱交換体15を通過する熱交換風の圧力損失を低減できる。
【0027】
図12に示すように、V字状に傾斜配置した2個の第2熱交換体15・15の傾斜上端側を、ケース本体16に固定したヒンジ50で傾動可能に支持した熱交換装置Cによれば、上記の熱交換装置Cと同様に、第2熱交換体15の合計の通風面積を大きくでき、しかも内気送給室21を通過する熱交換風の圧力損失を低減して熱交換装置Cの冷却能力を増強できる。また、外気温の状況に応じて第2熱交換体15・15を使用姿勢と不使用姿勢に切換えて、熱交換装置Cの冷却能力を調整できるので、第2熱交換体15を使用しない季節(秋から春)に、同交換体15を不使用姿勢にしておくことにより、熱交換室32を通過する内気の通気抵抗をさらに小さくできる。従って、第1送風ファン27の圧力損失を小さくして、秋から春における空気調和のための電力消費量を削減して省エネルギーに寄与できる。
【0028】
図6に示すように、第2熱交換体15を第1熱交換体14の通気出口面に隣接して配置した熱交換装置Cによれば、第1熱交換体14および第2熱交換体15を水平面に対して傾斜した状態で、ケース本体16の対角線に沿って配置できるので、熱交換装置Cの高さ寸法が大きくなるのを回避できる。また、放熱部13bで凝縮した作動液を、ヒートパイプ13の下部の吸熱部13aへ速やかに流下させて第1熱交換体14の熱輸送量を向上し、熱交換装置Cの冷却能力を増強できる。
【0029】
外気温度センサー61と、第1送風ファン27、第2送風ファン28および送水設備17の作動状態を制御する制御装置64を備えている熱交換装置においては、外気温が低い状態では第1熱交換体14のみを作動させて、内気送給室21に送給された熱気を外気で冷却できる。また、外気温度が設定温度に達したことを外気温度センサー61が検知した状態においては、制御装置64が送水設備17を作動させて冷却水を第2熱交換体15に送給し、第1熱交換体14と第2熱交換体15の両者で内気送給室21に送給される熱気を冷却できる。このように、本発明の熱交換装置によれば、外気温の状況に応じて冷却対象を無駄なく確実に冷却できるので、年間を通じて熱交換のための電力消費量を削減して省エネルギーに寄与できる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(実施例1)
図1ないし
図5は、本発明に係る熱交換装置をサーバーシステムの空気調和装置に適用した実施例1を示す。本発明における前後、左右、上下とは、
図2、
図3に示す交差矢印と、交差矢印の近傍の前後・左右・上下の表記に従う。
図2および
図3において、符号1は床Fに設置したサーバーラックであり、その内部に一群のサーバー2が多段状に収容されている(
図3参照)。サーバー室Sに設置した一群のサーバーラック1は、直線列状に配置されてラック列3を構成しており、左右のラック列3はメンテナンス用の通路4を間に挟んで対向している。なお、この実施例では図面を単純化するために、ラック列3が3個のサーバーラック1で構成してある場合を例示したが、実際のラック列3は多数個のサーバーラック1で前後に長い直線列状に構成され、ラック列Lの設置数は多数個となり、サーバー室Sの大きさも格段に大きなものとなる。また、サーバー室Sに収容されるサーバー群の規模に応じて、熱交換装置Cの設置個数が増加される。
【0037】
図3に示すようにサーバーラック1は中空の縦長四角箱状に構成されて、その両側面に開閉可能なドアが設けられており、必要時にドアを開放することによりサーバー2の点検や交換などを行うことができる。ドアのドア壁は、網体またはパンチングメタルなどの通気自在な板状体で形成されており、対向する左右のドアのいずれか一方の冷気入口6から冷気をラック内へ導入し、サーバー2の筐体に内蔵してあるサーバーファンの送風作用で熱交換を行ったのち、他方のドアの熱気出口7から熱交換後の熱気を排出する。
【0038】
各サーバーラック1内の空気調和を行うために空気調和装置を設けている。空気調和装置は、サーバー室Sの外に設置した熱交換装置Cを備えており、熱交換装置Cで冷却した冷気をサーバー室Sに送給してサーバーラック1内の空気調和を行う。サーバー室S内で冷気と熱交換後の熱気が混じるのを避けて、冷気による熱交換を効果的に行うために、サーバー室Sの内部をラック列3に沿って設けた仕切壁10で冷気空間6Aと熱気空間7Aに区分している。詳しくは、サーバー室Sの天井面と、天井面と対向する床Fおよびラック列3の上面との間を仕切壁10で区分して、冷気空間6Aと熱気空間7Aを区分している。
【0039】
図2に示すように、この実施例ではラック列3の上面の左右中央を通る3個の前後壁10aと、前後壁10aに連続してラック列3の前端または後端で折曲がる4個の左右壁10bで仕切壁10を構成して、平面視における仕切壁10が一筆書き状に連続するようにした。先の冷気入口6は全て冷気空間6Aに臨んでおり、熱気出口7は全て熱気空間7Aに臨んでいる。熱交換装置Cに隣接するサーバー室Sの周囲壁には、冷気空間6Aに連通する冷気供給口11と、熱気空間7Aに連通する熱気回収口12が形成してある。なお、左右壁10bには、冷気空間6Aと熱気空間7Aを行き来するためのドアが設けてあってもよい。上記のように、一筆書き状に連続する前後壁10aと左右壁10bで仕切壁10を構成すると、仕切壁10の一端から他端に至る壁の長さを短くしながら、仕切壁10の全体構造を簡素化して、その構築に要するコストを削減できる。さらに、サーバー室Sの内部を冷気空間6Aと熱気空間7Aに仕切壁10でほぼ均等に区分できるので、冷気および熱気の循環を円滑に行って、熱交換装置Cによる熱気の冷却を効果的に行える。
【0040】
図1に示すように熱交換装置Cは、ヒートパイプ13を伝熱要素とする外気冷却式の第1熱交換体14と、水冷式の第2熱交換体15と、これら両者14・15を収容する中空箱状のケース本体16と、低温の冷却水を第2熱交換体15へ供給したのち回収する送水設備17(
図2参照)を備えている。ケース本体16の内部は45度傾斜する仕切板20で内気送給室21と外気送給室22に区分されており、各送給室21・22に臨むケース本体16の周囲壁に内気入口23と、外気入口25および外気出口26が開口してある。この実施例では、
図1に向かって左側のケース壁に内気入口23を開口し、右側のケース壁に外気入口25を開口した。また、上側のケース壁に外気出口26を開口した。内気出口24は、後述する熱交換室32の底に開口してある。内気入口23の内部には、サーバー室S内の熱気を第1熱交換体14へ向かって送給する第1送風ファン27が配置してあり、外気出口26の内部には熱交換後の熱気を大気に放出する第2送風ファン28が配置してある。
【0041】
第1熱交換体14は、一群のヒートパイプ13と、ヒートパイプ13の外面に固定される一群の放熱フィン18で扁平な四角ブロック状に構成してあり、全体が先の仕切板20と直交する状態で配置されて、その上下端がブラケット29で支持してある。この実施例では、ヒートパイプ13を第1熱交換体14の厚み方向へ3列、第1熱交換体14の前後方向へは多数個を配置して第1熱交換体14を構成した。ヒートパイプ13の下側の吸熱部13aは内気送給室21に位置させてあり、ヒートパイプ13の上側の放熱部13bは外気送給室22に位置させてある。第1熱交換体14は水平面に対して45度傾斜しており、第1熱交換体14と仕切板20の交差部分は、図示していないシール体で封止してある。このように、第1熱交換体14を45度傾斜させると、ヒートパイプ13の放熱部13bで凝縮した作動液が下部の吸熱部13aへ還流する能力を、ヒートパイプ13が水平に近い状態、あるいは垂直に近い状態で配置してある場合に比べて増強できるので、第1熱交換体14の熱輸送量を向上し、熱交換装置Cの冷却能力を増強できる。また、第1熱交換体14をケース本体16の対角線に沿って配置することにより、ケース本体16の高さ寸法が大きくなるのを回避できる。なお、ヒートパイプ13の配列形態は、上記の形態に限定するものではなく、第1熱交換体14の冷却能力に応じて適宜調整される。
【0042】
内気送給室21と外気送給室22の内部の空間は、第1熱交換体14によって入口領域と出口領域に区分されており、内気送給室21の出口領域の底部に隣接して第2熱交換体15を収容する熱交換室32が設けてある。熱交換室32は、ケース本体16を下方に延長して形成してあり、その底部には、熱交換後の冷気をサーバー室2へ向かって送出する内気出口24が開口してある。
図4に示すように、熱交換室32の内部には2個の第2熱交換体15・15がV字状に傾斜配置されて、両者15・15の傾斜下端に臨んでドレン水を排出するドレン受33が配置してある。第2熱交換体15は、繰返し反転状に折曲げられた銅製の通水パイプ34と、通水パイプ34の外面に固定される一群の放熱フィン35とで扁平な四角ブロック状に構成してある。放熱フィン35は通水パイプ34の直線部分と直交する状態で一定間隔おきに配置するが、第1熱交換体14の放熱フィン18の積層方向と、第2熱交換体15の放熱フィン35の積層方向が一致するように、第2熱交換体15を配置している。
【0043】
図2において送水設備17は、冷却水を貯留するタンク38と、タンク38内の冷却水を第2熱交換体15へ加圧送給するポンプ39と、ポンプ39と第2熱交換体15を接続する送水管路40と、熱交換後の冷却水を回収する回収管路41と、回収した冷却水を冷却するチラー(冷却装置)42などで構成してある。チラー42で冷却された冷却水はタンク38へ戻される。
【0044】
熱交換装置Cで冷却した冷気をサーバー室Sへ送給するために、内気送給室21の内気出口24と冷気供給口11を、熱交換室32の下側に区画した冷気室45と供給ダクト46を介して接続している。また、サーバー室S内の熱気を熱交換装置Cへ戻すために、内気送給室21の内気入口23と熱気回収口12を、回収ダクト47で接続している。このように、熱交換装置Cとサーバー室Sを供給ダクト46と回収ダクト47で接続することにより、サーバー室S内の冷気および熱気を効果的に循環させて、サーバーラック1内の空気調和を効率よく行える。
【0045】
図2に示すように、熱交換装置Cには、外気温度を検知する外気温度センサー61と、タンク38内の冷却水の温度を検知する水温センサー62と、冷気空間へ送給される冷気の温度を検知する冷気温度センサー63が設けてある。さらに、第1送風ファン27、第2送風ファン28および送水設備17の作動状態を制御する制御装置64を備えている。
【0046】
次に、空気調和装置で空気調和を行うときの外気および熱気の流れと、熱交換装置Cによる熱交換動作を説明する。サーバー2の一群が稼働している状態では、熱交換装置Cを作動させて、外気およびサーバー室S内の空気を循環させて、熱交換装置Cの内部において循環する内気を冷却する。サーバーラック1の内部においては、サーバー2の筐体内に設けたサーバーファンによって、冷気空間6Aに臨む冷気入口6から冷気が筺体内へ取込まれ、発熱部品の熱を奪ったのち、熱気出口7から熱気空間7Aへ排出される。この熱気は、第1送風ファン27の吸込み作用によって内気送給室21へ送給され、第1熱交換体14の吸熱部13aにおいて熱を放出する。
【0047】
第1送風ファン27で送給された熱気の熱は、放熱フィン18とヒートパイプ13のパイプ壁を介して、吸熱部13aの内部に保持されている作動液に伝えられ、作動液を気化させる。このときの熱気の温度は、吸熱部13aを通過する間に放出した熱の分(約10℃)だけ冷却されて低下する。熱交換後の冷気は、第2熱交換体15を通過したのち内気出口24から送出されて、再びサーバー室S内へ循環する。吸熱部13aで気化した作動液の蒸気は、ヒートパイプ13に沿って放熱部13bの側へ流動する。放熱部13bには、外気入口25から導入された低温の外気が常に送給されている。そのため、外気と接触した放熱フィン18およびヒートパイプ13は外気によって冷却されて、放熱部13bの内部の蒸気が凝縮されて液化する。熱交換後の外気は放熱フィン18とヒートパイプ13から奪った熱の分だけ温度が上昇し、第2送風ファン28の送風作用で外気出口26から放出される。凝縮した作動液は、傾斜するパイプ内面に沿って吸熱部13aへと流下する。
【0048】
上記のように、サーバーラック1から送給された熱気は、主に第1熱交換体14の熱交換作用で冷却することができるが、外気温度が熱気の温度より10℃程度低くないと、充分な冷却作用を発揮することができなくなる。例えば、内気送給室21へ送給される熱気の温度が40℃であるとき、外気温度が30℃を越えて高くなると、温度差に応じて熱交換量が減少するため、第1熱交換体14による熱気の冷却作用が低下する。
【0049】
上記のような状況を避けるために、この実施例においては、外気温度が25℃(設定温度)に達したことを外気温度センサー61で検知した状態において、外気温度センサー61からの出力信号に基づき、制御装置64が送水設備17のポンプ39を作動させて冷却水を第2熱交換体15に送給し、第1熱交換体14と第2熱交換体15の両者で内気送給室21に送給された熱気を冷却する。また、外気温度が上昇するのに対応してポンプ39の駆動回転数を徐々に増加して、第2熱交換体15に送給される冷却水量を増加し、第2熱交換体15の冷却能力を高める。そして、外気温度が35度に達した状態では、ポンプ39による冷却水の送水量を最大量にして、主に第2熱交換体15で熱気を冷却する。
【0050】
以上のように、吸熱部13aを通過した内気を第2熱交換体15で強制的に冷却すると、第1熱交換体14による冷却作用の不足分を補って、低温の内気(約25℃)を冷気空間6Aへ送給できる。従って、サーバーラック1内の温度を充分に低下させて、サーバー2を正常に作動させることができる。なお、回収管路41を介してチラー42に回収された熱交換後の冷却水は、チラー42で冷却されてタンク38へ送給される。
【0051】
図5は上記とは異なる制御条件で送水設備17の作動状態を制御した場合に、外気温度の変化に対して、第1熱交換体14と第2熱交換体15の冷却能力をどのように変化させれば良いかを検討した結果を示している。但し、内気送給室21へ送給される熱気の温度は50℃であり、内気送給室21から冷気空間6Aへ送出される冷気の温度は32度であると想定して、各熱交換体14・15の冷却能力を検討した。
【0052】
上記の制御では、外気温度が18℃(設定温度)に達した時点で、外気温度センサー61からの出力信号に基づき、制御装置64が送水設備17のポンプ39を作動させて冷却水を第2熱交換体15に送給し、第1熱交換体14と第2熱交換体15の両者で内気送給室21に送給された熱気を冷却する。また、外気温度が18℃を越えて上昇するのに伴って、第1熱交換体14の冷却能力が漸減するので、第2熱交換体15に送給される冷却水の量を増加して、第1熱交換体14の冷却能力の低下を第2熱交換体15の冷却能力の増強で補うようにする。外気温度が約33℃に達した状態では、第1熱交換体14の冷却能力と第2熱交換体15の冷却能力は拮抗し、両熱交換体14が協同して熱気の冷却を行う。また、外気温度が約40℃に達した状態では、冷却能力の70%を第2熱交換体15が負担し、冷却能力の残りの30%を第1熱交換体14が負担する。このように、内気送給室21へ送給される熱気の温度、タンク38内の冷却水の温度などの違いに応じて、サーバーセンターごとに最適の制御を行うことにより、サーバーラック1内の温度を充分に低下させて、サーバー2を正常に作動させることができる。
【0053】
冷気温度センサー63は、熱交換後の冷気の温度を常時検知している。そのため、第1熱交換体14および第2熱交換体15が作動しているにも関わらず、冷気空間6Aに送給される冷気の温度が所定の温度より高い場合には、何らかの異常が起こっていると判断することができる。こうした異常が検知された場合には、例えば、予備の熱交換装置を起動してサーバー室Sを冷却するとよい。また、水温センサー62は、タンク38内の冷却水の温度を常時検知している。そのため、タンク38内の冷却水の温度が所定温度(約18℃)を越える場合に、チラー42の冷却能力を高めて、タンク38内の冷却水の温度を適温に維持することができる。あるいは、タンク38内の冷却水の温度が所定温度(約18℃)未満である場合に、冷却水の温度が所定温度に達するまでの間チラー42の作動を停止して、エネルギーの無駄な消費を解消することができる。
【0054】
以上のように構成した空気調和装置によれば、サーバーラック1の内部空気を空気調和すればよいので、熱交換装置Cの熱負荷を小さくできる。従って、サーバー室Sの全体に冷気を供給する必要があった従来の空気調和装置に比べて、空気調和のための電力消費量を著しく削減して省エネルギーに寄与できる空気調和装置とすることができる。さらに、外気温が高い状態であっても、第2熱交換体15に送水設備17で冷却水を送給して、サーバーラック1内を適温に保持できるので、1年を通じて常に安定した状態でサーバーシステムを稼働できる。
【0055】
2個の第2熱交換体15をV字状に傾斜配置するので、例えば
図7に示すように第2熱交換体15が内気送給室21の出口領域の底部に配置してある場合に比べて、第2熱交換体15の合計の通風面積を大きくでき、しかも内気送給室21を通過する熱交換風の圧力損失を低減して熱交換装置Cの冷却能力を増強できる。また、放熱フィン35の表面に凝縮した水分が、各熱交換体15・15の傾斜に沿って流下し、ドレン受33へと速やかに排出されるので、放熱フィン35の表面に付着する凝縮水膜を常に薄く保つことができる。従って、第2熱交換体15の熱交換効率を向上しながら、第2熱交換体15を通過する熱交換風の圧力損失を低減できる。加えて、第1熱交換体14の放熱フィン18の積層方向と、第2熱交換体15の放熱フィン35の積層方向が一致するように、第2熱交換体15を配置するので、
図8に示すように、放熱フィン18・35の積層方向が直交している場合に比べて、第2熱交換体15の通気抵抗を減少できる。
【0056】
熱交換装置Cにおいては、内気と外気がそれぞれ互いに逆向きに流動しながら第1熱交換体14を通過し、装置下部の内気出口24と装置上部の外気出口26から送出される。こうした熱交換装置Cによれば、ケース本体16の左右側面と上下面に各入口23・25と各出口24・26を位置させることができるので、供給ダクト46および回収ダクト47の接続を容易に行える。
【0057】
実施例1では、第1熱交換体14の傾斜角度を45度として、第1熱交換体14の熱輸送量を十分に向上しながら、熱交換装置Cの上下寸法が大きくなるのを避けるようにしたが、第1熱交換体14の傾斜角度は水平面に対して30度以上で60度以下の角度に設定してあれば足りる。第1熱交換体14の傾斜角度が30度未満であると、放熱部13bで凝縮した作動液の吸熱部13aへの還流力が低くなるので、第1熱交換体14の熱輸送量を十分に向上できない。内気入口23や外気入口25の開口面積が小さくなる不利もある。また、第1熱交換体14の傾斜角度が60度を越えると、凝縮した作動液の吸熱部13aへの還流力はある程度確保できるものの、熱交換装置Cの上下寸法が大きくなり全体装置が大型化するのを避けらない。
【0058】
(実施例2)
図6は熱交換装置Cの一部を変更した実施例2を示す。そこでは、第2熱交換体15を、内気送給室21の出口領域のうち、第1熱交換体14の通気出口面に隣接して配置するようにした。また、内気送給室21の底壁に内気出口24を開口した。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0059】
実施例2の熱交換装置Cによれば、第1熱交換体14および第2熱交換体15を水平面に対して45度傾斜した状態で、ケース本体16の対角線に沿って配置できるので、熱交換装置Cの高さ寸法が大きくなるのを回避できる。また、放熱部13bで凝縮した作動液を、ヒートパイプ13の下部の吸熱部13aへ速やかに流下させて第1熱交換体14の熱輸送量を向上し、熱交換装置Cの冷却能力を増強できる。さらに、内気および外気の各入口23・25および各出口24・26をケース本体16の左右側面と上下面に位置させることができるので、ケース本体16と供給ダクト46および回収ダクト47の接続を容易に行える。
【0060】
(実施例3)
図7および
図8は熱交換装置Cの一部を変更した実施例3を示す。そこでは、第2熱交換体15を内気送給室21の出口領域の底部に配置して、その通気出口面を内気送給室21の底部に開口した内気出口24に臨ませるようにした。第2熱交換体15は、実施例1の第2熱交換体15と同様に、繰返し反転状に折曲げられた通水パイプ34と、通水パイプ34の外面に固定される一群の放熱フィン35で四角ブロック状に構成した。上記のように第2熱交換体15を内気送給室21の出口領域の底部に配置すると、実施例2の熱交換装置Cと同様の作用効果を発揮しながら、実施例2の第2熱交換体15に比べて、放熱フィン35の左右寸法を大きくして、通水パイプ34の配列数を増加して冷却能力を増強できる。さらに、内気が第2熱交換体15を通過するときの圧力損失を小さくできるので、第2熱交換体15を使用しない季節(秋から春)における空気調和のための電力消費量を削減して省エネルギーに寄与できる。
【0061】
(実施例4)
図9および
図10は熱交換装置Cの一部を変更した実施例4を示す。そこでは、実施例3の熱交換装置と同様に第2熱交換体15を内気送給室21の出口領域の底部に配置するが、通水パイプ34の冷却水入口48および冷却水出口49が、仕切板20と内気送給室21の底部で挟まれる隅部に臨む状態で第2熱交換体15を配置する点が異なる。上記のように、通水パイプ34の冷却水入口48および冷却水出口49を仕切板20の下隅に位置させると、実施例3の熱交換装置Cと同様の作用効果を発揮しながら、内気と接触する放熱フィン35の全体面積を大きくして、熱交換効率を向上できる。先の隅部を利用して冷却水入口48および冷却水出口49を配置できるからである。
【0062】
(実施例5)
図11は熱交換装置Cの一部を変更した実施例5を示す。そこでは、実施例1と同様に、内気送給室21の出口領域の底部に隣接して熱交換室32を設け、その内部に第2熱交換体15を傾斜配置し、第2熱交換体15の傾斜下端に臨んでドレン受33を設けるようにした。また、熱交換室32の底壁に内気出口24を開口した。上記のように、第2熱交換体15を傾斜配置すると、実施例4の熱交換装置Cと同様の作用効果を発揮しながら、第2熱交換体15の通気面積を拡大して熱交換効率を向上できる。また、実施例1の熱交換装置Cと同様に、放熱フィン35の表面に凝縮した水分が、熱交換体15の傾斜に沿って流下し、ドレン受33へと速やかに排出されるので、放熱フィン35の表面に付着する凝縮水膜を常に薄く保つことができる。従って、第2熱交換体15の熱交換効率を向上しながら、第2熱交換体15を通過する熱交換風の圧力損失を低減できる。
【0063】
(実施例6)
図12は熱交換装置Cの一部を変更した実施例6を示す。そこでは、実施例1と同様に、熱交換室32の内部に2個の第2熱交換体15・15をV字状に傾斜配置して、第2熱交換体15の合計の通風面積を大きくし、しかも内気送給室21を通過する熱交換風の圧力損失を低減して熱交換装置Cの冷却能力を増強できるようにした。また、V字状に傾斜配置した2個の第2熱交換体15の傾斜上端側を、ケース本体16に固定したヒンジ50で傾動可能に支持した。これにより、2個の第2熱交換体15・15は、
図12に想像線で示すように傾動下端がV字状に隣接する使用姿勢と、各熱交換体15・15が熱交換室32の左右壁(周囲壁)に沿う不使用姿勢の間で傾動できる。こうした熱交換装置Cによれば、実施例1の熱交換装置Cと同じ作用効果を発揮しながら、外気温の状況に応じて第2熱交換体15・15を使用姿勢と不使用姿勢に切換えて、熱交換装置Cの冷却能力を調整できる。例えば、第2熱交換体15を使用しない季節(秋から春)に、同交換体15を不使用姿勢にしておくことにより、熱交換室32を通過する内気の通気抵抗を小さくできる。従って、第1送風ファン27の圧力損失を小さくして、秋から春における空気調和のための電力消費量を削減して省エネルギーに寄与できる。
【0064】
(実施例7)
図13はサーバーシステム用の空気調和装置の一部を変更した実施例7を示す。そこでは、冷気空間6Aに臨む床下に冷気案内通路53を形成し、同通路53の入口54を熱交換装置Cの内気出口24に連通し、同通路53の出口55を冷気空間6Aに臨む床Fの複数個所に開口した。この実施例における仕切壁10は、冷気空間6Aを間に挟むラック列3の上面の間を覆う上壁10cと、冷気空間6Aを間に挟むラック列3と側端壁の上面の間を覆う上壁10dと、冷気空間6Aの前後端を覆う前後壁(図示していない)で密閉空間状に構成してある。冷気空間6Aの前後端を覆う前後壁には、冷気空間6Aに出入りするためのドアが設けてあってもよい。熱気空間7Aと連通する状態でサーバー室Sの周囲壁に開口した熱気回収口12は、回収ダクト47を介して内気送給室21の内気入口23に接続した。以上のように構成した実施例7の空気調和装置によれば、密閉空間状に区画した冷気空間6Aに限って冷気を送給すればよいので、実施例1の空気調和装置に比べて、熱交換装置Cの熱負荷をさらに小さくでき、その分だけ空気調和のための電力消費量を削減して省エネルギーに寄与できる。
【0065】
本発明に係る熱交換装置Cは、サーバーシステムの空調を行うのに適しているが、例えば、メガソーラーに設置されるパワーコンディショナーの内部を冷却する用途にも適用できる。その場合には、年間を通じて外気温が高い地域でない限り、第2熱交換体15を省略することができる。
【0066】
送水設備17は、チラー42に換えてクーリングタワー(冷却装置)を使用できる。また、地下水、河川水、または海水を冷却水として利用する水循環ユニットで送水設備17を構成することができ、その場合にはチラー42を省略して、回収管路41で回収した熱交換後の冷却水を外部へ放出してもよい。第1送風ファン27は内気入口23の側に配置する必要はなく、内気出口24の側に配置することができ、必要があれば、熱気回収口12に第1送風ファン27とは別の送風ファンを設けて、熱気の循環を促進することができる。実施例1では、サーバー室S内の冷却を1個の熱交換装置Cで行う場合を示したが、熱交換装置Cはサーバー室Sの冷却負荷に応じて、必要な数だけ設置してあればよい。