(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態を、図面を参照して説明する。
[監視対象]
まず、本実施形態の監視対象となる電源設備として、監視盤Sを説明する。監視盤Sは、
図1に示すように、筐体1、扉2、メータ3、ネームプレート4を有する。筐体1は、金属製の直方体形状の容器である。扉2は、筐体1の正面を開閉する部材である。筐体1の内部には、電力機器又は電力機器の状態を監視する装置が収容されている。電力機器は、例えば、開閉器、断路器、変圧器等の電力系統や受変電系統に設置された各種の機器である。電力機器の状態を監視する装置は、PLC(プログラマブルコントローラ)、リレー、タイマ等の、電力機器の監視に必要な情報を取り入れて保持、演算、伝達等の処理を行う装置である。
【0009】
メータ3は、電力機器の状態を示す測定値を示す表示器である。メータ3は、扉2、つまり筐体1の正面に取り付けられている。メータ3は、アナログメータ31、電力量メータ32(
図6参照)を含む。アナログメータ31は、測定値の大小に応じて角度を変える指示針が、目盛りにおける測定値に対応する位置を指すことによって、測定値を表示する。アナログメータ31は、電流を測定する電流計31a、電圧を測定する電圧計31bを含む。電力量メータ32は、
図6に示すように、電力量を積算して表示する円盤型電力量計である。電力量の表示は、例えば、桁ごとに回動する文字盤の数字で行う。この文字盤の数字が示す指示値をカウント値と呼ぶ。
【0010】
ネームプレート4は、メータ3を識別する識別標識である。ネームプレート4は、扉2、つまり筐体1の正面に取り付けられている。本実施形態では、ネームプレート4は、例えば、「高圧配電盤52F08(×××棟)」のように、メータ3を識別するとともに、そのメータ3が取り付けられた盤を識別する機能を有する。
【0011】
なお、監視盤Sの状況によっては、電源設備の状態を示す表示が付されている場合がある。例えば、筐体1の正面にサインボード5が貼り付けられている場合がある。このサインボード5は、例えば、「点検中」などの盤や系統の状態を示している。点検中の場合、メータ3の測定値はゼロとなる。
【0012】
[構成]
本実施形態の監視装置100の構成を、
図1及び
図2を参照して説明する。監視装置100は、コンピュータとしてのタブレット端末やスマートフォン等の持ち運び可能な情報端末を、プログラムで制御することで実現できる。この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能である。
【0013】
また、本実施形態は、上記のようなプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記憶媒体としても把握できる。以下、本実施形態の各機能をブロックで図示した仮想的ブロック図である
図2を用いて説明する。
【0014】
監視装置100は、送受信部10、撮像部11、音声出力部12、表示部13、入力部14を有する。送受信部10は、図示しないネットワークを介して、情報を送受信する処理部である。
【0015】
撮像部11は、電源設備である監視盤Sに設けられたメータ3、識別標識であるネームプレート4を撮像する。また、撮像部11は、電源設備の状態を示す表示であるサインボード5を撮像する。撮像部11は、レンズ等の光学部、CMOSやCCD等の受光素子であるイメージセンサ等を有するカメラである。本実施形態は、以下に述べるように、撮像部11により撮像したライブビュー画像を用いる。
【0016】
ライブビュー画像とは、イメージセンサが受光した光を変換した電気信号を、後述する表示部13にリアルタイムで表示する画像データである。この画像データは、DRAM等の揮発性メモリに一時的に保持され、イメージプロセッサにより画像処理される画像データも含む。
【0017】
ライブビュー画像は、逐次上書きされ、プログラムを終了させる、電源を切る等の処理により消失する。なお、ライブビュー画像ではなく、カメラのシャッターを切る処理等により、不揮発性メモリに記憶される画像データを使用することもできる。
【0018】
音声出力部12は、作業者が聴取する音声を出力するヘッドホン、イヤホン、スピーカ等の出力装置である。本実施形態においては、警報となる音声を出力する。表示部13は、ユーザが視覚的に認識する画像を表示するディスプレイ等の出力装置である。本実施形態においては、表示部13は、撮像された画像の他、後述する登録表示、帳票、警報表示、区別表示、漏れ表示等を表示する。
【0019】
入力部14は、ユーザが、本実施形態の処理、操作に必要な情報を入力する入力装置である。この入力部14は、表示部13に構成されたタッチパネル、監視装置100の本体に構成されたスイッチ、有線又は無線により接続されたマウスやキーボードを含む。さらに、マイクと音声認識部を備えた音声入力装置も、入力部14に含まれる。つまり、本実施形態は、音声による操作も可能である。
【0020】
また、監視装置100は、記憶部15、解析部16、識別情報読取部17、メータ読取部18、帳票作成部19、電力量算出部20、停止判定部21、漏れ判定部22、妥当性判定部23、警報出力部24、表示制御部25、登録部26を有する。
【0021】
記憶部15は、監視装置100の処理に必要な各種の情報を記憶する。識別情報、メータの指示値、電力量、後述する帳票、しきい値、各種の画面インタフェースは、記憶部15に記憶される情報に含まれる。
【0022】
解析部16は、撮像部11により撮像された画像を解析する処理部である。解析部16は、例えば、ライブビュー画像から、メータ3、ネームプレート4、サインボード5の領域を抽出する。外形や特徴部分の境界抽出等の手法は、公知の技術を適用可能である。また、解析部16は、撮像対象の本来の外形と、撮像して表示された画面上での歪みを演算し、正面から撮像された状態に修正する。なお、正面からのように、良好な読み取りが可能な角度から撮像されない限り、読み取り処理に移行しない設定としてもよい。例えば、歪みの範囲がしきい値以内となっていなければ、読取処理に移行しない設定とすることができる。
【0023】
識別情報読取部17は、撮像部11により撮像された識別標識の識別情報を読み取る。識別情報読取部17は、例えば、ネームプレート4の領域から、文字を認識することにより、盤・系統名称を検出する。
【0024】
メータ読取部18は、撮像部11により撮像されたメータの指示値を読み取る。メータ読取部18は、レンジ判定部18a、角度判定部18b、算出部18cを有する。レンジ判定部18aは、アナログメータのレンジを判定する。角度判定部18bは、アナログメータの指示針の角度を判定する。算出部18cは、レンジと指示針の角度とに基づいて、指示針が指す指示値を算出する。
【0025】
帳票作成部19は、メータ読取部18が読み取った指示値と、識別情報とを紐付けた帳票を作成する。
【0026】
電力量算出部20は、撮像部11により撮像された電力量メータ32のカウント値及び単位を読み取り、記憶部15に記憶する。そして、電力量算出部20は、記憶部15に記憶されたカウント値と、撮像部11により撮像された電力量メータ32のカウント値とに基づいて、電力量を算出する。電力量は、読み取った単位により換算する。
【0027】
停止判定部21は、撮像部11により撮像された電源設備の状態を示す表示に基づいて、停止中を判定する。この停止判定は、例えば、撮像部11が撮像したサインボード5の文字を認識することにより行う。
【0028】
漏れ判定部22は、あらかじめ登録された識別情報に基づいて、撮像部11による撮像漏れを判定する。例えば、特定のメータ名称に対応する測定値が読み取られていない場合には、撮像漏れがあったと判定する。
【0029】
妥当性判定部23は、メータ3の指示値が、あらかじめ設定されたしきい値を逸脱しているか否かを判定する。なお、しきい値としては、記憶部15に記憶された履歴の指示値を用いることもできる。警報出力部24は、妥当性判定部23により、しきい値を逸脱していると判定された場合に、警報を出力する。
【0030】
表示制御部25は、表示部13に表示させる情報を制御する処理部である。この情報は、撮像された画像、帳票、区別表示、漏れ表示、警報表示、登録画面、さらに、記憶部15に記憶された各種の情報を含む。この表示制御部25によって、表示部13は各情報の表示部として機能する。
【0031】
登録部26は、複数種類の識別情報を階層的に登録する。例えば、建物名称、電気室名称、盤名称、メータ名称のように階層化された複数の識別情報を登録する。なお、上記の各部の処理の詳細は、以下の監視作業において説明する。
【0032】
[登録処理]
次に、監視装置100に、あらかじめ監視対象の識別情報を登録する処理を、
図3の登録画面例を参照して説明する。この登録は、表示制御部25が表示部13に表示した登録画面から、入力部14を用いて入力した情報を、登録部26が記憶部15に記憶することにより行う。
【0033】
(1)建物名称の登録
建物名称のテキストボックスに、建物の名称を記載する。複数の建物がある場合、追加ボタンを選択して、テキストボックスの欄を下に新規に表示させ、次の建物の名称を記載する。このようにして建物名称を必要数まで登録する。
【0034】
(2)電気室名称の登録
電気室名称のテキストボックスに、電気室の名称を記載する。複数の電気室がある場合、追加ボタンを選択してテキストボックスの欄を下に新規に表示させ、次の電気室の名称を記載する。このようにして電気室名称を必要数まで登録する。
【0035】
(3)電気室と建物の紐付け
登録した建物名称と電気室名称とを紐付け、電気室がどの建物内にあるのかを関係付ける。これは、電気室名称のテキストボックスの隣の「建物名称を選んでください」の欄における横のボタンを選択すると、登録された建物名称がプルダウンメニューで表示されるので、そのいずれかを選択することにより行う。
【0036】
(4)盤名称の登録
盤名称のテキストボックスに、制御盤Sの盤名称を記載する。複数の制御盤Sがある場合、追加ボタンを選択してテキストボックスの欄を下に新規に表示させ、次の制御盤Sの名称を記載する。このようにして盤名称を必要数まで登録する。
【0037】
(5)盤と電気室の紐付け
登録した電気室名称と盤名称とを紐付け、制御盤Sがどの電気室内にあるのかを関係付ける。これは、盤名称のテキストボックスの隣の「電気室名称を選んでください」の欄における横のボタンを選択すると、登録された電気室名称がプルダウンメニューで表示されるので、そのいずれかを選択することにより行う。
【0038】
(6)系統名称の登録
系統名称のテキストボックスに、系統の名称を記載する。系統は、制御盤Sが管理する電力消費機器である。複数の系統がある場合、追加ボタンを選択してテキストボックスの欄を下に新規に表示させ、次の系統の名称を記載する。このようにして系統名称を必要数まで登録する。
【0039】
(7)系統と盤との紐付け
登録した盤名称と系統名称とを紐付け、系統がどの盤で管理されているのかを関係付ける。これは、系統名称のテキストボックスの隣の「盤名称を選んでください」の欄における横のボタンを選択すると、登録された盤名称がプルダウンメニューで表示されるので、そのいずれかを選択することにより行う。
【0040】
(8)メータ名称の登録
メータ名称のテキストボックスに、メータの名称を記載する。複数のメータがある場合、追加ボタンを選択してテキストボックスの欄を下に新規に表示させ、次のメータの名称を記載する。このようにしてメータ名称を必要数まで登録する。
【0041】
(9)メータと系統との紐付け
登録した系統名称とメータ名称とを紐付け、メータがどの系統を管理しているのかを関係付ける。これは、メータ名称のテキストボックスの隣の「系統名称を選んでください」の欄における横のボタンを選択すると、登録された系統名称がプルダウンメニューで表示されるので、そのいずれかを選択することにより行う。
【0042】
(10)単位を選ぶ
「単位を選んでください」の欄のボタンを選択すると、A、V、W、Hz、Var、kWhなど標準的な単位がプルダウンメニューで表示されるので、そのいずれかを選択することにより行う。
【0043】
(11)ポイント種別を選ぶ
「ポイント種別を選んでください」の欄のボタンを選択すると、電流、電圧、電力、周波数、無効電力、電力量など、標準的な単位の種類であるポイント種別がプルダウンメニューで表示されるので、そのいずれかを選択することにより行う。
【0044】
(12)レンジの上限、下限を設定する
レンジの下限値、上限値の欄に、メータのレンジの下限値、上限値を入力する。ボタンを選択すると、標準的な数値がプルダウンメニューで表示されるので、そのいずれかを選択することにより行う。
【0045】
(13)妥当性監視のしきい値の上限、下限を設定する。
妥当性の下限値、上限値の欄に、妥当性判定の下限値、上限値を入力する。ボタンを選択すると、標準的な数値がプルダウンメニューで表示されるので、そのいずれかを選択することにより行う。
【0046】
以上のように、登複数種類の識別情報が階層的に登録される。このように登録された識別情報に基づいて、以下の監視作業を行う。
【0047】
[監視作業]
本実施形態の監視装置100を使用して、作業者が監視盤Sを監視する作業を、
図1〜
図3に加えて、
図4のフローチャート、
図5、
図6の説明図を参照して説明する。
【0048】
まず、作業員が監視装置100を持ち、
図1に示すように、撮像部11の視野範囲にメータ3及びネームプレート4が入り、これらがライブビュー画像に表示されるように、監視盤Sの正面に撮像部11を向けることにより撮像する(ステップS101)。なお、サインボード5が貼り付けてある場合には、そのサインボード5も視野に入るように撮像する。撮像は、対象となる建物の電気室における全てのメータ3に対して連続して行う。
【0049】
そして、登録されている建物数及び登録されている電気室数だけ処理を繰り返すループに入る(ステップS102、S103)。識別情報読取部17は、撮像された画像に基づいて、サインボード5の領域から文字を認識することにより、識別情報を検出する(ステップS104)。例えば、
図1の例では、「高圧配電盤52F08(×××棟)」であることを検出する。
【0050】
メータ読取部18は、撮像された画像に基づいて、メータ3の指示値を読み取ることにより、測定値を検出する(ステップS105)。この検出は、以下のように行う。まず、解析部16により、メータ3の外枠の四角形又はメータ3の表示部分の円形について、本来の外形と撮像部11により撮像した表示上での歪みを演算し、正面から撮像した状態に修正されているものとする。以下、電流メータ31の測定値の検出例を、
図5を参照して説明する。
【0051】
レンジ判定部18aは、メータ3の目盛り部分を読み込み、目盛りの最大値及び最小値をレンジとして検出する。ここで、最大値及び最小値は、目盛りの角度の最大値及び最小値、目盛りの数値の最大値及び最小値を含む。角度は、目盛りに描かれた円の中心から、鉛直方向に下した線を基準とする。数値については、単位も読み取る。例えば、電流メータ31であれば、アンペア(A)を読み取る。また、角度判定部18bは、指示針の角度を判定する。そして、算出部18cは、レンジと指示針の角度とに基づいて、指示針が指す指示値を算出する。
【0052】
このような指示値の具体的な算出例を説明する。まず、
図5に示すように、電流メータ31の目盛りの角度範囲は45°〜315°、目盛りの数値範囲は0〜200である。また、指示針の角度が150°であるとする。すると、α=45°/360°、β=315°/360°、γ=150°/360°、a=0[A]、b=200[A]となり、以下の式によって、指示針の指示値IND=77[A]を求めることができる。
【0053】
IND={(γ―α)/(β―α)}×(b−a) 式(1)
【0054】
なお、
図6に示すように、撮像部11が電力量メータ32を撮像した場合、電力量算出部20は、電力量メータ32のカウント値及び換算単位を読み取り、読み取り時刻を示すタイムスタンプを付して記憶部15に記憶する。
図6の例では、2154.1のカウント値と、×10kwhの乗率及び単位を読み取る。そして、記憶部15に記憶された同一電力量メータ32の過去のカウント値と、現在読み取ったカウント値との差分を求め、乗率及び単位により換算することにより、電力の使用量を算出する。例えば、前回のカウント値と今回のカウント値の差分とタイムスタンプから、以下の式により、60分間隔での電力の使用量を演算する。
【0055】
電力使用量=(Δカウント値(今回カウント値−前回カウント値)/Δ時間(前回計測時刻(分)−今回計測時刻(分)))×60
【0056】
停止判定部21は、撮像部11により撮像された画像から、サインボード5の有無を検出する。サインボード5がある場合には、停止中、メンテナンス中等の文字を認識する(ステップS106)。
【0057】
帳票作成部19は、上記のように読み取った識別情報、検出した値を紐付けて、帳票を作成する(ステップS107)。例えば、検出した数値を、XX盤のYY系統のZZメータといった階層化された帳票を作成する。また、あらかじめ登録された情報から、建屋や電気室名も紐づける。
【0058】
妥当性判定部23は、検出した数値が、あらかじめ設定されたしきい値を逸脱しているか否かを判定する(ステップS108)。しきい値は、上限値及び下限値に対して、パーセンテージで示す場合と絶対値で示す場合を選択して登録してもよい。例えば、0〜100Aの電流メータ31の場合、パーセンテージが2%と設定すると、2Aから98Aが妥当性のある値であり、絶対値で5Aと設定すれば、5Aから95Aが妥当な値となる。また、上限値及び下限値をそれぞれ個別に設定してもよい。
【0059】
しきい値からの逸脱がなく(ステップS108のYES)、正常値である場合には、そのまま記憶部15に記憶する(ステップS109)。あらかじめ設定されたしきい値を逸脱しているが(ステップS108のNО)、サインボード5が存在し、停止中又はメンテナンス中であることが判明している場合には(ステップS110のYES)、当該データにメンテナンス中であることを示す表示を付加する(ステップS111)。
【0060】
また、サインボード5が存在しない場合には(ステップS110のNО)、異常値であるとして、警報出力部24が警報を出力する(ステップS112)。警報は、表示制御部25により表示部13に、データに異常値であることを知らせる表示をさせる。また、音声出力部12に、異常値を知らせる音声を出力させる。
【0061】
帳票作成部19は、上記のデータを帳票として記憶部15に保存する(ステップS113)。帳票は、監視画面として表示部13に表示される(ステップS114)。なお、既に表示部13に表示されている内容は、逐次更新される。
【0062】
各データは、撮像して検出した年月日時分(yyyy/mm/dd hh:mm:)の順で、以下のように保存、表示する。ソートや検索を、表計算ソフトのような汎用のアプリケーションソフトで行うことができるようにしてもよい。
yyyy/mm/dd hh:mm:s1 A棟 3階電気室2 一般動力No.1 空調機A 12A (電流)
yyyy/mm/dd hh:mm:s5 A棟 3階電気室2 一般動力No.1 空調機 B 8A (電流)
yyyy/mm/dd hh:mm:s9 A棟 3階電気室2 一般電灯No.1 事務照明 A メンテ中 (電流)
yyyy/mm/dd hh:mm:ss A棟 3階電気室2 一般電灯No.1 共用照明A 8A異常 (電流)
【0063】
なお、漏れ判定部22が、所定期間保存されなかったメータ3の情報に対して、表示制御部25により表示部13が、帳票上で別色で表示するなど、注意を促す漏れ表示を行う。作業者が、入力部14により巡回終了などのトリガとなる表示を選択した場合に、この漏れ判定を行い、警報出力部24が表示部13や音声出力部12に警報を発するように指示してもよい。
【0064】
また、設備の停止や点検・メンテナンスによって正常な数値を得られない場合、巡回終了時に、データの認識不足によって保存ができなかった事象と区別する必要がある。この判断材料として、上記のようなサインボードを認識することで、この系統のメータ認識を止め、アスタリスク等の特定の区別表示を入れて保存してもよい。
【0065】
さらに、登録されたメータ数を網羅しているかを判定し(ステップS115)、電気室内の全メータ3を読み取っていない場合には(ステップS116のNО)、次のメータ3についてステップS104の処理に戻る。電気室内の全メータ3を読み取った場合には(ステップS116のYES)、登録された電気室数を網羅しているかを判定し(ステップS117)、建物内の全電気室を網羅していない場合には(ステップS118のNО)、次の電気室についてステップS103の処理に戻る。
【0066】
建物内の全電気室を網羅した場合には(ステップS118のYES)、登録された建物数を網羅しているか判定し(ステップS119)、全ての建物を網羅していない場合には(ステップS120のNО)、次の建物についてステップS102の処理に戻る。全てのメータ3、全ての電気室、全ての建物を網羅した場合には(ステップS116のYES、S118のYES、S120のYES)、処理を終了する。
【0067】
収集したデータは、帳票として利用する他に、グラフ化して表示することも可能である。記憶部15に記憶されたデータの履歴は、トレンドの分析などに使用することもできる。さらに、送受信部10によってデータを、サーバや他の情報端末と共有化することにより、電源設備の運用、管理を行うこともできる。
【0068】
[作用効果]
(1)本実施形態は、持ち運び可能な情報端末であって、電源設備に設けられたメータ及び識別標識を撮像する撮像部11と、撮像部11により撮像されたメータ3の指示値を読み取るメータ読取部18と、撮像部11により撮像された識別標識の識別情報を読み取る識別情報読取部17と、指示値及び識別情報を紐付けた帳票を作成する帳票作成部19と、帳票を記憶する記憶部15と、帳票を表示する表示部13とを有する。
【0069】
このため、作業員がメータの指示値を見て逐次記録するのではなく、持ち運びできる情報端末によって撮像することにより、指示値を読み取って帳票として記憶させることができるので、作業員の監視業務の負担を軽減できる。また、大規模な監視制御システムを導入する必要がなく、コストも低減することができる。さらに、監視装置100によって、多数のメータを連続的に撮像することにより、多数のメータの指示値を連続的に読み取って帳票が作成されるので、巡回する順番も意識する必要がない。
【0070】
(2)メータ読取部18は、アナログメータのレンジを判定するレンジ判定部18aと、アナログメータの指示針の角度を判定する角度判定部18bと、レンジと指示針の角度とに基づいて、指示針が指す指示値を算出する算出部18cとを有する。
【0071】
このため、アナログメータの指示値を数値化して、帳票として保存することができるので、作業員が目視で読み取って入力する労力が大幅に軽減される。
【0072】
(3)メータ3の過去の指示値を記憶する記憶部15と、記憶部15に記憶された指示値と、撮像部11により撮像されたメータ3の指示値とに基づいて、電力量を算出する電力量算出部とを有する。
【0073】
このため、メータ3の指示値を読み取ることによって、電力の使用量も算出することができるので、作業効率の向上を図ることができる。
【0074】
(4)撮像部11により撮像された電源設備の状態を示す表示に基づいて、停止中を判定する停止判定部21と、停止判定部21により停止中と判定された場合に、表示部13に表示させる帳票の該当するメータ3の欄に、他の欄と区別した表示する表示部13とを有する。
【0075】
このため、遮断器の停止、点検、メンテナンス中等の何等かの事情により、測定対象外となった設備を認識して、数値の保存対象から除外することができる。除外した欄について、アスタリスク等の記号や文字を入力して区別表示させることにより、撮像漏れでないことを明示することにより、作業員に認識させることができる。
【0076】
(5)指示値が、あらかじめ設定されたしきい値を逸脱しているか否かを判定する妥当性判定部23と、妥当性判定部23により、しきい値を逸脱していると判定された場合に、警報を出力する警報出力部24とを有する。このため、作業員が異常を認識して、早期に対応することができる。
【0077】
(6)複数種類の識別情報を階層的に登録する登録部26を有する。このため、建物、電気室等の単位ごとに監視対象を網羅することができる。
【0078】
(7)あらかじめ登録された識別情報に基づいて、撮像部11による撮像漏れを判定する漏れ判定部22と、漏れ判定部22により撮像漏れと判定されたメータ3を示す情報を表示する表示部13を有する。このため、撮像漏れがあったことを作業員が知ることができ、再度撮像する等の対応が可能となる。
【0079】
[他の実施形態]
本実施形態は、上記のような態様には限定されない。
(1)指示値を読み取るメータは、アナログメータであっても、デジタルメータであってもよい。アナログメータの場合、上記は、目盛りの間隔が均等なメータの例であったが、対数メータのように、目盛りの間隔が均等でない場合にも読み取り可能である。つまり、レンジ判定部18aは、目盛りを複数の領域に区分して、各区分における最小値、最大値及びそれぞれの角度を判定する。そして、角度判定部18bが判定する指示針の角度によって、指示針がどの区分に入っているかがわかり、その角度とその区分の最小値、最大値に基づいて、上記の式(1)により、指示値を求めることができる。
【0080】
(2)電源設備の状態を示す表示は、パイロットランプであってもよい。撮像部がパイロットランプを撮像し、停止判定部は、パイロットランプが点灯している場合には動作中、点灯していない場合には停止中と判定することができる。
【0081】
(3)本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。