(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した物品搬送設備では、バーコードリーダにてIDタグに表示されている設定停止位置を示す座標情報を読み取り、その情報に基づいて設定停止位置を判別して減速処理を行う。このようにバーコードリーダにて座標情報を読み取って設定停止位置までの距離を演算して減速処理を行うときに、制御装置による処理に長い時間がかかると、走行台車がバーコードリーダによりIDタグを検出してから設定停止位置に至るまでの時間が長くなる。そのために、IDタグは、マークに対して比較的離れた位置に設置する必要がある。これにより、IDタグとマークとを同じ支持体に支持する場合に、支持体を走行方向に長く形成する必要があるため、IDタグとマークとを同じ支持体に支持し難い等の問題が生じる。
また、上記した物品搬送設備では、バーコードリーダと絶対位置センサとの2つの検出装置を走行台車に備える必要があるため、走行台車の製造コストが高くなり易い。
【0005】
そこで、2つの被検出体を走行方向に近づけることができるとともに走行台車の製造コストを抑え易い物品搬送設備が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品搬送設備の特徴構成は、走行経路に沿って走行する走行台車と、前記走行台車を制御する制御装置と、前記走行台車の停止位置として設定されている設定停止位置に対応して設置された被検出体と、を備え、前記走行台車は、前記被検出体を検出する検出装置を備え、前記制御装置は、前記検出装置による前記被検出体の検出情報に基づいて前記走行台車を停止させる物品搬送設備において、
前記被検出体として、第1被検出体と第2被検出体とを備え、前記第1被検出体は、前記設定停止位置に前記走行台車が位置している状態で前記検出装置により検出可能な位置に設置され、少なくとも当該被検出体が第1被検出体であることを示す第1付加情報を備え、前記第2被検出体は、前記第1被検出体より走行方向で上流側に設置され、
前記第1付加情報より少ない情報量の第2付加情報を備え又は付加情報を備えず、前記検出装置は、前記第1被検出体及び前記第2被検出体の存在を検出可能であって、且つ、存在を検出した前記第1被検出体の前記第1付加情報を読み取り可能であり、更に、存在を検出した前記第2被検出体が
前記第2付加情報を備えている場合は当該第2付加情報を読み取り可能であり、前記制御装置は、前記走行台車を前記設定停止位置に向けて走行させているときに前記検出装置により前記第2被検出体の存在が検出された場合は、当該第2被検出体の存在の検出情報及び前記第2付加情報が読み取られた場合には当該第2付加情報にも基づいて、前記設定停止位置を目標停止位置として停止させるように前記走行台車を減速させる停止処理を実行し、前記停止処理により前記走行台車が停止した状態において、前記検出装置による前記第1被検出体の存在の検出情報及び前記第1付加情報に基づいて、前記走行台車が前記設定停止位置に停止しているか否かを判別する判別処理を実行する点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、走行台車を設定停止位置に向けて走行しているときに検出装置により第2被検出体が検出される。そして、第2被検出体に付加情報が備えられているときは、検出装置により第2被検出体に備えられている付加情報も読み取られる。
具体的には、例えば、第2被検出体に付加情報が備えられていない場合は、第2被検出体と設定停止位置との離間距離情報を制御装置に記憶しておくことが考えられる。このように離間距離情報を制御装置に記憶しておくことで、検出装置により第2被検出体の存在を検出するだけで第2被検出体を検出した位置から設定停止位置までの走行距離を判別できるため、この走行距離に基づいて停止処理を実行することにより、走行台車を設定停止位置に停止させることができる。
また、例えば、第2被検出体に付加情報が備えられている場合は、現在位置から設定停止位置までの走行距離を符号情報として第2被検出体に備えることが考えられる。このように第2被検出体に符号情報を備えておくことで、検出装置により第2被検出体の存在を検出して符号情報を読み取ることで第2被検出体を検出した位置から設定停止位置までの走行距離を判別できるため、この走行距離に基づいて停止処理を実行することにより、走行台車を設定停止位置に停止させることができる。
【0008】
そして、判別処理では、停止処理により走行台車が停止した状態において、検出装置により第1被検出体の存在を検出するとともに、その検出した第1被検出体に備えられている第1付加情報を読み取る。第1付加情報としては、第1被検出体が設置されている位置を示す情報を第1被検出体に備えておくことや、第1被検出体であることを示す情報を第1被検出体に備えておくことが考えられる。
第1被検出体が設置されている位置を示す情報を第1付加情報として第1被検出体に備えておくことで、検出装置により第1被検出体の存在を検出して第1付加情報を読み取り、その第1付加情報が示す情報が目標停止位置と同様の情報を示していれば、制御装置は、走行台車が目標停止位置に停止していると判別できる。
また、第1被検出体であることを示す情報を第1付加情報として第1被検出体に備えておき、検出装置により第1被検出体の存在を検出して第1付加情報を読み取ることで、制御装置は、第1被検出体に対応する位置に停止しているか否かを判別できるので、第1被検出体以外のものを第1被検出体と誤検出することによって、制御装置が目標停止位置に停止していると誤って判別することを回避できる。
【0009】
そして、第2被検出体には、第2付加情報が備えられていない、又は、第2付加情報が備えられている場合でもその第2付加情報は第1付加情報より情報量が少ない。そのため、検出装置にて第2被検出体の存在を検出したときに、第2付加情報を読み取る必要がない、又は、第2付加情報の情報量が比較的少ない情報量であるので、制御装置が第1検出装置からの情報の処理に要する時間を短くできる。よって、走行台車が第2被検出体の存在を検出してから停止するまでの時間を短くできるため、第2被検出体を、第1被検出体に対して比較的近い位置に設置できる。
また、第1被検出体を検出する検出装置と第2被検出体を検出する検出装置とを別々に備える必要がないため、走行台車の製造コストを抑え易い。
このように、2つの被検出体を走行方向に近づけることができるとともに走行台車の製造コストを抑え易い。
【0010】
ここで、前記走行台車が、前記走行経路に沿って設置された走行レール上を走行し、前記走行レール又は前記走行レールを支持する部材は、支持体を備え、前記第1被検出体と前記第2被検出体とは、前記検出装置の検出範囲内に同時に含まれるように、前記走行経路の長手方向に並ぶ状態で、同じ前記支持体によって支持されていると好適である。
【0011】
この構成によれば、第1被検出体と第2被検出体とを同じ支持体に支持させることで、これら第1被支持体と第2被支持体とを別々の支持体に支持させる場合に比べて、支持体の数を減らすことができる。しかも、第2被検出体と第1被検出体とは、走行経路の長手方向で比較的近い位置に設置できるために、支持体における走行経路の長手方向の長さを短くでき、支持体のコンパクト化を図ることができる。また、第1被検出体と第2被検出体とは、検出装置の検出範囲内に同時に含まれる程度しか離れていないため、検出装置が第2被検出体を検出してから設定停止位置に停止するまでに、第1被検出体及び第2被検出体の少なくとも一方の被検出体を検出装置により検出することができる。
【0012】
また、前記設定停止位置を第1停止位置として、前記第1停止位置とは別に、前記走行台車が停止する停止位置として第2停止位置が設定され、前記走行台車は、前記第2停止位置に停止した状態で第3被検出体を検出する第2検出装置を備え、前記第3被検出体は、前記走行レールに支持され、当該被検出体が第3被検出体であることを示す第3付加情報を備え、前記第2検出装置は、前記第3被検出体の存在を検出可能であって、且つ、前記第3被検出体の前記第3付加情報を読み取り可能であり、前記制御装置は、前記第2検出装置による前記第3被検出体の存在の検出情報及び前記第3付加情報に基づいて、前記走行台車が前記第2停止位置に停止しているか否かを判別する第2判別処理を実行すると好適である。
【0013】
この構成によれば、検出装置が検出する第1被検出体及び第2被検出体と、第2検出装置が検出する第3被検出体が別の部材に支持されているため、これら第1被検出体及び第2被検出体と、第3被検出体と、を上下方向や経路幅方向に離して設置し易い。そのため、検出装置により第3被検出体を誤検出することや、第2検出装置により第1被検出体や第2被検出体を誤検出することを未然に防止できる。
【0014】
また、前記第1被検出体は、前記検出装置に向く面に前記第1付加情報が読み取り可能に表示され、前記第2被検出体は、前記検出装置に向く面が単色であり前記第2付加情報が表示されていないと好適である。
【0015】
この構成によれば、検出装置は、第1被検出体の表面に二次元コード等で表示された情報を読み取ることで、第1付加情報を読み取ることができ、第1被検出体の外形を検出することや第1被検出体の表面に表示された情報の存在を検出する等により、第1被検出体の存在を検出できる。また、検出装置は、第2被検出体の外形を検出する等により、第2被検出体の存在を検出できる。
そして、第2被検出体には、第2付加情報が備えられていないため、検出装置にて第2被検出体の存在を検出したときに、第2付加情報を読み取る必要がないので、制御装置が第1検出装置からの情報の処理に要する時間を短くできる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかる物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように、物品搬送設備には、物品搬送車1と走行レール2と処理装置3と保管棚4とが備えられている。走行レール2は、走行経路に沿って設置されており、天井に吊り下げ支持されている。物品搬送車1は、走行経路に沿って走行レール2上を走行して物品Wを搬送する。この物品搬送車1は、走行経路に沿って走行する走行台車に相当する。処理装置3は、物品Wに対する処理行う装置であり、床面上に設置されている。この処理装置3に隣接する状態で支持台5が設置されている。保管棚4は、天井に吊り下げ支持されており、複数の物品Wを保管可能に構成されている。
尚、走行経路に沿う方向を経路長手方向と称し、上下方向に見て経路長手方向と直交する方向を経路幅方向と称する場合がある。また、経路幅方向の一方向を第1方向と称し、その反対方向を第2方向と称する場合がある。
【0018】
図2に示すように、物品Wは、複数枚の基板を収納可能で且つ基板の出し入れ口を塞ぐ蓋が着脱自在に備えられている容器であり、本実施形態では、基板を半導体ウェハーとし、その半導体ウェハーを収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を容器としている。
支持台5は、物品搬送車1の走行経路の直下に設置されており、経路長手方向に沿って複数設置されている。保管棚4は、物品搬送車1の走行経路の横側方に設置されており、経路長手方向に沿って複数設置されている。
【0019】
物品搬送車1は、物品Wを保管棚4の保管部4aに搬送して保管部4aに物品Wを保管するとともに、保管部4aに保管されている物品Wを保管部4aから搬送する。また、物品搬送車1は、物品Wを支持台5に搬送するとともに、物品Wを支持台5から搬送する。
そして、図外の搬送装置により、物品W全体又は物品W内の基板のみが、支持台5と処理装置3との間で搬送される。
【0020】
〔走行レール及び保管棚〕
図3に示すように、走行レール2は一対のレール部2aを備えており、一対のレール部2aは、経路幅方向に一定間隔で互いに平行に配置されている。一対のレール部2aは、経路長手方向視で逆U字状に形成された第1連結部材7により連結されている。また、一対のレール部2aの夫々は、第1支持部材8により天井に吊り下げ支持されている。
【0021】
保管棚4は、物品Wを支持する支持板9を備えており、支持板9上に経路長手方向に沿って複数の保管部4aが形成されている。保管棚4は、1つの保管部4aに1つの物品Wを収納する状態で、複数の物品Wを保管可能に構成されている。保管棚4の支持板9は、上下方向に延びる第2支持部材10により天井に吊り下げ支持されている。
第2支持部材10は、経路長手方向に沿って複数設置されており、この複数の第2支持部材10は、経路長手方向に延びる第2連結部材11により互いに連結されている。
【0022】
保管棚4は、走行レール2に対して、経路幅方向の第1方向と第2方向との双方に設置されている。そして、一対のレール部2aにおける第1方向に位置するレール部2aと、走行レール2に対して第1方向に位置する第2連結部材11とが、経路幅方向に延びる第3連結部材13により連結されている。また、同様に、一対のレール部2aにおける第2方向に位置するレール部2aと、走行レール2に対して第2方向に位置する第2連結部材11とが、経路幅方向に延びる第3連結部材13により連結されている。
このように、走行レール2と保管棚4とが、連結部材(第2支持部材10と第2連結部材11と第3連結部材13)により互いに連結されている。そして、走行レール2と保管棚4とが連結されていることで、走行レール2は、第1支持部材8に加えて、第2支持部材10と第2連結部材11とによっても支持されている。
第2支持部材10に、支持体12が連結されている。このように第2支持部材10に支持体12が連結されていることで、走行レール2を支持する部材に、支持体12が備えられている。
【0023】
〔物品搬送車〕
次に、この物品搬送車1について説明する。
図4に示すように、物品搬送車1は、走行レール2上を走行する走行部15と、走行レール2の下方に位置するように走行部15に吊り下げ支持された本体部16と、を備えて構成されている。
物品搬送車1の本体部16は、物品Wを支持する支持機構18と、支持機構18を昇降移動させる昇降操作機構19と、昇降操作機構19及び支持機構18を経路幅方向に移動させるスライド操作機構20と、支持機構18にて支持された物品Wの上方側及び経路長手方向の両側を覆うカバー体21と、を備えている。
【0024】
支持機構18には、横軸心周りに揺動自在な一対の把持爪18aが備えられている。一対の把持爪18aは、物品Wを把持する把持姿勢と物品Wに対する把持を解除する解除姿勢とに姿勢変更自在に構成されている。
昇降操作機構19は、先端部に支持機構18が連結された巻き取りベルト19aを巻取り及び繰出し自在に構成されている。昇降操作機構19は、巻き取りベルト19aを巻き取り及び繰り出し操作することで、支持機構18を上下方向に沿って移動させるように構成されている。
【0025】
スライド操作機構20は、昇降操作機構19が連結された支持部分20aを経路幅方向に沿ってスライド移動自在に構成されている。スライド操作機構20は、支持部分20aを経路幅方向にスライド移動させることで、支持機構18を引退位置と第1突出位置と第2突出位置とに移動自在に構成されている。引退位置は、支持機構18が走行レール2の直下で且つカバー体21内に位置する位置である。第1突出位置は、引退位置から経路幅方向の第1方向側に突出させた位置(
図2及び
図4において実線で示す位置)である。第2突出位置は、引退位置から経路幅方向の第2方向側に突出させた位置(
図2において仮想線で示す位置)である。
【0026】
図5に示すように、本体部16のカバー体21には、第1検出装置S1と第2検出装置S2と第3検出装置S3とが備えられている。尚、第1検出装置S1が、被検出体Tを検出する検出装置に相当する。
第1検出装置S1は、2次元コードリーダにて構成されており、被検出体Tに表示されたQRコード(登録商標)等の2次元コードを読み取る機能とともに被検出体Tの存否を検出する機能が備えられている。被検出体Tの存否を検出する機能としては、例えば、被検出体Tに表示されたQRコードの存在を検出するか否かにより被検出体Tの存否を検出するようにしてもよく、また、被検出体Tの外周縁を検出するか否かにより被検出体Tの存否を検出するようにしてもよい。つまり、第1検出装置S1は、後述する第1被検出体T1及び第2被検出体T2の存在を検出可能であって、且つ、存在を検出した第1被検出体T1の第1付加情報(2次元コードで示された情報)を読み取り可能に構成されている。
第2検出装置S2は、1次元コードを読み取り可能な1次元コードリーダにて構成されており、第3被検出体T3に表示されたバーコード等の1次元コードを読み取る機能とともに第3被検出体T3の存否を検出する機能が備えられている。第3被検出体T3の存否を検出する機能としては、例えば、第3被検出体T3に表示されたバーコードの存在を検出するか否かにより第3被検出体T3の存否を検出するようにしている。つまり、第2検出装置S2は、後述する第3被検出体T3の存在を検出可能であって、且つ、第3被検出体T3に表示された第3付加情報(1次元コードで示された情報)を読み取り可能に構成されている。
第3検出装置S3は、第4被検出体T4の存否を検出可能な光学センサにて構成されている。
【0027】
図6、図7及び図8に示すように、走行経路には、第1停止位置P1と第2停止位置P2とが設定されている。第1停止位置P1は、物品搬送車1が保管棚4との間で物品Wを移載するときに物品搬送車1が停止する位置であり、複数の保管部4aの夫々に対して設定されている。第2停止位置P2は、物品搬送車1が支持台5との間で物品Wを移載するときに物品搬送車1が停止する位置であり、複数の支持台5の夫々に対して設定されている。
このように、物品搬送車1が停止する停止位置として、第1停止位置P1と、この第1停止位置P1とは別の第2停止位置P2とが設定されている。尚、第1停止位置P1が、設定停止位置に相当する。
ちなみに、「第1停止位置P1とは別の第2停止位置P2」とは、第1停止位置P1と第2停止位置P2とは設定する対象が異なることを意味しており、保管部4aと支持台5との位置関係によっては、第1停止位置P1と第2停止位置P2とが経路長手方向で同じ位置に設定される場合がある。
【0028】
図5及び
図6に示すように、物品搬送設備には、第1停止位置P1に対応して設置された被検出体Tが備えられている。この被検出体Tとして、第1被検出体T1と第2被検出体T2とを備えている。つまり、第1被検出体T1及び第2被検出体T2は、第1停止位置P1に対応して設置されている。
また、
図5及び図
8に示すように、物品搬送設備には、第3被検出体T3と第4被検出体T4とが備えられており、これら第3被検出体T3及び第4被検出体T4は、第2停止位置P2に対応して設置されている。
【0029】
第1被検出体T1は、第1停止位置P1に物品搬送車1が位置している状態で物品搬送車1の第1検出装置S1により検出可能な位置に設置されている。また、第1被検出体T1は、少なくとも当該被検出体が第1被検出体T1であることを示す第1付加情報を備えている。具体的には、第1被検出体T1には、当該第1被検出体T1が設置されている位置を示すアドレス情報を第1付加情報として備えている。このように、第1付加情報として、第1被検出体T1が備えられているアドレス情報を備えており、このアドレス情報を、第1被検出体T1であることを示す第1付加情報としている。
第1被検出体T1は、第1検出装置S1に向く面に第1付加情報が読み取り可能に表示されている。具体的には、第1付加情報を、第1検出装置S1が読み取り可能なQRコード等の2次元コードで表示している。第1被検出体T1は、板状の部材にて構成して表面に2次元コードを表示し、その第1被検出体T1を支持体12に固定している。
【0030】
第2被検出体T2は、第1被検出体T1より走行方向(経路長手方向)で上流側に、第1被検出体T1に対して離れた位置に設置されている。
このように、第2被検出体T2は、第1被検出体T1より第1設定距離だけ上流側に設定された第1設定位置に設置されている。第1設定距離は、物品搬送車1が第1停止位置P1に停止するべく走行しているときに、第1検出装置S1により第2被検出体T2が検出されてから後述の第1減速制御により第1停止位置P1に停止するのに適した距離に設定されている。第2被検出体T2は、第1設定位置に物品搬送車1が位置している状態で物品搬送車1の第1検出装置S1により検出可能な位置に設置されている。
第2被検出体T2は、第1検出装置S1に向く面が単色であり付加情報(例えば、第1付加情報より少ない情報量の第2付加情報等)は表示されていない。第2被検出体T2は、板状の部材にて構成して支持体12に固定されている。第2被検出体T2における第1検出装置S1に向く面(経路幅方向の一方向を向く面)は、支持体12とは異なる色で形成されている。
ちなみに、ここでいう単色や異なる色は、第1検出装置S1が認識する色についてであり、例えば、第2被検出体T2の表面を肉眼で見れば複数の色が表示されているように見える場合であったとしても、第1検出装置S1が第2被検出体T2の表面を単色と認識する場合は、第1検出装置S1は単色である。
【0031】
第1被検出体T1と第2被検出体T2とは、第1検出装置S1の検出範囲E内に同時に含まれるように、経路長手方向に並ぶ状態で、同じ支持体12によって支持されている。
説明を加えると、第1検出装置S1の検出範囲Eの経路長手方向の長さが、第1被検出体T1の上流側端と第2被検出体T2の下流側端との間隔より広く、第1被検出体T1の下流側端と第2被検出体T2の上流側端との間隔より狭くなるように、第1被検出体T1と第2被検出体T2とを経路長手方向に離間した状態で設置している。
【0032】
図8に示すように、第3被検出体T3及び第4被検出体T4は、第2停止位置P2からこの第2停止位置P2より走行方向(経路長手方向)で上流側に設定された第2設定位置まで設置されている。そのため、第3被検出体T3は、物品搬送車1が第2設定位置から第2停止位置P2まで走行する間、及び、第2停止位置P2に物品搬送車1が位置している状態で、物品搬送車1の第2検出装置S2により検出可能に設置されている。
また、第4被検出体T4は、物品搬送車1が第2設定位置から第2停止位置P2まで走行する間、及び、第2停止位置P2に物品搬送車1が位置している状態で、物品搬送車1の第3検出装置S3により検出可能に設置されている。
【0033】
第3被検出体T3は、少なくとも当該被検出体が第3被検出体T3であることを示す第3付加情報を備えている。第3被検出体T3には、当該第3被検出体T3が設置されている位置を示すアドレス情報を第3付加情報として備えている。
第3被検出体T3には、第2検出装置S2に向く面に第3付加情報が読み取り可能に表示されている。具体的には、第3被検出体T3には、第3付加情報を示すバーコード等の1次元コードが表示されている。第3被検出体T3は、板状の部材にて構成して表面に1次元コードを表示し、その第3被検出体T3をレール部2aに直接固定されている。
第4被検出体T4は、反射板にて構成されており、レール部2aに直接固定することで当該レール部2aに支持されている。
【0034】
〔制御装置〕
物品搬送設備には、物品搬送車1を制御する制御装置Hが備えられている。この制御装置Hは、
図4に示すように、走行経路を走行する物品搬送車1の夫々に設けられている。
制御装置Hは、地上側に設置される上位コントローラ(図示せず)からの搬送指令に基づいて、物品Wを搬送元(保管棚4又は支持台5)から受け取るべく走行制御と受取制御とを実行し、物品Wを搬送先(保管棚4又は支持台5)に受け渡すべく走行制御と受取制御を実行するべく、物品搬送車1を制御するように構成されている。
走行制御は、搬送元又は搬送先に対応して設定されている停止位置(第1停止位置P1又は第2停止位置P2)に物品搬送車1を停止させる制御である。受取制御は、停止位置に停止した状態で搬送元(保管棚4又は支持台5)に位置している物品Wを支持機構18で支持するように物品Wを受け取る制御である。受渡制御は、停止位置に停止した状態で支持機構18により支持している物品Wを搬送先(保管棚4又は支持台5)に受け渡す制御である。
【0035】
制御装置Hは、走行制御として、保管棚4に対応する停止位置である第1停止位置P1に物品搬送車1を停止させる第1走行制御と、支持台5に対応する停止位置である第2停止位置P2に物品搬送車1を停止させる第2走行制御と、を実行する。
また、搬送指令には搬送元及び搬送先を示すアドレス情報が含まれており、制御装置Hは、搬送指令に含まれるアドレス情報に基づいて、搬送元のアドレス情報が示す停止位置(第1停止位置P1又は第2停止位置P2)と搬送先のアドレス情報が示す停止位置(第1停止位置P1又は第2停止位置P2)とを判別する。
【0036】
第1走行制御及び第2走行制御では、物品搬送車1が停止している状態から、物品搬送車1の走行速度を設定走行速度まで設定加速度で加速する加速処理と、設定走行速度で走行する定速処理と、物品搬送車1が減速開始位置まで走行した場合に、物品搬送車1の走行速度を設定減速度で減速して停止位置に停止させる停止処理と、を実行するべく、走行部15を制御する。
設定走行速度や設定加速度や設定減速度は、物品搬送車1の性能、支持機構18が物品Wを支持しているか否か及び停止位置までの走行距離等に基づいて予め設定されている。これら設定走行速度や設定加速度や設定減速度を示す値は制御装置Hに記憶されている。
また、減速開始位置は、物品搬送車1が停止位置より設定距離手前の位置に設定され、設定走行速度の物品搬送車1が設定減速度で減速した場合に停止位置に停止させることができる位置に設定されている。減速開始位置は、制御装置Hが停止位置を示す情報から演算により求められる。
【0037】
物品搬送車1を停止位置に停止させるべく走行させている途中において車輪のスリップ等が生じることにより、物品搬送車1を走行制御により停止位置に停止させようとしても物品搬送車1が停止位置からずれて停止する可能性がある。そのため、制御装置Hは、減速処理の実行中に、減速度を修正する処理(停止処理)を行っている。また、制御装置Hは、走行処理(走行処理における停止処理)により停止した状態で停止位置に停止しているか否かを判別する処理(判別処理)を実行している。
【0038】
次に、第1走行制御における停止処理及び判別処理と、第2走行制御における停止処理及び判別処理と、について説明する。ちなみに、第1走行制御における判別処理が、第1走行制御の停止処理により物品搬送車1が停止した状態において、第1検出装置S1による第1被検出体T1の存在の検出情報及び第1付加情報に基づいて、物品搬送車1が第1停止位置P1に停止しているか否かを判別する判別処理に相当する。また、第2走行制御における判別処理が、第2走行制御の停止処理により物品搬送車1が停止した状態において、第2検出装置S2による第3被検出体T3の存在の検出情報及び第3付加情報に基づいて、物品搬送車1が第2停止位置P2に停止しているか否かを判別する第2判別処理に相当する。
【0039】
〔第1走行制御〕
第1走行制御における停止処理について説明する。
制御装置Hは、物品搬送車1を第1設定位置に向けて走行させる第1走行制御の実行中(詳しくは、第1走行制御における減速処理の実行中)に、
図6に示すように、第1検出装置S1により第2被検出体T2の存在が検出された場合(
図6に示す状態であり、
図9における(1)の時点)は、減速度を調節する停止処理を実行する。この停止処理では、第1検出装置S1にて第2被検出体T2の存在を検出したときの物品搬送車1の走行速度と、第2被検出体T2から第1停止位置P1までの距離と、に基づいて調整後の減速度(調整減速度)を設定する。そして、調整減速度で減速してクリープ用走行速度まで減速した場合(
図9における(2)の時点)は、クリープ用走行速度で一定距離走行し、その後停止(
図9における(3)の時点)する。
このように、制御装置Hは、第1検出装置S1にて第2被検出体T2の存在を検出した情報に基づいて、第1停止位置P1を目標停止位置として停止させるように物品搬送車1を減速させる停止処理を実行する。
【0040】
第1走行制御における判別処理について説明する。
制御装置Hは、第1走行制御の停止処理により物品搬送車1が停止した状態において、判別処理を実行する。この判別処理では、まず、検出範囲Eに適正な位置(検出範囲Eにおける経路長手方向で中心の位置)に第1被検出体T1の存在が検出されているか否かを判別する。第1被検出体T1の存在が検出範囲Eの適正な位置に検出されている場合は、次のアドレス情報の確認に移行し、第1被検出体T1の存在が検出範囲Eの適正な位置から経路長手方向にずれている場合は、適正な位置に検出されるように、物品搬送車1を経路長手方向に沿って移動させるべく制御した後に、アドレス情報の確認に移行する。
次に、第1検出装置S1により、目標停止位置としてのアドレス情報と、第1被検出体T1から読み取ったアドレス情報とが一致するか否かを判別し、一致していれば、走行制御を終了し、一致していなければ、目標停止位置と異なる位置に停止していることを示すエラー情報をコントローラに送信する。
【0041】
〔第2走行制御〕
第2走行制御における停止処理について説明する。
制御装置Hは、物品搬送車1を第2設定位置に向けて走行させる第2走行制御の実行中(詳しくは、第2走行制御における減速処理の実行中)に、第3検出装置S3により第4被検出体T4の存在が検出された場合は、減速度を調節する。説明を加えると、第3検出装置S3にて第4被検出体T4の存在を検出したときの物品搬送車1の走行速度と、第4被検出体T4から第2停止位置P2までの距離と、に基づいて調整後の減速度(調整減速度)を設定する。そして、調整減速度で減速してクリープ用走行速度まで減速した場合は、クリープ用走行速度で一定距離走行し、その後停止する。
このように、制御装置Hは、第3検出装置S3にて第4被検出体T4の存在を検出した情報に基づいて、第2停止位置P2を目標停止位置として停止させるように物品搬送車1を減速させる停止処理を実行する。
【0042】
第2走行制御における判別制御について説明する。
制御装置Hは、第2走行制御の停止処理により物品搬送車1が停止した状態において、判別処理を実行する。判別処理では、まず、第2検出装置S2により第3被検出体T3の存在が検出されているか否かを判別し、第2検出装置S2により第3被検出体T3の存在が検出されている場合は、次のアドレス情報の確認に移行し、第2検出装置S2により第3被検出体T3の存在が検出されていない場合は、目標停止位置と異なる位置に停止していることを示すエラー情報をコントローラに送信する。
次に、第3検出装置S3により、目標停止位置としてのアドレス情報と、第3被検出体T3から読み取ったアドレス情報とが一致するか否かを判別し、一致していれば、走行制御を終了し、一致していなければ、目標停止位置と異なる位置に停止していることを示すエラー情報をコントローラに送信する。
【0043】
このように、第2被検出体T2には、第1被検出体T1の第1付加情報のような付加情報が備えられていない。そのため、第1検出装置S1にて第2被検出体T2の存在を検出したときに、制御装置Hが第1検出装置S1からの情報の処理に要する時間を短くできる。そのため、物品搬送車1が第2被検出体T2の存在を検出してから停止に至るまでの時間を短くできるので、第2被検出体T2は、第1被検出体T1に対して比較的近い位置に設置できる。また、第1被検出体T1を検出する検出装置と第2被検出体T2を検出する検出装置とを別々に備える必要がないため、物品搬送車1の製造コストを抑えることができる。
【0044】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第2停止位置に対して第3被検出体及び第4被検出体を設置したが、第3被検出体及び第4被検出体を設置せずに、第1停止位置と同様に、第2停止位置に対して第1被検出体及び第2被検出体を設置してもよい。
【0045】
(2)上記実施形態では、第2被検出体に第2付加情報を備えなかったが、第1付加情報より少ない情報量であれば、第2被検出体に第2付加情報を備えてもよく、例えば、第2被検出体に、第2被検出体であることを示す情報、第2被検出体が設置されている位置から第1停止位置までの距離を示す情報等を、第2付加情報として備えてもよい。
具体的には、例えば、第2被検出体であることを示す情報を、第2被検出体の表面に2次元コードで表示してもよい。また、例えば、2次元コードの位置を表わす情報(QRコードでは3隅に配置される位置検出用パターン)等の2次元コードとして認識できる最小限の情報のみを表示して、当該情報を検出対象であることを示す情報としてもよい。
【0046】
(3)上記実施形態では、第1被検出体の表面に第1付加情報を2次元コードで表示することで、第1被検出体に第1付加情報を備え、第3被検出体に第3付加情報を一次元コードで表示することで、第3被検出体に第3付加情報を備えたが、別の形態で被検出体に付加情報を備えてもよい。
具体的には、第1被検出体の表面に第1付加情報を1次元コードで表示してもよく、第1被検出体に備えた被接触ICタグを備えて第1検出装置に第1付加情報を送信可能に構成してもよい。また、第3被検出体の表面に第3付加情報を2次元コードで表示してもよく、また、第3被検出体に備えた被接触ICタグを備えて第2検出装置に第3付加情報を送信可能に構成してもよい。
また、2次元コードとして、QRコードを用いたが、データマトリックス(登録商標)等の別の2次元コードを用いてもよい。
【0047】
(4)上記実施形態では、第1検出装置の検出範囲内に、少なくとも第1被検出体と第2被検出体との夫々の一部が同時に含まれるように、第1被検出体と第2被検出体とを設置したが、第1被検出体と第2被検出体とは、次のように設置してもよい。
つまり、第1検出装置の検出範囲内に、第1被検出体と第2被検出体との双方の全体が同時に含まれるように、第1被検出体と第2被検出体とを設置してもよい。また、第1検出装置の検出範囲内に、第1被検出体と第2被検出体とが同時に含まれないように、第1被検出体と第2被検出体とを設置してもよい。
また、第1被検出体と第2被検出体とを同じ支持板に備えたが、第1被検出体と第2被検出体とを異なる支持板に備えてもよく、第1被検出体と第2被検出体とを、走行レール等の支持板以外の箇所に備えてもよい。また、第3被検出体と第4被検出体とを支持体に支持させてもよい。