特許第6808466号(P6808466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 現代自動車株式会社の特許一覧

特許6808466車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法
<>
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000002
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000003
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000004
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000005
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000006
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000007
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000008
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000009
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000010
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000011
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000012
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000013
  • 特許6808466-車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808466
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   F01P 7/02 20060101AFI20201221BHJP
   B60H 1/10 20060101ALI20201221BHJP
   B60H 1/12 20060101ALI20201221BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20201221BHJP
   F01P 7/12 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   F01P7/02 J
   B60H1/10
   B60H1/12 641A
   B60H1/22 651C
   F01P7/12 C
   F01P7/02 H
   F01P7/02 G
   F01P7/02 E
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-236127(P2016-236127)
(22)【出願日】2016年12月5日
(65)【公開番号】特開2017-180447(P2017-180447A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年7月10日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0038501
(32)【優先日】2016年3月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100199255
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 大幸
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ジョン−ウ
【審査官】 沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−147554(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/129348(WO,A1)
【文献】 特開2006−306226(JP,A)
【文献】 特開2015−214324(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0165896(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0343893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 7/02
B60H 1/10
B60H 1/12
B60H 1/22
F01P 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方から外気を流入してエンジンルームに供給する外気吸入口と、
前記外気吸入口の両側に配置され、車両の空力特性が向上するように外気をホイール側に案内する一対のエアダクトと、
前記外気吸入口に流入した外気を選択的に前記エアダクトに供給する制御バルブと、
前記外気吸入口と前記エンジンルームとの間に配置されるラジエータと、
車両の作動状態に応じて前記制御バルブの作動を制御する制御部と、を含み、
前記エアダクトは、前記外気吸入口と選択的に連通し、前記ラジエータの上流側に配置され
前記外気吸入口に流入した空気が前記エアダクトに供給されるように前記外気吸入口と前記エアダクトとの間には迂回通路が形成され、前記制御バルブは、前記迂回通路の上流側に形成され、
前記制御バルブの一端は前記迂回通路の内周面の一端に形成されたバルブ軸に固定され、その他端は前記迂回通路を選択的に開放または閉鎖するように一方向または他方向に回転し、
前記制御バルブが非作動の場合、一方向に回転した状態を維持して前記迂回通路を閉鎖し、前記外気吸入口に流入した空気は前記ラジエータに全部流入し、
前記制御バルブが作動する場合、前記制御バルブは、他方向に回転して前記迂回通路を開放し、前記外気吸入口に流入した空気の一部が前記迂回通路を経由して前記エアダクトに供給されることを特徴とする車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項2】
前記エアダクトは、
車両の長手方向を中心に前方に配置される前方ダクトと、
前記前方ダクトから流入した空気をホイール側に案内する後方ダクトとを含み、
前記前方ダクトは、車両前方の外気が円滑に収容されるようにその前方にいくほど内側に曲がった形状に形成され、
前記後方ダクトは、後方にいくほど外側に曲がった形状に形成されることを特徴とする請求項に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項3】
前記後方ダクトの下流側には、空気の流動方向を前記ホイール側に向かうようにするガイドプレートが備えられ、前記後方ダクトから流出する空気は、ホイールの側面と設定された角度で車両の外側に噴射されることを特徴とする請求項に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項4】
ファンモータとファンブレードとを含む冷却ファンが装着されたファンシュラウドと、
前記ファンブレードの作動面積に対応して前記ファンシュラウドに備えられ、空気の通過する面積が円周方向に沿って可変するロータリーシャッタと、
前記ファンシュラウドに備えられ、前記ロータリーシャッタが装着されていない部分の一部を開閉する複数のフラップとをさらに含み、
前記制御部は、車両の作動状態に応じて、前記ロータリーシャッタの開放面積、前記複数のフラップの開閉、前記冷却ファンの作動、および前記制御バルブの作動を制御することを特徴とする請求項に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項5】
前記ロータリーシャッタは、
同一回転軸を中心に回転可能に備えられる複数のシャッタブレードと、
前記複数のシャッタブレードを回転させて、空気の通過する面積を可変させるシャッタアクチュエータと、を含むことを特徴とする請求項に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項6】
前記シャッタブレードは、
前記シャッタアクチュエータの作動によって前記回転軸を中心に回転する作動ブレードと、
前記作動ブレードの回転に応じて扇状(fanwise)に展開または折り畳まれるように前記回転軸を中心に重なって備えられる複数のサブブレードと、を含むことを特徴とする請求項に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項7】
前記シャッタブレードにはそれぞれ作動突起が形成され、
前記作動ブレードが展開または折り畳まれると、前記複数のサブブレードのいずれかのサブブレードが展開または折り畳まれ、順次残りのサブブレードが展開または折り畳まれることを特徴とする請求項に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項8】
前記複数のフラップには電磁石が備えられ、前記電磁石に供給される電流に応じて前記複数のフラップが開閉されることを特徴とする請求項に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項9】
前記ロータリーシャッタと前記複数のフラップとが備えられた前記ファンシュラウドは、エンジンとラジエータとの間に備えられたことを特徴とする請求項に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項10】
前記エンジンルームを囲むエンキャプシュレーションをさらに含み、
前記車両エンジンルーム空気流量制御システムの作動モードは、
前記複数のフラップが閉じられ、前記ロータリーシャッタが完全に閉じられ、前記冷却ファンの作動をオフ(off)し、前記制御バルブを作動する第1モードと、
前記複数のフラップが閉じられ、前記ロータリーシャッタが完全に開かれ、前記冷却ファンと前記制御バルブの作動を車両の作動状態に応じて制御する第2モードと、
前記複数のフラップが開かれ、前記ロータリーシャッタが完全に開かれ、前記冷却ファンの作動をオフし、前記制御バルブを作動する第3モードと、
前記複数のフラップが閉じられ、前記ロータリーシャッタの開かれた面積が制御され、前記冷却ファンの作動をオフし、前記制御バルブの作動を車両の状態に応じて制御する第4モードと、を含むことを特徴とする請求項に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項11】
前記第2モードおよび前記第4モードで、前記制御バルブは、車両が加速する状態では前記迂回通路を開放し、車両が定速の状態では前記迂回通路を閉鎖することを特徴とする請求項10に記載の車両エンジンルーム流量制御システム。
【請求項12】
前記車両エンジンルーム空気流量制御システムは、
大気温を測定して当該信号を出力する大気温センサと、
車両の速度を測定して当該信号を出力する速度センサと、
エアコンディショニング内部圧力を測定して当該信号を出力するエアコンディショニング圧力センサと、
エアコンディショニングスイッチの作動信号を測定して当該信号を出力するエアコンディショニングスイッチセンサと、
冷媒温度を測定して当該信号を出力する冷媒温センサと、
前記ロータリーシャッタの開放面積を測定して当該信号を出力する位置センサと、をさらに含み、
前記制御部は、前記各センサから当該信号に基づいて車両の作動状態を判断し、前記車両の作動状態に応じて、前記第1モード〜第4モードのいずれかのモードで前記ロータリーシャッタ、前記複数のフラップ、前記冷却ファン、および前記制御バルブの作動を制御することを特徴とする請求項11に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項13】
前記車両エンジンルーム空気流量制御システムは、インタークーラの温度を測定して当該信号を出力するインタークーラ温度センサをさらに含み、
前記制御部は、前記インタークーラ温度センサの信号をさらに入手して前記車両の作動状態を判断し、前記第1モード〜第4モードのいずれかのモードで前記ロータリーシャッタ、前記複数のフラップ、前記冷却ファン、および前記制御バルブの作動を制御することを特徴とする請求項12に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システム。
【請求項14】
大気温を測定して当該信号を出力する大気温センサと、車両の速度を測定して当該信号を出力する速度センサと、エアコンディショニング内部圧力を測定して当該信号を出力するエアコンディショニング圧力センサと、エアコンディショニングスイッチの作動信号を測定して当該信号を出力するエアコンディショニングスイッチセンサと、冷媒温度を測定して当該信号を出力する冷媒温センサと、ファンモータとファンブレードとを含む冷却ファンが装着されたファンシュラウドと、前記ファンブレードの作動面積に対応して前記ファンシュラウドに備えられ、空気の通過する面積が円周方向に沿って可変するロータリーシャッタと、前記ロータリーシャッタの開放面積を測定して当該信号を出力する位置センサと、前記ファンシュラウドに備えられ、前記ロータリーシャッタが装着されていない部分の一部を開閉する複数のフラップと、車両の前方から外気を流入してエンジンルームに供給する外気吸入口と、前記外気吸入口の両側に配置され、車両の空力特性が向上するように外気をホイール側に案内する一対のエアダクトと、前記外気吸入口に流入した外気を選択的に前記エアダクトに供給する制御バルブと、車両の作動状態に応じて、前記ロータリーシャッタの開放面積、前記複数のフラップの開閉、および前記制御バルブの作動を制御する制御部と、を含む車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御方法において、
前記制御部が、前記大気温センサ、前記速度センサ、前記エアコンディショニング圧力センサ、前記エアコンディショニングスイッチセンサ、前記冷媒温センサ、および前記位置センサの信号を含むセンサ信号に基づいて車両の作動状態を判断し、判断された前記車両の作動状態に応じて、前記ロータリーシャッタが完全に閉じられることが要求される状態であるかを判断する段階と、
前記ロータリーシャッタが完全に閉じられることが要求される状態の場合、前記制御部が、前記ロータリーシャッタを完全に閉じ、前記複数のフラップを閉じ、前記冷却ファンの作動をオフ(off)し、前記制御バルブを作動して迂回通路を開放する段階と、を含むことを特徴とする車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御方法。
【請求項15】
前記ロータリーシャッタが完全に閉じられることが要求されない状態の場合、
前記制御バルブは、迂回通路を遮断するように非作動する段階と、
前記制御部が、前記車両の作動状態が設定された低速高負荷条件に該当するかを判断する段階と、
前記車両の作動状態が低速高負荷条件に該当すると、前記制御部が、前記ロータリーシャッタを完全に開け、前記複数のフラップを閉じ、前記車両の作動状態に応じて前記冷却ファンと前記制御バルブの作動を制御する段階とをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御方法。
【請求項16】
前記車両の作動状態が低速高負荷条件に該当すると、前記制御バルブは、車両が加速する状態では前記迂回通路を開放し、車両が定速の状態では前記迂回通路を閉鎖することを特徴とし、
前記車両の作動状態が低速高負荷条件に該当しなければ、前記制御部が、前記車両の作動状態が設定された高速高負荷条件に該当するかを判断する段階と、
前記車両の作動状態が高速高負荷条件に該当すると、前記制御部が、前記ロータリーシャッタを完全に開け、前記複数のフラップを開け、前記冷却ファンの作動をオフし、前記制御バルブを作動して迂回通路を開放する段階と、をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御方法。
【請求項17】
前記車両の作動状態が高速高負荷条件に該当しなければ、
車両の作動状態に応じて制御バルブの作動を制御する段階と、
前記制御部が、前記複数のフラップを閉じ、前記冷却ファンの作動をオフし、前記車両の作動状態に応じて前記ロータリーシャッタの開放面積を制御する段階と、をさらに含み、
前記ロータリーシャッタが完全に閉じられることが要求されない状態で、かつ、前記車両の作動状態が高速高負荷条件および低速高負荷条件に該当しない状態の場合、前記制御バルブは、車両が加速する状態では前記迂回通路を開放し、車両が定速の状態では前記迂回通路を閉鎖することを特徴とする請求項16に記載の車両エンジンルーム流量制御システムの制御方法。
【請求項18】
前記車両エンジンルーム空気流量制御システムは、インタークーラの温度を測定して当該信号を出力するインタークーラ温度センサをさらに含み、
前記制御部は、前記インタークーラ温度センサの信号を含めて前記車両の作動状態を判断することを特徴とする請求項17に記載の車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法に関し、より詳細には、車両の冷却性能と空力性能を向上させることができる車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エンジンの冷却のためのラジエータと、空調装置(air conditioner)の冷媒凝縮のためのコンデンサが車両に装着され、冷却ファンを駆動してラジエータとコンデンサの温度を低下させる。車両の初期始動時にはエンジンの温度が適正レベルまで速やかに上昇することが燃費に有利であり、エンジンの温度を適正温度に維持することが必要である。
【0003】
伝統的に、冷却ファンは、エンジンの駆動によって作動する方式が使用され、このような機械式方式は、冷却ファンがエンジンの駆動時に常時駆動して車両の燃費が悪化するという欠点がある。
【0004】
最近は、電気モータを駆動する方式が利用されているが、車両の運行状態に応じて、必要時にのみ冷却ファンを駆動することで燃費がより改善された効果があり、その使用が増大している。
【0005】
一方、車両の走行速度が増加すると、空力(aero−dynamic)特性が車両の燃費および速度に多くの影響を与え、高速で車両のエンジンルームに流入する空気を遮断すると、空気がエンジンルームを通過して発生する抗力が減少して燃費を改善できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、車両の冷却性能と空力性能を向上させることができる車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法を提供する。
【0007】
冷却ファンの作動を最小化し、必要時には、エンジンルームに流入する空気を遮断して抗力を減少させることができる車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムは、車両の前方から外気を流入してエンジンルームに供給する外気吸入口と、前記外気吸入口の両側に配置され、車両の空力特性が向上するように外気をホイール側に案内する一対のエアダクトと、前記外気吸入口に流入した外気を選択的に前記エアダクトに供給する制御バルブと、車両の作動状態に応じて前記制御バルブの作動を制御する制御部と、を含むことができる。
【0009】
前記車両エンジンルーム空気流量制御システムは、前記外気吸入口と前記エンジンルームとの間に配置されるラジエータをさらに含むことができ、前記エアダクトは、前記外気吸入口と選択的に連通し、前記ラジエータの上流側に配置されることを特徴とする。
【0010】
前記外気吸入口に流入した空気が前記エアダクトに供給されるように前記外気吸入口と前記エアダクトとの間には迂回通路が形成され、前記制御バルブは、前記迂回通路の上流側に形成されることを特徴とする。
【0011】
前記制御バルブの一端は前記迂回通路の内周面の一端に形成されたバルブ軸に固定され、その他端は前記迂回通路を選択的に開放または閉鎖するように一方向または他方向に回転することを特徴とする。
【0012】
前記制御バルブが非作動の場合、一方向に回転した状態を維持して前記迂回通路を閉鎖し、前記外気吸入口に流入した空気は前記ラジエータに全部流入することを特徴とする。
【0013】
前記制御バルブが作動する場合、前記制御バルブは、他方向に回転して前記迂回通路を開放し、前記外気吸入口に流入した空気の一部が前記迂回通路を経由して前記エアダクトに供給されることを特徴とする。
【0014】
前記エアダクトは、車両の長手方向を中心に前方に配置される前方ダクトと、前記前方ダクトから流入した空気をホイール側に案内する後方ダクトとを含み、前記前方ダクトは、車両前方の外気が円滑に収容されるようにその前方にいくほど内側に曲がった形状に形成され、前記後方ダクトは、後方にいくほど外側に曲がった形状に形成されることを特徴とする。
【0015】
前記後方ダクトの下流側には、空気の流動方向を前記ホイール側に向かうようにするガイドプレートが備えられることを特徴とする。
【0016】
前記後方ダクトから流出する空気は、ホイールの側面と設定された角度で車両の外側に噴射されることを特徴とする。
【0017】
ファンモータとファンブレードとを含む冷却ファンが装着されたファンシュラウドと、前記ファンブレードの作動面積に対応して前記ファンシュラウドに備えられ、空気の通過する面積が円周方向に沿って可変するロータリーシャッタと、前記ファンシュラウドに備えられ、前記ロータリーシャッタが装着されていない部分の一部を開閉する複数のフラップとをさらに含み、前記制御部は、車両の作動状態に応じて、前記ロータリーシャッタの開放面積、前記複数のフラップの開閉、前記冷却ファンの作動、および前記制御バルブの作動を制御することを特徴とする。
【0018】
前記ロータリーシャッタは、同一回転軸を中心に回転可能に備えられる複数のシャッタブレードと、前記複数のシャッタブレードを回転させて、空気の通過する面積を可変させるシャッタアクチュエータと、を含むことができる。
【0019】
前記シャッタブレードは、前記シャッタアクチュエータの作動によって前記回転軸を中心に回転する作動ブレードと、前記作動ブレードの回転に伴って扇状(fanwise)に展開または折り畳まれるように前記回転軸を中心に重なって備えられる複数のサブブレードと、を含むことができる。
【0020】
前記シャッタブレードには、それぞれ作動突起が形成され、前記作動ブレードが展開または折り畳まれると、前記複数のサブブレードのいずれかのサブブレードが展開または折り畳まれ、順次残りのサブブレードが展開または折り畳まれる。
【0021】
前記複数のフラップには電磁石が備えられ、前記電磁石に供給される電流に応じて前記複数のフラップが開閉される。
【0022】
前記ロータリーシャッタと前記複数のフラップとが備えられた前記ファンシュラウドは、エンジンとラジエータとの間に備えられる。
【0023】
前記車両エンジンルーム空気流量制御システムは、前記エンジンルームを囲むエンキャプシュレーションをさらに含むことができる。
【0024】
前記車両エンジンルーム空気流量制御システムの作動モードは、前記複数のフラップが閉じられ、前記ロータリーシャッタが完全に閉じられ、前記冷却ファンの作動をオフ(off)し、前記制御バルブを作動する第1モードと、前記複数のフラップが閉じられ、前記ロータリーシャッタが完全に開かれ、前記冷却ファンと前記制御バルブの作動を車両の作動状態に応じて制御する第2モードと、前記複数のフラップが開かれ、前記ロータリーシャッタが完全に開かれ、前記冷却ファンの作動をオフし、前記制御バルブを作動する第3モードと、前記複数のフラップが閉じられ、前記ロータリーシャッタの開かれた面積が制御され、前記冷却ファンの作動をオフし、前記制御バルブの作動を車両の状態に応じて制御する第4モードと、を含むことができる。
【0025】
前記第2モードおよび前記第4モードで、前記制御バルブは、車両が加速する状態では前記迂回通路を開放し、車両が定速の状態では前記迂回通路を閉鎖することを特徴とする。
【0026】
前記車両エンジンルーム空気流量制御システムは、大気温を測定して当該信号を出力する大気温センサと、車両の速度を測定して当該信号を出力する速度センサと、エアコンディショニング内部圧力を測定して当該信号を出力するエアコンディショニング圧力センサと、エアコンディショニングスイッチの作動信号を測定して当該信号を出力するエアコンディショニングスイッチセンサと、冷媒温度を測定して当該信号を出力する冷媒温センサと、前記ロータリーシャッタの開放面積を測定して当該信号を出力する位置センサとをさらに含むことができる。
【0027】
前記制御部は、前記各センサから当該信号に基づいて車両の作動状態を判断し、前記車両の作動状態に応じて、前記第1モード〜第4モードのいずれかのモードで前記ロータリーシャッタ、前記複数のフラップ、前記冷却ファン、および前記制御バルブの作動を制御することができる。
【0028】
前記車両エンジンルーム空気流量制御システムは、インタークーラの温度を測定して当該信号を出力するインタークーラ温度センサをさらに含み、前記制御部は、前記インタークーラ温度センサの信号をさらに入手して前記車両の作動状態を判断し、前記第1モード〜第4モードのいずれかのモードで前記ロータリーシャッタ、前記複数のフラップ、前記冷却ファン、および前記制御バルブの作動を制御することができる。
【0029】
本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御方法は、大気温を測定して当該信号を出力する大気温センサと、車両の速度を測定して当該信号を出力する速度センサと、エアコンディショニング内部圧力を測定して当該信号を出力するエアコンディショニング圧力センサと、エアコンディショニングスイッチの作動信号を測定して当該信号を出力するエアコンディショニングスイッチセンサと、冷媒温度を測定して当該信号を出力する冷媒温センサと、ファンモータとファンブレードとを含む冷却ファンが装着されたファンシュラウドと、前記ファンブレードの作動面積に対応して前記ファンシュラウドに備えられ、空気の通過する面積が円周方向に沿って可変するロータリーシャッタと、前記ロータリーシャッタの開放面積を測定して当該信号を出力する位置センサと、前記ファンシュラウドに備えられ、前記ロータリーシャッタが装着されていない部分の一部を開閉する複数のフラップと、車両の前方から外気を流入してエンジンルームに供給する外気吸入口と、前記外気吸入口の両側に配置され、車両の空力特性が向上するように外気をホイール側に案内する一対のエアダクトと、前記外気吸入口に流入した外気を選択的に前記エアダクトに供給する制御バルブと、車両の作動状態に応じて、前記ロータリーシャッタの開放面積、前記複数のフラップの開閉、および前記制御バルブの作動を制御する制御部と、を含むことができる。
【0030】
本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御方法は、前記制御部が、前記大気温センサ、前記速度センサ、前記エアコンディショニング圧力センサ、前記エアコンディショニングスイッチセンサ、前記冷媒温センサ、および前記位置センサの信号を含むセンサ信号に基づいて車両の作動状態を判断し、判断された前記車両の作動状態に応じて前記ロータリーシャッタが完全に閉じられることが要求される状態であるかを判断する段階と、前記ロータリーシャッタが完全に閉じられることが要求される状態の場合、前記制御部が、前記ロータリーシャッタを完全に閉じ、前記複数のフラップを閉じ、前記冷却ファンの作動をオフ(off)し、前記制御バルブを作動して迂回通路を開放する段階と、を含むことができる。
【0031】
前記ロータリーシャッタが完全に閉じられることが要求されない状態の場合、前記制御バルブは、迂回通路を遮断するように非作動する段階と、前記制御部が、前記車両の作動状態が設定された低速高負荷条件に該当するかを判断する段階と、前記車両の作動状態が低速高負荷条件に該当すると、前記制御部が、前記ロータリーシャッタを完全に開け、前記複数のフラップを閉じ、前記車両の作動状態に応じて前記冷却ファンと前記制御バルブの作動を制御する段階と、をさらに含むことができる。
【0032】
前記車両の作動状態が低速高負荷条件に該当すると、前記制御バルブは、車両が加速する状態では前記迂回通路を開放し、車両が定速の状態では前記迂回通路を閉鎖することを特徴とする。
【0033】
前記車両の作動状態が低速高負荷条件に該当しなければ、前記制御部が、前記車両の作動状態が設定された高速高負荷条件に該当するかを判断する段階と、前記車両の作動状態が高速高負荷条件に該当すると、前記制御部が、前記ロータリーシャッタを完全に開け、前記複数のフラップを開け、前記冷却ファンの作動をオフし、前記制御バルブを作動して迂回通路を開放する段階とをさらに含むことができる。
【0034】
前記車両の作動状態が高速高負荷条件に該当しなければ、車両の作動状態に応じて制御バルブの作動を制御する段階と、前記制御部が、前記複数のフラップを閉じ、前記冷却ファンの作動をオフし、前記車両の作動状態に応じて前記ロータリーシャッタの開放面積を制御する段階とをさらに含むことができる。
【0035】
前記ロータリーシャッタが完全に閉じられることが要求されない状態で、かつ、前記車両の作動状態が高速高負荷条件および低速高負荷条件に該当しない状態の場合、前記制御バルブは、車両が加速する状態では前記迂回通路を開放し、車両が定速の状態では前記迂回通路を閉鎖することを特徴とする。
【0036】
前記車両エンジンルーム空気流量制御システムは、インタークーラの温度を測定して当該信号を出力するインタークーラ温度センサをさらに含み、前記制御部は、前記インタークーラ温度センサの信号を含めて前記車両の作動状態を判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法によれば、冷却ファンの使用を車両の走行状態に応じて制御して冷却性能を向上させることができ、車両に流入する空気量を調節して空力性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムを示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムを示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムのロータリーシャッタの作動状態を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムのロータリーシャッタの作動状態を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムのロータリーシャッタの作動状態を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムのロータリーシャッタの作動状態を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムのロータリーシャッタを示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムのロータリーシャッタを示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムのフラップを示す図である。
図10】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御バルブの作動状態を示す図である。
図11】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御バルブの作動状態を示す図である。
図12A】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御方法を示すフローチャートである。
図12B】本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。
【0040】
しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0041】
明細書全体にわたって同一の参照番号で表された部分は同一の構成要素を意味する。
【0042】
図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
【0043】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0044】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0045】
図1は、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムを示す断面図であり、図2は、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムを示すブロック図である。
【0046】
図3図6は、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムのロータリーシャッタの作動状態を示す図であり、図7図8は、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムのロータリーシャッタを示す図である。
【0047】
図9は、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムのフラップを示す図である。
【0048】
図10図11は、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御バルブの作動状態を示す図である。
【0049】
図1図11を参照すれば、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムは、ファンモータ22とファンブレード24とを含む冷却ファン20が装着されたファンシュラウド30と、前記ファンブレード24の作動面積に対応して前記ファンシュラウド30に備えられ、空気の通過する面積が円周方向に沿って可変するロータリーシャッタ40と、前記ファンシュラウド30に備えられ、前記ロータリーシャッタ40が装着されていない部分の一部を開閉する複数のフラップ60と、車両の作動状態に応じて、前記ロータリーシャッタ40の開放面積、前記複数のフラップ60の開閉、および前記冷却ファン20の作動を制御する制御部100と、を含むことができる。
【0050】
前記ロータリーシャッタ40と前記複数のフラップ60とが備えられた前記ファンシュラウド30は、エンジン70とラジエータ80との間に備えられる。
【0051】
前記ラジエータ80の前方にはコンデンサ82が備えられ、前記コンデンサ82の前方にはインタークーラ84が備えられてもよい。
【0052】
また、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムは、前記エンジンルームを囲むエンキャプシュレーション90をさらに含むことができ、前記エンキャプシュレーション90は、前記エンジン70から発生する騒音および振動が前記車体10の外部に伝達されることを抑制し、走行風が前記エンジンルームに流入すると、走行風を案内して抗力(drag)を減少させる機能を有する。
【0053】
さらに、前記エンキャプシュレーション90は、前記エンジン70から発生する熱を保存して、車両の停車後一定時間以内に再運行する時、前記エンジン70が最適な作動温度で運転されるようにすることができる。
【0054】
図10図11は、車両の高さ方向から眺めた空気流量の流れを示すものである。車両の前方には、様々な部品を1つのモジュール(module)として構成したフロントエンドモジュール(FEM)21が備えられ、その両側に第1エアダクト210が備えられる。
【0055】
車両が運行される時、外気は、車両前方の両側に備えられた前記第1エアダクト210に流入するか、ラジエータグリル16、バンパホール17などを通して前記フロントエンドモジュール21内側の外気吸入口15に流入する。
【0056】
第1エアダクト210は、車両の長手方向を中心に前方に配置される前方ダクト213と、後方に配置される後方ダクト215と、を含む。
【0057】
前方ダクト213は、車両前方の外気が抵抗が最小化されるように流線形に形成され、車両の前方にいくほど内側に曲がった形状に構成される。したがって、車両前方の外気が円滑に収容され、前方ダクト213を通過する空気の空力性能が向上する。
【0058】
後方ダクト215は、前方ダクト213を経由した空気が通過するように第1エアダクト210の相対的に後方に形成された部分で、車両の後方にいくほど外側に曲がった形状に形成される。前記後方ダクト215は、ホイールハウジング220と一体に形成され、空気の抵抗を最小化しながらホイールWに向かって空気の流れを誘導するようになっている。
【0059】
一方、後方ダクト215の下流側には、後方ダクト215に供給される空気の流動方向をガイドするガイドプレート230が備えられ、このガイドプレート230を通して後方ダクト215の空気がホイールWに向かうようになる。この時、ガイドプレート230は、後方ダクト215から流出する空気がホイールWの前方でエアカーテンを形成するようになっており、この空気は設定角度aでホイールWの側面に向かって噴射される。前記設定角度aは、エアカーテンの効果が極大化される角度に設定される。
【0060】
本発明の実施形態によれば、空冷式インタークーラ84をエンジン70の前方に配置することにより、外気によって最も先に冷却させるように構成したが、これに限定されるものではない。例えば、エアフラップ(図示せず)で外気吸入口15に流入する空気の流量を制御することができる。
【0061】
一方、外気吸入口15に流入した空気は、インタークーラ84、ラジエータ80を冷却させ、その内側に位置したエンジン70に案内される。つまり、インタークーラ84、ラジエータ80は外気吸入口15上に配置される。
【0062】
インタークーラ84は、エンジン70の出力を高めるために排気ガスや外部空気を吸入してタービンを回し、高温の圧縮空気をエンジン70のシリンダに供給する過給機(図示せず)が吸入した空気を冷却させることができる。
【0063】
ラジエータ80は、エンジン70を経由した高温の冷却水を冷却させる高温ラジエータ81と、低温の冷却水に残存する熱を大気中に排出する低温ラジエータ83と、を含むことができるが、上記の技術に関連する内容は、当該技術分野における通常の知識を者に自明であるので、以下では省略する。
【0064】
一方、本発明の実施形態によれば、フロントエンドモジュール21の内側面には、前記外気吸入口15に流入した空気を第1エアダクト210に供給できるように第2エアダクト240が備えられる。この第2エアダクト240は、外気吸入口15に流入した空気中の一部を第1エアダクト210に流入できるように迂回通路245を形成する。そして、この迂回通路245の上流側には、外気吸入口15の空気が選択的に第1エアダクト210に流入できるように制御バルブ250が形成されている。つまり、制御バルブ250は、車両の作動状態に応じて、外気吸入口15に流入した空気を第1エアダクト210の前方ダクト213側に排出したり、排出しないように制御されるのである。
【0065】
前記制御バルブ250は、ソレノイドバルブをはじめとする多様なバルブが適用可能である。例えば、前記制御バルブ250は、その一端が迂回通路245の内周面の一端に形成されたバルブ軸255に固定され、その他端が一方向または他方向に回転しながら迂回通路245を開放したり閉鎖することができる。
【0066】
仮に、制御バルブ250が一方向に回転して迂回通路245を閉鎖する場合、図10の矢印で表したように、グリル16やバンパホール17を通して外気吸入口15に流入した空気は、ラジエータ80のような放熱器に誘導される。このような制御バルブ250の作動状態は、エンジンルーム内部の空気抵抗がやや発生しても冷却性能が優先視される車両の状態に適合する。つまり、エンジン70が高負荷状態にある場合、制御バルブ250は、迂回通路245を閉鎖することによって、外気吸入口15に流入した空気は放熱器に供給され、効果的に車両エンジンルームを冷却させることができる。
【0067】
反面、制御バルブ250が他方向に回転して迂回通路245を開放する場合、図11の矢印で表したように、外気吸入口15に流入した空気の一部は、第2エアダクト240を通過してホイールW側に案内される。このように、制御バルブ250が迂回通路245を開放する場合、エンジンルームの内側に流入する空気の流量が減少し、これによって車両の空力性能が改善できる。このような制御バルブ250の作動状態は、車両に負荷が大きく発生せず、高速で進行する場合に適した状態である。
【0068】
図2を参照すれば、前記車両エンジンルーム空気流量制御システムは、大気温を測定して当該信号を出力する大気温センサ110と、車両の速度を測定して当該信号を出力する速度センサ120と、エアコンディショニング内部圧力を測定して当該信号を出力するエアコンディショニング圧力センサ130と、エアコンディショニングスイッチの作動信号を測定して当該信号を出力するエアコンディショニングスイッチセンサ140と、冷媒温度を測定して当該信号を出力する冷媒温センサ150と、前記ロータリーシャッタ40の開放面積を測定して当該信号を出力する位置センサ170と、を含むことができる。
【0069】
前記制御部100は、前記各センサから当該信号に基づいて車両の作動状態を判断し、前記車両の作動状態に応じて、前記ロータリーシャッタ40、前記複数のフラップ60、前記冷却ファン20、および前記制御バルブ250の作動を制御する。
【0070】
前記車両エンジンルーム空気流量制御システムは、前記インタークーラ84の温度を測定して当該信号を出力するインタークーラ温度センサ160をさらに含み、前記制御部100は、前記インタークーラ温度センサ160の信号をさらに入手して前記車両の作動状態を判断し、前記ロータリーシャッタ40、前記複数のフラップ60、前記冷却ファン20、および前記制御バルブ250の作動を制御してもよい。
【0071】
図1図3図8を参照すれば、前記ロータリーシャッタ40は、同一回転軸42を中心に回転可能に備えられる複数のシャッタブレード50と、前記複数のシャッタブレード50を回転させて、空気の通過する面積を可変させるシャッタアクチュエータ44と、を含む。
【0072】
前記シャッタアクチュエータ44は、正逆方向の回転が可能なサーボモータであるとよく、マウンティングサポータ45により前記ファンシュラウド30に装着される。
【0073】
前記シャッタブレード50は、前記シャッタアクチュエータ44の作動によって前記回転軸42を中心に回転する作動ブレード52と、前記作動ブレード52の回転に伴って扇状(fanwise)に展開または折り畳まれるように前記回転軸42を中心に重なって備えられる複数のサブブレード54と、を含む。
【0074】
図8は、前記シャッタブレード50を側面から眺めた図であり、図8を参照すれば、前記シャッタブレード50にはそれぞれ作動突起56が形成され、前記作動ブレード50が展開または折り畳まれると、前記複数のサブブレード54のいずれかのサブブレード54が展開または折り畳まれ、順次残りのサブブレード54が展開または折り畳まれる。
【0075】
図7および図8に示されているように、前記作動ブレード52と前記サブブレード54が前記回転軸42を中心に互いに重なり、前記アクチュエータ44の作動で前記作動ブレード52が前記回転軸42を中心に一定角度回転すると、前記作動ブレード52の作動突起56によって前記作動ブレード52と最隣接するサブブレード54aの作動突起56が引きずられて回転する。
【0076】
この方式で、図面に示されたそれぞれのサブブレード54a、54b、54c、54dが順次扇状に展開される。
【0077】
逆に、前記アクチュエータ44が前記作動ブレード52を反対方向に回転させると、前記作動ブレード52の反対側の作動突起56によって前記作動ブレード52と最隣接するサブブレード54aの作動突起56を押して逆方向に回転する。
【0078】
この方式で、図面に示されたそれぞれのサブブレード54a、54b、54c、54dが順次折り畳まれる。
【0079】
前記サブブレード54のうちの最末端のサブブレード54dにはマウンティング突起58(図7参照)が形成され、前記ファンシュラウド30に固定される。
【0080】
図9を参照すれば、前記複数のフラップ60には電磁石62が備えられ、前記電磁石62に供給される電流に応じて前記複数のフラップ60が開閉され、前記フラップ60にはフラップ回転軸64が備えられ、前記回転軸64を中心に回転することができる。
【0081】
前記フラップ回転軸64は、トーションスプリングであるとよいし、前記電磁石62に電流が供給されない時、前記フラップ60が開かれた状態を維持することができる。電流供給装置の故障などの場合に、前記フラップ60が開かれた状態を維持して前記エンジン70の過熱を防止することができる。
【0082】
図3図6は、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムの作動モードを示す図である。
【0083】
図3に示された作動モードは、前記複数のフラップ60が閉じられ、前記ロータリーシャッタ40が完全に閉じられた状態を示し、この時、前記冷却ファン20は、その作動がオフ(off)される。
【0084】
図4に示された作動モードは、前記複数のフラップ60が閉じられ、前記ロータリーシャッタ40が完全に開かれた状態を示し、この時、前記冷却ファン20は、車両の作動状態に応じてその作動が制御できる。
【0085】
図5に示された作動モードは、前記複数のフラップ60が開かれ、前記ロータリーシャッタ40が完全に開かれた状態を示し、この時、前記冷却ファン20の作動はオフされる。
【0086】
図6に示された作動モードは、前記複数のフラップ60が閉じられ、前記ロータリーシャッタ40の開かれた面積が制御される状態を示し、この時、前記冷却ファン20の作動はオフされる。
【0087】
図12A及び図12B は、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御方法を示すフローチャートである。
【0088】
以下、図3図11を参照して、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムの制御方法を説明する。
【0089】
前記制御部100が、前記大気温センサ110、前記速度センサ120、前記エアコンディショニング圧力センサ130、前記エアコンディショニングスイッチセンサ140、および前記冷媒温センサ150の信号を含むセンサ信号に基づいて車両の作動状態を判断し(S10)、判断された前記車両の作動状態に応じて前記ロータリーシャッタ40が完全に閉じられることが要求される状態であるかを判断する(S20)。
【0090】
前記ロータリーシャッタ40が完全に閉じられることが要求される状態は冷却を必要としない状態で、例えば、車両のエンジン始動後一定時間前記エンジン70のウォームアップが必要な状態、エンジンの始動をオフ(off)して前記エンジン70の温度を維持する必要がある状態、車両が高速低負荷状態で走行する状態などであるとよい。前記該当条件は設定されたマップに予め保存され、前記制御部100が、前記マップと前記車両の作動状態を比較して、前記ロータリーシャッタ40が完全に閉じられることが要求される状態であるか否かを決定することができる。
【0091】
前記ロータリーシャッタ40が完全に閉じられることが要求される状態の場合、前記制御部100は、前記ロータリーシャッタ40を完全に閉じ、前記複数のフラップ60を閉じ、前記冷却ファン20の作動をオフ(off)し、制御バルブ250を作動する(S30)。制御バルブ250の初期状態は迂回通路245を閉鎖するようになっており、この制御バルブ250を作動させると、図11のように、外気吸入口15に入った空気が迂回通路245に流入できるように制御バルブ250が開放される。
【0092】
この場合、前記エンジン70のウォームアップや適正温度の維持が可能であり、前記ロータリーシャッタ40と前記複数のフラップ60が閉じられている状態であるため、前記エンジンルームに流入する空気を遮断して空力(aero−dynamic)特性が改善できる。特に、制御バルブ250が開放されることによって、外気吸入口15に流入した空気がホイールW側に案内されてエアカーテン効果が発生する。したがって、エンジンルームの内側に過度な空気の流量が流入することを遮断し、外気吸入口15の空気を迂回させることでさらなる空力特性の改善を期待することができる。
【0093】
一方、前記ロータリーシャッタ40が完全に閉じられることが要求されない状態の場合、制御バルブ250は、迂回通路245を遮断する初期状態をそのまま維持し(S25)、前記制御部100は、前記車両の作動状態が設定された低速高負荷条件に該当するかを判断する(S40)。
【0094】
前記車両の作動状態が低速高負荷条件に該当すると、前記制御部100は、前記ロータリーシャッタ40を完全に開け、前記複数のフラップ60を閉じ、前記車両の作動状態に応じて前記冷却ファン20と制御バルブ250の作動を制御する(S50)。
【0095】
前記設定された低速高負荷条件は、例えば、車速が約30−40kphであり、エンジンRPMが2000〜4000の状態を意味することができ、または前記冷却ファン20を駆動して冷却が必要な状態として定義できる。つまり、冷却が必要であるが、車両の走行風による冷却が不十分な条件として定義できる。
【0096】
前記該当条件は設定されたマップに保存され、前記制御部100が、前記マップと前記車両の作動状態を比較して、前記冷却ファン20および制御バルブ250の作動が必要であるか否かを判断することができ、前記車両の作動状態に応じて、前記制御部100が前記冷却ファン20および制御バルブ250の作動を制御する。
【0097】
前記冷却ファン20の作動は、前記制御部100が、その回転数を設定されたマップに応じて決定して作動させることができ、または前記冷却ファン20の作動時間を前記制御部100が決定して連続的または断続的に前記冷却ファン20を作動させることができる。
【0098】
前記制御バルブ250の作動は、車両が加速状態では開放され、車両が定速状態にある場合には閉じられるように制御できる。つまり、車両の定速状態では制御バルブ250を開放して空力特性を改善するのに対し、車両の加速状態では制御バルブ250を迂回通路245を閉鎖するように制御して車両の冷却が円滑に行われるようにする。
【0099】
前記車両の作動状態が低速高負荷条件に該当しなければ、前記制御部100は、前記車両の作動状態が設定された高速高負荷条件に該当するかを判断し(S60)、前記車両の作動状態が高速高負荷条件に該当すると、前記制御部100が、前記ロータリーシャッタ40を完全に開け、前記複数のフラップ60を開け、前記冷却ファン20の作動をオフする(S70)。この時、制御部100は、制御バルブ250を完全に開放して、空力特性を改善することによって動力性能が優先的に向上できるようにする。
【0100】
前記設定された高速高負荷条件は、例えば、車速が約90−110kphであり、エンジンRPMが2000〜4000の状態を意味することができ、または冷却が必要であり、車両の走行風による冷却が十分な条件として定義できる。
【0101】
前記該当条件は設定されたマップに保存され、前記制御部100が、前記マップと前記車両の作動状態を比較して、走行風による冷却が必要であるか否かを判断することができる。
【0102】
前記車両の作動状態が高速高負荷条件に該当しなければ、車両の状態に応じて制御バルブ250の作動を制御する(S65)。つまり、制御部100は、車両が加速状態では制御バルブ250を開放し、車両が定速状態にある場合には制御バルブ250を閉じるようにする。
【0103】
そして、前記制御部100は、前記複数のフラップ60を閉じ、前記冷却ファン20の作動をオフし、前記車両の作動状態に応じて前記ロータリーシャッタ40の開放面積を制御する(S80、S90、S100)。
【0104】
制御部100は、車両の作動状態に応じて、冷却が必要であり、前記冷却ファン20の作動が不必要であり、車両に流入する走行風の制御が必要な状態であるかを判断する。
【0105】
前記該当条件は設定されたマップに保存され、前記制御部100が、前記マップと前記車両の作動状態を比較して、前記ロータリーシャッタ40の作動が必要であるか否かを判断することができ、前記車両の作動状態に応じて、前記制御部100が前記ロータリーシャッタ40の開放面積を決定し、前記ロータリーシャッタ40の開放を制御する。
【0106】
前記制御部100は、前記位置センサ170により前記ロータリーシャッタ40の位置、つまり、前記ロータリーシャッタ40の開放面積が適切であるかを判断する。つまり、現在の前記ロータリーシャッタ40の開放面積が前記決定された前記ロータリーシャッタ40の開放面積に該当するかを判断(S80)し、現在の前記ロータリーシャッタ40の開放面積が前記決定された前記ロータリーシャッタ40の開放面積に該当しなければ、前記制御部100は、前記シャッタアクチュエータ44の作動を制御して前記ロータリーシャッタ40の開放面積を制御する(S100)。
【0107】
そして、前記制御部100は、前記複数のフラップ60を閉じ、前記冷却ファン20の作動をオフし、前記ロータリーシャッタ40の開放面積を維持する(S90)。
【0108】
前記エンジン70にインタークーラ84が装着された場合には、前記制御部100が、前記インタークーラ温度センサ160の当該信号をさらに含めて前記車両の作動状態を判断することができる。
【0109】
先に説明したように、本発明の実施形態に係る車両エンジンルーム空気流量制御システムおよびその制御方法によれば、冷却ファンの使用を車両の走行状態に応じて制御して冷却性能を向上させることができ、車両に流入する空気量を調節して空力性能を向上させることができる。
【0110】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の実施形態から当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって容易に変更されて均等と認められる範囲の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0111】
10:車体
15:外気吸入口
20:冷却ファン
21:フロントエンドモジュール
22:ファンモータ
24:ファンブレード
30:ファンシュラウド
40:ロータリーシャッタ
42:回転軸
44:シャッタアクチュエータ
45:マウンティングサポータ
50:シャッタブレード
52:作動ブレード
54:サブブレード
56:作動突起
58:マウンティング突起
60:フラップ
62:電磁石
64:フラップ回転軸
70:エンジン
80:ラジエータ
82:コンデンサ
84:インタークーラ
90:エンキャプシュレーション
100:制御部
110:大気温センサ
120:速度センサ
130:エアコンディショニング圧力センサ
140:エアコンディショニングスイッチセンサ
150:冷媒温センサ
160:インタークーラ温度センサ
170:位置センサ
210:第1エアダクト
220:ホイールハウジング
230:ガイドプレート
240:第2エアダクト
250:制御バルブ
255:バルブ軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B