(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808718
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】噴霧乾燥ブチンジオール触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 31/26 20060101AFI20201221BHJP
B01J 23/843 20060101ALI20201221BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20201221BHJP
C07C 29/44 20060101ALI20201221BHJP
C07C 33/046 20060101ALI20201221BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20201221BHJP
【FI】
B01J31/26 Z
B01J23/843 Z
B01J37/04 102
C07C29/44
C07C33/046
!C07B61/00 300
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-510522(P2018-510522)
(86)(22)【出願日】2016年8月23日
(65)【公表番号】特表2018-526205(P2018-526205A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】US2016048183
(87)【国際公開番号】WO2017035133
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2019年8月19日
(31)【優先権主張番号】62/209,485
(32)【優先日】2015年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロスタム ジャル マドン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ネイゲル
(72)【発明者】
【氏名】キーナン リー デューチュ
(72)【発明者】
【氏名】ディーパク エス. タクール
【審査官】
山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第102950002(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第103638937(CN,A)
【文献】
特表2001−524380(JP,A)
【文献】
特開昭52−021291(JP,A)
【文献】
特開2008−212779(JP,A)
【文献】
特表2008−538224(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0275639(US,A1)
【文献】
特表2007−512416(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102658158(CN,A)
【文献】
特開昭61−010028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
C07B31/00−63/04
C07C1/00−409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチニル化触媒を形成する方法であって、
水、銅含有材料及びビスマス含有材料を含む水性スラリーを提供することと、
前記スラリーをミルにかけて、ミルにかけられたスラリーを形成することと、
構造材料及び結合剤をミルにかけられたスラリーに加えて、第2のスラリーを形成することと、
前記第2のスラリーを噴霧乾燥して、粒子を形成することと、
前記粒子をか焼して、前記エチニル化触媒を形成することと、を含み、
前記構造材料が、粘土、滑石、ケイ酸カルシウム、珪藻土または炭素を含む、前記方法。
【請求項2】
前記銅含有材料が、炭酸銅、シュウ酸銅、水酸化銅、酸化第二銅、または酸化第一銅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビスマス含有材料が、炭酸ビスマス、シュウ酸ビスマス、水酸化ビスマス、酸化ビスマス、または酢酸ビスマスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記結合剤が、シリカゾル、アルミナゾル、ケイ酸ナトリウム、またはアルミニウムクロロハイドレートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子が、5μm〜100μmの平均粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子が、5μm〜60μmの平均粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子が、13.5〜16.5μmの平均粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に従って形成された、エチニル化触媒。
【請求項9】
エチニル化触媒を活性化させる方法であって、
請求項8のエチニル化触媒を提供することと、
前記エチニル化触媒をホルムアルデヒドに曝して、混合物を形成することと、
前記混合物を十分な温度で十分な時間維持して、活性エチニル化触媒を形成することと、を含む、前記方法。
【請求項10】
前記十分な温度は72〜88℃である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記十分な時間は1時間〜10時間である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記活性エチニル化触媒が、銅アセチリド種を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
請求項9の方法に従って形成された、活性エチニル化触媒。
【請求項14】
1,4−ブチンジオールを形成する方法であって、
請求項13に記載の活性エチニル化触媒を、ホルムアルデヒドの存在下で、十分な温度で十分な時間、アセチレンに曝して、1,4−ブチンジオールを生成することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年8月25日付で出願された米国仮特許出願第62/209485号に対する優先権を主張し、その内容は参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0002】
本技術は、一般に、ブチンジオールの生成のための触媒に関する。より具体的には、本技術は、そのような触媒を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ホルムアルデヒドの触媒エチニル化は、「レッペ反応」または「レッペ法」として知られる。レッペ法で使用される銅含有触媒の公知の形成法は、ケイ酸サポートの含浸、共沈、及び堆積沈殿を含む。しかし、同一材料の調製には課題が残る。
【0004】
発明の概要
1つの態様では、エチニル化触媒の形成法が提供される。その方法は、水、銅含有材料、ビスマス含有材料、構造材料、及び結合剤を含む水性スラリーを提供することと、スラリーを噴霧乾燥して、粒子を形成することと、粒子をか焼して、エチニル化触媒を形成することと、を含む。銅含有材料の実例は、これらに限定するものではないが、炭酸銅、蓚酸銅、水酸化銅、酸化第二銅、及び酸化第一銅を含んでもよい。ビスマス含有材料の実例は、これらに限定するものではないが、炭酸ビスマス、蓚酸ビスマス、水酸化ビスマス、酸化ビスマス、及び酢酸ビスマスを含んでもよい。構造材料の実例は、これらに限定するものではないが、粘土、滑石、ケイ酸カルシウム、珪藻土、アルミナ、炭素、及びシリカを含んでもよい。結合剤の実例は、これらに限定するものではないが、シリカゾル、アルミナゾル、ケイ酸ナトリウム、及びアルミニウムクロロハイドレートを含んでもよい。
【0005】
上記実施形態のいずれかにおいて、粒子は約5μm〜約100μmの平均粒径を有してもよい。
【0006】
別の態様では、上記実施形態のいずれかに従って形成されたエチニル化触媒が提供される。
【0007】
別の態様では、エチニル化触媒の活性化方法が提供される。その方法は、上記方法のいずれかによって作製されたエチニル化触媒を提供することと、エチニル化触媒をホルムアルデヒドに曝して、混合物を形成することと、混合物を十分な温度で十分な時間維持して、活性エチニル化触媒を形成することと、を含む。いくつかの実施形態では、十分な温度は約80℃である。いくつかの実施形態では、十分な時間は約1時間〜約10時間である。上記実施形態のいずれかでは、活性エチニル化触媒が、銅アセチリド種を含む。
【0008】
別の態様では、上記方法に従って形成された活性エチニル化触媒が提供される。
【0009】
別の態様では、1,4−ブチンジオールの形成法が提供される。この方法は、上述の活性エチニル化触媒を、ホルムアルデヒドの存在下で、十分な温度で十分な時間、アセチレンに曝して、1,4−ブチンジオールを生成することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
さまざまな実施形態を以下に記述する。特定の実施形態を、徹底的に記述する、または本明細書で考察する、より広範な態様に限定する意図ではないことに注意されたい。ある特定の実施形態と関連して記述される1つの態様は、必ずしもその実施形態に限定されるわけではなく、いずれかの他の実施形態で実践できる。
【0011】
本明細書で使用されるとおり、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈により、ある程度変化するであろう。当業者に不明な用語の使用があるならば、それが使用される文脈では、「約」はある特定の用語の最大±10%を意味するであろう。
【0012】
用語「a」及び「an」及び「the」、ならびに要素(特に以下の特許請求の範囲の文脈で)を記述する文脈での類似の指示対象は、本明細書に明示されない、または文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方をカバーするものと解釈されたい。本明細書の値の範囲の詳述は、本明細書に明示されない限り、その範囲内に入るそれぞれ別々の値に個別に言及する簡略表記法として役立つことを単に意図し、それぞれ別々の値は、本明細書に個別に詳述されるかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記述されるすべての方法は、本明細書に明示されない、または文脈により明らかに矛盾しない限り、いかなる適切な順序で実施されてもよい。本明細書に提供される任意の及びすべての例、または例示的な言葉(例えば「などの」)は、単に実施形態をより明らかにするために意図されており、明言されない限り、特許請求の範囲に限定を提起しない。本明細書内の言語は、いかなる非請求要素も必須であると示すものとして解釈すべきではない。
【0013】
一般に、噴霧乾燥を経ての微粒子触媒の調製方法が提供される。噴霧乾燥後、触媒粒子は空気中でか焼される。微粒子触媒は、酸化銅、酸化ビスマス、構造材料、及び結合剤を含有する。微粒子触媒は、ホルムアルデヒドのエチニル化で1,4−ブチンジオールを形成するのに有用であり、すなわちこれがエチニル化触媒である。
【0014】
1つの態様では、噴霧乾燥を経ての微粒子触媒の調製のための方法が提供される。その方法は、微粒子触媒の酸化銅または酸化ビスマスの金属含有前駆体を使用する。例えば、金属含有前駆体には、炭酸塩、蓚酸塩、クエン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、及び水酸化物を含んでもよい。前駆体塩はスラリーが形成されるように、溶媒内で懸濁し、溶解しない。スラリーは、スラリー内で望ましい粒子サイズが達成されるまで、ミルにかけてもよい。或いは、前駆体塩は、スラリー形成前に、望ましい粒子サイズが達成されるまで、個別に、または一緒に乾式ミルにかけてもよい。
【0015】
平均粒子サイズ(APS)は、約0.5μm未満〜約10μmでありうる。いくつかの実施形態では、APSは約0.5μm〜約5μmでありうる。いくつかの実施形態では、APSは約0.5μm〜約3μmでありうる。いくつかの実施形態では、APSは約1μm〜約2μmでありうる。いくつかの実施形態では、APSは約2μm未満である。前駆体の摩砕は、望ましい粒子サイズ及び粒子サイズ分布を達成する必要に応じて、長くまたは短く続けてもよい。いくつかの実施形態では、これが約15分〜約24でもよい。他の実施形態では、摩砕の時間は約2時間〜約20時間でもよい。いくつかの実施形態では、摩砕の時間は約10時間〜約20時間である。
【0016】
構造材料前駆体のための実例材料は、これらに限定するものではないが、粘土、滑石、ケイ酸カルシウム、珪藻土、アルミナ、炭素、及びシリカを含む。構造成分は、触媒の総体的な機能性において助ける。上記の前駆体塩同様、構造成分は摩砕されて、材料のスラリーを提供することもでき、または適切な粒子サイズの材料を得て懸濁させて、スラリーを提供することもでき、または予め調製されたスラリーを得ることもできる。
【0017】
前駆体塩及び構造材料の摩砕及びスラリー化は、いかなる適切な溶媒内で行われてもよい。例えば、溶媒は水、アルコール、ニトリル、ケトン、またはエーテルでもよい。いくつかの実施形態では、水が溶媒である。従って、いくつかの実施形態では、形成されたスラリーは水性スラリーである。
【0018】
前駆体塩及び構造材料のスラリーの形成にあたり、結合剤をスラリーに加えてもよい。結合剤の実例は、これらに限定するものではないが、シリカゾル、アルミナゾル、ケイ酸ナトリウム、及びアルミニウムクロロハイドレートを含んでもよい。いくつかの実施形態では、結合剤はSiO
2である。スラリー内の結合剤の量は、最終触媒を結合するのに必要な量である。その量は、総固形物に基づき、約1重量%〜約30重量%でありうる。いくつかの実施形態では、その量は、約5重量%〜約20重量%である。他の実施形態では、その量は、総固形物に基づき、約10重量%の結合剤である。
【0019】
この方法のこの段階では、噴霧乾燥を行うとき、材料が容易に流れ、かつ噴霧されるように、スラリーは固形分の中に調整されている。例えば、スラリーの固形分は、約1重量%〜約50重量%の値に調整されている。いくつかの実施形態では、スラリーの固形分は、約1重量%〜約25重量%の値に調整されている。いくつかの実施形態では、スラリーの固形分は、約2重量%〜約20重量%の値に調整されている。いくつかの実施形態では、スラリーの固形分は、約5重量%〜約15重量%の値に調整されている。いくつかの実施形態では、スラリーの固形分は、約10重量%に調整されている。スラリーの望ましい固形分を達成するために、追加の溶媒を加えてもよいし、または溶媒を除去してもよい。
【0020】
前駆体塩、構造材料、及び結合剤のスラリーを噴霧乾燥する方法は、標準のホイール噴霧乾燥器、またはノズルタイプの噴霧乾燥器で行ってもよい。得られる粉末は、平均粒径約5μm〜約100μmを有する。いくつかの実施形態では、平均粒径は約5μm〜約60μmである。いくつかの実施形態では、平均粒径は約10μm〜約20μmである。いくつかの実施形態では、平均粒径は約15μm〜約40μmである。いくつかの実施形態では、平均粒径は約15μmである。粉末を得た後、約250℃〜600℃の温度でか焼して、粉末状のか焼した触媒材料を形成する。いくつかの実施形態では、か焼温度は350℃〜500℃である。
【0021】
か焼の後、粉末状のか焼した触媒材料は、約20重量%〜約70重量%の酸化銅、及び約1重量%〜約5重量%の酸化ビスマスを含有する。ナトリウムレベル(Na
2Oで表される)は、概して約3重量%未満である。粉末状のか焼された触媒材料の残余は、使用されている特定の構造材料にもよるが、ほとんどがさまざまな酸化物である。例えば、滑石はMg及びSiの両方を含有し、粘土はAl及びSiを含有し、ケイ酸カルシウムはCa及びSiを含有し、結合剤はSiを含有してもよい。少量の不純物は存在しうる。
【0022】
触媒形成の後、それはエチニル化反応に対して活性化しうる。粉末状のか焼された触媒は、水中でホルムアルデヒドと混合され、pHはわずかに基本値に調整される。例えば、pHは約7〜約10を超える値に調整されうる。いくつかの実施形態では、pHは約8に調整される。pHの調整は、ギ酸形成を防止または軽減するのに必要であり、さもないとギ酸が銅含有材料と反応し、それによってスラリーとして維持されることなく、銅が溶液内に溶解してしまう。触媒のホルムアルデヒドとの反応は、活性Cu(I)アセチリド種(Cu
2C
2)を生成する。
【0023】
活性化された触媒は、次いで水中で付加ホルムアルデヒドの存在下で、加圧反応器内でアセチレンに曝される。アセチレンとの反応は、アセチレンが窒素、アルゴン、またはヘリウムなどの気体と共混合される不活性雰囲気下で行われる。反応器は室温から約80℃へと徐々に熱せられる。反応のための一定時間の後、触媒のアセチレン摂取が軽減されたのをもって反応が証明され、反応器はアセチレンの流れの下、冷却される。反応器は窒素で浄化され、1,4−ブチンジオール及びプロパルギルアルコールを含有する生成物が回収される。
【0024】
上記手順は、記述した触媒の単純化した方法を提供する。生成された触媒は、1,4−ブチンジオールの形成のための市販の触媒に匹敵する、またはそれに優る活性を示す。
【0025】
本発明は、このように一般的に記述されており、以下の実施例を参照することにより、さらに容易に理解されよう。以下の実施例は、実例を示すことで提供され、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0026】
実施例1
炭酸銅及び炭酸ビスマスは、約30重量%固形物レベルまで水と混ぜ合わせて、スラリー化する。次いで、スラリーはバッチ式ボールミル(60%ボール体積)に加えられ、ローラスタンド上で16時間、または平均粒子サイズ(APS)またはd
50が、約1〜2マイクロメートル(μm)になるまで、回転させられる。滑石または他の構造成分も、必要であれば、2またはそれ以下のミクロンのAPSが市販で入手できないかぎり、同様の摩砕手順を経てもよい。摩砕されたスラリー(水、炭酸銅、炭酸ビスマス、構造材料)は、次いで総体的な結合剤のレベルが約10重量%であるように、結合剤SiO
2(Ludox(登録商標)AS40またはLudox(登録商標)HS40として市販で入手可能)と結合される。追加の水を加えてもよく、それによって予定された総体的な固形分が、約10重量%の固形物が得られる。約10重量%の固形物を伴う得られたスラリーは、次いで噴霧乾燥器に送り込まれ、噴霧乾燥され、生成物が粉末状で回収される。その粉末は次いで、約250℃〜約600℃、さらに通常は350℃〜500℃の温度で、か焼される。
【0027】
噴霧乾燥器の条件は、以下の表1に明らかにされる。
【表1】
【0028】
か焼の後、触媒は約20重量%〜約60重量%の酸化銅及び約1.0重量%〜約4.5重量%の酸化ビスマスを含有する。ナトリウムレベル(Na
2Oで表される)は、概して約3重量%未満である。触媒の残余は、使用されている特定の構造材料にもよるが、ほとんどがさまざまな酸化物である。例えば、滑石はMg及びSiの両方を含有し、粘土はAl及びSiを含有し、ケイ酸カルシウムはCa及びSiを含有し、Ludox(登録商標)は該Siを含有する。少量の不純物は存在しうる。重量を含む、噴霧乾燥ためのさまざまな試料及びその成分が表2に提供され、表3はさまざまな試料で使用された成分のためのデータ及び形成条件を提供する。
【表2】
【表3】
【0029】
実施例2:触媒試験手順
試験は一般に2つのステップで行われた。第1に、触媒は活性化されて、活性銅アセチリドを形成した。第2に、活性銅アセチリドが次いで反応槽に移された。
【0030】
具体的には、触媒活性を、100mLのホルマリン(水中で37重量%のホルムアルデヒド)が入った四ツ口石英反応フラスコ内で行った。ホルマリンのpHは、1.5MのNaOHを加えることにより、約8に調整した。生(き)のホルマリンは、ギ酸不純物のため酸性(pH=3〜4)である。この酸は、触媒がホルマリンに接触する前に中和されなければならない。さもないと、触媒中の銅がギ酸銅を形成し、溶液内に溶解しうる。次に、15gの粉末状のか焼された触媒を、pH調整されたホルマリンに加えた。反応器は窒素で浄化され、撹拌が始まり、アセチレンを50mL/分で触媒−ホルマリンスラリーに室温で導入した。次いで、フラスコを再循環水槽内に下ろし、80℃まで熱した。この手順は、活性Cu(I)アセチリド種(Cu
2C
2)を形成する。
【0031】
生成されたギ酸は、1.5MのNaOHをスラリーに加えることで持続的に中和され、それによってpHを約8に維持した。5時間後、反応器はアセチレンの流れの下で、室温に冷却された。室温に達したら、アセチレンを窒素でフラスコから浄化し、反応器を分解し、スラリーを取り除いた。重さを量り、遠心分離し、デカンターに移して、湿った触媒をいつでも活性試験ができるように残した。
【0032】
実施例3:反応試験
0.5gの活性触媒(無水ベース)を用いて、45mLのホルマリンが入ったステンレス鋼の撹拌式オートクレーブに充填し、反応観察が行われた。活性手順同様、ホルマリンのpHは、初めに約8に調整した。反応が起こる前に、反応器は窒素及びアセチレンで浄化した。反応器は、1450RPMで撹拌しながら、半バッチ式で作動した。スタート時点で加圧したバラストシリンダからのアセチレンを、15psig(反応圧力)にセットした圧力調整器を通して、反応器に導入し、反応器を毎分およそ2℃で80℃まで熱した。注)反応器はアセチレンなしに熱してはならない。さもないと、CuアセチリドがCu
0にまで減少し、触媒を不活性化してしまう。反応が進むと、バラストシリンダ内で、アセチレン摂取が圧力変化を経て監視された。5時間後、反応器はアセチレンの流れの中で冷却され、その後窒素で浄化された。スラリーを取り除き、遠心分離し、デカンターに移した。生成混合物を、ガスクロマトグラフィーで分析した。1,4−ブチンジオール(一次生成物)及びプロパルギルアルコール(中間生成物)を数量化した。
【0033】
実施例4:活性比較
上述のとおり測定した触媒の活性を、表4に提供する。活性は、対照として市販のBASF社の触媒Cu5020Pと比較する。活性は、CuOのグラムごとに毎分形成されるブチンジオール+プロパルギルアルコールのモルとして報告される。上記の噴霧乾燥法を経て作製された粉末状のか焼された触媒は、市販の触媒に匹敵する、またはそれに優ることを留意されたい。
【表4】
【0034】
ある実施形態が例証され、説明されるとき、下記の特許請求の範囲で定義されるように、そのより広い態様における技術から逸脱せずに、当業者に従って、その中で変更及び改変がなされうることを理解すべきである。
【0035】
本明細書に例証して記述された実施形態は、本明細書に特に開示されていない任意の1つまたは複数の要素、1つまたは複数の限定なしでも適切に実践できる。従って、例えば用語「備える」、「含む」、「含有する」等は、限定することなく広い意味で読むべきである。加えて、本明細書に使用する用語及び表現は、記述の用語として使用され、限定の用語として使用されるものではない。そして、そのような用語及び表現の使用においては、示され、記述されている特徴またはその部分のいかなる等価物をも除外する意図はない。しかし、主張した技術の範囲内であれば、さまざまな改変が可能であることは認められる。加えて、「基本的に〜からなる」という句は、特に列挙した要素、及び主張した技術の基本的及び新規の特徴に実質的に影響しない追加の要素を含むことが理解されよう。「〜からなる」という句は、明細書に記載されない要素を除外する。
【0036】
本開示は、本出願内に記述されている特定の実施形態の用語において限定されるものではない。当業者には明らかになるように、多くの改変及び変更がその趣旨と範囲を逸脱せずになされうる。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価の方法及び組成物は、先の記述から当業者には明らかであろう。そのような改変及び変更は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。本開示は、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲に加えて、添付の特許請求の範囲の用語によってだけ限定されるものである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物システムに限定されるものではなく、もちろんのこと変更しうることを理解されたい。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を記述する目的のためだけのもので、限定する意図はないことも理解されたい。
【0037】
加えて、本開示にある特徴または態様はマーカッシュ群の用語で記述され、本開示はそのため、マーカッシュ群の任意の個別メンバーまたは部分群メンバーの用語で記述されることも、当業者は認めるであろう。
【0038】
当業者には理解されるように、すべての目的のために、特に明細書を提供することに関して、本明細書に開示するすべての範囲は、そのすべての可能な部分範囲及び部分範囲の組み合わせも包含する。いかなる列挙した範囲も、十分に記述しており、同じ範囲を少なくとも等分で二分の一、三分の一、四分の一、五分の一、十分の一等に分解することができると、容易に認めることができる。非限定的例としては、本明細書で検討した各範囲は、下三分の一、中三分の一、上三分の一等に容易に分解できる。当業者にはこれも理解されるだろうが、「最大」、「少なくとも」、「〜を超える」、「〜未満」等のすべての言葉は、列挙した数字を含み、上記で検討したように、その後部分範囲に分解できる範囲に及ぶ。最後に、当業者には理解されるように、範囲は各個別メンバーを含む。
【0039】
本明細書に関するすべての論文、特許申請書、発行された特許権、及び他の文献は、それぞれの個別の論文、特許申請書、発行された特許権、または他の文献が、具体的にかつ個別的にそのすべてが参照によって組み込まれることを示すかのように、参照によって本明細書に組み込まれている。参照によって組み込まれている本文内に含まれる定義は、本開示の定義と矛盾するとして、可能な限り除外している。
【0040】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲で明らかにされる。