特許第6809391号(P6809391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809391
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】噴射装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20201221BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   F01N3/08 BZAB
   B01D53/94 222
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-118601(P2017-118601)
(22)【出願日】2017年6月16日
(65)【公開番号】特開2019-2362(P2019-2362A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 慶子
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−086792(JP,A)
【文献】 特表2010−519025(JP,A)
【文献】 特開2005−000814(JP,A)
【文献】 実開平04−118133(JP,U)
【文献】 特開2016−133089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08〜 3/38
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路を構成する排気管内に設けられた選択還元型触媒装置の上流側に設けられ、尿素水溶液またはジエチルアミン水溶液を噴射する噴射部と、
前記噴射部により噴射された前記尿素水溶液に由来する白色生成物が前記排気管内に堆積したか否かについて判定する判定部と、
前記判定部により前記白色生成物が堆積したと判定された場合、前記ジエチルアミン水溶液を噴射するように前記噴射部を制御する噴射制御部と、
を備える噴射装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記排気管内における前記選択還元型触媒装置の下流側を通過する排気ガスのNOx濃度が所定濃度以上である場合、前記白色生成物が堆積したと判定する、
請求項1に記載の噴射装置。
【請求項3】
前記噴射制御部は、前記判定部により前記白色生成物が堆積していないと判定された場合、前記排気ガスの温度が所定温度以上であるとき、前記尿素水溶液を噴射するように前記噴射部を制御する、
請求項2に記載の噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやバス等の車両に搭載されるディーゼルエンジンの排気ガス中のNOxを浄化するための排気ガス浄化システムとして、尿素水等を還元剤として用いてNOxを窒素と水に還元する選択触媒還元(SCR:Selective Catalytic Reduction)システムが開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
選択触媒還元システムは、尿素水タンクに貯留された尿素水を選択還元型触媒装置(SCR)上流の排気管に供給し、排気ガスの熱で尿素を加水分解してアンモニアを生成し、このアンモニアによって選択還元型触媒装置内の触媒でNOxを還元するものである。尿素水は、例えば排気通路に設けられた尿素水インジェクタによって適量が噴射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−303826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、排気管に噴射された尿素水溶液が原因で以下のような不具合が生じる場合があった。すなわち、内燃機関の低負荷運転時など排気ガスの温度が低い場合(例えば、200〜250℃)、尿素水溶液の噴射量が異常に多い場合、排気ガスの流量が少ないのに尿素水溶液の噴射が連続した場合などには、尿素水溶液の加水分解が不十分となる。この場合、尿素水インジェクタの噴口付近、尿素水溶液を排気ガス中に攪拌するために尿素水インジェクタとSCRとの間に配置されるミキサーの表面、または、SCRの表面に、尿素水溶液が加水分解する際に生じるシアヌル酸などに代表される白色生成物が多く付着して堆積する。白色生成物が堆積すると、例えば排気管内が閉塞し、SCRの浄化性能が低下することにより、所望の排気ガス浄化処理が実施できないおそれがある。
【0006】
従来技術では、白色生成物が堆積した場合には、内燃機関を停止した後に洗剤を用いて白色生成物の洗浄処理を行っていた。また、排気ガス中に燃料を供給して、燃料中の炭化水素をDOCで酸化させ、排気ガスを400〜500℃程度に昇温させることにより白色生成物の熱分解処理を行っていた。しかしながら、上記処理は、あくまで白色生成物が堆積した後に行われる後処理であり、当該後処理を行わなくても済むように、白色生成物が堆積することを抑制する技術が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、白色生成物が堆積することを抑制して所望の排気ガス浄化処理を実施することが可能な噴射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る噴射装置は、
内燃機関の排気通路を構成する排気管内に設けられた選択還元型触媒装置の上流側に設けられ、尿素水溶液またはジエチルアミン水溶液を噴射する噴射部と、
前記噴射部により噴射された前記尿素水溶液に由来する白色生成物が前記排気管内に堆積したか否かについて判定する判定部と、
前記判定部により前記白色生成物が堆積したと判定された場合、前記ジエチルアミン水溶液を噴射するように前記噴射部を制御する噴射制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、白色生成物が堆積することを抑制して所望の排気ガス浄化処理を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態における車両の構成を示す図である。
図2】本実施の形態における噴射制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態における車両1の構成を示す図である。図1に示すように、トラックやバス等の車両1には、内燃機関10と、排気系20と、制御部40(具体的には、DSU)とが搭載されている。排気系20および制御部40は、排気ガス浄化システムとして機能する。
【0012】
まず、内燃機関10の構成について説明する。内燃機関10は、例えばディーゼルエンジンである。内燃機関10の燃焼室11において、燃料噴射インジェクタ13は、燃焼室11内に燃料を噴射する。なお、燃料噴射インジェクタ13は、燃焼室11の吸気ポートに燃料を噴射しても良い。燃料の噴射は、ECM(図示せず)により制御される。また、燃焼室11内の燃料は、ピストン19の動作により圧縮されて燃焼する。
【0013】
吸気バルブ15および排気バルブ17は、開閉可能に構成される。吸気バルブ15が開くことで、吸気用配管50からの新気が燃焼室11に吸入される。また、排気バルブ17が開くことで、燃焼室11で燃料が燃焼して生じた排気ガスが排気系20(具体的には、排気管21)に送り出される。
【0014】
次に、排気系20の構成について説明する。排気系20は、例えば車両1の下部に設けられ、主に金属製の排気管21を有する。この排気管21は、内燃機関10において燃料の燃焼により生じた排気ガスを大気中(車外)に導く。
【0015】
また、排気管21の途中には、排気ガスを浄化(無害化)するために、様々な後処理装置が設けられている。本実施の形態では、後処理装置として、DOC(酸化触媒)23Aと、DPF23Bと、SCR23C(本発明の「選択還元型触媒装置」に対応)と、ASC23Dとが設けられている。
【0016】
DOC23Aは、金属製の担持体に、ロジウム、酸化セリウム、白金、酸化アルミニウム等を担持して形成される。DOC23Aは、排気ガスに含まれる炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)を分解除去する。また、DOC23Aは、排気ガスに含まれるNOxの大半を占める一酸化窒素(NO)を酸化して二酸化窒素(NO2)を生成する機能も有している。この機能を利用することで、SCR23CのNOx浄化効率を向上することが可能になる。
【0017】
排気管21において、DOC23Aの上流側(具体的には、排気ガスの流れ方向における上流側)には、一時的に排気ガス中に燃料を供給して、燃料中の炭化水素(HC)をDOC23Aで酸化させ、その酸化反応熱を利用して排気ガスを昇温する燃料供給部22(燃料供給インジェクタ)が配置されている。
【0018】
DPF23Bは、多孔質セラミック製のハニカムのチャンネル(セル)の入口と出口を交互に目封じしたモノリスハニカム型のウオールフローフィルタから形成される。DPF23Bは、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集除去する。
【0019】
排気管21において、DPF23Bよりも下流側(具体的には、排気ガスの流れ方向における下流側)であって、SCR23Cよりも上流側には、尿素水溶液またはジエチルアミン水溶液を選択的に噴射(具体的には、噴霧)するためのインジェクタ24(本発明の「噴射部」に対応)が設けられている。
【0020】
インジェクタ24から噴射される尿素水溶液は、尿素水溶液タンク30に貯留されている。また、インジェクタ24から噴射されるジエチルアミン水溶液は、ジエチルアミン水溶液タンク31に貯留されている。ジエチルアミン水溶液タンク31に貯留されているジエチルアミン水溶液における水とジエチルアミンとの割合は、例えば4:1である。当該割合は、ジエチルアミン水溶液が後述する白色生成物に噴射された場合に、当該白色生成物をより好適に溶解して消失できるように実験等により求められた割合である。
【0021】
尿素水溶液タンク30およびジエチルアミン水溶液タンク31は、バルブ29を介してポンプ28に接続されている。バルブ29は、制御部40の制御を受けて、尿素水溶液タンク30とポンプ28との間を連通させるか、または、ジエチルアミン水溶液タンク31とポンプ28との間を連通させるかを切り替える。
【0022】
バルブ29により尿素水溶液タンク30とポンプ28との間が連通している場合、ポンプ28は、制御部40の制御を受けて、尿素水溶液タンク30から尿素水溶液を吸引し、インジェクタ24に圧送する。インジェクタ24に圧送される尿素水溶液には、圧縮空気が供給され、インジェクタ24から噴射される。
【0023】
一方、バルブ29によりジエチルアミン水溶液タンク31とポンプ28との間が連通している場合、ポンプ28は、制御部40の制御を受けて、ジエチルアミン水溶液タンク31からジエチルアミン水溶液を吸引し、インジェクタ24に圧送する。インジェクタ24に圧送されるジエチルアミン水溶液には、圧縮空気が供給され、インジェクタ24から噴射される。
【0024】
排気管21において、インジェクタ24よりも下流側には、インジェクタ24から噴射された尿素水溶液を排気ガス中に攪拌して均等に拡散させるミキサー25が設けられている。
【0025】
排気管21において、SCR23Cの入口近傍には温度センサ26が設けられている。温度センサ26は、尿素水溶液の噴射の制御等に用いられ、排気ガスの温度を検出し、当該温度を示す信号を制御部40に出力する。
【0026】
SCR23Cは、例えば円柱形状を有し、セラミックで作製されたハニカム担体を有する。ハニカム壁面には、例えばゼオライトやバナジウム等の触媒が担持またはコーティングされる。
【0027】
上記のようなSCR23Cは、排気管21において、DPF23Bの下流側に配置される。また、排気管21においてDPF23BとSCR23Cとの間には、還元剤としての尿素水溶液が、インジェクタ24により噴射され、DPF23Bを通過した排気ガスに供給される。その結果、尿素水溶液がアンモニアに加水分解される。アンモニアを含む排気ガスがSCR23C表層付近で、触媒の作用により窒素酸化物(いわゆるNOx)が窒素と水に反応する(還元反応)。これにより、排気ガス中の窒素酸化物が浄化される。
【0028】
ここで、加水分解は、SCR23Cを通過する排気ガスの温度が所定温度(例えば、200℃)以上で起こる。したがって、本実施の形態では、インジェクタ24は、SCR23Cに流入する排気ガスの温度が200℃以上の場合に、尿素水溶液を排気管21内の排気ガスに供給する。尿素水溶液の噴射は制御部40により制御される。なお、所定温度(200℃)は、排気系20の設計開発段階での実験・シミュレーション等により、アンモニアとNOxとの反応温度等を考慮しつつ適宜適切に定められる。
【0029】
ASC23D(アンモニアスリップ触媒)は、後段酸化触媒であって、DOC23Aと同様の構成を有しており、排気管21においてSCR23Cの直ぐ下流に配置される。ASC23Dは、主として、SCR23Cにおいて還元反応に使用されずにスリップしてきたアンモニアが大気中に放出されないように、スリップしてきたアンモニアを酸化し除去する。それ以外にも、ASC23Dは、SCR23Cと同様の機能を有する場合もある。
【0030】
排気管21において、ASC23Dの下流側には濃度センサ27が設けられている。この濃度センサ27は、ASC23Dを通過した排気ガスに含まれるNOxの濃度を検出し、当該濃度を示す信号を制御部40に出力する。
【0031】
以上の各後処理装置で排気ガスを処理して生成される水、窒素、二酸化炭素は、マフラー(図示せず)等を介して、大気中に排出される。
【0032】
ところで、内燃機関10の低負荷運転時など排気ガスの温度が低い場合、尿素水溶液の噴射量が異常に多い場合、排気ガスの流量が少ないのに尿素水溶液の噴射が連続した場合などには、尿素水溶液の加水分解が不十分となる。この場合、インジェクタ24の噴口付近、ミキサー25の表面、SCR23Cの表面に、尿素水溶液が加水分解する際に生じる白色生成物(ビュウレット、シアヌル酸、アンメリン、アンメリド、メラミン)が多く付着して堆積する。白色生成物が堆積すると、例えば排気管21内が閉塞し、SCR23Cの浄化性能が低下し、所望の排気ガス浄化処理が実施できないおそれがある。
【0033】
そこで、本実施の形態では、制御部40は、インジェクタ24により噴射された尿素水溶液に由来する白色生成物が排気管21内に堆積したか否かについて判定し、白色生成物が堆積したと判定した場合、ジエチルアミン水溶液を噴射するように制御を行う。噴射されたジエチルアミン水溶液は、インジェクタ24の噴口付近、ミキサー25の表面、SCR23Cの表面に堆積している白色生成物を溶解し消失させる。その結果、白色生成物が堆積することを抑制して所望の排気ガス浄化処理を実施することができる。
【0034】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ等を備える。CPUは、ROMから制御プログラムを読み出してRAMに展開し、展開した制御プログラムと協働して各種処理の実行を制御する。
【0035】
図1に示すように、制御部40は、温度取得部41、濃度取得部42、判定部43および噴射制御部44を備える。
【0036】
温度取得部41は、温度センサ26から出力された信号を入力し、排気管21を通過する排気ガスの温度を取得する。
【0037】
濃度取得部42は、濃度センサ27から出力された信号を入力し、排気管21を通過する排気ガスに含まれるNOxの濃度を取得する。
【0038】
判定部43は、インジェクタ24により噴射された尿素水溶液に由来する白色生成物が排気管21内に堆積したか否かについて判定する。本実施の形態では、判定部43は、濃度取得部42により取得された濃度が所定濃度以上である場合、白色生成物が排気管21内に堆積したと判定する一方、濃度取得部42により取得された濃度が所定濃度未満である場合、白色生成物が排気管21内に堆積していないと判定する。ここで、濃度取得部42により取得された濃度が所定濃度以上である場合とは、インジェクタ24の噴口付近、ミキサー25の表面、SCR23Cの表面にある程度の量の白色生成物が堆積し、SCR23Cの浄化性能が低下しているため、SCR23Cの下流側のNOxの濃度が、SCR23Cの浄化性能の低下分だけ通常よりも高い濃度となっている場合である。
【0039】
噴射制御部44は、判定部43により白色生成物が排気管21内に堆積したと判定された場合、特にミキサー25の表面に向けて、ジエチルアミン水溶液を噴射するようにインジェクタ24、ポンプ28およびバルブ29を制御する。
【0040】
次に、図2のフローチャートを参照し、本実施の形態における制御部40の噴射制御処理例について説明する。図2の噴射制御処理は、内燃機関10が稼働している間、所定時間が経過する毎に実行される。
【0041】
まず、濃度取得部42は、濃度センサ27から出力された信号を入力し、排気管21を通過する排気ガスに含まれるNOxの濃度を取得する(ステップS100)。次に、判定部43は、濃度取得部42により取得された濃度が所定濃度以上であるか否かについて判定する(ステップS120)。
【0042】
判定の結果、濃度取得部42により取得された濃度が所定濃度以上である場合(ステップS120、YES)、判定部43は、インジェクタ24により噴射された尿素水溶液に由来する白色生成物が排気管21内に堆積したと判定する。そして、噴射制御部44は、ジエチルアミン水溶液を噴射するようにインジェクタ24、ポンプ28およびバルブ29を制御する(ステップS140)。ステップS140の処理が完了することによって、制御部40は、図2における処理を終了する。
【0043】
一方、濃度取得部42により取得された濃度が所定濃度以上でない場合(ステップS120、NO)、温度取得部41は、温度センサ26から出力された信号を入力し、排気管21を通過する排気ガスの温度を取得する(ステップS160)。次に、判定部43は、温度取得部41により取得された温度が所定温度以上であるか否かについて判定する(ステップS180)。ここで、所定温度は、インジェクタ24から噴射された尿素水溶液がアンモニアに加水分解される温度(本実施の形態では200℃)である。
【0044】
判定の結果、温度取得部41により取得された温度が所定温度以上でない場合(ステップS180、NO)、制御部40は、図2における処理を終了する。一方、温度取得部41により取得された温度が所定温度以上である場合(ステップS180、YES)、噴射制御部44は、尿素水溶液を噴射するようにインジェクタ24、ポンプ28およびバルブ29を制御する。ステップS200の処理が完了することによって、制御部40は、図2における処理を終了する。
【0045】
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、噴射装置は、内燃機関10の排気通路を構成する排気管21内に設けられた選択還元型触媒装置(SCR23C)の上流側に設けられ、尿素水溶液またはジエチルアミン水溶液を噴射する噴射部(インジェクタ24)と、噴射部により噴射された尿素水溶液に由来する白色生成物が排気管21内に堆積したか否かについて判定する判定部43と、判定部43により白色生成物が堆積したと判定された場合、ジエチルアミン水溶液を噴射するように噴射部を制御する噴射制御部44とを備える。
【0046】
このように構成した本実施の形態によれば、制御部40は、インジェクタ24により噴射された尿素水溶液に由来する白色生成物が堆積したと判定した場合、ジエチルアミン水溶液を噴射される。これにより、噴射されたジエチルアミン水溶液は、インジェクタ24の噴口付近、ミキサー25の表面、SCR23Cの表面に堆積している白色生成物を溶解し消失させる。その結果、白色生成物が堆積することを抑制して所望の排気ガス浄化処理を実施することができる。
【0047】
なお、上記実施の形態において、排気管21内におけるSCR23Cの下流側を通過する排気ガスのNOx濃度が所定濃度以上である場合、白色生成物が堆積したと判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、内燃機関10の低負荷運転時など排気ガスの温度が低い場合、尿素水溶液の噴射量が異常に多い場合、排気ガスの流量が少ないのに尿素水溶液の噴射が連続した場合などの条件を満たす場合に、白色生成物が堆積したと判定しても良い。
【0048】
また、上記実施の形態では、インジェクタ24が尿素水溶液またはジエチルアミン水溶液を選択的に噴射する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、尿素水溶液を噴射するインジェクタと、ジエチルアミン水溶液を噴射するインジェクタとを分けて設けても良い。
【0049】
また、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、白色生成物が堆積することを抑制して所望の排気ガス浄化処理を実施することが可能な噴射装置として有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 車両
10 内燃機関
11 燃焼室
13 燃料噴射インジェクタ
15 吸気バルブ
17 排気バルブ
19 ピストン
20 排気系
21 排気管
22 燃料供給部
23A DOC
23B DPF
23C SCR
23D ASC
24 インジェクタ
25 ミキサー
26 温度センサ
27 濃度センサ
28 ポンプ
29 バルブ
30 尿素水溶液タンク
31 ジエチルアミン水溶液タンク
40 制御部
41 温度取得部
42 濃度取得部
43 判定部
44 噴射制御部
50 吸気用配管
図1
図2