特許第6808869号(P6808869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6808869
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】ポンプディスペンサ及び吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20201221BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20201221BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20201221BHJP
   B05B 11/00 20060101ALN20201221BHJP
【FI】
   B65D47/34 110
   B05B1/02 101
   F04B9/14 B
   !B05B11/00 101G
【請求項の数】11
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2020-63295(P2020-63295)
(22)【出願日】2020年3月31日
【審査請求日】2020年3月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】小柳 朋彦
(72)【発明者】
【氏名】佐野 太郎
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−237453(JP,A)
【文献】 特開2018−118774(JP,A)
【文献】 特開2012−110799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D39/00−55/16
B05B 1/02
B05B11/00
F04B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状で中心軸が規定される支持部と、
吐出筒を有し、前記支持部に対して前記中心軸に沿って第1位置と、前記第1位置と異なる第2位置との間を往復動するノズルと、
前記支持部に支持され、前記中心軸を含む領域に液室を形成し、前記中心軸の周囲に空気室を形成する筒状のシリンダと、
前記ノズルに支持され、前記シリンダ内を前記中心軸に沿って前記ノズルの往復動にしたがって動き前記空気室の容積を変化させる筒状の空気ピストンと、
前記空気ピストンの内方で、前記シリンダと前記空気ピストンとの間に配置され、前記シリンダと前記液室の一部を形成し、前記中心軸に沿って前記ノズルの往復動にしたがって前記空気ピストンと動き前記液室の容積を変化させ、前記空気室内の空気及び前記液室内の液状体を混合させる混合室を前記空気ピストンとの間に形成する、筒状の液ピストンと、
前記液ピストンの内方に挿通され、前記ノズルの前記往復動にともなって軸心に沿って移動するインナーロッドと、
前記シリンダの前記液室に収容され、前記インナーロッドが前記インナーロッドの前記軸心に沿って前記シリンダに対して移動する前記インナーロッドの移動範囲を規定する筒状のプラグと、
前記プラグの周囲に設けられ、一端が前記液ピストンに支持され他端が前記プラグに支持され、前記プラグを前記液ピストンに対して離間させる付勢部材と
を備え、
前記プラグは、その内周面に、周方向に離間し、前記プラグの軸心に向かって突出する少なくとも3つの凸部を有し、
前記少なくとも3つの凸部は、前記プラグの前記軸心に平行に延びる、ポンプディスペンサ。
【請求項2】
前記少なくとも3つの凸部は、前記プラグの前記軸心に対して周方向に等距離離間する、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項3】
前記少なくとも3つの凸部は、同一形状で、同一の大きさである、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項4】
前記少なくとも3つの凸部は、前記インナーロッドが前記インナーロッドの前記軸心に沿って移動するときに、前記インナーロッドの前記軸心を前記プラグの前記軸心に向けて案内する、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項5】
前記インナーロッドは、
前記軸心に沿って延び、前記プラグの内周面に対して移動可能な軸体と、
前記軸体よりも前記軸心に対して径方向外方に突出する係合部と
を有し、
前記プラグは、前記ノズルが前記第1位置にあるときに前記係合部が係合される円環部を有し、
前記少なくとも3つの凸部は、前記円環部よりも、前記ノズルから離間した位置に設けられている、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項6】
前記インナーロッドの前記係合部の外径は、前記プラグの前記円環部の内径よりも大きく、
前記プラグの前記円環部の内径は、前記インナーロッドの前記軸体の外径と略同じ大きさであり、
前記インナーロッドの前記軸体の外径は、前記プラグの前記少なくとも3つの凸部の内径よりも小さい、請求項5に記載のポンプディスペンサ。
【請求項7】
前記インナーロッドの前記係合部の外径と、前記プラグの前記円環部の内径との間の径の差、前記プラグの前記円環部の内径と、前記インナーロッドの前記軸体の外径との間の径の差、前記インナーロッドの前記軸体の外径と、前記プラグの前記少なくとも3つの凸部の内径との間の径の差は、それぞれ0mmから1mmの範囲にある、請求項6に記載のポンプディスペンサ。
【請求項8】
前記インナーロッドの前記係合部の外径と、前記プラグの前記円環部の内径との間のクリアランス、前記プラグの前記円環部の内径と、前記インナーロッドの前記軸体の外径との間のクリアランス、前記インナーロッドの前記軸体の外径と、前記プラグの前記少なくとも3つの凸部の内径との間のクリアランスは、それぞれ0mmから0.5mmの範囲にある、請求項6に記載のポンプディスペンサ。
【請求項9】
前記インナーロッドの前記係合部と、前記プラグの内周面の周方向に離間する前記凸部間の領域との間の間隙は、0.2mm以上である、請求項5に記載のポンプディスペンサ。
【請求項10】
前記液状体としてB型粘度が10mPa・sから50000mPa・sのものを用いるとき、前記インナーロッドの前記係合部と、前記プラグの内周面の周方向に離間する前記凸部間の領域との間の間隙は、0.5mm以上である、請求項5に記載のポンプディスペンサ。
【請求項11】
請求項1に記載のポンプディスペンサと、
前記ポンプディスペンサの前記支持部に着脱可能な容器体と
を有する吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプディスペンサ及び吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ノズルを押し下げることにより、容器内に貯められた液体を空気と混合し、泡立てた状態で吐出するポンプディスペンサが開示されている。ポンプディスペンサは、組み立て時、液ピストン、インナーロッド、プラグ、及び、コイルバネをピストンユニットの一部としてユニット化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−086029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のピストンユニットの液ピストン、インナーロッド、及び、プラグの軸心は所定の中心軸に沿うことが望ましい。しかしながら、ピストンユニットのインナーロッド、及び、プラグは、例えばコイルバネの付勢力により中心軸から軸心がずれる可能性がある。
【0005】
この発明は、インナーロッド、及び、プラグの軸心が中心軸からずれることを抑制可能なポンプディスペンサ、及び、吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るポンプディスペンサは、筒状で中心軸が規定される支持部と、吐出筒を有し、前記支持部に対して前記中心軸に沿って第1位置と、前記第1位置と異なる第2位置との間を往復動するノズルと、前記支持部に支持され、前記中心軸を含む領域に液室を形成し、前記中心軸の周囲に空気室を形成する筒状のシリンダと、前記ノズルに支持され、前記シリンダ内を前記中心軸に沿って前記ノズルの往復動にしたがって動き前記空気室の容積を変化させる筒状の空気ピストンと、前記空気ピストンの内方で、前記シリンダと前記空気ピストンとの間に配置され、前記シリンダと前記液室の一部を形成し、前記中心軸に沿って前記ノズルの往復動にしたがって前記空気ピストンと動き前記液室の容積を変化させ、前記空気室内の空気及び前記液室内の液状体を混合させる混合室を前記空気ピストンとの間に形成する、筒状の液ピストンと、前記液ピストンの内方に挿通され、前記ノズルの前記往復動にともなって軸心に沿って移動するインナーロッドと、前記シリンダの前記液室に収容され、前記インナーロッドが前記インナーロッドの前記軸心に沿って前記シリンダに対して移動する前記インナーロッドの移動範囲を規定する筒状のプラグと、前記プラグの周囲に設けられ、一端が前記液ピストンに支持され他端が前記プラグに支持され、前記プラグを前記液ピストンに対して離間させる付勢部材とを備える。前記プラグは、その内周面に、周方向に離間し、前記プラグの軸心に向かって突出する少なくとも3つの凸部を有する。前記少なくとも3つの凸部は、前記プラグの前記軸心に平行に延びる。
【0007】
本発明の一態様として、吐出容器は、上記のポンプディスペンサと、ポンプディスペンサの支持部に着脱可能な容器体とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インナーロッド、及び、プラグの軸心が中心軸からずれることを抑制可能なポンプディスペンサ、及び、吐出容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る吐出容器の構成を示す断面図。
図2図1に示す吐出容器のポンプ体の構成を示す断面図。
図3図2に示すポンプ体のノズルを支持部に向けて押し下げている状態を示す断面図。
図4図3に示すポンプ体のノズルを支持部に向けて最も押し下げた状態を示す断面図。
図5図4に示すポンプ体のノズルの押圧を解放し、ノズルが図2に示す位置に向けて移動している状態を示す断面図。
図6図2に示すポンプ体のピストンユニットの構成を示す断面図。
図7図1から図6中のインナーロッドを示す概略図。
図8図1から図6中のプラグを示す概略図。
図9】インナーロッドとプラグを嵌合させた状態を示す概略的な断面図。
図10】インナーロッド及びプラグの樹脂種類、曲げ弾性率及び曲げ弾性率を測定する試験方法を示す表。
図11】インナーロッド及びプラグの曲げ弾性率に対する、インナーロッド及びプラグの成型性、インナーロッド及びプラグの組込適性、及び、インナーロッド及びプラグの軸心からのずれの大小を示す表。
図12】インナーロッド及びプラグの樹脂種類、曲げ弾性率、インナーロッドの係合部とプラグの内周面との間隙、及び、液状体のB型粘度を示す表。
図13】インナーロッドとプラグを嵌合させた状態を示す概略的な断面図の変形例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一実施形態に係る吐出容器1について、図1から図11を用いて説明する。
図1は一実施形態に係る吐出容器1の構成を示す断面図である。本実施形態において、上下方向は、図1に示すように、吐出容器1の容器体2側を下方、ポンプ体3のノズル24側を上方とする。
【0011】
図2から図5は、ポンプ体3の一連の動作を示す断面図である。図6は、ポンプ体3のピストンユニット28を示す断面図である。図7中の各図は、ポンプ体3のピストンユニット28のインナーロッド110を示す。図8中の各図は、ポンプ体3のピストンユニット28のプラグ112を示す。図9は、図7に示すインナーロッド110と、図8に示すプラグ112とを嵌合させた状態の断面図を示す。なお、図9中には、プラグ112の円環部182及び凸部188とのクリアランスの関係を示すため、インナーロッド110の係合部166の最外径部を破線で示す。
【0012】
吐出容器1は、容器体2と、ポンプ体(ポンプディスペンサ)3と、管体4とを備える。吐出容器1は、容器体2内に貯留された液状体400を、管体4を通してポンプ体3を用いて吸い上げ、ポンプ体3によって泡状にして外側に吐出する、所謂ハンドポンプである。
【0013】
液状体400は、容器体2内に貯留される内容物である。液状体400は、例えば、シャンプー、ハンドソープ、洗顔料及びシェービングクリーム等の界面活性剤を含有する液体が用いられる。液状体として医薬品も用いられ得る。
【0014】
容器体2は、例えば有底円筒状など、有底筒状である。容器体2は、その内部に液状体400を貯留可能である。容器体2は、金属材料、ガラス、陶器又は樹脂材料等により形成されている。容器体2は、液状体400が貯められる本体12と、本体12の上端の一部が突出して開口する開口部を有する第1固定部14とを備える。第1固定部14は、外周面に一体に成形された雄ネジ部16を有する。
【0015】
管体4は、可撓性を有することが好適なチューブである。管体4は、一端がポンプ体3に連結され、他端が自由端である。管体4の他端は、容器体2の例えば底面に接触する。
【0016】
図2から図5に示すように、ポンプ体(ポンプディスペンサ)3は、支持部22と、ノズル24と、シリンダ26と、ピストンユニット28と、球状弁体30とを備える。
【0017】
支持部22は、ノズル案内筒32と、ノズル案内筒32よりも大径で、容器体2に固定される容器固定筒34と、ノズル案内筒32及び容器固定筒34の間を連続させる肩部36とを備える。ノズル案内筒32、肩部36及び容器固定筒34は例えば樹脂材により一体的に形成されている。支持部22には、軸線に沿って中心軸Cが規定される。支持部22は、中心軸Cに対して略対称に形成されることが好適である。ノズル案内筒32、肩部36及び容器固定筒34は、同軸上にある。中心軸Cは、本実施形態では上下方向に延びるものとする。
【0018】
支持部22の容器固定筒34及び肩部36の外観は、中心軸Cに対称に限られない。支持部22の容器固定筒34及び肩部36の外観は、例えばユーザが容器体2に対して支持部22を回転させやすい形状に形成され得る。
【0019】
ノズル案内筒32は、ノズル24が中心軸Cに沿って移動可能にノズル24を案内する。容器固定筒34の内周面には、容器体2の雄ネジ部16に固定される雌ネジ部34aを有する。肩部36は、シリンダ26が固定された状態に支持するとともに、ピストンユニット28の後述する空気ピストン102を当接位置又は近接位置と離間位置との間を移動可能に支持する。
【0020】
ノズル24は、支持部22の上側に配置される。ノズル24は、内筒42と、内筒42の外側の外筒44と、内筒42に連続し流体を吐出させる吐出筒46とを有する。内筒42、外筒44、及び、吐出筒46は例えば樹脂材料により一体化されている。
【0021】
内筒42及び吐出筒46は、流体の流路24aを形成する。内筒42及び外筒44は、中心軸Cに対して同心上にある。内筒42及び外筒44は、支持部22に対して中心軸Cに沿って第1位置(通常位置)と、第1位置とは異なる第2位置(押圧位置)との間を往復動する。
【0022】
吐出筒46は、内筒42の上端から、中心軸Cから外れる側方に向かって例えば円筒状に突出する。
【0023】
ノズル24の内筒42の内側には、メッシュフィルタ48が支持される。メッシュフィルタ48は流路24a上にある。メッシュフィルタ48は、例えば互いに離間した2つの網48a,48bを有する。液体及び気体が流路24a上のメッシュフィルタ48の網48a,48bを通ることで、液状体400が泡状になりやすく、流路24aの吐出筒46から泡状となった液状体400が吐出する。
【0024】
シリンダ26は、支持部22の下側に支持される。シリンダ26は、円筒状である。シリンダ26は、例えば樹脂材で一体成型されている。シリンダ26は、第1筒52と、第1筒52の内周面よりも小径の内周面を有する第2筒54と、第2筒54の内周面よりも小径の内周面を有し、管体4が取り付けられる取付筒56とを備える。第1筒52、第2筒54及び取付筒56の軸心は、支持部22の中心軸Cに一致する。第1筒52、第2筒54、及び、取付筒56は、一体化されている。
【0025】
第1筒52は、ピストンユニット28の空気ピストン102が摺動可能なように、内径が一定の第1被摺動部62を有する。第1被摺動部62には、第1筒52の内壁と外壁との間を貫通する貫通孔62bが形成されている。貫通孔62bは、例えば、支持部22の容器固定筒34の雌ネジ部34aに対向する位置に形成されている。
【0026】
第1筒52は、上端に、支持部22の肩部36に支持される固定部64を有する。固定部64は、第1被摺動部62の上方に設けられている。固定部64は、例えば嵌合により支持部22の肩部36に支持される。第1筒52は、下端に、第2筒54に連続させる第1環状部66を有する。第1環状部66は第1被摺動部62の下方に設けられている。
【0027】
第2筒54は、ピストンユニット28の後述する液ピストン104が中心軸Cに沿って移動可能で内径が一定の第2被摺動部72と、中心軸Cの軸回りにピストンユニット28の筒状のプラグ112を収容するプラグ収容部74と、プラグ収容部74と取付筒56との間を連続させる第2環状部76とを有する。第2環状部76は、球状弁体(球体)30の弁座76aを有する。弁座76aは環状面として形成されている。
【0028】
ピストンユニット28は、ノズル24に支持され、支持部22及びシリンダ26内に配置される。図6に示すように、ピストンユニット28は、空気ピストン102と、液ピストン104と、空気室用弁体106と、補助弁体108と、インナーロッド(棒状弁体)110と、プラグ112と、付勢部材114とを有する。
【0029】
空気ピストン102の軸心は中心軸Cに一致する。空気ピストン102は、樹脂材により一体成型されている。空気ピストン102は、環状の胴部122と、胴部122よりも中心軸Cに近い位置にあり空気室用弁体106を保持する環状の保持部124と、保持部124よりも中心軸Cに近い位置にありノズル24と嵌合するとともに液ピストン104と嵌合する筒状の嵌合筒126とを有する。
【0030】
空気ピストン102が中心軸Cに沿って移動するとき、胴部122はシリンダ26の第1被摺動部62の内周面62aを摺動する。胴部122は、第1被摺動部62の内周面62aに対向する面の上下方向の上端及び下端の部位の外径が、上端及び下端の間の部位の外径よりも大きい、アーチ状に形成されている。胴部122は、シリンダ26の第1被摺動部62の内周面62aに接触するときに弾性変形し、シリンダ26の第1被摺動部62の内周面62aとの接触を維持しながらアーチの形状が変化するため、摺動抵抗が大きくなりすぎることを抑制する。
【0031】
保持部124は、胴部122よりも上側に突出する。保持部124は、支持部22に対する空気ピストン102の中心軸Cに沿う方向の移動を案内するとともに可動範囲を規制する環状の第1突当部124aを有する。
【0032】
嵌合筒126は、保持部124の第1突当部124aよりも上側に突出する。嵌合筒126は、その外周面に、ノズル24の内筒42の内周面と嵌合する外側嵌合部132を有する。このため、空気ピストン102はノズル24の移動に伴って移動する。嵌合筒126は、その内周面に、液ピストン104の上端部が嵌合する内側嵌合部134を有する。
【0033】
本実施形態では、嵌合筒126の内側嵌合部134の上方に隣接する内周面には、環状の補助弁体(逆止弁)108が固定されている。補助弁体108は、ゴム材又は樹脂材により円環状に形成されている。補助弁体108は、なくてもよい。
【0034】
嵌合筒126の内側には、液ピストン104の上端とともに空気及び液体の混合室136が形成される。すなわち、空気ピストン102と液ピストン104との間には、空気室210内の空気及び液室内の液状体400を混合させる混合室136が形成され。混合室136は、混合室136の上側の中心軸C上の開口138を通してノズル24の流路24aに連通する。嵌合筒126の内側の混合室136には、インナーロッド110の弁体164を押圧可能な複数のリブ136aが中心軸Cの周方向に離間して設けられている。各リブ136aは、液ピストン104の上端又は補助弁体108に近接する側から、開口138に向かって中心軸Cに向かうように傾斜する。
【0035】
胴部122と保持部124との間には、空気ピストン102を上下方向に貫通する複数の貫通孔102aが形成されている。
【0036】
空気室用弁体106は、環状に形成され、空気ピストン102に比べて可撓性が高い樹脂材により形成されている。空気室用弁体106は、保持部124の下方の位置に、外側環状弁体142と内側環状弁体144とを有する。
【0037】
外側環状弁体142は中心軸Cに対して外側に向かう環状に形成されている。外側環状弁体142は、空気ピストン102の貫通孔102aに対して開閉可能である。内側環状弁体144は、中心軸Cに向かう環状に形成されている。内側環状弁体144は、液ピストン104と嵌合筒126の内側との間を開閉可能である。外側環状弁体142及び内側環状弁体144は、ノズル24の移動に伴う空気圧の変化により弾性変形し、開閉し得る。
【0038】
液ピストン104の軸心は中心軸Cに一致する。液ピストン104は、空気ピストン102の内方で、シリンダ26と空気ピストン102との間に支持される。液ピストン104は、シリンダ26と空気ピストン102とともに空気室210の一部を形成する。液ピストン104は、シリンダ26と液室220の一部を形成する。液ピストン104は、中心軸Cに沿ってノズル24の往復動にしたがって空気ピストン102と一緒に動き、空気室210及び液室220の容積を変化させる。
【0039】
液ピストン104は、例えば樹脂材により一体成型されている。液ピストン104は、筒状体152と、弁座154と、付勢部材114の上端を支持する支持環156と、筒状体152から径方向外方に延出するフランジ158と、を有する。
【0040】
筒状体152の上端部は、空気ピストン102の嵌合筒126の内側嵌合部134に嵌合される。筒状体152の上端部の外周面には、中心軸Cから径方向外方に突出する複数のリブ152aを有する。リブ152aは、筒状体152の上端とフランジ158との間を一体化する。リブ152aは、筒状体152の上端部の外周面に周方向に所定間隔で形成されていることが好適である。周方向に隣接するリブ152a間は、液ピストン104の筒状体152の上端部が空気ピストン102の嵌合筒126の内側嵌合部134に嵌合された状態において、複数のリブ152aにより、液ピストン104の筒状体152の外周面と、空気ピストン102の嵌合筒126の内側嵌合部134との間に、空気の流れを許容する空気通路を形成する。
【0041】
筒状体152の上端の内周面には、弁座154が設けられている。弁座154は環状に形成されている。
【0042】
筒状体152の下端には、支持環156が設けられている。筒状体152の下端部(筒状体152の摺動端部以外の摺動部)の外径は、シリンダ26の第2筒54の第2被摺動部72の内径と同じか、第2被摺動部72の内径よりも僅かに大きい。このため、液ピストン104の筒状体152は、液室220を密封しながら、シリンダ26の第2筒54の第2被摺動部72の内周面72aを摺動可能である。筒状体152の外径は、プラグ収容部74の内径よりも大きい。シリンダ26の第2筒54の第2被摺動部72の内径は、プラグ収容部74の内径よりも大きい。このため、筒状体152の可動範囲の下端は、シリンダ26の第2筒54の第2被摺動部72とプラグ収容部74との境界付近となる。
【0043】
フランジ158の外形は、例えば略矩形状である。フランジ158には、中心軸Cに対して周方向に隣接する頂点間に連続する4つの曲面158aを有する。曲面158aは、頂点から離れるにつれて中心軸Cに近接し、空気室210と内側環状弁体144との間の空気の通路を形成する。中心軸Cに対するフランジ158の外縁の一部は、空気室用弁体106の内側環状弁体144に対向する。空気室用弁体106の内側環状弁体144は、フランジ158に円環状に接触する。
【0044】
インナーロッド110には、インナーロッド110の中心軸となる真っ直ぐの軸心が規定される。図7(A)はインナーロッド110の部分断面図を示す。図7(B)は図7(A)中の矢印7Bに示す方向からインナーロッド110を見たインナーロッド110の外観を示す。図7(C)は図7(B)中の7C−7C線に沿う、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の断面を示す。図7(D)は図7(B)中の7D−7D線に沿う、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の断面を示す。
【0045】
インナーロッド110は、中心軸Cに沿って液ピストン104を挿通する。インナーロッド110は、例えば樹脂材料により形成されている。図7(A)から図7(D)に示すインナーロッド110は、軸体(ロッド部)162と、軸体162の上端に設けられた弁体164と、軸体162の下端に設けられた係合部(第1係合部)166とを有する。インナーロッド110は、軸心に軸対称に形成されていることが好適である。
【0046】
軸体162は、第1軸部172と、第2軸部174と、軸径変化部176とを有する。軸体162の第1軸部172は、弁体164に連続する。軸体162の第2軸部174は、係合部166に連続する。第1軸部172は円柱状に形成されている。軸体162の弁体164に連続する第1軸部172の軸心に直交する断面積は、係合部166に連続する第2軸部174の断面積に比べて大きい。このため、第2軸部174の突部(摺動抵抗用リブ)178の頂部間の距離は、第1軸部172の軸径よりも小さい。すなわち、インナーロッド110の軸心と突部178の頂部との間の距離は、第1軸部172の半径よりも小さい。軸体162の第1軸部172と第2軸部174との間の断面積が変化する軸径変化部176は、テーパ状に形成されている。軸体162の径が変化する領域は、段差として形成されていてもよい。
【0047】
図7(C)及び図7(D)に示すように、突部178を含む第2軸部174の断面は、単なる円形状ではないことが好適である。第2軸部174の外周面には、径方向外方に突出する突部178が形成されている。突部178は、第2軸部174の外周面に一体的に形成されている。本実施形態では、突部178を含む第2軸部174の外周は、インナーロッド110の軸心を中心とする円弧の部位と、円弧に対して軸心に対して径方向外方に突出する突部178とを有する。1対の突部178の頂部間の距離D1は、第2軸部174の突部178を含まない円弧の部位の直径D0に比べて大きい。本実施形態では、1対の突部178がインナーロッド110の軸心に軸対称に形成されている。図7(A)及び図7(B)に示すように、突部178は、軸心に沿って、第2軸部174の長さと同じ長さに連続的に形成されている。1対の突部178は、補強材(ビード)として用いられ、例えばインナーロッド110の軸心に沿って上下方向に圧縮力が負荷される際に、第2軸部174が、真っ直ぐの軸心から逸れる曲げを抑制する。
【0048】
図7(A)及び図7(B)に示すインナーロッド110の弁体164は、例えばポペット弁として形成されている。弁体164の軸心を含む縦断面は、傾斜面を有する略三角錐状又は略V字状に形成されている。弁体164は、液ピストン104の弁座154に接離可能である。弁体164は、補助弁体108に接離可能である。
【0049】
図7(A)、図7(B)及び図7(D)に示すように、インナーロッド110の係合部166は、軸体162の第2軸部174に比べて軸心に直交する断面積が大きい円弧状部位を有する。係合部166は、下側に向かって先細に形成されている。
【0050】
プラグ112には、プラグ112の中心軸となる真っ直ぐの軸心が規定される。図8(A)は軸心に沿うプラグ112の部分断面図を示し、図8(B)は軸心に沿うプラグ112の断面図を示す。図8(C)は図8(A)中の矢印8Cに示す方向から見たプラグ112の上面図を示す。図8(D)は図8(B)中の矢印8Dに示す方向から見たプラグ112の上面図を示す。図8(E)は図8(B)中の8E−8E線に沿うプラグ112の断面を示す。図8(F)は図8(B)中の8F−8F線に沿うプラグ112の断面を示す。
【0051】
図8(A)から図8(F)に示すプラグ112は、例えば樹脂材料により筒状に形成されている。プラグ112は、上端に形成された円環部(第2係合部)182と、下端に形成されたフランジ部184と、下端に設けられプラグ112の内側と外側とを貫通する液体通路(流路)186とを有する。プラグ112の上端と下端との間の内周面112aの内径は、円環部182の内径よりも大きく、フランジ部184の外径よりも小さい。
【0052】
図8(A)及び図8(B)に示すように、円環部182は、インナーロッド110の先細の係合部166をプラグ112に嵌合させるときに係合部166を案内する凹面182aを有する。円環部182の内径は、インナーロッド110の係合部166が引っ掛かる径に形成されている。すなわち、円環部182の内径は、インナーロッド110の係合部166の外径よりも小径に形成されている。インナーロッド110の係合部166は、プラグ112の円環部182に係合部166を押し込んで、係合部166及び円環部182を弾性変形させることで、インナーロッド110の係合部166をプラグ112の円環部182よりも下端側に位置させる。円環部182の内径は、軸体162の第2軸部174の外径よりも大きい。このため、プラグ112の円環部182に対してインナーロッド110の軸体162の第2軸部174がインナーロッド110及びプラグ112の軸心に沿って移動可能である。円環部182の内径は、軸体162の軸径変化部176の外径よりも小さい。このため、円環部182に軸体162の軸径変化部176が引っ掛かる。したがって、円環部182には、軸体162の軸径変化部176が係合可能である。
【0053】
したがって、プラグ112及びインナーロッド110は、相対的に所定の範囲内で移動可能である。このため、プラグ112の円環部182は、インナーロッド110の軸体162及び係合部166がインナーロッド110及びプラグ112の軸心に沿ってシリンダ26に対して移動するインナーロッド110の移動範囲を規定する。
【0054】
フランジ部184の外径はシリンダ26の第2筒54のプラグ収容部74の内径よりも小さい。フランジ部184の外径は、第2筒54の第2環状部76の弁座76aの内径よりも大きい。このため、プラグ112は、フランジ部184を下側にして、プラグ収容部74に収容される。
【0055】
図8(A)、図8(B)、図8(D)から図8(F)に示すように、プラグ112は、プラグ112の内周面112aに対して軸心に近い位置にあり、軸心に対して周方向に離間する少なくとも3つの凸部188を有する。凸部188は、プラグ112の軸心に向かって突出する。凸部188は、同一形状で、同一の大きさであることが好適である。凸部188が周方向にn個(nは3以上の自然数)あれば、凸部188は軸心に対して360/n°ずつ離れた位置にあることが好適である。すなわち、凸部188は、軸心に対して周方向に等距離離間することが好適である。本実施形態では、プラグ112の内周面112aには、軸心に対して90°おきに4つの凸部188が形成されている。凸部188は、軸心に平行に連続的にライン状に形成されていてもよく、不連続に点状に形成されていてもよい。凸部188は、インナーロッド110の軸体162及び係合部166を軸心上の位置に案内する。
【0056】
図7(D)に示すように、インナーロッド110の軸体162の突部178を含む第2軸部174の軸心は、インナーロッド110の係合部166の軸心と一致する。インナーロッド110の軸体162の突部178の頂部間の距離は、インナーロッド110の係合部166の最外径部の外径よりも小さい。ここで、図9に示すように、インナーロッド110の係合部166の最外径部の外径は、プラグ112の円環部182の内径よりも大きい。インナーロッド110の係合部166の最外径部の外径は、プラグ112の凸部188の内径よりも僅かに小さい。このため、インナーロッド110の係合部166が互いの弾性変形により、プラグ112の円環部182を通して円環部182とフランジ部184との間に入れられた後、インナーロッド110の係合部166が凸部188の内側をインナーロッド110及びプラグ112の軸心に沿って移動可能である。プラグ112に対してインナーロッド110の係合部166は、上側への移動が、プラグ112の円環部182の位置で止められる。
【0057】
図7(C)に示すように、軸体162の突部178の頂部間の距離は、軸径変化部176の上端の第1軸部172の外径よりも小さい。ここで、軸径変化部176の上端の第1軸部172の外径は、プラグ112の円環部182の内径よりも大きい。軸体162の突部178の頂部間の距離は、プラグ112の円環部182の内径よりも僅かに小さい。このため、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174は、プラグ112の円環部182に対して摺動可能である。このため、プラグ112に対してインナーロッド110が下側に移動すると、インナーロッド110の軸体162の軸径変化部176がプラグ112の円環部182の位置で係合されて止められる。
【0058】
付勢部材114には、真っ直ぐの軸心が規定される。付勢部材114は、例えば樹脂材又は金属材により形成されている。付勢部材114は、軸心の周囲をコイル状に巻回された圧縮コイルバネ192が用いられる。付勢部材114は、上端が液ピストン104の支持環156に支持され、下端がプラグ112のフランジ部184に支持されている。付勢部材114は、インナーロッド110の軸体162の外側であって、プラグ112の外側にある。付勢部材114は、液ピストン104を空気ピストン102に向けて付勢する。このとき、インナーロッド110の上端の弁体164は、液ピストン104の弁座154に密着するとともに、補助弁体108に密着する。インナーロッド110の係合部166は、プラグ112の円環部182に係合する。
【0059】
このように形成されたピストンユニット28は、シリンダ26の第2筒54と取付筒56との間に球状弁体30が配設されたシリンダ26内に入れられる。球状弁体30は、例えば金属材又は樹脂材製の球体として形成されている。球状弁体30の球体の外径は、取付筒56の内径よりも大きい。球状弁体30の球体の外径は、第2筒54の内径及びプラグ112のフランジ部184の外径よりも小さい。
【0060】
インナーロッド110及びプラグ112の寸法について例示する。インナーロッド110及びプラグ112の寸法は、ポンプ体3の大きさに応じて変化し得る。
インナーロッド110の全長は例えば39mmである。第1軸部172は例えば10mm、第2軸部174は例えば20mm、軸径変化部176は例えば1.5mmである。
プラグ112の全長は例えば25mmである。プラグ112の外径は例えば7.4mmである。プラグ112のフランジ部184の外径は例えば10mmである。プラグ112の液体通路(流路)186の長さは例えば10mmである。
【0061】
インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の外径は、例えば2.5mmである。1対の突部178の頂部間の距離は、例えば2.6mmである。インナーロッド110の係合部166の外径は、例えば2.6mmである。
プラグ112の円環部182の内径は例えば2.5mmである。プラグ112の円環部182とフランジ部184との間の内周面112aの内径は、例えば3.0mmである。プラグ112の凸部188とプラグ112の軸心との間の距離は、2.5mm/2(=1.25mm)と3.0mm/2(=1.5mm)との間にある。
【0062】
インナーロッド110の係合部166の外径(2.6mm)はプラグ112の円環部182の内径(2.5mm)よりも大きい。このため、インナーロッド110の係合部166は、プラグ112の円環部182を通りにくい。
【0063】
ここで、インナーロッド110の係合部166の半径(2.6mm/2=1.3mm)は、プラグ112の凸部188とプラグ112の軸心との間の距離(1.25mmと1.5mmとの間の距離)にある。本実施形態では、インナーロッド110の係合部166の半径(1.3mm)を考慮すると、プラグ112の凸部188とプラグ112の軸心との間の距離は、1.3mmと1.5mmとの間にあることが好適である。
【0064】
インナーロッド110の1対の突部178の頂部間の距離は例えば2.6mmであり、プラグ112の円環部182の内径である2.5mmよりも僅かに大きい。インナーロッド110の第2軸部174及びプラグ112の円環部182の弾性変形により、インナーロッド110とプラグ112とは摺動抵抗が付与された状態で、インナーロッド110及びプラグ112の軸心に沿って相対的に移動可能である。
【0065】
本実施形態において、インナーロッド110及びプラグ112の大きさに係わらず、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の突部178の頂部間の距離は、プラグ112の円環部182の内径に対して大きいことが好適であるが、その大きさの相違は0mmから1mmの範囲であることが好適である。大きさの相違は、0mmから0.5mmの範囲であることがさらに好適である。大きさの相違が小さい方が、プラグ112の円環部182の内周面に対するインナーロッド110の軸体162のふらつきを抑制しながら、摺動抵抗を抑制しプラグ112に対してインナーロッド110を動かしやすい。このため、プラグ112に対してインナーロッド110を動かす際、インナーロッドの軸体162は、プラグ112の円環部182により、インナーロッド110の軸心を中心軸Cに向けて案内し続ける。このため、インナーロッド110の軸心は、中心軸Cに一致又は近づけられる。
本実施形態において、インナーロッド110及びプラグ112の大きさに係わらず、インナーロッド110の係合部166の外径と、プラグ112の円環部182の内径との間の径の差、プラグ112の円環部182の内径と、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の外径との間の径の差、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の外径と、プラグ112の凸部188の内径との間の径の差は、それぞれ0mmから1mmの範囲であることが好適で、0mmから0.5mmの範囲であることがさらに好適である。
各クリアランス、又は、大きさの差等が1mm以内、さらに好適には0.5mm以内であれば、インナーロッド110とプラグ112との軸心が中心軸Cからずれることを抑制する。
【0066】
シリンダ26は、中心軸Cを含む領域に液室220を形成し、中心軸Cの周囲の領域に空気室210を形成する。
【0067】
次に、このように構成されたポンプ体3を組み立てる組立方法について簡単に説明する。
ポンプ体3の組み立て時、図6に示すピストンユニット28を形成する。
【0068】
液ピストン104の筒状体152にインナーロッド110の係合部166及び軸体162を挿通させるとともに、液ピストン104の支持環156で付勢部材114のコイルバネ192の上端を支持する。付勢部材114のコイルバネ192の内側にプラグ112の円環部182を入れる。インナーロッド110の係合部166の外径は、プラグ112の円環部182の内径よりも大きいが、インナーロッド110及びプラグ112の弾性力を利用して、インナーロッド110をプラグ112に嵌め込む。付勢部材114のコイルバネ192の下端は、プラグ112のフランジ部184に支持される。
【0069】
このようにして、液ピストン104、インナーロッド110、プラグ112、及び、付勢部材114のコイルバネ192をピストンユニット28の一部としてユニット化する。
【0070】
ここで、付勢部材114のコイルバネ192は、自然長よりも短く、液ピストン104に対してプラグ112は下側に付勢されている。このため、プラグ112の円環部182により、インナーロッド110の係合部166は、下側に向けて付勢されている。このとき、液ピストン104の弁座154には、インナーロッド110の弁体164が支持されている。
【0071】
図7(C)に示すインナーロッド110の軸体162の突部(ビード部)178は、軸体162の第2軸部174の中心軸Cに直交する横断面を、非円形にする。突部178は、第2軸部174の断面積を大きくする補強部として用いられる。インナーロッド110の軸心に沿って圧縮力が付加されても、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174は、突部178が存在しない場合に比べて弾性変形し難く、インナーロッド110の軸心が中心軸Cから外れる撓みが極力抑制される。
【0072】
図8(D)から図8(F)に示すプラグ112の内周面112aに設けられた少なくとも3つの凸部(ビード部)188は、プラグ112の内周面112aに凸部188がない滑らかな内周面である場合に比べて、プラグ112の断面積を大きくする補強部として用いられる。このため、プラグ112の軸心に沿って圧縮力が付加されても、プラグ112は、凸部188が存在しない場合に比べて弾性変形し難く、プラグ112の軸心が中心軸Cから外れる撓みが極力抑制される。
【0073】
図6に示すように、空気ピストン102の内側嵌合部134の上側に、環状の補助弁体108を固定する。空気ピストン102の保持部124に対し、環状の空気室用弁体106を固定する。空気ピストン102の嵌合筒126の内側嵌合部134に対し、液ピストン104の上端を嵌合させる。このようにして、ピストンユニット28を構成する。
【0074】
図1から図5に示すシリンダ26の第2筒54のプラグ収容部74に球状弁体30を入れる。この状態で、ピストンユニット28の軸心を、シリンダ26の軸心に合わせ、ピストンユニット28をシリンダ26に入れる。具体的には、付勢部材114、プラグ112及びインナーロッド110を第2筒54に入れるとともに、空気ピストン102の筒状の胴部122をシリンダ26の第1筒52の内周面に接触させながら第1筒52内に入れる。このため、シリンダ26内に球状弁体30及びピストンユニット28が配設される。
【0075】
このとき、ポンプ体3は、空気ピストン102の下側、空気室用弁体106の下側、及び、液ピストン104の外側と、シリンダ26の第1筒52の内側との間に空気室210を形成する。ポンプ体3は、シリンダ26の第2筒54の内側と球状弁体30との間に液室220を形成する。
【0076】
この状態で、シリンダ26の固定部64を、支持部22の肩部36に固定する。ノズル24の流路24aに、メッシュフィルタ48を配置した状態で、ノズル24の内筒42に、空気ピストン102の嵌合筒126の外側嵌合部132を嵌合させる。図2に示すように、空気ピストン102の突当部124aが、支持部22の肩部36に案内され、又は、突き当てられる。
【0077】
ポンプ体3は、このように組み立てられる。
【0078】
次に、このように構成されたポンプ体3を含む吐出容器1の作用について説明する。ポンプ体3の取付筒56には、管体4が差し込まれて固定される。支持部22の容器固定筒34の雌ネジ部34aが容器体2の固定部14の雄ネジ部16に締結され、吐出容器1が組み立てられる。ここでは、容器体2に液状体400が貯留され、液室220に液状体400が存在するものとし、ポンプ体3のノズル24から泡状の液状体400が吐出される例について説明する。
【0079】
ノズル24が図2に示す上限位置(上死点)にある場合、球状弁体30は、シリンダ26の第2環状部76の弁座76aに当接し、閉じている。空気室用弁体106の外側環状弁体142は空気ピストン102に下方から接触し、空気室210と貫通孔102aとの連通を防止する。空気室用弁体106の内側環状弁体144は液ピストン104のフランジ158に上方から接触し、空気室210が空気ピストン102の貫通孔102aを通してピストンユニット28の外側と連通することを防止する。インナーロッド110の弁体164は、液ピストン104の弁座154に当接している。補助弁体108は、インナーロッド110の弁体164に接触している。
【0080】
インナーロッド110の弁体164が液ピストン104の弁座154に支持されているとき、弁座154はインナーロッド110の軸心を中心軸Cに向けて支持する。このため、インナーロッド110の軸心は、上端において、中心軸Cに一致又は近づけられている。
【0081】
インナーロッド110の弁体164が補助弁体108に支持されているとき、補助弁体108は、インナーロッド110の軸心を中心軸Cに向けて支持する。このため、インナーロッド110の軸心は、上端において、液ピストン104の弁座154と協働して、中心軸Cに一致又は近づけられる。
【0082】
プラグ112は、シリンダ26の第2筒54内に収容され、プラグ112の軸心がシリンダ26の軸心(中心軸C)に一致又は略一致する。インナーロッド110の係合部166がプラグ112の円環部182に下側から当接し、支持されている。このとき、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174に設けられた突部178がプラグ112の円環部182に支持されている。このため、インナーロッド110の軸心は、下端において、中心軸Cに一致又は近づけられている。
【0083】
このため、支持部22、ノズル24、シリンダ26、空気ピストン102、液ピストン104、インナーロッド110、及び、プラグ112の軸心は中心軸Cに一致又は略一致する。
【0084】
この状態から図3に示すように、ユーザが支持部22に対してノズル24を中心軸Cに沿って下方に押圧すると、付勢部材114の付勢力に抗して、ピストンユニット28の空気ピストン102及び液ピストン104が中心軸Cに沿って下方に移動する。このとき、空気ピストン102の空気室210及び液ピストン104の液室220が加圧され、球状弁体30が下向きに加圧される。インナーロッド110の係合部166は、プラグ112の円環部182に対して中心軸Cに沿って下方に移動する。球状弁体30は、閉じた状態を維持する。
【0085】
液ピストン104の筒状体152の下方への移動に伴って液ピストン104の弁座154とインナーロッド110の弁体164との間に隙間が生じる。同様に、補助弁体108とインナーロッド110の弁体164との間に隙間が生じる。このため、液状体400がインナーロッド110の軸体162の外周面と液ピストン104の筒状体152の内周面との間、インナーロッド110の弁体164と、液ピストン104の弁座154との間を通して、嵌合筒126内の混合室136に入る。
【0086】
インナーロッド110の弁体164は、空気ピストン102の嵌合筒126の混合室136で内方に形成された複数のリブ136aにより、下方に押圧される。このとき、各リブ136aは、補助弁体108に近接する側から、開口138に向かって中心軸Cに向かうように傾斜するため、インナーロッド110の弁体164と開口138とが近づけられると、複数のリブ136aにより、弁体164が中心軸Cに向かって案内される。
【0087】
空気室用弁体106の外側環状弁体142は、空気室210内の容積減少に伴う圧力上昇により閉じた状態を維持する。空気室用弁体106の内側環状弁体144は、空気室210内の圧力上昇により開く。このため、空気室210内の空気が、液ピストン104の筒状体152の外周面と空気室用弁体106の内側環状弁体144との間、空気ピストン102の内周面と液ピストン104の筒状体152の外周面との間、インナーロッド110の弁体164と補助弁体108との間を通して、混合室136内に入る。
【0088】
嵌合筒126内の混合室136において、液状体400と空気とが混合する。混合室136で空気と混合した液状体400は、吐出流路24a内でメッシュフィルタ48を通過し、液状体400及び空気で形成される泡が微細化される。このため、ノズル24の流路24a内で液状体400が泡状となり、ノズル24の吐出筒46から吐出される。
【0089】
ここで、図9には、インナーロッド110とプラグ112とを嵌合させた状態の、中心軸Cに対して直交する概略的な断面図を示す。図9中のインナーロッド110は、図7(A)中の符号7C−7C線に沿うインナーロッド110の軸体162の第2軸部174の断面である。図9中のプラグ112は、図8(B)中の符号8F−8F線に沿う断面である。
【0090】
インナーロッド110の軸体162の突部178の頂点間の距離とプラグ112の円環部182の内径とのクリアランスの関係で、インナーロッド110の軸体162の突部178と、プラグ112の円環部182の一部とが接触し続ける。このため、プラグ112の円環部182に対してインナーロッド110の軸体162が中心軸Cに沿って相対的に移動するとき、インナーロッド110の軸体162の突部178とプラグ112の円環部182との間で摺動抵抗が付与される。また、本実施形態では、インナーロッド110の軸体162の突部178を含まない第2軸部174の外径(φ2.5mm)は、プラグ112の円環部182の内径(φ2.5mm)と略同じである。このため、インナーロッド110の軸心とプラグ112の軸心との軸ずれが抑制される。
【0091】
本実施形態では、インナーロッド110の係合部166の半径(1.3mm)を考慮すると、プラグ112の凸部188とプラグ112の軸心との間の距離は、1.3mmと1.5mmとの間にある。このため、インナーロッド110の係合部166と、プラグ112の凸部188との間のクリアランスが小さい状態が維持される。このため、仮に、インナーロッド110の軸心がプラグ112の軸心に対してずれようとしても、インナーロッド110の係合部166がプラグ112の凸部188に当接することで、インナーロッド110の軸心が、プラグ112の円環部182及び凸部188により、中心軸Cに向けて案内される状態を維持する。
【0092】
また、インナーロッド110の軸体162の突部178は、中心軸Cに平行に延び、インナーロッド110の軸体162が撓むことを抑制する補強ビードとなる。プラグ112の凸部188は、中心軸Cに平行に延び、プラグ112が撓むことを抑制する補強ビードとなる。ノズル24を図2に示す上限位置から図3に示すように下降させ、泡状となった液状体400がノズル24から吐出する場合、インナーロッド110の軸心、及び、プラグ112の軸心が、インナーロッド110の突部178及びプラグ112の凸部188により、中心軸Cに向けて案内された状態を維持する。このため、液ピストン104の軸心すなわち中心軸Cに対して、インナーロッド110、及び、プラグ112の軸心にたわみが生じることを防止する。したがって、インナーロッド110は、軸心が、液ピストン104の軸心(中心軸C)と一致又は略一致した状態でプラグ112に対して摺動する。
【0093】
なお、インナーロッド110の係合部166の外径と、プラグ112の円環部182の内径との間の径の差、プラグ112の円環部182の内径と、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の1対の突部178の頂部間の距離との差、インナーロッド110の軸体162の突部178を含まない第2軸部174の外径と、プラグ112の凸部188の内径との間の径の差は、それぞれ0mmから1mm程度で、好ましくは0mmから0.5mm程度であることが好適である。この場合、インナーロッド110の係合部166がプラグ112の円環部182から抜けることを防止しながら、インナーロッド110の軸心とプラグ112の軸心とが中心軸Cに一致又は略一致した状態を維持する。
【0094】
ここで、図3に示すように、液ピストン104の筒状体152の上端部の外周面と嵌合筒126の内側嵌合部134との間は、例えば中心軸Cに対して対称で、嵌合筒126の内側で液ピストン104の筒状体152の上方の混合室136に向けて円周方向で均一的な空気の通路を形成する。インナーロッド110の軸心が、液ピストン104の軸心とずれて摺動する場合、インナーロッド110の弁体164が液ピストン104の軸心から偏っている。このとき、液ピストン104の弁座154とインナーロッド110の弁体164との間のクリアランスが、中心軸Cに対して円周方向で、不均一となる。インナーロッド110の弁体164と液ピストン104の弁座154との間隙を通って液状体400が混合室136に入れられる場合、空気の通路が均一的であっても、液体の通路が不均一である場合、ノズル24を通して吐出される泡が不均質になることがある。
【0095】
本実施形態では、プラグ112に対してインナーロッド110を中心軸Cに沿って移動させるときに、インナーロッド110の軸体162の軸心をプラグ112の円環部182の軸心(中心軸C)に一致又は略一致させる状態を維持する。また、本実施形態では、プラグ112に対してインナーロッド110を軸心(中心軸C)に沿って移動させるときに、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174をプラグ112の3つ以上の凸部188で中心軸Cに向けてセンタリングする状態を維持するように案内する。このため、インナーロッド110の弁体164の軸心が液ピストン104の軸心(中心軸C)から偏ることを防止する。このため、インナーロッド110は、弁体164と液ピストンの筒状体152との間に、円周方向に均一的な液体の通路を形成するとともに、弁体164と空気ピストン102の嵌合筒126の内周面又は補助弁体108との間に円周方向に均一的な空気の通路を形成する。したがって、本実施形態に係る吐出容器1のポンプ体3は、液状体400を極力、均質的な泡状にし、極力均質的な泡状の液状体400をノズル24の吐出筒46から吐出する。
【0096】
ノズル24を図4に示すように最も押し下げ、ノズル24が支持部22のノズル案内筒32に当接した下限位置(下死点)にあるとき、インナーロッド110の軸体162の軸径変化部176の最大径(例えば3.1mm)は、円環部182の内径(例えば2.5mm)よりも大径であるため、円環部182に引っかかる。このため、インナーロッド110は、シリンダ26及びプラグ112に対して下方に移動することが規制されている。球状弁体30は、閉じた状態を維持する。空気室用弁体106の外側環状弁体142は閉じた状態を維持し、内側環状弁体144は、内側環状弁体144の重力、及び、シリンダ26の第1筒52の貫通孔62bを通してシリンダ26内に入れられた空気により、閉じられる。
【0097】
ノズル24を最も押し下げた状態から図5に示すようにノズル24を解放すると、付勢部材114の付勢力により、液ピストン104、空気ピストン102及びノズル24が中心軸Cに沿って上昇する。このとき、液ピストン104の弁座154がインナーロッド110の弁体164に当接する。同様に、インナーロッド110の弁体164が補助弁体108に当接する。このため、液ピストン104の弁座154がインナーロッド110の弁体164に対して閉じられ、また、補助弁体108がインナーロッド110の弁体164に対して閉じられる。
【0098】
この後、液ピストン104、空気ピストン102、ノズル24及びインナーロッド110が一緒に、支持部22に対して上昇する。このとき、空気室210及び液室220の体積が大きくなり、空気室210内及び液室220内がそれぞれ負圧になる。このため、空気室用弁体106の外側環状弁体142が開き、シリンダ26の貫通孔62bを通して入れられた空気が空気室210内に入る。球状弁体30がシリンダ26の第2筒54の第2環状部76の弁座76aに対して上昇し、管体4を通して液状体400が負圧の液室220に入る。このため、ノズル24が下限位置から上限位置に移動する間に、空気室210内に空気を吸入するとともに、液室220内に液状体400を吸引する。液状体400は、管体4、取付筒56、プラグ112のフランジ部184の内側、プラグ112の液体通路186を通して、プラグ112の内側だけでなく、プラグ112の外周面とシリンダ26の第2筒54の内側との間に流れる。
【0099】
インナーロッド110の係合部166とプラグ112の円環部182とが係合したとき、ノズル24の上昇が止められ、図2に示す状態に戻る。
【0100】
吐出容器1は、ポンプ体3が図2から図5に示す一連の動作により、容器体2内の液状体400を、ノズル24を図3に示すように下方に押圧する際に泡状にして吐出させ、図5に示すように付勢部材114の付勢力に応じて上方に移動させる際に液室220に液状体400を吸引する。
【0101】
ここで、図10には、大きさが異なる3つのタイプA(中),B(小),C(大)のポンプ体(ポンプディスペンサ)3について、インナーロッド110の樹脂種類及び曲げ弾性率Ea(MPa)、並びに、プラグ112の樹脂種類及び曲げ弾性率Eb(MPa)を示す。タイプAのインナーロッド110及びタイプAのプラグ112が嵌合され、タイプAのポンプ体3の一部となる。タイプBのインナーロッド110及びタイプBのプラグ112が嵌合され、タイプBのポンプ体3の一部となる。タイプCのインナーロッド110及びタイプCのプラグ112が嵌合され、タイプCのポンプ体3の一部となる。
インナーロッド110には、一例として、ポリプロピレン(PP)又はポリアセタール(POM)が用いられる。プラグ112には、一例として、ポリプロピレン(PP)が用いられる。インナーロッド110及びプラグ112にポリプロピレンを用いる場合の、インナーロッド110の曲げ弾性率Ea(=1100MPa)及びプラグ112の曲げ弾性率Eb(=1100MPa)は、JIS K 6921−2(ISO 19069−2:2016)に準拠して測定した。インナーロッド110にポリアセタール(POM)を用いる場合の、インナーロッド110の曲げ弾性率Ea(=2500MPa)は、JIS K 6921−2(ISO 19069−2:2016)に準拠して測定した。
【0102】
図11には、インナーロッド110の曲げ弾性率Ea及びプラグ112の曲げ弾性率Ebに応じた成型性、インナーロッド110及びプラグ112の組込適性、ポンプ体3の動作時のインナーロッド110及びプラグ112の軸心からのずれの大小を示す。
1000≦Eb≦Eaの場合を本実施形態に係るポンプ体3に適用することが好適な実施例とする。実施例の場合、インナーロッド110及びプラグ112は、ポリプロピレン又はポリアセタールなどの樹脂材により、良好な成型性を得る。実施例の場合、インナーロッド110及びプラグ112は、互いの摺動による撓みを抑制することができる。インナーロッド110の剛性がプラグ112の剛性よりも高い場合、プラグ112の円環部182がインナーロッド110の突部178の外形に沿って変形する。このとき、インナーロッド110の突部178及びプラグ112の円環部182は、点接触ではなく、線接触する。このため、インナーロッド110の突部178は、プラグ112の円環部182に対して、高い摺動抵抗を得る。したがって、実施例のように1000≦Eb≦Eaで、インナーロッド110の剛性がプラグ112の剛性よりも高い場合、インナーロッド110をプラグ112に組み込んだ後に、プラグ112によりインナーロッド110に変形が生じることを抑制する。このため、インナーロッド110及びプラグ112は、互いの組込適性が良好である。そして、実施例の場合、インナーロッド110及びプラグ112の互いの軸心のずれを抑制する。
【0103】
1000≦Ea<Ebの場合を比較例1とする。1000≦Ea<Ebで、プラグ112の剛性がインナーロッド110の剛性よりも高い場合、インナーロッド110の突部178に対して、プラグ112の円環部182は変形せず、例えば真円を維持する。このため、インナーロッド110の突部178及びプラグ112の円環部182は、点接触となり、実施例(1000≦Eb≦Ea)の場合と比較して高い摺動抵抗を得ることが難しい。したがって、1000≦Ea<Ebで、プラグ112の剛性がインナーロッド110の剛性よりも高い場合、インナーロッド110をプラグ112に組み込んだ後に、プラグ112によりインナーロッド110に変形が生じ易い。インナーロッド110及びプラグ112の互いの組込適性が不良である。
【0104】
1000>Eaで、1000>Ebである場合を比較例2とする。比較例2の場合、それぞれの軸心に沿うようにインナーロッド110及びプラグ112の2部品を寸法精度よく細長く成型することが難しい。このため、比較例2である場合、インナーロッド110及びプラグ112の互いの組込適性が不良である。また、比較例2の場合、液状体400を吐出させるときの摺動動作により、インナーロッド110及びプラグ112が撓む可能性が高く、互いの軸心からのずれを抑制することが難しい。
【0105】
このため、図10に示すように、JIS K 6921−2(ISO 19069−2:2016)に準拠して測定した場合に、インナーロッド110の曲げ弾性率Ea(MPa)及びプラグ112の曲げ弾性率Eb(MPa)が図11に実施例として示すように、1000≦Eb≦Eaの樹脂で構成されていることが好適である。
【0106】
なお、図10に示すインナーロッド110の素材であるポリプロピレン(PP)又はポリアセタール(POM)は一例であり、液状体400の種類により適切な素材を用いる。同様に、図10に示すプラグ112の素材であるポリプロピレン(PP)は一例であり、液状体400の種類により適切な素材を用いる。
【0107】
以上説明したように、本実施形態に係るポンプ体3によれば、以下のことが言える。
【0108】
筒状のプラグ112の内周面には、プラグ112の軸心(中心軸C)に向けて突出する少なくとも3つの凸部188が軸心に対して周方向に離間して形成されている。少なくとも3つの凸部188は、プラグ112の圧縮強度を補強する。このため、ノズル24を支持部22に対して図2に示す位置から図3に示す位置に動かし、泡状にした液状体400をノズル24から吐出させる際、凸部188による強度補強により、インナーロッド110及び付勢部材114の負荷によっても、プラグ112の軸心が中心軸Cから弾性変形によりずれることを抑制し、プラグ112の軸心を中心軸Cに一致又は略一致させた状態に維持することができる。このため、本実施形態によれば、インナーロッド110、及び、プラグ112の軸心が中心軸Cからずれることを抑制可能なポンプ体(ポンプディスペンサ)3、及び、吐出容器1を提供することができる。
【0109】
インナーロッド110の軸体162の第2軸部174には、例えばインナーロッド110の軸心に平行に延びる複数の突部178が形成されている。複数の突部178は、インナーロッド110の圧縮強度を補強する。このため、インナーロッド110がプラグ112に対して移動するとき、インナーロッド110が弾性変形することが抑制される。本実施形態では、突部178は、1対であり、インナーロッド110の軸心(中心軸C)を挟んで反対側にある。プラグ112に対するインナーロッド110の軸心(中心軸C)に沿う移動により、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の1対の突部178は、プラグ112の円形の円環部182との間を摺動する。このため、インナーロッド110の軸体162の突部178と円環部182との間のクリアランスは、インナーロッド110の軸体162の突部178がない第2軸部174と円環部182との間のクリアランスよりも、小さくなる。インナーロッド110の軸体162の突部178の頂部間の距離と円環部182との間は、突部178の頂部間の距離の方が大きく、その大きさの差は例えば1mm以下であることが好適である。インナーロッド110の軸体162の突部178の頂部間の距離と円環部182との間の大きさの差は、0.5mm以下であることがさらに好適である。このため、プラグ112の円環部182に対してインナーロッド110の軸体162の突部178を摺動する状態に維持し、プラグ112の軸心に対してインナーロッド110がふらつくことを抑制することができる。したがって、液状体400が液ピストン104の筒状体152の弁座154の内側とインナーロッド110の弁体164との間を通る際、及び、インナーロッド110の弁体164と空気ピストン102の嵌合筒126の内側との間を通る際、クリアランスの偏りを抑制する。また、空気ピストン102に液ピストン104が嵌合され、空気ピストン102と液ピストン104との軸心が中心軸Cに一致又は略一致した状態で、空気が液ピストン104の筒状体152の外側と空気ピストン102の嵌合筒126の内側との間を通る。このため、インナーロッド110の弁体164と嵌合筒126の内側とのクリアランスの偏りは抑制されている。したがって、液状体400の量、及び、空気量が、インナーロッド110の弁体164の外側を通して混合室136に入れられるときに、中心軸Cの軸回りの隙間の偏りを抑制する。このため、本実施形態によれば、インナーロッド110、及び、プラグ112の軸心が中心軸Cからずれることを抑制可能なポンプ体3を提供することができる。このようなポンプ体3を用いることで、液状体400に空気を混合して泡を形成する際に、均質的な泡を形成することができる。このため、本実施形態によれば、インナーロッド110、及び、プラグ112の軸心が中心軸Cからずれることを抑制可能なポンプ体(ポンプディスペンサ)3、及び、吐出容器1を提供することができる。
【0110】
プラグ112の円環部182の下側の凸部188により、プラグ112に対してインナーロッド110が相対的に移動するとき、インナーロッド110の係合部166をプラグ112の軸心(中心軸C)に向けて案内する。このため、インナーロッド110及びプラグ112は、プラグ112の円環部182、及び、インナーロッド110の係合部166において、互いを中心軸Cに向けて案内する。プラグ112の円環部182に対してインナーロッド110の係合部166が下側に移動して離れ、ノズル24から泡状の液状体400が吐出されるとき、プラグ112の円環部182、及び、インナーロッド110の係合部166との間の距離が大きくなればなるほど、互いを中心軸Cに向けて案内しやすくすることができる。このため、プラグ112及びインナーロッド110の軸心を中心軸Cに一致又は略一致させた状態に維持することができる。
中心軸Cに平行に延び周方向に等間隔に配置された凸部188と、インナーロッド110の係合部166とのクリアランスが1mm以下など、小さい状態に維持する。クリアランスは、0.5mm以下であることがさらに好適である。
【0111】
プラグ112の円環部182でインナーロッド110の第2軸部174を支持するとともに、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の円環部182との距離が大きくなるにつれて、プラグ112の凸部188はインナーロッド110の軸体162及び係合部166を中心軸Cに案内しようとする。したがって、液状体400が液ピストン104の筒状体152の弁座154の内側とインナーロッド110の弁体164との間を通る際、及び、インナーロッド110の弁体164と空気ピストン102の嵌合筒126の内側との間を通る際、クリアランスの偏りを抑制する。また、空気が液ピストン104の筒状体の外側と空気ピストン102の嵌合筒126の内側との間を通り、インナーロッド110の弁体164と嵌合筒126の内側とのクリアランスの偏りを抑制する。したがって、液状体400の量、及び、空気量が、インナーロッド110の弁体164の外側を通して混合室136に入れられるときに、偏りを抑制する。このため、本実施形態によれば、インナーロッド110、及び、プラグ112の軸心が中心軸Cからずれることを抑制可能なポンプ体3を提供することができる。このようなポンプ体3を用いることで、液状体400に空気を混合して泡を形成する際に、均質的な泡を形成することができる。
【0112】
ポンプ体3のインナーロッド110の曲げ弾性率Ea、及び、プラグ112の曲げ弾性率Ebを図11に示す実施例のように適切に設定することで、インナーロッド110及びプラグ112の摺動による撓みを抑制することができ、インナーロッド110及びプラグ112の軸心からのずれを抑制することができる。また、インナーロッド110の剛性をプラグ112の剛性より高くすることにより、インナーロッド110をプラグ112に組み込んだ後にインナーロッド110に変形が生じることを抑制し、すなわち、インナーロッド110の曲げを防止することができる。
【0113】
図12を用いて、各タイプA,B,Cのポンプ体3の変形例について説明する。ここでは、インナーロッド110の係合部166とプラグ112のうち、凸部188を除く内周面112aとの間隙を0.5mmとする。すなわち、インナーロッド110の係合部166の外径が、プラグ112(凸部188を除く)の内周面112aの内径よりも1mm小さいものとする。
【0114】
上述した例では、プラグ112の内周面112aの内径が3.0mmであり、インナーロッド110の係合部166の外径が2.6mmである。このため、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112aとの径差は0.4mmであり、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112aとの間隙(クリアランス)は0.2mmである。インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112aとの間隙は、プラグ112の内周面112aに対する凸部188の突出量に依存する。このため、凸部188の大きさによっては、間隙の大きさは0.1mmなど、0.2mmよりも小さい場合もあり得る。
【0115】
例えば、0.2mmなど、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112aとの間隙を適宜に小さく設定すると、プラグ112の壁厚を厚くすることができ、プラグ112の剛性を大きくすることができる。この場合、ノズル24に対する通常の押し圧力で、通常の液状体400の粘度(適宜に低い粘度)では、プラグ112の軸心及びインナーロッド110の軸心を中心軸Cからずれることを防止することができる。
【0116】
例えばノズル24に対する押し圧力を増しノズル24の中心軸Cに沿う下方へのストロークスピードを上げたとき、液状体400の粘度が経時的変化等で高くなったとき、或いは、粘度が適宜に高い液状体400を吐出させるときなど、プラグ112内でインナーロッド110の係合部166を動かす際に、液状体400の粘性抵抗が比較的高い状態となることがあり得る。
【0117】
インナーロッド110の係合部166とプラグ112の凸部188以外のプラグ112の内周面112aとの間の間隙が例えば0.5mmよりも小さいなど、適宜に狭い場合、液状体400により粘度によっては、プラグ112に対するインナーロッド110の移動の際の粘性抵抗が増すことがある。このような場合、プラグ112の内側でのインナーロッド110の係合部166の移動(摺動)が不安定となりインナーロッド110が移動するときに中心軸Cからインナーロッド110の軸心がずれる可能性がある。
【0118】
ここでは、図12に示すように、液状体400のB型粘度が10mPa・s、50mPa・s、10000mPa・s、300000mPa・sの4種類の場合について、ノズル24を中心軸Cに沿って押し下げる動作を行った。なお、液状体400の温度は20℃である。
液状体400の粘度はB型粘度計により測定した。B型粘度計の測定は、液状体400の剤型及び粘度に応じて適切なローターまたはスピンドルを選択し、それに応じた回転数(50〜60回転/分)の回転数でローターまたはスピンドルを回転させ、回転時間が60秒となった時点の粘度を測定した。
【0119】
液状体400のB型粘度が例えば10mPa・sである場合、液状体400の粘度は低いと言える。この場合、ノズル24のストロークスピードを増したとしても、ストロークスピードにかかわらず、インナーロッド110及びプラグ112は、液状体400の粘度に影響を受け難い。このため、ノズル24のストロークスピードにかかわらず、インナーロッド110及びプラグ112の軸心は、中心軸Cに沿った状態を維持しやすい。
液状体400のB型粘度が10mPa・sの場合、インナーロッド110及びプラグ112は、液状体400の粘度に影響を受け難いため、インナーロッド110の係合部166とプラグ112のうち、凸部188を除く内周面112aとの間隙を、上述した例のように0.2mmなど、0.5mmよりも小さくすることも好適である。
【0120】
液状体400のB型粘度を例えば10mPa・sから大きくすると、粘度が高くなるにつれてノズル24を中心軸Cに沿って下方に動かし難くなることが想定される。ノズル24を動かし難くなると、空気と液状体400とが混合し難くなることが想定される。
【0121】
本変形例において、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112aとの間隙を0.5mmとし適宜に大きくする。このため、例えば液状体400のB型粘度が50mPa・sの場合、又は、10000mPa・sの場合、ノズル24を中心軸Cに沿って下方に押圧したとき、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112aとの間の非接触の摺動抵抗(粘性抵抗)の増加を抑制することができる。このため、プラグ112に対してインナーロッド110の係合部166の移動(摺動)が不安定になることを防止することができる。したがって、例えば液状体400のB型粘度が50mPa・sの場合、又は、10000mPa・sの場合であっても、液状体400を適宜に空気と混合させることができ、ノズル24から吐出する液状体400が、均質的な泡状となる。
【0122】
本変形例のように、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112aとの間隙を0.5mm以上とし適宜に大きくすることで、液状体400のB型粘度が10000mPa・sを越え、例えば50000mPa・sとの間の適宜の粘度である場合であっても、液状体400を適宜に空気と混合させることができ、ノズル24から吐出する液状体400が、均質的な泡状となることが想定される。
【0123】
一方、本変形例では、液状体400のB型粘度が300000mPa・sとした例について、ノズル24を中心軸Cに沿って下方に移動させる動作を行おうとした。この場合、液状体400の粘度が高すぎ、ノズル24を移動させ難く、ノズル24を移動させたとしても、液状体400が動きにくく、混合室136において、液状体400を適宜に空気と混合させることができなかった。このため、液状体400のB型粘度が高すぎると、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112aとの間隙を0.5mm以上としても、液状体400をノズル24から吐出させることは困難となり得る。
【0124】
一方、液状体400のB型粘度の下限は、例えば10mPa・sのような20mPa・s以下のような低粘度である場合であっても、問題はない。
【0125】
本変形例のポンプ体3によれば、液状体400の粘度が比較的高くなった場合などでも、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112a(凸部188を除く)の間隙を0.5mm以上など、適宜の値に設定することにより、インナーロッド110及びプラグ112の摺動による撓みを抑制することができ、中心軸Cから軸心がずれることを抑制することができる。液状体400の粘度が比較的高くなった場合などでも、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112a(凸部188を除く)の間隙を0.5mm以上とすることにより、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112aとの間の非接触の摺動抵抗(粘性抵抗)を抑制することができる。したがって、プラグ112に対してインナーロッド110を安定して摺動させることが可能である。すなわち、プラグ112に対するインナーロッド110の係合部166の不安定な摺動を防止することができる。
【0126】
一例として、インナーロッド110の係合部166とプラグ112の内周面112aとの間の間隙が0.5mm以上である場合、液状体400のB型粘度が10〜50000mPa・sの液状体400を用いる。この場合、ノズル24を中心軸Cに沿って適宜に下方に移動させたときに、中心軸Cからインナーロッド110及びプラグ112の軸心がずれることを抑制することができる。
【0127】
インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の突部178、及び、プラグ112の凸部188の幾つかの変形例について、図13(A)から図13(E)を用いて例示する。
【0128】
図13(A)から図13(E)は、図9に示すインナーロッド110の軸体162の第2軸部174及びプラグ112の嵌合状態での変形例を示す。図13(A)から図13(E)に示すように、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の形状、及び、プラグ112の内周面の形状は、適宜に変更される。
【0129】
図13(A)に示す例は、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174に3つの突部178を有する。この場合、インナーロッド110は、中心軸Cに対して軸対称でない。突部178は、中心軸Cに対して周方向に等間隔にある。中心軸Cと突部178の頂部との間の距離は、突部178を含まない第2軸部174の半径よりも大きい。
【0130】
図13(B)に示す例は、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の断面が略楕円状である。突部178は、楕円の一部として形成されている。
【0131】
図13(C)に示す例は、プラグ112の内周面に3つの凸部188を有する。凸部188は、中心軸Cに対して周方向に等間隔にある。
【0132】
図13(D)に示す例は、プラグ112の内周面に3つの凸部188を有する。プラグ112の内周面の内側の空間は、三角形の頂点が円弧の一部として形成された略三角形状である。凸部188は、中心軸Cに対して周方向に等間隔にある。凸部188は、プラグ112の内周面に対して中心軸Cに対する距離を小さくすることができれば、種々の形状に形成される。
【0133】
図13(E)に示す例のプラグ112は、図13(D)に示す例と同じである。インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の外周面は、円周の一部をカットした弦として形成されている。インナーロッド110の軸体162の断面は、三角形の頂点が円弧の一部として形成された略三角形状である。この場合、軸体162の第2軸部174の断面の内接円に対し、外側の部位が突部178となる。
【0134】
このように、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の断面形状は適宜に設定可能である。インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の突部178の数は、2つ以上であれば、適宜に設定可能である。また、プラグ112の内周面の凸部188の形状は適宜に設定可能である。プラグ112の内周面の凸部188の数は、3つ以上であれば、適宜に設定可能である。
【0135】
管体4は、シリンダ26の例えば取付筒56が下方に長く伸び、容器体2の底面に近接又は接触する状態にあれば、必ずしも必要ではない。この場合、吐出容器1は、ポンプ体3と、ポンプ体3の支持部22に着脱可能な容器体2とを有する。
【0136】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0137】
3…ポンプ体、22…支持部、24…ノズル、24a…吐出流路、26…シリンダ、28…ピストンユニット、30…球状弁体、52…第1筒、54…第2筒、56…取付筒、62…第1被摺動部、64…固定部、66…環状部、72…第2被摺動部、74…プラグ収容部、76…環状部、76a…弁座、102…空気ピストン、104…液ピストン、106…空気室用弁体、108…補助弁体、110…インナーロッド、112…プラグ、114…付勢部材、122…胴部、124…保持部、124a…突当部、126…嵌合筒、132…外側嵌合部、134…内側嵌合部、136…混合室、138…開口、142…外側環状弁体、144…内側環状弁体、152…筒状体、154…弁座、156…支持環、158…フランジ、162…軸体、164…弁体、166…係合部、172…第1軸部、174…第2軸部、176…軸径変化部、178…突部、182…円環部、184…フランジ部、186…液体通路、188…凸部、210…空気室、220…液室。
【要約】
【課題】 インナーロッド、及び、プラグの軸心が中心軸からずれることを抑制可能なポンプディスペンサを提供する。
【解決手段】 ポンプディスペンサは、筒状で中心軸に沿って往復動するノズルと、筒状のシリンダと、筒状の空気ピストンと、筒状の液ピストンと、インナーロッドと、筒状のプラグと、付勢部材とを有する。液ピストンは、空気ピストンの内方に支持される。インナーロッドは、液ピストンの内方に挿通され、軸心に沿って移動可能である。プラグは、インナーロッドが軸心に沿って移動する移動範囲を規定する。付勢部材は、一端が液ピストンに支持され他端がプラグに支持される。プラグは、その内周面に、周方向に離間し、プラグの軸心に向かって突出する少なくとも3つの凸部を有する。少なくとも3つの凸部は、プラグの軸心に平行に延びる。
【選択図】 図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13