(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補助アンテナが、前記インレイよりも長い長手方向に沿って直線状に形成されるとともに、前記ループ回路に重ねられる突出部が延設される請求項2記載のRFタグ。
前記補助アンテナが、前記インレイよりも長い長手方向に沿って直線状に形成されるとともに、前記ループ回路の一部が露出する切り欠き部を備える請求項2記載のRFタグ。
前記補助アンテナの前記インレイよりも長い長手方向の端部の少なくとも一方が、当該補助アンテナの長手方向と交差する方向に延設される請求項1乃至4のいずれか一項記載のRFタグ。
前記補助アンテナの前記インレイよりも長い長手方向の端部の少なくとも一方が、当該補助アンテナの長手方向に対して傾斜する方向に延設される請求項1乃至5のいずれか一項記載のRFタグ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るRFタグの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るRFタグを示す、インレイを筐体内に収納した完成状態の斜視図であり、
図2及び3は、同じく本発明の一実施形態に係るRFタグの分解斜視図である。
また、
図4は、本発明の一実施形態に係るRFタグの一部断面正面図である。
さらに、
図5は、本発明の一実施形態に係るRFタグのインレイ及び補助アンテナを示す平面図であり、(a)はインレイを、(b)は補助アンテナを示しており、(c)は補助アンテナをインレイのループ回路の一部に重ねて積層した状態を示している。
【0014】
これらの図に示すように、本実施形態に係るRFタグ1は、無線通信を行うRFタグを構成するインレイ10が筐体50内に収納されて保護される構造のRFタグであり、筐体50によってインレイ10が保護されることにより、耐候性や耐熱性・防水性等が高められるようになっている。
具体的には、本実施形態に係るRFタグ1は、
図2に示すように、ICチップ11とアンテナ12を備えたインレイ10と、インレイ10と絶縁状態で積層される面状の補助アンテナ20と、補助アンテナ20が積層されたインレイ10が搭載される基台となるとともに、搭載されたインレイに対する誘電率調整層として機能する誘電率調整プレート30と、補助アンテナ20が積層されたインレイ10が搭載された状態で誘電率調整プレート30を内部に収納する筐体50とを備えた構成となっている。なお、本実施形態では、誘電率調整プレート30の上面に、補助アンテナ20,インレイ10の順に搭載・積層されるようになっているが、誘電率調整プレート30にインレイ10を搭載した後に、インレイ10の上面に補助アンテナ20を積層することもできる。
【0015】
そして、本実施形態に係るRFタグ1では、インレイ10のアンテナ12が、ICチップ11の近傍にループ回路(ループ部11a)を形成しており、補助アンテナ20は、ループ回路の一部に重ねて配置されるとともに、インレイ10のアンテナ12の少なくとも一部が露出するように、当該インレイ10の長手方向に沿って配置されるようになっている。
さらに、補助アンテナ20の長手方向の長さが、インレイ10の長手方向の長さより大きく形成されるとともに、補助アンテナ20のインレイ10よりも長い長手方向の端部の少なくとも一方が、当該補助アンテナ20が積層されるインレイ10の裏面側に折り曲げられるようになっている。
以下、各部を詳細に説明する。
【0016】
[インレイ]
インレイ10は、図示しないリーダ・ライタ(読取・書込装置)との間で無線による所定の情報の読み取りや書き込み,読み書きが行われるRFタグを構成しており、例えばリードオンリー型,ライトワンス型,リード・ライト型等の種類がある。
具体的には、インレイ10は、
図2及び
図5(a)に示すように、ICチップ11と、ICチップ11に電気的に導通・接続されたアンテナ12とを有し、これらICチップ11及びアンテナ12が、基材となる例えばPET樹脂等で形成された1枚の封止フィルム13上に搭載,形成された後、もう1枚の封止フィルム13が重ね合わされて、2枚の封止フィルム13によって挟持された状態で封止・保護されている。
本実施形態では、ICチップ11とICチップ11の両側に伸びるアンテナ12を長方形状の封止フィルム13で挟持・封止した、長手方向に帯状に伸びる矩形状のインレイ10を用いている。
【0017】
ICチップ11は、メモリ等の半導体チップからなり、例えば数百ビット〜数キロビットのデータが記録可能となっている。
ICチップ11には、チップ周囲を囲むようにループ状の回路導体が接続されてループ部11aが形成されており、このループ部11aを経由して、ICチップ11の左右両側にアンテナ12が接続されている。
そして、このアンテナ12及び後述する補助アンテナ20を介して図示しないリーダ・ライタとの間で無線通信による読み書き(データ呼び出し・登録・削除・更新など)が行われ、ICチップ11に記録されたデータが認識されるようになっている。
ICチップ11に記録されるデータとしては、例えば、商品の識別コード、名称、重量、内容量、製造・販売者名、製造場所、製造年月日、使用期限等、任意のデータが記録可能であり、また、書換も可能である。
【0018】
アンテナ12は、基材となる1枚の封止フィルム13の表面に、例えば導電性インクや導電性を有するアルミ蒸着膜等の金属薄膜をエッチング加工等により所定の形状・大きさ(長さ,面積)に成形することで形成される。
封止フィルム13は、例えばポリエチレン,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン,ポリイミド,ポリ塩化ビニル(PVC),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS)等の可撓性を有するフィルム材からなり、封止するICチップ11・アンテナ12が外部から視認可能な透明のPET樹脂等で構成されることが好ましい。また、封止フィルム13の片面側のフィルム表面には、基材や物品への貼り付けができるように粘着層・接着層を備えることができる。
【0019】
インレイ10で使用される通信周波数帯としては、例えば所謂UHF帯に属する860M〜960MHz帯を対象とすることができる。
一般にRFタグで使用される周波数帯としては、例えば、135kHz以下の帯域、13.56MHz帯、UHF帯に属する860M〜960MHz帯、2.45GHz帯等の数種類の周波数帯がある。そして、使用される周波数帯によって無線通信が可能な通信距離が異なるとともに、周波数帯によって最適なアンテナ長などや配線パターンが異なってくる。
【0020】
本実施形態では、インレイ10が小型化でき、また、後述する補助アンテナ20を備えることによって、波長が短くアンテナが小型化できるUHF帯を対象とすることができ、例えば860MHz帯や920MHz帯を対象とすることができ、これらの周波数帯において良好な通信特性が得られるようにすることが可能となる。
但し、インレイ10や補助アンテナ20の大きさの制約等がなければ、本発明に係る技術思想自体は、特定の周波数帯に限定されるものではなく、例えばUHF帯以外の任意の周波数帯域についても適用できることは勿論である。
【0021】
[補助アンテナ]
前記補助アンテナ20は、上述したインレイ10の通信特性を向上・調整するためのアンテナとして機能するものであり、
図2〜3及び
図5(b)に示すように、インレイ10の片面側(本実施形態では底面側)に積層配置される面状の導電性部材からなり、封止フィルム13によって樹脂封止されたインレイ10とは絶縁状態となっている。
すなわち、インレイ10は、封止フィルム13によって全体が樹脂封止されており、導電性部材からなる補助アンテナ20とは物理的には絶縁状態となっている。そして、このような補助アンテナ20がインレイ10に直接積層されることで、補助アンテナ20とインレイ10のICチップ11は、封止フィルム13を介して対向配置されるようになり、所謂コンデンサカップリングによって電気的接続がなされるようになる。
【0022】
これによって、インレイ10には補助アンテナ20が縦方向(高さ方向)に積層されることで、インレイ10のアンテナ12と補助アンテナ20により二次元アンテナが構成され、補助アンテナ20が通信電波のブースターとして機能することになり、インレイ10の通信特性の調整・向上が図られることになる。
ここで、補助アンテナ20は、例えば導電性を有する金属薄膜をトムソン刃による抜き切断加工等により所定の形状・大きさ(長さ,面積)に成形することで形成することができる。また、エッチングやパターン印刷などによって補助アンテナ20を形成することもできる。
【0023】
そして、本実施形態では、このような補助アンテナ20が、
図2〜3及び
図5(c)に示すように、インレイ10のループ部11a(ループ回路)の一部に重ねて配置されるとともに、インレイ10のアンテナ12の他の部分については、少なくとも一部が露出するように、インレイ10の長手方向に沿って配置されるように、インレイ10と同様に長手方向に伸びる矩形面状に形成されるようになっている。
図5(c)に、補助アンテナ20をインレイ10のループ部11aの一部に重ねて積層した状態を例示する。
【0024】
このように、補助アンテナ20を、まずインレイ10のループ部11aに重ねて配置させることで、インレイ10と補助アンテナ20との間でインピーダンス整合を図ることができる。
インレイ10のICチップ11近傍にはループ回路が形成されているが(ループ部11a)、このループ部11aは、インピーダンス整合を図る目的があり、かつ、磁界成分での通信を行うために設けられており、この磁界成分を補助アンテナ20の導体により阻害しないようにする必要がある。
そこで、本実施形態では、
図5(c)に示すように、補助アンテナ20をインレイ10に重ねて積層するにあたり、インレイ10のループ部11aに対して補助アンテナ20を構成する導電性部材によってインピーダンス整合が阻害されないように、補助アンテナ20をループ部11aの一部にのみ重ねて配置するようにしてある。
【0025】
一方、補助アンテナ20は、
図5(c)に示すように、ループ部11aと重ねられる部分を除いて、インレイ10のアンテナ12が広範囲に露出するように、インレイ10の長手方向に沿ってアンテナ12とほぼ平行に配置されるようなっている。このようにインレイ10のアンテナ12を広範囲に露出させることで、インレイ10のアンテナ12それ自体も、補助アンテナ20とは別個に、RFタグ1のアンテナとして機能させることができるようになる。
これによって、インレイ10のアンテナ12と補助アンテナ20の2つのアンテナを機能させることができ、RFタグ1を、インレイ10のアンテナ12と補助アンテナ20とで、例えばそれぞれ異なる周波数帯域で無線通信を行わせることが可能となる。
【0026】
さらに、本実施形態では、補助アンテナ20は、
図5(c)に示すように、長手方向の長さが、インレイ10の長手方向の長さより大きく形成されるようになっている。
そして、補助アンテナ20のインレイ10よりも長い長手方向の端部の少なくとも一方が、
図3に示すように、当該補助アンテナ20が積層されるインレイ10の裏面側に折り曲げられるようになっている。
【0027】
ここで、金属薄膜で形成される補助アンテナ20は、アンテナ長は長い程通信特性が向上する。このため、補助アンテナ20は、長手方向の長さを通信電波のほぼ1/2波長の長さに形成することが好ましい。
一方、補助アンテナ20の長さに合わせて、RFタグ1の全体の長さを、例えば通信電波の1/2波長とすると、寸法が長くなり過ぎる(大き過ぎる)ことになり、小型化が要請されるRFタグの性質上好ましくない。
【0028】
そこで、本実施形態では、まず、補助アンテナ20の長辺の長さを、
図5(c)に示すように、無線通信に使用する電波周波数の波長の略1/2の長さとなるように形成する。
ここで、「略1/2」とは、電波周波数の波長に対して厳密に「1/2(0.5)」である場合は勿論のこと、概ね「1/2」であってもよく、例えば1/2波長の±20%の範囲(0.4〜0.6)等であっても、本発明に係る「略1/2」に該当する。
その上で、補助アンテナ20のインレイ10よりも長くなる長手方向の端部の少なくとも一方、すなわち、長手方向の両端又はいずれか一端を、
図3,4に示すように、補助アンテナ20が積層されるインレイ10の裏面側に折り曲げるようにしてある。
【0029】
図3,4に示す例では、インレイ10と補助アンテナ20が基台となる誘電率調整プレート30に積層された状態において、補助アンテナ20の両端部20a,20bが誘電率調整プレート30の長手方向両端から均等に突出するように配置し、この突出する両端部20a,20bを、誘電率調整プレート30の裏面側に折り曲げるようにしている。
このようにすることで、補助アンテナ20を、インレイ10の通信電波に対応させてほぼ1/2波長の長さに形成することで、良好な通信特性が得られるようにしつつ、補助アンテナ20の端部を折り曲げることで、RFタグ1の長さを、例えばコアとなるインレイ10とほぼ同じ長さにすることができ、RFタグ1の小型化の要請にも対応することができるようになる。
【0030】
インレイと補助アンテナを積層する、誘電率調整プレートは波長短縮効果を生み、このプレートを利用することで、見かけの波長が短縮されることになる。その誘電率はおよそ「2〜4」である。従って、本実施形態における補助アンテナ20の長辺の長さもおよその値であり、略λ/2の値となっていれば十分であり、RFタグ1の筐体50の材質、タグの使用環境,使用態様等による通信特性の変化に応じて長さが前後することはある。
補助アンテナ20の具体的な長さや形状,配置,折り曲げ方法等については、
図5〜9等を参照しつつ後述する。
【0031】
なお、インレイ10に対してデータの読み書きが行われる際に補助アンテナ20に流れる電流は、面状の補助アンテナ20の周縁部分にしか流れない(表皮効果)。
そこで、補助アンテナ20は、特に図示しないが、長手方向に伸びる矩形・面状の周縁外形を有していれば、面状部分を例えばメッシュ(網目)状,格子状等に形成することができる。
このように補助アンテナ20をメッシュ状等に形成することで、表皮効果によりアンテナとしての機能は損なわれず、かつ、補助アンテナ20の全体の導体部分の面積を少なくすることができ、補助アンテナ20を形成する導電性インク等の導体材料を節減でき、RFタグ1の更なる低コスト化を図ることができるようになる。
【0032】
[筐体・誘電率調整プレート]
筐体50は、内部に上述したインレイ10を収納することで、当該インレイ10を保護するための保護手段であり、筐体内部にインレイ10を搭載した誘電率調整プレート30が着脱可能に収納されるようになっている。
この筐体50によってインレイ10が保護されることにより、RFタグとしての耐候性や耐熱性・防水性等が高められるようになる。
【0033】
具体的には、筐体50は、
図1〜4に示すように、補助アンテナ20が積層されたインレイ10が搭載された誘電率調整プレート30を移動不能に収納する空間となる凹部51a(
図4参照)を備えた筐体本体51と、筐体本体51の凹部51aの開口部分を蓋して閉止・密閉する蓋部52とを備えた、全体が矩形直方体形状となっている。
なお、筐体50の外形は、内部に補助アンテナ20が積層されたインレイ10が搭載された誘電率調整プレート30が収納できる限り、外形の形状・構造等は変更可能であり、例えばRFタグ1を使用する物品の構造や大きさ、タグの使用状態等に応じて筐体50の外形は適宜設計・変更することができる。
【0034】
誘電率調整プレート30は、補助アンテナ20が積層されたインレイ10が搭載される基台となるとともに、搭載されたインレイ10に対する誘電率調整層として機能するものであり、筐体本体51の凹部51aに対して着脱可能かつ移動不能に係合して筐体50内に収納される板状部材からなっている。具体的には、
図2,3に示すように、積層されるインレイ10とほぼ同じ長さで、インレイ10と補助アンテナ20を長手方向に沿って並べて搭載可能な幅を有する矩形・板状に形成されている。
そして、この誘電率調整プレート30の長手方向両端から、補助アンテナ20の長手方向の両端部20a,20bが均等に突出するように配置されることで、
図3に示すように、突出した補助アンテナ20の両端部20a,20bが、そのまま誘電率調整プレート30の裏面側に折り曲げるようになる。
この誘電率調整プレート30が筐体本体51の凹部51aに係合して移動不能に保持され、インレイ10及び補助アンテナ20が筐体内に収納・保持されることになる。
【0035】
蓋部52は、誘電率調整プレート30を収納・係合させた状態の凹部51aの開口部分に嵌合して、凹部51aの開口全体を閉止する板状の蓋部材となっている。
本実施形態では、筐体本体51の凹部51aは、補助アンテナ20が積層され端部が折り曲げられた状態のインレイ10を搭載した誘電率調整プレート30の全体が収まる深さを有し、さらに、誘電率調整プレート30に重ねられた状態で蓋部52が嵌合してピッタリと収まる深さを有している(
図4参照)。
【0036】
また、凹部51aは、開口縁部に沿って段部が形成してあり、一方、蓋部52には周縁に沿ってフランジ状の段部が形成されており、凹部51aと蓋部52との段部同士が当接・嵌合することにより、凹部51aを閉止した状態で蓋部52が筐体本体51の裏面とほぼ同一面(所謂面一)となるように形成されている(
図1(b)及び
図4参照)。
凹部51aの開口に嵌合・閉止した蓋部52は、例えば超音波融着や熱融着、接着剤等によって、筐体本体51と接合され、筐体50は外部から密閉・封止される。
そして、筐体本体51が蓋部52によって密閉された状態で、筐体50はRFタグ1を使用する物品・対象物に対して、例えば接着剤やネジ止め等で取り付けられたり、物品・対象物の所定箇所に設置・嵌合されたりして使用される。
【0037】
また、誘電率調整プレート30と蓋部52には、凹部51aに収納・係合した状態において互いに係合する凹凸構造となる、凸部30aと穴部52aとが対応する位置に設けることができる。
本実施形態では、
図2〜4に示すように、誘電率調整プレート30と蓋部52の互いに対向する面に、それぞれ長手方向中心線に沿った二箇所に、誘電率調整プレート30側に凸部30a,30aが、蓋部52側に穴部52a,52aが形成してある。
これら凸部30aと穴部52aとが係合することにより、誘電率調整プレート30は凹部51a内の所定位置に位置合わせされつつ蓋部52によって保持されることになり、筐体50内に確実かつ堅固に保持・収納されることになる(
図4参照)。
【0038】
ここで、筐体50及び誘電率調整プレート30を形成する材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂,アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES)樹脂,ポリプロピレン樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリスチレン樹脂,アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリフェレニンサルファイド樹脂,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,ポリウレタン樹脂,フッ素樹脂,シリコーン樹脂などの熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー等の樹脂材料がある。
本実施形態では、耐候性や耐熱性,耐水性等に優れ、インレイ10の通信特性に合わせ後述する誘電率調整プレート30の形成,加工等も容易であることから、特に耐候AES樹脂又は耐候ポリカーボネート樹脂で、誘電率調整プレート30を含む筐体50を形成するようにしてある。
【0039】
また、上記のような樹脂材料で形成される筐体50を構成する筐体本体51及び蓋部52は、同一の樹脂材料により形成することが好ましい。
上述のように、筐体本体51と蓋部52とは、凹部51の開口が蓋部52によって閉止された後、例えば超音波融着等の手段により接合されるようになっている。
このため、筐体本体51と蓋部52とを同一の樹脂材料で形成することにより、融着や接着により接合する場合に、より確実かつ堅固に両者を接合することができるようになる。
但し、筐体本体51と蓋部52とを接合・封止できる限り、両者を別材料で形成することも可能である。
【0040】
また、以上のような誘電率調整プレート30が、補助アンテナ20が積層されたインレイ10の通信特性を調整する所定の誘電率となる形状に形成することができ、これによって、誘電率調整プレート30に対して搭載・積層されたインレイ10に対する誘電率調整層として機能するようになっている。
例えば、誘電率調整プレート30は、所定の厚みで形成されるとともに、インレイ10が搭載される搭載面の所定箇所に、誘電率調整プレート30を貫通する一又は二以上の貫通部(貫通孔)を設けることができる。
【0041】
このように貫通部を形成することで、誘電率調整プレート30は、搭載されるインレイ10に対して部分的に誘電体を配置させることができるようになる。
これによって、使用するインレイ10の種類や通信特性,筐体50や誘電率調整プレート30の材質,RFタグ1を使用する物品・使用環境・使用周波数帯域などの諸条件を考慮して、誘電率調整プレート30に適宜貫通部を形成することで、誘電率調整プレート30のみを選択・交換することで、RFタグ1を異なる物品に使用したり、異なる通信周波数に対応させたりすることが可能となる。
【0042】
例えば、特に図示はしないが、誘電率調整プレート30のほぼ中心に、インレイ10のICチップ11及びループ部11aに対応する位置に、インレイ10の幅(短手方向の長さ)より一回り大きい矩形状の貫通部を形成したり、この中央の貫通部を挟んだ両側の対象位置には、それぞれ別の貫通部を形成したりするようにする。
このような誘電率調整プレート30に形成する貫通部の位置や形状,大きさ,数などは、誘電率調整プレート30や筐体50を形成する樹脂材料の種類、インレイ10の通信特性や通信周波数、RFタグ1を使用する物品や使用環境,使用地域などの条件を考慮・勘案して設計・変更することができる。
【0043】
具体的には、例えば筐体50(筐体本体51・蓋部52)と誘電率調整プレート30の双方を耐候AES樹脂で形成する場合と、筐体50(筐体本体51・蓋部52)と誘電率調整プレート30の双方を耐候ポリカーボネート樹脂で形成する場合とでは、誘電率調整プレート30に形成する貫通部の孔の位置や形状,大きさ,数等は異なったものとなる。
【0044】
そして、本実施形態では、筐体50(筐体本体51・蓋部52)と誘電率調整プレート30を形成する樹脂材料が異なるのみで、他はまったく同一の構成・形状・寸法とすることができる。
また、
図2に示すように、誘電率調整プレート30は、上述したような貫通部を形成せず、孔等のない完全な板状に形成することもできる。このような誘電率調整プレート30によれば、インレイ10に対して片面側の全面に所定の誘電率を有する誘電率調整層(誘電率調整プレート30)が配置されることになり、これによってインレイ10が良好な通信特性を得られる設計となっている。
【0045】
このように、誘電率調整プレート30は、誘電率調整プレート30や筐体50を形成する樹脂材料,インレイ10の通信特性,RFタグ1を使用する物品,使用状況等に応じて、適宜設計・変更することができ、適宜貫通部を設けたり、そのような貫通部をまったく設けないようにすることができる。
従って、貫通部の形成を含む誘電率調整プレート30の設計・調整のし易さや通信特性の安定性等の観点からは、誘電率調整プレート30は、筐体本体51及び蓋部52と同一の樹脂材料により形成することが好ましい。
勿論、RFタグ1としての最適な通信特性が得られる場合には、誘電率調整プレート30と、筐体本体51及び蓋部52とを、別々の樹脂材料で形成することは可能である。
【0046】
[インレイ・補助アンテナの積層パターン]
次に、以上のような構成からなる本実施形態に係るRFタグ1の、補助アンテナ20のインレイ10のアンテナ12への具体的な積層パターンについて、
図5〜7等を参照しつつ後述する。
まず、
図5(c)で示したように、本実施形態では、補助アンテナ20が、インレイ10のループ部11a(ループ回路)の一部に重ねて配置されるとともに、インレイ10のアンテナ12の他の部分については広範囲に露出するように、インレイ10の長手方向に沿って配置されることを基本構成としている。
そして、補助アンテナ20の長手方向の長さが通信電波の略1/2波長となるように設定されている。
【0047】
具体的には、
図5に示す例では、補助アンテナ20が、インレイ10よりも長い長手方向に沿って直線状に形成されるとともに、インレイ10の中心に位置するループ部11aの長手方向の下端縁に沿って重ねられる突出部21が、補助アンテナ20のほぼ中心にインレイ10側に突出するように延設されるようになっている。
このような補助アンテナ20によれば、突出部21の上端縁が、インレイ10のループ部11aの下端縁に沿って重ねられるとともに、それ以外の部分では、補助アンテナ20とインレイ10とは重ならないように配設することできる。
これによって、インレイ10のアンテナ12は、ループ部11aの下端縁を除いて、補助アンテナ20が積層されることなく広く露出するようになり、インレイ10のアンテナ12それ自体が、補助アンテナ20とは別個に、RFタグ1のアンテナとして機能することができるようになる。
従って、インレイ10のアンテナ12と補助アンテナ20の2つのアンテナを、それぞれ異なる周波数帯域において無線通信を行わせるアンテナとして使用することが可能となる(
図11参照)。
【0048】
ここで、補助アンテナ20の平面形状としては、
図5に示す形態に限定されるものではなく、インレイ10の特性や通信周波数などに応じて、例えば
図6に示すような補助アンテナ20を採用することもできる。
図6(a)〜(e)は、それぞれ本発明の一実施形態に係る補助アンテナの形状が異なる例を示す平面図である。
これら
図6(a)〜(e)に示す補助アンテナ20においても、それぞれ長手方向の長さが全長で通信電波の略1/2波長となるように設定されている。
【0049】
図6(a)に示す補助アンテナ20では、
図5で示した補助アンテナ20に対して、突部21と対向する縁部(下縁)の中央に凹形状の切り欠きを備えるようになっている。
また、
図6(b)に示す補助アンテナ20は、
図5で示した補助アンテナ20に対して、突部21の両側に凹形状の切り欠きが備えられている。
このように、補助アンテナ20の中心部近傍に凹部や切り欠きを設けることで、インレイ10のループ部11aに対するインピーダンス整合を調整することができ、インレイ10の特性や通信周波数などに応じて、より適切・最適な補助アンテナ20を実現することができるようになる。
【0050】
また、
図6(c)に示す補助アンテナ20は、
図5で示した補助アンテナ20に対して、補助アンテナ20のインレイよりも長い長手方向の両端部20a,20bが、補助アンテナ20の長手方向と交差する方向(下向き)に延設されるようになっている。
また、
図6(d)に示す補助アンテナ20は、
図6(c)で示した補助アンテナ20に対して、長手方向と交差する方向(下向き)に延設した両端部20a,20bを、さらに長手方向に沿ってアンテナ中心に向かって延設されるようになっている。
このように、補助アンテナ20の端部を長手方向と交差する方向に延設・曲折形成することで、補助アンテナ20の長手方向の長さを例えば通信電波の略1/2波長に保ちつつ、長手方向に伸びる長さを更に短くすることができ、RFタグ1の全体の長さを短くすることが可能となる。
【0051】
また、このように補助アンテナ20の端部を曲折形成する場合には、インレイ10よりも外側に突出する端部も、補助アンテナ20の長手方向と交差する方向に突出するようになるので、インレイ10の裏面側に折り返される部分は、補助アンテナ20の長手方向に沿って折り曲げられるようになる(後述する
図8参照)。
なお、
図6(c),(d)に示すような、補助アンテナ20の長手方向と交差する方向に曲折形成される端部は、補助アンテナ20の少なくともいずれか一方の端部のみをそのように形成することもでき、また、補助アンテナ20の両端部をそのように構成することもできる。
【0052】
さらに、
図6(e)に示す補助アンテナ20は、
図5で示した補助アンテナ20に対して、補助アンテナ20のインレイ10よりも長い長手方向の端部20a,20bが、補助アンテナ20の長手方向に対して、インレイ10側(上側)に傾斜する方向に延設・曲折形成されるようになっている。
このようにすると、補助アンテナ20の端部20a,20bを裏面側に折り返した場合に、端部20a,20bがインレイ10側に傾斜していることから、折り返し部分が裏面側においてインレイ10側(上側)に斜めに折り返されることになる。このため、折り返し部分が例えば基台となる誘電率調整プレート30の縁部からはみ出すことがなくなり、きれいに折り返すことができるようになる。
なお、この
図6(e)に示す補助アンテナ20の傾斜する端部についても、補助アンテナ20の少なくともいずれか一方の端部のみをそのように形成することもでき、また、補助アンテナ20の両端部をそのように構成してもよい。
【0053】
また、以上のような補助アンテナ20だけでなく、インレイ10についても異なる形状・構成等のものを採用することができ、また、それに応じて、補助アンテナ20の形状や配置等も異ならせることができる。
例えば
図7に示すようなインレイ10や補助アンテナ20とすることもできる。
図7(a)〜(d)は、それぞれ本発明の一実施形態に係るインレイと補助アンテナの形状及び積層形態が異なる例を示す平面図である。
【0054】
同図に示す例では、インレイ10として、アンテナ12やループ部11aの形状・構成が異なる複数種類のインレイ10に対して、
図7(a)に示すように、
図5で示したものと同様の突部21を備えた補助アンテナ20や、
図7(b)〜(d)に示すように、突部21や凹部・切り欠き等を備えない直線帯状の補助アンテナ20を、インレイ10の長手方向の縁部(上縁又は下縁)に重ねて配置するようにしてある。
このように、補助アンテナ20を、インレイ10の長手方向に沿って重ねて積層・配置しても、インレイ10のアンテナ12の露出面積が確保されていれば、インレイ10のアンテナ12を有効に機能させることができるため、本発明に係るRFタグ1の構成として採用することができる。
【0055】
[インレイ・補助アンテナの一部カット]
さらに、以上のようなインレイ10及び補助アンテナ20は、インレイ10の一部をカットして、RFタグ1の更なる小型化と通信特性の調整・向上等を図ることもできる。
図8は、本発明の一実施形態に係るRFタグのインレイ及び補助アンテナの長手方向の一端側をカットした場合の平面図であり、(a)はインレイを、(b)は補助アンテナを示している。
【0056】
同図に示すように、インレイ10は、ループ部11aを残して、アンテナ12の一部(長手方向一側)を、例えば
図8(a),(b)で示す破線位置でカット(切断)することができる。
また、補助アンテナ20は、インレイ10よりも長い長手方向に沿って直線状に形成されるとともに、インレイ10のループ回路11aの一部が露出する切り欠き部22を備えるようになっている。
そして、カットされたインレイ10に合わせて、補助アンテナ20の一部(長手方向一側)をカットすることができる。
【0057】
このようにすることで、インレイ10を本来の長手方向の長さより短くすることができる。また、インレイ10のアンテナ12の一部をカットして切り落とすことで、折り曲げられたインレイ10(アンテナ12)がループ部11aの裏側に重なってしまうことが防止でき、ループ部11aを有効に機能させることができるようになる。
そして、一部をカットして短くなったインレイ10の長さまでRFタグ1の全体の長さを短くすることができるとともに、補助アンテナ20は、長手方向の長さをインレイ10よりも長い所定の長さを確保しつつ、インレイ10よりも長くなる端部の一端又は両端を、裏面側に折り返すことができる。
【0058】
図8(c)〜(e)は、
図8(a)及び(b)に示した一部を切り落としたインレイ10と補助アンテナ20を誘電率調整プレート30に搭載・積層する形態が異なる例を示す平面図である。
同図に示すように、基台となる誘電率調整プレート30は、一部をカットしたインレイ10が搭載可能な長さを有しており、かつ、補助アンテナ20の両端又は一端が突出する長さとなっている。従って、誘電率調整プレート30の端部から突出した補助アンテナ20の両端又は一端が、裏面側に折り返されることになる。
【0059】
具体的には、
図8(c)では、補助アンテナ20の長手方向両端を折り返し部として誘電率調整プレート30から突出させており、補助アンテナ20の両端部をインレイ10(誘電率調整プレート30)の裏面側に折り返すことになる。
一方、
図8(d)及び(e)は、補助アンテナ20の長手方向のいずれか一方の端部のみを誘電率調整プレート30から突出させており、この場合には、
図8(d)ではインレイ10のループ部11a側に突出する補助アンテナ20の端部が折り返され、
図8(e)ではインレイ10のアンテナ12の端部側に突出する補助アンテナ20の端部が折り返されるようになっている。
このようにして、インレイ10及び補助アンテナ20の一部をカットすることで、長手方向の長さをより短くすることができ、RFタグ1の更なる小型化・短尺化を図ることができるようになる。
【0060】
[補助アンテナの折り曲げ方向]
以上のようなRFタグ1は、インレイ10より長く形成される補助アンテナ20を裏面側に折り返す折り曲げ方向として、
図9に示すように、二方向に折り曲げることができる。
まず、
図9(a)に示すように、長手方向に沿って直線状に形成された補助アンテナ20は、その両端(又は一端)が、インレイ10(及び誘電率調整プレート30)の端部から突出することになる。
この場合には、補助アンテナ20の端部(両端又は一端)は、
図9(a)に示すように、長手方向と交差する方向に沿って折り曲げられて、インレイ10(誘電率調整プレート30)の裏面側に折り返されるようになる。
【0061】
一方、
図9(b)に示すように、長手方向の両端部(又は一端部)が、長手方向と交差する方向に曲折形成された補助アンテナ20は、その両端(又は一端)が、インレイ10(及び誘電率調整プレート30)の長手方向の縁部(上縁又は下縁)から突出することになる。
この場合には、補助アンテナ20の端部(両端又は一端)は、
図9(b)に示すように、長手方向に沿って折り曲げられて、インレイ10(誘電率調整プレート30)の裏面側に折り返されるようになる。
このように、補助アンテナ20の折り曲げ方向は、補助アンテナ20の形状やインレイ10(誘電率調整プレート30)からの突出方向などに応じて、適切な方向に折り曲げることができるものである。
【0062】
[通信特性]
次に、以上のような構成からなる本実施形態に係るRFタグ1の通信特性について、
図10を参照しつつ説明する。
図10(a),(b),(c)は、それぞれ本発明の一実施形態に係るRFタグの通信特性を示す、通信距離と周波数の関係を示す折れ線グラフである。
まず、
図10(a)は、
図5,6に示した一部がカットされていないインレイ10及び補助アンテナ20を備えたRFタグ1の通信距離と周波数の関係を示している。
同図に示すように、4つのRFタグ1は、それぞれ、800〜820MHz帯において1つ目の通信距離のピーク(約5〜9m)が得られるようになっており、これはインレイ10のアンテナ12によるものである。
そして、4つのRFタグ1は、インレイ10のアンテナ12のピークとは別に、それぞれ、860M〜960MHz帯・900M〜920MHz帯・940M〜960MHz帯・960M〜980MHz帯において、2つ目の通信距離のピーク(約4m・6〜7m・7〜8m・8〜9m)が得られることがわかる。これは補助アンテナ20によるものである。
【0063】
一方、
図10(b),(c)は、
図8で示した一部がカットされたインレイ10及び補助アンテナ20を備えたRFタグ1の通信距離と周波数の関係を示している。
これらの図に示すように、インレイ10及び補助アンテナ20の一部をカットしたRFタグ1では、インレイ10・補助アンテナ20のカットする位置やカット後の外形の寸法形状、補助アンテナ20に設ける切り欠き部22の寸法形状に応じて、周波数帯を所定の範囲に調整できることが分かる。
いずれの場合にも、通信距離として2つのピークが得られるようになっており、低い周波数帯域がインレイ10のアンテナ12によるもの、高い周波数帯域が補助アンテナ20によるものとなっている。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のRFタグ1によれば、インレイ10のアンテナ12によって形成されるループ部11a(ループ回路)の一部に補助アンテナ20が重ねて配置されるとともに、インレイ10のアンテナ12の他の部分は、補助アンテナ20に覆われることなく広範囲に露出するように配置されるようになっている。
また、補助アンテナ20は、長辺(長手方向)の長さを無線通信に使用する電波周波数の波長の略1/2の長さとしつつ、インレイ10の長手方向の長さより大きく(長く)なる補助アンテナ20の端部20a,20bは、少なくとも一方がインレイ10の裏面側に折り曲げられるように構成される。
【0065】
このような構成からなるRFタグ1によれば、補助アンテナ20をインレイ10に重ねて積層しても、インレイ10のループ部11aに対して補助アンテナ20がインピーダンス整合を阻害することなく、かつ、インレイ10のアンテナ12が補助アンテナ20によって覆われることなく広範囲に露出されることで、インレイ10のアンテナ12それ自体を、補助アンテナ20とともにRFタグ1のアンテナとして機能させることができるようになる。
これによって、インレイ10のアンテナ12と補助アンテナ20の2つのアンテナを機能させることができ、RFタグ1を、インレイ10のアンテナ12と補助アンテナ20とで、それぞれ異なる周波数帯域において良好な通信特性で無線通信を行わせることが可能となる。
【0066】
このように本実施形態では、ICチップ11とアンテナ12を備えたインレイ10に対して面状に広がる補助アンテナ20を積層配置して、所定の筐体50に収納して外的環境から保護しつつ、インレイ10のアンテナ12と補助アンテナ20の双方を有効に機能させることができ、異なる複数の周波数帯域での無線通信を可能とすることができる。
従って、RFタグ1の通信特性が影響を受けやすい電気メータや、RFタグ1の通信周波数として使用可能な周波数帯域が異なる国や地域にまたがって使用される貨物用コンテナなどに好適なRFタグを実現することができ、RFタグとしての汎用性や拡張性を格段に向上させることができるようになる。
【0067】
また、インレイ10を構成するICチップ11やアンテナ12が異なることで通信周波数が異なる場合や、同一のICチップ11及びアンテナ12の構成からなるインレイ10が、例えば使用可能な通信周波数帯域が異なる国や地域で使用される場合にも、誘電率調整プレート30を変更・調整することにより対応することができるようになる。
これにより、例えばそのような国や地域にまたがって運搬・使用等される例えば貨物用コンテナにRFタグ1を使用する場合にも、誘電率調整プレート30のみを交換することにより、筐体50やインレイ10は共通のものを使用しつつ、異なる複数の通信周波数にも対応することが可能となる。
【0068】
従って、このような本実施形態のRFタグ1によれば、従来のRFタグのように特定の金属物品や通信周波数のみに固定的・専用的に対応した構造や材質で、通信周波数や使用態様,使用地域等が異なる場合にはRFタグの構成要素の全てを変更して作り直さなければならないという問題を解消することができ、例えば、筐体50内に収納するインレイ10や補助アンテナ20,誘電率調整プレート30等を変更するだけで対応することができるようになり、RFタグ1を使用する物品やRFタグ1の通信周波数や使用環境が異なる場合にも、誘電率調整プレート30を交換・変更するのみで対応が可能となる。
このように、本実施形態のRFタグ1によれば、様々な物品や通信周波数,使用環境等に適合したRFタグ1を提供することができ、RFタグ全体の製造コストを低減することができるとともに、既存の汎用インレイを積極的に使用することができ、タグ全体を安価に構成でき、汎用性、拡張性に優れ、低コストで良好な通信特性が得られる金属対応のRFタグを実現することができる。
【0069】
以上、本発明のRFタグ及び金属容器について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るRFタグは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明に係るRFタグを使用する物品として、電気メータや貨物用コンテナを例にとって説明したが、本発明のRFタグを使用できる物品,対象物としては、電気メータやコンテナに限定されるものではない。
すなわち、RFタグが使用され、リーダ・ライタを介して所定の情報・データが読み書きされる物品,対象物であれば、どのような物品・対象物であっても本発明に係るRFタグを適用することができる。
【0070】
この明細書に記載の文献及び本願のパリ優先の基礎となる日本出願明細書の内容を全てここに援用する。