(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
[一実施形態]
以下、本発明の一実施形態に係る袋状構造体32を用いたカフ12を備える血圧計1について、
図1乃至
図8を用いて以下説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る血圧計1の構成を示す斜視図、
図2は血圧計1に用いられるカフ12の構成を示す断面図、
図3はカフ12を生体の手首100に巻き付けた状態を模式的に示す断面図、
図4はカフ12を手首100に巻き付けた状態で、カフ12の袋状構造体32が膨張し、動脈110を圧迫した状態を模式的に示す断面図である。また、
図5及び
図6はカフ12に用いられる袋状構造体32の構成を一部切欠して示す斜視図、
図7は袋状構造体32を生体の手首100に巻き付けた状態で、袋状構造体32の構成を、巻き付け方向に直交する方向で模式的に示す側面図、
図8は、袋状構造体32の側壁部43及び補強部材44の構成を模式的に示す斜視図である。
【0032】
血圧計1は、生体に、例えば、手首100に装着する電子血圧計である。
図1に示すように、血圧計1は、装置本体11と、カフ12と、を備えている。
【0033】
装置本体11は、ケース21と、表示部22と、操作部23と、ポンプ24と、開閉弁25と、圧力センサ26と、電力供給部27と、制御部28と、を備えている。また、装置本体11は、ポンプ24、開閉弁25、圧力センサ26及びカフ12を流体的に接続する空気の流路を有する。例えば、空気の流路は、樹脂材料等により構成されたチューブ等がケース21内に配置されることで構成される。
【0034】
ケース21は、表示部22を上面に配置する。ケース21は、ポンプ24、開閉弁25、圧力センサ26、電力供給部27及び制御部28を収容する。ケース21は、カフ12と一体に接続される。
【0035】
表示部22は、電気的に制御部28に接続される。表示部22は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部22は、最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数などの測定結果を含む各種情報を表示する。
【0036】
操作部23は、使用者からの指令を入力可能に構成される。例えば、操作部23は、ケース21に設けられた釦や、表示部に設けられたタッチパネルである。操作部23は、使用者が操作することで、指令を電気信号に変換する。操作部23は、電気的に制御部28に接続され、電気信号を制御部28へ出力する。
【0037】
ポンプ24は、例えば、ローリングポンプである。ポンプ24は、空気を圧縮し、流路を介して圧縮空気をカフ12に供給する。ポンプ24は、電気的に制御部28に接続される。
【0038】
開閉弁25は、電気的に制御部28に接続された電磁弁である。開閉弁25は、制御部28の指令によって開閉する。開閉弁25は、開くことで流路及び大気を連続させて、流路内を減圧する。
【0039】
圧力センサ26は、流路内の圧力を検出する。圧力センサ26は、電気的に制御部28に接続され、検出した圧力を電気信号に変換し、制御部28へ出力する。ここで、流路はカフ12の後述する袋状構造体32と連続することから、流路内の圧力とは、袋状構造体32の内部空間の圧力である。
【0040】
電力供給部27は、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池である。電力供給部27は、制御部28に電気的に接続される。電力供給部27は、制御部28に電力を供給する。
【0041】
制御部28は、表示部22、操作部23、ポンプ24、開閉弁25及び圧力センサ26に電力を供給する。また、制御部28は、操作部23及び圧力センサ26が出力する電気信号に基づいて、表示部22、ポンプ24及び開閉弁25の動作を制御する。
【0042】
例えば、制御部28は、操作部23から血圧を測定する指令が入力されると、ポンプ24を駆動してカフ12に圧縮空気を送る。また、制御部28は、圧力センサ26が出力する電気信号に基づいて、ポンプ24の駆動及び停止、並びに、開閉弁25の開閉を制御する。また、制御部28は、圧力センサ26が出力する電気信号から、最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数などの測定結果を求め、この測定結果に対応した画像信号を表示部22へ出力する。
【0043】
図1及び
図2に示すように、カフ12は、基材31と、袋状構造体32と、を備えている。カフ12は、手首に巻き付けることで、手首に固定される。
【0044】
基材31は、生体の手首100の形状に沿って湾曲して構成される。基材31は、例えば、一端がケース21と一体に構成され、他端が留め具等によりケース21に固定可能に構成される。基材31は、袋状構造体32を内面に支持する。例えば、基材31は、袋状構造体32を接合する接着剤や両面テープ等の接合層31aを内面に有する。また、基材31は、硬質の樹脂材料により構成される。
【0045】
図2乃至
図8に示すように、袋状構造体32は、一方向に長い矩形状の内壁部41と、一方向に長い矩形状の外壁部42と、内壁部41及び外壁部42を連続する、袋状構造体32の内方に向かって曲折する一対の側壁部43と、一対の側壁部43にそれぞれ設けられる補強部材44と、を備えている。また、袋状構造体32は、一対の側壁部43を袋状構造体32の長手方向と直交する方向で連結する連結部45と、内壁部41、外壁部42及び一対の側壁部43により構成される内部空間と装置本体11の流路とを流体的に接続する接続チューブ46と、を備えている。
【0046】
袋状構造体32は、内壁部41、外壁部42及び一対の側壁部43により、装置本体11の流路に流体的に接続される空気室を構成する。袋状構造体32は、長手方向が基材31の内面に沿って湾曲して基材31に配置される。袋状構造体32の幅は、例えば40mm以下に設定される。このような袋状構造体32は、側壁部43が袋状構造体32の内方に向かって曲折することから、Σ構造や蛇腹構造と呼ばれることもある。
【0047】
袋状構造体32は、
図6に示すような両端が開口した状態から、
図5に示すように一端に接続チューブ46を介して内壁部41及び外壁部42を長手方向の両端で接合することで、構成される。袋状構造体32は、例えば、熱可塑性エラストマーにより構成された所定の形状の複数のシート部材を一体に接合することで構成される。
【0048】
シート部材を構成する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic PolyUrethane、以下TPUと表記する)、塩化ビニル樹脂(PolyVinyl Chloride)、エチレン酢酸ビニル樹脂(Ethylene-Vinyl Acetate)、熱可塑性ポリスチレン系樹脂(Thermoplastic PolyStyrene)、熱可塑性ポリオレフィン樹脂(Thermoplastic PolyOlefin)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ThermoPlastic Polyester)及び熱可塑性ポリアミド樹脂(Thermoplastic PolyAmide)を用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、TPUを用いることが好ましい。シート部材は、単層構造を有していても良く、また、複層構造を有していても良い。
【0049】
なお、シート部材は、熱可塑性エラストマーに限定されず、シリコーン等の熱硬化性エラストマーであってもよく、また、熱可塑性エラストマー(例えばTPU)と熱硬化性エラストマー(例えばシリコーン)との組み合わせであっても良い。
【0050】
シート部材は、熱可塑性エラストマーを用いる場合には、Tダイ押し出し成形や射出成形等の成形方式が用いられ、熱硬化性エラストマーを用いる場合には、金型注型成形等の成形方式が用いられる。シート部材は、各成形方式で成形された後、所定の形状にサイジングされ、そして、サイジングした個片を接着や溶着等により接合することで袋状構造体32を構成する。接合の方式としては、熱可塑性エラストマーを用いる場合には、高周波ウェルダーやレーザー溶着が用いられ、熱硬化性エラストマーを用いる場合には、分子接着剤が用いられる。
【0051】
また、シート部材は、Shore A硬度が15〜95に設定される。これは、Shore A硬度が15よりも小さい場合には、袋状構造体32が膨張及び収縮を繰り返したときの耐久性が損なわれる虞が高く、また、Shore A硬度が95よりも大きいと、袋状構造体32の膨張圧力が増大し、生体への負荷が増加する為である。なお、Shore A硬度は、JIS K6253−3:2012(「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」)において規定された、タイプAデュロメータ硬さ試験によって得られるデュロメータ硬さである。
【0052】
内壁部41は、生体側に配置される。外壁部42は、内壁部41に対して配置される。外壁部42は、基材31側に配置される。
【0053】
側壁部43は、袋状構造体32の内部空間に向かって曲折する曲折部43aが内壁部41及び外壁部42の対向する方向で略中央に設けられる。曲折部43aは、例えば、シート部材を接合したときに設けてもよく、また、成形時にシート部材を賦形することで設ける構成であってもよい。
【0054】
補強部材44は、側壁部43よりも高い硬度を有する材料により構成される。補強部材44に用いられる材料には、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(Polyethylene Terephthalate)、ポリカーボネート樹脂(Polycarbonate)、ポリプロピレン樹脂(Polypropylene)、ポリイミド樹脂(Polyimide)を用いることができる。
【0055】
補強部材44は、袋状構造体32が基材31に固定される前においては、袋状構造体32の延設方向に沿って設けられる。そして、補強部材44は、基材31に設けられ、手首100の形状に袋状構造体32が曲げられたときに、手首100への巻き付け方向に沿うように手首100への巻き付け方向に対する形状追従性を有する。
【0056】
ここで、形状追従性とは、補強部材44が設けられた袋状構造体32が手首100に巻き付けられたときに、手首100の被接触箇所の形状を倣うように変形可能とする機能である。即ち、形状追従性を有する補強部材44とは、袋状構造体32に設けられたときに、袋状構造体32が大まかに手首100の被接触箇所の形状に倣うことが可能な機能を袋状構造体32に持たせることができる補強部材44を意味する。このため、形状追従性を有する補強部材44は、袋状構造体32の手首100に接触する内壁部41の外面が手首100に密着する程度まで袋状構造体33が手首100の被接触箇所の形状に倣うように、補強部材44自身が変形可能とする機能を有することを要しない。
【0057】
補強部材44の形状追従性は、補強部材44が巻き付け方向に分割されるか、又は、補強部材44自体に高い柔軟性を持たせることで得られる。本実施形態においては、
図5乃至
図8に示すように、補強部材44が巻き付け方向に分割される構成を用いて説明する。
【0058】
また、補強部材44は、袋状構造体32が手首100に巻き付けられたときに、側壁部43に巻皺、即ち意図しない皺が生じることを防止できる硬度及び形状を有する。
【0059】
補強部材44は、一対の側壁部43にそれぞれ設けられる。補強部材44の厚さは、0.01mm乃至1.00mmに設定される。これは、0.01mm未満の厚さの補強部材44では、側壁部43の補強効果が十分に得られず、また、1.00mmを超える厚さの補強部材44では、袋状構造体32が折りたたまれたときに、側壁部43の厚みが嵩張ることから、カフ12の外観や装着性等のユーザビリティが低下する為である。
【0060】
図7及び
図8に示すように、補強部材44は、側壁部43の曲折部43aから内壁部41側に設けられた第1補強部材51と、曲折部43aから外壁部42側に設けられた第2補強部材52と、を備えている。なお、補強部材44は、袋状構造体32の接合が阻害されることを防止するために、当該接合される部位を避けて設けられる。
【0061】
第1補強部材51は、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片51aを備える。小片51aは、樹脂材料により成形された矩形の薄板状に構成される。小片51aは、側壁部43の外面に、接着剤等により固定される。
【0062】
複数の小片51aは、隣り合う小片51a間の隙間が、小片51aの厚み以上であって、且つ、2mm以下に設定される。これは、小片51aの厚みよりも当該隙間の幅が下回ると、小片51a同士が干渉し、また、上限値を超えると、小片51a間の側壁部43が袋状構造体32の空気室内の膨張圧力によって膨張する虞がある為である。
【0063】
例えば、小片51aは、側壁部43の長手方向の長さが10mmに構成される。また、例えば、小片51aは、側壁部43の長手方向に対して直交する方向の長さが、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a側の端部のそれぞれから0.3mm乃至0.5mm離して側壁部43に配置できる長さに構成される。また、好ましくは、小片51aの周縁は、曲面による面取りが成されている。
【0064】
第2補強部材52は、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片52aを備える。小片52aは、樹脂材料により成形された矩形の薄板状に構成される。小片52aは、側壁部43の外面に、接着剤等により固定される。
【0065】
複数の小片52aは、隣り合う小片52a間の隙間が、小片52aの厚み以上であって、且つ、2mm以下に設定される。これは、小片52aの厚みよりも当該隙間の幅が下回ると、小片52a同士が干渉し、また、上限値を超えると、小片52a間の側壁部43が袋状構造体32の空気室内の膨張圧力によって膨張する虞がある為である。
【0066】
例えば、小片52aは、側壁部43の長手方向の長さが10mmに構成される。また、例えば、小片52aは、側壁部43の長手方向に対して直交する方向の長さが、側壁部43の外壁部42側の端部及び曲折部43a側の端部のそれぞれから0.3mm乃至0.5mm離して側壁部43に配置できる長さに構成される。また、好ましくは、小片52aの周縁は、曲面による面取りが成されている。即ち、本実施形態においては、第2補強部材52は、第1補強部材51と同じ構成を有する。
【0067】
連結部45は、一対の側壁部43の曲折部43aを連結する。連結部45は、空気室内の流体的な分断を防止するための、換言すると、空気室の連結部45を隔てた内壁部41側及び外壁部42側を連続するための複数の開口45aを有する。
【0068】
接続チューブ46は、例えば、樹脂材料により構成され、可撓性を有する。接続チューブ46は、袋状構造体32の長手方向の一端に固定される。接続チューブ46は、袋状構造体32の内部空間に一端が接続され、装置本体11の流路に接続される。接続チューブ46は、装置本体11の流路から袋状構造体32の空気室へ空気の流路を構成する。
【0069】
このような袋状構造体32は、接着剤が塗布された複数の小片51a及び複数の小片52aを所定の配置関係となるように並べた後、側壁部43を補強部材44に押しつけることで、側壁部43に補強部材44が固定される。
【0070】
次に、血圧計1を使用した血圧値の測定について、
図1、
図3及び
図4を用いて説明する。
血圧値の測定に際して、使用者は生体、本実施形態においては手首100にカフ12を装着する。これにより、
図3に示すように、カフ12の袋状構造体32が手首100に接触する。次に、使用者は、
図1に示す操作部23を操作して、血圧値の測定開始に対応した指令の入力を行う。
【0071】
指令の入力操作が行われた操作部23は、測定開始に対応した電気信号を制御部28へ出力する。制御部28は、当該電気信号を受信すると、開閉弁25を閉じ、ポンプ24を駆動し、流路を介して袋状構造体32へ圧縮空気を供給する。これにより、袋状構造体32は膨張を開始する。
【0072】
圧力センサ26は、袋状構造体32の内部空間の圧力を検知し、この圧力に対応した電気信号を制御部28へ出力する。制御部28は、受信した電気信号に基づいて、袋状構造体32の内部空間の圧力が血圧測定のための所定の圧力に達しているか否かを判断する。袋状構造体32の内部空間の圧力が当該所定の圧力に達している場合には、制御部28は、ポンプ24の駆動を停止する。このとき、
図4に示すように、袋状構造体32は十分に膨張しており、膨張した袋状構造体32が手首を押圧し、手首100内の動脈110を閉塞する。
【0073】
その後、制御部28は、開閉弁25を制御し、開閉弁25の開閉を繰り返すか、又は、開閉弁25の開度を調整することで、袋状構造体32の内部空間の圧力を減圧させる。この減圧の過程において圧力センサ26が出力する電気信号に基づいて、制御部28は、最高血圧及び最低血圧等の血圧値や心拍数等の測定結果を求める。制御部28は、求めた測定結果に対応した画像信号を、表示部22へ出力する。
【0074】
表示部22は、画像信号を受信すると、当該測定結果を画面に表示する。使用者は、表示部22を視認することで、当該測定結果を確認する。なお、使用者は、測定終了後、留め具を外して手首から血圧計1を取り外す。
【0075】
このように構成された一実施形態に係る血圧計1に用いられるカフ12によれば、袋状構造体32の側壁部43に、複数の小片51a、52aにより構成される補強部材44を設ける。この構成により、袋状構造体32は、内部に供給された空気によって膨張したときに、各小片51a、52aによって側壁部43が膨張することを抑制できる。
【0076】
補強部材44によって側壁部43の膨らみを防止できることから、袋状構造体32は、側壁部43の膨れによる空気室内の膨張圧力の損失を防止できる。結果、内壁部41がより膨らむことで、血管圧迫特性を向上することが可能となる。また、補強部材44は、袋状構造体32を手首100に巻き付けたときに、側壁部43等に巻皺が生じることを防止できることから、安定した血管圧迫特性を実現する効果を有する。
【0077】
また、補強部材44を所定の間隔を開けて複数の小片51a間の隙間及び複数の小片52aを側壁部43に設ける構成とすることで、側壁部43は、複数の小片51a間及び複数の小片52a間で屈曲することができる。このため、袋状構造体32は、側壁部43の手首100の形状に沿った形状に追従する形状追従性を有する。結果、袋状構造体32は、手首100にカフ12を巻き付けたときに、手首100の形状に追従することが可能となり、補強部材44を備える構成であっても、内壁部41が手首100の表面に密着することから、袋状構造体32の生体への密着性を高めることが可能となる。
【0078】
このようなことから、カフ12は、カフ幅を狭幅化した袋状構造体32を用いても、高い脈波計測特性を実現することが可能となり、血圧計1は高い血圧計測精度を得ることができる。
【0079】
また、袋状構造体32は、側壁部43の曲折部43aを避けて補強部材44の第1補強部材51及び第2補強部材52が設けられることから、袋状構造体32が膨張及び収縮するときに、当該膨張及び収縮を阻害することがない。
【0080】
上述したように、一実施形態に係る血圧計1によれば、袋状構造体32の側壁部43に手首100に対する形状追従性を有する補強部材44を設けることで、袋状構造体32が手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。
【0081】
[変形例]
次に、袋状構造体32の第1の変形例乃至第11の変形例について、
図9乃至
図19を用いて説明する。なお、各変形例は、上述した一実施形態に係る血圧計1のカフ12に用いられる袋状構造体であることから、袋状構造体以外の構成についての説明は省略する。また、各変形例の構成のうち、上述した一実施形態に係る血圧計1と同様の構成には同一符号を用いて説明し、詳細な説明は省略する。
【0082】
図9は、第1の変形例に係る袋状構造体32Aの構成を模式的に示す斜視図、
図10は、第2の変形例に係る袋状構造体32Bの構成を模式的に示す断面図、
図11は、第3の変形例に係る袋状構造体32Cの構成を模式的に示す断面図、
図12は、第4の変形例に係る袋状構造体32Dの構成を模式的に示す断面図、
図13は、第5の変形例に係る袋状構造体32Eの構成を模式的に示す断面図、
図14は、第6の変形例に係る袋状構造体32Fの構成を模式的に示す断面図である。
【0083】
図15は、第7の変形例に係る袋状構造体32Gの構成を模式的に示す断面図、
図16は、第8の変形例に係る袋状構造体32Hの構成を模式的に示す断面図、
図17は、第9の変形例に係る袋状構造体32Iの構成を模式的に示す断面図、
図18は、第10の変形例に係る袋状構造体32Jの構成を模式的に示す断面図、
図19は、第11の変形例に係る袋状構造体32Kの構成を模式的に示す断面図である。
【0084】
[第1の変形例]
図9に示すように、第1の変形例に係る袋状構造体32Aは、内壁部41と、外壁部42と、一対の側壁部43と、一対の側壁部43にそれぞれ設けられた補強部材44Aと、を備える。また、
図9においては省略するが、袋状構造体32Aは、連結部45及び接続チューブ46を備える。
【0085】
補強部材44Aは、補強部材44と同じ材料により構成される。補強部材44Aが巻き付け方向に分割される構成により、補強部材44Aは、手首100への巻き付け方向に対する形状追従性を有する。補強部材44Aの厚さは、0.01mm乃至1.00mmに設定される。
【0086】
図9に示すように、補強部材44Aは、側壁部43の曲折部43aから内壁部41側に設けられた第1補強部材51Aと、曲折部43aから外壁部42側に設けられた第2補強部材52Aと、を備えている。
【0087】
第1補強部材51Aは、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片51aを、内壁部41及び外壁部42の対向する方向に2列備える。小片51aは、矩形の薄板状に構成される。小片51aは、側壁部43の外面に、接着剤等により固定される。
【0088】
複数の小片51aは、側壁部43の長手方向に隣り合う小片51a間の隙間が、小片51aの厚み以上であって、且つ、2mm以下に設定される。小片51aは、側壁部43の長手方向の長さが10mmに構成される。また、例えば、小片51aは、側壁部43の長手方向に対して直交する方向の長さが、側壁部43の内壁部41側の端部から、曲折部43a側の端部から、及び、当該長手方向に対して直交する方向に隣り合う小片51aの間が、それぞれから0.3mm乃至0.5mm離して側壁部43に配置できる長さに構成される。また、好ましくは、小片51aの周縁は、曲面による面取りが成されている。
【0089】
第2補強部材52Aは、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片52aを、内壁部41及び外壁部42の対向する方向に2列備える。即ち、本変形例においては、第2補強部材52Aは、第1補強部材51Aと同じ構成を有する。
【0090】
このように構成された袋状構造体32Aは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。加えて、袋状構造体32Aは、第1補強部材51A及び第2補強部材52Aが内壁部41及び外壁部42の対向する方向に分割して配置されることから、膨張及び収縮するときに、展開性及び折畳性が向上する。これにより、袋状構造体32Aは、手首100への密着性がより向上し、高い血圧計測精度を得ることができる。
【0091】
[第2の変形例]
図10に示すように、第2の変形例に係る袋状構造体32Bは、内壁部41と、外壁部42と、一対の側壁部43と、一対の側壁部43にそれぞれ設けられた補強部材44Bと、を備える。また、
図10においては省略するが、袋状構造体32Bは、連結部45及び接続チューブ46を備える。
【0092】
補強部材44Bは、補強部材44と同じ材料により構成される。補強部材44Bが巻き付け方向に分割される構成により、補強部材44Bは、手首100への巻き付け方向に対する形状追従性を有する。補強部材44Bの厚さは、0.01mm乃至1.00mmに設定される。
【0093】
図10に示すように、補強部材44Bは、側壁部43の曲折部43aから内壁部41側に設けられた第1補強部材51Bと、曲折部43aから外壁部42側に設けられた第2補強部材52と、を備えている。
【0094】
第1補強部材51Bは、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片51aを備える。小片51aは、樹脂材料により成形された矩形の薄板状に構成される。小片51aは、側壁部43の外面に、接着剤等により固定される。
【0095】
複数の小片51aは、隣り合う小片51a間の隙間が、小片51aの厚み以上であって、且つ、2mm以下に設定される。これは、小片51aの厚みよりも当該隙間の幅が下回ると、小片51a同士が干渉し、また、上限値を超えると、小片51a間の側壁部43が袋状構造体32の空気室内の膨張圧力によって膨張する虞がある為である。
【0096】
例えば、小片51aは、側壁部43の長手方向の長さが9mmに構成される。また、例えば、小片51aは、側壁部43の長手方向に対して直交する方向の長さが、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a側の端部のそれぞれから0.3mm乃至0.5mm離して側壁部43に配置できる長さに構成される。また、好ましくは、小片51aの周縁は、曲面による面取りが成されている。
【0097】
第2補強部材52は、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片52aを備える。小片52aは、第1補強部材52Bに用いられる小片52aよりも側壁部43の長手方向に長い矩形の薄板状に構成される。また、第2補強部材52は、小片52aの当該長手方向の長さが長いことから、第1補強部材51Bの小片51aよりも用いられる数が少なく設定される。例えば、小片52aは、側壁部43の長手方向の長さが10mmに構成される。換言すると、第1補強部材51Aは、第2補強部材52よりも多く小片51aに分割される構成である。
【0098】
即ち、補強部材44Bは、上述した補強部材44の第1補強部材51の小片51aを、側壁部43の長手方向で短くし、且つ、用いる数を増加させた構成である。
【0099】
このように構成された袋状構造体32Bは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。
【0100】
加えて、袋状構造体32Bは、手首100と接触する内壁部41側の第1補強部材51Bを基材31側の第2補強部材52よりも小さい形状としていることから、結果、第1補強部材51Bは第2補強部材52よりも多くの小片51aに分割される構成である。袋状構造体32Bは、手首100に巻き付けられたときに、手首100側の曲率半径が基材31側の曲率半径よりも小さくなる。このため、第1補強部材51Bの小片51aを、第2補強部材52の小片52aよりも側壁部43の長手方向で短くすることで、曲率半径の小さい手首100側に、より高い形状追従性を付与することが可能となる。結果、袋状構造体32Bは、手首100の形状に沿った形状追従性が向上し、手首100への密着性がより向上し、高い血圧計測精度を得ることができる。
【0101】
[第3の変形例]
図11に示すように、第3の変形例に係る袋状構造体32Cは、内壁部41と、外壁部42と、一対の側壁部43と、一対の側壁部43にそれぞれ設けられた補強部材44Cと、を備える。また、
図11においては省略するが、袋状構造体32Cは、連結部45及び接続チューブ46を備える。
【0102】
補強部材44Cは、補強部材44と同じ材料により構成される。補強部材44C自体に柔軟性を持たせることで、補強部材44Cは、手首100への巻き付け方向に対する形状追従性を有する。補強部材44Cの厚さは、0.01mm乃至1.00mmに設定される。
【0103】
図11に示すように、補強部材44Cは、側壁部43の曲折部43aから内壁部41側に設けられた第1補強部材51Cと、曲折部43aから外壁部42側に設けられた第2補強部材52Cと、を備えている。
【0104】
第1補強部材51Cは、メッシュ状に構成され、側壁部43の長手方向に沿って延びる矩形状に構成される。第1補強部材51Cは、メッシュ状に構成されることで高い柔軟性を有する。第1補強部材51Cは、側壁部43の外面に、接着剤等により固定される。第1補強部材51Cは、側壁部43の長手方向に対して直交する方向の長さが、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a側の端部のそれぞれから0.3mm乃至0.5mm離して側壁部43に配置できる長さに構成される。
【0105】
第2補強部材52Cは、メッシュ状に構成され、側壁部43の長手方向に沿って延びる矩形状に構成される。即ち、本変形例においては、第2補強部材52Cは、第1補強部材51Cと同じ構成を有する。
【0106】
このように構成された袋状構造体32Cは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。
【0107】
加えて、袋状構造体32Cは、一対の側壁部43に、一つのメッシュ状の第1補強部材51C及び一つのメッシュ状の第2補強部材52Cにより構成される補強部材44Cを一対設ける構成である。このため、袋状構造体32Cは、側壁部43に第1補強部材51C及び第2補強部材52Cを固定するときに、接着剤を塗布する構成や、第1補強部材51C及び第2補強部材52Cを位置合わせする工程が容易となり、高い生産性を有する。
【0108】
[第4の変形例]
図12に示すように、第4の変形例に係る袋状構造体32Dは、内壁部41と、外壁部42と、一対の側壁部43と、一対の側壁部43にそれぞれ設けられた補強部材44Dと、を備える。また、
図12においては省略するが、袋状構造体32Dは、連結部45及び接続チューブ46を備える。
【0109】
補強部材44Dは、補強部材44Cと同じ材料により構成される。補強部材44D自体に柔軟性を持たせること、及び、補強部材44Dが巻き付け方向に分割される構成により、補強部材44Dは、手首100への巻き付け方向に対する形状追従性を有する。補強部材44Dの厚さは、0.01mm乃至1.00mmに設定される。
【0110】
図12示すように、補強部材44Dは、側壁部43の曲折部43aから内壁部41側に設けられた第1補強部材51Dと、曲折部43aから外壁部42側に設けられた第2補強部材52Dと、を備えている。
【0111】
第1補強部材51Dは、メッシュ状に構成され、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片51aを備える。小片51aは、矩形の薄板状に構成され、メッシュ状に構成されることで柔軟性を有する。第1補強部材51Dは、側壁部43の外面に、接着剤等により固定される。複数の小片51aは、隣り合う小片51a間の隙間が、小片51aの厚み以上であって、且つ、2mm以下に設定される。小片51aは、側壁部43の長手方向の長さが10mmに構成される。また、例えば、小片51aは、側壁部43の長手方向に対して直交する方向の長さが、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a側の端部のそれぞれから0.3mm乃至0.5mm離して側壁部43に配置できる長さに構成される。また、好ましくは、小片51aの周縁は、曲面による面取りが成されている。
【0112】
第2補強部材52Dは、メッシュ状に構成され、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片52aを備える。即ち、本変形例においては、第2補強部材52Dは、第1補強部材51Dと同じ構成を有する。
【0113】
このように構成された袋状構造体32Dは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。
【0114】
加えて、袋状構造体32Dは、第1補強部材51D及び第2補強部材52Dを構成する複数の小片51a、52aをメッシュ状に構成することで、第1補強部材51D及び第2補強部材52Dが高い柔軟性を有する。結果、袋状構造体32Dは、手首100に対する形状追従性が向上するとともに、袋状構造体32Dの長手方向及び巻き付け方向に対して直交する方向(幅方向)への屈曲性がさらに向上することから、手首100への密着性が向上する。
【0115】
[第5の変形例]
図13に示すように、第5の変形例に係る袋状構造体32Eは、内壁部41と、外壁部42と、一対の側壁部43と、一対の側壁部43にそれぞれ設けられた補強部材44Eと、を備える。また、
図13においては省略するが、袋状構造体32Eは、連結部45及び接続チューブ46を備える。
【0116】
補強部材44Eは、補強部材44と同じ材料により構成される。補強部材44Eが巻き付け方向に分割される構成により、補強部材44Eは、手首100への巻き付け方向に対する形状追従性を有する。補強部材44Eの厚さは、0.01mm乃至1.00mmに設定される。
【0117】
図13示すように、補強部材44Eは、側壁部43の曲折部43aから内壁部41側に設けられた第1補強部材51Eと、曲折部43aから外壁部42側に設けられた第2補強部材52Eと、を備えている。
【0118】
第1補強部材51Eは、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片51aを備える。小片51aは、樹脂材料により成形された楕円形の薄板状に構成される。小片51aは、側壁部43の外面に、接着剤等により固定される。
【0119】
複数の小片51aは、隣り合う小片51a間の隙間が、小片51aの厚み以上であって、且つ、2mm以下に設定される。小片51aは、例えば、側壁部43の長手方向の長さが10mmに構成される。また、例えば、小片51aは、側壁部43の長手方向に対して直交する方向の長さが、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a側の端部のそれぞれから0.3mm乃至0.5mm離して側壁部43に配置できる長さに構成される。
【0120】
即ち、小片51aは、上述した一実施形態の補強部材44の内接楕円形状に構成される。また、好ましくは、小片51aの周縁は、曲面による面取りが成されている。
【0121】
第2補強部材52は、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片52aを備える。小片52aは、樹脂材料により成形された楕円形の薄板状に構成される。即ち、本変形例においては、第2補強部材52Eは、第1補強部材51Eと同じ構成を有する。
【0122】
このように構成された袋状構造体32Eは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。
【0123】
[第6の変形例]
図14に示すように、第6の変形例に係る袋状構造体32Fは、内壁部41と、外壁部42と、一対の側壁部43と、一対の側壁部43にそれぞれ設けられた補強部材44Fと、を備える。また、
図14においては省略するが、袋状構造体32Fは、連結部45及び接続チューブ46を備える。
【0124】
補強部材44Fは、補強部材44と同じ材料により構成される。補強部材44Fが巻き付け方向に分割される構成により、補強部材44Fは、手首100への巻き付け方向に対する形状追従性を有する。補強部材44Fの厚さは、0.01mm乃至1.00mmに設定される。
【0125】
図14示すように、補強部材44Fは、側壁部43の曲折部43aから内壁部41側に設けられた第1補強部材51Fと、曲折部43aから外壁部42側に設けられた第2補強部材52Fと、を備えている。
【0126】
第1補強部材51Fは、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片51aを備える。小片51aは、樹脂材料により成形された異形の薄板状に構成される。ここで、異形とは、矩形以外の多角形や、円及び楕円以外の形状である。例えば、小片51aは、側壁部43の長手方向の側片が、当該長手方向に対して傾斜する平行四辺形に構成される。小片51aは、側壁部43の外面に、接着剤等により固定される。なお、小片51aは三角形等であってもよい。
【0127】
複数の小片51aは、隣り合う小片51a間の隙間が、小片51aの厚み以上であって、且つ、2mm以下に設定される。また、例えば、小片51aは、側壁部43の長手方向に対して直交する方向の長さが、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a側の端部のそれぞれから0.3mm乃至0.5mm離して側壁部43に配置できる長さに構成される。また、好ましくは、小片51aの周縁は、曲面による面取りが成されている。
【0128】
第2補強部材52Fは、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片52aを備える。小片52aは、樹脂材料により成形された異形の薄板状に構成される。即ち、本変形例においては、第2補強部材52Eは、第1補強部材51Eと同じ構成を有する。また、第1補強部材51E及び第2補強部材52Eは、側壁部43の曲折部43aを中心とした鏡像形状に、小片51a、52aが配置される。
【0129】
このように構成された袋状構造体32Fは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。
【0130】
[第7の変形例]
図15に示すように、第7の変形例に係る袋状構造体32Gは、内壁部41と、外壁部42と、一対の側壁部43と、一対の側壁部43にそれぞれ設けられた補強部材44Gと、を備える。また、
図15においては省略するが、袋状構造体32Gは、連結部45及び接続チューブ46を備える。
【0131】
補強部材44Gは、補強部材44と同じ材料により構成される。補強部材44Gは、補強部材44Gが巻き付け方向に部分的に分割される構成により、手首100への巻き付け方向に対する形状追従性を有する。補強部材44Gの厚さは、0.01mm乃至1.00mmに設定される。
【0132】
補強部材44Gは、側壁部43の曲折部43aから内壁部41側に設けられた第1補強部材51Gと、曲折部43aから外壁部42側に設けられた第2補強部材52Gと、を備えている。
【0133】
第1補強部材51Gは、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片51aと、小片51a間に設けられた小片51aを側壁部43の長手方向に直交する方向で一体に接続する複数の接続部51bと、を備える。第1補強部材51Gは、成形時に複数の小片51a及び複数の接続部51bが一体に設けられる。第1補強部材51Gは、複数の小片51a及び複数の接続部51bを、樹脂材料を用いて一体に成形することで製造される。第1補強部材51Gは、側壁部43の外面に、接着剤等により固定される。
【0134】
小片51aは、矩形の薄板状に構成される。複数の小片51aは、隣り合う小片51a間の隙間が、小片51aの厚み以上であって、且つ、2mm以下に設定される。これは、小片51aの厚みよりも当該隙間の幅が下回ると、小片51a同士が干渉し、また、上限値を超えると、小片51a間の側壁部43が袋状構造体32の空気室内の膨張圧力によって膨張する虞がある為である。
【0135】
例えば、小片51aは、側壁部43の長手方向の長さが10mmに構成される。また、例えば、小片51aは、側壁部43の長手方向に対して直交する方向の長さが、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a側の端部のそれぞれから0.3mm乃至0.5mm離して側壁部43に配置できる長さに構成される。また、好ましくは、小片51aの周縁は、曲面による面取りが成されている。
【0136】
接続部51bは、側壁部43の長手方向に直交する方向で複数の小片51aの内壁部41側に設けられる。換言すると、接続部51bは、補強部材44Gが側壁部43に固定された状態で、隣り合う小片51aの端部間を手首100側で一体に接続する。接続部51bは、例えば、側壁部43の長手方向に直交する方向の幅が0.2mm乃至0.4mmの範囲に設定される。これは、手首100へ袋状構造体32Gを巻き付けたときに、小片51aによる形状追従性を低下させず、側壁部43の変形を阻害しないためである。なお、第1補強部材51Gは、第1補強部材51Gを側壁部43に固定した後に、当該接続部51bが破断すると上述した一実施形態の第1補強部材51と同様の構成となることから、接続部51bは、破断する虞のある寸法形状でよい。
【0137】
第2補強部材52Gは、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片52aと、小片52a間に設けられた小片52aを側壁部43の長手方向に直交する方向で一体に接続する複数の接続部52bと、を備える。第2補強部材52Gは、成形時に複数の小片52a及び複数の接続部52bが一体に設けられる。第2補強部材52Gは、側壁部43の外面に、接着剤等により固定される。
【0138】
小片52aは、樹脂材料により成形された矩形の薄板状に構成される。複数の小片52aは、隣り合う小片52a間の隙間が、小片52aの厚み以上であって、且つ、2mm以下に設定される。これは、第1補強部材51Gの小片51aと同じ理由である。例えば、小片52aは、側壁部43の長手方向の長さが10mmに構成される。また、例えば、小片52aは、側壁部43の長手方向に対して直交する方向の長さが、側壁部43の外壁部42側の端部及び曲折部43a側の端部のそれぞれから0.3mm乃至0.5mm離して側壁部43に配置できる長さに構成される。また、好ましくは、小片52aの周縁は、曲面による面取りが成されている。
【0139】
接続部52bは、側壁部43の長手方向に直交する方向で複数の小片52aの内壁部41側に設けられる。換言すると、接続部52bは、補強部材44Gが側壁部43に固定された状態で、隣り合う小片52aの端部間を手首100側で一体に接続する。接続部52bは、例えば、側壁部43の長手方向に直交する方向の幅が0.2mm乃至0.4mmの範囲に設定される。これは、接続部51bと同じく、手首100へ袋状構造体32Gを巻き付けたときに、小片52aによって形状追従性を有するために、側壁部43の変形を阻害しないためである。なお、第2補強部材52Gは、第2補強部材52Gを側壁部43に固定した後に、当該接続部52bが破断すると上述した一実施形態の第2補強部材52と同様の構成となることから、接続部52bは、破断する虞のある寸法形状でよい。即ち、本変形例においては、第2補強部材52Eは、第1補強部材51Eと同じ構成を有する。
【0140】
このような第1補強部材51G及び第2補強部材52Gは、手首100に袋状構造体32を巻き付けたときに、曲率半径が小さくなる側の小片51a、52aの端部を接続部51b、52bで接続する構成である。
【0141】
このように構成された袋状構造体32Gは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。加えて、袋状構造体32Gは、袋状構造体32Gに形状追従性を持たせるために、第1補強部材51G及び第2補強部材52Gを実質的に複数の小片51a、52aに分割する構成としているが、複数の小片51a、52aは、隣り合う小片51a、52a同士が、それぞれ複数の接続部51b、52bで接続される。このため第1補強部材51G及び第2補強部材52Gは、一体成形品であることから、袋状構造体32Gは、側壁部43に第1補強部材51G及び第2補強部材52Gを固定するときに、接着剤を塗布する工程や、第1補強部材51G及び第2補強部材52Gを位置合わせする工程が容易となり、高い生産性を有する。
【0142】
[第8の変形例]
図16に示すように、第8の変形例に係る袋状構造体32Hは、内壁部41と、外壁部42と、一対の側壁部43と、一対の側壁部43にそれぞれ設けられた補強部材44Hと、を備える。また、
図16においては省略するが、袋状構造体32Hは、連結部45及び接続チューブ46を備える。
【0143】
補強部材44Hは、補強部材44と同じ材料により構成される。補強部材44Hが巻き付け方向に部分的に分割される構成により、補強部材44Hは、手首100への巻き付け方向に対する形状追従性を有する。補強部材44Hの厚さは、0.01mm乃至1.00mmに設定される。
【0144】
補強部材44Hは、側壁部43の内壁部41側から外壁部42側に渡って連続して設けられ、側壁部43の長手方向に沿って複数配置された小片53を備える。小片53は、樹脂材料に成形された矩形の薄板状に構成され、側壁部43の曲折部43aに沿ったミシン目53aを有する。ミシン目53aは、所定の間隔を開けて一方向に沿って設けられた複数の小孔53bにより構成される。複数の小孔53bは、0.4mm乃至0.5mmのピッチ間隔で小片53に配置される。小片53は、側壁部43の外面に、接着剤等により固定される。
【0145】
複数の小片53は、隣り合う小片53間の隙間が、小片53の厚み以上であって、且つ、2mm以下に設定される。また、例えば、小片53は、側壁部43の長手方向に対して直交する方向の長さが、側壁部43の内壁部41側の端部及び外壁部42側の端部のそれぞれから0.3mm乃至0.5mm離して側壁部43に配置できる長さに構成される。また、好ましくは、小片53の周縁は、曲面による面取りが成されている。
【0146】
側壁部43に固定された小片53は、側壁部43が曲折部43aに沿って折りたたまれたときに、ミシン目53aに沿って曲折可能に構成される。
【0147】
このように構成された袋状構造体32Hは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。
【0148】
加えて、袋状構造体32Gは、補強部材44Hを、曲折部43aに沿ったミシン目53aを有する小片53を側壁部43の長手方向に沿って配置する構成である。このため、補強部材44Hを構成する小片53の数が側壁部43の長手方向に配置される数でよく、小片53の数を低減できる。結果、側壁部43に補強部材44を固定するときに、接着剤を塗布する工程や、小片53を位置合わせする工程が容易となり、高い生産性を有する。
【0149】
また、小片53は、ミシン目53aに沿って曲折する構成であることから、側壁部43の曲折部43aを中心とした折畳性を低減することなく、このため、袋状構造体32Hが膨張及び収縮するときに、当該膨張及び収縮を阻害することがない。また、袋状構造体32Hは、袋状構造体32Hの膨張及び収縮の繰り返しによってミシン目53aに沿って小片53が破断しても、上述した一実施形態の第1補強部材51及び第2補強部材52と同様の構成となることから、一実施形態の袋状構造体32と同様の効果を奏する。
【0150】
[第9の変形例]
図17に示すように、第9の変形例に係る袋状構造体32Iは、内壁部41と、外壁部42と、一対の側壁部43Iと、一対の側壁部43Iにそれぞれ設けられた補強部材44と、を備える。また、
図17においては省略するが、袋状構造体32Iは、連結部45及び接続チューブ46を備える。
【0151】
側壁部43Iは、内壁部41及び外壁部42を連続する平面状に設けられ、袋状構造体32Hの内部空間に向かって曲折するための折り畳み部43Iaが内壁部41及び外壁部42の対向する方向で略中央に設けられる。折り畳み部43Iaは、例えば、シート部材を成形するときに部分的に設けた凹部等によって構成される。
【0152】
このように構成された袋状構造体32Iは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。
【0153】
また、袋状構造体32Iは、予め側壁部43Iを袋状構造体32Iの内部空間に向かって曲折されることを要さず、平面状の側壁部43Iであればよい。また、補強部材44は、複数の小片51a、52aにより構成される第1補強部材51及び第2補強部材52を、側壁部43Iの折り畳み部43Iaを挟んで内壁部41側及び外壁部42側にそれぞれ設ける構成である。このため、第1補強部材51及び第2補強部材52の間の隙間に折り畳み部43Iaが配置され、側壁部43Iが折り畳み部43Ia以外で折りたたまれることを防止できる。結果、袋状構造体32Iは、側壁部43Iを平面状とすることが可能となり、製造が容易となる。
【0154】
[第10の変形例]
図18に示すように、第10の変形例に係る袋状構造体32Jは、内壁部41と、外壁部42と、一対の側壁部43Jと、一対の側壁部43Jにそれぞれ設けられた補強部材44と、連結部45と、を備える。また、
図18においては省略するが、袋状構造体32Jは、接続チューブ46を備える。
【0155】
一対の側壁部43Jは、内壁部41及び外壁部42が対向する方向で一対の側壁部43が複数設けられた多段に構成される。例えば、一対の側壁部43Jは、内壁部41及び外壁部42が対向する方向で二つの側壁部43が一体に設けられる。補強部材44及び連結部45は、二つの側壁部43にそれぞれ設けられる。
【0156】
このように構成された袋状構造体32Jは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。
【0157】
加えて、袋状構造体32Jは、側壁部43Jが複数個所で内部空間に折り曲げられることから、手首100を圧迫する方向に袋状構造体32Jが膨れやすくなるため、生体形状に沿い易く、カフ幅を狭幅化した場合であっても、高い血圧計測精度を得ることができる。また、袋状構造体32Jは、蛇腹効果が増す。
【0158】
[第11の変形例]
図19に示すように、第10の変形例に係る袋状構造体32Kは、内壁部41と、外壁部42と、一対の側壁部43と、一対の側壁部43にそれぞれ設けられた補強部材44と、連結部45と、を複数備える。換言すると、袋状構造体32Kは、二つの袋状構造体32同士を、一方の内壁部41及び他方の外壁部42同士を接合し、接合した一方の内壁部41及び他方の外壁部42に、二つの袋状構造体32を流体的に連通する連通孔47を設ける。また、
図19においては省略するが、袋状構造体32Kは、二つの袋状構造体32の一方に接続チューブ46を備える。
【0159】
このような袋状構造体32Kは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、高い血圧計測精度を得ることができる。また、袋状構造体32Kは、二つの袋状構造体32同士を接合し、二つの袋状構造体32の内部空間は連通孔47により流体的に連通する。
【0160】
このため、袋状構造体32Kは、カフ12に用いることで、上述した袋状構造体32と同様に、カフ幅を狭幅化した場合であっても、手首100に対する形状追従性を有したまま、側壁部43の膨張を抑制し、血管圧迫特性を向上させることができる。
【0161】
加えて、袋状構造体32Kは、手首100を圧迫する方向に二つの袋状構造体32がそれぞれ膨張するため、生体形状に沿い易く、カフ幅を狭幅化した場合であっても、高い血圧計測精度を得ることができる。また、袋状構造体32Kは、蛇腹効果が増す。
【0162】
なお、本発明は、上記実施形態及び各変形例に限定されない。例えば、上述した例では、袋状構造体32は、補強部材44を側壁部43の外面に接着剤により固定する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、
図20に示す他の例に係る袋状構造体32の側壁部43及び補強部材44に示すように、補強部材44を構成する小片51a、52aを、側壁部43の内部に設ける構成であってもよい。このような袋状構造体32は、シート部材内に小片51a、52aが配置されるように、インサート成形することで製造できる。勿論、補強部材44以外の上述した各補強部材を側壁部43内にインサートする構成であってもよい。
【0163】
また、袋状構造体32は、側壁部43に設けられる補強部材44が、巻き付け方向に分割されるか、又は、自身に柔軟性を持たせることで、手首100に対して形状追従性を有する構成であれば他の構成であってもよい。例えば、第1補強部材に上記実施形態又は各変形例のいずれかの構成を用い、第2補強部材に第1補強部材とは異なる上記のいずれかの構成を用いるといったように、上記実施形態及び各変形例の構成を組み合わせてもよい。
【0164】
また、袋状構造体32は、外壁部42及び側壁部43の隅部や、側壁部43の先端等の各部位の厚さを他部と異ならせることで、適宜、断面二次モーメントを増減させる構成や、側壁部43の折り畳み特性を改善する等の形状部を設ける構成であってもよい。
【0165】
また、上述した袋状構造体32Dは、内壁部41側の第1補強部材51D及び外壁部42側の第2補強部材52Dのそれぞれを、メッシュ状の複数の小片51a、52aとした構成を説明したがこれに限定されない。例えば、袋状構造体は、手首100に巻き付けたときに曲率半径が小さくなる内壁部41側の第1補強部材51Dをメッシュ状の複数の小片51aにより構成し、外壁部42側を分割していない第2補強部材52Cで構成してもよい。
【0166】
さらに、上述した袋状構造体32Gは、側壁部43の長手方向に沿った複数の小片51a、52a間を複数の接続部51b、52bで一体に接続した一つの成形品で補強部材51G、52Gのそれぞれを構成する例を説明したがこれに限定されない。例えば、補強部材は、二つの隣り合う小片を、接続部で一体に成形した成形品を側壁部43の長手方向に沿って複数配置する構成であってもよく、また、三つの隣り合う小片を二つの接続部で一体に成形する構成であってもよい。
【0167】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【実施例】
【0168】
本発明の特徴をより具体的にするために、以下、実施例及び評価試験について説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例1乃至実施例10、並びに、比較例1及び比較例2の袋状構造体の幅Hは27mmとした。
【0169】
[実施例1]
一実施形態に係る袋状構造体32を作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の厚みは0.15mmとした。補強部材44の材料には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。補強部材44の厚みは0.10mmとした。また、補強部材44の小片51a、52aは、側壁部43の長手方向の長さを10mmとした。また、小片51a、52aは、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a、並びに、外壁部42側の端部及び曲折部43aから0.3mm乃至0.5mm離して設置できる形状とした。また、複数の小片51aの間隔、及び、複数の小片52aの間隔を0.2mm乃至0.5mmの範囲となるように、接着剤により側壁部43に複数固定した。
【0170】
[実施例2]
第1の変形例に係る袋状構造体32Aを作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の厚みは0.15mmとした。補強部材44Aの材料には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。補強部材44Aの厚みは0.10mmとした。また、補強部材44Aの小片51a、52aは、側壁部43の長手方向の長さを10mmとした。また、補強部材44Aは、側壁部43の内壁部41側の端部及び一方の列の小片51a、二つの列の小片51a同士、他方の列の小片51a及び曲折部43a、外壁部42側の端部及び一方の列の小片52a、二つの列の小片52a同士、他方の列の小片52a及び曲折部43aを、それぞれ0.3mm乃至0.5mm離して設置できる形状とした。また、複数の小片51aの間隔、及び、複数の小片52aの間隔を0.2mm乃至0.5mmの範囲となるように、接着剤により側壁部43に複数固定した。
【0171】
[実施例3]
第2の変形例に係る袋状構造体32Bを作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の厚みは0.15mmとした。補強部材44Bの材料には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。補強部材44Bの厚みは0.10mmとした。また、補強部材44Bは、小片51aの側壁部43の長手方向の長さを10mmとし、小片52aの側壁部43の長手方向の長さを9mmとした。また、小片51a、52aは、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a、並びに、外壁部42側の端部及び曲折部43aから0.3mm乃至0.5mm離して設置できる形状とした。また、複数の小片51aの間隔、及び、複数の小片52aの間隔を0.2mm乃至0.5mmの範囲となるように、接着剤により側壁部43に複数固定した。
【0172】
[実施例4]
第3の変形例に係る袋状構造体32Cを作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の厚みは0.15mmとした。補強部材44Cの材料には、ポリプロピレン樹脂材料を用いた。補強部材44Cの厚みは0.25mmとした。第1補強部材51C及び第2補強部材52Cは、粗さが#100のメッシュ状とした。また、第1補強部材51C及び第2補強部材52Cは、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a、並びに、外壁部42側の端部及び曲折部43aから0.3mm乃至0.5mm離して設置できる形状とし、接着剤により側壁部43に固定した。
【0173】
[実施例5]
第4の変形例に係る袋状構造体32Dを作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の厚みは0.15mmとした。補強部材44Dの材料には、ポリプロピレン樹脂材料を用いた。補強部材44Dの厚みは0.25mmとした。また、補強部材44Dの小片51a、52aは、側壁部43の長手方向の長さを10mmとした。小片51a及び小片52aは、粗さが#100のメッシュ状とした。また、小片51a、52aは、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a、並びに、外壁部42側の端部及び曲折部43aから0.3mm乃至0.5mm離して設置できる形状とした。また、複数の小片51aの間隔、及び、複数の小片52aの間隔を0.2mm乃至0.5mmの範囲となるように、接着剤により側壁部43に複数固定した。
【0174】
[実施例6]
第5の変形例に係る袋状構造体32Eを作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の厚みは0.15mmとした。補強部材44Eの材料には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。補強部材44Eの厚みは0.10mmとした。また、補強部材44Eの小片51a、52aは、側壁部43の長手方向の長さを10mmとした。また、小片51a、52aは、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a、並びに、外壁部42側の端部及び曲折部43aから0.3mm乃至0.5mm離して設置できる楕円形状とした。また、複数の小片51aの間隔、及び、複数の小片52aの間隔を0.2mm乃至0.5mmの範囲となるように、接着剤により側壁部43に複数固定した。
【0175】
[実施例7]
第6の変形例に係る袋状構造体32Fを作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の厚みは0.15mmとした。補強部材44Fの材料には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。補強部材44Fの厚みは0.10mmとした。また、補強部材44Fの小片51a、52aは、側壁部43の長手方向の長さを10mmとした。また、小片51a、52aは、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a、並びに、外壁部42側の端部及び曲折部43aから0.3mm乃至0.5mm離して設置できる多角形状として、並行四辺形とした。また、複数の小片51aの間隔、及び、複数の小片52aの間隔を0.2mm乃至0.5mmの範囲となるように、接着剤により側壁部43に複数固定した。
【0176】
[実施例8]
第7の変形例に係る袋状構造体32Gを作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43Gの材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の厚みは0.15mmとした。補強部材44Gの材料には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。補強部材44Gの厚みは0.10mmとした。また、補強部材44Gの小片51a、52aは、側壁部43の長手方向の長さを10mmとした。また、小片51a、52aは、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a、並びに、外壁部42側の端部及び曲折部43aから0.3mm乃至0.5mm離して設置できる形状とした。また、複数の小片51aの間隔、及び、複数の小片52aの間隔を0.2mm乃至0.5mmの範囲となるように、接着剤により側壁部43に複数固定した。
【0177】
[実施例9]
第8の変形例に係る袋状構造体32Hを作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の厚みは0.15mmとした。補強部材44Hの材料には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。補強部材44Hの厚みは0.10mmとした。また、補強部材44Hの小片51a、52aは、側壁部43の長手方向の長さを10mmとした。また、補強部材44Hの接続部51b、52bは、側壁部43の内壁部41及び外壁部42が対向する方向の幅を0.2mm乃至0.4mmの範囲となるようにした。また、小片51a、52aは、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a、並びに、外壁部42側の端部及び曲折部43aから0.3mm乃至0.5mm離して設置できる形状とした。また、複数の小片51aの間隔、及び、複数の小片52aの間隔を0.2mm乃至0.5mmの範囲となるように、接着剤により側壁部43に複数固定した。
【0178】
[実施例10]
第9の変形例に係る袋状構造体32Iを作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43Iの材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43Iの厚みは0.15mmとした。補強部材44の材料には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。補強部材44の厚みは0.10mmとした。また、補強部材44の小片53は、側壁部43Iの長手方向の長さを10mmとした。また、小片53は、側壁部43Iの、側壁部43Iの内壁部41側の端部及び外壁部42側の端部から0.3mm乃至0.5mm離して設置できる形状とした。また、複数の小片51aの間隔、及び、複数の小片52aの間隔を0.2mm乃至0.5mmの範囲となるように、接着剤により側壁部43Iに複数固定した。
【0179】
[比較例1]
比較例1として、実施例1の袋状構造体32の構成のうち、補強部材44を有さない構成の袋状構造体を作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の厚みは0.15mmとした。
【0180】
[比較例2]
比較例2として、実施例1の袋状構造体32の構成のうち、補強部材44の複数の小片51a及び複数の52aをそれぞれ一体にした第1補強部材及び第2補強部材を有する構成、即ち分割されていない第1補強部材及び第2補強部材からなる補強部材を有する袋状構造体を作製した。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の材料には、熱硬化性エラストマーとして、Shore A硬度が25のシリコーン材料を用いた。内壁部41、外壁部42及び側壁部43の厚みは0.15mmとした。補強部材44の材料には、ポリプロピレン樹脂材料を用いた。補強部材44の厚みは0.10mmとした。また、第1補強部材及び第2補強部材は、側壁部43の内壁部41側の端部及び曲折部43a、並びに、外壁部42側の端部及び曲折部43aから0.3mm乃至0.5mm離して設置できる形状とし、接着剤により側壁部43に固定した。
【0181】
[評価試験1]
評価試験1として、実施例1乃至実施例10、並びに、比較例1及び比較例2の袋状構造体の膨れ評価試験を行った。
【0182】
膨れ評価試験としては、袋状構造体を300mmHgの圧力でそれぞれ3回膨張させ、目視評価によって一対の側壁部43に膨れがあるか否かを判断した。いずれの側壁部43も、3回とも膨れなかったものを良とし、少なくとも一方の側壁部43に1回でも膨れが生じたものを不良とした。
【0183】
[評価試験2]
評価試験2として、実施例1乃至実施例10、並びに、比較例1及び比較例2の袋状構造体の血管圧迫特性評価試験を行った。
【0184】
血管圧迫特性評価試験としては、実際に同一人に対して、実施例1乃至実施例10、並びに、比較例1及び比較例2で作製した袋状構造体を組み立てた手首式血圧計(血圧計1)及び市販の上腕式血圧計で、血圧値の測定を交互に行った。血圧値の測定は、各血圧計について合計で10回計測した。
【0185】
ここで上腕式血圧計として、オムロンヘルスケア株式会社製の上腕式血圧計 型式HEM−7120を用いた。また、上腕式血圧計は、上腕に、各実施例及び各比較例の血圧計1は、手首100に、それぞれ装着した。
【0186】
その後、上腕式血圧計で得られた血圧値と手首式血圧計で得られた血圧値との差について、標準偏差を求めた。
上腕式血圧計で10回測定した血圧値の標準偏差を求めたところ、7mmHg程度であった。この標準偏差を基準値とした。従って、上腕式血圧計で得られた血圧値と手首式血圧計で得られた血圧値との差の標準偏差が7mmHg未満であった袋状構造体32は血管圧迫特性が良好である、即ち、上腕式血圧計と同等の計測精度が実現できていると判断した。これに対して、標準偏差が7mmHg以上であった袋状構造体32は、血管圧迫特性が不十分である、即ち、上腕式血圧計と同等の計測精度が実現できていないと判断した。
【0187】
[評価試験の結果]
上記評価試験1及び評価試験2の結果として、表1に評価試験の結果を示す。
【0188】
【表1】
【0189】
表1に示すように、実施例1乃至実施例10は、評価試験1の側壁部43の膨れ評価及び評価試験2の血管圧迫特性ともに良であった。
【0190】
なお、実施例4に関しては、一対の側壁部43に設ける一対の第1補強部材51C及び一対の第2補強部材52Cがメッシュ状であるものの分割されていない構成であることから、他の実施例に比べて標準偏差値が若干高くなったものの、評価結果としては良となる基準を満たしていた。
【0191】
比較例1については、標準偏差値が26mmHgで不良となったが、これは、両側壁部43で膨張圧力の損失が発生するため、血管圧迫特性が低下した結果であると考えられる。また、比較例2については、標準偏差値が計測できなかった。これは、比較例2の構成が、分割されていない薄板状の補強部材を有する構成であることから、補強部材が袋状構造体の変形を阻害し、結果、袋状構造体が手首100に対する形状追従性を有さないため、袋状構造体が手首100に密着することを補強部材が阻害したことが要因と考えられる。
【0192】
これらの結果から、高い血圧計測精度を得るための血圧計1のカフ12に用いられる袋状構造体32の側壁部43を補強部材44で補強するためには、形状追従性を得るために、補強部材44が巻き付け方向に分割されるか、又は、補強部材44自体に高い柔軟性を持たせることを要することが明らかとなった。
【0193】
また、これらの結果から、血圧計1のカフ12に用いられる袋状構造体32を上記実施形態及び各変形例の構成とすることで、カフ幅を狭幅化した場合であっても、高い血圧計測精度を得ることができ、血圧計1のカフ12として適正な機能を有することが示された。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 生体に巻き付けられ、内部空間に流体が供給されることで膨張し、前記生体を圧迫する血圧計用のカフに用いられる袋状構造体であって、
生体側に設けられる内壁部と、
前記内壁部に対向する外壁部と、
前記内壁部及び前記外壁部に連続して設けられ、前記内部空間に向かって曲折された曲折部を有する一対の側壁部と、
前記一対の側壁部に設けられ、前記側壁部よりも高い硬度を有するとともに、前記生体への巻き付け方向に対する形状追従性を有する補強部材と、
を備える袋状構造体。
[2] 前記補強部材は、前記曲折部を挟んで前記側壁部の前記内壁部側及び前記外壁部側にそれぞれ設けられる、[1]に記載の袋状構造体。
[3] 前記補強部材は、前記側壁部の長手方向に所定の間隔を開けて複数設けられる板状の小片を備える、[2]に記載の袋状構造体。
[4] 前記側壁部の前記内壁部側に設けられる前記小片は、前記側壁部の前記外壁部側に設けられる前記小片よりも、前記側壁部の長手方向に短い、[3]に記載の袋状構造体。
[5] 前記補強部材は、前記内壁部側で隣り合う前記小片同士を接続する接続部をさらに備える、[3]に記載の袋状構造体。
[6] 前記補強部材は、前記側壁部の長手方向に沿って設けられ、メッシュ状に構成される、[2]に記載の袋状構造体。
[7] 少なくとも前記側壁部の前記内壁部側に設けられる前記補強部材は、前記側壁部の長手方向に所定の間隔を開けて設けられる複数の小片を備える、[6]に記載の袋状構造体。
[8] 前記補強部材は、前記側壁部の長手方向に所定の間隔を開けて複数設けられ、前記曲折部上に、前記曲折部に沿ったミシン目を有する、[1]に記載の袋状構造体。
[9] 前記補強部材は、前記側壁部の外面に設けられる、[1]に記載の袋状構造体。
[10] 前記補強部材は、前記側壁部の内部に設けられる、[1]に記載の袋状構造体。
[11] 前記内壁部及び前記側壁部は、Shore A硬度が15乃至95である、[1]に記載の袋状構造体。