(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉ループ反復は、前記制御エレクトロニクスが前記カメラ対物レンズから前記患者の眼までの初期状態での距離を測定するべく1000Hzで2000回のAスキャンの組を取得する工程を含み、
前記OCTスキャナの焦点は、ゼロの「光路距離」にできるだけ近づくように置かれ、
前記「光路距離」は、20mmの範囲を通して連続的に掃引されて、前記出力グラフ上で逆「V」特性をもたらし、当該逆「V」特性の頂点が、前記患者の眼の位置を特定する
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
2000回のAスキャンの組を取得することで決定された前記患者の眼の位置に基づいて、前記制御エレクトロニクスが前記支持体を移動することにより、前記カメラ対物レンズに対して近づけるか遠ざけることで前記患者の眼を移動させる工程と、
前記制御エレクトロニクスが前記患者の眼の位置の精度を上げるべく1000回のAスキャンの組を取得する工程と、
を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【背景技術】
【0001】
〔関連出願の説明〕
本願は、2014年10月17日に出願された米国特許仮出願第62/065,178号についての米国特許法(35U.S.C.)第119条(e)の優先権を主張する。当該仮出願の全体の内容が、当該参照により、本明細書に完全に記載されているのと同様に、本明細書の一部とされる。パリ条約上の優先権が、明示的に保持される。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、レーザが支援する眼手術システムに対して患者を自動的に位置決めするためのシステム及び方法に関している。
【0003】
〔背景〕
白内障は、眼の水晶体やその嚢―水晶体嚢―の混濁によって形成される。白内障は、水晶体を通る光の通過を妨げる。白内障は、程度が軽度の混濁度から完全な混濁度まで様々な場合がある。加齢性白内障の進行の初期において、レンズの屈折力(度)が増大する場合があり、近視が生じる。レンズの漸次黄変及び混濁化(不透明化)により、青色の知覚が減少する場合がある。それらの波長はそのような水晶体レンズ内で吸収され散乱されるからである。白内障の形成は、典型的には進行が遅く、進行性の視力低下を生じる。もし治療がなされなければ、白内障は失明を引き起こし得る。
【0004】
一般的な白内障治療は、不透明な水晶体を人工眼内レンズ(IOL)で置き換える工程を含んでいる。毎年、世界中で、推定1,500万例の白内障手術が行われている。伝統的には、白内障手術は、水晶体乳化(水晶体乳化吸引)と呼ばれる技術を用いて典型的に実施されており、この水晶体乳化では、関連の潅注及び吸引ポートを備えた超音波チップが、水晶体の比較的硬い核を刻んで前水晶体嚢に作られる開口部を通る取り出しを容易にするために用いられる。水晶体核への接近は、前水晶体嚢切開術を実施することによって行われる場合があり、かかる切開術では、外科器具を用いて小さな丸い穴が水晶体嚢の前方側部に形成される。水晶体核への接近は、マニュアル式(用手)連続曲線水晶体破嚢術(CCC)を実施することによっても可能である。水晶体核の取り出し後、合成フォルダブル(折り畳み)眼内レンズ(IOL)が、眼の残りの水晶体嚢中に挿入され得る。
【0005】
白内障摘出手術において最も技術的に困難で重要な工程の1つは、水晶体乳化(水晶体乳化吸引)によって白内障を除去するために、水晶体核への接近を提供することである。所望の結果は、当該核の水晶体乳化が安全かつ容易に実施され得ると共に人工レンズが容易に挿入され得るような、円滑で連続的な円形開口を提供することである。当該工程の重要性のため、幾人かの外科医は、ミクロケラトーム(微小角膜切刀)や鉗子のような手動ツールよりも、外科的なレーザビームを好む。なぜなら、レーザビームは、非常に少量の眼組織に正確に合焦できるからである。これにより、嚢切開手術の正確さと信頼性とを高めることができる。
【0006】
多くの白内障患者は、屈折特性に関する視力異常、例えば乱視、の状態である。乱視は、角膜曲率が等しくない場合に起こり得る。円環状のIOLが、乱視を矯正するために利用され得るが、正確な回転位置決め及び中心位置決めを必要とする。また、IOLは、典型的には、乱視の5Dを超えた矯正には利用されていない。一方で、多くの患者は、5Dを超えた乱視による視力異常を有している。これらの患者のために、5Dを超えたより高度の矯正は、典型的には、角膜をより球に近い形状にするように再成形することを要求する。角膜の再成形のために、多数の現存するアプローチがある。それらは、角膜形成術、乱視角膜切開術、角膜弛緩切開術(CRI)、角膜縁(リンバス)弛緩切開術(LRI)、等を含んでいる。乱視角膜切開術、角膜弛緩切開術(CRI)及び角膜縁(リンバス)弛緩切開術(LRI)においては、角膜切開が、角膜が形状を変えてより球形になることができるよう、明確に規定されたやり方で所定の深さになされる。
【0007】
幾つかの商業的なレーザ支援眼手術システムが、白内障の除去と乱視の矯正とを容易にするために利用可能である。アボット・メディカルオプティクス社から入手できるCATALYS(カタリス)精密レーザシステムは、前嚢切開術、水晶体破壊術、及び、乱視矯正のための角膜内での単一面乃至複数面の円弧状切開の生成、のために必要とされている。CATALYSシステムは、患者の眼とドッキングする2部品の液体充填インターフェースを用いて、リアルタイムでのビデオ撮影、OCT撮像及びレーザ治療のための明瞭な光路を提供する。CATALYSシステムの特徴は、米国特許第8,394,084号明細書、米国特許第8,500,724号明細書、米国特許第8,425,497号明細書、米国特許出願公開2014/016534A1、2014年4月18日に出願された米国特許出願第14/256,307号(2015年1月15日に米国特許出願公開2015/0018674A1として公開)、及び、2014年4月17日に出願された米国特許出願第14/255,430号(2014年11月20日に米国特許出願公開2014/0343541A1として公開)に開示されている。これら特許文献の全体の内容が、当該参照により、本明細書に完全に記載されているのと同様に、本明細書の一部とされる。レーザ白内障手術のための他のシステムは、アルコン・ラボラトリーズ社から入手できるLenSxLaser(レンズエックスレーザ)、レンザー社から入手できるLENSAR(レンザー)レーザシステム、テクノラス・パーフェクト・ヴィジョン社ないしボシュロム社から入手できるVICTUS(ビクタス)フェムト秒レーザプラットフォームである。
【0008】
現在のシステムにおける1つの欠点は、レーザシステムに対して患者の眼の乱視軸を決定するために費やされる時間であり、また、そのために必要とされる補助装備である。トポグラフィー原理を用いる従来の角膜曲率測定では、患者の眼の乱視軸は、典型的にはLEDの円形パターンによって生成される光の円からの眼の反射を分析することによって、決定されている。当該方法の精度は、乱視度及び乱視軸を評価する際に用いられる測定に影響する多くの要因に依存する。結果的に、レーザ支援手術の準備中において、患者を位置決めして当該患者の眼の乱視度及び乱視軸を決定するための改良された方法及びシステムが、必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、関連技術の制限や欠点に起因する1またはそれ以上の問題を除去するべく、本発明の1つの目的は、改善されたレーザ眼手術システム及び関連の方法を提供することである。レーザ眼手術システムは、レーザを用いて、角膜内、水晶体嚢内、及び/または、水晶体核内に正確な切開創を形成する。好適な実施形態では、レーザ眼手術システムは、眼内の組織を切開するためのレーザパルス治療ビームを生成するレーザ切断サブシステムを含んでいる。それは、更に、切開創が形成され得る眼の外部及び内部構造の空間的配置を測定するための光学的コヒーレンストモグラフィー(OCT)スキャニングサブシステムを含んでいる。レーザ眼手術システムは、更に、アラインメントサブシステムと、治療ビームをスキャンするよう動作可能な共用光学系と、当該レーザ眼手術システムに対するアラインメントサブシステムと、を含んでいる。アラインメントサブシステムは、例えば、レーザ眼手術システムに対する眼のドッキング中に眼の画像を提供するために用いられ得るビデオサブシステムを含み得る。好適な実施形態では、液体インターフェースが、患者インターフェースレンズと眼との間に用いられる。液体インターフェースの利用は、患者の眼に不所望の力が加えられることを回避して、患者の不快感や角膜内の皺を低減する。アラインメントサブシステム及びOCTサブシステムは、患者インターフェースに関連する構造を検出するために利用されてもよい。
【0010】
本発明は、全体のレーザ眼手術システムにおける様々なサブシステムに対して、患者の眼を自動的に位置決めするための多数の技術を提供する。好適には、様々なサブシステムは、その下で患者が上向きに横たわった状態である、単一のユニット内に位置する。患者は、機械的な位置決めサブシステムを有する水平な患者支持椅子(支持体)の上にいる。当該位置決めサブシステムは、その椅子(支持体)の中に埋め込まれていて、様々なサブシステムを制御するのと同一のエレクトロニクスによって制御される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
患者を自動的に位置決めするための第1の例示的な技術は、OCTサブシステムを用いた閉ループ反復法を利用して、対物カメラレンズから眼までのZ軸距離を決定する。当該方法は、カメラレンズと眼との間の距離を測定するためにOCTスキャナを利用する工程と、患者の支持椅子の鉛直方向位置を調整する工程と、カメラレンズと眼との間の距離を再測定する工程と、を含む。これらの工程は、幾つかの測定パラメータ(metrics)に依存して、カメラレンズと眼との間の最適な距離が得られるまで継続される。例えば、カメラレンズと眼との間の最適な距離は、円形の光ドットパターンからの眼の反射の焦点が合っているか、または、非常に明瞭なコントラストがある時に生じている。反射のコントラストを最大にするカメラ対物レンズから角膜までの最適な距離は、光学システムの理論的な解析によって予め決定され得る。
【0012】
ある実施形態において、レーザ眼手術システムは、レーザ眼手術システムの下側のカメラ対物レンズと患者の眼との間の距離を検出するために用いられる光学的コヒーレンストモグラフィー(OCT)サブシステムを含んでいる。制御エレクトロニクスが、検出された距離を所定の目標距離と比較して、可動の患者支持体を、検出された距離が所定の目標距離になるまで、カメラ対物レンズに対して近づけるか遠ざけることで再位置決めする。これに続く測定は、カメラ対物レンズと患者の眼との間の間隙(距離)に依存して実施され、例えば、同心リング上に配置された複数のLED点光源やドットの眼からの反射を観察することによって、乱視軸を決定する。
【0013】
第2の例示的な技術も、閉ループ反復を利用して、一連のLEDの眼からの反射の視認可能なコントラストを測定して、最大化する。例えば、個別のLEDを有する円形の一連の光パターンが眼上に照射され得て、その反射が観察されて、眼の乱視軸が決定される。自動的な位置決め技術は、反射されたLEDのコントラストが最大化されるまで、患者の支持椅子を第一方向に移動させる工程を含む。当該コントラストは、隣接する画像の減算によって、あるいは、環状マスクが適用された後の2dフーリエの中央範囲周波数のパワーを平均化することによって、最大化され得る。
【0014】
レーザ眼システムに対して患者を自動的に位置決めする更なる方法は、LEDドットの画像の焦点が合っている時点を決定するために、位相検出サブシステムを利用する。フェースディテクタにおいて分離反射光が一緒に記録される時、画像、従って椅子の位置、が最適化される。もし最適でない場合、分離反射光を一緒に記録するべく椅子が移動する。
【0015】
最後に、患者を自動的に位置決めする別の方法は、反射画像を集めるライトフィールド測定を用いて、反射光が画像の焦点合わせを開始した距離をプロセッサが計算する。この距離が、椅子を正しい高さへ駆動するために用いられ得る。
【0016】
この発明の概要及び以下の詳細な説明は、単なる例示であり、図式的であり、説明的であり、特許請求の範囲に規定された本発明の更なる説明を提供するものであって、本発明を限定することは意図されていない。本発明の付加的な特徴及び利点は、以下の詳細な説明に規定されていて、部分的には詳細な説明から自明であるし、また、実践によって学ばれ得る(習得され得る)。本発明の目的及び他の利点は、詳細な説明、特許請求の範囲、及び、添付の図面、に特に指摘される構造によって実現され、達成されるであろう。
【0017】
本明細書において言及されている全ての刊行物、特許及び特許出願は、当該参照による引用により、個々の刊行物、特許又は特許出願の各々が本明細書中に具体的に且つ個々に記載されているのと同じ程度に、これらの記載内容の全体が本明細書の一部である。
【0018】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本発明の特徴及び利点の良好な理解は、本発明の原理を利用した例示的な実施形態を説明している以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することで得られるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
レーザ眼手術に関する方法及びシステムが開示される。レーザが、角膜内、水晶体嚢内、及び/又は、水晶体核内に正確な切開創を形成するために用いられる。好適な実施形態では、レーザ眼手術システムは、眼内の組織を切開するためのレーザパルス治療ビームを生成するレーザ切断サブシステム、切開創が形成され得る眼の外部及び内部構造の空間的配置を測定するためのレンジングサブシステム、アラインメントサブシステム、治療ビームをスキャンするよう動作可能な共用光学系、レンジングサブシステム、及び/または、当該レーザ眼手術システムに対するアラインメントサブシステム、を含んでいる。アラインメントサブシステムは、例えば、レーザ眼手術システムに対する眼のドッキング中に眼の画像を提供するために用いられ得るビデオサブシステムを含み得て、ドッキング処理が完了した後の眼の画像を提供し得る。好適な実施形態では、液体インターフェースが、患者インターフェースレンズと眼との間に用いられる。液体インターフェースの利用は、患者の眼に不所望の力が加えられることを回避する。
【0028】
本発明は、レーザ支援眼手術システムに対して患者を自動的に位置決めするためのシステム及び方法に関している。ここで説明される位置決め技術は、乱視軸を決定する間に患者の眼とカメラとの間で好適な距離を迅速に確立することを含む、多数の目的のために利用され得る。別の利用は、角膜の屈折度または曲率を測定する時、患者の眼を迅速に位置決めすることである。多数の異なる技術がここで説明されるが、それらの各々が、例えば背景技術の欄において説明された商業的なシステムのような様々なレーザ支援眼手術システムと共に用いられ得る。好適なそのような商業的なシステムは、アボット・メディカルオプティクス社から入手できるCATALYS(カタリス)精密レーザシステムである。好適な自動位置決め技術の詳細な説明に入る前に、レーザ支援眼手術システムの主要な構成要素が説明される。
【0030】
図1は、角膜内、水晶体嚢内、及び/又は、水晶体核内に正確な切開創を作るよう動作できる、本発明の実施形態としてのレーザ眼手術システム2を示している。システム2は、診断及び介入ユニット4、患者チェア6、デュアルファンクションフットスイッチ8、及びレーザフットスイッチ10を含む。
【0031】
診断及び介入ユニット4は、システム2の多くの主要サブシステムを含む。例えば、外部から視認できるサブシステムは、タッチスクリーン制御パネル12、患者インターフェース組立体14、患者インターフェース真空接続部16、ドッキング制御キーパッド18、患者インターフェース無線認証(RFID)リーダ20、外部接続部22(例えば、ネットワーク、ビデオ出力、フットスイッチ、USBポート、ドアインターロック、及びAC電力)、レーザエミッション指示器24、非常時レーザ停止ボタン26、キースイッチ28、及び、USBデータポート30を含む。
【0032】
患者チェア6は、ベース32、患者支持ベッド34、ヘッドレスト36、位置決め機構体(内部にあって不図示)、及び、ヘッドレスト36上に設けられた患者チェアジョイスティック制御部38、を含む。位置決め制御機構体は、ベース32と患者支持ベッド34とヘッドレスト36との間に結合されている。患者チェア6は、患者チェアジョイスティック制御部38を用いて3つの軸線(x,y,z)において調節され差し向けられる(方向付けられる)よう構成されている。ヘッドレスト36及び拘束システム(図示していないが、例えば、患者の額に係合する拘束ストラップ)は、手技中、患者の頭を安定化する。ヘッドレスト36は、患者に快適さをもたらすと共に患者の頭の動きを減少させる調節可能な頸部支持体を含む。ヘッドレスト36は、患者に快適さをもたらすと共に患者の頭のサイズのばらつきに対応するために、患者の頭の位置の調節を可能にするよう鉛直方向に調節可能であるように構成されている。
【0033】
患者チェア6は、手動調節を用いて、患者の脚部、胴、及び頭の傾斜関節運動を許容する。患者チェア6は、患者負荷位置、吸引リング捕捉位置、及び患者治療位置に対応している。患者負荷位置では、チェア6は、患者チェアが直立位置に戻った状態で且つ患者フットレストが下降位置にある状態で、診断及び介入ユニット4の下から回転する。吸引リング捕捉位置では、チェアは、患者チェアがもたれ位置に戻った状態で且つ患者フットレストが持ち上げ位置にある状態で、診断及び介入ユニット4の下から回転する。患者治療位置では、チェアは、患者チェアがもたれ位置に戻った状態で且つ患者フットレストが持ち上げ位置にある状態で、診断及び介入ユニット4の下に回転する。
【0034】
患者チェア6は、意図しないチェアの運動を生じさせないようにする「チェアイネーブル(chair enable)」特徴を備えている。患者チェアジョイスティック38は、2つのやり方のうちのいずれにおいても使用可能にすることができる。第1に、患者チェアジョイスティック38は、ジョイスティックの頂部上に配置された「チェアイネーブル」ボタンを有する。「チェアイネーブル」ボタンを連続的に押すことによって、ジョイスティック38による患者チェア6の位置の制御をイネーブルにすることができる。変形例として、デュアルファンクションフットスイッチ8の左側フットスイッチ40を連続的に押すと、ジョイスティック38による患者チェア6の位置の制御をイネーブルにすることができる。
【0035】
好適な実施形態で、患者制御ジョイスティック38は、比例制御器である。例えば、ジョイスティックを僅かな量動かすことにより、チェアがゆっくりと動くようにすることができる。ジョイスティックを多くの量動かすと、チェアは、速く動くことができる。ジョイスティックをその最大移動限度に保持すると、チェアは、最大チェア速度で動くことができる。有効チェア速度は、患者が患者インターフェース組立体14に近づくにつれて減少されることができる。
【0036】
非常時停止ボタン26を押すと、全てのレーザ出力のエミッションを停止させ、患者をシステム2に結合している真空を解除し、そして患者チェア6をディスエーブルにすることができる。停止ボタン26は、キースイッチ28に隣接した状態でシステムフロントパネル上に設けられている。
【0037】
キースイッチ28を用いると、システム2をイネーブルにすることができる。待機位置にあるとき、キーを取り外すことができ、するとシステムがディスエーブルになる。動作可能位置にあるとき、キーは、システム2への電力をイネーブルにする。
【0038】
デュアルファンクションフットスイッチ8は、左側フットスイッチ40及び右側フットスイッチ42を含むデュアルフットスイッチ組立体である。左側フットスイッチ40は、「チェアイネーブル」フットスイッチである。右側フットスイッチ42は、「真空ON」フットスイッチであり、このフットスイッチは、液体光学系インターフェース吸引リングを患者の眼に固定するよう真空をイネーブルにする。レーザフットスイッチ10は、システムがイネーブルにある状態で押されたときに治療レーザを作動させるシュラウド付きフットスイッチである。
【0039】
好適な実施形態で、システム2は、外部通信接続部を含む。例えば、システム2は、当該システム2をネットワークに接続するネットワーク接続部(例えば、RJ45ネットワーク接続部)を含むのが良い。ネットワーク接続部を用いると、治療報告のネットワーク印刷、システム性能ログを見るためのリモートアクセス、及びシステム診断を実施するためのリモートアクセス、をイネーブルにすることができる。システム2は、当該システム2により実施される治療のビデオを出力するために用いることができるビデオ出力ポート(例えばHDMI)を含むのが良い。出力ビデオは、例えば家族が見るため且つ/或いは訓練のため、外部モニタ上に表示するのが良い。出力ビデオは又、例えば永久記録保存目的で記録されるのが良い。システム2は、例えばデータ記憶装置への治療報告のエクスポートをイネーブルにするよう、1つ又は2つ以上のデータ出力ポート(例えば、USB)を含むのが良い。データ記憶装置上に記憶された治療報告は、任意適当な目的で、例えば、ユーザがネットワークを利用した印刷へのアクセス手段を持たない場合に外部コンピュータからの印刷のために、後でアクセスすることができる。
【0040】
図2は、患者眼43に結合されたシステム2の単純化されたブロック図である。患者眼43は、角膜、水晶体及び虹彩を有する。虹彩は、眼43とシステム2とのアラインメントを得るために使用できる眼43の瞳孔を定める。システム2は、切断レーザサブシステム44、OCT撮像システム46、アラインメント誘導システム48、共用光学系50、患者インターフェース52、制御エレクトロニクス54、制御パネル/GUI56、ユーザインターフェース装置58、及び、通信経路60を含む。制御エレクトロニクス54は、通信経路60を介して、切断レーザサブシステム44、OCT撮像システム46、アラインメント誘導サブシステム48、共用光学系50、患者インターフェース52、制御パネル/GUI56、及びユーザインターフェース装置58に作動的に結合されている。
【0041】
好適な実施形態で、切断レーザサブシステム44は、フェムト秒(FS)レーザ技術を利用している。フェムト秒レーザ技術を用いることによって、短い持続時間(例えば、持続時間が約10
-13秒)のレーザパルス(エネルギーレベルがマイクロジュール範囲にある)を厳密に合焦された箇所に送り出して組織を破壊することができ、それにより、水晶体核の超音波断片化に必要なレベルと比較して且つ長い持続時間を有するレーザパルスと比較して、必要なエネルギーレベルを実質的に減少させることができる。
【0042】
切断レーザサブシステム44は、システム2の構成に適した波長を有するレーザパルスを生じさせることができる。非限定的な例を挙げると、システム2は、1020nm〜1050nmの波長を有するレーザパルスを提供する切断レーザサブシステム44を使用するよう構成されているのが良い。例えば、切断レーザサブシステム44は、1030(±5)nm中心波長をもつダイオード励起固体形態を有するのが良い。
【0043】
切断レーザサブシステム44は、制御及び状態調節コンポーネントを含むのが良い。例えば、かかる制御コンポーネントは、例えばレーザパルスのエネルギー及びパルス列の平均電力を制御するためのビーム減衰器、レーザパルスを含むビームの断面空間広がりを制御するための固定アパーチュア、ビーム列のフラックス及び繰り返し率及びかくしてレーザパルスのエネルギーをモニタするための1つ又は2つ以上の電力モニタ、及びレーザパルスの伝送を可能にしたり遮断したりするためのシャッタ、のようなコンポーネントを含むのが良い。かかる状態調節コンポーネントは、レーザパルスを含むビームをシステム2の特性に適合させる調節可能なズーム組立体、及び、レーザパルスビームの位置及び/又は方向に関する変動性を許容してそれによりコンポーネントのばらつきのための裕度(tolerance)を増大させながらレーザパルスを或る距離にわたって伝えるための固定光学リレー、を含むのが良い。
【0044】
OCT撮像システム46は、眼構造の空間配置状態を3つの寸法方向で測定するよう構成されている。測定される眼構造としては、角膜の前面及び後面や、水晶体嚢、虹彩及び角膜縁の前方部分及び後方部分、が挙げられる。好適な実施形態で、OCT撮像システム46は、光干渉トモグラフィー(OCT)画像化を利用している。非限定的な例を挙げると、システム2は、780nm〜970nmの波長を用いたOCT画像化システムを使用するよう構成されるのが良い。例えば、OCT撮像システム46は、810nm〜850nmの波長の広域スペクトルを採用したOCT画像化システムを含むのが良い。かかるOCT画像化システムは、眼内におけるOCT測定の有効深さを調節し、それにより深さが角膜の前面から水晶体嚢の後方部分までの範囲そしてこれを超える範囲にわたる眼の角膜及び眼の構造、の前方に位置する患者インターフェースの特徴を含むシステムコンポーネントの測定を可能にする、というように調節可能な基準経路長を採用するのが良い。
【0045】
OCT撮像システムの構成については、多くの好適な可能性がある。例えば、代替的な好適な構成は、時間及び周波数ドメインアプローチ、シングル及びデュアルビーム法、掃引源、等を含む。それらは、米国特許第5,748,898号明細書、米国特許第5,748,352号明細書、米国特許第5,459,570号明細書、米国特許第6,111,645号明細書及び米国特許第6,053,613号明細書に開示されている。
【0046】
アラインメント誘導サブシステム48は、システム2の光学コンポーネントを整列させるために用いられるレーザビームを生じさせるレーザダイオード又はガスレーザを含むのが良い。アラインメント誘導サブシステム48は、ドッキング及び治療中、患者の眼を位置合わせすると共に安定化するのを助けるための固視光を生じさせるLED又はレーザを含むのが良い。アラインメント誘導サブシステム48は、レーザ又はLED光源、及び、ビームをX,Y,及びZ方向に位置決めするために用いられるアクチュエータのアラインメント及び安定性をモニタするための検出器、を含むのが良い。アラインメント誘導サブシステム48は、患者の眼の画像化を可能にして患者インターフェース52への患者の眼43のドッキングを容易にするために使用できるビデオシステムを含むのが良い。ビデオシステムにより提供される画像化システムは又、GUIを介して切れ目の所在位置を指図するために使用できる。ビデオシステムにより提供される画像化は、更に、手技の進捗状況をモニタし、手技中における患者の眼43の運動(眼球運動)を追跡し、眼の構造、例えば瞳孔及び/又は角膜縁、の所在位置及びサイズを測定するために、レーザ眼手術手技中に使用可能である。
【0047】
共用光学系50は、患者インターフェース52と、切断レーザサブシステム44、OCT撮像システム46、及びアラインメント誘導サブシステム48の各々と、の間に設けられた共通伝搬経路を提供する。好適な実施形態で、共用光学系50は、それぞれのサブシステム(例えば、切断レーザサブシステム44及びアラインメント誘導サブシステム48)からの放出光を受け取って放出光の向きを共通伝搬経路に沿って患者インターフェースに向けるためのビームコンバイナを含む。好適な実施形態で、共用光学系50は、各レーザパルスを焦点に集束させ又は合焦させる対物レンズ組立体を含む。好適な実施形態で、共用光学系50は、それぞれの放出光を3つの寸法方向に走査するよう動作可能な走査機構体を含む。例えば、共用光学系は、XY‐走査機構体及びZ‐走査機構体を含むのが良い。XY‐走査機構体を用いると、それぞれの放出光を、当該それぞれの放出光の伝搬方向を横切る2つの寸法方向に走査することができる。Z‐走査機構体を用いると、眼43内の焦点の深さを変化させることができる。好適な実施形態で、走査機構体は、レーザダイオードと対物レンズとの間に設けられ、その結果、走査機構体は、レーザダイオードによって生じたアラインメントレーザビームを走査するために用いられるようになっている。これとは対照的に、好適な実施形態で、ビデオシステムは、走査機構体がビデオシステムにより得られた像に影響を及ぼすことがないように、走査機構体と対物レンズとの間に配置されている。
【0048】
患者インターフェース52は、患者の眼43の位置をシステム2に対して拘束するために用いられる。好適な実施形態で、患者インターフェース52は、真空の作用で患者の眼43に取り付けられる吸引リングを採用している。吸引リングは、例えば真空を用いて当該吸引リングを患者インターフェース52に固定することで、患者インターフェース52に結合される。好適な実施形態で、患者インターフェース52は、患者の角膜の前面から鉛直に位置がずらされた後面を有する光学的に透過性の構造(レンズ)を含み、適当な液体(例えば、滅菌緩衝生理的食塩水(BSS))の領域が当該後面及び患者の角膜に接触した状態でこれらの間に配置されており、かかる適当な液体領域は、共用光学系50と患者の眼43との間の伝送経路の一部をなしている。光学的に透過性の構造は、1つ又は2つ以上の湾曲した表面を有するレンズ84(
図3参照)を含むのが良い。変形例として、患者インターフェース52は、1つ又は2つ以上の実質的に平坦な表面、例えば平行なプレート又はウェッジ、を有する光学的に透過性の構造を含んでも良い。好適な実施形態で、患者のインターフェースレンズは、使い捨てであり、これを任意適当な間隔で、例えば各眼治療前に、交換するのが良い。
【0049】
制御エレクトロニクス54は、切断レーザサブシステム44、OCT撮像システム46、アラインメント誘導サブシステム48、患者インターフェース52、制御パネル/GUI56及びユーザインターフェース装置58の動作を制御すると共に通信経路60を介してこれらからの入力を受け取ることができる。通信経路60は、任意適当な形態で具体化でき、かかる形態としては、制御エレクトロニクス54とそれぞれのシステムコンポーネントとの間の任意適当な共用又は専用の通信経路が挙げられる。
【0050】
制御エレクトロニクス54は、任意適当なコンポーネント、例えば1つ又は2つ以上のプロセッサ、1つ又は2つ以上の書き換え可能ゲートアレイ(FPGA)、及び1つ又は2つ以上のメモリ記憶装置、を含むのが良い。好適な実施形態で、制御エレクトロニクス54は、ユーザ指定の治療パラメータに従って術前計画を提供すると共にレーザ眼手術手技に対するユーザ管理を提供するよう、制御パネル/GUI56を制御する。
【0051】
制御エレクトロニクス54は、システム動作に関する計算を実施して様々なシステム要素に制御信号を提供するために用いられるプロセッサ/コントローラ55(ここではプロセッサと称される)を含み得る。コンピュータ可読媒体57(データベースやメモリとも称される)が、プロセッサ及び他のシステム要素によって用いられるデータを記憶するために、プロセッサ55に結合されている。プロセッサ55は、本明細書を通してより完全に説明されるように、システムの他の構成要素と相互作用する。一実施形態では、メモリ57は、ここで説明されるようなレーザシステムの1または複数の構成要素を制御するために用いられ得るルックアップテーブルを含み得る。
【0052】
プロセッサ55は、例えばカリフォルニア、サンタクララのインテル社によって製造されているペンチアムプロセッサのような、命令(指令)及びデータを実行するように構成された汎用マイクロプロセッサであり得る。それはまた、ソフトウェア、ファームウェア、及び/または、ハードウェアにおいて本発明の実施形態による方法を実施するための命令の少なくとも一部を具現化するアプリケーション固有の集積回路(ASIC)であり得る。一例として、そのようなプロセッサは、専用回路、ASIC、組合せ論理回路、他のプログラマブルプロセッサ、それらの組合せ等を含む。
【0053】
メモリ57は、特定の用途に適切であるように、局所的であり得る、あるいは、分配され得る。メモリ57は、プログラム実行中に命令及びデータを記憶するための主読取り書込み記憶装置(RAM)及び一定の命令が記憶された読取り専用記憶装置(ROM)を含む多くのメモリを含み得る。かくして、メモリ57は、プログラム及びデータファイルのためのパーシステント(不揮発性)記憶装置をもたらし、メモリは、関連リムーバブルメディアと一緒のハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、フロッピディスクドライブ、コンパクトディスク読取り専用記憶装置(CD‐ROM)ドライブ、光学ドライブ、リムーバブルメディアカートリッジ、及び、他の同様な記憶媒体、を含み得る。
【0054】
ユーザインターフェース装置58は、ユーザ入力を制御エレクトロニクス54に提供するのに適した任意適当なユーザ入力装置を含むことができる。例えば、ユーザインターフェース装置58は、例えばデュアルファンクションフットスイッチ8、レーザフットスイッチ10、ドッキング制御キーパッド18、患者インターフェース無線認証(RFID)リーダ20、非常時レーザ停止ボタン26、キースイッチ28、及び患者チェアジョイスティック制御部38、のような装置を含むのが良い。
【0055】
図3を参照して、患者インターフェース52の一実施形態が、
図1を参照して説明されたような診断及び介入ユニット4とインターフェースした状態で、図示されている。患者インターフェース52は、眼43と接触する界面シール構成80と、焦点レンズ84を収容する円錐状下方ハウジング部82と、診断及び介入ユニット4と機械的にインターフェースして結合するように構成された基端側特徴部を有する円筒状上方ハウジング部86と、を有する、好適には、図示の実施形態及び他の以下の実施形態において、患者インターフェース52は、患者の眼との結合に起因して当該インターフェースに適用されている負荷に関する出力信号やフィードバックをオペレータに提供するように構成された1または複数のロードセルやロードセンサ(例えばハネウェル社から入手可能なMEMSロードセンサ)を有するプラットフォームのような、負荷検出インターフェースと共に、診断及び介入ユニット4に結合される。すなわち、そのような負荷が、患者インターフェースアセンブリ52によって患者の眼に適用されている接触負荷を表しているので、モニタリングされ得る。このフィードバックは、患者をシステムに結合している間、ベース32と患者支持ベッド34とヘッドレスト36(
図1参照)との間の制御機構を位置決めする方向の調整の際に利用するべく、制御パネル/GUI56上でユーザに提供され得る(
図2参照)。
【0056】
図4は、レンズ84の先端特徴部(面)90が眼43の角膜及び/強膜92と直接接触するように置かれている焦点レンズ84の一実施形態を図示している。切断レーザサブシステム44のスキャンビーム94が、ユニット4を出て、レンズ84の基端面96を横切り、レンズを通過して、先端面90を横切って出て、角膜及び/強膜92を横切り、水晶体レンズ98に到達して、嚢切開のような介入工程を促す。
【0058】
例示的なレーザ支援眼手術システムについての先行する説明は、本発明が有用であるという内容を提供している。例えば、ここで説明される自動的な位置決め技術は、患者の乱視軸をより正確かつ迅速に決定するために利用され得る。結果的に、患者インターフェースアセンブリ52を介して切断レーザサブシステム44を用いる次の工程が、乱視軸の位置の情報と共に実施される。本発明の自動位置決め技術は、図示のように患者インターフェースアセンブリ52に係合する前に達成され、レーザ手術工程のために既に用いられている装備に対して付加的な装備を必要としない。さらに、当該自動位置決め技術は、以前に用いられていた技術より正確である。従って、乱視軸の位置特定がより正確であり、より良好な結果をもたらす。
【0059】
図5は、本発明のレーザ眼手術システムに組み込まれた、患者位置の設定(及び乱視軸決定)のための自動的な患者位置決めシステムの形態の平面図を示す単純化されたブロック図である。前述の診断及び介入ユニット4は、OCTスキャナ100、ビデオカメラであり得るカメラ102、複数の同心円配置の点光源LEDまたはドットを有して患者の眼43に向けて下方へと照射する光源104、を収容して示されている。前述のように、患者は、ヘッドレスト36と内部位置決め機構(
図1)とを有する患者支持ベッド34上に横たわっている。それらは、ここでは、可動の患者支持体106によって象徴的に表されている。患者支持体106に隣接した鉛直方向の双方向矢印は、それが自動的に鉛直方向に調整され得ることを示している。もっとも、それは、水平方向調整も可能であり得ると理解されるべきである。更に、カメラ102に隣接した鉛直方向の破線の双方向矢印は、所望の距離を確立する代替策として、静止した患者支持体106に対してカメラ102が移動され得ることを示すことが、意図されている。これらのサブシステムまたは構成要素の各々は、システムの制御エレクトロニクス54と通信しており、制御パネル56及びユーザインターフェース装置58によって指示されモニタリングされる。
【0060】
図6は、乱視軸の決定中、診断及び介入システム4の下方に位置決めされた患者の側面図である。OCTスキャナ100は、光源104上に直接位置決めされることによって、あるいは、前述のような共用光学系50を介して位置決めされることによって、光源104の中心を通って眼43に向けて下方に焦点合わせされる。同様に、カメラ102の対物レンズ108は、光源104の中心を通って眼43に向けて下方に照準合わせされる。カメラ102は、従って、光源104の個々のLEDからの眼の反射を捕捉して評価するべく、上方から見た眼の画像を提供する。これは、角膜のトポグラフィーを捕捉し、より円錐に近い角膜の険しい(steep)軸測定を提供する。光源104の反射のコントラストを最大化するカメラ対物レンズ108から角膜までの最適な距離は、光学系の理論的分析によって、あるいはシミュレーションによって、予め決定され得る。
【0061】
距離最適化の主要な利点は、角膜の乱視度及び乱視軸の正確な決定である。角膜の乱視測定における重要な誤差要因は、機械に対する角膜の位置の情報である。角膜の位置の正確な情報(知識)は、光源の反射の正確な焦点に加えて、次の計算に影響する。この点で、カメラ対物レンズ108から角膜までの正確な距離を確立することは、主要な関心事である。一方、焦点を最大化(最適化)することは、二次的なことである。更に、眼と対物レンズとの間の距離の調整は、前述のように、椅子または対物レンズを互いに対して相対的に移動させることによって、なされ得る。同様に、OCTは、他の何かを移動させる必要無しで、距離を測定するために用いられ得る。
【0062】
光源LEDの反射をカメラ対物レンズ108上に焦点合わせするべく患者を自動的に位置決めするための例示的な技術は、可動の患者支持体106または椅子の鉛直方向移動を駆動するための位置センサとしてのOCTを用いた閉ループ反復を含んでいる。まず、1000Hzで取得された2000回のAスキャンの組が、対物レンズから眼までの最初の距離を測定する。OCT100の焦点は、常に、ゼロの「光路距離」にできるだけ近づくように置かれる。「光路距離」は、OCTによって撮像される空間のウィンドウを制御するべく、Zedエンコーダと共に変化される。「光路距離」は、連続的に、20mmの範囲を通して掃引され、Aスキャンの各々は、漸次的に前回の画像よりも深い領域を撮像する。眼43の角膜のような静止した対象物は、このZed運動を用いると傾斜線のように見える。OCT画像は、スペクトルの実成分と虚成分との和であるから、それらは、ゼロの「光路長」の下方にあるものと、その上方にあるものと、の和を表示して、
図7に示すように、静止対象物を逆V字のように見せる。これは、容易に検出可能である。逆V字の頂点は、ゼロの「光路長」が眼の表面であった時に獲得されるAスキャンの内部に存在している。この方法は、カメラ102の対物レンズ108に対する眼の距離の大変に正確な測定をもたらす。カメラの位置は、OCTスキャナレンズに対して固定されて知られている。
【0063】
好適な実施形態では、外科医は、OCT制御された椅子移動を開始するべく、ジョイスティックコントローラ38上のボタンのようなコントローラを押下して当該押下状態を維持する。次の工程は、検出された位置と整合するように椅子106を移動させることである。椅子の速度は、患者の体重に依存するし、システム毎の変動もあるので、最終的な位置が目標から僅かに離れているということがあり得る。この場合、前述の処理の第2の反復が実施される。第2の反復のために、(それらが必要とされる場合、)1000回のAスキャンのみが利用される。より短いOCT時間は、眼43の位置のより良い推定が存在していることのために、正当化される。好適には、反復アルゴリズムは、医者がコントローラを押下している間のみ作用して、医者がコントローラの押下を停止する場合、椅子の動きは止まる。椅子106は、また、コントローラボタンが依然として押下されていても、LEDの反射が焦点合わせされるか最大のシャープネスを有するという所定の光学位置に到達する時、停止する。この処理の間、対物レンズ108内の力センサ(不図示)が、当該対物レンズと患者との接触のために綿密にモニタリングされる。この場合(接触がある場合)において、椅子は、対物レンズから離れるように後退され、反復が停止される。眼がOCTによって所定の目標位置から許容範囲内にあると測定されると、外科医はある映像を得て、その結果が眼43と対物レンズ108との間の適切な位置決めに依存するような機能を実施するべく処置を進めることができる。
【0064】
すなわち、当該システムは、乱視軸を測定し、角膜の屈折度または曲率を測定し、幾つかの他のそのような機能を実施する。例えば、カメラ102は、光源104の眼43からの反射の画像を捕捉する。当該画像は、外科医による直接的な評価のために、コントロールパネル56上で見ることができ、例えば切断レーザサブシステム44の動作を制御する時のように、制御エレクトロニクス54による利用のために内部に記憶される。
図8A、
図8B及び
図8Cは、診断及び介入システム4内のカメラ102によって見られる、光源104の眼43からの反射光の異なる図である。各画像は、ドットすなわちLED点反射の4つの同心リングを示している。もっとも、より多数またはより少数のリングが用いられ得る。好適な実施形態は、2〜4個の間のリングである。
図8Aは、乱視がほとんど認められないか全く無いことを示す、LED点の円形状配列の反射である比較的均一な同心円形状パターンを示している。
図8Bは、僅かな乱視を示す、中央軸から僅かにずれた楕円状の反射LED点のパターンを示している。
図8Cは、極度の乱視を示す、大変不規則な中央軸からずれたパターンを示している。各々の場合において、乱視軸の方向は、反射ドットのパターンから決定され、その結果は、レーザ眼手術システムのメモリ57に記憶される。
【0065】
レーザシステムに対して患者を自動的に位置決めするための代替的な技術は、LEDの反射を含むビデオ画像の一部からコントラストのメトリック(指標)を計算することである。患者支持体106は、ある短距離だけ対物レンズ108から離れるように移動され、コントラストが再度測定される。コントラストが改善すれば、システムは、コントラストが最悪になるまで、椅子106の同じ方向の移動を継続し、それまでの最大のコントラスト位置まで戻る。他方、コントラストが最悪になると、コントラストが低減するまで、システムは椅子106を対物レンズ108に向けて移動させ、最大のコントラスト位置に戻る。このプロセスは、幾つかのカメラが有しているオートフォーカスの特徴に類似している。
【0066】
第3の方法は、幾つかのカメラのオートフォーカス機構で利用されているが、位相検出である。部分的なビームスプリッタが、反射画像から幾つかの光をピックオフして、それを多数のマイクロレンズ対に差し向ける。これらのレンズは、小さな独立のセンサに向けて突出している。それらのデータは、例えば相互相関によって、比較され得る。これらのセンサの対は、カメラ102の視野の特定領域に対応しているので、焦点へと移動すべき方向が直接的に見出だされ得る。より複雑ではあるが、これは、より迅速な焦点の発見と位置決めを許容する。
【0067】
第4の方法は、反射画像を測定するべく、ライトフィールドカメラを用いる。この種のカメラは、1回の測定によって、各々が異なる焦点面を有する幾つかの画像をもたらし得る。それらは、センサの前方のマイクロレンズアレイを用いて、入射光の位置だけでなくそれらが入射する角度をも測定することで、そのことを達成する。このデータから、ドットの焦点が合わされる面が計算され得て、ドットのカメラセンサからの現在距離を生成できる。この距離は、椅子を正確な方向に直接的に移動させるべく、用いられ得る。位相検出と同様に、この方法は、最初の位置決めのより緩い許容誤差に加えて、データから方向移動を考慮する。但し、計算の複雑さや計算時間はより大きいという欠点もある。
【0068】
これらの方法の全てが、虹彩登録が要求される応用においても、同様に利用され得る(例えば、VISXエキシマレーザ)。角膜上のドットの反射に向かって収束する代わりに、フィードバック情報は、虹彩面をもっともシャープな焦点にもたらすべく患者の椅子を駆動させるであろう。
【0069】
本発明の説明との関連において英文明細書における用語“a”、“an”、“the”及び類似の用語の使用は、本明細書において別段の指定がなければ又は文脈上明白に矛盾しなければ、単数と複数の両方を含むものと解されるべきである。英文明細書における用語“comprising”(「〜を有する」と訳されている場合が多い)、“having”(「〜を有する」と訳されている場合が多い)、“including”(「〜を含む」と訳されている場合が多い)及び“containing”(「〜を含む」と訳されている場合が多い)は、別段の規定がなければ、非限定的な用語(即ち、“including, but not limited to,”(「〜を含むが、〜には限定されない」)を意味している)として解されるべきである。用語“connected ”(「連結され」)は、何らかの介在が存在している場合であっても、部分的又は全体的に収納され、取り付けられ、又は互いに接合されると解されるべきである。本明細書における値の範囲についての記載は、別段の指定がなければ、その範囲に含まれる別々の各値を個別的に言及している手短な方法としての役目を果たすに過ぎず、別々の各値は、これが個別的に本明細書に記載されているかのように明細書に含まれる。本明細書において説明した方法は全て、別段の指定がなければ又は文脈上明確に矛盾しなければ、任意適当な順序で実施できる。本明細書において提供される任意の及び全ての実施例又は例示の用語(例えば、“such as ”(「例えば」と訳されている場合が多い))の使用は、本発明の実施形態を良好に示すに過ぎず、別段のクレーム請求がなければ、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中、クレーム請求されていない何らかの要素を本発明の実施に必要不可欠なものとして指示するもの、と解されるべき用語は存在しない。
【0070】
本発明の好適な実施形態を図示すると共に、ある程度の具体性を伴って例示的な形態で説明したが、かかる実施形態は、例示として提供されているに過ぎないことが当業者には明らかであろう。本発明の精神ないし範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることを、当業者は理解するであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物として表現された当該発明の精神及び範囲内のものである、修正、代替的構成、変更、置換、変化、の全てを包含し、部品、構造、工程の組合せ乃至配置をも包含する、ということが意図されている。