【実施例】
【0054】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例中の性能は次の方法で測定した。
【0055】
[測定方法]
(1)ポリマーの溶融粘度
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製キャピログラフ1Bによって、歪速度を段階的に変更して、溶融粘度を測定した。本測定方法において、キャピラリーは直径1.0mm×長さ10mmのものを使用した。また、ロードセル荷重は1tに設定し、測定温度は測定対象のポリマーを用いた紡糸における紡糸温度と同じ温度に設定し、せん断速度は1216s
−1に設定し溶融粘度を測定した。なお、加熱炉にポリマーのサンプルの投入を開始してから測定の開始までの時間を5分とし、窒素雰囲気下で測定を行った。
【0056】
(2)フィラメント糸の単繊維径
布帛の表面を日本電子製の金属蒸着装置(商品名:JEC−3000FCオートファインコーター)を用いて金属蒸着し、その試料を日立製の超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(商品名:SU8010)に装着し、5ヶ所写真撮影した。この画像から無作為に選定した50本のフィラメント糸から単繊維径を測定しその平均値を求めた。
【0057】
(3)布帛の目付
JIS L 1096(2010)(8.4.2)に規定された方法により、布帛の単位面(1m
2)積当たりの質量を求めた。
【0058】
(4)布帛の厚み
JIS L 1096(2010)(8.5.1)に規定された方法により、厚さ測定器(TECLOCK製)を用いて布帛の厚さを求めた。
【0059】
(5)布帛の片面におけるフィラメント糸Aの露出面積および全繊維の露出面積
光学電子顕微鏡(キーエンス社製、VHX−2000)を用いて、100倍の倍率(低倍率レンズ VH−25)、カメラ設定における照明ランプのスライドで明るさを256段階の最大の設定とし、布帛の一方の面を撮影した。ここで、撮影は、布帛の一方の面から撮影部位を無作為に選定し行った。ここで布帛の端部の少なくとも一部が撮影画像に含まれないようにした。次に、得られた撮影画像に画像処理分析を施すことで、布帛の一方の面における全繊維の露出面積(以下、総面積Iとする)および、布帛の一方の面におけるフィラメント糸A以外の繊維の露出面積(以下、総面積IIとする)を算出し、総面積Iから総面積IIを減ずることで布帛の一方の面におけるフィラメント糸Aの露出面積(以下、総面積IIIとする)を得た。ここで、総面積IIは、光学顕微鏡(キーエンス社製、VHX−2000)に搭載された自動面積計測を用い、抽出方法を「輝度」、抽出パラメーターを「明るい」、しきい値を「25」、ノイズ除去を「弱」に設定し、上記の設定で検出された領域の総和を算出することで得た。次に、総面積IIは、光学顕微鏡(キーエンス社製、VHX−2000)に搭載された自動面積計測を用い、抽出方法を「輝度」、抽出パラメーターを「明るい」、しきい値を「73」、ノイズ除去を「弱」に設定し、上記の設定で検出された領域の総和を算出することで得た。
【0060】
例えば、フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を布帛の第一の面に露出している全繊維の布帛の第一の面における露出面積で除した値は、布帛の第一の面における総面積IIIを布帛の第一の面における総面積Iで除することで得られる。
【0061】
(6)静摩擦係数
JIS P 8147 8.傾斜法(2010)に規定された方法を基に、被接触物をシリコンプレート(ビューラックス社製バイオスキンプレート#2)として布帛の静摩擦係数を求めた。具体的には、傾斜板を持つ滑り傾斜角測定装置を使用して測定した。傾斜板の傾斜角をゼロに合わせ、被接触物となるシリコンプレートを固定し、布帛を貼り付けた平面圧子をシリコンプレートが布帛と接触するように置き、傾斜板の傾斜角度を上げていき、平面圧子が布帛と一体となってすべり出したときの傾斜角θを測定した。得られた傾斜角θから下式により静摩擦係数μを算出した。
μ=tanθ 。
【0062】
なお、荷重は、29g/cm
2となるように調整した。ここでこの29g/cm
2の荷重は、被接触物を把持するというグリップ性評価を想定した圧力である。)また、伸縮性のある布帛によっては、布帛とシリコンプレートとの間の摩擦力よりも布帛と平面圧子との間の摩擦力の方が小さい場合、布帛の伸びによって平面圧子が伸長分すべることがある。この時点ではすべり出したとは判断せず、上述のとおり平面圧子と布帛が一体となってすべり出したときの傾斜角を測定した。無作為に特定した試験片の一つの方向について、布帛の静摩擦係数の測定を5回行い、その平均値を布帛の静摩擦係数として求めた。なお、本発明でいう布帛の乾燥状態とは、試験片を測定前に標準状態である20±2℃、65±2%RH雰囲気下で24時間以上静置しておくことで達成される。また、布帛の湿潤状態とは、布帛全体を含浸させるのに十分量の水が貯留された水槽に乾燥状態の布帛を含浸させ、含浸開始から30秒後に上記の水槽から布帛を引き上げることで達成される。
【0063】
(7)布帛の保水率
JIS L 1906(2000)に準じた方法により測定した。布帛から10cm×10cmの布帛の試験片を3枚採取し、その布帛の試験片の標準状態での質量をミリグラム単位まで測定した。室温で試験片を水道水中に15分間浸漬し、ピンセットで試験片を水中から取り出して1分間水をしたたり落とした後、その質量をミリグラム単位まで測定した。次の式によって保水率を算出し、さらにその平均値を求めた。
m=(m
2−m
1)/m
1×100
ここに、m:保水率(%)
m
1:試験片の標準状態での質量(mg)
m
2:試験片を湿潤し、水をしたたり落としたあとの質量(mg)
なお、標準状態とは、布帛の試験片を20±2℃、65±2%RH雰囲気下で24時間以上静置した後の状態をさす。
【0064】
(8)ピリング性
JIS L 1076(2010)に規定された方法により、布帛のピリング性を測定した。
【0065】
(9)工程通過性
液流染色機を用いたアルカリ減量加工およびピンテンター機を用いた仕上がりセット加工における布帛の工程通過性に関し、下記の基準により評価した。
A: 染色機管内への布帛の吸着による染色機管の布帛詰まり、ピンテンター機のガイドロールへの布帛の巻きつきによる布帛の破れ、布帛の蛇行およびピン外れのいずれも発生しない。
B: 染色機管内への布帛の吸着による染色機管の布帛詰まり、ピンテンター機のガイドロールへの布帛の巻きつきによる布帛の破れ、布帛の蛇行およびピン外れのいずれか1つ以上が発生する。
【0066】
(10)布帛の引張強力
JIS L 1096 8.14(2010)に規定された方法により、乾燥状態における布帛のタテ方向およびヨコ方向の引張強力(N/50mm)および湿潤状態における布帛のタテ方向およびヨコ方向の引張強力(N/50mm)を測定した。乾燥状態の引張強力として、長さ30cm×幅5cmの布帛(タテ方向、ヨコ方向)を引張試験機につかみ間隔100mmで取付け、150mm/minの速度で布帛が切断するまで荷重を加え、最大荷重時の強さを測定した。ここで乾燥状態とは、試験片を測定前に標準状態である20±2℃、65±2%RH雰囲気下で24時間以上静置しておくことで達成される。また湿潤状態の引張強力として、上記乾燥状態の長さ30cm×幅5cmの布帛(タテ方向、ヨコ方向)を20℃の水中に1時間浸漬し、取り出してから速やかに引張試験機に取り付け、乾燥状態と同様に測定した。測定は3回行い、その平均値を求めた。
【0067】
(11)布帛の湿潤時の30%伸長時の引張応力
長さ30cm×幅5cmの布帛の試験片を20℃の水中に1時間浸漬し、取り出してから速やかに、引張試験機につかみ間隔100mmで取付け、150mm/minの速度で30%伸長時の応力値(N/50mm)を求めた。測定は3回行い、その平均値を求めた。
【0068】
(12)手袋の着脱テスト
得られた布帛を用いて、第一の面を外側(物体把持側)、第二の面を内側(手袋の着用者の手側)となるように手袋を得て、使用したときの手袋の着脱テストに関し、下記の基準により評価した。
A:乾燥状態および湿潤状態において、手袋は着脱しやすいものである。
B:乾燥状態または湿潤状態において、手袋は着脱しにくいものである。
【0069】
(13)手袋の把持性テスト(I)
得られた布帛を用いて、第一の面を外側(物体把持側)、第二の面を内側(手袋の着用者の手側)となるように手袋を得て、使用したときの手袋の把持性テストに関し、下記の基準により評価した。
A:湿潤状態において、把持性に優れているものである。
B:湿潤状態において、把持性に劣るものである。
【0070】
(14)手袋の把持性テスト(II)
得られた布帛を用いて、第一の面を外側(物体把持側)、第二の面を内側(手袋の着用者の手側)となるように手袋を得て、手術時の使用を想定した把持性テストを評価した。具体的には、ラテックス製手袋を着用し、その上から本発明の布帛より得られた手袋を着用し、グリセリン33%に調製した溶液(脂質を含む溶液)で表面を湿らせた市販のこんにゃくを掴んで把持性を評価するテストを実施し、10人の被験者に対して下記の基準により手袋の把持性を評価した。そして、各人の評価の合計点により総合評価した。
【0071】
<個別評価基準>
3点:グリップ性が非常に優れて、指先の感覚がわかり易く作業しやすい。
2点:グリップ性が良好であり、指先の感覚がわかり易く作業しやすい。
1点:グリップ性に劣る、または、指先の感覚がわかり難く作業しにくい。
【0072】
<合計評価基準>
A(良好):25〜30点
B(可):17〜25点
C(劣る):10〜16点。
【0073】
(15)手袋の表面品位
得られた布帛を用いて、第一の面を外側(物体把持側)、第二の面を内側(手袋の着用者の手側)となるように手袋を得て、手袋の外側の表面を観察し、下記の基準により評価した。
A:手袋の外側の表面にシワもアタリも観察されず、手袋の表面品位に極めて優れる。
B:手袋の外側の表面にシワおよびアタリのいずれか一方しか観察されず、手袋の表面品位に優れる。
C:手袋の外側の表面にシワおよびアタリの両方が観察され、手袋の表面品位に劣る。
【0074】
(実施例1)
島成分としてナイロン6(溶融粘度:190Pa・sec)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸8.0モル%共重合したPET(溶融粘度:95Pa・s)を用いて、複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させ、吐出孔から複合ポリマー流を吐出した。なお、吐出プレート直上の分配プレートには、1つの吐出孔当たり島成分用に2000個の分配孔が穿設された分配プレート、15個の吐出孔が穿設された吐出プレートを用いることで、トータル島数30,000個の口金とした。海成分/島成分の質量比を30/70とし、紡糸温度260℃、紡糸速度1500m/minで巻き取り、150dtex−15フィラメント(総吐出量40g/min)の未延伸繊維を採取した。巻き取った未延伸繊維を70℃と130℃に加熱したローラー間で3.0倍延伸を行った。得られた海島複合繊維は、89dtex−15フィラメントで、強度2.9cN/dtex、伸度31%であった。また、フィラメント糸Bとして、総繊度78dtex−24フィラメントのナイロン6、引張強度4.1cN/dtex、伸度42%のマルチフィラメントを用いた。
【0075】
上記得られた海島複合繊維とフィラメント糸Bを交編率52:48の割合で交編させて、28ゲージ、釜径838.2mm(33インチ)のダブル丸編機にて、編組織をダブルピケとし、アルカリ減量処理後のフィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値が0.8、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値が0.2となるよう編成して丸編地を得た。
【0076】
この丸編地に対して、液流染色機を用いてアルカリ減量処理を行った。具体的には以下のとおりである。
丸編地を丸編地の第一の面が筒編状の内側、第二の面が染色機管内に接触する側として、液流染色機中に投入した。
丸編地に対して、95℃の1%水酸化ナトリウム水溶液で30分処理して、脱海し、海島複合繊維中のポリ乳酸の99.9%以上を加水分解により除去した。
【0077】
その後、かかる丸編地を乾燥機で100℃、2分乾燥させた。乾燥後、かかる丸編地を筒編状から切開し、仕上がりセットとして乾燥機で丸編地の第二面が送り出しガイドロールに接触するように通して130℃、1分乾燥し、ナイロン6のナノファイバー(フィラメント糸A)と、ナイロン6のマルチフィラメント(フィラメント糸B)から構成される丸編地布帛を得た。得られた丸編地布帛は、第一の面および第二の面ともにコース30個/25.4mm、ウェール25個/25.4mmであった。
【0078】
得られた布帛を評価した。結果を表1に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は480nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.78、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.22であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はAであった。
【0079】
(実施例2)
海/島成分の質量比を50/50に、総吐出量を20g/minに変更した以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0080】
得られた布帛を評価した。結果を表1に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は290nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.78、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.22であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はAであった。手袋の表面品位はAであった。
【0081】
(実施例3)
海/島成分の質量比を70/30に、総吐出量を10g/minに変更した以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0082】
得られた布帛を評価した。結果を表1に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は150nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.78、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.22であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はAであった。手袋の表面品位はAであった。
【0083】
(実施例4)
吐出プレート直上の分配プレートにおいて、1つの吐出孔当たり島成分用に500個の分配孔が穿設された分配プレートとしトータル島数7500個/口金に、海/島成分の質量比を20/80に、総吐出量を35g/minに変更した以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0084】
得られた布帛を評価した。結果を表1に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は960nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.78、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.22であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手術時の使用を想定した手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はAであった。
【0085】
(実施例5)
島成分としてポリエチレンテレフタレート(溶融粘度:160Pa・sec)に変更した以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0086】
得られた布帛を評価した。結果を表1に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は480nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.78、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.22であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はAであった。
【0087】
(実施例6)
編成において、アルカリ減量処理後のフィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値が0.5、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値が0.2となるよう編成して丸編地を得た以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0088】
得られた布帛を評価した。結果を表2に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は480nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.52、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.21であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はAであった。
【0089】
(実施例7)
編成において、アルカリ減量処理後のフィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値が0.9、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値が0.2となるよう編成して丸編地を得た以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0090】
得られた布帛を評価した。結果を表2に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は480nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.90、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.20であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はBであった。
【0091】
(実施例8)
編成において、アルカリ減量処理後のフィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値が0.8、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値が0.1となるよう編成して丸編地を得た以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0092】
得られた布帛を評価した。結果を表2に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は480nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.80、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.10であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はAであった。
【0093】
(実施例9)
編成において、アルカリ減量処理後のフィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値が0.8、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値が0.4となるよう編成して丸編地を得た以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0094】
得られた布帛を評価した。結果を表2に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は480nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.80、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.40であった。なお、工程通過性は○であった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はAであった。
【0095】
(実施例10)
総繊度33dtex−26フィラメントのナイロン6マルチフィラメントをフィラメント糸Bとして用いた以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0096】
得られた布帛を評価した。結果を表2に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は480nm、フィラメント糸Bの単繊維径は12μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.78、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.22であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はAであった。
【0097】
(実施例11)
編成において、アルカリ減量処理後のフィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値が0.7、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値が0.3となるよう編成して丸編地を得た以外は、実施例2と同様にして布帛を得た。
【0098】
得られた布帛を評価した。結果を表3に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は290nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.70、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.30であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はAであった。手袋の表面品位はAであった。
【0099】
(実施例12)
編成において、アルカリ減量処理後のフィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.5、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.5となるよう編成して丸編地を得た以外は、実施例2と同様にして布帛を得た。
【0100】
得られた布帛を評価した。結果を表3に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は290nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.50、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.50あった。なお、工程通過性はBであった。また、手袋の着脱テストはBであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はAであった。手袋の表面品位はAであった。
【0101】
(実施例13)
島成分としてポリエチレンテレフタレート(溶融粘度:160Pa・sec)に変更した以外は、実施例2と同様にして布帛を得た。
【0102】
得られた布帛を評価した。結果を表3に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は290nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.80、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.20であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はAであった。
【0103】
(実施例14)
フィラメント糸Aおよびフィラメント糸Bをそれぞれ3本合糸にして編成したこと以外は、実施例2と同様にして布帛を得た。
【0104】
得られた布帛を評価した。結果を表3に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は290nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.80、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.20であった。なお、工程通過性はAであった。また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はBであり、手袋の把持性テスト(II)はCであった。手袋の表面品位はAであった。
【0105】
(比較例1)
島成分をポリエチレンテレフタレート(溶融粘度:160Pa・sec)とし、吐出プレート直上の分配プレートにおいて1つの吐出孔当たり島成分用に1000個の分配孔が穿設された分配プレートとしトータル島数15000個/口金とし、編成において、アルカリ減量処理後のフィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値が1.0、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値が1.0となるよう編成して丸編地を得た以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0106】
得られた布帛を評価した。結果を表4に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は680nm、フィラメント糸Bの単繊維径は31μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が1.00、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が1.00であった。なお、工程通過性はアルカリ減量釜内への布帛の吸着が起き、Bであった。
【0107】
また、手袋の着脱テストはBであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はCであった。
【0108】
(比較例2)
編成において、アルカリ減量処理後のフィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値が0.4、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値が0.2となるよう編成して丸編地を得た以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0109】
得られた布帛を評価した。結果を表4に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は480nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.40、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.20であった。なお、工程通過性はAであった。
【0110】
また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はBであり、手袋の把持性テストはC(II)であった。手袋の表面品位はAであった。
【0111】
(実施例15)
編成において、アルカリ減量処理後のフィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値が0.8、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値が0.5となるよう編成して丸編地を得た以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0112】
得られた布帛を評価した。結果を表4に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は480nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0.80、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0.50であった。なお、工程通過性はアルカリ減量釜内への布帛の吸着が起き、Bであった。
【0113】
また、手袋の着脱テストはBであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はAであった。
【0114】
(比較例3)
島成分としてポリエチレンテレフタレート(PET、溶融粘度:160Pa・sec)、海成分として5−スルホイソフタル酸ナトリウム5モル%共重合した変性ポリエステルからなり、海/島成分の複合比を20/80とし、トータル66dtex−9フィラメント、島成分本数が70本、海成分溶出後の島単糸繊度0.08dtexの海島複合繊維を得た以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0115】
得られた布帛を評価した。結果を表4に示す。海島複合繊維より得られたフィラメント糸の単繊維径は2000nm、フィラメント糸Bの単繊維径は19μmであった。フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が0、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が0であった。なお、工程通過性はAであった。
【0116】
また、手袋の着脱テストはAであり、手袋の把持性テスト(I)はBであり、手袋の把持性テスト(II)はCであった。手袋の表面品位はAであった。
【0117】
(比較例4)
吐出プレート直上の分配プレートにおいて、1つの吐出孔当たり島成分用に500個の分配孔が穿設された分配プレートとしトータル島数7500個/口金に、海/島成分の複合比を10/90に、総吐出量を40g/minに変更し、フィラメント糸Bを用いずに、フィラメント糸Aのみで布帛を構成した以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。
【0118】
得られた布帛を評価した。結果を表4に示す。フィラメント糸Aの単繊維径は1000nm、フィラメント糸Aの布帛の第一の面における露出面積を、第一の面に露出している全繊維の第一の面における露出面積で除した値(第一の値)が1.00、フィラメント糸Aの布帛の第二の面における露出面積を、第二の面に露出している全繊維の第二の面における露出面積で除した値(第二の値)が1.00であった。なお、工程通過性はアルカリ減量釜内への布帛の吸着が起き、Bであった。
【0119】
また、手袋の着脱テストは、乾燥状態および湿潤状態においてグリップ性に優れていたが、その手袋は着脱しにくいものであり、Bであり、手袋の把持性テスト(I)はAであり、手袋の把持性テスト(II)はBであった。手袋の表面品位はCであった。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
【表4】