(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粒状無機材料を少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物と接触させるステップが、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物の少なくとも1層を前記粒状無機材料上に塗布することを含む、請求項1に記載の方法。
YがOHまたは選択されたシランの少なくとも1つに対してのアルコキシル、アリールオキシル、カルボキシルおよびハロゲンからなる群から選択される加水分解性基である、請求項1に記載の方法。
前記プロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーのX基が、疎水性表面を有するポリマーをもたらし;前記プロセスステップa)〜c)により得られたポリマーに、前記ポリマーの疎水性表面を分解する熱処理を施さない、請求項1に記載の方法。
前記プロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーのX基が、疎水性表面を有するポリマーをもたらし;前記表面処理された粒状無機材料に、前記粒状無機材料に付着した前記ポリマーの疎水性表面を分解する熱処理を施さない、請求項1に記載の方法。
前記表面処理された粒状無機材料および/または前記プロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーが、300℃を超える温度で熱処理されない、請求項1に記載の方法。
前記ステップa)〜c)により調製された有機−無機ハイブリッドポリマーが、前記少なくとも1つの表面処理剤の平均粒径の80%未満の平均粒径を有する他のポリマーに共有結合しない、請求項1に記載の方法。
前記表面処理される粒状無機材料を、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物と接触させる前に、前記無機粒子材料を水、またはメタノールもしくはエタノールなどの適切な有機溶媒にさらす、請求項1に記載の方法。
前記有機−無機ハイブリッドポリマーが、完全縮合オリゴマーシルセスキオキサン、部分縮合オリゴマーシルセスキオキサン、非縮合オリゴマーシルセスキオキサン、またはそれらの任意の混合物の形態であり、但し、有機−無機ハイブリッドポリマーの全モル数で割った完全縮合オリゴマーシルセスキオキサンのモル数が1〜0.5の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の好ましい実施形態を、添付図面を参照してより詳細に説明する。
【0047】
本発明が開示され、説明される前に、本発明は、本明細書に開示される特定の構造、プロセスステップ、または材料に限定されないが、関連技術における通常の技術を有する者によって認識されるように、それらの均等物に拡大されることが理解されるべきである。本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためだけに使用され、限定を意図するものではないことも理解されたい。
【0048】
本発明の目的は、公知の粒状無機材料と比較して、水を吸収する能力が低下し、機械的強度が改善された粒状無機材料を提供することである。
【0049】
さらなる目的は、モルタル、石こう、セメントおよび軽量コンクリートなどの、建築材料と混合される、またはこのような建築材料において添加剤として導入される際に、長時間の改善された機械的強度を有する混合物をもたらす粒状無機材料を提供することである。
【0050】
上記目的は、以下のステップを含むまたはそれらからなる方法によって調製された表面処理された粒状無機材料によって達成された:
粒状無機材料を準備するステップ;および
粒状無機材料を少なくとも1つの表面処理剤を含むまたはそれからなる組成物と接触させ、それによって表面処理された粒状無機材料を得るステップを含み、
少なくとも1つの表面処理剤が有機−無機ハイブリッドポリマーであり;
有機−無機ハイブリッドポリマーが、以下のステップを含むまたはそれからなるプロセスによって得ることができるポリマーの群から選択される:
a)下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から選択される一種のシランの制御された加水分解および縮合によってポリマーを形成するステップ;または
下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から独立して選択される少なくとも異なる2種のシランの制御された加水分解および縮合によってポリマーを形成するステップ;
ここで、
Xが-NR
1R
2、-N=C=O、SHまたはOHであり;
R
1およびR
2が、水素;直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基;脂肪族または芳香族カルボニル;および置換もしくは非置換のアリールからなる群から独立して選択された残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素のうちの1つ以上の元素を任意に含むことができ;またはR
1およびR
2が、酸類、アルコール類、フェノール類、アミン類、アルデヒド類またはエポキシド類などの1種以上の化学物質の縮合生成物、付加生成物からなる群から独立して選択され;
nが1または2であり;
Lが、直接結合;または直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基;および置換または非置換のアリーレンからなる群から選択される残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素のうちの1つ以上の元素を任意に含むことができ;
Yが加水分解性基またはOHであるステップ;
b)Xが-NR
1R
2であり、R
1およびR
2の少なくとも1つが選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つに対してのHである場合;またはXが、選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つに対しての-N=C=O、SHまたはOHである場合、
X基の原子と反応物の少なくとも1つの原子との間に共有結合を形成することができる少なくとも1つの反応物を添加するステップ;
少なくとも1つの反応物が、環状無水物および式R−Zの化合物からなる群から選択される化合物であり、
ここで、Rが、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基;脂肪族または芳香族カルボニル;および置換もしくは非置換のアリールからなる群から選択される残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素のうちの1つ以上の元素;または酸類、アルコール類、フェノール類、アミン類、アルデヒド類またはエポキシド類などの1種以上の化学物質の縮合生成物、付加生成物からなる群から選択される残基を任意に含むことができ;
Zが、アルコキシル、アリールオキシ、シクロアルコキシ、カルボキシル、ホルミル、ハロゲン化アシル、イソシアネート、ヒドロキシル、アミン、エポキシド、エステルおよびハロゲンからなる群から選択される残基であるステップ;
c)Xが、選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つに対しての-NR
1R
2である場合、
必要に応じて、X基のN原子を第四級ニトロニウムイオンに変換することができる酸を添加するステップを含む。
【0051】
用語「下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から選択される1種のシラン」は、本明細書ではシランのリストから選択された1種の特定のシランを指し、ここで、リスト中の各シランおよび1つのシランは、下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表される。下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から選択される一種のシランの例は、(NH
2-CH
2-CH
2-CH
2-)
1Si(-O-CH
2)-CH
3)
3である。1種のシランの制御された加水分解および縮合によってポリマーを形成すると、ホモポリマーが形成される。
【0052】
プロセスステップa)で得られたポリマーがホモポリマーである場合、ステップb)およびc)は、「選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つに対しての」の代わりに「選択されたシランに対しての」を指す。
【0053】
用語「下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から独立して選択される少なくとも異なる2種のシラン」は、本明細書において、シランのリストから選択された2種以上の特有のシランを指すことを意味し、ここで、リスト中の各シランおよび1つのシランは、下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表される。用語「特有のシラン」は、本明細書では、構造が同一ではない、すなわち、2つ以上のシランのそれぞれおよび1つが特有の構造を有するシランを指すことを意味する。下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から独立して選択される少なくとも異なる2種のシランの例は、(NH
2-CH
2-CH
2-CH
2-)
1Si(-O-CH
2-CH
3)
3および(NH
2-CH
2-CH
2-CH
2-)
2Si(-O-CH
2-CH
3)
2である。少なくとも異なる2種のシランの制御された加水分解および縮合によってポリマーを形成すると、共重合体が形成される。
【0054】
ステップa)で得られたポリマーが共重合体である場合、ステップb)およびc)は、「選択されたシラン(単数または複数)または選択されたシラン(単数または複数)の少なくとも1つに対しての」の代わりに、「選択されたシラン(複数)または選択されたシラン(複数)の少なくとも1つに対しての」を指す。
【0055】
ステップb)において、用語「Xが-NR
1R
2であり、R
1およびR
2の少なくとも1つが選択されたシランに対してのHである」は、ポリマー鎖を構成するモノマーの各々および全てがX=-NR
1R
2を有し、R
1およびR
2の少なくとも1つがHであることを必要とする。ステップb)において、用語「Xが-NR
1R
2であり、R
1およびR
2の少なくとも1つが、選択されたシランの少なくとも1つに対してのHである」は、ポリマー鎖を構成するモノマーの少なくとも1つがX=-NR
1R
2を有し、R
1およびR
2の少なくとも1つがHであることを必要とする。
【0056】
ステップb)において、用語「Xが、選択されたシランの少なくとも1つに対しての-N=C=O、SHまたはOHである場合」は、ポリマー鎖を構成するモノマーの各々および全てがX=-N=C=O、SHまたはOHを有することを必要とする。ステップb)において、用語「Xが、選択されたシランの少なくとも1つに対しての-N=C=O、SHまたはOHである場合」は、ポリマー鎖を構成するモノマーの少なくとも1つがX=-N=C=O、SHまたはOHであることを必要とする。
【0057】
ステップc)において、用語「Xが、選択されたシランに対しての-NR
1R
2である場合」は、ポリマー鎖を構成するモノマーの各々および全てがX=-NR
1R
2を有することを必要とする。ステップc)において、用語「Xが、選択されたシランの少なくとも1つに対しての-NR
1R
2である場合」は、ポリマー鎖を構成するモノマーの少なくとも1つがX=-NR
1R
2を有することを必要とする。
【0058】
本発明による方法は、特定のタイプの反応媒体に依存せず、水などの水性溶媒および有機系分散剤の両方で行ってもよい。
【0059】
表面処理された粒状無機材料の製造
本発明による表面処理された粒状無機材料を製造するプロセスの第1のステップは、粒状無機材料を提供することを含む。用語「粒状材料」は、本明細書では、粒状形態の任意の材料を含むことを意図する。材料が単一の粒子の形態であろうと複数の粒子の形態であろうと、それは常に粒状材料である。用語「無機材料」は、有機物ではない材料を指す。
【0060】
粒状無機材料
本発明による一実施形態では、粒状無機材料は、パーライト、膨張パーライト、ベントナイト、ケイソウ土、シリカ、重晶石、ジプサム、石灰石、カオリン、粘土、膨張粘土、バイオ炭、マイカ、タルク、バーミキュライト、合成カルシウムシリケート水和物、天然ケイ酸塩、フライアッシュ、ガラスなどの火山灰や他の火山生成物、スラグ、軽石、頁岩、合成ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイソウ土、ウォラストナイト、スレート、膨張スレート;またはそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0061】
本発明による別の実施形態では、粒状無機材料は、膨張パーライト、膨張粘土、膨張スレートまたはそれらの任意の混合物である。好ましくは、粒状無機材料は膨張パーライトである。より好ましくは、粒状無機材料は、従来の膨張パーライトまたは熱膨張パーライトである。従来の膨張パーライトおよび熱膨張パーライトは、それぞれ実施例2bおよび2aにおいて具体的に言及される。膨張粘土は、実施例7および8において具体的に言及される。
【0062】
パーライト、粘土および他の粒状無機材料を膨張させる方法は、当該技術分野において周知であり、したがって、本明細書で完全に検討する必要はない。
【0063】
従来の膨張パーライトの製造方法を開示している以下の刊行物を参照されたい:
J.E.Kogel,N.C.Trivedi,J.M.Barker,S.T.Krukowski:Perlite by J.M.Barker and K.Santini,Industrial Minerals and Rocks,7th edition,2006,pp.685-702;
U.S.Department of the Interior,Bureau of Mines,Washington.Perlite:US Minerals Yearbook 1989,Vol.I:Metals and Minerals,pp.765-767;
M.Roulia,K.Chassapis,A.Kapoutsis,E.I.Kamitsos,T.Savvidis:Influence of thermal treatment on the water realise and the glassy structure of perlite.J.Marer Sci,2006,Vol.41,pp.5870-5881;
Av.A.Varuzhanyan,Ar.A.Varuzhanyan,H.A.Varuzhanyan: A mechanism of perlite expansion.Inorganic Materials,ISSN 0020-1685,2006,Vol.42(9),pp.i039-1045;および
米国特許第4,525,388号“Process for expanding and coating perlite”。
【0064】
熱膨張パーライトを製造する方法を開示する以下の刊行物を参照されたい:
Peppas,M.Taxiarchou,E.Koffa,T.Karalis,A.Amanatidis,Development of closed porous microcellular products from perlite.AMIREG 2006 Conference September 206, Hania, Greece;
K.Zahringer:Etude thermohydraulique du phenomene d’ expansion de la perlite:Applications a un four industriel.PhD Thesis,Ecole Centrale Paris(1998);および
“Milled expanded volcanic glass as lamellar filler”,欧州特許第2444460(A1)号明細書。
【0065】
間接加熱技術を用いて膨張パーライトを製造する方法を開示する以下の刊行物を参照されたい:国際公開第2015/057895号パンフレット「プラスチックおよび特殊コーティングのための層状機能性充填材としての、膨張微粉化表面処理アルミノ珪酸塩火山ガラス」。
マイクロ波技術を用いて膨張パーライトを製造する方法を開示する以下の公報を参照されたい:米国特許第6,408,649号明細書(2002年)の「マイクロ波放射を用いたガラスおよびガラス状材料の急速熱処理方法」。
【0066】
本発明による別の実施形態では、粒状無機材料は軽量粒状無機材料である。軽量粒状無機材料の例は、950kg/m
3未満のlbd;好ましくは、10〜800kg/m
3、10〜600kg/m
3、10〜500kg/m
3または10〜400kg/m
3のlbdなどの10〜950kg/m
3のlbd;より好ましくは、30〜350kg/m
3、30〜300kg/m
3または30〜100kg/m
3のlbdなどの10〜350kg/m
3のlbdを有する粒状無機材料である。軽量粒状無機材料のさらなる例は、950kg/m
3未満の有効粒子密度;好ましくは、10〜800kg/m
3、10〜600kg/m
3、10〜500kg/m
3または10〜400kg/m
3などの10〜950kg/m
3の有効粒子密度;より好ましくは、30〜350kg/m
3、30〜300kg/m
3または30〜100kg/m
3などの10〜350kg/m
3の有効粒子密度を有する粒状無機材料である。
【0067】
本明細書では、緩め嵩密度(lbd)は、BS EN 1097-3:1998「骨材の機械的および物理的特性の試験、緩め嵩密度および空隙の決定」に従って測定される。有効粒子密度は、本明細書において、EN1097-6:2000「骨材の機械的および物理的特性の試験、粒子密度および吸水率の決定」に従って測定される。
【0068】
本発明による粒状無機材料の粒子は、異なるサイズおよび形状であってもよいことが理解されるべきである。本発明による一実施形態では、粒状無機材料の粒径分布(d
50)は、10nm〜30000ミクロンの範囲にある。本発明による別の実施形態では、粒状無機材料の粒径分布(d
50)は、10nm〜800ミクロン、10nm〜600ミクロン、10nm〜400ミクロン、10nm〜200ミクロン、10nm〜100ミクロン、10nm〜50ミクロンまたは10nm〜25ミクロンなどの10nm〜1000ミクロンの範囲内である。本発明による別の実施形態では、粒状無機材料の粒径分布(d
50)は、10nm〜30000ミクロンの範囲内である。
【0069】
本発明による別の実施形態では、粒状無機材料の粒径分布(d
50)は、100nm〜30000ミクロンの範囲内である。本発明による別の実施形態では、粒状無機材料の粒径分布(d
50)は、100nm〜800ミクロン、100nm〜600ミクロン、100nm〜400ミクロン、100nm〜200ミクロン、100nm〜100ミクロン、100nm〜50ミクロン、または100nm〜25ミクロンなどの100nm〜1000ミクロンの範囲内である。本発明による別の実施形態では、粒状無機材料の粒径分布(d
50)は、100nm〜30000ミクロンの範囲内である。
【0070】
本発明による別の実施形態では、粒状無機材料の粒径分布(d
50)は、2〜30000ミクロンの範囲内である。本発明による別の実施形態では、粒状無機材料の粒径分布(d
50)は、2〜800ミクロン、2〜600ミクロン、2〜400ミクロン、2〜200ミクロン、2〜100ミクロン、2〜50ミクロンまたは2〜25ミクロンなどの2〜1000ミクロンの範囲内である。
【0071】
本発明による別の実施形態では、粒状無機材料の粒径分布(d
50)は、2000〜30000ミクロン、4000〜30000ミクロン、6000〜30000ミクロン、8000〜30000ミクロンまたは10000〜30000ミクロンなどの1000〜30000ミクロンの範囲内である。最も小さい粒子は、例えば、熱絶縁のための、モルタル(
図7、右)、石こう、セメントおよび軽量コンクリートなどの建築材料における充填剤、増量剤および添加剤としての使用を典型的には満たす一方、より大きな粒子は、例えば、排出用材料(
図7、中央)、ろ過用材料、およびブロックの骨材(
図7、左)としての使用を典型的には満たす。
【0072】
粒度分布(d
50)は、累積分布における50%の粒径の値である。粒度分布(d
50)は、本明細書において、EN933-1:1997「骨材の幾何学的特性の試験、粒度分布の決定、ふるい分け法」に従って測定される。粒度分析は、Retschの光学画像分析システムCamsizer XTを用いて行うことができる。
【0073】
本発明による表面処理された粒状無機材料を製造するプロセスにおける第2のステップは、粒状無機材料を、少なくとも1つの表面処理剤を含むまたはそれからなる組成物と接触させることを含む。本明細書で使用される用語「接触させる」は、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物が、粒状無機材料の表面の少なくとも一部に適用される、またはその逆であることを意味する。「接触させる」ステップは、例えば、浸漬、噴霧、はけ塗り、浴処理、またはそれらの任意の組み合わせによって行うことができる。
【0074】
浸漬
本発明による一実施形態では、粒状無機材料は、例えば、ティーバッグに処理すべき粒状無機材料を充填し、次いで少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物にティーバッグを浸漬することによって、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物に浸漬される(実施例6)。用語「ティーバッグ」は、粒状無機材料がバッグから漏れ出ることを防止するようになされた細孔を有するバッグまたはデバイスを指すが、同時にそれが浸漬される組成物がバッグの内外を自由に通過することを可能にする。少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物のバッグ内外への移動を容易にするために、組成物は、処理中、攪拌、例えば磁気攪拌してもよく、またはティーバッグは、それが浸漬される組成物の連続流中に任意に浸漬されてもよい。バッグが少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物と所定の時間接触した後、バッグおよび/またはその内容物が組成物から除去され、例えば、水またはメタノールもしくはエタノールなどの適切な有機溶媒中に浸漬することによって、1つ以上の洗浄ステップを施してもよい。洗浄ステップ後、水および/または有機溶媒を除去するために、粒状無機材料に1つ以上の乾燥ステップを任意に施してもよい。第2のコーティング層が適用される場合、第2のコーティング層を設けるために、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物にバッグおよび/またはその内容物を再度浸漬し得る。その後、同様の手順で行って、第3、第4、第5のコーティング層などを設け得る。コーティングおよび洗浄後、水および/または有機溶媒を除去するために、バッグ内の内容物に1つ以上の乾燥ステップを施すことが好ましい。
【0075】
浴処理
本発明による別の実施形態では、粒状無機材料を、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物に浸漬し(浴処理)、好ましくは、例えば、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物の連続流をもたらす管接続部を両側に備えた反応器内に粒状無機材料を導入することによって、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物の連続流に浸漬する(実施例2a)。少なくとも1つの表面処理剤と粒状無機材料とを含む組成物の混合を容易にするために、混合物を攪拌、例えば、処理中に磁気攪拌を施してもよく、または反応器が任意に処理中に回転してもよく、または混合物が反応器を循環してもよい。粒状無機材料が、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物と所定の時間接触した後、粒状無機材料を組成物から除去し、水またはメタノールもしくはエタノールなどの適切な有機溶媒の連続流をもたらすことによって、1つ以上の洗浄ステップを施してもよい。洗浄ステップ後、水および/または有機溶媒を除去するために、粒状無機材料に1つ以上の乾燥ステップを任意に施してもよい。第2のコーティング層が塗布される場合、粒状無機材料は、第2のコーティング層を設けるために、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物に再浸漬されてもよい。その後、同様の手順で行って、第3、第4、第5のコーティング層などを設け得る。コーティングおよび洗浄後、粒状無機材料は、好ましくは、水および/または有機溶媒を除去するために、1つ以上の乾燥ステップを施す。
【0076】
噴霧
本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物を、例えば、米国特許第4,525,388号明細書に開示されている手順、または流動床処理装置に従って、粒状無機材料(実施例2bおよび2c)に噴霧することができる。第1のコーティング層が粒状無機材料上に噴霧された後、粒状無機材料は、例えば、水またはメタノールもしくはエタノールなどの適切な有機溶媒の噴霧処理をもたらすことによって、1つ以上の洗浄ステップを施してもよい。粒状無機材料は、水および/または有機溶媒を除去するために、1つ以上の乾燥ステップを任意に施してもよい。
【0077】
はけ塗り
本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物を粒状無機材料の上にはけ塗りする。第1のコーティング層を粒状無機材料上にはけ塗りした後、粒状無機材料は、例えば、水またはメタノールもしくはエタノールなどの適切な有機溶媒中に浸漬することによって1つ以上の洗浄ステップを施してもよい。洗浄ステップ後、水および/または有機溶媒を除去するために、粒状無機材料に1つ以上の乾燥ステップを任意に施してもよい。第2のコーティング層が適用される場合、粒状無機材料に、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物の第2の層を粒状無機材料上にはけ塗りすることによって、第2のコーティングステップを施してもよい。その後、同様の手順で行って、第3、第4、第5のコーティング層などを設け得る。コーティングおよび洗浄後、粒状無機材料は、好ましくは、水および/または有機溶媒を除去するために、1つ以上の乾燥ステップを施す。
【0078】
層数
本発明の一実施形態では、粒状無機材料に、例えば、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物と十分な時間接触させた後に、水またはメタノールもしくはエタノールなどの適切な有機溶媒中に浸漬することによって、1つ以上の洗浄ステップを施す。洗浄ステップ後、水および/または有機溶媒を除去するために、粒状無機材料に1つ以上の乾燥ステップを任意に施してもよい。第2のコーティング層が塗布される場合、粒状無機材料は、典型的には、第2のコーティング層を設けるために、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物と接触させる。その後、同様の手順で行って、第3、第4、第5のコーティング層などを設け得る。コーティングおよび洗浄ステップ後、粒状無機材料に、好ましくは、水および/または有機溶媒を除去するために、1つ以上の乾燥ステップを施す。
【0079】
本発明の文脈において、層の数は、粒状無機材料が少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物と接触される回数を指す。各コーティング処理の結果を新しい層と称するために、各コーティング処理の間に1つ以上の洗浄ステップまたは少なくとも1つの乾燥ステップを実施する必要がある。洗浄および乾燥ステップの目的は、水、エタノールおよびメタノールなどの溶媒を除去することである。
【0080】
2つ以上のコーティング層が粒状無機材料上に塗布される場合、各層は同じまたは異なる技術を使用して塗布されてもよく、例えば、第1の層は噴霧によって塗布されてもよく、第2の層は浴処理または他の方法で塗布されてもよいことが理解されるべきである。同様に、第1の層、第2の層および第3の層が浴処理によって塗布される場合、第4の層は噴霧によって塗布され、第5の層は例えば浸漬によって塗布されてもよい。
【0081】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物の1つ以上の層が、例えば、1つの層、少なくとも2つの層、少なくとも3つの層、少なくとも4つの層、少なくとも5つの層、少なくとも6つの層、少なくとも7つの層、少なくとも8つの層、少なくとも9つの層または少なくとも10の層などの粒状無機材料上に塗布された。本発明による別の実施形態では、粒状無機材料上に塗布された少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物の層の数は、1〜100、1〜50、1〜25、1〜10、1〜8、1〜6、1〜4または1〜2の範囲内である。
【0082】
粘度
粒状無機材料を少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物と接触させる場合、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物は、共有結合または非共有結合のいずれかで粒状無機材料の表面に付着する。少なくとも1つの表面処理剤ができるだけ多くの粒子表面と接触するためには、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物が、表面に存在する可能性があるあらゆる亀裂および割れ目に浸透することができ、内部空気充填空洞に入ることができることが好ましい。
【0083】
本発明による一実施形態では、最良の濡れ特性を可能にするために、粒状無機材料を少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物と接触させる前に、表面処理すべき粒状無機材料を水または適切な有機溶媒、例えばメタノールもしくはエタノールにさらす。
【0084】
本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物の粘度は、表面処理剤が可能な限り多くの粒子表面と接触することを可能にするほど十分に低い。組成物の温度および表面処理剤の濃度は、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物の粘度にとって重要なパラメータであることが知られている。
【0085】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物は、例えば、0.05〜20重量%の少なくとも1つの表面処理剤、0.1〜20重量%の少なくとも1つの表面処理剤、0.5〜20重量%の少なくとも1つの表面処理剤、1〜20重量%少なくとも1つの表面処理剤、2〜20重量%の少なくとも1つの表面処理剤、5〜20重量%の少なくとも1つの表面処理剤、2〜15重量%の少なくとも1つの表面処理剤、2〜12重量%の少なくとも1つの表面処理剤、2〜10重量%の少なくとも1つの表面処理剤または5〜10重量%の少なくとも1つの表面処理剤などの0.01〜20重量%の少なくとも1つの表面処理剤を含む。用語「少なくとも1つの表面処理剤」は、本発明の第1の態様に従って定義された有機−無機ハイブリッドポリマーを指すことを意図する。
【0086】
本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物は、例えば、0.05〜20重量%の表面処理剤、0.1〜20重量%の表面処理剤、0.5〜20重量%の表面処理剤、1〜20重量%の表面処理剤、2〜20重量%の表面処理剤、5〜20重量%の表面処理剤、2〜15重量%の表面処理剤、2〜12重量%の表面処理剤、2〜10重量%の表面処理剤または5〜10重量%の表面処理剤などの0.01〜20重量%の表面処理剤を含有する。用語「表面処理剤」は、粒状無機材料、すなわち本発明の第1の態様に従って定義された有機−無機ハイブリッドポリマーに付着することを意図したすべての化合物、および粒状無機材料に付着することを意図する組成物中の他のすべての化合物を指すことを意図する。
【0087】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物は、粒状無機材料と接触させる前に、10℃〜300℃、10℃〜200℃、10℃〜150℃、15℃〜300℃、15℃〜200℃、15℃〜150℃、20℃〜300℃、20℃〜200℃、20℃〜150℃、25℃〜300℃、25℃〜200℃、25℃〜150℃、30℃〜300℃、30℃〜200℃、30℃〜150℃、35℃〜300℃、35℃〜200℃、35℃〜150℃、40℃〜300℃、40℃〜200℃または40℃〜150℃などの5℃〜300℃の範囲内の温度に加熱する。
【0088】
本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物は、粒状無機材料と接触する場合に、例えば10℃〜300℃、10℃〜200℃、10℃〜150℃、15℃〜300℃、15℃〜200℃、15℃〜150℃、20℃〜300℃、20℃〜200℃、20℃〜150℃、25℃〜300℃、25℃〜200℃、25℃〜150℃、30℃〜300℃、30℃〜200℃、30℃〜150℃、35℃〜300℃、35℃〜200℃、35℃〜150℃、40℃〜300℃、40℃〜200℃または40℃〜150℃などの5℃〜300℃の範囲内の温度を有する。
【0089】
少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物が粒状無機材料と接触する前に加熱されることが好ましい場合もあるが、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物は、ステップa)〜ステップc)で得られたポリマーの構造を分解する温度に加熱されないことが最も重要である。
【0090】
このように、本発明による一実施形態では、プロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーに、ポリマーの疎水性表面を分解する、すなわちX基によってもたらされる疎水性表面を分解する熱処理を施さない。疎水性表面が分解し始める温度は、X基の構造に依存して変化する。当業者は、疎水性表面がどの温度で分解し始めるかを、例えば、熱重量分析(TGA)によって容易に決定することができる。プロセスステップa)〜c)により得られたポリマーは、好ましくは、疎水性表面が分解し始める温度よりも高い温度にさらされない。
【0091】
本発明による別の実施形態では、表面処理された粒状無機材料に、粒状無機材料に付着したポリマーの疎水性表面を分解する、すなわちX基によってもたらされる疎水性表面を分解する熱処理を施さない。疎水性表面が分解し始める温度は、X基の構造に依存して変化する。当業者は、疎水性表面がどの温度で分解し始めるかを、例えば、熱重量分析(TGA)によって容易に決定することができる。表面処理された粒状無機材料は、好ましくは、粒状無機材料に付着したポリマーの疎水性表面が分解し始める温度よりも高い温度にさらされない。
【0092】
典型的な熱重量分析の例を以下に示す。
【0093】
本発明による一実施形態では、表面処理された粒状無機材料にか焼を施さない。
【0094】
本発明による別の実施形態では、表面処理された粒状無機材料および/またはプロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーに、100℃を超える温度で熱処理を施さない。本発明による別の実施形態では、表面処理された粒状無機材料および/またはプロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーに、150℃を超える温度で熱処理を施さない。本発明による別の実施形態では、表面処理された粒状無機材料および/またはプロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーに、200℃を超える温度で熱処理を施さない。本発明による別の実施形態では、表面処理された粒状無機材料および/またはプロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーに、250℃を超える温度で熱処理を施さない。本発明による別の実施形態では、表面処理された粒状無機材料および/またはプロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーに、300℃を超える温度で熱処理を施さない。本発明による別の実施形態では、表面処理された粒状無機材料および/またはプロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーに、350℃を超える温度で熱処理を施さない。本発明による別の実施形態では、表面処理された粒状無機材料および/またはプロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーに、400℃を超える温度で熱処理を施さない。本発明による別の実施形態では、表面処理された粒状無機材料および/またはプロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーに、450℃を超える温度で熱処理を施さない。本発明による別の実施形態では、表面処理された粒状無機材料および/またはプロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーに、499℃を超える温度で熱処理を施さない。本発明による別の実施形態では、表面処理された粒状無機材料および/またはプロセスステップa)〜c)によって得られたポリマーに、500℃を超える温度で熱処理を施さない。
【0095】
本発明による一実施形態では、ステップa)〜c)によって調製された有機−無機ハイブリッドポリマーは、少なくとも1つの表面処理剤の平均粒径の、70%未満、60%未満、50%未満または40%未満などの80%未満の平均粒径を有する他のポリマーに共有結合していない。好ましくは、粒状無機材料と接触させた有機−無機ハイブリッドポリマーは、少なくとも1つの表面処理剤の平均粒径の、70%未満、60%未満、50%未満または40%未満などの80%未満の平均粒径を有する他のポリマーに共有結合していない。
【0096】
粒状無機材料上に堆積された表面処理剤の量
本発明の一実施形態では、粒状無機材料に、例えば、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物と十分な時間接触させた後に、水またはメタノールもしくはエタノールなどの適切な有機溶媒中に浸漬することによって、1つ以上の洗浄ステップを施す。洗浄ステップ後、水および/または有機溶媒を除去するために、粒状無機材料に1つ以上の乾燥ステップを任意に施してもよい。第2のコーティング層を塗布する場合、第2のコーティング層を設けるために、粒状無機材料は、次いで少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物と接触させ得る。その後、同様の手順で行って、第3、第4、第5のコーティング層などを設け得る。コーティングおよび必要に応じて洗浄および乾燥ステップ後、粒状無機材料に、好ましくは、水および/または有機溶媒を除去するために、1つ以上の乾燥ステップを施す。被覆された粒状無機材料に、その後、粒状無機材料上に堆積された有機質部分の実際の量、特に表面処理剤の量を調べるために、熱重量分析(TGA)を施し得る。
【0097】
熱重量分析は、典型的には、N
2雰囲気などの不活性雰囲気下で10〜30℃/分で、20〜40℃の範囲の温度などの低温から150〜250℃の範囲の温度などの高温までの熱処理、150〜250℃の比較的高温で、30〜90分などの長時間熱処理、N
2雰囲気などの不活性雰囲気下で10〜30℃/分で、150〜250℃の温度などの比較的高温から700〜1100℃などのより高温までの熱処理を含む。
【0098】
有機質部分は、上記の熱処理中に酸化される。熱処理中の質量損失を測定することによって、粒状無機材料上に堆積した有機質部分の量、特に表面処理剤の量を測定し得る。
【0099】
本発明による一実施形態では、粒状無機材料:少なくとも1つの表面処理剤の比は、99.9:0.1pbw(重量部)〜20:80pbwの範囲内である。別の実施形態では、粒状無機材料:少なくとも1つの表面処理剤の比は、99:1pbw〜30:70pbw、99:1pbw〜40:60pbw、99:1pbw〜50:50pbw、99:1pbw〜60:40pbw、99:1pbw〜70:30pbw、99:1pbw〜80:20pbw、99:1pbw〜90 :10 pbwなどの99:1pbw〜20:80pbwの範囲内である。
【0100】
別の実施形態では、粒状無機材料:少なくとも1つの表面処理剤の比は、99:1pbw〜75:25pbwの範囲、99:1pbw〜80:20pbwの範囲、99:1pbw〜85:15pbwの範囲、99:1pbw〜90:10pbwの範囲、99:1pbw〜92:8pbwの範囲、99:1pbw〜95:5pbwの範囲、99:1pbw〜98:2pbwの範囲などの99:1pbw〜70:30pbwの範囲内である。比は、被覆された粒状材料に実施例2a、2bおよび2cのセクションivで同様に行われる熱重量分析を施した場合の質量損失に基づいて測定される。
【0101】
用語「表面処理剤」は、本明細書では、粒状無機材料、すなわち、本発明の第1の態様に従って定義された有機−無機ハイブリッドポリマーに付着することを意図する全ての化合物および少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物中に存在する他のすべての表面処理剤を指すことを意図する。
【0102】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物は、少なくとも1つの表面処理剤の平均粒径の70%未満、60%未満、50%未満または40%未満などの80%未満の平均粒径を有するポリマーを含有しない。
【0103】
有機−無機ハイブリッドポリマーの製造
一般的な有機−無機ハイブリッドポリマーおよびその製造方法は、先行技術において完全に開示されており、したがって、一般に、本発明に特有のものではなく、多分岐有機−無機ハイブリッドポリマーの製造方法を開示する国際公開第0208343号パンフレットおよび国際公開第2005/100450号パンフレットを参照されたい。
【0104】
本発明による少なくとも1つの表面処理剤は、以下のステップを含むプロセスによって得ることができるポリマーの群から選択される有機−無機ハイブリッドポリマーである:a)下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から選択される一種のシランの制御された加水分解および縮合によってポリマーを形成するステップ;または下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から独立して選択される少なくとも異なる2種のシランの制御された加水分解および縮合によってポリマーを形成するステップ;
ここで、Xが-NR
1R
2、-N=C=O、SHまたはOHであり;R
1およびR
2が、水素;直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基;脂肪族または芳香族カルボニル;および置換もしくは非置換のアリールからなる群から独立して選択された残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素のうちの1つ以上の元素を任意に含むことができ;またはR
1およびR
2が、酸類、アルコール類、フェノール類、アミン類、アルデヒド類またはエポキシド類などの1種以上の化学物質の縮合生成物、付加生成物からなる群から独立して選択され;nが1または2であり;Lが、直接結合;または直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基;および置換または非置換のアリーレンからなる群から選択される残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素のうちの1つ以上の元素を任意に含むことができ;Yが加水分解性基またはOHであるステップ;b)Xが-NR
1R
2であり、R
1およびR
2の少なくとも1つが選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つに対してのHである場合;またはXが、選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つに対しての-N=C=O、SHまたはOHである場合、X基の原子と反応物の少なくとも1つの原子との間に共有結合を形成することができる少なくとも1つの反応物を添加するステップ;少なくとも1つの反応物が、環状無水物および式R-Zの化合物からなる群から選択される化合物であり、
ここで、Rが、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基;脂肪族または芳香族カルボニル;および置換もしくは非置換のアリールからなる群から選択される残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素のうちの1つ以上の元素;または酸類、アルコール類、フェノール類、アミン類、アルデヒド類またはエポキシド類などの1種以上の化学物質の縮合生成物、付加生成物からなる群から選択される残基を任意に含むことができ;Zが、アルコキシル、アリールオキシ、シクロアルコキシ、カルボキシル、ホルミル、ハロゲン化アシル、イソシアネート、ヒドロキシル、アミン、エポキシド、エステルおよびハロゲンからなる群から選択される残基であるステップ;c)Xが、選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つに対しての-NR
1R
2である場合、必要に応じて、X基のN原子を第四級ニトロニウムイオンに変換することができる酸を添加するステップを含む。
【0105】
少なくとも1つの表面処理剤は、プロセスステップa)〜c)によって得ることができるポリマーからなる群から選択される。プロセスステップa)〜c)によって得ることができる多数の異なるホモポリマーがあり、それぞれが1種のモノマーのみを結合することによって製造される。しかし、2種以上の異なるホモポリマーからのモノマーが同じポリマー鎖で結合されている場合、ポリマーは共重合体と呼ばれる。このように、用語「共重合体」は、2つ以上の異なるホモポリマーからモノマーを一緒に連結することによって、すなわち同じポリマー鎖で2つ以上の異なるモノマーを一緒に連結することによって製造されたポリマーを指すことを意図する。
【0106】
共重合体
ポリマーが1種のモノマーのみを一緒に結合することによって製造される場合、それはホモポリマーと呼ばれる。しかし、2種以上の異なる種類のモノマーが同じポリマー鎖で結合されている場合、ポリマーは共重合体と呼ばれる。
【0107】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤はホモポリマーである。本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤は共重合体である。
【0108】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤は共重合体であり、共重合体は2〜10個の異なるモノマー、好ましくは2〜8個の異なるモノマー、より好ましくは2〜6個の異なるモノマー、最も好ましくは2〜4個、例えば2個の異なるモノマーからなる。用語「異なるモノマー」は、構造が異なるモノマーを指す。
【0109】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤は、下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から選択される一種のシランの制御された加水分解および縮合によって得ることができるホモポリマーである。本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤は、下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から独立して選択される少なくとも異なる2種類のシランの制御された加水分解および縮合によって得ることができる共重合体である。
【0110】
一実施形態では、少なくとも異なる2種類のシランは、異なる2種類のシランである。本発明による別の実施形態では、少なくとも異なる2種類のシランは、異なる3種類のシランである。本発明による別の実施形態では、少なくとも異なる2種類のシランは、異なる4種類のシランである。本発明による別の実施形態では、少なくとも異なる2種類のシランは、異なる5種類のシランである。本発明による別の実施形態では、少なくとも異なる2種類のシランは、異なる6種類のシランである。本発明による別の実施形態では、少なくとも異なる2種類のシランは、異なる7種類のシランである。本発明による別の実施形態では、少なくとも異なる2種類のシランは、異なる8種類のシランである。本発明による別の実施形態では、少なくとも異なる2種類のシランは、異なる9種類のシランである。本発明による別の実施形態では、少なくとも異なる2種類のシランは、異なる10種類のシランである。
2種以上のモノマーが交互に配置される場合、ポリマーは交互共重合体、例えば、-A-B-A-B-A-B-A-B-と呼ばれる。本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤は交互共重合体である。
【0111】
ランダムポリマーでは、少なくとも2つのモノマーは、ランダムな順序で、例えば、−A-A-A-B-B-A-B-B-である。本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤はランダムポリマーである。
【0112】
ブロック共重合体においては、1種のモノマーの全てが一緒にグループ化され、他の全てのモノマーが-A-A-A-A-B-B-B-B-として一緒にグループ化される。ブロックポリマーは、両端で一緒に結合した2つのホモポリマーと考えられ得る。本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤はブロックポリマーである。
【0113】
シランの制御された加水分解および縮合
「制御された加水分解および縮合」とは、本明細書においては、適切なシラン化合物の加水分解および縮合を意味する。第1のステップは、典型的には、R’-Si(OR)
3などの適切なシラン化合物の加水分解であり、基R’は加水分解または縮合反応に関与しない。加水分解性基は、アルコキシ基によって例示され、Si-OR+H-OH→Si-OH+ROHのヒドロキシル基で置換される。制御された量の水および制御された量のグリコール系溶媒が、典型的にはこのステップの間に添加される。反応温度および反応時間も制御される。
【0114】
第2のステップは、水酸基が他のケイ素中心からのヒドロキシル基またはアルコキシ基と反応し、それぞれSi-O-Si結合および水またはアルコールを形成することができる縮合である:Si-OH+OH-Si→Si-O-Si+H
2O;またはSi-OR+HO-Si→Si-O-Si+ROH。
【0115】
有機−無機ハイブリッドポリマーの大きさ
ある大きさの粒子を製造するためには、2つの反応の反応速度論、すなわち縮合および加水分解の間の正確なバランスを保証する化学的条件を確立することが必要である。縮合は(単一の)モノマー分子からのポリマー鎖の形成に寄与するが、加水分解は多結晶性の沈殿またはオキソ水酸化物の沈殿に寄与する。アミノ官能性シランおよび/またはイソシアネート官能性シランの組み合わせおよびアルコキシド基と強力な配位子との交換は、加水分解反応を緩和し、ポリマー鎖が長すぎずオリゴマーの大きさに保たれることを確実にする。実際には、粒子は、数ナノメートル、より典型的には10nm未満のサイズで調製される。
【0116】
本発明による一実施形態では、有機−無機ハイブリッドポリマーはオリゴマーである。本発明による別の実施形態では、有機−無機ハイブリッドポリマーは、2〜500個のモノマー、2〜300個のモノマー、2〜200個のモノマー、2〜100個のモノマー、2〜50個のモノマー、2〜25個のモノマー、2〜20個のモノマー、2〜15個のモノマー、2〜10個のモノマーなどの2〜1000個のモノマー、4〜300個のモノマー、4〜200個のモノマー、4〜100個のモノマー、4〜50個のモノマー、4〜25個のモノマー、4〜20個のモノマー、4〜15個のモノマー、4〜10個のモノマーなどの4〜500個のモノマー、6〜300個のモノマー、6〜200個のモノマー、6〜100個のモノマー、6〜50個のモノマー、6〜25個のモノマー、6〜20個のモノマー、6〜15個のモノマー、6〜10個のモノマーなどの6〜500個のモノマー、10〜300個のモノマー、10〜200個のモノマー、10〜100個のモノマー、10〜50個のモノマー、10〜25個のモノマー、10〜20個のモノマー、10〜15個のモノマー、8〜15個のモノマー、4〜15個のモノマーまたは2〜15個のモノマーなどの10〜500個のモノマーからなる。
【0117】
本発明による別の実施形態では、有機−無機ハイブリッドポリマーは、少なくとも4個のモノマー、少なくとも6個のモノマー、少なくとも8個のモノマー、少なくとも10個のモノマー、少なくとも11個のモノマー、少なくとも12個のモノマー、少なくとも13個のモノマー、少なくとも14個のモノマーまたは少なくとも15個のモノマーなどの少なくとも2個のモノマーからなる。
【0118】
本発明の一実施形態では、有機−無機ハイブリッドポリマー中のSi原子の数は、2〜1000、2〜500、2〜300、2〜200、2〜100、2〜50、2〜25、2〜20、2〜15、2〜10、4〜500、4〜300、4〜200、4〜100、4〜50、4〜24、4〜20、4〜15、4〜10、6〜500、6〜300、6〜200、6〜100、6〜50、6〜25、6〜20、6〜15、6〜10、10〜500、10〜300、10〜200、10 〜100、10〜50、10〜25、10〜20、10〜15、8〜15、4〜15または2〜15のモノマーの範囲内である。
【0119】
本発明による別の実施形態では、有機−無機ハイブリッドポリマー中のSi原子の数は、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個または少なくとも15個などの少なくとも2個である。
【0120】
本発明による別の実施形態では、有機−無機ハイブリッドポリマーは、例えば、1nm〜90nm、1nm〜80nm、1nm〜70nm、1nm〜60nm、1nm〜50nm、1nm〜40nm、1nm〜30nm、1nm〜29nm、1nm〜25nm、1nm〜20nm、1nm〜10nmまたは1nm〜5nmなどの1nm〜100nmの平均粒径を有する。
【0121】
安定剤
適切な安定剤を反応組成物に添加して、加水分解および縮合およびその後の修飾中の反応物および反応生成物の酸化分解を回避し得る。得られる溶液は、典型的には、遊離アミン基、遊離イソシアネート基、遊離SH基および/または遊離OH基を溶媒中に分散させた無機ポリマー粒子からなる。
【0122】
本発明による一実施形態では、反応組成物に適切な安定剤を添加して、加水分解および縮合およびその後の修飾中の反応物および反応生成物の酸化分解を回避する。好ましくは、好適な安定剤は、少なくとも1つの表面処理剤を製造するプロセスにおける第1のステップで添加される。適切な安定剤は、典型的には、ヒンダードアミン類、1つ以上の酸化防止剤またはそれらの組合せに基づくラジカルスカベンジャーである(Hans Zweifel(ed.)、Plastics Additives Handbook、Carl Hanser Verlag、Munchen、(2001)、10-19)。
【0123】
有機−無機ハイブリッドポリマー、L基、C1〜C25炭化水素基
Lの定義において、用語「直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる」は、1〜18個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜5個の炭素原子などの25個までの炭素原子を有する炭化水素基を指し、直鎖、分岐および環状の炭化水素基;飽和または不飽和の炭化水素基;および非置換または置換炭化水素基を含むことを意図し;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0124】
一実施形態では、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基は、直鎖または分岐であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基である。一実施形態では、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基は、直鎖である非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基である。一実施形態では、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基は、直鎖である非置換または置換の飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基である。一実施形態では、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基は、直鎖である非置換の飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基である。本発明による別の実施形態では、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基は、式-CH
2-CH
2-CH
2-のラジカルである(実施例1a、セクションi;および実施例1b、セクションi)。
【0125】
本発明による一実施形態では、Lが、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0126】
本発明による一実施形態では、Lが、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、選択されたシランの少なくとも1つに対しての酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0127】
本発明による別の実施形態では、Lが、直鎖または分岐であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
本発明による別の実施形態では、Lが、直鎖または分岐であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、選択されたシランの少なくとも1つに対しての酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0128】
本発明による別の実施形態では、Lが、直鎖であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0129】
本発明による別の実施形態では、Lが、直鎖であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、選択されたシランの少なくとも1つに対しての酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0130】
本発明による別の実施形態では、Lが、直鎖であり得る非置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0131】
本発明による別の実施形態では、Lが、直鎖であり得る非置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、選択されたシランの少なくとも1つに対しての酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0132】
本発明による別の実施形態では、Lが、直鎖であり得る非置換の飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0133】
本発明による別の実施形態では、Lが、直鎖であり得る非置換の飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、選択されたシランの少なくとも1つに対しての酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0134】
本発明による別の実施形態では、Lが、直鎖であり得る非置換の飽和C
1〜C
18、非置換の飽和C
1〜C
10または非置換の飽和C
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基である。
【0135】
本発明による別の実施形態では、Lが、選択されたシランの少なくとも1つに対しての直鎖であり得る非置換の飽和C
1〜C
18、非置換の飽和C
1〜C
10または非置換の飽和C
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基である。
【0136】
本発明による好ましい実施形態では、Lが、式-CH
2-CH
2-CH
2-のラジカルである(実施例1aおよび1b、セクションi)。
【0137】
本発明による好ましい実施形態では、Lが、選択されたシランの少なくとも1つに対しての式-CH
2-CH
2-CH
2−のラジカルである(実施例1aおよび1b、セクションi)。
【0138】
有機−無機ハイブリッドポリマー、L基、アリーレン
Lの定義において、用語「置換または非置換のアリーレンから選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる」は、2個の水素原子の損失により単環式または多環式の芳香族炭化水素から誘導される任意の一価の有機基を指し、非置換または置換のアリーレンを含むことを意図し、ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素を任意に含むことができる。
【0139】
本発明による一実施形態では、置換または非置換のアリーレンは置換アリーレンである。本発明による別の実施形態では、置換または非置換のアリーレンは、非置換アリーレンである。
【0140】
有機−無機ハイブリッドポリマー、L基、一般
本発明による一実施形態では、残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を含む。本発明による別の実施形態では、残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を含まない。
【0141】
有機−無機ハイブリッドポリマー、X-L基
本発明による一実施形態では、X-L基は、方法に適用される条件下で加水分解されないように選択される。
【0142】
有機−無機ハイブリッドポリマー、Y基
本発明による一実施形態では、YがOHである。本発明による別の実施形態では、Yが選択されたシランの少なくとも1つに対してのOHである。本発明による一実施形態では、Yが、アルコキシル、アリールオキシル、カルボキシルおよびハロゲンからなる群から選択される加水分解性基である。本発明による別の実施形態では、Yが、選択されたシランの少なくとも1つに対しての、アルコキシル、アリールオキシル、カルボキシルおよびハロゲンからなる群から選択される加水分解性基である。本発明による一実施形態では、Yが、アルコキシル、カルボキシルおよびハロゲンからなる群から選択される加水分解性基である。本発明による別の実施形態では、Yが、選択されたシランの少なくとも1つに対しての、アルコキシル、カルボキシル、およびハロゲンからなる群から選択される加水分解性基である。本発明による好ましい実施形態では、Yがアルコキシルから選択される加水分解性基であり、最も好ましくはYがエトキシルである(実施例1aおよび1b、セクションi)。本発明による好ましい実施形態では、Yがアルコキシルから選択される加水分解性基であり、最も好ましくはYが、選択されたシランの少なくとも1つに対してもエトキシルである(実施例1aおよび1b、セクションi)。
【0143】
本明細書で使用される用語「アルコキシル」は、酸素原子を介して親構造に結合した直鎖および分岐アルキル基の両方を含む。好ましいアルコキシル基は、1〜25個の炭素原子を含有するものであり、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、イソプロポキシルなどを含む。さらに、アルコキシル基は、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0144】
本明細書で使用する用語「カルボキシル」は、カルボニル基を介して親構造に結合したヒドロキシル基、すなわち、下記化学式
【0146】
の化合物を指し、ここで、Rが親構造であり、XがOHである。
【0147】
本明細書で使用される用語「ハロゲン」は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素を指す。
【0148】
本明細書で使用する用語「アリールオキシル」は、酸素原子を介して親構造に結合した芳香族基を含む。好ましいアリールオキシル基は、3〜7個の炭素原子を含有するものであり、フェノキシル等を含む。さらに、アリールオキシル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0149】
好ましい実施形態
本発明による1つの好ましい実施形態では、ポリマーは、式(I)、(II)、(III)または(IV)のシランの制御された加水分解および縮合によって形成され、最も好ましくは式(I)のシランの制御された加水分解および縮合によって形成される。
【0151】
式(I)は一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nで与えられ;ここで、
Xが-NH
2であり;
nが1であり;
Lが-CH
2-CH
2-CH
2-であり;Yが-O-CH
2-CH
3である。(実施例1aおよび1b、セクションi)
【0153】
式(II)は、一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nで与えられ;ここで、Xが-N=C=Oであり;nが1であり;
Lが-CH
2-CH
2-CH
2-であり;
Yが-O-CH
2-CH
3である。
【0155】
式(III)は、一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nで与えられ;ここで、
Xが-SHであり;
nが1であり;
Lが-CH
2-CH
2-CH
2-であり;
Yが-O-CH
2-CH
3である。
【0157】
式(IV)は、一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nで与えられ;ここで、
Xが-OHであり;
nが1であり;
Lが-CH
2-CH
2-CH
2-であり;
Yが-O-CH
2-CH
3である。
【0158】
プロセスステップa)で得られたポリマーがホモポリマーである場合、少なくとも1つの表面処理剤を製造するプロセスの第2のステップは、Xが-NR
1R
2であり、R
1およびR
2の少なくとも1つがHであり、またはXが-N=C=O、SHまたはOHである場合に行われるだけである。
【0159】
プロセスステップa)で得られたポリマーが共重合体である場合、少なくとも1つの表面処理剤の製造のプロセスにおける第2のステップは、Xが-NR
1R
2であり、R
1およびR
2の少なくとも1つが選択されたシランの少なくとも1つに対してのHである;またはXが、選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つに対しての-N=C=O、SHまたはOHである場合に行われるだけである。
【0160】
第2のステップは、X基の原子と反応物の少なくとも1つの原子との間に共有結合を形成することができる少なくとも1つの反応物を添加することによってポリマーを修飾することを含み、少なくとも1つの反応物は、環式無水物および式R−Zの化合物からなる群から選択される化合物であり、
ここで、Rが、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基;脂肪族または芳香族カルボニル;および置換もしくは非置換のアリールからなる群から選択される残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素のうちの1つ以上の元素;または酸類、アルコール類、フェノール類、アミン類、アルデヒド類またはエポキシド類などの1種以上の化学物質の縮合生成物、付加生成物からなる群から選択される残基を任意に含むことができ;Zが、アルコキシル、アリールオキシ、シクロアルコキシ、カルボキシル、ホルミル、ハロゲン化アシル、イソシアネート、ヒドロキシル、アミン、エポキシド、エステルおよびハロゲンからなる群から選択される残基である。
【0161】
少なくとも1つの表面処理剤の製造プロセスにおける第3のステップは必須ではない。
【0162】
プロセスステップa)で得られたポリマーがホモポリマーである場合、少なくとも1つの表面処理剤を製造するプロセスにおける第3のステップは、Xが-NR
1R
2である場合に行われ得る。本発明による一実施形態では、このステップは必須である。
【0163】
プロセスステップa)で得られたポリマーが共重合体である場合、少なくとも1つの表面処理剤を製造するプロセスの第3のステップは、Xが選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つに対しての-NR
1R
2である場合に行われ得る。本発明による一実施形態では、このステップは必須である。
【0164】
第3のステップは、X基のN原子を第四級ニトロニウムイオンに変換することができる酸を添加することによってポリマーを修飾することを含む。本発明による一実施形態では、X基のN原子を第四級ニトロニウムイオンに変換することができる酸は、ルイス酸またはブレンステッド酸である。本発明による別の実施形態では、X基のN原子を第四級ニトロニウムイオンに変換することができる酸は、ルイス酸である。本発明による別の実施形態では、X基のN原子を第四級ニトロニウムイオンに変換することができる酸はブレンステッド酸である。
【0165】
誘導体化度
本発明による一実施形態では、ポリマーは、ポリマーのX基の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%または100%などの少なくとも10%を、X基の原子と反応物の少なくとも1つの原子との間に共有結合の形成をもたらす1つの反応物などの少なくとも1つの反応物と反応することによって修飾される。
【0166】
本発明による一実施形態では、ポリマーのX基を、X基の原子と反応物の少なくとも1つの原子との間に共有結合の形成をもたらす1つの反応物などの少なくとも1つの反応物と反応させることによってポリマーは修飾され;ただし、ポリマーのX基の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%または100%などの少なくとも10%が、少なくとも1つの反応物に共有結合する。
【0167】
ポリマーのX基の各々および全てが、少なくとも1つの反応物に共有結合した場合、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物は約0のアミン価を有する。0より高いアミン価は、少なくとも1つの反応物に共有結合していない遊離アミン基がなお存在することを示す。
【0168】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物は、0〜700、0〜600、0〜500、0〜400、0〜300、0〜200、0〜100、0〜50、0〜40、0〜30、0〜20、0〜10、0〜5、0〜4、0〜3、0〜2または0〜1などの0〜800の範囲内である。一実施形態では、アミン価は0である。
【0169】
アミン価は純粋な試料1gあたりのアミン塩基度に相当するKOHのミリグラム数である。本発明の文脈において、用語「純粋な試料」は、表面処理剤の純粋な試料を指すことを意味する。アミン価は、本明細書において、「アミンエポキシド硬化剤:第一級、第二級および第三級アミン基の決定−窒素含有量」(ISO 9702:1996)、DIN EN ISO 9702-1998年10月の英語版に従って測定される。
【0170】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物は、0〜5の範囲、好ましくは0〜2の範囲、より好ましくは0〜1の範囲の酸価を有する。酸価は、純粋な試料1gあたりの酸度に相当するKOHのミリグラム数である。本発明の文脈において、用語「純粋な試料」は、有機−無機ハイブリッドポリマーの製造中にポリマーと反応する酸性試薬の純粋な試料を指すことを意味する。酸価は、本明細書において、油(オリーブ油)中の遊離脂肪酸(FFA)の決定、温度滴定−Metrohm Application Note No.H-036;Version1.0に従って測定される。
【0171】
反応物の数
本発明のいくつかの実施形態では、ステップa)で得られたポリマーは、ポリマーのX基の1つ以上を、1つの反応物、2つの反応物または3つの反応物などの少なくとも1つの反応物と反応させることによって修飾されて、X基の原子と反応物の少なくとも1つの原子との間に共有結合の形成をもたらす。第2、第3などの反応物は、X基と直接反応してもよく、共有結合を介して既にX基に結合した第1の反応物と反応してもよいことは理解されるべきである。
【0172】
反応物との反応に関与するポリマー原子
本発明による一実施形態では、選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つのX基は-NH
2である。-NH
2基が少なくとも1つの反応物と反応すると、X基の窒素原子と反応物の少なくとも1つの原子との間に共有結合が形成される。
【0173】
本発明による一実施形態では、選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つのX基は、-N=C=Oである。-N=C=O基が少なくとも1つの反応物と反応すると、X基の炭素原子と反応物の少なくとも1つの原子との間に共有結合が形成される。
【0174】
本発明による一実施形態では、選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つのX基は-SHである。-SH基が少なくとも1つの反応物と反応すると、X基の硫黄原子と反応物の少なくとも1つの原子との間に共有結合が形成される。
【0175】
本発明による一実施形態では、選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つのX基は-OHである。-OH基が少なくとも1つの反応物と反応すると、X基の酸素原子と反応物の少なくとも1つの原子との間に共有結合が形成される。
【0176】
本発明による一実施形態では、nが1である。本発明による別の実施形態では、nが2である。
【0177】
反応物、環状無水物
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの反応物は環状無水物である。用語「環状無水物」は、ポリカルボン酸の単一分子に由来する無水物を指し、無水物基は、ポリカルボン酸の分子の残部と少なくとも1つの複素環核を形成する。これらは、脂肪族または脂環式ポリカルボン酸、ならびに飽和であるものおよび不飽和であるものを含む、少なくとも2つの隣接するカルボキシ基を有する芳香族および複素環ポリカルボン酸から誘導された無水物を含む。それらは、環状無水物を形成することができるカルボキシ基の2つ以上のセットを含むポリカルボン酸から誘導される無水物ならびに環状無水物を形成することができるカルボキシ基の1つのみのセットを含むポリカルボン酸から誘導される無水物を含み、そのすべては他のカルボキシ基をも含み得る。
【0178】
本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの反応物は環状無水物であり、用語「環状無水物」は、以下の式
【0180】
を有する化合物を指す:
ここで、nが0〜10であり;YがO、SまたはN-R
1であり;R
1は、水素、非置換の飽和または不飽和のC
1−25アルキル、置換された飽和または不飽和のC
1-25アルキル、置換または非置換のアリール、脂肪族または芳香族カルボニルからなる群から選択される残基であり、
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、およびホウ素の1つ以上の元素を任意に含み得;またはR
1は、酸類、アルコール類、フェノール類、アミン類、アルデヒド類またはエポキシド類などの1種以上の化学物質の縮合生成物または付加生成物から選択される。
【0181】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、直鎖および/または分岐鎖アルキル基の両方を含む。好ましいアルキル基は、1〜25個の炭素原子を含有するものであり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。さらに、アルキル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。アルキル基は不飽和であっても飽和であってもよい。
【0182】
本明細書で使用される用語「アリール」は、1個の水素原子の損失によって単環式または多環式芳香族炭化水素から誘導される任意の一価の有機基を指す。アリール基の例は、環部分に6〜10個の炭素を含む単環式および二環式芳香族基である(例えば、フェニルまたは1−ナフチルおよび2−ナフチルを含むナフチル)。アリール基は、置換または非置換のアリール基であってもよい。
【0183】
本明細書で使用される用語「脂肪族カルボニル」は、化合物R-CO-R’を指し、ここで、Rが直鎖、分岐または環状であり得る置換または非置換の飽和または不飽和C
1-25アルキルであり、R’がHまたは直鎖、分岐または環状であり得る置換または非置換の飽和または不飽和C
1-25アルキルである。
【0184】
本明細書で使用される用語「芳香族カルボニル」は、芳香族ケトンまたは芳香族アルデヒドを指す。
【0185】
本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの反応物は環状無水物であり、用語「環状無水物」は無水フタル酸を指す。
【0186】
本発明による一実施形態では、選択されたシランまたは選択されたシランの少なくとも1つのX基は-NH
2であり;少なくとも1つの反応物は無水フタル酸である。-NH
2基を無水フタル酸と反応させると、-NH
2基の窒素原子と無水フタル酸の2個の炭素原子との間に共有結合が形成される(反応スキーム1参照)。
【0188】
反応物、式R-Zの化合物
本発明による一実施形態では、反応物は、式R-Zの化合物からなる群から選択され、ここで、Rが、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基;脂肪族または芳香族カルボニル;および置換もしくは非置換のアリールからなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素のうちの1つ以上の元素;酸類、アルコール類、フェノール類、アミン類、アルデヒド類またはエポキシド類などの1種以上の化学物質の縮合生成物、付加生成物からなる群から選択される残基を任意に含むことができ;Zが、アルコキシル、アリールオキシ、シクロアルコキシ、カルボキシル、ホルミル、ハロゲン化アシル、イソシアネート、ヒドロキシル、アミン、エポキシド、エステルおよびハロゲンからなる群から選択される残基である。
【0189】
反応物、R基、C1〜C25炭化水素基
Rの定義において、用語「直鎖、分岐鎖または環式であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素を任意に含むことができる」は、炭素原子1〜18個、炭素原子1〜10個、または炭素原子1〜5個などの25個までの炭素原子を有する炭化水素基を指し、直鎖、分岐および環状の炭化水素基;飽和または不飽和の炭化水素基;非置換または置換の炭化水素基を含むことを意図し;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0190】
一実施形態では、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基は、直鎖または分岐であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基である。一実施形態では、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基は、直鎖である非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基である。一実施形態では、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基は、直鎖である非置換または置換の飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基である。一実施形態では、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基は、直鎖である非置換の飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基である。本発明による別の実施形態では、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25炭化水素基は、式
【0192】
の基であり、ここで、Zが反応物のZ基である。
【0193】
本発明による一実施形態では、Rが、直鎖、分岐または環状であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0194】
本発明による別の実施形態では、Rが、直鎖または分岐であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0195】
本発明による別の実施形態では、Rが、直鎖であり得る非置換または置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0196】
本発明による別の実施形態では、Rが、直鎖であり得る非置換の飽和または不飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0197】
本発明による別の実施形態では、Rが、直鎖であり得る非置換の飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0198】
本発明による別の実施形態では、Rが、直鎖であり得る非置換の飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;
ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0199】
本発明による別の実施形態では、Rが、直鎖であり得る非置換の飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0200】
本発明による別の実施形態では、Rが、直鎖であり得る非置換の飽和C
1〜C
25、C
1〜C
18、C
1〜C
10またはC
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0201】
本発明による別の実施形態では、Rが、直鎖であり得る非置換の飽和C
1〜C
18、非置換の飽和C
1〜C
10または非置換の飽和C
1〜C
5炭化水素基からなる群から選択される残基である。
本発明による好ましい実施形態では、Rが式
【0203】
の基であり、ここで、Zが反応物のZ基である(実施例1aおよび1b、セクションii)。
【0204】
反応物、R基、アリール
Rの定義において、用語「置換または非置換アリールから選択される残基であり;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる」は、1個の水素原子の損失により単環式または多環式の芳香族炭化水素から誘導される任意の一価の有機基を指し、未置換または置換アリールを含むことを意図し;ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0205】
本明細書で使用される用語「アリール」は、1個の水素原子の損失によって単環式または多環式芳香族炭化水素から誘導される任意の一価の有機基を指す。アリール基の例は、環部分に6〜10個の炭素を含む単環式および二環式芳香族基である(例えば、フェニルまたは1−ナフチルおよび2−ナフチルを含むナフチル)。アリール基は、置換または非置換のアリール基であってもよい。
【0206】
本発明による一実施形態では、Rが、置換または非置換アリールであり、ここで、前記残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を任意に含むことができる。
【0207】
反応物、R基、脂肪族または芳香族カルボニル
Rの定義において、用語「脂肪族カルボニル」は、化合物R-CO-R’を指し、ここで、Rが、直鎖、分岐または環状であり得る置換または非置換の飽和または不飽和C
1-
25アルキルであり、R’が、Hまたは直鎖、分岐または環状であり得る置換または非置換の飽和または不飽和C
1-
25アルキルである。
【0208】
Rの定義において、用語「芳香族カルボニル」は、芳香族ケトンまたは芳香族アルデヒドを指す。
【0209】
反応物、R基、縮合生成物または付加生成物
本発明による一実施形態では、Rが、酸類、アルコール類、フェノール類、アミン類、アルデヒド類またはエポキシド類などの1種以上の化学物質の縮合生成物または付加生成物から選択される。本発明による別の実施形態では、Rが、酸類、アルコール類、フェノール類、アミン類、アルデヒド類またはエポキシド類などの1種以上の化学物質の縮合生成物または付加生成物から選択されない。
【0210】
反応物、R基、一般
本発明による一実施形態では、Rの定義に列挙された残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を含む。本発明による別の実施形態では、Rの定義に列挙された残基の炭素鎖が、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素またはホウ素の1つ以上の元素を含まない。
【0211】
反応物、Z基
本発明による一実施形態では、Zが、アルコキシル、アリールオキシル、シクロアルコキシル、カルボキシル、ホルミル、ハロゲン化アシル、イソシアネート、ヒドロキシル、アミン、エポキシド、エステルおよびハロゲンからなる群から選択される。
【0212】
本明細書で使用される用語「アルコキシル」は、酸素原子を介して親構造に結合した直鎖および/または分岐アルキル基の両方を含む。好ましいアルコキシル基は、1〜25個の炭素原子を含有するものであり、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、イソプロポキシルなどが挙げられる。さらに、アルコキシル基は、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0213】
本明細書で使用する用語「アリールオキシル」は、酸素原子を介して親構造に結合した芳香族基を含む。好ましいアリールオキシル基は、3〜7個の炭素原子を含有するものであり、フェノキシル等を含む。さらに、アリールオキシル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0214】
本明細書で使用する用語「シクロアルコキシ」は、環状アルコキシ基を含む。好ましいシクロアルキル基は、3〜7個の炭素原子を含むものであり、シクロプロピルオキシル、シクロヘキシルオキシルなどを含む。さらに、シクロアルコキシ基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0215】
本明細書で使用される用語「カルボキシル」は、カルボニル基、すなわち式
【0217】
の化合物を介して親構造に結合したヒドロキシ基を指し、ここで、Rが親構造であり、XがOHである。
【0218】
本明細書で使用される用語「ホルミル」は、カルボニル基、すなわち式
【0220】
の化合物を介して親構造に結合した水素原子を指し、ここで、Rが親構造であり、Xが水素である。
【0221】
本明細書で使用される用語「アシルハライド」は、カルボニル基、すなわち式
【0222】
【化12】
の化合物を介して親構造に結合したハロゲン原子を指し、ここで、Rが親構造であり、Xがハロゲン原子である。
【0223】
本明細書で使用される用語「イソシアネート」は、式R-N=C=Oの化合物を指し、ここで、Rが親構造である。
【0224】
本明細書で使用する用語「ヒドロキシル」は、親構造に直接結合したOH基、すなわち式R−OHの化合物を指し、ここで、Rが親構造である。
【0225】
本明細書で使用する用語「アミン」は、第一級、第二級、第三級および/または第四級アミンを含む。第一級アミンは、一般式R-NH
2を有し、ここで、Rが親構造である。第二級アミンは、一般式R1、R2-NHを有し得、ここで、R1およびR2の一方が親構造である。第三級アミンは、一般式(R1、R2、R3)-Nを有し、ここで、R1、R2およびR3の1つが親構造である。第四級アミンは、一般式(R1、R2、R3、R4)-N+を有し、R1、R2、R3およびR4の1つは親構造である。
【0226】
本明細書で使用される「エポキシド」という用語は、親構造に結合した3原子環を有する環状エーテル、すなわち式
【0228】
の化合物を指し、ここで、R基の1つが親構造である。
【0229】
本明細書で使用される用語「ハロゲン」は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素を指す。
【0230】
用語「親構造」は、反応物のR基を指す。
【0231】
本発明による一実施形態では、Zが、アルコキシル、カルボキシル、ホルミル、ハロゲン化アシル、イソシアネート、ヒドロキシル、アミン、エポキシド、エステルおよびハロゲンからなる群から選択される。別の実施形態では、Zが、アルコキシル、カルボキシル、ホルミル、ハロゲン化アシル、エポキシド、エステルおよびハロゲンからなる群から選択される。好ましい一実施形態では、Zがカルボキシルである(実施例1aおよび1b、セクションii)。
【0232】
反応物、好ましい実施形態
本発明による一実施形態では、反応物は、無水フタル酸などの環状無水物、サリチル酸メチルなどのC
1〜C
25サリチル酸、飽和または不飽和C
1〜C
25脂肪酸、4−ヒドロキシ安息香酸メチルなどのC
1〜C
254−ヒドロキシ安息香酸、乳酸メチルなどの有機酸から形成される一塩基性エステルなどが挙げられる。本発明による別の実施形態では、反応物は、ステアリン酸、エルカ酸、ベヘン酸などの脂肪酸、または水素化された菜種油由来の脂肪酸などの脂肪酸の混合物である。反応物は、アミノラウリン酸またはアミノウンデカン酸などの他の反応物と組み合わせて使用し得ることも理解されるべきである。
【0233】
反応物、最も好ましい実施形態
本発明による一実施形態では、有機−無機ハイブリッドポリマーはホモポリマーであり、ポリマーのX基は-NH
2であり、少なくとも1つの反応物はベヘン酸である。-NH
2基をベヘン酸と反応させると、-NH
2基の窒素原子とベヘン酸のカルボキシル炭素原子との間に共有結合が形成される(反応スキーム2参照)。
【0235】
反応スキーム2
有機−無機ハイブリッドポリマーの製造、好ましい実施形態
本発明による好ましい実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤は、下記一般式
【0237】
を備えたシランの制御された加水分解および縮合;および反応生成物を式
【0239】
の化合物と反応させることによって製造される(実施例1aおよび1b、セクションii)。
【0240】
表面処理剤
本発明による一実施形態では、ポリマーは多面体オリゴマーシルセスキオキサン、すなわち完全縮合オリゴマーシルセスキオキサンである。別の実施形態では、ポリマーは、部分縮合したオリゴマーシルセスキオキサンである。
【0241】
部分縮合したシルセスキオキサン(右)および多面体オリゴマーシルセスキオキサン(左)の例を
図8に示す。
【0242】
一実施形態では、ポリマーは、かご構造を形成する。
【0243】
本発明による一実施形態では、ポリマーはゾル−ゲルプロセスによって得ることができる。
【0244】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤は、多面体オリゴマーシルセスキオキサンである。別の実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤は、部分縮合したオリゴマーシルセスキオキサンである。
【0245】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物中に存在する有機−無機ハイブリッドポリマーは、多面体オリゴマーシルセスキオキサンの形態である。別の実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物中に存在する有機−無機ハイブリッドポリマーは、実質的に多面体オリゴマーシルセスキオキサンの形態である。
【0246】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物中に存在する有機−無機ハイブリッドポリマーは、部分縮合したオリゴマーシルセスキオキサンの形態である。本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物中に存在する有機−無機ハイブリッドポリマーは、実質的に部分縮合したオリゴマーシルセスキオキサンの形態である。
【0247】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤を含む組成物は、少なくとも1つの有機−無機ハイブリッドポリマーを含む。少なくとも1つの有機−無機ハイブリッドポリマーは、多面体オリゴマーシルセスキオキサン、部分縮合したオリゴマーシルセスキオキサン、非縮合オリゴマーシルセスキオキサンまたはそれらの任意の混合物の形態であり得る。本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤の総量(モルで表す)で割った多面体オリゴマーシルセスキオキサンの形態である少なくとも1つの表面処理剤の量(モルで表す)は、1〜0.5の範囲内、より好ましくは1〜0.6の範囲内、さらにより好ましくは1〜0.7の範囲内、最も好ましくは1〜0.8の範囲内、例えば1〜0.9または1〜0.95の範囲内である。少なくとも1つの表面処理剤の総量は、本明細書において、少なくとも1つの表面処理剤の全量を指すことを意味し、それが完全縮合した形態、部分縮合した形態、または非縮合形態であるかを無視する。
【0248】
本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤の総量(モルで表す)で割った多面体オリゴマーシルセスキオキサンの形態である少なくとも1つの表面処理剤の量(モルで表す)は1である。0.9のモル分率は、少なくとも1つの表面処理剤の分子の90%が多面体オリゴマーシルセスキオキサンの形態である一方、少なくとも1つの表面処理剤の分子の10%が部分縮合または非縮合オリゴマーシルセスキオキサンの形態である。
【0249】
本発明による一実施形態では、少なくとも1つの表面処理剤は、ゾル−ゲルプロセスによって得ることができる。
【0250】
ゾル−ゲルプロセスは、下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から選択される一種のシランの制御された加水分解および縮合;または下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nによって表されるシランの群から独立して選択される少なくとも2種の異なるシランの制御された加水分解および縮合を含み得、下記一般式:(X-L-)
nSi(-Y)
4-nを有するシランは、X-L基が1つ以上のアミン基を含み、外部触媒が必要とされず、かつプロセスが周囲温度または中程度の加熱下で行われ得るので、特に簡単である。1つの例は、国際公開第0208343号パンフレットに記載されているように、3−アミノプロピルトリエトキシシランの制御された加水分解および縮合である。
【0251】
X-L基が1つ以上のアミン基を含有するシランの制御された加水分解および縮合は、典型的には、得られる粒状ポリマー生成物は、程度の差はあるが多数の遊離アミン基を備えた超分岐ポリマー生成物に匹敵する有機−無機構造(ハイブリッドポリマー)を有するゾルをもたらす。そのような有機−無機ハイブリッドポリマーは、その重量および/または体積と比較して、多数の官能性アミン基を示す。同時に、線状ポリマーの構造と比較してそのコンパクトな構造は、比較的低い粘度のような望ましい特性を保証する。
【0252】
表面処理された粒状無機材料の利用
本発明による表面処理された粒状無機材料は、石こう、セメント、軽量コンクリート、モルタル、人造石、レンガ、プラスチック、複合材料、塗料、コーティング、熱可塑性フォームおよび熱硬化性フォームなどの建築材料への導入に適して、lbdを低下させ、混合物の機械的強度を改善し、水を吸収する能力を低下させる。
【0253】
実施例3aおよび5aでは、本発明による表面処理された粒状無機材料を含むジプサム系石こうは、未修飾粒状無機材料を含むジプサム系石こうと比較して改善された機械的強度を有することが実証される。
【0254】
さらに、実施例3b、4および5bでは、本発明による表面処理された粒状無機材料を含むセメント系石こうは、未修飾の粒状無機材料を含むセメント系石こうと比較して改善された機械的強度を有することが実証される。
【0255】
実施例3c、4bおよび5cは、本発明による表面処理された粒状無機材料が、表面処理されていない同じ粒状無機材料に比べて著しく少ない水を吸収することを実証する。
【0256】
上記に加えて、
図4から明らかなように、本発明による表面処理された粒状無機材料は、顆粒が破砕後にほとんど損傷を受けずに維持されるため、それが導入される材料に対して改善された機械的強度をもたらすだけでなく、未修飾粒状無機材料と比較してそれ自体改良された機械的強度を有する。この性能は、混合中だけでなく、ポンプ輸送およびバルク輸送(例えば、サイロトラック)中の粒子安定性の向上を意味する。
【0257】
実施例3、4および5に示された結果に基づいて、観察された機械的強度の改善に寄与するのは表面被覆であることは明らかである。したがって、改善された機械的強度を長期間持続させるためには、コーティングが共有結合または非共有結合のいずれかで粒状無機材料に強く付着することが重要である。実施例6に示されるように、多量の洗浄後に少量のコーティング材料のみが失われ、これは高い耐久性の明確な指標である。
【0258】
本発明の表面処理された粒状無機物は高い耐久性を示すが、シリコーン油で被覆された粒状無機物は比較的低い耐久性を示す。さらに、シリコーン油で被覆された粒状無機材料は、シリコーン油が周知のスリップ剤であるため、モルタル、石こう、セメントおよび軽量コンクリートなどの他の材料との悪い結合を受けることが予想され得る。先に開示したように、強い結合は、典型的には、比較的高い機械的強度に関連し、一方、弱い結合は、典型的には、比較的低い機械的強度に関連する。
【0259】
このように、本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による方法によって得ることができる表面処理された粒状無機材料に関する。本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様による表面処理された粒状無機材料の、建築材料と混合または建築材料における添加剤としての使用に関する。建築材料は、好ましくは、石こう、セメント、軽量コンクリート、モルタル、人造石、レンガ、プラスチック、複合材料、塗料、コーティング、熱可塑性フォームおよび熱硬化性フォームからなる群から選択される;および本発明の第4の態様は、本発明の第2の態様による表面処理された粒状無機材料を含む建築材料に関する。建築材料は、好ましくは、石こう、セメント、軽量コンクリート、モルタル、人造石、レンガ、プラスチック、複合材料、塗料、コーティング、熱可塑性フォームおよび熱硬化性フォームからなる群から選択される。
【0260】
本発明の第2の態様による一実施形態では、本発明の第1の態様による方法によって得ることができる表面処理された粒状無機材料は、混合物のlbdを低下させるための建築材料への導入に適している。本発明による別の実施形態では、本発明の第1の態様による方法によって得ることができる表面処理された粒状無機材料は、混合物の機械的強度を向上させるための建築材料への導入に適している。
【0261】
実施例
以下の実施例は、本発明の製造方法および使用方法を説明するためのものである。これらは、いかなる方法によっても、または少しも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0262】
実施例1a
ベヘン酸を用いた有機無機ハイブリッドポリマーの製造
i)
ポリマーの調製プロセス:
ホース冷却器を備えた1000mL丸底フラスコに、窒素雰囲気下で磁気撹拌しながら、221.4g(1.00モル)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(A-1100、GE Silicones、USA)を入れた。64.9g(0.60モル)の1−プロポキシ−2−プロパノールと23.4g(1.30モル)の水の混合物を添加した。混合物を80℃の油浴中で還流下で45分間加熱した。次いで、揮発性の反応生成物または反応物を、約150℃の油浴温度および約1000mbarから20mbar未満の真空勾配で、真空蒸留で除去した。丸底フラスコ内の圧力が10分間で20mbar以下になったところで蒸留を終了した。反応生成物を約120℃の温度に冷却し、1−プロポキシ−2−プロパノールで希釈して、1−プロポキシ−2−プロパノール中にポリマー50重量%が溶解した溶液を得た。
【0263】
ii)
ステップi)で得られたポリマーを修飾するプロセス
i)で得られた1−プロポキシ−2−プロパノール中にポリマー50重量%が溶解した溶液1.8kgと1−プロポキシ−2−プロパノール0.9kgとの混合物を、蒸留手段を備えた10L反応器に入れた。混合物を135〜145℃の温度に加熱し、次いで留出物コレクターで開放バルブを用いて圧力を800mbarに設定した。ベヘン酸6.37kgとキシレン12.74kgとの混合物を、反応容積が一定になるようにして、すなわち、添加量が蒸留中に留去される量に相当するようにして徐々に添加した。留出物中に水が見えなくなるまで、キシレンを連続的に添加し、留去する。その後、圧力を500mbarに下げる。反応器にアルゴンを充填し、圧力を800mbarに調整し、反応生成物を60℃の温度に冷却する。この反応生成物をキシレン、ブトキシエタノールおよびエタノールで希釈し、溶媒混合物中に有機−無機ハイブリッドポリマー5重量%が溶解した溶液を得る(キシレン/ブトキシエタノール/エタノール1.45/0.65/10重量%)。
【0264】
実施例1b
ベヘン酸を用いた有機無機ハイブリッドポリマーの製造
i)
ポリマーの調製プロセス:
ホース冷却器を備えた1000mL丸底フラスコに、窒素雰囲気下で磁気撹拌しながら、221.4g(1.00モル)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(A-1100、GE Silicones、USA)を入れた。1−プロポキシ−2−プロパノール64.9g(0.60モル)と水28.8g(1.60モル)の混合物を添加した。混合物を80℃の油浴中で還流下で45分間加熱した。次いで、揮発性の反応生成物または反応物を、約150℃の油浴温度および約1000mbarから20mbar未満の真空勾配で、真空蒸留で除去した。丸底フラスコ内の圧力が10分間で20mbar以下になったところで蒸留を終了した。反応生成物を約120℃の温度に冷却し、1−プロポキシ−2−プロパノールで希釈して、1−プロポキシ−2−プロパノール中にポリマー50重量%が溶解した溶液を得た。
【0265】
ii)
ステップi)で得られたポリマーを修飾するプロセス
i)で得られた1−プロポキシ−2−プロパノール中にポリマー50重量%が溶解した溶液1.8kgと1−プロポキシ−2−プロパノール0.9kgとの混合物を、蒸留手段を備えた10L反応器に入れた。混合物を135〜145℃の温度に加熱し、次いで留出物コレクターで開放バルブを用いて圧力を800mbarに設定した。ベヘン酸6.37kgとトルエン12.74kgとの混合物を、反応容積が一定になるようにして、すなわち、添加量が蒸留中に留去される量に相当するようにして徐々に添加した。留出物中に水が見えなくなるまで、トルエンを連続的に添加し、留去する。その後、圧力を500mbarに下げる。反応器にアルゴンを充填し、圧力を800mbarに調整し、反応生成物を60℃の温度に冷却する。反応生成物をブトキシエタノールとエタノールで希釈し、溶媒混合物に有機−無機ハイブリッドポリマー5重量%が溶解した溶液(ブトキシエタノール/エタノール1:1重量%)を得る。
【0266】
実施例2a
表面処理された熱膨張パーライトの製造
i)
熱膨張パーライト
熱膨張パーライトは、以下の特性を有するパイロット生成物である。
【0268】
ii)
表面処理剤を含む組成物
実施例1b、セクションii)で得られた希釈反応生成物。
【0269】
iii)
表面処理された熱膨張パーライト
熱膨張パーライト(i)120gを2L反応器に導入した。反応器は、表面処理剤(ii)の連続流をもたらす管接続部を両側に備えていた。表面処理剤(ii)は、リザーバから入手可能であり、ポンプによって支持された密閉系内を循環する。表面処理剤の流速は、48時間の滞留時間で10〜15ml/分であった。次いで、表面処理された膨張パーライトに、洗浄ステップ、すなわち水またはエタノールのそれぞれの循環を施し、次いで乾燥ステップを施した。
【0270】
iv)
熱重量分析(TGA)
試料1:10mgの表面処理された熱膨張パーライト(iii)
試料1に、以下のステップを施した;N
2雰囲気下、20℃/分で30℃〜190℃の熱処理;190℃の温度で60分間の熱処理;20℃/分で190℃〜900℃の熱処理、ここで、温度が770℃に達したときに雰囲気をN
2雰囲気から空気雰囲気に変える。
【0271】
有機質部分は、上記の熱処理中に酸化される。熱処理中の質量損失を測定することにより、熱膨張パーライトに付着した有機質部分の量、特に表面処理剤の量を測定し得る。
【0272】
上記熱処理中の温度(℃)の関数としての質量損失(重量%)を
図1に示す。この曲線は、試料1についての温度の関数としての質量損失を反映する。900℃までの加熱時の質量損失に基づいて、熱膨張パーライト:表面処理剤の比は80:20pbw(重量部)と算出した。
【0273】
実施例2b
表面処理された従来の膨張パーライトの製造
i)
従来の膨張パーライト
従来の膨張パーライトは、以下の特性を有する市販の生成物である。
【0275】
ii)
表面処理剤を含む組成物
実施例1b、セクションii)で得られた希釈反応生成物。
【0276】
iii)
表面処理された熱膨張パーライト
エタノール250mlで濡らした従来の膨張パーライト(i)250gを10L流動床処理装置に導入した。流動床処理装置は、表面処理剤(ii)の噴霧をもたらす噴霧ノズルを備えていた。表面処理剤(ii)はリザーバから入手可能である。表面処理剤の流速は、12〜15分の滞留時間で10〜15ml/分であり、次いで乾燥ステップを施した。
【0277】
iv)
熱重量分析(TGA)
試料1:表面処理された従来の膨張パーライト(iii)2.5mg
試料1に、以下のステップを施した;N
2雰囲気下、20℃/分で30℃〜190℃の熱処理;190℃の温度で60分間の熱処理;20℃/分で190℃〜900℃の熱処理、ここで、温度が770℃に達したときに雰囲気をN
2雰囲気から空気雰囲気に変える。
有機質部分は、上記の熱処理中に酸化される。熱処理中の質量損失を測定することにより、従来の膨張パーライトに付着した有機質部分の量、特に表面処理剤の量を測定し得る。
【0278】
上記熱処理中の温度(℃)の関数としての質量損失(重量%)を
図2に示す。この曲線は、試料1についての温度の関数としての質量損失を反映している。900℃までの加熱時の質量損失に基づいて、従来の膨張パーライト:表面処理剤の比は95:5pbw(重量部)と算出した。
【0279】
実施例2c
表面処理された従来の膨張パーライトの製造
i)
従来の膨張パーライト
従来の膨張パーライトは、以下の特性を有する市販の生成物である。
【0281】
ii)
表面処理剤を含む組成物
実施例1a、セクションii)で得られた希釈反応生成物。
【0282】
iii)
表面処理された熱膨張パーライト
エタノール20kgで湿らせた従来の膨張パーライト(i)20kgを450L流動床処理装置に導入した。流動床処理装置は、表面処理剤(ii)の噴霧をもたらすプロセッサの底部に3つの噴霧ノズルを備えていた。表面処理剤(ii)はリザーバから入手可能である。滞留時間18分で表面処理剤の流量は600m
3/時間であった。次いで、表面処理された膨張パーライトに、洗浄ステップ、すなわち水またはエタノールのそれぞれの循環を施し、次いで乾燥ステップを施した。
【0283】
iv)
熱重量分析(TGA)
試料1:表面処理された従来の膨張パーライト(iii)2.440mg。
試料1に、以下のステップを施した;N
2雰囲気下、20℃/分で30℃〜190℃の熱処理;190℃の温度で60分間の熱処理;20℃/分で190℃〜900℃の熱処理、ここで、温度が770℃に達したときに雰囲気をN
2雰囲気から空気雰囲気に変える。
【0284】
有機質部分は、上記の熱処理中に酸化される。熱処理中の質量損失を測定することにより、従来の膨張パーライトに付着した有機質部分の量、特に表面処理剤の量を測定し得る。
【0285】
上記熱処理中の温度(℃)の関数としての質量損失(重量%)を
図3に示す。この曲線は、試料1についての温度の関数としての質量損失を反映している。900℃までの加熱時の質量損失に基づいて、従来の膨張パーライト:表面処理剤の比は95:5pbw(重量部)と算出した。
【0286】
実施例3a
ジプサム系石こう−修飾熱膨張パーライト
ジプサム系石こうは、ジプサム、膨張パーライト、添加剤および水から合成する。2.2wt%の膨張パーライトを含む3種類のジプサム石こうを調製し、混合、塗布および硬化の間の取り扱い、ならびに最終的な機械的性質の順位付けに関して試験した。異なる石こうは、表4に列挙された膨張パーライト生成物から選択された膨張パーライトを除いて、同じ成分を使用して同じ方法によって調製した。試験の結果を表5に示す。
【0289】
修飾熱膨張パーライト(80:20)を含む配合物は、試験に使用される他の配合物に匹敵する作業性および適用性を示す。しかし、気泡の含有量が非常に低いことは、破砕の際に石こう表面を記録するSEM(走査型電子顕微鏡)画像によって記録された(
図4参照)。気泡の含有量が少ないと、曲げ引張強度(β
BZ=1.54N/mm
2)、圧縮強度(β
D=5.12N/mm
2)、e−係数(静的:2550N/mm
2、動的:2.9GPa)の向上などの機械的特性を向上することを説明し得る。これらのパラメータは、向上した圧縮強度に関連し得、従来の膨張パーライト(標準)を使用する標準配合と比較して、約30%の性能向上に対応する。さらに、
図4は、顆粒が破砕後にほとんど損傷を受けずに維持されるので、修飾熱膨張パーライト(80;20)のより良好な機械的安定性も示す。
【0290】
実施例3b
セメント系石こう−修飾熱膨張パーライト
セメント系石こうは、ポルトランドセメント、膨張パーライト(部分的または完全な砂の交換用)、鉱物系可塑剤、水和石灰および水から合成する。1.35wt%の膨張パーライトを含む異なる3種類のセメント系石こうを調製し、混合、塗布および硬化の間の取り扱い、ならびに最終的な機械的特性のランク付けに関して試験した。異なる石こうは、表4に列挙された膨張パーライト生成物から選択された膨張パーライトを除いて、同じ成分を使用して同じ方法によって調製した。試験の結果を表6に示す。
【0292】
実施例3c
吸水率−修飾熱膨張パーライト
軽量充填剤の吸水率(水の取り込み)は、試料0.100gを用いて、Enslin法(DIN 18132)を用いて決定する(表4参照)。修飾熱膨張パーライトは、水取り込みを89%減少し、未修飾熱膨張パーライト3.95g/gの水取り込みと比較して、膨張パーライト0.55g/gの水取り込みをもたらす。(
図9)
【0293】
実施例4a
セメント系石こう−従来の修飾膨張パーライト
セメント系石こうは、ポルトランドセメント、膨張パーライト(部分的または完全な砂の交換用)、鉱物系可塑剤、水和石灰および水から合成する。1.35wt%の膨張パーライトを含有する異なる2種類のセメント系石こうを調製し、混合、塗布および硬化の間の取り扱い、ならびに最終機械的特性のランク付けに関して試験した。異なる石こうは、表7に列挙された膨張パーライト生成物から選択された膨張パーライトを除いて、同じ成分を使用して同じ方法によって調製した。試験の結果を表8に示す。
【0296】
実施例4b
吸水率−修飾された従来の膨張パーライト
軽量充填剤の吸水率(水の取り込み)は、試料0.100gを用いて、Enslin法(DIN 18132)を用いて決定する(表7参照)。修飾された従来の膨張パーライト(95:5)は、水の取り込みを46%減少し、未修飾の従来の膨張パーライト0.88g/gの水の取り込みと比較して、膨張パーライト0.48g/gの水の取り込みをもたらす(
図10)。
【0297】
実施例5a
ジプサム系石こう−修飾された従来の膨張パーライト
ジプサム系石こうは、ジプサム、膨張パーライト、添加剤および水から合成する。2.2wt%の膨張パーライトを含む異なる2種類のジプサム系石こうを調製し、混合、塗布および硬化の間の取り扱い、ならびに最終的な機械的特性のランク付けに関して試験した。表9に列挙された膨張パーライト生成物から選択した膨張パーライトを除いて、同じ成分を使用して同じ方法で異なる石こうを調製した。試験の結果を表10に示す。
【0300】
実施例5b
セメント系石こう−従来の修飾膨張パーライト
セメント系石こうは、ポルトランドセメント、膨張パーライト(部分的または完全な砂の交換用)、鉱物系可塑剤、水和石灰および水から合成する。1.35wt%の膨張パーライトを含有する異なる2種類のセメント系石こうを調製し、混合、塗布および硬化の間の取り扱い、ならびに最終機械的特性のランク付けに関して試験した。表9に列挙された膨張パーライト生成物から選択した膨張パーライトを除いて、同じ成分を使用して同じ方法で異なる石こうを調製した。試験の結果を表11示す。
【0302】
実施例5c
吸水率−修飾された従来の膨張パーライト
軽量充填剤の吸水率(水の取り込み)は、試料0.100gを用いて、Enslin法(DIN 18132)により決定する(表9参照)。修飾された従来の膨張パーライト(95:5)は、未修飾の従来の膨張パーライト0.88g/gの水の取り込みと比較して、水の取り込みを38%低減し、膨張パーライト0.55g/gの水の取り込みをもたらす(
図11)。
【0303】
実施例6
膨張パーライト上の表面被覆の耐久性
i)
化学物質
ヘキサメチルジシロキサン
HMDSO、puriss.、≧98.5%(GC);CAS
番号107-46-0;52630 Fluka
シリコーン油
[-Si(CH
3)
2O-]
n、粘度 10 cSt(25℃);
CAS番号63148-62-9;378321
Aldrich
ステアリン酸
グレードI、≧98.5%(毛管GC);CAS
番号57-11-4;S4751 Sigma
有機−無機ハイブリッドポリマー
実施例1b、セクションii)で得られた希釈反応生成物
【0304】
ii)
コーティング溶液の調製
- ヘキサメチルジシロキサン(i)2.5gをエタノール122.5gに溶解した。
- シリコーン油(i)2.5gをエタノール122.5gに溶解した。
- ステアリン酸(i)2.5gをエタノール122.5gに溶解した。
- K−ステアレート(i)2.5gをエタノール122.5gに溶解した(K−ステアレートはステアリン酸と等モルのKOH(固体)から調製した)。
- 実施例1b、セクションii)で得られた希釈された反応生成物を、エタノールを用いてさらに希釈して、有機−無機ハイブリッドポリマーが2重量%溶解した溶液を得た。
【0305】
iii)「洗浄手順前」の試料の調製
熱膨張パーライト5g(実施例2a、セクションiで言及した生成物)をティーバッグに充填し、磁気攪拌下のコーティング溶液(ii)のうちの1つに72時間浸漬した。充填したティーバッグを溶液から取り出し、20分間磁気攪拌しながらエタノール100mlに浸漬することによって洗浄した。次に、充填したティーバッグを、室温で16時間、40℃で2時間、次いで室温で16時間乾燥させた。
【0306】
基準試料は、コーティング溶液をエタノールで置き換えている以外は、上記方法に従って調製する。
【0307】
iv)「洗浄手順後」の試料の調製
熱膨張パーライト5g(実施例2a、セクションiで言及した生成物)をティーバッグに充填し、磁気攪拌下のコーティング溶液(ii)のうちの1つに72時間浸漬した。充填したティーバッグを溶液から取り出し、20分間磁気攪拌しながらエタノール100mlに浸漬することによって洗浄した。次に、充填したティーバッグを、室温で16時間、40℃で2時間、次いで室温で16時間乾燥させた。
【0308】
次に、充填されたティーバッグに、磁気攪拌下で20分間エタノール100mlに浸漬し、室温での良好な換気(24時間)、2時間/40℃および最終室温乾燥(16時間)することによって次の洗浄手順を2回施した。
【0309】
基準試料は、コーティング溶液をエタノールで置き換えている以外は、上記方法に従って調製する。
【0310】
v)
熱重量分析(TGA)
試料1
「洗浄前」の基準熱膨張パーライト10mg
試料2
「洗浄後」の基準熱膨張パーライト10mg
試料3
「洗浄前」のシリコーン油で被覆された熱膨張パーライト10mg
試料4
「洗浄後」のシリコーン油で被覆された熱膨張パーライト10mg
試料5
「洗浄前」のヘキサメチルジシロキサンで被覆された熱膨張パーライト10mg
試料6
「洗浄後」のヘキサメチルジシロキサンで被覆された熱膨張パーライト10mg
試料7
「洗浄前」のステアリン酸で被覆された熱膨張パーライト10mg
試料8
「洗浄後」のステアリン酸で被覆された熱膨張パーライト10mg
試料9
「洗浄前」のK−ステアレートで被覆された熱膨張パーライト10mg
試料10
「洗浄後」のK−ステアレートで被覆された熱膨張パーライト10mg
試料11
「洗浄前」の有機無機ハイブリッドポリマーで被覆された熱膨張パーライト10mg
試料12
「洗浄後」の有機無機ハイブリッドポリマーで被覆された熱膨張パーライト10mg
【0311】
試料1〜12に、以下のステップを独立して施した;N
2雰囲気下、20℃/分で30℃〜190℃の熱処理;190℃の温度で60分間の熱処理;20℃/分で190℃〜900℃の熱処理、ここで、温度が770℃に達したときに雰囲気をN
2雰囲気から空気雰囲気に変える。
【0312】
有機質部分は、上記の熱処理中に酸化される。熱処理中の質量損失を測定することにより、熱膨張パーライトに付着した有機質部分の量、特に表面処理剤の量を測定し得る。
【0313】
図6に示す熱重量分析の結果から分かるように、熱膨張パーライトに付着した有機−無機ハイブリッドポリマーの量(重量)は、他のコーティング材料と比較して優れている。この結果はまた、有機−無機ハイブリッドポリマーが、試料に広範囲の洗浄手順を施した後にわずかな量だけのコーティングが失われるので、他の代替コーティング材料と比較して高い耐久性を有することを明白に示している。
【0314】
図6において、縦軸は熱重量分析によって測定した重量損失(重量%)、横軸は異なるタイプの表面コーティングを表している。また、Aは非被覆膨張パーライト(参考);Bはシリコーン油で被覆された膨張パーライト;Cはヘキサメチルジシロキサンで被覆された膨張パーライト;Dはステアリン酸で被覆された膨張パーライト;Eはk−ステアレートで被覆された膨張パーライト;Fは有機−無機ハイブリッドポリマーで被覆された膨張パーライトを、それぞれ示す。さらに、Xが洗浄処理前を示し、Yが洗浄処理後を示す。
【0315】
実施例7
表面処理された軽量膨張粘土骨材の製造
i)
軽量膨張粘土骨材
軽量膨張粘土骨材は、市販品であり、以下の特徴を有し得る。
【0317】
ii)
表面処理剤を含む組成物
実施例1a、セクションii)で得られた希釈反応生成物。
【0318】
iii)
表面処理された軽量膨張粘土骨材
軽量膨張粘土骨材(i)を2L反応器に導入した。反応器は、表面処理剤(ii)の連続流をもたらす管接続部を両側に備えていた。表面処理剤(ii)は、リザーバから入手可能であり、ポンプによって支持された密閉系内を循環する。表面処理剤の流速は、48時間の滞留時間で10〜15ml/分であった。次いで、表面処理した軽量膨張粘土骨材に、洗浄ステップ、すなわち水またはエタノールの循環を施した後、乾燥ステップを施した。
【0319】
iv)
熱重量分析(TGA)
試料1:表面処理された軽量膨張粘土骨材(iii)11mg。
試料2:対照として未修飾軽量膨張粘土骨材5.5mg。
【0320】
試料1および試料2に以下のステップを施した:N
2雰囲気下、20℃/分で30℃〜190℃の熱処理;190℃の温度で60分間の熱処理;20℃/分で190℃〜900℃の熱処理、ここで、温度が770℃に達したときに雰囲気をN
2雰囲気から空気雰囲気に変える。
【0321】
試料1中の有機質部分は、上記の熱処理中に酸化する。熱処理中の質量損失を測定することにより、熱膨張パーライトに付着した有機質部分の量、特に表面処理剤の量を、特に試料2について観察された質量損失と比較した後に(すなわち、試料1についての補正質量損失)測定し得る。
【0322】
上記熱処理中の温度(℃)の関数としての補正質量損失(重量%)を
図12に示す。この曲線は、対照として使用された未修飾軽量膨張粘土骨材(試料2)と比較して、試料1についての温度の関数としての質量損失を反映する。900℃までの加熱時の質量損失に基づいて、軽量膨張粘土骨材の比:表面処理剤は99,80:0,20pbw(重量部)と算出した。
【0323】
実施例8
吸水−修飾軽量膨張粘土骨材
【0325】
NS-EN 1097-6:2000(1時間の吸水量)に基づく内部方法により、試料約50gを使用して軽量膨張粘土骨材の吸水量(吸水量)を決定する(表12参照)。修飾軽量膨張粘土骨材は、水の取り込みを60%減少させ、比較試験での約6.3%m/mの修飾軽量膨張粘土骨材の水の取り込みに関連して約4.0%m/mの修飾軽量膨張粘土骨材の水の取り込みをもたらす。