特許第6808764号(P6808764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808764
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】保護継電器用電源供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/08 20060101AFI20201221BHJP
   G05F 3/18 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   H02H3/08 L
   G05F3/18
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-1359(P2019-1359)
(22)【出願日】2019年1月8日
(65)【公開番号】特開2019-122260(P2019-122260A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2019年1月8日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0003080
(32)【優先日】2018年1月10日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨン−ジュ
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−029970(JP,U)
【文献】 特開2001−218355(JP,A)
【文献】 特開2015−225825(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0146624(US,A1)
【文献】 特開2008−148380(JP,A)
【文献】 特開平04−127306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/08 − 3/253
H02J 1/00 − 1/16
G05F 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に連結された遮断器を制御する制御回路部に安定した電源を提供できる電源供給装置において、
前記制御回路部に電源を供給する電源回路部を含み、
前記電源回路部は、
第1ノードに連結されて直流電流を入力される入力端子、及び前記第1ノードより低い電圧を有する基準ノードと連結される出力端子を含む半導体スイッチ素子及び、
前記第1ノードと、前記半導体スイッチ素子のスイッチング端子と連結された第2ノードとの間に配置される第1の電圧降下素子を含むものであり、
前記電源回路部は、前記第2ノードと前記基準ノードとの間に配置される第2の電圧降下素子をさらに含み、前記第2ノードは、前記半導体スイッチ素子のスイッチング端子に接続されているものであり、
前記電力系統の線路に流れる電流を検出する変流器から交流電流を入力されて、前記交流電流を直流電流に整流して、前記電源回路部に供給する整流回路部をさらに含み、
前記半導体スイッチ素子は、
前記スイッチング端子に印加されるゲート電圧が上昇する場合、前記第1ノードから前記基準ノードに流れる電流の大きさを増加させ,
前記スイッチング端子に印加されるゲート電圧が下降する場合、前記第1ノードから前記基準ノードに流れる電流の大きさを減少させる、電源供給装置。
【請求項2】
前記第2ノードと前記基準ノードとの間に配置されるキャパシタをさらに含む、
請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項3】
前記第1の電圧降下素子は、第1の降伏電圧より高い電圧が両端に印加される場合、導通されて前記キャパシタを充電させる、
請求項2に記載の電源供給装置。
【請求項4】
前記第2の電圧降下素子は、第2の降伏電圧より高い電圧が両端に印加される場合、導通されて前記第2ノードに印加されるゲート電圧が前記第2の降伏電圧より低く保持する、
請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項5】
前記第2の降伏電圧は、前記半導体スイッチ素子のスイッチング端子に許容される最大ゲート閾値電圧より低い、
請求項4に記載の電源供給装置。
【請求項6】
前記整流回路部から入力される前記直流電流の大きさが増加する場合、前記スイッチング端子に印加されるゲート電圧は、上昇して、
前記整流回路部から入力される前記直流電流の大きさが減少する場合、前記スイッチング端子に印加されるゲート電圧は、下降する、
請求項に記載の電源供給装置。
【請求項7】
前記第1の電圧降下素子と前記第1ノードとの間に配置される電流制限抵抗をさらに含む、
請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項8】
前記半導体スイッチ素子は、MOSFET、パワートランジスタ、サイリスター及びIGBTのうちいずれかで構成される、
請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の電圧降下素子は、ツェナーダイオードを含む、
請求項1に記載の電源供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護継電器用電源供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
保護継電器は、交流電流レベルを感知して、電流レベルに対する値と予め指定された設定値とを比較する。次に、保護継電器は、比較の結果によってトリップ信号を発生させ、これに基づいて遮断器を動作させることで、事故電流発生による系統事故を事前に防止することができる。
【0003】
図1は、従来の保護継電器用電源供給装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、図1の電源回路部に対する詳細な回路構成を示すブロック図である。
【0004】
図1を参照すれば、従来技術の保護継電器用電源供給装置は、変流器20、整流回路部30、電源回路部40、制御回路部50及び遮断器70を含む。
【0005】
変流器20は、電力系統の電力線10に設けられて、電力線10を通して流れる電流量を検出する。
【0006】
整流回路部30は、変流器20から入力された交流電流を整流して直流電流に変換する。整流回路部30は、通常、ブリッジダイオード(bridge diode)で構成されてもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0007】
電源回路部40は、制御回路部50に供給される電圧が一定水準以上に上昇することを防止する。電源回路部40に対する詳細な構成は、図2を参照して後述する。
【0008】
制御回路部50は、電力系統に対する検出電流又は検出電圧を利用して電力系統の事故の発生可否を決定し、遮断器70の動作を制御する遮断制御信号を出力する。
【0009】
計測抵抗60は、変流器20から検出された電流信号を、電流信号に比例する電圧信号に変換する機能を行う。
【0010】
遮断器70は、電力線10の電路を遮断する動作を行う。遮断器70は、制御回路部50から出力される遮断制御信号によって動作が制御されてもよい。
【0011】
図2を参照すれば、電源回路部40は、比較回路部41と、比較回路部41によってオン/オフ制御されるスイッチング素子42と、基準電圧発生部43を含む。
【0012】
比較回路部41は、基準電圧発生部43から入力される基準電圧と、抵抗(R2)から提供される電源回路部40の出力電圧とを比較する。
【0013】
比較回路部41は、電源回路部40の出力電圧が基準電圧より大きい場合、スイッチング素子42をターンオンさせる制御信号を出力して、出力電圧が基準電圧より小さい場合、スイッチング素子42をターンオフさせる制御信号を出力する。
【0014】
整流回路部30が変流器(図1の20)から交流電流を入力されて整流された直流電流を出力すれば、該直流電流は、キャパシタ(C1)の充放電によって一定の直流電圧に平滑し、電源回路部40の出力電圧(Vout)として制御回路部50に印加される。
【0015】
ここで、制御回路部50の電力消耗が多くない場合、出力電圧(Vout)は、制御回路部50の使用電圧以上に上昇することになる。この場合、第2抵抗(R2)から提供される電源回路部40の出力電圧(Vout)は、基準電圧発生部43から入力される基準電圧より大きくなり、比較回路部41は、スイッチング素子42をターンオンさせる制御信号を出力する。
【0016】
次に、スイッチング素子42がターンオンされると、整流回路部30からの直流電流は、スイッチング素子42を介して基準ノードに流れるようになり、制御回路部50には電流が流れなくなる。これによって、電源回路部40の出力電圧(Vout)は、基準電圧より小くなる。
【0017】
次に、出力電圧(Vout)が基準電圧より小くなる場合、比較回路部41は、スイッチング素子42をターンオフさせる制御信号を出力することになり、スイッチング素子42がオフされるにつれて直流電流は、さらに制御回路部50へ流れるようになる。
【0018】
かかる動作を繰り返すことで、制御回路部50は、使用電圧を超えない一定の直流電圧が供給されるようになる。
【0019】
但し、このような従来の電源供給装置の場合、スイッチング素子42でスイッチングする瞬間、必ずリップル(ripple)ノイズが発生することになる。このようなスイッチングノイズを除去するため低域通過フィルター(Low−Pass Filter)が用いられるが、ノイズを除去しきれることは難しいという問題があった。また、スイッチングノイズは、制御回路部50の電力系統に対する計測精密度を低下する問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、電源回路部で発生するスイッチングノイズを除去できる回路を備えることで、制御回路部に安定した電源を提供できる電源供給装置を提供することを目的とする。
【0021】
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されず、言及していない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解されるし、本発明の実施形態によってより明らかに理解される。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現できることが分かる。
【課題を解決しようとする手段】
【0022】
このような問題を解決するため本発明の電源供給装置は、電力系統に連結された遮断器を制御する制御回路部、及び前記制御回路部に電源を供給する電源回路部を含む。前記電源回路部は、直流電流が入力される第1ノードに連結される入力端子、及び前記第1ノードより低い電圧を有する基準ノードに連結される出力端子を含む半導体スイッチ素子と、前記第1ノードと、前記半導体スイッチ素子のスイッチング端子と連結された第2ノードとの間に配置される第1の電圧降下素子を含む。
【0023】
前記第2ノードと前記基準ノードとの間に配置されるキャパシタをさらに含んでいてもよい。
【0024】
また、前記第1の電圧降下素子は、第1の降伏電圧より高い電圧が両端に印加される場合、導通されて前記キャパシタを充電することができる。
【0025】
また、前記第2ノードと前記基準ノードとの間に配置される第2の電圧降下素子をさらに含んでいてもよい。
【0026】
また、前記第2の電圧降下素子は、第2の降伏電圧より高い電圧が両端に印加される場合、導通されて前記第2ノードに印加されるゲート電圧が前記第2の降伏電圧より低く保持することができる。
【0027】
また、前記第2の降伏電圧は、前記半導体スイッチ素子のスイッチング端子に許容される最大のゲート閾値電圧より低くてもよい。
【0028】
また、前記電力系統の線路に流れる電流を検出する変流器から交流電流を入力されて、前記交流電流を直流電流に整流して、前記電源回路部に供給する整流回路部をさらに含んでいてもよい。
【0029】
また、前記半導体スイッチング素子は、前記スイッチング端子に印加されるゲート電圧が上昇する場合、前記第1ノードから前記基準ノードに流れる電流の大きさを増加させて、前記スイッチング端子に印加されるゲート電圧が下降する場合、前記第1ノードから前記基準ノードに流れる電流の大きさを減少させることができる。
【0030】
また、前記電源回路部から入力される前記直流電流の大きさが増加する場合、前記スイッチング端子に印加されるゲート電圧は、上昇して、前記電源回路部から入力される前記直流電流の大きさが減少する場合、前記スイッチング端子に印加されるゲート電圧は、下降する。
【0031】
また、前記第1の電圧降下素子と前記第1ノードとの間に配置される電流制限抵抗をさらに含んでいてもよい。
【0032】
また、前記半導体スイッチ素子は、MOSFET、パワートランジスタ、サイリスター及びIGBTのうちいずれかで構成されてもよい。
【0033】
また、前記第1及び第2の電圧降下素子は、ツェナーダイオードを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明の電源供給装置は、電源回路部で発生するスイッチングノイズを除去することで、制御回路部に安定した電圧及び電流を提供することができる。これによって、制御回路部の計測精密度は向上し、動作信頼性も共に向上する。
【0035】
また、本発明の電源供給装置は、電源回路部の構造を単純化させることで、電源回路部の大きさを減少させることができ、これによって製造コストも減少させることができる。
【0036】
上述した効果及び本発明の具体的な効果は、以下の発明を実施するための具体的な事項を説明しながら共に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】従来の保護継電器用電源供給装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図1の電源回路部に対する詳細な回路構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態による保護継電器用電源供給装置を示すブロック図である。
図4図3の電源供給装置を示す回路図である。
図5図4の半導体スイッチング素子の動作特性を説明するためのグラフである。
図6】本発明の実施形態による保護継電器用電源供給装置の動作を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
前述した目的、特徴及び長所は、添付の図面を参照して詳細に後述されており、これによって、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明の技術思想を容易に実施することができる。本発明を説明するにおいて、本発明に係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合には詳説を省略する。図面における同じ参照符号は、同一又は類似の構成要素を称するものに使われる。
【0039】
以下では、図3図6を参照して、本発明の実施形態による保護継電器用電源供給装置について詳説する。
【0040】
図3は、本発明の実施形態による保護継電器用電源供給装置を示すブロック図である。
【0041】
図3を参照すれば、本発明の実施形態による保護継電器は、整流回路部110、電源回路部120、制御回路部200及び遮断器300を含む。
【0042】
変流器20は、電力系統の電力線10に設けられて、電力線10を通して流れる電流量を検出する。
【0043】
整流回路部110は、変流器20から入力された交流電流を整流して直流電流に変換する。整流回路部110は、通常、ブリッジダイオード(bridge diode)が用いられるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0044】
但し、電力系統が直流電力系統である場合、変流器20と整流回路部110は省略して実施されてもよい。電源回路部120は、制御回路部200に供給される電源を一定に保持する。
【0045】
具体的には、電源回路部120は、制御回路部200に提供する出力電圧(Vout)及び出力電流(Iout)の大きさを一定に保持することができる。また、電源回路部120は、スイッチングによるリップル(ripple)ノイズを発生させなくてもよい。これによって、電源回路部120は、制御回路部200に安定した電圧及び電流を提供することができる。電源回路部120に対する詳細構造の説明は、図4を参照して後述する。
【0046】
制御回路部200は、電力系統の検出電流又は検出電圧を利用して電力系統の事故の発生可否を決定し、遮断器300の動作を制御する遮断制御信号を出力する。このとき、制御回路部200は、電源回路部120から安定した動作電源を入力されることができ、これによって、電力系統に対する計測精密度は向上し、制御回路部200の動作信頼性は向上する。
【0047】
遮断器300は、電力線10の電路を遮断する動作を行う。具体的には、遮断器300は、制御回路部200から出力される遮断制御信号によって動作を制御することができる。
【0048】
すなわち、本発明の保護継電器は、電力系統の電流又は電圧を検出して、検出されたデータい基づいて電力系統に過電力、低電力、過電圧、低電圧、過力率、低力率、過電流、欠相、逆相、不平衡、地絡、短絡等が発生する場合、保護機能が動作し、負荷に供給される電源を遮断することができる。
【0049】
ここで、本発明の実施形態による保護継電器用電源供給装置100は、整流回路部110と電源回路部120を含んでいてもよい。以下では、電源供給装置100の構成要素について詳説する。
【0050】
図4は、図3の電源供給装置を示す回路図である。図5は、図4の半導体スイッチング素子の動作特性を説明するためのグラフである。図6は、本発明の実施形態による保護継電器用電源供給装置の動作を説明するためのグラフである。
【0051】
図4を参照すれば、本発明の実施形態による電源供給装置100は、整流回路部110と電源回路部120を含む。
【0052】
整流回路部110は、変流器20から交流電流(Is)を入力されて、交流電流(Is)を整流して直流電流(Iin)に変換する。整流回路部110は、整流された直流電流(Iin)を電源回路部120に提供する。整流回路部110は、通常、ブリッジダイオード(bridge diode)で構成されてもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0053】
電源回路部120は、第1の電圧降下素子122、半導体スイッチ素子123及びキャパシタ125を含む。さらに、電源回路部120は、第1ノード(N1)と第1の電圧降下素子122との間に配置される電流制限抵抗121と、半導体スイッチ素子123のスイッチング端子と連結された第2ノード(N2)と基準ノード(GND)との間に配置される第2の電圧降下素子124をさらに含んでいてもよい。
【0054】
本発明がこれに限定されるものではなく、電流制限抵抗121と第2の電圧降下素子124は、本発明の電源供給装置を過電流又は過電圧から保護するための付加機能要素として動作するため、場合によって省略して実施されてもよい。
【0055】
第1の電圧降下素子122は、第1ノード(N1)と、半導体スイッチ素子123のスイッチング端子と連結された第2ノード(N2)との間に配置される。第1の電圧降下素子122は、制御回路部200に提供する電源に対する基準電圧を生成するために用いられる。
【0056】
具体的には、第1の電圧降下素子122は、第1の降伏電圧を有する。第1の電圧降下素子122の両端に第1の降伏電圧より大きい電圧が印加される場合、第1の電圧降下素子122は、導通されて第2ノード(N2)に電圧を印加することになる。この場合、第2ノード(N2)に印加された電圧は、キャパシタ125を充電させ、第2ノード(N2)は、特定電圧を保持するようになる。ここで、第1の電圧降下素子122は、ツェナーダイオードが用いられるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0057】
半導体スイッチ素子123は、第1ノード(N1)と基準ノード(GND)との間に配置される。具体的には、半導体スイッチ素子123の入力端子は、第1ノード(N1)に連結され、出力端子は、基準ノード(GND)に連結され、スイッチング端子は、第2ノード(N2)に連結される。
【0058】
図5を参照すれば、図5は、半導体スイッチ素子123のゲート電圧(Vg)の変化によるId−Vds相関曲線を示す。半導体スイッチ素子123でゲート電圧(Vg)が増加する場合、入力端子から出力端子に流れるドレイン電流(Id)の大きさは増加する。また、ソース・ドレイン間電圧(Vds)が増加する場合、同様、入力端子から出力端子に流れるドレイン電流(Id)の大きさは増加する。
【0059】
半導体スイッチ素子123は、金属酸化半導体電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor;通常、MOSFET)、サイリスター(Thyristor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等を含む半導体スイッチで構成されてもよい。但し、これは、幾つの実施形態に過ぎないし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0060】
半導体スイッチ素子123の動作に関する説明は、以下に詳細に後述する。
【0061】
さらに図4を参照すれば、第2の電圧降下素子124は、第2ノード(N2)と基準ノード(GND)との間に配置されて、キャパシタ125と並列に配置されてもよい。ここで、第2の電圧降下素子124は、ツェナーダイオードが用いられるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0062】
第2の電圧降下素子124は、半導体スイッチ素子123を保護するための第2の降伏電圧を有する。このとき、第2の降伏電圧は、半導体スイッチ素子123のスイッチング端子に許容される最大のゲート閾値電圧(Maximum Threshold Voltage)より小さくてもよい。第2の電圧降下素子124の両端にかかる電圧が第2の降伏電圧より大きくなる場合、第2の電圧降下素子124は導通される。
【0063】
従って、第2ノード(N2)の電圧(すなわち、半導体スイッチ素子123のゲート電圧(Vg))は、第2の降伏電圧を超えなくなる。これによって、第2の電圧降下素子124は、半導体スイッチ素子123のスイッチング端子に最大のゲート閾値電圧(Maximum Threshold Voltage)を越えない電圧のみ印加されるようにして、半導体スイッチ素子123を保護することができる。
【0064】
キャパシタ125は、第2の電圧降下素子124と並列に連結される。すなわち、キャパシタ125は、第2ノード(N2)と基準ノード(GND)との間に配置される。キャパシタ125は、第1の電圧降下素子122が導通される場合、印加される電流によって充電される。第2ノード(N2)の電圧は、第2の電圧降下素子124の第2の降伏電圧を越えない。
【0065】
もし、キャパシタ125に充電された電圧が第2の降伏電圧を超えると、第2の電圧降下素子124は、導通されてキャパシタ125に追加して印加される電流を基準ノード(GND)端に流れるようにする。従って、キャパシタ125には、第2の降伏電圧を超えない電圧が印加し続け、半導体スイッチ素子123は、正常範囲でターンオンし続けて動作する。
【0066】
但し、第2の電圧降下素子124とキャパシタ125は、電源回路部120における必須構成要素ではなく、本発明の他の実施形態において両構成要素とも省略して実施されるか、両構成要素のうちいずれかのみ電源回路部120に含まれてもよい。
【0067】
以下では、図4図6を参照して、本発明の実施形態による保護継電器用電源供給装置の動作を説明する。
【0068】
図6において、<A>は、整流回路部110から出力される直流電流(Iin)を示し、<B>は、半導体スイッチ素子123のゲート電圧(Vg)を示し、<C>は、半導体スイッチ素子123に流れるドレイン電流(Id)を示す。ここで、同種の線(例えば、Ia、Ib、Ic)は、同じ条件で測定された値を意味する。
【0069】
まず、整流回路部110で提供される直流電流(Iin)は、電源回路部120及び制御回路部200の一定の負荷によって特定電圧に表現されてもよい。このとき、整流回路部110で提供される電流が徐々に増加する場合、第1の電圧降下素子122にかかる電圧は、上昇することになる。
【0070】
第1の電圧降下素子122にかかる電圧が上昇し続けて、第1の電圧降下素子122の第1の降伏電圧を上回る場合、第1の電圧降下素子122は、導通されてキャパシタ125を充電させる。すなわち、整流回路部110で提供される電流(Iin)は、キャパシタ125に提供されて、キャパシタ125には電荷が充電される。
【0071】
充電されたキャパシタ125にかかる電圧(すなわち、第2ノード(N2)の電圧)が半導体スイッチ素子123のゲート閾値電圧(Threshold Voltage)を上回る場合、半導体スイッチ素子123は、ターンオンされる。
【0072】
このとき、半導体スイッチ素子123を保護するための第2の電圧降下素子124の第2の降伏電圧は、半導体スイッチ素子123に許容される最大のゲート閾値電圧(Maximum Threshold Voltage)より低い電圧になるように設定される。第2の電圧降下素子124は、過電圧から半導体スイッチ素子123を保護することができる。
【0073】
もし、第2の電圧降下素子124に自己の第2の降伏電圧より高い電圧がかかる場合、第2の電圧降下素子124は、導通されることで、キャパシタ125に流れる電流を基準ノード(例えば、接地; 以下、GND))に遠回りさせて、半導体スイッチ素子123のスイッチング端子(すなわち、第2ノード(N2))にかかる電圧を第2の降伏電圧以下の値に保持する。
【0074】
整流回路部110で供給される電流(Iin)は、半導体スイッチ素子123がターンオンされることによって分類され、一部の電流は、基準ノード(GND)を通して抜け出し、制御回路部200には、一定の大きさの電流のみ供給されるようになる。
【0075】
これによって、制御回路部200に供給される直流電圧(Vout)は、一定の大きさに制限することができる。このとき、直流電圧(Vout)の大きさは、第2ノード(N2)にかかる電圧と、第1の電圧降下素子122の第1の降伏電圧と、電流制限抵抗121によって降下する電圧の和に制限される。
【0076】
一方、変流器20から入力される電流の大きさが大きくなると、整流回路部110から入力される直流電流(Iin)の大きさも大きくなり、制御回路部200に供給される直流電圧(Vout)の大きさは、上昇する。この場合、第1の電圧降下素子122に流れる電流も増加することになり、半導体スイッチ素子123のゲート電圧(Vg)(すなわち、第2ノード(N2)の電圧)は、上昇することになる。
【0077】
半導体スイッチ素子123のI−V特性曲線(図5)によれば、半導体スイッチ素子123にかかるゲート電圧(Vg)が上昇するほど、半導体スイッチ素子123を介して流れる電流(Id)は、共に上昇することになる。従って、直流電流(Iin)の増加分は、半導体スイッチ素子123を介して基準ノード(GND)に抜け出し、制御回路部200に供給される直流電流(Iout)の大きさは、一定に保持される。
【0078】
逆に、変流器20から入力される電流の大きさが小くなると、整流回路部110から入力される直流電流(Iin)の大きさも小くなる。直流電流(Iin)の大きさが小くなると、半導体スイッチ素子123にかかるゲート電圧(Vg)は減少して、半導体スイッチ素子123を介して流れる電流(Id)も共に減少し、制御回路部200に供給される直流電流(Iout)は、一定に保持される。
【0079】
かかる動作を繰り返して、本発明の電源供給装置100は、変流器20から入力される電流の大きさが変わっても、制御回路部200に一定の直流電圧又は直流電流を供給することができる。このとき、半導体スイッチ素子123は、スイッチング動作を繰り返さずに、常にターンオン状態を維持するため、スイッチングによるリップルノイズのない一定の直流電源を制御回路部200に供給できるようになる。
【0080】
図6に示したように、本発明の電源供給装置100において整流回路部110から入力される直流電流(Iin)の大きさが変わるにもかかわらず(<A> 参照)、半導体スイッチ素子123のゲート電圧(Vg)は、ほぼ一定に保持されることが分かる(<B> 参照)。また、直流電流(Iin)の大きさが大きくなるか小くなるかによって、半導体スイッチ素子123のドレイン電流(Id)は、これに比例して増加するか減少することになり(<C> 参照)、制御回路部200に入力される電圧(Vout)と過電流(Iout)は、一定に保持される。
【0081】
従って、本発明の電源供給装置100は、従来の電源回路部(図1の40)で発生するスイッチングノイズを除去することができ、制御回路部200に安定した電圧及び電流を提供することができる。これによって、制御回路部200の計測精密度は向上し、動作信頼性も共に向上する。
【0082】
また、本発明の電源供給装置100は、電源回路部120の構造を単純化させることで、電源回路部120の大きさを減少させることができ、これによって製造コストも減少させることができる。
【0083】
前述した本発明は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって、本発明の技術思想を脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であるため、前述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6