特許第6808843号(P6808843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6808843電動車両、電動車両制御装置および電動車両制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808843
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】電動車両、電動車両制御装置および電動車両制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/10 20190101AFI20201221BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20201221BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20201221BHJP
   B60L 53/20 20190101ALI20201221BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20201221BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20201221BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   B60L58/10
   B60L50/60
   B60L53/14
   B60L53/20
   B60L7/14
   H02J7/00 P
   H02J7/10 A
   H02J7/10 P
   H02J7/10 J
   H02J7/00 A
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-540254(P2019-540254)
(86)(22)【出願日】2017年9月8日
(86)【国際出願番号】JP2017032572
(87)【国際公開番号】WO2019049334
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2020年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】目黒 一由希
(72)【発明者】
【氏名】井ノ口 雄大
(72)【発明者】
【氏名】市川 広基
(72)【発明者】
【氏名】山口 敬文
【審査官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−5504(JP,A)
【文献】 特開2013−179797(JP,A)
【文献】 特開2010−119168(JP,A)
【文献】 特開2012−90442(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/098903(WO,A1)
【文献】 特開2007−68301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 7/00−7/28,50/00−58/40
H02J 7/00,7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能なバッテリと、
前記バッテリから供給された電力によって車輪を駆動するためのトルクを出力し、または、前記車輪の回転にともなって電力を出力するモータジェネレータと、
電源から供給された電力で前記バッテリを充電する充電部と、
前記電力を出力する状態における前記モータジェネレータの回転速度を検出するための回転速度検出部と、
前記モータジェネレータが出力した電力で前記バッテリを充電し、前記充電部に対して前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記回転速度が検出された後、前記検出された回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を待機し、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続したとき、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行うことを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記電力を出力する状態は、外力で前記車輪を回転させ得るように車両のスタンドが立てられて前記車輪が地面から離れた状態であることを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記バッテリを収納する開閉可能な収納部と、
前記収納部の閉鎖状態を検出するための閉鎖状態検出部と、を更に備え、
前記制御部は、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続したときに、前記閉鎖状態が検出されている場合に、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項4】
前記収納部は、車両のシートによって開閉されることを特徴とする請求項3に記載の電動車両。
【請求項5】
前記充電部は、前記電源に接続される充電プラグと、前記充電プラグを介して前記電源から入力された交流電圧を直流電圧に変換するAC−DCコンバータと、を有し、
前記制御部は、前記AC−DCコンバータに対して前記交流電圧を前記直流電圧に変換する制御を行うことで、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項6】
前記制御部は、前記充電プラグが前記電源に接続された後に、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続するまで、前記交流電圧を前記直流電圧に変換する制御を待機し、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続したとき、前記交流電圧を前記直流電圧に変換する制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の電動車両。
【請求項7】
前記閾値速度は、前記回転速度の絶対値の閾値であることを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項8】
前記制御部は、予め設定された判定周期で前記回転速度が前記閾値速度以下であるか否かを判定し、前記回転速度が前記閾値速度以下である場合に、前記閾値速度以下である状態の継続時間のカウント値をインクリメントし、前記カウント値が前記閾値時間に相当する完了値に達するまで、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を待機し、前記カウント値が前記完了値に達したときに、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項9】
前記制御部は、前記回転速度が前記閾値速度以下でない場合に前記カウント値をリセットすることを特徴とする請求項8に記載の電動車両。
【請求項10】
前記制御部は、前記バッテリから前記モータジェネレータに電力を供給する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項11】
前記車輪と前記モータジェネレータとがクラッチを介さずに機械的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項12】
充放電可能なバッテリと、
前記バッテリから供給された電力によって車輪を駆動するためのトルクを出力し、または、前記車輪の回転にともなって電力を出力するモータジェネレータと、
電源から供給された電力で前記バッテリを充電する充電部と、
前記電力を出力する状態における前記モータジェネレータの回転速度を検出するための回転速度検出部と、を備える電動車両を制御する電動車両制御装置であって、
前記モータジェネレータが出力した電力で前記バッテリを充電し、前記充電部に対して前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記回転速度が検出された後、前記検出された回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を待機し、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続したとき、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行うことを特徴とする電動車両制御装置。
【請求項13】
充放電可能なバッテリと、
前記バッテリから供給された電力によって車輪を駆動するためのトルクを出力し、または、前記車輪の回転にともなって電力を出力するモータジェネレータと、
電源から供給された電力で前記バッテリを充電する充電部と、
前記電力を出力する状態における前記モータジェネレータの回転速度を検出するための回転速度検出部と、を備える電動車両を制御する電動車両制御方法であって、
前記回転速度が検出された後、前記検出された回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を待機し、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続したとき、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行うことを特徴とする電動車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両、電動車両制御装置および電動車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを動力とした電動二輪車は、モータを駆動する電力を供給するリチウムバッテリなどのバッテリを搭載している。バッテリを電源に接続することで、電源から供給される電力によってバッテリを充電することができる(例えば、特開2011‐063066号公報参照)。
【0003】
また、電動二輪車は、例えば、モータの回転速度が減速した時や、慣性による走行時、下り坂の走行時などのバッテリの電力をモータに供給していない時に、モータをジェネレータとして機能させることで、車輪の回転にともなってモータに発生した電力によってバッテリを充電(すなわち、回生充電)することができる。
【0004】
ところで、クラッチを有しない電動二輪車は、走行していない時においても、車輪からモータが切り離されない。このため、例えば、スタンドを立てた状態で車輪を手で回転させると、車輪の回転にともなってモータがジェネレータとして機能して発電する場合がある。
【0005】
このように、モータが発電する状況下において電源から供給される電力でバッテリを充電すると、電源とモータとの双方からバッテリに過剰な電力が供給される虞がある。このため、従来は、バッテリの充電を適切に行うことができない虞があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、電源とモータとの双方からバッテリに過剰な電力が供給されることを未然に回避して、バッテリの充電を適切に行うことが可能な電動車両、電動車両制御装置および電動車両制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電動車両は、
充放電可能なバッテリと、
前記バッテリから供給された電力によって車輪を駆動するためのトルクを出力し、または、前記車輪の回転にともなって電力を出力するモータジェネレータと、
電源から供給された電力で前記バッテリを充電する充電部と、
前記電力を出力する状態における前記モータジェネレータの回転速度を検出するための回転速度検出部と、
前記モータジェネレータが出力した電力で前記バッテリを充電し、前記充電部に対して前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記回転速度が検出された後、前記検出された回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を待機し、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続したとき、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行う。
【0008】
また、前記電動車両において、
前記電力を出力する状態は、外力で前記車輪を回転させ得るように車両のスタンドが立てられて前記車輪が地面から離れた状態であってもよい。
【0009】
また、前記電動車両において、
前記バッテリを収納する開閉可能な収納部と、
前記収納部の閉鎖状態を検出するための閉鎖状態検出部と、を更に備え、
前記制御部は、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続したときに、前記閉鎖状態が検出されている場合に、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行ってもよい。
【0010】
また、前記電動車両において、
前記収納部は、車両のシートによって開閉されてもよい。
【0011】
また、前記電動車両において、
前記充電部は、前記電源に接続される充電プラグと、前記充電プラグを介して前記電源から入力された交流電圧を直流電圧に変換するAC−DCコンバータと、を有し、
前記制御部は、前記AC−DCコンバータに対して前記交流電圧を前記直流電圧に変換する制御を行うことで、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行ってもよい。
【0012】
また、前記電動車両において、
前記制御部は、前記充電プラグが前記電源に接続された後に、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続するまで、前記交流電圧を前記直流電圧に変換する制御を待機し、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続したとき、前記交流電圧を前記直流電圧に変換する制御を行ってもよい。
【0013】
また、前記電動車両において、
前記閾値速度は、前記回転速度の絶対値の閾値であってもよい。
【0014】
また、前記電動車両において、
前記制御部は、予め設定された判定周期で前記回転速度が前記閾値速度以下であるか否かを判定し、前記回転速度が前記閾値速度以下である場合に、前記閾値速度以下である状態の継続時間のカウント値をインクリメントし、前記カウント値が前記閾値時間に相当する完了値に達するまで、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を待機し、前記カウント値が前記完了値に達したときに、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行ってもよい。
【0015】
また、前記電動車両において、
前記制御部は、前記回転速度が前記閾値速度以下でない場合に前記カウント値をリセットしてもよい。
【0016】
また、前記電動車両において、
前記制御部は、前記バッテリから前記モータジェネレータに電力を供給する制御を行ってもよい。
【0017】
また、前記電動車両において、
前記車輪と前記モータジェネレータとがクラッチを介さずに機械的に接続されていてもよい。
【0018】
本発明の一態様に係る電動車両制御装置は、
充放電可能なバッテリと、
前記バッテリから供給された電力によって車輪を駆動するためのトルクを出力し、または、前記車輪の回転にともなって電力を出力するモータジェネレータと、
電源から供給された電力で前記バッテリを充電する充電部と、
前記電力を出力する状態における前記モータジェネレータの回転速度を検出するための回転速度検出部と、を備える電動車両を制御する電動車両制御装置であって、
前記モータジェネレータが出力した電力で前記バッテリを充電し、前記充電部に対して前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記回転速度が検出された後、前記検出された回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を待機し、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続したとき、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行うことを特徴とする電動車両制御装置。
【0019】
本発明の一態様に係る電動車両制御方法は、
充放電可能なバッテリと、
前記バッテリから供給された電力によって車輪を駆動するためのトルクを出力し、または、前記車輪の回転にともなって電力を出力するモータジェネレータと、
電源から供給された電力で前記バッテリを充電する充電部と、
前記電力を出力する状態における前記モータジェネレータの回転速度を検出するための回転速度検出部と、を備える電動車両を制御する電動車両制御方法であって、
前記回転速度が検出された後、前記検出された回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を待機し、前記閾値速度以下である状態が前記閾値時間継続したとき、前記電源から供給された電力で前記バッテリを充電する制御を行う。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様に係る電動車両は、充放電可能なバッテリと、バッテリから供給された電力によって車輪を駆動するためのトルクを出力し、または、車輪の回転にともなって電力を出力するモータジェネレータと、電源から供給された電力でバッテリを充電する充電部と、電力を出力する状態におけるモータジェネレータの回転速度を検出するための回転速度検出部と、モータジェネレータが出力した電力でバッテリを充電し、充電部に対して電源から供給された電力でバッテリを充電する制御を行う制御部と、を備え、制御部は、回転速度が検出された後、検出された回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで、電源から供給された電力でバッテリを充電する制御を待機し、閾値速度以下である状態が閾値時間継続したとき、電源から供給された電力でバッテリを充電する制御を行う。
【0021】
このように、本発明によれば、車輪の回転にともなってモータジェネレータが電力を出力する状態におけるモータジェネレータの回転速度を検出し、検出された回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで、電源から供給された電力でバッテリを充電する制御を待機することができる。
【0022】
これにより、車輪の回転にともなうモータジェネレータの発電が十分に抑制された状態において、電源から供給された電力でバッテリを充電することができる。
【0023】
したがって、本発明によれば、電源とモータジェネレータとの双方からバッテリに過剰な電力が供給されることを未然に回避して、バッテリの充電を適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態に係る電動二輪車100を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る電動二輪車100において、電力変換部30およびモータジェネレータ3を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る電動二輪車100において、モータジェネレータ3のロータに設けられた磁石、およびアングルセンサ4を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る電動二輪車100において、ロータアングルと、アングルセンサ4の出力との関係を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る電動二輪車100の制御方法を示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態に係る電動二輪車100を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る電動二輪車100の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を限定するものではない。また、実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
(第1の実施形態)
まず、図1を参照して、電動車両の一例としての第1の実施形態に係る電動二輪車100について説明する。
【0027】
電動二輪車100は、バッテリから供給される電力を用いてモータを駆動することで走行する電動バイク等の電動二輪車である。より詳しくは、電動二輪車100は、モータと車輪がクラッチを介さずに機械的に接続されたクラッチレスの電動二輪車である。
【0028】
電動二輪車100は、図1に示すように、電動車両制御装置1と、バッテリ2と、モータジェネレータ3と、回転速度検出部の一例であるアングルセンサ4と、アクセルポジションセンサ5と、メータ7と、車輪8と、充電部の一例である充電器9とを備える。
【0029】
以下、電動二輪車100の各構成要素について詳しく説明する。
【0030】
電動車両制御装置1は、電動二輪車100を制御する装置であり、制御部10と、記憶部20と、電力変換部30とを有している。なお、電動車両制御装置1は、電動二輪車100全体を制御するECU(Electronic Control Unit)として構成されてもよい。次に、電動車両制御装置1の各構成要素について詳しく説明する。
【0031】
制御部10は、電動車両制御装置1に接続された各種装置から情報を入力するとともに、電力変換部30を介してモータジェネレータ3を駆動制御する。制御部10の詳細については後述する。
【0032】
記憶部20は、制御部10が用いる情報や、制御部10が動作するためのプログラムを記憶する。この記憶部20は、例えば不揮発性の半導体メモリであるが、これに限定されない。
【0033】
電力変換部30は、バッテリ2の直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ3に供給する。この電力変換部30は、図2に示すように、3相のフルブリッジ回路で構成されている。半導体スイッチQ1,Q3,Q5はハイサイドスイッチであり、半導体スイッチQ2,Q4,Q6はローサイドスイッチである。半導体スイッチQ1〜Q6の制御端子は、制御部10に電気的に接続されている。電源端子30aと電源端子30bとの間には平滑コンデンサCが設けられている。半導体スイッチQ1〜Q6は、例えばMOSFETまたはIGBT等である。
【0034】
半導体スイッチQ1は、図2に示すように、バッテリ2の正極が接続された電源端子30aと、モータジェネレータ3の入力端子3aとの間に接続されている。同様に、半導体スイッチQ3は、電源端子30aと、モータジェネレータ3の入力端子3bとの間に接続されている。半導体スイッチQ5は、電源端子30aと、モータジェネレータ3の入力端子3cとの間に接続されている。
【0035】
半導体スイッチQ2は、モータジェネレータ3の入力端子3aと、バッテリ2の負極が接続された電源端子30bとの間に接続されている。同様に、半導体スイッチQ4は、モータジェネレータ3の入力端子3bと、電源端子30bとの間に接続されている。半導体スイッチQ6は、モータジェネレータ3の入力端子3cと、電源端子30bとの間に接続されている。なお、入力端子3aはU相の入力端子であり、入力端子3bはV相の入力端子であり、入力端子3cはW相の入力端子である。
【0036】
バッテリ2は、充放電可能である。具体的には、バッテリ2は、放電時に電力変換部30に直流電力を供給する。また、バッテリ2は、商用電源等の外部の電源13から供給された交流電力による充電時に、電源13から供給された交流電力を充電器9で変換した直流電力によって充電される。また、バッテリ2には、車輪8の回転にともなってモータジェネレータ3が出力する交流電力による充電時に、モータジェネレータ3が出力した交流電力を電力変換装置100で変換した直流電圧によって充電される。
【0037】
このバッテリ2は、バッテリ管理ユニット(BMU)を含む。バッテリ管理ユニットは、バッテリ2の電圧やバッテリ2の状態(充電率等)に関する情報を制御部10に送信する。
【0038】
なお、バッテリ2の数は一つに限らず、複数であってもよい。バッテリ2は、例えばリチウムイオン電池であるが、他の種類のバッテリであってもよい。バッテリ2は、異なる種類(例えば、リチウムイオン電池と鉛電池)のバッテリから構成されてもよい。
【0039】
モータジェネレータ3は、バッテリ2から供給された電力によって車輪8を駆動するためのトルクを出力する。または、モータジェネレータ3は、車輪8の回転にともなって電力を出力する。
【0040】
具体的には、モータジェネレータ3は、電力変換部30から供給される交流電力により駆動されることで、車輪8を駆動するためのトルクを出力する。トルクは、制御部10が電力変換部30の半導体スイッチQ1〜Q6に目標トルクに基づいて算出された通電タイミングとデューティ比を有するPWM信号を出力することで制御されてもよい。すなわち、トルクは、制御部10がバッテリ2からモータジェネレータ3に供給される電力を制御することで制御されてもよい。
【0041】
モータジェネレータ3は、車輪8に機械的に接続されており、トルクによって所望の方向に車輪8を回転させる。本実施形態では、モータジェネレータ3は、クラッチを介さずに車輪8に機械的に接続されている。なお、モータジェネレータ3の種類は特に限定されない。
【0042】
また、モータジェネレータ3は、車輪8の回転にともなって交流電力を出力する。具体的には、モータジェネレータ3は、モータジェネレータ3の回転速度が減速した場合や、外力によってモータジェネレータ3が回転する場合に、交流電力(すなわち、回生電力)を出力する。モータジェネレータ3の回転速度が減速した場合としては、例えば、走行中に車両のブレーキがかけられて制動された場合が挙げられる。また、外力によってモータジェネレータ3が回転する場合としては、例えば、バッテリ2からモータジェネレータ3に電力が供給されていない状態において、慣性によって走行する場合や坂道(下り坂)を走行する場合が挙げられる。
【0043】
これらの他にも、モータジェネレータ3が外力によって回転する場合には、外力(例えば、ユーザの手)で車輪8を回転させ得るように車輪8のスタンドが立てられて車輪8が地面から離れた状態において、外力で車輪8を回転させることにともなってモータジェネレータ3が回転する場合が含まれる。
【0044】
モータジェネレータ3が出力した交流電力は、電力変換部30によって直流電力に変換され、変換された直流電力でバッテリ2が充電(すなわち、回生充電)される。
【0045】
充電器9は、電源13から供給された交流電力でバッテリ2を充電する。充電器9は、AC−DCコンバータ91と、コンバータ制御部92と、充電プラグ93とを有する。充電プラグ93は、図示しないコンセントを介して電源13に接続される。AC−DCコンバータ91は、充電プラグ93を介して電源13から入力された交流電圧を直流電圧に変換する。コンバータ制御部92はAC−DCコンバータ91の電力変換を制御する。
【0046】
アングルセンサ4は、モータジェネレータ3の回転速度を検出するために、モータジェネレータ3のロータの回転角度を検出するセンサである。図3に示すように、モータジェネレータ3のロータの周面には、N極とS極の磁石(センサマグネット)が交互に取り付けられている。アングルセンサ4は、例えばホール素子により構成されており、モータジェネレータ3の回転に伴う磁場の変化を検出する。なお、磁石は、フライホイール(図示せず)の内側に設けられてもよい。
【0047】
図3に示すように、アングルセンサ4は、U相アングルセンサ4uと、V相アングルセンサ4vと、W相アングルセンサ4wとを有している。本実施形態では、U相アングルセンサ4uとV相アングルセンサ4vとはモータジェネレータ3のロータに対して30°の角度をなすように配置されている。同様に、V相アングルセンサ4vとW相アングルセンサ4wとはモータジェネレータ3のロータに対して30°の角度をなすように配置されている。
【0048】
図4に示すように、U相アングルセンサ4u、V相アングルセンサ4vおよびW相アングルセンサ4wは、ロータアングル(角度位置)に応じた位相のパルス信号(すなわち、回転角度の検出信号)を出力する。
【0049】
また、図4に示すように、所定のロータアングルごとに、ロータステージを示す番号(ロータステージ番号)が割り振られている。ロータステージはモータジェネレータ3のロータの角度位置を示しており、本実施形態では、電気角で60°ごとにロータステージ番号1,2,3,4,5,6が割り振られている。ロータステージは、U相アングルセンサ4u、V相アングルセンサ4vおよびW相アングルセンサ4wの出力信号のレベル(HレベルまたはLレベル)の組合せにより定義されている。例えば、ロータステージ番号1は(U相、V相、W相)=(H,L,H)であり、ロータステージ番号2は(U相、V相、W相)=(H,L,L)である。
【0050】
アクセルポジションセンサ5は、ユーザのアクセル操作により設定されたアクセル操作量を検知し、検知されたアクセル操作量を電気信号として制御部10に送信する。ユーザが加速したい場合に、アクセル操作量は大きくなる。
【0051】
メータ7は、電動二輪車100に設けられたディスプレイ(例えば液晶パネル)であり、各種情報を表示する。具体的には、電動二輪車100の走行速度、バッテリ2の残量、現在時刻、走行距離などの情報がメータ7に表示される。本実施形態では、メータ7は、電動二輪車100のハンドル(図示せず)に設けられる。
【0052】
次に、電動車両制御装置1の制御部10について詳しく説明する。
【0053】
制御部10は、モータジェネレータ3が出力した電力でバッテリ2を充電(すなわち、回生充電)する制御を行う。
【0054】
また、制御部10は、充電器9に対して、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を行う。具体的には、制御部10は、AC−DCコンバータ91に対して交流電圧を直流電圧に変換する制御を行うことで、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を行う。より具体的には、制御部10は、コンバータ制御部92に対して電源13から供給される電力によるバッテリ2の充電を許可する充電許可信号を出力することで、コンバータ制御部92によるAC−DCコンバータ91の制御を介してバッテリ2を充電する制御を行う。
【0055】
電源13から供給された電力でバッテリ2を充電可能な状態において、制御部10は、アングルセンサ4から出力されたパルス信号に基づいて、電力を出力する状態おけるモータジェネレータ3の回転速度を検出する。
【0056】
一例として、制御部10は、図4に示すように、V相ロータアングルセンサの出力の立下りからU相ロータアングルセンサの出力の立ち上がりまでの時間tに基づいてモータジェネレータ3の回転速度を算出する。
【0057】
電源13から供給された電力でバッテリ2を充電可能な状態においてモータジェネレータ3が電力を出力する状態としては、例えば、外力で車輪8を回転させ得るように車輪8のスタンドが立てられて車輪8が地面から離れた状態を挙げることができる。
【0058】
このように、車輪8のスタンドが立てられて車輪8が地面から離れた状態は、電源13に充電プラグ93を接続してバッテリ2を充電し得る状態であり、なおかつ、車輪8を手で回転させてモータジェネレータ3に電力を発生させ得る状態である。
【0059】
制御部10は、このような電源13およびモータジェネレータ3の双方からの充電が可能な状態におけるバッテリ2の充電を規制することで、電源13とモータジェネレータ3との双方からバッテリ2に過剰な電力が供給されることを回避するように構成されている。
【0060】
具体的には、制御部10は、モータジェネレータ3の回転速度が検出された後、検出された回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を待機する。
【0061】
そして、制御部10は、検出されたモータジェネレータ3の回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続したとき、電源13からから供給された電力でバッテリ2を充電する制御を行う。
【0062】
モータジェネレータ3の閾値速度は、回転速度の絶対値の閾値であってもよい。
【0063】
より具体的には、制御部10は、充電プラグ93が電源13に接続された後に、モータジェネレータ3の回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで、AC−DCコンバータ91に対して、交流電圧を直流電圧に変換する制御を待機してもよい。
【0064】
そして、制御部10は、閾値速度以下である状態が閾値時間継続したとき、AC−DCコンバータ91に対して、交流電圧を直流電圧に変換する制御を行ってもよい。AC−DCコンバータ91に対する制御は、コンバータ制御部92を介して行ってもよい。
【0065】
例えば、制御部10は、予め設定された判定周期で回転速度が閾値速度以下であるか否かを判定し、回転速度が閾値速度以下である場合に、閾値速度以下である状態の継続時間のカウント値をインクリメントしてもよい。制御部10は、カウント値が閾値時間に相当する完了値に達するまで、電源から供給された電力でバッテリを充電する制御を待機してもよい。
【0066】
そして、制御部10は、カウント値が完了値に達したときに、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を行ってもよい。
【0067】
また、制御部10は、モータジェネレータ3の回転速度が閾値速度以下でない場合に、カウント値をリセットしてもよい。また、カウント値の完了値までのカウントアップ(カウント値のインクリメント)の替わりに、カウント値の完了値までのカウントダウン(カウント値のディクリメント)を行うようにしてもよい。
【0068】
(電動二輪車100の制御方法)
以下、図5のフローチャートを参照して、電動車両制御方法の一例として、第1の実施形態に係る電動二輪車100の制御方法について説明する。なお、図5のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0069】
先ず、電源13に充電プラグ93を接続する(ステップS1)。
【0070】
電源13に充電プラグ93が接続された後、制御部10は、モータジェネレータ3が電力を出力する状態であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0071】
例えば、制御部10は、バッテリ2からモータジェネレータ3に電力が供給されていない状態においてアングルセンサ4によってモータジェネレータ3の回転が検出されていることや、アクセル操作量がゼロの状態においてモータジェネレータ3の回転が検出されていること等に基づいて、モータジェネレータ3が電力を出力する状態であるか否かを判定してもよい。
【0072】
モータジェネレータ3が電力を出力する状態である場合(ステップS2:Yes)、制御部10は、モータジェネレータ3の回転速度が閾値以下である状態(すなわち、低速状態)の継続時間を数えるためのカウント値nをリセットする(n=0)(ステップS3)。一方、モータジェネレータ3が電力を出力する状態でない場合(ステップS2:No)、制御部10は、コンバータ制御部92に充電許可信号を出力することで、電源13から供給された電力によるバッテリ2の充電を許可する(ステップS9)。
【0073】
カウント値nをリセットした後、制御部10は、アングルセンサ4のパルス信号を取得する(ステップS4)。
【0074】
アングルセンサ4のパルス信号を取得した後、制御部10は、取得されたパルス信号に基づいて、モータジェネレータ3の回転速度を算出する(ステップS5)。
【0075】
モータジェネレータ3の回転速度を算出した後、制御部10は、算出されたモータジェネレータ3の回転速度の絶対値が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0076】
モータジェネレータ3の回転速度の絶対値が閾値以下である場合(ステップS6:Yes)、制御部10は、カウント値をインクリメントする(n=n+1)(ステップS7)。一方、モータジェネレータ3の回転速度の絶対値が閾値以下でない場合(ステップS6:No)、制御部10は、カウント値をリセットする(ステップS3)。
【0077】
カウント値をインクリメントした後、制御部10は、カウント値が完了値に達したか否かを判定する(ステップS8)。この判定は、モータジェネレータ3の回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続したか否かの判定に相当する。
【0078】
カウント値が完了値に達した場合(ステップS8:Yes)、制御部10は、コンバータ制御部92に充電許可信号を出力する。一方、カウント値が完了値に達していない場合(ステップS8:No)、制御部10は、アングルセンサ4のパルス信号を取得する(ステップS4)。
【0079】
なお、図5の例において、制御部10は、電源13に充電プラグ93が接続された後に、ステップS2〜ステップS8までの処理を行っている。これに対して、制御部10は、カウント値が完了値に達した後に、電源13に充電プラグ93が接続されたことを確認してもよい。この場合、制御部10は、電源13に充電プラグ93が接続されたことが確認されることを待って、コンバータ制御部92に充電許可信号を出力してもよい。
【0080】
以下、第1の実施形態によってもたらされる作用について説明する。
【0081】
上述したように、第1の実施形態において、制御部10は、モータジェネレータ3が電力を出力する状態におけるモータジェネレータ3の回転速度が検出(算出)された後、検出された回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を待機する。そして、制御部10は、モータジェネレータ3の回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続したとき、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を行う。
【0082】
これにより、車輪8の回転にともなうモータジェネレータ3の発電が十分に抑制された状態において、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電することができる。
【0083】
この結果、電源13とモータジェネレータ3との双方からバッテリ2に過剰な電力が供給されることを未然に回避して、バッテリ2の充電を適切に行うことが可能となる。
【0084】
また、上述したように、第1の実施形態において、制御部10は、コンバータ制御部92を介してAC−DCコンバータ91に対して交流電圧を直流電圧に変換する制御を行うことで、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を行う。その際に、制御部10は、充電プラグ93が電源13に接続された後に(図5のステップS1)、モータジェネレータ3の回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまで(図5のステップS8)、電源13から供給された交流電圧を直流電圧に変換する制御を待機し、モータジェネレータ3の回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続したときに、交流電圧を直流電圧に変換する制御を行う(図5のステップS9)。
【0085】
これにより、モータジェネレータ3の回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続するまでは、電源13からAC−DCコンバータ91に入力された交流電力の直流電力への変換を待機することができるので、車輪8の回転にともなうモータジェネレータ3の発電が十分に抑制された状態におけるバッテリ2の充電を確実に行うことができる。
【0086】
また、上述したように、第1の実施形態において、制御部10は、モータジェネレータ3の回転速度の閾値速度として、回転速度の絶対値の閾値を用いることで、車輪8の回転方向にかかわらず、車輪8の回転にともなうモータジェネレータ3の発電が十分に抑制された状態において、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電することができる。
【0087】
また、上述したように、第1の実施形態において、制御部10は、予め設定された判定周期でモータジェネレータ3の回転速度が閾値速度以下であるか否かを判定する(図5のステップS5)。制御部10は、回転速度が閾値速度以下である場合に、閾値速度以下である状態の継続時間のカウント値をインクリメントし(図5のステップS7)、カウント値が閾値時間に相当する完了値に達するまで、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を待機する(ステップS8)。そして、制御部10は、カウント値が完了値に達したときに、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を行う(ステップS9)。
【0088】
これにより、カウント値が閾値時間に相当する完了値に達するまでは、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を待機することができる。この結果、車輪8の回転にともなうモータジェネレータ3の発電が十分に抑制された状態におけるバッテリ2の充電を簡便な制御で確実に行うことができる。
【0089】
また、上述したように、第1の実施形態において、制御部10は、モータジェネレータ3の回転速度が閾値速度以下でない場合に、閾値速度以下である状態の継続時間のカウント値をリセットする。
【0090】
これにより、回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続することを確実に待ったうえで、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を行うことができる。この結果、車輪8の回転にともなうモータジェネレータ3の発電が十分に抑制された状態におけるバッテリ2の充電を更に確実に行うことができる。
【0091】
(第2の実施形態)
次に、図6を参照して、第2の実施形態に係る電動二輪車100について説明する。図6に示すように、第2の実施形態に係る電動二輪車100は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、収納部の一例であるシート下収納部14と、閉鎖状態検出部の一例であるシートスイッチ15とを備える。
【0092】
シート下収納部14は、電動二輪車100のシートの下に設けられたバッテリ2を収納するための開閉可能なスペースである。シートは、例えばヒンジ機構等によってシート下収納部14を開閉可能な方向に移動(例えば、回転)できるように車体に取り付けられている。運転時において、シート下収納部14は、運転者がシートに座るためにシートで覆われる。一方、バッテリ2の充電時において、シート下収納部14は、充電プラグ93を取り出すためにシートの移動によって開放される。
【0093】
シートスイッチ15は、シートの移動によってシート下収納部14が開放された場合、シート下収納部14の開放状態の検出結果を示すオフ信号を制御部10に出力する。一方、シートスイッチ15は、シートの移動によってシート下収納部14が閉鎖された場合、シート下収納部14の閉鎖状態の検出結果を示すオン信号を制御部10に出力する。なお、シート下収納部14は、充電プラグ93が取り出された状態で閉鎖させることができる。
【0094】
シートスイッチ15は、例えば、シートを閉じるときにシートで押圧されることによってオンし、シートを開くときにシートによる押圧が解除されることによってオフするメカニカルスイッチであってもよい。
【0095】
制御部10は、モータジェネレータ3の回転速度が閾値速度以下である状態が閾値時間継続したときに、シートスイッチ15によってシート下収納部14の閉鎖状態(オン信号)が検出されている場合に、電源13から供給された電力でバッテリ2を充電する制御を行う。
【0096】
以下、図7のフローチャートを参照して、第2の実施形態に係る電動二輪車100の制御方法について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。なお、図7のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0097】
図7に示すように、第2の実施形態において、制御部10は、カウント値が完了値に達した場合(ステップS8:Yes)、シートスイッチ15がオンしたか否かを判定する(ステップS10)。
【0098】
シートスイッチ15がオンした場合(ステップS10:Yes)、制御部10は、コンバータ制御部92に充電許可信号を出力する(ステップS9)。一方、シートスイッチ15がオンしていない場合(ステップS10:No)、制御部10は、カウント値をリセットする(ステップS3)。
【0099】
上述したように、第2の実施形態によれば、シートが開いた状態でのバッテリ2の充電を禁止することができるので、電源13とモータジェネレータ3との双方からバッテリ2に過剰な電力が供給されることを未然に回避して、バッテリ2の充電を適切に行いながら、シート下収納部14内への異物の混入を防止することができる。
【0100】
上述した実施形態で説明した電動車両制御装置1(制御部10)の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、制御部10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0101】
また、制御部10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0102】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 電動車両制御装置
2 バッテリ
3 モータジェネレータ
4 アングルセンサ
9 充電器
10 制御部
100 電動二輪車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7