(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記証拠データとしての前記動画像を再生する再生画面を表示するよう表示制御する、処理を前記情報処理装置にさらに実行させる、請求項1又は2に記載のプログラム。
事故状況の判定に用いるための、車両に搭載された加速度センサ及びGPSセンサのデータ、及び車両に搭載された撮像装置により撮像された動画像のデータを含む複数のデータを受信し、
前記加速度センサのデータから自車両と相手車両との間の事故を検知し、
事故発生地点の周辺の地図情報を取得し、
前記GPSセンサのデータ及び前記地図情報に基づいて、前記自車両の運転軌跡を特定し、
前記動画像のデータに基づいて、前記相手車両の運転軌跡を特定し、
前記自車両及び前記相手車両の前記運転軌跡を前記事故発生地点の周辺の前記地図情報に対してマッチングさせ、それらを重ね合わせた画像を表示装置に表示制御し、
前記動画像のデータに基づいて事故発生時における信号の状態を特定し、特定された前記信号の前記状態を前記表示装置に表示制御し、
前記複数のデータ及び特定された前記信号の前記状態に基づいて、前記事故状況を判定する複数の判定項目及び判定結果を表示する第1表示領域、及び前記判定結果に対する証拠データを有する判定項目において前記証拠データを表示する第2表示領域を含む判定画面を前記表示装置に表示制御する、ことを含む情報処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
実施の形態
(1)実施形態の構成
図1は、本発明の実施形態に係る事故処理システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る事故処理システム1は、自動車保険を販売する損害保険会社における利用を想定したものである。
図1に示すように、事故処理システム1は、事故検知サーバ10と、事故状況把握サーバ20と、過失割合判定サーバ30と、オペレータ端末40と、を備える。これらの事故検知サーバ10と、事故状況把握サーバ20と、過失割合判定サーバ30と、オペレータ端末40とは、通信ネットワークNを介して接続される。なお、
図1においては、オペレータ端末40を1台のみ図示しているが、複数のオペレータ端末40を設けてもよい。また、
図1においては、事故検知サーバ10、事故状況把握サーバ20、過失割合判定サーバ30を1台ずつ図示しているが、これらのサーバを1台のハードウェアで構成しても良いし、各サーバを複数のハードウェアで構成しても良い。オペレータは、ユーザと称してもよい。
【0024】
通信ネットワークNは、事故検知サーバ10、事故状況把握サーバ20、過失割合判定サーバ30、及び、オペレータ端末40の間で相互に情報を送受信可能な通信網を含む。通信ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(登録商標)(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0025】
事故検知サーバ10、事故状況把握サーバ20、過失割合判定サーバ30の各々は、例えば、演算処理能力の高いコンピュータによって構成され、所定のプログラムを実行することにより、他のサーバ及びオペレータ端末40と連携して、自動車事故が発生した後、事故の通報、事故の状況把握、及び、過失割合判定等の事故処理に関する情報を処理するサーバ機能を実現する。ここで、自動車事故は、自動車と他の物体とが接触したことを含み、他の物体は、例えば、自動車、自転車、バイク、人、動物、電柱、壁などの物体である。
【0026】
図2は、事故検知サーバ10の概略構成を示す図である。事故検知サーバ10は、自動車等のデバイスから各種データを取得し、取得したデータに基づいて事故の発生を検知し、必要な通報を行う情報処理装置である。なお、事故検知サーバ10は、必ずしも複数の自動車から各種データを取得する必要はなく、少なくとも1台の自動車のデバイスから各種データを取得すればよい。
【0027】
ここで、自動車等のデバイスは、日時を検出するカレンダー、走行速度を検出する速度センサ、加速度を検出する加速度センサ、位置を検出するGPSセンサ等のセンサと、通信機能、音声録音機能、映像録画機能、ミリ波・赤外線等測定センサ、その他自動車機器の操作・動作を検出する機能のいずれかを備えており、各種センサにより随時情報を取得している。自動車等のデバイスは、随時もしくは、所定値以上の加速度の変化といった異常事態が発生時いずれかのタイミングで各センサにより取得された情報(以下、デバイスデータという)を、通信機能を利用して事故検知サーバ10に送信する。
【0028】
図2に示すように、事故検知サーバ10は、通信インタフェース11と、記憶部12と、プロセッサ13とを備える。
【0029】
通信インタフェース11は、事故検知サーバ10を通信ネットワークNに接続し、通信ネットワークN上の他の端末と通信をするためのハードウェアモジュールである。通信インタフェース11は、例えば、ISDNモデム、ADSLモデム、ケーブルモデム、光モデム、ソフトモデム等の変調復調装置である。
【0030】
記憶部12は、例えば、ディスクドライブ又は半導体メモリ(ROM、RAMなど)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体からなる物理デバイスの記憶領域が提供する論理デバイスである。記憶部12は、複数の物理デバイスを1つの論理デバイスにマッピングして構築してもよいし、1つの物理デバイスを複数の論理デバイスにマッピングして構築してもよい。記憶部12は、オペレーティングシステムプログラムやドライバプログラムを含む各種プログラム及びこれらのプログラムの実行中に使用される各種データを格納する。具体的には、記憶部12は、プロセッサ13に実行させる各種のプログラムP10と、デバイスから取得したデバイスデータD10とを格納する。
【0031】
プロセッサ13は、算術演算、論理演算、ビット演算等を処理する算術論理演算ユニット(CPUなど)及び各種レジスタから構成され、記憶部12に格納されている各種プログラムを実行することで事故検知サーバ10の各部を中枢的に制御する。各種レジスタは、例えば、プログラムカウンタ、データレジスタ、命令レジスタ、汎用レジスタ等である。また、プロセッサ13は、プログラムP10を実行することにより、事故の発生を検知し、必要な通報を行う事故検知機能を実現する。プロセッサ13がプログラムP10を実行することにより実現される機能部には、デバイス差異補正部131と、事故検知部132と、事故通報部133とが含まれる。
【0032】
デバイス差異補正部131は、各デバイスから受信したデバイスデータを補正する。ここで、各デバイスから送信されるデバイスデータには、個々の特徴(センサの特性や、データ形式の違いなど)がある。そのため、デバイス差異補正部131は、受信したデバイスデータを、事故検知部132において実行されるアルゴリズムに入力可能なデータに補正する。
【0033】
事故検知部132は、過去の事故データやデバイスデータをもとに構築されたアルゴリズムにより、デバイスから受信したデバイスデータから事故発生時の特徴を検出することにより、事故を検知する。
【0034】
事故通報部133は、事故検知部132が事故を検知した場合に、事故が発生した可能性が高い旨の情報を、通信ネットワークNを介してオペレータ端末40に通知し、アラートを表示させる。
【0035】
図3は、事故状況把握サーバ20の概略構成を示す図である。事故状況把握サーバ20は、事故が発生した場合に、各種システムから必要な情報を取得し、当該事故を可視化することにより、事故状況の把握を支援する情報処理装置である。
【0036】
事故状況把握サーバ20は、事故を起こしたデバイスからデバイスデータを取得する他、以下に例示する情報を取得する。
(a)標識情報や制限速度情報等の道路情報:民間業者が運営する道路情報システム102から取得する。
(b)ドライブレコーダにより撮影された映像データ:事故の当事者のデバイスに設置されたドライブレコーダにより撮影された映像データを取得する。映像データは、事故の当事者のデバイスから直接取得しても良いし、民間のサービス業者が運営するドライブレコーダデバイスシステム103から取得しても良い。また、事故当時に事故の発生地点周辺を走行していたデバイスに設置されたドライブレコーダにより撮影された映像データを、ドライブレコーダデバイスシステム103から取得しても良い。
(c)地図情報:民間業者が運営する地図情報システム104から取得する。
(d)天候情報:民間又は公的機関が運営する天候情報システム105から取得する。
(e)コンタクト履歴情報:事故の当事者が自社の保険の契約者である場合に、過去のコンタクト履歴を損害サービスシステム106から取得する。
【0037】
図3に示すように、事故状況把握サーバ20は、通信インタフェース21と、記憶部22と、プロセッサ23とを備える。これらの通信インタフェース21、記憶部22、及び、プロセッサ23のハードウェアの構成は、上述した通信インタフェース11、記憶部12、及び、プロセッサ13と同様である。
【0038】
記憶部22は、プロセッサ23に実行させる各種のプログラムP20と、各デバイスから取得されたデバイスデータD21と、道路情報システム102から取得された道路情報D22と、ドライブレコーダデバイスシステム103から取得された映像データD23と、地図情報システム104から取得された地図情報D24と、天候情報システム105から取得された天候情報D25と、損害サービスシステム106から取得されたコンタクト履歴D26と、後述するプロセッサ23により解析された自車両挙動データD27と、相手車両・周辺環境データD28と、を格納する。
【0039】
プロセッサ23は、プログラムP20を実行することにより、取得した各種情報に基づいて、事故の状況を解析すると共に可視化し、事故の状況把握を支援する機能を実現する。プロセッサ23がプログラムP20を実行することにより実現される機能部には、自車両運転挙動把握部231と、相手車両・周辺環境把握部235と、表示制御部239とが含まれる。
【0040】
自車両運転挙動把握部231は、取得した各種データに基づき、事故発生時における自車両の運転挙動に関する情報を把握し、把握した情報を自車両挙動データD27として保存する。具体例として、自車両運転挙動把握部231は、デバイスデータD21のうち自社保険の契約者側が運転していたデバイス(自車両)から取得したデータに基づき、事故発生地点周辺の道路情報D22・地図情報D24・天候情報D25・コンタクト履歴D26も参照することで、自車両の運転軌跡や速度情報等といった事故状況を把握する。自車両運転挙動把握部231は、運転軌跡抽出部232と、加速度波形生成部233と、地図データマッチング部234とを含む。
【0041】
運転軌跡抽出部232は、自車両から取得したデバイスデータD21に基づき、自車両の運転軌跡を抽出する。加速度波形生成部233は、デバイスデータD21に基づき、自車両における加速度の波形データをグラフとして可視化することで、自車両の挙動や衝撃箇所等を特定する。地図データマッチング部234は、運転軌跡抽出部232により抽出された運転軌跡を、事故発生地点周辺の道路情報D22及び地図情報D24に対してマッチング処理を行い、重ね合わせて表示することで、運転軌跡を可視化する。
【0042】
相手車両・周辺環境把握部235は、取得した各種データに基づき、相手車両の運転挙動に関する情報や周辺環境に関する情報を把握し、把握した情報を相手車両・周辺環境データD28として保存する。具体例として、相手車両・周辺環境把握部235は、映像データD23のうち、自車両において撮影された映像データに対して物体認識処理や深度計測処理等を施し、自車両挙動データと突き合わせることにより、相手車両の速度を推定する。また、相手車両・周辺環境把握部235は、映像データD23から、事故発生時における信号の状態等の情報を取得する。相手車両・周辺環境把握部235は、運転軌跡抽出部236と、加速度波形生成部237と、地図データマッチング部238とを含む。これらの各部の動作は、上述した自車両運転挙動把握部231におけるものと同様である。
【0043】
表示制御部239は、自車両運転挙動把握部231により把握された自車両の運転挙動や、相手車両・周辺環境把握部235により把握された相手車両の運転挙動や、周辺環境を、オペレータ端末40に可視化して表示するための表示制御を行う。
【0044】
図4は、過失割合判定サーバ30の概略構成を示す図である。過失割合判定サーバ30は、事故状況把握サーバ20により保存された自車両挙動データD27及び相手車両・周辺環境データD28を取得し、取得したデータに基づいて、過失割合の判定を行う情報処理装置である。
【0045】
図4に示すように、過失割合判定サーバ30は、通信インタフェース31と、記憶部32と、プロセッサ33とを備える。これらの通信インタフェース31、記憶部32、及び、プロセッサ23のハードウェアの構成は、上述した通信インタフェース11、記憶部12、及び、プロセッサ13と同様である。
【0046】
記憶部32は、プロセッサ33に実行させる各種のプログラムP30と、過失割合の判定に用いられる判例データD31と、過去事案データD32とを格納する。判例データD31は、例えば株式会社判例タイムズ社が発行する「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(「判例タイムズ(登録商標)」と呼ばれる)のように、判例に基づく過失割合の基準をデータベース化したものである。また、過去事案データD32は、過去の事案における過失割合をデータベース化したものである。
【0047】
プロセッサ33は、プログラムP30を実行することにより、自車両挙動データD27及び相手車両・周辺環境データD28に基づいて過失割合を判定する機能を実現する。プロセッサ33がプログラムP30を実行することにより実現される機能部には、判例情報取得部331と、過失判定部332と、表示制御部333とが含まれる。
【0048】
判例情報取得部331は、自車両挙動データD27及び相手車両・周辺環境データD28と判例データD31とを照合し、該当する判例(事故分類)を特定する。過失判定部332は、判例情報取得部331により特定された判例に基づき、基本的な過失割合を判定すると共に、オペレータ端末40においてなされたユーザ操作に基づく命令に応じて、基本的な過失割合を修正する。
【0049】
表示制御部333は、過失判定部332による判定結果等を含む過失割合判定画面をオペレータ端末40に表示するための制御を行う。表示制御部333は、未確認項目アラート表示部334及び参考文献提示部335を含む。
【0050】
未確認項目アラート表示部334は、過失割合を判定するために必要な項目、又は、過失割合の判定に影響を及ぼし得る項目(以下、これらを判定項目という)で、オペレータが確認していない項目がある場合に、注意喚起するための表示制御を行う。
図5は、判定項目を格納するマスターデータを例示する表である。
図5に示すマスターデータは、判定項目を、自車両挙動、道路状況、事故状況、相手車両挙動等のカテゴリ別に格納する。各判定項目は、当該判定項目に関連する情報のデータソース(例えば、加速度情報・GPS情報等のデバイスデータ、地図情報、ドライブレコーダにより撮影された映像データ等)と紐付けられている。
【0051】
参考文献提示部335は、当該事故に該当する(又は状況が類似する)判例や過去事案等の文献をオペレータに参照させる表示制御を行う。以上、過失割判定サーバ30によれば、事故発生時に取得された各種データに基づいて、効率的かつ公平性の高い過失割合の判定を行うことができる。また、過失割合判定サーバ30によれば、過失割合の判定の根拠等を視覚化しているので、オペレータは、効率的かつ容易に過失割合の判定の根拠等することができる。
【0052】
図6は、オペレータ端末40の概略構成を示す図である。オペレータ端末40は、事故の通報を受けたり、保険等の処理を行うオペレータが使用したりする端末であり、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、タブレット端末等によって構成される。
【0053】
図6に示すように、オペレータ端末40は、通信インタフェース41と、表示部42と、操作入力部43と、出力部44と、記憶部45と、プロセッサ46とを備える情報処理装置である。本実施形態において、オペレータ端末40は、上記事故状況把握サーバ20及び過失割合判定サーバ30から受信した情報に基づき、所定の画面を表示する表示装置として使用されると共に、上記事故状況把握サーバ20及び過失割合判定サーバ30に対する要求や命令等を入力するための操作入力装置として使用される。
【0054】
通信インタフェース41は、オペレータ端末40を通信ネットワークNに接続し、通信ネットワークN上の他の端末と通信をするためのハードウェアモジュールである。通信インタフェース41は、例えば、ISDNモデム、ADSLモデム、ケーブルモデム、光モデム、ソフトモデム等の変調復調装置である。
【0055】
表示部42は、例えば液晶ディスプレイにより構成される。
操作入力部43は、キーボード、各種操作ボタン、表示部42に設けられたタッチパネル、マウス等のポインティングデバイスといった入力デバイスである。
出力部44は、プリンタ等の出力デバイスである。
【0056】
記憶部45は、例えば、物理デバイスの記憶領域が提供する論理デバイスである。物理デバイスは、例えば、ディスクドライブまたは半導体メモリ(ROM、RAMなど)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。記憶部45は、複数の物理デバイスを1つの論理デバイスにマッピングして構築してもよいし、1つの物理デバイスを複数の論理デバイスにマッピングして構築してもよい。また、記憶部45は、USBメモリやSD(登録商標)カードなどでもよい。
【0057】
記憶部45は、オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、及び各種データ等を記憶する。詳細には、記憶部45は、プロセッサ46に実行させることにより、事故状況把握サーバ20や過失割合判定サーバ30と通信を行い、これらのサーバから送信された情報を所定の形式で表示部42に表示させるプログラムP40を格納する。
【0058】
プロセッサ46は、算術演算、論理演算、ビット演算等を処理する算術論理演算ユニット(CPUなど)及び各種レジスタから構成され、記憶部45に格納されている各種プログラムを実行することでオペレータ端末40の各部を中枢的に制御する。各種レジスタは、例えば、プログラムカウンタ、データレジスタ、命令レジスタ、汎用レジスタ等である。プロセッサ46がプログラムP40を実行することにより実現される機能部には、事故状況把握サーバ20や過失割合判定サーバ30から送信された情報を所定の形式で表示部42に表示させる表示制御部461を含む。
【0059】
また、プロセッサ46は、ユーザにより操作入力部43を用いた操作がなされた場合、当該ユーザ操作に応じた命令をオペレータ端末40の各部に出力し、処理を実行させる。さらに、プロセッサ46は、オペレータ端末40が事故状況把握サーバ20又は過失割合判定サーバ30にアクセスしている最中に、事故状況把握サーバ20又は過失割合判定サーバ30から送信された画面に対してユーザ操作がなされた場合、当該ユーザ操作に応じた命令を表す信号を事故状況把握サーバ20又は過失割合判定サーバ30に送信し、命令の実行を要求する。
【0060】
(2)実施形態の動作
図7は、事故検知サーバ10の動作を示すフローチャートである。
事故検知サーバ10は、事故が発生し、デバイスからデバイスデータが送信されると、デバイスデータを取得し(ステップS10)、取得したデバイスデータを解析することにより事故検知処理を行う(ステップS11、
図1参照)。
【0061】
事故検知サーバ10は、事故が発生したと判断した場合(ステップS12:Yes)、オペレータ端末40に対して事故を通報する(ステップS13)。他方、事故検知サーバ10が事故は発生していないと判断した場合(ステップS12:No)、処理は終了する。
【0062】
事故が通報されると、事故状況把握サーバ20は、事故の当事者であるデバイスから送信されたデバイスデータ、道路情報、映像データ、地図情報、天候情報、コンタクト履歴情報等、事故に関連する各種情報を取得する(ステップS14、
図2参照)。続いて、事故状況把握サーバ20は、取得した情報に基づいて事故の解析を行う(ステップS15)。そして、事故状況把握サーバ20は、解析結果を保存する(ステップS16)。
【0063】
事故状況把握サーバ20に保存された解析結果は、オペレータ端末40からの要求によりオペレータ端末40に送信され、所定の形式で表示される。オペレータは、例えば保険の証券番号で検索、もしくは契約者情報を有する他システムから遷移することにより、当該契約者が当事者となった事故に関する情報をオペレータ端末40に表示させることができる。
【0064】
図8〜
図9は、オペレータ端末40に表示される画面を例示する模式図である。このうち、
図8は、走行状況詳細画面を例示する模式図である。
図9は、走行状況詳細画面を例示する模式図である
【0065】
図8に示す走行情報詳細画面M1は、保険の契約者に関する情報が表示されるユーザ情報表示領域m10と、事故の発生地点を表す情報が表示される事故場所表示領域m11と、自車両のドライブレコーダにより撮影された映像が表示される画像表示領域m12と、自車両の運転軌跡が表示される軌跡表示領域m13と、加速度センサにより検出された加速度を波形グラフとして表示した衝撃情報表示領域m14と、過失割合判定支援ボタンm15と、運転手の運転情報を表示する運転情報表示領域m16とを含む。衝撃情報表示領域m14には、自車両への衝撃の入力箇所を表す入力箇所表示領域が設けられている。入力箇所表示領域においては、時計の12時方向が自車両の前方となるように、時計に自車両が重ねて表示されると共に、衝撃の入力方向(即ち、相手車両の接触箇所)がマークされる。これにより、保険業界では、衝撃の入力箇所を時計に見立てて何時の方向という表現を用いるため、入力箇所表示領域を用いて視覚的に衝撃の方向を容易に把握することができる。
【0066】
軌跡表示領域m13に対して所定のユーザ操作(例えば、マウスを用いたポインティング操作)がなされると、新たなタブ又はウィンドウが開いて、
図9に示す走行情報詳細画面M2が表示される。
【0067】
図9に示す走行情報詳細画面M2には、拡大された軌跡表示領域m21が設けられている。
【0068】
軌跡表示領域m21に対して所定のユーザ操作(例えば、事故の発生地点近傍に対するポインティング操作)がなされると、新たなタブ又はウィンドウが開いて、
図10に示す事故状況画面M3が表示される。
【0069】
図10に示す事故状況画面M3には、事故の状況をアニメーションで説明するアニメーション表示領域m31と、事故の状況をテキストで説明するテキスト表示領域m32とが設けられている。また、事故状況画面M3内の印刷ボタン(不図示)に対して所定のユーザ操作がなされると、出力部44において当該事故状況画面M3のハードコピーを生成することができる。
【0070】
図11は、過失割合判定サーバ30の動作を示すフローチャートである。オペレータ端末40から、特定の事故に関する過失割合の判定を指示する信号が入力されると、過失割合判定サーバ30は、判定基礎情報を取得する(ステップS20)。ここで、判定基礎情報とは、
図5に示す各判定項目に関する情報のうち、当該事故に関して取得されている情報のことである。また、過失割合判定サーバ30は、取得した判定基礎情報に基づいて、判例情報を取得する(ステップS21)。
【0071】
続いて、過失割合判定サーバ30は、判定基礎情報を判例情報に照会することにより、当該事故に関する過失割合の判定処理を行う(ステップS22)。そして、判定結果をオペレータ端末40に送信し、所定の形式で判定画面を表示させる制御を行う(ステップS23)。
【0072】
図12〜
図15は、オペレータ端末40に表示される画面を例示する模式図である。このうち、
図12は、過失割合判定画面を例示する模式図である。
図13は、走行情報詳細画面を例示する模式図である。
図14は、判例情報表示画面を例示する模式図である。
図15は、判定レポート表示画面を例示する模式図である。
【0073】
図12に示す過失割合判定画面M5は、事故の状況をアニメーションで説明するアニメーション表示領域m51と、事故を起こした人の基本情報を表示する基本情報表示領域m52と、過失割合判定に適用された判例情報(例えば「判例タイムズ(登録商標)」における事故の状況図(適用図)が表示される判定情報表示欄m53と、過失割合及び過失割合に対する修正要素が表示される判定表示欄m55と、過失割合の判定において考慮すべき項目(判定項目)が表示される判定項目表示欄m56と、判定項目の詳細表示欄m59と、印刷ボタン(不図示)と、判例資料表示ボタンm70と、類似判例表示ボタンm80とを含む。このうち、判定情報表示欄m53、判例詳細表示欄m54、及び、判定表示欄m55のうちの修正要素の欄には、判例データD31(
図4参照)から抽出された情報が表示される。なお、
図12に示す過失割合判定画面M5は、少なくとも判定項目表示欄m56と、判定項目の詳細表示欄m59とを表示することにより、事故状況の判定を客観的かつ容易に把握することができる。例えば、オペレータは、判定項目表示欄m56内の確認ボタンm57をユーザが操作(クリック等)することで、その項目に対応する詳細表示が、詳細表示欄m59に表示される。また、詳細表示欄m59内の詳細表示ボタンm60をユーザが操作(クリック等)することで、その判定項目の客観的な証拠データ、例えば、ドライブレコーダにより撮像された動画像などが表示される。
【0074】
判定表示欄m55のうちの修正要素の各行は、操作入力部43を用いた所定のユーザ操作(例えばマウスを用いたポインティング操作)により選択可能となっている。選択要素の行が選択されると、当該選択された行における過失割合の調整値が過失割合に反映される。例えば、基本の過失割合「A0:B100」であった場合に、「Aに著しい過失」の行が選択されると、Aの過失割合を「+10」とする修正がなされ、過失割合が「A10:B90」に変化する。
【0075】
判定項目表示欄m56の各判定項目の行には、確認ボタンm57と、プルダウン方式の検索条件選択ボタンm58とが設けられている。確認ボタンm57に対して所定のユーザ操作がなされると、判定項目の詳細表示欄m59が自動スクロールされ、確認ボタンm57が操作された判定項目に関する情報が表示される。判定項目表示欄m56に表示された判定項目のうち、確認ボタンm57が一度も操作されていない項目がある場合(即ち、詳細が確認されていない判定項目がある場合)、当該判定項目が強調表示されるなどして、オペレータにアラートが通知される。
【0076】
判定項目の詳細表示欄m59には、過失割合の判定の根拠となった事実と、その事実を証明するための証拠の画像とが関連付けて表示される。判定項目の詳細表示欄m59には、判定項目表示欄m56に表示された各判定項目に関連する静止画像及びテキストデータが、サムネイル方式で表示されている。判定項目の詳細表示欄m59に表示された詳細表示ボタンm60に対し、所定のユーザ操作がなされると、新たなタブ又はウィンドウが開いて、
図13に示す走行情報詳細画面M6が表示される。
【0077】
走行情報詳細画面M6は、当該判定項目に関連する動画像が再生される動画表示領域m61を含む。この動画像は、ドライブレコーダにより撮影された映像データから抽出されたものである。なお、判定項目の詳細表示欄m59に表示された静止画像は、この動画像内の1フレームである。動画表示領域m61に表示される動画像においては、過失割合の判定結果に関連する箇所が強調表示される。例えば
図12においては、前を走行する車両のテールランプ(ブレーキランプ)や歩道を走行する自転車が、重畳表示された枠m62、m63により強調されている。
【0078】
再び
図12を参照すると、過失割合判定画面M5内の判例資料表示ボタンm70に対して所定のユーザ操作がなされると、新たなタブ又はウィンドウが開いて、
図14に示す判例情報表示画面M7が表示される。判例情報表示画面M7には、当該事件に関する過失割合判定に適用された判例情報が表示される。なお、
図14においては、判例情報の一例として、判例タイムズ(登録商標)の第○○号第○○頁を例示している。
【0079】
また、過失割合判定画面M5内の類似判例表示ボタンm80に対して所定のユーザ操作がなされると、新たなタブ又はウィンドウが開いて、類似判例表示画面(不図示)が表示される。類似判例表示画面には、当該事件と類似する事例に関する判例情報における事故の状況図(適用図)が、サムネイル方式で表示されている。
【0080】
類似判例表示画面内の適用図に対して所定のユーザ操作がなされると、さらに、新たなタブ又はウィンドウが開いて、判例要約表示画面(不図示)が表示される。判例要約表示画面には、選択された適用図と、当該判決の要旨と、判決の抜粋と、当該判決において決定された過失割合とが表示されている。
【0081】
再び
図11を参照すると、過失割合判定サーバ30は、オペレータ端末40に対する操作に応じて送信された信号に従って、
図12〜
図14に示す画面をオペレータ端末40に表示させる(ステップS23)。また、オペレータ端末40において、判定項目を修正するユーザ操作がなされると(ステップS24:Yes)、過失割合判定サーバ30は、当該ユーザ操作に応じて送信された信号に従って、過失割合の判定処理を再び実行する(ステップS22)。
【0082】
オペレータ端末40において、判定項目を修正する操作がなされない場合(ステップS24:No)、過失割合判定サーバ30は、オペレータ端末40において過失割合を決定する操作がなされたか否かを判定する(ステップS25)。例えば、オペレータ端末40から、過失割合判定画面M5内の印刷ボタン(不図示)に対して所定のユーザ操作がなされた旨の信号が送信されると、過失割合判定サーバ30は、過失割合を決定する操作がなされたと判定する。
【0083】
過失割合が決定された場合(ステップS25:Yes)、過失割合判定サーバ30は、レポート画面をオペレータ端末40に送信して表示させる(ステップS26)。他方、過失割合が決定されない場合(ステップS25:No)、過失割合判定サーバ30は、オペレータ端末40に判定画面を表示させ続ける(ステップS23)。
【0084】
オペレータ端末40においては、過失割合判定画面M5内の印刷ボタン(不図示)に対して所定のユーザ操作がなされると、新たなタブ又はウィンドウが開いて、
図15に示す判定レポート表示画面M10が表示される。判定レポート表示画面M10は、前文表示欄m101と、事故の状況をアニメーションで説明するアニメーション表示領域m102と、事故の状況をテキストで説明するテキスト表示領域m103と、過失割合判定に適用された判例情報の適用図が表示される判定情報表示欄m104と、基本的な過失割合及び修正要素が表示される判定表示欄m105と、過失割合判定の結論が表示される判定結果表示欄m106と、コメント表示欄m107とを含む。判定レポート表示画面M10は、過失割合の判定結果やその根拠を、保険の契約者や事故の相手方保険会社に開示するためのレポート用画面であり、印刷することができる。
【0085】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、客観的な情報に基づいて事故の状況を可視化して表示するので、事故状況を客観的かつ容易に把握することができる。また、判定項目に対するユーザ操作に応じて、その判定項目の証拠データが表示されるので、オペレータは容易に事故状況を把握することができる。また、本発明の実施形態によれば、効率的かつ客観的な情報(例えばドライブレコードの映像データ)をオペレータが確認することができ、公平性のある過失割合の判定を行うことができる。特に、当事者や目撃者の証言等の主観的な情報だけではなく、当事者の車両又は周囲を走行する車両のドライブレコーダにより撮影された映像データをもとに事故の状況を再現するので、当事者にとっても納得感のある過失割合を決定することができる。さらに、自動車事故における客観的事実に基づく事故状況を容易に確認することが可能であり、また、当該事故状況に基づく過失割合の判定結果及び、その根拠を容易に確認することが可能である。
【0086】
また、本発明の実施形態によれば、過失割合の判定に当たって適用された判例情報と、適用の根拠となった事実を同じ画面に表示するので、ユーザ(オペレータ)は、過失割合判定の論理を容易に理解することができると共に、必要な要素を容易に修正することができる。
【0087】
変形例
上記実施形態においては、過失割合判定サーバ30において過失割合の判定や、種々の表示制御を行い、オペレータ端末40に所定の画面を表示させることとした。しかしながら、オペレータ端末40において、過失割合を判定したり、所定の画面を表示装置(表示部42)表示するための制御を行ったりしても良い。この場合、オペレータ端末40に、過失割合判定用のプログラム及び画面表示制御用のプログラムをインストールした上で、自車両挙動データD27及び相手車両・周辺環境データD28を事故状況把握サーバ20又は過失割合判定サーバ30からダウンロードし、これらのプログラムを実行すれば良い。