(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被圧力測定気体もしくは被圧力測定液体である被測定媒体を導く導入孔を有する被測定媒体導入部と、前記被測定媒体導入部の前記導入孔の一端に前記導入孔を塞ぐように配置され、前記センサ素子および前記制御回路を備えたセンサチップを備えたセンサエレメントと、を備え、
前記第1収容部は、
前記被測定媒体導入部との間に前記センサエレメントを挟み込み、かつ前記制御回路と電気的に接続され前記センサエレメントに配置された各第1端子を収容し、前記各外部導出端子および前記付加端子が配置された第2収容部と、前記センサエレメントとの間に前記第2収容部を挟み込み、かつ前記各外部導出端子および前記付加端子を収容する第3収容部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の物理量センサ装置の製造方法。
前記付加端子と接続されている前記外部導出端子と前記付加端子とは、前記各外部導出端子および前記付加端子が一列に並んでいる場合の各端に設けられることを特徴とする請求項6に記載の物理量センサ装置の製造方法。
前記付加端子と接続されている前記外部導出端子と前記付加端子とは、前記各外部導出端子および前記付加端子が一列に並んでいる場合の各端に設けられていることを特徴とする請求項15に記載の物理量センサ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では次の問題が生じる。特許文献1に記載の物理量センサ装置では、ノイズ対策用にチップコンデンサを設ける場合、チップコンデンサを配置するためにノイズ対策用基板を設けなければならない。このため、ノイズ対策用基板の費用がかかる。また、物理量センサ装置の組み立て方法(製造方法)において、ノイズ対策用基板をソケット部の凹部内に設けるための工程が必要となる。また、例えばノイズ対策用基板に、センスエレメントの特性調整用およびトリミング用の端子を貫通させる貫通孔が設けられていない場合、物理量センサ装置の製造方法において、センスエレメントの特性調整用およびトリミング用の端子を短く切断する工程が必要となる。
【0005】
本発明は、低廉化を図ることができる物理量センサ装置の製造方法および物理量センサ装置を提供することを目的とする。また、本発明は、簡易に組み立てることができる物理量センサ装置の製造方法および物理量センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するため、本発明にかかる物理量センサ装置の製造方法は、センサ素子と、センサ素子と電気的に接続される制御回路と、前記制御回路と電気的に接続され、外部配線との接続部となる各外部導出端子
と、前記各外部導出端子が配置された樹脂部材の第1収容部と、前記各外部導出端子の一つと接続され、該接続された外部導出端子よりも他の外部導出端子の近くに配置され、前記第1収容部に配置された付加端子と、を備えた物理量センサ装置の製造方法であって、次の特徴を有する。前記外部導出端子および付加端子のそれぞれ隣接する端子間にコンデンサを電気的に接合する第1工程を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、被圧力測定気体もしくは被圧力測定液体である被測定媒体を導く導入孔を有する被測定媒体導入部と、前記被測定媒体導入部の前記導入孔の一端に前記導入孔を塞ぐように配置され、前記センサ素子および前記制御回路を有するセンサチップを備えたセンサエレメントと、を備える。また、前記第1収容部は、前記被測定媒体導入部との間に前記センサエレメントを挟み込み、かつ前記制御回路と電気的に接続され前記センサエレメントに配置された各第1端子を収容し、前記各外部導出端子および前記付加端子が配置された第2収容部と、前記センサエレメントとの間に前記第2収容部を挟み込み、かつ前記各外部導出端子および前記付加端子を収容する第3収容部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記センサエレメントに前記第2収容部を固定する第2工程を含む。そして、前記第2工程では、前記センサエレメントに配置された、前記制御回路の調整および/またはトリミング用の各第2端子を、前記第2収容部の溝に入れることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、各第2端子と各第1端子の長さが同じであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記各外部端子は、前記第2収容部に一体化され、前記第2収容部の内部に埋め込まれた第1部分と、前記第2収容部の外側に突出する第2部分と、を有し、前記付加端子は、前記第2収容部に一体化される。また、前記付加端子と接続される前記外部導出端子の前記第1部分は前記付加端子と接続される。そして、前記センサエレメントに前記第2収容部を固定する第2工程を含む。前記第2工程では、前記第2収容部に設けられた貫通孔に露出する前記各外部導出端子の前記第1部分の一部と前記各第1端子とを電気的に接続させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記各外部導出端子および前記付加端子は、一列に並んでいることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記付加端子と接続されている前記外部導出端子と前記付加端子とは、前記各外部導出端子および前記付加端子が一列に並んでいる場合の各端に設けられることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記第2収容部に、前記第3収容部を固定する第3工程を含む。そして、前記第3工程では、前記各外部導出端子を前記第3収容部の貫通孔に貫通させ、前記第3収容部から前記一部の第2端子を露出させ、前記残余の第2端子を前記第2収容部の溝に入れることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記第2収容部が、前記外部導出端子および前記付加端子に前記コンデンサを取り付けるための部分が露出された窓部を有する。また、前記第1工程の後に、前記窓部を、樹脂部材によって埋める第4工程を含み、前記第1工程では、前記窓部から露出された前記外部導出端子および付加端子のそれぞれ隣接する端子間に前記コンデンサを電気的に接合することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の目的を達成するため、本発明にかかる物理量センサ装置は、次の特徴を有する。センサ素子と、センサ素子と電気的に接続される制御回路と、前記制御回路と電気的に接続され、外部配線との接続部となる各外部導出端子
と、前記各外部導出端子が配置された樹脂部材の第1収容部と、前記各外部導出端子の一つと接続され、該接続された外部導出端子よりも他の外部導出端子の近くに配置され、前記第1収容部に配置された付加端子と、前記外部導出端子および付加端子のそれぞれ隣接する端子間を電気的に接続するコンデンサと、を備える。
【0016】
また、本発明にかかる物理量センサ装置は、上述した発明において、被圧力測定気体もしくは被圧力測定液体である被測定媒体を導く導入孔を有する被測定媒体導入部と、前記被測定媒体導入部の前記導入孔の一端に前記導入孔を塞ぐように配置され、前記センサ素子および前記制御回路を有するセンサチップを備えたセンサエレメントと、前記センサエレメントに配置された各第1端子と、を備える。また、前記第1収容部は、前記被測定媒体導入部との間に前記センサエレメントを挟み込み、かつ前記各第1端子を収容し、前記各外部導入端子および前記付加端子が配置された第2収容部と、前記センサエレメントとの間に前記第2収容部を挟み込み、かつ前記各外部導出端子および前記付加端子を収容する第3収容部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる物理量センサ装置は、上述した発明において、前記センサエレメントに配置された、前記制御回路の調整および/またはトリミング用の各第2端子を備える。そして、前記各第2端子は、前記第2収容部の溝に収納されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる物理量センサ装置は、上述した発明において、各第2端子と各第1端子の長さが同じであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる物理量センサ装置は、上述した発明において、前記外部導出端子は、前記第2収容部に一体化され、前記第2収容部の内部に埋め込まれた第1部分と、前記第2収容部の外側に突出する第2部分と、を有する。そして、前記付加端子は、前記第2収容部に一体化され、前記付加端子と接続される前記外部導出端子の前記第1部分は、前記付加端子と接続される。前記第2収容部に設けられた貫通孔に露出する前記各外部導出端子の前記第1部分の一部と前記各第1端子は電気的に接続されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる物理量センサ装置は、上述した発明において、前記各外部導出端子および前記付加端子一列に並んでいることを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる物理量センサ装置は、上述した発明において、前記付加端子と接続されている前記外部導出端子と前記付加端子とは、前記各外部導出端子および前記付加端子が一列に並んでいる場合の各端に設けられていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる物理量センサ装置は、上述した発明において、前記外部導出端子は、前記第3収容部の貫通孔に貫通して前記第3収容部から露出し、前記付加端子は、前記第3収容部の溝に収納されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、物理量センサ装置の低廉化を図ることができる。また、本発明によれば、物理量センサ装置を簡易に組み立てることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる物理量センサ装置の製造方法および物理量センサ装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の各実施の形態の説明において、他の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる物理量センサ装置の構成について、圧力センサ装置を例に説明する。
図1は、実施の形態1にかかる物理量センサ装置の構成を示す断面図である。
図2は、
図1の圧力センサチップの構成を示す説明図である。
図2(1)は、圧力センサチップ11の断面図を示し、
図2(2)には、圧力センサチップ11の俯瞰図を示す。
図1に示すように、物理量センサ装置100は、センサエレメント1、ネジ部2(被測定媒体導入部)、インナーハウジング部(第2収容部)3およびソケットハウジング部(コネクタハウジング部(第3収容部))4を備える。本実施の形態では、センスエレメントの信号を外部に伝達するためのインタフェースとなるソケット部が、インナーハウジング部3と、ソケットハウジング部4との2つに分離する構成とする。センサエレメント1は、収納箱10、収納箱10の凹部10aに収納された、圧力センサチップ(半導体チップ)11、台座部材12、ダイアフラム13、を備える。なお、
図1に示す断面は後述する
図11(2)に示す断面H−H’の位置の断面である。収納箱10は、例えばステンレス鋼材(SUS)などの金属でできている。
【0027】
図2(1)および
図2(2)に示すように、圧力センサチップ11は、例えば、ダイアフラム11aと、4つのゲージ抵抗63と、パッド部65と、を有する。ダイアフラム11aは、半導体シリコンの第1の面61から凹加工して形成された受圧部である。第1の面61は、
図1では上面である。このダイアフラム11aで圧力を受ける。4つのゲージ抵抗63は、半導体シリコンの第2の面62の、ダイアフラム11aの裏側に相当する箇所に形成されている。第2の面62は、
図1では下面である。4つのゲージ抵抗63は、拡散抵抗よりなる。これらのゲージ抵抗63は、圧力センサチップ11に圧力が印加された際に第2の面62に発生する歪を抵抗値に変換する。圧力センサチップ11は他の半導体材料でできていてもよい。
【0028】
また、圧力センサチップ11には、ゲージ抵抗63によって構成されるホイートストーンブリッジ回路などの圧力センサ素子や、制御回路が形成されている。制御回路は、第2の面62の制御回路領域64に形成される。制御回路とは、圧力センサ素子の出力信号を増幅する回路、感度を補正する回路、オフセットを補正する回路、感度およびオフセットの温度特性を補正する回路などである。また、圧力センサチップ11には、サージ保護素子やフィルタ(図示省略)なども形成されている。パッド部65は、圧力センサチップ11の第2の面62上に形成されている。パッド部65に設けられた各電極は、それぞれ、ボンディングワイヤ14により後述する各リードピン(第1端子,第3端子)15に接続されている。パッド部65に設けられた各電極は、金属などの配線(図示省略)によって制御回路領域64に形成された各制御回路に接続されている。すなわち、各リードピン15は、ボンディングワイヤ14およびパッド部65に設けられた各電極を介して、制御回路領域64に形成された各制御回路に接続されている。また、パッド部65と制御回路領域64は、第2の面62のうち、ダイアフラム11aが設けられた領域以外の部分に配置される。また、パッド部65は、制御回路領域64の部分に配置されてもよい。
【0029】
圧力センサチップ11の第1の面61は、収納箱10の凹部10aの底面に台座部材12を介して固着されている。台座部材12は、特に限定しないが、例えばガラス材料、すなわちパイレックス(商標登録)ガラスやテンパックスガラスなどでできている。台座部材12と圧力センサチップ11とは、静電接合によって接合されている。台座部材12と収納箱10とは、接着剤(不図示)によって接着されている。リードピン15は、センサエレメント1の信号を取り出すための端子ピンであり、複数配置される。
【0030】
各リードピン15は、それぞれ、収納箱10の異なる貫通孔10bを通って収納箱10を貫通し、当該貫通孔10bを塞ぐ例えばガラスなどの絶縁性部材16により収納箱10に固定されている。リードピン15の一方の端部(以下、下端部とする)は、収納箱10の凹部10aから下方(ネジ部2側)に突出し、圧力センサチップ11の第2の面62上のパッド部65に設けられた各電極にボンディングワイヤ14により接続されている。リードピン15の他方の端部(以下、上端部とする)は、収納箱10の凹部10a側に対して反対側から上方(ソケットハウジング部4側)に突出している。収納箱10の凹部10a側に対して反対側には、凹み部27が設けられている。凹み部27は、絶縁性部材16に応力が集中するのを抑制するために設けられている。
【0031】
具体的には、複数のリードピン15のうち、電源端子、グランド端子および出力端子である各リードピン(以下、第1リードピン(第1端子)とする)15aの下端部は、それぞれ、ボンディングワイヤ14により圧力センサ素子の各電極に接続される。第1リードピン15aの上端部は、インナーハウジング部3の貫通孔3bを貫通する。
【0032】
一方、複数のリードピン15のうち、特性調整・トリミングのための各リードピン(以下、第2リードピン(第3端子)とする)15bの下端部は、それぞれボンディングワイヤ14により所定の制御回路の各電極に接続される。第2リードピン15bは、物理量センサ装置100の組み立て途中に特性調整・トリミングを行うために用いられ、特性調整・トリミング後には用いられない。第1リードピン15aと第2リードピン15bの長さは同じである。
【0033】
ここで、縦方向とは、実施の形態1におけるリードピン15の軸方向である。横方向とは、実施の形態1におけるリードピン15の軸方向と直交する方向である。リードピン15は、例えば42アロイ(42Alloy)や、ニッケル(Ni)を50wt%程度含み、かつ残りの割合で鉄(Fe)を含む鉄ニッケル合金(50Ni−Fe)などの金属でできている。
【0034】
ネジ部2は、例えばSUSなどの金属でできている。ネジ部2の中心には、縦方向に被圧力測定気体である空気や被圧力測定液体である油(オイル)等の被測定媒体が通る貫通孔(導入孔)23が設けられている。ネジ部2の一方の開放端における貫通孔23の開口部が圧力導入口24である。ネジ部2の他方の開放端における貫通孔23の開口部25と収納箱10の凹部10aとが対向するように、ネジ部2の他方の開放端に設けられた台座部21上に、ダイアフラム13を挟んで収納箱10が載置されている。ネジ部2の台座部21、ダイアフラム13および収納箱10の積層箇所の周囲は、レーザー溶接により接合されている。
【0035】
ダイアフラム13は、波打った薄い金属板であり、例えばSUSなどの金属でできている。ダイアフラム13は、収納箱10の凹部10aの開口部、および、ネジ部2の他方の開放端を塞ぐように配置される。収納箱10の凹部10aとダイアフラム13とに囲まれた空間には、圧力センサチップ11に圧力を伝達するシリコンオイルなどの液体(圧力媒体)20が充填されている。ネジ部2の台座部21、ダイアフラム13および収納箱10の積層箇所(接合部)の周囲の符号22は、ネジ部2の台座部21と収納箱10との溶接部である。符号26は、オーリングである。
【0036】
インナーハウジング部3は、コネクタピン(外部導出端子および付加端子)31と一体成形された樹脂部材であり、センサエレメント1の上方および周囲を囲む略凹部状をなす。具体的には、インナーハウジング部3は、収納箱10の凹部10a側に対して反対側の外周部に接着剤28により接着されている。収納箱10とインナーハウジング部3との接触面のほぼ全面に接着剤28が介在する。インナーハウジング部3と収納箱10との接着面の一方の面を凹凸が交互に繰り返し並んだ断面形状(例えばのこぎり刃のようなぎざぎざ)とし、当該接着面での接着剤の量を増やすことで、インナーハウジング部3と収納箱10とを接着しやすくしてもよい。インナーハウジング部3の凹部32は、第2リードピン15bを収容可能な深さを有する。
【0037】
インナーハウジング部3の、センサエレメント1の上方を覆う部分(以下、インナーハウジング部3の上部とする)3aには、第1リードピン15aを貫通させるための貫通孔3bが設けられている。また、インナーハウジング部3の上部3aには、コネクタピン31が一体成形されている。コネクタピン31は、物理量センサ装置100と外部との信号のやり取りを行う信号端子である。コネクタピン31の一方の端部31a(後述する
図3参照)は、インナーハウジング部3の貫通孔3bに接続する貫通孔31eを備える。コネクタピン31の垂直部31c(後述する
図3参照)に設けられた凹部31fには、チップコンデンサ18が接合部材17によって取り付けられている。チップコンデンサ18は、隣り合うコネクタピン31間に取り付けられている。なお、コネクタピン31の構成は
図2を用いて後述する。
【0038】
第1リードピン15aの上端部とコネクタピン31の一方の端部31aとの接触部(接合される部分)には、組立て時に上方から所定の入射角(縦方向に対して3度程度傾いた角度)でレーザー光が照射される。このレーザー溶接により、第1リードピン15aの上端部は、コネクタピン31の一方の端部31aに接合されている。コネクタピン31は、例えば燐青銅(銅(Cu)に錫(Sn)を含む合金)、42アロイや50Ni−Feなどの金属でできており、レーザー光の照射によりコネクタピン31とリードピン15とが互いに溶け合うように接合される。
【0039】
第1リードピン15aとコネクタピン31とは電気的に接続されていればよいため、上記したレーザー溶接の代わりに半田により接合してもよい。また、貫通孔3bに露出するコネクタピン31と第1リードピン15aが単に接触している構成でもよい。この構成の場合、コネクタピン31に貫通孔31eは設けなくてもよい。なお、この構成の場合は後述する実施の形態3に示す。さらに、第1リードピン15aの一部にバネなどの弾性部材を配置することが好ましい。
【0040】
ソケットハウジング部4は、コネクタピン31の垂直部31c(後述する
図3参照)を収容した、外部配線との接続部である。ソケットハウジング部4は、コネクタピン31の垂直部31cの周囲を囲む例えば略筒状をなす。例えば、コネクタピン31は、ソケットハウジング部4の底部4bの貫通孔4cを貫通して、ソケットハウジング部4に囲まれた空間41に突出している。ソケットハウジング部4は、インナーハウジング部3の上部3aの上面の外周部に接着剤(不図示)により接着されている。インナーハウジング部3とソケットハウジング部4との接触面のほぼ全面に接着剤が介在する。ソケットハウジング部4とインナーハウジング部3との接合面に、互いに嵌合する凹凸4a,3dが設けられていてもよい。
【0041】
ネジ部2の台座部21、収納箱10、インナーハウジング部3およびソケットハウジング部4の最大直径はほぼ等しいことが好ましい。その理由は、次の通りである。上述したように、ネジ部2、収納箱10、インナーハウジング部3およびソケットハウジング部4は順に重ねて接合(または接着)される。このため、ネジ部2の台座部21、収納箱10、インナーハウジング部3およびソケットハウジング部4の最大直径をほぼ等しくすることで直径方向(横方向)の小型化を図ることができるからである。
【0042】
上述した構成の物理量センサ装置100では、圧力導入口24から圧力媒体が導入され、圧力センサチップ11のダイアフラム11aで圧力を受けると、ダイアフラム11aが変形する。そして、ダイアフラム11a上のゲージ抵抗値が変化し、それに応じた電圧信号が発生する。その電圧信号は、感度補正回路やオフセット補正回路や温度特性補正回路などの調整回路によって調整された増幅回路により増幅され、圧力センサチップ11から出力される。そして、その出力信号は、ボンディングワイヤ14を介して第1リードピン15aに出力される。
【0043】
次に、物理量センサ装置100の製造方法(組立方法)について説明する。
図3〜16は、実施の形態1にかかる物理量センサ装置の製造途中(組立途中)の状態を示す説明図である。
【0044】
まず、
図3から
図5を用いてチップコンデンサ18が接続されたコネクタピン31とインナーハウジング部3について説明する。
図3は、インナーハウジング部3を省いたコネクタピン31とチップコンデンサ18のみを示している。
【0045】
図3(1)〜
図3(3)には、各方向から見た場合のコネクタピン31を示す。
図3(4)には、コネクタピン31同士を繋ぐチップコンデンサ18の等価回路を示す。第1コネクタピン31o(外部導出端子)と第4コネクタピン31r(付加端子)は、電源電圧を供給するための電源信号を供給する信号端子ピンであり、電源端子であるリードピン15と接続される。第2コネクタピン31p(外部導出端子)は、センサ信号を取り出すための信号端子ピンであり、出力端子であるリードピン15と接続される。第3コネクタピン31q(外部導出端子)は、グランド(Gnd)と接続するための信号端子ピンであり、グランド端子であるリードピン15と接続される。第1コネクタピン31o〜第4コネクタピン31rは一列に並んでいる。これにより、チップコンデンサ18を取り付けやすくなる。
【0046】
また、電源信号(Vcc)を供給するための信号端子ピンは、センサ信号(Vout)を取り出すための信号端子ピンとグランド(Gnd)と接続するための信号端子ピンとのそれぞれとの間にチップコンデンサ18を取り付けるために、第1コネクタピン31oと第4コネクタピン31rのように両端に2本設けられる。
【0047】
第1コネクタピン31o〜第3コネクタピン31qは、樹脂形成によってインナーハウジング部3の上部3aに埋め込まれる部分(以下、水平部(第1部分)とする)31bと、当該水平部31bに連結され、当該水平部31bと直交して上方に突出する部分(以下、垂直部(第2部分)とする)31cと、からなる略L字状の断面形状を有する(
図3(3)の例では第1コネクタピン31oを示す)。第4コネクタピン31rについては、垂直部31cのみを有する略I字状の断面形状を有する(不図示)。
【0048】
第1コネクタピン31o〜第3コネクタピン31qの一方の端部31aは、貫通孔31eの周囲を囲むように成形される(
図3(2))。なお、第1コネクタピン31o〜第3コネクタピン31qの端部31aは、貫通孔31eの周囲の一部を囲む略半円状の平面形状に成形されてもよいし、貫通孔31eの側壁に達する直線状の平面形状を有し、当該貫通孔31eの側壁の一部に露出されていてもよい(不図示)。
【0049】
また、第1コネクタピン31oの水平部31bは、第1コネクタピン31oの端部31aと、第2コネクタピン31pの水平部31bおよび端部31aと、第3コネクタピン31qの水平部31bおよび端部31aを囲うように設けられ、第4コネクタピン31rと一体化されて接続されている(
図3(2))。これにより、第1コネクタピン31oと第4コネクタピン31rとは同電位となる。
【0050】
まず、コネクタピン31に半田や導電性接着剤などの接合部材17によってチップコンデンサ18を取り付ける。例えば、第1コネクタピン31oと第2コネクタピン31pとがチップコンデンサ18aを介して接続されている(
図3(1)、
図3(2))。例えば、第2コネクタピン31pと第3コネクタピン31qとがチップコンデンサ18bを介して接続されている(
図3(1)、
図3(2))。例えば、第3コネクタピン31qと第4コネクタピン31rとがチップコンデンサ18cを介して接続されている(
図3(1)、
図3(2))。このように、コネクタピン31同士は、チップコンデンサ18を介して接続されている(
図3(1)、
図3(2))。上述したように、第1コネクタピン31oの端部31aが第4コネクタピン31rの垂直部31cと接続されている。このため、各端子間にチップコンデンサ18を取り付けることができる(
図3(4))。
【0051】
図3の例では、各端子間にチップコンデンサ18を取り付けているが、これに限らない。例えば、第4コネクタピン31rと第3コネクタピン31qとの間のチップコンデンサ18cについては、サージの要求に応じて取り付けるか否かが決定されてもよい。例えば、チップコンデンサ18cが取り付けられる場合、チップコンデンサ18cが取り付けられない場合と比較してEMC(Electromagnetic Cоmpatibility)耐性が向上する。このように、ノイズ対策用基板を設けることなく、チップコンデンサ18を設けることができ、ノイズ対策用基板にかかる費用の低廉化を図ることができる。
【0052】
次に、コネクタピン31を、インナーハウジング部3の成形用の金型に入れる。そして、その金型に樹脂材料を流し込むことによりインナーハウジング部3とコネクタピン31とを一体成形(インサート成形)する。
【0053】
図4には、インナーハウジング部3の断面を示す。
図5には、インナーハウジング部の外観を示す。インナーハウジング部3には、ソケットハウジング部4との接合面に嵌合する凹3dが設けられている(
図4,
図5(1),
図5(2))。
【0054】
インナーハウジング部3の上部3aには、第1リードピン15aを貫通させるための貫通孔3bが設けられている(
図5(2))。貫通孔3bは、コネクタピン31の貫通孔31e(
図3参照)と同じ位置に設けられている。このため、インナーハウジング部3のコネクタピン31が露出している側から見た表面の貫通孔3bは、貫通孔31eと同じである。ただし、後述する
図12に示すようにインナーハウジング部3のコネクタピン31が露出している側から見た裏面の貫通孔3bは樹脂によって形成された貫通孔である。また、インナーハウジング部3の上部3aには、コネクタピン31が一体成形されている(
図4,
図5(1),
図5(2))。例えば、インナーハウジング部3からコネクタピン31の垂直部31cの一部が露出されている(
図4)。例えば、インナーハウジング部3の上部3aは、コネクタピン31の水平部31bを被覆する。コネクタピン31の一方の端部31aは、インナーハウジング部3の上部3aから露出されている。この、コネクタピン31の一方の端部31aの露出されている部分と第1リードピン15aが溶接される。
【0055】
また、インナーハウジング部3の上端部3eは、コネクタピン31に取り付けたチップコンデンサ18および接合部材17を被覆する。
【0056】
次に、
図6から
図11を用いて、収納箱10にリードピンを取り付ける工程から圧力媒体を注入して封止するまでの工程について説明する。
【0057】
図6に示すように、収納箱10の各貫通孔10bに、それぞれリードピン15を貫通させる。ここでは、収納箱10が略円形状の平面形状を有し、収納箱10の凹部10aの底面の中心を中心とする円周上に貫通孔10bが設けられている場合を例に説明する。複数の孔のうち、1つの孔は圧力媒体であるオイルを注入するための孔10cであり、残りの孔がリードピン15を貫通させる貫通孔10bである。
【0058】
次に、収納箱10の貫通孔10bにガラスなどの絶縁性部材16を流し込んでリードピン15と収納箱10とを接合(気密封止)する。次に、収納箱10の凹部10aの底面の、貫通孔10bが設けられていない例えば中心に接着剤51を塗布する。次に、
図7に示すように、収納箱10の凹部10aの底面の接着剤51上に、圧力センサチップ11を搭載して接着する。次に、
図8に示すように、圧力センサチップ11の各電極とリードピン15とをボンディングワイヤ14により電気的に接続する。次に、
図9に示すように、ネジ部2の台座部21上に、ダイアフラム13を挟んで、凹部10a側が下(ネジ部2側)になるように収納箱10を載置し、これらの部材の積層部分を例えばレーザーシーム溶接により接合する。
【0059】
次に、
図10に示すように、真空雰囲気下で、収納箱10の孔10cから収納箱10の凹部10aとダイアフラム13とに囲まれた空間にシリコンオイルなどの液体20を注入する。次に、
図11に示すように、液体20を注入した孔10cに例えばSUSなどの金属でできた金属球52を押し当てて電圧を加える。これにより、当該孔10cの開口部に金属球52が溶接され(抵抗溶接)、液体20が封止される。次に、一般的な方法により、センサエレメント1の特性調整・トリミングを行う。
【0060】
次に、
図12から
図14を用いて、インナーハウジング部3と収納箱10とを接着する工程について説明する。
【0061】
図12(1)には、インナーハウジング部3のコネクタピン31が露出していない側の底面を示す。また、
図12(2)には、収納箱10のリードピン15が露出している側の面を示す。
【0062】
図12(1)の例では、インナーハウジング部3には、3つの貫通孔3bと、5つの溝3fとを有する。貫通孔3bは、上述したようにコネクタピン31と接続されている。貫通孔3bには第1リードピン15aが貫通されてコネクタピン31と接続される。溝3fには第2リードピン15bが入れられる。リードピン15の長さが8mm程度である場合、溝3fと第2リードピン15bとが入れられる長さは2mm以上3mm以下程度である。なお、一部の第2リードピン15bに対応する溝3fの形状を、第2リードピン15bを嵌め込むことが可能な形状とし、溝3fに第2リードピン15bを嵌め込んでもよい。
【0063】
リードピン15の横方向の断面(リードピン15を輪切りに切断した断面)の形状が円形形状であるため、貫通孔3bと溝3fの形状は円形形状である。
【0064】
次に、
図13に示すように、コネクタピン31を一体成形したインナーハウジング部3の貫通孔3bに第1リードピン15aを貫通させ、インナーハウジング部3の溝3fに第2リードピン15bを入れることにより、インナーハウジング部3の位置を決定し、熱硬化の接着剤28(
図1)でインナーハウジング部3を収納箱10に固定する。例えば、塗布した接着剤28が硬化するまでに、インナーハウジング部3と収納箱10とを高温状態で放置する。この際、接着剤28の熱硬化時のインナーハウジング部3の浮き上がりを防止するために、インナーハウジング部3と収納箱10とを押さえ込んでもよい。
【0065】
このとき、第1リードピン15aは、インナーハウジング部3の上部3aの上面に露出するコネクタピン31とインナーハウジング部3の貫通孔3bで接触する。また、この段階では、コネクタピン31の周囲を覆うソケットハウジング部4が接合されていないため、インナーハウジング部3の上方に、レーザー光53の進入経路上に障害物となる部材は配置されていない。すなわち、ほぼ上方から、第1リードピン15aの上端部とコネクタピン31の一方の端部31aとの接触部を視認可能である。次に、インナーハウジング部3の貫通孔3bに上方から所定の入射角でレーザー光53を照射し、第1リードピン15aの上端部とコネクタピン31の一方の端部31aとの接触部を溶接(接合)する。
【0066】
図14には、接着した後のインナーハウジング部3と収納箱10との断面を示す。断面は
図12(2)に示した断面A−A’の位置の断面である。なお、
図14ではネジ部2や圧力センサチップ11などを省略してある。第1リードピン15aはコネクタピン31に溶接される。具体的には、例えば第1リードピン15aの上端部は、貫通孔3bを貫通し、コネクタピン31の一方の端部31aおよびコネクタピン31の水平部31bと接合されている。一方、第2リードピン15bは溝3fに入っている。また、第2リードピン15bは切断されないため、第2リードピン15bと第1リードピン15aとは同じ長さである。
【0067】
次に、
図15を用いて、ソケットハウジング部4について説明する。
【0068】
図15(1)には、ソケットハウジング部4の斜視図を示す。
図15(2)には、ソケットハウジング部4の断面図を示す。ソケットハウジング部4は、コネクタピン31の垂直部31cを収容する。ソケットハウジング部4は、インナーハウジング部3と接合する面にインナーハウジング部3の凹3dと嵌合する凸4aが設けられている。
【0069】
また、ソケットハウジング部4は、内部が凹部になっている。ソケットハウジング部4の凹部の底部4bには、貫通孔4cと溝4dとが設けられている。底部4bには、ソケットハウジング部4の内壁に近い部分に溝4dが設けられるため、底部4bの溝4dが設けられる部分は貫通孔4cが設けられている部分よりも厚みがある。各貫通孔4cには、第1コネクタピン31o〜第3コネクタピン31qが貫通される。溝4dには、第4コネクタピン31rが入れられる。また、各貫通孔4cと溝4dとは、インナーハウジング部3の底面3cも含めてコネクタピン31を貫通または入れることが可能な形状となっている。溝4dおよび貫通孔4cの位置によってインナーハウジング部3の位置を決定することができる。
【0070】
次に、
図16を用いて、ソケットハウジング部4とインナーハウジング部3とを接合する工程について説明する。
【0071】
図16に示すように、接着剤によりソケットハウジング部4とインナーハウジング部3とを接合する。これにより、コネクタピン31の周囲を囲むように、インナーハウジング部3の上部3aの上面にソケットハウジング部4が接合される。このとき、例えば、各貫通孔4cには、それぞれ第1コネクタピン31o〜第3コネクタピン31qが貫通される。溝4dに第4コネクタピン31rを入れ、各貫通孔4cには、それぞれ第1コネクタピン31o〜第3コネクタピン31qを貫通させることにより、インナーハウジング部3とソケットハウジング部4とが接合される。
【0072】
その後、ネジ部2の台座部21の下面にオーリング26(
図1)を装着することで、
図1に示す物理量センサ装置100が完成する。
【0073】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる物理量センサ装置の製造方法について説明する。
図17は、実施の形態2にかかる物理量センサ装置の製造途中(組立途中)の状態を示す説明図である。実施の形態2にかかる物理量センサ装置の製造方法が実施の形態1にかかる物理量センサ装置の製造方法と異なる点は、コネクタピン31のチップコンデンサ18を取り付けるための部分が露出された窓部3gが形成されるようにインナーハウジング部3とコネクタピン31とを一体成形し、インナーハウジング部3の窓部3gに露出するコネクタピン31にチップコンデンサ18を取り付けた後に、当該窓部3gを樹脂で埋める点である。
【0074】
具体的には、コネクタピン31を、インナーハウジング部3の成形用の金型に入れる。そして、その金型に樹脂材料を流し込むことによりインナーハウジング部3とコネクタピン31とを一体成形する。これにより、
図17に示すように、窓部3gが設けられたインナーハウジング部3の上端部3eが形成される。次に、
図17に示すように、窓部3gに露出するコネクタピン31の凹部31fに、接合部材17によってチップコンデンサ18を取り付ける。次に、窓部3gに樹脂部材を流し込むことにより窓部3gを樹脂で埋める。これにより、上述した
図5(1)に示したように、コネクタピン31に取り付けたチップコンデンサ18および接合部材17が樹脂によって被覆されたインナーハウジング部3が得られる。
【0075】
実施の形態2にかかる物理量センサ装置の製造方法におけるインナーハウジング部3とコネクタピン31とを一体成形する工程と、コネクタピン31にチップコンデンサ18を取り付ける工程と、窓部3gを樹脂で埋める工程とは、実施の形態1にかかる物理量センサ装置の製造方法においてコネクタピン31にチップコンデンサ18を取り付ける工程と、チップコンデンサ18を取り付けた後にインナーハウジング部3とコネクタピン31とを一体成形する工程と、の代わりに行われる。また、実施の形態2にかかる物理量センサ装置の製造方法においてこれらの工程以外の工程については、実施の形態1にかかる物理量センサ装置の製造方法と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0076】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる物理量センサ装置について説明する。
図18および
図19は、実施の形態3にかかる物理量センサ装置の構成を示す断面図である。
図20は、
図18および
図19に示すコネクタピン31の構成を示す説明図である。実施の形態3にかかる物理量センサ装置は、公知の物理量センサ装置の構成(例えば、特開2005−98976号公報の
図12,
図13)を、実施の形態1にかかる物理量センサ装置のように、付加端子を設け、隣接するコネクタピン31間にチップコンデンサ18を設けた構成としたものである。
【0077】
具体的に実施の形態3にかかる物理量センサ装置が実施の形態1にかかる物理量センサ装置と異なる点は、大きく以下の4点である。まず、1つ目の相違点は、インナーハウジング部3とソケットハウジング部4とが一体成形された点である。また、2つ目の相違点は、リードピン15の軸方向が異なり、コネクタピン31に貫通孔が設けられていない点である。また、3つ目の相違点は、圧力センサチップ11が台座部材12の上に設けられるようにセンサエレメント1の向きが反対である点である。また、4つ目の相違点は、圧力センサチップ11を格納する格納部71が設けられ、格納部71の底部から格納部71の外へ突出するネジ部2が一体成形された点である。また、
図19に示す断面は、
図20(2)に示すコネクタピン31の断面B−B’の位置の断面である。
【0078】
実施の形態3にかかる物理量センサ装置200は、センサエレメント1をコネクタ部材80と継ぎ手部材70とで挟み込み、継ぎ手部材70をかしめることにより、センサエレメント1とコネクタ部材80と継ぎ手部材70とを一体化したものである。
【0079】
センサエレメント1は、収納箱10、圧力センサチップ11、台座部材12、金属板部材92を備えている。圧力センサチップ11の構成は、実施の形態1と同じである。圧力センサチップ11の第1の面61は、ダイアフラム11aが台座部材12の貫通孔82に臨むように台座部材12に接合する。収納箱10は、リードピン15が外側に突出している。収納箱10の凹部10aには、圧力センサチップ11および台座部材12が収容されており、リードピン15の基端が露出している。リードピン15の露出箇所と圧力センサチップ11とは、ボンディングワイヤ14により電気的に接続されている。収納箱10の裏面は、金属板部材92の一方の面に接着されている。
【0080】
金属板部材92は、特に限定しないが、例えば42アロイであり、その表面にニッケルめっき又はニッケルめっきと金めっきの組み合わせが施されている。金属板部材92の中心には、貫通孔93が設けられている。金属板部材92と台座部材12とは、台座部材12の貫通孔82と金属板部材92の貫通孔93が一続きとなるように位置合わせされて、金属材料によって接合されている。
【0081】
継ぎ手部材70は、コネクタ部材80のインナーハウジング部3を固定する固定部を有し、圧力センサチップ11を格納する格納部71と、格納部71の底部から格納部71の外へ突出するネジ部2とが一体成形された構成となっている。
【0082】
コネクタ部材80は、センサエレメント1を収容するインナーハウジング部3と、物理量センサ装置200の出力を外部へ取り出すためのソケットハウジング部4とが一体成形されている。ソケットハウジング部4は、インナーハウジング部3よりも細くなっており、ソケットハウジング部4とインナーハウジング部3との間に、段差部83が形成されている。ソケットハウジング部4とインナーハウジング部3との仕切り部分には、コネクタピン31が埋め込まれている。
【0083】
上述したように第1コネクタピン31oと第4コネクタピン31rは、電源端子であるリードピン15と接続される(
図19,
図20)。第2コネクタピン31pは、出力端子であるリードピン15と接続される(
図19,
図20)。第3コネクタピン31qは、グランド端子であるリードピン15と接続される(
図19,
図20)。
【0084】
第1コネクタピン31o〜第3コネクタピン31qは、インナーハウジング部3に埋め込まれる部分(以下、水平部とする)31kと、水平部31kに連結され、水平部31kと直交して上方に突出する部分(以下、垂直部とする)31lと、インナーハウジング部3に埋め込まれ、かつ水平部31kに連結され、水平部31kと直交して下方に突出する端部31jと、からなる略L字状の断面形状を有する(
図20(3))。第4コネクタピン31rについては、垂直部31lのみを有する略I字状の断面形状を有する(不図示)。
【0085】
また、第1コネクタピン31oは、第1コネクタピン31oの端部31jに接続された部分31dを有する(
図20(2))。第1コネクタピン31oの部分31dは、第2コネクタピン31pの水平部31kおよび端部31jと、第3コネクタピン31qの水平部31kおよび端部31jを囲うように設けられ、第4コネクタピン31rと一体化されて接続されている(
図20(2))。また、第4コネクタピン31rは、第1コネクタピン31o〜第3コネクタピン31qよりも短く、インナーハウジング部3に埋め込まれる(
図19,
図20(1))。
【0086】
第1コネクタピン31oと第2コネクタピン31pとは、チップコンデンサ18aを介して接続されている(
図19)。例えば、第2コネクタピン31pと第3コネクタピン31qとがチップコンデンサ18bを介して接続されている(
図19)。例えば、第3コネクタピン31qと第4コネクタピン31rとがチップコンデンサ18cを介して接続されている(
図19)。
図19においてチップコンデンサ18cは、断面で見えない位置に設けられているため、点線によって表す。
【0087】
コネクタ部材80とセンサエレメント1とは、コネクタ部材80のインナーハウジング部3とソケットハウジング部4との間の仕切り部分のインナーハウジング部3内に露出する端面(配置部)に、センサエレメント1の圧力導入口94が開口する開放端73と反対側の端面をシリコン接着剤やエポキシ接着剤などで接着することにより一体化されている。このようにコネクタ部材80にセンサエレメント1が接着されていることにより、振動や衝撃などのメカニカルな衝撃に対する信頼性がより一層向上する。また、インナーハウジング部3内に露出するコネクタピン31の基端部分は、センサエレメント1の第1リードピン15にレーザー溶接により電気的に接続されている。
【0088】
また、インナーハウジング部3とソケットハウジング部4との間の仕切り部分には、貫通孔81が設けられている。貫通孔81は、センサエレメント1の収納箱10の、圧力センサチップ11を収めた凹部10aの空間が密閉状態にならないように設けられている。この凹部10aは、圧力センサチップ11を保護するためのゲル84で満たされている。
【0089】
また、継ぎ手部材70およびコネクタ部材80は、圧力センサチップ11を接着したコネクタ部材80のインナーハウジング部3に継ぎ手部材70の格納部71を被せ、格納部71の先端縁を機械等によりコネクタ部材80の段差部83に沿うようにかしめることで固定できる。固定はかしめ以外の方法、例えば接着などで行うようにしてもよい。固定されることによって、センサエレメント1の圧力導入口94が、ネジ部2の貫通孔23につながるように構成されている。
【0090】
格納部71の底部には、凹部72が形成されている。凹部72には、金属板部材92と継ぎ手部材70との間を封止する封止手段であるオーリング74が収められている。オーリング74は、格納部71の凹部72内において、この凹部72の少なくとも側面と、金属板部材92の側面との間を封止している。このオーリング74により、ネジ部2の貫通孔23を通って金属板部材92へ導かれた圧力媒体が、金属板部材92の貫通孔23以外の部分に流れ込むのを防いでいる。
【0091】
また、コネクタ部材80のインナーハウジング部3の外側側面と継ぎ手部材70の格納部71の内側側面との間にも、その間を封止するオーリング91が設けられている。このオーリング91により、圧力媒体が金属板部材92から漏れた場合や、圧力センサチップ11が破損した場合や、圧力センサチップ11と台座部材12との接合界面が剥離した場合などに圧力媒体が外部に漏れ出すのを防いでいる。
【0092】
また、実施の形態3にかかる物理量センサ装置の製造方法は、コネクタピン31にチップコンデンサ18を取り付ける工程と、コネクタピン31をインナーハウジング部3と一体成形する工程とにおいて、実施の形態1にかかる物理量センサ装置の製造方法と同様に、コネクタピン31にチップコンデンサ18を取り付け、チップコンデンサ18を取り付けた後にインナーハウジング部3とコネクタピン31とを一体成形するように行ってもよいし、実施の形態2にかかる物理量センサ装置の製造方法と同様に、インナーハウジング部3とコネクタピン31とを一体成形し、一体成形後にコネクタピン31にチップコンデンサ18を取り付け、チップコンデンサ18を取り付けた後に窓部3gを樹脂で埋めるように行ってもよく、特に限定しない。また、実施の形態3にかかる物理量センサ装置の製造方法は、ネクタピン31にチップコンデンサ18を取り付ける工程、およびコネクタピン31をインナーハウジング部3と一体成形する工程以外の工程について、公知の物理量センサ装置の製造方法(例えば、上述した特開2005−98976号公報)と同じであり、詳細な説明を省略する。
【0093】
以上、説明したように、本実施の形態1,2,3によれば、インナーハウジング部に一体成形された複数のコネクタピンのうち隣り合うコネクタピン間にチップコンデンサを電気的に接合する。これにより、チップコンデンサを設けるためのノイズ対策用基板が必要ないため、ノイズ対策用基板にかかる費用を省くことができる。また、ノイズ対策用基板を取り付ける工程を行わなくてよいため、ノイズ対策用基板の取り付け工程に要する費用を省くことができ、簡単に組み立てることができる。また、ノイズ対策用基板がないため、特性調整・トリミング用のリードピンを切断しなくてよいため、切断工程を省くことができ、簡単に組み立てることができる。
【0094】
また、コネクタピンの数を一本多くして、2つのコネクタピン間を接続する。そして、例えば、コネクタピンを一列に並べることにより、チップコンデンサを取り付けやすくすることができる。また、電源信号となる2つのコネクタピン間を列の端同士に設け、電源信号となる2つのコネクタピンのうちリードピンと接続される方のコネクタピンの水平部が、それぞれグランド信号とセンサ信号となる2つのコネクタピンの水平部を囲うように設けられ、電源信号となる2つのコネクタピンのうちリードピンと接続されない方のコネクタピンと接続される。これにより、グランド信号、電源信号、センサ信号のそれぞれの信号に対応するコネクタピン間にチップコンデンサを設けることができる。チップコンデンサを2つしか取り付けない場合と比較して、EMC耐性が向上する。
【0095】
以上において本発明は、上述した実施の形態1,2,3に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した各実施の形態では圧力センサ装置を例に説明しているが、上述した各実施の形態に限らず、例えば、加速度、ジャイロ(角度や角速度)、流量および温度など圧力以外の物理量を検出する物理量センサ装置にも適用可能である。また、上述した各実施の形態では、歪ゲージ式の圧力センサチップを例に説明しているが、半導体ピエゾ抵抗式、静電容量式およびシリコンレゾナント式の圧力センサチップにも適用可能である。
【0096】
また、例えば、上述した実施の形態1,2では、インナーハウジング部とソケットハウジング部の2つの部材を用いた例を説明した。これは、第1リードピンとコネクタピンとをレーザー溶接する場合にソケットハウジング部を取り付ける前に第1リードピンとコネクタピンとのレーザー溶接を行うことにより溶接を容易とするものである。しかし、物理量センサ装置が十分大きく、ソケットハウジング部を取り付けた後に第1リードピンとコネクタピンとのレーザー溶接を行うことができる場合は、実施の形態3に示すように、インナーハウジング部とソケットハウジング部を一体に樹脂成形することができる。この場合、インナーハウジング部とソケットハウジング部とを一体に成形する際、チップコンデンサを取り付けたコネクタピンをインサート成形することができる。インナーハウジング部とソケットハウジング部とが一体成形されたハウジング部(第1収容部)を有する物理量センサ装置の製造方法では、チップコンデンサを接合部材により取り付けたコネクタピンを、ハウジング部の成形用の金型に入れ、その金型に樹脂部材を流し込むことにより、インナーハウジング部とソケットハウジング部とを合わせたハウジング部とコネクタピンとを一体成形する。