特許第6808692号(P6808692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6808692-粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808692
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法
(51)【国際特許分類】
   C05F 9/00 20060101AFI20201221BHJP
   C05G 5/20 20200101ALI20201221BHJP
   C05G 1/06 20060101ALI20201221BHJP
   C05C 3/00 20060101ALI20201221BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20201221BHJP
   C05B 7/00 20060101ALN20201221BHJP
【FI】
   C05F9/00ZAB
   C05G5/20
   C05G1/06
   C05C3/00
   B09B3/00 304Z
   !C05B7/00
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-153012(P2018-153012)
(22)【出願日】2018年8月15日
(65)【公開番号】特開2020-26380(P2020-26380A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2019年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】518292922
【氏名又は名称】株式会社Manna Link
(74)【代理人】
【識別番号】100130144
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健壱
(72)【発明者】
【氏名】善幸 伸之
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−255880(JP,A)
【文献】 特開2004−051930(JP,A)
【文献】 特開昭59−141477(JP,A)
【文献】 特開昭59−141478(JP,A)
【文献】 特表2008−521741(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0295046(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2019−0050343(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C05F1/00−17/02
B09B3/00
C05C3/00
C05G1/06
C05G5/20
C05B7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末消火薬剤廃棄物にアルコール水溶液を噴霧するアルコール噴霧工程と、
該アルコール噴霧工程により噴霧されたアルコール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物とを攪拌し、粉末消火薬剤廃棄物表面のシリコンコートを除去する攪拌工程と、
該攪拌工程によりシリコンコートが除去された粉末消火薬剤廃棄物とアルコール水溶液の混合物を濾過し、不純物を取り除く濾過工程と、を有し、
該濾過工程により、「窒素」および「リン」を多く含有した透明な液体肥料が生成されることを特徴とする粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法。
【請求項2】
粉末消火薬剤廃棄物にアルコール水溶液を投入するアルコール投入工程と、
該アルコール投入工程により投入されたアルコール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物とを攪拌し、粉末消火薬剤廃棄物表面のシリコンコートを除去する攪拌工程と、
該攪拌工程によりシリコンコートが除去された粉末消火薬剤廃棄物とアルコール水溶液の混合物を濾過し、不純物を取り除く濾過工程と、を有し、
該濾過工程により、「窒素」および「リン」を多く含有した透明な液体肥料が生成されることを特徴とする粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法。
【請求項3】
前記アルコール噴霧工程は、粉末消火薬剤廃棄物の6%以上重量分のアルコール水溶液を噴霧することを特徴とする請求項1記載の粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法。
【請求項4】
前記攪拌工程は、攪拌されている粉末消火薬剤廃棄物が飛散されなくなった後に、送風手段によりアルコール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物の混合物に送風して、該混合物中のアルコールを蒸発させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法。
【請求項5】
前記アルコール水溶液は、メチルアルコールと水をそれぞれ略50%の比率で混合させたメタノール水溶液であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末消火薬剤廃棄物から液体肥料を生成する粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉末消火薬剤廃棄物から肥料を生成する粉末消火薬剤廃棄物肥料生成方法(粉末消火薬剤廃棄物の親水化処理方法)が知られている。この粉末消火薬剤廃棄物肥料生成方法(粉末消火薬剤廃棄物の親水化処理方法)は、粉末消火薬剤廃棄物にアルコール水溶液を噴霧するアルコール噴霧工程と、アルコール噴霧工程により噴霧されたアルコール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物とを攪拌し、攪拌されている粉末消火薬剤廃棄物が飛散されなくなった後に、送風手段によりアルコール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物の混合物に送風して、混合物中のアルコールを蒸発させる攪拌工程と、を有し、この攪拌工程により、粉末消火薬剤廃棄物表面のシリコンコートを除去し、粉末肥料が生成されるというものであった(たとえば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2012−132496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の粉末消火薬剤廃棄物肥料生成方法(粉末消火薬剤廃棄物の親水化処理方法)では、その方法により生成された肥料は、粉末消火薬剤廃棄物の色が残ったピンク色をしているため、このピンク色の肥料を農業従事者等により使用される場合、農作物に影響が出るのではないか心配され、このピンク色の肥料の使用を見送る農業従事者等も現実にいた。また、この肥料は、粉末状であるため、この粉末状の肥料を農業従事者等により実際に使用される場合、粉末状の肥料が風により飛散し、肥料を撒きにくいという農業従事者等からの話も多くあった。さらに、粉末状の肥料を用いて肥料加工物を生成させる場合に、肥料が粉末状であるので飛散し、肥料加工物を生成しづらいという肥料加工業者からの話も多くあった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、農業従事者等に敬遠されず、撒き易く、かつ肥料加工物を生成し易い肥料が生成される粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、粉末消火薬剤廃棄物にアルコール水溶液を噴霧するアルコール噴霧工程と、アルコール噴霧工程により噴霧されたアルコール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物とを攪拌し、粉末消火薬剤廃棄物表面のシリコンコートを除去する攪拌工程と、攪拌工程によりシリコンコートが除去された粉末消火薬剤廃棄物とアルコール水溶液の混合物を濾過し、不純物を取り除く濾過工程と、を有し、濾過工程により、「窒素」および「リン」を多く含有した透明な液体肥料が生成されることを特徴とするものである。
【0007】
本発明によれば、アルコール噴霧工程および攪拌工程により粉末消火薬剤廃棄物表面のシリコンコートが除去され、そして、濾過工程によりシリコンコートが除去された粉末消火薬剤廃棄物とアルコール水溶液の混合物が濾過されるので、「窒素」および「リン」を多く含有した透明な液体肥料を生成することができる。この液体肥料は透明であるため、農業従事者等に使用される場合でも何ら問題なく使用される。
【0008】
本発明のうち第2の態様に係るものは、粉末消火薬剤廃棄物にアルコール水溶液を投入するアルコール投入工程と、アルコール投入工程により投入されたアルコール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物とを攪拌し、粉末消火薬剤廃棄物表面のシリコンコートを除去する攪拌工程と、攪拌工程によりシリコンコートが除去された粉末消火薬剤廃棄物とアルコール水溶液の混合物を濾過し、不純物を取り除く濾過工程と、を有し、濾過工程により、「窒素」および「リン」を多く含有した透明な液体肥料が生成されることを特徴とするものである。

【0009】
本発明によれば、アルコール投入工程および攪拌工程により粉末消火薬剤廃棄物表面のシリコンコートが除去され、そして、濾過工程によりシリコンコートが除去された粉末消火薬剤廃棄物とアルコール水溶液の混合物が濾過されるので、「窒素」および「リン」を多く含有した透明な液体肥料を生成することができる。この液体肥料は透明であるため、農業従事者等に使用される場合でも何ら問題なく使用される。
【0010】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様に係る粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法であって、アルコール噴霧工程は、粉末消火薬剤廃棄物の6%以上重量分のアルコール水溶液を噴霧することを特徴とするものである。
【0011】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1〜第3のいずれかの態様に係る粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法であって、攪拌工程は、攪拌されている粉末消火薬剤廃棄物が飛散されなくなった後に、送風手段によりアルコール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物の混合物に送風して、該混合物中のアルコールを蒸発させることを特徴とするものである。
【0012】
本発明によれば、攪拌されている粉末消火薬剤廃棄物が飛散されなくなった後に、送風手段によりアルコール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物の混合物に送風して、該混合物中のアルコールを蒸発させるので、アルコールの嫌な臭いを極めて少なくすることができる。
【0013】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第1〜第4のいずれかの態様に係る粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法であって、アルコール水溶液は、メチルアルコールと水をそれぞれ略50%の比率で混合させたメタノール水溶液であることを特徴とするものである。
【0014】
メタノール水溶液はアルコール水溶液の中でも安価である。本発明によれば、メタノール水溶液を用いて粉末消火薬剤廃棄物表面のシリコンコートを除去するので、粉末消火薬剤廃棄物の親水化処理をより安価に行うことができる。また、アルコールは揮発性が高いが、本発明によれば、メチルアルコールと水をそれぞれ略50%の比率で混合させたメタノール水溶液を用いているので、揮発性の高いアルコールでも爆発的に燃焼することがないとともに、人体へ悪影響を与えることなく取り扱うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、農業従事者等に敬遠されないばかりか、撒き易く、肥料加工物にも生成し易い液体肥料を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態における粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法のフローチャートである。
図2】本発明の第2の実施形態における粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法のフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法の第1の実施形態について図面を参照にしながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法のフローチャートである。
【0018】
まず、S1において、粉末消化薬剤廃棄物分別工程が実施される。この粉末消化薬剤廃棄物分別工程では、消火器の内部の粉末消火薬剤廃棄物を消火器から分別させる。具体的には、消火薬液吸引機を用いて、消火器内の粉末消火薬剤廃棄物を吸引し、フレコンバック内に粉末消火薬剤廃棄物を収納させる。なお、粉末消化薬剤廃棄物分別工程は任意の工程であり、消火器から分別された粉末消火薬剤廃棄物を用いる場合は粉末消化薬剤廃棄物分別工程を実施する必要がない。ここで、粉末消火薬剤廃棄物の成分は、一般的に、第一リン酸アンモニウム(重量比:36.5%〜45%)、硫酸アンモニウム(重量比:40%〜60%)、非晶質二酸化珪素(重量比:約3%)で構成され、窒素およびリンの理論濃度は窒素12.8%〜18.1%、リン9.7%〜12.0%であるので、粉末消火薬剤廃棄物は肥料の三大要素である窒素、リン、カリウムの内、窒素、リンを多く含有し、肥料として用いることができる。そして、S2に進む。
【0019】
S2において、アルコール噴霧工程が実施される。このアルコール噴霧工程では、粉末消火薬剤廃棄物にアルコール水溶液が噴霧される。具体的には、粉末消火薬剤廃棄物にアルコール水溶液としてのメタノール水溶液(アルコール濃度略50%(メチルアルコールと水をそれぞれ略50%の比率で混合))が噴霧される。より具体的には、まず攪拌器内に粉末消火薬剤廃棄物が投入され、噴霧手段(たとえば、噴霧器など)を用いて、その攪拌器内の粉末消火薬剤廃棄物にメタノール水溶液(粉末消火薬剤廃棄物の8%重量分)が噴霧される。なお、本実施形態では、アルコール水溶液として安価なメタノール水溶液を用いたが、これに限らず、変性アルコール(エチルアルコールに変性剤(メタノールなど)を加えたもの)など他のアルコール水溶液を用いてもよい。また、本実施形態では、アルコール濃度略50%のメタノール水溶液を用いたが、これに限らず、メチルアルコールと水を他の混合比率で混合させたメタノール水溶液を用いてもよい。さらに、本実施形態では、噴霧されるメタノール水溶液の量を粉末消火薬剤廃棄物の8%重量分としたが、これに限定されず、粉末消火薬剤廃棄物の6%〜10%(好ましくは、8%〜10%)などの6%以上(好ましくは7%以上(より好ましくは8パーセント以上))重量分としてもよい。そして、S3に進む。
【0020】
S3において、攪拌工程が実施される。この攪拌工程では、アルコール噴霧工程(S2)により噴霧されたアルコール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物とを攪拌し、粉末消火薬剤廃棄物表面のシリコンコートが除去される。具体的には、攪拌器を回転させてアルコール噴霧工程により噴霧されたメタノール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物を攪拌させる。なお、上述したアルコール噴霧工程(S2)として、攪拌器を回転させながらメタノール水溶液を粉末消火薬剤廃棄物に噴霧させてもよい。
【0021】
このように、噴霧されたメタノール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物とが攪拌され、粉末消火薬剤廃棄物表面のシリコンコートがメタノール水溶液で分解され、シリコンコートを除去することができる。また、メタノール水溶液(アルコール水溶液)を用いているので、人体へ悪影響を与えることなく取り扱うことができる。さらに、粉末消火薬剤廃棄物にメタノール水溶液を噴霧し、メタノール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物とを攪拌することにより、万遍なくメタノール水溶液が粉末消火薬剤廃棄物に混ざり、ダマ(丸い塊)の発生を極めて少なくすることができる。そして、S4に進む。
【0022】
S4において、送風工程が実施される。この送風工程では、攪拌されている粉末消火薬剤廃棄物が飛散されなくなった後に、送風手段(扇風機など)を用いてメタノール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物の混合物に送風して、混合物中のメタノールを蒸発させる。なお、本実施形態では、送風工程を別個の工程としたが、これに限らず、送風工程を攪拌工程の一部としてもよい。そして、S5に進む。
【0023】
このように、攪拌されている粉末消火薬剤廃棄物が飛散されなくなった後に、送風手段によりメタノール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物の混合物に送風して、混合物中のメタノールを蒸発させるので、メタノールの嫌な臭いを極めて少なくすることができる。なお、送風工程は粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法の任意の工程であり、メタノールの嫌な臭いを極めて少なくする必要がない場合は粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法に含めなくてもよい。
【0024】
S5において、濾過工程が実施される。この濾過工程では、攪拌工程(S3)によりシリコンコートが除去された粉末消火薬剤廃棄物とアルコール水溶液の混合物を濾過し、不純物が取り除かれる。具体的には、濾斗の上部に濾紙を載せて、シリコンコートが除去された粉末消火薬剤廃棄物とアルコール水溶液の混合物を逆三角すい状の濾紙の上部から濾紙内に挿入させる。これにより、細かい孔がたくさんあいた濾紙を介して、濾紙の孔より小さい粒子のシリコンコートが除去された粉末消火薬剤廃棄物とアルコール水溶液の混合物の成分(液体)が濾紙を通過し、容器内に挿入される。これにより、シリコンコートが除去された粉末消火薬剤廃棄物とアルコール水溶液の混合物が濾過されるので、不純物が取り除かれた透明な液体肥料を生成することができる。この濾紙を介して容器内に挿入された液体は、粉末消火薬剤廃棄物から抽出された窒素やリンが多く含有することから、液体肥料として利用ことができる。なお、本実施形態では、濾斗の上部に濾紙を載せて濾過したが、必ずしも濾斗の上部に濾紙を載せて濾過する必要はなく、シリコンコートが除去された粉末消火薬剤廃棄物とアルコール水溶液の混合物を濾過するものであれば、他の方法であってもよい。
【0025】
以上のように、濾過工程により抽出された液体肥料は透明であるため、その液体肥料が農業従事者等に使用される場合でも何ら問題なく使用される。また、液体肥料は液体であるため、農業従事者等により実際に使用される場面でも、肥料が風に飛散されることなく、容易かつ適切に肥料を散布することができる。さらに、液体肥料は液体であるため、肥料加工物を生成させる場合にも、肥料が飛散せず、容易に肥料加工物を生成することができる。
【0026】
次に、本発明の粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法の第2の実施形態について図面を参照にしながら説明する。図2は、本発明の第2の実施形態における粉末消火薬剤廃棄物液体肥料生成方法のフローチャートである。ここで、第2の実施形態の肥料作成工程と第1の実施形態の肥料作成工程とは、第1の実施形態では噴霧器を用いてメタノール水溶液を粉末消火薬剤廃棄物に噴霧させたが、第2の実施形態ではメタノール水溶液を粉末消火薬剤廃棄物に投入させる点について異なる。その他については、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0027】
S11の粉末消化薬剤廃棄物分別工程は、第1の実施形態(S1の粉末消化薬剤廃棄物分別工程)と同様であるので、説明は省略する。
【0028】
S12において、アルコール投入工程が実施される。このアルコール投入工程では、粉末消火薬剤廃棄物にアルコール水溶液としてのメタノール水溶液(アルコール濃度略50%(メチルアルコールと水をそれぞれ略50%の比率で混合))が投入される。具体的には、まず攪拌器内に粉末消火薬剤廃棄物が投入され、その攪拌器内の粉末消火薬剤廃棄物にメタノール水溶液が投入される。なお、本実施形態では、攪拌器内の粉末消火薬剤廃棄物にメタノール水溶液を投入させたが、これに限らず、アルコール投入工程として、攪拌器内に粉末消火薬剤廃棄物を投入して、その攪拌器を回転させながらメタノール水溶液を粉末消火薬剤廃棄物に投入させてもよい。その他については、第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。そして、S13に進む。
【0029】
S13において、攪拌工程が実施される。この攪拌工程では、アルコール投入工程(S12)により投入されたメタノール水溶液(アルコール水溶液)と粉末消火薬剤廃棄物が攪拌される。具体的には、攪拌器を回転させてアルコール投入工程により投入されたメタノール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物を攪拌させる。
【0030】
このように、投入されたメタノール水溶液と粉末消火薬剤廃棄物とが攪拌され、粉末消火薬剤廃棄物表面のシリコンコートがメタノール水溶液で分解され、シリコンコートを除去することができる。また、粉末消火薬剤廃棄物にメタノール水溶液を噴霧するアルコール噴霧工程を用いると、粉末消火薬剤廃棄物にメタノール水溶液を噴霧するための工程時間が必要となるが、アルコール投入工程により粉末消火薬剤廃棄物にメタノール水溶液が投入されるので、粉末消火薬剤廃棄物にメタノール水溶液を噴霧する時間を省略でき、粉末消火薬剤廃棄物の親水化処理時間をさらに短縮することができる。そして、S14に進む。
【0031】
S14の送風工程は、第1の実施形態(S4の送風工程)と同様であるので、説明は省略する。
【0032】
S15の濾過工程は、第1の実施形態(S5の濾過工程)と同様であるので、説明は省略する。
【0033】
以上のように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、濾過工程により抽出された液体肥料は透明であるため、その液体肥料が農業従事者等に使用される場合でも何ら問題なく使用される。また、液体肥料は液体であるため、農業従事者等により実際に使用される場面でも、肥料が風に飛散されることなく、容易かつ適切に肥料を散布することができる。さらに、液体肥料は液体であるため、肥料加工物を生成させる場合にも、肥料が飛散せず、容易に肥料加工物を生成することができる。
【0034】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1
図2