特許第6808616号(P6808616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808616
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】油圧ポンプ用のコントローラ
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/06 20200101AFI20201221BHJP
   F04B 1/053 20200101ALI20201221BHJP
【FI】
   F04B1/06
   F04B1/053
【請求項の数】13
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-519296(P2017-519296)
(86)(22)【出願日】2015年9月23日
(65)【公表番号】特表2017-530301(P2017-530301A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】EP2015071824
(87)【国際公開番号】WO2016058797
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2018年8月27日
(31)【優先権主張番号】14188683.8
(32)【優先日】2014年10月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513033696
【氏名又は名称】ダンフォス パワー ソリューションズ ゲーエムベーハー ウント コンパニ オーハーゲー
【氏名又は名称原語表記】Danfoss Power Solutions GmbH&Co.OHG
(73)【特許権者】
【識別番号】510277947
【氏名又は名称】アルテミス・インテリジェント・パワー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ドーレ,アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】シュタイン,ウーヴェ・ベルンハルト・パスカル
(72)【発明者】
【氏名】クトラー,オンノ
【審査官】 井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−515622(JP,A)
【文献】 特表2014−527134(JP,A)
【文献】 実開平04−127872(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/053
F04B 1/06
F04B 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁(40)の作動により、ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループ(32及び30、34)による流体の流量を制御するように、前記ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループ(32及び30、34)と関連付けられた前記弁(40)を作動させるように設計及び構成される流体作業機械(6)用のコントローラ(70)であって、前記作動は、前記ピストンシリンダ組立体の少なくともいくつかについてサイクルごとに制御されることができる、コントローラ(70)において、前記ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループ(32及び30、34)が互いに独立して所望の流体流量及び/又は所望のモータリングを充足するように、前記ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループ(32及び30、34)の前記弁(40)の前記作動が実行されるように設計及び構成され、さらに、
少なくとも1つのピストンシリンダ組立体のグループ(32又は30、34)がポンピングモードで作動している間に、別のピストンシリンダ組立体のグループ(30、34又は32)が圧力エネルギーを機械的エネルギーに変換するモータリングモードで作動するように、前記弁(40)が作動されうることを特徴とする、コントローラ(70)。
【請求項2】
少なくともピストンシリンダ組立体の第3グループ(36)が、前記ピストンシリンダ組立体の第1グループ及び/又は第2グループ(32及び/又は30、34)とは独立して所望の流体流量及び/又は所望のモータリングを充足するように、少なくとも前記第3グループ(36)の弁(40)を作動させるように設計及び構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコントローラ(70)。
【請求項3】
前記ピストンシリンダ組立体のグループ(32;30、34;36)の少なくとも1つの前記弁(40)の前記作動は、少なくとも開流体回路及び/又は閉流体回路を動作させることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコントローラ(70)。
【請求項4】
前記ピストンシリンダ組立体のグループ(32;30、34;36)の少なくとも1つの前記弁(40)の前記作動は、少なくともピストンシリンダ組立体の異なるグループの流体の流量を増強するように適合されうることを特徴とし、少なくとも2つのピストンシリンダ組立体のグループ(30、34)の前記弁(40)の前記作動は、単一グループの作動パターンとして取り扱われるように実行されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコントローラ(70)。
【請求項5】
少なくとも1つのピストンシリンダ組立体のグループ(32;30、34;36)に関連付けられる流体回路を接続及び接続解除する少なくとも1つのスイッチング弁を作動させるように設計及び構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコントローラ(70)。
【請求項6】
ハウジング(20)と、少なくとも前記ハウジング(20)内のピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループ(32及び30、34)であって、前記ピストンシリンダ組立体のグループ(32及び30、34)の少なくとも1つは、少なくとも1つの弁(40)を含む、ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループ(32及び30、34)と、前記弁(40)を作動させて、それにより少なくとも前記ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループ(32及び30、34)による流体の流量を制御するコントローラ(70)とを含む、流体作業機械(6)において、前記コントローラ(70)は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコントローラである、流体作業機械(6)。
【請求項7】
前記ハウジング(20)は、少なくとも前記ピストンシリンダ組立体の異なるグループ(32;30、34)について異なる流体導入口(100a、100b、100c、100d)及び/又は流体排出口(102a、102b、102c、102d)を含むことを特徴とし、且つ/又は前記ハウジング(20)は、一体的なハウジングであることを特徴とする、請求項6に記載の流体作業機械(6)。
【請求項8】
前記ハウジング(20)内で延在し、且つ少なくとも1つのカム(62、64、66)を有するクランクシャフト(4)を含み、前記ピストンシリンダ組立体は、循環的に変化する容積のものであり、且つ前記クランクシャフト(4)と駆動関係にある作業チャンバを含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の流体作業機械(6)。
【請求項9】
前記クランクシャフト(4)は、該クランクシャフト(4)の軸方向にオフセットされた少なくとも2つのカム(62、64、66)を含み、前記ピストンシリンダ組立体のグループ(32;30、34)の少なくとも1つと関連付けられたピストンシリンダ組立体は、前記クランクシャフト(4)の異なるカム(62、64、66)と駆動関係にあることを特徴とする、請求項8に記載の流体作業機械(6)。
【請求項10】
前記ピストンシリンダ組立体のグループ(32;30、34)の少なくとも2つの異なるグループと関連付けられた前記ピストンシリンダ組立体は、前記クランクシャフト(4)に沿って円周方向に交互に配列されるように、前記クランクシャフト(4)の同一のカム(62、64、66)と駆動関係にあることを特徴とする、請求項8〜9のいずれか一項に記載の流体作業機械(6)。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか1項に記載の流体作業機械(6)を含む油圧回路構成(1)であって、前記流体作業機械(6)は、油圧負荷(8、10)に対してサービスする油圧流体回路用の少なくとも第1及び第2流体接続(100a、100b、102a、102b)を含み、前記流体作業機械(6)の前記第1流体接続(100a、102a)は、第1油圧流体回路に接続されるように設計され、且つ前記第2流体接続(100b、102b)は、第2油圧流体回路に接続されるように設計されている、油圧回路構成(1)。
【請求項12】
前記流体作業機械(6)の前記第1及び第2流体接続(100a、100b、102a、102b)の少なくとも1つは、第1及び第2作動流体排出口接続(102a、102b)及び第1及び第2作動流体導入口接続(100a、100b)を含み、前記第1作動流体導入口接続(100a)は、第1作動流体供給源(10)に流体接続されるように設計され、且つ前記第2作動流体導入口接続(100b)は、第2作動流体供給源(130)に流体接続されるように設計されている、請求項11に記載の油圧回路構成(1)。
【請求項13】
前記流体作業機械(6)は、少なくともピストンシリンダ組立体の第1、第2及び第グループ(32;30、34;36)を含み、前記ピストンシリンダ組立体の第1グループ(32)は、第1流体接続と関連付けられ、前記ピストンシリンダ組立体の第2グループ(30、34)は、第2流体流接続と関連付けられ、前記ピストンシリンダ組立体の第3グループ(36)は、スイッチング回路(118)を介して前記第1及び第2流体接続に選択的に流体接続されている、請求項11又は12に記載の油圧回路構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体作業機械用のコントローラ、コントローラを含む流体作業機械、及び流体作業機械を含む油圧回路構成に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ピストンポンプは、通常、回転軸を中心として回転可能な中央クランクシャフトと、複数のピストンシリンダ組立体とを含む。多くの場合、油圧ポンプは、油圧ラジアルピストンポンプとして設計されており、この場合、複数のピストンシリンダ組立体がクランクシャフトを中心に配列され、且つそれから半径方向に外向きに延在している。このような油圧ラジアルピストンポンプのピストンシリンダ組立体は、通常、ピストンシリンダ組立体の複数の軸方向にオフセットされたバンクとして構成されており、それぞれのバンクは、回転軸を中心として配列され、且つクランクシャフトの回転軸に対して垂直に延在する個々の平面上に位置した複数の稠密なピストンシリンダ組立体を含む。クランクシャフトは、少なくとも1バンク当たり1つのカムを含み、且つそれぞれの個々のバンクのピストンは、個々のピストンフットを介して個々の前記少なくとも1つのカムとの駆動関係において構成されている。
【0003】
油圧ピストンポンプは、流体が油圧タンクからポンプに入力され、且つポンプから油圧タンクに出力される開ループ油圧回路において、又は流体がポンプと油圧負荷との間で循環している閉ループ油圧回路において接続することができる。これを目的として、個々のピストンチャンバの入力及び出力オリフィスは、流体マニホールドを介して互いに接続されている。異なる油圧回路内の複数の油圧負荷に動力を供給するために高圧流体が使用される用途では、通常、複数(少なくとも、1つの油圧回路当たり1つ)の油圧ポンプが必要とされる。例えば、油圧によって動力供給される作業及び推進機能を有するフォークリフトトラックで通常利用されている油圧システムでは、作業機能(例えば、油圧アクチュエータ)は、通常、大きい作動流体の流量を必要とし、且つ従って開ループ油圧回路設計により適している一方で、推進機能は、閉ループ油圧回路設計により適している(相対的に小さい流量のみが必要とされ、且つ開ループ設計は、タンク内の発泡を結果的にもたらす可能性があるからである)。従って、作業機能と推進機能との両方を最適化するために、第1の油圧ポンプが開ループ油圧回路内で作業機能に動力供給し、且つ第2の油圧ポンプが閉ループ油圧回路内で推進機能に動力供給する。
【0004】
第1及び第2ポンプのそれぞれは、通常、その独自のクランクシャフト、クランクケース、及びポンプハウジングを有することになるが、通常、単一のトルク供給源(例えば、内燃機関又は電気モーター)が第1及び第2ポンプの両方にトルクを提供しており、且つ通常はトルク供給源からのトルクをポンプのクランクシャフト間で分割するためにギアボックスが必要とされる。従って、複数の油圧ポンプを提供することにより、大きい重量が車両に追加され、その結果、その燃料(又は電気)効率が低減される。また、複数のポンプが空間も占有する。このような用途では、トラックの燃料(又は電気)効率の向上、及び/又はフォークリフトトラックのサイズの低減、及び/又はトラック上の空間の解放を実現できるように、このような油圧ポンプの重量及びサイズを低減することが有益であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的の1つは、特に、油圧パワーをフォークリフトトラックなどの車両上の2つ以上の油圧負荷に提供する際に使用される、低減された重量及びサイズを有する油圧ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、能動的に制御可能な弁の作動により、ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループによる流体の正味変位を能動的に制御するように、ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループと関連付けられた前記能動的に制御可能な弁を作動させるように設計及び構成される流体作業機械用のコントローラを提供し、この場合、作動は、好ましくは、ピストンシリンダ組立体の少なくともいくつかについてサイクルごとに制御されることができ、コントローラは、ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループが互いに独立して流体フロー需要及び/又はモータリング需要を充足するように、ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループの能動的に制御可能な弁の作動が実行されるように設計及び構成されている。換言すれば、ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループによる作動流体の正味変位は、互いに独立して制御されうる。
【0007】
既に上述したように、油圧システムの場合、通常、2つ(又は更により多くの)流体フロー回路及び消費装置が(個々の回路の油圧ポンピングモードの場合に)油圧流体によってサービスされなければならず、又は(個々の回路のポンピングモードの場合に)別のものとは多少「異なる方式」で油圧流体を供給しているのがごく一般的である。この「異なる方式」は、通常、関与する圧力レベルと関係付けられる。多くの場合、現時点の要件に応じて、異なる油圧消費装置は、通常、異なる圧力レベルを必要とし、且つ/又は異なる圧力レベルを供給している(例えば、回生制動システムが存在しており、且つこの回生制動システムが回生制動モードで動作している場合など)。この異なる圧力レベルは、通常、個々の流体回路にも伝達される。このような異なる圧力レベルは、具体的には、異なるタイプの流体回路が関係している場合に発生しうるが(顕著な例としては、開流体フロー回路対閉流体フロー回路)、これらに限定されない。場合により、一例として閉流体フロー回路のみが関係している場合、異なる消費装置が異なる圧力レベルを必要とする場合もありうる(これは、開流体フロー回路にも適用される)。これまでは従来技術に従い、通常、異なる目的のために異なるポンプが使用される(特に、開流体フロー回路と閉流体フロー回路とを分割する場合)。但し、これは、通常、相対的に格段に複雑な全体的装置をもたらすことになり、なぜなら、適切な多数のコンポーネントを提供しなければならなかったからである。この結果、更なる費用及び更なる容積がもたらされた。但し、これには、更なる不利な面が同様に関係しており、即ち、異なる流体フロー回路間のある種の相互依存性を考慮する能力が明らかに失われることになった。本明細書では、ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループが互いに独立して流体フロー需要及び/又はモータリング需要を充足するものと示唆されているが、これは、必ずしも流体フロー需要/モータリング需要(「第1考慮事項」)のみが考慮されることを(これは可能であるものの)意味するものではない。その代わりに、更なる考慮事項を想定しうる可能性も存在する。例えば、異なる流体フロー回路用の作動パターンの生成では、(駆動モーターが過負荷印加状態となりえないように)、例えば、駆動ロッドの機械的な振動等を結果的にもたらす組み合わせられた機械的パワー需要を(このような機械的な振動を低減するために)考慮することができる。後者の考慮事項は、流体フロー需要/モータリング需要という「第1考慮事項」と弁別するために、以下では「第2考慮事項」として対処する。この結果、改善された全体的動作を実現することができるが、「第1考慮事項」は、あたかも(基本的に)2つ(又は更により多くの)完全に分離されたポンプ/油圧モーターが存在するかのように管理することができる。「第2考慮事項」の考慮は、場合により「第2考慮事項」との関係における動作の(大幅な)改善が実現されうる(その結果、流体作業機械の改善された「全体的動作」がもたらされる)場合、流体フロー出力動作/機械的出力動作のなんらかの(わずかな)劣化(即ち、「第1考慮事項」)を許容しうる可能性も含むことができる。コントローラは、(2つ以上の分離された流体導入口及び/又は流体排出口を有する)(特別に適合された)単一流体作業機械に接続されることも可能であり、又は異なる流体作業機械に接続される(即ち、複数のコントローラを潜在的に置換する)ことも可能であることに留意されたい。本明細書で示唆されているコントローラは、通常、全体的に「以前のコントローラ」を置換する。但し、本明細書で示唆されているコントローラは、「以前のコントローラ」を部分的にのみ置換することもできる(例えば、最終的に必要とされる作動流に対する増幅が個々のポンプと関連して実行されている状態で、駆動パルスのみが生成される)。流体フロー需要及び/又はモータリング需要の制御は、通常、前記能動的に制御可能な弁の開放及び/又は閉鎖のタイミングを変化させることにより変更される。タイミングは、具体的には、個々のピストンが(ピストン/シリンダタイプの流体作業機械の場合に)個々のポンピングシリンダ内でその行程に沿って運動した距離の百分率に関係している。これは、基本的に、フルポンピング行程が実行された場合(即ち、ポンプが100%で稼働している場合)の油圧流体のポンピング可能な容積の百分率に変換される。場合により、作動した弁による作動遅延及び/又は油圧流体による圧縮効果に起因し、この規則に対するいくつかの変更が発生する。流体作業機械がモータリングモードで動作している場合にも、類似の説明を実施可能である。従って、この原理は、従来技術では所謂「デジタル変位(登録商標)ポンプ」又は「合成整流型油圧ポンプ」と呼ばれている。通常、個々の能動的に制御可能な弁を制御するために電気が使用される(但し、1つ又は複数のなんらかの異なるエネルギー形態も同様に想定されうるであろう)。但し、本発明によるコントローラは、必ずしもデジタル変位(登録商標)ポンプに限定されない。但し、デジタル変位(登録商標)ポンプ設計は、特に好ましいものであり、なぜなら、その場合、コントローラがサイクルごとに個々のピストンシリンダ組立体の流体フロー動作を制御しうるからであり、これは非常に有利であることを述べておく必要がある。具体的には、任意の2つの弁間で、1つのポンピングサイクルから他のポンピングサイクルへ流体出力動作を完全に変化させることができる。この結果、非常に高速の適合可能な流体フロー出力動作及び/又はモータリング動作が得られる。コントローラによって作動している個々のグループは、そのいずれもが「固定型」ポンピングピストンシリンダ組立体及び/又はモータリングピストンシリンダ組立体であってもよく、且つ/又は − 特に好ましくは − (これらのモード間でスイッチングされうるように)「スイッチング可能な組み合わせられたポンピング及びモータリングピストンシリンダ組立体」であってもよい。原則的に、(このような2つ以上のグループの場合に)ピストンシリンダ組立体のグループの1つ、複数、又はすべてが単一のピストンシリンダ組立体のみを含むことができる。但し、グループの少なくとも1つ、好ましくは複数のグループ、更に好ましくは(基本的に)すべてのグループが複数のピストンシリンダ組立体を含むことが好ましい。この結果、相対的に大きい流体フローを提供及び/又は消費することができる。更に、相対的に少ない流体フロースパイクが結果的にもたらされ、その結果、個々のポンプ/モーターの「相対的に滑らかな全体的動作」が得られるように、なんらかの「平均化」を実現することもできる。同様に、原則的には、コントローラに接続された1つ又は複数の流体作業機械の基本的に任意の設計を使用することができる。但し、前記グループの少なくとも1つの少なくとも1つのピストンシリンダ組立体、好ましくは複数のピストンシリンダ組立体、又は(基本的に)すべてのピストンシリンダ組立体が、能動的に制御可能な導入口弁及び/又は能動的に制御可能な排出口弁を含むことが好ましい。具体的には、この説明は、示唆されているコントローラに接続されたグループの少なくとも1つについてのみならず、好ましくはグループの複数について、更に好ましくはグループの少なくとも1つ、複数、又は(基本的に)すべてのグループの(基本的に)すべてについて実施される。従来技術において既知のデジタル変位(登録商標)ポンプで知られているように、能動的に制御可能な導入口弁は、油圧ポンプを実現しなければならない場合にのみ必要とされる(且つ十分である)。従って、モータリング動作又は組み合わせられたポンピング及びモータリング動作を実現しなければならない場合、通常、能動的に制御可能な導入口弁と能動的に制御可能な排出口弁との両方を提供しなければならない。受動型の弁は、当然のことながら、その実現が相対的に廉価であり(且つ通常は相対的に小さい空間を使用しており)、従って、ピストンシリンダ組立体の個々のグループをポンプとしてのみ動作させる必要がある場合、往々にして、能動的に制御可能な弁の低減が好ましいことに留意されたい。説明が完全なものとなるように、当然のことながら、単一のピストンシリンダ組立体には、複数の(能動型及び/又は受動型の両方の)導入口及び/又は排出口弁を提供しうることを述べておく必要がある。通常、費用を理由として、それぞれのピストンシリンダ組立体ごとに単一(導入口/排出口)の能動的に制御可能な弁のみが提供される。更に、有利には、流体作業機械のピストンシリンダ組立体のいくつか(少なくとも1つを含む)のみをサイクルごとに制御しうるが、好ましくは複数のピストンシリンダ組立体、更に好ましくは基本的にすべてのピストンシリンダ組立体、特にすべてのピストンシリンダ組立体をサイクルごとに制御することが可能であることも述べておく必要がある。
【0008】
本発明に関連して、適宜、ポンピングモード(若しくはモータリングモード又はそれに類似したもの)のみに言及されている場合にも、流体作業機械の油圧ポンピングモード及び/又は油圧モータリングモード(即ち、その組合せを含む)が参照されている。同様に、適宜、油圧ポンプ又は油圧モーターのみが言及されている場合にも、「一般的な」流体作業機械(即ち、油圧ポンプ、油圧モーター、及び/又はそれらの組合せ)が言及されている。
【0009】
好適な一実施形態によれば、コントローラは、少なくともピストンシリンダ組立体の第3グループが、ピストンシリンダ組立体の第1グループ及び/又は第2グループとは独立して流体フロー需要及び/又はモータリング需要を充足するように、前記少なくとも第3グループの能動的に制御可能な弁を作動させるように設計及び構成されている。この結果、(少なくとも)第3圧力レベル及び/又は第3「油圧特性」を同様に提供することができる。フォークリフトトラックの例によれば、一般に、推進油圧回路(閉流体フロー回路)に対して、及び昇降可能なフォークを上昇又は降下させるための(開流体フロー回路)相対的に大きい又は小さい連続的なニーズが存在する。異なる特徴は、通常、これらの特徴が有利な方式によって第3グループによってサービスされうるように「時折」のみ必要とされる。第3グループのピストンシリンダ組立体の作動は、第1及び/又は第2グループとは(具体的には、「第1考慮事項」との関係において)独立したものであってもよい。但し、第3グループが第1及び/又は第2グループに(少なくともしばしば)結合され、これにより、個々のグループの(「増強モード」とも呼称されうる)ブーストモードを可能にしうることも可能である。これについては後述される。すべてのグループ(若しくは3つのグループの2つ又はそれに類似したもの)が、単一の流体作業機械ハウジング内に提供されてもよいであろう。但し、2つ以上の異なる流体作業機械ハウジングにまたがる「拡散」も同様に可能である。
【0010】
コントローラに関し、ピストンシリンダ組立体のグループの少なくとも1つの能動的に制御可能な弁の作動サイクルは、少なくとも開流体フロー回路及び/又は閉流体フロー回路の要件を充足するように実行されることを更に示唆しておく。既に上述したように、これらの流体フロー回路は、通常、非常に異なる動作を示す。具体的には、閉流体フロー回路は、多くの場合、相対的に小さい圧力と共に大きい流体流量を示す(代表的な用途の分野は、推進を目的としたものである)。但し、開流体フロー回路は、通常、(少なくともしばしば)上昇した大きい流体フロー圧力で相対的に小さい流体流量を示す。開流体フロー回路用の代表的な用途の分野は、フォークリフトトラックのフォークを上昇(及び降下)させる油圧ピストンである。異なるグループを流体フロー回路の異なる「タイプ」(開/閉)と関連付けることにより、相対的に容易であり、費用効率に優れ、且つ容積節約型の構成と関連して高い燃料効率を有する単純な設計を提供しうる。
【0011】
具体的には、ピストンシリンダ組立体のグループの少なくとも1つの能動的に制御可能な弁の作動は、少なくともピストンシリンダ組立体の異なるグループの流体の正味変位を増強させるために適合されうるように、具体的には、少なくとも2つのピストンシリンダ組立体のグループの能動的に制御可能な弁の作動は、単一グループの作動パターンとして取り扱われるように実行されるようにコントローラが設計されることを示唆しておく。経験は、しばしば、特定の消費装置について油圧流体の需要の増大が発生することを示している。この高需要は、通常、時折のみ発生している。更に、複数の油圧消費装置を含む装置は、多くの場合、通常、増大した流体フロー需要が一度に単一の(又は非常に限られた数の)油圧消費装置についてのみ発生するように動作される。従って、異なるタイプの油圧回路について、なんらかの種類の「基本的供給」を提供し、且つ「これに加えて」、このような高需要のインターバルのために更なる流体出力を提供するようにスイッチング可能な「ブースティングサービス」(「増強サービス」)を提供することが非常に有利である。これらの高需要のインターバルは、通常、異なる時点で異なる消費装置について発生することから、単一の(又は限られた数の)増強グループが、動作におけるなんらの大きい欠点を伴うことなしに、(増強対象の)油圧回路の(基本的に)すべてに対してサービスしうることが可能である。フォークリフトトラックの例を再度参照すれば、時折のみフォークを非常に大きい高さまで上昇させなければならない状況が存在しうるであろう。但し、その場合、これは、細長いレバーに起因し、通常、フォークリフトトラックが走行している間には決して実行されない。従って(推進油圧回路はわずかな油圧流体のみを消費することから)、「増強グループ」を使用することにより、フォークの上昇を加速させることができる。逆に、フォークリフトトラックを高速で走行させなければならない状況も存在する。但し、通常、高速駆動のインターバルにおいて、フォークの相対的に高速の上昇又は降下は実行されない。従って、「増強グループ」は、推進油圧回路を増強するように機能することができる。付与されている両方の例では、ユーザーは、個々の他の油圧回路の流体供給が制限されていることをほとんど決して認識せず、なぜなら、ユーザーは、通常、決して両方を同時に要求しないからである。両方の需要が同時に発生するという稀なケースでは、不都合な影響を認識する場合があるが、通常、これは、相対的に高い燃料効率及びポンプに必要とされる相対的に小さい容積により補って余りある。「増強グループ」(通常は第3、第4、第5、第6、第7、第8 − 存在する場合 − などのグループ)は、原則的には、現時点で増強されているグループと異なる方式で作動させることが可能であるが、通常、あたかも単一のグループが存在するかのように、2つの(又はそれを上回る数の)「結合された」グループの個々のピストンシリンダ組立体が作動するように、2つのグループが「論理的に一緒にスイッチングされる」ことが好ましい。デジタル変位(登録商標)ポンプのユニークな特性に起因し、第1グループの増強から第2グループの増強へのスイッチングも、通常、サイクルごとに実行することが可能であり、且つこの逆も又真であることに留意されたい。これには、開流体フロー回路動作から閉流体フロー回路動作への「論理的スイッチング」が含まれる。
【0012】
更に、少なくとも随時、少なくとも1つのピストンシリンダ組立体のグループがポンピングモードで作動している間に、第2グループがモータリングモードで作動するように、コントローラが能動的に制御可能な弁を作動させることができるようにコントローラが設計されることを示唆しておく。この結果、好ましくは、回収されたエネルギー(の少なくとも一部分)を保存する必要性を伴うことなしに、異なる目的のために、エネルギーをリサイクル及び再使用することができる。既に使用したフォークリフトトラックの例を再度参照すれば、推進油圧サイクルからの制動エネルギーを使用することにより、なんらかの「有用な」作業(例えば、その上部になんらかのものが配置されうるフォークの上昇)を実行することができる。当然のことながら、同様に、第3グループも1つの又は別のグループにスイッチングすることができる(これにより、ポンピングモードに対する更なる「ブースト」が付与され、又は(例えば、急制動時又は急な下り坂を運転して下る際に発生する)なんらかの「過剰」な機械的作業を回収する能力が得られる)。当然のことながら、同様に、モータリングモード(即ち、油圧エネルギー − 通常は圧力の形態で存在する − が機械的エネルギーに変換されるもの)では、特定の時間スパンにわたって保存されうるなんらかの機械的エネルギーを回収することが有用でありうることにも留意されたい。この保存は、(例えば、電気コンデンサ、アキュムレータ、若しくは機械的ストレージユニット、又はそれに類似したものを使用することにより)、モータリングモードで駆動されている流体作業機械の「入力側」(例えば、油圧流体アキュムレータ内の過剰な油圧流体のバッファ処理)及び/又は「出力側」で実行することができる。この結果、特にエネルギー効率に優れた全体的装置を実現することができる。
【0013】
別の好適な実施形態によれば、コントローラは、異なる流体フロー回路を、特に、少なくとも1つのピストンシリンダ組立体のグループに関連付けられる流体フロー回路を接続及び接続解除する少なくとも1つの制御可能なスイッチング弁を作動させるように設計及び構成されている。このようなスイッチング可能な弁を使用することにより、流体作業機械のピストンシリンダ構成の異なるグループと異なる流体フロー回路及び/又は油圧消費装置との間の(変更可能な)関連付けを確立することができる。具体的には、3つ以上のグループが使用される際に、(一時的に)第3グループを第1又は第2グループに割り当てる(且つ − 場合により − 多少例外的な状況では3つ以上のグループを1つに接続する)ことができる。場合により、1つのグループ及び/又は流体フロー回路からの出力を1つの又は別の油圧消費装置に対してスイッチングし、且つ/又は並列状態の消費装置をスイッチングし、且つ/又はいくつかの油圧消費装置を接続解除し、且つ/又はそれらに類似した内容を実行することもできる。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、流体作業機械が示唆されており、流体作業機械は、ハウジングと、少なくとも前記ハウジング内のピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループであって、ピストンシリンダ組立体の前記グループの少なくとも1つは、少なくとも1つの能動的に制御可能な弁を含む、ピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループと、前記能動的に制御可能な弁を作動させて、それにより少なくともピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループによる流体の正味変位を制御するコントローラとを含み、この場合、コントローラは、先に示唆したタイプのものである。この結果、少なくとも原則的には、同様に、既に上述した利点及び特性を実現することができる。更に、流体作業機械は、少なくとも原則的に上述した意味で変更することができる。好適な示唆によれば、ハウジングは、好ましくは、「共通ブロック」である。これは、必ずしもハウジングが単一のブロックのみを含むことを意味しない。その代わりに、ハウジングは、1つに組み立てられるいくつかの断片を含むことができる。場合により、互いに近接配置され、且つ好ましくは互いに緊密に接続された複数の個々のハウジングブロックを使用することもできる。具体的には、同一のグループに属するピストンシリンダ組立体が異なるハウジング(ハウジングユニット/ハウジングサブユニット)内に配置された場合、油圧流体側におけるピストンシリンダ組立体の個々のグループ(具体的には、流体導入口及び/又は流体排出口)間に接続を確立することができる。具体的には、このようなピストンシリンダ組立体を流体接続するために流体マニホールドの使用が可能である。
【0015】
別の好適な実施形態によれば、流体作業機械は、少なくともピストンシリンダ組立体の異なるグループについて異なる流体フロー導入口及び/又は流体フロー排出口を含み、且つ/又は流体作業機械のハウジングは、一体的なハウジング、具体的には単一片のハウジングを含む。場合により、複数の流体フロー導入口/排出口をピストンシリンダ組立体の単一のグループについて提供することができるが、流体フロー導入口/流体フロー排出口の数を小さい数に低減することが好ましく、好ましくは、(それぞれのタイプごとに)1つに低減することが好ましい。この結果、流体作業機械を「残りの全体的装置」と(流体)接続するための努力を低減することが可能であり、なぜなら、実施を要する(耐圧)油圧流体接続の数が相対的に少なくなるからである。この結果、漏洩の問題も低減することができる。但し、当然のことながら、特に、その結果、流体作業機械の設計が(大幅に)単純化される場合、単一のグループについて、いくつかの(好ましくは、小さい)数の流体導入口/排出口を提供し、且つ「1つ又は複数の別個のマニホールド」を介して個々の導入口/排出口を相互接続することも可能である(例えば、グループの少なくとも1つについて、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又は場合により、更により多くの流体フロー導入口/流体フロー排出口を提供することができる)。通常、存在する流体作業機械のハウジングの別個の(サブ)ユニットと同数の流体フロー導入口/流体フロー排出口が少なくとも必要とされることに留意されたい(場合により、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は更に大きい数などの倍数によって乗算される)。この結果、単一片のハウジング(又は更に複雑なハウジングの緊密に接続されたサブユニット)が好ましく、なぜなら、通常、流体フロー導入口/排出口の数を低減しうるからである。
【0016】
流体作業機械がハウジング内で延在し、且つ少なくとも1つのカムを有するクランクシャフトを含むことが更に好ましく、この場合、前記ピストンシリンダ組立体は、循環的に変化する容積のものであり、且つ前記クランクシャフトと駆動関係にある作業チャンバを含む。循環的に変化する容積の作業チャンバは、通常、シリンダとピストンとの間の容積である。ピストンがシリンダ内で循環的に往復運動するのに伴って、作業チャンバ容積も循環的に変化する。ピストンは、通常、カムに対して摺動可能に取り付けられるか又は結合されており、ピストンシリンダ組立体は、ピストンを駆動関係において含む。ピストンシリンダ組立体のシリンダは、1つ又は複数の弁ユニットに結合されていてもよく、又はそれと一体的に形成されていてもよく、且つ個々のハウジングボアに結合されていてもよく(例えば、螺入又は固定されていてもよく)、且つ/又はシリンダは、個々のハウジングボアによって画定されていてもよい(又はそれらの選択肢の組合せが利用されていてもよい)。ピストンのいくつか又は(通常は)すべては、個々のピストンシリンダ組立体のシリンダ内で往復運動した際に、回転軸に対して(実質的に)平行な個々のロッキング軸を中心として回転(及びロッキング)するように構成されてもよい。第1特徴が第2特徴との「駆動関係」にあることにより、本発明者らは、第1特徴が第2特徴を駆動するように、且つ/又はそれによって駆動されるように構成されていることを意味する。この結果、特に効率的であり、単純であり、費用効率の優れ、機械的に耐久性を有し、且つ容積削減型である設計を実現することできる。具体的には、流体作業機械は、「ウエディングケーキタイプ」となるように(少なくとも部分的に)設計することが可能であり、この場合、ピストンシリンダ組立体は、(基本的に)半径方向に方向付けされており、且つ前記クランクシャフトの回転軸を中心として接線方向に沿って、好ましくは周期的な、特に規則的なインターバルで配列されている。
【0017】
シャフトの瞬間的な角度位置及び回転速度を判定し、且つシャフト位置及び速度信号をコントローラに送信するシャフト位置及び速度センサが提供されてもよい。コントローラは、通常、使用の際に、保存されているプログラムを実行するマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラである。弁の開放及び/又は閉鎖は、通常、コントローラの能動的制御下にある。通常、単一のコントローラにより、第1及び第2グループ(並びに提供されている場合には更なるグループ)による流体の正味の変位を制御する。
【0018】
具体的には、流体作業機械は、少なくとも2つの軸方向にオフセットされたカムを含むことが可能であり、この場合、好ましくは、前記ピストンシリンダ組立体のグループの少なくとも1つのグループと関連付けられたピストンシリンダ組立体は、前記クランクシャフトの異なるカムと駆動関係にある。この結果、流体作業機械が、それぞれ互いに上下に積層された「スライス」として設計されたいくつかのバンクを含み、それぞれの個々のスライスは、クランクシャフトの回転軸を中心として接線方向に沿って配列された複数のピストンシリンダ組立体を含むという点で、非常にコンパクトな設計を実現することができる。同一のクランクシャフトを使用することにより、内燃機関又は電気モーターのような単一の機械エネルギー生成装置により流体作業機械全体を駆動することが容易である。2つのカムを提供することにより、ピストンシリンダ組立体を含むそれぞれのスライスを整合された方式で作動させることができる。具体的には、カムは、相互間におけるなんらかの回転オフセットを示しうる。この結果、圧力脈動又はそれに類似したものを低減することが可能であり、且つ/又は流体作業機械を駆動するために必要とされる機械入力のトルク対駆動角曲線をスムージングすることができる。
【0019】
前記ピストンシリンダ組立体のグループの少なくとも2つの異なるグループと関連付けられたピストンシリンダ組立体は、前記クランクシャフトの同一のカムと駆動関係にあるように、具体的には、それらが前記クランクシャフトを中心として円周状に接線方向に交互に配列されるように流体作業機械が設計されることを更に示唆しておく。この設計は多少不便であり、且つ反直観的であるように感じられ、なぜなら、同一「スライス」内の同一グループに属するピストンシリンダ組立体を関連付けがちだからである(これは、当然のことながら、可能な設計でもある)。但し、提案された設計によれば、同一グループに属するピストンシリンダ組立体が個々の流体コンジットに流体接続されるように、クランクシャフトの軸に対して基本的に平行に配列された流体フローコンジット(具体的には、流体導入口コンジット及び/又は流体排出口コンジット)を提供することができる。この結果、流体コンジットを単純なものにすることが可能であり、且つそれにも拘らず、(少なくとも)2つ又は3つの異なるピストンシリンダ組立体によりサービスすることができる(具体的には、存在する「スライス」と同一の数である。但し、少なくともスライスのいくつかにおいて、同一のスライス内で接線方向に沿って互いに隣接した状態で配列された2つのピストンシリンダ組立体が単一の流体チャネルに流体接続しうることが可能である)。この結果、クランクシャフトを中心として接線方向に沿って観察された際に、通常、異なるグループに属する流体フローコンジットは、クランクシャフトとの関係において円周方向に配列される。説明を完全なものにすることのみを目的として、1つの又は異なるグループに属する流体コンジットが、流体作業機械のハウジングの同一の又は異なる面側において外部に対する開口部を示すことも同様に可能であることを指摘しておく。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、油圧回路構成が示唆され、油圧回路構成は、流体作業機械を含み、前記流体作業機械は、油圧負荷に対してサービスする油圧流体フロー回路用の少なくとも第1及び第2流体フロー接続を含み、流体作業機械の第1流体フロー接続は、第1油圧流体フロー回路に接続されるように設計され、且つ第2流体フロー接続は、第2油圧流体フロー回路に接続されるように設計されている。このような設計によれば、示唆されているコントローラ及び/又は示唆されている流体作業機械との関係で記述されている以前の特徴及び利点を少なくとも類似した方式によって同様に実現することができる。更に、この油圧回路構成は、少なくとも類似した方式により、既に記述された方法で同様に変更することもできる。
【0021】
具体的には、油圧回路構成は、流体作業機械の前記第1及び第2流体フロー接続の少なくとも1つが作動流体排出口接続及び作動流体導入口接続を含むように設計することが可能であり、この場合、好ましくは、第1作動流体導入口接続は、第1作動流体供給源に流体接続されるように設計され、且つ第2作動流体導入口接続は、第2作動流体供給源に流体接続されるように設計されている。この結果、単一の流体作業機械は、異なる圧力レベルなどの異なる特性を必要とする流体フロー回路に対して(少なくとも一時的に)サービスすることができる。但し、異なる流体フロー回路の「個々のサービス」にも拘わらず、単一のポンプで十分であり、その結果、取付け空間を低減することが可能であり、且つ単純化され、且つ相対的にエネルギー効率の優れた駆動ユニットを可能にしうる。具体的には、流体排出口側のみならず、流体導入口側を分離することにより、個々の流体回路を「完全」に互いに分離することができる。これは、流体回路の一方が開流体フロー回路であり、他方が閉流体フロー回路である場合、特に有用である。この場合、回路の1つの側がその特性(例えば、圧力レベル)において異なっているのみならず、通常は流体導入口側も異なっている。但し、油圧回路構成の正確な設計とは無関係に、前記少なくとも第1及び第2流体フロー接続が異なる圧力レベルの流体を提供し、且つ/又は異なるタイプの油圧流体回路のために(具体的には、開流体フロー回路及び/又は閉流体フロー回路のために)流体を提供するように構成されるように、流体作業機械を設計しうることが可能である。
【0022】
流体フロー回路の「完全」な分離と関連して、これは、圧力リリーフ弁、(2つ以上の流体回路間のなんらかの熱交換を実施するための)流体オリフィス、又はそれらに類似したものによる異なる回路間のなんらかの漏洩フロー又はなんらかの接続が予想される及び/又は発生しうることを排除するものではない。
【0023】
具体的には、流体作業機械は、少なくともピストンシリンダ組立体の第1及び第2グループを含み、前記ピストンシリンダグループの第1グループは、第1流体フロー接続と関連付けられ、ピストンシリンダ組立体の第2グループは、スイッチング回路を介して第1及び第2流体フロー接続に選択的に流体接続されるように油圧回路構成を設計することができる。この結果、個々の流体フロー回路と関連し、且つ/又は個々の消費装置と関連したピストンシリンダ組立体の数を変更することができる。この結果、個々の流体フロー回路に対する流体フローレンジを非常に広い範囲で変更し、その結果、これにより、油圧消費装置のいくつかに対する「流体流量ブースト」を一度に可能にすることが容易である。既に上述したように、多くの場合、大きい流体フロー需要を有していない油圧消費装置が同時に存在する(即ち、それらは、通常、大きい流体フロー需要との関係において相互に排他的な方式で動作される)。1つ又は複数の個々の消費装置に関連したピストンシリンダ組立体の数を変更することにより(単一のピストンシリンダ組立体の可能性を含む)、流体作業機械が相対的に小さいサイズを有しうる状態で、基本的にすべての現実的に発生する流体フロー要件(又は供給)に対して十分な流体流量を供給(又は消費)する流体作業機械を実現することができる。これは、すべての個々の油圧消費装置について(又は油圧消費装置のすべての個々のグループについて)個別の十分な数のピストンシリンダ組立体が予想されている状況と比較することを要する。
【0024】
ピストンシリンダ組立体の2つのグループのみが存在しており、且つスイッチング回路を介して個々の流体フロー回路/油圧消費装置に相互接続していることも可能であるが、流体作業機械が、少なくともピストンシリンダ組立体の第3グループを含むことが好ましく、この場合、前記少なくともピストンシリンダ組立体の第3グループは、流体フロー接続に対して固定状態で流体接続されるか、又は流体フロー接続に選択的に流体接続される。いくつかのスイッチング回路が提供され、且つピストンシリンダ組立体の第3グループが、他のグループ(の1つ)に選択的に流体接続されている場合、特に有用な「ブーストモード」又は「増強モード」を実現することができる。この設計は、第3グループが固定状態で流体フロー接続に対して流体接続されている場合にも、他のものとは大幅に異なる特性によって動作する第3流体回路が存在する場合に使用することができる。当然のことながら、第4グループ、第5グループなどのグループを提供することも同様に可能であり、この場合にも、少なくとも類似の方式により上述の事実が適用されうる。
【0025】
具体的には、油圧回路構成が少なくとも先程の示唆によるコントローラを含み、且つ/又は油圧回路構成が先程の示唆による流体作業機械を含むことを示唆しておく。この結果、既に記述されたものと同一の特徴及び利点を少なくとも類似した方式によって有する油圧回路構成を実現することが可能であり、この場合、油圧回路構成は、上述した意味で少なくとも類似した方式により変更することができる。
【0026】
上述の好適且つ任意選択の特徴は、それらが適用可能である本発明のそれぞれの態様の好適且つ任意選択の特徴である。また、誤解の回避を目的として、本発明の第1の態様の好適且つ任意選択の特徴は、適宜、本発明の第2及び第3の態様の好適且つ任意選択の特徴でもある。また、同様に、本発明の第2の態様の好適且つ任意選択の特徴は、適宜、本発明の第1及び第3の態様の好適且つ任意選択の特徴でもある(且つ以下同様である)。
【0027】
以下、添付の図面を参照し、本発明の例示用の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】フォークリフトトラックの油圧システムを示すブロック図である。
図2a-2b】図1の油圧システムの油圧ポンプのシリンダブロック及びクランクシャフトの分解斜視図及び正面図である。
図3a-3b】図2a及び図2bに示されているシリンダブロック及びクランクシャフトの分解斜視図及び背面図である。
図4a-4b】図2a、図2b、図3a、及び図3bのシリンダブロック及びクランクシャフトの側面図である。
図5図2図4のシリンダブロック及びクランクシャフトの側部断面図である。
図6a-6d】回転の異なる段階におけるクランクシャフトを示す図2図5図6b及び図6dのクランクシャフトの正面図、斜視図、及び個別の側面図である。
図7図2図6の油圧ポンプのピストンシリンダ組立体のグループからの油圧流体出力対時間のプロットである。
図8a-8c】図6a〜図6dのクランクシャフトを中心として配設され、且つそれから離れるように延在するピストンシリンダ組立体のグループのクランクシャフト、ピストン、及び弁シリンダ装置の正面図、側面図、及び斜視図である。また、図8a〜図8cは、それぞれグループ内の低圧弁とグループ内の高圧弁とを流体接続する第1及び第2共通コンジットも示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
既に説明したように、いくつかの状況では、油圧ポンプ−モーター10は、しばしば(例えば、回生制動システムなどのように)ポンピングモードでも動作するものと想定される。従って、ポンプ−モーター10は、フロー方向の反転を許容することにより、ポンプ−モーター10が、モータリング又はポンピングモードで、いずれかの方向における動作の際に回転することを許容する指向性フロー制御回路13を介して油圧ポンプ6に接続されている。
【0030】
以下では、油圧ポンプ6の特定の実施形態を参照し、本発明について更に説明する。当然のことながら、記述又は説明が、油圧ポンプ6の正確な設計とは(基本的に)無関係である流体回路、コントローラ、又は任意の他の装置との関係において付与されている場合、個々の特徴は、同様に、任意のタイプの流体作業機械と関連して開示されているものと理解されたい。
【0031】
本明細書で示唆されているコントローラ、流体作業機械、及び油圧回路構成の利益を説明するために、以下では前記装置の用途の例としてフォークリフトトラックについて説明している。但し、本明細書で示唆されている装置は、異なる実施形態でも且つ/又は様々な変更を伴って有利に機能しうることを理解されたい。
【0032】
本明細書で選択された例では、図1は、共通クランクシャフト4を駆動する機械的トルク供給源2(例えば、内燃機関又は電気モーター)を含むフォークリフトトラック上に提供された油圧システム1のブロック図である。フォークリフトトラックの場合には一般的であるが、複数の異なる油圧消費装置が存在する。場合により、いくつかの装置は、加圧された流体フローストリームを特定の時点で提供することもできる。本明細書に示される場合、推進流体回路110、111は、(例えば、回生制動システムなどのように)ポンピングモードで動作させることができる。本明細書に示されている例では、油圧アクチュエータ8(又は異なる作業機能)と、(通常は)2つ以上である車輪12に接続された油圧ポンプ−モーター10を駆動する推進流体回路110、111と、操向ユニット182とが提供されている。すべての3つの異なるユニット8、10、182は、異なる特性を有する流体フロー供給を必要とする。具体的には、操向ユニット182は、相対的に小さい流体フローストリームを、但し、非常に高圧で必要とする。作業機能8は、通常、一般的に(長時間にわたって)相対的に小さい流体流量及び高圧では、開流体フロー回路116、117によってサービスされており、この場合、時折のみ大きい流体流量が発生し(この一例が、フォークリフトトラックのフォークに対してサービスしている流体回路である)、且つ最後に、油圧ポンプ−モーター10は、相対的に小さい圧力において、但し多くの場合に大きい流体流量を伴って、閉流体フロー回路110、111を介して動作される。
【0033】
従来技術によれば、3つの異なる消費装置8、10、182のために、3つの異なるポンプ30、32、34、180が提供されており、これらのポンプのそれぞれは、個々のコントローラによって制御されている(図1には示されていない)。このようになっているものの、異なるポンプ30、32、34、180は、共通クランクシャフト4を介して同一のエンジンによって駆動されていた。また、従来技術によれば、通常、個々の油圧回路の流体流量を一時的に相当に増大させるために、スイッチング可能な弁118を介して1つの又は他の流体フロー回路110、111、116、117に選択的に接続されうる「ブーストポンプ」36を提供することも提案されている。この場合にも、ブーストポンプ36は、通常、個々のコントローラによって動作される別個のポンプとして設計されていた。
【0034】
本提案によれば、図1に示されているポンプの少なくともいくつか(本明細書に示されている実施形態では、すべてのポンプ30、32、34、36、180)のために、単一の共通コントローラ70を使用することが示唆されている。更に、異なるポンプ30、32、34、36のいくつかは、共通ハウジング内で組み合わせられており、共通ハウジングは、破線6により概略的に示されている(これについては後述される)。また、コントローラ70は、スイッチングユニット118(スイッチング弁)のスイッチングも制御しており、このスイッチングユニット118を介して、個々のポンプ30、32、34の流体フロー出力を増強するために、作業機能8又は油圧ポンプ−モーター10にサービスしている流体回路の1つに対してブーストポンプ36を選択的に接続することができる。
【0035】
共通コントローラ70の利点は、流体流量という「第1考慮事項」が考慮されるのみならず、更に「第2考慮事項」が考慮されうるように、異なるポンプを作動させることができるという点にある。「第2考慮事項」の影響は、「第2考慮事項」の(大幅な)改善が実現される(その結果、これにより、流体作業機械の「全体的な性能」が改善される)場合、流体流量性能のわずかな劣化が発生しうるようなものであってよい。一例として、この結果、共通クランクシャフト4を介してすべてのポンプ30、32、34、36、180を駆動するための必要とされるトルクにおけるスパイクを少なくともある程度、通常は相当に回避しうることが可能である。従って、エンジン2は、相対的に小さいサイズであってもよく、これは利点である。更に、コントローラ70による作動は、機械的振動又はそれに類似したものが同様に低減されうるように選択することもできる。
【0036】
この図示の例では、すべてのポンプは、それ自体が従来技術において既知の所謂デジタル変位ポンプ(登録商標)として設計されている。このようなポンプの利点は、個々のポンプの流体フロー出力動作をサイクルごとにほとんど任意に変化させることができるという点にある。これは、ブーストポンプ36(ブーストポンプ部分36)の場合に特に有利であり、なぜなら、この場合、開流体フロー回路116、117及び閉流体フロー回路110、111の異なる要件間で迅速に変化させることができるからである(これには、油圧ポンプ−モーター10が駆動される駆動モードから、油圧ポンプ−モーター10が機械エネルギーを生成し、且つ回生制動システムが実現されているモータリングモードに閉油圧流体回路110、111をスイッチングする可能性が含まれる)。
【0037】
図2図7には、専用の油圧ポンプであってもよく、又は異なる動作モードでポンプ又はモーターとして動作可能な油圧ポンプ−モーターであってもよい油圧ポンプ6が更に詳細に示されている。油圧ポンプ6は、その内部にクランクシャフト4が延在している中央軸方向ボア22を含む(ポンプハウジングとして機能する)モノリシックなシリンダブロック20を含む。クランクシャフト4は、クランクシャフト4が軸方向ボア22を通じて延在している方向と平行な回転軸24を中心として回転可能である。シリンダブロック20は、(結果的に弁シリンダ装置の個々のグループを形成するために)個々の弁シリンダ装置39を受け入れるように(且つ/又はそれらの装置の画定を支援するように)サイズ設定及び構成された(シリンダブロック20を通じた穿孔により、又は通常は後から穿孔されるシリンダブロック20内に孔を成型することにより形成された)ハウジングボア38の4つのグループ30、32、34、及び36を含み、弁シリンダ装置39のそれぞれは、シリンダ42との流体連通状態にある(且つそれに対して結合された)統合された弁ユニット40を含む。シリンダ42は、省略されてもよく、且つその代わりに、ハウジングボア38が弁シリンダ装置39のシリンダを画定していてもよい。
【0038】
ハウジングボア38は、クランクシャフト4を中心として配設されており、且つクランクシャフト4との関係において外向きに(通常は半径方向に又は実質的に半径方向に)延在している。ハウジングボア38のグループ30、32、34、36のそれぞれは、回転軸24を中心として、ハウジングボア38の隣接したグループから離隔されている。図示の実施形態では、ハウジングボア38のグループ30、32、34、36は実質的に同一である。また、そうではない旨が記述されていない限り、第1グループ30の特徴は、(図示の実施形態では)他のグループ32、34、36の特徴でもある。第1グループ30の弁シリンダ装置は、通常、他のグループ32、34、36の対応する弁シリンダ装置と同一の平面上に提供されている(即ち、グループ間の対応する弁シリンダ装置は、(通常は十分に)オーバーラップした軸方向の延在範囲を有する)。従って、以下では、第1グループ30についてのみ詳細に説明する。但し、他の実施形態では、1グループ当たりのハウジングボア38の数(及び従って弁シリンダ装置39の数)、それを通じて作動流体がグループに提供されうる作動流体導入口の位置、それを通じて作動流体がグループから出力されうる作動流体排出口の位置、及び共通コンジットの構成(以下を参照されたい)などのグループ間の変化が存在していてもよい。
【0039】
ハウジングボア38の第1グループは、第1、第2、及び第3ハウジングボア50、52、54を含む。第1及び第3ハウジングボア50、54は、回転軸24に対して平行な方向に互いに軸方向において変位されており、且つ回転軸24に対して平行な方向に第1及び第3ハウジングボア50、54の中心間で延在するアライメント軸56(図2aを参照されたい)に沿って互いにアライメントされる。第2ハウジングボア52は、第1及び第3ハウジングボア50、54から軸方向に(且つそれらの間で軸方向に)オフセットされており、且つ第2ハウジングボア52は、更に(回転軸24を中心としてアライメント軸56から第2ハウジングボア52の中心まで計測された)約30°の角度だけ回転軸24を中心として、図2aで観察されるように時計回りの方向に第1及び第3ハウジングボア50、54から(回転方向に)オフセットされている。第2ハウジングボア52は、軸方向の延在範囲bを有し、これは、第1及び第3ハウジングボア50、54の軸方向の延在範囲a及びcとオーバーラップしており(図2aを参照されたい)、第1及び第3ハウジングボア50、54の軸方向の延在範囲は、通常、互いにオーバーラップしていない。第2ハウジングボア52を第1及び第3ハウジングボア50、54から軸方向にオフセットさせ、これにより、回転軸24を中心として第2ハウジングボア52を第1及び第3ハウジングボア50、54から(回転方向に)オフセットさせ、且つ第2ハウジングボア52の軸方向の延在範囲bを第1及び第3ハウジングボア50、54の軸方向の延在範囲a、cとオーバーラップさせることにより、空間効率の良いネストされた構成がハウジングボア38の第1グループ30に提供されている。この結果、相対的に大きい数のハウジングボア38(及び従って弁シリンダ装置)を所与の軸方向長さ(即ち、回転軸24に対して平行な方向における所与の長さ)のシリンダブロック20に内蔵させることができる。また、第2ハウジングボア52は、この場合には回転軸を中心とした第1及び第3ハウジングボア50、54の延在範囲y、zとオーバーラップしていない回転軸を中心とした延在範囲xも有する(但し、他の実施形態では、第2ハウジングボア52の延在範囲xは、回転軸24を中心とした第1及び/又は第3ハウジングボア50、54の延在範囲y、zとオーバーラップしていてもよい)。
【0040】
統合された弁ユニット40は、通常、弁ユニット40をハウジングボア38内に保持するために、ハウジングボア38の半径方向外側(回転軸24との関係における)端部内に提供された対応するねじに螺入されうるねじが切られた端部40aを含む。これに加えて又はこの代わりに、ねじは、(提供されている場合に)ハウジングボア38のねじと結合するシリンダ42の外径上に提供されてもよい。また、弁ユニット40は、それぞれねじが切られた端部40aの反対側の弁ユニット40の第2の(クランクシャフト4との関係において半径方向外側の)端部に提供された弁ヘッド40bも含む。
【0041】
図5に示されているように、シリンダ42の(又はハウジングボア38の)半径方向内側(回転軸24との関係における)端部は、クランクシャフト4との駆動関係において個々のピストンを往復運動可能に受け入れる(これにより、ピストンシリンダ組立体の個々のグループを形成する)アパーチャを含む。わかりやすさを目的として、以下では参照符号30、32、34、36を使用することにより、ハウジングボア30、32、34、36の対応するグループ内に提供されたピストンシリンダ組立体のグループを参照する。
【0042】
図5及び図6a〜図6dに示されているように、クランクシャフト4は、互いに軸方向に変位された第1、第2、及び第3カム62、64、66(図示の実施形態ではエキセンである)を含む。ピストン60は、それぞれクランクシャフト4の個々のカム62、64、66上で休止した(且つそれと駆動関係にある)ピストンフット60aを含む。更に詳しくは、個々のピストンフット60aを介して、第1カム62は、第1ハウジングボア50内に提供された弁シリンダ装置39内で往復運動するピストン60と駆動関係にあり、第2カム64は、第2ハウジングボア52内に提供された弁シリンダ装置39内で往復運動するピストン60と駆動関係にあり、且つ第3カム66は、第3ハウジングボア54内に提供された弁シリンダ装置39内で往復運動するピストン60と駆動関係にある。トルク供給源2がクランクシャフト4を回転させるのに伴って、前記ピストン60は、回転軸24との関係において、半径方向に又は実質的に半径方向に個々のシリンダ42(又はハウジングボア38)内で循環的に往復運動し、これにより、それらが往復運動している個々のピストン60とシリンダ42(又はハウジングボア38)との間に画定された個々の作業チャンバの容積を循環的に変化させるように、個々のカム62、64、66によって駆動される。また、ピストン60は、クランクシャフト4の個々のカム62、64、66によって駆動された際に、回転軸に対して平行な個々のロッキング軸を中心として回転(及びロッキング)するように構成されている。
【0043】
回転軸24を中心としてグループ30、32、34、36を互いに離隔させることにより、(クランクシャフト4を中心とした近接状態でグループを詰め込んだ場合と比較した場合に)クランクシャフト4の半径方向の延在範囲を低減することができる。これは、以下のように説明される。ピストンフット60aが、ピストンフット60aが駆動関係にある個々のカムに対して圧接した状態で休止しうるというニーズが存在する。クランクシャフト4を中心としてグループ30、32、34、36を互いに離隔させることにより、クランクシャフト4を中心として提供されうるピストンシリンダ組立体の数が低減され、なぜなら、それぞれのカム62、64、66上で休止する必要があるピストンフットの数が相対的に少なくなり、カム62、64、66の表面積を大きくする必要がなくなり、且つ従って、カム62、64、66の半径方向の延在範囲を低減しうるからである。これに加えて、ハウジングボア12が相対的に近接した状態で詰め込まれているシリンダブロックよりも、シリンダブロック20を機械的に強力なものにすることが可能であり、なぜなら、回転軸24を中心としたグループ間の空間内で(強化)材料が提供されるからである。
【0044】
加圧された油圧流体の滑らかな出力を提供するために、第1グループのピストンシリンダ組立体は、等しく離隔した(又は少なくとも実質的に等しく離隔した)位相において、加圧された作動流体を出力することが好ましい。従って、第1、第2、及び第3カム62、64、66は、クランクシャフト4の回転軸24を中心として互いに(回転方向に)オフセットされている。上述のように、第2ハウジングボア52は、回転軸を中心として第1及び第3ハウジングボア50、54から(回転方向に)オフセットされている。従って、滑らかな作動流体出力を提供するために、カム62、64、66は、回転軸を中心として等しく分散(0°、120°、240)されていない。むしろ、第2の(オフセットされた)ハウジングボア52の弁シリンダ装置内で往復運動しているピストンと駆動関係にある第2カム64も、第1及び第3カム62、66との関係において等しく離隔された位置からオフセットされている。例えば、第2ハウジングボア52が30°だけ第1及び第3ハウジングボア50、54のアライメント軸16からオフセットされている場合、第2カム64は、第1回転向き(例えば、時計回り)で回転軸を中心として90°だけ第1カム62から(回転方向に)オフセットされてもよく、第3カム66は、前記第1回転向きで回転軸を中心として240°だけ第1カム62から(回転方向に)オフセットされてもよく、且つ第3カム66は、前記第1回転向きで回転軸を中心として150°だけ第2カム64から(回転方向に)オフセットされてもよい。この結果、第1、第2、及び第3カム62、64、66は、連続的に120°だけ離隔した位相において(即ち、等しく離隔した位相において)ハウジングボア50、52、54内で往復運動するピストンを駆動することができる。
【0045】
カム62、64、66及びピストンフット60aは、カム62、64、66が、第1グループ30のシリンダ42/ハウジングボア50、52、54内で往復運動するピストン60を駆動した際に、ピストン60のそれぞれが、正弦波出力80〜84(図7を参照されたい)を生成するように個々のシリンダ/ハウジングボア内で往復運動するように、互いに圧接した状態で摺動可能に支持している。カム62、64、66が等しく離隔された位相においてピストン60を駆動するのに伴って、第1グループ30のピストンシリンダ組立体の正弦波出力80〜84は、実質的に滑らかな加圧された流体出力86を提供するように組み合わせられる。
【0046】
弁シリンダ装置39の統合された弁ユニット40は、低圧及び高弁の両方として機能するように構成されており、且つ通常は弁座と係合可能な弁部材を含む。低圧弁(及びまた任意選択により高圧弁)の開放及び/又は閉鎖は、上述の共通コントローラ70(図1を参照されたい)の能動的制御下で電子的に作動させることができる。クランクシャフト4の瞬間的な角度位置及び回転速度を判定し、且つシャフト位置及び速度信号をコントローラ70に送信する位置及び速度センサが提供されてもよい。この結果、コントローラ70は、それぞれの個々の作業チャンバのサイクルの瞬間的な位相を判定することができる。従って、コントローラ70は、(例えば、コントローラ70に対する需要信号入力などの)個々の需要に応じて弁シリンダ装置のグループのそれぞれを通じた流体の正味スループットを判定するために、作業チャンバ容積のサイクルに同調した関係において、サイクルごとにそれぞれの作業チャンバを通じた(又はそれぞれのグループ30、32、34、36の作業チャンバを通じた)流体の変位を判定するように、低圧及び高圧弁の開放及び/又は閉鎖を調節する。
【0047】
それぞれのグループは、特定の需要信号と関連付けられていてもよい。例えば、第1グループの正味変位は、(例えば、モーター10の要件に関係した)第1需要信号に応答して選択されてもよく、且つ第2グループの正味変位は、第1需要信号と異なる(且つ独立した)(例えば、作業機能8の要件に関係した)第2需要信号に応答して選択されてもよい。後述するように、第3グループ34は、第3グループ34の正味変位が組み合わせられた(第1)需要信号に応答して、第1グループ30のものと共にコントローラ70によって判定されるように、第1グループ30と組み合わせられてもよい。また、後述するように、第4グループ36は、その正味変位が第1及び第2需要信号に応答してコントローラ70によって判定される「ユニバーサルサービス」グループであってもよい。例えば、第1需要信号が第2需要信号を上回っており、且つ第1需要信号が閾値を上回っている場合、ピストンシリンダ組立体の第4グループの変位は、第1グループ30の変位を増強するように選択されてもよい。逆に、第2需要信号が第1需要信号を上回っており、且つ第2需要信号が閾値を上回っている場合、ピストンシリンダ組立体の第4グループの変位は、第2グループ32の変位を増強するように選択されてもよい。
【0048】
油圧ポンプ6がモータリングモードで動作している油圧ポンプ−モーターでない限り、低圧弁は導入口弁として機能し、且つ高圧弁は排出口弁として機能し、モータリングモードで動作している油圧ポンプ−モーターである場合、低圧弁は排出口弁として機能し、且つ高圧弁は導入口弁として機能することを理解されたい。但し、本明細書で使用されている用語は、そうではない旨が記述されていない限り、油圧ポンプ6がポンプとして動作しているものと仮定している。
【0049】
図8a〜図8cは、第1グループ30のクランクシャフト、ピストン、及び弁シリンダ装置の正面図、側面図、及び斜視図である。図示の実施形態では、弁シリンダ装置39の弁ユニット40は、作動流体排出口48と、作動流体導入口49とを含む。作動流体排出口48及び導入口49は、弁ユニットを中心として円周方向に分散された、弁ユニット40の周囲で凹入した環状通路である(通常、それぞれの通路は、複数のほぼ半径方向に配列されたポートとの直接的な流体連通状態にある)。第1グループ30のハウジングボア50、52、54に結合された統合型弁ユニット40の低圧弁は、導入口49(通常、1つの低圧弁当たり少なくとも1つの導入口ポート)と交差する第1共通コンジット90を介して互いに流体連通状態にある。第1共通コンジット90が導入口49と交差するように、第1共通コンジット90は、通常、第1グループ30の弁シリンダ装置39がその内部に提供されるハウジングボア50、52、54と交差していることを理解されたい。これに加えて、第1グループ30のハウジングボア50、52、54に結合された統合型の弁ユニット40の高圧弁は、排出口48と交差する第2共通コンジット92により、互いに流体連通状態にある。第2共通コンジット92が排出口48と交差するように、第2共通コンジット92は、通常、第1グループ30の弁シリンダ装置39がその内部に提供されるハウジングボア50、52、54と交差していることを理解されたい。また、第2、第3、及び第4グループ32、34、36は、個々の共通導入口コンジット及び個々の共通排出口コンジットも含む。
【0050】
4つのグループ30、32、34、36のそれぞれのグループの共通排出口コンジット及び少なくとも第1グループ30の共通導入口コンジット(並びにいくつかの場合、更に第2、第3、及び/又は第4グループ32、34、36の共通導入口コンジット)は、回転軸24に対して平行な長手方向の軸を有しており、且つ通常はシリンダブロック20を通じて延在する単一の直線の穿孔によって形成されている(以下を参照されたい)。これらの共通コンジットの長手方向軸は、そのグループの第2ハウジングボア52の円周方向位置とそのグループの第1及び第3ハウジングボア50、54の円周方向位置との間で円周方向に円周方向位置を有するように、第1回転向き(例えば、時計回り)で回転軸24を中心としてその個々のグループの第1及び第3ハウジングボア50、54から(回転方向に)オフセットされており、且つ第1回転向きとは反対の第2回転向き(例えば、反時計回り)で回転軸を中心としてその個々のグループの第2ハウジングボア52から(回転方向に)オフセットされている。これは、実施可能な空間効率に優れた構成であり、なぜなら、第2ハウジングボア52が第1及び/又は第3ハウジングボア50、54から軸方向にオフセットされており、且つ第2ハウジングボア52が回転軸24を中心として第1及び第3ハウジングボア50、54から(回転方向に)オフセットされているからである。
【0051】
低圧弁及び高圧弁を個々の(単一の)共通コンジットを介して流体接続することにより、シリンダブロック20内に形成されることを要するコンジットの数が減少し、且つ重要なことには、それぞれのコンジットは、単一の動作で穿孔することが可能であり、且つその結果、製造が相対的に高速且つ廉価なものになる。これに加えて、カム62、64、66が、異なる位相において、それぞれのグループのハウジングボア12内で往復運動するピストンを駆動するのに伴って、共通コンジット90、92は、そうでない場合のものよりも小さい直径を有することが可能であり、なぜなら、この場合、そのグループのすべてのピストンシリンダ組立体との間における組み合わせられたピークフローのための容量を有する必要がないからである。
【0052】
弁導入口及び排出口が環状通路の形態であることに伴って、弁ユニット40の向きは、共通コンジット90、92との間における弁の流体連通に対してほとんど影響を及ぼさない。但し、代替実施形態では、弁導入口/排出口は、(環状の通路ではなく)指向性を有していてもよく、例えば、弁導入口及び/又は排出口は、それぞれ単一の穿孔(これは、例えば、回転軸に対して垂直であってもよい)を含みうる。この場合、その間の流体連通を保証するために、ピストンを固定する前に、弁ユニット40を対応する共通コンジットとの間で方向付け及びアライメントする必要がある。
【0053】
第2ハウジングボア52は、第2ハウジングボア52の長手方向軸(第2ハウジングボア52内で往復運動するピストンは、それに沿って往復運動する)が回転軸に沿って観察された際に、回転軸24で第1及び/又は第3ハウジングボア50、54の長手方向軸(個々のピストンは、個々の第1及び/又は第3ハウジングボア内でそれに沿って往復運動する)と交差するように、第1及び第3ハウジングボア50、54との関係において傾斜されてもよい。但し、いくつかの場合、第2ハウジングボア52は、第2ハウジングボア52の長手方向軸が回転軸に沿って観察された際に、回転軸24の上方の地点において(即ち、第2ハウジングボア52並びに第1及び/又は第3ハウジングボア、50、54に対する回転軸24よりも、第2ハウジングボア52並びに第1及び/又は第3ハウジングボア50、54に近接した状態で)、第1及び/又は第3ハウジングボア50、54の長手方向軸と交差するように、第1及び第3ハウジングボア50、54との関係において傾斜されてもよい。この結果、共通コンジット90、92のために、相対的に大きい空間を提供することができる。
【0054】
ピストンシリンダ組立体の第1、第2、第3、及び第4グループのそれぞれにおいて、第1(導入口)共通コンジットは、それを通じて(低圧)作動流体が(個々の弁導入口を介して)そのグループのピストンシリンダ組立体に入力される個々の作動流体導入口100a〜100d(図2及び図5を参照されたい)に流体的に接続されており、且つ第2(排出口)共通コンジットは、(加圧された)作動流体がそのグループから出力される個々の作動流体排出口102a〜102dに接続されている。更に詳しくは、図示の実施形態では、第1及び第3グループ30、34の第1共通コンジットは、シリンダブロック20の前方軸方向端面上に提供された作動流体導入口100a、100cの範囲で回転軸に対して平行に延在しているが、第2及び第4グループ32、36の作動流体導入口100b、100dは、クランクシャフト4を取り囲んでいる容積との(即ち、クランクケースとの)(直接的な)流体連通状態となるように、シリンダブロック20の半径方向内側(クランクシャフト24との関係における)壁上に提供されている。従って、いくつかの実施形態では、第2及び第4グループは、回転軸に対して平行に延在する共通導入口コンジットを含む。この場合、個々の第2及び第4グループの共通コンジットをそのグループの作動流体導入口100b、100dに接続するために、更なるコンジットが提供されてもよい。但し、更に一般的には、第2及び第4グループの(導入口)共通コンジットは、シリンダブロック内の軸方向ボアから第2及び第4グループ32、36の弁導入口まで、半径方向に又は実質的に半径方向に外向きに延在している。
【0055】
それぞれのグループ30、32、34、36の第2共通(排出口)コンジットは、(加圧された)作動流体がそのグループから出力されるシリンダブロック20の前方軸方向端面上における個々の作動流体排出口102a〜102dの範囲で回転軸に対して平行に延在している。
【0056】
それぞれのグループ30、32、34、36は、その独自の作動流体導入口100a〜100dを有することから、それぞれのグループ30、32、34、36は、異なる供給源から作動流体を受け取ることが可能であり、且つそれぞれの異なる供給源は、異なる圧力で流体を提供してもよい。更に、それぞれのグループ30、32、34、36がその独自の作動流体排出口を有していることから、それぞれのグループ30、32、34、36は、別個の加圧された流体サービス出力を異なる油圧負荷に対して提供することができる。更に、それぞれのグループのピストンシリンダ組立体の変位が、コントローラ70によって独立して制御可能であることから、それぞれのグループの別個の加圧された流体出力を独立して制御することもできる。従って、グループ30、32、34、36は、複数の個別のポンプの代わりに、加圧された流体の独立したサービス出力を異なる油圧負荷に対して提供することができる。グループ30、32、34、36が、同一のハウジング内に提供されており、且つ同一のクランクケースを共有する同一のクランクシャフトによって駆動されていることに伴って(複数の個々のポンプが、その独自のハウジング、個々のクランクシャフト、及びクランクケースを使用する)、同一のポンプ6のピストンシリンダ組立体の異なるグループ30、32、34、36を使用して異なる油圧負荷に動力供給することにより、複数ポンプの使用との比較において、大きい重量(及び空間)の節約が得られる。この構成では、トルク供給源2からの機械的トルクを複数の個々のポンプの個々のクランクシャフトに分割するために通常必要とされるギアボックスを省略することが可能であり、なぜなら、複数のグループが同一のクランクシャフトによって駆動されているからであり、その結果、更なるサイズ、重量、及び複雑さが低減されるという点に更に留意されたい。これに加えて、ピストンシリンダ組立体のそれぞれのグループの正味変位を制御するために、同一のコントローラ70を使用することもできる。
【0057】
図1の図示の実施形態を再度参照すれば、特に、本明細書で記述されている油圧ポンプ6の特定の実施形態と関連して観察された際に、それぞれのグループ30、32、34、36は、別個の独立して制御可能なサービス出力を提供することができるが、第1及び第3グループ30、34の出力は、組み合わせられたサービス出力110を提供するために組み合わせられている(「1つにグループ化されている」)(但し、これは、必須ではないことを理解されたい)。通常、これは、シリンダブロック20の前方軸方向面に対してボルト締結されたエンドプレート(図示されていない)を提供し、且つ第1及び第3グループの作動流体排出口102a、102cをエンドプレートで組み合わせることにより実現される。この場合、第1及び第3グループ30、34の正味変位は、同一(第1)の需要信号に応答してコントローラ70によって制御される。
【0058】
また、図1に示されているように、第1及び第3グループからの組み合わせられた出力110は、加圧された油圧流体をフォークリフトトラックの車輪12を推進する油圧ポンプ−モーター10に供給している。また、第1及び第3グループ30、34の作動流体導入口100a、100cは、組み合わせられた流体導入口114を提供するために、エンドプレートで組み合わせられている。組み合わせられた作動流体導入口114は、油圧ポンプ−モーター10からのリターンライン111から作動流体を受け取り、これにより、第1及び第3グループ30、34及び油圧モーター10を含む閉ループ油圧回路を形成している。閉ループ油圧回路の低圧側における(即ち、モーター10の出力とポンプ6の第1及び第3グループの組み合わせられた入力114との間のライン111内の)流体圧力は、通常、加圧されている(プレチャージされている)ことを理解されたい。
【0059】
第2グループ32の作動流体導入口110bは、流体ライン115を介して油圧タンク130(このタンク130は、クランクケースを有していてもよく、又は少なくともそれと流体連通状態にあってもよい)から作動流体を受け取っており、且つ第2グループ32の作動流体排出口102bは、加圧された作動流体を流体ライン116を介して作業機能8に提供している。作業機能8は、リターンライン117を介して低圧作動流体をタンク130に戻しており、これにより、タンク130、第2グループ32、及び作業機能8を含む開ループ油圧回路を形成している。タンク130は、加圧されていなくてもよく(即ち、雰囲気圧力で)、又はこの代わりにタンク130が閉鎖されている場合、タンク130内の油圧流体の圧力は、チャージポンプ又は他の加圧手段により、ブーストされていてもよい。上述のように、第2グループ32の正味変位は、第2需要信号に従って、コントローラ70によって制御されている。
【0060】
また、第4グループ36の作動流体導入口100dも油圧タンク130から作動流体を受け取る。図1に示されているように、第4グループ36の作動流体排出口102dは、コントローラ70との電子的通信状態にあるスイッチングユニット(又は弁)118により(又はその代わりに異なるコントローラにより)、第2グループ32の出力ラインに、且つ第1及び第2グループ30、34からの組み合わせられた出力ライン110に選択的に流体接続されている。コントローラ70は、スイッチングユニット118が第4グループ36の作動流体排出口102dを第1経路に沿って第1グループからの出力110に流体接続している第1モード(このモードでは、第4グループ36の排出口102dは、通常、出力ライン116に接続されていない)と、スイッチングユニット118が第4グループ36の作動流体排出口102dを第2経路に沿って第2グループからの出力116に流体接続している第2モード(このモードでは、第4グループの排出口102dは、通常、出力ライン110に接続されていない)と、任意選択により、第4グループ36からの出力102dが出力110、116から接続解除されている第3のアイドルモードとの間でスイッチングユニット118をスイッチングするように構成されている。従って、第4グループ36は、(モーター10及び作業機能8からの)第1及び第2需要信号に応じて、更なる加圧された流体を第1(及び第3)グループからの作動流体サービス出力110に、又は第2グループ32からの作動流体出力116に提供するように選択されうる「ユニバーサル」サービスを提供している。コントローラ70は、通常、ポンプ−モーター10からの高需要の期間には、第1及び第3グループ30、34からの作業サービス出力110をサポートするために、且つ作業機能8からの高需要の期間には、第2グループ32からの作業サービス出力116をサポートするために、第4グループ36からの出力を選択するように構成されている。ポンプ−モーター10(推進機能を提供している)及び作業機能8の両方からの高需要が同時に存在することは通常稀であるため、グループ30、32、34、36の全体的な組み合わせられた変位は、別個のポンプから必要とされている組み合わせられた全体的変位を下回りうる。
【0061】
第2及び第4グループの作動流体導入口100b、100d(並びに第2及び第4グループの対応する共通(導入口)コンジット90)は、特に、第1及び第3グループがプレチャージされ、且つ(例えば、第2及び第4グループが、加圧されていないクランクケースに直接的に接続されている場合などのように)第2及び第4グループがプレチャージされていない際に、相対的に大きい流量を許容するために、第1及び第3グループの作動流体導入口100a、100cよりも大きい内径を有していてもよい。
【0062】
開ループ及び閉ループ油圧回路は、別個のものであるが、クランクケースを介して開ループ油圧回路と閉ループ油圧回路との間で共有されるいくつかの流体が存在する。例えば、通常、クランクケースに至る第1及び第3グループ30、34のピストンシリンダ組立体間には、漏洩経路が存在する。従って、閉ループ回路からの流体は、第2グループ32が油圧流体を受け取るタンク130(これは、通常、クランクケースを含むか、又はそれと流体連通状態にある)に流れることができる。従って、閉ループ回路からの流体が開ループ回路に進入する。更に、閉ループ油圧回路からの漏洩流体は、チャージポンプ180(図2図5又は図8には示されていないが、これもクランクシャフト4によって駆動されている)を介して、(開ループ回路の作業機能8が低圧流体を返している)タンク130からの油圧流体により置換される。通常、チャージポンプ180は、出力ライン183を介してフォークリフトトラックの油圧パワー操向ユニット182を駆動するために使用される。但し、チャージポンプ180の出力ライン183は、チャージポンプ180の出力ライン183内の圧力が閾値量だけ閉ループ油圧回路の低圧側(リターンライン111)内の圧力を上回っている際には、チェック弁184が開放し、且つチャージポンプ180からの過剰な加圧された流体が、閉ループ油圧回路の低圧力側に進入するように、チェック弁184を介して閉ループ油圧回路の低圧側にも流体接続されている。従って、開ループ回路からの流体が閉ループ回路に進入する。
【0063】
油圧モーター10へのフローをサポートするために、(例えば、モーター10からの高需要の期間において)第4グループ36が使用される際には、第1及び第3グループ30、34の組み合わせられた作動流体導入口114にフィードバックされる過剰な油圧流体が存在する。従って、圧力リリーフ弁190が、油圧モーター10からのリターンライン111とタンク130との間に流体接続されている。リターンライン111内の圧力が閾値を超過した際には(又はタンク130が加圧された場合、リターンライン内の圧力が閾値量だけタンク圧力を超過した際に)、圧力リリーフ弁が開放し、これにより、リターンラインからの過剰な流体をタンク130に排出する。油圧タンク130から第4グループ36からの閉ループ回路にフィードバックされる作動流体は、通常、油圧モーター10によってリターンラインに出力される流体よりも低い温度を有することを理解されたい。従って、閉ループ回路から油圧モーター10によって出力された高温流体を排出し、且つそれをタンク130からの相対的に低い温度の流体によって置換することにより、閉ループ回路内で冷却が発生する。好ましくは、閉ループから取得された流体を冷却し、これにより、閉ループ回路から排出された高温流体がタンク130内の流体の温度を上昇させないことを保証するために、圧力リリーフ弁190とタンク130との間に熱交換機191(図1では点線によって示されている)が提供される。
【0064】
上述のように、組み合わせられたサービス出力110を提供するために、第1及び第3グループ30、34の出力を組み合わせる必要はない。但し、これは、推進機能が、通常、作業機能よりも大きいパワーを必要とする用途(例えば、フォークリフトの用途)で有利な構成である。作業機能が、通常、推進機能よりも大きいパワーを必要とする他の実施形態(油圧システムが、例えば、窓の掃除のために、トローリープラットフォームを運動させるために利用されている「昇降機」の用途など)では、組み合わせられた出力110を提供するために第1及び第3グループ30、34の出力が組み合わせられるのではなく、組み合わせられたサービス出力116を提供するために第2及び第3グループ32、34の出力が組み合わせられるというものでありうる。この場合、第1及び第3グループ30、34の作動流体導入口100a、110cは、組み合わせられず、且つ第2及び第3グループ32、34の作動流体導入口100b、100cが、通常、油圧タンク130から作動流体を受け取る。従って、この場合、第3グループの作動流体導入口100cは、通常、シリンダブロックの半径方向内側の壁上に形成されており、且つ第3グループ34の共通導入口コンジット90は、通常、シリンダブロック内の軸方向ボアから第3グループの弁導入口まで、半径方向に又は実質的に半径方向に外向きに延在していることを理解されたい。
【0065】
油圧ポンプ6は、以下のように製造されてもよい。シリンダブロック20は、通常、モノリシックな材料のビレットの中心を通じて中央軸方向ボア22を成型又は機械加工することにより形成され、且つそれぞれのグループのハウジングボア50、52、54は、通常、中央軸方向ボア22との関係においてビレットを通じて実質的に半径方向にボアを穿孔することにより、シリンダブロック20内に形成され、これらのボアは、軸方向ボア22を中心として配設され、且つそれとの関係において外向きに延在している。この代わりに、ハウジングボア50、52、54がビレット内で成型され、その後、中央軸方向ボア22が穿孔されてもよい。上述のように、それぞれのグループの第1及び第3ハウジングボア50、54は、互いに軸方向にオフセットされており、第2ハウジングボア52は、第1及び第3ハウジングボア50、54から軸方向に(且つその間で軸方向に)オフセットされており、且つ第2ハウジングボア52は、中央軸方向ボア22を中心として第1及び第3ハウジングボア50、54からオフセットされている。ハウジングボアのグループ30、32、34、36は、中央軸方向ボア22を中心として互いに離隔している。これに加えて、それぞれのグループのハウジングボア50、52、54には、空間効率に優れたネスト構成が提供されており、これにより、第2ハウジングボアは、第1及び第3ハウジングボア50、54の1つのハウジングボアの軸方向延在範囲又は両方のハウジングボアの軸方向延在範囲と少なくとも部分的にオーバーラップした軸方向延在範囲を有する。
【0066】
共通排出口コンジット92は、個々のグループのハウジングボア50、52、54間のシリンダブロック20を通じて直線の穿孔を穿孔することにより、形成されている。穿孔は、軸方向ボア22に対して平行に延在している。また、少なくとも第1グループ30の場合、共通導入口コンジット90は、第1グループのハウジングボア50、52、54とシリンダブロックの軸方向面との間で軸方向ボア22に対して平行にシリンダブロック20を通じて直線の穿孔を穿孔することにより、形成されている。
【0067】
また、上述のように、いくつかの実施形態では、第2、第3、及び/又は第4グループ32、34、36は、クランクシャフトの回転軸に対して平行に延在する共通導入口コンジット90も含む。また、この場合、第2、第3、及び/又は第4グループ32、34、36の共通導入口コンジット90も、軸方向ボア22に対して平行に個々の第2、第3、及び第4グループのハウジングボア50、52、54間でシリンダブロック20を通じて直線の穿孔を穿孔することにより、形成されている。但し、更なるコンジットが、第2及び第4グループの共通導入口コンジット90とシリンダブロック20の半径方向内側の壁上に形成された作動流体導入口100b、100dとの間で(軸方向ボア22との関係において)半径方向に又は実質的に半径方向に穿孔されており(又は成型された形態で存在しており)、これにより、個々の作動流体導入口及び共通導入口コンジットが相互の流体連通状態となっている。第3グループが油圧ポンプ−モーター10からのリターンライン111から作動流体を受け取る実施形態では、このような更なるコンジットは、第3グループとの関係において、必要とはされず、むしろ、共通導入口コンジットが、第3グループのハウジングボア50、52、54と(第3作動流体導入口100cが提供された)シリンダブロックの軸方向面との間でクランクシャフトの回転軸に対して平行にシリンダブロック20を通じて延在している。但し、第3グループがクランクケースから作動流体を受け取る実施形態では、第3グループとの関係において(シリンダブロック20の半径方向内側の壁上に第3グループを第3作動流体導入口100cに流体接続するために)このような更なるコンジットが提供されてもよい。より一般的な実施形態では、第2及び第4グループ32、36と、第3グループがクランクケースから作動流体を受け取る実施形態では第3グループ34とは、クランクケースから半径方向に又は実質的に半径方向に延在する個々の共通導入口コンジットを有しており、共通導入口コンジットは、軸方向ボア22から半径方向に又は実質的に半径方向に延在している。この場合、第2、第3、及び第4グループの共通導入口コンジットは、第2、第3、及び第4グループのそれぞれのグループ内で個々の弁導入口と交差するように、シリンダブロック20の半径方向内側壁上に形成された第2、第3、及び第4グループの作動流体導入口100b、100c、100dから(軸方向ボア22との関係において)半径方向に又は実質的に半径方向において外側の方向に穿孔を穿孔することにより、形成されてもよい。
【0068】
上述のように、それぞれのグループの共通排出口コンジット92及び少なくとも第1グループ30の共通導入口コンジット90(並びにいくつかの実施形態では、更に第2、第3、及び第4グループ32、36の共通導入口コンジット)の長手方向軸は、第2ハウジングボア52と第1及び第3弁ハウジングボア50、54との間に円周方向に配設されるように、第1回転向き(例えば、時計回り)で回転軸24を中心としてそのグループの第1及び第3ハウジングボア50、54から回転方向にオフセットされており、且つ第1回転向きとは反対の第2回転向き(例えば、反時計回り)で回転軸を中心としてそのグループの第2ハウジングボア52から回転方向にオフセットされている。
【0069】
統合型の弁ユニット40上の対応するねじと結合するためのねじをハウジングボアの外側端部に追加するために、ねじ切削ツールが使用される。統合型の弁ユニット40は、それぞれのグループの個々のハウジングボア50、52、54に螺入される。ピストン60は、ピストン60が、カム62、64、66と駆動関係にあり、クランクシャフト4が軸方向ボア22内に取り付けられ、且つピストンが個々のグループ30、32、34、36のハウジングボア50、52、54によって往復運動可能に受け入れられるように、クランクシャフト4のカム62、64、66上で休止した(又はそれに対して結合された)コンロッド(その下部がピストンフットを有する)に取り付けられてもよい。上述のように、クランクシャフト4のカム62、64、66は、実質的に等しく離隔した位相において、それぞれのグループ内でピストン60を駆動するように、回転軸24を中心としてオフセットされた状態で配列されている。グループからの出力の等しく離隔した位相を実現するために、カムの配列は、通常、回転方向に均等ではない。更に詳しくは、120°のカムのオフセット要件をもたらす軸方向にアライメントされた弁シリンダ装置と異なり、カムのオフセットの角度は、(軸方向のアライメントから逸脱した)弁シリンダ装置の1つ弁シリンダ装置の回転オフセットに従って調節されている。
【0070】
いくつかの実施形態では、第3ハウジングボア54及び関連した弁シリンダ装置39、並びにピストン60は、それぞれのグループ30、32、34、36から省略されてもよい。但し、第3ハウジングボア54及び関連した弁シリンダ装置39並びにピストン60は、好ましくは、1アーキテクチャ当たり2つの弁シリンダと関連したピーク間変動を低減するために含まれており、且つそれぞれのグループ30、32、34、36からの実質的に滑らかな出力を提供している。
【0071】
本明細書で記述されている本発明の範囲内において、更なる変化形態及び変更形態がなされうる。例えば、4つ以上又は2つ以下の弁シリンダ装置がそれぞれのグループ30、32、34、36内に提供されてもよい。5つ以上又は3つ以下のグループが存在していてもよい。本発明の更なる情報、具体的には、更なる特徴、実施形態、及び利点については、本出願人により、欧州特許庁において欧州特許出願公開第13172511.1号明細書及び同第13172510.3号明細書という出願番号のもとで2013年6月18日付けで出願され、且つ国際特許出願PCT/欧州特許出願公開第2014/060896号明細書及びPCT/欧州特許出願公開第2014/060897号明細書という出願番号のもとでPCT出願として2014年5月27日付けで出願された出願に見出すことができる。前記出願の開示内容は、引用により、そのすべてが本出願に包含されるものと見なされる。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8a
図8b
図8c