(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システム1について説明する。
図1は、電話システムの構成を示すブロック図である。
【0013】
[電話システム]
この電話システム1は、ビジネスホンやPBXシステムなどの電話システムからなり、電話システム1は、電話制御装置10、内線端末20、および携帯無線端末21から構成されており、通信回線L1を介して公衆電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、IP(Internet Protocol)電話網などの一般的な電話網31と接続されているとともに、通信回線L2を介してインターネットなどのデータ通信網32と接続されている。
【0014】
携帯電話網33A,33Bは、各種の携帯キャリアが提供する3G(第3世代移動通信システム)や4G(第4世代移動通信システム)などの一般的な携帯電話網であり、ゲートウェイ装置(図示せず)を介して電話網31およびデータ通信網32と相互に接続されている。
無線通信網34は、Wi−Fiや公衆無線LANなどの一般的な無線通信網であり、ゲートウェイ装置(図示せず)を介して電話網31およびデータ通信網32と相互に接続されている。
【0015】
携帯無線端末21が携帯電話網33A,33Bを用いて電話制御装置10と通話する場合には、携帯電話網33A,33Bおよび電話網31の音声通話サービスにより、電話網31を介して電話制御装置10との間で通話路PA,PBが確立される。
一方、携帯無線端末21が無線通信網34を用いて電話制御装置10と通話する場合には、無線通信網34およびデータ通信網32のIP電話サービスにより、無線通信網34およびデータ通信網32を介して電話制御装置10との間で通話路PCが確立される。
【0016】
また、携帯無線端末21が携帯電話網33A,33Bを用いて電話制御装置10とデータ通信を行う場合には、携帯電話網33A,33BのLTEやWiMAXなどのデータ通信サービスによりデータ通信網32を介して電話制御装置10との間でデータ通信回線が確立される。
一方、携帯無線端末21が無線通信網34を用いて電話制御装置10とデータ通信する場合には、無線通信網34およびデータ通信網32のデータ通信サービスにより、無線通信網34およびデータ通信網32を介して電話制御装置10との間でデータ通信回線が確立される。
【0017】
なお、携帯無線端末21と電話制御装置10とを接続する通話路については、PA,PB,PCに限定されるものではない。例えば、データ通信網32のIP電話サービスを利用して、携帯電話網33A,33Bからデータ通信網32を介して通話路を確立してもよい。また、電話網31の音声通話サービスを利用して、無線通信網34から電話網31を介して通話路を確立してもよい。
【0018】
電話システム1において、電話制御装置10は、主装置やPBXと呼ばれる呼制御装置であり、内線回線LEを介して内線収容されている内線端末20とデータ通信を行うことにより、内線端末20を呼制御して、電話網31を用いた相手端末30と内線端末20との音声通話や、内線端末20間での音声通話などの、各種電話サービスを提供する機能を有している。
【0019】
携帯無線端末21は、スマートフォン、タブレット、携帯電話機などのモバイル端末からなり、電話網31およびデータ通信網32を介して電話制御装置10と接続されて、電話制御装置10から提供される電話帳データ取得サービスや中継接続サービス、さらにはこれらサービスの利用のための認証サービスなど、各種電話サービスを利用する機能を有している。
【0020】
中継接続サービスとは、携帯無線端末21からの発呼要求に応じて、電話制御装置10から相手端末30へ発呼して、携帯無線端末21と相手端末30と中継接続するサービスである。これにより、外出先であっても電話制御装置10を経由した相手端末30との音声通話が可能となる。なお、電話サービス用アプリなどのソフトウェアを携帯無線端末21にインストールすることにより、汎用の携帯無線端末21でこれら電話サービスを利用可能としてもよい。
【0021】
[本発明の原理]
近年、携帯無線端末に対する通話サービスとして、1回あたり規定時間以内の通話であれば通話料金が無料になる低料金通話サービスが、携帯キャリアから提供されている(例えば、非特許文献1など参照)。このような低料金通話サービスでは、規定時間以内であれば通話回数に制限がなく、一旦通話を切断して再接続すれば繰り返し利用できる。したがって、このような低料金通話サービスを、中継接続サービス時に利用することにより、携帯無線端末と電話制御装置との間の通話料金を軽減する方法が考えられる。
【0022】
しかしながら、このような低料金通話サービスを利用して、携帯無線端末と電話制御装置との間の通話料金を軽減する場合、携帯無線端末において、通話開始から規定時間が経過する前に通話を切断する必要がある。さらに、規定時間を超えて通話を行う場合には、再度発呼して相手端末と再接続することにより通話を継続させる必要がある。したがって、このような低料金通話サービスを利用するためには、携帯無線端末の利用者に対して大きな操作負担が生じることになる。
【0023】
本発明は、中継接続サービスにおいて、このような低料金通話サービスで規定されている規定時間を電話制御装置10で計時し、規定時間が到来して通話料金が有料に切り替わる直前の時点で、電話制御装置10から携帯無線端末21に対して通話路の更新指示を通知し、この後に通話路を切断するとともに、更新指示に応じた携帯無線端末21からの再発呼に電話制御装置10で応答して、通話路を新たに確立して相手端末30と中継接続するようにしたものである。
【0024】
[電話制御装置]
次に、
図1を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10の構成について詳細に説明する。
電話制御装置10には主な機能部として、網I/F部11、内線I/F部12、記憶部13、および呼制御部14が設けられている。
【0025】
網I/F部11は、一般的な通信モジュールからなり、通信回線L1を介して電話網31さらには相手端末30との間でデータ通信を行うことにより、呼制御に関する制御信号やメッセージ、通話に関する音声信号や音声データを送受信する機能と、通信回線L2を介してデータ通信網32との間でデータ通信を行うことにより、呼制御に関する制御信号やメッセージや、通話に関する音声信号や音声データ、メールやメモ録音データを送受信する機能とを有している。
【0026】
内線I/F部12は、一般的な通信回路からなり、内線回線LEを介して接続された内線端末20との間で、呼制御に関するメッセージや通話に関する音声データを送受信する機能を有している。
【0027】
記憶部13は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、呼制御部14での呼制御に用いる各種の呼制御データ13Aや、内線端末20や携帯無線端末21の利用者の電話帳データがデータベースとして登録されている電話帳DB13Bが記憶されている。
【0028】
呼制御部14は、マイクロプロセッサとプログラムが協働して実現される演算処理部からなり、呼制御を行う各種処理部が設けられている。呼制御部14には、主な処理部として、モバイル制御部14A、中継処理部14B、更新指示部14C、および更新処理部14Dが設けられている。
【0029】
モバイル制御部14Aは、携帯無線端末21からの認証要求に応じて予め登録されている無線携帯端末か否かを判定する機能と、認証成功後の携帯無線端末21からの電話帳取得要求に応じて、記憶部13の電話帳DB13Bから対応する電話帳データを読み出して携帯無線端末21へ送信する機能とを有している。
【0030】
中継処理部14Bは、携帯無線端末21からの発呼要求に応じて、通話開始から一定時間だけ通話料金が無料となる第1の通話路を携帯無線端末21との間で確立する機能と、第1の通話路確立後、携帯無線端末21から指定された相手端末30へ発呼し、相手端末30での応答に応じて相手端末30との間で相手通話路を確立し、第1の通話路と相手通話路とを中継接続することにより携帯無線端末21と相手端末30との音声通話を実現する機能とを有している。
【0031】
更新指示部14Cは、第1の通話路の確立後、第1の通話路の通話料金が有料に切り替わる直前の通話路更新時点に、携帯無線端末21に対して第1の通話路の更新を指示する更新指示を通知する機能を有している。通話路更新時点については、携帯無線端末21に対する更新指示の通知から実際の通話路更新完了までの所要時間分だけ、第1の通話路の通話料金が無料となる規定時間から遡った時点を計算して、予め設定しておけばよい。
【0032】
更新処理部14Dは、更新指示部14Cにより更新指示を通知した後、第1の通話路を切断するとともに、この更新指示に応じた携帯無線端末21からの再発呼に応答することにより第2の通話路を新たに確立し、第2の通話路と相手通話路とを中継接続する機能を有している。
【0033】
[第1の実施の形態の動作]
次に、
図2〜
図4を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10の動作について説明する。
図2は、第1の実施の形態にかかる通話路更新動作の概略図である。
図3は、第1の実施の形態にかかる中継接続動作を示すシーケンス図である。
図4は、第1の実施の形態にかかる通話路更新動作を示すシーケンス図である。
【0034】
ここでは、携帯無線端末21からの発呼要求に応じて、電話制御装置10が携帯無線端末21との間で、通話開始から一定時間だけ通話料金が無料となる第1の通話路を確立するとともに、相手端末30との間で相手通話路を確立して、第1の通話路と相手通話路とを中継接続し、第1の通話路の通話料金が有料に切り替わる直前に、相手端末30を一旦保留して第1の通話路を切断した後、第2の通話路を確立することにより通話路を更新する場合について説明する。
【0035】
また、具体的には、
図2に示すように、相手通話路が電話網31に接続されている相手端末30との間の相手通話路PXからなり、第1の通話路が、携帯無線網33Aおよび電話網31を介して確立される通話路PAからなる場合を例として説明する。
【0036】
なお、携帯無線端末21と電話制御装置10との間の第1および第2の通話路については、携帯電話網33Aを介した通話路PAに限定されるものではなく、通話開始から一定時間だけ通話料金が無料となる通話路であれば、例えば携帯電話網33Bを介した通話路PBであってもよい。また、携帯無線端末21の発呼先が、電話システム1の制御下にない、電話網31に接続されている相手端末30である場合を例として説明するが、発呼先が電話システム1の制御下にある内線端末20であっても、本実施の形態を同様に適用でき、同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
まず、
図3に示すように、携帯無線端末21からのログイン要求に応じて(ステップ100)、モバイル制御部14Aは、携帯無線端末21が登録済み端末であるか認証し、認証成功に応じてログイン成功を返送する(ステップ101)。この際、携帯無線端末21と電話制御装置10とは、無線通信網34およびデータ通信網32を介して確立されたデータ通信回線を介して、認証データ、電話帳データ、呼制御データをやり取りするものとする。
続いて、携帯無線端末21からの電話帳取得要求に応じて(ステップ102)、モバイル制御部14Aは、記憶部13の電話帳DB13Bから対応する電話帳データを読み出して携帯無線端末21へ送信する(ステップ103)。
【0038】
この後、携帯無線端末21からの電話帳データに登録されていた相手電話番号を用いた電話帳発呼要求に応じて(ステップ104)、中継処理部14Bは、中継接続用として割り当てられている電話制御装置10の中継電話番号を含む発呼指示を携帯無線端末21に返送する(ステップ105)。
これに応じた携帯無線端末21からの中継電話番号への発呼に対して(ステップ106)、中継処理部14Bは、応答を返送し(ステップ107)、携帯無線端末21との間で通話路PA(第1の通話路)を確立する(ステップ108)。
【0039】
次に、中継処理部14Bは、携帯無線端末21からの電話帳発呼要求で指定された相手端末30を示す相手電話番号に対して発呼し(ステップ110)、相手端末30からの応答に応じて(ステップ111)、相手端末30との間で相手通話路PXを確立する(ステップ112)。
この後、中継処理部14Bは、通話路PAと相手通話路PXとを中継接続することにより(ステップ113)、携帯無線端末21と相手端末30との音声通話を実現する(ステップ114)。
【0040】
一方、
図4に示すように、更新指示部14Cは、携帯無線端末21と相手端末30との音声通話が開始された後(ステップ120)、通話路PAの通話料金が有料に切り替わる直前の通話路更新時点の到来に応じて(ステップ121)、携帯無線端末21に対して通話路の更新を指示する更新指示を通知する(ステップ122)。
これに応じて、携帯無線端末21から通知された保留要求に応じて(ステップ123)、更新処理部14Dは、相手端末30との相手通話路PXを保留して(ステップ124)、携帯無線端末21との通話路PAを切断する(ステップ125)。
【0041】
この後、携帯無線端末21から通知された保留応答要求に応じて(ステップ130)、更新処理部14Dは、中継接続用として割り当てられている電話制御装置10の中継電話番号を含む発呼指示を携帯無線端末21に返送する(ステップ131)。
これに応じた携帯無線端末21からの中継電話番号への発呼に対して(ステップ132)、中継処理部14Bは、応答を返送する(ステップ133)。
【0042】
この後、更新処理部14Dは、相手通話路PXの保留を解除するとともに(ステップ134)、携帯無線端末21との間で通話路PA(第1の通話路)を再確立し(ステップ135)、通話路PAと相手通話路PXとを中継接続することにより(ステップ136)、携帯無線端末21と相手端末30との音声通話を再開させる(ステップ137)。
【0043】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、更新指示部14Cが、携帯無線端末21との第1の通話路の確立後、第1の通話路の通話料金が有料に切り替わる直前の通話路更新時点に、携帯無線端末21に対して通話路の更新を指示する更新指示を通知し、更新処理部14Dが、更新指示を通知した後、第1の通話路を切断するとともに、この更新指示に応じた携帯無線端末21からの再発呼に応答して第2の通話路を新たに確立することにより携帯無線端末21との通話路を更新し、新たな第2の通話路と相手通話路とを中継接続するようにしたものである。
【0044】
これにより、第1の通話路の通話料金が有料に切り替わる直前に、電話制御装置10から携帯無線端末21に対する更新指示に基づいて、第1の通話路が切断されて新たに確立されることになる。したがって、携帯無線端末21と電話制御装置10との間の第1の通話路で発生する電話料金を大幅に削減することができ、従来のコールバック方式と比較して、携帯電話端末21側だけではなく、電話制御装置10側の通話料金負担を軽減することが可能となる。
【0045】
また、本実施の形態において、携帯無線端末21に対して更新指示を通知した後、更新処理部14Dが、相手通話路を保留して第1の通話路を切断し、更新指示に応じた携帯無線端末21からの再発呼に応答することにより新たな第2の通話路を確立した後、相手通話路の保留を解除して新たな第2の通話路と中継接続するようにしてもよい。
これにより、第2の通話路として第1の通話路を確立した元の第1の電話網を再利用でき、第1の電話網とは異なる携帯電話網を別途利用する必要はない。したがって、1つの携帯キャリアとのサービス契約しか行っていない一般的な携帯無線端末21であっても、携帯無線端末21と電話制御装置10との間の通話路を更新することが可能となる。
【0046】
[第2の実施の形態]
次に、
図5を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる電話システム1について説明する。
図5は、第2の実施の形態にかかる通話路更新動作の概略図である。
第1の実施の形態では、携帯無線端末21と電話制御装置10との間の第1の通話路を更新する具体例として、電話制御装置10が、相手端末30との相手通話路を一旦保留してから携帯無線端末21との間の第1の通話路を更新する場合を例として説明した。
本実施の形態では、第1の通話路を更新する際、電話制御装置10が、第1の通話路を携帯無線端末21との間で第1の通話路とは別個に第2の通話路を新たに確立して、相手通話路を第1の通話路から第2の通話路に切り替えることにより更新する場合を例として説明する。
【0047】
すなわち、本実施の形態において、更新処理部14Dは、更新指示に応じた携帯無線端末21からの再発呼に応答することにより、第1の通話路で用いた第1の電話網とは異なる第2の電話網を用いて第2の通話路を確立する機能と、相手通話路を第1の通話路から第2の通話路へ切替接続した後、第1の通話路を切断する機能とを有している。
本実施の形態における、このほかの構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0048】
[第2の実施の形態の動作]
次に、
図5〜
図7を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10の動作について説明する。
図6は、第2の実施の形態にかかる中継接続動作を示すシーケンス図である。
図7は、第2の実施の形態にかかる通話路更新動作を示すシーケンス図である。
【0049】
ここでは、携帯無線端末21からの発呼要求に応じて、電話制御装置10が携帯無線端末21との間で、通話開始から一定時間だけ通話料金が無料となる第1の通話路を確立するとともに、相手端末30との間で相手通話路を確立して、第1の通話路と相手通話路とを中継接続し、第1の通話路の通話料金が有料に切り替わる直前に、携帯無線端末21との間で、第1の通話路とは別個に第2の通話路を新たに確立して、相手通話路を第1の通話路から第2の通話路に切替接続することにより通話路を更新し、この後、さらに、第2の通話路とは別個に第3の通話路を新たに確立して、相手通話路を第2の通話路から第3の通話路に切替接続することにより通話路を更新する場合について説明する。
【0050】
また、具体的には、
図5に示すように、相手通話路が電話網31に接続されている相手端末30との間の相手通話路PXからなり、第1の通話路が、携帯無線網33Aおよび電話網31を介して確立される通話路PAからなり、第2の通話路が、携帯無線網33Bおよび電話網31を介して確立される通話路PBからなり、第3の通話路が、携帯無線網33Aおよび電話網31を介して再確立される通話路PA(第1の通話路)からなり、第2の通話路の通話料金は常に有料である場合を例として説明する。この際、携帯無線端末21は、デュアルSIM対応であり、2つの携帯キャリアと契約しているものとする。
【0051】
なお、携帯無線端末21と電話制御装置10との間の第1の通話路については、携帯電話網33Aを介した通話路PAに限定されるものではなく、通話開始から一定時間だけ通話料金が無料となる通話路であれば、例えば携帯電話網33Bを介した通話路PBであってもよい。また、携帯無線端末21の発呼先が、電話システム1の制御下にない、電話網31に接続されている相手端末30である場合を例として説明するが、発呼先が電話システム1の制御下にある内線端末20であっても、本実施の形態を同様に適用でき、同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
まず、
図6に示すように、携帯無線端末21からのログイン要求に応じて(ステップ200)、モバイル制御部14Aは、携帯無線端末21が登録済み端末であるか認証し、認証成功に応じてログイン成功を返送する(ステップ201)。この際、携帯無線端末21と電話制御装置10とは、無線通信網34およびデータ通信網32を介して確立されたデータ通信回線を介して、認証データ、電話帳データ、呼制御データをやり取りするものとする。
続いて、携帯無線端末21からの電話帳取得要求に応じて(ステップ202)、モバイル制御部14Aは、記憶部13の電話帳DB13Bから対応する電話帳データを読み出して携帯無線端末21へ送信する(ステップ203)。
【0053】
この後、携帯無線端末21からの電話帳データに登録されていた相手電話番号を用いた電話帳発呼要求に応じて(ステップ204)、中継処理部14Bは、中継接続用として割り当てられている電話制御装置10の中継電話番号を含む発呼指示を携帯無線端末21に返送する(ステップ205)。
これに応じた携帯無線端末21からの中継電話番号への発呼に対して(ステップ206)、中継処理部14Bは、応答を返送し(ステップ207)、携帯無線端末21との間で通話路PA(第1の通話路)を確立する(ステップ208)。
【0054】
次に、中継処理部14Bは、携帯無線端末21からの電話帳発呼要求で指定された相手端末30を示す相手電話番号に対して発呼し(ステップ210)、相手端末30からの応答に応じて(ステップ211)、相手端末30との間で相手通話路PXを確立する(ステップ212)。
この後、中継処理部14Bは、通話路PAと相手通話路PXとを中継接続することにより(ステップ213)、携帯無線端末21と相手端末30との音声通話を実現する(ステップ214)。
【0055】
一方、
図7に示すように、更新指示部14Cは、携帯無線端末21と相手端末30との音声通話が開始された後(ステップ220)、通話路PAの通話料金が有料に切り替わる直前の通話路更新時点の到来に応じて(ステップ221)、携帯無線端末21に対して通話路の更新を指示する更新指示を通知する(ステップ222)。
これに応じた携帯無線端末21からの中継電話番号への発呼に対して(ステップ223)、更新処理部14Dは、応答を返送することにより(ステップ224)、携帯無線端末21との間で通話路PB(第2の通話路)を確立する(ステップ225)。
【0056】
続いて、更新処理部14Dは、相手端末30との相手通話路PXを、通話路PA(第1の通話路)から通話路PB(第2の通話路)に切替接続することにより(ステップ226)、携帯無線端末21と相手端末30との音声通話を継続させ(ステップ227)、携帯無線端末21との通話路PAを切断する(ステップ228)。
【0057】
通話路PAの切断後、更新指示部14Cは、携帯無線端末21に対して通話路PBの更新を指示する更新指示を通知する(ステップ230)。
これに応じた携帯無線端末21からの中継電話番号への発呼に対して(ステップ231)、更新処理部14Dは、応答を返送することにより(ステップ232)、携帯無線端末21との間で通話路PA(第1の通話路)を再確立する(ステップ233)。
【0058】
この後、更新処理部14Dは、相手端末30との相手通話路PXを、通話路PB(第2の通話路)から通話路PA(第1の通話路)に切替接続することにより(ステップ234)、携帯無線端末21と相手端末30との音声通話を継続させ(ステップ235)、携帯無線端末21との通話路PBを切断する(ステップ236)。
【0059】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、更新処理部14Dが、更新指示に応じた携帯無線端末21からの再発呼に応答することにより、第1の通話路とは別個に第2の通話路を確立し、相手通話路を第1の通話路から第2の通話路へ切替接続した後、第1の通話路を切断するようにしたものである。
【0060】
これにより、第1の通話路と第2の通話路とが一時的に並行して確立されるため、相手通話路を第1の通話路から第2の通話路へ瞬間的に切替接続することができる。したがって、第1の実施の形態のように相手通話路を一旦保留する必要がなくなるため、音声通話がほとんど途切れることなく通話路を更新することが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態において、更新指示部14Cが、相手通話路に対する第1の通話路から第2の通話路への切替接続の完了後、携帯無線端末21に対して通話路の再更新を指示する再更新指示を通知し、更新処理部14Dが、再更新指示に応じた携帯無線端末21からの再発呼に応答することにより、第2の通話路とは別個に第3の通話路を携帯無線端末21との間で確立し、相手通話路を第2の通話路から第3の通話路へ切替接続した後、第2の通話路を切断するようにしてもよい。また、これ以降、通話路更新時点の到来に応じて、相手通話路を第3の通話路から第2の通話路への切替接続後、再び第3の通話路へ切替接続する処理を繰り返すようにしてもよい。
【0062】
これにより、第2の通話路を利用している期間を短縮することができ、第2の通話路の音声通話が有料である場合でも、必要とされる通話料金を抑制することができる。この際、第2の通話路の通話料金が常に有料である場合には、第1の通話路から第2の通話路への切替接続の完了に応じて、直ちに、携帯無線端末21に対して通話路の再更新を指示する再更新指示を通知することにより、必要とされる通話料金を最小限に抑制できる。また、第3の通話路として、元の第1の通話路、あるいは、通話開始から一定時間だけ通話料金が無料となる第1の通話路と同等の通話路を用いることにより、再更新以降の通話料金を大幅に軽減できる。
【0063】
[第3の実施の形態]
次に、
図8を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる電話システム1について説明する。
図8は、第3の実施の形態にかかる通話路更新動作の概略図である。
第1の実施の形態では、携帯無線端末21と電話制御装置10との間の第1の通話路を更新する具体例として、電話制御装置10が、相手端末30との相手通話路を一旦保留してから携帯無線端末21との間の第1の通話路を更新する場合を例として説明した。
本実施の形態では、第1の通話路を更新する際、電話制御装置10が、第1の通話路を携帯無線端末21との間で第1の通話路とは異なるIP電話用の第2の通話路を新たに確立して、相手通話路を第1の通話路から第2の通話路に切り替えることにより更新する場合を例として説明する。
【0064】
すなわち、本実施の形態において、更新処理部14Dは、更新指示に応じた携帯無線端末21からの再発呼に応答することにより、第1の通話路で用いた第1の電話網とは異なるIP電話用の第2の通話路を確立する機能と、相手通話路を第1の通話路から第2の通話路へ切替接続した後、第1の通話路を切断する機能とを有している。
本実施の形態における、このほかの構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0065】
[第3の実施の形態の動作]
次に、
図8〜
図10を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10の動作について説明する。
図9は、第3の実施の形態にかかる中継接続動作を示すシーケンス図である。
図10は、第3の実施の形態にかかる通話路更新動作を示すシーケンス図である。
【0066】
ここでは、携帯無線端末21からの発呼要求に応じて、電話制御装置10が携帯無線端末21との間で、通話開始から一定時間だけ通話料金が無料となる第1の通話路を確立するとともに、相手端末30との間で相手通話路を確立して、第1の通話路と相手通話路とを中継接続し、第1の通話路の通話料金が有料に切り替わる直前に、携帯無線端末21との間で、IP電話サービスを利用した通話料が無料である第2の通話路を新たに確立して、相手通話路PXをPAからPCに切替接続することにより通話路を更新する場合について説明する。
【0067】
また、具体的には、
図8に示すように、相手通話路が電話網31に接続されている相手端末30との間の相手通話路PXからなり、第1の通話路が、携帯無線網33Aおよび電話網31を介して確立される通話路PAからなり、第2の通話路が、無線通信網34およびデータ通信網32を介して確立されるIP電話用の通話路PCからなり、第3の通話路が、携帯無線網33Aおよび電話網31を介して再確立される通話路PA(第1の通話路)からなり、第3の通話路の通話料金は常に無料である場合を例として説明する。
【0068】
なお、携帯無線端末21と電話制御装置10との間の第1の通話路については、携帯電話網33Aを介した通話路PAに限定されるものではなく、通話開始から一定時間だけ通話料金が無料となる通話路であれば、例えば携帯電話網33Bを介した通話路PBであってもよい。また、携帯無線端末21の発呼先が、電話システム1の制御下にない、電話網31に接続されている相手端末30である場合を例として説明するが、発呼先が電話システム1の制御下にある内線端末20であっても、本実施の形態を同様に適用でき、同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
まず、
図9に示すように、携帯無線端末21からのログイン要求に応じて(ステップ300)、モバイル制御部14Aは、携帯無線端末21が登録済み端末であるか認証し、認証成功に応じてログイン成功を返送する(ステップ301)。この際、携帯無線端末21と電話制御装置10とは、無線通信網34およびデータ通信網32を介して確立されたデータ通信回線を介して、認証データ、電話帳データ、呼制御データをやり取りするものとする。
続いて、携帯無線端末21からの電話帳取得要求に応じて(ステップ302)、モバイル制御部14Aは、記憶部13の電話帳DB13Bから対応する電話帳データを読み出して携帯無線端末21へ送信する(ステップ303)。
【0070】
この後、携帯無線端末21からの電話帳データに登録されていた相手電話番号を用いた電話帳発呼要求に応じて(ステップ304)、中継処理部14Bは、中継接続用として割り当てられている電話制御装置10の中継電話番号を含む発呼指示を携帯無線端末21に返送する(ステップ305)。
これに応じた携帯無線端末21からの中継電話番号への発呼に対して(ステップ306)、中継処理部14Bは、応答を返送し(ステップ307)、携帯無線端末21との間で通話路PA(第1の通話路)を確立する(ステップ308)。
【0071】
次に、中継処理部14Bは、携帯無線端末21からの電話帳発呼要求で指定された相手端末30を示す相手電話番号に対して発呼し(ステップ310)、相手端末30からの応答に応じて(ステップ311)、相手端末30との間で相手通話路PXを確立する(ステップ312)。
この後、中継処理部14Bは、通話路PAと相手通話路PXとを中継接続することにより(ステップ313)、携帯無線端末21と相手端末30との音声通話を実現する(ステップ314)。
【0072】
一方、
図10に示すように、更新指示部14Cは、携帯無線端末21と相手端末30との音声通話が開始された後(ステップ320)、通話路PAの通話料金が有料に切り替わる直前の通話路更新時点の到来に応じて(ステップ321)、携帯無線端末21に対して通話路の更新を指示する更新指示を通知する(ステップ322)。
これに応じた携帯無線端末21からの中継電話番号への発呼に対して(ステップ323)、更新処理部14Dは、応答を返送することにより(ステップ324)、携帯無線端末21との間で通話路PC(第2の通話路)を確立する(ステップ325)。
【0073】
続いて、更新処理部14Dは、相手端末30との相手通話路PXを、通話路PA(第1の通話路)から通話路PC(第2の通話路)に切替接続することにより(ステップ326)、携帯無線端末21と相手端末30との音声通話を継続させ(ステップ327)、携帯無線端末21との通話路PAを切断する(ステップ328)。
【0074】
通話路PAの切断後、更新指示部14Cは、携帯無線端末21に対して通話路PCの更新を指示する更新指示を通知する(ステップ330)。
これに応じた携帯無線端末21からの中継電話番号への発呼に対して(ステップ331)、更新処理部14Dは、応答を返送することにより(ステップ332)、携帯無線端末21との間で通話路PA(第1の通話路)を再確立する(ステップ333)。
【0075】
この後、更新処理部14Dは、相手端末30との相手通話路PXを、通話路PC(第2の通話路)から通話路PA(第1の通話路)に切替接続することにより(ステップ334)、携帯無線端末21と相手端末30との音声通話を継続させ(ステップ335)、携帯無線端末21との通話路PCを切断する(ステップ336)。
【0076】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、更新処理部14Dが、更新指示に応じた携帯無線端末21からの再発呼に応答することにより、第1の通話路とは別個にIP電話用の第2の通話路を確立し、相手通話路を第1の通話路から第2の通話路へ切替接続した後、第1の通話路を切断するようにしたものである。
【0077】
これにより、第1の通話路と第2の通話路とが一時的に並行して確立されるため、相手通話路を第1の通話路から第2の通話路へ瞬間的に切替接続することができる。したがって、第1の実施の形態のように相手通話路を一旦保留する必要がなくなるため、音声通話がほとんど途切れることなく通話路を更新することが可能となる。また、第2の通話路がIP電話用であるため、携帯電話網を用いた第1の通話路と比較して通話品質は低いものの、基本的には通話料金が無料であるため、通話路を更新した後についても必要となる通話料金も無料とすることが可能となる。
【0078】
また、本実施の形態において、更新指示部14Cが、相手通話路に対する第1の通話路から第2の通話路への切替接続の完了後、携帯無線端末21に対して通話路の再更新を指示する再更新指示を通知し、更新処理部14Dが、再更新指示に応じた携帯無線端末21からの再発呼に応答することにより、第2の通話路とは別個に第3の通話路を携帯無線端末21との間で確立し、相手通話路を第2の通話路から第3の通話路へ切替接続した後、第2の通話路を切断するようにしてもよい。また、これ以降、通話路更新時点の到来に応じて、相手通話路を第3の通話路から第2の通話路への切替接続後、再び第3の通話路へ切替接続する処理を繰り返すようにしてもよい。
【0079】
これにより、第2の通話路を利用している期間を短縮することができ、第2の通話路の音声通話が通話品質の低いIP電話用の通話路である場合でも、第3の通話路が携帯電話網を用いた元の第1の通話路と同じまたは同等の通話路を用いることにより、通話品質を元に戻すことができる。また、第3の通話路として、通話開始から一定時間だけ通話料金が無料となる第1の通話路と同じまたは同等の通話路を用いることにより、再更新以降の通話料金を大幅に軽減できる。
【0080】
また、第1の通話路から第2の通話路への切替接続の完了に応じて、直ちに、携帯無線端末21に対して通話路の再更新を指示する再更新指示を通知するようにしてもよい。特に、IP電話用の通話路で音声通話中に携帯電話網からの着信があった場合には、これを優先させるためIP電話用の通話路での音声通話を切断するような携帯キャリアの場合、第2の通話路を利用する時間を最低限に短縮でき、携帯電話網からの着信による通話切断を回避することができる。
【0081】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【0082】
また、前述した各実施の形態では、通話路更新処理の開始については、通話路更新時点の到来に応じて、電話制御装置10の更新指示部14Cから携帯無線端末21に対して更新指示を通知する場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、携帯無線端末21で、第1の通話路確立後、通話路更新時点の到来に応じて、電話制御装置10へ自律的に発呼するようにしてもよい。
【0083】
また、前述した各実施の形態では、電話制御装置10において、複数の携帯無線端末21に対して並列的に中継接続サービスを提供する場合には、携帯無線端末21からの電話帳発呼要求と電話制御装置10に対する発呼とを関連付ける必要がある。このような場合には、携帯無線端末21の認証処理時または電話帳発呼要求に取得した携帯無線端末21の識別情報、例えば携帯無線端末21の電話番号に基づいて、関連付けを行えばよい。
【0084】
また、前述した第1の実施の形態では、相手通話路を保留した後、第1の通話路(PA)と同じ携帯電話網を用いた第2の通話路(PA)を再確立して、保留解除した相手通話路と中継接続する場合を例として説明したが、第2の通話路については、第1の通話路(PA)と同じ携帯電話網を用いた通話路に限定されるものではない。例えば、第1の通話路とは異なる携帯電話網を用いた通話路(PB)であってもよく、IP電話用の通話路(PC)であってもよい。