(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スリップ曲率半径推定部は、所定周期で前記クローラ式車両の位置及び姿勢を検出することにより車両が移動する円周の曲率半径を求め、求められた曲率半径上を移動する前記クローラ式車両を本来進むべく移動方向へ戻すための補正円の曲率半径を求め、この補正円の曲率半径に基づいて前記クローラ式車両に対する操作量を補正すること特徴とする請求項1又は2に記載の走行制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、クローラ式車両では履帯の制御が容易ではなく、車両が意図したとおりに動かずに操作者の度重なる軌道修正/微調整の連続作業が発生する。履帯制御が容易ではない理由は以下の2点が考えられる。第1には、不整地における履帯と地面との非定常なスリップによる並進や回転の滑りによる。スリップは地面の状態(埴土、壌土、砂土など)と水分量(雨期、乾期)、車両状態(速度、重量)によっても変化をするので、走行制御に困難が伴う。
【0006】
第2には、左右の油機(油圧モータ)の操作入力に対する出力のアンバランスが制御性を困難にしている点である。油圧モータのバランスは特定の速度域(特に、最大速度域)において平衡化されるように最適化されているため、それ以外の速度域(低・中速度域)の場合には左右どちらかの方向に曲がりやすい、あるいは曲がりにくいといった不具合を生じる。熟練者は操作レバーを無意識に微調整することで自然と対応できるが,今後さらに増えることが予想される非習熟者には操作負荷が高い。
【0007】
このように、クローラ式車両では、地面との間で滑りを生じたり、左右の履帯を動かすための油機が正しくバランスしていなかったりすることがあり、このような状態で不整地を走行すると、操作者の意図した経路を外れやすくなり、操作者のより一層の注意監視とそれに伴う操作量の微調整が必要となるという傾向がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、逐次変化する走行状態に追従することで操作者の意図した操作を実現可能にした走行制御装置及び走行制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1の形態は、左右の走行部が履帯で構成されたクローラ式車両の走行制御装置であって、履帯速度指令値と履帯速度実測値との偏差を無くす操作量を生成する速度制御部と、前記履帯のスリップを制御するスリップ制御部と、を備え、前記スリップ制御部は、前記クローラ式車両の位置及び姿勢を計測する手段から現在の位置信号及び姿勢信号を入力して前記履帯のスリップ曲率半径を推定するスリップ曲率半径推定部と、推定されたスリップ曲率半径を利用したモデル予測によって前記操作量を補正する制御曲率半径演算部と、を具備することを特徴としている。
【0010】
第2の形態は、左右の走行部が履帯で構成されたクローラ式車両の走行制御装置であって、履帯速度指令値と履帯速度実測値との偏差を無くす操作量を生成する速度制御部と、前記履帯のスリップを制御するスリップ制御部と、を備え、前記スリップ制御部は、前記クローラ式車両の位置・姿勢を計測する手段から現在の位置信号及び姿勢信号を入力して前記履帯のスリップ率を推定するスリップ率推定部と、推定されたスリップ率を利用したモデル予測によって前記操作量を補正するスリップ補償部と、を具備すること特徴としている。
【0011】
第3の形態は、左右の走行部が履帯で構成されたクローラ式車両の走行制御装置であって、履帯速度指令値と履帯速度実測値との偏差を無くす操作量を生成する速度制御部と、前記履帯のスリップを制御するスリップ制御部と、を備え、前記スリップ制御部は、前記クローラ式車両の位置・姿勢を計測する手段から現在の位置信号及び姿勢信号を入力して前記履帯のスリップ曲率半径を推定するスリップ曲率半径推定部と、推定されたスリップ曲率半径を利用したモデル予測によって前記操作量を補正する制御曲率半径演算部と、前記クローラ式車両の位置及び姿勢を計測する手段から現在の位置信号及び姿勢信号を入力して前記履帯のスリップ率を推定するスリップ率推定部と、推定されたスリップ率を利用したモデル予測によって前記制御曲率半径演算部で補正された操作量をさらに補正するスリップ補償部と、を具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の形態によれば、車両の走行状態を計測し、計測データをフィードバックして操作量を更新する制御則を追加することができ、車両が曲がって走行してしまう等、思い通りに進まないときでも補正された操作量により指示した通りの動作をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<はじめに>
前述したように、クローラ式車両は左右の走行部が一つの履帯で構成されており、整地環境で使われる車両式と比べて接地面積が大きい。このため、接地圧が小さくなり不整地走行する車両に適している。操作方法としては、その左右の履帯の速度差により瞬間的な回転運動の繰り返し車両運動の操作が行われる。
【0015】
しかし、理想的な2輪モデルのように大きさと車輪の滑りが無視できる状態では、速度差により車両の挙動は一意に記述できるために制御も容易であるが、実際には以下の理由によりクローラ式車両の挙動を記述することは容易ではない。
【0016】
すなわち、履帯には、その回転方向のスリップ(縦滑り)とそれに直行する方向のスリップ(横滑り)の両方が生じる。この内、スリップ(縦滑り)は主に、駆動力が履帯と地面との最大静止摩擦力を超えた時に生じる。縦滑りは、“スリップ率”として表現できる。
【0017】
また、不整地走行をするため、滑り量は事前に予測が難しいため逐次算出する必要がある。以下に示す各実施形態は上記知見に基づくものであり、以下の実施形態で行われる走行制御を“走行アシスト制御”とも称する。
<第1実施形態>
図1は走行制御装置の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【0018】
第1実施形態の走行制御装置2Aは、
図2に示すクローラ式車両4の走行制御をジョイスティック(操縦桿)6から供給される操作量に基づいて実行する。具体的には、変換部8と、油機バランス補償部10と、スリップ制御部12Aと、逆変換部14とを備えている。
【0019】
走行制御の対象となるクローラ式車両4は、
図2に示すように、履帯42(42L,42R)により不整地を走行するもので、クローラ式車両4の位置及び姿勢を検出するGNSS/IMU装置46、すなわちGNSS(Global Navigation Satellite System)/IMU(Inertial Measurement Unit)装置46を備えている。
図2中、48は運転席、50は荷台、52は制御装置を示す。
【0020】
変換部8は、ジョイスティック(操縦桿)6からCAN(Controller Area Network)通信により供給される操作量を履帯速度指令に変換して油機バランス補償部10に供給する。なお、クローラ式車両4における制御データ等の伝送は、車両で一般的に使用されているCAN通信による。
【0021】
油機バランス補償部10は、速度制御部11で構成される。すなわち、速度制御部11は、クローラ式車両4の左右の履帯42L,42Rの速度、加速度をそれぞれ計測するエンコーダ44(44L,44R)の各計測信号をフィードバック信号として入力する。そして、変換部8からの履帯速度指令との各偏差を演算し、左右の油圧ポンプ(油機)のバランスを補償した操作量をスリップ制御部12Aに供給する。操作量即ち、補償済み操作指令履帯速度vbは以下の数1で表すことができる。
【0024】
である。添字Rは右、添字Lは左を示し,iはe(エンコーダ),j(ジョイスティック),b(補償済み)のいずれかである。ここで、制御量は左右の履帯の速度v=[v
L v
R]である。
v
L は左履帯42Lの回転速度、v
R は右履帯42Rの回転速度、dは車両重心から各履帯までの距離を示す。ここで、
[数3]
となる。
【0025】
スリップ制御部12Aは、スリップ曲率半径推定部16と、制御曲率半径演算部18とから構成されている。スリップ曲率半径推定部16は、クローラ式車両4に設けられたGNSS/IMU装置46で計測された位置信号及び姿勢信号をフィードバック信号として入力してスリップ曲率半径を推定する。具体的な推定方法は後述する。制御曲率半径演算部18は、スリップ曲率半径推定値により、油機バランス補償部10で油機の左右バランスが補償された後の履帯速度指令値を補正し、新たな履帯速度指令値を逆変換部14に供給する。
【0026】
逆変換部14は、スリップ制御部12Aで演算された新たな履帯速度指令値をCAN信号形式のジョイスティック操作量に変換してクローラ式車両4に供給する。
【0027】
次に、第1実施形態の作用を油機バランス補償部10の処理と、スリップ制御部12Aの処理に分けて説明する。
【0028】
<油機バランス補償部10の処理>
前述したように、左右の油圧モータの操作入力に対して出力にアンバランスが生じると、車両が操作者の意図した経路を外れてしまうことになる。このため、左右の油圧モータのバランスを適正に補償して、クローラ式車両4が操作者の意図した経路を逸脱しないように制御する必要がある。
【0029】
油機バランス補償部10は、エンコーダ44L,44Rから履帯速度計測値を入力し、変換部8から供給される履帯速度指令値と履帯速度計測値との偏差を演算する。そして、この偏差がゼロにして左右の履帯42L,42Rの走行バランスが一定となるよう左右の油圧モータのバランスを補償する。補償後の操作指令は、スリップ制御部12Aに出力される。
【0030】
<スリップ制御部12Aの処理>
油機バランス補償部10で左右の履帯42L,42Rを駆動する油圧モータの油圧バランスを補償しても、履帯と地面の間でスリップが発生すると、車両は意図した経路から外れてしまうことがある。スリップ制御部12Aは、スリップに起因する走行制御の不具合を是正する。
【0031】
まず、操作指令を出力するジョイスティック(操縦桿)6の操作量について説明する。
図3に示すように、ジョイスティック6はその操作方向によってx−y座標で示される4象限のどの方向に操作されているかによって出力される操作指令が異なってくる。
【0032】
ジョイスティック6の傾き量Jは、左右方向(x方向)の傾き量Jxと前後方向(y方向)の傾き量Jyにより構成される。この傾き量JがCAN通信により走行制御装置2Aに、油圧モータに対する速度指令値として出力される。
【0033】
また、クローラ式車両4は、曲率半径によって動きが決定される。したがって、所定の制御周期毎に曲率半径を制御することにより走行制御を実行することができる。ここで、制御量は左右の履帯の速度v=[v
L v
R]である。
【0034】
クローラ式車両4の走行曲率半径ρは、以下の式で表される。
【0035】
[数4]
ρ=d・(v
L +v
R )/(−v
L +v
R )
v
L は左履帯42Lの回転速度、v
R は右履帯42Rの回転速度、dは車両重心から各履帯までの距離を示す。
【0036】
スリップ曲率半径推定部16は、所定の制御周期における現時点kから1周期前の操作量(左右の履帯の速度)v
k-1と、GNSS/IMU装置46からのフィードバック量(車両の速度、角速度)とから今回のスリップ曲率半径ρ
kdを推定する。
【0037】
図4は、クローラ式車両4がA地点に位置する時刻t=kからE地点に位置するt=k+3まで、サンプリング時間Δt毎に進むクローラ式車両4の動きを示している。この場合、A地点に位置する時刻t=kからB地点に位置するt=k+1までの間に履帯42L,42Rに滑りが発生していると仮定する。クローラ式車両4は、曲率半径ρ
pで示される円Oの円周上を動いている。
【0038】
A地点からE地点まで、一定の前進入力(Jx=0、Jy=100%、Jxはジョイスティック6の横方向(x方向)の傾き量、Jyはジョイスティック6の縦方向(y方向)の傾き量)が行われた場合、クローラ式車両4は、理想的には図中の破線上を移動する。しかし、実際には、履帯42L,42Rの滑りにより、時刻t=k+1では円O上のB地点に位置する。元の直線上に戻るためには、時刻t=k+1
から時刻t=k+2の間に適当な制御入力、例えば、適切な円O
1を設定し、その円周に沿うような入力を与える。次の時刻t=k+2では円O
2(=O)を経由するようにすることで滑らかにその直線上に戻るように制御できる。以下、具体的に説明する。
【0039】
今、∠AOBの角度θは、θ=(v
k・Δt)/2πρ
pk であり、∠BO
1C(=φ)と同じである。ただし、ρ
p はA地点からB地点に移動するときの曲率半径であり、GNSS/IMU装置46の計測値を用いて求める。vは車両の代表速度であり、以下の式で求められる。v
L は左側履帯42Lの速度、v
R は右側履帯42Rの速度である。
【0040】
[数5]
v=(v
L +v
R )/2
次に、B地点からC地点までの時間はΔt/2であることを考慮すると、角度φは
[数6]
φ=(v
k+1・Δt/2)/2πρ
dk+1
となる。そのためθ=φより、曲率半径ρ
d は以下の式のように求まる。
【0041】
[数7]
(v
k・Δt)/2πρ
pk =(v
k+1・Δt/2)/2πρ
dk+1
ゆえに、ρ
dk+1 =(v
k+1 /v
k )・ρ
pk /2
不整地走行の場合、スリップ率は分散が大きいことが判明しているため、実際は周波数によるフィルタリング(ローパスフィルタ)や統計によるフィルタリング(カルマンフィルタ)を用いてノイズを排除した値を取得する。
【0042】
短時間ではクローラ式車両4と地面とのインタラクション(相互作用)が変わらないと仮定する。すなわち、B地点からD地点へ移動するときにもA地点からB地点へ移動した時と同じ滑りが発生すると仮定すると、円O
1の曲率半径ρ
dを実現するために必要な曲率半径の変化ρ
Δは、
[数8]
ρ
dk+1 =ρ
pk +ρ
Δk+1
ゆえに、ρ
Δk+1 =ρ
dk+1 −ρ
pk
となる。これにより、B地点(時刻k+1)における理想的な曲率半径ρ
uk+1は、以下のように求めることができる。
【0043】
[数9]
ρ
uk+1 =g・ρ
Δk+1 +ρ
k+1
=g・{(v
k+1 /v
k )・ρ
pk /2−ρ
pk }+ρ
k+1
で求められる。ただし、gは追加される曲率半径に対するゲインである。
【0044】
次いで、以下の表1に示すように、左右の履帯42L、42Rの各速度に割り振る。割り振るときには、履帯42L、42Rの速度の絶対値が小さくなるようにすることで安全に車両の動きを補正することができる。
【0046】
逆変換部14は、上述のように求められた左右の履帯速度をジョイスティック6の出力に変換してクローラ式車両4に供給する。これは、あらかじめ速度に対するジョイスティックの倒し角のマップを作成しておき、これら用いることで速度指令をCAN信号であるジョイスティック6の指令に変換する。
【0047】
図5は、第1実施形態の制御(走行アシスト制御)を適用した場合の実験結果を示すグラフである。
【0048】
図5に示すように、スタート地点Sから理想的には直線SLで示す軌跡で直線状に走行するようにジョイスティック6から操作指令を出力している。しかし、アシスト制御による補正をしない場合には、曲線CL1で示すように約40m走行する間に約12mも目的位置からずれてしまうことが確認された。この状態で第1実施形態のアシスト制御を実行すると、曲線CL2で示すように、ほぼ直線SLと同様の軌跡を保って走行できることが確認された。
【0049】
このように、第1実施形態によれば、地面との間で滑りを生じたり、油機が正しくバランスしていなかったりする状態で不整地を走行する場合でも、操作者の意図した経路を外れることなく走行することが可能になる。このため、操作者は、ジョイスティック6による操作量の微調整を行う必要がなく、操作性が向上する。
<第2実施形態>
図6は走行制御装置の第2実施形態の構成を示すブロック図である。なお、
図1と同一構成部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0050】
第2実施形態の走行制御装置2Bは、第1実施形態のスリップ制御部12Bに代えてスリップ率推定部20と、スリップ補償部22とを備えたスリップ制御部12Bを設けた点を特徴としている。
【0051】
第2実施形態が第1実施形態と大きく異なる点は、制御で補償を行う物理量の違いである。第2実施形態では履帯速度差のみを補償するために直接的、短期的ではあるが、瞬間的なスリップ率の補償を行い,車両と地面とのインタラクションの変化に対する即応性が高い制御となる。このため、スリップ率が変化するときや、動き始め前後のジョイスティック入力が意図した方向からずれる場合を補償しない。一方、第1実施形態の手法では,履帯は瞬間的にはある曲率半径の円弧状を移動することを仮定してその動きを2ステップ先まで考慮している。運動学しか考慮されていない簡易的なものであるものの、時刻t=k+1
において時刻t=k+2
と時刻t=k+3を予測するモデル予測制御と同じであるため、よりジョイスティック入力に対する追従性は高いものとなる。
【0052】
図6において、スリップ率推定部20は、GNSS/IMU装置46で計測された位置信号及び姿勢信号をフィードバック信号として入力して履帯42(42L,42R)のスリップ率を推定する。
【0053】
スリップ補償部22は、スリップ率推定値により、油機バランス補償部10で油機の左右バランスが補償された後の操作量を補正し、新たな操作量を逆変換部14に供給する。
<スリップ率推定部の処理>
スリップ率はGNSS/IMU装置46から供給される位置信号及び姿勢信号から以下の式のようにオンラインで計算することができる。
【0055】
ただし、第1実施形態と同様、スリップ率は分散が大きいため、解析結果はフィルタを介して安定化させて取得する必要がある。実際には,α
Lを左履帯42Lのスリップ率,α
Rを右履帯42Rのスリップ率とすると,次式にようにすべりを補償して実際の指令履帯速度を算出する。
【0057】
算出された指令履帯速度は、逆変換部14でCAN信号に変換されてクローラ式車両4に供給される。
<第3実施形態>
図7は走行制御装置の第3実施形態の構成を示すブロック図である。なお、
図1、
図6と同一構成部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0058】
第3実施形態は、第1実施形態の構成と第2実施形態の構成とを統合して、より制御性を向上させた走行制御装置を実現するものである。
【0059】
図7に示すように、第3実施形態の走行制御装置2Cは、スリップ曲率半径推定部16と、制御曲率半径演算部18と、スリップ率推定部20と、スリップ補償部22とからなるスリップ制御部12Cを備えている。
【0060】
スリップ制御部12Cでは、スリップ曲率半径推定部16により、クローラ式車両4のGNSS/IMU装置46から現在の位置信号及び姿勢信号を入力して履帯のスリップ曲率半径を推定し、制御曲率半径演算部18により、推定されたスリップ曲率半径を利用したモデル予測によって操作量を補正する。一方、スリップ率推定部20は、クローラ式車両4のGNSS/IMU装置46から現在の位置信号及び姿勢信号を入力して履帯のスリップ率を推定し、スリップ補償部22は、推定されたスリップ率を利用したモデル予測によって制御曲率半径演算部18で補正された操作量をさらに補正する。
【0061】
具体的には、制御曲率半径演算部18で求めたジョイスティックアシスト補正された履帯速度vと、スリップ補償ブロックへの速度入力である.そのため,履帯速度vを算出するまでは第1実施形態と変わらないが,次式の入力がvとなる。スリップ率の算出方法は第2実施形態と同じである。
【0063】
第3実施形態によれば、第1実施形態と第2実施形態のそれぞれの利点を組み合わせることにより、より精度の高い走行制御を実現することができる。
【0064】
上述した各実施形態によれば、クローラ式車両4が曲がって走行したり等、操作者の思い通りに進まないときでも補正された操作量により指示した通りの動作をすることができる。車両の操作特性が良好となった結果、オペレータによる遠隔操縦又は搭乗操縦時の負担が軽減できる。また、車両の走行特性が良好となったことにより、オペレータ無しの自律制御時の制御性が向上し、精度の良い車両コントロールが可能となる。
【0065】
以上の各実施形態は、操作入力に対する理想的な出力に近づくように、クローラ式車両4への入力がオーバーライドされ、車両がその補正された入力に従って走行する“走行アシスト機能”を有する。この“走行アシスト機能”は、異なるジョイスティック操作入力(搭乗操作、遠隔操作、外部制御モード)を用いても適用可能であり、適宜、機能のON/OFFを選択することができるものである。
【0066】
以上、各実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。