(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
図1は、作業機の盗難防止システムの全体図を示している。作業機は、トラクタ、コンバイン、田植機、バックホー、スキッドステアローダ、コンパクトトラックローダ等である。まず、トラクタ1を例にとり作業機について説明する。
【0017】
図15に示すように、トラクタ1は、車両(車体)3と、原動機4と、変速装置5と、走行装置7とを備えている。原動機4は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関、電動モータ等である。この実施形態では、原動機4は、ディーゼルエンジン(エンジンという)である。なお、原動機4は、内燃機関と電動モータとを有するハイブリッド型であってもよい。変速装置5は、走行装置7の推進力等を変更する装置、即ち、変速段を変更する装置である。走行装置7は、前輪及び後輪を有する装置である。前輪、後輪は、タイヤ型であっても、クローラ型であってもよい。
【0018】
また、車体3の後部には、3点リンク機構等で構成された連結部8が設けられている。連結部8には、作業装置2が着脱可能である。作業装置2を連結部8に連結することによって、車体3によって作業装置2を牽引することができる。作業装置2は、耕耘する耕耘装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。なお、
図15では、作業装置2として成形装置を取り付けた例を示している。
【0019】
また、トラクタ1は、運転席10と、操縦装置11を備えている。運転席10及び操縦装置11は、車体3に設けられたキャビン12内に配置されている。操縦装置11は、例えば、ステアリング等で構成されていて、操縦装置11を操縦することによってトラクタ1の進行方向を変更可能である。
図1に示すように、作業機の盗難防止システムは、制御装置20を備えている。
【0020】
制御装置20は、トラクタ1に設けられ、当該トラクタ1に関する制御を行う装置である。制御装置20は、少なくともトラクタ1の盗難防止に関する処理を行う。制御装置20は、外部から当該制御装置20が取得した認証情報(外部認証情報)と、制御装置20に記憶された認証情報(記憶認証情報)との認証が成立すると、駆動部の駆動を許可して、認証が成立しない場合、駆動部の駆動を許可しない。駆動部とは、原動機4、変速装置5、走行装置7等である。この実施形態では、駆動部は原動機4である。
【0021】
次に、制御装置20による原動機4の駆動に関する制御について詳しく説明する。
制御装置20には、車載ネットワーク等を介してイグニッションスイッチ13と、スタータリレー14が接続されている。イグニッションスイッチ13は、ON/OFFに切り替え可能なスイッチであって、運転席10の近傍に設けられ、作業者が操作可能である。スタータリレー14は、ON/OFFに切り替え可能なスイッチである。スタータリレー14がONである場合には原動機4が駆動する。スタータリレー14がOFFである場合には原動機4は駆動しない。
【0022】
制御装置20は、記憶部21と、認証処理部22Aとを有している。記憶部21は、不揮発性のメモリ等から構成され、認証情報(記憶認証情報)を記憶する。記憶認証情報は、トラクタ1毎、即ち、制御装置20毎に定められた文字、数字等である。
認証処理部22Aは、制御装置20に設けられた電気・電子部品、当該制御装置20に格納されたプログラム等から構成されている。認証処理部22Aは、原動機4(駆動部)の駆動の許可を行うか否かの認証処理を実行する。つまり、イグニッションスイッチ13がOFFからONになった場合に、認証処理部22Aにおける認証処理が開始される。認証処理部22Aにおける認証処理では、外部認証情報と記憶認証情報とを比較して、外部認証情報と記憶認証情報とが一致している場合、外部認証情報と記憶認証情報とに互いに関連性がある(紐付られている)場合は、当該認証処理部22Aは、認証が成立したと判断して、原動機4の駆動の許可をする。原動機4の駆動の許可がされると、制御装置20は認証処理によって、スタータリレー14をOFFからONに切り換える。
【0023】
一方、認証処理部22Aにおける認証処理において、外部認証情報と記憶認証情報とが一致しない場合、外部認証情報と記憶認証情報とに関連性が無い(紐付られていない)場合は、当該認証処理部22Aは、認証が不成立であると判断して、原動機4の駆動の許可をせず、スタータリレー14をOFFに保持する。
さて、作業機の盗難防止システムは、通信装置30と、携帯端末40とを備えている。
【0024】
通信装置30は、トラクタ1に設けられている。通信装置30は、携帯端末40等からデータ(情報)を受信したり、携帯端末40等へデータ(情報)を送信する。例えば、通信装置30は、携帯端末40から送信された認証情報(外部認証情報)を受信したり、携帯端末40に対して外部認証情報等の送信を要求するビーコンを送信する。
また、通信装置30は、車載ネットワーク等を介して制御装置20やイグニッションスイッチ13に接続されている。通信装置30は、制御装置20から出力された情報を取得したり、制御装置20へ情報を出力することができる。
【0025】
通信装置30は、第1通信部31と、記憶部33とを有している。第1通信部31は、通信装置30に設けられた電気・電子部品、当該通信装置30に格納されたプログラム等から構成されている。第1通信部31は、ビーコン等のブロードキャスト信号(情報)を携帯端末40に送信可能であって、例えば、通信規格IEEE802.15.1シリーズのBluetooth(登録商標)の仕様におけるBluetooth(登録商標) Low Energy等によって携帯端末40と無線通信を行う。記憶部33は、第1通信部31が受信した認証情報(外部認証情報)、即ち、携帯端末40から送信された認証情報を一時的に記憶する。
【0026】
携帯端末40は、通信装置30と通信可能(接続可能)な端末であって、タブレット、スマートフォン、PDA等であって持ち運びが可能な端末である。携帯端末40は、様々なデータ(情報)を通信装置30との間で送受信可能である。
携帯端末40は、第2通信部41を有している。第2通信部41は、近距離、長距離の通信を行う部品等で構成され、例えば、通信規格IEEE802.15.1シリーズのBluetooth(登録商標)の仕様におけるBluetooth(登録商標) Low Energy等によって通信装置30と無線通信を行う。なお、第2通信部は、携帯電話通信網、データ通信網、携帯電話通信網等によって無線通信を行うものであってもよい。
【0027】
また、携帯端末40は、記憶部42と、表示部43と、処理部(通信処理部)44とを有している。記憶部42は、不揮発性のメモリであって、様々なアプリケーションソフトウェア(アプリ)、オペレーションシステム(OS)、トラクタ1に送信する認証情報(外部認証情報)を記憶する。表示部43は、様々な情報を表示することが可能であって、液晶パネル等から構成されている。
図13に示すように、表示部43は、盗難防止に関する画面、例えば、ホーム画面M1、設定画面M2を表示可能である。ホーム画面M1には、設定ボタン201、通信状態202と、機械状態203が表示される。ホーム画面M1に表示された設定ボタン201を選択すると、表示部43は、設定画面M2を表示する。
【0028】
設定画面M2では、携帯端末40から通信装置30に外部認証情報を出力することが可能な作業機(トラクタ)1を選択することができる。設定画面M2には、作業機リスト302、決定ボタン305が表示される。作業機リスト302には、記憶部42に記憶された認証情報(外部認証情報)に対応する作業機1の名称が表示される。作業機リスト302内の作業機1の名称の左側にはチェックボックス303が表示される。作業機リスト302内の作業機1の名称の右側には、携帯端末40から作業機1へ外部認証情報の出力が有効であるか、又は無効であるかが表示される。
【0029】
作業者は、携帯端末40からの外部認証情報の出力を有効にしたい作業機1の名称を選択する。作業機1の名称が選択されると、選択された作業機1のチェックボックス303にマーク304が表示される。作業者は、作業機1の選択が完了すると決定ボタン305を選択する。決定ボタン305が選択されると、表示部43は、ホーム画面M1を表示する。
【0030】
通信状態202には、携帯端末40がビーコンBを受信した場合に、ビーコンBを送信した作業機1(通信装置30)の情報、例えば、機械の番号、機械の名称等が表示される。
機械状態203には、携帯端末40と通信装置30との通信が確立した場合に、通信装置30を搭載した作業機1の状態が表示される。例えば、作業機1の原動機4が駆動している場合は「ロック解除」、作業機1の原動機4の駆動していない場合は「ロック」と表示する。
【0031】
携帯端末40においては、外部認証情報の出力を有効にしたい作業機1を作業者が任意に選択することができる。そのため、例えば、複数の作業機1がある場合において、当該複数の作業機1のうち作業者が作動させたい作業機1を自由に選ぶことができる。また、複数の作業者がそれぞれ携帯端末40を所持している状態であっても、それぞれの作業者が任意に作業機1を選択することができるため、複数の作業者が複数の作業機を任意に作動させることができる。
【0032】
次に、携帯端末40と通信装置30との接続について説明する。
図2に示すように、通信装置30の第1通信部31は、ビーコンBを出力する。携帯端末40(第2通信部41)がビーコンBを通信領域E1(ビーコンBを送信可能な領域)よりも外部に位置している場合、処理部44は、盗難防止に関する処理、例えば、外部認証情報を出力する出力処理を実行しない。出力処理とは、携帯端末40の記憶部42に記憶された外部認証情報をトラクタ1に送信するためのアプリケーションソフトウェア(盗難防止アプリという)を記憶部42から読み出して起動することにより行われる。処理部44は、携帯端末40が通信領域E1外では、盗難防止アプリの起動を実行しない。処理部44によって、盗難防止アプリを起動させると、表示部43にホーム画面M1が表示される。一方、盗難防止アプリが起動しない場合は、表示部43にはホーム画面M1が表示されない。
【0033】
なお、盗難防止アプリは、外部認証情報を通信装置30に送信したり、盗難防止に関する画面を表示させる表示を行うためのアプリであり、携帯端末40にインストールすることにより出力処理を行うためのプログラム、携帯端末40と通信装置30とが接続するために必要な情報(サービスUUID、PINコード等)、後述する起動情報G1等が携帯端末40に格納される。
【0034】
携帯端末40が通信領域E1内である場合、当該携帯端末40の第2通信部41がビーコンBを受信した時点で、処理部44は、出力処理の開始を実行し、盗難防止アプリを起動する。処理部44は、盗難防止アプリの起動後(出力処理の開始後)に、接続処理を実行する。接続処理とは、少なくとも処理部44が第2通信部41に対して、通信装置30と接続することを指令する。第2通信部41は、処理部44の指令を受けて通信装置30に対して接続要求を送信し、当該通信装置30と第2通信部41との相互間で通信が行われる。処理部44は、通信装置30と第2通信部41との相互間で通信が確立すると、通信装置30に向けて外部認証情報の送信を盗難防止アプリ等の動作(処理)によって行わせる。処理部44は、トラクタ1側から送信された情報を受信した場合、例えば、原動機4の駆動が完了した情報又は認証結果を受信した時点で接続処理を終了し、第2通信部41と通信装置30との通信を切断する。通信装置30は、第2通信部41との通信の切断後は、再び、ビーコンBを出力する。
【0035】
図3は、携帯端末40と通信装置30との接続のフローチャート、即ち、作業機の盗難防止方法を示している。
図3を用いて携帯端末40と通信装置30との接続について詳しく説明する。
図3に示すように、通信装置30は、認証処理部22Aの認証処理の実行前、即ち、認証処理が行われていないか否かの判断を行う(S1)。また、通信装置30は、イグニッションスイッチ(IG-SW)13がOFFであるか否かの判断を行う(S2)。第1通信部31は、認証処理部22Aの認証処理の実行前であり(S1、Yes)、且つ、IG−SW13がOFFである場合(S2、Yes)である場合、認証情報の送信を要求するビーコンBを携帯端末40に送信する(S3)。携帯端末40の第2通信部41がビーコンBを受信する(S4)と、処理部44は、ビーコンBに含まれる情報に基づいて出力処理を実行するか否かの判断を行う(S5)。
【0036】
図4は、ビーコンBのパケット(アドバタイズパケット)Q1を示している。
図4に示すように、パケットQ1には、起動情報F1と、接続情報F2とを含んでいる。起動情報F1とは、出力処理の開始の契機とするための情報である。通信装置30が送信したビーコンB(パケットQ1)に含まれる起動情報F1と、同一の起動情報G1が携帯端末40の記憶部42に記憶されている場合、処理部44は出力処理を実行すると判断する(S5、Yes)。一方で、通信装置30が送信したビーコンB(パケットQ1)に含まれる起動情報F1と、同一の起動情報G1が携帯端末40の記憶部42に記憶されていない場合、処理部44は出力処理を実行しないと判断する(S5、No)。
【0037】
図5は、通信装置30が送信するビーコンBの起動情報F1と、携帯端末40の記憶部42に記憶されている起動情報G1との関係を示している。
図5に示すように、通信装置30が送信した起動情報F1が「5411」であり、携帯端末40の記憶部42に記憶されている起動情報G1が「5411」である場合、両者の起動情報は一致するため、処理部44は、出力処理を実行すると判断する。一方、通信装置30が送信した起動情報F1が「5400」であり、携帯端末40の記憶部42に記憶されている起動情報G1には「5400」が記憶されていない場合、両者の起動情報は一致しないため、処理部44は、出力処理を実行しないと判断する。なお、上述した実施形態では、ビーコンBの起動情報F1と同一の起動情報G1が携帯端末40に記憶されている場合に、出力処理を実行するとしているが、これに代え、ビーコンBの起動情報F1に対応付けられた起動情報G1が携帯端末40に記憶されている場合に、処理部44は出力処理を実行してもよい。
【0038】
処理部44は、出力処理を実行すると判断すると(S5、Yes)、出力処理の開始を実行し、盗難防止アプリを起動する(S6)。処理部44は、盗難防止アプリの起動が完了すると、接続処理を実行する(S7)。例えば、処理部44は、接続処理の実行後は、受信した接続情報F2を用いた通信装置30への接続処理を行う。接続情報F2とは、通信装置30と接続するための情報であって、例えば、サービスUUID、PINコード等であって、サービスUUID又はPINコードを第2通信部41が通信装置30に送信することにより、携帯端末40と通信装置30との接続が確立される。なお、携帯端末40と通信装置30との接続に関する処理は、従来と同様であり、サービスUUID又はPINコードの認証などを実行する。
【0039】
携帯端末40(第2通信部41)は、通信装置30に接続後(ビーコンの受信後)、当該通信装置30に記憶部42に記憶されている認証情報(外部認証情報)を送信する(S8)。即ち、第2通信部41は、ビーコンの受信後であって制御装置からの認証情報(外部認証情報)が要求される前に、外部認証情報を通信装置30に送信する。
通信装置30は、外部認証情報を受信すると、受信した外部認証情報を記憶部33に記憶する(S9)。ここで、IG−SW13がOFFからONに切り換わると(S10)、当該IG−SW13がONになったことが通信装置30に入力され、当該通信装置30は、記憶部33に一時的に記憶しておいた外部認証情報を制御装置20に送信する(S11)。また、IG−SW13がONになると、制御装置20の認証処理部22Aによる認証処理を開始する(S12)。つまり、制御装置20の認証処理部22Aは、通信装置30が外部認証情報を受信後に、受信した外部認証情報に基づいて認証処理を実行する。即ち、IG−SW13がONになった場合、制御装置20による認証処理の実行前に、通信装置30による外部認証情報の制御装置20への出力が実行される。
【0040】
認証処理の開始後、制御装置20(認証処理部22A)は、認証結果、即ち、認証情報の成立及び不成立のいずれかを通信装置30に通知する(S13)。通信装置30は、認証結果を携帯端末40に送信し(S14)、その後に、携帯端末40(処理部44)は認証結果の受信後に接続処理を終了する。
一方、トラクタ1側において、認証処理部22Aの認証処理によって認証情報の認証が成立すると(S15、Yes)、認証処理部22Aは、原動機4の駆動する(S16)。制御装置20は原動機4の駆動後、IG−SW13がONからOFFになると(S17、Yes)、原動機4の駆動を停止する(S18)。
【0041】
なお、通信装置30は、認証情報の成立後、IG−SW13のスイッチ情報を携帯端末40に送信してもよい。携帯端末40は、通信装置30から送信されたスイッチ情報が、IG−SW13のONからOFFに切り換わったことを示し且つ、当該切り換わった時点からタイマをカウントして、タイマのカウント開始から所定時間経過後に、接続処理を終了してもよい。即ち、携帯端末40は、認証成立後であって且つIG−SW13がOFFになった時間が所定時間以上経過した後に、接続処理を終了する。
【0042】
一方、制御装置20は、認証情報の成立後、IG−SW13がONからOFFに切り換わったとしても、通信装置30によって携帯端末40の接続が確認される場合、即ち、接続処理の終了が実行されていない場合、原動機4の駆動を継続してもよい。この場合も、制御装置20は、IG−SW13のONからOFFに切り換わった時点から所定時間経過後は、携帯端末40の接続の確認の有無に関係なく、原動機4の駆動を停止する。
【0043】
作業機の盗難防止システムは、第1通信部31を有する通信装置30と、ビーコンを受信後に認証情報を通信装置30に送信可能な第2通信部41を有する携帯端末40と、作業機の駆動部の許可又は不許可を行う認証処理を実行する認証処理部22Aを有する制御装置20を備えている。また、第1通信部31は、認証処理部22Aの認証処理の実行前に、ビーコンを携帯端末40に送信し、第2通信部41は、ビーコンの受信後に認証情報を通信装置30に送信し、認証処理部22Aは、通信装置30が認証情報を受信後に、受信した認証情報に基づいて認証処理を実行する。
【0044】
これによれば、携帯端末40が通信装置30から送信したビーコンを受信した際に、即ち、ビーコンの通信領域に携帯端末40が入るだけで、携帯端末40は認証情報を通信装置30に送信することができる。即ち、認証処理部22Aの認証処理の実行前に送信されたビーコンを携帯端末40が受信するだけで、当該携帯端末40が通信装置30に対して認証情報を送信することができることから、認証処理の実行後に通信処理を行わなくても既に認証情報を認証処理部22Aが受け取ることができる。言い換えれば、従来の認証処理においては、認証を行う制御装置が、まず、認証処理の第1段階として、携帯端末40等の外部に認証情報を要求しているが、この実施形態では、制御装置が携帯端末40に対して認証情報を要求する前に、携帯端末40が外部認証情報を通信装置30に送信している。
【0045】
つまり、認証情報の送受信及び認証に関する処理を素早く行うことができ、駆動部を素早く駆動することができる。
また、作業者がポケット等に携帯端末40を入れて、作業機1に近づくだけで自動的に認証情報を作業機1に送信し、作業機1側では、認証処理部22Aによって認証処理を自動的に行うことができる。
【0046】
また、第1通信部31は、認証処理部22Aの認証処理の実行前であってイグニッションスイッチ13がOFFである場合に、ビーコンを携帯端末40に送信し、認証処理部22Aは、イグニッションスイッチ13がONである場合に、認証処理を実行する。これによれば、イグニッションスイッチ13がOFFの段階で、既に第1通信部31が携帯端末40にビーコンを送信していることから、イグニッションスイッチ13をONする前に作業機1(通信装置30)は携帯端末40の認証情報を受け取ることができ、イグニッションスイッチ13をONにした段階ですぐに認証処理を行うことができる。
【0047】
なお、通信装置30は、複数のビーコンを送信可能である。例えば、通信装置30は、第1のビーコン(第1ビーコン)B1と、第2起動情報を含む第2のビーコン(第2ビーコン)B2とを別々のタイミングで送信可能である。第1ビーコンB1と第2ビーコンとは含まれる情報が異なるビーコンであって、第1ビーコンB1は第1起動情報を含み、第2ビーコンB2は、第2起動情報を含む。
【0048】
図6は、通信装置30が、第1ビーコンB1と第2ビーコンB2とを所定の携帯端末40に送信した状態を示している。例えば、第1起動情報は「5411」であり、第2起動情報は「5412」であるとして、通信装置30と携帯端末40との接続について説明する。
図6に示すように、携帯端末40が通信領域E1の境界である位置P1にて第1起動情報が含まれる第1ビーコンB1を受信した場合、携帯端末40には、
図5に示すように第1起動情報と同一の起動情報が記憶されているため、携帯端末40の処理部44は出力処理及び接続処理を実行する。その後、携帯端末40が通信領域E1内の位置P2において、位置P1で受信したビーコンと同じ第1ビーコンB1を受信した場合、即ち、位置P1で出力処理の開始の契機となった起動情報と同じ起動情報を含む第1ビーコンB1を位置P1とは異なる位置P2で取得した場合、処理部44は出力処理を実行しない。
【0049】
また、携帯端末40が通信領域E1内の位置P3において、第1ビーコンB1と異なる第2ビーコンB2を受信した場合、処理部44は、第2ビーコンB2を受信したことを契機として、第1ビーコンB1で行った処理と同一の処理、即ち、出力処理の開始により盗難防止アプリを起動する。そして、携帯端末40は、出力処理の開始後に接続処理を行うことで、認証処理(原動機4の駆動)を実行する。
【0050】
即ち、携帯端末40は、通信領域E1において、第1ビーコンB1の受信を契機として出力処理を実行した場合は、その後に、同一の第1ビーコンB1を受信した場合であっても出力処理は実行せず、第1ビーコンB1と異なる第2ビーコンB2を受信した場合に、出力処理を実行する。なお、携帯端末40は、第2ビーコンB2の受信を契機として出力処理を実行した場合は、その後に、同一の第2ビーコンB2を受信した場合であっても出力処理は実行せず、第1ビーコンB1及び第2ビーコンB2とは異なるビーコンを受信したときに、出力処理を実行する。つまり、携帯端末40は、通信領域E1内に位置する状況下で同じ起動情報を有するビーコンを複数回受信した場合は、2回目以降でのビーコンによる出力処理の実行は行わない。
【0051】
したがって、通信装置30(第1通信部31)は、複数のビーコンを送信可能であり、処理部44は、複数のビーコンのうち、処理を実行する契機となったビーコンと同一の情報を有する第1ビーコンB1を受信した場合には処理を実行せず、第1ビーコンB1とは異なる第2ビーコンB2を受信した場合には第1ビーコンB1で行った処理と同一の処理を行う。即ち、処理部44は、複数のビーコンのうち、処理の開始の契機となった起動情報と同じ起動情報を含む第1ビーコンB1を取得した場合には出力処理を実行せず、第1ビーコンB1とは起動情報が異なる第2ビーコンB2を取得した場合に出力処理を実行する。
【0052】
例えば、携帯端末40が通信領域E1に位置している状況下において、第1ビーコンB1を契機として認証処理が実行され、原動機4の駆動を行った後、通信領域E1内で原動機4を停止する。その後、所定時間の経過後に、作業者が原動機4の駆動を再開したい場合、第2ビーコンB2を契機として再び認証処理を実行して、原動機4の駆動をすることができる。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態における作業機1の盗難防止システムを示している。第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成について説明する。第2実施形態では、認証処理部22Aは、通信装置30が外部認証情報を受信後、且つ、携帯端末40による許可があった場合に認証処理を実行する。
【0053】
図7に示すように、制御装置20は、問い合わせ部25を有している。問い合わせ部25は、制御装置20に設けられた電気・電子部品、当該制御装置20に格納されたプログラム等から構成されている。
問い合わせ部25は、通信装置30から出力された外部認証情報を制御装置20が取得した場合に、認証処理部22Aによる認証処理を実行してよいかの問い合わせを示す信号(問い合わせ信号)を通信装置30に送信する。通信装置30は、問い合わせ信号を取得後、当該問い合わせ信号を携帯端末40に送信する。
図14に示すように、携帯端末40の表示部43は、ホーム画面M1に作業機1からロック解除、即ち、認証処理を実行してよいかの問い合わせが来たことを表示する。また、表示部43は、ホーム画面M1に、問い合わせに対して許可を行うか否かを設定する設定部204を表示する。設定部204は、表示部43によって表示した切換可能なスライドスイッチ等であって、作業者は表示部43に触れることで切換可能である。設定部(スイッチ)204において、スイッチを示す図形205を、一方204aにスライドすると許可(ロック解除)が設定され、他方204bにスライドすると不許可(ロック)が設定される。認証処理部22Aは、設定部204に許可が設定された場合に認証処理を実行する。
【0054】
図8は、第2実施形態における携帯端末40と通信装置30との接続のフローチャートを示している。
図8において、S1〜S11は
図3と同様である。
図8に示すように、制御装置20が外部認証情報を取得すると(S21)、問い合わせ部25Aは、問い合わせ信号を通信装置30に出力する(S22)。通信装置30は、問い合わせ信号を携帯端末40に送信する(S23)。携帯端末40が問い合わせ信号を受信すると、表示部43は、問い合わせが来たことを表示すると共に、設定部204の入力を待つ(S24)。なお、設定部204の入力待ちにおいて、設定部204のデフォルトは、不許可に設定されている。
【0055】
表示部43の設定部204において不許可から許可に切り換えられると、携帯端末40は、許可を示す許可信号を通信装置30に送信する(S25)。通信装置30は、許可信号の受信後に制御装置20に許可信号を出力する(S26)。制御装置20が許可信号を取得すると、制御装置20の認証処理部22Aによる認証処理を開始する(S27)。
制御装置20(認証処理部22A)は、認証情報の認証が成立すると(S28、Yes)、原動機4の駆動する(S29)。また、制御装置20は、認証が成立したことを通信装置30に通知する(S30)。通信装置30は、認証が成立したことを携帯端末40に送信する(S31)。携帯端末40の表示部43は、機械状態203として「ロック解除」を表示する(S32)。
【0056】
表示部43の設定部204において、許可から不許可が設定されると、携帯端末40は、不許可を示す不許可信号を通信装置30に送信する(S33)。通信装置30は、不許可信号の受信後に制御装置20に不許可信号を出力する(S34)。制御装置20が不許可信号を取得し且つ、IG−SW13がONからOFFになると、当該制御装置20は、原動機4の駆動を停止する(S35)。通信装置30は、IG−SW13がOFFになったことを携帯端末40に通知する(S36)。携帯端末40は、IG−SW13がOFFになったことを受信後、所定時間以上経過した後に、接続処理を終了する(S37)。
【0057】
認証処理部22Aは、通信装置30が認証情報を受信後、且つ、携帯端末40による許可があった場合に認証処理を実行する。そのため、作業者等が携帯端末40を所持している場合等に、認証処理を行って良いか(原動機4の駆動を行って良いか)を作業者に確認してから原動機4を駆動することができる。原動機4の駆動のタイミングを作業者によって設定することができる。
【0058】
また、制御装置20は、問い合わせ部25を有し、携帯端末40は、問い合わせに対して許可を行うか否かを設定する設定部204を表示する表示部43を有し、問い合わせ部25は、認証情報を制御装置20が取得した場合に、問い合わせ信号を通信装置30に送信し、認証処理部22Aは、設定部204に許可が設定された場合に認証処理を実行する。制御装置20が携帯端末40の認証情報(外部認証情報)を受け取った時点で、携帯端末40に対して問い合わせを行うことができる。また、携帯端末40を所持する作業者が設定部204を操作することにより簡単に許可するか否かを簡単に設定することができる。
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態における作業機1の盗難防止システムを示している。第3実施形態では、第1実施形態又は第2実施形態と異なる構成について説明する。第3実施形態で示した構成の一部又は全部を、第1実施形態又は第2実施形態に適用可能である。
【0059】
図9に示すように、トラクタ1は、入力装置48を備えている。入力装置48は、運転席10の近傍に配置され、作業者が操作可能である。入力装置48は、数字を入力する複数のキーを備えた装置であって、例えば、複数の数字から構成される認証情報(外部認証情報)を入力することができる。入力装置48に入力された外部認証情報は、制御装置20に出力可能である。即ち、第3実施形態では、携帯端末40だけでなく入力装置48においても外部認証情報が入力可能である。
【0060】
IG−SW13がOFFからONになると、入力装置48は、入力情報の受付を開始し、当該入力装置48に入力された入力情報を外部認証情報として、制御装置20に送信する。例えば、携帯端末40の外部認証情報が、制御装置20又は通信装置30に対して送信されていない状況、即ち、携帯端末40と通信装置30との通信が確立されておらず、認証処理部22Aによる認証等が実行されていない状況では、制御装置20の認証処理部22Aは、入力装置48から出力された外部認証情報を用いて認証処理を実行する。認証処理及び認証処理後は、上述した実施形態と同様である。
【0061】
したがって、携帯端末40の所持を作業者が忘れたり、携帯端末40のバッテリの電源が切れてしまい当該携帯端末40から外部認証情報をトラクタ1(通信装置30)に送信できない場合などであても、作業者は入力装置48を用いることによって、原動機4を始動させることができる。
なお、入力装置48による外部認証情報と、携帯端末40による外部認証情報とは異なる認証情報であることが好ましい。この場合、認証処理部22Aは、入力装置48から外部認証情報を受信した場合は、当該入力装置48の外部認証情報に対応する記憶認証情報を用いて認証を行い、携帯端末40から外部認証情報を受信した場合は、当該携帯端末40の外部認証情報に対応する記憶認証情報を用いて認証を行う。
[第4実施形態]
図10は、第4実施形態における作業機1の盗難防止システムを示している。第4実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態と異なる構成について説明する。第4実施形態で示した構成の一部又は全部を、第1実施形態〜第3実施形態に適用可能である。
【0062】
図10に示すように、通信装置30は、記憶部33と、認証処理部22Bとを有している。認証処理部22Bは、通信装置30に設けられた電気・電子部品、当該通信装置30に格納されたプログラム等から構成されている。記憶部33には、認証情報が記憶されている。記憶認証情報は、トラクタ1毎、即ち、制御装置20毎に定められた文字、数字等である。
【0063】
認証処理部22Bは、原動機4(駆動部)の駆動の許可を行うか否かの認証処理を実行する。認証処理部22Bにおける認証処理では、外部認証情報と、通信装置30に記憶されている記憶認証情報とを比較して、外部認証情報と記憶認証情報とが一致している場合、外部認証情報と記憶認証情報とに互いに関連性がある(紐付られている)場合は、当該認証処理部22Bは、認証が成立したことを制御装置20に通知する。例えば、認証処理部22Bは、IG−SW13がOFFからONになった時点で、制御装置20に認証が成立したことを通知する。制御装置20は、認証が成立したことを取得すると、スタータリレー14をOFFからONに切り換えることで、原動機4を駆動する。
【0064】
一方、認証処理部22Bにおける認証処理において、外部認証情報と記憶認証情報とが一致しない場合、外部認証情報と記憶認証情報とに関連性が無い(紐付られていない)場合は、当該認証処理部22Bは、認証が不成立であることを制御装置20に通知する。制御装置20は、認証が不成立であることを取得すると、スタータリレー14をOFFに保持し、原動機4の駆動を行わない。
【0065】
図11Aは、携帯端末40と通信装置30との接続のフローチャートを示している。
図11Aに示すように、通信装置30は、IG-SW13がOFFであるか否かの判断を行う(S40)。第1通信部31は、IG−SW13がOFFである場合(S40、Yes)である場合、ビーコンB1を携帯端末40に送信する(S41)。携帯端末40の第2通信部41がビーコンBを受信する(S42)と、処理部44は、ビーコンBに含まれる情報に基づいて出力処理を実行するか否かの判断を行う(S43)。
【0066】
処理部44は、出力処理を実行すると判断すると(S43、Yes)、出力処理の開始を実行し、盗難防止アプリを起動する(S44)。処理部44は、盗難防止アプリの起動が完了すると、接続処理を実行する(S45)。
携帯端末40(第2通信部41)は、通信装置30に接続後(ビーコンの受信後)、当該通信装置30に外部認証情報を送信する(S46)。認証処理部22Bは、通信装置30が外部認証情報を受信すると、認証処理を開始する(S47)。即ち、認証処理部22Bは、IG−SW13がOFFである場合に、認証処理を実行する。
【0067】
認証処理部22Bは、認証情報の認証が成立し(S48、Yes)、且つ、IG−SW13がOFFからONに切り換わると(S49、Yes)、認証が成立したことを制御装置20に出力する(S50)。制御装置20は、認証が成立したことを取得すると、原動機4を駆動する(S51)。なお、認証処理部22Bは、認証情報の認証が不成立の場合、又は、IG−SW13がOFFのままの場合は、制御装置20に認証の許可を通知しない。或いは、認証処理部22Bは、認証情報の認証が不成立の場合、IG−SW13がOFからOFFに切り換 わると、認証の不許可を制御装置20に送信する。
【0068】
また、通信装置30は、認証が成立したことを携帯端末40に通知する(S52)。携帯端末40の表示部43は、機械状態203として「ロック解除」を表示する(S53)。制御装置20は原動機4の駆動後、IG−SW13がONからOFFになると(S54、Yes)、原動機4の駆動を停止する(S55)。
作業機の盗難防止システムは、第1通信部31と認証処理部22Bとを有する通信装置30と、第1通信部31から送信されたビーコンを受信後に認証情報を第1通信部31に送信する第2通信部41を有する携帯端末40と、認証処理によって駆動部の許可がされた場合に、駆動部を駆動させる制御装置20とを備えている。これによれば、携帯端末40がビーコンを受信後に通信装置30に対して認証情報を送信した後に、通信装置30の認証処理部22Bによって認証処理を行うことができる。つまり、携帯端末40がビーコンを受信後に、当該携帯端末40から通信装置30への認証情報の送信後に直ぐに、通信装置30側では、携帯端認証情報を用いた認証処理を行うことができる。
【0069】
第1通信部31は、認証処理部22Bの認証処理の実行前であってイグニッションスイッチ13がOFFである場合に、ビーコンを携帯端末40に送信し、認証処理部22Bは、イグニッションスイッチ13がOFFである場合に、認証処理を実行する。これによれば、イグニッション13がOFFである時点で既に、認証情報の認証を行うことができているため、イグニッション13のONと略同時に駆動部を駆動させることができる。
【0070】
上述した実施形態では、通信装置30が外部認証情報を受信すると、自動的に認証処理部22Bによって認証処理を行っているが、これに代え、認証処理は、携帯端末40からの指令に基づいて行ってもよい。
通信装置30は、問い合わせ部35を有している。問い合わせ部35は、制御装置20に設けられた電気・電子部品、当該制御装置20に格納されたプログラム等から構成されている。問い合わせ部35は、携帯端末40から送信された外部認証情報を通信装置30が取得した場合に、認証処理部22Bによる認証処理を実行してよいかの問い合わせを示す信号(問い合わせ信号)を携帯端末40に送信する。
【0071】
図11Bは、携帯端末40と通信装置30との接続の他のフローチャートを示している。
図11Bにおいて、S40〜S46、S50〜S51、S54は、
図11Aと同様である。
図11Bに示すように、通信装置30が外部認証情報を取得すると(S61)、問い合わせ部25は、問い合わせ信号を携帯端末40に送信する(S62)。携帯端末40が問い合わせ信号を受信すると、表示部43は、問い合わせが来たことを表示すると共に、設定部204の入力を待つ(S63)。なお、設定部204の入力待ちにおいて、設定部204のデフォルトは、不許可に設定されている。
【0072】
表示部43の設定部204において、不許可から許可に切り換えられると、携帯端末40は、許可を示す許可信号を通信装置30に送信する(S64)。通信装置30が許可信号を取得すると、認証処理部22Bによる認証処理を開始する(S65)。認証処理部22Bは、認証が成立後、IG−SWがOFFからONになると、認証が成立したことを制御装置20に出力し(S50)、原動機4が駆動する(S51)。
【0073】
また、通信装置30は、認証が成立すると、認証が成立したことを携帯端末40に送信する(S66)。携帯端末40の表示部43は、機械状態203として「ロック解除」を表示する(S67)。
表示部43の設定部204において許可から不許可に設定が変更されると、携帯端末40は、不許可を示す不許可信号を通信装置30に送信する(S68)。通信装置30は、不許可信号の受信後に制御装置20に不許可信号を出力する(S69)。制御装置20が不許可信号を取得し且つ、IG−SW13がONからOFFになると(S54、Yes)、当該制御装置20は、原動機4の駆動を停止する(S70)。通信装置30は、IG−SW13がOFFになったことを携帯端末40に通知する(S71)。携帯端末40は、IG−SW13がOFFになったことを受信後、所定時間以上経過した後に、接続処理を終了する(S72)。
【0074】
認証処理部22Bは、通信装置30が認証情報を受信後、且つ、携帯端末30による許可があった場合に認証処理を実行する。そのため、作業者等が携帯端末40を所持している場合等に、認証処理を行って良いか(原動機4の駆動を行って良いか)を作業者に確認してから原動機4を駆動することができる。原動機4の駆動のタイミングを作業者によって設定することができる。
[第5実施形態]
図12は、第5実施形態における作業機1の盗難防止システムを示している。第5実施形態では、第1実施形態〜第4実施形態と異なる構成について説明する。第5実施形態で示した構成の一部又は全部を、第1実施形態〜第4実施形態に適用可能である。
【0075】
通信装置30は、収集部32を有している。収集部32は、通信装置30に設けられた電気・電子部品、当該通信装置30に格納されたプログラム等から構成されている。収集部32は、作業機に関する機械情報を収集する。例えば、通信装置30は、トラクタ1に設けられた機器(制御装置20、表示装置、センサ等の検出装置)が接続されていて、収集部32は、通信ラインL1に流れる様々な信号(データ)を機械情報として取得する。
【0076】
例えば、収集部32は、エンジン回転センサで検出したエンジン回転、車速検出センサで検出した車速、PTO検出センサで検出したPTO回転数等を機械情報として収集する。収集部32は、トラクタ1に搭載した機器の故障、警告関する情報を機械情報として収集してもよいし、トラクタ1の機器の設定値等を機械情報として収集してもよい。また、トラクタ1に測位衛星等の信号に基づいて位置(緯度、経度)を検出する位置検出装置を設けた場合、収集部32は、位置検出装置で検出された位置(作業機の位置)を機械情報として収集してもよい。なお、機械情報は、トラクタ1に関する情報であれば何でもよい。
【0077】
記憶部33は、収集部32が収集した機械情報を一時的に記憶する。記憶部33に一時的に記憶された機械情報は、通信装置30(第1通信部31)によって携帯端末40に送信される。例えば、ビーコンBを携帯端末40が検出後、通信装置30と携帯端末40との通信が確立された場合、通信装置30は、記憶部33に記憶されている機械情報を携帯端末40に送信する。なお、設定部(スイッチ)204によって認証処理の許可、即ち、作業者が携帯端末40を用いてロック解除の操作を行った場合に、携帯端末40が通信装置30に対して機械情報の送信を要求し、通信装置30は機械情報の要求に応じて、記憶部33に記憶されている機械情報を携帯端末40に送信してもよい。
【0078】
また、携帯端末40で取得した機械情報は、サーバ等の管理装置50に送信することが可能である。即ち、携帯端末40の第2通信部41は、当該携帯端末40が受信した機械情報を管理装置50に送信する。管理装置50は、トラクタ1毎に機械情報を記憶する。
以上によれば、盗難防止の処理だけでなく、トラクタ1の機械情報を取得することができ、盗難防止と機械情報の収集との両立を図ることができる。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。