(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808395
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20201221BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-160441(P2016-160441)
(22)【出願日】2016年8月18日
(65)【公開番号】特開2018-29130(P2018-29130A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】富藤 幸雄
【審査官】
宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−060609(JP,A)
【文献】
特開2013−143558(JP,A)
【文献】
特開平10−256344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置される載置部と、
載置部に載置された基板の周囲を覆うとともに、基板を搬入するための搬入口が形成されたチャンバと、
基板を支持するハンドを有するとともに、ハンドに支持された基板を、搬入口を介してチャンバ内に搬入する搬送ロボットと、
搬入口の開口上部に配置されて、搬入口の外側からチャンバ内に向けて斜め下向きにイオン化された気体を吹き付けるイオナイザと、を備え、
イオナイザは、搬入口への基板の搬入方向に直交する幅方向に亘って基板にイオン化気体を吹き付け、しかも、ハンドに支持された基板と、その後、載置部に載置された基板とにイオン化された気体を継続して吹き付ける基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載される基板処理装置において、
搬入口は搬送ロボットにより基板をチャンバ外に搬出するための搬出口も兼ねていて、イオナイザは載置部から搬出されるときにハンドに支持された基板にもイオン化された気体を吹きつける基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載される基板処理装置において、
載置部は載置された基板を加熱するホットプレートを有する基板処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載される基板処理装置において、
載置部は載置された基板を冷却するクールプレートを有する基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用ガラス基板等の基板にイオン化された気体(以下、イオン化気体と称す)を吹き付けるイオナイザを備える基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イオナイザを備える基板処理装置として、特許文献1乃至3に記載されるものが知られている。イオナイザはガラスのような絶縁体からなる基板にイオン化気体を吹きつけて、基板の帯電を中和して静電気の発生を抑制する。特許文献1にはホットプレートを有する加熱ユニットの中で基板にイオン化気体を吹きつける基板処理装置が記載されている。特許文献2にはクールプレートを有する冷却ユニットの中で基板にイオン化気体を吹きつける基板処理装置が記載されている。特許文献3には基板を搬送する搬送ロボットの移動領域にイオナイザからイオン化気体を吹きつける基板処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−97121号公報(例えば段落0015、
図1)
【特許文献2】特開平9−213597号公報(例えば段落0019、
図1)
【特許文献3】特開2001−7019号公報(例えば段落0007、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、液晶表示装置用等の矩形状のガラス基板は一辺が2mを超えるものもある。また、基板がさらに大型化する傾向にある。このような大型基板に対して、特許文献1及び2に記載されるように基板処理装置内でイオン化気体を吹き付けても基板の帯電を十分に抑制することができないという問題が発生する。また、特許文献3に記載されるように搬送途中の基板にイオン化気体を吹き付けても基板の帯電を十分に抑制することができないという問題が発生する。
【0005】
本発明の目的は、上述のような点に鑑み、大型の基板であってもその帯電を十分に抑制することができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る第1発明(基板処理装置)は、基板が載置される載置部と、載置部に載置された基板の周囲を覆うとともに、基板を搬入するための搬入口が形成されたチャンバと、基板を支持するハンドを有するとともに、ハンドに支持された基板を、搬入口を介してチャンバ内に搬入する搬送ロボットと、
搬入口の開口上部に配置されて、搬入口の外側からチャンバ内に向けて
斜め下向きにイオン化された気体を吹き付けるイオナイザと、を備える。
ここで、イオナイザは、搬入口への基板の搬入方向に直交する幅方向に亘って基板にイオン化気体を吹き付け、しかも、ハンドに支持された基板と、その後、載置部に載置された基板とにイオン化された気体を継続して吹き付ける。
【0008】
請求項
2に係る第
2発明は、第
1発明において、搬入口は搬送ロボットにより基板をチャンバ外に搬出するための搬出口も兼ねていて、イオナイザは載置部から搬出されるときにハンドに支持された基板にもイオン化された気体を吹きつける。
【0009】
請求項
3に係る第
3発明は、第1発明から第
2発明のいずれかの発明において、載置部は載置された基板を加熱するホットプレートを有する。
【0010】
請求項
4に係る第
4発明は、第1発明から第
2発明のいずれかの発明において、載置部は載置された基板を冷却するクールプレートを有する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1から請求項
4のいずれかに係る発明によれば、大型の基板であってもその帯電を十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態である基板処理装置を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態である基板処理装置100を示す概略側面図である。
図2は実施形態の動作を示す概略側面図である。この基板処理装置100は、搬送ロボット3と熱処理ユニット4を備える。上流側ユニット2は熱処理ユニット4での処理よりも前の処理(前処理工程)を実行するユニットである。前処理工程は例えば塗布処理工程やコンベア搬送工程などである。なお、
図1等においてX−Y平面は水平面を示し、Z方向は鉛直方向を示す。
【0014】
搬送ロボット3は上流側ユニット2から受け取った基板5を熱処理ユニット4まで搬送する。基板5は、例えば、矩形状の液晶表示装置用ガラス基板である。また、基板5は有機EL表示装置用ガラス基板、太陽電池用パネル基板、PDP用ガラス基板または半導体製造装置用マスク基板等であってもよい。基板5の一辺の長さ寸法は例えば2m以上である。
【0015】
搬送ロボット3はロボット本体31、アーム32およびハンド33を備える。ハンド33は基板5を水平姿勢で支持する。ハンド33はその先端が4本に分かれたフォーク状(櫛歯状)である。ハンド33は
図2に示すように基板5の裏面に当接する複数の支持部34を有する。
【0016】
アーム32は伸縮、旋回及び昇降可能に構成されている。ハンド33に支持された基板5はアーム32の動作により水平面内で移動するとともに鉛直方向に昇降する。
【0017】
熱処理ユニット4は例えば基板5を加熱する加熱処理ユニットである。熱処理ユニット4はチャンバ41,ホットプレート42,プロキシミティピン43およびリフトピン機構(図示せず)を備える。チャンバ41はその内部に熱処理空間を形成する略箱形状である。搬送ロボット31に対向するチャンバ41の側面は開口している。このチャンバ41に形成された開口が基板5の搬入口7および搬出口となる。
【0018】
チャンバ41の底面にはホットプレート42が設けられている。ホットプレート42は板状であり、その上面の大きさは基板5の大きさよりも若干、大きく設定されている。ホットプレート42にはヒータ等の熱源(図示せず)が内蔵されている。ホットプレート42の上面には複数のプロキシミティピン43が分散して設けられている。熱処理ユニット4は複数のプロキシミティピン43により支持された基板5をホットプレート42により加熱する。ホットプレート42および複数のプロキシミティピン43などが本発明の載置部に相当する。なお、プロキシミティピン43を設けないで、基板5をホットプレート42の上面に直接、載置する構成としてもよい。
【0019】
図示しないリフトピン機構は、ホットプレート42に挿通された複数のリフトピンの先端をホットプレート42の上面に対して進退させる。このリフトピン機構により搬送ロボット31から基板5をホットプレート42上に受け渡す。
【0020】
イオナイザ6は、チャンバ41の搬入口7の上部開口縁に沿ってブラケットを介して取り付けられている。イオナイザ6はイオン化された気体(以下、イオン化気体と称す)を吹き出す。イオナイザ6は、例えば、一対の正・負のエミッタに直流電圧を所定の時間間隔で印加して各エミッタからそれぞれ正・負のイオンを発生させるとともに、この各エミッタの周囲に気体を吹き付けてイオン化された気体を所定の方向に吹き出すパルスDCタイプである。
【0021】
イオナイザ6には、窒素ガスあるいは純水や不純物を含まない空気(クリーンエア)が加圧状態で供給される。このような窒素ガスあるいはクリーンエアは、イオナイザ6の吐出口から噴出される際に、これに設けられた電極の放電によってイオン化される。
【0022】
イオナイザ6は、イオン化気体の噴射方向がチャンバ41の搬入口7からチャンバ41内に向かう斜め下方向となるように配置されている。また、イオナイザ6はX方向に沿った基板5の幅方向に亘ってイオン化気体を吹き付ける。
【0023】
次に上述の基板処理装置100の動作について主に
図2を用いて説明する。
図2(a)は搬送ロボット3が上流側ユニット2から基板5を受け取った後、ハンド33を熱処理ユニット4に対向させている状態を示す。ハンド33は複数の支持部34上で基板5を支持しつつ、チャンバ41の搬入口7に対向している。このとき、イオナイザ6はイオン化気体を搬入口7からチャンバ41内に向かう斜め下方向に噴射している。
【0024】
図2(b)はハンド33が搬入口7を介してチャンバ41内に進入している状態を示す。このとき、イオナイザ6は搬入口7を通過するハンド33上の基板5にイオン化気体を吹きつける。イオン化気体を吹き付けられた基板5はその帯電が中和されて、基板5に静電気が発生することが抑制される。
【0025】
図2(c)は基板5がハンド33からリフトピン機構を介してホットプレート42上の複数のプロキシミティピン43上に受け渡された状態を示す。このように複数のプロキシミティピン43上に基板5を支持した状態で基板5は所定時間、加熱処理される。このとき、イオナイザ6はプロキシミティピン43上に支持された基板5にイオン化気体を吹きつける。イオン化気体を吹き付けられた基板5はその帯電が中和されて、基板5に静電気が発生することが抑制される。
【0026】
上述のように
図2(b)に示す搬入動作時から
図2(c)に示す加熱処理時にかけて基板5にイオン化気体が継続して吹き付けられる。換言すれば、イオナイザ6はハンド33に支持された基板5と、その後、載置部であるホットプレート42に載置された基板5にイオン化気体を継続して吹き付ける。この結果、大型の基板5であってもその帯電を十分に抑制することができる
【0027】
所定時間経過後、加熱処理を終えた基板5は、リフトピン機構によりハンド33に受け渡され、搬入口7(搬出口)を介してチャンバ41外に搬出される。このとき、イオナイザ6は搬入口7を通過するハンド33上の基板5にイオン化気体を吹きつける。このように搬出時にも基板5にイオン化気体を吹き付けることにより、さらに、基板5に静電気が発生することが抑制される。
【0028】
上述の実施形態では搬入口7が搬出口も兼ねているが、搬出口を搬入口と別に設けてもよい。
【0029】
また、ホットプレート42に替えてクールプレートを配置して基板5を冷却する熱処理ユニットとしてもよい。さらに、チャンバ41内で基板5を一時的に待機させるバッファユニットに本発明を適用してもよい。
【0030】
上述の熱処理ユニットやバッファユニット等が鉛直方向に多段に配置された構成としてもよい。
【符号の説明】
【0031】
3 搬送ロボット
4 熱処理ユニット
5 基板
6 イオナイザ
7 搬入口
33 ハンド
41 チャンバ
42 ホットプレート
43 プロキシミティピン
100 基板処理装置