特許第6808976号(P6808976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6808976カラーフィルタ、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808976
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】カラーフィルタ、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20201221BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20201221BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20201221BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20201221BHJP
   C08F 299/00 20060101ALI20201221BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20201221BHJP
   C08F 4/04 20060101ALI20201221BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20201221BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   H05B33/12 E
   H05B33/14 A
   G02F1/1335 505
   C08F299/00
   C08F2/50
   C08F4/04
   B32B17/10
   H01L27/32
【請求項の数】5
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-105268(P2016-105268)
(22)【出願日】2016年5月26日
(65)【公開番号】特開2017-211541(P2017-211541A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森田 貴之
【審査官】 酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−071774(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/016452(WO,A1)
【文献】 特開2010−060938(JP,A)
【文献】 特開2012−053459(JP,A)
【文献】 特開2010−015025(JP,A)
【文献】 特開2011−053674(JP,A)
【文献】 特開2006−199902(JP,A)
【文献】 特開2006−291188(JP,A)
【文献】 特開2014−105271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
H05B 33/12
H01L 51/50
G02F 1/1335
C08F 299/00
C08F 2/50
C08F 4/04
B32B 17/10
H01L 27/32
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ガラス基板上にパターニングされた遮光層と、着色画素層と、
前記遮光層および前記着色画素層上に形成された透明膜層と、を有し、
前記着色画素層の組成物中にフタロシアニンを少なくとも含むカラーフィルタであって、
前記透明膜層の組成物中にパーフルオロアルカンジエタノールとアクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させたウレタンプレポリマーを用いた感光性樹脂組成物から得られたフッ素含有ウレタンアクリレート及び、重合開始剤として少なくとも下記式(1)で表されるオキシムエステル系化合物を含有することを特徴とするカラーフィルタ。
(化7)

(式(1)において、X1・X3・X6は、それぞれ独立にR11、OR11、COR11、S
11、CONR1213、又はCNのいずれかを表し、X2は置換基を有していてもよい炭
素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は置換基
を有していてもよい炭素原子数2〜20の複素環基のいずれかを表し、X4及びX5は、それぞれ独立に、R11、OR11、SR11、COR11、CONR1213、NR12COR11、OCOR11、COOR11、SCOR11、COSR11、COSR11、CSOR11、CN、ハロゲン原子又は水酸基のいずれかを表す。R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の複素環基のいずれかを表す。a及びbはそれぞれ独立に、0〜3のいずれかの整数である。)
【請求項2】
少なくとも、ガラス基板上にパターニングされた遮光層と、着色画素層と、
前記遮光層および前記着色画素層上に形成された透明膜層と、を有し、
前記着色画素層の組成物中にフタロシアニンを少なくとも含むカラーフィルタであって、
該透明膜層の組成物中にフッ素含有ウレタンアクリレート及び、熱重合開始剤として
2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]を含有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項3】
前記フッ素含有ウレタンアクリレートがパーフルオロアルカンジエタノールとアクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させたウレタンプレポリマーであることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置等のカラー表示装置に用いられるカラーフィルタに使用される着色画素層および透明膜層、それを用いたカラーフィルタ、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー表示装置は、携帯電話、デジタルカメラ等の小面積のものからパーソナルコンピュータの表示装置、テレビなどの大面積のものまで広く普及が進んでいる。これらのカラー表示装置については、輝度や色再現性、コントラストなどの性能をより高めることが要求されており、カラー表示装置を構成する部材であるカラーフィルタにおいても、さらなる高明度化や高色再現性、高コントラスト化などが望まれている。
【0003】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に、2種以上の異なる色相のフィルタセグメント(画素)及びそれらを区画するブラックマトリックスを有しており、TFT(薄膜トランジスタ)等のアクティブ素子を有する基板と対向して貼り合わせ、空隙部に液晶を注入した後に偏光板、バックライトユニットと組み合わせることで、カラー表示装置の一種であるカラー液晶表示装置を提供する。
【0004】
カラーフィルタに望まれる、広い色再現域と高い輝度を達成するため、最近では、カラーフィルタを構成する緑色フィルタセグメントの形成には、フタロシアニン顔料(例えば、臭素化銅フタロシアニン顔料からなるC.I.Pigment Green36、塩素化銅フタロシアニン顔料からなるC.I.Pigment Green7や塩素化臭素化亜鉛フタロシアニン顔料からなるC.I.Pigment Green58など)が用いられる。
【0005】
しかしながら、フタロシアニンは優れた着色剤であると同時に、有機半導体としても知られる材料である。特に、低酸素濃度下でのバックライト等の光照射によりフタロシアニンが励起状態となり、さらに電子供与体の存在下においてフタロシアニンアニオンラジカルとなって安定化することが知られている(下記特許文献1、2、非特許文献1参照)。高温高湿下での液晶表示装置内等では、セル内に進入した微量の水分子が電子供与体となってフタロシアニンアニオンラジカルの発生を促すと考えられる。
【0006】
この反応は、太陽電池などへの応用を考えた場合には極めて有用な反応であるが、フタロシアニンを着色剤として用いる場合には大きな問題となっている。すなわち、フタロシアニンアニオンラジカルは基底状態のフタロシアニンとは吸光波長がずれてしまうため、着色剤として用いた場合には色が変化して見えてしまう。
【0007】
また、この現象は銅フタロシアニンに比べて亜鉛フタロシアニンにて発生しやすく、顕著な色変化が観察される。
【0008】
この現象は特に液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置のように空気とは完全に遮断された状態かつ微量の水分子の存在下で用いられる場合に顕在化し、改善が望まれている。
【0009】
上記のような、フタロシアニンの光照射でのラジカル発生に伴う色変化の解決の試みとしては、パターニングされた遮光層および着色画素層上に形成された透明膜層の水分遮蔽性が考えられる。これまでの透明膜層としては熱硬化型であるエポキシ樹脂をベースに耐水性を付与する技術が知られているが、この技術では水分遮蔽性効果は不十分であると考えられる(特許文献3、4)。一方で、コロイダルシリカおよび多官能アクリレートによる耐水性付与の技術が検討されているが、コロイダルシリカを添加することで遮蔽性効果を得ることは出来るが、透明膜層の求められる透明性が損なわれてしまう課題があった(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2949230号公報
【特許文献2】特許第2958461号公報
【特許文献3】特開2001−323045号公報
【特許文献4】特許第4983583号公報
【特許文献5】特許第3818772号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「フタロシアニン−化学と機能−」白井汪芳,小林長夫 編、アイピーシー社、1997年発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、液晶表示装置用のカラーフィルタにフタロシアニン顔料を用いる際に問題であった、低酸素濃度下での光照射および微量水分による色変化を解消し、信頼性の高いカラーフィルタおよび液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、以下のものを用いることにより、上記課題を解決することが可能である。
【0014】
請求項1に係る第1の発明の一態様は、少なくとも、ガラス基板上にパターニングされた遮光層と、着色画素層と、前記遮光層および前記着色画素層上に形成された透明膜層と、を有し、前記着色画素層の組成物中にフタロシアニンを少なくとも含むカラーフィルタであって、前記透明膜層の組成物中にパーフルオロアルカンジエタノールとアクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させたウレタンプレポリマーを用いた感光性樹脂組成物から得られたフッ素含有ウレタンアクリレート及び、重合開始剤として少なくとも下記式(1)で表されるオキシムエステル系化合物を含有することを特徴とするカラーフィルタである。
【0015】
【化1】
【0016】
(式(1)において、X1・X3・X6は、それぞれ独立にR11、OR11、COR11、SR11、CONR12R13、又はCNのいずれかを表し、X2は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の複素環基のいずれかを表し、X4及びX5は、それぞれ独立に、R11、OR11、SR11、COR11、CONR12R13、NR12COR11、OCOR11、COOR11、SCOR11、COSR11、COSR11、CSOR11、CN、ハロゲン原子又は水酸基のいずれかを表す。R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の複素環基のいずれかを表す。a及びbはそれぞれ独立に、0〜3のいずれかの整数である。)
【0017】
請求項2に係る第2の発明の一態様は、少なくとも、ガラス基板上にパターニングされた遮光層と、着色画素層と、前記遮光層および前記着色画素層上に形成された透明膜層と、を有し、前記着色画素層の組成物中にフタロシアニンを少なくとも含むカラーフィルタであって、該透明膜層の組成物中にフッ素含有ウレタンアクリレート及び、熱重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]を含有することを特徴とするカラーフィルタである
【0018】
請求項3に係る第3の発明の一態様は、 前記フッ素含有ウレタンアクリレートがパーフルオロアルカンジエタノールとアクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させたウレタンプレポリマーであることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタである。
【0021】
請求項4に係る第4の発明の一態様は、請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置である。
【0022】
請求項5に係る第5の発明の一態様は、請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のカラーフィルタを用いることにより、低酸素濃度下での光照射および微量水分下においても色変化のしづらい高信頼性の液晶表示装置を提供することができる。また、本発明のカラーフィルタを用いて、同様に高信頼性の有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を実施するための代表的な形態を記すが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0025】
まず、本発明のカラーフィルタにおける着色画素層において、特にフタロシアニンを含有する緑色画素層を形成するための緑色感光性着色組成物について説明する。
【0026】
[緑色感光性着色組成物]
緑色感光性着色組成物は、その必須成分として(A)着色顔料、(B)透明樹脂、(C)光重合性モノマー、(D)光重合開始剤を含有するものである。また、溶剤、分散剤などの添加剤を含有するものであっても良い。
【0027】
(A)着色顔料
緑色感光性着色組成物に用いることのできる着色顔料としては、C.I.Pigment Green7、10、36、37、58、59等の緑色顔料を用いることができる。特に、C.I.Pigment Green58に代表される臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は高透過率化に有効である。
【0028】
緑色感光性着色組成物には、色相を調整するために、黄色顔料や黄色染料を併用することが好ましい。
【0029】
緑色感光性着色組成物に用いることのできる黄色顔料は、例えば、C.I.Pigment Yellow1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等を用いることができる。この中でも高輝度化の観点からは、キノフタロン系顔料であるC.I.Pigment Yellow138やC.I.Pigment Yellow150を使用することが好ましい。
【0030】
緑色感光性着色組成物に用いることのできる黄色染料は例えば、C.I.SolventYellow2、3、7、12、13、14、16、18、19、21、25、25:1、27、28、29、30、33、34、36、42、43、44、47、56、62、72、73、77、79、81、82、83、83:1、88、89、90、93、94、96、98、104、107、114、116、117、124、130、131、133、135、141、143、145、146、157、160:1、161、162、163、167、169、172、174、175、176、179、180、181、182、183、184、185、186、187、189、190、191、C.I.BasicYellow11、23、25、28、41、C.I.DirectYellow26、27、28、33、44、50、86、142、C.I.SulphurYellow4、C.I.ReactiveYellow1、2、4、14、16、C.I.VatYellow2、12、20、33、C.I.DisperseYellow3、4、5、7、23、33、42、60、64等が挙げられる。
【0031】
また、緑色感光性着色組成物には、色相を調整するために、青色顔料、青色染料、赤色顔料、赤色染料など、緑色、黄色以外の着色成分を併用しても良い。
【0032】
緑色、黄色以外の着色成分としては、例えばC.I.Pigment Red 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279、C.I.Pigment Orange 43、71、73、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、C.I.Direct Blue1、2、6、8、15、22、25、41、71、76、77、78、80、86、90、98、106、108、120、158、160、163、165、168、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、225、226、236、237、246、248、249、C.I.Acid Blue 1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、54、59、60、62、72、74、78、80、82、83、90、92、93、100、102、103、104、112、113、117、120、126、127、129、130、131、138、140、142、143、151、154、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、187、192、199、203、204、205、229、234、236、C.I.Basic Blue 1、3、5、7、9、19、21、22、24、25、26、28、29、40、41、45、47、54、58、59、60、64、65、66、67、68、Sovent Blue 4、5、35、45、59、67、70、90、97、101、104、122、C.I.SolventOrange1、2、3、4、5、7、11、14、20、23、25、31、40:1、41、45、54、56、58、60、62、63、70、75、77、80、81、86、99、102、103、105、106、107、108、109、110、111、112、113、C.I.SolventRed1、2、3、4、8、16、17、18、19、23、24、25、26、27、30、33、35、41、43、45、48、49、52、68、69、72、73、83:1、84:1、89、90、90:1、91、92、106、109、110、111、118、119、122、124、125、127、130、132、135、141、143、145、146、149、150、151、155、160、161、164、164:1、165、166、168、169、172、175、179、180、181、182、195、196、197、198、207、208、210、212、214、215、218、222、223、225、227、229、230、233、234、235、236、238、239、240、241、242、243、244、245、247、248、C.I.AcidRed6、11、26、60、88、111、186、215、C.I.AcidYellow17、23、25、36、38、42、44、72、78、C.I.BasicRed1、2、13、14、22、27、29、39、C.I.DirectRed4、23、31、75、76、79、80、81、83、84、149、224、C.I.DirectOrange26、29、34、37、72、C.I.SulphurRed5、6、7、C.I.VatRed13、21、23、28、29、48、C.I.VatOrange2、5、11、15、18、20、C.I.ReactiveRed8、22、46、120、C.I.ReactiveOrange1、4、7、13、16、20、C.I.DisperseRed4、11、54、55、58、65、73、127、129、141、196、210、229、354、356、C.I.DisperseOrange13、29、30等が挙げられる。
【0033】
(B)透明樹脂
緑色感光性着色組成物に用いることのできる透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上のものを用いることができる。透明樹脂には、非感光性透明樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び感光性樹脂が含まれる。透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0034】
また、透明樹脂の分子量は、3,000〜100,000の範囲であることが望ましい。透明樹脂の分子量が3,000未満では、現像の際にカラーフィルタパターンの直線性が悪化し、膜減り率が増大し、カラーフィルタパターンの断面形状が悪くなる。逆に、100,000以上であれば、現像時間が遅くなり、生産性が低下する。したがって、より好ましくは、20,000〜60,000の範囲が良い。
【0035】
非感光性透明樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有しない樹脂であり、熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル− 酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン等が挙げられる。
【0036】
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、メラミン樹脂あるいはエポキシ樹脂が好ましい。但し、これらの樹脂はアルカリ可溶性を示さないものがほとんどである。
【0037】
感光性樹脂としては、反応性官能基を有する線状高分子に、この反応性官能基と反応可能な置換基を有する(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等を反応させて、エチレン不飽和二重結合を該線状高分子に導入した樹脂が挙げられる。また、反応性官能基を有する(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等に、この反応性官能基と反応可能な置換基を有する線状高分子を反応させて、エチレン不飽和二重結合を該線状高分子に導入した樹脂が挙げられる。前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が例示でき、この反応性官能基と反応可能な置換基としては、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等が例示できる。
【0038】
また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも、感光性樹脂として使用できる。
【0039】
光硬化の生じやすさを示す、感光性透明樹脂中に水酸基などを介して導入されるエチレン性不飽和二重結合の量は、得られる感光性透明樹脂の「二重結合当量」により示される。本発明における感光性透明樹脂の二重結合当量は200〜1200であることが好ましく、300〜900であることがより好ましい。
感光性透明樹脂の二重結合当量が200未満の場合は、エチレン性不飽和二重結合を導入させる反応性の置換基を有するエチレン性不飽和単量体の比率が高くなり、諸特性を維持するのに十分な量の他のエチレン性不飽和単量体を共重合させることができない。1200を越える場合は、エチレン性不飽和二重結合の数が少ないため十分な感度を得ることができない。
【0040】
(C)光重合性モノマー
緑色感光性着色組成物に用いられる光重合性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を1分子中に1個以上含む。また、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和二重結合を含むことが好ましい。
これらの光重合性モノマーは単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。
【0041】
光重合性モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスβ−(メタ)アクリロイルオキシプロピネート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル[2.2.1]ヘプタン、ポリ1,2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルヘキサン、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカンエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、10−デカンジオール(メタ)アクリレート、3,8−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.10]デカン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールBジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールBジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールBジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールEジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールEジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールEジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が代表例として挙げられる。光重合性モノマーは、必要であれば光重合性モノマー同士を共重合させたものを用いてもよい。
【0042】
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示している。また、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」と「メタクリロイル基」の両方を示している。たとえば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタクリレート」の両方を示している。
【0043】
(D)光重合開始剤
緑色感光性着色組成物に用いられる光重合開始剤としては、オキシムエステル系光重合開始剤、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン系化合物、トリアジン系化合物、ホスフィン系化合物、キノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が挙げられる。
【0044】
特に好ましいオキシムエステル系光重合開始剤としては、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]等が挙げられる。
【0045】
アセトフェノン系化合物としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0046】
また、ベンゾイン系化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0047】
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等が挙げられる。チオキサンソン系化合物としては、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等が挙げられる。
【0048】
トリアジン系化合物としては、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等が挙げられる。
【0049】
ホスフィン系化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0050】
また、キノン系化合物としては、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等が挙げられる。
【0051】
(溶剤)
緑色感光性着色組成物には、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために、感光性着色組成物の粘度を適正化すると共に、着色剤を十分に感光性樹脂組成物中に均一に分散させるために、溶剤を用いることもできる。
【0052】
溶剤としては、水、有機溶剤等が利用できる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−n−アミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
溶剤は、着色材100質量部に対して、好ましくは800〜4000質量部、より好ましくは1000〜2500質量部の量で用いることができる。
【0053】
(分散剤)
適宜、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体、界面活性剤等の分散剤を用いることができる。分散剤は、顔料の分散性に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散剤を用いて顔料を感光性樹脂組成物中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。分散剤の添加量は特に限定されるものではないが、着色顔料100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部、より好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは1〜10質量部の量で用いることができる。
【0054】
(樹脂型顔料分散剤)
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、感光性透明樹脂および非感光性透明樹脂と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の感光性樹脂組成物への分散を安定化する働きをするものである。
【0055】
樹脂型顔料分散剤としては、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などが用いられる。
【0056】
また、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/ プロピレンオキサイド付加物等も用いられる。これらは、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0057】
市販の樹脂型顔料分散剤としては、ビックケミー社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、アビシア社製のSOLSPERS E−3000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32600、34750、36600、38500、41000、41090、53095等、エフカケミカルズ社製のEFKA−46、47、48、452、LP4008、4009、LP4010、LP4050、LP4055、400、401、402、403、450、451、453、4540、4550、LP4560、120、150、1501、1502、1503等が挙げられる。
【0058】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0059】
次に、本発明のカラーフィルタに用いられる透明膜層を形成する透明感光性組成物について説明する。
【0060】
[透明感光性組成物]
本発明のカラーフィルタに用いられる透明感光性組成物は、その必須成分として、(a)光重合開始剤または熱重合開始剤、(b)バインダー樹脂、(c)重合性モノマー、(d)界面活性剤、および(e)溶剤を少なくとも含有して成る。
【0061】
(a)光重合開始剤としては、従来公知の化合物を適宜使用することが出来るが、光硬化をより促進して水分遮蔽性の効果を得るために高感度化を達成することが出来るオキシムエステル化合物を用いることが好ましい。光重合開始剤を用いることで、フォトリソグラフィー法を用いて透明膜を所望のパターンで解像することができる。
【0062】
前記オキシムエステル系化合物の具体例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン(共にBASFジャパン社製)等が挙げられるが、とりわけ少量添加で高感度化を達成できる下式(1)の化合物を用いることが好ましい。
【0063】
【化3】
【0064】
上記式(1)において、X・X・Xは、それぞれ独立にR11、OR11、COR11、SR11、CONR1213、又はCNのいずれかを表し、Xは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の複素環基のいずれかを表し、X及びXは、それぞれ独立に、R11、OR11、SR11、COR11、CONR1213、NR12COR11、OCOR11、COOR11、SCOR11、COSR11、COSR11、CSOR11、CN、ハロゲン原子又は水酸基のいずれかを表す。R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の複素環基のいずれかを表す。
a及びbはそれぞれ独立に、0〜3のいずれかの整数である。
【0065】
は、合成の容易さ、感度、溶解性、透明感光性組成物に含有したときの保存安定性の観点から、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数10以下のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数10以下の側鎖を有しても良い環状アルキル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、2−(1−メトキシプロピル)基、2−(1−エトキシプロピル)基等の炭素数10以下でありメチレン鎖中にエーテル結合を1個有するアルキル基である。
【0066】
は、合成の容易さ、感度、溶解性、透明感光性組成物に含有したときの保存安定性の観点から、特に好ましくは水素、またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基等の炭素数6以下のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数6以下の環状アルキル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、2−(1−メトキシプロピル)基、2−(1−エトキシプロピル)基等の炭素数6以下でありメチレン鎖中にエーテル結合を1個有するアルキル基である。
【0067】
は、合成の容易さ、感度、溶解性、透明感光性組成物に含有したときの保存安定性の観点から、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基等の炭素数6以下のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数6以下の環状アルキル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、2−(1−メトキシプロピル)基、2−(1−エトキシプロピル)基等の炭素数6以下でありメチレン鎖中にエーテル結合を1個有するアルキル基である。
【0068】
は、合成の容易さ、感度、溶解性、透明感光性組成物に含有したときの保存安定性の観点から、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基等の炭素数6以下のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数6以下の環状アルキル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、2−(1−メトキシプロピル)基、2−(1−エトキシプロピル)基等の炭素数6以下でありメチレン鎖中にエーテル結合を1個有するアルキル基である。
【0069】
及びXは、合成の容易さ、感度、溶解性、透明感光性組成物に含有したときの保存安定性の観点から、特に好ましくは水素、またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基等の炭素数6以下のアルキル基である。
【0070】
上記式(1)で表される光重合開始剤の具体例としては、例えば下記式(3)の化合物が挙げられる。
【0071】
【化4】
【0072】
前記式(1)で表される光重合開始剤は、近接露光装置の光源として広く用いられている高圧水銀ランプとのマッチングに優れ、主要な輝線であるi線(365nm)、h線(405nm)の光を効率よく吸収するため、透明感光性組成物を高感度化することができ、光硬化をより促進して水分遮蔽性の効果を得ることができる。
また、塗膜が十分に硬化するため、均一な硬化膜となり、後工程へのムラ低減につながる。また、少量で高感度化が可能であるため、開始剤による耐熱性の悪化が生じにくく、高い透明性を維持することができる。更に、高感度なため、膜流動性が生じにくく、高い平坦性も有する。
【0073】
前記式(1)で表される光重合開始剤の含有量は、前記透明感光性組成物の固形分中1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜15重量%の範囲である。
光重合開始剤の含有量がこの範囲である場合、水分遮蔽性を十分得るだけの透明膜層を形成することが可能である。光重合開始剤の含有量が1重量%以下である場合、透明膜層の水分遮蔽性を十分得ることができない。一方、光重合開始剤の含有量が20重量%以上である場合、開始剤の熱分解による黄変で透明性が維持されないおそれがある。
【0074】
本発明のカラーフィルタに用いられる透明感光性組成物には、上記式(1)で表される光重合開始剤と共に、他の光重合開始剤を併用することができる。
例えば、アセトフェノン系化合物として、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0075】
また、複数のアセトフェノン系およびその他の光重合開始剤を組み合わせて使用してもよい。アセトフェノン系以外の光重合開始剤は、光を照射されることによって活性ラジカルを発生する活性ラジカル発生剤、増感剤などが挙げられる。活性ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。
【0076】
ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0077】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0078】
チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0079】
トリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0080】
活性ラジカル発生剤として、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などを用いることもできる。
【0081】
酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などを挙げることができる。
【0082】
また、活性ラジカル発生剤として上記した化合物の中には、活性ラジカルと同時に酸を発生する化合物もあり、例えば、トリアジン系光重合開始剤は、酸発生剤としても使用される。
【0083】
本発明において用いられる光重合開始助剤は、光重合開始剤と組み合わせて用いられ、光重合開始剤によって重合が開始された光重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物である。
【0084】
光重合開始助剤としては、少なくとも1種のアミン系を含む。アミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0085】
また、複数のアミン系やその他の光重合開始助剤を組み合わせて使用してもよい。その他の光重合開始助剤としては、例えば、アルコキシアントラセン系化合物、チオキサントン系化合物などが挙げられる。
【0086】
アルコキシアントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0087】
チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0088】
光重合開始助剤として市販のものを用いることもでき、市販の光重合開始助剤としては、例えば、商品名「EAB−F」(保土谷化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0089】
これらの光重合開始助剤を用いる場合、その使用量は、光重合開始剤1モルあたり通常10モル以下、好ましくは0.01モル以上5モル以下である。
【0090】
熱重合開始剤としては、従来公知の化合物を適宜使用することが出来るが、一次反応で分解する、金属接触等で誘発分解しない、分解時に溶媒の影響を受けない、穏和な反応性、等の観点から過酸化物ではなく、下記式(2)で表されるアゾ基含有化合物を用いることが好ましい。熱重合開始剤を用いることで、熱硬化型の透明膜を形成することができる。
【0091】
【化5】
【0092】
式(2)において、Xは、CH又はCNのいずれかを表す。Rは、R21、R21OR22、CONHR21、CONHR21OH、CONHR21COOH、COOR21、R21COOH、NH、又は複素環基のいずれかを表す。R21およびR22はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜5のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜5のアリールアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜5の複素環基、のいずれかを表す。XとRが炭素原子数2〜10のアルキル鎖にて環状構造を有していてもよい。
【0093】
上記式(2)で表される熱重合開始剤の具体例としては、例えば下記式(4)の化合物が挙げられる。
【0094】
【化6】
【0095】
前記式(2)で表される熱重合開始剤の含有量は、前記透明感光性組成物の固形分中1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜15重量%の範囲である。熱重合開始剤の含有量がこの範囲である場合、水分遮蔽性を十分得るだけの透明膜層を形成することが可能である。熱重合開始剤の含有量が1重量%以下である場合、透明膜層の水分遮蔽性を十分得ることができない。一方、熱重合開始剤の含有量が20重量%以上である場合、開始剤の熱分解による黄変で透明性が維持されないおそれがある。
【0096】
また、熱重合開始剤の10時間半減期温度は、50〜110℃であることが好ましい。熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が50℃より小さい場合、透明感光性組成物としての保存安定性を維持することが難しくなる。熱重合開始剤の10時間半減期温度が110℃より大きい場合、透明膜層の水分遮蔽性を十分得ることができない。
【0097】
前記透明感光性組成物における(b)バインダー樹脂としては、アクリル系共重合体が使用でき、例えば、カルボキシル基含有モノマーおよびこれと共重合可能なほかのモノマーとの共重合体などが挙げられる。
【0098】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、不飽和モノカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの不飽和多価カルボン酸などの分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。ここで、不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸などが挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は、その酸無水物、具体的には無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などであってもよい。また、不飽和多価カルボン酸は、そのモノ(2−メタクリロイロキシアルキル)エステルであってもよく、例えば、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)などであってもよい。不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレートであってもよく、例えば、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどであってもよい。これらのカルボキシル基含有モノマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0099】
前記カルボキシル基含有モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルアクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリレート、3−ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド類、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類、ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルアクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類などを挙げることができる。これらのモノマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0100】
前記共重合体におけるカルボキシル基含有モノマー単位の含有量は、通常10〜50重量%、好ましくは15〜40重量%、とりわけ好ましくは25〜40重量%である。
前記カルボキシル基含有モノマー単位の含有量が10〜50重量%であると、現像液に対する溶解性が良好であり、現像時にパターンが正確に形成される傾向があり、好ましい。
【0101】
前記アクリル系共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)/スチレン/アリル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体などが挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートであることを示す。
【0102】
中でも(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/スチレン共重合体などが好ましい。
【0103】
前記アクリル系共重合体は、そのポリスチレン換算重量平均分子量が通常3,000〜400,000であり、好ましくは5,000〜100,000、とりわけ好ましくは20,000〜40,000である。
前記ポリスチレン換算重量平均分子量が3,000〜400,000であると、塗膜硬度が向上し、残膜率も高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、解像度が向上する傾向にあり、好ましい。
【0104】
また、酸価は通常30〜250であり、より好ましくは60〜180、とりわけ好ましくは90〜160である。
前記酸価が30〜250であると、現像液に対する溶解性が向上して未露光部が溶解しやすくなり、また高感度化して現像時に露光部のパターンが残って残膜率が向上する傾向があり、好ましい。ここで酸価はアクリル系重合体1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、通常は水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0105】
前記(b)バインダー樹脂は、透明感光性組成物の固形分に対して通常5重量%以上90重量%以下、好ましくは10重量%以上80重量%以下、とりわけ好ましくは20重量%以上70重量%以下の範囲で用いられる。前記したバインダー樹脂の含有量が、5重量%以上90重量%以下であると、パターンにアンダーカットが入りにくくなって密着性が良好になる傾向があり、また解像度および残膜率が向上する傾向にあり好ましい。
【0106】
また、熱重合開始剤を用いて熱硬化型の透明膜を形成する場合、熱硬化性樹脂を併用することができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、メラミン樹脂あるいはエポキシ樹脂が好ましい。
【0107】
本発明において用いられる(c)重合性モノマーとしては、光を照射されることによって光重合開始剤、或いは熱を加えることによって熱重合開始剤から発生した活性ラジカル、酸などによって重合しうるモノマーであって、例えば、重合性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。重合性モノマーとしては従来公知の化合物を適宜使用することが出来るが、光硬化および熱硬化をより促進して水分遮蔽性の効果を得るために、フッ素含有ウレタンアクリレートを用いる。
【0108】
バインダー樹脂と重合性モノマーの重合部には、立体構造的に空隙が出来やすいため、重合性モノマーの分子構造にフッ素を含有することによって水分遮蔽性の効果を得ることが出来る。また、ウレタンアクリレートを用いることで高い反応性により緻密な架橋膜を得ることが出来るため、相乗的な水分遮蔽性の効果を得ることが出来る。ウレタン結合の窒素原子に隣接した炭素上の水素は引き抜かれ易く、ラジカル化後にエネルギー的に安定であることから、通常のアクリルでのラジカル重合よりも高い反応性により緻密な架橋膜を得ることが出来ると考えられる。
【0109】
前記重合性モノマーは、フッ素含有ウレタンアクリレート以外にも混合して用いても構わない。混合する重合性モノマーとしては、立体構造的に空隙が出来にくい3官能以上の多官能のラジカル重合性化合物であることが好ましい。3官能以上の多官能の重合性モノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなどが挙げられる。前記重合性モノマーは、3種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0110】
(c)重合性モノマーの含有量は、透明感光性組成物中で、通常5重量%以上90重量%以下、好ましくは10重量%以上80重量%以下、とりわけ好ましくは20重量%以上70重量%以下の範囲で用いられる。前記ラジカル重合性化合物の含有量が、5重量%以上90重量%以下であると、硬化が十分におこり水分遮蔽性の効果が得られるだけでなく、高残膜率が向上し密着性が良好になる傾向があり好ましい。
【0111】
本発明で用いられる(d)界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤; アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0112】
前記界面活性剤は単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0113】
本発明で用いられる(e)溶剤としては、例えば、エーテル類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、エステル類、アミド類などが挙げられる。
【0114】
エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
【0115】
芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0116】
エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0117】
アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
その他の溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホオキシドなどが挙げられる。
【0118】
上記した溶剤の中でも、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメテルエーテル、酢酸ブチル、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノンなどが好ましく用いられる。
【0119】
前記溶剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができ、感光性樹脂組成物中の前記溶剤の含有量は、通常50重量%以上90重量%以下、好ましくは60重量%以上85重量%以下である。
溶剤の含有量が50重量%以上90重量%以下であると、平坦性が良好で、カラーフィルタとしたときに十分な色濃度が得られ、好ましい。
【0120】
本発明のカラーフィルタに用いられる透明感光性組成物は、充填剤、バインダー樹脂以外の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、有機酸、有機アミノ化合物、硬化剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0121】
硬化剤としては、例えば、加熱されることによってバインダー樹脂中のカルボキシル基と反応してバインダーポリマーを架橋することができる化合物が挙げられる。そのような化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0122】
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、他の芳香族系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、エポキシ化油等のエポキシ樹脂や、これらのエポキシ樹脂の臭素化誘導体、エポキシ樹脂およびその臭素化誘導体以外の脂肪族、脂環族または芳香族のエポキシ化合物、ブタジエンの(共)重合体のエポキシ化物、イソプレンの(共)重合体のエポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0123】
オキセタン化合物としては、例えば、カーボネートビスオキセタン、キシリレンビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタンなどが挙げられる。
【0124】
本発明のカラーフィルタに用いられる透明感光性組成物は、硬化剤としてエポキシ化合物、オキセタン化合物などを含有する場合には、エポキシ化合物のエポキシ基、オキセタン化合物のオキセタン骨格を開環重合させ得る化合物を含んでいてもよい。そのような化合物としては、例えば、多価カルボン酸類、多価カルボン酸無水物類、酸発生剤などが挙げられる。
【0125】
多価カルボン酸類としては、例えば、フタル酸、3,4−ジメチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸類、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸類、ヘキサヒドロフタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸などの脂環族多価カルボン酸類などが挙げられる。
【0126】
多価カルボン酸無水物類としては、例えば、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物類、無水イタコン酸、無水こはく酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸無水物類、無水ヘキサヒドロフタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂環族多価カルボン酸無水物類、エチレングリコールビストリメリテイト酸、グリセリントリストリメリテイト無水物などのエステル基含有カルボン酸無水物類などが挙げられる。
【0127】
カルボン酸無水物類として、エポキシ樹脂硬化剤として市販されているものを用いてもよい。前記エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、商品名「アデカハードナーEH−700」((株)ADEKA製)、商品名「リカシッドHH」(新日本理化(株)製)、商品名「MH−700」(新日本理化(株)製)などが挙げられる。
【0128】
前記硬化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0129】
以下に実施形態を掲げ、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0130】
[遮光層の形成]
(感光性黒色組成物の作製)
感光性黒色組成物は、以下の組成の混合物を混合攪拌して作製した。(固形分中の顔料濃度:30.7%)
カーボンブラック分散液:御国色素社製(TPBK−2016) 28.5重量部
樹脂:V259−ME(新日鉄住金化学社製)(固形分56.1重量%)10.3重量部
モノマー:DPHA(日本化薬社製) 2.58重量部
開始剤:OXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.86重量部
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
エチル−3−エトキシプロピオネート 92.0重量部
レベリング剤:BYK−323 1.3重量部
【0131】
(遮光層の形成)
透明基板上に上記の感光性黒色組成物をスピンコートにより膜厚1.5μmとなるように塗布した。100℃で3分乾燥の後、露光機にて格子状のパターン露光を200mJ行い、アルカリ現像液にて60秒間現像、230℃で60分加熱処理をして定着、格子状のブラックマトリクス層を透明基板上に形成した。なお、アルカリ現像液は以下の組成からなる。以下、実施例及び比較例ではこのアルカリ現像液を用いて現像を行う。
炭酸ナトリウム 1.5重量%
炭酸水素ナトリウム 0.5重量%
陰イオン系界面活性剤(花王(株)製「ペリレックスNBL」) 8.0重量%
水 90重量%
【0132】
[着色層の形成]
(赤色、緑色、青色着色組成物の作製)
・赤色着色組成物
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B-CF」)
18重量部
赤色顔料:C.I. Pigment Red 177
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
2重量部
分散剤(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」)
2重量部
アクリルワニス(固形分20%) 50重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色着色組成物を得た。
上記分散体 72重量部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 8重量部
(日本化薬(株)製「カヤラッドDPCA−30」)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10重量部
(日本化薬(株)製「カヤラッドDPHA」)
メチル化メラミン樹脂 10重量部
(三和ケミカル(株)製「MW30」)
光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュアー907」)
3重量部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB-F」) 1重量部
シクロヘキサノン 253重量部
【0133】
・緑色着色組成物(PG1)
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して緑色顔料の分散体を作製した。
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58
(DIC社製「ファストゲングリーン A110」) 16重量部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150
(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y-5688」) 8重量部
分散剤(ビックケミー社製「Disperbyk-163」) 2重量部
アクリルワニス(固形分20%) 102重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して緑色着色組成物(PG1)を得た。
上記分散体 128重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(新中村化学(株)製「NKエステルATMPT」) 14重量部
光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュアー907」)
4重量部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB-F」) 2重量部
シクロヘキサノン 257重量部
なお、上記緑色顔料のC.I. Pigment Green 58は、前述の着色顔料の説明で示したように、臭素化亜鉛フタロシアニンを含有する顔料である。
【0134】
・青色着色組成物
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して青色顔料の分散体を作製した。
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15
(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」) 30重量部
紫色顔料:C.I. Pigment Violet 23
(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」) 2重量部
分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」) 6重量部
アクリルワニス(固形分20%) 200重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して青色着色組成物を得た。
上記分散体 238重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(新中村化学(株)製「NKエステルATMPT」) 19重量部
光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュアー907」)
4重量部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB-F」) 2重量部
シクロヘキサノン 214重量部
【0135】
(着色層の形成)
得られた赤色着色組成物、緑色着色組成物、青色着色組成物を用いて下記の要領で画素となる着色層を形成した。前述の遮光層を形成した透明基板上に、赤色着色組成物をスピンコートにより膜厚2μmとなるように塗布した。乾燥の後、露光機にてストライプ状のパターン露光をし、アルカリ現像液にて90秒間現像、230℃で20分加熱して定着、ストライプ状の赤色着色層を透明基板上に形成した。
【0136】
次に、緑色着色組成物も同様にスピンコートにて膜厚が2μmとなるように塗布した。乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色着色層とはずらした場所に露光し現像することで、前述赤色着色層と隣接した緑色着色層を形成した。
【0137】
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、青色着色組成物についても膜厚2μmとなるように赤色着色層、緑色着色層と隣接した青色着色層を形成した。
【0138】
[透明膜層の形成]
[ 実施例1]
(合成例1)
1リットル容の5つ口フラスコに、シクロヘキサノン200g、N−シクロヘキシルマレイミド30g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30g、メタアクリル酸20g、ブチルメタクリレート20gを仕込み、窒素雰囲気下でアゾビスイソブチロニトリル1.0gを添加し80〜85℃で8時間反応させた。
次いで、イソシアネートエチルメタクリレート7g、オクチル酸スズ0.03gをシクロヘキサン10gで溶解したものを約10分で滴下し、滴下後80〜85℃で30分反応させて側鎖に重合性のメタクリロイル基を有する樹脂溶液を合成した。さらに、この樹脂の不揮発分が20重量%となるようにシクロヘキサノンで調製し、バインダー樹脂の溶液を得た。
【0139】
(感光性樹脂組成物1の作製)
以下の組成の混合物を混合攪拌して感光性樹脂組成物1を作製した。
(a)光重合開始剤:ADEKA製 N−5050 6重量部
(b)バインダー樹脂:合成例1にて作製したバインダー樹脂 500重量部
(c)重合性モノマー:共栄社化学製 LINC−202UA 136重量部
(d)界面活性剤:DIC製 F−550 0.09重量部
(e)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 228重量部
なお、上記で用いた光重合開始剤のN−5050は、前記式(1)で表されるオキシムエステル化合物を含有する化合物である。
また、上記で用いた重合性モノマーのLINC−202UAは、フッ素含有ウレタンアクリレートを含む化合物である。
【0140】
(透明膜層1の形成)
前記した遮光層、着色層を形成したガラス基板上に感光性樹脂組成物1を膜厚が2.0μmになるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥した。透明膜層形成用のフォトマスクを通して高圧水銀灯の光を50mJ/cm照射した。尚、フォトマスクとガラス基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。
その後、以下のようなアルカリ現像液を用いて40秒間現像を行い、水洗を施したのち、230℃30分焼成して透明膜層1を作製した。
【0141】
[ 実施例2 ]
(感光性樹脂組成物2の作製)
以下の組成の混合物を混合攪拌して感光性樹脂組成物2を作製した。
(a)熱重合開始剤:和光純薬工業社製 VA−061 6重量部
(b)バインダー樹脂:合成例1にて作製したバインダー樹脂 500重量部
(c)重合性モノマー:共栄社化学製 LINC−202UA 136重量部
(d)界面活性剤:DIC製 F−550 0.09重量部
(e)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 228重量部
なお、上記で用いた熱重合開始剤のVA−061は、前記式(2)で表されるアゾ基含有化合物を含有する化合物である。
【0142】
(透明膜層2の形成)
前記した遮光層、着色層を形成したガラス基板上に感光性樹脂組成物2を膜厚が2.0μmになるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥した。透明膜層形成用のフォトマスクを通して高圧水銀灯の光を50mJ/cm照射した。尚、フォトマスクとガラス基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。
その後、以下のようなアルカリ現像液を用いて40秒間現像を行い、水洗を施したのち、230℃30分焼成して透明膜層2を作製した。
【0143】
[ 比較例1]
(感光性樹脂組成物3の作製)
以下の組成の混合物を混合攪拌して感光性樹脂組成物3を作製した。
(a)光重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュアー907
12重量部
(b)バインダー樹脂:合成例1にて作製したバインダー樹脂 500重量部
(c)重合性モノマー:共栄社化学製 LINC−162A 136重量部
(d)界面活性剤:DIC製 F−550 0.09重量部
(e)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 242重量部
なお、上記で用いた光重合開始剤のイルガキュアー907は、オキシムエステル化合物を含有しない化合物である。
また、上記で用いた重合性モノマーのLINC−162Aは、フッ素を含有するが、ウレタン構造は含まない化合物である。
【0144】
(透明膜層3の形成)
前記した遮光層、着色層を形成したガラス基板上に感光性樹脂組成物3を膜厚が2.0μmになるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥した。透明膜層形成用のフォトマスクを通して高圧水銀灯の光を50mJ/cm照射した。尚、フォトマスクとガラス基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。
その後、以下のようなアルカリ現像液を用いて40秒間現像を行い、水洗を施したのち、230℃30分焼成して透明膜層3を作製した。
【0145】
[ 比較例2 ]
(感光性樹脂組成物4の作製)
以下の組成の混合物を混合攪拌して感光性樹脂組成物4を作製した。
(a)光重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュアー907
6重量部
(b)バインダー樹脂:合成例1にて作製したバインダー樹脂 500重量部
(c)重合性モノマー:共栄社化学製 UA−306H 136重量部
(d)界面活性剤:DIC製 F−550 0.09重量部
(e)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 228重量部
なお、上記で用いた重合性モノマーのUA−306Hは、フッ素を含有せず、ウレタン構造を含む化合物である。
【0146】
(透明膜層4の形成)
前記した遮光層、着色層を形成したガラス基板上に感光性樹脂組成物4を膜厚が2.0μmになるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥した。透明膜層形成用のフォトマスクを通して高圧水銀灯の光を50mJ/cm照射した。尚、フォトマスクとガラス基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。
その後、以下のようなアルカリ現像液を用いて40秒間現像を行い、水洗を施したのち、230℃30分焼成して透明膜層4を作製した。
【0147】
[ 比較例3]
(感光性樹脂組成物5の作製)
以下の組成の混合物を混合攪拌して感光性樹脂組成物5を作製した。
・エポキシ化合物:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂
「スミエポキシESCN−195XL−80」(住友化学工業(株)製) 27重量部
(d)界面活性剤:DIC(株)製 F−550 0.09重量部
(e)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 275重量部
本例では、バインダー樹脂として上記のエポキシ樹脂を用いており、光重合性開始剤や重合性モノマーは用いていない。
【0148】
(透明膜層5の形成)
前記した遮光層、着色層を形成したガラス基板上に感光性樹脂組成物5を膜厚が2.0μmになるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥した。
その後、230℃30分焼成して透明膜層5を作製した。
【0149】
[液晶表示パネルの作製]
得られた各カラーフィルタの上にポリイミド配向層を形成した。そして、このガラス基板の他方の表面に偏光板を形成した。他方、別の(第2の)板厚0.7mmの無アルカリガラス基板の一方の表面にTFTアレイおよび画素電極を形成した。
【0150】
このようにして準備された2つのガラス基板を電極層同士が対面するよう対向させ、スペーサビーズを用いて両基板の間隔を一定に保ちながら位置合わせし、液晶組成物注入用開口部を残すように周囲を三井化学社製LCD用シール剤「ストラクトボンドXN−21−S」を用いて封止した。次いで、開口部から用液晶組成物を注入し、開口部を封止した。その後、クリーンオーブンにて150℃で60分加熱し、液晶表示パネルを得た。
【0151】
[液晶表示装置の作製]
得られた液晶表示パネルに広視野角表示が可能なように最適化された光学補償層を設けた。さらに、バックライトユニットと組み合わせて液晶表示装置を得た。
【0152】
(評価)
上記の感光性樹脂組成物で作製した透明膜層1〜5を用いた液晶表示パネルについて、以下の項目にて評価を実施した。
【0153】
[耐光性評価]
作製した液晶表示パネルをキセノンウェザーメーターCi35A(ATLAS社製)にて、照度0.5mW/cm(340nm)、温度63℃、湿度50%の条件下にて200時間照射し、試験前後に顕微分光光度計(大塚電子社製LCF−1100)を用い、緑色フィルタセグメントのC光源での分光特性評価を行い、色度変化を示す値であるΔE*abを計算した。なお、測定の際のリファレンスには板厚0.7mmの無アルカリガラスを用いた。耐光性評価の判定基準については、色度変化が小さい場合を良好として、○:ΔE*ab≦3、×:ΔE*ab>3とした。
【0154】
上記の評価を行った結果を表1に示した。
【0155】
【表1】
【0156】
表1の結果の通り、実施例1及び実施例2のように、本発明のカラーフィルタにおいて透明膜層に重合性モノマーとしてフッ素含有ウレタンアクリレートモノマーを用い、さらに重合開始剤としてオキシムエステル化合物を含むものを用いた場合には、色度および透過率の変化に問題のないカラーフィルタおよびこれを用いた液晶表示装置が得られた。
一方、比較例1〜比較例3のように、ウレタン結合のないモノマーやフッ素を含有していないモノマーを用いたアクリル樹脂や熱硬化型であるエポキシ樹脂を用いた場合では、色度変化が顕著であったため水分遮蔽性が乏しいと考えられる。