特許第6808508号(P6808508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6808508-ターボ冷凍機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808508
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】ターボ冷凍機
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/053 20060101AFI20201221BHJP
【FI】
   F25B1/053 C
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-11944(P2017-11944)
(22)【出願日】2017年1月26日
(65)【公開番号】特開2018-119750(P2018-119750A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】503164502
【氏名又は名称】荏原冷熱システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】和田 慎平
(72)【発明者】
【氏名】村越 将哉
【審査官】 飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−224299(JP,A)
【文献】 特開平02−133758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00−49/04
F04D 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮するターボ圧縮機と、該ターボ圧縮機に設けられ潤滑油を貯留するギアケーシングとを備え、前記ターボ圧縮機の軸受を含む摺動部に潤滑油を給油して潤滑した後の潤滑油を前記ギアケーシングの下部に回収するように構成したターボ冷凍機において、
前記ギアケーシングと前記ターボ圧縮機の吸込側に設けられた吸入路管とを接続して前記ギアケーシング内の圧力をターボ圧縮機の吸込側圧力に均圧するための均圧管と、
前記均圧管の途中から分岐し、該均圧管の底部から下方に延びる分岐管とを備え、
前記分岐管の下端を前記ターボ圧縮機に設けられた前記ギアケーシング、または前記ギアケーシングとは別置の油タンクに接続したことを特徴とするターボ冷凍機。
【請求項2】
前記別置の油タンクへの接続箇所は、油タンクの液面より高い部分であることを特徴とする請求項1に記載のターボ冷凍機
【請求項3】
前記ターボ圧縮機に設けられた前記ギアケーシング内、または前記ギアケーシングとは別置の油タンク内の潤滑油を前記摺動部に給油する油ポンプを設けたことを特徴とする請求項1記載のターボ冷凍機。
【請求項4】
前記均圧管内を流れる流体は冷媒ガスと潤滑油とからなる混合流体であり、前記混合流体が前記分岐管に到達する前に前記冷媒ガスと前記潤滑油が分離可能な流速以下となるように、前記均圧管の内径を設定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
【請求項5】
冷媒ガスを圧縮する直列、並列又は直並列接続された複数のターボ圧縮機を備え、前記複数のターボ圧縮機にそれぞれ設けられる前記ギアケーシングと、前記直列、並列又は直並列接続された複数のターボ圧縮機のうち圧力が一番低い吸入路管とを前記均圧管で接続したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
【請求項6】
前記均圧管から分岐する前記分岐管を前記複数のターボ圧縮機のそれぞれに対応させて設けたことを特徴とする請求項5記載のターボ冷凍機。
【請求項7】
前記複数のターボ圧縮機に設けられた各ギアケーシングから流出した流体を前記均圧管で合流させる合流箇所の下流側に前記分岐管を設けたことを特徴とする請求項5記載のターボ冷凍機。
【請求項8】
前記複数のターボ圧縮機のそれぞれの分岐管の下端を前記ギアケーシングとは別置の1つの油タンクに接続したことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ冷凍機に係り、特にターボ圧縮機の軸受を含む摺動部に潤滑油を給油して潤滑した後の潤滑油をギアケーシングの下部に回収するように構成したターボ冷凍機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ターボ冷凍機は高速回転体であるターボ圧縮機を備えている。ターボ圧縮機は、高速回転体を支持する軸受や、高速回転体にトルクを伝える増速機を内蔵している。軸受および増速機での発熱は機械損失に相当するため、これら軸受および増速機を潤滑し、かつ軸受および増速機を冷却するために、圧縮機への潤滑油の供給が必須となる。そこで、圧縮機のギアケーシングの下部には油タンクが設けられ、油タンク内の潤滑油が油ポンプによって軸受および増速機に供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−186028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ターボ圧縮機においては、ギアケーシング下部に設けられた油タンクを低圧雰囲気に維持することにより軸受等に供給された潤滑油が油タンクに戻り易くするために、ギアケーシングとターボ圧縮機の吸込側に設けられた吸入路管とを接続してギアケーシング内の圧力をターボ圧縮機の吸込側圧力に均圧するための均圧管が設置されている。
このように、ターボ圧縮機には、ギアケーシングとターボ圧縮機の吸込側に設けられた吸入路管とを接続する均圧管が設置されているため、ターボ冷凍機の運転中に一部の潤滑油がギアケーシングから均圧管を通して吸入路管へ冷媒ガスとともに同伴されてしまう。その結果、潤滑油は本来のギアケーシングの下部の油タンクに戻らずに、蒸発器などへ流れ、油タンクの液面が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、ターボ冷凍機の運転中に冷媒ガスに同伴して圧縮機のギアケーシングから均圧管に流れてきた潤滑油を冷媒ガスから分離し、分離した潤滑油を均圧管の底部から下方に延びる分岐管により回収することができるターボ冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の一態様は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機と、該ターボ圧縮機に設けられ潤滑油を貯留するギアケーシングとを備え、前記ターボ圧縮機の軸受を含む摺動部に潤滑油を給油して潤滑した後の潤滑油を前記ギアケーシングの下部に回収するように構成したターボ冷凍機において、前記ギアケーシングと前記ターボ圧縮機の吸込側に設けられた吸入路管とを接続して前記ギアケーシング内の圧力をターボ圧縮機の吸込側圧力に均圧するための均圧管と、前記均圧管の途中から分岐し、該均圧管の底部から下方に延びる分岐管とを備え、前記分岐管の下端を前記ターボ圧縮機に設けられた前記ギアケーシング、または前記ギアケーシングとは別置の油タンクに接続したことを特徴とする。
【0007】
発明の好ましい態様は、前記別置の油タンクへの接続箇所は、油タンクの液面より高い部分であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ターボ圧縮機に設けられた前記ギアケーシング内、または前記ギアケーシングとは別置の油タンク内の潤滑油を前記摺動部に給油する油ポンプを設けたことを特徴とする
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記均圧管内を流れる流体は冷媒ガスと潤滑油とからなる混合流体であり、前記混合流体が前記分岐管に到達する前に前記冷媒ガスと前記潤滑油が分離可能な流速以下となるように、前記均圧管の内径を設定したことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、冷媒ガスを圧縮する直列、並列又は直並列接続された複数のターボ圧縮機を備え、前記複数のターボ圧縮機にそれぞれ設けられる前記ギアケーシングと、前記直列、並列又は直並列接続された複数のターボ圧縮機のうち圧力が一番低い吸入路管とを前記均圧管で接続したことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記均圧管から分岐する前記分岐管を前記複数のターボ圧縮機のそれぞれに対応させて設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記複数のターボ圧縮機に設けられた各ギアケーシングから流出した流体を前記均圧管で合流させる合流箇所の下流側に前記分岐管を設けたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記複数のターボ圧縮機のそれぞれの分岐管の下端を前記ギアケーシングとは別置の1つの油タンクに接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ターボ冷凍機の運転中に冷媒ガスに同伴して圧縮機のギアケーシングから均圧管に流れてきた潤滑油を冷媒ガスから分離し、分離した潤滑油を均圧管の底部から下方に延びる分岐管により回収することができる。したがって、ギアケーシングの下部にある油タンクまたはギアケーシングとは別置の油タンクに貯留された潤滑油の油面の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係るターボ冷凍機の第1の実施形態を示す模式図である。
図2図2は、本発明に係るターボ冷凍機の第2の実施形態を示す模式図である。
図3図3は、3台のターボ圧縮機が直並列接続された構成のターボ冷凍機を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るターボ冷凍機の実施形態を図1乃至図3を参照して説明する。図1乃至図3において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係るターボ冷凍機の第1実施形態を示す模式図である。図1に示すように、ターボ冷凍機は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機1と、圧縮された冷媒ガスを冷却水(冷却流体)で冷却して凝縮させる凝縮器2と、冷水(被冷却流体)から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器3と、凝縮器2と蒸発器3との間に配置される中間冷却器であるエコノマイザ4とを備えている。
【0013】
ターボ圧縮機1、凝縮器2、エコノマイザ4、および蒸発器3は、冷媒が循環する冷媒配管5によって連結されている。凝縮器2とエコノマイザ4とを連結する冷媒配管5にはオリフィスが設けられ、エコノマイザ4と蒸発器とを連結する冷媒配管5にはオリフィスが設けられている。蒸発器3とターボ圧縮機1とを連結する冷媒配管5のうち、ターボ圧縮機1の吸込側に設けられた冷媒配管を吸入路管5aと称する。
【0014】
ターボ圧縮機1は羽根車を複数備えた多段ターボ圧縮機から構成されている。ターボ圧縮機1は、冷媒配管5によってエコノマイザ4と接続されており、エコノマイザ4で分離された冷媒ガスはターボ圧縮機1の多段の圧縮段(この例では2段)の中間部分に導入されるようになっている。ターボ圧縮機1は軸受や増速機を収容するギアケーシング11を備えており、ギアケーシング11の下部には軸受と増速機に給油するための油タンク12が設けられている。ギアケーシング11の下部には油ポンプ13が設置されており、この油ポンプ13によって油タンク12内の潤滑油が油供給配管16を介してギアケーシング11内の軸受や増速機に供給されるようになっている。ターボ圧縮機1には、ギアケーシング11とターボ圧縮機1の吸込側に設けられた吸入路管5aとを接続してギアケーシング11内の圧力をターボ圧縮機1の吸込側圧力に均圧するための均圧管14が設置されている。この均圧管14によりギアケーシング11の下部に設けられた油タンク12を低圧雰囲気に維持することにより、軸受や増速機に供給された潤滑油が油タンク12に戻り易くしている。
【0015】
図1に示すように構成されたターボ冷凍機の冷凍サイクルでは、ターボ圧縮機1と凝縮器2とエコノマイザ4と蒸発器3とを冷媒が循環し、蒸発器3で得られる冷熱源で冷水が製造されて負荷に対応し、冷凍サイクル内に取り込まれた蒸発器3からの熱量およびモータ13から供給されるターボ圧縮機1の仕事に相当する熱量が凝縮器2に供給される冷却水に放出される。一方、エコノマイザ4にて分離された冷媒ガスはターボ圧縮機1の多段圧縮段の中間部分に導入され、一段目羽根車からの冷媒ガスと合流して二段目羽根車により圧縮される。2段圧縮単段エコノマイザサイクルによれば、エコノマイザ4による冷凍効果が付加されるので、その分だけ冷凍効果が増加し、エコノマイザ4を設置しない場合に比べて冷凍効果の高効率化を図ることができる。
【0016】
図1に示すように、ターボ圧縮機1には、ギアケーシング11とターボ圧縮機1の吸込側に設けられた吸入路管5aとを接続する均圧管14が設置されているため、ターボ冷凍機の運転中に一部の潤滑油がギアケーシング11から均圧管14を通して吸入路管5aへ冷媒ガスとともに同伴されてしまう。その結果、潤滑油は本来のギアケーシング11の下部の油タンク12に戻らずに、蒸発器3などへ流れ、油タンク12の液面が低下するという問題がある。
そこで、本発明においては、図1に示すように、均圧管14の途中から分岐し、均圧管14の底部から下方に延びる分岐管15を設置している。分岐管15の下端は油タンク12の液面より高い部分に接続されている。油タンク12の液面より低い部分に接続すると、分岐管15の下端が油タンク12の一部となり、油タンク12の油保有量が増加してしまうため、好ましくない。均圧管14内を流れる流体の流速が所定の値以下、例えば、冷媒HFC-245faとその潤滑油であれば、3m/sec以下となるように、均圧管14の内径を設定している。これにより、均圧管14内を流れる流体の気液分離を促進し、潤滑油が重力で下方に分離されて均圧管14の下部を流れるようにする。冷媒にはいくつかの冷媒があり、潤滑油にもいくつかの潤滑油がある。冷媒と潤滑油の組合せはいくつかあるので、均圧管14内を流れる流体の流速の所定の値は、それらの組合せに応じて適宜実験により定めればよい。潤滑油が均圧管14の下部を流れて分岐管15に到達すると、潤滑油は分岐管15を流れ落ちてギアケーシング11の下部に設けられた油タンク12に戻り、ギアケーシング外への流出を阻止し、油タンク12の液面低下を防ぐことができる。なお、分岐管15の接続先は、ギアケーシング11とは別置の油タンクを設け、この別置の油タンクに接続してもよく、施工性や配管長を考慮して、どちらに接続するかを決めればよい。
【0017】
このように、本発明によれば、ターボ冷凍機の運転中に冷媒ガスに同伴して圧縮機のギアケーシング11から均圧管14に流れてきた潤滑油を冷媒ガスから分離し、分離した潤滑油を均圧管14の底部から下方に延びる分岐管15により回収することができる。したがって、ギアケーシング11の下部にある油タンク12またはギアケーシングとは別置の油タンクに貯留された潤滑油の油面の低下を防止することができる。
【0018】
ターボ圧縮機1で使用される潤滑油は、軸シール機構(図示せず)等を通じて僅かに冷媒系統に漏洩し、冷媒に溶解する。漏洩した潤滑油は、最も圧力の低い蒸発器3内の液相の冷媒中に溜まる。そこで、冷媒に含まれる潤滑油を蒸発器3から回収するために、エジェクタ17を備えた油回収機構が設けられている。蒸発器3は油回収配管18を介してエジェクタ17に接続されている。油回収配管18には、潤滑油を含んだ冷媒液を加熱するヒーター21が設けられている。ターボ圧縮機1と凝縮器2とを接続する冷媒配管5から、駆動ガス供給配管19が分岐し、この駆動ガス供給配管19はエジェクタ17に接続されている。エジェクタ17の吐出口は、混合流体回収配管20を介してギアケーシング11の下部の中の気相部に接続されている。
【0019】
図1に示すように構成された油回収機構では、ターボ圧縮機1によって圧縮された高圧の冷媒ガスがエジェクタ17を通過することによってエジェクタ17内に負圧が形成され、蒸発器3内の潤滑油を含んだ冷媒液はエジェクタ17に吸引される。エジェクタ17に吸引された潤滑油を含んだ冷媒液は、油回収配管18を通ってヒーター21に導入され、駆動ガス供給配管19を通る冷媒ガス(駆動ガス)により加熱される。その結果、冷媒液が気化し、その一方で潤滑油は液相のままである。加熱された潤滑油および気化した冷媒(すなわち冷媒ガス)は、エジェクタ17に導入されて冷媒ガス(駆動ガス)と混合され、混合流体回収配管20を通じてターボ圧縮機1のギアケーシング11の下部に移送される。なお、冷凍容量を増すために、冷媒ガスを圧縮するターボ圧縮機を並列接続したターボ冷凍機でも同様である。
【0020】
図2は、本発明に係るターボ冷凍機の第2の実施形態を示す模式図である。図2に示すように、ターボ冷凍機は、冷媒ガスを多段に圧縮する第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2と、圧縮された冷媒ガスを冷却水(冷却流体)で冷却して凝縮させる凝縮器2と、ブライン(被冷却流体)から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器3と、凝縮器2と蒸発器3との間に配置される中間冷却器であるエコノマイザ4とを備え、これら各機器を冷媒が循環する冷媒配管5によって連結して構成されている。蒸発器3と第1のターボ圧縮機1−1とを連結する冷媒配管5のうち、第1のターボ圧縮機1−1の吸込側に設けられた冷媒配管を吸入路管5aと称する。
【0021】
冷媒ガスを多段に圧縮する第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2は、エコノマイザ4を介して直列に接続されている。すなわち、蒸発器3から排出された低温低圧の冷媒ガスを第1のターボ圧縮機1−1で圧縮し、第1のターボ圧縮機1−1から吐出された冷媒ガスをエコノマイザ4を経由させて第2のターボ圧縮機1−2に導き、第2のターボ圧縮機1−2で更に圧縮して高温高圧の冷媒ガスにしている。
【0022】
第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2は、それぞれ軸受や増速機を収容するギアケーシング11−1,11−2を備えており、ギアケーシング11−1,11−2の下部には第1の油タンク12−1,12−2が設けられている。ギアケーシング11−1,11−2と第1のターボ圧縮機1−1の吸込側に設けられた吸入路管5aとを接続してギアケーシング11−1,11−2内の圧力を第1のターボ圧縮機1−1の吸込側圧力に均圧するための均圧管14が設置されている。この均圧管14によりギアケーシング11−1,11−2の下部に設けられた第1の油タンク12−1,12−2を低圧雰囲気に維持することにより、軸受や増速機に供給された潤滑油が第1の油タンク12−1,12−2に戻り易くしている。ここで、本実施形態に係る多段の圧縮機を直列に接続した場合において、各々のギアケーシングの内圧の差により、ギアケーシングから漏れる油の量が異なるため、ギアケーシング内の液位に差が生じ、どちらか一方のギアケーシングの液位が低下する等の問題が発生する。これを解消するため、油タンク12−1,12−2は、油連絡配管24,25によって第2の油タンク22と連通し、各々のギアケーシングから均圧管14に至る配管に手動弁V1,V2を設け、手動弁V1,V2の開度を調整することで、油タンク12−1,12−2の液位がほぼ同一となるようにしてもよい。
このように、油タンク12−1,12−2の液位調整と、ギアケーシングに供給された潤滑油が羽根車軸や増速機軸を通じて、ギアケーシング外に流出しないようにする目的で、ギアケーシングと均圧管で接続する吸入路管は、圧力が一番低い吸入路管に接続している。
【0023】
図2に示すように構成された低温ターボ冷凍機の冷凍サイクルでは、第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2と凝縮器2と蒸発器3とエコノマイザ4とを冷媒が循環し、蒸発器3でブラインが低温(−5℃〜−25℃)に冷却されて負荷に対応し、冷凍サイクル内に取り込まれた蒸発器3からの熱量および圧縮機モータから供給されるターボ圧縮機1−1,1−2の仕事に相当する熱量が凝縮器2に供給される冷却水に放出される。一方、エコノマイザ4にて分離されたガス冷媒は、第1のターボ圧縮機1−1からのガス冷媒と合流して第2のターボ圧縮機1−2により圧縮される。エコノマイザサイクルによれば、エコノマイザ4による冷凍効果部分が付加されるので、その分だけ冷凍効果が増加し、エコノマイザ4を設置しない場合に比べて冷凍効果の高効率化を図ることができる。
【0024】
図2に示すように、第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2には、ギアケーシング11−1,11−2と第1のターボ圧縮機1−1の吸込側に設けられた吸入路管5aとを接続する均圧管14が設置されているため、ターボ冷凍機の運転中に一部の潤滑油がギアケーシング11−1,11−2から均圧管14を通して吸入路管5aへ冷媒ガスとともに同伴されてしまう。その結果、潤滑油は本来のギアケーシング11−1,11−2の下部の第1の油タンク12−1,12−2に戻らずに、蒸発器3などへ流れ、第1の油タンク12−1,12−2の液面が低下するという問題がある。特に、図2に示すような低温用ターボ冷凍機の場合は、圧縮機を2台以上直列に接続するが、2台接続すると、圧縮機の吸込み口への潤滑油の漏れが2倍となり、低温になると、蒸発器3の圧力が低圧となり、エジェクタの吸込み圧力が低下するため潤滑油の回収量が少なくなるという問題がある。
そこで、図2に示すターボ冷凍機においては、均圧管14の途中から分岐し、均圧管14の底部から下方に延びる2本の分岐管15−1,15−2を設置している。分岐管15−1の下端は第1のターボ圧縮機1−1の油タンク12−1の液面より高い部分に接続されている。分岐管15−2の下端は第2のターボ圧縮機1−2の油タンク12−2の液面より高い部分に接続されている。油タンク12−1,12−2の液面より低い部分に接続すると、分岐管15−1,15−2の下端が油タンク12−1,12−2の一部となり、油タンク12−1,12−2の油保有量が増加してしまうため、好ましくない。均圧管14内を流れる流体の流速が所定の値以下、例えば、冷媒HFC-245faとその潤滑油であれば、3m/sec以下となるように、均圧管14の内径を設定している。これにより、均圧管14内を流れる流体の気液分離を促進し、潤滑油が重力で下方に分離されて均圧管14の下部を流れるようにする。冷媒にはいくつかの冷媒があり、潤滑油にもいくつかの潤滑油がある。冷媒と潤滑油の組合せはいくつかあるので、均圧管14内を流れる流体の流速の所定の値は、それらの組合せに応じて適宜実験により定めればよい。潤滑油が均圧管14の下部を流れて分岐管15−1,15−2に到達すると、潤滑油は分岐管15−1,15−2を流れ落ちてギアケーシング11−1,11−2の下部に設けられた第1の油タンク12−1,12−2に戻り、ギアケーシング外への流出を阻止し、油タンク12−1,12−2の液面低下を防ぐことができる。
【0025】
このように、本発明によれば、ターボ冷凍機の運転中に冷媒ガスに同伴して圧縮機のギアケーシング11−1,11−2から均圧管14に流れてきた潤滑油を冷媒ガスから分離し、分離した潤滑油を均圧管14の底部から下方に延びる分岐管15−1,15−2により回収することができる。したがって、ギアケーシングの下部にある第1の油タンク12−1,12−2またはギアケーシング11−1,11−2とは別置の第2の油タンク22に貯留された潤滑油の油面の低下を防止することができる。
【0026】
第1のターボ圧縮機1−1、第2のターボ圧縮機1−2で使用される潤滑油は、軸シール機構(図示せず)等を通じて僅かに冷媒系統に漏洩し、冷媒に溶解する。漏洩した潤滑油は、最も圧力の低い蒸発器3内の液相の冷媒中に溜まる。そこで、冷媒に含まれる潤滑油を蒸発器3から回収するために、エジェクタ17を備えた油回収機構が設けられている。蒸発器3は油回収配管18を介してエジェクタ17に接続されている。油回収配管18には、潤滑油を含んだ冷媒液を加熱するヒーター21が設けられている。第1のターボ圧縮機1−1とエコノマイザ4とを接続する冷媒配管5から、駆動ガス供給配管19が分岐し、この駆動ガス供給配管19はエジェクタ17に接続されている。エジェクタ17の吐出口は、混合流体回収配管20を介して第1のターボ圧縮機1−1のギアケーシング11−1の下部に接続されている。
【0027】
図2に示すように構成された油回収機構では、第1のターボ圧縮機1−1によって圧縮された高圧の冷媒ガスがエジェクタ17を通過することによってエジェクタ17内に負圧が形成され、蒸発器3内の潤滑油を含んだ冷媒液はエジェクタ17に吸引される。エジェクタ17に吸引された潤滑油を含んだ冷媒液は、油回収配管18を通ってヒーター21に導入され、駆動ガス供給配管19を通る冷媒ガス(駆動ガス)により加熱される。その結果、冷媒液が気化し、その一方で潤滑油は液相のままである。加熱された潤滑油および気化した冷媒(すなわち冷媒ガス)は、エジェクタ17に導入されて冷媒ガス(駆動ガス)と混合され、混合流体回収配管20を通じて第1のターボ圧縮機1−1のギアケーシング11−1の下部に移送される。
【0028】
図2に示すように、第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2におけるギアケーシング11−1,11−2の下部に設けられた第1の油タンク12−1,12−2の下方には、第2の油タンク22が配設されている。第2の油タンク22は、圧縮機に内蔵されたものではなく、圧縮機とは独立して設置されている。第1のターボ圧縮機1−1の第1の油タンク12−1と第2の油タンク22とは、油連絡配管24により接続されている。したがって、第1のターボ圧縮機1−1の第1の油タンク12−1内の潤滑油は油連絡配管24を介して第2の油タンク22に流入するようになっている。第2のターボ圧縮機1−2の第1の油タンク12−2と第2の油タンク22とは、油連絡配管25により接続されている。したがって、第2のターボ圧縮機1−2の第1の油タンク12−2内の潤滑油は油連絡配管25を介して第2の油タンク22に流入するようになっている。
【0029】
第2の油タンク22には、第1のターボ圧縮機1−1の軸受や増速機に潤滑油を圧送するための第1の油ポンプ31が配設されている。また、第2の油タンク22には、第2のターボ圧縮機1−2の軸受や増速機に潤滑油を圧送するための第2の油ポンプ32が配設されている。第2の油タンク22のガス排出口22aと第1のターボ圧縮機1−1のギアケーシング11−1のガス流入口11aとは、ガス連絡配管26により接続されている。ガス連絡配管26は、第1の油タンク12−1の最高液位より上方の位置に接続されている。したがって、潤滑油に溶け込んだ冷媒ガスは、ガス連絡配管26を介して第1の油タンク12−1の油貯留部の上方の空間に戻されるようになっており、第2の油タンク22は常に潤滑油で満たされるように構成されている。ガス連絡配管26は、冷凍機の起動時に油に溶け込んだ冷媒ガスの排出が可能な流路断面積以上に設定されている。これにより油連絡配管24内および油連絡配管25内の油の連絡が途切れることなく、第1の油ポンプ31および第2の油ポンプ32の吸込み口に油の自重による押込み圧をかけ、ギアケーシング11−1,11−2の圧力が低下していても油ポンプ31,32でキャビテーションが発生することを防ぐことができる。
【0030】
図2に示すターボ冷凍機によれば、第1のターボ圧縮機1−1に内蔵する第1の油タンク12−1および第2のターボ圧縮機1−2に内蔵する第1の油タンク12−2の下方の位置に、別置きの第2の油タンク22を設置し、第1の油タンク12−1と第2の油タンク22とを油連絡配管24で接続し、第1の油タンク12−2と第2の油タンク22とを油連絡配管25で接続している。そして、第2の油タンク22に第1の油ポンプ31を配設し、第1の油ポンプ31により第1のターボ圧縮機1−1に潤滑油を供給し、第2の油タンク22に第2の油ポンプ32を配設し、第2の油ポンプ32により第2のターボ圧縮機1−2に潤滑油を供給する。このように、第2の油タンク22の設置位置を下方に下げた分、潤滑油の自重による液圧が油ポンプ31,32の吸込口にかかるため、油ポンプ31,32に必要なNPSHを確保することができる。したがって、ポンプにキャビテーションの発生等の性能低下がなく、圧縮機の軸受等の摺動部へ問題なく給油できるようになる。
図2においては、分岐管15−1,15−2の下端をギアケーシング11−1,11−2の下部に接続したが、分岐管15−1,15−2の下端を第2の油タンク22に接続してもよい。
【0031】
次に、直列、並列又は直並列(直列と並列の組み合わせ)に接続された複数のターボ圧縮機を備えたターボ冷凍機について説明する。
図3は、3台のターボ圧縮機が直並列接続された構成のターボ冷凍機を示す模式図である。図3に示すように、ターボ冷凍機は、冷媒ガスを多段に圧縮する第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2,第3のターボ圧縮機1―3と、圧縮された冷媒ガスを温水または冷却水(冷却流体)で冷却して凝縮させる凝縮器2と、ブラインまたは冷水(被冷却流体)から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器3と、凝縮器2と蒸発器3との間に配置される中間冷却器であるエコノマイザ4とを備え、これら各機器を冷媒が循環する冷媒配管5によって連結して構成されている。蒸発器3と第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2とを連結する冷媒配管5のうち、第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2の吸込側に設けられた冷媒配管を吸入路管5aと称する。
【0032】
図3に示すように、第1のターボ圧縮機1−1と第2のターボ圧縮機1−2とはエコノマイザ4に並列接続されており、第1のターボ圧縮機1−1と第2のターボ圧縮機1−2は、冷凍容量を増す目的で並列接続されている。すなわち、蒸発器3から排出された低温低圧の冷媒ガスを分岐した吸入路管5a,5aを介して第1のターボ圧縮機1−1および第2のターボ圧縮機1−2に並行して導き、冷媒ガスを各圧縮機1−1,1−2で圧縮する。第1のターボ圧縮機1−1および第2のターボ圧縮機1−2と、第3のターボ圧縮機1−3とは、エコノマイザ4を介して直列に接続されている。すなわち、第1のターボ圧縮機1−1で圧縮された冷媒ガスおよび第2のターボ圧縮機1−2で圧縮された冷媒ガスをエコノマイザ4を経由させて第3のターボ圧縮機1−3に導き、第3のターボ圧縮機1−3で更に圧縮して高温高圧の冷媒ガスにしている。
【0033】
第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2,第3のターボ圧縮機1−3は、それぞれ軸受や増速機を収容するギアケーシング11−1,11−2,11−3を備えており、ギアケーシング11−1,11−2,11−3の下部には第1の油タンク12−1,12−2,12−3が設けられている。ギアケーシング11−1,11−2,11−3と、第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2の吸込側に設けられた吸入路管5aとを接続してギアケーシング11−1,11−2,11−3内の圧力を第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2の吸込側圧力に均圧するための均圧管14が設置されている。この均圧管14によりギアケーシング11−1,11−2,11−3の下部に設けられた第1の油タンク12−1,12−2,12−3を低圧雰囲気に維持することにより、軸受や増速機に供給された潤滑油が第1の油タンク12−1,12−2,12−3に戻り易くしている。ここで、本実施形態に係る多段の圧縮機を直並列に接続した場合において、各々のギアケーシングの内圧の差により、ギアケーシングから漏れる油の量が異なるため、ギアケーシング内の液位に差が生じ、いずれかのギアケーシングの液位が低下する等の問題が発生する。これを解消するため、油タンク12−1,12−2,12−3は、油連絡配管24,25,27によって第2の油タンク22と連通し、各々のギアケーシングから均圧管14に至る配管に手動弁V1,V2,V3を設け、手動弁V1,V2,V3の開度を調整することで、油タンク12−1,12−2,12−3の液位がほぼ同一となるようにしてもよい。
このように、油タンク12−1,12−2,12−3の液位調整と、ギアケーシングに供給された潤滑油が羽根車軸や増速機軸を通じて、ギアケーシング外に流出しないようにする目的で、ギアケーシングと均圧管で接続する吸入路管は、圧力が一番低い吸入路管に接続している。
【0034】
図3に示すターボ冷凍機においては、均圧管14の途中から分岐し、均圧管14の底部から下方に延びる3本の分岐管15−1,15−2,15−3を設置している。分岐管15−1の下端は第1のターボ圧縮機1−1の油タンク12−1の液面より高い部分に接続されている。分岐管15−2の下端は第2のターボ圧縮機1−2の油タンク12−2の液面より高い部分に接続されている。分岐管15−3の下端は第3のターボ圧縮機1−3の油タンク12−3の液面より高い部分に接続されている。油タンク12−1,12−2,12−3の液面より低い部分に接続すると、分岐管15−1,15−2,15−3の下端が油タンク12−1,12−2,12−3の一部となり、油タンク12−1,12−2,12−3の油保有量が増加してしまうため、好ましくない。均圧管14内を流れる流体の流速が所定の値以下、例えば、冷媒HFC-245faとその潤滑油であれば、3m/sec以下となるように、均圧管14の内径を設定している。これにより、均圧管14内を流れる流体の気液分離を促進し、潤滑油が重力で下方に分離されて均圧管14の下部を流れるようにする。冷媒にはいくつかの冷媒があり、潤滑油にもいくつかの潤滑油がある。冷媒と潤滑油の組合せはいくつかあるので、均圧管14内を流れる流体の流速の所定の値は、それらの組合せに応じて適宜実験により定めればよい。潤滑油が均圧管14の下部を流れて分岐管15−1,15−2,15−3に到達すると、潤滑油は分岐管15−1,15−2,15−3を流れ落ちてギアケーシング11−1,11−2,11−3の下部に設けられた第1の油タンク12−1,12−2,12−3に戻り、ギアケーシング外への流出を阻止し、油タンク12−1,12−2,12−3の液面低下を防ぐことができる。
【0035】
このように、本発明によれば、ターボ冷凍機の運転中に冷媒ガスに同伴して圧縮機のギアケーシング11−1,11−2,11−3から均圧管14に流れてきた潤滑油を冷媒ガスから分離し、分離した潤滑油を均圧管14の底部から下方に延びる分岐管15−1,15−2,15−3により回収することができる。したがって、ギアケーシング11−1,11−2,11−3の下部にある第1の油タンク12−1,12−2,12−3またはギアケーシング11−1,11−2,11−3とは別置の油タンク22に貯留された潤滑油の油面の低下を防止することができる。本実施形態においても、冷媒に含まれる潤滑油を蒸発器3から回収するために、エジェクタ17を備えた油回収機構が設けられている。蒸発器3は油回収配管18を介してエジェクタ17に接続されている。油回収配管18には、潤滑油を含んだ冷媒液を加熱するヒーター21が設けられている。第1のターボ圧縮機1−1とエコノマイザ4とを接続する冷媒配管5から、駆動ガス供給配管19が分岐し、この駆動ガス供給配管19はエジェクタ17に接続されている。エジェクタ17の吐出口は、混合流体回収配管20を介して第1のターボ圧縮機1−1のギアケーシング11−1の下部に接続されている。
【0036】
図3に示すように、第1のターボ圧縮機1−1,第2のターボ圧縮機1−2,第3のターボ圧縮機1−3におけるギアケーシング11−1,11−2,11−3の下部に設けられた第1の油タンク12−1,12−2,12−3の下方には、第2の油タンク22が配設されている。第2の油タンク22は、圧縮機に内蔵されたものではなく、圧縮機とは独立して設置されている。第1のターボ圧縮機1−1の第1の油タンク12−1と第2の油タンク22とは、油連絡配管24により接続されている。第2のターボ圧縮機1−2の第1の油タンク12−2と第2の油タンク22とは、油連絡配管25により接続されている。第3のターボ圧縮機1−3の第1の油タンク12−3と第2の油タンク22とは、油連結配管27により接続されている。第2の油タンク22のガス排出口22aと第2のターボ圧縮機1−2のギアケーシング11−2のガス流入口11aとは、ガス連絡配管26により接続されている。したがって、潤滑油に溶け込んだ冷媒ガスは、ガス連絡配管26を介して第1の油タンク12−2の油貯留部の上方の空間に戻されるようになっており、第2の油タンク22は常に潤滑油で満たされるように構成されている。第2の油タンク22には、第1のターボ圧縮機1−1の軸受や増速機に潤滑油を圧送するための第1の油ポンプ31、第2のターボ圧縮機1−2の軸受や増速機に潤滑油を圧送するための第2の油ポンプ32、第3のターボ圧縮機1−3の軸受や増速機に潤滑油を圧送するための第3の油ポンプ33が配設されている。
【0037】
このように、第2の油タンク22の設置位置を下方に下げた分、潤滑油の自重による液圧が油ポンプ31,32,33の吸込口にかかるため、油ポンプ31,32,33に必要なNPSHを確保することができる。したがって、ポンプにキャビテーションの発生等の性能低下がなく、圧縮機の軸受等の摺動部へ問題なく給油できるようになる。
図3においては、分岐管15−1,15−2,15−3の下端をギアケーシング11−1,11−2,11−3の下部に接続したが、分岐管15−1,15−2,15−3の下端を第2の油タンク22に接続してもよい。
【0038】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
1 ターボ圧縮機
1−1 第1のターボ圧縮機
1−2 第2のターボ圧縮機
1−3 第3のターボ圧縮機
2 凝縮器
3 蒸発器
4 エコノマイザ
5 冷媒配管
5a 吸入路管
11,11−1,11−2,11−3 ギアケーシング
12 油タンク
12−1,12−2,12−3 第1の油タンク
13 油ポンプ
14 均圧管
15,15−1,15−2,15−3 分岐管
16 油供給配管
17 エジェクタ
18 油回収配管
19 駆動ガス供給配管
20 混合流体回収配管
21 ヒーター
22 第2の油タンク
24,25,27 油連絡配管
26 ガス連絡配管
31 第1の油ポンプ
32 第2の油ポンプ
33 第3の油ポンプ
V1,V2,V3 手動弁
図1
図2
図3