【文献】
安田 洋▲祐▼,マーケットデザインの理論とビジネスへの実践,一橋ビジネスレビュー,東洋経済新報社,2013年 6月20日,61巻 1号,pp.6-21
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記算定部は、前記配信対象のコンテンツの入稿元への課金額が、前記他のコンテンツに設定された入札価格に基づいて定まる課金額より低い場合には、当該入札価格に基づいて定まる課金額を前記配信対象のコンテンツの入稿元への課金額として算定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の算定装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願にかかる算定装置、算定方法および算定プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態により本願にかかる算定装置、算定方法および算定プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.課金額算定処理〕
以下では、
図1を用いて、実施形態にかかる課金額算定処理の一例について説明する。
図1は、実施形態にかかる課金額算定処理の一例を示す図である。
図1では、算定装置の一例である広告装置200によって課金額算定処理が行われる例を示す。
【0012】
まず、
図1に示すシステム1は、端末装置10と、コンテンツサーバ100と、広告装置200とを含む。端末装置10、コンテンツサーバ100、広告装置200は、ネットワークを介して有線または無線により通信可能に接続される。なお、
図1に示すシステム1には、複数台の端末装置10や、複数台のコンテンツサーバ100や、複数台の広告装置200が含まれてもよい。
【0013】
端末装置10は、ユーザによって利用される情報処理装置である。また、端末装置10は、例えば、スマートフォン等の携帯電話機や、タブレット端末や、PDA(Personal Digital Assistant)や、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PC等である。
【0014】
ここで、実施形態にかかる広告コンテンツ(コンテンツの一例)は、検索連動型広告(リスティング広告とも呼ばれる)であるものとする。このような場合、端末装置10は、ユーザに入力された検索クエリに対応する検索結果が一覧表示される検索結果ページの配信要求をコンテンツサーバ100に送信する。
【0015】
そして、端末装置10は、コンテンツサーバ100により配信された検索結果ページに広告コンテンツが表示される領域である広告枠が含まれている場合には、かかる広告枠に表示させる広告コンテンツを取得するための配信要求を広告装置200に送信する。例えば、端末装置10は、ユーザに入力された検索クエリに対応する広告コンテンツを表示させるために、かかる検索クエリを含む配信要求を広告装置200に送信する。そして、端末装置10は、広告装置200から受け付けた広告コンテンツが広告枠に表示されるように検索結果ページを表示する。
【0016】
なお、広告コンテンツの形態は、検索連動型広告に限定されるものではなく、例えば、バナー広告等であってもよい。また、以下で詳細に説明するが、実施形態にかかる広告装置200は、広告コンテンツが1回選択された際に、かかる広告コンテンツの入稿元である広告主へ請求する課金額の単価である課金額単価(CPC:Cost Per Crick)を算定する。したがって、実施形態にかかる広告コンテンツは、クリック課金型広告でもある。
【0017】
コンテンツサーバ100は、ユーザによって入力された検索クエリに対応する検索結果が一覧表示される検索結果ページを端末装置10に配信するサーバ装置である。また、検索結果ページには、例えば、検索クエリに対応する広告コンテンツが表示される広告枠が設けられている。
【0018】
広告装置200は、広告コンテンツの配信処理および広告主に対して請求する課金額を算定する課金額算定処理を行うサーバ装置である。例えば、広告装置200は、端末装置10から検索クエリを含む配信要求を受信すると、かかる検索クエリに対応する広告コンテンツの中から、配信対象の広告コンテンツを特定する。また、広告装置200は、特定した配信対象の広告コンテンツそれぞれの広告主に対して請求する課金額の単価である課金額単価を算定する。
【0019】
ここで、課金額単価を算定する際に起こり得る問題について一例を用いて説明する。例えば、セカンドプライスオークション(GSP:Generalized Second-Price auction)方式を用いて、広告主への課金額単価が算定される場合がある。GSP方式とは、各広告主により設定された入札価格(Bid価格とも呼ばれる)に基づいて、各広告主に対して順位付けを行い、付与された順位に基づいて、各広告主への課金額単価を算定するといったものである。より具体的に説明すると、GSP方式とは、順位iの広告主に対して、順位i+1の広告主により設定された入札価格を課金額単価として算定する。
【0020】
ここで、GSP方式では、例えば、広告主による意図的な操作が行われることで、各広告主に対して算定される課金額単価に不公平が生じるといった問題が起こる場合がある。この点について、広告装置200が有する広告情報記憶部221の例を用いて説明する。
【0021】
まず、広告情報記憶部221について簡単に説明する。広告情報記憶部221は、広告コンテンツおよび広告主による設定に関する各種情報を記憶する記憶部である。
図1の例では、広告情報記憶部221は、「広告主」、「広告コンテンツ」、「入札価格」、「ターゲティング情報」といった項目を有する。
【0022】
「広告主」は、対応する「広告コンテンツ」を入稿した入稿元を示す。「広告コンテンツ」は、対応する「広告主」によって入稿された広告コンテンツを示す。「入札価格」は、広告主が広告コンテンツを入稿する際に指定する広告料金を示す。例えば、「入札価格」は、広告コンテンツがユーザに1回クリックされた際に、広告装置200が広告主に対して請求する課金額の単価である課金額単価(CPC)を算定する際に用いられる。また、実施形態にかかる「入札価格」は、広告主が支払い可能な課金額単価の上限を示す。
【0023】
「ターゲティング情報」は、どのような検索クエリに対して広告コンテンツを配信させるかといった条件情報を示す。一例を示すと、広告配信要求に含まれる検索クエリに一致するターゲティング情報が指定されている広告コンテンツが、かかる広告配信要求に応じて配信される。なお、検索クエリとターゲティング情報とのマッチングは、完全一致であってもよいし部分一致であってもよい。
【0024】
ここで、入札価格が高い広告コンテンツほど高い順位が付与され、付与された順位が高い広告コンテンツほどより閲覧され易い位置に表示される場合、および、広告主への課金方式としてGSP方式が採用される場合を想定する。
【0025】
このような場合において、配信対象の広告コンテンツとして広告コンテンツAD11、AD21およびAD31が特定されたものとする。かかる場合、広告主C1、C3、C4、C5と比較して圧倒的に高い入札価格「250円」を設定している広告主C2の広告コンテンツAD21に、順位「1位」が付与されることにより、広告コンテンツAD21が最も閲覧され易い位置に表示されることになる。また、順位「2位」は広告コンテンツAD31、順位「3位」は広告コンテンツAD11であったものとする。
【0026】
かかる場合、GSP方式により広告主C2への課金額単価として、広告コンテンツAD21の次順位(2位)の広告コンテンツAD31の広告主C3により設定された「50円」が算定される。つまり、GSP方式では、広告主C2が設定している入札価格「250円」より圧倒的に安い課金額単価が算定される。
【0027】
以上説明した例では、広告主C2が、GSP方式により次順位の広告主によって設定された課金額単価が自身への課金額単価として算出されることを見越して、支払いを自身が設定した入札価格よりも安く済むようにさせることに加えて、より良い位置に自身の広告コンテンツが表示されるように、他の広告主との入札価格競争が成立しないほどに高い入札価格をあえて設定していることが伺える。つまり、広告主C2は、GSP方式の特性を悪用しようとしている可能性がある。
【0028】
このように、GSP方式により算定された課金額単価に基づいて、課金が行われる場合、上記のように、GSP方式の特性を逆手に取って他の広告主に圧力をかけるとともに、低価格でより良い広告掲載位置を獲得できるような入札価格設定が行われるといった問題が起こる場合がある。また、このような問題では、正当に入札価格を設定している広告主から見れば、不満や不公平感が生じる。したがって、GSP方式では、必ずしも広告主間で正当な課金額単価が算定されるとは限らない。
【0029】
そこで、実施形態にかかる広告装置200は、このような問題を解消するために、広告コンテンツに設定された入札価格に対する、当該広告コンテンツとは異なる他のコンテンツに設定された入札価格に基づいて定まる課金額(GSP方式で算出された課金額)の割合である課金率を算出する。そして、広告装置200は、算出した課金率に基づく所定の情報を用いて、配信対象の広告コンテンツの広告主への課金額を算定する。なお、ここでの課金額とは、課金額単価(CPC)である。以下では、かかる課金額算定処理の一例について説明する。
【0030】
まず、ユーザU1が、端末装置10を用いて、所定の検索エンジンに検索クエリ「サッカー」を入力したとする。かかる場合、端末装置10は、検索クエリ「サッカー」に対応する検索結果ページの配信要求をコンテンツサーバ100に送信する。例えば、端末装置10は、検索クエリ「サッカー」を含む検索結果ページ配信要求をコンテンツサーバ100に送信する(ステップS1)。
【0031】
そして、図示しないがコンテンツサーバ100は、検索クエリ「サッカー」に対応するコンテンツを自装置内の記憶部や、連携する他の外部サーバから検索する。そして、コンテンツサーバ100は、検索したコンテンツ毎のタイトルやURLが検索結果として一覧表示される検索結果ページP1を生成する。
【0032】
ここで、検索結果ページP1について説明する。検索結果ページP1には、検索連動型広告が表示される広告枠F1と、検索結果が一覧表示される検索結果領域R1とが含まれる。
図1の例では、1つの広告枠F1は、スペースSP11〜SP13に分けられ、この3つのスペースそれぞれに配信対象の広告コンテンツが表示される。
【0033】
一般に、ユーザは、上から下へと目を通してゆく特性があるため、スペースSP11〜SP13のうち、最も上のスペースSP11に表示される広告コンテンツがユーザに閲覧されたりクリックされる可能性が高く、スペースSP12、SP13と下へ行くほどその可能性は低くなるといえる。したがって、広告主は、自身が入稿した広告コンテンツに入札価格を設定することにより、入札価格競争に参加し、より良い広告掲載位置(
図1の例では、スペースSP11)を勝ち取ろうとする。
【0034】
課金額算定処理の説明に戻り、コンテンツサーバ100は、生成した検索結果ページP1を端末装置10に配信する(ステップS2)。
【0035】
端末装置10は、検索結果ページP1を受け付けると、検索結果ページP1に広告枠F1が含まれていることにより、広告枠F1に表示させる広告コンテンツの配信要求(広告配信要求)を広告装置200に送信する(ステップS3)。例えば、端末装置10は、検索クエリ「サッカー」を含む広告配信要求を広告装置200に送信する。
【0036】
広告装置200は、端末装置10から広告配信要求を受信すると、広告情報記憶部221を参照し、広告配信要求に含まれる検索クエリ「サッカー」と、ターゲティング情報とのマッチングを行い、検索クエリ「サッカー」に一致する広告コンテンツを特定する(ステップS4)。
図1の例では、広告装置200は、検索クエリ「サッカー」に一致するターゲティング情報が設定されている広告コンテンツAD11〜AD41を特定する。
【0037】
次に、広告装置200は、ステップS4で特定した広告コンテンツに対して順位付け(ランキング)を行うことにより、付与した順位に基づいて、配信対象(表示対象ともいえる)の広告コンテンツを特定する(ステップS5)。
図1の例では、検索結果ページP1に含まれる広告枠F1は、3つのスペースSP11〜SP13に分けられているため、広告装置200は、配信対象の広告コンテンツを3つ特定する。
【0038】
本実施形態では、広告装置200は、各広告コンテンツの入札価格に基づいて、各広告コンテンツに順位付けを行う。例えば、広告装置200は、入札価格が高い広告コンテンツほど高い順位を付与する。
図1の例では、広告装置200は、ステップS4で特定した広告コンテンツAD11〜AD41において入札価格が高い順に応じて、広告コンテンツAD21「1位」、広告コンテンツAD31「2位」、広告コンテンツAD11「3位」、広告コンテンツAD41「4位」を付与する。
【0039】
そして、広告装置200は、広告コンテンツAD11〜AD41のうち、順位が高い上位3つの広告コンテンツである、広告コンテンツAD21、AD31、AD11を配信対象の広告コンテンツとして特定する。また、これに対して、広告コンテンツAD41およびAD51は、非配信対象の広告コンテンツである。
【0040】
次に、広告装置200は、GSP方式を採用した場合における課金額単価を、配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11それぞれについて算定する(ステップS6)。GSP方式を採用した場合、広告装置200は、広告コンテンツAD21の広告主C2に対して課金額単価「50円」、広告コンテンツAD31の広告主C3に対して課金額単価「40円」、広告コンテンツAD11の広告主C1に対して課金額単価「32円」を算定する。なお、以下では、GSP方式により算出される課金額単価を「GSP課金額単価」と表記する場合がある。
【0041】
ここで、上記GSP方式にかかる問題点として説明したように、順位「1位」の広告コンテンツAD21の広告主C2の入札価格が「250円」であり、他の広告主の入札価格と比較して圧倒的に高い。したがって、広告主C2が、正当な入札価格を設定しているとはいい難い。にも拘らず、広告コンテンツAD21は、順位「1位」であることから、最も良い広告掲載位置といえるスペースSP11に表示されるうえに、広告主C2への課金額単価は「50円」となり、当初の入札価格「250円」と比較して非常に安くなってしまっている。
【0042】
したがって、広告装置200は、このようにGSP方式の特性を逆手にとって高額入札価格設定が行われることにより、より良い広告掲載位置が当初の入札価格と比較して非常に安い課金額単価(例えば、他の広告主(次順位の広告主)により設定されている正当な入札価格)で獲得されてしまうといった問題を回避するために、続けて、以下の課金額算定処理を行う。
【0043】
具体的には、広告装置200は、広告コンテンツに設定された入札価格に対する、当該広告コンテンツとは異なる他の広告コンテンツに設定された入札価格に基づいて定まる課金額の割合である課金率を算出する。例えば、広告装置200は、配信対象の広告コンテンツの入札価格に対する、当該配信対象の広告コンテンツの次順位の広告コンテンツの入札価格に基づいて当該配信対象の広告コンテンツの広告主に対して定まる課金額(すなわち、GSP方式で算出された課金額)の割合である課金率を算出する(ステップS7)。また、ここでの次順位とは、GSP方式を採用するにあたって、ステップS5において入札価格に基づいて付与された順位から特定されるものである。
【0044】
図1の例では、配信対象の広告コンテンツは、広告コンテンツAD21、AD31およびAD11である。したがって、広告装置200は、例えば、広告コンテンツAD21について次のように課金率を算出する。具体的には、広告装置200は、広告コンテンツAD21に対応するGSP課金額単価「50円」を、広告コンテンツAD21に対応する入札価格「250円」で除算することにより、広告コンテンツAD21の課金率「0.20」を算出する。
【0045】
また、同様にして、広告装置200は、広告コンテンツAD31に対応するGSP課金額単価「40円」を、広告コンテンツAD31に対応する入札価格「50円」で除算することにより、広告コンテンツAD31の課金率「0.80」を算出する。また、広告装置200は、広告コンテンツAD11に対応するGSP課金額単価「32円」を、広告コンテンツAD11に対応する入札価格「40円」で除算することにより、広告コンテンツAD11の課金率「0.80」を算出する。
【0046】
次に、広告装置200は、配信対象の広告コンテンツの課金率に基づく所定の情報を用いて、配信対象の広告コンテンツの広告主への課金額単価を算定する。例えば、広告装置200は、ステップS7で算出した各配信対象の広告コンテンツの課金率から課金率の平均値(所定の情報の一例)を算出し、算出した平均値を用いて、配信対象の広告コンテンツの広告主への課金額単価を算定する(ステップS8)。言い換えれば、広告装置200は、算出した平均値を用いて、配信対象の広告コンテンツそれぞれに対応する入札価格を補正する。なお、以下では、課金率の平均値を「平均課金率」と表記する場合がある。また、補正された入札価格を「補正後入札価格」と表記する場合がある。
【0047】
したがって、
図1の例では、広告装置200は、ステップS7で算出した配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11それぞれの課金率「0.20」、「0.80」、「0.80」を平均して、平均課金率「0.60」を算出する。
【0048】
そして、広告装置200は、平均課金率「0.60」を配信対象の広告コンテンツAD21に対応する入札価格「250円」に乗じることにより、
図1に示すように、配信対象の広告コンテンツAD21の広告主C2への課金額単価「150円」を算定する。つまり、広告装置200は、平均課金率「0.60」を用いて、入札価格「250円」を「150円」へと補正し、この補正入札価格「150円」を広告主C2への最終的な課金額単価として設定する。
【0049】
また、同様にして、広告装置200は、平均課金率「0.60」を配信対象の広告コンテンツAD31に対応する入札価格「50円」に乗じることにより、配信対象の広告コンテンツAD31の広告主C3への課金額単価「30円」を算定する。つまり、広告装置200は、平均課金率「0.60」を用いて、入札価格「50円」を「30円」へと補正し、この補正後入札価格「30円」を広告主C3への最終的な課金額単価として設定する。
【0050】
また、広告装置200は、平均課金率「0.60」を配信対象の広告コンテンツAD11に対応する入札価格「40円」に乗じることにより、配信対象の広告コンテンツAD11の広告主C1への課金額単価「24円」を算定する。つまり、広告装置200は、平均課金率「0.60」を用いて、入札価格「40円」を「24円」へと補正し、この補正後入札価格「24円」を広告主C1への最終的な課金額単価として設定する。
【0051】
そして、広告装置200は、上記のように課金額を設定した後、配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11を端末装置10に配信する(ステップS9)。例えば、広告装置200は、順位「1位」の広告コンテンツAD21をスペースSP11に、順位「2位」の広告コンテンツAD31をスペースSP12に、順位「3位」の広告コンテンツAD11をスペースSP13に表示させるように、これら配信対象の広告コンテンツを端末装置10に配信する。
【0052】
以上説明してきたように、実施形態にかかる広告装置200(算出装置の一例)は、端末装置10から広告配信要求を受け付ける度に、配信対象の広告コンテンツを特定する。そして、広告装置200は、GSP方式を用いて、配信対象の広告コンテンツそれぞれの広告主への課金額単価であるGSP課金額単価を算定する。そして、広告装置200は、配信対象の広告コンテンツの入札価格に対するGSP課金額単価の割合である課金率を配信対象の広告コンテンツそれぞれについて算出し、算出した課金率の平均値である平均課金率を算出する。そして、広告装置200は、平均課金率を用いて、配信対象の広告コンテンツの広告主へ実際に課金する課金額単価(補正後入札価格)を算定する。
【0053】
実施形態にかかる広告装置200は、このような課金額算定処理により、正当な入札価格を設定せず意図的に高額な入札価格を設定することで、より良い広告掲載位置を安く獲得しようとしている広告主に対して、適切な課金額単価を設定することができる。
図1の例では、広告装置200は、広告主C2に対してGSP課金額単価「50円」を設定するのではなく、それよりも高く、かつ、より良い広告掲載位置を獲得するにふさわしい適切と考えられる「150円」を設定することができる。
【0054】
また、広告装置200は、正当な入札価格を設定していると考えられる広告主C3に対しては、GSP課金額単価「40円」と大差ない「30円」を設定することができる。同様に、広告装置200は、正当な入札価格を設定していると考えられる広告主C1に対しては、GSP課金額単価「32円」と大差ない「24円」を設定することができる。
【0055】
以上により、実施形態にかかる広告装置200は、悪用しようとしている広告主には、GSP課金額単価より高い適切な課金額単価を設定することができ、正当な入札を行っている広告主には、GSP課金額単価と同等の課金額単価を設定することができるため、課金額単価を公平に算定することができる。
【0056】
〔2.広告装置の構成〕
次に、
図2を用いて、実施形態にかかる広告装置200の構成について説明する。
図2は、実施形態にかかる広告装置200の構成例を示す図である。
図2に示すように、広告装置200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230とを有する。
【0057】
通信部210は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部210は、ネットワークと有線または無線で接続され、端末装置10、コンテンツサーバ100との間で情報の送受信を行う。
【0058】
記憶部220は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図2に示すように、記憶部220は、広告情報記憶部221を有する。
【0059】
(広告情報記憶部221について)
広告情報記憶部221は、広告コンテンツおよび広告主による設定に関する各種情報、さらに、広告コンテンツが配信やクリックされたことによる実績情報等を記憶する。ここで、
図3は、実施形態にかかる広告情報記憶部221の一例を示す図である。
図3の例では、広告情報記憶部221は、「広告主ID」、「広告ID」、「広告コンテンツ」、「入札価格」、「ターゲティング情報」、「CTR」(Click Through Rate)といった項目を有する。
【0060】
「広告主ID」は、広告主または広告主によって広告コンテンツ入稿等に利用される広告主端末を識別するための識別情報を示す。
図1では、図示していないが、実施形態にかかるシステム1には、この広告主端末も含まれてよい。「広告ID」は、広告コンテンツを識別するための識別情報を示す。なお、既に
図1の説明でも示しているが、本実施形態では、広告主および広告コンテンツを区別して表記する場合、「広告主ID」および「広告ID」を用いる場合がある。例えば、広告主ID「C1」によって識別される広告主を広告主C1と表記する。また、例えば、広告ID「AD11」によって識別される広告コンテンツを広告コンテンツAD11と表記する。
【0061】
「広告コンテンツ」は、入稿された広告コンテンツ、すなわち広告コンテンツのデータを示す。
図3の例では、「広告コンテンツ」として、例えば、「DA11」といった概念的な記号を用いているが、実際には、テキスト、画像、動画、URLまたはこれらの格納場所を示すファイルパス名等である。
【0062】
「入札価格」は、広告主が広告コンテンツを入稿する際に指定する広告料金を示す。例えば、「入札価格」は、広告コンテンツがユーザに1回選択(例えば、タップ操作、クリック操作等)された際に、広告装置200が広告主に対して請求する課金額の単価である課金額単価を算定する際に用いられる。また、「入札価格」は、広告主が支払い可能な課金額単価の上限を示す。
【0063】
「ターゲティング情報」は、所定の情報とマッチする広告コンテンツを特定するための条件情報を示す。本実施形態では、「ターゲティング情報」は、ユーザによって入力された検索クエリとマッチ(完全一致、部分一致)する広告コンテンツ特定するために用いられる条件情報であるものとする。しかし、これに限らず、「ターゲティング情報」は、ユーザの属性情報とマッチする広告コンテンツを特定するために用いられる条件情報であってもよい。かかる場合、「ターゲティング情報」として、ユーザの属性情報を示す情報(例えば、20代女性等)が指定される。なお、「ターゲティング情報」は、広告主が広告コンテンツを入稿する際に指定する。
【0064】
「CTR」は、広告コンテンツがクリックされた回数を広告コンテンツの表示回数によって除算した値を示す。なお、端末装置10に配信されたことがない広告コンテンツのCTRには、予め決められている固定値や、広告情報記憶部221に格納されている全ての広告コンテンツにおけるCTRの平均値や、同一の広告カテゴリ(例えば、車、旅行)に属する全ての広告コンテンツにおけるCTRの平均値等が記憶される。また、「CTR」には、CTR予測モデル等から予測される予測CTRが記憶されてもよい。このような予測CTRは、例えば、広告コンテンツの種別や、広告コンテンツが表示されるウェブページの種別等によって予測される。
【0065】
すなわち、
図3の例では、広告主ID「C1」によって識別される広告主が、広告ID「AD11」によって識別される広告コンテンツのデータとして、広告コンテンツ「DA11」を入稿するとともに、かかる広告コンテンツに対して入札価格「40円」、ターゲティング情報「サッカー」を指定している例を示す。また、広告装置200が、広告コンテンツAD11のCTR「0.01」を算出している例を示す。
【0066】
なお、実施形態にかかる広告情報記憶部221は、広告コンテンツ毎に収益期待値(eCPM:effective Cost Per Mille)を記憶してもよい。eCPMは、入札価格とCTRとの乗算により算出することができる。
【0067】
図2に戻り、制御部230は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、広告装置200内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部230は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0068】
図2に示すように、制御部230は、入稿受付部231と、受信部232と、特定部233と、算出部234と、算定部235と、配信部236、課金部237とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。制御部230の内部構成は、
図2に示した情報に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部230が有する各処理部の接続関係は、
図2に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0069】
(入稿受付部231について)
入稿受付部231は、広告主から広告コンテンツの入稿を受け付け、受け付けた広告コンテンツを広告情報記憶部221に格納する。具体的には、入稿受付部231は、広告主による入札価格の指定とともに広告コンテンツの入稿を受け付けると、広告主IDと広告IDとを払い出す。そして、入稿受付部231は、広告主IDおよび広告IDに対応付けて、入札価格、広告コンテンツを広告情報記憶部221に格納する。
【0070】
(受信部232について)
受信部232は、端末装置10から広告配信要求を受信する。例えば、受信部232は、ユーザによって指定された検索クエリを含む配信要求を受信する。また、受信部232は、受信した配信要求に含まれる検索クエリを特定部233へ出力する。
【0071】
(特定部233について)
特定部233は、受信部232によって広告配信要求が受信されたことに応じて、配信対象の広告コンテンツを特定する。具体的には、まず、特定部233は、広告情報記憶部221を参照し、検索クエリとターゲティング情報とのマッチングを行い、検索クエリに一致するターゲティング情報が対応付けられている広告コンテンツを特定する。なお、特定部233は、ターゲティング情報としてユーザの属性情報が指定されている場合、検索クエリを入力したユーザの属性情報と、指定されている属性情報とのマッチングをさらに行ってもよい。
【0072】
次に、特定部233は、マッチングにより特定した広告コンテンツに対して順位付けを行うことにより、付与した順位に基づいて、配信対象の広告コンテンツを特定する。例えば、特定部233は、マッチングにより特定した広告コンテンツにおいて、入札価格が高い広告コンテンツほど高い順位を付与する。そして、特定部233は、付与した順位に基づいて、配信対象の広告コンテンツを所定数特定する。例えば、特定部233は、付与した順位が高い上位所定数の広告コンテンツを配信対象の広告コンテンツとして特定する。
【0073】
なお、特定部233は、必ずしも、入札価格に応じて順位付けを行う必要はない。例えば、特定部233は、広告情報記憶部221において各広告コンテンツのeCPMが算出されている場合、eCPMに基づいて、順位付けを行ってもよい。例えば、特定部233は、eCPMが高い広告コンテンツほど高い順位を付与してもよい。
【0074】
さて、ここから特定部233による特定処理について
図1の例を用いて説明する。まず、受信部232によって検索クエリ「サッカー」を含む広告コンテンツ配信要求が受信されたものとする。かかる場合、特定部233は、広告情報記憶部221を参照し、検索クエリ「サッカー」と、ターゲティング情報とのマッチングを行う。これにより、特定部233は、検索クエリ「サッカー」に一致するターゲティング情報が設定されている広告コンテンツAD11〜AD41を特定する。
【0075】
次に、特定部233は、広告コンテンツAD11〜AD41において入札価格が高い順に応じて、広告コンテンツAD21「1位」、広告コンテンツAD31「2位」、広告コンテンツAD11「3位」、広告コンテンツAD41「4位」を付与する。そして、特定部233は、順位が高い上位3つの広告コンテンツである、広告コンテンツAD21、AD31、AD11を配信対象の広告コンテンツとして特定する。ここで、特定部233が、配信対象の広告コンテンツを3つ特定したのは、
図1の例では、広告コンテンツが表示される広告枠F1には、3つの広告コンテンツを表示させることができるためである。
【0076】
(算出部234について)
算出部234は、広告コンテンツに設定された入札価格に対する、当該広告コンテンツとは異なる他の広告コンテンツに設定された入札価格に基づいて定まる課金額の割合である課金率を算出する。
【0077】
具体的には、算出部234は、配信対象のコンテンツに設定された入札価格に対する、広告コンテンツに設定された入札価格に基づいて定まる順位であって広告コンテンツ配信の優先度を示す順位が当該配信対象のコンテンツより低い他の広告コンテンツに設定された入札価格に基づいて当該配信対象のコンテンツの広告主に対して定まる課金額(すなわち、GSP課金額単価)の割合である課金率を算出する。例えば、算出部234は、配信対象の広告コンテンツの入札価格に対する、当該配信対象の広告コンテンツの次順位の広告コンテンツの入札価格(すなわち、GSP課金額単価)の割合である課金率を算出する。
【0078】
また、算出部234は、算出した課金率に基づいて、所定の情報を算出する。例えば、算出部234は、所定の情報として配信対象のコンテンツそれぞれに対応する課金率に基づく課金率の平均値である平均課金率を算出する。なお、算出部234は、所定の情報として配信対象のコンテンツそれぞれに対応する課金率に基づく課金率の中央値、最大値、または、最小値を算出してもよい。
【0079】
(算定部235について)
算定部235は、算出部234により算出された課金率に基づく所定の情報を用いて、配信対象の広告コンテンツの広告主への課金額単価を算定する。具体的には、算定部235は、算出部234により算出された平均課金率を各配信対象の広告コンテンツに対応する入札価格に乗じることにより、各配信対象の広告コンテンツの広告主への課金額単価を算定する。
【0080】
すなわち、算出部235は、平均課金率を用いて、各配信対象の広告コンテンツに対応する入札価格を補正し、補正した補正後入札価格を広告主に対して請求する最終的な課金額単価として設定する。
【0081】
ここで、算出部234および算定部235による課金額単価算定処理は、以下の式(1)および式(2)で表すことができる。例えば、算出部234は、以下に示す式(1)を用いて、平均課金率を算出する。また、算定部235は、以下に示す式(2)を用いて、入札価格を補正する。
【0083】
ここで、式(1)のうち、「γ」は、平均課金率を示す。「i」は、特定部233により付与された入札価格に基づく順位を示す。したがって、「bid
i」は、順位「i」が付与された配信対象の広告コンテンツに対応する入札価格を示す。また、「GSP
i」は、GSP方式を採用した場合における、順位「i」が付与された配信対象の広告コンテンツのGSP課金額単価を示す。「N」は、配信対象の広告コンテンツの数を示す。
【0084】
このように、算定部234は、式(1)を用いて、各配信対象の広告コンテンツに対して算定された課金率を一律に調整する。
【0085】
次に、式(2)のうち、「CPC
i」は、順位「i」が付与された配信対象の広告コンテンツの広告主への課金額単価(補正後入札価格)を示す。「γ」は、式(1)で算出された平均課金率を示す。「bid
i」は、順位「i」が付与された配信対象の広告コンテンツに対応する入札価格を示す。したがって、算出部235は、式(1)で算出した平均課金率γを用いて、入札価格「bid
i」を補正する。
【0086】
次に、
図4を用いて、算出部234および算定部235にかけて行われる課金額算定処理の一例を示す。
図4は、課金額算定処理を説明するための概念図(1)である。なお、
図4に示す概念図は、
図1で示したものと同様である。したがって、
図4(a)に示すように、まず、特定部233によりマッチングされ、そして順位付けされることにより、配信対象の広告コンテンツとして広告コンテンツAD21、AD31、AD11が特定されている。
【0087】
このため、
図4(a)に示す例では、算出部234は、GSP方式を採用した場合における課金額単価であるGSP課金額単価を、配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11それぞれについて算出する。
図4(a)の例では、算出部234は、広告コンテンツAD21の広告主C2に対してGSP課金額単価「50円」、広告コンテンツAD31の広告主C3に対してGSP課金額単価「40円」、広告コンテンツAD11の広告主C1に対してGSP課金額単価「32円」を算出する。
【0088】
図4(b)に移り、次に、算出部234は、配信対象の広告コンテンツの入札価格に対する、当該配信対象の広告コンテンツの次順位の広告コンテンツの入札価格の割合である課金率を算定する。すなわち、算出部234は、配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11それぞれについて、GSP課金額単価を入札価格で除算することにより、課金率を算出する。
【0089】
図4(b)の例では、算出部234は、広告コンテンツAD21に対応するGSP課金額単価「50円」を、広告コンテンツAD21に対応する入札価格「250円」で除算することにより、広告コンテンツAD21の課金率「0.20」を算出する。また、算出部234は、広告コンテンツAD31に対応するGSP課金額単価「40円」を、広告コンテンツAD31に対応する入札価格「50円」で除算することにより、広告コンテンツAD31の課金率「0.80」を算出する。また、算出部234は、広告コンテンツAD11に対応するGSP課金額単価「32円」を、広告コンテンツAD11に対応する入札価格「40円」で除算することにより、広告コンテンツAD11の課金率「0.80」を算出する。
【0090】
次に、算出部234は、上記のように算出した3つの課金率から平均課金率「0.60」を算出する。この際、算出部234は、例えば、上記式(1)を用いることができる。
【0091】
そして、算定部235は、算出部234によって算出された平均課金率を用いて、実際に配信対象の広告コンテンツの広告主に請求する課金額単価を算定する。具体的には、算定部235は、平均課金率「0.60」を配信対象の広告コンテンツAD21に対応する入札価格「250円」に乗じることにより、
図4(b)に示すように、配信対象の広告コンテンツAD21の広告主C2への課金額単価「150円」を算定する。
【0092】
また、同様にして、算定部235は、配信対象の広告コンテンツAD31の広告主C3への課金額単価「30円」、配信対象の広告コンテンツAD11の広告主C1への課金額単価「24円」を算定する。
【0093】
そして、算定部235は、平均課金率を用いて算定した課金額単価を、広告主C2、C3、C1へ実際に請求する課金額単価として設定する。
【0094】
以上のような課金額算出処理によって、広告装置200は、GSP方式の特性を悪用しようとしている広告主に対しては、GSP課金額単価より高い適切な課金額単価を設定することができる。また、広告装置200は、正当な入札を行っている広告主には、GSP課金額単価と同等の課金額単価を設定することができる。
【0095】
また、
図4(b)の例によると、補正後入札価格の合計値は「204」であり、GSP課金額単価の合計値「122」のおよそ1.7倍である。このようなことから実施形態にかかる広告装置200は、一律な平均課金率を用いて入札価格を補正し、補正後入札価格を最終的な課金額単価として設定した場合であっても、収益を損なうことが無い。
【0096】
(配信部236について)
配信部236は、配信対象の広告コンテンツを広告コンテンツ配信要求を送信した端末装置10に配信する。算出部234および算定部235によって行われる課金額算定処理は、広告配信要求が受信される度に行われるものである。したがって、配信部236は、算定部235によって課金額単価が設定された場合に、かかる課金額単価が算定されるきっかっけとなった広告配信要求を送信した端末装置10に対して、配信対象の広告コンテンツを配信する。
【0097】
例えば、
図1の例では、配信部236は、広告コンテンツAD21に順位「1位」、広告コンテンツAD31に順位「2位」、広告コンテンツAD11に順位「3位」をそれぞれ対応付けて、これら配信対象の広告コンテンツをユーザU1の端末装置10に配信する。これにより、端末装置10によって、広告枠F1のスペースSP11に広告コンテンツAD21、スペースSP12に広告コンテンツAD31、スペースSP31に広告コンテンツAD11が配置された検索結果ページP1が表示される。
【0098】
(課金部237について)
課金部237は、算定部235により設定された課金額単価(補正後入札価格)に基づいて、広告配信を行った対価として広告料金を広告主に請求する。例えば、課金部237は、端末装置10から広告コンテンツがクリックされたことを示す情報であるクリック情報を受け付けると、受け付けたクリック情報に基づいて、広告予算残高から課金額単価を差し引く。
図1の例を用いて、より具体的に説明する。
【0099】
図1に示す課金額算定処理は、ユーザU1の端末装置10から送信された1の広告配信要求に応じて、広告装置200により行われたものである。したがって、配信された広告コンテンツAD21、AD31、AD11のうち、例えば、広告コンテンツAD21がユーザU1によってクリックされたとすると、端末装置10は、広告コンテンツAD21が1回クリックされた旨の情報を含むクリック情報を広告装置200に送信する。
【0100】
そして、課金部237は、かかるクリック情報を受信すると、ユーザU1の端末装置10から送信された1の広告配信要求に応じて設定された課金額単価であって広告コンテンツAD21に対応する課金額単価「150円」を特定する。そして、課金部237は、広告コンテンツAD21の広告主C2によって入金されている広告予算残高から課金額単価「150円」を差し引く。
【0101】
また、例えば、1の広告配信要求とは異なるタイミングで、ユーザU1の端末装置10が、広告配信要求を送信した場合、広告装置200は、この広告配信要求に応じて、再度課金額単価算出処理を行う。
【0102】
以上のことから、実施形態にかかる広告装置200は、例えば、各ユーザによって利用用される端末装置10毎に、課金額単価を管理する。具体的には、広告装置200は、各ユーザによって利用される端末装置10毎に、当該端末装置10から広告配信要求を受信する度に、課金額算定処理を行い、算定した課金額単価と、かかる課金額単価を算定するきっかけとなった広告配信要求とを紐付けておく。これにより、広告装置200は、クリック情報を受信した場合に、どのタイミングで算出された課金額単価を差し引くか区別することができる。
【0103】
なお、上記のような紐付は、課金部237によって行われてよい。また、課金額単価と広告配信要求との紐付けは、端末装置10の識別情報および広告配信要求が受信された時刻情報等が用いられる。
【0104】
さて、広告コンテンツがクリックされることにより広告予算残高が減少してゆくと広告主は、再び広告予算を追加入金したり、設定情報を変更する場合がある。ここで、正当とは言い難い高額な入札価格を設定している広告主C2は、次のようなことを行う場合がある。広告主C2は、GSP方式により自身が設定する入札価格より低い課金額単価で広告予算が消費されてゆくことを想定している。
【0105】
しかし、広告装置200による上記課金額算定処理により、実際には、例えば、
図1のように「150円」といった課金額単価が設定されることにより、当初の予定より早く広告予算が消費されることに気付く場合がある。
【0106】
そして、かかる場合、広告主C2は、広告予算の消費を抑えるために入札価格を「250円」から、他の広告主により設定される正当な入札価格付近まで入札価格を下げてくる場合がある。ここで、
図5を用いて、広告主C2が入札価格を下げた場合において算定される課金額単価の移り変わりについて説明する。
図5は、課金額算出処理を説明するための概念図(2)である。
【0107】
まず、
図5(a)に示すように、広告コンテンツAD21の広告主C2が、入札価格を「55円」へと設定し直したとする。ここで、ユーザU1の端末装置10が、検索クエリ「サッカー」を含む広告配信要求を送信したとする。かかる場合、これまでと同様に、特定部233は、受信部232により広告配信要求が受信されたことに応じて、
図5(a)に示すような順位付けを行うとともに、広告コンテンツAD21、AD31、AD11を配信対象として特定する。
【0108】
また、かかる例では、算出部234は、広告コンテンツAD21の広告主C2に対してGSP課金額単価「50円」、広告コンテンツAD31の広告主C3に対してGSP課金額単価「40円」、広告コンテンツAD11の広告主C1に対してGSP課金額単価「32円」を算定する。
【0109】
また、算出部234は、
図5(b)に示すように、広告コンテンツAD21の課金率「0.91」、広告コンテンツAD31の課金率「0.80」、広告コンテンツAD11の課金率「0.80」を算出する。また、これにより算出部234は、平均課金率「0.85」を算出する。
【0110】
したがって、算定部235は、
図5(b)に示すように、広告コンテンツAD21の広告主C2への課金額単価「46円」を算定する。また、算定部235は、広告コンテンツAD31の広告主C3への課金額単価「42円」、広告コンテンツAD11の広告主C1への課金額単価「34円」を算定する。
【0111】
ここで、これまで説明してきた課金額算出処理によって、広告装置200は、GSP方式の特性を悪用しようとしている広告主に入札価格を下げさせることができるため、正当な入札価格での価格競争を活性化させることができる。また、
図5(b)に示すように、補正後入札価格の合計値は「122円」であり、GSP課金額単価の合計値「122円」と同等であることから、広告主C2が入札価格を下げたとしても、広告装置200は、収益を損なうことが無い。
【0112】
〔3.処理手順〕
次に、
図6および
図7を用いて、実施形態にかかる広告装置200が実行する課金額算出処理の手順について説明する。
図6は、実施形態にかかる課金額算定処理を含む全体処理の一例を示すフローチャートである。
図7は、実施形態にかかる課金額算定処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0113】
まず、
図6を用いて、実施形態にかかる課金額算出処理を含む全体処理の一例について説明する。なお、ここでは、広告装置200は、既に広告主から広告コンテンツの入稿や、広告コンテンツに対する各種設定を受け付けているものとする。また、広告コンテンツは、検索連動型広告であるものとする。
【0114】
まず、広告装置200の受信部232は、端末装置10から広告配信要求を受信したか否かを判定する(ステップS101)。受信部232は、広告配信要求を受信していない場合には(ステップS101;No)、受信するまで待機する。一方、受信部232により広告配信要求が受信された場合には(ステップS101;Yes)、特定部233は、広告配信要求に含まれる検索クエリとターゲティング情報とのマッチングを行うことにより、広告コンテンツを絞り込む(ステップS102)。つまり、特定部233は、検索クエリに一致するターゲティング情報が設定されている広告コンテンツを特定する。
【0115】
次に、特定部233は、絞り込んだ広告コンテンツそれぞれに設定されている入札価格に基づいて、絞り込んだ広告コンテンツそれぞれに対して順位付けを行う(ステップS103)。例えば、特定部233は、入札価格が高い広告コンテンツほど、高い順位を付与する。次に、特定部233は、付与した順位に基づいて、配信対象の広告コンテンツを特定する(ステップS104)。例えば、特定部232は、広告枠に表示可能な広告コンテンツの数に応じて、順位が高い上位の広告コンテンツを配信対象として特定する。
【0116】
次に、算出部234および算定部235によって、配信対象の広告コンテンツそれぞれに対して課金額算定処理が行われる(ステップS105)。課金額算定処理の手順については
図7を用いて説明する。そして、最後に、配信部236は、配信対象の広告コンテンツを端末装置10に配信する(ステップS106)。例えば、配信部236は、配信対象の広告コンテンツそれぞれに対して、ステップS103で付与された順位を対応付けて、端末装置10に配信する。
【0117】
なお、図示しないが、課金部237は、広告コンテンツが選択(例えば、タップ操作、クリック操作等)される度に、選択された広告コンテンツについて算定されている課金額単価(ステップS105で算出されたもの)を用いて、課金処理を行う。
【0118】
次に、
図7を用いて、実施形態にかかる課金額算定処理の詳細な流れについて説明する。
図7は、
図6で示したステップS105で行われる課金額算定処理をより詳細に説明するものである。
【0119】
まず、算出部234は、ステップS104で特定された配信対象の広告コンテンツそれぞれに対して、GSP方式を採用した場合のGSP課金額単価を算出する(ステップS201)。算出部234は、GSP方式を採用するにあたって、ステップS103で付与された順位情報を用いる。次に、算出部234は、配信対象の広告コンテンツそれぞれに対して、課金率を算出する(ステップS202)。具体的には、算出部234は、配信対象の広告コンテンツの入札価格に対するGSP課金額単価の割合を課金率として算出する。そして、算出部234は、課金率を平均して平均課金率を算出する(ステップS203)。
【0120】
次に、算定部235は、平均課金額を用いて、各配信対象の広告コンテンツの広告主へ課金する課金額単価を算定する(ステップS204)。具体的には、算定部235は、配信対象の広告コンテンツに対応する入札価格に平均課金額を乗じることにより、かかる入札価格を補正し、補正後入札価格を広告主へ課金する課金額単価として設定する。
【0121】
〔4.変形例〕
上述した実施形態は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態で実施されてよい。そこで、以下では、他の実施形態について説明する。
【0122】
〔4−1.平均課金率について(1)〕
上記実施形態では、広告装置200の算出部234が、配信対象の広告コンテンツの課金率から平均課金率を算出する例を示した。しかし、算出部234は、特定部233による特定処理によって配信対象から外れた非配信対象の広告コンテンツの課金率も算出することにより、配信対象の広告コンテンツそれぞれの課金率および非配信対象の広告コンテンツの課金率とから平均課金率を算定してもよい。
【0123】
また、かかる場合、算出部234は、配信対象の広告コンテンツそれぞれの課金率および非配信対象の広告コンテンツの課金率とに基づく平均課金率を、配信対象の広告コンテンツに設定された入札価格に乗じることにより、広告主へ課金する課金額単価を算定する。この点について、
図1の例を用いて説明する。
【0124】
まず、非配信対象の広告コンテンツについて説明する。例えば、算出部234は、配信対象として特定された広告コンテンツ以外のすべての広告コンテンツを非配信対象に設定してもよい。例えば、
図1に示すように、特定部233によって広告コンテンツAD21、AD31、AD11が配信対象として特定されたとする。かかる場合、算出部234は、広告情報記憶部221に格納されている広告コンテンツのうち、配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11を除く全ての広告コンテンツを非配信対象に設定する。
【0125】
また、この例に限らず、算出部234は、特定部233によるマッチングによって絞り込まれた広告コンテンツのうち、配信対象の広告コンテンツ以外の広告コンテンツを非配信対象に設定してもよい。例えば、
図1に示すように、特定部233によって配信要求に含めれる検索クエリ「サッカー」とターゲティング情報とのマッチングにより、広告情報記憶部221に格納されている広告コンテンツの中から、広告コンテンツAD11〜AD41が絞り込まれたとする。さらに、この絞り込まれた広告コンテンツの中から、特定部233によって上位3つの広告コンテンツAD21、AD31、AD11が配信対象として特定されたとする。
【0126】
かかる場合、算出部234は、配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11以外の広告コンテンツAD41を非配信対象に設定する。
【0127】
また、算出部234は、上記例のように広告コンテンツAD41を非配信対象に設定した場合、配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11に対してだけでなく、非配信対象の広告コンテンツAD41に対してもGSP課金額単価を算出する。
図1の例では、算出部234は、非配信対象の広告コンテンツAD41には順位「4位」が付与されていることから、次順位(5位)の広告コンテンツAD51の入札価格「30円」を、広告コンテンツAD41に対応するGSP課金額単価として算定する。
【0128】
また、これにより、算出部234は、広告コンテンツAD41に対応するGSP課金額単価「30円」を、広告コンテンツAD41に設定された入札価格「32円」で除算することにより、広告コンテンツAD41の課金率「0.90」を算出する。
【0129】
次に、算出部234は、配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11の課金率(0.20、0.80、0.80)および非配信対象の広告コンテンツAD41の課金率(0.90)を平均して平均課金率「0.70」を算出する。したがって、算定部235は、この平均課金率「0.70」を用いて、配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11それぞれの広告主へ実際に請求する課金額単価を算定する。
【0130】
このように、実施形態にかかる広告装置200は、非配信対象となった広告コンテンツについてもGSP方式に基づいて課金率を算出する。そして、広告装置200は、配信対象の広告コンテンツの課金率および非配信対象の広告コンテンツの課金率とから平均課金率を算出し、この平均課金率を用いて、配信対象の広告コンテンツの入札価格を補正する。これにより、広告装置200は、平均課金率の精度を高めることができるため、広告主へ実際に請求する課金額単価を高精度に算定することができる。
【0131】
なお、ここでは、算出部234が、配信対象の広告コンテンツそれぞれの課金率および非配信対象の広告コンテンツの課金率とから平均課金率を算出する例を示したが、算出部234は、例えば、配信対象の広告コンテンツそれぞれの課金率および非配信対象の広告コンテンツの課金率とから課金率の中央値、最大値、または、最小値を算出してもよい。また、かかる場合、算定部235は、この中央値、最大値、または、最小値を、配信対象の広告コンテンツに設定された入札価格に乗じることにより、広告主へ課金する課金額単価を算定する。
【0132】
〔4−2.平均課金率について(2)〕
上記実施形態では、算出部234が、広告コンテンツの配信要求が受信された現時点において配信対象となった広告コンテンツの課金率を算出し、算出した課金率から平均課金率を算出する例を示した。しかし、算出部234は、配信実績に基づいて、課金率を算出することで、平均課金率を算出してもよい。具体的には、算出部234は、過去に配信対象となった広告コンテンツについて課金率を算出し、この課金率から平均課金率を算出する。そして、算定部235は、過去に配信対象となった広告コンテンツに対応する平均課金率を用いて、配信対象の広告コンテンツの広告主へ実際に請求する課金額単価を算定する。この点について、
図1の例を用いて説明する。
【0133】
図1の例では、特定部233は、広告枠F1に表示される対象(配信対象)の広告コンテンツとして、広告コンテンツAD21、AD31、AD11を特定している。かかる場合、算出部234は、例えば、配信ログを参照し、過去に広告枠F1に表示された広告コンテンツを特定する。例えば、算出部234は、過去に広告枠F1に表示された広告コンテンツを配信要求毎に特定する。言い換えれば、算出部234は、過去に受信された各配信要求について、どの広告コンテンツが配信対象となったかを特定する。
【0134】
そして、算出部234は、特定した広告コンテンツに設定されていた入札価格や、特定した広告コンテンツに付された順位情報を取得する。そして、算出部234は、特定した広告コンテンツについて、GSP方式を採用した場合の課金額単価、すなわちGSP課金額単価を算定する。そして、算出部234は、特定した広告コンテンツの課金率を算出し、算出した課金率から平均課金率を算出する。
【0135】
続いて、算定部235は、上記のように配信実績から算出された平均課金率を用いて、配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11それぞれの広告主へ実際に請求する課金額単価を算定する。
【0136】
これにより、実施形態にかかる広告装置200は、平均課金率の精度を高めることができるため、広告主へ実際に請求する課金額単価を高精度に算定することができる。
【0137】
なお、算出部234は、過去に配信対象となった広告コンテンツについて平均課金率を算出する場合、現時点において広告配信を行うために対象となっている広告配信要求(
図1の例では、広告コンテンツAD21、AD31、AD11を配信するきっかけとなった配信要求)よりも過去に受信された配信要求に対応する配信実績であれば、どこまで過去にさかのぼった配信実績を用いるかは任意であってよい。また、例えば、これまでの広告配信でもGSP方式が採用されている場合、配信ログにはGSP課金額単価も含まれていることが考えられる。このような場合、算出部234は、上記のように、配信ログに基づいて、改めてGSP課金額単価を算定しなくてもよい。
【0138】
また、算出部234は、配信実績から算出した課金率と、現在配信対象となっている広告コンテンツの課金率とから平均課金率を算出してもよい。例えば、
図1の例では、算定部234は、配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11それぞれの課金率と、広告枠F1における過去の配信実績から算出した課金率とから平均課金率を算出してもよい。
【0139】
また、算出部234は、過去に配信対象となった広告コンテンツについて課金率を算出し、この課金率から課金率の中央値、最大値、または、最小値を算出してもよい。かかる場合、算定部235は、この中央値、最大値、または、最小値を、配信対象の広告コンテンツに設定された入札価格に乗じることにより、広告主へ課金する課金額単価を算定する。
【0140】
〔4−3.課金額単価について〕
上記実施例では、算定部235が、平均課金率を用いて補正した課金額単価を、広告主に請求する課金額単価として算定する例を示した。しかし、算定部235は、このように配信対象の広告コンテンツの広告主に対して算定した課金額単価が、当該配信対象の広告コンテンツの次順位の広告コンテンツの入札価格より低い場合には、この入札価格を広告主に対して実際に請求する課金額単価としてもよい。具体的には、算定部235は、平均課金率を用いて、配信対象の広告コンテンツの広告主に対して算定した課金額単価が、当該配信対象の広告コンテンツに対応するGSP課金額単価より低い場合には、かかるGSP課金額単価を広告主に対して請求してもよい。
【0141】
例えば、
図4の例では、算定部235は、平均課金率「0.60」を用いて、広告コンテンツAD31の広告主C3へ請求する課金額単価として「30円」を算定している。しかしながら、対応するGSP課金額単価は「40円」となっている。つまり、平均課金率を用いて広告主C3に対して算定された課金額単価は、GSP方式で算出されたGSP課金額単価より低くなっている。このような場合、算定部235は、GSP課金額単価「40円」を、広告主C3へ請求する課金額単価として設定してもよい。
【0142】
このように、実施形態にかかる広告装置200は、補正後入札価格がGSP課金額単価より低くなった場合には、当初のGSP課金額単価を請求することができるため、収益の低下を抑えることができる。
【0143】
〔4−4.平均課金率の適用対象〕
上記実施形態では、算定部235が、算出部234により算出された平均課金率を配信対象の広告コンテンツ全てに適用する例を示した。例えば、算定部235は、特定部233により特定された配信対象の広告コンテンツAD21、AD31、AD11それぞれに対して一律の平均課金率を適用した。
【0144】
しかし、算定部235は、GSP方式の特性を悪用しようとしていると考えられる広告主に対してのみ、上述してきた課金額算定処理を行うようにしてもよい。例えば、
図4(b)に示すように、広告主C2は、他の広告主と比較して高額な入札価格を設定することで、低価格で優位な広告配信を獲得しようとしていると考えられる。つまり、広告主C2は、GSP方式の特性を悪用しようとしていると考えられる。
【0145】
したがって、算定部235は、このような広告主に対してのみ、上述してきた課金額算定処理を行うために、配信対象の広告コンテンツのうち、算出部234により算出された課金率が所定値より低い広告コンテンツを平均課金率を適用する対象から除外する。
図4(b)に示すように、入札価格が高くなるほど、課金率は下がる傾向にある。このため、予め、課金率に閾値が設けられることにより、算定部235は、かかる閾値より低い課金率が対応付けられる広告コンテンツの入札価格を平均課金率で補正する。例えば、閾値「0.50」が設定されている場合、算定部235は、
図4の例では、閾値「0.50」より低い課金率「0.20」が算出されている広告コンテンツAD21に対応する入札価格をを平均課金率「0.60」で補正する。
【0146】
一方、算定部235は、閾値より高い課金率が算出されている広告主には、GSP課金額単価を請求してよい。
図4の例では、算定部235は、閾値「0.50」より高い課金率「0.80」が算出されている広告コンテンツAD31の広告主C3には、GSP課金額単価「40円」を請求する。なお、かかる処理は、算定部235が、広告コンテンツAD31に対応する入札価格「50円」を、広告コンテンツC31の課金率「0.80」で補正することに相当する。また、算定部235は、同様の処理を広告コンテンツC11についても行うことができる。
【0147】
これにより、実施形態にかかる広告装置200は正当でない高額な入札価格を設定することにより、より良い広告掲載位置を獲得した広告主には、相応の対価を払わせることができるとともに、正当な入札を行った広告主には当初のGSP課金額単価を請求することができる。すなわち、広告装置200は、広告掲載位置の質に応じて、公平に課金額単価を算出することができる。
【0148】
〔4−5.平均課金率について〕
また、算出部234は、課金率から平均課金率を算出する場合、所定の課金率を除外し、残りの課金率から平均課金率を算出してもよい。例えば、算出部234は、所定値より低い課金率を除外し、残りの課金率から平均課金率を算出してもよい。また、算出部234は、最も低い課金率を除外し、残りの課金率から平均課金率を算出してもよい。
【0149】
〔5.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態にかかる広告装置200は、例えば
図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図8は、広告装置200の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0150】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0151】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、通信網50を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網50を介して他の機器へ送信する。
【0152】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0153】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0154】
例えば、コンピュータ1000が実施形態にかかる広告装置200として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部230の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部220内のデータが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを、記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、通信網50を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0155】
〔6.その他〕
上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0156】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0157】
また、上述してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0158】
〔7.効果〕
実施形態にかかる広告装置200(算定装置の一例)は、算出部234と、算定部235とを有する。算出部234は、コンテンツ(例えば、広告コンテンツ)に設定された入札価格に対する、当該コンテンツとは異なる他のコンテンツに設定された入札価格に基づいて定まる課金額の割合である課金率を算出する。算定部235は、算出部234により算出された課金率に基づく所定の情報を用いて、配信対象のコンテンツの入稿元への課金額を算定する。
【0159】
これにより、実施形態にかかる広告装置200は、広告主へ課金する課金額単価を公平に算定することができる。
【0160】
また、実施形態にかかる広告装置200において算出部234は、配信対象のコンテンツに設定された入札価格に対する、コンテンツに設定された入札価格に基づいて定まる順位であってコンテンツ配信の優先度を示す順位が配信対象のコンテンツより低い他のコンテンツに設定された入札価格に基づいて配信対象のコンテンツの入稿元に対して定まる課金額の割合である課金率を算出する。
【0161】
このように、実施形態にかかる広告装置200は、GSP方式で定められる課金額に基づく課金率を算出し、その課金率に基づく所定の情報を用いて、配信対象のコンテンツの入稿元への課金額を算定するため、GSP方式の特性を悪用としている入稿元に対して、順位に相応の額を課金することができる。
【0162】
また、実施形態にかかる広告装置200において算定部235は、課金率に基づく所定の情報として、配信対象のコンテンツそれぞれに対応する課金率に基づく課金率の平均値、中央値、最大値、または、最小値を、配信対象のコンテンツに設定された入札価格に乗じることにより、配信対象のコンテンツの入稿元への課金額を算定する。
【0163】
このように、実施形態にかかる広告装置200は、課金率の平均値等の代表値を用いて、配信対象のコンテンツに設定された入札価格を補正するため、例えば、広告主から不満が起こらない程度の妥当な額の課金額を算定することができる。
【0164】
また、実施形態にかかる広告装置200において算定部235は、配信対象のコンテンツに対応する課金率と、非配信対象のコンテンツに対応する課金率とに基づく課金率の平均値、中央値、最大値、または、最小値を、配信対象のコンテンツに設定された入札価格に乗じることにより、配信対象の広告コンテンツの入稿元への課金額を算定する。
【0165】
これにより、実施形態にかかる広告装置200は、平均課金率等の代表値の精度を高めることができるため、広告主へ実際に請求する課金額単価を高精度に算定することができる。
【0166】
また、実施形態にかかる広告装置200において算定部235は、過去に配信対象となったコンテンツに対応する課金率に基づく課金率の平均値、中央値、最大値、または、最小値を、配信対象のコンテンツに設定された入札価格に乗じることにより、配信対象のコンテンツの入稿元への課金額を算定する。
【0167】
これにより、実施形態にかかる広告装置200は、平均課金率等の代表値の精度を高めることができるため、広告主へ実際に請求する課金額単価を高精度に算定することができる。
【0168】
また、実施形態にかかる広告装置200において算定部235は、配信対象のコンテンツの入稿元への課金額が、他のコンテンツに設定された入札価格に基づいて定まる課金額より低い場合には、当該入札価格に基づいて定まる課金額を配信対象のコンテンツの入稿元への課金額として算定する。
【0169】
これにより、実施形態にかかる広告装置200は、収益の低下を抑えることができる。
【0170】
また、実施形態にかかる広告装置200は、受信部232を有する。受信部232は、端末装置10からコンテンツの配信要求を受信する。そして、算出部234は、受信部232により配信要求が受信された場合に、配信要求に応じた配信対象のコンテンツに対して課金率を算出する。
【0171】
このように、実施形態にかかる広告装置200は、広告配信要求が受信される度に、課金額算定処理を行うため、例えば、広告配信要求に含まれる検索クエリや、広告配信要求を送信したユーザの属性情報に応じた課金額算定処理を行うことができる。
【0172】
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0173】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。