(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。以下、
図1と
図2を参照して、各実施形態に共通する構成を説明する。
図1は、立体造形物形成システム7の概略を示す構成図である。
立体造形物形成システム7は、コンピュータ72に、タッチパネルディスプレイ71と、印刷装置73と、発泡装置74と、剥離装置75と、貼合装置76と、通信部77と、タブレット端末1が接続されて構成される。立体造形物形成システム7は、後記する熱発泡性シートに濃淡画像としてカーボンブラックを印刷したのち、この熱発泡性シートに向けて近赤外光や可視光を照射する。これにより、立体造形物形成システム7は、この熱発泡性シートのカーボンブラックが印刷された領域を膨張させて、立体造形物シートを形成させることができる。本実施形態において熱発泡性シートは、用紙または媒体に含まれる概念である。
更に立体造形物形成システム7は、2枚の立体造形物シートの基材をそれぞれ剥がしたのち、これら2枚の立体造形物シートを貼り合わせて、操作シートを作成する。
【0013】
コンピュータ72は、CPU(Central Processing Unit)721、ROM(Read only memory)722、RAM(Random Access Memory)723、記憶部724を備える。コンピュータ72は、CPU721により、印刷装置73や発泡装置74や剥離装置75や貼合装置76を制御する。記憶部724には、熱発泡性シートに立体造形物を形成するための各コンテンツが格納されている。更にコンピュータ72は、通信部77によってタブレット端末1と相互に通信可能に接続される。この通信部77は、例えばWi−Fi(登録商標)無線通信モジュールである。
【0014】
タッチパネルディスプレイ71は、タッチパネルに液晶表示パネルが張り合わされて構成され、この立体造形物形成システム7の操作に用いられる。これらコンピュータ72とタッチパネルディスプレイ71は、印刷装置73や発泡装置74や剥離装置75や貼合装置76の操作手順を案内表示させる表示ユニットとして機能する。
【0015】
印刷装置73は、インクジェット方式の印刷装置であり、媒体である熱発泡性シートの表面または/および裏面に、カーボンブラック(所定の印刷材)のインクによる濃淡画像を印刷する。ここで熱発泡性シートの表面とはインク受容層の側であり、裏面とは基材側である。なお、印刷装置73は、インクジェット方式の印刷装置に限定されず、レーザ方式の印刷装置でもよく、所定の印刷材はトナーと現像剤の組合せであってもよい。更に、オフセット方式の印刷装置であってもよい。
【0016】
発泡装置74は、熱発泡性シートを搬送しながら、この熱発泡性シートに可視光および近赤外光を照射し、カーボンブラックによる濃淡画像(電磁波熱変換層)が形成されている部分に熱を発生させるものである。この発泡装置74は、例えば不図示のハロゲンヒータと搬送部を備え、熱発泡性シートの片面に光エネルギを照射する。これにより、熱発泡性シートには立体造形物が形成されて、立体造形物シートとなる。
【0017】
剥離装置75は、立体造形物シートの基材をそれぞれ剥がすものである。立体造形物シートの基材は、例えば水溶性であり、作成された立体造形物シートを水に浸漬することにより、この基材を剥がすことができる。
貼合装置76は、剥離装置75が処理した2枚の立体造形物シートの裏面同士を貼り合わせて、操作シートを作成するものである。
【0018】
印刷装置73への媒体の挿入手順において、タッチパネルディスプレイ71には、印刷装置73への媒体の挿入操作のガイド画面が表示される。このガイド画面には、媒体に対応する画像と立体造形物形成システム7に対応する画像が案内表示される。
発泡装置74への媒体の挿入手順において、タッチパネルディスプレイ71には、発泡装置74への媒体の挿入操作のガイド画面が表示される。このガイド画面には、媒体に対応する画像と立体造形物形成システム7に対応する画像が、印刷装置73への媒体の挿入操作のガイド画面に対して表示位置関係が反転するように案内表示される。
【0019】
タブレット端末1は、タッチパネルディスプレイ2、カメラ3、印刷ボタン10、記憶部13、制御部14、電源部15、スピーカ16、通信部19を備えている。
タッチパネルディスプレイ2は、タッチパネルに液晶表示パネルが張り合わされて構成され、
図5に示す操作シート4aが載置されて、タブレット端末1の操作に用いられる。
カメラ3は、ここでは後記する制御部14と組み合わせて、コードシンボル読取手段として動作する。
【0020】
印刷ボタン10は、この立体造形物形成システム7に対して、タッチパネルディスプレイ2に表示中の操作画面に対応する操作シートの作成を指示する物理ボタンである。印刷ボタン10は物理ボタンなので、視覚障碍者であっても操作シートの作成指示が可能である。
記憶部13は、例えば半導体メモリなどである。この記憶部13には、アプリケーション131が格納されている。
図5に示す操作シート4aは、アプリケーション131の操作画面のうちいずれかに対応している。
【0021】
制御部14は、例えば不図示のCPU、ROM、RAMを含んで構成され、このタブレット端末1を統括して制御する。
図5に示す操作シート4aが載置されたとき、制御部14は、アプリケーション131を実行することにより、この操作シート4aに対応する操作画面をタッチパネルディスプレイ2に表示させる。
電源部15は、例えば二次電池とDC−DCコンバータで構成され、このタブレット端末1の各部の電力を供給する。
【0022】
スピーカ16は、制御部14から出力された信号を音声として報知する。これにより、視覚障碍者に対して処理結果などを報知することができる。なお、タブレット端末1は、制御部14から出力された信号をバイブレータによる低周波振動として報知してもよい。
通信部19は、例えばWiFi(登録商標)無線通信モジュールであり、通信部77との間に無線通信路を確立することができる。
【0023】
ユーザがタッチパネルディスプレイ2に操作画面を表示させ、印刷ボタン10を押下すると、立体造形物形成システム7は、この操作画面に対応する操作シートの作成を開始する。立体造形物形成システム7は、操作シートの作成指示を受けて、タブレット端末1の操作画面に配置されている操作要素の位置を特定して操作画面情報を作成し、この操作画面情報に基づいて、操作シートに、操作要素の位置に対応する凸部または凹部を形成する。
【0024】
ユーザが、作成された操作シート4aとタッチパネルディスプレイ2を重ね合わせる。そして、例えば指やタッチペンなどにより、この操作シート4aの任意位置を押下すると、その位置情報がタッチパネルディスプレイ2で検知できる。タッチパネルディスプレイ2が検知した位置情報は、制御部14に伝えられる。制御部14は、その位置情報に対応した情報を記憶部13より読み出し、スピーカ16を通して外部に音声情報として報知する。
【0025】
図2は、タブレット端末1の正面図と側面図である。
タブレット端末1は、筐体17の正面にタッチパネルディスプレイ2が嵌め込まれ、その下側にカメラ3と印刷ボタン10が配置されている。このカメラ3は、自身の直上に載置された物体に対しても焦点が合うように構成されている。タッチパネルディスプレイ2の上側には、操作シート4aを留める留め具18が設けられている。
【0026】
(第1の実施形態)
以下、
図3から
図21までを参照して、地図のアプリケーションの操作要素に対応する凹凸が表面と裏面とに形成された操作シート4aの製造方法について説明する。ここで操作シート4aの表面とは、タブレット端末1に載置された際の上面側である。操作シート4aの裏面とは、タブレット端末1に載置された際の下面側である。
図3は、第1の実施形態の操作画面5aを表示したタブレット端末1を示す図である。
操作画面5aは、タブレット端末1のタッチパネルディスプレイ2に表示されている。操作画面5aには、地図のアプリケーションが表示されている。例えば、この地図の道路領域51をタップすると、タブレット端末1は、タップされた道路領域51に関する説明音声情報を記憶部13より読み出し、スピーカ16を通して外部に音声情報として報知する。この処理は、
図4に示すステップS16の処理に対応する。
【0027】
更に操作画面5aには、上端に表示倍率をリスト選択するための表示倍率メニュー57が表示されている。ユーザが表示倍率メニュー57をタップすると、例えば200%,100%,75%,50%,25%の地図表示倍率のうちから、いずれかを択一的に選択可能である。この表示倍率メニュー57の操作により、操作画面5aは更新される。
タブレット端末1に操作シート4aを載置することにより、タブレット端末1は、操作画面5aを表示する。
【0028】
図4は、操作シート4aを載置した際のタブレット端末1の操作処理を示すフローチャートである。
ユーザが操作シート4aをタブレット端末1に載せると(ステップS10)、
図4の操作処理が開始される。
最初、タブレット端末1の制御部14は、操作シート4a裏面のコードシンボルが読み取れていない間(ステップS11→No)、このコードシンボルの読み取り処理を所定時間毎に繰り返す。ユーザが操作シート4とタッチパネルディスプレイ2を重ね合わせると、タブレット端末1は、操作シート4a裏面に印刷されたコードシンボルを読み取ることができる。
【0029】
タブレット端末1の制御部14は、コードシンボルが読み取れたならば(ステップS11→Yes)、コードシンボルの読み取り情報からアプリケーションと操作画面とを特定する(ステップS12)。更に制御部14は、コードシンボルの読み取り情報に応じたアプリケーションを起動し(ステップS13)、コードシンボルの読み取り情報に応じた操作画面を表示する(ステップS14)。これにより、載置された操作シート4aに応じた操作画面を、タッチパネルディスプレイ2に表示することができ、視覚障碍者であっても好適に操作可能である。
【0030】
制御部14は、操作入力を検知していない間(ステップS15→No)、この操作入力の判定を繰り返す。そして、ユーザが指などにより、この操作シート4aの任意位置を押下すると、その位置情報がタッチパネルディスプレイ2で検知できる。タッチパネルディスプレイ2が検知した位置情報は、制御部14に操作入力として伝えられる。
制御部14は、操作入力を検知したならば(ステップS15→Yes)、制御部14は、その操作入力に応じた処理を実行して(ステップS16)、ステップS15の処理に戻る。操作入力に応じた処理とは、例えば音声情報を記憶部13より読み出し、スピーカ16を通して外部に音声情報として報知する処理のことをいう。
また、フローチャートには図示していないが、ユーザが操作シート4aをタブレット端末1から取り去ると、ステップS15に示したループ処理は終了する。
【0031】
図5は、第1の実施形態における操作シート4aを載置したタブレット端末1の断面図である。
操作シート4aは、発泡樹脂層が熱によって発泡した2枚のシートを貼り合わせたものである。操作シート4は、裏面側が抵抗膜方式のタッチパネルディスプレイ2の表面と重ねあわせて保持可能なように構成されている。
操作シート4の表面側の凹部は様々な高さで形成されているが、裏面側の凸部の高さは均一である。これにより、タッチパネルディスプレイ2の上に載置されたときの歪みを抑制することができる。
【0032】
タブレット端末1は、情報端末の一種であり、筐体17の内部に、上部表面を露出するようにタッチパネルディスプレイ2と、カメラ3とが配置されている。
タッチパネルディスプレイ2は、上部フィルム21が貼り付けられた上部導電層22は、絶縁部23によって両端が支持されて、下部導電体24から所定間隔だけ離れている。下部導電体24は、表面にはマイクロドット・スペーサ25が所定間隔で配置され、裏面側は下部支持体26によって支持されている。タッチパネルディスプレイ2は、任意位置が押下されたときに上部導電層22が撓んでマイクロドット・スペーサ25に接触することにより、位置情報を検知する。FPC(Flexible printed circuits)27は、このタッチパネルディスプレイ2が押下された位置を検知する回路を含んでいる。
【0033】
カメラ3は、可視光で撮像するものであり、コードシンボル読取手段として動作する。操作シート4は、タッチパネルディスプレイ2とカメラ3とを覆うように載置され、カメラ3に対応する位置のコードシンボル(マトリックス式二次元コード)を備えている。
【0034】
本実施形態では、留め具18により、操作シート4をタッチパネルディスプレイ2に重ねあわせて保持可能としている。なお、これに限られず、操作シート4の裏面に粘着材層を設け、タッチパネルディスプレイ2の表面と貼り合わせるようにしてもよい。
【0035】
また、操作シート4の裏面には、その操作シート4の種類を識別可能にするためのコードシンボルが印刷されている。コードシンボルには、操作シート4がタブレット端末1上に載置された際に、このタブレット端末1が表示する操作画面を示す情報が格納されている。
【0036】
タッチパネルディスプレイ2の外周部には、このコードシンボルを読み取り可能なカメラ3が設けられている。操作シート4をタッチパネルディスプレイ2に挟持または貼り合わせる際に、制御部14は、カメラ3によって操作シート4の種類を識別する。更に制御部14は、この操作シート4に対応した操作画面をタッチパネルディスプレイ2に表示する。これにより視覚障碍者は、この操作シート4による操作が可能となる。
【0037】
従来の立体造形物シートは、片面に凹凸が形成されたものであった。つまり、熱発泡性シートに所定の濃淡印刷を行って加熱発泡させることにより、基材側を裏面としたときの表面に凹凸が形成された立体造形物シートが製造される。
これに対して、第1の実施形態の操作シート4は、第1の立体造形物シートと、第1の立体造形物シートの鏡像に形成された第2の立体造形物シートから、それぞれ基材を除去して裏面同士を貼り合わせて形成される。つまり、操作シート4の裏面には、表面に形成された凸部または/および凹部に対応する位置に、凸部が形成されている。この操作シート4の製造方法については、後記する
図11から
図18で説明する。基材が除去されたことにより、操作シート4は十分な可撓性を有するので、押下された位置を好適にタッチパネルディスプレイ2に伝えることができる。更に、操作シート4とタッチパネルディスプレイ2とは、操作領域である凸部で接触し、操作領域でない部分は接触していないので、操作領域が押されたことを好適にタッチパネルディスプレイ2に伝達可能である。これにより、押下された位置に応じた内容・情報を例えば音声など触覚以外の手段・方法により伝達することが可能なデバイス、装置として提供することができる。更に凸部は、発泡による適度な弾性を有しているため、好適に操作可能である。
【0038】
図6は、第1の実施形態における操作シート4の作成処理を示すフローチャートである。
最初、タブレット端末1の制御部14は、操作画面5a中の操作要素を特定する(ステップS20)。操作要素とは、例えば道路領域51や表示倍率メニュー57である。制御部14は、これら操作画面5aに係る情報をコンピュータ72に送信する。
コンピュータ72は、印刷装置73により、熱発泡性シート6a(第1の熱発泡性シート)の表面に、操作要素説明の点字を濃淡で印刷し(ステップS21)、操作画面5aの絵柄をカラーで印刷する(ステップS22)。ここで濃淡印刷とは、カーボンブラック(K)のインクで印刷することをいう。カラー印刷とは、CMY(Cyan,Magenta,Yellow)の3色のインクで印刷することをいう。これらの処理により、
図7に示す熱発泡性シート6aの表面が形成される。
【0039】
コンピュータ72は、印刷装置73により、熱発泡性シート6aの裏面に、操作要素の鏡像を濃淡で印刷する(ステップS23)。この処理により、
図8に示す熱発泡性シート6aの裏面が形成される。
コンピュータ72は、発泡装置74により、熱発泡性シート6aの表面と裏面に光を照射し、この熱発泡性シート6a上に凹凸を形成し(ステップS24)、第1の立体造形物シートとする。更にコンピュータ72は、剥離装置75により、第1の立体造形物シートから基材を剥離し、操作シート4aの表面用とする(ステップS25)。
【0040】
コンピュータ72は、印刷装置73により、熱発泡性シート6b(第2の熱発泡性シート)の表面に、操作画面5aの情報を含むコードシンボルをカラーで印刷する(ステップS26)。この処理により、
図9に示す熱発泡性シート6bの表面が形成される。
コンピュータ72は、印刷装置73により、熱発泡性シート6bの裏面に、操作要素を濃淡で印刷する(ステップS27)。この処理により、
図10に示す熱発泡性シート6bの裏面が形成される。
【0041】
コンピュータ72は、発泡装置74により、熱発泡性シート6bの表面と裏面に光を照射し、この熱発泡性シート6b上に凹凸を形成し(ステップS28)、第2の立体造形物シートとする。更にコンピュータ72は、剥離装置75により、第2の立体造形物シートから基材を剥離し、操作シート4aの裏面用とする(ステップS29)。
更にコンピュータ72は、貼合装置76により、第1の立体造形物シートの裏面に、第2の立体造形物シートの裏面を貼り合わせて(ステップS30)、操作シート4aを製造する。この操作シート4aは、
図19から
図21で詳細に説明する。
製造された操作シート4aをタブレット端末1に載置することで、タブレット端末1は、触感を利用した操作入力による的確な情報伝達を行うことができる。
【0042】
図7は、濃淡画像と絵柄が印刷された熱発泡性シート6a(第1の熱発泡性シート)の表面を示す図である。
熱発泡性シート6aの表面から見て左下には、切欠49が設けられている。熱発泡性シート6aの表面には、操作要素である表示倍率メニュー67Aと道路領域61Aを含む地図の鏡像がカラーで印刷され、この表示倍率メニュー67Aを説明する点字68が濃淡で印刷されている。
【0043】
図8は、濃淡画像が印刷された熱発泡性シート6a(第1の熱発泡性シート)の裏面を示す図である。
熱発泡性シート6aの裏面から見て右下には、切欠49が設けられている。熱発泡性シート6aの裏面には、操作要素である表示倍率メニュー67Bと道路領域61Bを含む地図が濃淡で印刷されている。各操作要素は、それぞれ異なる濃度で印刷されている。
【0044】
図9は、コードシンボル44が印刷された熱発泡性シート6b(第2の熱発泡性シート)の表面を示す図である。
熱発泡性シート6bの表面から見て左下には、切欠49が設けられている。熱発泡性シート6bの表面下部には、コードシンボル44がカラーで印刷されている。
【0045】
図10は、濃淡画像が印刷された熱発泡性シート6b(第2の熱発泡性シート)の裏面を示す図である。
熱発泡性シート6bの裏面から見て右下には、切欠49が設けられている。熱発泡性シート6aの裏面には、操作要素である表示倍率メニュー67Dと道路領域61Dを含む地図がカラーで印刷されている。各操作要素は、均一な濃度で印刷されている。
【0046】
以下、
図11から
図18を参照して、熱発泡性シートから操作シートを製造する手順について説明する。
図11は、印刷前の媒体の断面図である。
熱発泡性シート8Aは、基材81と発泡樹脂層82とインク受容層83とが順に積層されている。この熱発泡性シート8Aは、立体造形物形成システム7における工程を経ていない媒体の例である。
基材81は、紙、キャンバス地などの布、プラスチックなどのパネル材などからなり、材質は特に限定されるものではない。
【0047】
発泡樹脂層82には、基材81上に設けられた熱可塑性樹脂であるバインダ内に熱発泡剤(熱膨張性マイクロカプセル)が分散配置されている。これにより、発泡樹脂層82は、吸収した熱量に応じて発泡膨張する。
【0048】
インク受容層83は、発泡樹脂層82の上面全体を覆うように、例えば、10μmの厚さに形成されている。インク受容層83は、インクジェット方式プリンタのインク、レーザ方式プリンタのトナー、ボールペンや万年筆のインク、鉛筆の黒鉛などを受容し、表面に定着させるために好適な材料で構成される。
【0049】
図12は、表面の発泡データ印刷後における媒体の断面図である。
熱発泡性シート8Bは、
図11に示す熱発泡性シート8Aの表面(インク受容層83側)に対して電磁波熱変換層84が印刷されている。この熱発泡性シート8Bは、立体造形物形成システム7において、表面発泡データの印刷工程を経た媒体の例である。
電磁波熱変換層84は、例えばカーボンブラックを含むインクで印刷された層であり、可視光や近赤外光(電磁波)を熱に変換する。
【0050】
図13は、裏面の発泡データ印刷後における媒体の断面図である。
熱発泡性シート8Cは、
図12に示す熱発泡性シート8Bの裏面(基材81側)に電磁波熱変換層86が印刷されている。この熱発泡性シート8Cは、立体造形物形成システム7において、表面発泡データの印刷工程と、裏面発泡データの印刷工程を経た媒体の例である。
電磁波熱変換層86は、例えばカーボンブラックを含むインクで印刷された層であり、可視光や近赤外光(電磁波)を熱に変換する。
【0051】
図14は、カラーデータ印刷後における媒体の断面図である。
熱発泡性シート8Dは、
図13に示す熱発泡性シート8Cの表面(インク受容層83側)にカラーインク層85a,85bが印刷されている。この熱発泡性シート8Dは、立体造形物形成システム7において、表面発泡データの印刷工程と、裏面発泡データの印刷工程と、カラーデータの印刷工程を経た媒体の例である。
【0052】
熱発泡性シート8Dは、発泡樹脂層82を加熱により膨張させる前の状態なので、この発泡樹脂層82の厚さは一様である。熱発泡性シート8Dは、発泡装置74の熱発泡性シートガイドに、電磁波熱変換層84が印刷されたインク受容層83を上に向けてセットされる。そののち熱発泡性シート8Dは、搬送路で可視光や近赤外光(電磁波)を照射されることで発泡樹脂層82が加熱により膨張し、
図15に示した熱発泡性シート8Eが形成される。
【0053】
図15は、おもて面の発泡工程後における熱発泡性シートの断面図である。
熱発泡性シート8Eは、立体造形物形成システム7において、表面発泡工程を経た媒体の例である。
電磁波熱変換層84は、第1回目の搬送において、図の上側から光の照射を受けて熱に変換する、この電磁波熱変換層84は、熱発泡性シート8Eに細かな立体パターンを形成するために設けられている。この電磁波熱変換層84の直下の発泡樹脂層82は、熱を受けて発泡膨張する。インク受容層83、電磁波熱変換層84、カラーインク層85bは、それぞれ伸縮性を有し、発泡樹脂層82の発泡膨張に追従して変形する。このようにして
図15に示した熱発泡性シート8Eが形成される。
【0054】
熱発泡性シート8Eは更に、発泡装置74の用紙ガイドに、電磁波熱変換層86が印刷された基材81を上に向けてセットされたのち、搬送路で可視光や近赤外光(電磁波)を照射される。これにより発泡樹脂層82が加熱されて膨張し、
図16に示した熱発泡性シート8Fが形成される。
【0055】
図16は、うら面の発泡工程後における熱発泡性シート(立体造形物シート)の断面図である。
熱発泡性シート8Eは、立体造形物形成システム7において、裏面発泡工程を経た媒体の例である。
電磁波熱変換層86は、第2回目の搬送において、図の下側から光の照射を受けて熱に変換する、この電磁波熱変換層86は、粗い立体パターンを形成するために設けられている。この電磁波熱変換層86の近傍の発泡樹脂層82は、熱を受けて発泡膨張する。インク受容層83、電磁波熱変換層84、カラーインク層85aは、それぞれ伸縮性を有し、発泡樹脂層82の発泡膨張に追従して変形する。このようにして、立体造形物を含む熱発泡性シート8Fが形成される。
【0056】
図17は、基材81の除去後における立体造形物シート8Fの断面図である。
基材81(
図16参照)は、例えば水溶性の材質で構成することにより、水によって溶解させて除去することができる。このような工程により、発泡樹脂層82と、その上面に形成されたインク受容層83で構成された立体造形物シート8Fが作成できる。なお、インク受容層83に印刷された電磁波熱変換層84、カラーインク層85aとは水溶性ではないので、水によって除去されない。
発泡樹脂層82とインク受容層83の組合せは、可撓性を有しているので、押圧力を好適に下部に伝達可能である。この発泡樹脂層82の裏面に、コードシンボルを印刷したシール等を貼り付けることで、第2の実施形態に示した操作シート4bなどを作成することができる。
【0057】
図18は、2枚の立体造形物シートを貼り合わせたときの断面図である。
操作シート4aは、
図17に示した立体造形物シート8Fの裏面に、裏面側の立体造形物シートが張り合わされて形成される。この裏面側の立体造形物シートは、発泡樹脂層82aとインク受容層83aの組合せであり、
図17に示した熱発泡性シート8Eと同様にして形成される。ただし、裏面側であり視認されることが目的ではないので、インク受容層83aには、カラーインク層は印刷されていない。
裏面側の発泡樹脂層82aは、表面側の発泡樹脂層82の凹凸に対して、ほぼ鏡像となる凹凸が形成されている。例えば点字などの細かな凹凸は、裏面側の発泡樹脂層82aには形成されていない。
裏面側の発泡樹脂層82aに形成されている凸部の高さは均一である。これにより、操作シート4は、タッチパネルディスプレイ2に載置したときに歪むことを防止できる。
【0058】
以下、
図19から
図21を参照して、操作シート4aについて説明する。
図19は、第1の実施形態における操作シート4aの表面を示す図である。
操作シート4aは、地図のアプリケーションの操作要素を凹凸で示したものであり、例えば道路41Aが凸部として形成されている。更に操作シート4aの上端には、表示倍率メニュー47Aが凸部として形成され、点字48が凸部として形成されている。点字48により、視覚障碍者は、表示倍率メニュー47Aの意味を判断可能である。
操作シート4aの表面から見て左下には、切欠49が設けられている。切欠49により、視覚障碍者は、操作シート4aの表裏と上下とを判断可能である。
【0059】
図20は、第1の実施形態における操作シート4aの裏面を示す図である。
操作シート4aの裏面には、表面の凹凸に対して鏡像となる凹凸が形成されている。例えば、裏面側道路41Bは、
図19に示した道路41Aの鏡像であり、操作シート4aの裏面側かつ道路41Aに対応する位置に形成されている。
表示倍率メニュー47Bは、
図19に示した表示倍率メニュー47Aの鏡像であり、操作シート4aの裏面側かつ表示倍率メニュー47Aに対応する位置に形成されている。ただし、
図19に示した点字48の鏡像となる凹凸は形成されていない。
操作シート4aの裏面下部には、コードシンボル44が印刷されている。コードシンボル44には、この操作シート4aに応じたアプリケーションの情報と、その操作画面5a(
図3参照)の情報とを含んでいる。コードシンボル44は、
図3に示したカメラ3の撮影範囲よりも、ひと回り小さい。よって、操作シート4aがカメラ3を覆うように載置されているときに、カメラ3は、コードシンボル44を読み取ることができる。切欠49は、操作シート4aの裏面においては右下となる。
【0060】
図21は、第1の実施形態における操作シート4aを搭載したタブレット端末1の正面図である。
操作シート4aは、タブレット端末1の上部に設けられた留め具18により留められている。操作シート4aは、カメラ3を覆うように載置されており、裏面のカメラ3の位置には、コードシンボル44(
図20参照)が印刷されている。これにより、カメラ3はコードシンボル44を撮影可能であり、制御部14(
図1参照)は、この撮影結果によりコードシンボル44の読み取り情報を取得可能である。これにより、タッチパネルディスプレイ2には、
図3に示した操作画面5aが、操作可能に表示される。
ユーザが道路41Aを押下すると、押圧力がタッチパネルディスプレイ2の道路領域51の位置に伝わる。これにより、制御部14は、タッチパネルディスプレイ2のうち、道路41Aに対応する位置が押下されたことを検知して、対応する処理を実行する。ここで対応する処理とは、例えば、この道路の名称を音声で報知したり、この道路に係る渋滞情報を音声で報知するなどである。
視覚障碍者は、操作シート4aの凹凸として地図情報を認知することができ、更にこの操作シート4aの道路41Aを押すことにより、操作画面5aの道路領域51を押すことができる。このときタブレット端末1は、タップされた道路領域51に関する音声情報を報知する。これにより視覚障碍者は、認知した地図に関する情報を的確に知ることができる。
【0061】
(第2の実施形態)
以下、
図22から
図29までを参照して、操作部に対応する凹凸が表面のみに形成された操作シート4bについて説明する。第2の実施形態では更に、画面更新を行う操作要素を除外して凹凸を形成している。
図22は、第2の実施形態の操作画面5bを表示したタブレット端末1を示す図である。
操作画面5bは、タブレット端末1のタッチパネルディスプレイ2に表示されている。操作画面5bには、インターネットラジオのアプリケーションが表示されている。例えば、選局ボタン551をタップすると、タブレット端末1は、タップされた選局ボタン551に対応するJOABを選局すると共に、「JOABを選局しました。」という音声情報を記憶部13より読み出し、スピーカ16を通して外部に音声情報として報知する。
【0062】
選局ボタン552をタップすると、タブレット端末1は、タップされた選局ボタン552に対応するJOAKを選局すると共に、「JOAKを選局しました。」という音声情報を記憶部13より読み出し、スピーカ16を通して外部に音声情報として報知する。
選局ボタン553をタップすると、タブレット端末1は、タップされた選局ボタン553に対応するJOLPを選局すると共に、「JOLPを選局しました。」という音声情報を記憶部13より読み出し、スピーカ16を通して外部に音声情報として報知する。
【0063】
オンボタン521をタップすると、タブレット端末1は、選局中のラジオ局のストリーミング音声を受信して、スピーカ16を通して外部に音声情報として報知する。
オフボタン522をタップすると、タブレット端末1は、ストリーミング音声の受信を中止して、音声情報の報知をオフする。
広告バナー58には、「ラジオを買うならRADIO SHOP αβγ」の広告が表示されている。ユーザが広告バナー58をタップすると、タブレット端末1は、RADIO SHOP αβγのWEBページを表示する。
これらの処理は、
図4に示したステップS16の処理に対応する。
タブレット端末1に操作シート4bを載置することにより、タブレット端末1は、操作画面5bを表示する。
【0064】
図23は、第2の実施形態における操作シート4bを載置したタブレット端末1の断面図である
図23に示したタブレット端末1は、
図3で示したものと同様である。タブレット端末1に載置されている操作シート4bは、第1の実施形態とは異なり、裏面側に凹凸が形成されていない。操作シート4bは、裏面側の凹凸がなく、構造が単純で作成しやすいという利点がある。
【0065】
図24は、第2の実施形態における操作シート4bの作成処理を示すフローチャートである。
最初、タブレット端末1の制御部14は、操作画面5b中の操作要素を特定する(ステップS40)。操作要素とは、例えば選局ボタン551〜553、オンボタン521、オフボタン522、広告バナー58などである。更に制御部14は、操作要素のうち外部サイトへのリンクである広告バナー58を除外し(ステップS41)、これら操作要素情報をコンピュータ72に送信する。なお、除外される操作要素は、外部へリンクする全てのオブジェクトの他、コンボボックス、メニュー、スライドバー、タブコントロールである。これにより、操作シートと操作画面との対応関係がなくなるような操作を抑止可能である。
【0066】
更に制御部14は、テキストボックス、コンボボックスやメニュー、ラジオボタン、チェックボックスを除外して、それ以外の操作要素情報をコンピュータ72に送信してもよい。テキストボックス、ラジオボタン、チェックボックスは、操作結果が視覚的に示される操作要素であり、操作シートを載置した状態では操作結果が確認できないためである。
【0067】
コンピュータ72は、印刷装置73により、熱発泡性シート6cの表面に、操作要素説明の点字を濃淡で印刷し(ステップS42)、操作画面5bの絵柄をカラーで印刷する(ステップS43)。ここで濃淡印刷とは、カーボンブラック(K)のインクで印刷することをいう。カラー印刷とは、CMY(Cyan,Magenta,Yellow)の3色のインクで印刷することをいう。これらの処理により、
図25に示す熱発泡性シート6cの表面が形成される。
コンピュータ72は、印刷装置73により、熱発泡性シート6bの裏面に、操作要素の鏡像を濃淡で印刷する(ステップS44)。この処理により、
図26に示す熱発泡性シート6bの裏面が形成される。
コンピュータ72は、発泡装置74により、熱発泡性シート6aの表面と裏面に光を照射し、この熱発泡性シート6a上に凹凸を形成し(ステップS45)、立体造形物シートとする。更にコンピュータ72は、剥離装置75により、立体造形物シートから基材を剥離し、操作シート4bとする(ステップS46)。
【0068】
コンピュータ72は、操作画面5aの情報を含むコードシンボルのシールを操作シート4bの裏面下部に貼り付ける(ステップS47)。この操作シート4bは、
図27から
図29で詳細に説明する。
製造された操作シート4bをタブレット端末1に載置することで、タブレット端末1は、アプリケーションを起動して操作画面5aを表示し、触感を利用した操作入力による的確な情報伝達を行うことができる。
【0069】
図25は、濃淡画像と絵柄が印刷された熱発泡性シート6cの表面を示す図である。
熱発泡性シート6cの表面には、点字661〜663と、点字631,632とが濃淡で印刷され、更に絵柄である選局ボタン651A〜653A、オンボタン621A、オフボタン622Aがカラーで印刷されている。
点字461〜463は、それぞれ選局ボタン651A〜653Aを説明するものである。点字431は、オンボタン621Aを説明するものである。点字432は、オフボタン622Aを説明するものである。操作シート4bの表面から見て左下には、切欠49が設けられている。
【0070】
図26は、濃淡画像が印刷された熱発泡性シート6cの裏面を示す図である。
熱発泡性シート6cの裏面には、表面の絵柄に対して鏡像となる濃淡画像が形成されている。例えば、裏面側選局ボタン651Bは、
図25に示した選局ボタン651Aの鏡像であり、熱発泡性シート6cの裏面側かつ選局ボタン651Aに対応する位置に濃淡で印刷されている。
裏面側選局ボタン652Bは、
図25に示した選局ボタン652Aの鏡像であり、熱発泡性シート6cの裏面側かつ選局ボタン652Aに対応する位置に濃淡で印刷されている。裏面側選局ボタン653Bは、
図25に示した選局ボタン653Aの鏡像であり、熱発泡性シート6cの裏面側かつ選局ボタン653Aに対応する位置に濃淡で印刷されている。
裏面側オンボタン621Bは、
図25に示したオンボタン621Aの鏡像であり、熱発泡性シート6cの裏面側かつオンボタン621Aに対応する位置に濃淡で印刷されている。裏面側オフボタン622Bは、
図25に示したオフボタン622Aの鏡像であり、熱発泡性シート6cの裏面側かつオフボタン622Aに対応する位置に濃淡で印刷されている。切欠49は、熱発泡性シート6cの裏面においては右下となる。
なお、
図25に示した点字661〜663や点字631,632は、操作要素ではないので、裏面側には対応する濃淡が印刷されていない。
【0071】
図27は、第2の実施形態における操作シート4bの表面を示す図である。
操作シート4bは、操作画面5bを立体で示したものであり、選局ボタン451A〜453Aおよび、これらを説明する点字461〜463を備える。更に操作シート4bは、オンボタン421Aおよびこれを説明する点字431と、オフボタン422Aおよびこれを説明する点字432とが凸部として形成されている。操作シート4bの表面から見て左下には、切欠49が設けられている。切欠49により、視覚障碍者は、操作シート4cの表裏と上下とを判断可能である。
【0072】
図28は、第2の実施形態における操作シート4bの裏面を示す図である。
操作シート4cの裏面には、凹凸が形成されておらず、その裏面下部には、コードシンボル44がシールで貼り付けられている。コードシンボル44には、この操作シート4cに応じたアプリケーションの情報と、その操作画面5bの情報とを含んでいる。切欠49は、操作シート4cの裏面においては右下となる。
【0073】
図29は、第2の実施形態における操作シート4cを搭載したタブレット端末1の正面図である。
操作シート4cは、タブレット端末1の上部に設けられた留め具18により留められている。操作シート4cは、カメラ3を覆うように載置されており、裏面のカメラ3の位置には、コードシンボル44(
図28参照)が貼り付けられている。これにより、カメラ3はコードシンボル44を撮影可能であり、制御部14(
図1参照)は、この撮影結果によりコードシンボル44の読み取り情報を取得可能である。これにより、タッチパネルディスプレイ2には、
図22に示した操作画面5bが、操作可能に表示される。
【0074】
例えば、ユーザが選局ボタン451Aを押下すると、押圧力がタッチパネルディスプレイ2の選局ボタン551の位置に伝わる。これにより、制御部14は、タッチパネルディスプレイ2のうち、選局ボタン451Aに対応する位置が押下されたことを検知して、対応する処理を実行する。選局ボタン551に対応する処理とは、点字461で説明されたJOABを選局する処理である。
【0075】
更にユーザがオンボタン421Aを押下すると、押圧力がタッチパネルディスプレイ2のオンボタン521の位置に伝わる。これにより、制御部14は、タッチパネルディスプレイ2のうち、オンボタン421Aに対応する位置が押下されたことを検知して、対応する処理を実行する。オンボタン421Aに対応する処理とは、点字431で説明された、選局中のラジオ局のストリーミング音声を受信して、スピーカ16を通して外部に音声情報として報知する処理である。
【0076】
ユーザがオフボタン422Aを押下すると、押圧力がタッチパネルディスプレイ2のオフボタン522の位置に伝わる。これにより、制御部14は、タッチパネルディスプレイ2のうち、オフボタン422Aに対応する位置が押下されたことを検知して、対応する処理を実行する。オフボタン422Aに対応する処理とは、点字432で説明された、ストリーミング音声の受信を中止して、音声情報の報知をオフする処理である。
【0077】
ユーザが選局ボタン452Aを押下すると、押圧力がタッチパネルディスプレイ2の選局ボタン552の位置に伝わる。これにより、制御部14は、タッチパネルディスプレイ2のうち、選局ボタン452Aに対応する位置が押下されたことを検知して、対応する処理を実行する。選局ボタン552に対応する処理とは、点字462で説明されたJOAKを選局する処理である。
【0078】
ユーザが選局ボタン453Aを押下すると、押圧力がタッチパネルディスプレイ2の選局ボタン553の位置に伝わる。これにより、制御部14は、タッチパネルディスプレイ2のうち、選局ボタン453Aに対応する位置が押下されたことを検知して、対応する処理を実行する。選局ボタン553に対応する処理とは、点字463で説明されたJOLPを選局する処理である。
【0079】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)〜(n)のようなものがある。
(a) タッチパネルディスプレイ2の方式としては、抵抗膜方式以外に、静電容量方式でもよく、更には超音波表面弾性波方式、赤外線走査方式としても良い。
(b) タッチパネルディスプレイ2に表示された画面の操作領域を操作シートの表面の凹部として表現し、更に操作シートの裏面に、この凹部の鏡像に対してほほ鏡像となる凸部を形成してもよい。
(c) 操作シートの裏面に、タッチパネルディスプレイ2のマイクロドット・スペーサ25の位置に対応する凸部を設けてもよい。
(d) 操作シートの表面と裏面の区別は、切欠に限定されず、点字や立体マークや穴などであってもよい。
(e) 操作シートに対応するアプリケーション情報と操作画面情報は、コードシンボルに限られない。例えばアプリケーション情報と操作画面情報を格納する無線タグが、操作シートに貼り付けられていてもよい。
【0080】
(f) 操作シートの裏面のコードシンボルは、マトリックス式二次元コードに限定されない。
(g) コードシンボルを読み取るカメラの位置は、タッチパネルディスプレイの外周部に設置されていればよく、限定されない。
【0081】
(h)
図15に示した熱発泡性シート8Eを、操作シート4として、タブレット端末1上に載置してもよい。つまり基材81の片面に発泡樹脂層82を備える操作シート4の発泡樹脂層82とは反対側の面と、タッチパネルディスプレイ2の表面側とを重ねあわせて保持させる。この操作シート4の発泡樹脂層82側の表面を指等により押下することでタッチパネルディスプレイ2により押下位置を検出可能とすることができる。
(i) 熱発泡性シートの裏面に操作要素の濃淡画像を印刷することに限られず、熱発泡性シートの表面に操作要素の濃淡画像を印刷してもよい。これにより、点字の印刷と同時に操作要素の濃淡画像を印刷でき、かつ裏面からの光照射工程を省略できるので、短時間にシートを作成することができる。
(j) 操作シート4に操作要素の凹凸を形成する際に、除外される操作要素や操作要素の種類は、ユーザが目的に応じて選択可能としてもよい。
(k) 画面更新を行う操作要素を除外した後、操作部に対応する凹凸が表面のみに形成された操作シートを作成するのみではなく、操作部に対応する凹凸を表面と裏面の両方に形成された操作シートを作成してもよい。
(l) 画面更新を行う操作要素を除外せず、かつ操作部に対応する凹凸を表面と裏面の両方に形成された操作シートを作成するのみではなく、操作部に対応する凹凸が表面のみに形成された操作シートを作成してもよい。
(m) 2枚の熱発泡性シートに凸部を形成した基材を剥離して裏面同士を貼り合わせることに限定されない。例えば三次元プリンタによって、操作要素に対応する操作シートの表面における位置に凸部または凹部を形成し、操作要素に対応する操作シートの裏面における位置に凸部を形成してもよい。この場合、操作シートの裏面に、この操作画面を示す情報を付与することになる。更に操作シートの裏面に形成する凸部の高さは、均一であることが望ましい。
(n) 1枚の熱発泡性シートに凸部を形成した基材を剥離することに限定されない。例えば三次元プリンタによって、操作要素に対応する操作シートの表面における位置に凸部または凹部を形成してもよい。この場合、この場合、操作シートの裏面に、この操作画面を示す情報を付与することになる。
【0082】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
《請求項1》
情報端末が備えるタッチパネルディスプレイに表示される操作画面に対応する操作シートの作成指示を受けて、前記操作画面に配置されている操作要素の位置を特定して操作画面情報を作成する工程と、
前記操作画面情報に基づいて、前記操作シートに、前記操作要素の位置に対応する凸部または凹部を形成する工程と、
を実行することを特徴とする操作シートの製造方法。
《請求項2》
前記操作要素のうち画面遷移または画面更新を行わないものに対応する前記操作シートの位置に、凸部または凹部を形成する工程、
を実行することを特徴とする請求項1に記載の操作シートの製造方法。
《請求項3》
前記操作シートの裏面に、前記操作画面を示す情報を付与する、
ことを特徴とする請求項1に記載の操作シートの製造方法。
《請求項4》
前記操作シートは、熱発泡性シートの表面に凸部を形成し、かつ当該熱発泡性シートの裏面の基材を剥離して形成される、
ことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の操作シートの製造方法。
《請求項5》
情報端末が備えるタッチパネルディスプレイに表示される操作画面の操作要素に対応する凹凸が形成された操作シートの作成を指示する工程と、
前記操作要素に対応する前記操作シートの表面における位置に、凸部または凹部を形成する工程と、
前記操作要素に対応する前記操作シートの裏面における位置に、凸部を形成する工程と、
を実行することを特徴とする操作シートの製造方法。
《請求項6》
前記操作要素のうち画面遷移または画面更新を行わないものに対応する前記操作シートの表面における位置に、凸部または凹部を形成する工程と、
前記操作要素のうち画面遷移または画面更新を行わないものに対応する前記操作シートの裏面における位置に、凸部を形成する工程と、
を実行することを特徴とする請求項5に記載の操作シートの製造方法。
《請求項7》
前記操作シートの裏面に、前記操作画面を示す情報を付与する、
ことを特徴とする請求項4に記載の操作シートの製造方法。
《請求項8》
前記操作シートの裏面に形成する凸部の高さは、均一である、
ことを特徴とする請求項4に記載の操作シートの製造方法。
《請求項9》
情報端末が備えるタッチパネルディスプレイに表示される操作画面の操作要素に対応する凹凸が形成された操作シートの作成を指示する工程と、
前記操作要素に対応する第1のシート上の位置に、凸部または凹部を形成する工程と、
前記操作要素に対応する第2のシート上の鏡像位置に、凸部または凹部を形成する工程と、
前記第1および前記第2のシートの裏面同士を貼り合わせることにより、前記操作シートを作成する工程と、
を実行することを特徴とする操作シートの製造方法。
《請求項10》
前記操作要素のうち画面遷移または画面更新を行わないものに対応する前記第1のシート上の位置に、凸部または凹部を形成する工程と、
前記操作要素のうち画面遷移または画面更新を行わないものに対応する前記第2のシート上の鏡像位置に、凸部を形成する工程と、
を実行することを特徴とする請求項9に記載の操作シートの製造方法。
《請求項11》
前記第2のシートの表面に、前記操作画面を示す情報を付与する、
ことを特徴とする請求項9に記載の操作シートの製造方法。
《請求項12》
前記第2のシート上に形成する凸部の高さは、均一である、
ことを特徴とする請求項9に記載の操作シートの製造方法。
《請求項13》
前記第1、第2のシートは、熱発泡性シートの表面に凸部を形成し、かつ当該熱発泡性シートの裏面の基材を剥離して形成される、
ことを特徴とする請求項9ないし12のうちいずれか1項に記載の操作シートの製造方法。
《請求項14》
情報端末が備えるタッチパネルディスプレイに表示される操作画面に対応する操作シートの作成を指示する物理ボタンを備えたことを特徴とする情報端末。