特許第6809140号(P6809140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許6809140-電極切断装置 図000002
  • 特許6809140-電極切断装置 図000003
  • 特許6809140-電極切断装置 図000004
  • 特許6809140-電極切断装置 図000005
  • 特許6809140-電極切断装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809140
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】電極切断装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20201221BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20201221BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20201221BHJP
   H01G 11/66 20130101ALI20201221BHJP
【FI】
   H01M4/04 Z
   H01M4/139
   H01G13/00 381
   H01G11/66
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-213035(P2016-213035)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-73659(P2018-73659A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】合田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛恭
【審査官】 結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−227123(JP,A)
【文献】 特開平09−300092(JP,A)
【文献】 特開平04−228282(JP,A)
【文献】 特開2001−053443(JP,A)
【文献】 特開2015−201328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04
H01G 11/66
H01G 13/00
H01M 4/139
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺金属箔からなる電極材料を長手方向に搬送しながら個片の電極に切断する電極切断装置であって、
前記電極材料の面に沿う方向であって、且つ前記電極材料の搬送方向と直交する方向に互いに離間した位置に配置され、前記電極材料を支持する一対の支持部と、
前記電極材料の面に沿う方向であって、且つ前記搬送方向と直交する方向において前記一対の支持部の間の前記電極材料の領域をレーザ照射によって切断する切断部と、を備え、
前記電極材料のうちで前記切断部のレーザが照射される面をレーザ照射面としたとき、前記一対の支持部は、前記レーザ照射面が、鉛直方向に沿う位置から鉛直方向と直交する方向に沿う位置までの間で傾くことにより鉛直方向に沿う位置よりも鉛直方向における下方に向けて傾いている状態、もしくは前記レーザ照射面が鉛直方向と直交する方向に沿っている状態に前記電極材料を支持しており、
前記切断部は前記レーザ照射面の鉛直方向における下方に配置されており、
前記電極材料の切断の際に生じたスパッタが前記切断部に付着することを抑制するように前記切断部と前記レーザ照射面との間に空気を送るエアブロー部をさらに備えることを特徴とする電極切断装置。
【請求項2】
前記一対の支持部は、前記レーザ照射面が鉛直方向と直交する方向に沿っている状態に前記電極材料を支持しており、
前記エアブロー部は、前記レーザ照射面に沿って空気を送る請求項1に記載の電極切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電極切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)などの車両に搭載される蓄電装置としては、リチウムイオン二次電池や、ニッケル水素二次電池などがある。例えばリチウムイオン二次電池では、金属箔の表面に活物質層を有する電極(正極及び負極)が、両者の間を絶縁した状態で層状に重なる電極組立体を有している。電極組立体には、個片状の電極を多数積層して形成される積層型が知られており、このような電極組立体を備えた積層型の蓄電装置も知られている。
【0003】
また、特許文献1には、ガラス板にレーザを照射することによってガラス板を切断する切断装置が開示されている。こうした切断装置と同様の切断装置を、上記の積層型の蓄電装置に用いる電極を切り抜いて製造する電極切断装置として採用することも可能である。例えば、電極切断装置では、長尺金属箔の両面に活物質が配置された塗工部を備える電極材料を搬送しながら個片の電極に切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−63864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レーザによって電極材料の切断を行う電極切断装置では、電極材料に対してレーザを照射する際に、レーザによる熱で電極材料が溶解して生じた異物(スパッタ)が電極材料のレーザ照射面から飛び出すことがある。そして、レーザ照射面から飛び出したスパッタは、重力を受けてレーザ照射面に落下するおそれがある。こうして電極材料のレーザ照射面にスパッタが落下すると、切り抜かれた電極の表面にスパッタが残ってしまい、蓄電装置の短絡の原因等となるため好ましくない。
【0006】
なお、電極材料のレーザ照射面に空気を送るエアブロー部を採用すれば、電極材料の切断の際にスパッタが生じてもエアブローによりスパッタを吹き飛ばすことができるため、電極材料のレーザ照射面にスパッタが落下することを抑制することができる。また、電極材料における切断領域より搬送方向の下流側に粘着ローラを配置すれば、電極材料の切断によってスパッタが電極材料のレーザ照射面に落下したとしても、粘着ローラによってレーザ照射面からスパッタを除去することができる。しかしながら、こうした手段を採用しなくとも、電極材料へのスパッタ付着を抑制できるとなお好ましい。
【0007】
本発明の目的は、電極材料のレーザ照射面にスパッタが付着することを抑制できる電極切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する電極切断装置は、長尺金属箔からなる電極材料を長手方向に搬送しながら個片の電極に切断する電極切断装置であって、前記電極材料の面に沿う方向であって、且つ前記電極材料の搬送方向と直交する方向に互いに離間した位置に配置され、前記電極材料を支持する一対の支持部と、前記電極材料の面に沿う方向であって、且つ前記搬送方向と直交する方向において前記一対の支持部の間の前記電極材料の領域をレーザ照射によって切断する切断部と、を備え、前記電極材料のうちで前記切断部のレーザが照射される面をレーザ照射面としたとき、前記一対の支持部は、前記レーザ照射面が、鉛直方向に沿っている、もしくは鉛直方向に沿う位置よりも鉛直方向における下方に向けて傾いている状態に前記電極材料を支持することを要旨とする。
【0009】
上記構成では、一対の支持部による電極材料の支持状態では、電極材料のレーザ照射面が鉛直方向に沿っている、もしくは鉛直方向に沿う位置よりも鉛直方向における下方に向けて傾いている。電極材料のレーザ照射面が鉛直方向に沿っている状態では、電極材料のレーザ照射面が鉛直方向と直交する方向に向いている状態となっている。また、電極材料のレーザ照射面が鉛直方向に沿う位置よりも鉛直方向における下方に向けて傾いている状態では、電極材料のレーザ照射面が鉛直方向における下方に向いている状態となっている。こうした構成によれば、切断部によるレーザ照射により電極材料からスパッタが飛び出したとしても、鉛直方向、すなわちレーザ照射面から離れる方向にスパッタが落下するようになる。したがって、電極材料のレーザ照射面にスパッタが付着することを抑制できる。
【0010】
なお、レーザ照射面が鉛直方向に沿う位置よりも鉛直方向における下方に向けて傾いている状態には、レーザ照射面が鉛直方向における下方に向いている状態であり、且つ鉛直方向と直交する方向に沿うように電極材料が配置される状態も含まれる。
【0011】
電極切断装置にて、前記切断部が前記レーザ照射面の鉛直方向における下方に配置されている形態では、前記切断部と前記レーザ照射面との鉛直方向における間に空気を送るエアブロー部をさらに備えるようにしてもよい。
【0012】
切断部がレーザ照射面の鉛直方向における下方に配置される場合では、電極材料と切断部との位置関係等によっては、切断部によるレーザ照射により電極材料から飛び出したスパッタが、切断部に落下するおそれがある。切断部にスパッタが付着すると、レーザ照射に不都合が生じるおそれがあり好ましくない。
【0013】
上記構成によれば、そうした切断部へのスパッタの付着のおそれがある場合であっても、エアブロー部によって切断部とレーザ照射面との鉛直方向における間に空気を送ることにより、スパッタを吹き飛ばすことができる。したがって、切断部へのスパッタの付着を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電極材料のレーザ照射面にスパッタが付着することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電極を示す斜視図。
図2】電極切断装置を示す斜視図。
図3】電極材料の搬送方向の下流側から見た状態の電極切断装置を模式的に示す図。
図4】鉛直方向の上側から見た状態の電極切断装置を模式的に示す図。
図5】別例の電極切断装置であって、電極材料の搬送方向の下流側から見た状態の電極切断装置を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電極切断装置を具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。
まず、電極を備える蓄電装置としての二次電池について説明する。図示しないが、二次電池は外観が角型をなす角型電池である。二次電池は、リチウムイオン二次電池である。二次電池は、ケース内に電極組立体を備える。電極組立体は、複数の正極の電極と、複数の負極の電極とが、両者の間を絶縁した状態で交互に積層されて構成されている。
【0017】
図1に示すように、正極及び負極の電極10は、それぞれ矩形状である。電極10は、矩形状の金属箔(正極はアルミニウム箔、負極は銅箔)11の両面に活物質層12を備える。電極10は、金属箔の一辺に沿って未塗工部11aを備える。未塗工部11aは、活物質層12が存在せず、金属箔11が露出した部分である。未塗工部11aは、金属箔11の一辺の一部から突出した形状のタブ13を含む。
【0018】
次に、電極10の製造方法について説明する。
電極の製造方法は、帯状の長尺金属箔の表面に活物質を連続して塗布して塗工部を形成し、電極材料を形成する塗工工程と、電極材料を個片の電極の形状に切断する切断工程と、を含む。塗工工程では、長尺金属箔の両面に塗工部が形成されるとともに、長尺金属箔の長縁部に沿って、長尺金属箔の露出した露出部が形成される。そして、切断工程では、電極材料から電極が切り出される。
【0019】
次に、電極材料17について詳細に説明する。
図2又は図3に示すように、電極材料17は、長尺金属箔18と、長尺金属箔18の両面に存在する塗工部19を備える。長尺金属箔18は、電極10の金属箔11となる部位である。また、塗工部19は、電極10の活物質層12となる部位である。電極材料17において、その塗工部19の面に沿い、かつ電極材料17の長手方向に直交する方向を短手方向とする。
【0020】
図2に示すように、電極材料17は、長手方向に沿う一端17a及び他端17bのうち、一端17aに沿って露出部18aを備える。露出部18aは、長尺金属箔18において塗工部19によって覆われていない部位であり、長尺金属箔18が露出した部分である。そして、露出部18aは、電極10が電極材料17から切り取られた際に、未塗工部11a及びタブ13となる部位である。
【0021】
次に、電極切断装置20について説明する。電極切断装置20は、上記塗工工程を経て形成された電極材料17に対して切断工程を行う装置である。
図2に示すように、電極切断装置20は、電極材料17を吸着しつつ搬送方向Xに搬送する。電極切断装置20は、電極材料17を支持する支持部としての一対の吸着コンベア22と、切断部32と、を備える。一対の吸着コンベア22は、鉛直方向Gにおいて、互いに離間して配置されている。一対の吸着コンベア22の外側面同士の間の鉛直方向Gの長さは、電極材料17の短手方向の寸法より若干短い。
【0022】
図4に示すように、一対の吸着コンベア22は、搬送方向Xの両側に配置されたローラ23と、ローラ23に架け渡された無端状のベルト24と、ベルト24を吸引する吸引部25と、をそれぞれ備える。ベルト24はその全体に吸引孔を備えている。また、吸引部25も同様に、ベルト24と対向する部分に吸引孔を備えている。吸引部25によって空気が吸引されることにより、吸引部25の吸引孔及びベルト24の吸引孔を介して空気が吸引され、電極材料17がベルト24を吸着可能である。
【0023】
電極材料17の長手方向である搬送方向Xにおける電極切断装置20の上流側にて、上記塗工工程が行われるときの電極材料17は、その両側の面17c,17dが鉛直方向Gと直交する方向に沿うように配置されている。そして、電極切断装置20への電極材料17の搬送に際して、ローラ等に沿わせて電極材料17が回転される。さらに、電極切断装置20による電極材料17の吸着により、電極材料17が鉛直方向Gにずれずに搬送される。これにより、電極切断装置20にて搬送される電極材料17は、電極材料17の面17c,17dが搬送方向X及び鉛直方向Gに沿うようになる。
【0024】
図2に示すように、一対の吸着コンベア22は、電極材料17の面17c,17dに沿う方向であって、且つ搬送方向Xと直交する方向(以下、単に直交方向Yという)において、互いに離間して配置されている。そして、一対の吸着コンベア22は、直交方向Yにおいて電極材料17の一端17a付近と他端17b付近とを支持する。なお、一対の吸着コンベア22は、電極材料17の両側の面17c,17dのうちで一方の面17dを支持する。また、一対の吸着コンベア22は、直交方向Yにおいて一対の吸着コンベア22の間の電極材料17の領域Aに塗工部19を含むように、電極材料17を支持している。具体的には、一対の吸着コンベア22の間には、直交方向Yにおける電極材料17の塗工部19と露出部18aとが位置している。
【0025】
図3に示すように、切断部32は、電極材料17の面17c,17dのうち、一対の吸着コンベア22で支持された面17dとは別の面17cに対向するように配置される。そして、切断部32は、直交方向Yにおいて一対の吸着コンベア22の間の電極材料17の領域Aを切断領域として、レーザによって電極材料17の領域Aを切断する。
【0026】
また、切断部32は、レーザヘッド33とレンズ34とを備える。切断部32は、レーザヘッド33から出力したレーザをレンズ34に集光することにより、電極材料17のレーザ照射面としての面17cにレーザを照射して電極材料17を切断する。レーザの光軸が電極材料17の面17cに対して交差するように、切断部32が配置されている。そして、切断部32では、図2に二点鎖線で示す位置にレーザを照射して電極材料17を切断することにより、電極10の外郭を形成する。本実施形態では、搬送方向Xに電極10が並んで形成されるように、電極材料17が搬送されながら切断部32による切断が行われる。
【0027】
次に、電極切断装置20による電極10の製造方法を記載する。なお、電極材料17は、正極の電極10を製造するための電極材料17であり、長尺金属箔18はアルミニウム箔製であり、塗工部19は正極用の活物質で形成されている。
【0028】
図2に示すように、電極切断装置20において、電極材料17は、一対の吸着コンベア22によって支持される。一対の吸着コンベア22によって支持された電極材料17では、搬送方向Xに搬送されながら、切断部32によって領域Aでの切断が行われる。この切断に際しては、吸着コンベア22によって電極材料17が吸着されているため、電極材料17は直交方向Yの両側から引っ張られるようになる。このため、電極材料17の位置ずれが抑制された状態で切断部32による切断が行われる。そして、切断部32による切断によって、電極材料17には電極10の外郭が形成された状態となる。これにより、電極材料17には、外郭の一部からタブ13が突出した形状の電極10が切り出された状態となる。そして、電極材料17はさらに搬送方向Xへ案内され、切り出された電極10と電極10以外の端材54とが分離される。
【0029】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す作用及び効果を得ることができる。
(1)電極材料17のうちで切断部32のレーザが照射される面17cは、鉛直方向Gに沿っている。そして、切断部32によるレーザ照射により電極材料17からスパッタが飛び出したとしても、鉛直方向G、すなわち電極材料17の面17cから離れる方向にスパッタが落下するようになる。したがって、電極材料17の面17cにスパッタが付着することを抑制できる。
【0030】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
○ 電極材料17の面17cが鉛直方向Gに沿う位置よりも下方に向けて傾くように、一対の吸着コンベア22で電極材料17の面17dを支持して電極材料17を配置してもよい。例えば、図5に示す電極切断装置40のように、電極材料17のうちで切断部32のレーザが照射される面17cが、鉛直方向Gと直交するように、電極材料17を配置してもよい。この電極切断装置40においては、切断部32が電極材料17よりも下方に配置されることにより、電極材料17の面17cと対向するように切断部32が位置している。そして、電極材料17においては、レーザが照射される面17cが下方に向いている状態となっている。このため、上記実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0031】
○ 電極材料17の配設態様としては、上記実施形態の図3等で示したレーザ照射面としての面17cが鉛直方向Gに沿っている態様や、上記形態の図5で示した面17cが鉛直方向Gと直交する方向に沿っている態様のほか、次の態様を採用可能である。すなわち、そうした態様では、まずは、電極材料17の面17cが鉛直方向Gに沿う位置よりも下方に向いている状態となるように、一対の吸着コンベア22で電極材料17の面17dを支持している。そして、電極材料17の面17cが、鉛直方向Gに沿っている状態から鉛直方向Gと直交する方向に沿っている状態までの間で傾いた状態となるように、一対の吸着コンベア22で電極材料17の面17dを支持している。こうした形態の電極材料17を備える電極切断装置20においても、電極材料17の面17cと対向するように切断部32が位置している。このため、この形態においても、電極材料17におけるレーザが照射される面17cが下方に向いている状態となるため、上記実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0032】
○ 電極材料17のレーザが照射される面17cの下方に切断部32が配置される場合では、電極材料17と切断部32との位置関係等によっては、切断部32によるレーザ照射により電極材料17から飛び出したスパッタが、切断部32に落下するおそれがある。切断部32にスパッタが付着すると、レーザ照射に不都合が生じるおそれがあり好ましくない。具体的には、レンズ34にスパッタが付着した状態でレーザを照射すると、そのスパッタが付着した部分を起点にレンズ34に割れが生じるおそれがある。このように、切断部32が電極材料17のレーザが照射される面17cの下方に配置され、切断部32へのスパッタの付着のおそれがある場合には、図5に示すようにエアブロー部52を採用することが好ましい。こうした形態によれば、上記実施形態で得られた効果と併せて以下の作用及び効果を得ることができる。
【0033】
(2)上記の形態によれば、切断部32へのスパッタの付着のおそれがある場合であっても、エアブロー部52によって、切断部32と電極材料17のレーザが照射される面17cとの間に、図5に白抜きの矢印で示したように空気を送ることにより、スパッタを吹き飛ばすことができる。したがって、切断部32へのスパッタの付着を抑制することができる。
【0034】
○ 一対の吸着コンベア22は、電極材料17のレーザが照射される面17cを支持するものに変更してもよい。
○ 一対の吸着コンベア22を、一対の搬送ローラに変更してもよい。なお、この搬送ローラは、電極材料17の面17c,17dの両側を支持することにより、電極材料17を挟んで支持する。
【0035】
○ 電極材料17は負極用の電極材料17であってもよい。この場合、長尺金属箔18は銅箔であり、長尺金属箔18は負極用の活物質で形成されている。
○ 電極材料17は、長尺金属箔18の片面に塗工部19を有していてもよい。なお、この場合では、電極10は、金属箔11の片面に活物質層12を有する。
【0036】
○ 電極10におけるタブ13のみが未塗工部11aとなり、タブ13以外の部分が活物質層12となるように、電極切断装置20,40では電極材料17から電極10を切り出すようにしてもよい。
【0037】
○ 電極切断装置20,40では、直交方向Yにおいて電極材料17に2つ以上の電極10が並ぶように電極10を切り出すようにしてもよい。
○ 電極切断装置20,40では、電極材料17として塗工部19を有していない状態の長尺金属箔18を採用し、長尺金属箔18を個片の電極10に切断するようにしてもよい。こうした電極切断装置20,40を採用する場合では、電極切断装置20,40による切断後の電極10に活物質を塗工する。
【0038】
○ ニッケル水素二次電池や、電気二重層キャパシタなどの蓄電装置に用いる電極の製造時に、実施形態の電極切断装置20や上記形態の電極切断装置40を採用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…電極、13…タブ、17…電極材料、17c,17d…面、18…長尺金属箔、19…塗工部、20,40…電極切断装置、22…吸着コンベア、32…切断部。
図1
図2
図3
図4
図5