特許第6808448号(P6808448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808448
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/322 20060101AFI20201221BHJP
【FI】
   E06B9/322
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-212586(P2016-212586)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-71198(P2018-71198A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】平林 雅勝
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−200153(JP,A)
【文献】 特開平08−165870(JP,A)
【文献】 特開2001−173341(JP,A)
【文献】 米国特許第04869308(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第102006060973(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24−9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸の回転操作を要する遮蔽装置用の操作装置であって、
1本の操作コードにおける引き操作を回転動作に変換するリールと、
前記リールの一方の回転方向については入力ギヤに伝達するとともに、他方の回転方向については前記入力ギヤに非伝達とするワンウェイクラッチと、
前記他方の回転方向に前記リールを付勢して巻き上げ可能とする付勢手段と、
前記入力ギヤに伝達される当該一方の回転方向について、前記駆動軸の回転方向を切り替え可能に伝達する出力ギヤと、
前記駆動軸の回転方向を切り替えるために前記入力ギヤを前記出力ギヤに対してスライドによって相対移動可能に支持する支持手段と、
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記支持手段は、前記リール、前記ワンウェイクラッチ、前記付勢手段、及び前記入力ギヤを支持するキャリアと、前記出力ギヤを支持し前記キャリアをスライドによって相対移動可能に支持するケースと、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記入力ギヤは1つの入力ベベルギヤからなり、前記出力ギヤは前記入力ベベルギヤと個別に噛合可能な一対の入力ベベルギヤからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記付勢手段は、ぜんまいを用いて構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記ケースに空洞状の操作棒が取着され、該操作棒内に当該操作コードが挿通された後に当該操作コードの端部に操作つまみが取着され、
当該操作コードの非操作時に、前記操作つまみが該操作棒の下端に当接する位置まで、前記付勢手段が当該操作コードを前記リールにて巻き上げるよう構成されていることを特徴とする、請求項2、或いは請求項2を引用する請求項3又は4に記載の操作装置。
【請求項6】
前記支持手段は、前記入力ギヤにおける当該一方の回転方向について前記出力ギヤを介して前記駆動軸の回転方向を切り替え可能に伝達する際に、当該切り替え位置を保持可能とする手段を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動軸の回転方向の操作を要する遮蔽装置用の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動軸の回転方向の操作を要する遮蔽装置として、典型的には、横型ブラインドがある。横型ブラインドは、ヘッドボックスから吊り下げられるラダーコードに支持された多数段のスラットを昇降させたり、チルトさせたりすることによって、室内に取り込む日射量の調整が可能となっている。
【0003】
例えば、ラダーコードの下端にボトムレールが配置され、ボトムレールに取着された昇降コードをヘッドボックス内への引き込み、或いはヘッドボックスからの引き出しを行って、ボトムレールを昇降させることによりスラットを昇降させることができる。
【0004】
このような横型ブラインドのうち、無端状の操作コードを用いた操作装置によりスラットの昇降及び角度調節を行う横型ブラインドが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−324572号公報
【特許文献2】特開2016−138441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2のように、無端状の操作コードを用いた操作装置によりスラットの昇降及び角度調節を行う横型ブラインドが知られている。このような横型ブラインドでは、1つの駆動軸(シャフト)に昇降コード用の巻取ドラムとチルト操作用のチルトドラムを並設させた支持部材がヘッドボックス内に配設され、操作装置では無端状の操作コードによる回転を駆動軸(シャフト)に伝達させる仕組みとなっている。
【0007】
しかしながら、無端状の操作コードでは垂下される実質2本のコードの操作となるため、上昇又は下降、或いは正遮蔽又は逆遮蔽に関する誤った操作を行いやすくなり、操作者にとって煩わしさを感じさせることもある。また、無端状の操作コードではその安全性の観点からセーフティ機能を持たせることが要求されることもある。
【0008】
このため、操作装置として、根本的に操作性・安全性を高めることができる技法が望まれる。
【0009】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、操作性・安全性を高めた操作装置により、駆動軸の回転方向の操作を要する遮蔽装置用の操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の遮蔽装置用の操作装置は、駆動軸の回転操作を要する遮蔽装置用の操作装置であって、1本の操作コードにおける引き操作を回転動作に変換するリールと、前記リールの一方の回転方向については入力ギヤに伝達するとともに、他方の回転方向については前記入力ギヤに非伝達とするワンウェイクラッチと、前記他方の回転方向に前記リールを付勢して巻き上げ可能とする付勢手段と、前記入力ギヤに伝達される当該一方の回転方向について、前記駆動軸の回転方向を切り替え可能に伝達する出力ギヤと、前記駆動軸の回転方向を切り替えるために前記入力ギヤを前記出力ギヤに対してスライドによって相対移動可能に支持する支持手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の遮蔽装置用の操作装置において、前記支持手段は、前記リール、前記ワンウェイクラッチ、前記付勢手段、及び前記入力ギヤを支持するキャリアと、前記出力ギヤを支持し前記キャリアをスライドによって相対移動可能に支持するケースと、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の遮蔽装置用の操作装置において、前記入力ギヤは1つの入力ベベルギヤからなり、前記出力ギヤは前記入力ベベルギヤと個別に噛合可能な一対の入力ベベルギヤからなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の遮蔽装置用の操作装置において、前記付勢手段は、ぜんまいを用いて構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の遮蔽装置用の操作装置において、前記ケースに空洞状の操作棒が取着され、該操作棒内に当該操作コードが挿通された後に当該操作コードの端部に操作つまみが取着され、当該操作コードの非操作時に、前記操作つまみが該操作棒の下端に当接する位置まで、前記付勢手段が当該操作コードを前記リールにて巻き上げるよう構成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の遮蔽装置用の操作装置において、前記支持手段は、前記入力ギヤにおける当該一方の回転方向について前記出力ギヤを介して前記駆動軸の回転方向を切り替え可能に伝達する際に、当該切り替え位置を保持可能とする手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、駆動軸の回転方向の操作を要する遮蔽装置用の操作装置として、その操作性・安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による一実施形態の横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。
図2】本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける操作装置の概略構成を示す斜視図である。
図3】本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける操作装置の概略構成を示す分解斜視図である。
図4】(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける操作装置の操作状態を示す平面図である。
図5】(a)乃至(d)は、それぞれ本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける下降操作からボトムレール下限時のスラットを水平状態にするまでの一連の動作を示す側面図である。
図6】(a)乃至(d)は、それぞれ本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける下限時のボトムレール4及びスラット3を水平状態か上昇させるまでの一連の動作を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明による各実施形態の横型ブラインドを説明する。尚、本願明細書中、図1に示す横型ブラインドの正面図に対して、図示上方及び図示下方をスラットの吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を横型ブラインドの左側、及び、図示右方向を横型ブラインドの右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、図1に示す横型ブラインドの正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
【0019】
(全体構成)
駆動軸の回転方向の操作を要する遮蔽装置として、典型的には、横型ブラインドがある。そこで、図1には、本発明による一実施形態の横型ブラインドの概略構成を示している。本実施形態の横型ブラインドでは、前後一対のラダーコード2を吊下するチルトドラム51と、昇降コード10を巻き取り、或いは巻き戻し可能に吊下する巻取ドラム52とを回転可能に支持する支持部材5が、ヘッドボックス1の左右両側及びその中央に配設されている。
【0020】
本実施形態の横型ブラインドは、ヘッドボックス1の左右両側及びその中央から吊下するラダーコード2を介して多数段のスラット3が支持され、そのラダーコード2の下端にボトムレール4が吊下支持されている。ヘッドボックス1は、複数のブラケット6を介して天井面等の取付面へ固定される。
【0021】
また、ヘッドボックス1から、例えば室外側又は室内側のラダーコード2に併設して複数の昇降コード10が垂下され、その昇降コード10の一端にボトムレール4が取着されている。
【0022】
本実施形態の横型ブラインドでは、前後一対のラダーコード2を吊下するチルトドラム51と、昇降コード10を巻き取り、或いは巻き戻し可能に吊下する巻取ドラム52とを回転可能に支持する支持部材5が、ヘッドボックス1の左右両側及びその中央に配設されている。
【0023】
また、各支持部材5におけるチルトドラム51及び巻取ドラム52に、駆動軸11が相対回転不能に挿通されている。
【0024】
この駆動軸11が回転されると、チルトドラム51が回転し、ラダーコード2により吊下支持された多数段のスラット3の角度が調整されるようになっている。また、駆動軸11が回転されると、多数段のスラット3の角度が水平方向に対して略垂直方向にチルトされた後、当該巻取パイプ52による昇降コード10の巻き取り、又は巻き戻しが行われ、ボトムレール4を昇降させることによりスラット3を昇降させることができる。
【0025】
ヘッドボックス1の右端部側には、図2及び図3を参照して詳細は後述するが、操作コード77によって当該駆動軸11の回転を操作する操作装置7が配置される。そして、操作コード77は操作装置7内で自動的に巻き上げ可能に構成される。尚、操作コード77の下端は、操作装置7に対して左右方向に相対的にスライド可能に吊下支持される操作棒8内に挿通された後、操作つまみ9に取着される。
【0026】
従って、操作コード77は操作装置7によって常に巻上力が働いており、操作つまみ9の非操作時には常に、操作つまみ9が操作棒8の下端に当接する位置にある。
【0027】
また、ヘッドボックス1内には、当該駆動軸11の回転をロック可能なブレーキ装置12が設けられる。
【0028】
そして、操作つまみ9を操作することで、当該駆動軸11の回転を操作し、当該支持部材5を介してラダーコード2により吊下支持された多数段のスラット3の角度を調整することや、昇降コード10により多数段のスラット3を昇降させることができる。
【0029】
以下、より具体的に、本実施形態の操作装置7の構成及び動作について説明する。
【0030】
(操作装置)
図2は、本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける操作装置7の概略構成を示す斜視図である。また、図3は、操作装置7の概略構成を示す分解斜視図である。
【0031】
まず、図2を参照するに、操作装置7は、キャリア72、一対の出力ベベルギヤ73a,73b、入力ベベルギヤ74、リール75、ワンウェイクラッチ76、操作コード77、ぜんまいケース78、及びぜんまい79を備えるよう実線で示す下ケース70、及び破線で示す上ケース71によって収容される。また、操作コード77の下端は、操作装置7に対して左右方向に相対的にスライド可能に吊下支持される操作棒8内に挿通された後、操作つまみ9に取着される。
【0032】
続いて、図3を参照しながら、操作装置7の構造を説明する。尚、上ケース71の形状は、下ケース70とほぼ同様とすることができるため、以下の説明では主として下ケース70を基に説明するものとし、図3では上ケース71の図示を省略している。
【0033】
一対の出力ベベルギヤ73a,73bの各々は、互いに同一形状であるが、それぞれ歯すじを回転軸732に対して斜めに形成した歯部731が形成されている。そして、一対の出力ベベルギヤ73a,73bの各々における歯部731の両側から、それぞれ短尺及び長尺に突出する回転軸732には、四角棒状の駆動軸11を相対回転不能に挿通する四角孔733が設けられている。
【0034】
そして、一対の出力ベベルギヤ73a,73bの各々は、長尺に突出する回転軸732の先端が図2に示すように互いに当接して対向するよう配置され、それぞれの短尺に突出する回転軸732は、図3に示す下ケース70における支持壁702,703にて回転可能に支持される。これにより、一対の出力ベベルギヤ73a,73bの各々は、各回転軸732に駆動軸11が挿通されて互いに対向するように下ケース70及び上ケース71によって収容されると、前後・左右・上下にガタツキなく支持壁702,703にて回転可能に支持される。尚、図3に示すように、下ケース70(上ケース71も同様)には、駆動軸11との干渉を避けるため、対応する壁部に丸凹704が形成されている。
【0035】
入力ベベルギヤ74は、一対の出力ベベルギヤ73a,73bの各歯部731と噛合可能な歯部741が形成されている。そして、入力ベベルギヤ74における歯部741の両側から、それぞれ短尺に突出する回転軸742が形成され、尚且つ一方の回転軸742には図3に示すように嵌合軸743が伸びている。入力ベベルギヤ74の両側から短尺に突出する各回転軸742は、キャリア72の板状部720から立直する一対の支持壁721,722により回転可能に支持される。尚、入力ベベルギヤ74がキャリア72の一対の支持壁721,722から離脱しないよう上方から支持抑えを行う部材を設けるのが好適である(図示せず)。
【0036】
ワンウェイクラッチ76は、外側ドラム761と内側ドラム762の二重ドラム構造となっており、外側ドラム761が図示右回りに回転するときには内側ドラム762も遅延なく回転するよう伝達されるが、外側ドラム761が図示左回りに回転するときには内側ドラム762は回転せず、外側ドラム761が内側ドラム762に対し空転(相対回転)し回転伝達されないようになっている。
【0037】
そして、入力ベベルギヤ74の一方の回転軸742から延びる嵌合軸743が、ワンウェイクラッチ76における内側ドラム762の嵌合軸孔763に相対回転不能に嵌合するようになっている。
【0038】
ワンウェイクラッチ76は、リール75の回転軸751内に設けられている空洞部751aに収容されるようになっており、尚且つワンウェイクラッチ76における外側ドラム761の外周壁が空洞部751aの周壁に対し相対回転不能に固着される。
【0039】
このため、リール75が図示右回りに回転するときには入力ベベルギヤ74も遅延なく回転するよう伝達されるが、リール75が図示左回りに回転するときには入力ベベルギヤ74は回転しないようになっている。
【0040】
リール75は、図3に示すように、回転軸751に一端を取着した操作コード77を図示左回りに回転するときに巻き取り、図示右回りに回転するときに巻き戻すように構成され、操作コード77の巻き取り量に応じた径の一対の円板体752が、その回転軸751に形成されている。そして、リール75の一方の側面には、上述したように、ワンウェイクラッチ76を収容しその外側ドラム761の外周壁を固着するための空洞部751aが形成されているが、リール75の他方の側面には丸軸753が突出している。この丸軸753は、ぜんまいケース78の丸筒状の本体部781から突出する支持軸783の中心に設けられる透孔783aに対し、相対回転可能に挿通されて支持される。そして、その丸軸753には、ぜんまい79の一端791を係止するための切欠き753aが形成されている。
【0041】
ぜんまいケース78は、丸筒状の本体部781には、ぜんまい79のほぼ全体を収容する収容部781aが形成されるとともに、ぜんまい79の他端792を係止するための切欠き781bが形成されている。そして、リール75の丸軸753がぜんまいケース78の支持軸783の中心に設けられる透孔783aに対し、相対回転可能に挿通されて支持されて、その切欠き753aにぜんまい79の一端791が係止され、尚且つぜんまいケース78における本体部781の切欠き781bにぜんまい79の他端792が係止された状態では、常に、操作コード77を巻き取る方向に付勢力を生じさせるようになっている。
【0042】
ぜんまいケース78の丸筒状の本体部781から突出する支持軸783は、キャリア72の板状部720から立直する支持壁723により支持される。
【0043】
従って、入力ベベルギヤ74、リール75、ワンウェイクラッチ76、ぜんまいケース78、及びぜんまい79は、キャリア72に対して直接又は間接的に支持されている。
【0044】
キャリア72の板状部720には、本例では六角筒状の操作棒8の上端を下方から固着するための固着孔725が形成されており、リール75の回転軸751に一端を取着されて垂下される操作コード77の他端は、この固着孔725に固定される操作棒8内に挿通された後、操作つまみ9に取着される。
【0045】
また、キャリア72の板状部720の下面には丸脚724が適所に形成され、下ケース70の底部701に載置される。このとき、下ケース70(上ケース71も同様)の底部701には、操作棒8の六角状の最大径より十分に大きい丸孔状の透孔707a,707bを連結した略メガネ状の透孔707が形成されており、この透孔707a又は707bに操作棒8が挿通されると、操作棒8が透孔707aと透孔707bとの間で狭圧して移動可能にしている。
【0046】
そして、キャリア72の板状部720は、下ケース70の周囲の側壁及び支持壁702,703,705により前後にガタツキなく収容される。
【0047】
一方で、ぜんまいケース78における本体部781には、左右方向に一対の四角棒体782が形成されている。この一対の四角棒体782は、図3に示す下ケース70(上ケース71も同様)における支持壁705にて左右方向のスライドを許容するよう支持され、同じく本体部781も下ケース70(上ケース71も同様)における支持壁706にて左右方向のスライドを許容するよう支持される。尚、ぜんまいケース78は、下ケース70及び図示しない上ケース71によって左右方向のスライドは許容されるが、相対回転不能に支持される。これにより、キャリア72は、前後・上下にガタツキなく収容され、左右方向のスライドのみが許容される。
【0048】
また、操作棒8が透孔707aに位置して、キャリア72の板状部720が下ケース70の底部701に載置されている状態では、入力ベベルギヤ74の歯部741が出力ベベルギヤ73aの歯部731と噛み合うが、出力ベベルギヤ73bの歯部731とは噛み合わないようになっている。
【0049】
同じく、操作棒8が透孔707bに位置して、キャリア72の板状部720が下ケース70の底部701に載置されている状態では、入力ベベルギヤ74の歯部741が出力ベベルギヤ73bの歯部731と噛み合うが、出力ベベルギヤ73aの歯部731とは噛み合わないようになっている。
【0050】
これにより、操作棒8の左右方向のスライド操作でキャリア72が同方向へ移動し、出力ベベルギヤ73a,73bの歯部731一方へと入力ベベルギヤ74の歯部741の噛合を切り替えることができる。そして、操作棒8が透孔707aと透孔707bとの間で狭圧して移動可能にしているため、操作棒8が透孔707a(又は707b)に位置するとき状態を安定化させることができるとともに、当該切り替えに係る操作にクリック感を持たせることができる。
【0051】
操作棒8が透孔707bに位置しているときの操作装置7の平面図を図4(a)に、操作棒8が透孔707aに位置しているときの操作装置7の平面図を図4(b)に示している。
【0052】
図4(a)に示すように、操作装置7において操作棒8を右方へスライド操作を行ったときを示しており、この状態を「右操作端」として称することとするが、操作棒8が透孔707bに位置してキャリア72が右方にスライドされる(白抜き矢印)。すると、キャリア72に載置される入力ベベルギヤ74、リール75、ワンウェイクラッチ76、ぜんまいケース78、及びぜんまい79は、下ケース70に対し相対的に右寄りに位置して、入力ベベルギヤ74の歯部741が出力ベベルギヤ73bの歯部731と噛み合うが、出力ベベルギヤ73aの歯部731とは噛み合わないようになる。
【0053】
従って、図4(a)に示すように、操作装置7において操作棒8を右操作端へとスライド操作した後、操作コード77の引き出し操作でリール75を図示矢印方向に回転させると、駆動軸11は図示矢印方向(逆回転)に回転するよう伝達される。
【0054】
同様に、図4(b)に示すように、操作装置7において操作棒8を左方へスライド操作を行ったときを示しており、この状態を「左操作端」として称することとするが、操作棒8が透孔707aに位置してキャリア72が左方にスライドされる(白抜き矢印)。すると、キャリア72に載置される入力ベベルギヤ74、リール75、ワンウェイクラッチ76、ぜんまいケース78、及びぜんまい79は、下ケース70に対し相対的に左寄りに位置して、入力ベベルギヤ74の歯部741が出力ベベルギヤ73aの歯部731と噛み合うが、出力ベベルギヤ73bの歯部731とは噛み合わないようになる。
【0055】
従って、図4(b)に示すように、操作装置7において操作棒8を左操作端へとスライド操作した後、操作コード77の引き出し操作でリール75を図示矢印方向に回転させると、駆動軸11は図示矢印方向(正回転)に回転するよう伝達される。
【0056】
このように、本実施形態の操作装置7は、操作棒8を左操作端へとスライド操作するか、右操作端へとスライド操作するかによって、操作コード77の引き出し操作のみで駆動軸11の回転方向を切り替えることができる。
【0057】
また、操作つまみ9を用いて操作コード77の引き出し操作後に操作つまみ9を手放すと、操作コード77は操作装置7内でリール75にて自動的に巻き上げられるため、非操作時では操作つまみ9が操作棒8の下端へと定常的に位置するようになる。
【0058】
(全体動作)
次に、図5及び図6を参照して、本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける全体動作を説明する。
【0059】
図5(a)乃至(d)には、それぞれ本実施形態の横型ブラインドにおける下降操作からボトムレール4の下限時のスラット3を水平状態にするまでの一連の動作を示している。
【0060】
ボトムレール4が上方に位置してスラット3が畳み込まれていた状態から、図5(a)に示すように、操作棒8を左操作端へとスライド操作した後、操作つまみ9を用いて操作コード77の引き出し操作を行うことで、スラット3を全閉に傾斜させた状態のままボトムレール4を下降させることができる。
【0061】
続いて、図5(b)に示すように、ボトムレール4が所定位置(図示する例では下限位置)に到達した状態で、スラット3を全閉に傾斜させた状態のまま操作つまみ9を手放すと、操作つまみ9が操作棒8の下端へと位置するまで操作コード77が自動的に巻き上げられる。
【0062】
続いて、図5(c)に示すように、スラット3を全閉に傾斜させた状態のまま、操作棒8を右操作端へとスライド操作した後、操作つまみ9を用いて操作コード77の引き出し操作を行うことで、スラット3を任意の角度(図示する例では水平)へと角度調整することができる。
【0063】
続いて、図5(d)に示すように、スラット3を任意の角度(図示する例では水平)の状態のまま操作つまみ9を手放すと、操作つまみ9が操作棒8の下端へと位置するまで操作コード77が自動的に巻き上げられる。
【0064】
続いて、図6(a)乃至(d)には、それぞれ本実施形態の横型ブラインドにおける下限時のボトムレール4及びスラット3を水平状態から上昇させるまでの一連の動作を示している。
【0065】
図6(a)には、スラット3が水平状態で操作棒8を右操作端に位置させている状態を示している。
【0066】
この図6(a)に示す状態から、図6(b)に示すように、操作棒8を右操作端としたまま、操作つまみ9を用いて操作コード77の引き出し操作を行うことで、スラット3を逆方向へ任意の角度(図示する例では逆全閉に傾斜させた状態)へと角度調整することができる。
【0067】
続いて、図6(c)に示すように、例えばスラット3を逆全閉に傾斜させた状態のまま操作つまみ9を手放すと、操作つまみ9が操作棒8の下端へと位置するまで操作コード77が自動的に巻き上げられる。
【0068】
続いて、図6(d)に示すように、操作棒8を右操作端としたまま、操作つまみ9を用いて操作コード77の引き出し操作を行うことで、スラット3を逆全閉に傾斜させた状態のままボトムレール4を上昇させることができる。
【0069】
以上のように、本実施形態の横型ブラインド及びその操作装置7によれば、1つの駆動軸11でスラット3の昇降及び角度調節を行う際に、従来のような無端状の操作コードを用いた操作よりも分かりやすい操作となり、その操作性を高めることができる。
【0070】
また、本実施形態の横型ブラインド及びその操作装置7によれば、従来のような無端状の操作コードを用いた構成とは異なりループ状としていないため、安全性を高めることができる。
【0071】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施形態の例では、横型ブラインドの前方に操作装置7から操作棒8を吊下支持し、操作棒8を左右方向へスライドさせて駆動軸11の回転方向を切り替える例を説明したが、このようなスライド方向は左右方向に限定する必要はない。例えば、横型ブラインドの前方或いは側方に操作装置7を配置して操作棒8を前後方向のスライドで、或いは曲線的、V字的なスライドにより、駆動軸11の回転方向を切り替える構成とすることも可能である。
【0072】
従って、下ケース70に対してキャリア72を相対移動させるスライドは、直線的、曲線的、V字的なスライドを含む。
【0073】
また、上述した実施形態の例では、入出力の回転伝達に関してベベルギヤを例に説明したが、入出力の回転伝達に関して構成するギヤ機構は適宜選択できるとし、これに限定する必要はない。ただし、ベベルギヤを採用することで、操作装置の小型化を容易に実現できる。
【0074】
また、上述した実施形態の例では、主として1つの駆動軸でスラットの昇降及び角度調節を行う横型ブラインドの例を説明したが、このような駆動軸の回転方向の操作を要する遮蔽装置であれば、横型ブラインドに限らず、プリーツスクリーン、ローマンシェード、縦型ブラインドやロールスクリーン等への応用も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、操作性・安全性を高めた操作装置を構成できるので、駆動軸の回転方向の操作を要する遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0076】
1 ヘッドボックス
2 ラダーコード
3 スラット
4 ボトムレール
5 支持部材
7 操作装置
8 操作棒
9 操作つまみ
70 下ケース
71 上ケース
72 キャリア
73a,73b 出力ベベルギヤ
74 入力ベベルギヤ
75 リール
76 ワンウェイクラッチ
77 操作コード
78 ぜんまいケース
79 ぜんまい
図1
図2
図3
図4
図5
図6