(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のポリアリルアミン誘導体、当該ポリアリルアミン誘導体を含有する、分散剤、処理粒子、粒子含有組成物、塗料、インキ組成物、液体現像剤、及びアンチブロッキング剤について詳細に説明する。
【0009】
本明細書において、化合物又は基の直前に付されている「置換基を有していてもよい」という用語は、該化合物又は基の水素原子が置換基で置換されていない場合、及び、該化合物又は基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている場合の双方を意味する。
【0010】
本明細書において、「C
r〜C
s」(r及びsは正の整数であり、r<sを満たす。)という用語は、この用語の直後に記載された有機基の炭素原子数がr〜sであることを表す。例えば、「C
1〜C
10アルキル基」は、炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、「C
1〜C
10アルキルエステル」は、炭素原子数1〜10のアルキル基とのエステルを示す。
【0011】
本明細書において、アルキレン基、アルケニレン基とは、特に断りのない限り、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキレン基、アルケニレン基の総称である。また、環状のアルキレン基、アルケニレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。他の官能基についても同様である。
【0012】
[ポリアリルアミン誘導体]
本発明のポリアリルアミン誘導体は、下記一般式(1)で表される構造単位を10〜450個有する。
【化3】
(式(1)中、A
1は下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、又は一般式(5)で表される基を表し、複数のA
1は互いに同一でも異なっていてもよい。ただし、複数のA
1の少なくとも1つは一般式(4)又は一般式(5)で表される基である。)
【化4】
(式(2)及び(3)中、R
1は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、aは0〜100の整数を表す。複数のR
1は互いに同一でも異なっていてもよい。
式(4)及び(5)中、R
1は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、R
2は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基を表す。aは0〜100の整数を表す。複数のR
1は互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0013】
本発明のポリアリルアミン誘導体は、一般式(1)で表される構造単位を10〜450個有し、複数(10〜450個)の一般式(1)中のA
1の少なくとも1つを、一般式(4)又は一般式(5)で表される基であることを特徴とする。一般式(4)又は一般式(5)で表される基は、末端がヒドロキシ基等のような反応活性基ではない基を有する形態の基である。本発明者らは、ポリアリルアミン誘導体の側鎖に相当する部位に、このような形態の基を少なくとも1個導入することで、低極性の溶液、粒子含有組成物中で粒子を良好に分散できる分散剤となることを見出した。
【0014】
本発明のポリアリルアミン誘導体は、一般式(1)で表される構造単位を10〜450個有し、25〜300有することが好ましく、40〜180有することがより好ましい。
【0015】
本発明のポリアリルアミン誘導体は、一般式(1)で表される構造単位以外に、その他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位としては、特に制限されないが、一般式(1)で表される構造単位となり得る単量体と共重合可能な任意の単量体由来の構造単位であることが好ましい。一般式(1)で表される構造単位となり得る単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミン、メトキシカルボニル化アリルアミン、メチルカルボニル化アリルアミン、尿素化アリルアミン等が挙げられる。
【0016】
式(1)中、A
1は下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、又は一般式(5)で表される基を表す。ただし、複数のA
1のうち少なくとも1つは一般式(4)又は一般式(5)で表される基である。全てのA
1は、一般式(4)、又は一般式(5)で表される基であることが好ましい。
【0017】
式(2)〜(3)中のR
1は、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表す。
【0018】
R
1が表す置換基を有していてもよいアルキレン基としては、炭素原子数1〜30のアルキレン基を含むことが好ましく、炭素原子数6〜30のアルキレン基を含むことがより好ましく、炭素原子数10〜20のアルキレン基を含むことがさらに好ましく、炭素原子数13〜20のアルキレン基を含むことが特に好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。R
1が表すアルキレン基は、直鎖、分岐(分枝)、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましく、分岐のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数6〜30の分岐のアルキレン基がさらに好ましい。即ち、複数のR
1のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の分岐のアルキレン基を含むことが好ましい。
【0019】
このようなアルキレン基としては、例えば、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、1−ヘキシルウンデシレン基、オクタデシレン基(ステアリレン基)、ノナデシレン基、シクロへキシレン基、デカヒドロナフタニレン基、ノルボルナニレン基、アダマンタニレン基等が挙げられ、1−ヘキシルウンデシレン基、ヘプタデシレン基、ステアリレン基、ノナデシレン基が好ましく、1−ヘキシルウンデシレン基、ヘプタデシレン基がより好ましい。
【0020】
R
1が表す置換基を有していてもよいアルケニレン基としては、炭素原子数1〜30のアルケニレン基を含むことが好ましく、炭素原子数6〜30のアルケニレン基を含むことがより好ましく、炭素原子数10〜20のアルケニレン基を含むことがさらに好ましく、炭素原子数13〜20のアルケニレン基を含むことが特に好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。R
1が表すアルケニレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルケニレン基を含むことが好ましい。複数のR
1のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアルケニレン基を含むことが好ましい。
【0021】
このようなアルケニレン基としては、例えば、1−へキセニレン基、1−ヘプテニレン基、1−オクテニレン基、1−ノネニレン基、1−デセニレン基、1−ウンデセニレン基、1−ドデセニレン基、1−トリデセニレン基、1−テトラデセニレン基、1−ペンタデセニレン基、1−ヘキサデセニレン基、1−ヘプタデセニレン基、8−ヘプタデセニレン基、1−オクタデセニレン基、1−ノナデセニレン基、1−シクロへキセニレン基、8,11−ヘプタジエニレン基等が挙げられ、8−ヘプタデセニレン基、ヘプタデカ−8,11−ジエニレン基が好ましく、ヘプタデカ−8,11−ジエニレン基がより好ましい。
【0022】
R
1が表す、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基としては、オキシアルキレン基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレンオキシ基、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンオキシアルキレンオキシアルキレン基等が挙げられる。置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基は、炭素原子数1〜30のエーテル結合を有するアルキレン基を含むことが好ましく、炭素原子数6〜30のエーテル結合を有するアルキレン基を含むことがより好ましく、置換基を有していてもよい炭素原子数10〜20のエーテル結合を有するアルキレン基を含むことがさらに好ましく、置換基を有していてもよい炭素原子数13〜20のエーテル結合を有するアルキレン基を含むことが特に好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましい。複数のR
1のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のエーテル結合を有するアルキレン基を含むことが好ましい。
【0023】
このようなエーテル結合を有するアルキレン基としては、オキシへキシレン基、オキシヘプチレン基、オキシオクチレン基、オキシノニレン基、オキシデシレン基、オキシウンデシレン基、オキシドデシレン基、オキシトリデシレン基、オキシテトラデシレン基、オキシペンタデシレン基、オキシヘキサデシレン基、オキシヘプタデシレン基、1−ヘキシルオキシウンデシレン基、オキシオクタデシレン基、オキシノナデシレン基、シクロオキシへキシレン基、オキシデカヒドロナフタニレン基、オキシノルボルナニレン基、オキシアダマンタニレン基等が挙げられる。
【0024】
R
1が表すアルキレン基、アルケニレン基、又はエーテル結合を有するアルキレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、1価の複素環基、アルキリデン基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、オキソ基等が挙げられる。
【0025】
置換基として用いられるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0026】
置換基として用いられるアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜14、さらに好ましくは1〜12、さらにより好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜3である。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基が挙げられる。置換基として用いられるアルキル基は、さらに置換基(「二次置換基」)を有していてもよい。斯かる二次置換基を有するアルキル基としては、例えば、ハロゲン原子で置換されたアルキル基が挙げられ、具体的には、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、テトラフルオロエチル基、テトラクロロエチル基等が挙げられる。
【0027】
置換基として用いられるシクロアルキル基の炭素原子数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜6である。該シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0028】
置換基として用いられるアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6である。該アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、及びデシルオキシ基が挙げられる。
【0029】
置換基として用いられるシクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜6である。該シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、及びシクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0030】
置換基として用いられるアリール基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を1個除いた基である。置換基として用いられるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜14、さらにより好ましくは6〜10である。該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられる。
【0031】
置換基として用いられるアリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜14、さらにより好ましくは6〜10である。置換基として用いられるアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、及び2−ナフチルオキシ基が挙げられる。
【0032】
置換基として用いられるアリールアルキル基の炭素原子数は、好ましくは7〜25、より好ましくは7〜19、さらに好ましくは7〜15、さらにより好ましくは7〜11である。該アリールアルキル基としては、例えば、フェニル−C
1〜C
12アルキル基、ナフチル−C
1〜C
12アルキル基、及びアントラセニル−C
1〜C
12アルキル基が挙げられる。
【0033】
置換基として用いられるアリールアルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは7〜25、より好ましくは7〜19、さらに好ましくは7〜15、さらにより好ましくは7〜11である。該アリールアルコキシ基としては、例えば、フェニル−C
1〜C
12アルコキシ基、及びナフチル−C
1〜C
12アルコキシ基が挙げられる。
【0034】
置換基として用いられる1価の複素環基とは、複素環式化合物の複素環から水素原子1個を除いた基をいう。該1価の複素環基の炭素原子数は、好ましくは3〜21、より好ましくは3〜15、さらに好ましくは3〜9である。該1価の複素環基には、1価の芳香族複素環基(ヘテロアリール基)も含まれる。該1価の複素環としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フラニル基、フリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、及びイソキノリル基が挙げられる。
【0035】
置換基として用いられるアルキリデン基とは、アルカンの同一の炭素原子から水素原子を2個除いた基をいう。該アルキリデン基の炭素原子数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜14、さらに好ましくは1〜12、さらにより好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜3である。該アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、sec−ブチリデン基、イソブチリデン基、tert−ブチリデン基、ペンチリデン基、ヘキシリデン基、ヘプチリデン基、オクチリデン基、ノニリデン基、及びデシリデン基が挙げられる。
【0036】
置換基として用いられるアシル基は、式:−C(=O)−Rで表される基(式中、Rはアルキル基又はアリール基)をいう。Rで表されるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられる。該アシル基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜13、さらに好ましくは2〜7である。該アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、及びベンゾイル基が挙げられる。
【0037】
置換基として用いられるアシルオキシ基は、式:−O−C(=O)−Rで表される基(式中、Rはアルキル基又はアリール基)をいう。Rで表されるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられる。該アシルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜13、さらに好ましくは2〜7である。該アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基が挙げられる。
【0038】
上述の置換基は、さらに置換基(以下、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。二次置換基としては、特に記載のない限り、上述の置換基と同じものを用いてよい。
【0039】
aは0〜100の整数を表し、0〜15の整数を表すことが好ましく、0〜10の整数を表すことがより好ましい。
【0040】
式(4)〜(5)中のR
1は、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表す。式(4)〜(5)中のR
1は、式(2)〜(3)中のR
1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0041】
式(4)〜(5)中のR
2は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基を表す。上記置換基としては、式(2)中のR
1が表すアルキレン基が有してもよい置換基と同様である。
【0042】
R
2が表す置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素原子数1〜30のアルキル基を含むことが好ましく、炭素原子数5〜25のアルキル基を含むことがより好ましく、炭素原子数10〜20のアルキル基を含むことがさらに好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。R
2が表すアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。複数のR
2のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい炭素原子数10〜20のアルキル基を含むことが好ましい。
【0043】
このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、1−ヘキシルウンデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロへキシル基、デカヒドロナフタニル基、ノルボルナニル基、アダマンタニル基等が挙げられ、ウンデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基が好ましく、ウンデシル基、ヘプタデシル基がより好ましい。
【0044】
R
2が表す置換基を有していてもよいアルケニル基としては、炭素原子数2〜30のアルケニル基を含むことが好ましく、炭素原子数5〜25のアルケニル基を含むことがより好ましく、炭素原子数10〜20のアルケニル基を含むことがさらにより好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。R
2が表すアルケニル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルケニル基が好ましい。複数のR
2のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルケニル基を含むことが好ましい。
【0045】
このようなアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−へキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、1−ノネニル基、1−デセニル基、1−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、1−トリデセニル基、1−テトラデセニル基、1−ペンタデセニル基、1−ヘキサデセニル基、1−ヘプタデセニル基、8−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、1−ノナデセニル基、1−シクロへキセニル基、ヘプタデカ−8,11−ジエニル基等が挙げられ、8−ヘプタデセニル基、ヘプタデカ−8,11−ジエニル基が好ましく、8,11−ヘプタジエニル基がより好ましい。
【0046】
R
2が表す、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基としては、オキシアルキル基(アルコキシ基)、アルキレンオキシアルキル基、アルキレンオキシアルキレンオキシアルキル基等が挙げられる。置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30のエーテル結合を有するアルキル基を含むことが好ましく、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜25のエーテル結合を有するアルキル基を含むことがより好ましく、置換基を有していてもよい炭素原子数10〜20のエーテル結合を有するアルキル基を含むことがさらにより好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。複数のR
2のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30のエーテル結合を有するアルキル基を含むことが好ましい。
【0047】
このようなエーテル結合を有するアルキル基としては、オキシメチル基(メトキシ基)、オキシエチル基、オキシプロピル基、オキシブチル基、オキシペンチル基、オキシへキシル基、オキシヘプチル基、オキシオクチル基、オキシノニル基、オキシデシル基、オキシウンデシル基、オキシドデシル基、オキシトリデシル基、オキシテトラデシル基、オキシペンタデシル基、オキシヘキサデシル基、オキシヘプタデシル基、1−ヘキシルオキシウンデシル基、オキシオクタデシル基、オキシノナデシル基、シクロオキシへキシル基、オキシデカヒドロナフタニル基、オキシノルボルナニル基、オキシアダマンタニル基等が挙げられる。
【0048】
式(4)及び(5)中、R
1としては、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の分岐のアルキレン基を含むことが好ましく、R
2としては、置換基を有していてもよい炭素原子数10〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルケニル基を含むことが好ましい。
【0049】
aは0〜100の整数を表し、0〜15の整数を表すことが好ましく、0〜10の整数を表すことがより好ましい。
【0050】
本発明のポリアリルアミン誘導体は、下記一般式(1−1)で表される構造単位を有することが好ましい。
【化5】
(式(1−1)中、A
2は下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、又は一般式(5)で表される基を表し、nは10〜450の整数を表す。複数のA
2は互いに同一でも異なっていてもよい。ただし、n個のA
2中、少なくとも1個は一般式(4)又は一般式(5)で表される基である。)
【化6】
(式(2)及び(3)中、R
1は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、aは0〜100の整数を表す。複数のR
1は互いに同一でも異なっていてもよい。
式(4)及び(5)中、R
1は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、R
2は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基を表す。aは0〜100の整数を表す。複数のR
1は互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0051】
式(1−1)中、A
2は、一般式(1)中のA
1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0052】
式(1−1)中、nは10〜450の整数を表し、25〜300の整数を表すことが好ましく、40〜180の整数を表すことがより好ましい。
【0053】
本発明のポリアリルアミン誘導体は、一般式(1−1)で表される構造単位以外に、その他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位については上述したとおりである。
【0054】
本発明のポリアリルアミン誘導体は、下記一般式(1−2)で表されることが好ましい。
【化7】
(式(1−2)中、X及びYは、それぞれ独立に水素原子、重合開始剤残基、又は連鎖移動触媒残基を表し、A
3は下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される基を表し、n1は10〜450の整数を表す。複数のA
3は互いに同一でも異なっていてもよい。ただし、n1個のA
3中、少なくとも1個は一般式(4)又は一般式(5)で表される基を表す。)
【化8】
(式(2)及び(3)中、R
1は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、aは0〜100の整数を表す。複数のR
1は互いに同一でも異なっていてもよい。
式(4)及び(5)中、R
1は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、R
2は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基を表す。aは0〜100の整数を表す。複数のR
1は互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0055】
式(1−2)中、X及びYは、それぞれ独立に水素原子、重合開始剤残基、又は連鎖移動触媒残基を表す。
【0056】
重合開始剤残基は、本発明のポリアリルアミン誘導体の製造に用いるポリアリルアミンを得る際に使用する重合開始剤の残基である。重合開始剤残基としては後述する重合開始剤残基等を挙げることができる。具体的には、メチルエチルケトン等のケトンパーオキシド類の残基、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキシド類の残基、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類の残基、1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類の残基、t−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類の残基、t−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類の残基、その他アゾビスイソプチロニリトリルの残基、過酸化水素の残基、第一鉄塩の残基等を挙げることができる。さらに特公平2−14364号公報に記載の重合開始剤の残基を用いてもよい。これらは単独で用いてもよく、複数用いてもよい。
【0057】
連鎖移動触媒残基は、本発明のポリアリルアミン誘導体の製造に用いるポリアリルアミンを得る際に使用する連鎖移勤触媒の残基である。連鎖移動触媒残基としては後述する連鎖移動触媒の残基等が挙げられる。具体的には、ラウリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類の残基、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸等のチオカルボン酸類の残基、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のチオカルボン酸エステルの残基等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数用いてもよい。
【0058】
式(1−2)中、A
3は、一般式(1)中のA
1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0059】
式(1−2)中、n1は10〜450の整数を表し、25〜300の整数を表すことが好ましく、40〜180の整数を表すことがより好ましい。
【0060】
一般式(1)において、一般式(4)及び/又は一般式(5)で表される基は、10〜450個のA
1中、20〜100%存在することが好ましく、30〜100%存在することがより好ましく、40〜100%存在することがさらに好ましい。20%以上とすることで低極性の溶液や粒子含有組成物との親和性が高くなり粒子等を良好に分散することができる。同様に、一般式(1−1)及び(1−2)において、一般式(4)又は一般式(5)で表される基が、n個のA
2又はn1個のA
3中、20〜100%存在することが好ましく、30〜100%存在することがより好ましく、40〜100%存在することがさらに好ましい。
【0061】
一般式(1)において、一般式(2)及び(4)で表されるようなアミド結合を介して一般式(1)と結合した形態の基が、10〜450個のA
1中、30〜90%存在することが好ましく、40〜80%存在することがより好ましい。10〜450個のA
1中の30〜90%がアミド結合を介してポリアリルアミンと結合することで、粒子同士の凝集を抑制することができるとともに、粘度低下効果、粘度安定化効果、粒子径低下効果、インキ性能安定化効果及び塗膜外観を向上させることができる。同様に、一般式(1−1)及び(1−2)において、一般式(2)及び(4)で表されるようなアミド結合を介して一般式(1−1)又は(1−2)と結合した形態の基が、n個のA
2又はn1個のA
3中30〜90%存在することが好ましく、40〜80%存在することがより好ましい。
【0062】
本発明のポリアリルアミン誘導体は、低極性の溶液や粒子含有組成物等との高い親和性という観点から、分子中に存在する全てのR
1の平均モル数をN
R1、全てのR
2の平均モル数をN
R2としたとき、N
R2/(N
R1+N
R2)×100が1〜35であることが好ましく、5〜25であることがより好ましく、10〜20であることがさらに好ましい。R
1及びR
2の平均モル数は、後述する<N
R2/(N
R1+N
R2)×100の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
【0063】
本発明のポリアリルアミン誘導体の側鎖質量/主鎖質量としては、低極性の溶液や粒子含有組成物等との高い親和性と粒子との吸着、結合性の両立という観点から、6〜28であることが好ましく、10〜20であることがより好ましく、10〜15であることがさらに好ましい。側鎖とは、式(1)中の「−CH
2−A
1」(式(1−1)中の「−CH
2−A
2」、式(1−2)中の「−CH
2−A
3」)をいい、主鎖とは、式(1)中の「−CH
2−A
1」(式(1−1)中の「−CH
2−A
2」、式(1−2)中の「−CH
2−A
3」)を除いた箇所をいう。側鎖質量/主鎖質量は、後述する<側鎖質量/主鎖質量>に記載の方法に従って測定することができる。
【0064】
本発明のポリアリルアミン誘導体のアミン価としては、粒子分散性の観点から、5mgKOH/g〜150mgKOH/gであることが好ましく、10mgKOH/g〜60mgKOH/gであることがより好ましく、15mgKOH/g〜50mgKOH/gであることがさらに好ましい。アミン価は、後述する<ポリアリルアミン誘導体のアミン価の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
【0065】
本発明のポリアリルアミン誘導体の酸価としては、粒子分散性の観点から、1mgKOH/g〜10mgKOH/gであることが好ましく、2mgKOH/g〜7mgKOH/gであることがより好ましく、2mgKOH/g〜5mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価は、後述する<ポリアリルアミン誘導体の酸価の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
【0066】
本発明のポリアリルアミン誘導体の重量平均分子量としては、500〜500000が好ましく、2000〜100000がより好ましい。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定することができる。
【0067】
[ポリアリルアミン誘導体の製造方法]
本発明のポリアリルアミン誘導体の製造方法は特に限定されないが、好適な一実施形態として、ポリアリルアミンにポリエステルを反応させることによって製造することができる。
【0068】
本発明のポリアリルアミン誘導体の製造に用いるポリアリルアミンは、重合開始剤及び/又は連鎖移動触媒の存在下、アリルアミンを重合させることで得られる。
【0069】
重合開始剤としては特に限定されず、例えば、メチルエチルケトン等のケトンパーオキシド類、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、1、1−ビス(t−ブチルパーロキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類、t−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類、t−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、その他アゾビスイソプチロニリトリル、過酸化水素、第一鉄塩等を挙げることができる。さらに特公平2−14364号公報に記載の重合開始剤を用いてもよい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0070】
連鎖移勤触媒としては特に限定されず、例えば、ラウリルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン類、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸などのチオカルボン酸類、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のチオカルボン酸エステル等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0071】
本発明のポリアリルアミン誘導体の製造に用いるポリアリルアミンの重量平均分子量としては、150〜100000が好ましく、600〜20000がより好ましい。重量平均分子量が150以上であると、粒子に対する吸着力が向上して粒子分散性が向上し、重量平均分子量が100000以下であると、粒子同士の凝集を抑制でき、粒子分散性が向上する。なお、特公平2−14364号公報に記載の方法を用いて、任意の重量平均分子量のポリアリルアミンを製造してもよい。
【0072】
本発明のポリアリルアミン誘導体の製造に用いるポリアリルアミンは、市販品を用いることができる。ポリアリルアミンの市販品としては、例えば、ニットーボーメディカル(株)製「PAA−01」、「PAA−03」、「PAA−05」、「PAA−08」、「PAA−15」、「PAA−15C」、「PAA−25」等が挙げられる。
【0073】
本発明のポリアリルアミン誘導体の製造に用いるポリエステルは特に限定されないが、下記一般式(I)で表されるポリエステル、及び一般式(I)で表されるポリエステルと一般式(II)で表されるカルボン酸とを反応させたポリエステルが挙げられる。
【化9】
(式(I)中、R
1及びaは、式(2)〜、式(3)中のR
1及びaと同義である。式(II)中、R
2は、式(4)〜式(5)中のR
2と同義である。)
【0074】
本発明のポリアリルアミン誘導体は、低極性の溶液や粒子含有組成物等との高い親和性と得て、同環境下で高い分散剤性能を有するという観点から、一般式(4)、(5)で表される基を少なくとも1つ有する。このため、本発明のポリアリルアミン誘導体を製造するには、ポリアリルアミンと反応させるポリエステルとして、一般式(I)で表されるポリエステルと一般式(II)で表されるカルボン酸とを反応させたポリエステル(一般式(4)、(5)で表される基の前駆体)を少なくとも1つ用いる必要がある。
【0075】
一般式(I)で表されるカルボン酸は、市販品を用いてもよく、下記一般式(III)で表されるヒドロキシ酸を原料にして製造してもよい。
【化10】
(式(III)、式(IV)中、R
1は、式(2)〜(3)中のR
1と同義である。)
【0076】
詳細には、一般式(III)で表されるヒドロキシ酸と一般式(II)で表されるカルボン酸の混合物を、加熱することにより一般式(I)で表されるポリエステル(一般式(2)、(3)で表される基の前駆体)と、一般式(I)で表されるポリエステルと一般式(II)で表されるカルボン酸とを反応させたポリエステル(一般式(4)、(5)で表される基の前駆体)が混合されたポリエステル組成物を製造することができ、必要に応じて重合触媒を用いてもよい。
【0077】
反応温度は好ましくは120〜220℃、より好ましくは140〜210℃である。また、反応時間は好ましくは0.5〜72時間である。窒素気流下で反応を行うと、重合度が大きいポリエステルを得ることができる。
【0078】
一般式(III)で表されるヒドロキシ酸としては、例えば、リシノール酸、9及び10−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヒマシ油脂肪酸、水添ヒマシ油脂肪酸、乳酸、及びこれらの混合物等が挙げられ、12−ヒドロキシステアリン酸が好ましい。
【0079】
重合触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドテトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨード等の四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨード等の四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラート等のアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、テトラブチルチタネート等の有機チタネート化合物、及び塩化亜鉛等の亜鉛化合物等が挙げられる。
【0080】
一般式(I)中のaが1である場合、下記一般式(III)で表されるヒドロキシ酸を一般式(I)で表されるカルボン酸として使用すればよい。
【0081】
一般式(II)で表されるカルボン酸は、市販品を使用してもよく、公知の方法で製造してもよい。
【0082】
一般式(II)で表されるカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸、安息香酸などが挙げられる。
【0083】
ポリエステル組成物を製造する際、一般式(II)で表されるカルボン酸の含有量は、一般式(III)で表されるヒドロキシ酸の含有量に対して3質量%〜35質量%が好ましく、5質量%〜32質量%がより好ましい。
【0084】
本発明のポリアリルアミン誘導体の製造に用いるポリエステルの計算分子量は、顔料の分散性能の観点から、200〜10000が好ましく、500〜5000がより好ましい。カルボン酸の計算分子量は、後述する<ポリエステルの計算分子量>に記載の方法に従って測定することができる。このような計算分子量のカルボン酸を得るためには、原料となるヒドロキシ酸、式(II)で表されるカルボン酸のモル比を設定すること、また途中における反応生成物の酸価を観察し適当な反応時間を見出すことによって可能となる。
【0085】
本発明のポリアリルアミン誘導体の製造に用いるポリエステルの酸価は、5〜280KOH/gが好ましく、10〜120KOH/gがより好ましい。
【0086】
本発明のポリアリルアミン誘導体の製造方法の好適な一実施形態として、ポリアリルアミンにポリエステルを反応させる。詳細は、ポリアリルアミンの側鎖に、ポリエステルを導入させる。
【0087】
上記範囲でポリアリルアミンのアミノ基をアミド結合させる割合は、ポリエステルの少なくとも1つを混合した直後のアミン価Aと、反応終了後のアミン価Bとを測定し、これらの変化を下記計算式により算出できる。なお、ポリアリルアミンのアミノ基と側鎖に導入するポリマーのカルボキシル基が塩を形成していても、求めるアミン価には何ら影響しない。
ポリアリルアミン誘導体のアミド結合の割合:
((アミン価A−アミン価B)/アミン価A)×100
【0088】
ポリアリルアミンとポリエステルの重量比(ポリアリルアミン/ポリエステル)は、粒子分散性の観点から、1/1〜1/30が好ましい。
【0089】
[分散剤]
本発明の分散剤(粒子分散剤)は、本発明のポリアリルアミン誘導体を含有する。本発明のポリアリルアミン誘導体は、樹脂や有機溶剤に対して粒子をよく分散させる性質を有するので、分散剤(粒子分散剤)として有用である。例えば、本発明のポリアリルアミン誘導体は、カーボン粒子の分散性にも優れるため、潤滑油用スラッジ分散剤としても使用することができる。内燃機関(例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン)用潤滑油や駆動系潤滑油(例えば、自動車用などのギヤ油、作動油、自動変速機油、無断変速機油、パワーステアリング油など)は、長時間使用する場合、スラッジを生成することによる潤滑部位の汚れや摩耗の増大、動力損失を増大させる等、内燃機関や駆動系部位に対し種々の不具合を誘発する。本発明のポリアリルアミン誘導体をスラッジ分散剤として潤滑油に添加しておくことでスラッジの成長を抑制し潤滑油としての性能を長期間維持することができる。
【0090】
[処理粒子]
本発明の処理粒子は、本発明の分散剤で粒子を処理したことを特徴とする。本発明の処理粒子としては、例えば処理無機粒子、処理有機粒子等が挙げられる。
【0091】
粒子としては、無機粒子、有機粒子であれば特に限定されない。無機粒子としては、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、カーボンブラック、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、弁柄、鉄黒、亜鉛華、紺青、群青な等の無機顔料が挙げられる。有機粒子としては、例えば、ジケトピロロピロール等のピロール系、モノアゾ系、ジアゾ系、アゾレーキ系、縮合アゾ系、キレートアゾ系、インジゴ系、チオインジゴ系、アンスラキノン系、ジアンスラキノニル系、ベンゾイミダゾロン系、ピランスロン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、フラバンスロン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インダンスロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、キノフタロン系、ペリレン系、ペリノン系、酸性染料系、塩基性染料系、アジン系、昼光けい光系、ニトロソ系、ニトロ系等の有機顔料が挙げられる。
【0092】
無機粒子としては上記顔料に示した物の他に、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、ドロマイト、焼成ドロマイト、消火ドロマイト、ハイドロタルサイト、二酸化ケイ素、ガラス粒子、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化鉄、フェライト、ストロンチウムフェライト、バリウムフェライト、カーボン粒子、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、磁性体(例えばサマリウムコバルト、ネオジウム鉄ホウ素、プラセオジムコバルト、サマリウム鉄窒素等)、ダイヤモンドが挙げられる。
【0093】
有機粒子としては上記顔料に示した物の他に、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル、ポリスチレン、シリコーン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、エポキシ樹脂等からなる樹脂が挙げられる。
【0094】
粒子の平均粒径としては、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。上限は好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。粒子の平均粒径は、後述する(平均分散粒径の測定)に記載の方法に従って測定することができる。
【0095】
本発明の分散剤による粒子の処理や分散の方法は、例えば、ヘンシェルミキサー、ビーズミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、ペイントシェーカー、アトマイザーコロイドミル、バンバリミキサ、乾式法、湿式法、インテグラルブレンド法等があるが限定されない。先に粒子の表面を分散剤で処理し、その後に溶剤、樹脂やゴム等と配合することもでき、粒子を溶剤、樹脂やゴム等と配合する際に分散剤を添加する方法であってもよい。湿式法を用いる場合には、溶剤中で処理した後、溶剤を除去して表面を分散剤で処理した粒子を取り出してもよい。湿式溶剤法で用いる溶剤としては、分散剤を溶解する溶剤であればよく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素類、MIBK、MEK等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等を挙げることができる。また、分散剤を溶解した溶液中で高速撹拌等による懸濁法や懸濁重合法等で粒子を形成しながら分散を行ってもよい。
【0096】
処理粒子において、本発明の分散剤は、粒子に対して1〜200質量%(ポリアリルアミン誘導体換算)含むことが好ましい。
【0097】
[粒子含有組成物]
本発明の粒子含有組成物は、本発明のポリアリルアミン誘導体および粒子を含む。本発明の粒子含有組成物としては、例えば、顔料分散液、無機粒子分散液、有機粒子分散液、顔料含有ポリマー組成物、無機粒子含有ポリマー組成物、有機粒子含有ポリマー組成物等が挙げられる。ポリマーには樹脂やゴム等が含まれる。本発明の粒子含有組成物は、本発明の効果を阻害しない程度に樹脂、ゴム、有機溶剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、分散助剤等の添加剤を含んでいてもよい。本発明の粒子含有組成物における粒子は、分散剤で処理された粒子であってもよく、分散剤で処理されていない粒子であってもよい。該粒子は、上述した[処理粒子]に記載の粒子と同様のものを使用することができる。
【0098】
樹脂としては、例えば、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン樹脂、スチレン樹脂、酸基含有樹脂及びこれらの共重合体(例えば、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、スチレン/ステアリルメタクリレート/アクリル酸共重合体)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0099】
ゴムとしては、例えば、天然ゴムの他、合成ゴムとしてイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0100】
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、高沸点石油炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなどの炭化水素系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロルエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶剤、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシプロピルアセテートなどのエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールのモノエーテル系溶剤の他、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤等が挙げられるがこれらに限定されるもものではなく本分散剤を溶解するものであれば用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
【0101】
本発明の粒子含有組成物は、本発明の分散剤、粒子、ポリマー、及び有機溶剤等と混練して直接調製することができる。また、いわゆる粒子分散ベースの形態とした後に、ポリマー、有機溶剤等を使用して粒子含有組成物とすることもできる。
【0102】
粒子分散ベース及び粒子含有組成物は、所要の成分原料を自転・公転ミキサー、ロールミル、ボールミル、サンドグランドミル、ペイントシェーカー、ニーダー、ディゾルバー、超音波分散機等を適宜用いて分散することで調製してもよい。この場合、処理粒子をポリマーと混練してもよく、また分散剤、顔料及びポリマーを同時に混練するインテグラルブレンド法を用いてもよい。
【0103】
本発明の粒子分散ベース及び粒子含有組成物は、さらにバインダー用ポリマー(樹脂やゴム)やその他のポリマーを加えることで塗料や印刷インキとして使用でき、そのままで塗料や印刷インキとして使用することもできる。
【0104】
粒子含有組成物において、本発明の分散剤は、顔料に対して1〜200質量%(ポリアリルアミン誘導体換算)含むことが好ましい。
【0105】
本発明の粒子含有組成物は、塗膜、フィルム状組成物としても使用することができる。
【0106】
本発明の粒子含有組成物は、25℃での粘度が低く、且つ4週間経過後の粘度も低いという特性を示す。25℃での粘度としては、好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下、さらに好ましくは50mPa・s以下である。下限は特に制限はなく、0.1mPa・s以上等とし得る。4週間経過後の粘度としては、好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下、さらに好ましくは50mPa・s以下である。下限は特に制限はなく、0.1mPa・s以上等とし得る。また、増粘率(4週間経過後の粘度/分散直後の粘度)としては、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、さらに好ましくは1.2以下である。下限は特に制限はなく、1以上等とし得る。粒子含有組成物の粘度は、後述する(粘度の測定)に記載の方法に従って測定することができる。
【0107】
本発明の粒子含有組成物の用途は特に限定されず、上述の粒子を含む樹脂またはゴム製品に使用することができ、例えば、塗料、コーティング材(着色コーティング、導電コーティング、帯電防止コーティング等)、インキ組成物、液体現像剤、アンチブロッキング剤、セラミックスラリー、電池電極等の導電助剤、複写用乾式トナー、複写用湿式トナー、セラミックス成形体、ボンド磁石、複写機等に使用されるゴムマグネット、磁気テープ、家庭用品や建築材料に使用されているカラープラスチック成形品、建築用等に使用されるシーリング剤等が挙げられる。
【0108】
[塗料、インキ組成物、液体現像剤、及びアンチブロッキング剤]
本発明の塗料、インキ組成物、液体現像剤、及びアンチブロッキング剤は、本発明の粒子含有組成物を含む。本発明の塗料の具体的な例としては、着色塗料、導電塗料、帯電防止塗料等が挙げられる。本発明のインキ組成物の具体的な例としては、印刷インキ、導電インキ等が挙げられる。本発明の塗料又はインキ組成物は、本発明の効果を阻害しない程度に安定剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、分散助剤等の添加剤を含んでいることが好ましい。
【0109】
本発明の液体現像剤は、誘電性液体中にトナー粒子を懸濁したものであり電気泳動現像法で用い得る。本発明の液体現像剤は、機能性粒子、カーボンブラック、有機顔料、無機顔料等に帯電性と定着性を付与する樹脂等を混合し、更に本発明のポリアリルアミン誘導体を加えて誘電性液体中で懸濁等することで粒子化し、本発明のポリアリルアミン誘導体を含む粒子含有組成物を形成することにより製造することができる。その他、必要に応じて分散剤、電荷制御剤、安定剤等を併用することが好ましい。本発明の液体現像剤は、本発明のポリアリルアミン誘導体を含む粒子含有組成物を用いるため、優れた粒子分散性、電気泳動性を示し、本発明の液体現像剤における粒子は凝集することなくスムーズに泳動する。
【0110】
本発明の液体現像剤の平均粒子径としては、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下、5μm以下、又は3μm以下である。下限は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上である。液体現像剤の平均粒子径は、後述する<液体現像剤の性能評価>に記載の方法に従って測定することができる。
【0111】
本発明のアンチブロッキング剤は、フィルムに練り込み、または塗工することでフィルムに凹凸性を付与し、フィルム同士の密着を抑制(アンチブロッキング)するために用いられる。本発明の粒子含有組成物は粒子の分散性が高いため少量でも高いアンチブロッキング性が得られ、また粒子凝集による外観不良を抑制することができる。
【実施例】
【0112】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0113】
<合成例1:ポリエステルPE−10の合成>
温度計、攪拌機、窒素導入口、還流管、水分離器及び減圧口を備えた反応フラスコ中に、高純度12−ヒドロキシステアリン酸(商品名12−ヒドロ酸HP(小倉合成工業(株)製、純度99%以上)90部、ステアリン酸(関東化学(株)製、特級 純度95%以上)10部を仕込み、窒素雰囲気下150℃で反応後、さらに減圧下200℃で加熱した。次いで室温まで冷却して、反応物(「ポリエステルPE−10」と称する)を得た。ポリエステルPE−10の酸価は34.5mgKOH/g、計算分子量は1626であった。
【0114】
<合成例2:ポリエステルPE−11の合成>
合成例1において、高純度12−ヒドロキシステアリン酸(商品名12−ヒドロ酸HP(小倉合成工業(株)製))90部を95部に、ステアリン酸(関東化学(株)製、特級 純度95%以上)10部を5部に変えた。以上の事項以外は合成例1と同様にして、反応物(「ポリエステルPE−11」と称する)を得た。ポリエステルPE−11の酸価は32.7mgKOH/g、計算分子量は1716であった。
【0115】
<合成例3:ポリエステルPE−12の合成>
合成例1において、高純度12−ヒドロキシステアリン酸(商品名12−ヒドロ酸HP(小倉合成工業(株)製))90部を80部に、ステアリン酸(関東化学(株)製、特級 純度95%以上)10部を20部に変えた。以上の事項以外は合成例1と同様にして、反応物(「ポリエステルPE−12」と称する)を得た。ポリエステルPE−12の酸価は38.3mgKOH/g、計算分子量は1465であった。
【0116】
<合成例4:ポリエステルPE−13の合成>
合成例1において、反応時間を短くした以外は合成例1と同様にして、反応物(「ポリエステルPE−13」と称する)を得た。ポリエステルPE−13の酸価は45.0mgKOH/g、計算分子量は1247であった。
【0117】
<合成例5:ポリエステルPE−14の合成>
高純度12−ヒドロキシステアリン酸(商品名12−ヒドロ酸HP(小倉合成工業(株)製))を75部、ステアリン酸を25部に変えた。以上の事項以外は合成例1と同様にして、反応物(「ポリエステルPE−14」と称する)を得た。ポリエステルPE−14の酸価は55.5mgKOH/g、計算分子量は1011であった。
【0118】
<合成例6:ポリエステルPE−20の合成>
合成例1において、ステアリン酸の代わりにリノール酸(関東化学(株)製、特級 純度99%以上)を用いた。以上の事項以外は合成例1と同様にして、反応物(「ポリエステルPE−20」と称する)を得た。ポリエステルPE−20の酸価は38.1mgKOH/g、計算分子量は1472であった。
【0119】
<合成例7:ポリエステルPE−30の合成>
ステアリン酸の代わりにパルミチン酸(関東化学(株)製、特級、純度95%以上)を用いた。以上の事項以外は合成例1と同様にして、反応物(「ポリエステルPE−30」と称する)を得た。ポリエステルPE−30の酸価は35.3mgKOH/g、計算分子量は1589であった。
【0120】
<合成例8:ポリエステルPE−40の合成>
ステアリン酸の代わりにラウリン酸(関東化学(株)製、特級、純度99.5%以上)を用いた。以上の事項以外は合成例1と同様にして、反応物(「ポリエステルPE−40」と称する)を得た。ポリエステルPE−40の酸価は38.6mgKOH/g、計算分子量は1453であった。
【0121】
<合成例9:ポリエステルPE−41の合成>
高純度12−ヒドロキシステアリン酸(商品名12−ヒドロ酸HP(小倉合成工業(株)製))を85部、ラウリン酸を15部に変えた。以上の事項以外は合成例8と同様にして、反応物(「ポリエステルPE−41」と称する)を得た。ポリエステルPE−41の酸価は40.1mgKOH/g、計算分子量は1399であった。
【0122】
<合成例10:ポリエステルPE−50の合成>
ステアリン酸10部の代わりにステアリン酸(関東化学(株)製、特級 純度95%以上)5部、及びラウリン酸(関東化学(株)製、特級 純度99.5%以上)5部に変えた。以上の事項以外は合成例1と同様にして、反応物(「ポリエステルPE−50」と称する)を得た。ポリエステルPE−50の酸価は36.4mgKOH/g、計算分子量は1541であった。
【0123】
<合成例11:ポリエステルPE−00の合成>
高純度12−ヒドロキシステアリン酸(商品名12−ヒドロ酸HP(小倉合成工業(株)製))の添加量を90部から100部に変え、ステアリン酸を使用しなかった。以上の事項以外は合成例1と同様にして、反応物(「ポリエステルPE−00」と称する)を得た。ポリエステルPE−00の酸価は31.0mgKOH/g、計算分子量は1810であった。
【0124】
<ポリエステルの酸価の測定>
ポリエステルの酸価は、ポリエステル0.5gをキシレン(オルト体、メタ体、パラ体の混合体)/エタノール混液(1/1質量比)40mLで溶解したポリエステル溶液を、水酸化カリウム・エタノール溶液(0.1mol/L)で滴定し、フェノールフタレイン指薬による変色点を読むことで測定した。
【0125】
<ポリエステルの計算分子量>
上記<ポリエステルの酸価の測定>で求めた酸価を用いて平均分子量値を計算(56100/ポリエステルの酸価)により求めた。
【0126】
[ポリアリルアミン誘導体の合成]
<実施例1>
温度計、攪拌機、窒素導入口、還流管および水分離器、減圧口を備えた反応フラスコ内に、「PAA−08」(ニットーボーメディカル(株)製、ポリアリルアミン15%水溶液、ポリマーの重量平均分子量8000、ポリマーのアミン価984mgKOH/g)を6.7部(ポリアリルアミン量は1部)、合成例1で得たポリエステルPE−10を7部140℃で混合し、水を留去しながら加熱して、反応を行った後、室温まで冷却して、ポリアリルアミン誘導体1を得た。
【0127】
<実施例2〜4>
実施例1において、合成例1で得たポリエステルPE−10をそれぞれ10部(実施例2)、15部(実施例3)、20部(実施例4)とした。以上の事項以外は実施例1と同様にしてポリアリルアミン誘導体2〜4を得た。
【0128】
<実施例5>
「PAA−08」の代わりに、「PAA−01」(ニットーボーメディカル(株)製、ポリアリルアミン15%水溶液、ポリマー重量平均分子量1600、ポリマーのアミン価984mgKOH/g)を用いた。以上の事項以外は実施例2と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0129】
<実施例6>
「PAA−08」の代わりに、「PAA−15C」(ニットーボーメディカル(株)製、ポリアリルアミン15%水溶液、ポリマー重量平均分子量15000、ポリマーのアミン価984mgKOH/g)を用いた。以上の事項以外は実施例4と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0130】
<実施例7>
「PAA−08」の代わりに、「PAA−03」(ニットーボーメディカル(株)製、ポリアリルアミン20%水溶液、ポリマー重量平均分子量3000、ポリマーのアミン価984mgKOH/g)を5部(ポリアリルアミン量は1部)用い、ポリエステルPE−10の代わりにポリエステルPE−11を10部用いた。以上の事項以外は実施例2と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0131】
<実施例8>
ポリエステルPE−11を10部から20部に変えた。以上の事項以外は実施例7と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0132】
<実施例9>
ポリエステルPE−10の代わりにポリエステルPE−12を用いた。以上の事項以外は実施例1と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0133】
<実施例10>
ポリエステルPE−10の代わりにポリエステルPE−12を用いた。以上の事項以外は実施例2と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0134】
<実施例11>
「PAA−08」の代わりに、「PAA−03」(ニットーボーメディカル(株)製、ポリアリルアミン20%水溶液、重量平均分子量3000、アミン価984mgKOH/g)を5部(ポリアリルアミン量が1部)用い、ポリエステルPE−10の代わりにポリエステルPE−13を用いた。以上の事項以外は実施例3と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0135】
<実施例12>
ポリエステルPE−10の代わりにポリエステルPE−14を用いた。以上の事項以外は実施例3と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0136】
<実施例13>
ポリエステルPE−11の代わりにポリエステルPE−20を用いた。以上の事項以外は実施例7と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0137】
<実施例14>
ポリエステルPE−11の代わりにポリエステルPE−30を用いた。以上の事項以外は実施例7と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0138】
<実施例15>
ポリエステルPE−10の代わりにポリエステルPE−40を用いた。以上の事項以外は実施例2と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0139】
<実施例16>
ポリエステルPE−40を10部から25部に変えた。以上の事項以外は実施例15と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0140】
<実施例17>
ポリエステルPE−40の代わりにポリエステルPE−41を用いた。以上の事項以外は実施例15と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0141】
<実施例18>
ポリエステルPE−41を10部から20部に変えた。以上の事項以外は実施例17と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0142】
<実施例19>
ポリエステルPE−10の代わりにポリエステルPE−50を用いた。以上の事項以外は実施例2と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0143】
<実施例20>
ポリエステルPE−50を10部から15部に変えた。以上の事項以外は実施例19と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0144】
<実施例21>
ポリエステルPE−10を7部から5部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0145】
<実施例22>
ポリエステルPE−10の代わりにPE−13を用いた。以上の事項以外は実施例2と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0146】
<実施例23>
ポリエステルPE−10の代わりにPE−14を用いた。以上の事項以外は実施例2と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0147】
<実施例24>
ポリエステルPE−14を10部から20部に変えた。以上の事項以外は実施例23と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0148】
<実施例25>
ポリエステルPE−30を10部から5部に変えた。以上の事項以外は実施例14と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0149】
<比較例1>
ポリエステルPE−10の代わりにPE−00を用いた。以上の事項以外は実施例1と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0150】
<比較例2>
ポリエステルPE−11の代わりにPE−00を用いた。以上の事項以外は実施例7と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0151】
<比較例3>
ポリエステルPE−10の代わりにPE−00を用いた。以上の事項以外は実施例3と同様にしてポリアリルアミン誘導体を得た。
【0152】
<ポリアリルアミン誘導体のアミン価の測定>
ポリアリルアミン誘導体1gをイソパラフィン/キシレン(オルト体、メタ体、パラ体の混合体)/エタノール混液(3/15/15質量比)40mLで溶解した液を、塩酸水溶液(0.5mol/L)で滴定し、チモールブルー試液による変色点を読むことで測定した。
【0153】
<ポリアリルアミン誘導体の酸価の測定>
ポリアリルアミン誘導体1gをイソパラフィン/キシレン(オルト体、メタ体、パラ体の混合体)/エタノール混液(3/15/15質量比)40mLで溶解した液を、水酸化カリウム・エタノール溶液(0.1mol/L)で滴定し、フェノールフタレイン指薬による変色点を読むことで測定した。
【0154】
<側鎖質量/主鎖質量>
側鎖材として使用するポリエステルの純分質量を側鎖質量とし、主鎖材として使用するポリアリルアミンの純分質量を主鎖質量とし、側鎖質量/主鎖質量を算出した。
【0155】
<N
R2/(N
R1+N
R2)×100の算出>
一般式(I)で表されるポリエステル中のR
1のモル数N
R1、及び一般式(II)で表されるポリエステル中のR
2のモル数N
R2を計算し算出した。
【0156】
<一般式(1)中のA
1が一般式(4)、(5)で表される基である割合の算出>
ポリエステル合成に使用するカルボン酸モノマー(ヒドロキシ酸又はカルボン酸)の分子量および使用質量比からそのモノマーの平均分子量MMを算出した。算出したMM及び予め算出したポリエステルの計算分子量PM(=56100/ポリエステルの酸価)から、側鎖ポリエステルのモノマー繰り返し数RN(=(PM−18)/(MM−18))を算出した。
【0157】
一般式(1)中のA
1が一般式(4)、(5)で表される基である割合は、RN×N
R2/(N
R1+N
R2)で算出した。
【0158】
<構造単位数>
構造単位数はポリアリルアミン分子量/57(アリルアミン分子量)で算出した。
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】
【0161】
[液体現像剤の調製]
(酸基含有樹脂の合成)
スチレン/ステアリルメタクリレート/アクリル酸=75/5/20(モル比)をモノマーとし、ラジカル開始剤にアゾビスイソブチロニトリルを用い、トルエン溶媒中、80℃窒素雰囲気下でラジカル重合して重量平均分子量51600、酸価94KOHmg/gの酸基含有樹脂を合成した。
【0162】
カーボンブラックMA100(三菱化学(株)製)15.0部、顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ(株)製)5.0部、THF80.0部を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてペイントシェーカーで180分間混練した。
【0163】
この混練物の20.0部に、バインダー樹脂(バイロン220、東洋紡績(株)製、分子量Mn3000、Tg53℃、水酸基価50KOHmg/g、酸価2KOHmg/g未満)を20.0部、上記で合成した酸基含有樹脂を4.0部、THF56部を添加し、50℃で加熱攪拌した。
【0164】
その後、粒子分散剤として実施例1で合成したポリアリルアミン誘導体を1.0部、添加攪拌した後、軽質流動パラフィン(ハイコールM−52、カネダ(株)製)80部を添加し、混合液を得た。この混合液を密閉式ホモジナイザーに溶剤留去装置(減圧装置に接続)を接続し、高速攪拌(回転数6000rpm)しながら減圧装置により混合液温が50〜60℃になるように制御しながら減圧し、THFを密閉式攪拌槽より留去して樹脂粒子分散液からなる液体現像剤を得た。以下同様にして、先に実施例2〜25、比較例1〜3で合成した各種ポリアミン誘導体を用いて液体現像剤を得た。
【0165】
<液体現像剤の性能評価>
(平均粒子径)
デジタルマイクロスコープVHX−500F(キーエンス社製)を用い、目視にて液体現像剤に含まれる粒子をランダムに20個ピックアップし、その粒子径(バインダー樹脂及び酸基含有樹脂の粒子径)の測定を行った。
【0166】
(電気泳動性)
電極間距離が8cmの液体現像剤を泳動セルに注液し、200Vの電圧を印加し、液体現像剤中の樹脂粒子の観察を行い、電気泳動性を以下の基準で評価した。
○:粒子が凝集することなくスムーズに泳動する。
×:粒子が電極間で凝集し動かない。
【0167】
【表3】
表中、「10<凝集」とは粒子径が10μmを超える、又は凝集している状態を表す。
【0168】
[粒子含有組成物の調製及び性能評価]
(粒子含有組成物1)
粒子として導電性カーボンブラック(三菱化学(株)製、3230B)15.0部、粒子分散剤として実施例2で合成したポリアリルアミン誘導体を5.0部、軽質流動パラフィン(ハイコールM−52、カネダ(株)製)80.0部を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてペイントシェーカーで180分間混練して粒子含有組成物1を作製し、下記のように平均分散粒径、及び25℃での粘度を測定した。
【0169】
(粒子含有組成物2)
実施例2で合成したポリアリルアミン誘導体を、先に比較例2で合成したポリアミン誘導体に代えた。以上の事項以外は粒子含有組成物1の作製と同様にして粒子含有組成物2を作製し、平均分散粒径、及び25℃での粘度を測定した。
【0170】
(粒子含有組成物3)
導電性カーボンブラック(三菱化学(株)製、3230B)を、フタロシアニン系顔料(BASF社製、イルガライトブルーGLVO、)に代えた。以上の事項以外は粒子含有組成物1の作製と同様にして、粒子分散体3を作製し、平均分散粒径、及び25℃での粘度を測定した。
【0171】
(粒子含有組成物4)
実施例2で合成したポリアリルアミン誘導体を、比較例2で合成したポリアミン誘導体に代えた。以上の事項以外は粒子含有組成物3と同様にして粒子含有組成物4を作製し、平均分散粒径、及び25℃での粘度を測定した。
【0172】
(粘度の測定)
粒子含有組成物の粘度を25℃下で振動式粘度計(VISCOMATE VM−10A(CBC(株)製)を用いて測定し、更に粒子分散直後と25℃で4週間後の粘度を比較し増粘率(4週間後の粘度/分散直後の粘度)を算出した。
【0173】
(平均分散粒径の測定)
上記で得られた粒子含有組成物を軽質流動パラフィン(ハイコールM−52、カネダ(株)製)で1000倍希釈し、ゼータサイザーナノZSP(Malvern Instruments Ltd製)を用いた動的光散乱法により測定した。
【0174】
【表4】
【0175】
【表5】