【実施例】
【0034】
以下、実施例および比較例により本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0035】
実施例および比較例の結果物について、粒子長径、嵩密度、平均繊維長、16メッシュ不通過割合、100メッシュ不通過割合、50%粒子径(D50)、安息角、および粘度を、下記の方法で測定した。
【0036】
<測定方法>
1.[粒子長径]
光学顕微鏡で結果物100個(粒)の長径(長軸方向の長さ)を測定し、平均値を算出して、粒子長径とした。
2.[嵩密度]
規定の容器を水平面に置き、その容器内へ結果物を水平面からの高さ13.5cmから自由落下させて入れ、容器の内容積を満たす結果物の質量(乾燥質量)を測定し、単位体積あたりの質量を算出して、嵩密度とした。
3.[平均繊維長]
粒子状パルプ会合体を水に離解させて得られた繊維分散スラリーを作製した。繊維分散スラリーは、1gの粒子状パルプ会合体を100mlの水に入れ、紙パルプ技術協会Tappi Standard 205に準じた溶解器を使用し、十分に離解するまでダッシャーを上下に動かすことにより得た。得られた繊維分散スラリーを0.01質量%以上0.02質量%以下の濃度になるように希釈し、希釈液を作製した。この希釈液10mlに含まれる繊維成分の中心線繊維長を、繊維長測定装置(metso automation株式会社製、カヤーニファイバーラボVer4.0)を用いて測定し、離解繊維の長さ加重平均値を算出して、平均繊維長とした。
4.[16メッシュ不通過割合]
16メッシュのふるい(東京スクリーン株式会社製、型番JTS−200−60−41)に結果物10gを入れ、振動ふるい機(FRITSH社(ドイツ)製、フリッチュ・ジャパン株式会社より入手可能)で1分間振動させ、ふるいに入れた結果物のうちのふるいを通過した量を測定し、その測定値から、ふるいに入れた結果物のうちのふるいを通過しなかった結果物の量の割合(質量基準の百分率)を算出して、16メッシュ不通過割合とした。
5.[100メッシュ不通過割合]
100メッシュのふるい(東京スクリーン株式会社製、型番JTS−200−60−29)に結果物10gを入れ、振動ふるい機(FRITSH社(ドイツ)製、フリッチュ・ジャパン株式会社より入手可能)で1分間振動させ、ふるいに入れた結果物のうちのふるいを通過した量を測定し、その測定値から、ふるいに入れた結果物のうちのふるいを通過しなかった結果物の量の割合(質量基準の百分率)を算出して、100メッシュ不通過割合とした。
6.[50%粒子径(D50)]
レーザー解析・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、型番MT3300EXII)を用いて結果物のメジアン径(50%粒子径、D50ともいう)を測定した。
7.[安息角]
結果物を水平面に高さ13.5cmから自由落下させて山状に堆積させ、崩れることなく安定を保つ斜面と水平面とでなす最大角度を測定して、安息角とした。
8.[粘度]
結果物を3質量%の濃度になるように水に分散させて分散液とし、この分散液について、デジタル式B型粘度計(東機産業株式会社製、型番:TVB−10M)を用い、ローター回転数100rpm、温度20℃にて、粘度を測定した。
【0037】
(実施例1)
王子製紙株式会社製の広葉樹漂白溶解パルプ(LBDP)からなる溶解パルプシート(以下、単にDPシートともいう)の構成パルプ繊維(平均繊維長0.67mm)を水に分散させ、パルプ濃度が35質量%となるように脱水して、パルプ原料とした。このパルプ原料を、シングルディスクリファイナー(熊谷理機工業株式会社製)で、刃型としてプレートB(
図1参照)を使用し、回転数600rpm、刃のクリアランス1.5mmの条件で処理して、複数のパルプ繊維が集まってできた粒子状の湿潤パルプを得た。次いで、得られた粒子状の湿潤パルプを130℃のオーブンで乾燥して、実施例1の結果物を得た。
【0038】
(実施例2)
実施例1において、刃のクリアランスを2mmに変更した以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0039】
(実施例3)
実施例1において、刃のクリアランスを3mmに変更した以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0040】
(実施例4)
実施例1において、刃のクリアランスを5mmに変更した以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0041】
(実施例5)
実施例1において、プレートBをプレートD(
図2参照)に変更し、刃のクリアランスを1mmで処理した以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0042】
(実施例6)
実施例5において、刃のクリアランスを1.5mmに変更した以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0043】
(実施例7)
実施例5において、刃のクリアランスを2mmに変更した以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0044】
(実施例8)
実施例5において、刃のクリアランスを3mmに変更した以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0045】
(実施例9)
実施例5において、刃のクリアランスを5mmに変更した以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0046】
(実施例10)
DPシートの構成パルプ繊維(平均繊維長0.67mm)を水に分散させ、パルプ濃度が30質量%となるように脱水して、パルプ原料とした。それ以外は、全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0047】
(実施例11)
DPシートの構成パルプ繊維(平均繊維長0.67mm)を水に分散させ、パルプ濃度が40質量%となるように脱水して、パルプ原料とした。それ以外は、全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0048】
(実施例12)
DPシートの構成パルプ繊維(平均繊維長0.67mm)を水に分散させ、パルプ濃度が50質量%となるように脱水して、パルプ原料とした。それ以外は、全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0049】
(実施例13)
DPシートの構成パルプ繊維(平均繊維長0.67mm)を水に分散させ、パルプ濃度が60質量%となるように脱水して、パルプ原料とした。それ以外は、全て実施例1と同様の方法で試験した。
【0050】
(比較例1)
DPシートをカッターミルRC−250(有限会社吉工製)で粉砕し、0.5mmφのスクリーンを通過した画分を回収し、これを比較例1の結果物とした。結果物について、粒子長径および嵩密度を実施例1と同様の方法で測定した。
【0051】
(比較例2)
DPシートをカッターミルRC−250(有限会社吉工製)で粉砕し、10mmφのスクリーンを通過した画分を回収し、これを比較例2の結果物とした。
【0052】
(比較例3)
市販の粉末セルロース(日本製紙製株式会社製、KC−フロック(登録商標)W−50)を比較例3の結果物とした。
【0053】
<測定結果>
表1に実施例および比較例の条件および測定結果を示す。また、
図3に実施例1の結果物の顕微鏡写真を示し、
図4に比較例1の結果物の顕微鏡写真を示す。
【0054】
【表1】
【0055】
図3に示されるように、実施例1の結果物は、複数のパルプ繊維が縒られた状態で互いに結合して粒子状となった、粒子状パルプ会合体であった。実施例2から13の結果物も、実施例1の結果物と同様に、粒子状パルプ会合体であった(不図示)。
【0056】
また、
図4に示されるように、カッターミルを用いた乾式法により製造された比較例1の結果物は、繊維が独立してバラバラに存在しており、肉眼観察および触感によるとふわふわした綿状を示す、綿状セルロースであった。
【0057】
また、比較例1と同様にカッターミルを用いた乾式法により製造され、比較例1よりも目の粗いスクリーンを通過した画分である比較例2の結果物は、肉眼観察によると細かい紙片状であった。
【0058】
比較例3の結果物は、市販の粉末セルロースであり、粉末状であった。
【0059】
実施例1〜13は、比較例1と比べて、長径および繊維長が同程度であるにもかかわらず、嵩密度が高く、粘度が低かった。実施例1〜13は、比較例2と比べて、長径および繊維長が小さいにもかかわらず、嵩密度が高く、粘度が低かった。実施例1〜13は、比較例3と比べて、長径および繊維長が大きく、嵩密度が高く、粘度が低かった。
【0060】
本発明の実施の形態による粒子状パルプ会合体は、比較例1〜3と比べて、嵩密度が高く粘度が低いため、使用時のハンドリング性や輸送コストの観点において優れているということができる。また、本発明の実施の形態による粒子状パルプ会合体は、比較例3と比べて繊維が長いため、繊維を構成するセルロースの分子量の製造時の低下が小さいと考えられる。そのため、利用用途が比較例3よりも広くなり得る。