(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係るセンシングシステム、センシングウェハおよびプラズマ処理装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る温度測定システムが適用される半導体製造装置の概略構成を示す断面図である。
図1では、半導体製造装置として、容量結合型(平行平板型)プラズマエッチング装置を例にとった。
図1において、プラズマエッチング装置には、ウェハWまたはセンシングウェハWSを収容するチャンバ1が設けられている。ウェハWには、トランジスタやメモリや集積回路などのデバイスを形成することができる。
【0009】
以下、センシングウェハWSをチャンバ1内のプラズマ処理中の温度測定に用いる方法を説明する。
【0010】
ウェハWの基板とセンシングウェハWSの基板とは、同一材料を用いることができる。例えば、ウェハWの基板がSiの場合、センシングウェハWSの基板としてSiを用いることができる。ウェハWの基板がGaAsの場合、センシングウェハWSの基板としてGaAsを用いることができる。ウェハWの基板が石英の場合、センシングウェハWSの基板として石英を用いることができる。
【0011】
センシングウェハWSで温度測定を行う場合、ウェハWでのデバイスの形成時と同一のプロセス条件に設定することができる。例えば、ウェハW上でSiO
2とSiNとの積層構造に対するホール加工時の温度を管理する場合、センシングウェハWSでの温度測定時に、ウェハW上でのホール加工時と同一のパワーやエッチングガスを与えることができる。
【0012】
以下、センシングウェハWSがチャンバ1内に設置されている場合を説明する。
チャンバ1内には、センシングウェハWSを保持する基台2が設けられている。チャンバ1および基台2は、アルミニウム(Al)などの導電体で構成することができる。チャンバ1は接地することができる。基台2は、支持体5でチャンバ1内に保持されている。基台2の周囲には絶縁リング3が設けられている。基台2と絶縁リング3との境界には、センシングウェハWSの外周に沿ってフォーカスリング(エッジリングとも言う)4が埋め込まれている。フォーカスリング4は、センシングウェハWSの周縁部での電界の偏向を防止することができる。フォーカスリング4は交換可能である。
【0013】
チャンバ1内の上方にはシャワーヘッド6が設置されている。シャワーヘッド6は、センシングウェハWS上からウェハ面に向かってガスG1を噴出することができる。シャワーヘッド6には、ガスG1を噴出する噴出孔7を設けることができる。シャワーヘッド6上には、シャワーヘッド6にガスG1を供給する配管8が設けられている。ガスG1は、チャンバ1内でのプラズマエッチング処理を進行させることができる。なお、シャワーヘッド6は、プラズマ生成時の上部電極として用いることができる。基台2は、プラズマ生成時の下部電極として用いることができる。チャンバ1の下方には排気管9が設けられている。
【0014】
基台2上には、センシングウェハWSを固定する静電チャック13が設けられている。静電チャック13には、チャック電極15が埋め込まれており、チャック電極15は、センシングウェハWSを引き寄せる静電気力を発生させることができる。すなわち、基台2および静電チャック13は、プラズマが生成されたチャンバ1内でセンシングウェハWSを保持するウェハ保持部として機能する。
【0015】
静電チャック13の表面には、凹凸面14が設けられている。凹凸面14は、エンボス加工面であってもよい。凹凸面14は、センシングウェハWSの裏面に送られた伝熱剤をセンシングウェハWS裏面全体に行き渡らせることができる。伝熱剤は、例えば、ヘリウム(He)ガスを用いることができる。チャンバ1の側面には、開口部1Aおよびシャッタ24が設けられている。シャッタ24は上下にスライドさせることができる。シャッタ24を上下にスライドさせることで、開口部1Aを開放したり、塞いだりすることができる。
【0016】
基台2および静電チャック13(ウェハ保持部)には、貫通孔10、11が設けられている。貫通孔10は、基台2の下方から出射された入射光LiをセンシングウェハWSの裏面から入射させたり、センシングウェハWSの裏面から出射された放射光Leを基台2の下方に出射させる通路として用いることができる。貫通孔10は、センシングウェハWSの裏面に伝熱剤を送るための通路としても用いることができる。貫通孔11内には、ピン12が設けられている。ピン12は上下に移動可能である。この時、ピン12が上下に移動することで、センシングウェハWSの搬送時にセンシングウェハWSを昇降させることができる。
【0017】
また、プラズマエッチング装置には、高周波RF電源19、低周波RF電源22および吸着電源23が設けられている。低周波RF電源22は、基台2に第1周波数電圧を連続的またはパルス状に印加することができる。高周波RF電源19は、基台2に第2周波数電圧を連続的またはパルス状に印加することができる。第2周波数は第1周波数より高くすることができる。例えば、第1周波数は13.56MHz以下、第2周波数は40MHz以上に設定することができる。
【0018】
この時、第2周波数電圧は、チャンバ1内で高密度プラズマを発生させるために用いることができる。第1周波数電圧は、チャンバ1内で発生したイオンエネルギーを制御するために用いることができる。吸着電源23は、チャック電極15に吸着電圧を印加することができる。吸着電圧は、センシングウェハWSを静電チャック13に吸着するために用いることができる。
【0019】
低周波RF電源22は、ブロッキングコンデンサ20および整合器21を順次介して基台2に接続されている。高周波RF電源19は、ブロッキングコンデンサ17および整合器18を順次介して基台2に接続されている。吸着電源23は、チャック電極15に接続されている。ブロッキングコンデンサ17、20は、プラズマ中の電荷の偏りより生成する直流電流を遮断し、自己バイアス電位を生成することができる。整合器18は、高周波RF電源19の負荷とインピーダンス整合をとることができる。整合器21は、低周波RF電源22の負荷とインピーダンス整合をとることができる。
【0020】
また、チャンバ1の底面には、開口部1Bおよびビューポート25が設けられている。ビューポート25は、石英などの透明材料を用いることができる。ビューポート25は、開口部1Bの位置に配置することができる。ビューポート25は、ビューポート25の外縁を抑える枠材26を介してネジ27でチャンバ1に固定することができる。この時、チャンバ1内の気密性を確保するため、ビューポート25とチャンバ1の底面との間にOリング28を装着することができる。
【0021】
図2(a)は、第1実施形態に係る温度測定システムに適用されるセンシングウェハの概略構成を示す平面図、
図2(b)は、
図2(a)のセンシングウェハの概略構成を示す断面図、
図2(c)は、
図2(b)のセンシングウェハに設けられた光ファイバ中の入射光と放射光の導波状態を示す断面図である。
図2(b)において、センシングウェハWSの表面下には通路61が設けられている。通路61は、センシングウェハWSの中央部から端部に向って配置することができる。センシングウェハWSの中央部には、通路62が設けられている。通路62は、センシングウェハWSの裏面中央部を貫通することができる。通路62の先端は通路61の末端と結合することができる。
【0022】
通路61の先端には励起発光体63が配置されている。励起発光体63は、入射光Liに基づいて放射光Leを放射することができる。この時、放射光Leは温度特性を持つことができる。励起発光体63は、放射光Leとして蛍光または燐光を発生する蛍光体であってもよい。蛍光体としては、例えば、Y
2O
3:Eu(Europium)、Mg
4FGeO
6:Mn(Manganum)、YAG(Yttrium Aluminum Garnet):Dy(Dysprosium)またはYAG:Tb(Terbium)を用いることができる。また、励起発光体63に代えて、例えば、可視光の照射により格子振動が可能で、かつ格子振動による光吸収波長に温度依存性があるGaAs(Gallium Arsenicum)などのウェハ基板とは異種の単結晶半導体を用いてもよい。
【0023】
また、通路61内には、励起発光体63から通路62に至る光ファイバ64が設置されている。光ファイバ64には、
図2(c)に示すように、コア64Aとクラッド64Bが設けられている。光ファイバ64は、石英系の高耐熱光ファイバを用いることが好ましい。高耐熱光ファイバは、1000℃以上の高温に耐えることができる。
【0024】
通路62の先端には反射鏡66が配置されている。また、通路62内には、コリメーションレンズ65が配置されている。コリメーションレンズ65の材料は、例えば、石英を用いることができる。コリメーションレンズ65は反射鏡66下に配置することができる。
【0025】
ここで、
図2(a)に示すように、励起発光体63をセンシングウェハWSの複数個所に設けるようにしてもよい。複数個所に設けられた励起発光体63にそれぞれ対応して、光ファイバ64および反射鏡66をセンシングウェハWSに設けることができる。励起発光体63はセンシングウェハWSに略均等間隔で配置することが好ましい。光ファイバ64は、センシングウェハWSの中央部から端部に向って放射状に配置することができる。励起発光体63の位置に応じて光ファイバ64の長さを調整することができる。この時、光ファイバ64の長さは異なっていてもよい。
【0026】
また、
図2(b)に示すように、チャンバ内にはステージST2が設けられている。ステージST2上には、センシングウェハWSを配置することができる。ステージST2は、
図1の基台2であってもよいし、静電チャック13であってもよい。ステージST2は、ウェハWまたはセンシングウェハWSをチャンバ1内で保持するウェハ保持部として用いることができる。
【0027】
ステージST2の中央部には、ステージST2を厚さ方向に貫通する開口部K2が設けられている。開口部K2の表面側には、入射光Liおよび放射光Leを透過させる透過窓48が設けられている。透過窓48として、例えば、AlNまたはAlONなどの透明な熱伝導性材料を用いることができる。
【0028】
ステージST2の下方には、光源29、ハーフミラー30、光学フィルタ31、光検出器32および温度算出部33が配置されている。光源29は、励起発光体63に入射される入射光Liを発生させる。ハーフミラー30は、入射光Liを反射させ、放射光Leを透過させる。光学フィルタ31は、放射光Leの波長成分を透過させ、それ以外の波長成分を減衰させる。例えば、入射光Liが青色光、放射光Leが赤色光の場合、光学フィルタ31として赤色フィルタを用いることができる。光検出器32は、放射光Leを検出する。温度算出部33は、放射光Leの温度特性に基づいてセンシングウェハWSの温度を算出する。
【0029】
光源29、ハーフミラー30、光学フィルタ31、光検出器32および温度算出部33は、
図1のチャンバ1外に配置することができる。あるいは、光源29、ハーフミラー30、光学フィルタ31、光検出器32および温度算出部33は、
図1のチャンバ1内に配置してもよい。この場合、光源29、ハーフミラー30、光学フィルタ31、光検出器32および温度算出部33は、
図1の基台2下に配置することができる。この時、
図1の開口部1Bおよびビューポート25はチャンバ1に設けなくてよい。
【0030】
次に、センシングウェハWSを用いた時のチャンバ内のプラズマ処理中の温度測定方法について説明する。
図1、
図2(a)および
図2(b)において、センシングウェハWSがチャンバ1内に搬送される場合、シャッタ24が開かれ、ピン12が静電チャック13上に突出される。そして、センシングウェハWSが開口部1Aを介してピン12上に搬送される。そして、センシングウェハWSがピン12上に置かれた状態でピン12が降下し、センシングウェハWSが静電チャック13上に置かれる。そして、静電チャック13にセンシングウェハWSが引き寄せられることでセンシングウェハWSが静電チャック13上に固定される。
【0031】
さらに、伝熱剤がセンシングウェハWS裏面に送られ、凹凸面14を介してセンシングウェハWS裏面全体に行き渡ることで、センシングウェハWSが温度制御される。そして、排気管9を介してチャンバ1内が排気されながら、シャワーヘッド6からガスG1が噴出される。そして、高周波RF電源19から基台2に第2周波数電圧が供給されると、ガスG1が励起され、センシングウェハWS上でプラズマが発生する。
【0032】
この時、低周波RF電源22から基台2に第1周波数電圧を連続的またはパルス状に印加することで、チャンバ1内で発生したイオンをセンシングウェハWSに引き込むエネルギーを制御することができる。そして、センシングウェハWS上で発生したイオンがセンシングウェハWSをスパッタリングしたり、センシングウェハWS上でイオンアシスト反応することで、プラズマエッチング処理が行われる。
【0033】
プラズマエッチング処理中に、光源29から入射光Liが出射される。そして、入射光Liは、ハーフミラー30で反射された後、透過窓48およびコリメーションレンズ65を透過する。さらに、入射光Liは、反射鏡66で反射された後、光ファイバ64に入射し、
図2(c)に示すように、光ファイバ64にて導波されることで、励起発光体63に入射する。
【0034】
励起発光体63において、入射光Liの入射に伴って放射光Leが生成され、光ファイバ64に入射する。放射光Leは、光ファイバ64にて導波され、反射鏡66で反射される。さらに、放射光Leは、コリメーションレンズ65にて集光された後、透過窓48を透過し、ステージST2の裏側から出射する。ステージST2の裏側から出射した放射光Leは、ハーフミラー30を透過し、光学フィルタ31にて所望の波長成分が抽出された後、光検出器32に入射し、放射光Leが検出される。光検出器32による検出結果は温度算出部33に送られる。温度算出部33において、光検出器32から検出結果が送られると、放射光Leの温度特性に基づいてセンシングウェハWSの温度が算出される。放射光Leの温度特性は、放射光Leの減衰時間の温度依存性であってもよいし、放射光Leの波長の温度依存性を有していてもよいし、放射光Leの波長ピーク強度比の温度依存性を有していてもよい。
【0035】
ここで、複数の励起発光体63から放射された放射光Leは、1つの通路62内に導くことができる。そして、複数の励起発光体63から放射された放射光Leを、例えば光検出器32に一括して入射させることができる。この時、温度算出部33は、光検出器32から送られた検出結果に基づいて、センシングウェハWSの複数の測定点の温度の平均値を算出することができる。あるいは、複数の励起発光体63に対して、これら励起発光体63から放出された放射光Leをそれぞれ個別に光検出器32へと導波するような光学系を設け、各励起発光体63から放射された放射光Leに基づいてセンシングウェハWSの各測定点におけるそれぞれの温度を算出するようにしてもよい。
【0036】
ここで、放射光Leの温度特性に基づいて温度測定を行うことにより、温度測定値をチャンバ1外に送る電線をチャンバ1内に通す必要がなくなる。このため、チャンバ1を大気開放することなく、チャンバ1内の温度を測定することができ、プラズマ処理中においてもチャンバ1内の温度管理を行うことができる。
【0037】
また、放射光Leの温度特性に基づいて温度測定を行うことにより、サーモラベルを用いる方法に比べて温度分解能を向上させることができ、プラズマ処理中の温度の測定精度を向上させることができる。
【0038】
さらに、放射光Leの温度特性に基づいて温度測定を行うことにより、耐熱性および耐電磁ノイズ性を向上させることができ、センシングウェハWSの寿命の低下を抑止しつつ、高周波かつ高出力のプラズマ処理の温度測定にも適用することができる。
【0039】
さらに、励起発光体63および光ファイバ64をセンシングウェハWSに設けることにより、デバイスが形成されるウェハWのプロセス条件と同等の条件で温度を測定することができる。このため、デバイスが形成されるウェハWの加工点の温度と同等の温度をセンシングウェハWSで計測することができ、デバイスが形成されるウェハWの加工精度を向上させることができる。
【0040】
さらに、励起発光体63および光ファイバ64をセンシングウェハWSに設けることにより、温度測定点の個数を容易に増加させることができ、コストアップを抑制しつつ、プラズマ処理中のチャンバ1内の温度管理の精度を向上させることができる。
【0041】
さらに、センシングウェハWSに通路62を設けることにより、センシングウェハWSの裏面側から入射光Liを入射させたり、裏面側に放射光Leを出射させたりすることができる。このため、プラズマエッチング処理中に入射光Liおよび放射光Leがプラズマに曝されるのを防止することができ、プラズマからの放射光による温度測定誤差の発生を防止することができる。
【0042】
さらに、センシングウェハWSの裏面側から入射光Liを入射させたり、裏面側に放射光Leを出射させたりすることにより、透過窓48およびコリメーションレンズ65がプラズマに曝されるのを防止することができる。このため、プラズマによる透過窓48およびコリメーションレンズ65の曇りおよび損傷を防止することができ、温度測定精度の低下を防止することができる。
【0043】
さらに、センシングウェハWSの裏面側から入射光Liを入射させたり、裏面側に放射光Leを出射させたりすることにより、チャンバの横方向のサイズに依存することなく、光源29および光検出器32をステージST2に近づけることができる。このため、光源29からセンシングウェハWSまでの入射光Liの経路長および光検出器32からセンシングウェハWSまでの放射光Leの経路長を短くすることができ、光源29および光検出器32の位置調整を容易化することができる。
【0044】
なお、上述した実施形態では、半導体製造装置として容量結合型プラズマエッチング装置を例にとったが、誘導結合型プラズマエッチング装置であってもよいし、マイクロ波ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマエッチング装置であってもよい。また、半導体製造装置として、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置であってもよく、さらには、プラズマ処理装置以外にも、エピタキシャル装置、熱CVD装置またはアニール装置などに適用するようにしてもよい。
【0045】
以下、放射光Leの温度特性に基づく温度測定の原理について具体的に説明する。
図3(a)および
図3(b)は、
図1の温度測定システムの励起発光体として用いられる蛍光体の温度と燐光の減衰時間との関係を示す図である。この関係は、例えば、Brubach, J.; Dreizler, A.; Janica, J. Gas compositional and pressure effects on thermographic phosphor thermometry. Measurement Science Technology 2007, 18, 767-770に記載されている。なお、
図3(a)では、蛍光体としてY
2O
3:Eu、
図3(b)では、蛍光体としてMg
4FGeO
6:Mnを例にとった。また、
図3(a)および
図3(b)では、蛍光体の周辺の雰囲気を変えた時の蛍光体の温度と燐光の減衰時間との関係を示した。
【0046】
図3(a)および
図3(b)において、燐光の減衰時間は温度依存性を持つことが判る。このため、燐光の減衰時間を測定することにより、蛍光体が設けられたセンシングウェハWSの温度を算出することができる。
ただし、Y
2O
3:Euでは、燐光の減衰時間は蛍光体の周辺の雰囲気に依存する。一方、Mg
4FGeO
6:Mnでは、燐光の減衰時間は蛍光体の周辺の雰囲気に依存しない。このため、蛍光体としてY
2O
3:Euを用いる場合には、蛍光体を密封することが望ましい。一方、蛍光体としてMg
4FGeO
6:Mnを用いる場合には、蛍光体を密封することなく、温度測定を高精度化することができる。
【0047】
図4(a)は、センシングウェハへの入射光の入射時の状態を示す断面図、
図4(b)は、センシングウェハへの入射光の波形を示す図、
図4(c)は、センシングウェハからの放射光の出射時の状態を示す断面図、
図4(d)は、センシングウェハからの放射光の波形を示す図である。なお、
図4(a)から
図4(d)では、放射光Leの減衰時間の温度依存性を用いて温度を測定する例を示した。
【0048】
プラズマエッチング処理中において、
図4(b)に示すように、
図4(a)の光源29から入射光Liがパルス状に出射される。そして、
図4(a)に示すように、入射光Liは、ハーフミラー30で反射された後、透過窓48およびコリメーションレンズ65を透過する。さらに、入射光Liは、反射鏡66で反射された後、光ファイバ64に入射し、光ファイバ64にて導波されることで、励起発光体63に伝搬される。
【0049】
励起発光体63において、
図4(c)および
図4(d)に示すように、入射光Liの入射に伴って放射光Leが生成され、光ファイバ64に入射する。放射光Leは、光ファイバ64にて導波され、反射鏡66で反射される。さらに、放射光Leは、コリメーションレンズ65にて集光された後、透過窓48を透過し、ステージST2の裏側から出射する。ステージST2の裏側から出射した放射光Leは、ハーフミラー30および光学フィルタ31を介して、光検出器32に入射し、放射光Leが検出される。光検出器32による検出結果は温度算出部33に送られる。温度算出部33において、例えば、入射光Liの立ち下がり時刻t0から放射光Leの強度がSeとなるまでの時間が計測される。
【0050】
この時、
図3(a)および
図3(b)に示すように、温度が高くなると、燐光の減衰時間は短くなる。このため、高温では、放射光の波形はLeとなり、低温では、放射光の波形はLe´となる。放射光Leの強度がSeとなるまでの減衰時間がt1−t0の場合は、センシングウェハWSは高温状態にあり、放射光Le´の強度がSeとなるまでの減衰時間がt2−t0の場合は、センシングウェハWSは低温状態にあることが判る。高温状態または低温状態にある時のセンシングウェハWSの温度の数値は、
図3(a)または
図3(b)を参照することにより求めることができる。
【0051】
図5(a)は、
図1の温度測定システムに用いられる単結晶半導体の温度と波長との関係を示す図、
図5(b)は、
図1の温度測定システムの励起発光体として用いられる蛍光体の温度と波長ピーク強度比との関係を示す図、
図5(c)は、
図1の温度測定システムの励起発光体として用いられる蛍光体の温度と波長と強度との関係を示す図である。
図5(b)および
図5(c)の関係は、例えば、M Yu,et.al., “Survivability of thermographic phosphors(YAG:Dy) in a combustion environment”,Meas. Sci. Technol. 21 (2010)に記載されている。
【0052】
なお、
図5(a)では、単結晶半導体としてGaAs、
図5(b)および
図5(c)では、蛍光体としてYAG:Dyを例にとった。
【0053】
図5(a)において、例えば、白色光を照射した時の単結晶半導体の透過波長は温度依存性を持つことが判る。このため、単結晶半導体の透過波長を測定することにより、単結晶半導体が測温素子として設けられたセンシングウェハWSの温度を測定することができる。
【0054】
一方、
図5(c)において、YAG:Dyから放射される燐光は、455nmと493nmとでピークを持つことが判る。この時、455nmの強度と493nmの強度との比は、
図5(b)に示すように、温度依存性を持つことが判る。このため、蛍光体の波長ピーク強度比を測定することにより、蛍光体が設けられたセンシングウェハWSの温度を測定することができる。
【0055】
なお、センシングウェハWSの複数個所に励起発光体63を設け、各励起発光体63に対して反射鏡66をセンシングウェハWSの中央部に2次元的に配置し、通路62において各励起発光体63の入射光Liおよび放射光Leを個別に導波可能とさせて、センシングウェハWSの複数個所のそれぞれで温度を測定する場合、互いに隣接する反射鏡66で反射された放射光Leが干渉することがある。
【0056】
以下、センシングウェハWSの複数個所に励起発光体63を設けた場合、反射鏡66間の間隔が小さい場合においても、反射鏡66で反射された放射光Leの干渉を防止する方法を説明する。
【0057】
図6(a)は、センシングウェハの複数の温度測定点がある場合における入射光の入射経路および放射光の出射経路を示す斜視図、
図6(b)は、センシングウェハの複数の温度測定点がある場合における各温度測定点の入射光の波形を示す図、
図6(c)は、センシングウェハの複数の温度測定点がある場合における各温度測定点からの放射光の波形を示す図である。
【0058】
図6(a)において、例えば、反射鏡66A〜66CがセンシングウェハWSの中央部に隣接して配置されているものとする。反射鏡66A〜66Cにそれぞれ対応して光ファイバ64A〜64CがセンシングウェハWSに設けられている。光ファイバ64A〜64Cの先端には、励起発光体63A〜63Cがそれぞれ設けられている。
【0059】
センシングウェハWSの裏面に垂直に入射した入射光LiA〜LiCは反射鏡66A〜66Cにて水平方向に反射され、光ファイバ64A〜64Cにそれぞれ入射される。光ファイバ64A〜64Cにて水平方向に導波された放射光LeA〜LeCは反射鏡66A〜66Cにて垂直方向に反射され、センシングウェハWSの裏面から出射される。ここで、放射光LeA〜LeCの広がりにより放射光LeA〜LeCが干渉する位置に検出点PA〜PCが設けられているものとする。
【0060】
この時、入射光LiA〜LiCのタイミングをずらして入射光LiA〜LiCを光ファイバ64A〜64Cにそれぞれ入射させることができる。すなわち、
図6(b)に示すように、時刻tAに入射光LiAがパルス状に光ファイバ64Aを介して励起発光体63Aに入射される。この時、
図6(c)に示すように、放射光LeAが励起発光体63Aから放射される。
【0061】
次に、
図6(b)に示すように、励起発光体63Aから放射された放射光LeAが十分に減衰した時刻tBに入射光LiBがパルス状に光ファイバ64Bを介して励起発光体63Bに入射される。この時、
図6(c)に示すように、放射光LeBが励起発光体63Bから放射される。
【0062】
次に、
図6(b)に示すように、励起発光体63Bから放射された放射光LeBが十分に減衰した時刻tCに入射光LiCがパルス状に光ファイバ64Cを介して励起発光体63Cに入射される。この時、
図6(c)に示すように、放射光LeCが励起発光体63Cから放射される。
【0063】
これにより、放射光LeA〜LeCが干渉する位置に検出点PA〜PCが設けられている場合においても、放射光LeA〜LeCの干渉を伴うことなく、放射光LeA〜LeCを検出点PA〜PCで検出することができる。このため、センシングウェハWSの複数の温度測定点がある場合においても、ビューポート25のサイズの拡大を防止しつつ、温度測定精度を向上させることができる。
【0064】
(第2実施形態)
図7(a)は、第2実施形態に係る温度測定システムに適用されるセンシングウェハの概略構成を示す平面図、
図7(b)は、第2実施形態に係る温度測定システムの概略構成を示す断面図、
図7(c)は、
図7(b)のセンシングウェハの中心部の光学系の概略構成を示す平面図、
図7(d)は、
図7(b)のセンシングウェハの中心部の光学系の概略構成を示す断面図である。
図7(b)において、センシングウェハWS5の表面下には通路81が設けられている。通路81は、センシングウェハWS5の中央部から端部に向って配置することができる。センシングウェハWS5の中央部には、通路82が設けられている。通路82は、センシングウェハWS5の裏面中央部を貫通することができる。通路82の先端は通路81の末端と結合することができる。
【0065】
通路81の先端には励起発光体83が配置されている。励起発光体83は、
図2(a)の励起発光体63と同様に構成することができる。また、通路81内には、励起発光体83から通路82に至る光ファイバ84が設置されている。
【0066】
ここで、
図7(a)に示すように、励起発光体83はセンシングウェハWS5の複数個所に設けられている。複数個所に設けられた励起発光体83にそれぞれ対応して、光ファイバ84がセンシングウェハWS5に設けられている。この時、光ファイバ84は、センシングウェハWS5の中央部から端部に向って放射状に配置することができる。
【0067】
通路82の先端には反射鏡86が配置されている。この時、反射鏡86は、センシングウェハWS5の中央部に配置することができる。
図7(c)および
図7(d)に示すように、反射鏡86には、複数の反射面86Aが設けられている。ここで、各光ファイバ84の端面に対して45度だけ傾いた状態でそれぞれ対向するように各反射面86Aの向きを設定することができる。この時、反射鏡86は、各光ファイバ84を介して様々の方向から導波された複数の放射光Leを同一方向に同時に反射させることができる。なお、反射鏡86の中心には、反射鏡86を貫通する光ファイバ88を設けるようにしてもよい。
【0068】
また、通路82内には、複数のコリメーションレンズ85および透過窓87が配置されている。コリメーションレンズ85は反射鏡86下に配置し、透過窓87はコリメーションレンズ85下に配置することができる。透過窓87の材料は、例えば、AlNまたはAlONを用いることができる。
【0069】
また、
図7(b)に示すように、チャンバ内にはステージST3が設けられている。ステージST3上には、センシングウェハWS5を配置することができる。ステージST3は、
図1の基台2であってもよいし、静電チャック13であってもよい。
【0070】
ステージST3の中央部には、ステージST3を厚さ方向に貫通する開口部K3が設けられている。開口部K3の表面側には、透過窓68が設けられている。透過窓68の材料は、例えば、AlNまたはAlONを用いることができる。
【0071】
ステージST3の下方には、筒状体73が設けられている。筒状体73の先端はステージST3の裏面に固定することができる。筒状体73の側面には透過窓74が配置されている。筒状体73内には、ハーフミラー70、光学フィルタ71および光検出器72が配置されている。筒状体73外には、光源69および温度算出部73が配置されている。1個の光源69および1個の光検出器72は、複数の放射光Leに対して共通に用いることができる。
【0072】
光源69は、励起発光体83に入射される入射光Liを発生させる。ハーフミラー70は、入射光Liを反射させ、放射光Leを透過させる。光学フィルタ71は、放射光Leの波長成分を透過させ、それ以外の波長成分を減衰させる。光検出器72は、放射光Leを検出する。ここで、光検出器72は、複数の放射光Leを同時に検出することができる。複数の放射光Leを同時に検出できるようにするため、光検出器72としてCCDやCMOSセンサなどのイメージセンサを用いるようにしてもよい。温度算出部73は、放射光Leの温度特性に基づいてセンシングウェハWS5の温度を算出する。
【0073】
次に、センシングウェハWS5を用いた時のチャンバ内のプラズマ処理中の温度測定方法について説明する。
図7(b)において、センシングウェハWS5がチャンバ内に搬送されると、センシングウェハWS5がステージST3上に配置される。
【0074】
そして、プラズマエッチング処理中に、光源69から入射光Liが出射される。そして、入射光Liは、透過窓74を透過し、ハーフミラー70で反射された後、透過窓68、87およびコリメーションレンズ85を透過する。さらに、入射光Liは、反射鏡86で放射状に反射された後、複数の光ファイバ84に入射し、複数の光ファイバ84にて導波されることで、複数の励起発光体83に入射する。
【0075】
各励起発光体83において、入射光Liの入射に伴って放射光Leが生成され、光ファイバ84に入射する。各放射光Leは、光ファイバ84にてそれぞれ導波され、反射鏡86の各反射面86Aでそれぞれ反射される。さらに、これら複数の放射光Leは、複数のコリメーションレンズ85にてそれぞれ集光された後、透過窓87、68を透過し、ステージST3の裏側から出射する。
【0076】
ステージST3の裏側から出射した複数の放射光Leは、ハーフミラー70を透過し、光学フィルタ71にて所望の波長成分が抽出された後、光検出器72に入射し、複数の放射光Leが検出される。光検出器72による検出結果は温度算出部73に送られる。温度算出部73において、光検出器72から検出結果が送られると、複数の放射光Leの温度特性に基づいてセンシングウェハWS5の複数の測定点の温度が算出される。
【0077】
ここで、複数の反射面86Aが設けられた反射鏡86をセンシングウェハWS5の中央部に配置することにより、センシングウェハWS5の裏面側から、複数の励起発光体83に入射光Liを同時に入射させたり、裏面側に複数の放射光Leを同時に出射させたりすることができる。このため、複数の励起発光体83に対して光源69や光検出器72などを共通に用いることができ、複数の励起発光体83に対して光源69や光検出器72などを個別に設けた場合に比べて、装置構成をコンパクト化することができる。
【0078】
(第3実施形態)
図8(a)から
図8(e)は、第3実施形態に係るセンシングウェハの製造方法を示す断面図である。なお、
図8(a)から
図8(e)では、
図7(b)のセンシングウェハWS5の製造方法を例にとった。
図8(a)において、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いることにより、ロウァウェハWLの中央部に通路82を形成するとともに、中央部から端部方向に伸びる通路81を形成する。
【0079】
次に、
図8(b)に示すように、通路81の先端部に励起発光体83を配置する。さらに、励起発光体83から通路82に至る光ファイバ84を通路81内に設置する。
【0080】
次に、
図8(c)に示すように、透過窓87、コリメーションレンズ85および反射鏡86を下から順に通路82内に設置する。
【0081】
次に、
図8(d)に示すように、ロウァウェハWL上にアッパウェハWUを貼り合わせる。この結果、
図8(e)に示すように、励起発光体83および光ファイバ84をセンシングウェハWS5内に設けることができる。ロウァウェハWLおよびアッパウェハWUは、センシングウェハWS5のウェハ基板として用いることができる。
【0082】
なお、ロウァウェハWLとアッパウェハWUを貼り合わせる場合、セラミック系接着剤を用いるようにしてもよいし、ウェハ直接接合を用いるようにしてもよい。セラミック系接着剤またはウェハ直接接合を用いる方法では、1000℃以上の耐熱性を持たせることができる。ウェハ直接接合を用いる場合、接合前に接合面のプラズマ活性化処理を施すようにしてもよい。ウェハ直接接合の前にプラズマ活性化処理を施すことにより、200〜300℃のアニール処理で十分な接合強度を得ることができる。
【0083】
プラズマ処理中の温度計測によりアッパウェハWUが汚染されたり、アッパウェハWUが損傷を受けたりした場合、アッパウェハWUをロウァウェハWLから剥がすことができる。そして、新たなアッパウェハWUをロウァウェハWLに貼り合わせることができる。この時、ロウァウェハWLに設置された励起発光体83、光ファイバ84、透過窓87、コリメーションレンズ85および反射鏡86はそのまま使い回すことができる。このため、センシングウェハWS5を用いた温度計測にかかるランニングコストを低減させることができる。
【0084】
(第4実施形態)
図9(a)から
図9(e)は、第4実施形態に係るセンシングウェハの製造方法を示す断面図である。なお、
図9(a)から
図9(e)では、
図7(a)のA−A線の切断位置に対応した切断図を示した。
【0085】
図9(a)において、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いることにより、中央部から端部方向に伸びるトレンチ90をウェハ基板WS6´に形成する。
【0086】
次に、
図9(b)に示すように、CVDなどの方法にてトレンチ90内に埋め込まれるようにウェハ基板WS6´上にクラッド材を堆積する。そして、クラッド材をエッチバックすることにより、トレンチ90の下部にクラッド層91を形成する。
【0087】
次に、
図9(c)に示すように、CVDなどの方法にてトレンチ90内に埋め込まれるようにクラッド層91上にコア材92Aを堆積する。そして、CMP(Chemical Mechanical Polishing)などの方法にてコア材92Aを平坦化する。
【0088】
次に、
図9(d)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いることによりコア材92Aをパターニングし、トレンチ90の中央部にコア層92を形成する。
【0089】
次に、
図9(e)に示すように、CVDなどの方法にてコア層92が覆われるようにクラッド層91上にクラッド層93を堆積する。そして、CMPなどの方法にてクラッド層93を平坦化する。この結果、クラッド層91、93にてコア層92が覆われた導波路94がセンシングウェハWS6に形成される。
【0090】
ここで、センシングウェハWS6には、複数の励起発光体83に対応した複数の導波路94を一括して形成することができる。このため、複数の励起発光体83をセンシングウェハWS6に設けた場合においても、複数の光ファイバを1本ずつウェハに配置する手間をなくすことができる。
【0091】
上述した実施形態では、光ファイバおよび光学系が設けられたセンシングウェハを用いて温度を測定する方法について説明した。光ファイバおよび光学系が設けられたセンシングウェハは、温度測定以外の計測にも使用することができる。この時、センシングウェハは、センシングウェハ内またはセンシングウェハ外の状態を検出することができる。センシングウェハ外の状態は、センシングウェハの上方の状態であってもよいし、センシングウェハの側方の状態であってもよい。
【0092】
以下、光ファイバおよび光学系が設けられたセンシングウェハを、温度測定以外の計測やモニターに使用する方法について説明する。なお、以下の説明では、
図7(b)の通路81、82、光ファイバ84、反射鏡86、コリメーションレンズ85および透過窓87をセンシングウェハに設けた構成を例にとる。
【0093】
(第5実施形態)
図10(a)は、第5実施形態に係るセンシングシステムに適用されるセンシングウェハの概略構成を示す平面図、
図10(b)は、第5実施形態に係るセンシングシステムの概略構成を示す断面図、
図10(c)は、第5実施形態に係るセンシングシステムの適用例を示す断面図である。
図10(b)において、センシングウェハWS7の表面下には通路81が設けられている。センシングウェハWS7の中央部には、通路82が設けられている。
【0094】
通路81の先端には、センシングウェハWS7の表面側に開口する開口部101が設けられている。通路82上には、センシングウェハWS7の表面側に開口する開口部102が設けられている。通路81内には、開口部101から通路82に至る光ファイバ84が設置されている。通路82内には、反射鏡86、コリメーションレンズ85および透過窓87が配置されている。
【0095】
開口部101の底面には、反射鏡104が配置され、反射鏡104上には、対物レンズ103Aが配置されている。反射鏡104の代わりにプリズムを用いるようにしてもよい。開口部102内において、反射鏡86上には、対物レンズ103Bが配置されている。
【0096】
ここで、
図10(a)に示すように、対物レンズ103AはセンシングウェハWS7の複数個所に設けられている。複数個所に設けられた対物レンズ103Aにそれぞれ対応して、光ファイバ84がセンシングウェハWS7に設けられている。この時、光ファイバ84は、センシングウェハWS7の中央部から端部に向って放射状に配置することができる。
【0097】
また、
図10(b)に示すように、チャンバ内にはステージST3が設けられている。ステージST3上には、センシングウェハWS7を配置することができる。ステージST3の中央部には、ステージST3を厚さ方向に貫通する開口部K3が設けられている。開口部K3の表面側には、透過窓68が設けられている。
【0098】
ステージST3の下方には、筒状体73´が設けられている。筒状体73´の先端はステージST3の裏面に固定することができる。筒状体73´内には、ファイバカメラ105が配置されている。ファイバカメラ105は、観察対象を照らす光源を含むことができる。筒状体73´外には、表示部106が配置されている。
【0099】
次に、センシングウェハWS7を用いた時のチャンバ内の上部電極100の観察方法を説明する。
図10(b)において、センシングウェハWS7がチャンバ内に搬送されると、センシングウェハWS7がステージST3上に配置される。
図10(c)に示すように、ステージST3上には上部電極100が配置されている。
【0100】
そして、ファイバカメラ105から照明光L1が出射される。照明光L1は、透過窓68、87およびコリメーションレンズ85を透過する。さらに、照明光L1は、反射鏡86で放射状に反射された後、複数の光ファイバ84に入射し、複数の光ファイバ84にて導波される。また、照明光L1の一部は、
図7(d)の光ファイバ88を介して反射鏡86上に出射する。そして、複数の照明光L1は、反射鏡104でそれぞれ反射された後、対物レンズ103Aにて集光され、上部電極100を照射する。反射鏡86上に出射した照明光L1は、対物レンズ103Bにて集光され、上部電極100の中央部を照射する。
【0101】
複数の照明光L1が上部電極100を照射すると、上部電極100から複数の反射光L2が発生し、対物レンズ103Aを透過し、反射鏡104で反射される。その後、複数の反射光L2は、複数の光ファイバ84に入射し、複数の光ファイバ84にてそれぞれ導波され、反射鏡86の各反射面86Aでそれぞれ反射される。一方、上部電極100の中央部から反射された反射光L2は、対物レンズ103Bを透過し、光ファイバ88にて導波される。
【0102】
さらに、これら複数の反射光L2は、コリメーションレンズ85および透過窓87、68を透過し、ステージST3の裏側から出射する。ステージST3の裏側から出射した複数の反射光L2は、ファイバカメラ105に入射し、反射光L2に基づいて上部電極100の表面の画像が生成される。ファイバカメラ105で生成された画像は表示部106で表示される。
【0103】
ここで、センシングウェハWS7を用いることにより、ステージST3と上部電極100との間隔が小さい場合においても、チャンバから上部電極100を取り外すことなく、上部電極100の表面状態を観察することができる。
【0104】
上部電極100の表面状態を観察した結果、例えば、上部電極100の表面に堆積物が付着していることが観察された場合、そのチャンバ内にウェハWを搬入するのを止めることができる。そして、上部電極100の表面にプラズマクリーニングを施すことで、上部電極100の表面に付着した堆積物を除去することができる。この時、堆積物が付着している箇所のガス流量を増やすことで、上部電極100の表面に付着した堆積物を効率よく除去することができる。
【0105】
(第6実施形態)
図11(a)は、第6実施形態に係るセンシングシステムに適用されるセンシングウェハの概略構成を示す平面図、
図11(b)は、第6実施形態に係るセンシングシステムの概略構成を示す断面図、
図11(c)は、第6実施形態に係るセンシングシステムの適用例を示す断面図、
図11(d)から
図11(f)は、
図11(b)の光ファイバ距離計に用いられるプローブの構成例を示す平面図である。光ファイバ距離計は、例えば、株式会社東陽テクニカ(米 MTI Instruments Inc.)製の光ファイバ変位センサFotonicを用いることができる。
【0106】
図11(b)のシステムでは、
図10(b)のシステムのファイバカメラ105の代わりに、例えば、光源、プローブ、検出部、および距離計算部を有する光ファイバ距離計115が設けられている。
図11(b)のシステムでは、
図10(b)のシステムと同様のセンシングウェハWS7を用いることができる。
【0107】
光ファイバ距離計115では、例えば、入射光L3としてハロゲン光を用いることができる。光ファイバ距離計115は、入射光L3を対象物に照射した時の反射光L4の光量の変化に基づいて、対象物までの距離を求めることができる。光ファイバ距離計115には、測定点ごとにプローブを設けることができる。
【0108】
この時、光ファイバ距離計115には、
図11(d)に示すように、発光部E1と受光部E2とがランダムに配置されたプローブPB1を用いるようにしてもよいし、
図11(e)に示すように、発光部E1と受光部E2とが半円状に配置されたプローブPB2を用いるようにしてもよいし、
図11(f)に示すように、発光部E1と受光部E2とが同心円状に配置されたプローブPB3を用いるようにしてもよい。
【0109】
なお、
図11(a)および
図11(b)に示すように、センシングウェハWS7の中央部に配置された反射鏡86にて入射光L3および反射光L4の進路を変える構成では、入射光L3および反射光L4をセンシングウェハWS7の中央部に集めることができる。このため、センシングウェハWS7の中心軸上に光ファイバ距離計115を配置することにより、1個の光源と1個の検出部を光ファイバ距離計115に設けることで、センシングウェハWS7の複数の測定点での距離を一括して求めることができる。
【0110】
次に、センシングウェハWS7を用いた時のチャンバ内の上部電極100までの距離の測定方法を説明する。
図11(b)において、センシングウェハWS7がチャンバ内に搬送されると、センシングウェハWS7がステージST3上に配置される。
図11(c)に示すように、ステージST3上には上部電極100が配置されている。
【0111】
そして、光ファイバ距離計115から入射光L3が出射される。入射光L3は、透過窓68、87およびコリメーションレンズ85を透過する。さらに、入射光L3は、反射鏡86で放射状に反射された後、複数の光ファイバ84に入射し、複数の光ファイバ84にて導波される。また、入射光L3の一部は、
図7(d)の光ファイバ88を介して反射鏡86上に出射する。そして、複数の入射光L3は、反射鏡104でそれぞれ反射された後、対物レンズ103Aにて集光され、上部電極100に入射する。
【0112】
複数の入射光L3が上部電極100に入射すると、上部電極100から複数の反射光L4が発生し、対物レンズ103Aを透過し、反射鏡104で反射される。その後、複数の反射光L4は、複数の光ファイバ84に入射し、複数の光ファイバ84にてそれぞれ導波され、反射鏡86の各反射面86Aでそれぞれ反射される。一方、上部電極100の中央部から反射された反射光L4は、対物レンズ103Bを透過し、光ファイバ88にて導波される。
【0113】
さらに、これら複数の反射光L4は、コリメーションレンズ85および透過窓87、68を透過し、ステージST3の裏側から出射する。ステージST3の裏側から出射した複数の反射光L4は、光ファイバ距離計115に入射し、各測定点の反射光L4の光量に基づいて、センシングウェハWS7から上部電極100までの距離が算出される。光ファイバ距離計115で算出された上部電極100までの距離は表示部106で表示される。
【0114】
ここで、センシングウェハWS7を用いることにより、ステージST3と上部電極100との間隔が小さい場合においても、上部電極100を移動させることなく、センシングウェハWS7をステージST3上に配置することができる。このため、チャンバ内でプラズマ処理が行われている時のウェハWから上部電極100までの距離を精度よく見積もることができる。
【0115】
センシングウェハWS7から上部電極100までの距離を算出した結果、センシングウェハWS7の各測定点から上部電極100までの距離が不均一の場合、そのチャンバ内にウェハWを搬入するのを止めることができる。そして、例えば、上部電極100の傾きを調整することで、センシングウェハWS7の各測定点から上部電極100までの距離を均一化することができる。このため、その後にチャンバ内に搬送されたウェハWに形成されるデバイスの寸法バラツキを低減させることができ、ひいてはウェハWに形成されるデバイスの品質を向上させることができる。
【0116】
(第7実施形態)
図12(a)は、第7実施形態に係るセンシングシステムに適用されるセンシングウェハの概略構成を示す平面図、
図12(b)は、第7実施形態に係るセンシングシステムの概略構成を示す断面図、
図12(c)は、第7実施形態に係るセンシングシステムの適用例を示す断面図である。
【0117】
図12(b)のシステムでは、
図10(b)のシステムのファイバカメラ105の代わりに発光分光計125が設けられている。発光分光計125は、プラズマPZの励起状態を元素固有の輝線スペクトルの波長から定性し、所定波長の発光強度からプラズマPZ中に存在する化学種を定量することができる。
【0118】
図12(b)のシステムでは、
図10(b)のシステムと同様のセンシングウェハWS7を用いることができる。
図12(b)のシステムでは、
図10(b)のステージST3の代わりにステージST4を用いることができる。ステージST4は、ステージST3にヒータ126を設けた以外は、ステージST3と同様に構成することができる。ヒータ126は、数百個程度設けることができ、ステージST4に同心円状に配置することができる。これらのヒータ126は、個別に温度制御することができる。
【0119】
次に、センシングウェハWS7を用いた時のチャンバ内のプラズマPZの面内発光分布の測定法を説明する。
図12(b)において、センシングウェハWS7がチャンバ内に搬送されると、センシングウェハWS7がステージST4上に配置される。
図12(c)に示すように、ステージST4上には上部電極100が配置されている。
【0120】
そして、プラズマエッチング処理中に、プラズマPZによってプラズマ光L5が放射され、対物レンズ103Aを透過し、反射鏡104で反射される。プラズマ光L5は、プラズマPZの励起状態に応じて放射される元素固有の輝線スペクトルを含む光である。その後、複数のプラズマ光L5は、複数の光ファイバ84に入射し、複数の光ファイバ84にてそれぞれ導波され、反射鏡86の各反射面86Aでそれぞれ反射される。一方、プラズマPZの中央部から放射されたプラズマ光L5は、対物レンズ103Bを透過し、
図7(d)の光ファイバ88にて導波される。
【0121】
さらに、これら複数のプラズマ光L5は、コリメーションレンズ85および透過窓87、68を透過し、ステージST4の裏側から出射する。ステージST4の裏側から出射した複数のプラズマ光L5は、発光分光計125に入射し、プラズマ光L5の面内強度分布が検出される。発光分光計125で検出された面内強度分布は表示部106で表示される。
【0122】
ここで、センシングウェハWS7を用いることにより、プラズマエッチング処理中にプラズマ光L5の面内強度分布を検出することができる。このため、デバイスが形成されるウェハWのプラズマ処理がチャンバ内で行われている時と同等の精度でプラズマ光L5の面内強度分布を算出することができる。
【0123】
プラズマ光L5の面内強度分布を算出した結果、プラズマ光L5の面内強度分布が不均一の場合、この時の条件でのチャンバ内でのウェハWに対する処理を止めることができる。そして、例えば、ヒータ126の温度を制御し、プラズマ光L5の面内強度分布に応じてステージST4の温度分布を変化させることで、プラズマ光L5の面内強度分布の不均一を補正し、加工寸法を均一化することができる。このため、適正化されたプロセス条件でのウェハWの処理が行われることによって、ウェハWに形成されるデバイスの寸法バラツキを低減させることができ、ひいてはウェハWに形成されるデバイスの品質を向上させることができる。
【0124】
なお、プラズマ光L5の面内強度分布を均一化するために、プラズマ光L5の面内強度分布に応じてガスG1の流量分布を変化させるようにしてもよい。
【0125】
(第8実施形態)
図13(a)は、第8実施形態に係るセンシングシステムに適用されるセンシングウェハの概略構成を示す平面図、
図13(b)は、第8実施形態に係るセンシングシステムの概略構成を示す断面図である。
図13(b)において、センシングウェハWS8の表面下には通路81が設けられている。センシングウェハWS8の中央部には、通路82が設けられている。通路81内には、通路81の先端から通路82に至る光ファイバ84が設置されている。通路81の先端は、センシングウェハWS8のウェハ基板内で終端させることができる。通路82内には、反射鏡86、コリメーションレンズ85および透過窓87が配置されている。
【0126】
ここで、
図13(a)に示すように、通路81の先端はセンシングウェハWS8のウェハ基板の複数個所で終端させることができる。複数個所に設けられた通路81にそれぞれ対応して、光ファイバ84がセンシングウェハWS8に設けられている。この時、光ファイバ84は、センシングウェハWS8の中央部から端部に向って放射状に配置することができる。光ファイバ84の先端は、センシングウェハWS8に略等間隔で配置することが好ましい。
【0127】
また、
図13(b)に示すように、ステージST3の下方には、筒状体73が設けられている。筒状体73の側面には透過窓74が配置されている。筒状体73内には、ハーフミラー130、光学フィルタ131、分光器134および光検出器132が配置されている。筒状体73外には、光源129および応力算出部133が配置されている。1個の光源129および1個の光検出器132は、複数のラマン散乱光L7に対して共通に用いることができる。
【0128】
光源129は、光ファイバ84に入射される入射光L6を発生させる。入射光L6は、レーザ光を用いることができる。ハーフミラー130は、入射光L6を反射させ、ラマン散乱光L7を透過させる。光学フィルタ131は、ラマン散乱光L7の周波数成分を透過させ、それ以外の周波数成分を減衰させる。分光器134は、ラマン散乱光L7を分光する。光検出器132は、ラマン散乱光L7を検出する。ここで、光検出器132は、複数のラマン散乱光L7を同時に検出することができる。応力算出部133は、ラマン散乱光L7のラマンシフト量に基づいてセンシングウェハWS8の応力を算出する。
【0129】
次に、センシングウェハWS8を用いた時のチャンバ内のプラズマ処理中の応力測定方法について説明する。
図13(b)において、センシングウェハWS8がチャンバ内に搬送されると、センシングウェハWS8がステージST3上に配置される。
【0130】
そして、プラズマエッチング処理中に、光源129から入射光L6が出射される。そして、入射光L6は、透過窓74を透過し、ハーフミラー130で反射された後、透過窓68、87およびコリメーションレンズ85を透過する。さらに、入射光L6は、反射鏡86で放射状に反射された後、複数の光ファイバ84に入射し、複数の光ファイバ84にて導波されることで、センシングウェハWS8のウェハ基板に入射する。また、入射光L6の一部は、光ファイバ88を介してセンシングウェハWS8のウェハ基板の中央部に入射する。
【0131】
センシングウェハWS8のウェハ基板からは、入射光L6の入射に伴ってラマン散乱光L7が放射され、光ファイバ84に入射する。各ラマン散乱光L7は、光ファイバ84にてそれぞれ導波され、反射鏡86の各反射面86Aでそれぞれ反射される。一方、センシングウェハWS8のウェハ基板の中央部から放射されたラマン散乱光L7は、光ファイバ88にて導波される。
【0132】
さらに、これら複数のラマン散乱光L7は、コリメーションレンズ85にて集光された後、透過窓87、68を透過し、ステージST3の裏側から出射する。ステージST3の裏側から出射した複数のラマン散乱光L7は、ハーフミラー130を透過し、光学フィルタ131にて所望の波長域成分が抽出された後、分光器134にて特定波長成分毎に分光される。
【0133】
特定波長成分毎に分光されたラマン散乱光L7は、光検出器132に入射し、特定波長成分のラマン散乱光L7が検出される。光検出器132による検出結果は応力算出部133に送られる。応力算出部133において、光検出器132から検出結果が送られると、特定波長成分のラマン散乱光L7のラマンシフトに基づいてセンシングウェハWS8の応力分布が算出される。
【0134】
図13(c)は、第9実施形態に係るセンシングシステムで測定される応力とラマンシフトとの関係を示す図である。
図13(c)において、センシングウェハWS8の基板結晶に振動数ν
iの入射光L6が入射すると、その基板結晶の格子振動との相互作用により、振動数ν
i±ν
rのラマン散乱光L7が放射される。ν
rは、格子振動の振動数である。格子振動の振動数ν
rは基板結晶の結合力に依存する。
【0135】
基板結晶に引張応力が作用して基板結晶の格子間隔が広がると、基板結晶の結合力が弱くなり、格子振動の振動数が小さくなる。このため、ラマン散乱光L7に対してピークが低周波側にシフトしたラマン散乱光L7´が放射される。
【0136】
一方、基板結晶に圧縮応力が作用して基板結晶の格子間隔が狭くなると、基板結晶の結合力が強くなり、格子振動の振動数が大きくなる。このため、ラマン散乱光L7に対してピークが高周波側にシフトしたラマン散乱光L7´´が放射される。
【0137】
ここで、センシングウェハWS8を用いることにより、プラズマエッチング処理中にセンシングウェハWS8の応力分布を検出することができる。このため、デバイスが形成されるウェハWのプラズマ処理がチャンバ内で行われている時と同等の精度で応力分布を算出することができる。
【0138】
センシングウェハWS8の応力分布を算出した結果、センシングウェハWS8の応力分布が不均一の場合、この時の条件でのチャンバ内でのウェハWに対する処理を止めることができる。そして、例えば、センシングウェハWS8の応力分布に応じてガスG1の流量分布を変化させることで、センシングウェハWS8の応力分布を均一化することができる。このため、適正化されたプロセス条件でのウェハWの処理が行われることによって、ウェハWに形成されるデバイスの寸法バラツキを低減させることができ、ひいてはウェハWに形成されるデバイスの品質を向上させることができる。
【0139】
(第9実施形態)
図14(a)は、第9実施形態に係るプラズマ処理装置に適用されるセンシングウェハの概略構成を示す平面図、
図14(b)は、
図14(a)のセンシングウェハがプラズマ処理装置に適用された時の温度測定システムの概略構成を示す断面図、
図14(c)は、
図14(b)の光導波部を拡大して示す断面図、
図14(d)は、ウェハの昇降時のピンとウェハの接触状態を示す断面図である。
【0140】
図14(b)において、プラズマ処理装置のチャンバ内にはステージST5が設けられている。ステージST5には、基台112および静電チャック113が設けられている。
【0141】
ステージST5上には、センシングウェハWS9を配置することができる。ステージST5には、貫通孔111が設けられている。貫通孔111は、基台112および静電チャック113を垂直方向に貫通することができる。貫通孔111内には、ピン110が設けられている。ピン110は上下に移動可能である。この時、ピン110が上下に移動することで、センシングウェハWS9の搬送時にセンシングウェハWS9を昇降させることができる。
【0142】
ピン110内には光ファイバ114が挿入されている。ピン110内には、光ファイバ114が挿入される空洞110Aを設けることができる。空洞110Aは、ピン110の末端から先端に渡って設けることができる。光ファイバ114は、ステージST5の下方から出射された入射光LiをセンシングウェハWS9の裏面から入射させたり、センシングウェハWS9の裏面から出射された放射光LeをステージST5の下方に出射させることができる。ピン110の先端には、コリメーションレンズ116が設けられている。ステージST5の下方には、光源29、ハーフミラー30、光学フィルタ31および光検出器32が配置されている。
【0143】
一方、センシングウェハWS9には、励起発光体143が埋め込まれている。励起発光体143は、
図14(a)に示すように、センシングウェハWS9の中心部E0および半径の異なる同心円E1、E2上に1つずつ配置することができる。プラズマはセンシングウェハWS9上で同心円状に密度変化するため、温度分布もセンシングウェハWS9上で同心円状に変化する。このため、センシングウェハWS9の中心部E0および半径の異なる同心円E1、E2上に1つずつ励起発光体143を配置することで、励起発光体143の配置数を低減しつつ、センシングウェハWS9上での温度分布の測定精度を向上させることができる。
【0144】
センシングウェハWS9には、各ピン110の配置位置に対応して通路142が設けられている。通路142は、センシングウェハWS9の裏面側から垂直方向に設けることができる。通路142は、センシングウェハWS9の表面側を貫通しないようにすることができる。通路142の先端には反射鏡146が配置されている。反射鏡146は、通路142の先端を鏡面加工した構成であってもよいし、通路142の先端に反射面を設置した構成であってもよい。反射鏡146は、センシングウェハWS9のウェハ基板と同一材料で構成されていてもよいし、センシングウェハWS9のウェハ基板と異なる材料で構成されていてもよい。
【0145】
センシングウェハWS9の表面下には通路141が水平に設けられている。通路141は、励起発光体143から通路142に向って配置することができる。通路141内には、励起発光体143から通路142に至る光ファイバ144が設置されている。通路142の先端は通路141の末端と結合することができる。通路141の末端には、コリメーションレンズ145が配置されている。コリメーションレンズ145は反射鏡146の光反射方向に配置することができる。
【0146】
ここで、
図14(c)に示すように、通路142の径D2は、ピン110の径D1より小さくすることができる。これにより、
図14(d)に示すように、センシングウェハWS9の搬送時にセンシングウェハWS9を上昇させるために、ピン110を上昇させた場合においても、コリメーションレンズ116の先端部がセンシングウェハWS9に接触しないようにすることができる。このため、センシングウェハWS9の搬送時にコリメーションレンズ116の先端部が損傷や汚染するのを防止することができ、コリメーションレンズ116の集光特性の劣化を防止することができる。
【0147】
次に、センシングウェハWS9を用いた時のチャンバ内のプラズマ処理中の温度測定方法について説明する。
図14(d)において、センシングウェハWS9がチャンバ1内に搬送される場合、ピン110が静電チャック113上に突出される。そして、センシングウェハWS9がピン110上に搬送され、センシングウェハWS9がピン110上に置かれる。センシングウェハWS9がピン110上に置かれた状態でピン110が降下し、センシングウェハWS9が静電チャック113上に置かれる。そして、静電チャック113にセンシングウェハWS9が引き寄せられることでセンシングウェハWS9が静電チャック113上に固定される。
【0148】
プラズマエッチング処理中にセンシングウェハWS9の温度を測定する場合、ピン110の先端はセンシングウェハWS9から離間させることができる。この時、ピン110の先端は、
図14(c)に示すように、ステージST5の貫通孔111内に留め置くことができる。
【0149】
そして、光源29から入射光Liが出射される。入射光Liは、ハーフミラー30で反射された後、光ファイバ114に入射する。入射光Liは、光ファイバ114にて垂直方向に導波された後、コリメーションレンズ116にて集光され、反射鏡146で反射されることで、入射光Liの進行方向が水平方向に変えられる。そして、入射光Liは、コリメーションレンズ145にて集光され、光ファイバ144に入射する。そして、光ファイバ144にて水平方向に導波されることで、励起発光体143に入射する。
【0150】
励起発光体143において、入射光Liの入射に伴って放射光Leが生成され、光ファイバ144に入射する。放射光Leは、光ファイバ144にて水平方向に導波され、コリメーションレンズ145を通過した後、反射鏡146で反射されることで、放射光Leの進行方向が垂直方向に変えられる。さらに、放射光Leは、コリメーションレンズ116を通過した後、光ファイバ114に入射し、光ファイバ114にて垂直方向に導波される。さらに、放射光Leは、ハーフミラー30を透過し、光学フィルタ31にて所望の波長成分が抽出された後、光検出器32に入射し、放射光Leが検出される。放射光Leが検出されると、放射光Leの温度特性に基づいてセンシングウェハWS9の温度が算出される。
【0151】
ここで、センシングウェハWS9の裏面から入射光Liを入射させたり、センシングウェハWS9の裏面から放射光Leを出射させたりするために、ピン110内に光ファイバ114を設けることにより、ピン110を上下させるための貫通孔111を入射光Liおよび放射光Leの通路として用いることができる。このため、入射光Liおよび放射光Leの通路を形成するために、貫通孔111とは別にステージST5の穴開け加工を行う必要がなくなり、ステージST5の穴開け加工にかかる工数を減らすことができる。
【0152】
なお、ステージST5およびピン110は、
図10(b)および
図10(c)のステージST3およびセンシングウェハWS7の代わりに用いてもよい。この時、
図14(b)の光源29、ハーフミラー30、光学フィルタ31および光検出器32の代わりに
図10(b)および
図10(c)のファイバカメラ105を用いることができる。そして、
図10(c)の上部電極100の表面状態の観察時に、センシングウェハWS9がステージST5上にない状態でステージST5上にピン110を突出させ、照明光L1を上部電極100に照射させることができる。これにより、センシングウェハWS7を用いることなく、上部電極100の表面状態を観察することができる。
【0153】
(第10実施形態)
図15(a)は、第10実施形態に係るプラズマ処理装置に適用されるセンシングウェハの概略構成を示す平面図、
図15(b)は、
図15(a)のセンシングウェハがプラズマ処理装置に適用された時の温度測定システムの概略構成を示す断面図、
図15(c)は、
図15(b)の光導波部を拡大して示す断面図である。
【0154】
図15(b)のプラズマ処理装置では、
図14(b)のプラズマ処理装置のピン110の代わりに、ピン110´が設けられている。
図15(b)のプラズマ処理装置では、
図14(a)および
図14(b)のセンシングウェハWS9の代わりに、
図15(a)および
図15(b)のセンシングウェハWS10を用いることができる。
【0155】
ピン110´内には光ファイバ114が挿入されている。ピン110´内には、光ファイバ114が挿入される空洞110A´を設けることができる。空洞110A´は、ピン110の先端を貫通しないようにすることができる。ピン110´内において、空洞110A´の先端には反射鏡146´が設けられている。ピン110´の側面にはコリメーションレンズ116´が設けられている。コリメーションレンズ116´は、反射鏡146´と光ファイバ114の先端との間に配置することができる。
【0156】
センシングウェハWS10には、センシングウェハWS9の通路142および反射鏡146の代わりに通路142´が設けられている。通路142´は、センシングウェハWS10の裏面側から垂直方向に設けることができる。通路142´は、センシングウェハWS10の表面側を貫通しないようにすることができる。通路142´には、センシングウェハWS10の裏面側からピン110´を挿入することができる。
【0157】
次に、センシングウェハWS10を用いた時のチャンバ内のプラズマ処理中の温度測定方法について説明する。
図15(b)において、センシングウェハWS10がチャンバ1内に搬送される場合、ピン110´が静電チャック113上に突出される。そして、センシングウェハWS10がピン110´上に搬送され、センシングウェハWS10がピン110´上に置かれる。この時、ピン110´は、通路142´内に挿入することができる。ここで、ピン110´の側面にコリメーションレンズ116´を設けることにより、センシングウェハWS10の搬送時にピン110´の先端が通路142´を介してセンシングウェハWS10に接触した場合においても、コリメーションレンズ116´が損傷や汚染するのを防止することができる。
【0158】
センシングウェハWS10がピン110´上に置かれると、ピン110´が降下し、センシングウェハWS10が静電チャック113上に置かれる。そして、静電チャック113にセンシングウェハWS10が引き寄せられることでセンシングウェハWS10が静電チャック113上に固定される。
【0159】
プラズマエッチング処理中にセンシングウェハWS10の温度を測定する場合、ピン110´の先端はセンシングウェハWS10から離間させることができる。この時、ピン110´の先端は、
図15(c)に示すように、センシングウェハWS10の通路142´内に留め置くことができる。また、コリメーションレンズ116´、145は対向させることができる。
【0160】
そして、光源29から入射光Liが出射される。入射光Liは、ハーフミラー30で反射された後、光ファイバ114に入射する。入射光Liは、光ファイバ114にて垂直方向に導波された後、反射鏡146´で反射されることで、入射光Liの進行方向が水平方向に変えられ、コリメーションレンズ116´を通過する。そして、入射光Liは、コリメーションレンズ145にて集光され、光ファイバ144に入射する。そして、光ファイバ144にて水平方向に導波されることで、励起発光体143に入射する。
【0161】
励起発光体143において、入射光Liの入射に伴って放射光Leが生成され、光ファイバ144に入射する。放射光Leは、光ファイバ144にて水平方向に導波され、コリメーションレンズ145を通過した後、コリメーションレンズ116´にて集光される。そして、放射光Leは、反射鏡146´で反射されることで、放射光Leの進行方向が垂直方向に変えられる。さらに、放射光Leは、光ファイバ114に入射し、光ファイバ114にて垂直方向に導波された後、ハーフミラー30を透過する。そして、光学フィルタ31にて所望の波長成分が抽出された後、光検出器32に入射し、放射光Leが検出される。放射光Leが検出されると、放射光Leの温度特性に基づいてセンシングウェハWS10の温度が算出される。
【0162】
ここで、センシングウェハWS10の裏面から入射光Liを入射させたり、センシングウェハWS10の裏面から放射光Leを出射させたりするために、ピン110´内に光ファイバ114を設けることにより、ピン110´を上下させるための貫通孔111を入射光Liおよび放射光Leの通路として用いることができる。このため、入射光Liおよび放射光Leの通路を形成するために、貫通孔111とは別にステージST5の穴開け加工を行う必要がなくなり、ステージST5の穴開け加工にかかる工数を減らすことができる。
【0163】
(第11実施形態)
図16(a)は、第11実施形態に係るプラズマ処理装置に適用される静電チャック上のピンの配置例を示す平面図、
図16(b)は、第11実施形態に係るプラズマ処理装置に適用されたセンシングシステムによるフォーカスリングの観察前のピンの位置を示す断面図、
図16(c)は、第11実施形態に係るプラズマ処理装置に適用されたセンシングシステムによるフォーカスリングの観察時のピンの位置を示す断面図である。
【0164】
図16(b)のプラズマ処理装置では、
図15(a)および
図15(b)のプラズマ処理装置のピン110´の代わりに、
図16(a)および
図16(b)のピン162が設けられている。ピン162は、ピン110´と同様に配置することができる。また、
図16(b)のプラズマ処理装置では、
図15(b)の光源29、ハーフミラー30、光学フィルタ31および光検出器32の代わりに、照射光L9の光源を内蔵するファイバカメラ153が設けられている。
【0165】
さらに、
図16(b)のプラズマ処理装置では、静電チャック113上のウェハ載置領域の周囲を取り囲むようにフォーカスリング152が配置されている。ステージST5の周囲には、フォーカスリング152を支持する絶縁リング151が設けられている。
【0166】
ピン162内には光ファイバ161が挿入されている。ピン162内には、光ファイバ161が挿入される空洞162Aを設けることができる。空洞162Aは、ピン162の先端を貫通しないようにすることができる。ピン162内において、空洞162Aの先端には反射鏡163が設けられている。ピン162の側面には集光レンズ164が設けられている。集光レンズ164は、反射鏡163と光ファイバ161の先端との間に配置することができる。
【0167】
次に、ピン162を用いた時のフォーカスリング152の消耗状態の観察方法を説明する。
図16(b)において、ウェハがチャンバ内にない場合、ピン162は下降させた状態で貫通孔111内に留め置くことができる。そして、フォーカスリング152の消耗状態を観察する場合、
図16(c)に示すように、ピン162を上昇させることで、静電チャック113上に突出させる。この時、ファイバカメラ153から照明光L9が出射される。照明光L9は、光ファイバ161に入射し、光ファイバ161にて垂直方向に導波された後、反射鏡163で反射されることで、照明光L9の進行方向が水平方向に変えられる。そして、照明光L9は、集光レンズ164にて集光され、フォーカスリング152の内周面に照射される。
【0168】
フォーカスリング152の内周面に照明光L9が照射されると、フォーカスリング152の内周面から反射光L10が発生し、集光レンズ164を通過した後、反射鏡163で反射されることで、反射光L10の進行方向が垂直方向に変えられる。さらに、反射光L10は、光ファイバ161に入射し、光ファイバ161にて垂直方向に導波された後、ファイバカメラ153に入射し、反射光L10に基づいてフォーカスリング152の内周面の画像が生成される。
【0169】
フォーカスリング152の内周面の画像からフォーカスリング152の消耗状態を判断することができる。フォーカスリング152の消耗が激しいと判断されると、フォーカスリング152を交換することができる。
【0170】
ここで、フォーカスリング152の内周面の観察にピン162を用いることにより、プラズマ処理装置のチャンバを大気開放することなく、フォーカスリング152の消耗状態を判断することができる。
【0171】
また、フォーカスリング152の内周面に照明光L9を照射するために、ピン162内に光ファイバ161を設けることにより、ピン162を上下させるための貫通孔111を照明光L9および反射光L10の通路として用いることができる。このため、照明光L9および反射光L10の通路を形成するために、貫通孔111とは別にステージST5の穴開け加工を行う必要がなくなり、ステージST5の穴開け加工にかかる工数を減らすことができる。
【0172】
図17(a)は、第11実施形態に係るプラズマ処理装置に適用されたセンシングシステムによるフォーカスリングの観察状態を示す断面図、
図17(b1)は、
図17(a)のフォーカスリングの消耗前の状態を示す断面図、
図17(b2)は、
図17(a)のフォーカスリングの消耗前の内周面の状態を示す図、
図17(c1)は、
図17(a)のフォーカスリングの消耗後の状態を示す断面図、
図17(c2)は、
図17(a)のフォーカスリングの消耗後の内周面の状態を示す図である。
【0173】
図17(b1)において、フォーカスリングの消耗前は、フォーカスリング152の内周面は、ほぼ垂直に切り立っている。一方、
図17(c1)に示すように、フォーカスリング152が消耗すると、フォーカスリング152の内周面の傾きが上部の方から大きくなる。
【0174】
ここで、フォーカスリング152の内周面の傾きが大きくなると、反射光L10の光強度が弱くなる。このため、
図17(b2)および
図17(c2)に示すように、フォーカスリング152の内周面の傾きに応じてフォーカスリング152の内周面の観察時の明るさが変化する。
【0175】
この結果、フォーカスリング152の内周面の観察時の明るさを検出することで、フォーカスリング152の高さに応じた消耗度を判断することができる。例えば、フォーカスリング152の高さがh1であるとする。この時、
図17(b2)に示すように、フォーカスリング152の高さh1まで観察時の明るさが所定値以上であるとすると、フォーカスリング152は消耗してないと判断することができる。
【0176】
一方、
図17(c2)に示すように、フォーカスリング152の高さh3まで観察時の明るさが消耗前の明るさと同一であるとすると、フォーカスリング152は高さh3まで消耗してないと判断することができる。さらに、フォーカスリング152の高さh2からh3まで観察時の明るさが消耗前の明るさより小さく、フォーカスリング152の高さh1からh2まで観察時の明るさが高さh2からh3までの明るさよりさらに小さいとする。この時、フォーカスリング152の高さh2からh3まで、およびフォーカスリング152の高さh1からh2までに消耗があり、各々の光強度変化量から消耗度を判断することができる。
【0177】
なお、フォーカスリング152の消耗状態の測定精度を向上させるために、ピン162を静電チャック113上に突出させた状態でピン162をある距離だけ上下方向に移動させる工程と、フォーカスリング152の内周面を観察する工程とを交互に繰り返すようにしてもよい。例えば、集光レンズ164の中心位置が高さh1に一致するようにピン162を突出させた後、フォーカスリング152の内周面を観察することができる。次に、集光レンズ164の中心位置が高さh2に一致するようにピン162を突出させた後、フォーカスリング152の内周面を観察する。次に、集光レンズ164の中心位置が高さh3に一致するようにピン162を突出させた後、フォーカスリング152の内周面を観察する。そして、これらの観察結果からフォーカスリング152の消耗状態を判断するようにしてもよい。
【0178】
図18(a1)は、
図17(a)のフォーカスリング152の消耗前の状態を示す断面図、
図18(a2)は、
図17(a)のフォーカスリング152の消耗前の内周面の観察時の光強度と高さとの関係を示す図、
図18(b1)は、
図17(a)のフォーカスリング152の消耗がある程度進んだ時の状態を示す断面図、
図18(b2)は、
図17(a)のフォーカスリングの消耗がある程度進んだ時の内周面の観察時の光強度と高さとの関係を示す図、
図18(c1)は、
図17(a)のフォーカスリング152の消耗がさらに進んだ時の状態を示す断面図、
図18(c2)は、
図17(a)のフォーカスリング152の消耗がさらに進んだ時の内周面の観察時の光強度と高さとの関係を示す図、
図18(d)は、フォーカスリング152の消耗度に応じた内周面の観察時の光強度と高さとの関係を示す図である。
【0179】
図18(a1)において、フォーカスリング152の消耗前は、フォーカスリング152の内周面は、ほぼ垂直に切り立っている。そして、
図18(b1)および
図18(c1)に示すように、フォーカスリング152の消耗が進むに従って、フォーカスリング152の内周面の傾きが次第に大きくなる。
【0180】
この時、
図18(a2)から
図18(c2)に示すように、フォーカスリング152の内周面を観察することにより、フォーカスリング152の高さに対する光強度のプロファイルP1〜P3を得ることができる。
【0181】
ここで、フォーカスリングの消耗前の高さh1の光強度をL0とすると、
図18(d)に示すように、
図18(b1)の状態では、フォーカスリング152の高さh1からh2までは光強度がL0より小さく、この部分の強度変化からフォーカスリング152の消耗状態を予測できる。
図18(c1)の状態では、フォーカスリング152の高さh1からh3までは光強度がL0より小さく、
図18(b1)の場合と同様に、この部分の強度変化からフォーカスリング152の消耗状態を予測できる。
【0182】
この結果、フォーカスリング152の内周面を観察し、フォーカスリング152の高さに応じた光強度を調べることにより、フォーカスリング152のどの高さまで消耗が進んだかを判断することができる。そして、フォーカスリング152の消耗が進んだ高さが所定値に達したかどうかを判断することでフォーカスリング152の交換時期を判断することができる。
【0183】
(第12実施形態)
図19(a)は、第12実施形態に係るプラズマ処理装置に適用される静電チャック上のピンの配置例を示す平面図、
図19(b)〜
図19(d)は、第12実施形態に係るプラズマ処理装置に適用されたセンシングシステムによるフォーカスリングの観察時の高さの設定方法を示す断面図である。
【0184】
図19(a)において、このプラズマ処理装置では、
図16(a)のピン162の代わりにピン182A〜182Cが設けられている。ここで、ピン182A〜182C内には光ファイバ181A〜181Cがそれぞれ挿入されている。ピン182A〜182C内には、光ファイバ181A〜181Cが挿入される空洞182A´〜182C´をそれぞれ設けることができる。空洞182A´〜182C´は、ピン182A〜182Cの先端をそれぞれ貫通しないようにすることができる。ピン182A〜182C内において、空洞182A´〜182C´の先端には反射鏡183A〜183Cがそれぞれ設けられている。ピン182A〜182Cの側面には集光レンズ184A〜184Cがそれぞれ設けられている。集光レンズ184A〜184Cは、反射鏡183A〜183Cと光ファイバ181A〜181Cの先端との間にそれぞれ配置することができる。
【0185】
ここで、ピン182A〜182Cの先端から反射鏡183A〜183Cまでの高さ方向の距離が互いに異なるように設定することができる。それに伴って、ピン182A〜182Cの先端から集光レンズ184A〜184Cまでの高さ方向の距離を、互いに異なるように設定することができる。
【0186】
この時、ピン182A〜182CをステージST5上に同じ高さまで突出させた時に、フォーカスリング152の高さ方向の観察位置をピン182A〜182Cで変えることができる。例えば、ピン182Aではフォーカスリング152の上部、ピン182Bではフォーカスリング152の中間部、ピン182Cではフォーカスリング152の下部に観察位置を設定することができる。
【0187】
これにより、フォーカスリング152の観察時の解像度を向上させることができ、フォーカスリング152の消耗状態の判定精度を向上させることができる。
【0188】
(第13実施形態)
図20(a)は、第13実施形態に係るプラズマ処理装置に適用されるセンシングウェハの概略構成を示す平面図、
図20(b)は、
図20(a)のセンシングウェハがプラズマ処理装置に適用された時のフォーカスリングとの関係を示す断面図、
図20(c)は、
図20(b)の光導波部を拡大して示す断面図である。
【0189】
図20(b)のプラズマ処理装置では、
図16(b)のピン162の代わりに、
図15(b)のピン110´が設けられている。
図20(b)のプラズマ処理装置では、フォーカスリング152の観察時に、
図15(a)および
図15(b)のセンシングウェハWS10の代わりに、
図20(a)および
図20(b)のセンシングウェハWS11を用いることができる。
【0190】
センシングウェハWS11には、センシングウェハWS10の通路141および光ファイバ144の代わりに、通路141´および光ファイバ144´が設けられている。通路141´は、ピン110´からセンシングウェハWS11の端部に向って水平方向に配置することができる。通路141´は、センシングウェハWS11の端部で開口することができる。通路141´の末端には、コリメーションレンズ145が配置されている。通路141´内には、コリメーションレンズ145からセンシングウェハWS11の端部に至る光ファイバ144´が設置されている。
【0191】
次に、センシングウェハWS11を用いた時のフォーカスリング152の消耗状態の観察方法を説明する。
図20(b)において、センシングウェハWS11がチャンバ1内に搬送される場合、ピン110´が静電チャック113上に突出される。そして、センシングウェハWS11がピン110´上に搬送され、センシングウェハWS11がピン110´上に置かれる。センシングウェハWS11がピン110´上に置かれた状態でピン110´が降下し、センシングウェハWS11が静電チャック113上に置かれる。そして、静電チャック113にセンシングウェハWS11が引き寄せられることでセンシングウェハWS11が静電チャック113上に固定される。
【0192】
そして、フォーカスリング152の消耗状態を観察する場合、ピン110´を上昇させることで、静電チャック113上に突出させる。この時、ピン110´の先端は、
図20(c)に示すように、センシングウェハWS11の通路142´内に留め置くことができる。また、コリメーションレンズ116´、145は対向させることができる。
【0193】
そして、ファイバカメラ153から照明光L9が出射される。照明光L9は、光ファイバ114に入射し、光ファイバ114にて垂直方向に導波された後、反射鏡146´で反射されることで、照明光L9の進行方向が水平方向に変えられる。そして、照明光L9は、コリメーションレンズ116´、145にて集光され、光ファイバ144´にて水平方向に導波されることで、フォーカスリング152の内周面に照射される。
【0194】
フォーカスリング152の内周面に照明光L9が照射されると、フォーカスリング152の内周面から反射光L10が発生する。反射光L10は、光ファイバ144´にて水平方向に導波された後、コリメーションレンズ116´、145にて集光され、反射鏡146´で反射されることで、反射光L10の進行方向が垂直方向に変えられる。さらに、反射光L10は、光ファイバ114に入射し、光ファイバ114にて垂直方向に導波された後、ファイバカメラ153に入射し、反射光L10に基づいてフォーカスリング152の内周面の画像が生成される。
【0195】
フォーカスリング152の内周面の画像からフォーカスリング152の消耗状態を判断することができる。フォーカスリング152の消耗が激しいと判断されると、フォーカスリング152を交換することができる。
【0196】
ここで、照明光L9および反射光L10を水平方向に進行させるためにセンシングウェハWS11を用いることにより、外部からの光が照明光L9および反射光L10に混入するのを防止することができる。このため、
図16(c)のピン162から出射された照明光L9をフォーカスリング152の内周面に直接照射する方法に比べて、フォーカスリング152の内周面の画像を鮮明化することができる。
【0197】
(第14実施形態)
図21(a)は、第14実施形態に係るプラズマ処理装置に適用されるセンシングウェハがプラズマ処理装置に適用された時のフォーカスリングとの関係を示す断面図、
図21(b)は、
図21(a)の光導波部を拡大して示す断面図である。
【0198】
図21(a)のプラズマ処理装置では、
図20(b)のピン110´の代わりに、ピン110´´が設けられている。
図21(a)のプラズマ処理装置では、フォーカスリング152の観察時に、
図20(b)のセンシングウェハWS11の代わりに、
図21(a)のセンシングウェハWS12を用いることができる。
【0199】
ピン110´´では、ピン110´に挿入されている光ファイバ114が除去されている。センシングウェハWS12では、センシングウェハWS11のコリメーションレンズ145が除去されている。通路141´内には、通路142´からセンシングウェハWS12の端部に至る光ファイバ144´´が設置されている。
【0200】
次に、センシングウェハWS12を用いた時のフォーカスリング152の消耗状態の観察方法を説明する。
図21(b)において、センシングウェハWS12がチャンバ1内に搬送される場合、ピン110´´が静電チャック113上に突出される。そして、センシングウェハWS12がピン110´´上に搬送され、センシングウェハWS12がピン110´´上に置かれる。センシングウェハWS12がピン110´´上に置かれた状態でピン110´´が降下し、センシングウェハWS12が静電チャック113上に置かれる。そして、静電チャック113にセンシングウェハWS12が引き寄せられることでセンシングウェハWS12が静電チャック113上に固定される。
【0201】
そして、フォーカスリング152の消耗状態を観察する場合、ピン110´´を上昇させることで、静電チャック113上に突出させる。この時、ピン110´´の先端は、
図21(b)に示すように、センシングウェハWS12の通路142´内に留め置くことができる。また、コリメーションレンズ116´は光ファイバ144´´の端部に対向させることができる。
【0202】
そして、ファイバカメラ153から照明光L9が出射される。照明光L9は、空洞110A´を介して垂直方向に進行することでセンシングウェハWS12の裏面に入射する。そして、反射鏡146´で反射されることで、照明光L9の進行方向が水平方向に変えられる。さらに、照明光L9は、コリメーションレンズ116´にて集光され、光ファイバ144´にて水平方向に導波されることで、フォーカスリング152の内周面に照射される。
【0203】
フォーカスリング152の内周面に照明光L9が照射されると、フォーカスリング152の内周面から反射光L10が発生する。反射光L10は、光ファイバ144´にて水平方向に導波された後、コリメーションレンズ116´にて平行光に変換され、反射鏡146´で反射されることで、反射光L10の進行方向が垂直方向に変えられる。そして、反射光L10は、空洞110A´を介して垂直方向に進行することで、ファイバカメラ153に入射し、反射光L10に基づいてフォーカスリング152の内周面の画像が生成される。
【0204】
フォーカスリング152の内周面の画像からフォーカスリング152の消耗状態を判断することができる。フォーカスリング152の消耗が激しいと判断されると、フォーカスリング152を交換することができる。
【0205】
ここで、照明光L9および反射光L10を水平方向に進行させるためにセンシングウェハWS12を用いることにより、外部からの光が照明光L9および反射光L10に混入するのを防止することができる。このため、
図16(c)のピン162から出射された照明光L9をフォーカスリング152の内周面に直接照射する方法に比べて、フォーカスリング152の内周面の画像を鮮明化することができる。
【0206】
なお、上記した実施形態では、ファイバカメラから出射された照明光をセンシングウェハの裏面に入射させるために、ピン内の空洞を用いる方法について説明したが、ステージの貫通孔外にピンを退避させるようにしてもよい。この時、たとえば、ステージの貫通孔中に挿入された光ファイバを用いることによって、ファイバカメラから出射された照明光を貫通孔を介して直接にセンシングウェハの裏面に入射させることができる。
【0207】
また、上述した実施形態では、センシングウェハの裏面に光を入射させるために、ウェハを上下させるピンまたはそのピンが挿入される貫通孔を用いる方法について説明したが、ウェハを上下させるピンが挿入される貫通孔以外の貫通孔に光ファイバを通すようにしてもよい。例えば、伝熱剤をウェハ裏面に供給するために静電チャックに設けられる貫通孔に光ファイバを挿入し、ファイバカメラとフォーカスリングとの間で照明光/反射光を授受させるようにしてもよい。
【0208】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。