特許第6809368号(P6809368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809368
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】無段変速機および伝動ベルト
(51)【国際特許分類】
   F16H 9/12 20060101AFI20201221BHJP
   F16G 5/16 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   F16H9/12 B
   F16G5/16 C
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-97351(P2017-97351)
(22)【出願日】2017年5月16日
(65)【公開番号】特開2018-194071(P2018-194071A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2019年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 亘
(72)【発明者】
【氏名】越智 亨
(72)【発明者】
【氏名】三宅 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】徳永 淳一
【審査官】 鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−058948(JP,U)
【文献】 国際公開第2000/028237(WO,A1)
【文献】 特開2006−112485(JP,A)
【文献】 実開昭58−022547(JP,U)
【文献】 特開平03−089050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 9/12
F16G 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動側の第1プーリと、従動側の第2プーリと、サドル面を有する胴部および前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部を含む複数のエレメント、および前記サドル面に接触するように前記複数のエレメントの前記一対のピラー部間に配置されるリングを有すると共に前記第1および第2プーリのV字状溝に巻き掛けられる伝動ベルトとを含む無段変速機において、
前記伝動ベルトの径方向内側に配置されて該伝動ベルトに潤滑媒体を供給する潤滑媒体供給部を備え、
前記第1プーリは、第1シャフトに一体化された固定シーブと、前記第1シャフトにより軸方向に摺動自在に支持される可動シーブとを含み、
前記第2プーリは、第2シャフトに一体化された固定シーブと、前記第2シャフトにより軸方向に摺動自在に支持される可動シーブとを含み、
前記複数のエレメントの各々は、前記幅方向に間隔をおいて形成された一対のロッキングエッジ部と、前記一対のロッキングエッジ部の間で前記サドル面に沿って前記幅方向に延在するように前記胴部の一方の表面に形成された凹部である非接触部とを更に有し、
前記伝動ベルトの前記第1プーリまたは前記第2プーリへの巻き掛け部に含まれる前記エレメント同士の間には、前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが形成され、
前記潤滑油供給部は、前記第1シャフトに形成された油孔および前記第2シャフトに形成された油孔を含み、
前記非接触部の深さは、前記第1および第2プーリの一方の溝幅が最大である際に、前記クリアランスが確保されるように定められる無段変速機。
【請求項2】
駆動側の第1プーリと、従動側の第2プーリと、サドル面を有する胴部および前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部を含む複数のエレメント、および前記サドル面に接触するように前記複数のエレメントの前記一対のピラー部間に配置されるリングを有すると共に前記第1および第2プーリのV字状溝に巻き掛けられる伝動ベルトとを含む無段変速機において、
前記伝動ベルトの径方向内側に配置されて該伝動ベルトに潤滑媒体を供給する潤滑媒体供給部を備え、
前記複数のエレメントの各々は、前記幅方向に間隔をおいて形成された一対のロッキングエッジ部と、前記一対のロッキングエッジ部の間で前記サドル面に沿って前記幅方向に延在するように前記胴部の一方の表面に形成された凹部である非接触部とを更に有し、
前記伝動ベルトの前記第1プーリまたは前記第2プーリへの巻き掛け部に含まれる前記エレメント同士の間には、前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが形成され、
前記複数のエレメントは、第1エレメントと、該第1エレメントよりも大きい厚みを有する第2エレメントとを含み、
前記第1および第2エレメントは、それぞれ複数個隣り合わせにして配列され、
前記非接触部の深さは、前記第1エレメントと前記第2エレメントとで同一に定められると共に、前記第1および第2プーリの一方の溝幅が最大である際に、前記伝動ベルトの前記第1または第2プーリへの前記巻き掛け部に含まれる前記第2エレメント同士の間に前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが確保されるように定められる無段変速機。
【請求項3】
駆動側の第1プーリと、従動側の第2プーリと、サドル面を有する胴部および前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部を含む複数のエレメント、および前記サドル面に接触するように前記複数のエレメントの前記一対のピラー部間に配置されるリングを有すると共に前記第1および第2プーリのV字状溝に巻き掛けられる伝動ベルトとを含む無段変速機において、
前記伝動ベルトの径方向内側に配置されて該伝動ベルトに潤滑媒体を供給する潤滑媒体供給部を備え、
前記複数のエレメントの各々は、前記幅方向に間隔をおいて形成された一対のロッキングエッジ部と、前記一対のロッキングエッジ部の間で前記サドル面に沿って前記幅方向に延在するように前記胴部の一方の表面に形成された凹部である非接触部とを更に有し、
前記伝動ベルトの前記第1プーリまたは前記第2プーリへの巻き掛け部に含まれる前記エレメント同士の間には、前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが形成され、
前記複数のエレメントは、第1エレメントと、該第1エレメントよりも大きい厚みを有する第2エレメントとを含み、
前記第2エレメントの前記非接触部の深さは、前記第1エレメントの前記非接触部の深さよりも深く、
前記第1エレメントの前記非接触部の深さは、前記第1および第2プーリの一方の溝幅が最大である際に、前記伝動ベルトの前記第1または第2プーリへの前記巻き掛け部に含まれる前記第1エレメント同士の間に前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが確保されるように定められ、
前記第2エレメントの前記非接触部の深さは、前記第1および第2プーリの一方の溝幅が最大である際に、前記伝動ベルトの前記第1または第2プーリへの前記巻き掛け部に含まれる前記第2エレメント同士の間に前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが確保されるように定められる無段変速機。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の無段変速機において、
前記複数のエレメントは、第1エレメントと、該第1エレメントよりも大きい厚みを有する第2エレメントとを含み、
前記伝動ベルトの前記第1または第2プーリへの前記巻き掛け部に含まれる前記第2エレメント同士のクリアランスは、該巻き掛け部に含まれる前記第1エレメント同士のクリアランスよりも小さい無段変速機。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の無段変速機において、
前記複数のエレメントの各々は、前記一対のロッキングエッジ部および前記非接触部から前記ピラー部の突出方向と反対側に延在するように前記胴部の前記一方の表面に形成されたテーパ面を更に有する無段変速機。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の無段変速機において、
前記非接触部は、前記サドル面で開口すると共に前記エレメントの内周側縁部まで延在する無段変速機。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の無段変速機において、
前記潤滑油供給部は、前記第1プーリと前記第2プーリとの間に配置された少なくとも1つのノズルを含む無段変速機。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の無段変速機において、
前記複数のエレメントは、前記ピラー部の遊端部から前記サドル面の幅方向に突出して互いに対向する一対のフック部を更に含み、
前記伝動ベルトは、前記リングと前記複数のエレメントの前記フック部との間に配置されるリテーナリングを更に有する無段変速機。
【請求項9】
サドル面を有する胴部および前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部を含む複数のエレメントと、前記サドル面に接触するように前記複数のエレメントの前記一対のピラー部間に配置されるリングとを有すると共に無段変速機の第1および第2プーリのV字状溝に巻き掛けられる伝動ベルトにおいて、
前記第1プーリは、第1シャフトに一体化された固定シーブと、前記第1シャフトにより軸方向に摺動自在に支持される可動シーブとを含み、
前記第2プーリは、第2シャフトに一体化された固定シーブと、前記第2シャフトにより軸方向に摺動自在に支持される可動シーブとを含み、
前記複数のエレメントの各々は、前記幅方向に間隔をおいて形成された一対のロッキングエッジ部と、前記一対のロッキングエッジ部の間で前記サドル面に沿って前記幅方向に延在するように前記胴部の一方の表面に形成された凹部である非接触部とを更に含み、
前記伝動ベルトの前記第1プーリまたは前記第2プーリへの巻き掛け部に含まれる前記エレメント同士の間には、前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが形成され、
前記潤滑油供給部は、前記第1シャフトに形成された油孔および前記第2シャフトに形成された油孔を含み、
前記非接触部の深さは、前記第1および第2プーリの一方の溝幅が最大である際に、前記クリアランスが確保されるように定められる伝動ベルト。
【請求項10】
サドル面を有する胴部および前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部を含む複数のエレメントと、前記サドル面に接触するように前記複数のエレメントの前記一対のピラー部間に配置されるリングとを有すると共に無段変速機の第1および第2プーリのV字状溝に巻き掛けられる伝動ベルトにおいて、
前記複数のエレメントの各々は、前記幅方向に間隔をおいて形成された一対のロッキングエッジ部と、前記一対のロッキングエッジ部の間で前記サドル面に沿って前記幅方向に延在するように前記胴部の一方の表面に形成された凹部である非接触部とを更に含み、
前記伝動ベルトの前記第1プーリまたは前記第2プーリへの巻き掛け部に含まれる前記エレメント同士の間には、前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが形成され、
前記複数のエレメントは、第1エレメントと、該第1エレメントよりも大きい厚みを有する第2エレメントとを含み、
前記第1および第2エレメントは、それぞれ複数個隣り合わせにして配列され、
前記非接触部の深さは、前記第1エレメントと前記第2エレメントとで同一に定められると共に、前記第1および第2プーリの一方の溝幅が最大である際に、前記伝動ベルトの前記第1または第2プーリへの前記巻き掛け部に含まれる前記第2エレメント同士の間に前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが確保されるように定められる伝動ベルト。
【請求項11】
サドル面を有する胴部および前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部を含む複数のエレメントと、前記サドル面に接触するように前記複数のエレメントの前記一対のピラー部間に配置されるリングとを有すると共に無段変速機の第1および第2プーリのV字状溝に巻き掛けられる伝動ベルトにおいて、
前記複数のエレメントの各々は、前記幅方向に間隔をおいて形成された一対のロッキングエッジ部と、前記一対のロッキングエッジ部の間で前記サドル面に沿って前記幅方向に延在するように前記胴部の一方の表面に形成された凹部である非接触部とを更に含み、
前記伝動ベルトの前記第1プーリまたは前記第2プーリへの巻き掛け部に含まれる前記エレメント同士の間には、前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが形成され、
前記複数のエレメントは、第1エレメントと、該第1エレメントよりも大きい厚みを有する第2エレメントとを含み、
前記第2エレメントの前記非接触部の深さは、前記第1エレメントの前記非接触部の深さよりも深く、
前記第1エレメントの前記非接触部の深さは、前記第1および第2プーリの一方の溝幅が最大である際に、前記伝動ベルトの前記第1または第2プーリへの前記巻き掛け部に含まれる前記第1エレメント同士の間に前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが確保されるように定められ、
前記第2エレメントの前記非接触部の深さは、前記第1および第2プーリの一方の溝幅が最大である際に、前記伝動ベルトの前記第1または第2プーリへの前記巻き掛け部に含まれる前記第2エレメント同士の間に前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが確保されるように定められる伝動ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のエレメントと当該複数のエレメントを環状に結束させるリングとを有する伝動ベルトを含む無段変速機および伝動ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伝動ベルト用エレメントとして、左右に延びるボディ部と、当該ボディ部の上部の左右端からそれぞれ上方に延びる一対のピラー部とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このエレメントの前側主面には、左右に延びるロッキングエッジ部の下部に位置するように傾斜面が形成されており、当該エレメントの板厚は、下端に向かうにつれて薄くなっている。更に、エレメントの前側主面または後側主面の左右方向略中央部には、上下に延びる凹部が形成されている。これにより、このエレメントを含む伝動ベルトでは、隣り合うエレメント同士を凹部の両側で接触させてミスアライメントを吸収すると共にヨーイングを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−153089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような伝動ベルトが一対のプーリ間でトルクを伝達する間には、プーリへの巻き掛かりに際してエレメントのサドル面とリングとの間に周速差を生じ、それによりサドル面とリングとの間で摩擦が発生する。従って、伝動ベルトの耐久性や動力の伝達効率を向上させるためには、サドル面とリングとの間で発生する摩擦を低減化する必要がある。しかしながら、上記特許文献1には、エレメントのサドル面とリングとの間の摩擦を低減化するための具体的手段が何ら記載されていない。
【0005】
そこで、本開示の発明は、エレメントのサドル面とリングとの間で発生する摩擦を低減化し、伝動ベルトの耐久性および動力の伝達効率を向上させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の無段変速機は、駆動側の第1プーリと、従動側の第2プーリと、サドル面を有する胴部および前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部を含む複数のエレメント、および前記サドル面に接触するように前記複数のエレメントの前記一対のピラー部間に配置されるリングを有すると共に前記第1および第2プーリのV字状溝に巻き掛けられる伝動ベルトとを含む無段変速機において、前記伝動ベルトの径方向内側に配置されて該伝動ベルトに潤滑媒体を供給する潤滑媒体供給部を備え、前記複数のエレメントの各々が、前記幅方向に間隔をおいて形成された一対のロッキングエッジ部と、前記一対のロッキングエッジ部の間で前記サドル面に沿って前記幅方向に延在するように前記胴部の一方の表面に形成された凹部である非接触部とを更に有し、前記伝動ベルトの前記第1プーリまたは前記第2プーリへの巻き掛け部に含まれる前記エレメント同士の間に、前記非接触部と前記伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが形成されるものである。
【0007】
この無段変速機の伝動ベルトに含まれる複数のエレメントは、幅方向に間隔をおいて形成された一対のロッキングエッジ部と、当該一対のロッキングエッジ部の間でサドル面に沿って幅方向に延在するように胴部の一方の表面に形成された凹部である非接触部とをそれぞれ有する。これにより、隣り合うエレメント同士のロッキングエッジ部以外での接触を抑制し、各エレメントの耐久性をより向上させることが可能となる。更に、この無段変速機では、伝動ベルトの径方向内側に当該伝動ベルトに潤滑媒体を供給する潤滑媒体供給部が配置され、伝動ベルトの第1または第2プーリへの巻き掛け部に含まれるエレメント同士の間には、非接触部と伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが形成される。これにより、当該巻き掛け部に含まれるエレメントの非接触部に潤滑媒体供給部からの潤滑媒体を供給することが可能となり、非接触部を潤滑媒体の通路として利用してエレメントのサドル面とリングとの間に潤滑媒体を供給することができる。この結果、伝動ベルトの第1または第2プーリへの巻き掛け部に含まれるエレメントのサドル面とリングとの間で発生する摩擦を低減化することが可能となり、伝動ベルトの耐久性および動力の伝達効率をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の無段変速機の一例を示す概略構成図である。
図2】本開示の無段変速機の一例を示す概略構成図である。
図3】本開示の無段変速機に含まれる伝動ベルトのエレメントを示す概略構成図である。
図4】本開示の無段変速機に含まれる伝動ベルトのエレメントを示す概略構成図である。
図5】本開示の無段変速機に含まれる伝動ベルトのエレメントの変形態様を示す概略構成図である。
図6】本開示の無段変速機に含まれる伝動ベルトのエレメントの変形態様を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1は、本開示の無段変速機(CVT)1を示す概略構成図である。同図に示す無段変速機1は、車両に搭載されるものであり、駆動側回転軸としてのプライマリシャフト(第1シャフト)2と、当該プライマリシャフト2に設けられたプライマリプーリ(第1プーリ)3と、プライマリシャフト2と平行に配置される従動側回転軸としてのセカンダリシャフト(第1シャフト)4と、当該セカンダリシャフト4に設けられたセカンダリプーリ(第2プーリ)5と、伝動ベルト10とを含む。図示するように、伝動ベルト10は、プライマリプーリ3のプーリ溝(V字状溝)とセカンダリプーリ5のプーリ溝(V字状溝)とに巻き掛けられる。
【0011】
プライマリシャフト2は、車両のエンジン(内燃機関)といった動力発生源に連結されたインプットシャフト(図示省略)に図示しない前後進切換機構を介して連結される。プライマリプーリ3は、プライマリシャフト2と一体に形成された固定シーブ3aと、ボールスプライン等を介してプライマリシャフト2により軸方向に摺動自在に支持される可動シーブ3bとを含む。また、セカンダリプーリ5は、セカンダリシャフト4と一体に形成された固定シーブ5aと、ボールスプライン等を介してセカンダリシャフト4により軸方向に摺動自在に支持されると共にリターンスプリング8により軸方向に付勢される可動シーブ5bとを含む。
【0012】
更に、無段変速機1は、プライマリプーリ3の溝幅を変更するための油圧式アクチュエータであるプライマリシリンダ6と、セカンダリプーリ5の溝幅を変更するための油圧式アクチュエータであるセカンダリシリンダ7とを含む。プライマリシリンダ6は、プライマリプーリ3の可動シーブ3bの背後に形成され、セカンダリシリンダ7は、セカンダリプーリ5の可動シーブ5bの背後に形成される。プライマリシリンダ6とセカンダリシリンダ7とには、プライマリプーリ3とセカンダリプーリ5との溝幅を変化させるべく図示しない油圧制御装置から作動油が供給される。
【0013】
すなわち、無段変速機1を搭載した車両の走行に際して、プライマリシリンダ6には、図示しない油圧制御装置から車両のアクセル開度(スロットル開度)、車速およびエンジン回転数から定まる当該無段変速機1の目標変速比に応じた油圧が供給される。また、セカンダリシリンダ7には、当該油圧制御装置から伝動ベルト10の滑りが抑制されるように調圧された油圧が供給される。これにより、車両のエンジン(動力発生源)からインプットシャフトや前後進切換機構を介してプライマリシャフト2に伝達されたトルクを無段階に変速してセカンダリシャフト4に出力することが可能となる。そして、セカンダリシャフト4に伝達されたトルクは、ギヤ機構、デファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して車両の駆動輪(何れも図示省略)に出力される。
【0014】
図1に示すように、プライマリシャフト2のエンジン側とは反対側の端部(図1における左側の端部)には、段部が形成されている。そして、当該段部とプライマリシリンダ6のプライマリピストン60との間には、プライマリプーリ3の可動シーブ3bのエンジン側とは反対側の端部(図1における左側の端部)と当接可能となるように、環状のエンドプレート65が介設されている。更に、プライマリシャフト2には、可動シーブ3bの内周面に形成されたスプライン歯3sの固定シーブ3a側の端部と当接可能となるようにストッパ部2sが形成されている。
【0015】
また、図2において破線で示すように、プライマリシャフト2は、当該プライマリシャフト2の中心部に軸方向に延在するように形成された第1油孔2aと、当該第1油孔2aに連通すると共に径方向に延在してプライマリシャフト2の外周面で開口する第2油孔2bとを有する。更に、セカンダリシャフト4は、当該セカンダリシャフト4の中心部に軸方向に延在するように形成された第1油孔4aと、当該第1油孔4aに連通すると共に径方向に延在してセカンダリシャフト4の外周面で開口する第2油孔4bとを有する。第1油孔2a,4aには、油圧制御装置(オイルポンプ)から作動油が供給され、プライマリシャフト2やセカンダリシャフト4が回転すると、第2油孔2b,4bから伝動ベルト10の内周面に向けて潤滑冷却媒体としての作動油を噴出させることができる。
【0016】
図3は、伝動ベルト10を示す部分断面図である。同図に示すように、伝動ベルト10は、弾性変形可能な複数(本実施形態では、例えば9個)のリング材11を厚み方向(リング径方向)に積層することにより構成された1個の積層リング12と、1個のリテーナリング15と、積層リング12の内周面に沿って環状に配列(結束)される複数(例えば、合計数百個)の第1および第2エレメント20A,20Bとを含む。本実施形態において、第2エレメント20Bは、第1エレメント20Aよりも若干(例えば、0.1mm程度)大きい厚み(最大厚み)を有し、第1および第2エレメント20A,20Bは、それぞれ複数個隣り合わせにして配列される。これにより、伝動ベルト10によってプライマリプーリ3およびセカンダリプーリ5との間でトルク伝達される際に、振動やノイズが発生するのを抑制することが可能となる。
【0017】
積層リング12を構成する複数のリング材11は、それぞれ鋼板製のドラムから切り出された弾性変形可能なものであって、概ね同一の厚みおよびそれぞれについて予め定められた異なる周長を有するように加工されている。リテーナリング15は、例えば鋼板製のドラムから切り出された弾性変形可能なものであり、リング材11と概ね同一若しくはそれよりも薄い厚みを有する。また、リテーナリング15は、積層リング12の最外層リング材11oの外周長よりも長い内周長を有する。これにより、積層リング12とリテーナリング15とが同心円状に配置された状態(張力が作用しない無負荷状態)では、図3に示すように、最外層リング材11oの外周面とリテーナリング15の内周面との間に、環状のクリアランスが形成される。
【0018】
第1および第2エレメント20A,20Bは、例えばプレス加工により鋼板から打ち抜かれたものであり、図3に示すように、図中水平に延びる胴部21と、当該胴部21の両端部から同方向に延出された一対のピラー部22と、各ピラー部22の遊端側に開口するように一対のピラー部22の間に画成された単一のリング収容部(凹部)23と、積層リング12の内周側から外周側(積層リング12の径方向における外側)に向かうにつれて互いに離間するように形成された一対の側面20sとを有する。
【0019】
一対のピラー部22は、リング収容部23の底面であるサドル面23sの幅方向における両側から積層リング12の径方向における外側(伝動ベルト10(積層リング12)の内周側から外周側に向かう方向、すなわち図中上方)に延出されており、各ピラー部22の遊端部には、サドル面23sの幅方向に突出するフック部22fが形成されている。一対のフック部22fは、積層リング12(リング材11)の幅よりも若干長く、かつリテーナリング15の幅よりも短い間隔をおいて互いに対向する。また、第1および第2エレメント20A,20Bの各ピラー部22は、積層リング12の径方向における外側に向かうにつれてサドル面23sから離間するように傾斜した平坦な内面22iを有し、サドル面23sと各ピラー部22の内面22iとの間には、両者に滑らかに連続する凹曲面(例えば、凹円柱面)が形成されている。
【0020】
リング収容部23内には、図3に示すように、積層リング12が配置され、当該リング収容部23のサドル面23sは、積層リング12すなわち最内層のリング材11の内周面に接触する。サドル面23sは、幅方向における中央部を頂部Tとして幅方向外側に向かうにつれて図中下方に緩やかに傾斜した左右対称の凸曲面形状(クラウニング形状)を有する。これにより、サドル面23sとの摩擦により積層リング12に頂部Tに向かう求心力を付与して、当該積層リング12をセンタリングすることが可能となる。ただし、サドル面23sは、積層リング12の径方向における外側に湾曲する凸曲面を複数含むものであってもよい。
【0021】
更に、リング収容部23内には、弾性変形させられたリテーナリング15が第1および第2エレメント20A,20Bの一対のフック部22fの間から嵌め込まれる。リテーナリング15は、積層リング12の最外層リング材11oの外周面と第1および第2エレメント20A,20Bのフック部22fとの間に配置されて当該積層リング12を包囲し、一対のピラー部22と共に、第1および第2エレメント20A,20Bが積層リング12から脱落したり、第1および第2エレメント20A,20Bから積層リング12が脱落したりするのを規制する。これにより、それぞれ複数の第1および第2エレメント20A,20Bは、積層リング12の内周面に沿って環状に結束(配列)される。本実施形態において、リテーナリング15には、図示しない単一または複数の開口(長穴)が形成されており、これにより、リテーナリング15を弾性変形し易くして第1および第2エレメント20A,20Bに対する組付性を確保することができる。
【0022】
また、第1および第2エレメント20A,20Bの各側面20sは、ピラー部22側すなわち当該ピラー部22の内面22iの反対側(外側)に位置する第1側面20saと、第1側面20saに連続するように形成されて当該第1側面20saよりも積層リング12の径方向における内側に位置する第2側面20sbとを含む。本実施形態において、一対の第1側面20saは、第2側面20sbと同様に、積層リング12の径方向における外側に向かうにつれて互いに離間するように形成される。これにより、各ピラー部22の強度を良好に確保することができる。
【0023】
一対の第2側面20sbがなす角度は、プライマリプーリ3やセカンダリプーリ5のプーリ溝の開き角度と概ね等しく(本実施形態では、開き角度の設計値よりも僅かに大きく)なるように定められ、かつ一対の第1側面20saがなす角度は、一対の第2側面20sbがなす角度よりも小さく定められている。これにより、第1および第2エレメント20A,20Bの第2側面20sbは、プライマリプーリ3のプーリ溝やセカンダリプーリ5のプーリ溝の表面に摩擦接触してプーリ3,5からの挟圧力を受け、摩擦力によりプライマリプーリ3からセカンダリプーリ5へとトルクを伝達するトルク伝達面(フランク面)となる。これに対して、一対の第1側面20saは、伝動ベルト10によってプライマリプーリ3からセカンダリプーリ5へとトルクが伝達される際、基本的に、プーリ溝の表面に接触しないことになる。また、各第2側面20sbの表面には、第1および第2エレメント20A,20Bとプライマリプーリ3やセカンダリプーリ5との接触部を潤滑・冷却するための作動油を保持するための図示しない凹凸(複数の溝)が形成されている。
【0024】
更に、第1および第2エレメント20A,20Bの正面(一方の表面)には、図3に示すように、一対のロッキングエッジ部(接触領域)25、非接触部27、テーパ面(傾斜面)21s、および1個の突起(ディンプル)21pが形成されている。一対のロッキングエッジ部25は、それぞれ対応するピラー部22と胴部21とに跨がるようにサドル面23sの幅方向に間隔をおいて第1および第2エレメント20A,20Bの正面に形成されている。また、非接触部27は、一対のロッキングエッジ部25の上記幅方向における間に形成されている。本実施形態において、非接触部27のベルト内周側の縁部(図3における下縁部)は、ロッキングエッジ部25のベルト内周側の縁部(図3における下縁部)よりもベルト内周側(図中下側)に位置する。更に、テーパ面21sは、非接触部27および一対のロッキングエッジ部25から各ピラー部22の突出方向と反対側、すなわちベルト内周側(図3における下側)に延在するように胴部21の正面(一方の表面)に形成されている。突起21pは、胴部21の正面の幅方向における中央部でテーパ面21sから突出する。
【0025】
図3に示すように、各ロッキングエッジ部25および非接触部27よりもベルト外周側に位置する第1および第2エレメント20A,20Bの正面(主にピラー部22の正面)と、第1および第2エレメント20A,20Bの背面(他方の表面)とは、それぞれ平坦に形成されている。これにより、第1および第2エレメント20A,20Bのピラー部22は、図4に示すように、それぞれ一定の厚み(最大厚み)t1またはt2(t2>t1)を有する。また、各ロッキングエッジ部25および非接触部27よりもベルト内周側(図3における下側)に位置するテーパ面21sは、図3に示すように、ピラー部22から離間するにつれて(ベルト内周側に向かうにつれて)背面(裏面)に近接する。本実施形態において、テーパ面21sの傾斜角度は、第1エレメント20Aと第2エレメント20Bとで同一に定められている。更に、第1および第2エレメント20A,20B(胴部21)の背面には、突起21pの裏側に位置するように窪み部21rが形成されている。伝動ベルト10が組み立てられた際、当該窪み部21rには、隣り合う第1または第2エレメント20A,20Bの突起21pが遊嵌される。
【0026】
各ロッキングエッジ部25は、短尺帯状の凸曲面であり、本実施形態では、予め定められた曲率半径を有する円柱面(曲面)とされている。各ロッキングエッジ部25は、隣り合う第1、第2エレメント20A,20B同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線25c(図4参照)を含むものであり、接触線25cの位置は、無段変速機1の変速比γに応じてロッキングエッジ部25の範囲内で変動する。
【0027】
また、非接触部27は、サドル面23sで開口すると共に当該サドル面23sに沿って幅方向に延在して一対のロッキングエッジ部25を分断するように胴部21の正面(一方の表面)に形成された帯状の凹部である。非接触部27の底面は、第1および第2エレメント20A,20Bの正面(主にピラー部22の正面)および背面と平行をなす平坦面であり、各ロッキングエッジ部25の表面よりも背面側に窪んでいる。これにより、サドル面23sの厚みは、ピラー部22の厚みt1,t2よりも小さくなる。また、非接触部27(凹部)の隅部や、非接触部27を画成する胴部21のエッジ部には、面取り加工等によりR形状が付与されている。
【0028】
このような非接触部27を第1および第2エレメント20A,20Bに形成することで、伝動ベルト10では、隣り合う第1、第2エレメント20A,20B同士のロッキングエッジ部25以外での接触を良好に抑制することが可能となる。この結果、大きなモーメントが作用する第1、第2エレメント20A,20Bの幅方向における中央部からの荷重が隣り合う第1または第2エレメント20A,20Bに加えられて当該第1または第2エレメント20A,20Bが変形するのを抑制し、第1および第2エレメント20A,20Bの耐久性をより向上させることが可能となる。
【0029】
そして、本実施形態の無段変速機1において、第1および第2エレメント20A,20Bの諸元、特に非接触部27の深さは、テーパ面21sの傾斜角度等を考慮して、伝動ベルト10のプライマリプーリ3またはセカンダリプーリ5への巻き掛け部に含まれる第1エレメント20A同士並びに第2エレメント20B同士の間に、非接触部27と伝動ベルト10よりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスCL1またはCL2が形成されるように定められる。これにより、当該巻き掛け部に含まれる第1および第2エレメント20A,20Bの非接触部27に潤滑媒体供給部としてのプライマリシャフト2やセカンダリシャフト4の第2油孔2b,4bから作動油を供給することが可能となる。従って、当該非接触部27を作動油の通路として利用して第1および第2エレメント20A,20Bのサドル面23sと積層リング12との間に潤滑冷却媒体としての作動油を供給することができる。この結果、上記巻き掛け部に含まれてプライマリプーリ3またはセカンダリプーリ5のプーリ溝上に位置する第1および第2エレメント20A,20Bのサドル面23sと積層リング12との間で発生する摩擦を低減化することが可能となり、伝動ベルト10の耐久性および動力の伝達効率をより向上させることができる。
【0030】
ここで、互いに厚みの異なる第1および第2エレメント20A,20Bを含む伝動ベルト10のプライマリプーリ3またはセカンダリプーリ5に対する巻き掛け半径が同一である場合、図4に示すように、伝動ベルト10のプライマリプーリ3等への巻き掛け部に含まれて互いに隣り合う第2エレメント20B同士がなす角度α2は、当該巻き掛け部に含まれて互いに隣り合う第1エレメント20A同士がなす角度α1よりも大きくなる。また、プライマリプーリ3またはセカンダリプーリ5に対する伝動ベルト10の巻き掛け半径が小さいほど、伝動ベルト10のプライマリプーリ3等への巻き掛け部に含まれて互いに隣り合う第2エレメント20B同士のなす角度α2が大きくなる。そして、図4に示すように、当該角度α2が大きいほど、第2エレメント20B同士の接触線25cが内周側に移動し、当該接触線25cと非接触部27の底面との距離L2が、第1エレメント20A同士の接触線25cと非接触部27の底面との距離L1に比べて短くなる。このため、厚みの大きい第2エレメント20Bでは、非接触部27の深さが浅すぎると、プライマリプーリ3またはセカンダリプーリ5に対する伝動ベルト10の巻き掛け半径によっては、非接触部27と伝動ベルト10よりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスCL2が確保されなくなるおそれがある。
【0031】
これを踏まえて、本実施形態では、第2エレメント20Bの非接触部27の深さD2(ピラー部22の正面と非接触部27の底面との距離)が、プライマリプーリ3の溝幅が最大となって当該プライマリプーリ3に対する伝動ベルト10の巻き掛け半径が最小となる際に伝動ベルト10のプライマリプーリ3への巻き掛け部に含まれる第2エレメント20B同士の間に上記クリアランスCL2が確保されると共に、セカンダリプーリ5の溝幅が最大となって当該セカンダリプーリ5に対する伝動ベルト10の巻き掛け半径が最小となる際に伝動ベルト10のセカンダリプーリ5への巻き掛け部に含まれる第2エレメント20B同士の間に上記クリアランスCL2が確保されるように定められる。すなわち、無段変速機1では、可動シーブ3bの端部がエンドプレート65に当接してプライマリプーリ3のプーリ溝の幅が最大になって変速比γが最大になる際に伝動ベルト10のプライマリプーリ3への巻き掛け部に含まれる第2エレメント20B同士の間に上記クリアランスCL2が確保される。また、可動シーブ3bのスプライン歯3sの端部がプライマリシャフト2のストッパ部2sに当接してプライマリプーリ3のプーリ溝の幅が最小になり、それに伴って伝動ベルト10によりセカンダリプーリ5のプーリ溝の幅が最大になることで変速比γが最小になる際に伝動ベルト10のセカンダリプーリ5への巻き掛け部に含まれる第2エレメント20B同士の間に上記クリアランスCL2が確保される。そして、本実施形態では、第1エレメント20Aの非接触部27の深さD1が、第2エレメント20Bの非接触部27の深さD2と同一に定められている。
【0032】
これにより、伝動ベルト10のプライマリプーリ3またはセカンダリプーリ5への巻き掛け部に含まれる第1エレメント20A同士ならび第2エレメント20B同士の間に非接触部27と伝動ベルト10よりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスCL1またはCL2を常時確保することができる。この結果、駆動状態でプライマリプーリ3やセカンダリプーリ5に対する伝動ベルト10の巻き掛け半径が変動したとしても、クリアランスCL1,CL2を介して第2油孔2b,4bからの作動油を、当該巻き掛け部に含まれる第1および第2エレメント20A,20Bの非接触部27に常時供給することが可能となる。更に、非接触部27の深さを第1エレメント20Aと第2エレメント20Bとで同一に定めることで、厚みの異なる第1および第2エレメント20A,20Bに非接触部27を形成する際に同一の成形設備を用いることができるので、第1および第2エレメント20A,20Bの製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
【0033】
また、無段変速機1では、プライマリシャフト2やセカンダリシャフト4に潤滑媒体供給部としての第1および第2油孔2a,2b,4a,4bが形成されているので、上記クリアランスCL1,CL2を介して伝動ベルト10のプライマリプーリ3等への巻き掛け部に含まれる第1および第2エレメント20A,20Bの非接触部27に作動油を良好に供給することが可能となる。ただし、無段変速機1には、図2において二点鎖線で示すように、油圧制御装置(オイルポンプ)から作動油が供給される1つまたは複数のノズル9が設けられてもよい。この場合、複数のノズル9は、図示するようにプライマリプーリ3とセカンダリプーリ5との間であって伝動ベルト10の内側に上下方向に間隔をおいて配置されてもよい。かかるノズル9を用いても、当該ノズル9から伝動ベルト10のプライマリプーリ3やセカンダリプーリ5に巻き掛かろうとする部分や、伝動ベルト10のプライマリプーリ3等への巻き掛け部に向けて作動油を噴出することが可能となる。
【0034】
なお、上記実施形態において、第1および第2エレメント20A,20Bの非接触部27のベルト内周側の縁部(図3における下縁部)は、突起21pの上方に位置しているが、これに限られるものではなく、非接触部27のベルト内周側の縁部の位置は、任意に定められてもよい。例えば、図5に示す第1および第2エレメント20A′,20B′では、非接触部27′がサドル面23sで開口すると共に第1、第2エレメント20A′,20B′の内周側縁部まで延在するように形成される。これにより、伝動ベルト10のプライマリプーリ3またはセカンダリプーリ5への巻き掛け部に含まれる第1エレメント20A′同士並びに第2エレメント20B′同士の間に非接触部27′と伝動ベルト10よりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスCL1,CL2をより容易に形成することが可能となる。
【0035】
更に、上記実施形態において、第1および第2エレメント20A,20Bの非接触部27は、平坦な底面を有するように形成されるが、これに限られるものではない。すなわち、図6に示す第1および第2エレメント20A″,20B″において、非接触部27″は、幅方向における中央部が幅方向における両端部に比べて深くなるように形成される。これによりサドル面23sと積層リング12との接触面圧がより高くなる部分により多くの作動油(潤滑冷却媒体)を供給することが可能となる、この場合、非接触部27″の深さは、当該非接触部27″の最も浅い部分を基準に定められてもよく、最も深い部分を基準に定められてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、第1エレメント20Aの非接触部27の深さD1と、第2エレメント20Bの非接触部27の深さD2とが同一に定められるが、第2エレメント20Bの非接触部27の深さD2が上述のようにして定められるのであれば、第1エレメント20Aの非接触部27の深さD1と、第2エレメント20Bの非接触部27の深さD2とを異ならせてもよい。すなわち、第1エレメント20Aの非接触部27の深さD1は、プライマリプーリ3の溝幅が最大となって当該プライマリプーリ3に対する伝動ベルト10の巻き掛け半径が最小となる際に伝動ベルト10のプライマリプーリ3への巻き掛け部に含まれる第1エレメント20A同士の間に上記クリアランスCL1が確保されると共に、セカンダリプーリ5の溝幅が最大となって当該セカンダリプーリ5に対する伝動ベルト10の巻き掛け半径が最小となる際に伝動ベルト10のセカンダリプーリ5への巻き掛け部に含まれる第1エレメント20A同士の間に上記クリアランスCL1が確保されるように定められてもよい。
【0037】
これにより、第1エレメント20Aの非接触部27の深さD1は、第2エレメント20Bの非接触部27の深さD2をよりも浅くなる。すなわち、非接触部27の深さD1,D2の深さを第1エレメント20Aと第2エレメント20Bとで独立に定めて第2エレメント20Bの非接触部27の深さD2を第1エレメント20Aの非接触部27の深さD1よりも深くしてもよい。かかる構成を採用しても、クリアランスCL1,CL2を介して第2油孔2b,4bからの作動油を伝動ベルト10のプライマリプーリ3またはセカンダリプーリ5への巻き掛け部に含まれる第1および第2エレメント20A,20Bの非接触部27に常時供給することが可能となる。また、第1エレメント20Aの被接触部27の深さD1を浅くすることで、厚みの小さい第1エレメント20Aの強度をより良好に確保することが可能となる。
【0038】
そして、上記実施形態では、伝動ベルト10のエレメントとして互いの異なる厚みを有する第1および第2エレメント20A,20Bが用いられるが、これに限られるものではない。すなわち、第1エレメント20Aの厚みと第2エレメント20Bの厚みとは、互いに同一であってもよい。更に、無段変速機1では、変速比γが最大である際にプライマリプーリ3のプーリ溝の幅が最大になるが、プライマリプーリ3のプーリ溝の幅は、無段変速機1の変速比γが最大ではない際に最大になってもよい。また、無段変速機1では、変速比γが最小である際にセカンダリプーリ5のプーリ溝の幅が最大になるが、セカンダリプーリ5のプーリ溝の幅は、無段変速機1の変速比γが最小ではない際に最大になってもよい。これらの場合、無段変速機1は、プライマリシャフト2およびセカンダリシャフト4が選択的にインプットシャフトに連結されると共に、プライマリシャフト2およびセカンダリシャフト4が選択的に車両のドライブシャフトに連結されるように構成されてもよい。加えて無段変速機1の伝動ベルト10では、各エレメント20に一対のフック部22fが設けられると共に、積層リング12と複数のエレメント20のフック部22fとの間にリテーナリング15が配置されるが、これに限られるものではない。すなわち、伝動ベルト10の各エレメント20からフック部22fが省略されてもよく、当該伝動ベルト10からリテーナリング15が省略されてもよい。
【0039】
以上説明したように、本開示の無段変速機は、駆動側の第1プーリ(3)と、従動側の第2プーリ(5)と、サドル面(23s)を有する胴部(21)および前記サドル面(23s)の幅方向における両側に位置するように前記胴部(21)から延出された一対のピラー部(22)を含む複数のエレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)、および前記サドル面(23s)に接触するように前記複数のエレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)の前記一対のピラー部(22)間に配置されるリング(12)を有すると共に前記第1および第2プーリ(3,5)のV字状溝に巻き掛けられる伝動ベルト(10)とを含む無段変速機(1)において、前記伝動ベルト(10)の径方向内側に配置されて該伝動ベルト(10)に潤滑媒体を供給する潤滑媒体供給部(2a,2b,4a,4b,9)を備え、前記複数のエレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)の各々が、前記幅方向に間隔をおいて形成された一対のロッキングエッジ部(25)と、前記一対のロッキングエッジ部(25)の間で前記サドル面(23s)に沿って前記幅方向に延在するように前記胴部(21)の一方の表面に形成された凹部である非接触部(27,27′,27″)とを更に有し、 前記伝動ベルト(10)の前記第1プーリ(3)または前記第2プーリ(5)への巻き掛け部に含まれる前記エレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)同士の間に、前記非接触部(27,27′,27″)と前記伝動ベルト(10)よりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランス(CL1,CL2)が形成されるものである。
【0040】
本開示の無段変速機の伝動ベルトに含まれる複数のエレメントは、幅方向に間隔をおいて形成された一対のロッキングエッジ部と、当該一対のロッキングエッジ部の間でサドル面に沿って幅方向に延在するように胴部の一方の表面に形成された凹部である非接触部とをそれぞれ有する。これにより、隣り合うエレメント同士のロッキングエッジ部以外での接触を抑制し、各エレメントの耐久性をより向上させることが可能となる。更に、本開示の無段変速機では、伝動ベルトの径方向内側に当該伝動ベルトに潤滑媒体を供給する潤滑媒体供給部が配置され、伝動ベルトの第1または第2プーリへの巻き掛け部に含まれるエレメント同士の間には、非接触部と伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが形成される。これにより、当該巻き掛け部に含まれるエレメントの非接触部に潤滑媒体供給部からの潤滑媒体を供給することが可能となり、非接触部を潤滑媒体の通路として利用してエレメントのサドル面とリングとの間に潤滑媒体を供給することができる。この結果、伝動ベルトの第1または第2プーリへの巻き掛け部に含まれるエレメントのサドル面とリングとの間で発生する摩擦を低減化することが可能となり、伝動ベルトの耐久性および動力の伝達効率をより向上させることができる。
【0041】
また、前記複数のエレメントは、第1エレメント(20A,20A′,20A″)と、該第1エレメント(20A,20A′,20A″)よりも大きい厚みを有する第2エレメント(20B,20B′,20B″)とを含んでもよく、前記非接触部(27,27′,27″)の深さ(D1,D2)は、前記第1エレメント(20A,20A′,20A″)と前記第2エレメント(20B,20B′,20B″)とで同一に定められてもよい。これにより、厚みの異なる第1および第2エレメントに非接触部を形成するのに伴うコストアップを抑制することが可能となる。
【0042】
この場合、前記第1および第2エレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)は、それぞれ複数個隣り合わせにして配列されてもよく、前記第1および第2エレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)の前記非接触部の深さ(D1,D2)は、前記第1および第2プーリ(3,5)の一方の溝幅が最大である際に、前記伝動ベルト(10)の前記第1または第2プーリ(3,5)への前記巻き掛け部に含まれる前記第2エレメント(20B,20B′,20B″)同士の間に前記非接触部(27,27′,27″)と前記伝動ベルト(10)よりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランス(CL2)が確保されるように定められてもよい。
【0043】
すなわち、第1または第2プーリに対する伝動ベルトの巻き掛け半径が同一である場合、伝動ベルトの第1または第2プーリへの巻き掛け部に含まれて互いに隣り合う第2エレメント同士がなす角度は、当該巻き掛け部に含まれて互いに隣り合う第1エレメント同士がなす角度よりも大きくなる。そして、第1または第2プーリに対する伝動ベルトの巻き掛け半径が小さいほど、伝動ベルトの第1または第2プーリへの巻き掛け部に含まれて互いに隣り合う第2エレメント同士のなす角度が大きくなり、当該角度が大きいほど、第2エレメント同士の接触線が内周側に移動して当該接触線と非接触部の底面との距離が短くなる。このため、厚みの大きい第2エレメントでは、非接触部の深さが浅すぎると、第1または第2プーリに対する伝動ベルトの巻き掛け半径によっては、非接触部と伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが確保されなくなるおそれがある。これを踏まえて、本開示の一形態では、第1および第2プーリの一方の溝幅が最大となり、当該第1および第2プーリの一方に対する伝動ベルトの巻き掛け半径が最小となる際に、上記巻き掛け部に含まれる第2エレメント同士の間に上記クリアランスが確保されるように第1および第2エレメントの非接触部の深さが定められる。これにより、伝動ベルトの第1または第2プーリへの巻き掛け部に含まれるエレメント同士の間に非接触部と伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスを常時確保し、当該クリアランスを介して潤滑媒体供給部からの潤滑媒体を上記巻き掛け部に含まれる第1および第2エレメントの非接触部に常時供給することが可能となる。
【0044】
また、前記複数のエレメントは、第1エレメント(20A,20A′,20A″)と、該第1エレメント(20A,20A′,20A″)よりも大きい厚みを有する第2エレメント(20B,20B′,20B″)とを含んでもよく、前記第2エレメント(20B,20B′,20B″)の前記非接触部(27,27′,27″)の深さ(D2)は、前記第1エレメント(20A,20A′,20A″)の前記非接触部(27,27′,27″)の深さ(D1)よりも深くてもよい。かかる構成を採用しても、伝動ベルトの第1または第2プーリへの巻き掛け部に含まれるエレメント同士の間に非接触部と伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスを常時確保することが可能となる。
【0045】
この場合、前記第1エレメント(20A,20A′,20A″)の前記非接触部(27,27′,27″)の深さ(D1)は、前記第1および第2プーリ(3,5)の一方の溝幅が最大である際に、前記伝動ベルト(10)の前記第1または第2プーリ(3,5)への前記巻き掛け部に含まれる前記第1エレメント(20A,20A′,20A″)同士の間に前記非接触部(27,27′,27″)と前記伝動ベルト(10)よりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランス(CL1)が確保されるように定められてもよく、前記第2エレメント(20B,20B′,20B″)の前記非接触部(27,27′,27″)の深さ(D2)は、前記第1および第2プーリ(3,5)の一方の溝幅が最大である際に、前記伝動ベルト(10)の前記第1または第2プーリ(3,5)への前記巻き掛け部に含まれる前記第2エレメント(20B,20B′,20B″)同士の間に前記非接触部(27,27′,27″)と前記伝動ベルト(10)よりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランス(CL2)が確保されるように定められてもよい。
【0046】
更に、前記複数のエレメントは、第1エレメント(20A,20A′,20A″)と、該第1エレメント(20A,20A′,20A″)よりも大きい厚みを有する第2エレメント(20B,20B′,20B″)とを含んでもよく、前記伝動ベルト(10)の前記第1または第2プーリ(3,5)への前記巻き掛け部に含まれる前記第2エレメント(20B,20B′,20B″)同士のクリアランス(CL2)は、該巻き掛け部に含まれる前記第1エレメント(20A,20A′,20A″)同士のクリアランス(CL1)よりも小さくてもよい。
【0047】
また、前記複数のエレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)の各々は、前記一対のロッキングエッジ部(25)および前記非接触部(27,27′,27″)から前記ピラー部(22)の突出方向と反対側に延在するように前記胴部(21)の前記一方の表面に形成されたテーパ面(21s)を更に有してもよい。
【0048】
更に、前記非接触部(27,27′,27″)は、前記サドル面(23s)で開口すると共に前記エレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)の内周側縁部まで延在してもよい。かかる構成を採用することで、伝動ベルトの第1または第2プーリへの巻き掛け部に含まれるエレメント同士の間に非接触部と伝動ベルトよりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスをより容易に形成することが可能となる。
【0049】
また、前記第1プーリ(3)は、第1シャフト(2)に一体化された固定シーブ(3a)と、前記第1シャフト(2)により軸方向に摺動自在に支持される可動シーブ(3b)とを含んでもよく、前記第2プーリ(5)は、第2シャフト(4)に一体化された固定シーブ(5a)と、前記第2シャフト(4)により軸方向に摺動自在に支持される可動シーブ(5b)とを含んでもよく、前記潤滑油供給部は、前記第1シャフト(2)に形成された油孔(2a,2b)および前記第2シャフト(4)に形成された油孔(4a,4b)を含んでもよい。これにより、上記クリアランスを介して上記巻き掛け部に含まれるエレメントの非接触部に潤滑媒体を良好に供給することが可能となる。
【0050】
更に、前記複数のエレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)は、前記ピラー部(22)の遊端部から前記サドル面(23s)の幅方向に突出して互いに対向する一対のフック部(22f)を更に含んでもよく、前記伝動ベルト(10)は、前記リング(12)と前記複数のエレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)の前記フック部(22f)との間に配置されるリテーナリング’(15)を更に有してもよい。
【0051】
本開示の伝動ベルトは、サドル面(23s)を有する胴部(21)および前記サドル面(23s)の幅方向における両側に位置するように前記胴部(21)から延出された一対のピラー部(22)を含む複数のエレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)と、前記サドル面(23s)に接触するように前記複数のエレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)の前記一対のピラー部(22)間に配置されるリング(12)とを有すると共に前記第1および第2プーリ(3,5)のV字状溝に巻き掛けられる伝動ベルト(10)において、前記複数のエレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)の各々が、前記幅方向に間隔をおいて形成された一対のロッキングエッジ部(25)と、前記一対のロッキングエッジ部(25)の間で前記サドル面(23s)に沿って前記幅方向に延在するように前記胴部(21)の一方の表面に形成された凹部である非接触部(27,27′,27″)とを更に含み、前記伝動ベルト(10)の前記第1プーリ(3)または前記第2プーリ(5)への巻き掛け部に含まれる前記エレメント(20A,20A′,20A″,20B,20B′,20B″)同士の間に、前記非接触部(27,27′,27″)と前記伝動ベルト(10)よりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランス(CL1,CL2)が形成されるものである。
【0052】
かかる伝動ベルトでは、伝動ベルトの第1または第2プーリへの巻き掛け部に含まれるエレメントのサドル面とリングとの間で発生する摩擦を低減化することが可能となり、その耐久性および動力の伝達効率をより向上させることができる。
【0053】
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本開示の発明は、無段変速機や伝動ベルトの製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 無段変速機、2 プライマリシャフト、2a,4a 第1油孔、2b,4b 第2油孔、2s ストッパ部、3 プライマリプーリ、3a,5a 固定シーブ、3b,5b 可動シーブ、3s スプライン歯、4 セカンダリシャフト、5 セカンダリプーリ、6 プライマリシリンダ、60 プライマリピストン、65 エンドプレート、7 セカンダリシリンダ、8 リターンスプリング、9 ノズル、10 伝動ベルト、11 リング材、11o 最外層リング材、12 積層リング、15 リテーナリング、20A,20A′,20A″ 第1エレメント、20B,20B′,20B″ 第2エレメント、20s 側面、20sa 第1側面、20sb 第2側面、21 胴部、21p 突起、21r 窪み部、21s テーパ面、22 ピラー部、22f フック部、22i 内面、23 リング収容部、23s サドル面、25 ロッキングエッジ部、25c 接触線、27,27′,27″ 非接触部、CL1,CL2 クリアランス、T 頂部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6