(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜12何れか1項記載の少なくとも一つの化合物を含む電子素子であって、ここで、電子素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機ソーラーセル、有機染料感受性ソーラーセル、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子、発光電子化学セル、有機レーザーダイオードおよび有機プラスモン発光素子より成る群から選ばれる、電子素子。
請求項1〜12何れか1項記載の化合物が、正孔輸送もしくは正孔注入もしくは励起子ブロッック層中で正孔輸送材料として、または、発光層中で蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用されることを特徴とする、請求項17記載の電子素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子での使用のための材料およびこれらの材料を含む電子素子に関する。
【0002】
有機半導体が機能性材料として用いられる有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)の構造は、たとえば、US 4,539,507、US 5,151,629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。ここで用いられる発光材料は、蛍光発光ではなく燐光発光を示す有機金属錯体にますますなっている(M.A.Baldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。
【0003】
先行技術によれば、正孔輸送層もしくは正孔注入層中で使用される正孔輸送材料は、特に、少なくとも2つのトリアリールアミノ基または少なくとも1つのトリアリールアミノ基と少なくとも1つのカルバゾール基を含むトリアリールアミン誘導体である。これらの化合物は、ジアリールアミノ置換トリフェニルアミン(TPA型)から、ジアリールアミノ置換ビフェニル誘導体(TAD型)から、またはこれらの基礎化合物の組み合わせから誘導されることが多い。さらに、たとえば、ジアリールアミノ基により置換されるスピロビフルオレンの使用がなされることが多い(たとえば、EP 676461もしくはUS 7,714,145にしたがうもの。)。効率、寿命および駆動電圧に関して、良好な特性を持つ素子を得るために、OLED素子で使用することできる代替材料に対する需要がさらに存在する。
【0004】
したがって、本発明の目的は、蛍光もしくは燐光OLED、特に、燐光OLEDにおける、たとえば、正孔輸送層もしくは励起子ブロック層中の正孔輸送材料としてのまたは発光層中のマトリックス材料としての使用のために適している化合物を提供することである。
【0005】
以下でより詳細に説明されるある種の化合物が、この目的を実現し、特に、寿命、効率と駆動電圧に関して、有機エレクトロルミネッセンス素子における極めて良好な特性をもたらすことが、今回見出された。これは、特別に、正孔輸送材料としてまたはマトリックス材料としての本発明による化合物の使用について、燐光もしくは蛍光エレクトロルミネッセンス素子にあてはまる。材料は、一般的に高い熱安定性を有し、それゆえ、分解することなくまた残留物もなく昇華することができる。したがって、本発明は、これら材料とこの型の化合物を含む電子素子に関する。
【0006】
したがって、本発明は、以下の式(1)の化合物に関する:
【0007】
【化1】
【0008】
式中、以下が、使用される記号と添え字に適用される;
Ar
1、Ar
2は、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい5〜60個のC芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって;ここで、Ar
1およびAr
2は、基Eによって互いに結合してもよく;
Eは、出現毎に同一であるか異なり、単結合、N(R
5)、O、S、C(R
5)
2、C(R
5)
2-C(R
5)
2、Si(R
5)
2またはB(R
5)であり;
R
1、R
2、R
3、R
4は、出現毎に同一であるか異なり、D、F、Cl、Br、I、CN、Si(R
6)
3、N(R
5)
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
6により置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH
2基は、Si(R
6)
2、C=NR
6、P(=O)(R
6)、SO、SO
2、NR
6、O、SもしくはCONR
6で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
6により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造または1以上の基R
6で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または、各場合に、1以上の基R
6で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基R
1もしくはR
2もしくはR
3もしくはR
4は、1以上の基R
6により置換されてよいモノあるいはポリ環式の環構造を随意に形成してもよく;
Rは、出現毎に同一であるか異なり、D、F、Cl、Br、I、CN、Si(R
6)
3、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上の基R
6により置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH
2基は、Si(R
6)
2、C=NR
6、P(=O)(R
6)、SO、SO
2、NR
6、O、SもしくはCONR
6で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
6により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造または1以上の基R
6で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基または1以上の基R
6で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基R
5は、1以上の基R
6により置換されてよいモノあるいはポリ環式の環構造を随意に形成してもよく;
R
5は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、Si(R
6)
3、N(R
6)
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上の基R
6により置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH
2基は、Si(R
6)
2、C=NR
6、P(=O)(R
6)、SO、SO
2、NR
6、O、SもしくはCONR
6で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
6により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造または1以上の基R
6で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基または1以上の基R
6で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基R
5は、1以上の基R
6により置換されてよいモノあるいはポリ環式の環構造を随意に形成してもよく;
R
6は、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく、ここで、2個以上の隣接する置換基R
6は、モノ-あるいはポリ環式の脂肪族環構造を互いに形成してもよく;
mは、0、1、2または3であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
p、qは、同一であるか異なり、0または1であり;
r、sは、同一であるか異なり、0、1、2、3または4であり、ここで、p+t≦4でq+s≦4であり;
tは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2または3である。
【0009】
本発明の意味でのアリール基は、単純な芳香族環、すなわちベンゼン、または縮合(環付加)アリール基、たとえば、ナフタレンもしくはフェナントレンの何れかの意味で使用される。これに対して、たとえば、ビフェニルもしくはフルオレン等の等の単結合により互いに結合した芳香族基は、アリール基を指すのではなく、逆に、芳香族環構造を指す。
【0010】
本発明の意味でのヘテロアリール基は、芳香族環中に少なくとも一つのヘテロ原子、好ましくは、N、OおよびSから選ばれるヘテロ原子を含む。ヘテロアリール基は、単純な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、トリアジンもしくはチオフェン等を含んでよく、または、キノリンもしくはカルバゾール等の縮合(環付加)ヘテロアリール基であってよい。
【0011】
本発明の意味での芳香族環構造は、6〜60個のC原子を環構造中に含み、ここで、芳香族環構造は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フルオレンおよびスピロビフルオレンまたはこれらの基の組み合わせから構築され得る。本発明の意味での芳香族環構造は、特に、さらに、複数のアリール基が、互いに直接または炭素原子を介して結合する構造の意味で使用されることを意図している。したがって、たとえば、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレン、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン等の構造も、特に、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用されることを意図している。ここで、芳香族環構造は、定義により、アミノ基を含まない。したがって、トリアリールアミノ基は、芳香族環構造の定義によってカバーされない。
【0012】
用語複素環式芳香族環構造は、同様の定義が適用され、2個以上の内部連結アリールもしくはヘテロアリール基の組み合わせであり、それらの少なくとも一つはヘテロアリール基であると理解されるべきである。
【0013】
アラルキル基は、アリール基により置換されたアルキル基であると理解されるべきであり、ここで、アルキル基は1〜20個のC原子を含んでよく、アルキル基のために上記定義されたとおりに置換されてよく、1以上のCH
2基は、アルキル基のために上記定義されたとおりに置き代えられてよい。アラルキル基においては、アルキル基は、化合物の残部に結合する基である。同様の定義が、用語ヘテロアラルキル基に適用され、ヘテロアリール基が、アリール基に代わり存在するだけである。
【0014】
アリールオキシ基は、2価の酸素原子を介して(エーテル)結合するアリール基であると理解されるべきである。同様の定義が、用語ヘテロアリールオキシ基に適用され、ヘテロアリール基が、アリール基に代わり存在するだけである。
【0015】
本発明の目的のために、脂肪族炭化水素基またはアルキル基またはアルケニル基またはアルキニル基は、典型的には、1〜40個または1〜20個のC原子を含んでもよく、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルおよびオクチニルの意味で使用される。
【0016】
1〜40個のC原子を有するアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシまたは2,2,2-トリフルオロエトキシの意味で使用される。
【0017】
1〜40個のC原子を有するチオアルキル基は、特に、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0018】
一般的に、本発明にしたがうアルキル、アルコキシあるいはチオアルキル基は、直鎖、分岐あるいは環状であってよく、ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、上記した言及した基により置き代えられてよく、さらに、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2、好ましくは、F、ClもしくはCNで、さらに、好ましくは、FもしくはCNで、特に、好ましくは、CNで置き代えられてよい。
【0019】
好ましくは、ジアミノフェニル上の2個のアミノ基は、互いにメタ位に位置する。特に好ましくは、互いに、およびスピロビフルオレンの結合に対してメタ位に位置する。
【0020】
本発明の好ましい1態様では、p+qは、0または1である。したがって、本発明による化合物は、好ましくは、1または2個のジアミノベンゼン基を含む。特に好ましくは、p+q=0で、本発明による化合物は、1個のジアミノベンゼン基を含む。
【0021】
本発明の好ましい1態様では、式(1)の化合物は、以下の式(2)〜(9)の化合物から選ばれる。
【0022】
【化2-1】
【0023】
【化2-2】
【0024】
式中、使用される記号と添え字は、上記所与の意味を有する。
【0025】
本発明の、特に好ましい1態様では、式(2)〜(9)の化合物は、以下の式(2a)〜(9a)の化合物から選ばれる。
【0026】
【化3-1】
【0027】
【化3-2】
【0028】
式中、使用される記号と添え字は、上記所与の意味を有する。
【0029】
非常に特に好ましいものは、以下の式(2b)〜(9b)の化合物である。
【0030】
【化4-1】
【0031】
【化4-2】
【0032】
式中、m、n、rおよびsは、同一であるか異なり、0または1であり、使用される記号は、上記所与の意味を有する。
【0033】
さらに非常に特に好ましいものは、以下の式(2c)〜(9c)の化合物である。
【0034】
【化5-1】
【0035】
【化5-2】
【0036】
式中、m、n、rおよびsは、同一であるか異なり、0または1であり、使用される記号は、上記所与の意味を有する。
【0037】
本発明の特に好ましい1態様では、本発明による化合物は、1つのジアミノベンゼン基だけを含む。したがって、これらは、好ましくは、式(2)、(3)、(4)および(5)または式(2a)、(3a)、(4a)および(5a)または式(2b)、(3b)、(4b)および(5b)または式(2c)、(3c)、(4c)および(5c)の化合物に関する。
【0038】
本発明のさらに特に好ましい1態様では、ジアミノベンゼン基は、スピロビフルオレンの2-位または4-位で結合する。したがって、これは、好ましくは、以下の式(2)と(3)または(2a)と(3a)または式(2b)と(3b)に関する。
【0039】
非常に特に好ましいのは、式(2)もしくは(2a)もしくは(2b)もしくは(2c)の化合物である。
【0040】
基Ar
1およびAr
2の少なくとも一つは、出現毎に同一であるか異なり、夫々、1以上の基R
5により置換されてよいフェニル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、カルバゾリル、ジベンゾフラニルおよびジベンゾチオフェニルから選ばれる。
【0041】
ここで、基Ar
1およびAr
2は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
5により置換されてよいフェニル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、カルバゾリル、ジベンゾフラニルおよびジベンゾチオフェニルから選ばれる。
【0042】
ここで、基Ar
1およびAr
2は、非常に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、以下の式(10)〜(66)の基から選ばれる;
【0043】
【化6-1】
【0044】
【化6-2】
【0045】
【化6-3】
【0046】
【化6-4】
【0047】
式中、破線の結合は、窒素への結合を示し、基は1以上の基R
5により置換されてよいが、好ましくは、置換されない。
【0048】
式(20)〜(23)、(53)および(54)の基において、R
5は、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有するアルキル基、特に、メチルまたはフェニル基であり、1以上の基R
6により置換されてよい。
【0049】
好ましい基Ar
1およびAr
2は、出現毎に同一であるか異なり、上記式(10)、(11)、(12)、(13)、(20)、(21)、(22)、(23)、(32)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)、(39)、(40)、(41)、(42)、(43)、(44)、(45)、(46)、(47)、(48)、(49)、(50)、および(51)より成る基から選ばれる。ここで、これらの基の全ての可能な組み合わせが、同等に可能である。
【0050】
特に好ましくは、Ar
1およびAr
2は、出現毎に同一であるか異なり、上記式(10)、(11)、(13)、(20)、(36)、(37)、(38)、(41)、(46)および(51)より成る基から選ばれる。
【0051】
さらに、式(28)〜(31)および(40)〜(43)および(55)〜(58)および(63)〜(66)において、基R
5は、好ましくは、フェニル基、オルト-ビフェニル基、メタービフェニル基、パラ-フェニル基、テルフェニル基、1-ナフチル基、2--ナフチル基であって、1以上の基R
5により置換されてよい。
【0052】
好ましくは、Ar
1およびAr
2は、出現毎に同一であるか異なり、式(10)、(13)および(20)の基から選ばれ、1以上の基R
5により置換されてよい。
【0053】
基Ar
1およびAr
2の少なくとも一つは、特に好ましくは、式(10)、(13)および(20)の基である。
【0054】
窒素原子に結合する上記言及した式(11)〜(66)の2個の基Ar
1およびAr
2は、所望のとおりに互いに組み合わされてよい。
【0055】
本発明の好ましい1態様では、基Ar
1およびAr
2は、互いに異なって選ばれる。
【0056】
本発明のさらに好ましい1態様では、基Ar
1およびAr
2は、同一に選ばれる。
【0057】
式(1)と(2)〜(9)の化合物またはその好ましい態様において、基Ar
1、Ar
2が、基Eにより互いに結合する場合には、基-NAr
1Ar
2は、好ましくは、以下の式(67)〜(74)の一つの構造であり;
【0058】
【化7】
【0059】
ここで、使用される記号と添え字は、上記所与の意味を有し、破線の結合はスピロビフルオレンへの結合を示す。これらの基は、1以上の基R
6により置換されてよいが、好ましくは、置換されない。
【0060】
式(68)〜(72)の基において、R
5は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有するアルキル基、特に、メチル、または1以上の基R
6により置換されてよいフェニル基である。
【0061】
さらに、式(71)〜(73)の基において、R
5は好ましくは、1以上の基R
6により置換されてよいフェニル基である。
【0062】
本発明の好ましい1態様では、R
1〜R
4は、出現毎に同一であるか異なり、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
6により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
6により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0063】
本発明の特に好ましい1態様では、R
1〜R
4は、出現毎に同一であるか異なり、F、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または、各場合に、1以上の基R
6により置換されてよい5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0064】
最も好ましくは、R
1〜R
4は、同一であるか異なり、F、N(R
6)
2、フェニル、メチルおよびtert-ブチルから選ばれる。
【0065】
本発明の別の好ましい1態様では、Rは、出現毎に同一であるか異なり、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々、1以上の基R
6により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
6により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0066】
本発明の特に好ましい1態様では、Rは、出現毎に同一であるか異なり、F、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または、各場合に、1以上の基R
6により置換されてよい5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0067】
最も好ましくは、Rは、F、フェニル、メチルおよびtert-ブチルから選ばれる。
【0068】
本発明のさらに好ましい1態様では、Ar
1もしくはAr
2に結合する基R
5は、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、夫々、1以上の基R
6により置換されてよい。
【0069】
本発明の特に好ましい1態様では、Ar
1もしくはAr
2に結合する基R
5は、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、夫々、1以上の基R
6により置換されてよい。
【0070】
ここで、基R
1〜R
6は、好ましくは、2個を超える芳香族もしくは複素環式芳香族6員環が直接互いに縮合するアリールもしくはヘテロアリール基を含まず、すなわち、たとえば、アントラセン基もピレン基も含まない。基R
1〜R
6は、特に好ましくは、芳香族もしくは複素環式芳香族6員環が直接互いに縮合するアリールもしくはヘテロアリール基を絶対に含まず、すなわち、たとえば、ナフタレン基を含まない。
【0071】
フルオレンの9-位において、2個の置換基R
5が、一緒になって、好ましくは、3〜8個のC原子、特に好ましくは、5もしくは6個のC原子を有するシクロアルキル環を形成することがさらに好ましい可能性がある。
【0072】
同様に、式(68)と(72)において、2個の置換基R
5が、互いに環構造を形成し、そしてスピロ構造を、好ましくは、3〜8個のC原子、特に好ましくは、5もしくは6個のC原子を有するシクロアルキル環を形成してもよい。
【0073】
真空蒸発から加工される化合物に対しては、アルキル基は、好ましくは、4個を超えないC原子、特に好ましくは、1個を超えないC原子を有する。溶液から加工される化合物に対しては、適切な化合物は、10個までのC原子を有する直鎖、分岐もしくは環状アルキル基で置換されたものか、オリゴアリーレン基、たとえば、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニルまたはクアテルフェニルで置換されたものである。
【0074】
特に好ましいのは、式(1)および(2)〜(9)および(2a)〜(9a)および(2b)〜(9b)および(2c)〜(9c)の化合物であり、その上記好ましい態様は同時に出現する。したがって、特に好ましいのは、以下の化合物である:
Ar
1、Ar
2は、出現毎に同一であるか異なり、式(10)〜(66)の一つの基から選ばれるか;または-NAr
1Ar
2は、式(67)〜(74)の一つの基であり;
Eは、出現毎に同一であるか異なり、単結合またはC(R
1)
2、N(R
1)、OもしくはSであり;
R
1〜R
4は、出現毎に同一であるか異なり、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
6により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
6により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;
Rは、出現毎に同一であるか異なり、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
6により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;
R
5は、基R
5が、Ar
1またはAr
2に結合するならば、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、N(R
6)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、夫々、1以上の基R
6により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれるか;
または、式(20)〜(23)、(53)、(54)、(68)および(72)において、炭素ブリッジに結合するR
5は、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有するアルキル基または1以上の基R
2により置換されてよいフェニル基であり、または、式(28)〜(31)、(40)〜(43)、(55)〜(58)、(63)〜(66)、(71)および(73)において、窒素ブリッジに結合するR
5は、1以上の基R
2により置換されてよいフェニル基であり;
R
6は、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または5〜24個のC原子を有する芳香族環構造より成る基から選択され;
mは、0または1であり;
nは、0または1であり;
p+qは、0または1であり;
rは、0または1であり;
sは、0または1であり;
Tは、0または1である。
【0075】
より好ましくは、上記挙げられた化合物において、R
1〜R
4は、出現毎に同一であるか異なり、H、F、N(R
6)
2、フェニル、メチルおよびtert-ブチルから選ばれる。
【0076】
なおより好ましくは、上記挙げられた化合物において、tは0である。
【0077】
適切な本発明による化合物の例は、以下の表に示される化合物である。
【0078】
【化8-1】
【0079】
【化8-2】
【0080】
【化8-3】
【0081】
【化8-4】
【0082】
【化8-5】
【0083】
【化8-6】
【0084】
【化8-7】
【0085】
【化8-8】
【0086】
【化8-9】
【0087】
【化8-10】
【0088】
【化8-11】
【0089】
本発明による化合物は、たとえば、ハロゲン化、ハートウィッグ-ブフバルトカップリングおよびスズキカップリング等の当業者に知られた合成工程により調製することができる。
【0090】
ジアミノベンゼン-スピロビフルオレンの合成は、スキーム1に示され、ここで、ジアミノベンゼン-スピロビフルオレンへの2個のアクセス経路が示される。
【0091】
【化9】
【0092】
スキーム1aに示されるとおり、ハロゲン化ジアミノベンゼン基が、2個のジアリールアミノ基の導入により、対応する3ハロゲン化ベンゼン基(化合物A)から合成される。代替として、スキーム1bに示されるとおり、2種の相異なるジアリールアミノ基をもつハロゲン化ジアミノベンゼン化合物を得るために、化合物B
1とB
2を使用して連続的にジアリールアミノ基を導入することができる。最後に、スピロビフルオレン基が、ボロン酸エステル誘導体Cとハロゲン化ジアミノベンゼンとの間のC-Cスズキカップリング反応により導入される。
【0093】
上記記載の本発明による化合物は、特に、臭素、沃素、トリフレート、ボロン酸もしくはボロン酸エステル等の反応性脱離基により置換された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの調製のためのモノマーとしての使用を見出され得る。ここで、オリゴマー化またはポリマー化は、好ましくは、ハロゲン官能基またはボロン酸官能基により実行される。
【0094】
したがって、本発明は、さらに、1以上の式(1)の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、ここで、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの結合は、R
1〜R
5で置換された式(1)において任意の占有されない位置に局在化してよい。式(1)の化合物の結合に応じて、化合物は、オリゴマーもしくはポリマーの側鎖の部分であるか、または主鎖の部分である。本発明の意味でのオリゴマーは、少なくとも3個のモノマー単位から形成される化合物の意味で使用される。本発明の意味でのポリマーは、少なくとも10個のモノマー単位から形成される化合物の意味で使用される。本発明によるポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは、共役、部分共役もしくは非共役であってよい。本発明によるオリゴマーまたはポリマーは、直鎖、分岐鎖もしくは樹状であってよい。直鎖状の結合を有する構造においては、式(1)の単位は、たがいに直接結合してよいか、または2価の基、たとえば、置換もしくは非置換アルキレン基により、ヘテロ原子により、または2価の芳香族もしくは複素環式芳香族基により、たがいに結合してよい。分岐および樹状構造においては、たとえば、3個以上の式(1)の単位が、たとえば、3価もしくは多価の基、たとえば、3価もしくは多価の芳香族もしくは複素環式芳香族基により結合することができ、分岐もしくは樹状オリゴマーまたはポリマーを生じる。式(1)の化合物に対する上記記載したとおりの同じ選好が、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の式(1)の反復単位にあてはまる。
【0095】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明によるモノマーは、さらなるモノマーとホモ重合するか共重合する。適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(たとえば、EP842208もしくはWO00/22026にしたがうもの)、スピロビフルオレン(たとえば、EP707020、EP894107もしくはWO06/061181にしたがうもの)、パラ-フェニレン(たとえば、WO92/18552にしたがうもの)、カルバゾール(たとえば、WO04/070772もしくはW004/113468にしたがうもの)、チオフェン(たとえば、EP1028136にしたがうもの)、ジヒドロフェナントレン(たとえば、WO 05/014689もしくはWO 07/006383にしたがうもの)、cis-およびtrans-インデノフルオレン(たとえば、WO04/041901もしくはWO04/113412にしたがうもの)、ケトン(たとえば、WO05/040302にしたがうもの)、フェナントレン(たとえば、WO05/104264もしくはWO07/017066にしたがうもの)または複数のこれらの単位から選ばれる。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、なおさらなる単位、たとえば、ビニルトリアリールアミン(たとえば、WO07/068325にしたがうもの)もしくは燐光金属錯体(たとえば、WO06/03000にしたがうもの)等の発光(蛍光または燐光)単位および/または電荷輸送単位、特に、トリアリールアミン系のものを通常含む。
【0096】
本発明によるポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、有利な特性、特に、長い寿命、高い効率と良好な色座標を有する。
【0097】
本発明によるポリマーおよびオリゴマーは、1以上のタイプのモノマーの重合により一般的に調製され、少なくとも一つのモノマーは、ポリマー中に式(1)の反復単位を生じる。適切な重合反応は、当業者に知られ、文献に記載されている。C-CおよびC-N結合を生じる、特に適切で好ましい重合反応は、以下のとおりである:
(A)スズキ重合;
(B)ヤマモト重合;
(C)スチル重合および
(D)ハートウイッグ-ブッフバルト重合。
【0098】
重合をこれらの方法により実行することができる方法と次いでポリマーを反応媒体から分離し、精製することができる方法は、当業者に知られており、文献、たとえば、WO 2003/048225、WO 2004/037887およびWO 2004/037887に詳細に記載されている。
【0099】
したがって、本発明は、また、スズキ重合、ヤマモト重合、スチル重合またはハートウイッグ-ブッフバルト重合によって調製されることを特徴とする、本発明によるポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーを製造する方法に関する。本発明によるデンドリマーは、当業者に知られた方法または類似方法により製造され得る。適切な方法は、文献、たとえば、Frechet, Jean M. J.; Hawker, Craig J., "Hyperbranched polyphenylene and hyperbranched polyesters: new soluble, three-dimensional, reactive polymers"、 Reactive & Functional Polymers (1995), 26(1-3), 127-36; Janssen, H. M.; Meijer, E. W.、 "The synthesis and characterization of dendritic molecules", Materials Science and Technology (1999), 20 (Synthesis of Polymers), 403-458; Tomalia, Donald A., "Dendrimer molecules", Scientific American (1995), 272(5), 62-6、WO 02/067343 A1およびWO 2005/026144 A1に記載されている。
【0100】
本発明による混合物は、電子素子での使用に適している。ここで、電子素子は、少なくとも一つの有機化合物を含む少なくとも一つの層を含む素子の意味で使用される。しかしながら、ここで、素子は、また、無機材料または完全に無機材料から構成される層を含んでもよい。
【0101】
したがって、本発明は、さらに、本発明による化合物の、電子素子での、特に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用に関する。
【0102】
本発明は、なおさらに、少なくとも一つの本発明による化合物を含む電子素子に関する。上記詳細な選好は、電子素子にもあてはまる。
【0103】
電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機発光ダイオード、OLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機ソーラーセル(O−SC)、有機染料増感性ソーラーセル、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学セル(LEC)、有機レーザーダイオード(O−laser)および有機プラズモン発光素子(D. M. Koller et al., Nature Photonics 2008, 1-4)から選ばれるが、特に好ましくは、燐光OLEDから選ばれる。
【0104】
有機エレクトロルミネッセンス素子と発光電子化学セルを種々の用途、たとえば、単色もしくは多色表示装置、医療および/または美容用途、たとえば、光治療に用いることができる。
【0105】
有機エレクトロルミッセンス素子は、カソード、アノードと少なくとも一つの発光層を含む。これらの層に加えて、さらなる層、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電子ブロック層および/または電荷生成層を含んでもよい。たとえば、励起子ブロック機能を有する中間層を、2個の発光層の間に同様に導入してもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。
【0106】
ここで、有機エレクトロルミネセンス素子は、一つの発光層または複数の発光層を含んでよい。複数の発光層が存在する場合には、これらは、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、その結果全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し得る種々の発光化合物が、発光層で使用される。特別に好ましいものは、3個の発光層を有する構造であり、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。ここで、全発光層が蛍光発光であるか、または全発光層が燐光発光であるか、または1以上の発光層が蛍光発光であり1以上の他の発光層が燐光発光であることも可能である。
【0107】
上記詳細な態様による本発明による化合物は、その正確な構造により、種々の層に用いられてよい。好ましいものは、式(1)の化合物またはその好ましい態様を、正孔輸送もしくは正孔注入もしくは励起子ブロック層もしくは電子ブロック層での正孔輸送材料として、または発光層での蛍光もしくは燐光エミッターのための、特に、燐光エミッターのためのマトリックス材料として含む有機エレクトロルミネッセンス素子である。上記示される好ましい態様は、有機電子素子での材料の使用にもあてはまる。
【0108】
本発明の好ましい1態様では、式(1)の化合物またはその好ましい態様は、正孔輸送もしくは正孔注入層中で正孔輸送もしくは正孔注入材料として用いられる。ここで、発光層は、蛍光もしくは燐光であることができる。本発明の意味での正孔注入層は、アノードに直接隣接する層である。本発明の意味での正孔輸送層は、正孔注入層と発光層との間に位置する層である。
【0109】
本発明のなおさらに好ましい1態様では、式(1)の化合物またはその好ましい態様は、励起子ブロック層中で使用される。励起子ブロック層は、アノード側の発光層に直接隣接する層を意味するものと解される。
【0110】
式(1)の化合物またはその好ましい態様は、特に、好ましくは、正孔輸送または励起子ブロック層と中で用いられる。
【0111】
本発明の1態様では、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様は、正孔輸送もしくは注入層中で、ヘキサアザトリフェニレン誘導体、特に、ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン(たとえば、EP 1175470にしたがうもの)を含む層と組み合わせて使用される。したがって、好ましいものは、たとえば、以下に見られる組み合わせである:アノード−ヘキサアザトリフェニレン誘導体−正孔輸送層であって、ここで、正孔輸送層は、1以上の式(1)の化合物もしくはその好ましい態様を含むもの。この構造では、同様に、複数の連続する正孔輸送層を使用することもでき、ここで、少なくとも一つの正孔輸送層は、少なくとも一つの式(1)の化合物もしくはその好ましい態様を含む。さらに、好ましい組み合わせは、以下に見られる:アノード−正孔輸送層−ヘキサアザトリフェニレン誘導体−正孔輸送層であって、ここで、2個の正孔輸送層の少なくとも一つは、1以上の式(1)の化合物もしくはその好ましい態様を含む。この構造では、同様に、一つの正孔輸送層に代えて複数の連続する正孔輸送層を使用することもでき、少なくとも一つの正孔輸送層は、少なくとも一つの式(1)化合物もしくはその好ましい態様を含む。
【0112】
式(1)による化合物が、正孔輸送層、正孔注入層、は励起子ブロック層もしくは電子ブロック層中で正孔輸送材料として用いられる場合には、化合物は、純粋物質として、すなわち、層中で100%の割合で使用されてよいか、または1以上の他の材料と組み合わせて使用されてよい。好ましい態様によれば、この場合に、式(1)の化合物と組み合わせて使用されるその一つもしくは他の化合物は、p-ドーパントである。使用される好ましいp-ドーパントは、好ましくは、混合物の1以上のその他の化合物を酸化することのできる電子受容体等の電子受容性化合物である。
【0113】
p-ドーパントは、好ましくは、本発明による化合物を含む層中で、0.1〜20体積%、好ましくは、0.5〜12体積%、より好ましくは、1〜8体積%、最も好ましくは、2〜6体積%の濃度で存在する。
【0114】
本発明による化合物と組み合わせて使用される特に好ましいp-ドーパントは、1以上の以下の文献:WO2011/073149、EP1968131、EP2276085、EP2213662、EP1722602、EP2045848、DE102007031220、US8044390、US8057712、WO2009/003455、WO2010/094378、WO2011/120709、US2010/0096600およびWO2012/095143に開示された化合物である。
【0115】
本発明による素子に使用される極めて好ましいp-ドーパントは、キノジメタン、アザインデノフルオレンジオン、アザフェナレン、アザトリフェニレン、I
2、金属ハロゲン化物、好ましくは、遷移金属ハロゲン化物、金属酸化物、好ましくは、少なくとも一つの遷移金属もしくは第3主属からの金属を含む金属酸化物および遷移金属錯体、好ましくは、少なくとも一つの結合酸素原子を有するリガンドをもつCu、Co、Ni、PdもしくはPtの錯体である。好ましいのは、さらに、レニウム酸化物、モリブデン酸化物およびタングステンの酸化物等の遷移金属酸化物、より好ましくは、Re
2O
7、MoO
3、WO
3およびReO
3である。
【0116】
好ましいp-ドーパントは、は、さらに、以下の化合物である。
【0117】
【化10】
【0118】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(1)の化合物またはその好ましい態様は、発光層中で、蛍光もしくは燐光化合物のための、特に、燐光化合物のためのマトリックス材料として使用される。ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子は、一つの発光層または複数の発光層を含んでもよく、ここで、少なくとも一つの発光層は、少なくとも一つの本発明による化合物をマトリックス材料として含む。
【0119】
式(1)の化合物もしくはその好ましい態様が、発光層中で発光化合物のためのマトリックス材料として用いられる場合には、好ましくは、1以上の燐光材料(三重項エミッター)と組み合わせて用いられる。本発明の意味での燐光発光は、>1のスピン多重度をもつ励起状態からの、特に、励起三重項状態からのルミネッセンスの意味で使用される。本願の目的のために、遷移金属もしくはランタノイドを含む全てのルミネッセント錯体、特に、全てのルミネッセントイリジウム、白金および銅が、燐光化合物とみなされるべきである。
【0120】
式(1)の化合物もしくはその好ましい態様と発光化合物の混合物は、エミッターとマトリックス材料の全混合物を基礎として、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様を、99.9〜1体積%、好ましくは、99〜10体積%、特に好ましくは、97〜60体積%、特には、95〜80体積%含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料の全混合物を基礎として、エミッターを、0.1〜99体積%、好ましくは、1〜90体積%、特に好ましくは、3〜40体積%、特には、5〜20体積%含む。上記限界は、特に、層が溶液から適用される場合にあてはまる。層が真空蒸発により適用される場合には、同じ数値が、各場合に、体積%で示されたこの場合のパーセントで適用される。
【0121】
本発明の特に好ましい1態様は、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様の、さらなるマトリックス材料と組み合わせての燐光エミッターのためのマトリックス材料としての使用である。式(1)の化合物もしくはその好ましい態様と組み合わせて使用することのできる、特に適切なマトリックス材料は、たとえば、WO 2004/013080、WO 2004/093207、WO 2006/005627もしくはWO 2010/006680にしたがう芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドまたは芳香族スルホキシドもしくはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)、m-CBPもしくはWO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527もしくはWO 2008/086851に記載されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、WO2010/136109およびWO2011/000455にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 2006/117052にしたがうアザカルバゾールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 2010/15306、WO 2007/063754もしくはWO 08/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP 652273もしくはWO 2009/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO 2010/054729にしたがうジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO 2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体、たとえば、US 2009/0136779、WO 2010/050778、WO 2011/042107、WO 2011/088877もしくはWO 2012/1430800にしたがう架橋カルバゾール誘導体である。さらに、たとえば、WO 2010/108579に記載されるとおりの、正孔輸送特性も電子輸送特性も有さない電気的に中正なコホストを使用することも可能である。
【0122】
同様に、混合物において、2個以上の燐光エミッターを使用することも可能である。この場合、より短い波長で発光するエミッターは、混合物において、コホストとして機能する。
【0123】
適切な燐光化合物(=三重項エミッター)は、特に、好ましくは、可視域で適切な励起により発光する化合物であり、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、より好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金もしくはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金もしくは銅を含む化合物である。
【0124】
上記記載されたエミッターの例は、出願WO2000/70655、WO2001/41512、WO2002/02714, WO2002/15645、EP1191613、EP1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO2005/019373、US2005/0258742、WO 2009/146770、WO2010/015307、WO 2010/031485、WO 2010/054731、WO2010/054728、WO 2010/086089、WO 2010/099852、WO2010/102709、WO 2011/157339もしくはWO 2012/007086に見出すことができる。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがい使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切である。当業者は発明力を行使することなく、OLED中で本発明の化合物と組み合わせてさらなる燐光錯体を使用することもできる。
【0125】
本願による素子で使用される三重項エミッターの例は、以下の表に示される。
【0126】
【化11-1】
【0127】
【化11-2】
【0128】
【化11-3】
【0129】
【化11-4】
【0130】
【化11-5】
【0131】
【化11-6】
【0132】
【化11-7】
【0133】
【化11-8】
【0134】
本発明のさらなる1態様では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、別々の正孔注入層および/または正孔輸送層および/または正孔ブロック層および/または電子輸送層を含まず、すなわち、たとえば、WO 2005/053501に記載されるとおり、発光層は、正孔注入層もしくはアノードに直接隣接し、および/または発光層は、電子輸送層もしくは電子注入層もしくはカソードに直接隣接する。さらに、たとえば、WO 2009/030981に記載されるとおり、発光層中の金属錯体と同一または類似する金属錯体を、発光層に直接隣接して、正孔輸送もしくは正孔注入材料として使用することも可能である。
【0135】
式(1)の化合物もしくはその好ましい態様は、さらに、正孔輸送層もしくは励起子ブロック層両者において、および発光層中でマトリックス材料として使用することができる。
【0136】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子のさらなる層では、先行技術にしたがい通常用いられるとおりの全材料を使用することができる。したがって、当業者は、発明力を行使することなく、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様と組み合わせて、有機エレクトロルミネッセンス素子のために知られた全材料を使用することができる。
【0137】
好ましい蛍光エミッター材料は、アリールアミンのクラスから選ばれる。本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造、特に、好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する縮合環構造である。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、1個のジアリールアミノ基が、アントラセンに直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、2個のジアリールアミノ基が、アントラセンに直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。さらに好ましいエミッター材料は、たとえば、WO 06/122630にしたがうインデノフルオレンアミンもしくはインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 08/006449にしたがうベンゾインデノフルオレンアミンもしくはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 07/140847にしたがうジベンゾインデノフルオレンアミンもしくはジベンゾインデノフルオレンジアミンから選択される。スチリルアミンのクラスからのエミッター材料の例は、たとえば、WO 06/000388、WO 06/058737、WO 06/000389、WO 07/065549およびWO 07/115610に記載される置換あるいは非置換トリスチルベンアミンである。さらに好ましいのは、出願WO10/012328に開示された縮合炭化水素である。
【0138】
好ましくは、蛍光ドーパントのために使用することのできるマトリックス材料は、種々のクラスの物質からの材料である。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 04/081017にしたがうもの)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 04/058911にしたがうもの)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 05/084081およびWO 05/084082にしたがうもの)、アトロプ異性体(たとえば、WO 06/048268にしたがうもの)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 06/177052にしたがうもの)またはベンズアントラセン(たとえば、WO 08/1452398にしたがうもの)の種から選択される。適切なマトリックス材料は、さらに、好ましくは、本発明による化合物である。本発明による化合物とは別に、特に好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選択される。非常に特に好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも3個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合した化合物の意味で使用されることを意図している。
【0139】
本発明による化合物とは別に、本発明による有機エレクトロルミッセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層または電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術にしたがってこれらの層に用いられる他の材料である。
【0140】
さらに好ましいのは、1以上の層が、昇華プロセスにより適用されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子であり、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で気相堆積により適用される。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0141】
同様に好ましいのは、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)法もしくはキャリアガス昇華により被覆されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子であり、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。この方法の特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)法であり、材料はノズルにより直接適用され、そのように構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0142】
さらに、好ましいのは、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえば、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、インクジェット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷もしくはノズル印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。たとえば、適切な置換により得られた可溶性の化合物が、この目的のために必要である。これらの方法は、特に、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマーのためにも適しているが、これらは、一般的に有機溶媒中で極めて良好な溶解度を有しているからである。
【0143】
さらに、たとえば、1以上の層が溶液から適用され、1以上のさらなる層が気相堆積により適用されるハイブリッド法も可能である。したがって、たとえば、溶液から発光層を適用し、気相堆積により電子輸送層を適用することができる。
【0144】
これらのプロセスは、当業者に一般的に知られており、本発明による化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子を、発明力を要することなく適用することができる。
【0145】
液相からの、たとえば、スピンコーティングまたは印刷法による本発明の化合物の加工のためには、本発明による化合物の調合物が必要である。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであり得る。2以上の溶媒の混合物を使用することが、この目的のために好ましい可能性がある。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0146】
したがって、本発明は、さらに、少なくとも一つの式(1)の化合物、または少なくとも一つの式(1)の単位を含む少なくとも一つのポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーと少なくとも一つの溶媒、好ましくは、有機溶媒を含む調合物、特に、溶液、分散液もしくはエマルジョンに関する。このタイプの溶液を製造することができる方法は、当業者に知られており、たとえば、WO 2002/072714、WO 2003/019694とそこに引用された文献に記載されている。
【0147】
本発明は、さらに、上記示された少なくとも一つの式(1)の化合物もしくはその好ましい態様と少なくとも一つのさらなる化合物とを含む混合物に関する。さらなる化合物は、本発明による化合物がマトリックス材料として使用される場合には、たとえば、蛍光もしくは燐光ドーパントであることができる。そこで、混合物は、追加的マトリックス材料として、さらなる材料を追加的に含んでよい。
【0148】
本発明は、次の例により詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。当業者は、進歩性を要することなく、説明に基づいて、開示された範囲全体を実行し、本発明によるさらなる化合物を調製し、それらを電子素子で使用し、本発明によるプロセスを使用することができるだろう。
【0149】
例
A)合成例
例:
以下の合成は、他に断らない限り、保護ガス雰囲気下で行われる。出発材料を、たとえばALDRICHまたはABCRから購入することができる。文献から知られた出発材料の場合の角括弧内の番号は、対応するCAS番号である。
【0150】
例1:
化合物(1−1)の合成
【0151】
【化12】
【0152】
中間体(A−1):N,N,N’,N’-テトラキス-ビフェニル-4-イル-5-クロロ-ベンゼン-1,3-ジアミンの合成
トリ-tert-ブチルホスフィン(11.1mLの、トルエン中1.0M溶液、11.1ミリモル)と、酢酸パラジウム(1.25g、5.55ミリモル)と、炭酸セシウム(75.0g、232ミリモル)とを、脱気トルエン(600ml)中、ビス-ビフェニル-4-イル-アミン(CAS番号102113-98-4)(59.0g、185ミリモル)と、1,3-ジブロモ-5-クロロ-ベンゼン(25g、92モル)との溶液に添加し、混合物を還流下で2時間、加熱する。反応混合物を室温まで冷まし、トルエンで増し、セライトを通して濾過する。濾過物を真空中で蒸発させ、残留物をヘプタン/トルエンから結晶化させる。収率:67.7g、75%。同じような方法で、以下の化合物が得られる:
【0153】
【化13-1】
【0154】
【化13-2】
【0155】
【化13-3】
【0156】
【化13-4】
【0157】
中間体(B−1):スピロビフルオレン−ホウ素エステル誘導体の合成
1a)4-ブロモスピロ9,9’-ビフルオレンの合成
【0158】
【化14】
【0159】
60g(188.5ミリモル)の2,2’-ジブロモ-ビフェニル(CAS 13029-09-9)を、750mlの無水THFに溶解し、−78℃に冷却する。ヘプタン中、75.4mL(188.5ミリモル)のn−BuLiの2.5M溶液を滴下する。1時間後、250mLのTHF中、34.6gのフルオレノン(188.5ミリモル)(CAS 486-25-9)の溶液を滴下する。反応混合物を終夜、室温にさせ、次いで、飽和NH
4Cl(100mL)溶液でクエンチし、混合物を少しの間、撹拌し、有機層を分離させ、溶媒を真空で除去する。残留物を、40℃で500mlの氷酢酸に懸濁させ、0.5mlの濃塩酸を懸濁液に添加し、その後、混合物を100℃でさらに2時間、撹拌する。冷ました後、沈殿した固形物を吸引濾過し、100mlの氷酢酸で一度、その度毎に100mlのエタノールで三度、洗浄し、最後に、ジオキサンから再結晶化させる。収率:70.1g(169ミリモル)、90%;
1H−NMRによる純度約98%。
【0160】
さらに、同じような方法で、臭素化されたスピロビフルオレン誘導体の合成を行う:
【0161】
【化15-1】
【0162】
【化15-2】
【0163】
【化15-3】
【0164】
2a)4-ブロモスピロ9,9’-ビフルオレン(B−1)の合成
【0165】
【化16】
【0166】
60g(152ミリモル)の4-ブロモスピロ-9,9’-ビフルオレンと、47.2g(182.1ミリモル)のビス-ピナコラートジボロンと、3.72g(4.55ミリモル)の1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体と、44.7(455ミリモル)の酢酸カリウムと、600mlのトルエンとを16時間、還流下で加熱する。冷ました後、200mLの水を添加し、混合物をさらに30分間撹拌し、有機相を分離させ、短いセライトベッドを通して濾過し、次いで、溶媒を真空で除去する。残留物をヘプタン/トルエンから数回、再結晶化させる。収率:67.1g、96%。
【0167】
同じような方法で、さらなるスピロフルオレンボロン酸エステル誘導体の合成を行う:
【0168】
【化17-1】
【0169】
【化17-2】
【0170】
化合物(1−1)の合成
392mg(0.53ミリモル)のパラジウムジクロリド-ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)と、39μLの水酸化ヒドラジニウム(0.8ミリモル)と、メタホウ酸ナトリウム(11g、40ミリモル)とを、430mLのTHF中、20g(27ミリモル)のN,N,N’,N’-テトラキス-ビフェニル-4-イル-5-クロロ-ベンゼン-1,3-ジアミン(A−1)と、10g(28ミリモル)の4-スピロビフルオレン-ボロン酸エステル(B1)との溶液に添加し、混合物を還流下で20時間、加熱する。反応混合物を室温まで冷まし、トルエンで増し、セライトを通して濾過する。濾過物を水で増し、トルエンで再抽出し、結合した有機層を脱水させ、真空で蒸発させる。残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させ、真空で昇華させる。化合物(1−1)は淡黄色の固形物の形状で得られる(21.0g、理論値の76%)。
【0171】
同じような方法で、化合物1−2〜1−29の合成を行う。再結晶化後、材料を高真空で昇華させ、或いは焼き戻す。
【0172】
【化18-1】
【0173】
【化18-2】
【0174】
【化18-3】
【0175】
【化18-4】
【0176】
【化18-5】
【0177】
【化18-6】
【0178】
【化18-7】
【0179】
B)素子の例
本発明によるOLEDと先行技術にしたがうOLEDは、WO 2004/058911による一般的な方法で製造され、これはここで説明する状況(層の厚さの変化、材料)に適合している。
【0180】
使用する基板は、厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板である。OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/正孔注入層(HIL)/正孔輸送層(HTL)/正孔ブロック層(EBL)/発光層(EML)/電子輸送層(ETL)/電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造を、以下説明する各実験で指摘する。OLEDの製造のために使用される材料を、表1に示す。
【0181】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。発光層は、常に、少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により特定の体積割合で一種または複数種のマトリックス材料に混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。H1:SEB(5%)のような表現は、材料H1が95体積%の割合で層中に存在し、SEBが5体積%の割合で層中に存在することを意味する。第2の材料の割合だけが与えられている層組成は、第1の材料の割合と合計して100%になる。同じように、電子輸送層も、2種の材料の混合物から成ってもよい。
【0182】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、ランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての外部量子効率(EQE、パーセントで測定)および寿命が測定される。表現「10mA/cm
2におけるEQE」は、動作輝度10mA/cm
2での外部量子効率を示す。「60mA/cm
2におけるLT80」は、OLED素子の輝度が、60mA/cm
2の一定の駆動電流密度で、その初期輝度の80%に低下するまでの時間として定義される。種々のOLEDについて得られたデータを以下の文に要約する。
【0183】
蛍光OLEDでの正孔輸送材料としての、本発明の化合物の使用
特に、本発明による化合物は、OLED中で、HIL、HTLまたはEBLとして、適している。それらは、単層としてのみならず、HIL、HTL、EBLとしての混合成分として、またはEML内で適している。本発明による化合物を含む試料は、高い効率(表2と3)と高い寿命(表3)との両者を示す。
【0184】
【表1】
【0185】
例1
次の構造(E1、E2、E3、E4)を有する一重項青色素子が製造された:
【0186】
【表2】
【0187】
構造(E5とE6)を有するさらなる一重項青色素子も製造された:
【0188】
【表3】
【0189】
すべての素子は、10mA/cm
2の駆動電流密度で、3.9V−4.0Vの駆動電圧を示す。