(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808907
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】微小光学構造の複製及び形成のためのインラインキャスティング装置を有する印刷機
(51)【国際特許分類】
B41F 19/02 20060101AFI20201221BHJP
B41F 7/02 20060101ALI20201221BHJP
B41F 11/00 20060101ALI20201221BHJP
B41F 23/04 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
B41F19/02
B41F7/02 123
B41F11/00
B41F23/04 B
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-544048(P2019-544048)
(86)(22)【出願日】2018年2月20日
(65)【公表番号】特表2020-508236(P2020-508236A)
(43)【公表日】2020年3月19日
(86)【国際出願番号】EP2018054103
(87)【国際公開番号】WO2018153839
(87)【国際公開日】20180830
【審査請求日】2019年10月11日
(31)【優先権主張番号】17157503.8
(32)【優先日】2017年2月22日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】17167792.5
(32)【優先日】2017年4月24日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591031371
【氏名又は名称】カーベーアー−ノタシ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】スティアマン,ロブ
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリエビッチ,アナ
(72)【発明者】
【氏名】パルム,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ケルステン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ベルトン,オレリー
【審査官】
加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−515311(JP,A)
【文献】
特表2016−510700(JP,A)
【文献】
特表2009−511304(JP,A)
【文献】
特開2001−187442(JP,A)
【文献】
特開2007−090670(JP,A)
【文献】
特開2013−184449(JP,A)
【文献】
特表2016−536169(JP,A)
【文献】
特開2015−077770(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第03017946(EP,A1)
【文献】
国際公開第2015/107488(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0024846(US,A1)
【文献】
国際公開第2017/009625(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 5/00 − 13/70
B41F 15/00 − 15/46
B41F 16/00 − 19/08
B41M 1/00 − 3/18
B42D 25/00 − 25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に紙幣のような機密文書の製造のための、シート状又はウェブ状の基材(S)に印刷を実行するように適合された印刷機(100*;100**)であって、印刷されることとなる前記基材(S)を供給するための基材供給装置(1)と、前記基材(S)の第1面(I)及び/又は第2面(II)に印刷するように設計された少なくとも印刷ユニット(2*;2**)と、印刷された前記基材(S)を受け取るデリバリユニット(4)と、を備え、前記印刷機(100*;100**)は、前記供給装置(1)と前記デリバリユニットとの間の前記基材(S)のための運搬経路に、前記基材(S)の第2面(II)の一部上に、光学媒体として作用する材料の層を塗布し、かつ、光学媒体として作用する材料の前記層内にレンズ構造である微小光学構造(L)を複製及び形成するように適合されたインラインキャスティング装置(80;80***)をさらに備え、前記インラインキャスティング装置(80;80***)は、光学媒体として作用する材料の前記層の少なくとも一部を塗布するための少なくとも塗布ユニットを備え、スクリーン印刷ユニット(82、82a、84)が、光学媒体として作用する材料の前記層の少なくとも一部を塗布するための塗布ユニットとして作用し、前記印刷ユニット(2*;2**)は、印刷胴(5;6;7;8)を備える少なくとも1つの印刷グループ(91;92;93;94)であって、前記第2面(II)に形成された前記微小光学構造(L)と見当合わせして前記基材(S)の前記第1面(I)上に少なくとも1つの印刷パターンを印刷するように適合された少なくとも1つの印刷グループ(91;92;93;94)を備え、少なくとも1つの前記印刷グループ(91;92;93;94)は、前記基材(S)上に印刷される前に収集されることとなる少なくとも2つの刷り又はインキパターンを収集するための収集印刷グループとして設計される、印刷機(100*;100**)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記印刷グループ(91;92;93;94)は、間接印刷を可能にする又は実行するように設計され、かつ少なくとも1つの前記印刷グループ(91;92;93;94)は、前記印刷胴(5;6;7;8)及び2以上の関連のインキ装置(25;26)と協働する2以上の版胴(15;16)を備える、請求項1に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項3】
前記インラインキャスティング装置(80;80***)は少なくとも1つのエンボス胴(85)を備え、前記エンボス胴(85)は、光学媒体として作用する材料の前記層内に前記微小光学構造(L)を複製及び形成するように設計された複製媒体(RM)を支持するキャリア(CR)として作用する、及び/又は、ある角度範囲にわたって前記基材を運ぶ及び/又は支持する運搬胴として作用する、請求項1に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項4】
前記インラインキャスティング装置(80;80***)は、前記複製媒体(RM)に対して前記基材(S)を押し付けるために前記エンボス胴(85)と協働する少なくとも1つの加圧胴又はローラ(86)をさらに備える、請求項3に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項5】
前記エンボス胴(85)は、前記基材(S)の前記運搬経路において前記塗布ユニットのすぐ後ろに配置される、請求項3又は4に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記印刷グループ(91;92;93;94)は、1以上の版胴(15;16)と、オフセット印刷を可能にする又は実行するように設計された1以上の関連のインキ装置(25;26)と、を備え、及び/又は、1以上の版胴(15;16)と、間接凸版印刷を可能にする又は実行するように設計された1以上の関連のインキ装置(25;26)と、を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記印刷グループ(91;92;93;94)の前記印刷胴(5;6、7;8)は、複数の関連の版胴(15;16;17;18)から、好ましくは異なる色のインキパターンを収集して、前記基材(S)上に、結果として生じる多色パターンのインキを転写するための収集胴として作用し、少なくとも1つの前記印刷グループ(91;92;93;94)の前記印刷胴(5;6;7;8)は、前記微小光学構造(L)と見当合わせして、前記微小光学構造(L)が複製される前記基材(S)の第2面(II)とは反対側の前記基材(S)の第1面(I)の上に、結果として生じる多色パターンのインキを転写する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項8】
前記印刷ユニット(2*;2**)は、前記基材(S)の同時両面印刷のための両面印刷グループとして共通ニップを構築するために、少なくとも1つの一方の印刷グループ(91;93)が他方の印刷グループ(92;94)と協働することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項9】
第2の印刷グループ(92)は、前記基材(S)上に印刷される前に収集されることとなる少なくとも2つの刷り又はインキパターンを収集するための収集印刷グループとして設計され、前記第2の印刷グループ(92)は、複数の関連の版胴(15)から、好ましくは異なる色のインキパターンを収集して、前記微小光学構造(L)と見当合わせして及び/又は第1の印刷グループ(91)によって実行された印刷とともに、前記基材(S)の前記第1面(I)上に、結果として生じる多色パターンのインキを転写するための収集胴として作用する少なくとも1つの胴(5)を備える、請求項8に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項10】
前記印刷機は、個々のシート(S)上に印刷を実行するように適合されたシート供給印刷機であり、前記インラインキャスティング装置(80;80***)と前記印刷ユニット(2*;2**)との間の前記シートの移送は、協働する胴グリッパを介してもっぱら胴から胴へと実行される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項11】
前記インラインキャスティング装置(80;80***)は、光学媒体として作用する材料の前記層内での前記微小光学構造(L)の複製中及び/又は複製後、光学媒体として作用する材料の前記層を乾燥又は硬化させるために、好都合には紫外線硬化ユニット、好ましくは紫外線LED硬化ユニットとしての少なくとも1つの乾燥/硬化ユニット(51、52)を備え、前記乾燥/硬化ユニット(51;56)は、前記微小光学構造(L)が複製される前記基材(S)の第2面(II)とは反対側の前記基材(S)の第1面(I)から、光学媒体として作用する材料の前記層を乾燥又は硬化させるために配置される、又は、前記微小光学構造(L)が複製される前記基材(S)の前記第2面(II)から、光学媒体として作用する材料の前記層を乾燥又は硬化させるために配置される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項12】
前記印刷機(100*;100**)は、前記微小光学構造(L)が設けられる第2面(II)とは反対側の前記第1面(I)上で前記基材(S)に印刷するために前記運搬経路内に第3の印刷グループ(93)および第4の印刷グループ(94)を備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項13】
前記微小光学構造(L)は、前記印刷パターンが前記印刷ユニット(2*;2**)の少なくとも1つの前記印刷グループ(91;92;93;94)によって印刷される場所の上流で前記インラインキャスティング装置(80;80***)によって複製される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項14】
前記インラインキャスティング装置(80;80***)は、前記基材(S)の前記第2面(II)の一部上に光学媒体として作用する材料の層を塗布するように適合され、かつ、前記第2面(II)で前記基材(S)上に光学媒体として作用する前記材料を最初に塗布して下流で前記エンボス胴(85)に接触させられて前記微小光学構造(L)を形成することによって、光学媒体として作用する材料の前記層内に前記微小光学構造(L)を複製及び形成するように適合される、請求項3又は請求項3を引用する請求項4〜13のいずれか1項に記載の印刷機(100*;100**)。
【請求項15】
前記インラインキャスティング装置(80;80***)は、前記基材(S)の前記第2面(II)の一部上に光学媒体として作用する材料の層を塗布するように適合され、かつ、前記材料を塗布されることとなる前記基材(S)によってまだ覆われていない角度セグメント内の前記エンボス胴(85)の側面上に直接、光学媒体として作用する前記材料を最初に塗布することによって光学媒体として作用する材料の前記層内に前記微小光学構造(L)を複製及び形成するように適合される、請求項3又は請求項3を引用する請求項4〜14のいずれか1項に記載の印刷機(100*;100**)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、シート状又はウェブ状の基材に印刷を実行するように適合された印刷機、特に、基材の第1面及び/又は第2面を印刷するように設計された印刷ユニットを備える、例えば紙幣のような機密文書を製造するための印刷機、特にオフセット印刷機に関する。本発明は特に、好ましくは印刷ユニットを有する印刷機に特に関し、印刷ユニットは、基材上に印刷される前に予め、例えば収集胴である胴上にそれらのそれぞれの色の異なる刷りのインキパターンをそれぞれ収集することによって基材の第1面及び/又は第2面を印刷するように設計された少なくとも1つの印刷グループを有する。
【背景技術】
【0002】
例えば紙幣のような機密文書を製造するためのオフセット印刷機は、特に、欧州特許出願公開第0949069号、並びに、国際公開第2007/042919号、国際公開第2007/105059号、国際公開第2007/105061号、国際公開第2008/099330号及び国際公開第2016/071870号により従来公知であ
る。
【0003】
欧州特許出願公開第3017946号には、2つの印刷ユニットを備える印刷機が開示され、2つの印刷ユニットはそれぞれ2つの印刷胴を有し、互いに協働して、印刷ニップを形成する。印刷胴は、ブランケット洗浄装置により洗浄されることが可能である。
【0004】
特に、国際公開第2007/042919号には、印刷機の主印刷グループの上流に配置された追加印刷グループをさらに備える、シートの同時両面印刷に適合された両面オフセット印刷機が開示されている。
【0005】
図1及び
図2は、紙幣や同様の機密文書の製造に通常使用されるような、シートの同時両面印刷を実行するように適合されたそうした両面印刷機を示しており、当該印刷機は参照符号100によって全体が示されている。こうした印刷機は、特に本出願人によってSuper Simultan(登録商標)IVの製品名で市販されている。
図1及び
図2に示す印刷機100の基本構成は、国際公開第2007/042919号の
図1に示され、かつ、
図1を参照して説明されたものと同様である。
【0006】
この印刷機100は、(いわゆるSimultanオフセット印刷原理に従って)シートの同時両面印刷を実行するように特に適合された印刷ユニット2を備えており、かつ、当該技術分野において典型的であるように、矢印で示す方向に回転して、シートが多色刷りを受けるためにその間に供給される2つのブランケット胴(又は印刷胴)5、6を備えている。この例では、ブランケット胴5、6は、参照符号20で示される1対のサイドフレームの間で支持される3セグメント胴である。ブランケット胴5、6は、ブランケット胴5、6の外周の一部周りに分配された版胴15及び16(各側に4つ)からそれらのそれぞれの色の異なるインキパターンを受けて収集する。各々が対応の印刷版を支持するこれらの版胴15及び16は、それ自体、対応のインキ装置25及び26によってインキ付けされる。版胴15、16は、関連のインキ装置25、26と共に、一種の色分解デリバリ(delivery)ブランチを形成し、それぞれのブランケット胴5、6上に収集するためにそれぞれの分解をデリバリする。2つのグループのインキ装置25、26は、中央に配置された版胴15、16及びブランケット胴5、6に向かって又はそれらから離れるように移動することができる2つのインキキャリッジ21、22内に有利に支持される。
【0007】
当該技術分野で知られているように、各印刷版は、対応の版胴15、16の周りに巻き付けられ、そして、適切な版クランプシステムによってその前端部及び後端部でクランプされ、この版クランプシステムは、版胴の対応の胴ピット内に配置される(例えば
、国際公開第2013/001518号、国際公開第2013/001009号及び国際公開第2013/001010号を参照のこと)。
【0008】
シートは、印刷ユニット2の隣(
図1及び
図2の右側)に配置されたフィーダテーブル1
*上の例えばシートフィーダ1である基材デリバリユニット1から、ブランケット胴5、6の上流に配置された一連の移送胴9、8’、10(この例では3つの胴))に供給される。移送胴8'によって搬送されている間、シートは、追加印刷グループを使用してシートの片面に第1刷りを受け、移送胴8'は圧胴の追加機能を実行する。この追加印刷グループは、移送胴8'に加えて、対応のインキ装置28によってインキ付けされた2つの版胴18からインキを収集するブランケット胴8(この例では2セグメント胴)から構成される。インキ装置28は、版胴18及びブランケット胴8に向かって又はそれらから離れるように移動することができるインキキャリッジ24内に有利に支持される。追加印刷グループによって印刷されたシートは、下流側に配置された主印刷グループに移送される前にシート移送胴8'によって搬送されている間に、乾燥/硬化ユニット(
図2において参照番号50で示される)によって最初に乾燥/硬化させられる。
【0009】
図1及び
図2の例では、シートはブランケット胴5の表面上に移送され、そこで各シートの前縁がブランケット胴5の各セグメント間の胴ピット内に配置された適切なグリッパ手段によって保持される。このようにして各シートはブランケット胴5によってブランケット胴5及び6の間の印刷ニップに搬送され、そこで同時両面印刷が行われる。両面に印刷されると、印刷されたシートは、当技術分野で既知であるように、複数(例えば3つ)のデリバリパイルユニットを備える例えばシートデリバリユニット4である基材デリバリユニット4でのデリバリのためにシート運搬システム3(間隔を空けたグリッパバーを有するチェーングリッパシステム等)に移送される。
図2の参照符号31は、シート運搬システム3の上流端に配置された1対のチェーンホイールを示している。
【0010】
図1及び
図2の例では、吸引ドラム又は胴等の第1及び第2移送胴又はドラム11、12が、シート運搬システム3とブランケット胴5との間に挟み込まれている。これらの第1及び第2移送胴11、12は、任意選択であり(従って、省略されることもできる)、かつ、例えば国際公開第2007/105059号で説明されているように、両面でシートの検査を実行するように設計されている。
図2の参照符号61、62は、胴又はドラム11、12と協働する対応の検査カメラ(ラインスキャンカメラ等)を示している。
【0011】
図1及
図2の印刷機は、非常に高い色間見当合わせで多色パターンを印刷することを目的として特に使用される。そのような多色パターンは、特に、例えば参照によって本願明細書に組み込まれる国際公開第2007/020048号、国際公開第2014/039476号及び国際公開第2014/085290号に開示されているような光学可変効果を形成するための微小光学構造(微小レンズ構造等)に特に組み合わせられることができる。
【0012】
関連の微小光学構造は、通常、当該関連の微小光学構造の形成前又は形成中に拘わらず、特に基材材料内に形成される透明窓と組み合わせて、別個かつ専用のプロセスで適用される。そのような微小光学構造を形成するための既知の方法は、例えば、欧州特許出願公開第1878584号、並びに、国際特公開第94/27254号、国際公開第2007/020048号、国際公開第2014/125454号、国際公開第2015/022612号及び国際公開第2015/107488号に開示されて
いる。
【0013】
国際公開第2015/022612号は、より正確には、透明なポリマー材料で充填された窓領域と、窓領域の片側で充填物を覆う微小光学構造と、を有する基材を開示している。さらに、そのような基材を形成するための2つの代替の方法及び装置が開示されている。セキュリティの製造の一部としてのそのように提供された基材は、微小光学構造とは反対の側に印刷されることができる。
【0014】
しかしながら、必要な微小光学構造を形成するための別個かつ専用のプロセスの適用は、面倒であり、かつ、関連のセキュリティ機能及びそれを組み込んだ文書の作成の複雑さ及びコストを増大させる。従って、改善された解決策、特に微小光学構造を組み込んだセキュリティ要素を備えた文書の作成を合理化及び単純化する解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【0015】
本発明の概略的な目的は、前述のタイプの既知の印刷機を改良することである。
【0016】
より正確には、本発明の目的は、基材材料上に提供されることとなる微小光学構造と、そうした微小光学構造と組み合わせて印刷されることとなる印刷パターンとの間の高い見当合わせを達成することを可能にする印刷機を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、機械の操作性及びアクセス性が損なわれない印刷機を提供することである。
【0018】
これらの目的は、特許請求の範囲に規定された印刷機によって達成される。特に、シート状又はウェブ状の基材上に印刷を実行するように適合された印刷機が提供され、特に紙幣のような機密文書を製造するための印刷機が提供され、印刷機は、インラインで適用された光学構造に見当合わせされた基材の第1面及び/又は第2面に印刷するように設計された印刷ユニットを備え、印刷機は、好ましくは、基材上に全体に印刷される前に予め、例えば収集胴である胴上に複数の版胴からそれらのそれぞれの色及び/又は複数の刷りの異なるインキパターンを収集することによって基材の第1面及び/又は第2面に印刷するように設計された少なくとも1つの印刷グループを有する印刷ユニットを備える。そのような印刷グループは、刷り収集グループ、又は、さらに引用されるように収集印刷グループとさらに短く呼ばれる。
【0019】
上記に代えて又は好ましくは上記に加えて、好適な実施形態では、印刷グループは、間接平版印刷すなわちオフセット印刷、又は、間接凸版印刷、例えばレターセット印刷、又は、それらの両方の組み合わせなどの間接印刷のための印刷グループとして設計される。
【0020】
印刷ユニット又は特に収集印刷グループは、好ましくは、オフセット印刷を可能にする及び/又は実行するように設計された少なくとも1以上のインキ装置及び関連の版胴で構成されることができ、少なくとも1以上のインキ装置及び関連の版胴は、平版印刷版をそれぞれの版胴上に配置するための湿しシステム及び/又は少なくとも可能性を例えば備える。これらのインキ装置は、不活性湿し装置を用いて又は用いないで、かつ、凸版印刷版を用いて、レターセット印刷のために運転されることもできるが、それでもなお、印刷グループ又は印刷ユニットは、少なくとも部分的に、オフセット印刷グループのそれぞれの印刷ユニットとして設計される。オフセット印刷を可能にする及び/又は実行するように設計された版胴及びインキ装置に加えて、収集印刷グループ又はユニットは、特に他の種類の印刷、例えばレターセット印刷のみを実行するように設計された関連のインキ装置を有する追加の版胴を備えることができる。この意味において、上記収集印刷ユニット又はグループは、その版胴及び対応のインキ装置の少なくとも1つ、それ以上、又はすべてが、オフセット印刷を可能にする及び/又は実行するように設計されている場合、オフセット印刷ユニット又はグループとして理解される。
【0021】
代替の実施形態では、印刷ユニット又は特に収集印刷グループは、例えばレターセット印刷等の間接凸版印刷を可能にする及び/又は実行するように設計された1以上の版胴及び関連のインキ装置のみで構成されることができる。
【0022】
本発明によれば、印刷機は、基材の第1面又は第2面の一部に、光学媒体として作用する材料の層を塗布し、かつ、光学媒体として作用する材料の層内に微小光学構造を複製して形成するように適合されたインラインキャスティング装置をさらに備える。さらに、印刷ユニットは、微小光学構造に見当合わせして基材の第1面又は第2面に少なくとも1つの印刷パターンを印刷するように適合される。基材の面に関する用語「第1」面及び「第2」面は、任意に選択され、かつ、逆にされてもよい。
【0023】
本発明の好適な実施形態によれば、インラインキャスティング装置は、少なくとも1つの塗布ユニットを備え、塗布ユニットは、例えば、光学媒体として作用する材料の層の少なくとも一部を塗布するための、塗布ユニットとして作用するスクリーン印刷ユニットである。本発明の関連において、例えば、特に光学媒体として作用する材料の量が増やされることとなる場合、例えばスクリーン印刷ユニットである2以上の塗布ユニットが設けられてもよい。スクリーン印刷以外の他の方法も、光学媒体として作用する関連の材料を塗布することをさらに意図されることができるが、スクリーン印刷は、本発明の関連において依然として好適な方法であることを理解されたい。代替案は、例えば、フレキソ印刷ユニットをそれぞれの塗布ユニットとして使用することにあってもよい。本発明の別の好適な実施形態によれば、インラインキャスティング装置は、エンボス型を有する少なくとも1つのエンボス加工ツールを有利に備えてもよく、エンボス加工ツールは、例えば、光学媒体として作用する材料の層内に微小光学構造を複製及び形成するように設計された複製媒体を支持するキャリアとして作用するエンボス胴である。これに関連して、エンボス胴と協働する少なくとも1つの加圧胴又はローラを付加的に提供して、関連の微小光学構造の最適な複製及び形成を確実にする複製媒体に対して基材を押し付けることが特に有利である。前述のエンボス胴は、特に、前述の塗布ユニットのすぐ後ろに配置されることができる。
【0024】
好適な実施形態では、光学媒体として作用する材料は、好ましくは、エンボス加工ツールすなわちエンボス胴と接触させられる前に基材上に直接塗布されることができる。この場合の塗布はエンボス加工ツールの上流の基材経路に配置されている。
【0025】
代替の実施形態では、光学媒体として作用する材料は、例えば基材がその上に配列される前にエンボス胴の表面上にエンボス型で直接塗布されることができる。この場合の塗布ユニットは、エンボス加工ツールに、好ましくはエンボス胴の外周に、特に基材のデリバリと引き取りとの間の周辺部分に配置されている。
【0026】
キャスティング装置は、エンボス胴が基材を運ぶ搬送又は運搬胴とのニップでのみ基材上に作用するように設計されることができるが、好適な実施形態では、エンボス胴は、特に重要な角度範囲、例えば少なくとも90度の回転にわたって基材を運ぶ及び/又は支持する搬送胴及び/又は運搬胴として作用する。
【0027】
好ましくは、印刷機は、メンテナンス作業中にエンボス胴に選択的に接触させてエンボス胴の表面を洗浄することができる洗浄装置をさらに備えることができる。これは、微小光学構造を形成するために使用される材料の残留物の除去を促進する点で特に有利であろう。
【0028】
さらに、印刷機は、個々のシートに印刷を実行するように適合されたシート供給印刷機として有利に設計されることができ、インラインキャスティング装置と印刷ユニットとの間のシートの移送は、協働する胴グリッパを介してもっぱら胴から胴に実行され、この解決策は、印刷物と関連の微小光学構造との間の最適な見当合わせ精度を保証する。
【0029】
本発明のさらなる実施形態によれば、インラインキャスティング装置は、少なくとも1つの乾燥/硬化ユニット(好ましくは、紫外線硬化ユニット、例えば紫外線LED硬化ユニット等が好都合である)をさらに備えることができ、乾燥/硬化ユニットは、光学媒体として作用する材料の層における微小光学構造の複製中及び/又は複製後に光学媒体として作用する材料の層を乾燥又は硬化させる。
【0030】
これは、特に、基材がまだ前述のエンボス胴上で処理されている間(その場合、乾燥/硬化ユニットは、エンボス胴の外周の一部周りに配置されることとなる)、微小光学構造が複製される基材の面とは反対側の基材の面から、光学媒体として作用する材料の層を乾燥又は硬化させるために配置された乾燥/硬化ユニットによって有利に実行されることができる。
【0031】
代替的に又は上記の手段に加えて、特に、前述のエンボス胴のすぐ後ろに配置された移送胴によって基材が搬送されている間(その場合、乾燥/硬化ユニットは、この移送胴の外周の一部周りに配置されることとなる)、微小光学構造が複製される基材の面から、光学媒体として作用する材料の層を乾燥又は硬化させるために乾燥/硬化ユニットが配置されることができる。
【0032】
本発明の印刷機は、特に、印刷ユニットが間接印刷ユニットとして動作するように設計されているタイプのものであってもよく、例えば、上記の意味でのオフセット又は間接凸版印刷ユニット、特に、好ましくは上記の意味で、基材の同時両面印刷用のSimultanタイプオフセット印刷ユニット、特にSimultanタイプオフセット印刷ユニットとして動作するように設計されているタイプのものであってもよい。
【0033】
好ましくは、微小光学構造は、印刷パターンが印刷ユニットによって印刷される場所の上流でインラインキャスティング装置によって複製される。しかしながら、本発明の範囲内で、インラインキャスティング装置は、関連の印刷ユニットの後又は2つの印刷ユニットの間であれ、印刷機内の任意の適切な場所に設けられてもよく、又は、印刷ユニットの一体部分を形成することさえできる。
【0034】
本発明のさらなる有利な実施形態は、従属請求項の主題を形成し、以下で論じられる。
【0035】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例としてのみ提示されて添付の図面によって示される本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読むことからより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】国際公開第2007/042919号に開示されているものと同様の構成を示す両面印刷機の概略図である。
【
図2】
図1の印刷機の印刷ユニットの概略部分側面図である。
【
図3A】基材に形成された窓形成部分の上に微小光学構造を備える基材の概略図である。
【
図3B】基材に形成された窓形成部分の上に微小光学構造を備える基材の概略図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る印刷機の印刷ユニットの概略部分側面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る印刷機の印刷ユニットの概略部分側面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態の変形例に係る印刷機の印刷ユニットの概略部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、原則として、印刷機のそれぞれの印刷ユニットのそうした一実施形態に限定されないが、上述したような収集印刷グループ(91;92;93;94)として設計された少なくとも1つの印刷グループ(91;92;93;94)を有する印刷ユニットを備える、好ましくはシート供給印刷機、及び/又は、特に間接印刷に基づいて、(m)対(m)構成(mが4に等しい
図4の実施形態を参照)、(m+n)対(m+n)構成(m、nはそれぞれ4及び2に等しい
図5の実施形態を参照)、又は、(m)対(m+n)構成(m、nはそれぞれ4及び3に等しい
図6及び
図7の実施形態を参照)を示す、好ましくはシート供給両面印刷機である、印刷機の好適な実施形態の特定の関連において説明される。表現「(m)対(m)構成」は、各面にmの色分解又はフレームが印刷された同時両面印刷として、及び/又は、両面印刷機の構成として理解されるべきであり、印刷ユニット又は印刷グループは、第1印刷胴と協働する第1セットのm個の版胴と、第2印刷胴と協働する第2セットのm個の版胴と、を備え、第1印刷胴及び第2印刷胴は協働して共通の印刷ニップを形成する。しかしながら、本発明はこれらの特定の印刷機構成に限定されず、版胴の数は単なる例示であることを理解されたい。とはいえ、
図4〜
図6に示すような印刷機構成は、非常に高い色間見当合わせ精度を可能にするので特に有利である。
【0038】
収集印刷グループ(91;92;93;94)は、全体で収集された画像として基材上に印刷される前に、例えばいわゆる収集胴上である胴上にいくつかの版胴からいくつかの刷り又はパターンを最初に収集することによって、基材の少なくとも片面を印刷するように設計される。
【0039】
本発明の関連において、表現「印刷胴」は、印刷グループ(91;92;93;94)の関連の胴を示すために使用され、例えば、基材(例えばシート)の第1面及び第2面と直接協働してその上に印刷パターンを転写する、主印刷グループ(91、92)及び任意の追加印刷グループ(93、94)の関連の胴を示すために使用される。この表現は、表現「移送胴」又は「ブランケット胴」と置換可能であることが好ましく、関連の印刷胴は、数、例えば1つ又はいくつかの印刷ブランケットを支持していることを理解されたい。
【0040】
表現「印刷グループ」(91;92;93、94)が、機器、例えば少なくとも基材の片面に印刷するための印刷ニップに属する胴、ローラ、及びインキ装置の手段のために使用される。そのための両面印刷グループ(91、92;93、94)は、2つの印刷グループ(91;92;93;94)を有する特別な印刷グループ(91、92;93、94)であり、通過する基材の両面を同時に印刷するために同じ印刷ニップを共有し、他の印刷グループ(92;91;94;93)のための対向加圧胴としてその印刷胴と相互に作用する。
【0041】
当然のことながら、いくつかの印刷グループ91;92;93;94は、同じ印刷ユニット2;2
*;2
**;2
***;2
****内に配列されることができ、これらの印刷グループ91;92;93;94は、例えば、単一のフレーム壁又は複数部分のフレーム壁に配列されている。
【0042】
以下の説明では、「第1面」(参照符号Iで示す)及び「第2面」(参照符号IIで示す)の表現を使用して、印刷中のシートの2つの反対の面を指定する。より正確には、
図4〜
図6の図示において、「第1面」Iは、白い三角形によって示されるシートの面を示す一方で、「第2面」IIは、黒い三角形によって示されるシートの面を示す。しかしながら、これらの表現は置換可能である。
【0043】
図3A〜
図3Bは、基材Sを貫通する開口(又は貫通孔)Hを備える基材Sの一例を概略的に示している。この開口Hは、好ましくは実質的に透明な適切な充填材料によって充填されることが好ましく、基材Sの両面I、IIから目に見える透明な又は実質的に透明な窓Wを形成する。開口H及び結果として生じる窓Wの特定の形状及び幾何学的形状は設計条件に応じて変更されてもよい。開口Hの断面形状も図示の例とは異なってもよい。
【0044】
本発明によれば、微小光学構造Lを基材Sの一方の面又は他方の面に複製することが望まれる。より正確には、図示の例によれば、基材Sの第2面IIで窓Wの上に微小レンズの領域等の微小光学構造Lを複製することが望まれる。この目的のために、基材Sの面IIには、基材Sの関連部分に、対応の複製構造(複製媒体RMの表面に凹状構造として形成される)を備える複製媒体RMの表面に接触させられて当該表面に対して押圧される前に、光学媒体として作用する材料の層(例えば、後述するような適切なスクリーン印刷ユニットによって)が最初に設けられる。所望の微小光学構造Lを形成するために、任意の所望の形状及び幾何学的形状が複製構造に付与されることができる。
【0045】
図3Bに概略的に示すように、複製媒体RMは、適切なキャリアCR、特に以下に記載されるようにエンボス胴として作用する胴によって好都合に支持される。
【0046】
複製プロセスに続いて、又は好ましくは複製プロセス中に、光学媒体として作用する関連の材料は、乾燥又は硬化プロセス(特に紫外線硬化プロセス)を受ける。これは、
図3Bに概略的に示すように、基材Sが依然として複製媒体RMに接触している間に、有利には基材S及び光学媒体として作用する関連の材料を基材の第1面Iから窓部分Wを通過する紫外線(UV)放射に曝すことによって実行されることが好ましい。
【0047】
本発明は、
図3A〜
図3Bに示すもの以外の他のタイプの基材、特に例えば国際公開第2014/125454号に記載されているようなポリマー又はハイブリッド基材にも同等に適用可能であることが理解されるべきである。従って、
図3A〜
図3Bの図示は、本発明の適用範囲を決して限定するものではなく、基材材料は、例えば紙、ポリマー又はそれらの組み合わせ等の印刷可能な材料として使用可能な任意の適切な基材材料であってもよい。
【0048】
図4は、本発明の第1実施形態に係る印刷機100
*の、参照符号2
*で示される印刷ユニットの部分側面図を概略的に示している。
【0049】
この実施形態の印刷機100
*は、特に、2つの印刷グループ90;91を備える主印刷グループ91、92としての印刷グループ91、92を備えており、基材経路の各面に1つずつあり、両面に同時印刷するためのいわゆる両面印刷グループ91、92を形成する。この両面印刷グループ91、92は、要素5、6、15、16、25、26から構成され、互いに協働して第1印刷胴5と第2印刷胴6との間に第1印刷ニップを形成する、シートSの第1面I及び第2面IIが同時に印刷される特に転写胴である、第1及び第2印刷胴5、6を含み、第1印刷胴5は、それぞれの主両面印刷グループのシート運搬胴として作用する。主印刷グループの構成は、例えば、
図1及び
図2に示す主印刷グループの構成と同様である。この実施形態では、印刷胴5、6も同様に、1対のサイドフレーム20の間に支持されている3セグメント胴である。印刷胴5、6は、インキ収集胴5、6として機能し、印刷胴5、6の外周の一部周りに分配された4つ(m=4)の版胴15、16の第1セット及び第2セットのそれぞれから、それらのそれぞれの色の異なるインキパターンを受けて収集する。各々対応の印刷版を支持するこれらの版胴15及び16は、それぞれ対応の4つのインキ装置25及び26のセットによって再びインキ付けされる。2セットのインキ装置25、26は、中央に配置された版胴15、16及び印刷胴5、6に向かって又はそれらから離れるように移動することができる2つの格納可能なインキキャリッジ21、22内に支持されるのが好ましい。
【0050】
図1及び
図2に示す構成とは対照的に、主印刷グループの上流には追加印刷グループは設けられていない。代わりに、インラインキャスティング装置80が、インフィードに配置された移送胴9と、主印刷グループにシートを移送する移送胴10との間に挟み込まれており、インラインキャスティング装置80をここで説明する。
【0051】
図4に示す第1実施形態の変形例では、印刷ユニット2は、オンサイド印刷グループ91として設計されることができ、すなわち、基材経路の片側にのみ印刷グループ91を備えることができる。
【0052】
この実施形態及び以下の実施形態では、印刷機100
*又は印刷ユニット2又は主印刷グループ91;92は、微小光学構造を上流にすでに備えた又は依然として備えなければならない面II;Iとは反対の基材の面I;II上での印刷のための基材経路のその面上に少なくとも1つの印刷グループ91;93を備える。好ましくは、この少なくとも一つの印刷グループ91;93は、上述した収集印刷グループ91;93として設計される。
【0053】
好ましくは、少なくとも、基材上に直接材料を塗布する実施形態では、
図4(及び
図5)に示すインラインキャスティング装置80は、スクリーン印刷ユニット82、82a、84を備えるタイプのものであり、すなわち、その内部にスキージ装置82aが設けられた回転スクリーン胴82を備える印刷ユニットであり、この回転スクリーン胴82は、インフィードで移送胴9からシートSが連続して供給される対向加圧胴として機能する圧胴84と協働する。より正確には、この第1実施形態によれば、シートSは、シートSの第1面Iを支持する圧胴84に連続して移送され、回転スクリーン胴82は、シートSの第2面IIに接触させられる。この特定の関連において、スクリーン印刷ユニット82、82a、84は、光学媒体として作用する材料の層をシートSの第2面IIの一部に(例えば、
図3A〜
図3Bに示すように、基材Sに形成された窓形成領域W上に)塗布するように適合される。関連の材料は、任意の適切な材料、特に、紫外線放射によって好ましくは硬化可能である透明ポリマー材料であってもよい。
【0054】
原則として、塗布ユニットは、代替的に、光学媒体として作用する材料の層をシートSの第1面Iの一部(例えば、
図3A〜
図3Bに示すように基材Sに形成された窓形成領域Wであるが、面IIではなく面I)に塗布するように設計され得る。その後、基材は、その第1面がエンボス胴84の表面に面するように移動させられ、好ましくは、少なくともその他方の面、ここでは面IIの上に下流で印刷される。
【0055】
前述のスクリーン印刷ユニット82、82a、84は、微小光学構造が複製されることとなる場所に必要な材料の層を塗布するための第1塗布ユニットとして作用するように設計されている。スクリーン印刷ユニット82、82a、84の構成及び動作は、それ自体当該技術分野において既知であり、詳細に説明する必要はない。特に、本出願人の名による欧州特許出願公開第0723864号を参照することができ
る。
【0056】
図4(並びに
図5及び
図7)の図示では、1つのスクリーン印刷ユニットのみが描かれている。しかしながら、複数のスクリーン印刷ユニットが設けられることができ、それらのスクリーン印刷ユニットは1つの同一の圧胴と協働することができることを理解されるべきである。さらに、スクリーン印刷は、必要な材料を塗布するための好適なプロセスであるが、他の塗布方法も考えられる。例えばフレキソ印刷も同様に考えられる(図示せず)。
【0057】
圧胴84の下流には、シートSの第2面IIと協働する、すなわち光学媒体として作用する材料の層が塗布ユニット82、82a、84、特にスクリーン印刷ユニット82、82a、84によって塗布された面と協働する、エンボス加工ツールとして機能する少なくとも1つのエンボス胴85が設けられることが好ましい。このエンボス胴85は、例えば微小レンズの領域等を含むがこれに限定されない微小光学構造Lを、シートS上に塗布された材料の層内に複製するように設計された複製媒体RM(
図3Bに概略的に示す)をその外周上に支持することが好ましい。その点で、スクリーン印刷ユニット82、82a、84は、複製媒体RMの凹状部分を充填するのに十分な量の材料を供給するように適合されるべきである。
【0058】
さらに有利には、シートSの第1面Iと協働してエンボス胴85の外周(及びその上に配置された複製媒体RMの表面)にシートSを押し付け、それにより、光学媒体として作用する材料の層内への微小光学構造Lの適切な複製を確実にするために、加圧ローラ又は胴86が、エンボス胴85の外周周りに設けられている。
【0059】
インラインキャスティング装置80は第1乾燥/硬化ユニット51をさらに備え、第1乾燥/硬化ユニット51は、あり得る加圧ローラ又は胴86の下流でエンボス胴85の外周の一部周りに配置され、シートSがまだ処理されている最中であってエンボス胴85の外周及びその上に配置された複製媒体RMの表面に押し付けられている間に、光学媒体として作用する材料の層を乾燥又は硬化させ、それによって所望の微小光学構造Lの最適な複製及び形成を確実にする。この関連において、乾燥/硬化動作は、硬化されることとなる層が設けられている面とは反対の面、ここでは例えばシートSである基材の第1面Iから実行され、これは、
図3Bに概略的に示すように微小光学構造Lが窓形成部分Wの上に複製される場合に特に適切であることを理解されたい。
【0060】
代替的に、又は上述の乾燥/硬化ユニット51に加えて、インラインキャスティング装置80は、
図4に示すようにエンボス胴85のすぐ後ろに配置された移送胴87の外周の一部周りに配置された(第2)乾燥/硬化ユニット52を備えることができる。この場合、乾燥/硬化動作は、微小光学構造Lが複製されたシートSの第2面IIから実行されることを理解されたい。
【0061】
上述の乾燥/硬化ユニット51、52は、有利には紫外線硬化ユニット、特に紫外線LED硬化ユニットであってもよく、その場合、光学媒体として作用する材料の関連の層は、明らかに紫外線硬化性材料でなければならない。
【0062】
微小光学構造Lの複製に続いて、シートSは、下流に配置された印刷ユニット2
*に、すなわちシート移送胴10に移送される。
【0063】
従って、この第1実施形態によれば、シートSは、シートフィーダ(
図4には図示せず)から、インフィードでシート移送胴9に供給される前にシートSが従来は位置合わせされるフィーダテーブル1
*上に連続して供給される。図示するように、シートは、シート移送胴9によってインラインキャスティング装置80を通って(胴84、85及び87を介して)移送胴10に供給され、その後、主印刷グループ91、92の第1印刷胴5に供給される。
【0064】
従って、この実施形態では、シートSは、最初に面IIに微小光学構造Lが設けられ、その後、反対の面Iに少なくとも第1刷り、好ましくは両面I、IIに第1及び第2刷りを受けることが理解され、当該刷りは、主印刷グループ91、92の第1印刷胴5及び第2印刷胴6との間の印刷ニップで同時に実行される。インラインキャスティング装置80から印刷ユニット2
*へのシートSの移送は、協働する胴グリッパを介してもっぱら胴から胴へ実行されることも理解されるであろう。従って、エンボス胴85によって複製される微小光学構造Lと印刷ユニット2
*によって実行される刷りとの間の最適な見当合わせの精度が保証される。
【0065】
図5は、本発明の第2実施形態に係る印刷機100
**の、参照符号2
**で示された印刷ユニットの部分側面図を概略的に示す。
【0066】
この印刷機100
**は、
図4の第1実施形態と多くの共通の特徴、特に主印刷グループ91、92の構成要素である同じ基本構成要素5、6、15、16、25、26と、インラインキャスティング装置80の構成要素である同じ基本構成要素82、82a、84、85、86、87、51、52と、を共有している。この第2実施形態と第1実施形態との相違は、追加印刷グループ93、94がインラインキャスティング装置80と主印刷グループとの間に挟み込まれていることである。より正確には、
図5の印刷機100
**は、互いに協働して、シートSの第1面I及び第2面IIが同時に印刷される第3及び第4印刷胴7、8の間に第2印刷ニップを形成する第3及び第4印刷胴7、8を備えており、第3印刷胴7は、追加印刷グループ93、94のシート運搬胴として作用する。各印刷胴7、8は、対応のインキ装置27、28によってインキ付けされた対応の2セット(n=2)の版胴17、18からそれぞれインキを収集する。これら2セットのインキ装置27、28は、同様に、中央に配置された版胴17、18及び印刷胴7、8に向かって又はそれらから離れるように移動することができる2つの格納可能インキキャリッジ23、24内に支持されることが好ましい。
【0067】
代替的に、印刷ユニット2の右側のセットのインキ装置25、27及び/又は印刷ユニット2の左側のセットのインキ装置26、28は、1つの同一のインキキャリッジ(各側に1つ)内に支持され得る。
【0068】
図示の例では、基本構成要素7、8、17、18、27、28を有する追加印刷グループ93、94は、主印刷グループ91、92の上流及び上方に配置されており、一方の第1及び第2印刷胴5、6並びに他方の第3及び第4印刷胴7、8は、2つの水平面に沿って有利に位置合わせされている。
【0069】
基本構成要素5、6、15、16、25、26を備える主印刷グループ91、92、及び、基本構成要素7、8、17、18、27、28を備える追加印刷グループ93、94は、中間シート運搬システムによって互いに連結されており、中間シート運搬システムは、図示の実施形態では、第1印刷胴5と第3印刷胴7との間に挟み込まれた第1〜第3シート移送胴10'、10’’、10’’’を備えている。より正確には、追加印刷グループ93、94で印刷されたシートは、第3印刷胴7から第1印刷胴10'へ、第2印刷胴10’’へ、そして第3印刷胴10’’’へ、その後、主印刷グループ91、92の第1印刷胴5へ、連続して移送される。
【0070】
主印刷グループ91、92に向かう途中、シートは、第3及び第4乾燥/硬化ユニット55、56によって乾燥/硬化されることが好ましい。図示されるように、第3乾燥/硬化ユニット55は、第1シート移送胴10'、すなわち、第3印刷胴7のすぐ下流に配置されたシート移送胴と有利に協働し、そして、第4乾燥/硬化ユニット56は第2シート移送胴10’’と協働する。乾燥/硬化ユニット55、56は、有利には紫外線硬化ユニットであり、好ましくは紫外線LED硬化ユニットである。
【0071】
乾燥/硬化ユニットが第3印刷胴7上の印刷ブランケットの性能又は有用性を低下させないことを確実にするために適切な手段が講じられる限り、シートの第2面IIの乾燥/硬化は、代替的に、第3印刷胴7上で直接実行されることができる。
【0072】
この他の実施形態によれば、シートSは、従って、シートフィーダ(
図5では図示せず)からフィーダテーブル1
*上に連続して供給され、そこでシート移送胴9にインフィードで供給される前に再び従来通りに位置合わせされる。図示するように、その後、シートはシート移送胴9によって、インラインキャスティング装置80を通って(胴84、85及び87を介して)移送胴10へ、追加印刷グループ93、94の第3印刷胴7へ、その後、3つの中間シート移送胴10'〜10’’’を介して主印刷グループ91、92の第1印刷胴5へと供給される。
【0073】
従って、シートSは、最初に面IIに微小光学構造Lが設けられ、その後、両面I、IIに第1及び第2刷りを受け、これらの刷りは、追加印刷グループの第3及び第4印刷胴7、8の間の印刷ニップと、主印刷グループの第1及び第2印刷胴5、6の間の印刷ニップとで同時に実行されることが理解されよう。同様に、インラインキャスティング装置80から印刷ユニット2
**へのシートSの移送は、協働する胴グリッパを介してもっぱら胴から胴へと実行されることも理解されよう。エンボス胴85によって複製された微小光学構造Lと印刷ユニット2
**によって実行された刷りとの間の最適な見当合わせ精度はやはり保証される。
【0074】
図6は、光学媒体として作用する材料を塗布するための代替の実施形態を示している。この実施形態では、光学媒体として作用する材料は、基材すなわちシートSがその上に配置される前にエンボス型上に、例えばエンボス胴85の表面上に直接塗布される。この場合、塗布ユニットは、エンボスツール、好ましくはエンボス胴85の外周、特に、基材すなわちそれぞれのシートSの引き取りとデリバリとの間の周縁部に配置されている。塗布ユニットは、上述したようなスクリーン印刷ユニット又はフレキソ印刷ユニットとして設計されることができるが、リザーバから材料を受け取るファウンテンローラを少なくとも有するインキ装置であって、直接又は他のローラを通じてエンボス胴85の表面上に材料を転写するインキ装置のように設計されることが好ましい。
【0075】
第1実施形態に関連して説明されたエンボス胴85上への直接塗布による実施形態は第2実施形態に移される。
【0076】
図4〜
図6に示す版胴15、16、17、18の実際の数m及びnは限定的ではなく、他の組み合わせが可能であることを理解されたい。とはいえ、図示の例は、機械の設置面積が制限され、機械の操作性及びアクセス性が損なわれないという点で特に有利である。
【0077】
本発明の可能な改良として、
図4〜
図6に示すように、インラインキャスティング装置80によって形成された微小光学構造を含む追加印刷グループ及び主印刷グループによって印刷されたシートの第1面I及び第2面IIを検査するように適合された両面検査システム11、12、61、62を印刷機に追加で設けることが好都合であり得る。
【0078】
さらに、
図4及び
図6の印刷機100
*及び
図5の印刷機100
**はまた、図示のように、保守作業中の第1、第2、第3及び第4印刷胴5、6、7、8の表面を洗浄するように適合された自動ブランケット洗浄装置71、72、73、74を有利に備えることができる。
【0079】
添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に対して様々な修正及び/又は改良を行うことができる。特に、本発明の実施形態はシート供給印刷機構成を参照して説明したが、本発明は、ウェブ状基材、すなわち印刷可能材料の連続ウェブの連続部分に印刷することにも同様に適用可能である。
【0080】
さらに、インラインキャスティング装置は、基材の第1面又は第2面のいずれかの一部に光学媒体として作用する材料の層を塗布し、それに応じて微小光学構造を複製及び形成するように適合されることができる。その点では、
図4〜
図7に示すインラインキャスティング装置80、80
*、80
**の構成は可能な機械構成の単なる例示である。
【符号の説明】
【0081】
100 印刷機(
図1及び
図2の従来技術)
100
* 印刷機(
図4及び
図6の第1実施形態)
100
** 印刷機(
図5の第2実施形態)
1 基材供給装置、シートフィーダ
1
* フィーダテーブル
S 基材材料(例えば、個々のシート)
I 基材材料Sの第1面(「面I」又は「表面」)
II 基材材料Sの第2面(「面II」又は「裏面」)
H 基材Sの貫通開口
W 基材Sの窓形成部
L 例えば基材材料Sの面II上に塗布される光学媒体として作用する材料の層内に複製/形成された微小光学構造(例えば、レンズ構造)
RM 微小光学構造Lを複製及び形成するために使用される複製媒体
CR 複製媒体RMを支持するキャリア(例えば、エンボス胴85−
図4〜
図7の実施形態)
2 印刷ユニット(
図1及び
図2の従来技術)
2
* 印刷ユニット(
図4及び
図6の第1実施形態)
2
** 印刷ユニット(
図5の第2実施形態)
3 シート運搬システム(間隔を空けたグリッパバーを有するチェーングリッパシステム)
4 基材デリバリユニット、シートデリバリユニット
5 シート運搬胴/(第1)印刷胴(主印刷グループ)/3セグメントブランケット胴
6 (第2)印刷胴(主印刷グループ)/3セグメントブランケット胴
7 シート運搬胴/(第3)印刷胴(追加印刷グループ)/2セグメントブランケット胴(
図5の実施形態のみ)
8 (それぞれ第3、第4)印刷胴(追加印刷グループ)/2セグメントブランケット胴(
図1及び
図2の従来技術/
図5〜
図7の第2〜第4実施形態)
8’ シート運搬胴/2セグメント胴(
図1及び
図2の従来技術のみ)
9 シート移送胴(インフィード)
9’ シート移送胴(
図6及び
図7の第3及び第4実施形態)
10 シート移送胴(
図1及び
図2の従来技術/
図4及び
図5の第1及び第2実施形態)
10'、10'’、10'’’ シート移送胴(追加印刷グループと主印刷グループとの間に挟み込まれた中間シート運搬システム−
図5〜
図7の実施形態のみ)
11 検査胴又はドラム(検査システムの一部)
12 検査胴又はドラム(検査システムの一部)
15 印刷胴5と協働する(m=4)版胴
16 印刷胴6と協働する(m=4)版胴
17 印刷胴7と協働する(n=2)版胴(
図5の実施形態)
18 印刷胴8と協働する(それぞれn=2、3)版胴(
図1及び
図2の従来技術/
図5〜
図7の第2〜第4実施形態)
20 印刷機メインフレーム
21 インキ装置25を支持する格納可能インキキャリッジ
22 インキ装置26を支持する格納可能インキキャリッジ
23 インキ装置27を支持する格納可能インキキャリッジ(
図5の実施形態のみ)
24 インキ装置28を支持する格納可能インキキャリッジ(
図1及び
図2の従来技術/
図5〜
図7の第2〜第4実施形態)
25 版胴15の対応の1つとそれぞれ協働する(m=4)インキ装置
26 版胴16の対応の1つとそれぞれ協働する(m=4)インキ装置
27 版胴17の対応の1つとそれぞれ協働する(n=2)インキ装置(
図5の実施形態)
28 版胴18の対応の1つとそれぞれ協働する(それぞれn=2、3)インキ装置(
図1及び
図2の従来技術/
図5〜
図7の第2〜第4実施形態)
31 シート運搬システム3の1対のチェーンホイール(上流端)
50 乾燥/硬化ユニット(
図1及び
図2の従来技術)
51 シートSの面Iに作用する(第1)乾燥/硬化ユニット、例えば紫外線LED硬化ユニット(エンボス胴85の外周の一部周りに配置される)
52 シートSの面IIに作用する(第2)乾燥/硬化ユニット、例えば紫外線LED硬化ユニット(移送胴87の外周の一部周りに配置される/
図4及び
図5の第1及び第2実施形態)
55 シートSの面Iに作用する(それぞれ第3、第2)乾燥/硬化ユニット、例えば紫外線LED硬化ユニット(移送胴10'の外周の一部周りに配置される/
図5〜
図7の実施形態)
56 シートSの面IIに作用する(それぞれ第4、第3)乾燥/硬化ユニット、例えば、紫外線LED硬化ユニット(移送胴10’’の外周の一部周りに配置される/
図5〜
図7の実施形態)
61 検査胴又はドラム11と協働する検査カメラ(シートSの面I)、例えばラインスキャンカメラ
62 検査胴又はドラム12と協働する検査カメラ(シートSの面II)、例えばラインスキャンカメラ
71 印刷胴5と協働する自動ブランケット洗浄装置
72 印刷胴6と協働する自動ブランケット洗浄装置
73 印刷胴7と協働する自動ブランケット洗浄装置(
図5の実施形態)
74 印刷胴8と協働する自動ブランケット洗浄装置(
図5の実施形態)
80 光学媒体として作用する材料の層を塗布し、光学媒体として作用する材料の層内に微小光学構造Lを複製及び形成するためのインラインキャスティング装置
82 スクリーン印刷胴(光学媒体として作用する材料の層のための塗布ユニットとして作用するスクリーン印刷ユニットの一部/
図4〜
図6の第1〜第3実施形態)
82a スクリーン印刷胴82のスキージ装置
84 圧胴(光学媒体として作用する材料の層のための塗布ユニットとして作用するスクリーン印刷ユニットの残りの一部)
85 微小光学構造Lの複製及び形成のための複製媒体RMを支持するエンボス胴
86 エンボス胴85と協働する加圧胴又はローラ
87 エンボス胴85と協働して下流に配置された印刷ユニット2
*、2
**にシートSを移送するための移送胴
91 印刷グループ、好ましくは収集印刷グループ
92 印刷グループ、好ましくは収集印刷グループ
93 印刷グループ、好ましくは収集印刷グループ
93 印刷グループ、好ましくは収集印刷グループ