特許第6809387号(P6809387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809387
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】扁平楕円状ポリマー粒子及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/16 20060101AFI20201221BHJP
   C08F 12/08 20060101ALI20201221BHJP
   C08F 20/12 20060101ALI20201221BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20201221BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20201221BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20201221BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20201221BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20201221BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20201221BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20201221BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20201221BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20201221BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20201221BHJP
   C09D 11/00 20140101ALI20201221BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   C08F2/16
   C08F12/08
   C08F20/12
   C08L25/04
   C08L33/06
   A61K8/81
   A61K8/02
   A61K9/16
   A61K47/32
   C09D201/00
   C09D7/40
   C09J201/00
   C09J11/08
   C09D11/00
   G02B5/02 B
【請求項の数】23
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2017-115838(P2017-115838)
(22)【出願日】2017年6月13日
(62)【分割の表示】特願2016-554897(P2016-554897)の分割
【原出願日】2016年5月2日
(65)【公開番号】特開2017-171939(P2017-171939A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年3月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-95705(P2015-95705)
(32)【優先日】2015年5月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004374
【氏名又は名称】日清紡ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 和寿
(72)【発明者】
【氏名】橋場 俊文
(72)【発明者】
【氏名】松坂 恵里奈
【審査官】 藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−015437(JP,A)
【文献】 特開2015−010143(JP,A)
【文献】 特開2009−235355(JP,A)
【文献】 特開2007−070372(JP,A)
【文献】 特開2009−235180(JP,A)
【文献】 特開昭61−271303(JP,A)
【文献】 特開2000−313864(JP,A)
【文献】 特開2004−156025(JP,A)
【文献】 特開2007−217254(JP,A)
【文献】 特開2009−235353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−2/60、6/00−246/00、301/00
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
A61K 8/00−8/99、9/16、47/32
A61Q 1/00−90/00
C09D 7/40、11/00、201/00
C09J 11/08、201/00
G02B 5/00−5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン化合物と反応性官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルとからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体を50質量%超含む不飽和単量体の重合物からなり、
第三角法に基づく投影図の正面図、平面図、及び側面図の全てが楕円であり、下記(1)〜(4)を満たし、耐熱性が100℃以上の架橋ポリマー粒子であることを特徴とする扁平楕円状ポリマー粒子。
(1)扁平部の平均長径(LAV)が0.13≦LAV≦500μm、
(2)扁平部の平均短径(DAV)が0.1≦DAV≦250μm、
(3)長径(L)と短径(D)とから算出されるアスペクト比(L/D)の平均(P1AV)が1.3<P1AV≦50、及び
(4)短径(D)と側面の厚さ(T)とから算出されるアスペクト比(D/T)の平均(P2AV)が1.2<P2AV≦100
【請求項2】
前記不飽和単量体が、さらに、反応性官能基を有する不飽和単量体を含む請求項1記載の扁平楕円状ポリマー粒子。
【請求項3】
前記反応性官能基が、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、アルキレンオキサイド基、またはイオン性官能基である請求項2記載の扁平楕円状ポリマー粒子。
【請求項4】
さらに、下記(5)を満たす請求項1〜3のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子。
(5)長径(L)と厚さ(T)とから算出されるアスペクト比(L/T)の平均(P3AV)が1.56<P3AV≦150
【請求項5】
少なくとも表面または表層部に、次式(6)を満たす微粒子が付着または内包される請求項1〜4のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子。
(6)粒子表面または表層部に付着または内包される微粒子の粒子径(SP)が1/1000×DAV≦SP≦1/2×DAV
【請求項6】
前記微粒子に起因する凹凸形状を有する請求項5記載の扁平楕円状ポリマー粒子。
【請求項7】
扁平楕円状ポリマー粒子の実際の比表面積SB及び体積平均粒子径から算出される真球状粒子の理論比表面積SDの比(SB/SD)が、SB/SD≧1.2を満たす請求項1〜6のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子。
【請求項8】
嵩密度が0.01〜0.7g/mLである請求項1〜7のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子。
【請求項9】
吸水量が粒子100gあたり60mL以上及び/または吸油量が粒子100gあたり60mL以上である請求項1〜8のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子。
【請求項10】
溶媒中、重合開始剤の存在下で不飽和単量体を溶液重合させる扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法であって、
前記溶媒として、水、親水性有機溶媒、及び疎水性有機溶媒の混合溶媒を用い、
前記重合開始剤として、前記水、親水性有機溶媒、及び疎水性有機溶媒の少なくとも1種に溶解する1種または2種以上を、前記水、親水性有機溶媒、及び疎水性有機溶媒のいずれにも溶解する組み合わせで用いることを特徴とする、
スチレン化合物と反応性官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルとからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体を50質量%超含む不飽和単量体の重合物からなり、
第三角法に基づく投影図の正面図、平面図、及び側面図の全てが楕円であり、下記(1)〜(4)
(1)扁平部の平均長径(LAV)が0.13≦LAV≦500μm、
(2)扁平部の平均短径(DAV)が0.1≦DAV≦250μm、
(3)長径(L)と短径(D)とから算出されるアスペクト比(L/D)の平均(P1AV)が1.3<P1AV≦50、及び
(4)短径(D)と側面の厚さ(T)とから算出されるアスペクト比(D/T)の平均(P2AV)が1.2<P2AV≦100
を満たす扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法。
【請求項11】
前記不飽和単量体が、疎水性かつ25℃で液状の疎水性液状不飽和単量体を含み、この疎水性液状不飽和単量体と前記疎水性有機溶媒を含む疎水性液状成分の割合を、総仕込み量に対して10質量%以上とする請求項10記載の扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法。
【請求項12】
前記重合開始剤が、水溶性開始剤の少なくとも1種と油溶性開始剤の少なくとも1種との組み合わせである請求項10または11記載の扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法。
【請求項13】
前記疎水性有機溶媒が、分子量200以上の有機化合物である請求項1012のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法。
【請求項14】
前記疎水性有機溶媒が、前記疎水性液状不飽和単量体の溶解能を有し、かつ、重合反応で生じる扁平楕円状ポリマー粒子の溶解能を有しない請求項11〜13のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる樹脂組成物。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる光拡散シート。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる塗料組成物。
【請求項18】
請求項1〜9のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなるインク組成物。
【請求項19】
請求項1〜9のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる化粧料。
【請求項20】
請求項1〜9のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる電気・電子材料。
【請求項21】
請求項1〜9のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる接着剤。
【請求項22】
請求項1〜9のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子を用いて得られる焼成空孔化成形物。
【請求項23】
請求項1〜9のいずれか1項記載の扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる医療用検査薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平楕円状ポリマー粒子及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ミクロンサイズを有するポリマー粒子や無機粒子は、充填剤や検体として電子・電気材料、光学材料、塗料、インク、建築材料、生物・医薬材料、化粧料等の種々の分野で使用されている。
中でも、球状とは異なる異形状の粒子は、光学特性、触感等の点で球状粒子とは異なる様々な特性を発揮し得ることから、近年、その開発が活発に行われるとともに、日々応用開発も進められている。
【0003】
本発明者らも、これまで高アスペクト比を有する楕円状または針状ポリマー粒子の開発を進め、隠蔽性、光拡散性、触感性等の各特性において、従来の球状粒子よりも優れた粒子を種々見出している(特許文献1,2)が、当該技術分野においては、さらなる特性向上を求めて新規なポリマー粒子の開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−235353号公報
【特許文献2】特開2009−235355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、新規な扁平楕円状のポリマー粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、楕円状ポリマー粒子の合成技術を改良することで、楕円状の粒子の短径の面を扁平化した扁平楕円状のポリマー粒子が得られることを見出すとともに、当該扁平楕円状ポリマー粒子が、光拡散性、UVカット性、触感性、流動特性等の点でこれまでの粒子とは異なる独特の特性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
1. 疎水性かつ25℃で液体の疎水性液状不飽和単量体のみから構成される不飽和単量体の重合物からなり、
第三角法に基づく投影図の正面図、平面図、及び側面図の全てが楕円であり、下記(1)〜(4)を満たすことを特徴とする扁平楕円状ポリマー粒子。
(1)扁平部の平均長径(LAV)が0.13≦LAV≦500μm、
(2)扁平部の平均短径(DAV)が0.1≦DAV≦250μm、
(3)長径(L)と短径(D)とから算出されるアスペクト比(L/D)の平均(P1AV)が1.3<P1AV≦50、及び
(4)短径(D)と側面の厚さ(T)とから算出されるアスペクト比(D/T)の平均(P2AV)が1.2<P2AV≦100
2. 前記不飽和単量体が、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体より選ばれる少なくとも1種である1の扁平楕円状ポリマー粒子、
3. さらに、下記(5)を満たす1または2の扁平楕円状ポリマー粒子、
(5)長径(L)と厚さ(T)とから算出されるアスペクト比(L/T)の平均(P3AV)が1.56<P3AV≦150
4. 少なくとも表面または表層部に、次式(6)を満たす微粒子が付着または内包される1〜3のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子、
(6)粒子表面または表層部に付着または内包される微粒子の粒子径(SP)が1/1000×DAV≦SP≦1/2×DAV
5. 前記微粒子に起因する凹凸形状を有する4の扁平楕円状ポリマー粒子、
6. 扁平楕円状ポリマー粒子の実際の比表面積SB及び体積平均粒子径から算出される真球状粒子の理論比表面積SDの比(SB/SD)が、SB/SD≧1.2を満たす1〜5のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子、
7. 嵩密度が0.01〜0.7g/mLである1〜6のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子、
8. 吸水量が粒子100gあたり60mL以上及び/または吸油量が粒子100gあたり60mL以上である1〜7のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子、
9. 架橋ポリマー粒子である1〜8のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子、
10. 耐熱性が100℃以上である9の扁平楕円状ポリマー粒子、
11. 溶媒中、重合開始剤の存在下で不飽和単量体を溶液重合させる1〜10のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法であって、
前記溶媒として、水、親水性有機溶媒、及び疎水性有機溶媒の混合溶媒を用い、
前記重合開始剤として、前記水、親水性有機溶媒、及び疎水性有機溶媒の少なくとも1種に溶解する1種または2種以上を、前記水、親水性有機溶媒、及び疎水性有機溶媒のいずれにも溶解する組み合わせで用いることを特徴とする扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法、
12. 前記疎水性液状不飽和単量体と前記疎水性有機溶媒を含む疎水性液状成分の割合を、総仕込み量に対して10質量%以上とする11の扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法、
13. 前記重合開始剤が、水溶性開始剤の少なくとも1種と油溶性開始剤の少なくとも1種との組み合わせである11または12の扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法、
14. 前記疎水性有機溶媒が、分子量200以上の有機化合物である11〜13のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法、
15. 前記疎水性有機溶媒が、前記疎水性液状不飽和単量体の溶解能を有し、かつ、重合反応で生じる扁平楕円状ポリマー粒子の溶解能を有しない11〜14のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法、
16. 1〜10のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる樹脂組成物、
17. 1〜10のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる光拡散シート、
18. 1〜10のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる塗料組成物、
19. 1〜10のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなるインク組成物、
20. 1〜10のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる化粧料、
21. 1〜10のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる電気・電子材料、
22. 1〜10のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる接着剤、
23. 1〜10のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子を用いて得られる焼成空孔化成形物、
24. 1〜10のいずれかの扁平楕円状ポリマー粒子を用いてなる医療用検査薬
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ミクロンサイズの新規な扁平楕円状ポリマー粒子を提供することができる。この扁平楕円状ポリマー粒子は、シード粒子を用いない溶液重合にて一段階で得ることができ、粒子の圧縮・転写工程を含む製法や、シード粒子を用いる溶液重合よりもその製法が簡便であるとともに、一括して大量生産が可能であり、物理的切断等を施す製法に比べて端面や鋭角部がないという利点をも有している。また、予備成形や型を用いて形を整える工程も必要がない。
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、楕円球状ポリマー粒子の特性は維持しつつ、扁平形状を有しているため、光拡散性、UVカット性、触感性、流動特性等の点で、独特の特性を有しており、化粧料、塗料、インク、フィルムシート、成形品などの添加剤として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1−1で得られた粒子のSEM写真(300倍)を示す図である。
図2】同粒子を斜め45°から撮影したSEM写真(500倍)を示す図である。
図3】実施例1−5で得られた粒子のSEM写真(2000倍)を示す図である。
図4】比較例1−1で得られた粒子のSEM写真(1000倍)を示す図である。
図5】同粒子を斜め45°から撮影したSEM写真(2000倍)を示す図である。
図6】ポリマー粒子A3,B1,B3を使用した光学シート3,7,9の自動変角光度計を用いた反射光の光散乱分布図である。
図7】本発明の扁平楕円状ポリマー粒子の長径(L)、短径(D)及び厚さ(T)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[扁平楕円状ポリマー粒子]
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、第三角法に基づく投影図の正面図、平面図、及び側面図の全てが楕円であり、下記(1)〜(4)を満たすものである。なお、長径(L)、短径(D)及び厚さ(T)は図6に示されるとおりである。
(1)扁平部の平均長径(LAV)が0.13≦LAV≦500μm
(2)扁平部の平均短径(DAV)が0.1≦DAV≦250μm
(3)長径(L)と短径(D)とから算出されるアスペクト比(L/D)の平均(P1AV)が1.3<P1AV≦50
(4)短径(D)と側面の厚さ(T)とから算出されるアスペクト比(D/T)の平均(P2AV)が1.2<P2AV≦100
本発明の「扁平楕円状」には、数学的な意味の楕円球(楕円体)を扁平状にした形状だけではなく、扁平部を有する略楕円状のもの、例えば、扁平角丸長方形状や扁平オーバル状等の略扁平楕円状のものをも包含する。
【0011】
本発明において、扁平部の平均長径(LAV)は、1≦LAV≦300μmが好ましく、3≦LAV≦150μmがより好ましく、5≦LAV≦80μmがより一層好ましい。
扁平部の平均短径(DAV)は、0.1≦DAV≦150μmが好ましく、0.5≦DAV≦100μmがより好ましく、1≦DAV≦50μmがより一層好ましい。
長径(L)と短径(D)とから算出されるアスペクト比(L/D)の平均(P1AV)は、1.5≦P1AV≦30が好ましく、1.8≦P1AV≦30がより好ましく、2≦P1AV≦20がより一層好ましい。
短径(D)と側面の厚さ(T)とから算出されるアスペクト比(D/T)の比(P2AV)は、1.3≦P2AV≦50が好ましく、1.5≦P2AV≦30がより好ましく、2≦P2AV≦20がより一層好ましい。
【0012】
また、本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、粒子と固体表面の接触面積が大きければ大きいほど付着力も大きくなり、流体に対する抵抗が小さいほど粒子の剥離や脱落を生じにくくなるという点から、さらに下記(5)を満たす形状であることが好ましい。
(5)長径(L)と厚さ(T)とから算出されるアスペクト比(L/T)の平均(P3AV)が1.56<P3AV≦150
このアスペクト比(L/T)の平均(P3AV)は、1.7≦P3AV≦100が好ましく、2≦P3AV≦50がより好ましく、3≦P3AV≦30がより一層好ましい。
【0013】
さらに、本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、粒子表面に微細な凹凸を有しているもの、多孔質であるもの、比表面積が比較的大きいものの少なくともいずれかの特徴を有していることが好ましい。特に、多孔質のものや、少なくとも表面または表層部に、次式(6)を満たす微粒子が付着または内包されているものが好適であり、その微粒子によって表面に凹凸形状を有するものがより好ましい。
(6)粒子表面または表層部に付着または内包される微粒子の粒子径(SP)が1/1000×DAV≦SP≦1/2×DAV
この粒子径(SP)は、1/100×DAV≦SP≦1/2×DAVがより好ましく、1/20×DAV≦SP≦1/2×DAVがより一層好ましい。
この微粒子は、扁平楕円状ポリマー粒子と同じ成分であることが好ましく、また、扁平楕円状ポリマー粒子の表面または表層部に付着または内包されることが好ましい。
【0014】
また、本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、その実際の比表面積SB及び体積平均粒子径から算出される真球状粒子の理論比表面積SDの比(SB/SD)が、SB/SD≧1.2を満たすことが好ましく、SB/SD≧1.5を満たすことがより好ましく、SB/SD≧1.8を満たすことがより一層好ましく、SB/SD≧2.0を満たすことが最適である。
なお、本発明の扁平楕円状ポリマー粒子の実際の比表面積SBは、特に限定されるものではないが、0.1〜30m2/gが好ましく、0.5〜20m2/gがより好ましく、1〜10m2/gがより一層好ましい。本発明における比表面積SBは、窒素ガス吸着法により測定した値である。
【0015】
さらに、本発明の扁平楕円状ポリマー粒子の嵩密度は、0.01〜0.7g/mLが好ましく、0.05〜0.65g/mLがより好ましく、0.1〜0.6g/mLがより一層好ましい。
【0016】
また、扁平楕円状ポリマー粒子は、水系、油系の少なくとも一方に親和性を有することが好ましく、双方に親和性を有することがより好ましい。
具体的には、吸水量が粒子100gあたり60mL以上、及び/または吸油量が粒子100gあたり60mL以上が好ましく、吸水量が粒子100gあたり60mL以上及び吸油量が粒子100gあたり60mL以上がより好ましい。
特に、吸水量及び吸油量ともに、100gあたり80mL以上がより好ましく、100gあたり100mL以上がより一層好ましく、100gあたり120mL以上が最適である。
【0017】
さらに、扁平楕円状ポリマー粒子は、耐熱性や耐薬品性を高めるという点から、架橋ポリマー粒子であることが好ましい。
架橋方法は、特に限定されるものではないが、後述する扁平楕円状ポリマー粒子の製法において、架橋剤として寄与する多官能性のモノマーを用いて重合反応を行うことで、架橋されたポリマー粒子を得ることができる。
架橋ポリマーとすることで、本発明のポリマー粒子0.5gを100℃で2時間加熱した後、当初の形状を維持した耐熱性に優れた(耐熱性が100℃以上の)ポリマー粒子とすることができる。
【0018】
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子の材質は溶液重合可能な単量体を用いて得られる限り特に限定されるものではなく、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、カルボン酸ビニルエステル系樹脂、ポリ−N−ビニル化合物系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、オキサゾリン系樹脂及びカルボジイミド樹脂から選ばれる少なくとも1種から構成されることが好ましい。この場合、上記各樹脂は、単一重合体、共重合体のいずれでもよい。例えば「スチレン系樹脂」は、スチレン化合物を主構成単位とする樹脂であって、スチレン化合物の単一重合体のほか、スチレン化合物またはスチレン化合物と他の単量体との共重合体も含む。
【0019】
スチレン系樹脂としては、スチレン化合物の(共)重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等またはこれらを変性したもの、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等のスチレンとオレフィンまたは共役ジエンとの共重合体などが挙げられる。
【0020】
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ビニルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルエステル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のオレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、N−ビニル化合物−(メタ)アクリル酸共重合体、N−ビニル化合物−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、共役ジエン−(メタ)アクリル酸共重合体、共役ジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0021】
カルボン酸ビニルエステル系樹脂としては、カルボン酸ビニルエステルの(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン−カルボン酸ビニルエステル共重合体、カルボン酸ビニルエステル−共役ジエン共重合体等が挙げられる。ポリ−N−ビニル化合物系樹脂としては、N−ビニル化合物の(共)重合体、オレフィン−N−ビニル化合物の共重合体、共役ジエン−N−ビニル化合物の共重合体等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン、ポリフッ素化オレフィン、オレフィン及び/またはフッ素化ポリオレフィンの共重合体、オレフィン−共役ジエン共重合体等が挙げられる。ポリジエン系樹脂としては、共役ジエンの(共)重合体等が挙げられる。
【0022】
なお、上記スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、カルボン酸ビニルエステル系樹脂、ポリ−N−ビニル化合物系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン系樹脂等の不飽和単量体より構成される樹脂は、用途、目的に合わせて2種以上の共重合体とすることができる。
【0023】
ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルを主たる酸成分とし、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール及びブチレングリコールより選ばれる少なくとも1種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル樹脂や、ポリ乳酸等が挙げられる。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸等が挙げられる。
【0024】
シリコーン系樹脂としては、分子鎖中にケイ素−ケイ素結合、ケイ素−炭素結合、シロキサン結合またはケイ素−窒素結合を含むものであれば特に限定されない。
具体的には、ポリシロキサン、ポリカルボシラン、ポリシラザン等が挙げられる。
【0025】
ポリウレタン系樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートとを重合させることによって得られるポリウレタン樹脂等が挙げられる。
この場合、ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4'−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4'−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0026】
ポリアミド系樹脂としては、アジピン酸、ヘプタンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ノナンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等のジカルボン酸と、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等のジアミンとを重縮合させることによって得られるポリアミド樹脂が挙げられる。
また、α−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ε−エナントラクタム等のラクタムを開環重合させたポリアミド樹脂も挙げられる。
具体的には、ナイロン−6、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6,6、ナイロン−6,T等が挙げられる。
【0027】
ポリイミド系樹脂としては、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等のジアミンと、4,4'−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物、4,4'−ビフタル酸無水物、ジフェニル−2,3,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニル−2,2',3,3'−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物とを重合させて得られるポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0028】
エポキシ系樹脂としては、ポリエポキシド、芳香族系ポリエポキシ化合物、多価フェノールのグリシジルエーテル体、多価フェノールのグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、脂環族系ポリエポキシ化合物、脂肪族系ポリエポキシ化合物、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族系ポリエポキシ化合物、芳香族系ポリエポキシ化合物が好ましい。
【0029】
ポリビニルブチラール系樹脂としては、ポリビニルアルコールとブチルアルデヒドとの反応生成物、分子間がモノブチラール結合によって架橋された生成物等が挙げられる。
フェノール系樹脂としては、フェノール、クレゾール等のフェノール類に属する有機化合物を用いて得られる樹脂等が挙げられる。
アミノ系樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂等が挙げられる。
【0030】
オキサゾリン系樹脂としては、ビスオキサゾリン化合物、ビスオキサゾリン化合物のオキサゾリン基2当量と多塩基性カルボン酸のカルボキシル基1当量とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物等が挙げられる。オキサゾリン化合物は、オキサゾリン環を開環させないで付加重合等の重合体から得られる1分子中に少なくとも2つ以上のオキサゾリン基を有するポリマーでもよい。また、付加重合性オキサゾリン化合物とオキサゾリン基と反応しない共重合可能な単量体との共重合体でもよい。
カルボジイミド樹脂としては、1種または2種以上のイソシアネート化合物を原料として得られる少なくとも1つのカルボジイミド基を有する樹脂等が挙げられる。
【0031】
これらのうち、扁平楕円状ポリマー粒子の材質としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、カルボン酸ビニルエステル系樹脂、ポリ−N−ビニル化合物系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂がより好ましい。
【0032】
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、特に、スチレン化合物、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル、N−ビニル化合物、オレフィン、フッ化オレフィン及び共役ジエンから選ばれる少なくとも1種の単量体を用いた(共)重合体であることが好ましく、スチレン化合物、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の単量体から得られる繰り返し単位を必須単位として含む(共)重合体がより好ましい。
【0033】
具体的には、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ−N−ビニルピロール、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−N−ビニルインドール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びこれらの共重合体等が好ましく、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体がより好ましい。
なお、上述のとおり、樹脂は多官能性の架橋剤を用いた適度な硬化物共重合体であってもよい。
【0034】
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、上記条件(1)〜(4)を満たす限り、2種以上の混合物であってもよい。
【0035】
[扁平楕円状ポリマー粒子の製造方法]
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、溶液重合により一段階で製造することができ、粒子の圧縮・転写工程を含まず、バッチ法で製造できるため、複数の工程を経ることなく一括して大量生産することができる。
本発明における溶液重合とは、少なくとも単量体と重合開始剤を含む媒体中で重合反応を進行させてポリマー粒子として析出または生成させる重合方法と定義する。
溶液重合法として具体的には、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、シード重合法及びこれらに準ずる複合化した方法を含むものとする。
懸濁重合法は、単量体と、単量体に可溶な重合開始剤等とを、これらが難溶な媒体中で機械的に撹拌し、懸濁させた状態で重合反応を進行させてポリマー粒子を析出または生成させる方法である。
乳化重合法は、水等の媒体と、この媒体に難溶な単量体と乳化剤(界面活性剤)等とを混合するとともに、媒体に可溶な重合開始剤を加えて重合反応を進行させてポリマー粒子を析出または生成させる方法である。
分散重合法は、単量体は溶解するがポリマー化するに従い不溶となる液状媒体において単量体、開始剤、分散安定剤等が媒体に溶解した均一溶液で重合反応を進行させてポリマー粒子を析出または生成させる方法である。
シード重合法は、重合反応の際にあらかじめ核となる別の粒子を加え、その粒子表面で重合反応を行う重合法のことである。
扁平楕円状粒子は、これら各種の溶液重合によって得ることができるが、本発明の扁平楕円状ポリマー粒子はシード重合を除いた溶液重合、すなわち懸濁重合、乳化重合、分散重合またはその組み合わせにより製造する。これらの方法によれば、シード重合のように、シード粒子の準備工程を省くことができる。
本発明では、これらの方法において、モノマー、重合開始剤、溶媒の種類及び量比、並びに分散剤や乳化剤の成分と量比等を変えることで、目的の扁平楕円状ポリマー粒子を調製することができる。
【0036】
特に、扁平楕円状ポリマー粒子を効率よく得るためには、重合反応溶媒として、水、親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒の3種の混合溶媒を用いることが好ましい。
この場合、水、親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒の使用割合は特に限定されるものではないが、扁平楕円状ポリマー粒子を効率よく得るという観点から、質量比で、水:親水性有機溶媒:疎水性有機溶媒=98:1:1〜30:30:40が好ましく、96:2:2〜40:25:35がより好ましく、93:2:5〜50:20:30がより好ましい。
特に、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒の使用割合を、親水性有機溶媒≦疎水性有機溶媒とすることが好ましく、親水性有機溶媒<疎水性有機溶媒とすることがより好ましい。
【0037】
また、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒は混合(相溶)するものを選ぶことが好ましい。
さらに、重合に使用するモノマーのうち主成分(50質量%超)となるモノマーが、親水性有機溶媒及び疎水性有機溶媒の少なくとも一方に溶解するような溶媒を選ぶことが好ましい。
なお、本発明において親水性有機溶媒とは、水との同容量混合液が均一な外観を維持するものを意味し、疎水性有機溶媒とは、1気圧(1.013×105Pa)において、温度20℃で同容量の純水と緩やかにかき混ぜ、流動がおさまった後に当該混合液体が均一な外観を維持できないものを意味する。
【0038】
水としては、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。
親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0039】
疎水性有機溶媒としては、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等の高級アルコール類;ブチルセロソルブ等のエーテルアルコール;ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、ブチルカルビトールアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ジシクロヘキシル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、流動パラフィン、ミネラルオイル、熱媒用オイル等の脂肪族または芳香族炭化水素;ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、シリコーンオイル等のシロキサン化合物;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。なお、これら疎水性有機溶媒は、本発明の効果を阻害しない範囲で、炭素、窒素、酸素、水素、ハロゲンなど置換された変性化合物、共重合体などの変性されたポリマー化合物を含んでもよい。これらは1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0040】
特に、疎水性有機溶媒として、重合条件下では原料単量体と反応しない、炭素原子数8個以上の疎水性有機溶媒を使用することが好ましい。このような疎水性有機溶媒を反応系中に共存させることで、生成してくるポリマー粒子の分散性を向上させることができ、粒子径をより均一に制御することが可能となる。
炭素原子数8個以上の有機化合物は、常温で固体または液体であり、使用する親水性有機溶媒と相溶し、重合反応に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されるものではないが、重合反応温度等を考慮すると、融点80℃以下のものが好ましく、融点60℃以下のものがより好ましく、融点40℃以下のものがより一層好ましく、融点30℃以下のものが最適である。
このような有機化合物としては、炭化水素化合物、シロキサン化合物、ポリアルキレンオキサイド基含有化合物等が挙げられる。炭素原子数は8個以上であればよいが、得られる粒子の分散安定性を考慮すると、10個以上が好ましく、12個以上がより好ましく、15個以上が最適である。
【0041】
また、疎水性有機溶媒の分子量は、200以上が好ましく、300以上がより好ましく、500以上がより一層好ましく、1,000以上が最適である。このように分子量が大きい疎水性有機溶媒を用いることによって溶媒として機能すると同時に分散剤的な役割も果たすため、粒子のくっつきや凝集化を抑え安定的に単分散かつ粒子径を制御したポリマー粒子を得ることができる。
【0042】
分子量が200以上の疎水性有機溶媒としては、繰り返し単位を有する高分子化合物が好ましい。具体的には、炭化水素化合物、シロキサン化合物、ポリアルキレンオキサイド基含有化合物等が挙げられる。特に、これら高分子化合物は、低分子の状態は水溶性であり高分子化するに従い疎水性を示す高分子化合物や、極性基を分子内部に有する単量体を重合するものによって得られた疎水性有機溶媒であるとさらに好ましい。このような極性基を分子内部に有すると、後述する高分子安定剤が溶媒内で均一に分散しやすく一層の粒子安定性に寄与する。上記極性基としては、ヒドロキシ基、エーテル基、カルボニル基等が挙げられる。
【0043】
これらの条件を満足する疎水性有機溶媒の具体例としては、上記で例示した疎水性有機溶媒のうち、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル類、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、シリコーンオイル等のシロキサン化合物などが挙げられる。
【0044】
さらに、疎水性有機溶媒の粘度としては、特に限定されるものではないが、25℃で1cP以上が好ましい。
【0045】
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子の原料となる重合性単量体としては、例えば、
(i)スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン化合物;
(ii)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の炭化水素基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸3,3,3−トリフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロエチル)エチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロデシル)エチル、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロヘキサデシル)エチル等のフッ素含有(メタ)アクリル系単量体;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン等のケイ素含有(メタ)アクリル系単量体;(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル等のアルコキシ基含有(メタ)アクリル系単量体;(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体;メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、α−クロロ(メタ)アクリル酸メチル等の反応性官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステル;
(iii)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、ギ酸ビニル、バレリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;
(iv)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;
(v)エチレン、プロピレン等のオレフィン;
(vi)フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ化オレフィン;
(vii)ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン
等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
これらの中でも、スチレン化合物、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル等を重合性単量体として用いることが好ましく、これらを用いることで、上述した形状を有する扁平楕円状ポリマー粒子を容易に安価で得ることができる。
【0047】
また、上記重合性単量体のほかに、親水性官能基、活性水素基等の反応性官能基を有する不飽和単量体を単独で、または上記重合性単量体と組み合わせて用いることができる。このような反応性官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボニル基、エーテル基、シアノ基、アミド基、アルキレンオキサイド基、エポキシ基、イオン性官能基等が挙げられる。なお、不飽和単量体には、上記官能基が1種単独で存在してもよく2種以上混在していてもよい。これら親水性官能基、活性水素基等の反応性官能基を粒子内部または表層部に導入することにより、親水性や耐油性の機能向上が図れるだけでなく、無機粒子や他のポリマー粒子等の複合化や官能基同士の反応による架橋構造体の生成、反応性化合物の結合による表面処理及び表面の改質、活性物質の付与等、多種の機能性を持たす補助官能基として応用することができる。
【0048】
このような反応性官能基を有する不飽和単量体としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。なお、以下の説明において「Cn」は炭素原子数がnであることを意味する。
(1)アミノ基含有単量体
(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸−N−プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−エチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N−フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−シクロヘキシルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル系単量体;アリルアミン、N−メチルアリルアミン等のアリルアミン系誘導体;p−アミノスチレン等のアミノ基含有スチレン誘導体;2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン等のトリアジン誘導体等が挙げられる。これらの中でも1級または2級アミノ基を有する化合物が好ましい。
【0049】
(2)カルボキシル基含有単量体
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸;イタコン酸モノブチル等のイタコン酸モノC1〜C8アルキルエステル;マレイン酸モノブチル等のマレイン酸モノC1〜C8アルキルエステル;ビニル安息香酸等のビニル基含有芳香族カルボン酸等、及びこれらの塩が挙げられる。
(3)ヒドロキシ基含有単量体
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル系単量体;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル系単量体;アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシ基含有アリル単量体等が挙げられる。
【0050】
(4)チオール(メルカプト)基含有単量体
N−(2−メルカプトエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプト−1−カルボキシエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプトエチル)メタクリルアミド、N−(4−メルカプトフェニル)アクリルアミド、N−(7−メルカプトナフチル)アクリルアミド、マレイン酸モノ2−メルカプトエチルアミド、(メタ)アクリル酸2−メルカプトエチル、(メタ)アクリル酸2−メルカプト−1−カルボキシエチル等のメルカプト基含有(メタ)アクリル系単量体等が挙げられる。
(5)カルボニル基含有単量体
ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニル基含有ケトン等が挙げられる。
【0051】
(6)エーテル基含有単量体
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニル基含有エーテル系単量体が挙げられる。
(7)シアノ基含有単量体
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ヘキセンニトリル、4−ペンテンニトリル、p−シアノスチレン等が挙げられる。
【0052】
(8)アミド基含有単量体
(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル−p−スチレンスルホンアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(9)エポキシ基含有単量体
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(β−メチル)グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基含有(メタ)アクリル系単量体;アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン等のエポキシ基含有ビニル系単量体;ジ(β−メチル)グリシジルマレート、ジ(β−メチル)グリシジルフマレート等が挙げられる。
【0053】
(10)イオン性官能基含有単量体
イオン性官能基としては、アニオン性官能基、カチオン性官能基のどちらでもよい。
アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性ヒドロキシ基及びこれらの塩等が挙げられ、カチオン性官能基としては、アミノ基、イミダゾール基、ピリジン基、アミジノ基及びこれらの塩等が挙げられる。
特に、汎用品が多く、種類が豊富であり、かつ大きさ、形状等を効率良く制御できることから、アニオン性官能基が好適である。さらに、分子内への導入が容易であるとともに、安定性及び安全性に優れていることから、中でも、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及びこれらの誘導体から選ばれる1種以上の官能基であることが好ましい。
これらのイオン性官能基の対イオンとなり得る化合物としては、アニオン性官能基に対しては金属カチオン、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が挙げられ、カチオン性官能基に対しては塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン等が挙げられる。
【0054】
上述した反応性官能基を有する不飽和単量体の中でも、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、アルキレンオキサイド基またはイオン性官能基を有する単量体が好ましく、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキサイド基またはイオン性官能基を有する単量体がより好ましい。これらの官能基を用いることで、親水性が強くなり、溶液中で得られる粒子同士の反発が強くなるため、分散系の安定性が高くなり、より一層単分散性を向上できることで、くっつきや凝集による粒子径精度の悪化を低減できるとともに、耐薬品性、反応性、溶液分散性及び粉体分散性、機械的特性等に優れたポリマー粒子を得ることができる。
【0055】
また、重合反応の際に、得られる粒子の耐熱性、耐薬品性用途等に応じて、重合成分の合計質量に対し、0.01〜80質量%の適切な量で架橋剤を配合することもできる。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,7−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオール系ジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,7−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオール系ジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリロキシジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の化合物等が挙げられる。
また、上述したエポキシ基含有(メタ)アクリル系単量体等の反応性官能基を有する不飽和単量体も架橋剤として用いることができる。
これらの架橋剤は1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0056】
具体的な架橋粒子の製造方法としては、上記多官能不飽和単量体を添加して架橋度を上げる方法、前述した反応性基を有する不飽和単量体を所定のpH条件下で共重合させて架橋度を上げる方法、前述した反応性基を有する不飽和単量体を共重合させて粒子を得てから、前者の反応性官能基と反応する有機化合物を前者の析出した粒子は溶解しないが、後者の有機化合物は溶解する水または有機溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒の存在下で、後者が前者の表層部のみまたは表層部と内部の両域にまで含浸した状態とし、前者粒子が含有する官能基と有機化合物の反応基との反応により架橋反応を進行させる方法(後架橋)などが挙げられる。
この場合、後架橋するための有機化合物としては、反応性官能基として水酸基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、カルボニル基、エーテル基、シアノ基、エポキシ基(グリシジル基)、アミド基、イソシアネート基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アルキレンオキサイド基などを有する有機化合物が挙げられる。
【0057】
本発明の製法では、特に、不飽和単量体として、少なくとも疎水性かつ25℃で液体の疎水性液状不飽和単量体を用いることが好ましい。
このような疎水性液状不飽和単量体の好適例としては、上述した重合性単量体で挙げた(i)スチレン化合物、(ii)の炭化水素基含有(メタ)アクリル系単量体、フッ素含有(メタ)アクリル系単量体、エポキシ基含有(メタ)アクリル系単量体、(v)オレフィン、(vi)フッ化オレフィン、(vii)共役ジエン;反応性官能基を有する不飽和単量体で挙げた(9)エポキシ基含有ビニル系単量体;架橋剤で挙げた芳香族ジビニル化合物、(ポリ)アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレート、アルカンジオール系ジ(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、本発明の製法では、扁平楕円状ポリマー粒子を効率よく得るため、このような疎水性液状不飽和単量体を用いた上で、疎水性液状不飽和単量体と疎水性有機溶媒を含む疎水性液状成分の割合を、総仕込み量に対して10質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上とすることがより好ましく、25質量%以上とすることがより一層好ましく、30質量%以上とすることが最適である。
この場合、疎水性有機溶媒としては、疎水性液状不飽和単量体の溶解能を有し、かつ、重合反応で生じる扁平楕円状ポリマー粒子の溶解能を有しないものが好ましい。
このような疎水性有機溶媒としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル類、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、シリコーンオイル等のシロキサン化合物、流動パラフィン、熱媒用オイル等の脂肪族または芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0058】
特に、仕込成分全体の粘度を25℃で1cP以上に調整することが好ましく、2cP以上に調整することがより好ましく、5cP以上に調整することがより一層好ましく、10cP以上に調整することが最適である。その上限は、10,000cP未満であり、これより高粘度であると扁平楕円状ポリマー粒子の収率が低下する場合がある。
粘度調整は、使用する有機溶媒の粘度や、後述する高分子安定剤等の添加によって容易に行うことができる。
【0059】
本発明の製造方法では、重合開始剤として、水、親水性有機溶媒、及び疎水性有機溶媒の少なくとも1種に溶解する1種または2種以上を、水、親水性有機溶媒及び疎水性有機溶媒のいずれにも溶解する組み合わせで用いることが好ましい。
本発明の3種類の溶媒を用いた製法では、3種類の溶媒を撹拌混合して静置した場合に、乳化層(下層、水リッチ層)、溶解層(中間層、親水性溶媒リッチ層)、及び分離層(上層、疎水性溶媒リッチ層)が共存する状態(ファジーな状態)となり、重合反応においてもこのファジー状態の中で上記各層に不飽和単量体が溶け込んだ状態で重合反応が進行するものと推察される。
このファジー状態を形成する溶媒系において、さらに上記のような重合開始剤の組み合わせを採用することで、水、親水性有機溶媒及び疎水性有機溶媒のいずれにも、使用する少なくとも1種の重合開始剤が溶解した状態、すなわち、上記乳化層、溶解層及び分離層のそれぞれに使用する少なくとも1種の重合開始剤が存在する状態で不飽和単量体の重合反応を進行させることができるためか、得られるポリマー粒子の形状をより効率的に扁平楕円状とすることができるようになる。
【0060】
上記重合開始剤の「組み合わせ」としては、水、親水性有機溶媒及び疎水性有機溶媒のいずれにも溶解する重合開始剤であれば1種単独で用いることもできるが、本発明では、水に溶ける水溶性開始剤の少なくとも1種と、水に溶けない油溶性開始剤の少なくとも1種とを組み合わせて用いることが好ましい。
なお、本発明において、水溶性開始剤とは、水に対して2g以上/100ml程度の溶解性を有するものを意味し、油溶性開始剤とは、水に対して2g未満/100ml程度の溶解性を有するものを意味する。
【0061】
この場合、水溶性開始剤と油溶性開始剤の混合比率としては特に限定されるものではないが、質量比で、水溶性開始剤:油溶性開始剤=99:1〜1:99が好ましく、95:5〜5:95がより好ましく、90:10〜10:90がより一層好ましく、80:20〜20:80がさらに好ましく、70:30〜30:70が最適である。
【0062】
重合開始剤としては、公知の種々の重合開始剤を用いることができる。
水溶性重合開始剤の具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過流酸カリウム等の過硫酸塩、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−アミノ−フェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]四塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−2−プロペニルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシ−エチル)2−メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2'−アゾビス−2−シアノプロパン−1−スルホン酸二ナトリウム塩、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)ナトリウム塩等のアゾ系開始剤等の水溶性またはイオン性の重合開始剤が挙げられる。
油溶性開始剤の具体例としては、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド等のアゾ系化合物等の油溶性重合開始剤が挙げられる。
これらの重合開始剤は、それぞれ1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。ラジカル重合開始剤の総配合量は、通常、不飽和単量体100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましい。
【0063】
本発明の製造方法において、反応系のpHは特に限定されるものではなく、通常、pH調整を行わなくとも所望の扁平楕円状ポリマー粒子が得られるが、重合反応時(少なくとも加熱開始後から反応終了時点まで)に溶液のpHを0〜5または9〜14に調整して不飽和単量体を重合させることで、扁平楕円状を維持したまま、凝集物や不純物の少ない単分散性のポリマー粒子を得ることができる。
反応溶液のpHは、0〜4または10〜14が好ましく、0〜3または11〜14がより好ましく、0〜2または12〜14が最適である。酸側にシフトさせて反応を進行させた方がより安定的に重合反応が進行することから、pHは0〜5であることが好ましい。
【0064】
pHを調整するためには、公知のpH調整剤を適宜使用すればよい。pH調整剤としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、塩酸、硝酸、硫酸、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、コハク酸、酢酸、酢酸ナトリウム、フマル酸、リンゴ酸、リン酸等の酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、アンモニア、モルホリン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアルカリが挙げられる。
pHの調整は、重合反応開始後、徐々にpH調製剤を反応溶液に滴下して、pHを酸またはアルカリ側へと変化させることで行えばよい。
または、重合開始剤として上述の過硫酸塩を用いると、重合反応中に分解して酸を生じるため、徐々にpHが低下する。この場合は、pH調整剤を加えなくてもよい。
なお、本発明における反応系のpHとは、pH測定器(pHメーター)またはpH試験紙にて測定した、撹拌している状態の反応溶液のpH値である。
【0065】
扁平楕円状ポリマー粒子に表面の微細な凹凸、多孔質性、大きな比表面積といった特徴を持たせるためには、水及び親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒の成分、組成を適宜調整すればよく、これによって、粒子表面及び内部を適度に改質させることができる。
本発明においては、以上のような溶媒組成の調整を行うことで、扁平楕円状ポリマー粒子の粒子径やアスペクト比、表面の微細な凹凸の大きさ、多孔質性を制御できることから、吸水性、吸油性等の諸性能をバランスよく制御できることとなる。
【0066】
反応溶液中における、不飽和単量体の含有量は、全反応溶液中1〜80質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がより一層好ましく、15〜45質量%が最適である。不飽和単量体の含有量が80質量%を超えると、扁平楕円状ポリマー粒子を単分散の状態で収率よく得ることが困難になることがある。一方、1質量%未満であると、目的とする扁平楕円状ポリマー粒子は得られるものの、反応が完結するまでに長時間を要し、また工業的観点から実用的ではない。
重合時の反応温度は、使用する溶媒や重合開始剤の種類によっても変わるものであるため一概には規定できないが、通常、10〜200℃程度であり、好ましくは30〜130℃、より好ましくは40〜90℃である。
【0067】
また、反応時間は、目的とする反応がほぼ完結するのに要する時間であれば特に限定されず、不飽和単量体の種類並びにその配合量及び濃度、溶液の粘度、目的の粒子径等に大きく左右されるが、例えば、上述した各温度範囲では、1〜72時間、好ましくは2〜24時間程度である。
【0068】
本発明で用いるポリマー粒子を製造する際には、重合方法に応じてその他の(高分子)分散剤、安定剤、乳化剤(界面活性剤)等を、上記原料モノマーに対し、0.01〜50質量%の適切な量で配合することもできる。
【0069】
分散剤及び安定剤の具体例としては、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ヒドロキシスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリスチレン誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;ポリエチレングリコール、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル等のポリエーテル類及びその誘導体;セルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体;ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ−2−メチル−2−オキサゾリン等の含窒素ポリマー誘導体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体等の各種疎水性または親水性の分散剤、安定剤が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0070】
乳化剤(界面活性剤)の具体例としては、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩などのアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等のカチオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤などが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0071】
これら分散剤、安定剤、乳化剤等を用いることで、扁平楕円状ポリマー粒子の長径、短径、厚み等をより安定的にコントロールすることができる。
【0072】
また、重合反応の際に、得られる粒子の用途等に応じて、触媒(反応促進剤)を配合することができる。配合量は、粒子物性に悪影響を及ぼさない適切な量、例えば、不飽和単量体の合計質量に対し、0.01〜20質量%とすることができる。
【0073】
触媒は正触媒であれば特に限定されず、公知のものから適宜選択して使用することができる。具体例としては、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、トリフェニルアミン等の3級アミン;トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム化合物;トリフェニルホスフィン、トリシクロホスフィン等のホスフィン;ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム化合物;2−メチルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩;有機酸のアルカリ金属塩;三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン等のルイス酸性を示すハロゲン化物またはその錯塩等の触媒が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0074】
また、重合反応の際に、得られる扁平楕円状ポリマー粒子の大きさ、形状、品質等を調整する目的で、水またはその他の極性溶媒に溶解し得る、陽イオンと陰イオンとに電離してその溶液が電気伝導性を示す化合物を添加することも可能である。
具体例としては、塩類、無機酸、無機塩基、有機酸、有機塩基、イオン液体等が挙げられる。配合量は、粒子物性に悪影響を及ぼさない適切な量、例えば、重合成分の合計質量に対し、0.01〜80質量%とすることができる。
【0075】
[扁平楕円状ポリマー粒子の用途]
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、プラスチック、容器、塗料、塗膜、繊維、建材等の高分子成形品に用いることができる。また、UV散乱性にも効果があることから、UVに弱い内容物等を保護するため、例えば、フィルタ、包装材料、容器、塗料、塗膜、インク、繊維、建材、記録媒体、画像表示装置、太陽電池カバー等に用いることができ、光に不安定な化合物の分解を抑制することもできる。
【0076】
また本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、従来の球状と比べて成形品の強度を上げることができる。そのため粒子を高充填しても成形品の強度を維持することができるから光学特性を利用した光拡散板や光拡散シートへの応用も可能である。
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、水、親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒またはこれらの混合溶媒に分散させ、分散液として使用できる。ここで、親水性有機溶媒及び疎水性有機溶媒としては、ポリマー粒子の製造方法において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0077】
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、液体、塗膜、フィルム、板材、紙等の成型品への添加剤として利用することができる。
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子含有組成物は、光散乱剤や光学フィルタ材料、着色剤、化粧品、吸収剤、吸着剤、インク、接着剤、電磁波シールド材、蛍光センサー、生体マーカー、記録材料、記録素子、偏光材料、薬物送達システム(DDS)用薬物保持体、バイオセンサー、DNAチップ、検査薬等に広く利用することができる。
また、本発明の扁平楕円状ポリマー粒子を、前駆体に混入させた上で、硬化、炭化、焼結などの焼成処理を施し、粒子形状に応じた孔をもつ焼成空孔化成形物を製造することができる。
さらに、本発明の粒子は架橋度合いにより硬度を向上させることができるため、従来のポリマーでは孔の形状を保持しづらい加圧が必要な成形物の製造にも利用することができる。
【0078】
また、窓ガラス製品やカーテン、壁材等のインテリア製品等によって室内、及び車内等へ入射する光またはUVを遮蔽することは、人体の日焼け及び人体への悪影響を防ぐばかりでなく、室内や車内の装飾品等の劣化を防ぐことができるという点でも有用となる。
【0079】
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、化粧品用添加剤としても好適である。楕円状ポリマー粒子本来の軽量性、光散乱性、触感性、流動特性、溶液分散性等を保持しつつ、今まで添加することが困難であった熱成形や有機溶剤を多く使用する用途へ展開が可能となる。本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、独特の形状から一般の球状とは異なる付着力を有しており、例えばファンデーション等の成形体の固着力、塗布後の保持力を向上させる効果がある。さらに、その光学特性によって肌を明るく見せ、ぼかし効果によりカバー力を向上できる。また、形状特有のすべり性によって、肌の上でののびに優れ、さらにキメの溝を細かく埋めることで、シワや毛穴を目立たなくしたり、製品全体の流れ性を自由にコントロールしたりすることができる。また、付着力、保持力を利用して製品全体のポリマー添加量を多くすることができ、従来に無い化粧効果を見出すことができる。好ましい添加量としては、製品配合量に対して0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%である。UV散乱効果、ぼかし効果等の光散乱性、流動性、成形性、付着向上、仕上り感等用途/目的に応じて適宜調整することができる。なお、本発明者の検討では化粧品用添加剤としては、1〜20質量%が特に好ましい。なお、市販の粒子と適宜調整し組み合わせて使用してもよい。
【0080】
特に、効果が高い化粧品として、具体的には、スキンケア製品、頭髪製品、制汗剤製品、メイクアップ製品、UV防御製品、香料製品等が挙げられる。より具体的には、例えば、乳液、クリーム、ローション、カラミンローション、サンスクリーン剤、化粧下地料、サンタン剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、パック料、クレンジング料、洗顔料、アクネ対策化粧料、エッセンス等の基礎化粧料、ファンデーション、白粉、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、チーク、ネイルカラー、リップクリーム、口紅等のメイクアップ化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアカラー、ヘアトニック、セット剤、ボディーパウダー、育毛剤、デオドラント、脱毛剤、石鹸、ボディーシャンプー、入浴剤、ハンドソープ、香水等が挙げられる。
また、製品の形態についても特に限定は無く、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状等の種々の形態に適用できる。これら化粧品の添加剤として有用な効果が期待できる。
【0081】
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、スクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビア印刷、タンポ印刷、コーター、インクジェット等に用いられる印刷インク用添加剤、マーキングペン用、ボールペン用、万年筆用、筆ペン用、マジック等の筆記具インク用添加剤、クレヨン、絵の具、消しゴム等の文房具類の添加剤としても利用できる。
【0082】
本発明の扁平楕円状ポリマー粒子は、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等に用いられる塗料用添加剤としても好適である。例えば、自動車、電車、ヘリコプター、船、自転車、雪上車、ロープウェイ、リフト、フォバークラフト、自動二輪車等の輸送用機器;サッシュ、シャッター、貯水タンク、ドア、バルコニー、建築用外板パネル、屋根材、階段、天窓、コンクリート塀等の建築用部材;建築物屋内外の外壁や内装;ガードレール、歩道橋、防音壁、標識、高速道路側壁、鉄道高架橋、橋梁等の道路部材;タンク、パイプ、塔、煙突等のプラント部材;ビニールハウス、温室、サイロ、農業用シート等の農業用設備;電柱、送電鉄塔、パラボラアンテナ等の通信用設備;電気配線ボックス、照明器具、エアコン屋外器、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ等の電気機器及びそのカバー;モニュメント、墓石、舗装材、風防シート、防水シート、建築用養生シート等の物品に用いられる塗料用添加剤として好適である。
塗料の形態としては溶剤型塗料の他に水分散型塗料、非水分散型塗料、粉体塗料、電着型塗料等、必要に応じて適宜選択することができる。
【実施例】
【0083】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の各実施例、比較例における評価項目は下記手法にて実施した。
【0084】
(1)ポリマー粒子の真球状換算した体積平均粒子径(MV)
MICROTRACK MT3000(日機装(株)製)を用いて測定した。
(2)ポリマー粒子のアスペクト比
走査電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製S−4800、以下、SEMという)を用い、測定可能な倍率(300〜30,000倍)で写真を撮影し、得られた扁平楕円状ポリマー粒子を二次元化した状態で、ランダムに100個の粒子を抽出し、各粒子の扁平部の長径(L)、扁平部の短径(D)及び厚さ(T)の測定を行い
アスペクト比(L/D)の平均(P1AV
アスペクト比(D/T)の平均(P2AV
アスペクト比(L/T)の平均(P3AV
として算出した。
粒子の平均長径(LAV)、平均短径(DAV)及び平均厚さ(TAV)も同様にランダムに抽出した100個の粒子について、長径(L)、短径(D)及び厚さ(T)を測定して算出した。
(3)比表面積(SB)
自動比表面積細孔分布測定装置(BELSORP-max(日本ベル(株)製))を用い、窒素ガス吸着法により比表面積(SB)を測定した。
(4)理論比表面積(SD)
ポリマー粒子の体積平均粒子径を2r(m)、その半径をr(m)、その密度をG(g/m3)とする。このとき、半径r(m)の真球状粒子の表面積S’(m2)、体積V(m3)は、それぞれ次式で表される。
半径r(m)の真球状粒子の表面積:S’(m2)=4πr2
半径r(m)の真球状粒子の体積:V(m3)=4πr3/3
この場合、粒子1g当たりに含まれる粒子の個数Nは次式で表される。
粒子1g当たりに含まれる粒子の個数:N=1/VG
したがって、ポリマー粒子から算出される真球状粒子の理論比表面積SD(m2/g)は次式で表される。
SD(m2/g)=S’N=S’/VG=3/rG
(5)ポリマー粒子の嵩密度
三薬局方で規定されている試験法の第1法(メスシリンダーを用いる方法)を用いてゆるめ嵩密度として算出した。単位はg/mLとした。
(6)吸水量測定
乾燥させたポリマー粒子粉を約2質量%の濃度で水に分散させ、一日静置した後、再度分散させ、ガラスフィルターを用いて、減圧濾過した。濾過したガラスフィルターを、遠心分離機((株)日立ハイテクノロジーズ製CR−20GII)を用いて、3,000rpmで30分間遠心した後、得られたポリマー粒子粉を乾燥し、乾燥前後の粉体の質量を測定し、その差を吸水量とした。
(7)吸油量の測定
JIS K 5101に記される、煮あまに油法に準拠して測定した。
(8)pH測定
撹拌している状態の反応液にpH試験紙(Whatman社製)を浸け、その色の変化度合いで判断した。
【0085】
[1]ポリマー粒子の製造及びその特性評価
[実施例1−1]
2,000mLフラスコに、下記に示した各成分を一括で仕込み、室温(25℃,以下同様)で1時間撹拌した。この際、液相は水系相部分と乳化相部分と油系相部分の各相が交じり合う状態であり、そのpHを測定したところ7であった。
次に、オイルバス温度を75℃に設定し、窒素気流下で加熱、撹拌(200rpm)を開始し、8時間重合反応を行ってポリメタクリル酸メチル粒子分散液を得た。なお、加熱開始前の反応液のpHは7、加熱開始2時間後の反応液のpHは2であり、反応終了時点の反応液のpHは1であった。
【0086】
水 950.0g
メタノール 45.0g
ポリプロピレングリコール(♯3000) 100.0g
ポリビニルピロリドン(K−15) 42.5g
ソルビターンモノオレート 12.0g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(油溶性)4.5g
過硫酸アンモニウム(水溶性) 9.5g
メタクリル酸メチル 600.0g
【0087】
得られた粒子分散液を別途3,000mLのフラスコに移し、合成容器内(フラスコ及び撹拌翼)の付着物を確認したところ、殆ど凝集物等は見られず、綺麗な状態であった。
次に、公知の吸引ろ過設備にて粒子分散液をろ過し、得られたろ物について、さらにメタノールにて洗浄−ろ過を5回繰り返した後、真空乾燥し、ポリマー粒子A1を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出してSEMにて形状を観察したところ、図1,2に示されるように、表層部及び表面に平均粒径5.0μmの粒子が付着した扁平楕円状ポリマー粒子であった。
その扁平部の平均長径(LAV)は91μm、扁平部の平均短径(DAV)は44μm、平均厚さ(TAV)は10μmであった。なお、異物について確認したが、凝集物やくっつき等の変形物は殆ど見られなかった。
【0088】
[実施例1−2]
2,000mLフラスコに、下記に示した各成分を一括で仕込み、室温で1時間撹拌した。この際、液相は水系相部分と乳化相部分と油系相部分の各相が交じり合う状態であり、そのpHを測定したところ7であった。
次に、オイルバス温度を75℃に設定し、窒素気流下で加熱、撹拌(300rpm)を開始し、8時間重合反応を行ってポリメタクリル酸メチル粒子分散液を得た。なお、加熱開始前の反応液のpHは7、加熱開始2時間後の反応液のpHは2であり、反応終了時点の反応液のpHは1であった。
【0089】
水 760.0g
エタノール 22.5g
ポリプロピレングリコール(♯3000) 80.0g
ポリビニルピロリドン(K−15) 45.0g
ショ糖ラウリル酸エステル 4.0g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(油溶性)2.4g
過硫酸アンモニウム(水溶性) 2.4g
メタクリル酸メチル 480.0g
【0090】
得られた粒子分散液を別途3,000mLのフラスコに移し、合成容器内(フラスコ及び撹拌翼)の付着物を確認したところ、殆ど凝集物等は見られず、綺麗な状態であった。
次に、公知の吸引ろ過設備にて粒子分散液をろ過し、得られたろ物について、さらにメタノールにて洗浄−ろ過を5回繰り返した後、真空乾燥し、ポリマー粒子A2を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出してSEMにて形状を観察したところ、表層部及び表面に平均粒径2.2μmの粒子が付着した扁平楕円状ポリマー粒子であった。
その扁平部の平均長径(LAV)は42μm、扁平部の平均短径(DAV)は8μm、平均厚さ(TAV)は4μmであった。なお、異物について確認したが、凝集物やくっつき等の変形物は殆ど見られなかった。
【0091】
[実施例1−3]
2,000mLフラスコに、下記に示した各成分を一括で仕込み、室温で1時間撹拌した。この際、液相は水系相部分と乳化相部分と油系相部分の各相が交じり合う状態であり、そのpHを測定したところ7であった。
次に、オイルバス温度を85℃に設定し、窒素気流下で加熱、撹拌(400rpm)を開始し、8時間重合反応を行ってポリメタクリル酸メチル粒子分散液を得た。なお、加熱開始前の反応液のpHは7、加熱開始2時間後の反応液のpHは2であり、反応終了時点の反応液のpHは1であった。
【0092】
水 1120.0g
メタノール 22.5g
ポリプロピレングリコール(♯3000) 80.0g
ポリビニルピロリドン(K−15) 45.0g
ポリエチレンオキシド(M.W.300,000) 4.0g
過酸化ベンゾイル(油溶性) 1.5g
過硫酸ナトリウム(水溶性) 3.5g
メタクリル酸メチル 480.0g
【0093】
得られた粒子分散液を別途3,000mLのフラスコに移し、合成容器内(フラスコ及び撹拌翼)の付着物を確認したところ、殆ど凝集物等は見られず、綺麗な状態であった。
次に、公知の吸引ろ過設備にて粒子分散液をろ過し、得られたろ物について、さらにメタノールにて洗浄−ろ過を5回繰り返した後、真空乾燥し、ポリマー粒子A3を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出してSEMにて形状を観察したところ、表層部及び表面に平均粒径0.3μmの粒子が付着した扁平楕円状ポリマー粒子であった。
その扁平部の平均長径(LAV)は9μm、扁平部の平均短径(DAV)は3μm、平均厚さ(TAV)は1μmであった。なお、異物について確認したが、凝集物やくっつき等の変形物は殆ど見られなかった。
【0094】
[実施例1−4]
2,000mLフラスコに、下記に示した各成分を一括で仕込み、室温で1時間撹拌した。この際、液相は水系相部分と乳化相部分と油系相部分の各相が交じり合う状態であり、そのpHを測定したところ7であった。
次に、オイルバス温度を80℃に設定し、窒素気流下で加熱、撹拌(300rpm)を開始し、8時間重合反応を行ってスチレン−メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体粒子分散液を得た。なお、加熱開始前の反応液のpHは7、加熱開始2時間後の反応液のpHは3であり、反応終了時点の反応液のpHは1であった。
【0095】
水 864.0g
メタノール 416.0g
ポリプロピレングリコール(♯2000) 65.0g
ポリビニルピロリドン(K−30) 15.0g
ポリエチレンオキシド(M.W.100,000) 6.5g
2,2′−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(油溶性)2.1g
過硫酸アンモニウム(水溶性) 1.8g
スチレン 357.0g
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 63.0g
【0096】
得られた粒子分散液を別途3,000mLのフラスコに移し、合成容器内(フラスコ及び撹拌翼)の付着物を確認したところ、殆ど凝集物等は見られず、綺麗な状態であった。
次に、公知の吸引ろ過設備にて粒子分散液をろ過し、得られたろ物について、さらにメタノールと水の混合液(質量比=7:3)にて洗浄−ろ過を5回繰り返した後、真空乾燥し、ポリマー粒子A4を得た。得られた粒子の一部をフーリエ変換赤外分光光度計((株)島津製作所製FT−IR8200PC、以下同様)で測定したところ、波数700(1/cm)前後にスチレンのベンゼン環に由来する吸収ピークと、波数3,000(1/cm)前後に水酸基に由来する吸収ピークが観察され、共重合体であることが確認された。
得られた粒子100個をランダムに抽出してSEMにて形状を観察したところ、表層部及び表面に平均粒径4.6μmの粒子が付着した扁平楕円状ポリマー粒子であった。
その扁平部の平均長径(LAV)は148μm、扁平部の平均短径(DAV)は12μm、平均厚さ(TAV)は6μmであった。なお、異物について確認したが、凝集物やくっつき等の変形物は殆ど見られなかった。
【0097】
[実施例1−5]
2,000mLフラスコに、下記に示した各成分を一括で仕込み、室温で1時間撹拌した。この際、液相は水系相部分と乳化相部分と油系相部分の各相が交じり合う状態であり、そのpHを測定したところ7であった。
次に、オイルバス温度を75℃に設定し、窒素気流下で加熱、撹拌(250rpm)を開始し、8時間重合反応を行ってメタクリル酸メチル−エチレングリコールジメタクリレート共重合体粒子分散液を得た。なお、加熱開始前の反応液のpHは7、加熱開始2時間後の反応液のpHは2であり、反応終了時点の反応液のpHは1であった。
【0098】
水 912.0g
エタノール 27.0g
ポリプロピレングリコール(♯3000) 96.0g
ポリビニルピロリドン(K−15) 48.0g
ショ糖ラウリル酸エステル 9.6g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(油溶性)2.8g
過硫酸アンモニウム(水溶性) 3.2g
メタクリル酸メチル 580.0g
エチレングリコールジメタクリレート 5.8g
【0099】
得られた粒子分散液を別途3,000mLのフラスコに移し、合成容器内(フラスコ及び撹拌翼)の付着物を確認したところ、殆ど凝集物等は見られず、綺麗な状態であった。
次に、公知の吸引ろ過設備にて粒子分散液をろ過し、得られたろ物について、さらにメタノールにて洗浄−ろ過を5回繰り返した後、真空乾燥し、ポリマー粒子A5を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出してSEMにて形状を観察したところ、図3に示されるように、表層部及び表面に平均粒径1.2μmの粒子が付着した扁平楕円状ポリマー粒子であった。
その扁平部の平均長径(LAV)は35μm、扁平部の平均短径(DAV)は8μm、平均厚さ(TAV)は2μmであった。なお、異物について確認したが、凝集物やくっつき等の変形物は殆ど見られなかった。
【0100】
[実施例1−6]
2,000mLフラスコに、下記に示した各成分を一括で仕込み、室温で1時間撹拌した。この際、液相は水系相部分と乳化相部分と油系相部分の各相が交じり合う状態であり、そのpHを測定したところ7であった。
次に、オイルバス温度を75℃に設定し、窒素気流下で加熱、撹拌(400rpm)を開始し、8時間重合反応を行ってメタクリル酸メチル−エチレングリコールジメタクリレート共重合体粒子分散液を得た。なお、加熱開始前の反応液のpHは7、加熱開始2時間後の反応液のpHは2であり、反応終了時点の反応液のpHは1であった。
【0101】
水 912.0g
エタノール 62.2g
ポリプロピレングリコール(♯3000) 68.0g
ポリビニルピロリドン(K−15) 58.0g
ショ糖ラウリル酸エステル 12.0g
2,2′−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(油溶性)1.8g
過硫酸アンモニウム(水溶性) 4.2g
メタクリル酸メチル 555.0g
エチレングリコールジメタクリレート 5.6g
【0102】
得られた粒子分散液を別途3,000mLのフラスコに移し、合成容器内(フラスコ及び撹拌翼)の付着物を確認したところ、殆ど凝集物等は見られず、綺麗な状態であった。
次に、公知の吸引ろ過設備にて粒子分散液をろ過し、得られたろ物について、さらにメタノールにて洗浄−ろ過を5回繰り返した後、真空乾燥し、ポリマー粒子A6を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出してSEMにて形状を観察したところ、表層部及び表面に平均粒径0.8μmの粒子が付着した扁平楕円状ポリマー粒子であった。
その扁平部の平均長径(LAV)は58μm、扁平部の平均短径(DAV)は4μm、平均厚さ(TAV)は2μmであった。なお、異物について確認したが、凝集物やくっつき等の変形物は殆ど見られなかった。
【0103】
[実施例1−7]
2,000mLフラスコに、下記に示した各成分を一括で仕込み、室温で1時間撹拌した。この際、液相は水系相部分と乳化相部分と油系相部分の各相が交じり合う状態であり、そのpHを測定したところ7であった。
次に、オイルバス温度を80℃に設定し、窒素気流下で加熱、撹拌(400rpm)を開始し、8時間重合反応を行ってメタクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル共重合体粒子分散液を得た。なお、加熱開始前の反応液のpHは7、加熱開始2時間後の反応液のpHは2であり、反応終了時点の反応液のpHは1であった。
【0104】
水 1116.0g
メタノール 124.0g
ポリプロピレングリコール(♯3000) 85.0g
ポリビニルピロリドン(K−15) 7.5g
ソルビターンモノオレート 12.5g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(油溶性)4.6g
過硫酸アンモニウム(水溶性) 6.9g
メタクリル酸メチル 368.0g
メタクリル酸グリシジル 92.0g
【0105】
得られた粒子分散液を別途3,000mLのフラスコに移し、合成容器内(フラスコ及び撹拌翼)の付着物を確認したところ、殆ど凝集物等は見られず、綺麗な状態であった。
次に、公知の吸引ろ過設備にて粒子分散液をろ過し、得られたろ物について、さらにメタノールにて洗浄−ろ過を5回繰り返した後、真空乾燥し、ポリマー粒子A7を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出してSEMにて形状を観察したところ、表層部及び表面に平均粒径4.6μmの粒子が付着した扁平楕円状ポリマー粒子であった。
その扁平部の平均長径(LAV)は83μm、扁平部の平均短径(DAV)は22μm、平均厚さ(TAV)は4μmであった。なお、異物について確認したが、凝集物やくっつき等の変形物は殆ど見られなかった。
なお、得られた粒子の一部をフーリエ変換赤外分光光度計で測定したところ、波数910(1/cm)のエポキシ基に由来するピークが合成前に比べて減少していることが確認された。
【0106】
[比較例1−1]
実施例1−1において、アゾビスイソブチロニトリルを用いず、過硫酸アンモニウムの使用量を14.0gに変更した以外は、実施例1−1と同様な方法でポリメタクリル酸メチル粒子分散液を得た。なお、加熱開始前の反応液のpHは7、加熱開始2時間後の反応液のpHは2であり、反応終了時点の反応液のpHは1であった。
得られた粒子分散液を別途3,000mLのフラスコに移し、合成容器内(フラスコ及び撹拌翼)の付着物を確認したところ、殆ど凝集物等は見られず、綺麗な状態であった。
次に、公知の吸引ろ過設備にて粒子分散液をろ過し、得られたろ物について、さらにメタノールにて洗浄−ろ過を5回繰り返した後、真空乾燥し、ポリマー粒子B1を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出してSEMにて形状を観察したところ、図3,4に示されるように、扁平部分を有しない楕円状ポリマー粒子であり、その平均長径(LAV)は28μm、平均アスペクト比(PAV)は4.3であった。なお、異物について確認したが、凝集物やくっつき等の変形物は殆ど見られなかった。
【0107】
[比較例1−2]
実施例1−1において、過硫酸アンモニウムを用いず、アゾビスイソブチロニトリルの使用量を14.0gに変更した以外は、実施例1−1と同様な方法でポリメタクリル酸メチル粒子分散液を得た。なお、加熱開始前の反応液のpHは7、加熱開始2時間後の反応液のpHも7であった。
得られた粒子分散液を別途3,000mLのフラスコに移し、合成容器内(フラスコ及び撹拌翼)の付着物を確認したところ、フラスコ周り及び撹拌翼にポリマーが析出した凝集物の塊が見られた。
次に、公知の吸引ろ過設備にて粒子分散液をろ過し、得られたろ物について、さらにメタノールにて洗浄−ろ過−分級を5回繰り返した後、真空乾燥し、ポリマー粒子B2を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出してSEMにて形状を観察したところ、扁平部分を有しない楕円状ポリマー粒子であり、その平均長径(LAV)は52μm、平均アスペクト比(PAV)は3.7であった。
【0108】
[比較例1−3]
2,000mLフラスコに、下記に示した各成分を一括して仕込み、ディスパー分散翼で1,000rpmで懸濁液を作製し、窒素気流下、オイルバス温度80℃で8時間加熱・撹拌し、粒子分散液を得た。その後、遠心分離を5回繰り返し分級・洗浄操作を行い、平均粒子径が5μmのポリメタクリル酸メチル単一の球状ポリマー粒子B3を作製した。
水 1386.5g
メタクリル酸メチル 173.4g
ラウリルパーオキサイド 8.6g
ポリビニルピロリドン(K−30) 17.3g
【0109】
[比較例1−4]
ポリビニルピロリドン(K−30)の使用量を1/2に変更した以外は、比較例1−3と同様の方法で、平均粒子径が100μmのポリメタクリル酸メチル単一の球状ポリマー粒子B4を作製した。
【0110】
上記各実施例及び比較例で得られたポリマー粒子の形状、粒子成分、体積平均粒子径(MV)、扁平部の平均長径(LAV)、扁平部の平均短径(DAV)、平均厚さ(TAV)、アスペクト比(L/D)の平均(P1AV)、アスペクト比(D/T)の平均(P2AV)、及びアスペクト比(L/T)の平均(P3AV)について表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
また、上記各実施例及び比較例で得られたポリマー粒子の比表面積(SB)、理論上の比表面積(SD)とその比、嵩密度、吸水量、及び吸油量について表2に示す。
【0113】
【表2】
【0114】
[評価試験1]官能試験及び付着力評価
上記実施例1−1〜1−3および比較例1−1〜1−4で作製された、同成分のポリマー粒子A1〜A3、B1〜B4について、下記手法にて、肌触り、滑り性及び粒子付着力の評価を行った。結果を表3に示す。
(1)肌触り
各粒子を皮膚上に伸ばした際の感触を下記基準にて評価した。
(2)滑り性
黒色合皮上に各粒子1gを載せて、指で伸ばした際の長さを下記基準にて評価した。
(3)粒子付着力
黒色合皮上に各粒子1gを載せて、パフで均等に伸ばした後、合皮を3回たたき、粒子の残存量をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製VHX200)で観察し、下記基準にて評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:標準、×:不良
【0115】
【表3】
【0116】
表3に示されるように、肌触り、滑り性について、扁平楕円状ポリマー粒子は、扁平部分を有しないポリマー粒子と同等以上の性質を有し、また、粒子付着力について、扁平楕円状ポリマー粒子の方が、扁平部を有しないポリマー粒子よりも格段に優れていることがわかる。
【0117】
[評価試験2]架橋粒子の耐熱性試験
上記実施例1−5,1−6,1−7および比較例1−1,1−3で作製された、ポリマー粒子A5(架橋粒子),A6(架橋粒子),A7(架橋粒子)およびB1,B3について、下記手法にて、耐熱性の評価を行った。
(4)耐熱性
アルミシャーレに各ポリマー粒子0.5gを入れ、乾燥機内で表4に示される条件で2時間熱を加えた後、目視による粒子の溶融を確認するとともに、SEMにより形状の確認を行い、それぞれ下記基準で評価した。それらの評価結果を表4に示す。
目視:○;大きな変化なし、△;一部溶融、×;溶融
SEM:1;作製粒子の形状である、2;一部粒子形状維持、3;粒子形状なし
【0118】
【表4】
【0119】
[評価試験3]架橋粒子の耐薬品性試験
上記実施例1−5,1−6,1−7および比較例1−1,1−3で作製された、ポリマー粒子A5(架橋粒子),A6(架橋粒子),A7(架橋粒子)およびB1,B3について、下記手法にて、耐薬品性の評価を行った。
(5)耐薬品性
300mLフラスコに各ポリマー粒子1gと表5の溶媒99g(1質量%)を入れ、27℃(300K)で30分間撹拌した後、目視による粒子の分散状態の確認を行うとともに、SEMにより形状の確認を行い、それぞれ下記基準で評価した。それらの評価結果を表5に示す。なお、表5において、DMFは、ジメチルホルムアミドを、MEKはメチルエチルケトンを、DPGはジプロピレングリコールを表す(以下同様)。
目視:○;分散、△;一部分散、×;溶解
SEM:1:作製粒子の形状である、2:変形あり、3:粒子の形状なし
【0120】
【表5】
【0121】
[評価試験4]架橋粒子の耐熱薬品性試験
上記実施例1−5,1−6,1−7および比較例1−1,1−3で作製された、ポリマー粒子A5(架橋粒子),A6(架橋粒子),A7(架橋粒子)およびB1,B3について、下記手法にて、耐熱薬品性の評価を行った。
(6)耐熱薬品性
300mLフラスコに各ポリマー粒子1gと表6の溶媒99g(1質量%)を入れ、70℃で2時間撹拌した後、目視による粒子の分散状態の確認を行うとともに、SEMにより形状の確認を行い、それぞれ下記基準で評価した。それらの評価結果を表6に示す。
目視:○;分散、△;一部分散、×;溶解
SEM:1:作製粒子の形状である、2:変形あり、3:粒子の形状なし
【0122】
【表6】
【0123】
表4〜6に示されるように、実施例1−5,1−6,1−7で作製された架橋扁平楕円状ポリマー粒子は、扁平楕円形状の特性を生かしつつ、耐熱性、耐薬品性、耐熱薬品性をも有し、それらの特性が必要な用途へも応用可能であることがわかる。
【0124】
[2]光学測定分散液の作製及びその評価
[実施例2−1]
上記実施例1−1で作製したポリマー粒子A1 0.015gと、精製水14.985gとを混合し、0.1質量%のポリマー粒子分散液1を作製した。
【0125】
[実施例2−2〜2−7,比較例2−1〜2−4]
ポリマー粒子A1を、ポリマー粒子A2〜A7、B1〜B4にそれぞれ変更した以外は、実施例2−1と同様にして0.1質量%のポリマー粒子分散液2〜11を作製した。
【0126】
[評価試験5]
分散液1〜11をそれぞれ付属の石英セルに注入し、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製UV−2450、以下、紫外可視分光光度計という)を用いて、波長360nm、500nm、600nm、700nmにおける粒子分散時の透過光分析を行った。結果を表7に示す。
【0127】
【表7】
【0128】
表7に示されるように、実施例1−1〜1−7で作製した扁平楕円状ポリマー粒子を用いた実施例2−1〜2−7の分散液では、扁平部分をもたないポリマー粒子を用いた比較例2−1〜2−4の分散液より優れた拡散効果が得られていることがわかる。
【0129】
[3]光学測定シートの作製及びその評価
[実施例3−1]
実施例1−1で得られたポリマー粒子A1 15.0g、バインダー樹脂((株)クラレ製PVA樹脂)35.0g、及び精製水75.0gを混合して光学測定シート用組成物を調製した。この組成物を、厚み100μmのPETフィルム(東洋紡(株)製E−5000)の片面に市販のバーコーターを使用してコーティングした後、乾燥機を60℃に設定し20分間熱風乾燥を行い、塗工層の厚みが40μmの光学シート1を作製した。
【0130】
[実施例3−2〜3−7、比較例3−1〜3−4]
ポリマー粒子A1を、ポリマー粒子A2〜A7、B1〜B4に変更した以外は、実施例3−1と同様にして組成物及び光学シート2〜11を作製した。
【0131】
[評価試験6]
紫外可視分光光度計を用いて、光学シート1〜11について、波長360nm、500nm、600nm、700nmにおける透過光分析を行った。結果を表8に示す。
【0132】
【表8】
【0133】
表8に示されるように、光学シートにおいても、扁平楕円状ポリマー粒子を用いた例(実施例3−1〜3−7)では、扁平部分をもたないポリマー粒子を用いた例(比較例3−1〜3−4)よりも優れた拡散効果が得られることがわかる。また、実施例3−1〜3−7で作製した光学シートでは、UV領域から可視光領域において散乱効果が高いことから、隠蔽性にも優れていることがわかる。
【0134】
[評価試験7]
同成分の粒子を用いている、上記実施例3−3、比較例3−1,3−3で作製した同光学シート3,8,10について、自動変角光度計((株)村上色彩技術研究所製Gonio Photometer GP-200)を用い、入射角45°で光を一定量照射し、反射光の光散乱分布を測定した。結果を図6に示す。
図6に示されるように、扁平楕円状ポリマー粒子は、球状はもちろん扁平部分をもたない楕円状ポリマー粒子より優れた反射散乱効果が得られることがわかる。
【0135】
[4]皮膚洗浄用組成物の作製及び評価
[実施例4−1及び比較例4−1,4−2]
上記実施例1−1、比較例1−1,1−3で得られたポリマー粒子A1,B1,B3を用い、下記表9の組成にしたがって、皮膚洗浄用組成物(洗浄用組成物1〜3)を作製した。
【0136】
【表9】
【0137】
[評価試験8]
作製した洗浄用組成物について、下記手法により評価を行った。結果を表10に示す。
パネラーとして10人を選定し、皮膚洗浄用組成物を用いて洗顔による使用試験を行い、使用感1、使用感2、起泡性、皮膚の汚れ・角質除去効果、マッサージ効果、刺激性の6項目を下記基準にて各々評価し、それに基づき総合的にスクラブ剤としての評価を行った。
〔使用感1〕使用中の塗心地の良さ及び肌へのなじみ
〔使用感2〕洗浄剤を洗い流した後のスクラブ剤の残留感や肌のツッパリ感の少なさ
〔起泡性〕洗浄剤を使用した際の泡立ちと泡持ちの良さ
〔皮膚の汚れ・角質除去効果〕使用後の化粧料の落ち具合
〔マッサージ効果〕洗浄後に肌のくすみ解消、顔色の改善、血行促進等のマッサージ効果を感じるかどうか
〔刺激性〕洗浄剤を洗い流した後の赤味やヒリヒリ感等の少なさ
[各項目別評価基準]
◎:効果あり(好感触)[8名以上が高評価]
○:効果認められる(やや好感触)[6〜7名が高評価]
□:効果認められる(やや好感触)[4〜5名が高評価]
△:効果があまりない(やや不感触)[2〜3名が高評価]
×:効果なし(不感触)[1名以下が高評価]
[点数評価]
◎:8点
○:6点
□:4点
△:2点
×:0点
[総合評価]
A:37点以上
B:25〜36点
C:13〜24点
D:12点以下
【0138】
【表10】
【0139】
表10に示されるように、扁平楕円状ポリマー粒子は身体洗浄用組成物の添加剤(素材)としても有用であることがわかる。
【0140】
[5]メイクアップ組成物の作製及び評価
[実施例5−1,5−2及び比較例5−1,5−2]
上記実施例1−2、実施例1−3、比較例1−2,1−3で得られたポリマー粒子A2,A3,B2,B3を用い、下記表11の組成にしたがって、メイクアップ組成物(ファンデーション1〜4)を作製した。
【0141】
【表11】
【0142】
[評価試験9]
パネラーとして10人を選定し、ファンデーション1〜4について使用感や使用前後の差を「肌への付着性」、「塗布時のフィット感」、「使用感触」、「ソフトフォーカス性」、「化粧効果の持続性(4時間)」の5項目を総合的に評価し、化粧品配合可否について以下のA〜Eで評価した。
A:ファンデーション1がよい
B:ファンデーション2がよい
C:ファンデーション3がよい
D:ファンデーション4がよい
E:いずれも同じ
その結果、パネラーの評価は
A:3名
B:4名
C:3名
D:0名
E:0名
であった。
なお、ファンデーション1,2については「肌への付着性」、「ソフトフォーカス性」、「化粧効果の持続性(4時間)」が特に優れ、総合的な仕上がりが良いという意見が多かった。ファンデーション3については、ファンデーション1,2と類似する使用感、仕上りであるとの意見が多かった。一方、ファンデーション4については、「肌への付着性」、「化粧効果の持続性(4時間)」に欠けるとの意見が多かった。
【0143】
以上のように、本発明の製法により得られる扁平楕円状ポリマー粒子は凝集物等の異物も少なく、安定的に効率よく製造できるとともに、架橋性の粒子も安定的に作製できるため、様々な用途へ応用可能である。
また、扁平楕円状ポリマー粒子は楕円状ポリマーの特性を保持しているのに加え、扁平状であるがゆえに得られる様々な特性をも有しているため、塗料、インク、成形品、化粧品、焼成空孔化成形物等のポリマー粒子が必要とされる用途へ有効に活用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7