特許第6809497号(P6809497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809497
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】印刷装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/36 20060101AFI20201221BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   B41J3/36 T
   B41J11/70
【請求項の数】10
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2018-56870(P2018-56870)
(22)【出願日】2018年3月23日
(65)【公開番号】特開2019-166738(P2019-166738A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2019年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】加藤 肇
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−063071(JP,A)
【文献】 特開2016−137627(JP,A)
【文献】 特開平07−251983(JP,A)
【文献】 特開2009−229539(JP,A)
【文献】 特開2014−108621(JP,A)
【文献】 特開2014−233958(JP,A)
【文献】 特開2012−196860(JP,A)
【文献】 特開2004−243617(JP,A)
【文献】 特開2010−195021(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0146968(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/36
B41J 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷媒体に印刷データを印刷する印刷手段と、
前記印刷データが印刷された前記被印刷媒体を切断する切断手段と、
前記被印刷媒体が前記切断手段によって切断されてなるラベル全体の長さが閾値以上になるか否かを判断する判断手段と、
前記ラベル全体の長さを調整する制御手段と、
を備え、
前記閾値は、前記被印刷媒体における前記印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う領域とが一体的に保持された状態で前記切断手段が行うハーフカットが不可になる長さに基づく長さであり、
前記印刷手段によって第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷する場合に、
前記判断手段は、前記第1印刷データと前記第2印刷データとが印刷されたラベル全体の長さが前記閾値以上であるか否かを判断し、
前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行わず、
前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行う、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
被印刷媒体に印刷データを印刷する印刷手段と、
前記印刷データが印刷された前記被印刷媒体を切断する切断手段と、
前記被印刷媒体が前記切断手段によって切断されてなるラベル全体の長さが閾値以上になるか否かを判断する判断手段と、
前記ラベル全体の長さを調整する制御手段と、
を備え、
前記閾値は、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離であり、
前記印刷手段によって第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷する場合に、
前記判断手段は、前記第1印刷データと前記第2印刷データとが印刷されたラベル全体の長さが前記閾値以上であるか否かを判断し、
前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行わず、
前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行う、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
被印刷媒体に印刷データを印刷する印刷手段と、
前記印刷データが印刷された前記被印刷媒体を切断する切断手段と、
前記被印刷媒体が前記切断手段によって切断されてなるラベル全体の長さが閾値以上になるか否かを判断する判断手段と、
前記ラベル全体の長さを調整する制御手段と、
を備え、
前記閾値は、前記被印刷媒体における前記印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う別の領域とが一体的に保持された状態で前記切断手段が行うハーフカットが不可になる長さと、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離の長さとに基づき設定され、
前記印刷手段によって第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷する場合に、
前記判断手段は、前記第1印刷データと前記第2印刷データとが印刷されたラベル全体の長さが前記閾値以上であるか否かを判断し、
前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行わず、
前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行う、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ラベル全体の長さが前記判断手段によって前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記被印刷媒体の先端から前記印刷データを印刷する印刷領域までの余白領域の長さを調整する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記被印刷媒体を搬送する搬送手段をさらに備え、
前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以下になると判断された場合、前記制御手段は、前記ラベル全体の長さが閾値を超える長さになるように、前記搬送手段による被印刷媒体の搬送の長さを調整する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記切断手段は、前記ラベル全体の長さが前記閾値以上であると判断された場合は、前記第1印刷データを印刷する第1印刷領域と前記第2印刷データを印刷する第2印刷領域との間にハーフカットを行う
ことを特徴とする請求項に記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷装置の制御方法であって、該印刷装置が、
第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷した被印刷媒体が切断されてなるラベル全体の長さが、前記被印刷媒体における前記第1印刷データと前記第2印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う領域とが一体的に保持された状態で切断手段が行うハーフカットが不可になる長さに基づく長さとしての閾値以上、又は、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離としての閾値以上、になるか否かを判断し、
前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行わず、
前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断した場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記ラベル全体の長さを調整する、
処理を実行することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項8】
印刷装置の制御方法であって、該印刷装置が、
第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷した被印刷媒体が切断されてなるラベル全体の長さが、前記被印刷媒体における前記第1印刷データと前記第2印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う別の領域とが一体的に保持された状態で切断手段が行うハーフカットが不可になる長さと、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離の長さとに基づき設定される閾値以上になるか否かを判断し、
前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行わず、
前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断した場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記ラベル全体の長さを調整する、
処理を実行することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項9】
印刷装置のコンピュータに、
第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷した被印刷媒体が切断されてなるラベル全体の長さが、前記被印刷媒体における前記第1印刷データと前記第2印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う領域とが一体的に保持された状態で切断手段が行うハーフカットが不可になる長さに基づく長さとしての閾値以上、又は、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離としての閾値以上、になるか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行わず、
前記判断処理によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行う処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
印刷装置のコンピュータに、
第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷した被印刷媒体が切断されてなるラベル全体の長さが、前記被印刷媒体における前記第1印刷データと前記第2印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う別の領域とが一体的に保持された状態で切断手段が行うハーフカットが不可になる長さと、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離の長さとに基づき設定される閾値以上になるか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行わず、
前記判断処理によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行う処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、印刷装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、長手方向に巻かれてロール形状を有した印刷用のテープに文字、図形等を印刷してラベルを作成するラベルプリンタが知られている。この種のラベルプリンタには、箱状の部材にテープを含む被印刷媒体が収容されたテープカートリッジを装着し、該テープカートリッジから供給されるテープに文字、図形等を印刷するものがある。
【0003】
また、ラベルプリンタには、テープカートリッジから供給されるテープにおける文字や図形等が印刷された領域を切り出す際に、フルカット及びハーフカットを行うことが可能なものもある。ハーフカットは、ラベルとして使用する際には切り離される複数の領域同士を一体的な状態が保持される態様で切断する切断方法である。例えば、テープカートリッジから供給されるテープが文字等を印刷する粘着テープと該粘着テープの粘着面を保護するセパレータとを含むテープである場合、フルカットではテープ全体(粘着テープ及びセパレータ)を切断し、ハーフカットでは粘着テープのみを切断する。ハーフカットは、ラベルとして使用する領域同士の境界の切断や、印刷時に生じる余白領域(印刷することができない領域)とラベルとして使用する領域との境界の切断に適用される。
【0004】
特許文献1には、被印刷媒体を収容したテープカートリッジを収容するラベルプリンタが記載されている。また、特許文献2には、余白領域とラベルとして使用する領域との境界をハーフカットするテープ印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−028448号公報
【特許文献2】特開2010−195021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のラベルプリンタ(テープ印刷装置)では、テープにおける文字や図形等を印刷する印刷領域の長さが、搬送路におけるフルカット用のカッターの位置からラベルの排出口までの長さよりも短くなることがある。この場合、印刷領域をフルカットして得られるラベルがラベルの排出口から排出されず、搬送路内に滞留してしまうことがある。このため、ラベルプリンタには、印刷領域をフルカットした場合に得られるラベルの長さがフルカット用のカッターの位置からラベルの排出口までの長さよりも短くなる場合にはフルカットを省略して印刷領域を排出するものが多い。しかしながら、この種のラベルプリンタでは、排出されたテープを利用者がはさみ等で切断することとなるため、作業効率が低下する。また、テープの長さが短い場合には、ハーフカットするとテープ詰まり等の不具合が発生する恐れがあるため、テープの長さが閾値(例えば2cm)未満である場合はハーフカットをしないことがある。
【0007】
本発明の一側面に係る目的は、上記の実情を踏まえたものであり、印刷データを印刷したテープを切断して作成するラベルの長さが不十分である場合に印刷装置が切断処理を省略することを防ぐことが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る印刷装置は、被印刷媒体に印刷データを印刷する印刷手段と、前記印刷データが印刷された前記被印刷媒体を切断する切断手段と、前記被印刷媒体が前記切断手段によって切断されてなるラベル全体の長さが閾値以上になるか否かを判断する判断手段と、前記ラベル全体の長さを調整する制御手段と、を備え、前記閾値は、前記被印刷媒体における前記印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う領域とが一体的に保持された状態で前記切断手段が行うハーフカットが不可になる長さに基づく長さであり、前記印刷手段によって第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷する場合に、前記判断手段は、前記第1印刷データと前記第2印刷データとが印刷されたラベル全体の長さが前記閾値以上であるか否かを判断し、前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行わず、前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行う印刷装置である。
また、本発明の別の一態様に係る印刷装置は、被印刷媒体に印刷データを印刷する印刷手段と、前記印刷データが印刷された前記被印刷媒体を切断する切断手段と、前記被印刷媒体が前記切断手段によって切断されてなるラベル全体の長さが閾値以上になるか否かを判断する判断手段と、前記ラベル全体の長さを調整する制御手段と、を備え、前記閾値は、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離であり、前記印刷手段によって第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷する場合に、前記判断手段は、前記第1印刷データと前記第2印刷データとが印刷されたラベル全体の長さが前記閾値以上であるか否かを判断し、前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行わず、前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行う印刷装置である。
また、本発明の別の一態様に係る印刷装置は、被印刷媒体に印刷データを印刷する印刷手段と、前記印刷データが印刷された前記被印刷媒体を切断する切断手段と、前記被印刷媒体が前記切断手段によって切断されてなるラベル全体の長さが閾値以上になるか否かを判断する判断手段と、前記ラベル全体の長さを調整する制御手段と、を備え、前記閾値は、前記被印刷媒体における前記印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う別の領域とが一体的に保持された状態で前記切断手段が行うハーフカットが不可になる長さと、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離の長さとに基づき設定され、前記印刷手段によって第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷する場合に、前記判断手段は、前記第1印刷データと前記第2印刷データとが印刷されたラベル全体の長さが前記閾値以上であるか否かを判断し、前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行わず、前記判断手段によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記制御手段によるラベル全体の長さを調整する制御を行う印刷装置である。
【0009】
また、本発明の一態様に係る印刷装置の制御方法は、該印刷装置が、第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷した被印刷媒体が切断されてなるラベル全体の長さが、前記被印刷媒体における前記第1印刷データと前記第2印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う領域とが一体的に保持された状態で切断手段が行うハーフカットが不可になる長さに基づく長さとしての閾値以上、又は、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離としての閾値以上、になるか否かを判断し、前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行わず、前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断した場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記ラベル全体の長さを調整する、処理を実行する印刷装置の制御方法である。
また、本発明の別の一態様に係る印刷装置の制御方法は、該印刷装置が、第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷した被印刷媒体が切断されてなるラベル全体の長さが、前記被印刷媒体における前記第1印刷データと前記第2印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う別の領域とが一体的に保持された状態で切断手段が行うハーフカットが不可になる長さと、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離の長さとに基づき設定される閾値以上になるか否かを判断し、前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行わず、前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断した場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記ラベル全体の長さを調整する、処理を実行する印刷装置の制御方法である。
【0010】
加えて、本発明の一態様に係るプログラムは、印刷装置のコンピュータに、第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷した被印刷媒体が切断されてなるラベル全体の長さが、前記被印刷媒体における前記第1印刷データと前記第2印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う領域とが一体的に保持された状態で切断手段が行うハーフカットが不可になる長さに基づく長さとしての閾値以上、又は、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離としての閾値以上、になるか否かを判断する判断処理と、前記判断処理によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行わず、前記判断処理によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行う処理と、を実行させるプログラムである。
また、本発明の別の一態様に係るプログラムは、印刷装置のコンピュータに、第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷した被印刷媒体が切断されてなるラベル全体の長さが、前記被印刷媒体における前記第1印刷データと前記第2印刷データを印刷する印刷領域と該印刷領域と隣り合う別の領域とが一体的に保持された状態で切断手段が行うハーフカットが不可になる長さと、前記被印刷媒体における切断位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される状態で前記切断手段によってフルカットされる位置から、切断した前記被印刷媒体を排出する排出口までの距離の長さとに基づき設定される閾値以上になるか否かを判断する判断処理と、前記判断処理によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上になると判断された場合には、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行わず、前記判断処理によって前記ラベル全体の長さが前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベル全体の長さが閾値以上になるように、前記ラベル全体の長さを調整する制御を行う処理と、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
上記の態様によれば、印刷データを印刷したテープを切断して作成するラベルの長さが不十分である場合に印刷装置が切断処理を省略することを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】蓋4が閉じた状態の印刷装置1の平面図である。
図2】蓋4が開いた状態の印刷装置1の平面図である。
図3】被記録媒体40の構成を説明する分解斜視図である。
図4】印刷装置1が行う印刷処理及び切断処理の概要を説明する図である。
図5】印刷装置1が行うフルカット及びハーフカットを説明する図である。
図6】一実施形態に係る印刷装置1の機能的構成を示す図である。
図7】一実施形態に係る印刷装置1が行う処理を説明するフローチャートである。
図8】印刷位置調整処理の内容を説明するフローチャートである。
図9】印刷処理の内容を説明するフローチャートである。
図10】切断処理の内容を説明するフローチャートである。
図11】印刷枚数が1枚である場合のラベル作成処理を説明する図である。
図12】印刷枚数が2枚である場合のラベル作成処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、図1及び図2を参照しながら、一実施形態に係る印刷装置の構成について説明する。図1は、蓋4が閉じた状態の印刷装置1の平面図である。図2は、蓋4が開いた状態の印刷装置1の平面図である。
【0014】
図1及び図2に示した印刷装置1は、被記録媒体40が有する感熱テープ42に印刷を行うラベルプリンタである。感熱テープ42は、印刷用のテープの一例である。なお、本明細書では感熱テープ42に印刷をする感熱方式のラベルプリンタを印刷装置1の例とするが、印刷装置1の印刷方式は特に限定されない。例えば、印刷装置1は、インクリボンを使用する熱転写方式のラベルプリンタであってもよい。また、ラベルプリンタである印刷装置1は、上記のサーマルプリンタに限らない。例えば、印刷装置1は、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等であってもよい。また、印刷装置1は、シングルパス(ワンパス)方式で印刷を行ってもよく、マルチパス(スキャン)方式で印刷を行ってもよい。
【0015】
印刷装置1は、装置筐体2と、入力装置3と、蓋4と、表示装置5と、プラテンローラ6と、サーマルヘッド7と、カッター8と、を備える。また、図示は省略するが、印刷装置1は、プリント回路板、電源ユニット、各種端子、並びに各種配線等の各種電子部品を備える。
【0016】
装置筐体2は、印刷装置1の動作を制御する制御回路の一部を含むプリント回路板(図示せず)、入力装置3、プラテンローラ6、サーマルヘッド7、カッター8等が配設された箱状の部材である。また、装置筐体2には、蓋4が開閉自在な状態で取り付けられている。更に、図示はしていないが、装置筐体2には、電源コード接続端子、外部機器接続端子、記憶媒体挿入口等が設けられている。
【0017】
装置筐体2のうちの、蓋4が閉じた状態である場合に蓋4の下方となる領域には、アダプタ収容部2a、プラテンローラ6、サーマルヘッド7、及びカッター8が配設されている。アダプタ収容部2aは、媒体アダプタ10を収容可能な凹形状の収容空間である。媒体アダプタ10は、感熱テープ42を含む被記録媒体40を収容するケース部材である。印刷装置1により文字等を印刷する感熱テープ42は、媒体アダプタ10から供給される。
【0018】
プラテンローラ6は、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ42を搬送するローラである。プラテンローラ6は、図示しない搬送用モータの回転により回転する。搬送用モータは、例えば、ステッピングモータ、直流(DC)モータなどである。印刷装置1では、媒体アダプタ10から繰り出された感熱テープ42をプラテンローラ6とサーマルヘッド7との間に狭持した状態でプラテンローラ6を回転させることにより、感熱テープ42を搬送方向に搬送する。プラテンローラ6及び搬送用モータ(図示しない)は、印刷用のテープを搬送する搬送手段の一例である。
【0019】
サーマルヘッド7は、感熱テープ42に印刷を行う印刷ヘッドである。サーマルヘッド7は、感熱テープ42の搬送方向に直交する主走査方向に配列された複数の発熱素子を有し、発熱素子で感熱テープ42を加熱することにより一ラインずつ印刷を行う。サーマルヘッド7は、印刷用のテープに印刷データを印刷する印刷手段の一例である。
【0020】
カッター8は、感熱テープ42を切断する。カッター8は、感熱テープ42の長手方向(搬送方向)における所定の位置をフルカット又はハーフカットする。本実施形態で例示する感熱テープ42は、後述するように、ラベルとして使用する印刷用粘着テープ(ラベル層426)における粘着層がセパレータ(剥離紙)で保護されたものとする。このようなセパレータを含む感熱テープ42を切断する場合のフルカットは、セパレータ(剥離紙)を含む感熱テープ42全体を切断する切断方法である。また、セパレータを含む感熱テープ42を切断する場合のハーフカットは、感熱テープ42におけるセパレータは切断しない切断方法である。カッター8は、印刷データが印刷されたテープを切断する切断手段の一例である。
【0021】
入力装置3は、装置筐体2の上面であって、蓋4が閉じた状態であるときに蓋4とは重ならない領域に配設されている。入力装置3は、利用者が感熱テープ42に印刷する文字や図形等の印刷データの入力、印刷装置1の動作を制御する各種命令の入力を行う入力装置の一例である。入力装置3は、入力キー、十字キー、変換キー、及び決定キーなどの種々のキーを備える。入力キーは、文字や各種命令を入力するキーである。十字キーは、カーソルを移動させるキーである。変換キーは、入力した文字列の漢字かな変換等を行うキーである。決定キーは、変換処理、各種設定処理、各種処理の内容を決定する(確定する)キーである。
【0022】
蓋4は、装置筐体2上にアダプタ収容部2aを開閉自在な態様で配置されている。蓋4は、図示していないロック機構により、図1に示した閉じた状態に保持される。利用者(ユーザ)は、蓋4に設けられたボタン4rを押下してロック機構を解除することで、図2に示すように、蓋4を開けることができる。また、本実施形態に係る印刷装置1に装着する媒体アダプタ10は、図2に示すように、アダプタ収容部2aに収容して蓋4を閉じた場合に蓋4と向かい合う面が、透明な部材で形成されている。すなわち、利用者は、アダプタ収容部2aに媒体アダプタ10を収容した状態で、媒体アダプタ10に被記録媒体40が収容されているか否かを目視で確認することが可能である。更に、本実施形態に係る印刷装置1における蓋4は、蓋4を閉じたときに媒体アダプタ10に収容された被記録媒体40の一部領域Awと重なる位置に、窓404が設けられている。このため、利用者は、蓋4が閉じた状態であっても印刷装置1に媒体アダプタ10(被印刷媒体40)が収容されているか否かを目視で確認することが可能である。また、媒体アダプタ10に収容した被印刷媒体40が、感熱テープ42の幅や色を示すアテンションシート44を含む場合、利用者は、蓋4の窓404を通して、感熱テープ42の幅や色を確認することが可能である。
【0023】
印刷装置1は、利用者が入力装置3を操作して作成した印刷データを媒体アダプタ10から供給される感熱テープ42に印刷する。印刷データは、感熱テープ42に印刷する文字や図形の配置、サイズ、余白領域の情報を含む。また、印刷装置1は、感熱テープ42における印刷データが印刷された領域をカッター8により切断する。切断された領域(印刷データが印刷された領域)は、ラベルとして、装置筐体2に設けた排出口2pから排出される。印刷装置1が行うこれらの動作は、印刷装置1に内蔵されたコンピュータにより制御される。
【0024】
また、印刷装置1は、幅が異なる複数種類の感熱テープ42のそれぞれに印刷を行うことが可能となっている。このため、本実施形態の印刷装置1における装置筐体2のアダプタ収容部2aは、収容する被印刷媒体40(感熱テープ42)の幅が異なる複数種類の媒体アダプタ10のそれぞれを収容可能な凹形状となっている。これら複数種類の媒体アダプタ10は、それぞれ、図2に示した平面形状が同一であり、感熱テープ42の幅方向と対応した厚さ方向の寸法が異なる。
【0025】
アダプタ収容部2aに媒体アダプタ10を収容して印刷を行う場合、サーマルヘッド7に供給する感熱テープ42の幅方向への位置ずれを防ぐために、媒体アダプタ10は、厚さ方向の位置ずれを抑制することが可能な状態で保持される。このため、厚さ方向の寸法が異なる複数種類の媒体アダプタ10を利用可能な印刷装置1では、アダプタ本体20の外周側面に設けたヒレ部(図示せず)を、アダプタ収容部2aに設けた支持部(図示せず)及び蓋4に設けた支持部401,402で挟持して媒体アダプタ10を保持する。更に、本実施形態の印刷装置1では、媒体アダプタ10、アダプタ収容部2aの支持部、及び蓋4の支持部401,402の形状についての公差により印刷時等に生じる媒体アダプタ10のがたつきを防止するため、蓋4にアダプタ押さえ部403を設けている。アダプタ押さえ部403は、アダプタ収容部2aに媒体アダプタ10を収容した状態で蓋4を閉じたときに、ばね等の弾性部材に生じる弾性復元力により、媒体アダプタ10に押圧荷重を印加する。
【0026】
表示装置5は、蓋4の外方を向いた面のうちの蓋4を閉じたときに上面となる面に配設されている。表示装置5は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイなどである。表示装置5は、入力装置3からの入力に対応する文字や図形、各種設定のための選択メニュー、各種処理に関するメッセージ等、を表示する。なお、表示装置5は、タッチパネル付きのディスプレイ等、入力装置3の一部として利用可能な機能を持つものであってもよい。
【0027】
本実施形態の印刷装置1では、上記のように、装置筐体2のアダプタ収容部2aに媒体アダプタ10が収容される。媒体アダプタ10は、感熱テープ42を含む被印刷媒体40を収容するためのケースであり、利用者が被印刷媒体40を適宜交換できるように、被印刷媒体40を収容する。すなわち、本実施形態に係る媒体アダプタ10は、利用者が媒体アダプタ10に対して被印刷媒体40を適宜出し入れすることを前提に設計されている。
【0028】
更に、本実施形態の印刷装置1は、上記のように、テープ幅が異なる複数種類の感熱テープ42のそれぞれに印刷を行うことが可能である。このため、本実施形態の印刷装置1と組み合わせて用いる媒体アダプタ10は、印刷可能なテープ幅毎に用意される。例えば、本実施形態の印刷装置1では、テープ幅が6mmの感熱テープ、テープ幅が9mmの感熱テープ、テープ幅が12mmの感熱テープ、及びテープ幅が18mmの感熱テープのそれぞれに印刷を行うことが可能である。この場合、印刷装置1と組み合わせる媒体アダプタ10としては、テープ幅が6mmの感熱テープを収容する媒体アダプタ、テープ幅が9mmの感熱テープを収容する媒体アダプタ、テープ幅が12mmの感熱テープを収容する媒体アダプタ、及びテープ幅が18mmの感熱テープを収容する媒体アダプタが用意される。これら複数種類の媒体アダプタは、それぞれ、図2に示した平面形状が同一であり、収容する被記録媒体40(感熱テープ42)のテープ幅方向と対応した厚さ方向の寸法が異なる。また、厚さ方向の寸法が異なる複数種類の媒体アダプタ10は、それぞれ、アダプタ収容部2aに収容したときに上面となる面に、収容する対象となる被記録媒体40(感熱テープ42)のテープ幅を示す情報が印刷されている。例えば、図2の媒体アダプタ10には、「12」という数字が印刷されている。すなわち、図2の媒体アダプタ10は、テープ幅が12mmの感熱テープ42(被記録媒体40)を収容するのに適した寸法で形成されている。図2の媒体アダプタ10にテープ幅が12mmよりも狭い感熱テープ(被記録媒体40)を収容した場合には、テープ幅方向における被記録媒体40の位置の変動量が大きくなり、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ42の幅方向の位置が不安定となる。また、図2の媒体アダプタ10にテープ幅が12mmよりも広い感熱テープ(被記録媒体40)を収容しようとした場合には、例えば、蓋を閉じることができない。
【0029】
図3は、被記録媒体40の構成を説明する分解斜視図である。図3に示すように、媒体アダプタ10に収容する被記録媒体40は、筒状部材41と、感熱テープ42と、バラけ防止シート43と、アテンションシート44とを含む。
【0030】
筒状部材41は、被記録媒体40を媒体アダプタ10に収容したときに被記録媒体40の回転軸(回転支点)となる部材である。筒状部材41には、例えば、紙管等が利用可能である。なお、筒状部材41は、図3に示した円筒状に限らず、軸心方向を回転軸として回転可能な態様で、媒体アダプタ10に設けた支持部と係合する形状であればよい。媒体アダプタ10に設けた支持部が円柱状である場合、筒状部材41は、例えば、開口面が正多角形(例えば、正八角形等)の筒状であってもよい。
【0031】
感熱テープ42は、上記のように、文字や図形等を印刷する印刷用のテープである。媒体アダプタ10に収容する被記録媒体40は、長手方向の寸法が所定の長さ(例えば、5m〜10m程度)である感熱テープ42を筒状部材41の外周側面に巻き付けた状態で利用者に提供される。すなわち、被記録媒体40における感熱テープ42は、長手方向に巻かれて環形状となっており、該環形状における外周側から順に印刷装置1に供給され消費される。以下の説明では、感熱テープ42のうちの長手方向に巻かれて環形状となっている感熱テープ42のことを「環形状の感熱テープ42」ともいう。
【0032】
感熱テープ42は、例えば、セパレータ425と、粘着層424と、基材421と、発色層422と、保護層423とがこの順に積層されている。
【0033】
基材421は、感熱テープ42におけるベースとなるテープ状の部材であり、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)により形成される。基材421の色を複数種類用意することにより、テープ色の異なる複数種類の感熱テープ42を提供することが可能となる。例えば、基材421として白色、赤色、青色、黄色、及び透明の5種類を用いることにより、5色の感熱テープ42を提供することが可能となる。
【0034】
基材421における厚さ方向の端面(主面)のうちの一方の端面には、所定の温度以上に加熱することにより発色する(色が変化する)発色層422と、発色層422を保護する保護層423とが積層されている。また、基材421における厚さ方向の端面のうちの他方の端面には、粘着層424と、セパレータ425とが積層されている。粘着層424は、例えば、基材421に粘着材を塗布して設けており、基材421、発色層422、及び保護層423を含む印刷後のテープ(ラベル)を所望の物体に貼り付けることに利用される。セパレータ425は、テープ(ラベル)を所望の物体に貼り付けるまで粘着層244を保護する部材であり、粘着層424に対して剥離可能な状態で貼り付けられている。すなわち、図3の感熱テープ42では、粘着層424、基材421、発色層422、及び保護層423がラベルとして使用される粘着テープ(ラベル層)となる。
【0035】
上記の5層構成の感熱テープ42は、図3のように、保護層423が内径側となり、セパレータ425が外径側となる向きで筒状部材41に巻きつけられている。
【0036】
なお、感熱テープ42は、上記の構成に限らない。例えば、感熱テープ42は、セパレータ425を含まず、粘着層424が露出したものであってもよい。また、感熱テープ42は、保護層423を含まず、発色層422が露出したものであってもよい。更に、感熱テープ42における発色層422は、例えば、加熱することにより有色の状態から無色透明の状態に変化する層であってもよい。
【0037】
バラけ防止シート43は、感熱テープ42を環形状に維持するために、環形状の感熱テープ42における側面の一方に貼り付ける粘着シートである。ここで、環形状の感熱テープ42における側面は、環形状の感熱テープ42(筒状部材41)の軸心方向における端面、言い換えると感熱テープ42の幅方向における一方の端部42bにより形成される面と他方の端部42cにより形成される面とを意味する。図3の被記録媒体40では、環形状の感熱テープ42における側面のうちの、感熱テープ42の端部42bにより形成される側面に、バラけ防止シート43が貼り付けられる。
【0038】
バラけ防止シート43には、中央部分に開口43aを有する環形状の粘着シートを用いる。バラけ防止シート43の開口43aの寸法は、感熱テープ42を巻きつけた筒状部材41における中空部分の寸法(内径)と同じ寸法、或いは筒状部材41の中空部分よりも大きい寸法とする。バラけ防止シート43を感熱テープ42に貼り付ける際には、筒状部材41の中空部分の輪郭全体がバラけ防止シート43の開口43a内に含まれるように貼り付ける。
【0039】
上記のような多層構造の感熱テープ42は、例えば、温度や湿度の変化等により膨張及び収縮をすることがあるが、層毎(材料毎)に膨張率が異なる。このため、筒状部材41に感熱テープ42を巻き付けただけの場合(言い換えると、バラけ防止シート43を貼り付けていない場合)、感熱テープ42の膨張及び収縮により感熱テープ42の形状が変化し感熱テープ42がバラけてしまうことがある。また、上記のようにセパレータ425を含む感熱テープ42を筒状部材41に巻き付けた場合、径方向で隣り合うセパレータ425と保護層423とは接触した状態である。このため、筒状部材41に感熱テープ42を巻き付けただけの場合(バラけ防止シート43を貼り付けていない場合)、例えば、被記録媒体40の落下等により感熱テープ42に外力が加わることで、感熱テープ42の形状が変化し、感熱テープ42がバラけてしまうことがある。
【0040】
環形状の感熱テープ42における一方の側面(感熱テープ42の端部42bにより形成される面)にバラけ防止シート43を貼り付けた場合、径方向で隣り合う感熱テープ42の異なる部位同士の位置関係をバラけ防止シート43により維持することが可能となる。したがって、バラけ防止シート43を貼り付けることにより、環形状の感熱テープ42の膨張及び収縮による形状の変化、並びに外力が加わることによる形状の変化等を抑制し、感熱テープ42がバラけてしまうことを防ぐことが可能となる。
【0041】
また、バラけ防止シート43は、図3に示したように、被記録媒体40が未使用の状態であるときの環形状の感熱テープ42の側面全体を覆うような大きさを有することが望ましい。すなわち、バラけ防止シート43の直径は、環形状の感熱テープ42における直径(最大径)よりも大きいことが望ましい。これにより、環形状の感熱テープ42における一方の側面全体を粘着面で保持することができるため、環形状をより確実に維持することができる。
【0042】
更に、バラけ防止シート43の形状は、環形状の感熱テープ42における側面の形状に近似した形状であることが望ましい。すなわち、環形状の感熱テープ42における側面が円環形状であれば、バラけ防止シート43も円環形状とすることが望ましい。これにより、バラけ防止シート43における感熱テープ42の形状維持に貢献しない領域を小さくすることが可能となり、バラけ防止シート43の大きさを小さくすることができる。また、バラけ防止シート43における粘着面の露出も少なくなるため、バラけ防止シート43への塵、埃などの付着も抑えることができる。
【0043】
アテンションシート44は、感熱テープ42の種類を示す情報を利用者に提示するために、環形状の感熱テープ42における他方の側面(言い換えると、感熱テープ42における幅方向の端部42cにより形成される側面)に貼り付ける粘着シートである。図3では省略しているが、感熱テープ42の種類を示す情報は、アテンションシート44における感熱テープ42と対向させる面とは反対側の面に印刷される。アテンションシート44には、感熱テープ42の種類を示す情報として、例えば、感熱テープ42の幅及び被記録媒体40の型番等が印刷される。また、感熱テープ42の色は、例えば、アテンションシート44の下地の色により示される。感熱テープ42には、テープ幅、及び被印刷面(基材421)の色の違い等により、様々な種類が存在する。このため、感熱テープ42の種類を特定する情報が印刷されたアテンションシート44を感熱テープ42の側面に貼り付けることで、利用者は、被印刷媒体40の種類を容易に特定することが可能となる(図2を参照)。
【0044】
アテンションシート44には、中央部分に開口44aを有する環形状の粘着シートを用いる。アテンションシート44の開口44aの寸法は、感熱テープ42を巻きつけた筒状部材41の中空部分の寸法(内径)よりも小さい寸法とする。アテンションシート44は、開口44aの中心が筒状部材41の中空部分の中心(軸心)と略一致するように、環形状の感熱テープ42の側面に貼り付ける。また、アテンションシート44は、例えば、被印刷媒体40の販売時など、少なくとも被印刷媒体40の使用が開始される前においては、環形状の感熱テープ42の側面よりも小さいことが望ましい。これにより、感熱テープ42の側面(端部42cにより形成される面)のうちアテンションシート44に覆われる領域が小さくなるため、利用者が感熱テープ42の残量を容易に確認することが可能となる。
【0045】
図3の被記録媒体40は、上記のように、筒状部材41の軸心方向を回転軸として回転可能な状態で媒体アダプタ10に収容される。媒体アダプタ10に収容された被記録媒体40の感熱テープ42は、媒体アダプタ10に設けたテープ繰出口から媒体アダプタ10の外部に繰り出される。印刷装置1は、媒体アダプタ10の外部に繰り出された感熱テープ42(言い換えると、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ42)に対し、文字や図形等の印刷データを印刷する印刷処理と、印刷データを印刷した感熱テープ42を切断する切断処理とを行う。
【0046】
図4は、印刷装置1が行う印刷処理及び切断処理の概要を説明する図である。図4に示すように、媒体アダプタ10の外部に繰り出された感熱テープ42は、プラテンローラ6とサーマルヘッド7とにより挟持され、プラテンローラ6が回転することにより搬送される。
【0047】
感熱テープ42に印刷をする際には、印刷装置1は、プラテンローラ6を所定の回転方向(例えば図4では反時計回り方向)に所定の回転速度で回転させながら感熱テープ42を印刷装置1における排出口2pの方向に搬送する。このとき、印刷装置1は、印刷データ(印刷する内容)に基づいて、サーマルヘッド7(発熱素子)上を通過する感熱テープ42に対して熱エネルギーを印加し、感熱テープ42に対する印刷を行う。
【0048】
また、感熱テープ42を切断する際には、印刷装置1は、プラテンローラ6を所定の回転方向に所定の回転速度で回転させ、感熱テープ42における長手方向での切断位置がカッター8の第1の刃801又は第2の刃802と対応する位置になるよう感熱テープ42を搬送する。フルカットを行う場合、印刷装置1は、感熱テープ42におけるフルカットする位置(フルカット位置)が感熱テープ42の搬送路上における第1の刃801と対応する位置となるよう、感熱テープ42を搬送する。ハーフカットを行う場合、印刷装置1は、感熱テープ42におけるハーフカットする位置(ハーフカット位置)が感熱テープ42の搬送路上における第2の刃802と対応する位置となるよう、感熱テープ42を搬送する。
【0049】
図5は、印刷装置1が行うフルカット及びハーフカットを説明する図である。
本実施形態では、印刷用のテープとして、セパレータ425を含む5層構成の感熱テープ42を例示している。本実施形態の印刷装置1におけるカッター8は、例えば、図4及び図5に示すように、感熱テープ42における保護層423と対向する方向に第1の刃801及び第2の刃802が配設される。また、図4及び図5では省略しているが、カッター8は、感熱テープ42の位置を境として第1の刃801及び第2の刃802が配設された方向とは反対側の方向に、第1の刃801及び第2の刃802のそれぞれと対応した刃受が配設されている。
【0050】
感熱テープ42をフルカットする場合、印刷装置1は、図5に示すように、第1の刃801を感熱テープ42側に移動させ、感熱テープ42に含まれる5つの層の全てを切断する。言い換えると、感熱テープ42をフルカットする場合、粘着層424、基材421、発色層422、及び保護層423がこの順序で積層したラベル層(印刷用の粘着テープ)426と、ラベル層426における粘着層424を保護するセパレータ425とを切断する。
【0051】
一方、感熱テープ42をハーフカットする場合、印刷装置1は、図5に示すように、第2の刃802を感熱テープ42側に移動させ、感熱テープ42に含まれる5つの層のうちのセパレータ425を除く4つの層を切断する。言い換えると、感熱テープ42をハーフカットする場合、印刷装置1は、粘着層424、基材421、発色層422、及び保護層423がこの順序で積層したラベル層(印刷用の粘着テープ)426のみを切断する。この場合、ハーフカットにより切断された2つのラベル層426は、セパレータ425により一体的に保持された状態となっている。すなわち、ハーフカットする場合、印刷装置1は、感熱テープ42におけるハーフカット位置を境として隣り合う2つの領域が一体的に保持された状態を維持する態様で、感熱テープ42を切断する。
【0052】
本実施形態の印刷装置1では、プラテンローラ6のみにより感熱テープ42の搬送を行っている。このため、例えば、図4に示したように、感熱テープ42における印刷データを印刷したラベルの長さLLを印刷装置1における第1の刃801から排出口2pまでの距離L0よりも長くしないと、排出口2pからラベルを排出することができない。また、印刷されたラベルの長さLLがハーフカット可能な長さに満たない場合、ハーフカットすることができない。しかしながら、感熱テープ42に印刷する内容によっては、印刷データを印刷する印刷領域の長さが距離L0よりも短くなることがある。本実施形態の印刷装置1では、感熱テープ42に印刷データを印刷したラベルの長さがハーフカット可能な長さであり、第1の刃801から排出口2pまでの距離L0よりも長くなるよう、感熱テープ42の先端から印刷データを印刷する印刷領域の端部(印刷開始位置)までの長さ、つまり余白領域の長さを調節する。
【0053】
図6は、一実施形態に係る印刷装置1の機能的構成を示す図である。図6に示すように、本実施形態の印刷装置1は、機能的構成の観点では、制御部101と、アダプタ検知部102と、入力部103と、表示部104と、搬送処理部105と、印刷処理部106と、切断処理部107と、ラベル長判断部108と、記憶部110とを備える。
【0054】
制御部101は、印刷装置1が実行可能な各種処理の制御を行う。制御部101の持つ機能は、例えば、印刷装置1が備えるコンピュータ(プロセッサ)が各種プログラムを実行することにより実現される。
【0055】
アダプタ検知部102は、アダプタ収容部2aに装着された媒体アダプタ10を検知する。アダプタ検知部102は、例えば、印刷装置1の蓋4が閉じられたタイミングで、アダプタ収容部2aに媒体アダプタ10が装着されているか否かを検知する。また、アダプタ検知部102は、媒体アダプタ10が装着されていることを検知した場合、装着された媒体アダプタ10が収容の対象としている被記録媒体40(感熱テープ42)のテープ幅を検知する。アダプタ検知部102は、例えば、アダプタ収容部2aに配設された複数のスイッチを含む。該複数のスイッチは、例えば、アダプタ収容部2aに収容可能な複数種類の媒体アダプタ10の厚さ方向と連携し、収容された媒体アダプタ10の厚さに応じて出力の組み合わせが異なる組み合わせとなるよう配設される。
【0056】
入力部103は、文字や図形の入力、各種設定に対する入力、及び各種処理の実行命令の入力等を受け付ける。入力部103の持つ機能は、例えば、入力装置3により実現される。表示部104は、入力部103を通して入力された各種情報を表示する。表示部104の持つ機能は、表示装置5により実現される。
【0057】
搬送処理部105は、制御部101による制御のもと、感熱テープ42の搬送処理を行う。搬送処理部105の持つ機能は、例えば、プラテンローラ6及び搬送用モータを含む搬送機構(搬送手段)により実現される。
【0058】
印刷処理部106は、制御部101による制御のもと、感熱テープ42に対する印刷処理を行う。印刷処理部106の持つ機能は、例えば、サーマルヘッド7を含む印刷機構(印刷手段)により実現される。
【0059】
切断処理部107は、制御部101による制御のもと、感熱テープ42の切断処理を行う。切断処理部107の持つ機能は、例えば、カッター8を含む切断機構(切断手段)により実現される。本実施形態の印刷装置1における切断処理部107は、上記のように、感熱テープ42に対しハーフカット及びフルカットを行うことが可能である。感熱テープ42に対しハーフカット及びフルカットを行うか否かは、例えば、利用者が入力装置3により選択することが可能である。
【0060】
ラベル長判断部108は、切断処理部107(カッター8)によって切断されてなるラベルの長さが閾値以上になるか否かを判断する。閾値は、印刷データが印刷された感熱テープ42に対しハーフカットすることが可能なラベルの長さ、及びフルカットしてなるラベルを排出口2pから排出することが可能な長さに基づいて設定される。ラベル長判断部108においてラベルの長さが閾値よりも短くなると判断した場合、該判断結果に基づいて、制御部101は、ラベルの長さが閾値よりも長くなるようラベルの長さを調整する。例えば、制御部101は、ラベルの長さが長くなるよう感熱テープ42における印刷開始位置を変更する。
【0061】
記憶部110は、印刷装置1の動作時に制御部101が実行する各種プログラム、及び印刷装置1の動作時に制御部101が参照する各種情報等を記憶する。
【0062】
本実施形態の印刷装置1は、入力部103を介してラベル作成処理の開始命令の入力を受け付けると、ラベル作成処理を開始する。本実施形態の印刷装置1は、ラベル作成処理として、例えば、図7のフローチャートに沿った処理を行う。図7は、一実施形態に係る印刷装置1が行う処理を説明するフローチャートである。なお、図7のフローチャートでは、媒体アダプタ10が装着されているか否かを検知する処理、及び媒体アダプタ10から供給される感熱テープ42の種類を識別する処理を省略している。
【0063】
本実施形態の印刷装置1では、図7に示すように、まず、ラベルとして切り出す領域に印刷する内容を示す印刷データを作成する(ステップS1)。ステップS1の処理は、制御部101が入力部103及び表示部104と協働して行う。印刷装置1の利用者が入力部103(入力装置3)を介して文字や図形を入力すると、制御部101は、入力された文字や図形を表示部104(表示装置5)に表示させる。また、利用者が入力部103を介してフォント等の設定を変更すると、制御部101は、表示部104の表示を変更後の設定に基づいた表示に変更させる。更に、利用者が入力部3を介して印刷条件の設定等に関する情報を入力すると、制御部101は、印刷イメージを表示部104に表示させる。ここで、ステップS1の処理において利用者が入力可能な印刷条件には、印刷データの印刷枚数と、ハーフカット及びフルカットを行うか否かの設定を含む。ステップS1の処理を行っている期間に利用者が入力したラベル作成の実行命令を受け付けると、制御部101は、ステップS1の処理を終了し、入力された文字や図形の情報、及び各種設定に基づいて作成した印刷データを感熱テープ42に印刷する処理を開始する。なお、制御部101は、感熱テープ42に印刷をする処理を開始する前に、例えば、アダプタ検知部102の検知結果に基づいて、印刷装置1に媒体アダプタ10が装着されており、かつ媒体アダプタ10から感熱テープ42が供給されているか否かを判定する。印刷装置1のアダプタ収容部2aに媒体アダプタ10が装着されていない場合、或いは媒体アダプタ10から感熱テープ42が供給されていない場合(テープ切れの場合)、制御部101は、エラーメッセージを表示部104に表示させる。
【0064】
ラベルを作成する処理を開始すると、制御部101は、まず、印刷データを印刷する位置を調整する印刷位置調整処理(ステップS2)を行う。ステップS2の処理は、例えば、制御部101がラベル長判断手段108と協働して行う。ステップS2の処理において、制御部101は、まず、印刷データを印刷した感熱テープ42に対する切断処理を行う設定になっているか否かを判定する。切断処理を行う設定になっていない場合、制御部101は、印刷位置の調整を行わずにステップS2の処理を終了し、印刷処理(ステップS3)の処理を行う。
【0065】
切断処理を行う設定になっている場合、制御部101は、例えば、印刷データを印刷したラベルの長さLが閾値Lh以上となるか否かをラベル長判断部108に判断させる。ここで、閾値Lhは、ハーフカット可能な長さである。ラベル長判断部108は、印刷データにおける文字や図形の大きさ及び配置に基づいて感熱テープ42に印刷データを印刷したときのラベルの長さLを算出し、算出したラベルの長さLが閾値Lh以上であるか否かを示す情報を制御部101に通知する。ハーフカットを行う設定であり、かつラベルの長さLが閾値Lhよりも短くなる場合、制御部101は、ラベルの長さがハーフカット可能な長さとなるよう、感熱テープ42における印刷データの印刷を開始する位置(印刷開始位置)を調整する。また同様に、制御部101は、印刷データを印刷したラベルの長さLが閾値L0以上となるか否かをラベル長判断部108に判断させる。ここで、閾値L0は、印刷装置1の搬送路におけるフルカット位置(第1の刃801の位置)から排出口2pまでの長さである。ラベルの長さLが閾値L0よりも短くなる場合、制御部101は、感熱テープ42における印刷データの印刷開始位置を調整する。また、ラベル複数枚分の連続印刷を行う場合には、制御部101は、感熱テープ42に複数の印刷データを連続印刷したときのラベル複数枚分の長さの総和が閾値L0よりも短くなる場合に、感熱テープ42における印刷開始位置を調整する。感熱テープ42における印刷開始位置を調整する場合、制御部101は、感熱テープ42の先端42aからフルカット位置までの距離が閾値L0よりも長くなるよう、感熱テープの先端42aから印刷開始位置までの距離(すなわち耳の寸法)を長くする。印刷開始位置の調整が不要であると判定した場合、制御部101は、印刷開始位置を初期設定位置のままとする。
【0066】
なお、ステップS2の処理において、ラベル長判断部108は、印刷データを印刷したラベルの長さLが閾値Lhよりも短いか否か、及び閾値L0よりも短いか否かのいずれか一方のみを判断するようにしてもよい。また、ステップS2の処理では、閾値Lhよりも短いと判断した場合、感熱テープ42における印刷データの印刷を開始する位置を調整した後のラベルの長さLが閾値L0よりも短いか否かを判断するようにしてもよい。
【0067】
印刷位置調整処理を終えると、印刷装置1は、感熱テープ42に印刷データを印刷する印刷処理(ステップS3)を行う。ステップS3の処理は、制御部101が搬送処理部105及び印刷処理部106と協働して行う。ステップS3の処理において、制御部101は、まず、感熱テープ42における印刷開始位置がサーマルヘッド7の発熱素子上となるよう、搬送処理部105に感熱テープ42を搬送させる。その後、制御部101は、搬送処理部105に感熱テープ42を所定の方向に搬送させるとともに、感熱テープ42の搬送と同期させて、印刷処理部106に印刷データを感熱テープ42に印刷させる。印刷処理部106による感熱テープ42への印刷が終了すると、制御部101は、搬送処理部105による感熱テープ42の搬送を終了させ、印刷処理を終了する。
【0068】
印刷処理を終えると、印刷装置1は、感熱テープ42における印刷データが印刷された領域(ラベル領域)を切断する切断処理(ステップS4)を行う。ステップS4の処理は、制御部101が搬送処理部105及び切断処理部107と協働して行う。ステップS4の処理において、制御部101は、まず、印刷データを印刷した感熱テープ42に対する切断処理を行う設定になっているか否かを判定する。切断処理を行う設定になっていない場合、制御部101は、感熱テープ42を切断する代わりに、搬送処理部105に、印刷データが印刷された領域(ラベル領域)が排出口2pから排出されるよう感熱テープ42を搬送させ、ステップS4の処理を終了する。
【0069】
切断処理を行う設定になっている場合、制御部101は、まず、搬送処理部105及び切断処理部107と協働して、感熱テープ42における印刷開始位置をハーフカットする処理を行う。ハーフカットする処理では、制御部101は、搬送処理部105に、感熱テープ42における印刷開始位置が搬送路におけるカッター8の第2の刃802と対向する位置となるよう感熱テープ42を搬送させる。また、制御部101は、切断処理部107に、カッター8の第2の刃802により感熱テープ42の印刷開始位置をハーフカットさせる。なお、印刷処理(ステップS3)においてラベル複数枚分の連続印刷を行った場合、ハーフカットする処理では、印刷データを印刷した複数の領域のそれぞれにおける印刷開始位置をハーフカットする。
【0070】
ハーフカットする処理の後、制御部101は、搬送処理部105及び切断処理部107と協働して、感熱テープ42におけるフルカット位置をフルカットする処理を行う。フルカットする処理では、制御部101は、搬送処理部105に、感熱テープ42におけるフルカット位置が搬送路におけるカッター8の第1の刃801と対向する位置となるよう感熱テープ42を搬送させる。また、制御部101は、切断処理部107に、カッター8の第1の刃801により感熱テープ42をフルカットさせる。
【0071】
フルカットにより感熱テープ42における印刷データを印刷した領域(ラベル)を切断すると、印刷装置1は、一連の処理を終了して待機状態となる。印刷装置1が待機状態であるときに、例えば、入力部103において新たなラベルの作成を開始する命令の入力を受け付けると、印刷装置1は、ステップS1〜S4の処理を行う。
【0072】
このように、本実施形態の印刷装置1では、作成した印刷データを感熱テープ42に印刷する際に、まず、印刷データを印刷する位置を調整する印刷位置調整処理(ステップS2)を行う。印刷位置調整処理として、印刷装置1の制御部101及びラベル長判断部108は、例えば、図8のフローチャートに沿った処理を行う。
【0073】
図8は、印刷位置調整処理の内容を説明するフローチャートである。
印刷位置調整処理(ステップS2)では、まず、制御部101が、切断処理を行う設定になっているか否かを判定する(ステップS201)。切断処理を行うか否かの設定は、例えば、印刷データを作成する処理(ステップS1)において、利用者が入力部103を介して入力する。利用者がラベル作成時の切断処理を行わないよう設定した場合、印刷装置1は、印刷データを感熱テープ42に印刷した後、該印刷データを印刷した領域を切断せずに排出する。このため、切断処理を行う設定になっていない場合(ステップS201;NO)、制御部101は、印刷位置の調整は不要であると認識し印刷位置調整処理を終了する。
【0074】
切断処理を行う設定になっている場合(ステップS201;YES)、制御部101は、次に、印刷データの印刷枚数が1枚であるか否かを判定する(ステップS202)。印刷データの印刷枚数は、例えば、印刷データを作成する処理(ステップS1)において、利用者が入力部103を介して入力する。
【0075】
印刷枚数が1枚である場合(ステップS202;YES)、制御部101は、ラベル長判断部108と協働してラベルの長さLLが閾値Lhよりも長くなるか否かを判定する(ステップS203)。ステップS203の判定処理では、例えば、まず、制御部101が、印刷データを印刷する領域の長さL、及び耳(余白領域)の長さSに基づいてラベルの長さLLを算出する。ここで、耳の長さSは、感熱テープ42の先端から印刷データの印刷開始位置の初期設定位置までの距離である。印刷枚数が1枚である場合、制御部101は、ラベルの長さLLとして、耳の長さSと印刷データを印刷する領域の長さLとの和(S+L)を算出する。その後、ラベル長判断部108が、ラベルの長さLLと閾値Lhとを比較し、比較結果を制御部101に通知する。閾値Lhは、印刷装置1においてハーフカットが可能な長さの最小値として設定されている値とする。
【0076】
ラベルの長さLLが閾値Lhよりも長い場合(ステップS203;YES)、制御部101は、次に、ラベル長判断部108と協働してラベルの長さLLが閾値L0よりも長くなるか否かを判定する(ステップS205)。
【0077】
一方、ラベルの長さLLが閾値Lhよりも短い場合(ステップS203;NO)、制御部101は、次に、LL>Lhとなるよう印刷開始位置(耳の長さS)を調整する(ステップS204)。例えば、閾値Lhが2cmであり、ラベルの長さLLが1.8cmである場合、制御部101は、耳の長さSを0.2cm以上長くしてラベルの長さLLが閾値Lhよりも長くなるようにする。すなわち、制御部101は、感熱テープ42の先端42aから印刷データの印刷を開始する位置までの距離を長くすることによりラベルの長さLLを閾値Lhよりも長くし、印刷装置1でハーフカットを行えるようにする。ステップS204で印刷開始位置を調整した場合、制御部101は、次に、ラベル長判断部108と協働してラベルの長さLLが閾値L0よりも長くなるか否かを判定する(ステップS205)。
【0078】
ステップS205の判定処理では、例えば、まず、制御部101が、印刷データを印刷する領域の長さL、及び耳(余白領域)の長さSに基づいてラベルの長さLLを算出する。ここで、耳の長さSは、感熱テープ42の先端から印刷データの印刷開始位置までの距離である。すなわち、ステップS204の処理を行っていない場合、耳の長さSは、感熱テープ42の先端から印刷データの印刷開始位置の初期設定位置までの距離となる。一方、ステップS204の処理を行った場合、耳の長さSは、感熱テープ42の先端から調整後の印刷開始位置までの距離となる。印刷枚数が1枚である場合、制御部101は、ラベルの長さLLとして、耳の長さSと印刷データを印刷する領域の長さLとの和(S+L)を算出する。その後、ラベル長判断部108が、ラベルの長さLLと閾値L0とを比較し、比較結果を制御部101に通知する。閾値L0は、印刷装置1の搬送路におけるフルカットを行う位置から排出口2pまでの距離とする。
【0079】
ラベルの長さLLが閾値L0よりも長い場合(ステップS205;YES)、制御部101は、現在設定されている印刷開始位置を印刷データの印刷開始位置と認識して印刷位置調整処理を終了する。
【0080】
一方、ラベルの長さLLが閾値L0よりも短い場合(ステップS205;NO)、制御部101は、次に、LL>L0となるよう印刷開始位置(耳の長さS)を調整する(ステップS206)。例えば、閾値L0が2.5cmであり、ラベルの長さLLが2.0cmである場合、制御部101は、耳の長さSを0.5cm以上長くしてラベルの長さLLが閾値L0よりも長くなるようにする。すなわち、制御部101は、感熱テープ42の先端42aから印刷データの印刷開始位置までの距離を長くすることによりラベルの長さLLを閾値L0よりも長くし、印刷装置1でフルカットを行えるようにする。ステップS206の処理を行った場合、制御部101は、調整後の印刷開始位置を印刷データの印刷開始位置と認識して印刷位置調整処理を終了する。
【0081】
これに対し、印刷枚数が2枚以上である場合(ステップS202;NO)、制御部101は、次に、ラベル長判断部108と協働して1枚分のラベルの長さLLが閾値Lhよりも長いか否かを判定する(ステップS211)。ステップS211の処理では、まず、制御部101が、耳(余白領域)の長さSと、ラベル1枚分の印刷データを印刷する領域の長さLとに基づいて1枚分のラベルの長さLLを算出する。その後、ラベル長判断部108が、1枚分のラベルの長さLLと閾値Lhとを比較し、比較結果を制御部101に通知する。
【0082】
ラベルの長さLLが閾値Lhよりも長い場合(ステップS211;YES)、制御部101は、次に、ラベル長判断部108と協働して1枚分のラベルの長さLLが閾値L0よりも長いか否かを判定する(ステップS214)。
【0083】
一方、ラベルの長さLLが閾値Lhよりも短い場合(ステップS211;NO)、制御部101は、次に、ラベル長判断部108と協働してラベル全体の長さLLnが閾値Lhよりも長いか否かを判定する(ステップS212)。ステップS212の処理では、例えば、制御部101が、耳(余白領域)の長さSと、1枚分の印刷データを印刷する領域の長さLLと、印刷枚数nに基づいて、ラベル全体の長さLLnを算出する。その後、ラベル長判断部108が、ラベル全体の長さLLnと閾値Lhとを比較し、比較結果を制御部101に通知する。
【0084】
ラベル全体の長さLLnが閾値Lhよりも長い場合(ステップS212;YES)、制御部101は、次に、ラベル長判断部108と協働して1枚分のラベルの長さLLが閾値L0よりも長いか否かを判定する(ステップS214)。すなわち、本実施形態の印刷装置1では、ラベル1枚分の長さLLが閾値Lh以下であっても、ラベルn枚分のラベル全体の長さLLnが閾値Lhよりも長ければ、印刷装置1でハーフカットを行う。
【0085】
これに対し、ラベル全体の長さLLnが閾値Lh以下である場合(ステップS212;YES)、制御部101は、LLn>Lhとなるよう印刷開始位置(耳の長さS)を調整する(ステップS213)。例えば、閾値Lhが2cmであり、ラベル全体の長さLLnが1.8cmである場合、制御部101は、耳の長さSを0.2cm以上長くしてラベル全体の長さLLnが閾値Lhよりも長くなるようにする。すなわち、制御部101は、感熱テープ42の先端42aから印刷データの印刷を開始する位置までの距離を長くすることによりラベル全体の長さLLnを閾値Lhよりも長くし、印刷装置1でハーフカットを行えるようにする。ステップS204で印刷開始位置を調整した場合、制御部101は、次に、ラベル長判断部108と協働して、1枚分のラベルの長さLLが閾値L0よりも長い否かを判定する(ステップS214)。
【0086】
ステップS214の判定処理では、例えば、まず、制御部101が、印刷データを印刷する領域の長さL、及び耳(余白領域)の長さSに基づいて、1枚分のラベルの長さLLを算出する。ここで、耳の長さSは、感熱テープ42の先端から印刷データの印刷開始位置までの距離である。すなわち、ステップS213の処理を行っていない場合、耳の長さSは、感熱テープ42の先端から印刷データの印刷開始位置の初期設定位置までの距離となる。一方、ステップS213の処理を行った場合、耳の長さSは、感熱テープ42の先端から調整後の印刷開始位置までの距離となる。制御部101は、1枚分のラベルの長さLLとして、耳の長さSと1枚分の印刷データを印刷する領域の長さLとの和(S+L)を算出する。その後、ラベル長判断部108が、ラベルの長さLLと閾値L0とを比較し、比較結果を制御部101に通知する。
【0087】
1枚分のラベルの長さLLが閾値L0よりも長い場合(ステップS214;YES)、制御部101は、現在設定されている印刷開始位置を印刷データの印刷開始位置と認識して印刷位置調整処理を終了する。
【0088】
一方、1枚分のラベルの長さLLが閾値L0よりも短い場合(ステップS214;NO)、制御部101は、次に、ラベル長判断部108と協働してラベル全体の長さLLnが閾値Lhよりも長いか否かを判定する(ステップS215)。ステップS215の判定処理では、例えば、制御部101が、耳(余白領域)の長さSと、1枚分の印刷データを印刷する領域の長さLLと、印刷枚数nに基づいて、ラベル全体の長さLLnを算出する。その後、ラベル長判断部108が、ラベル全体の長さLLnと閾値L0とを比較し、比較結果を制御部101に通知する。
【0089】
ラベル全体の長さLLnが閾値L0よりも長い場合(ステップS215;YES)、制御部101は、現在設定されている印刷開始位置を印刷データの印刷開始位置と認識して印刷位置調整処理を終了する。すなわち、本実施形態の印刷装置1では、ラベル1枚分の長さLLが閾値L0以下であっても、連続印刷するラベルn枚分のラベル全体の長さLLnが閾値L0よりも長ければ、印刷装置1でフルカットを行う。
【0090】
これに対し、ラベル全体の長さLLnが閾値L0以下である場合(ステップS214;NO)、制御部101は、LLn>L0となるよう印刷開始位置(耳の長さS)を調整する(ステップS216)。例えば、閾値L0が2cmであり、ラベル全体の長さLLnが1.8cmである場合、制御部101は、耳の長さSを0.2cm以上長くしてラベル全体の長さLLnが閾値L0よりも長くなるようにする。すなわち、制御部101は、感熱テープ42の先端42aから印刷データの印刷を開始する位置までの距離を長くすることによりラベル全体の長さLLnを閾値L0よりも長くし、印刷装置1でフルカットを行えるようにする。ステップS216で印刷開始位置を調整した場合、制御部101は、現在設定されている印刷開始位置を印刷データの印刷開始位置と認識して印刷位置調整処理を終了する。
【0091】
印刷位置調整処理を終えると、印刷装置1は、印刷処理(ステップS3)を行う。印刷処理として、本実施形態の印刷装置1は、例えば、図9のフローチャートに沿った処理を行う。
【0092】
図9は、印刷処理の内容を説明するフローチャートである。
印刷処理は、上記のように、印刷装置1の制御部101が搬送処理部105及び印刷処理部106と協働して行う。制御部101は、まず、印刷位置調整処理において印刷開始位置を調整したか否かを判定する(ステップS301)。印刷開始位置を調整した場合(ステップS301;YES)、制御部101は、調整後の印刷開始位置とサーマルヘッドとの位置合わせを搬送処理部105に行わせる(ステップS302)。ステップS302において、制御部101は、感熱テープ42における印刷開始位置の初期設定位置と調整後の印刷開始位置との距離の分だけ感熱テープ42を搬送する処理を搬送処理部105に行わせる。ステップS302の処理を終えると、制御部101は、搬送処理部105及び印刷処理部106と協働して、設定した枚数分だけ印刷データを印刷する(ステップS303)。また、印刷位置調整処理において印刷位置を調整していない場合(ステップS301;NO)、制御部101は、ステップS302の処理を省略して、ステップS303の処理を行う。
【0093】
ステップS303の処理において、制御部101は、感熱テープ42を所定の搬送方向に所定の搬送速度で搬送する処理を搬送処理部105に行わせる一方で、感熱テープ42の搬送と同期して感熱テープ42に印刷データを印刷する処理を印刷処理部106に行わせる。制御部101は、感熱テープ42における印刷データを印刷する領域内を発熱素子単位の微小領域に分割し、微小領域のうちの発色させる微小領域がサーマルヘッド7の発熱素子上を通過するタイミングで発色させる微小領域に対して熱エネルギーを印加する処理を、印刷処理部106に行わせる。設定した枚数分だけ印刷データを印刷すると、制御部101は、印刷処理を終了する。
【0094】
印刷処理を終えると、印刷装置1は、印刷データを印刷した感熱テープ42を切断する切断処理(ステップS4)を行う。切断処理として、本実施形態の印刷装置1は、例えば、図10のフローチャートに沿った処理を行う。
【0095】
図10は、切断処理の内容を説明するフローチャートである。
切断処理(ステップS4)では、まず、制御部101が、切断処理を行う設定になっているか否かを判定する(ステップS401)。切断処理を行うか否かの設定は、例えば、印刷データを作成する処理(ステップS1)において、利用者が入力部103を介して入力する。利用者がラベル作成時の切断処理を行わないよう設定した場合、印刷装置1は、印刷データを感熱テープ42に印刷した後、該印刷データを印刷した領域を切断せずに排出する。このため、切断処理を行う設定になっていない場合(ステップS401;NO)、制御部101は、搬送処理部105にラベルを搬送させ(ステップS411)、印刷位置調整処理を終了する。ステップS411において、搬送処理部105は、感熱テープ42における印刷データを印刷した領域全体が印刷装置1の排出口2pを通って印刷装置1の外部に排出されるよう感熱テープ42を搬送する。この場合、利用者は、印刷装置1から排出された感熱テープ42における印刷データを印刷した領域をはさみ等で切断してラベルを得る。
【0096】
一方、切断処理を行う設定となっている場合(ステップS401;YES)、制御部101は、次に、印刷位置調整処理において印刷開始位置を調整したか否かを判定する(ステップS402)。
【0097】
印刷開始位置を調整していない場合(ステップS402;NO)、制御部101は、搬送処理部105及び切断処理部107と協働し、印刷開始位置の初期設定位置に基づいてハーフカット及びフルカットを行う(ステップS403)。ステップS403の処理において、制御部101は、まず、感熱テープ42における印刷開始位置がカッター8の第2の刃802と対向するよう搬送処理部105に感熱テープ42を搬送させ、切断処理部107に第2の刃802によるハーフカットを行わせる。また、印刷枚数が2枚以上である場合、制御部101は、印刷データを印刷した複数の領域のそれぞれにおける印刷開始位置をハーフカットする処理を、搬送処理部105及び切断処理部107に行わせる。ハーフカットする処理を終了した後、制御部101は、感熱テープ42におけるフルカット位置がカッター8の第1の刃801と対向するよう搬送処理部105に感熱テープ42を搬送させ、切断処理部107に第1の刃801によるフルカットを行わせる。
【0098】
これに対し、印刷開始位置を調整した場合(ステップS402;YES)、制御部101は、搬送処理部105及び切断処理部107と協働し、調整後の印刷開始位置に基づいてハーフカット及びフルカットを行う(ステップS404)。ステップS404の処理では、感熱テープ42におけるハーフカット位置(印刷開始位置)及びフルカット位置が、それぞれ、印刷位置調整処理により調整された調整後の位置となるだけであり、処理の内容自体はステップS403の処理と同じである。
【0099】
ステップS403又はS404の処理を終えると、制御部101は、切断処理を終了する。切断処理が終了すると、印刷装置1は、ステップS1で作成した印刷データに基づいてラベルを作成する処理を終了する。
【0100】
このように、本実施形態の印刷装置1では、切断処理を行う設定になっている場合に、1枚のラベルの長さLLが閾値Lhよりも短い場合には、LL>Lhとなるよう、耳の長さSを調整し印刷開始位置を調整する。閾値Lhは、上記のように、印刷装置1においてハーフカットを行うラベルの長さLLの最小値である。例えば、印刷装置1では、ハーフカットを行うよう設定されている場合であっても、ラベルの長さLLが閾値Lhよりも短い場合には、テープづまり等を防ぐためにハーフカットを行わない。これに対し、本実施形態の印刷装置1では、印刷枚数が1枚であり、かつ印刷開始位置の初期位置に基づいて算出される1枚のラベルの長さLLが閾値Lhよりも短い場合には、印刷開始位置を調節してLL>Lhとするため、ハーフカットを行うことが可能となる。また、本実施形態の印刷装置1では、切断処理を行う設定になっている場合に、1枚のラベルの長さLLが閾値L0よりも短い場合には、LL>L0となるよう、耳の長さSを調整し印刷開始位置を調整する。閾値L0は、上記のように、印刷装置1においてフルカットを行うラベルの長さLLの最小値である。例えば、印刷装置1では、フルカットを行うよう設定されている場合であっても、ラベルの長さLLが閾値L0よりも短い場合には、テープづまり等を防ぐためにフルカットを行わない。これに対し、本実施形態の印刷装置1では、印刷枚数が1枚であり、かつ印刷開始位置の初期位置に基づいて算出される1枚のラベルの長さLLが閾値L0よりも短い場合には、印刷開始位置を調節してLL>L0とするため、フルカットを行うことが可能となる。
【0101】
更に、本実施形態の印刷装置1では、連続印刷により複数枚のラベルを一括して作成する場合に一体物として作成されるラベル全体の長さLLnが閾値Lhよりも長ければハーフカットを行う。加えて、本実施形態の印刷装置1では、連続印刷により複数枚のラベルを一括して作成する場合に一体物として作成されるラベル全体の長さLLnが閾値L0よりも長ければフルカットを行う。しかも、ラベル全体の長さLLnが閾値Lhよりも短い場合或いはラベル全体の長さLLnが閾値L0よりも短い場合には、印刷装置1は、LLn>Lh或いはLL>L0となるよう、耳の長さSを調整し印刷開始位置を調整する。すなわち、本実施形態の印刷装置1では、連続印刷により複数枚のラベルを一括して作成する場合にラベル一枚分の長さLLが閾値Lhよりも短い場合であっても、ハーフカットを行うことによるテープ詰まりを防ぐことが可能となる。同様に、本実施形態の印刷装置1では、連続印刷により複数枚のラベルを一括して作成する場合にラベル一枚分の長さLLが閾値L0よりも短い場合であっても、フルカットを行うことによるテープ詰まりを防ぐことが可能となる。
【0102】
図11は、印刷枚数が1枚である場合のラベル作成処理を説明する図である。図11には、テープ幅W1である第1の感熱テープ42−1、テープ幅W1である第2の感熱テープ42−2、及びテープ幅W2(>W1)である第3の感熱テープ42−3のそれぞれに印刷データを印刷する場合のラベル作成処理の例を示している。第1の感熱テープ42−1、第2の感熱テープ42−2、及び第3の感熱テープ42−3のそれぞれにおける印刷開始位置の初期設定位置CHは、各感熱テープの先端42a(図11では左端)から距離Sとなる位置とする。
【0103】
第1の感熱テープ42−1には、「いろはにほへと」という文字列を示す印刷データD1が印刷される。印刷装置1において印刷データD1が印刷されたラベルを1枚作成する場合、利用者は、印刷開始位置をハーフカットするか否か、及び印刷データD1が印刷された領域を含むラベルをフルカット位置CFでフルカットするか否かを選択することが可能である。フルカット位置CFは、第1の感熱テープ42−1における長手方向での印刷データD1を印刷する領域の両端部のうちの、印刷開始位置とは反対側の端部となる位置(すなわち印刷終了位置)である。
【0104】
印刷開始位置をハーフカットするよう設定されている場合、印刷装置1は、印刷位置調整処理(ステップS2)において、ラベルの長さLLが閾値Lhよりも長いか否かを判定する(図8のステップS203)。図11の第1の感熱テープ42−1におけるラベルの長さLLは、第1の感熱テープ42−1の先端部分に設定された余白領域の長さSと印刷データD1を印刷する領域の長さL1と和(S+L1)である。図11の第1の感熱テープ42−1におけるラベルの長さLL(=S+L1)は、閾値Lhよりも長い。このため、印刷装置1は、図8のステップS204の処理を省略し、次に、ラベルの長さLLが閾値L0よりも長いか否かを判定する(図8のステップS205)。図11の第1の感熱テープ42−1におけるラベルの長さLL(=S+L1)は、閾値L0よりも長い。したがって、第1の感熱テープ42−1に印刷データD1を印刷して1枚のラベルを作成する場合、印刷装置1は、印刷開始位置の初期設定位置CHを印刷開始位置として印刷データD1を印刷する。
【0105】
印刷データD1を印刷した後、印刷装置1は、印刷開始位置の初期設定位置CHで第1の感熱テープ42−1をハーフカットする。また、フルカットするよう設定されている場合、印刷装置1は、フルカット位置CFで第1の感熱テープ42−1をフルカットする。第1の感熱テープ42−1をフルカットして得られるラベルの長さLLは、閾値L0(すなわち印刷装置1の搬送路における第1の感熱テープ42−1をフルカットする位置から排出口2pまでの距離)よりも長い。このため、第1の感熱テープ42−1に印刷データD1を印刷してラベルを作成した場合、印刷開始位置が初期設定位置CHのままであってもラベルの先端部分が排出口2pから印刷装置1の外部に突出する。したがって、切断処理の後、利用者は、作成されたラベルを印刷装置1から引き出すことができる。
【0106】
また、図11の第3の感熱テープ42−3には、「ABCD」という文字列を示す印刷データD3が印刷される。印刷データD3に含まれる文字数は、印刷データD1に含まれる文字数よりも少ない。しかしながら、図11に示したように、第3の感熱テープ42−3に印刷する文字の大きさは第1の感熱テープ42−1に印刷する文字の大きさよりも大きい。このため、第3の感熱テープ42−3に印刷データD3を印刷してラベルを作成する場合には、図11のように、ラベルの長さLL(すなわち余白領域の長さSと印刷データD3を印刷する領域の長さL3との和)が閾値L0よりも長くなることがある。このような場合、本実施形態の印刷装置1では、第3の感熱テープ42−3における印刷開始位置の初期設定位置CHを印刷開始位置として印刷データD3を印刷する。そして、ハーフカットするよう設定されている場合には、印刷装置1は、第3の感熱テープ42−3における印刷開始位置の初期設定位置CHをハーフカットする。また、フルカットするよう設定されている場合には、印刷装置1は、フルカット位置CFで第3の感熱テープ42−3をフルカットする。第3の感熱テープ42−3をフルカットして得られるラベルの長さLL(=S+L3)は、閾値L0よりも長い。このため、第3の感熱テープ42−3に印刷データD3を印刷してラベルを作成した場合、印刷開始位置が初期設定位置CHのままであってもラベルの先端部分が排出口2pから印刷装置1の外部に突出する。したがって、切断処理の後、利用者は、作成されたラベルを印刷装置1から引き出すことができる。
【0107】
これに対し、第2の感熱テープ42−2に印刷する「ABCD」という文字列を示す印刷データD2は、文字の大きさが、第3の感熱テープ42−2に印刷する印刷データD3の文字の大きさよりも小さい。したがって、図11に示したように、第2の感熱テープ42−2における印刷データD2を印刷する領域の長さL2は、第3の感熱テープ42−3における印刷データD3を印刷する領域の長さL3よりも短くなる。更に、図11に示した例では、印刷開始位置の初期設定位置CHを印刷開始位置として印刷データD2を印刷した場合のラベルの長さLL(=S+L2)は、閾値Lhよりも短い。このため、印刷開始位置の初期設定位置CHを印刷開始位置として印刷データD2を印刷してハーフカット及びフルカットを行うと、切断した感熱テープ(ラベル)が搬送路に滞留するテープ詰まりが起こる。しかしながら、本実施形態の印刷装置1では、印刷開始位置の初期設定位置CHを印刷開始位置として印刷データD2を印刷した場合のラベルの長さLL(=S+L2)が閾値Lhよりも短い場合、LL>Lhとなるよう、第2の感熱テープ42−2の先端部分の余白領域(耳)の長さSを調整する(図8のステップS204)。ステップS204の処理を行った場合、第2の感熱テープ42−2における印刷データD2の印刷開始位置は、図11における右側の第2の感熱テープ42−2に示したように、初期設定位置CHからCH’に変更される。
【0108】
なお、ステップS204の処理では、上記のように、ラベルの長さLL(=S+L2)が閾値Lh以上となるよう印刷開始位置を調整する。このため、ステップS204において決定した印刷開始位置CH’に基づいて算出されるラベルの長さLLは、閾値L0よりも短い場合がある。LL<L0である場合、第2の感熱テープ42−2をフルカット位置CFでフルカットすると、切断した感熱テープ(ラベル)が搬送路に滞留しテープ詰まりが起こる。このため、本実施形態の印刷装置1では、ラベルの長さLLが閾値L0よりも短い場合、LL>L0となるよう、第2の感熱テープ42−2の先端部分の余白領域(耳)の長さを調整する(図8のステップS206)。ステップS206の処理では、印刷装置1は、図11に示したように、余白領域(耳)が長さS”となる位置CH”を新たな印刷開始位置とする。これにより、第2の感熱テープ42−2に印刷データD2を印刷して作成されるラベルの長さLL(=S”+L2)が閾値L0よりも長くなる。よって、印刷データD2が印刷された第2の感熱テープ42−2をハーフカット又はフルカットしたときに、感熱テープ(ラベル)が搬送路に滞留することによるテープづまり等の発生を防ぐことが可能となる。したがって、本実施形態の印刷装置1によれば、印刷用のテープにおける印刷領域の長さが不足している場合に印刷装置1での切断処理(ハーフカット及びフルカット)を省略する機能を削除することが可能となる。これにより、例えば、ハーフカット及びフルカットを行う設定でラベルを作成したにもかかわらずラベルが切断されずに排出され、利用者がはさみ等を利用してラベルを切断する作業を行わなければならない事態の発生を防止することが可能となる。
【0109】
また、本実施形態の印刷装置1では、フルカットをするよう設定して作成されたラベルの長さLLが印刷データを印刷する領域の長さによらず閾値L0よりも長くなる。このため、図11の第2の感熱テープ42−2に印刷データD2を印刷してラベルを作成した場合であっても、利用者がはさみ等を利用して切断して得たラベル(長さS+L2のラベル)と比べ大きく目に付きやすい。したがって、本実施形態の印刷装置1によれば、作成したラベルを見失う(紛失する)可能性が低くなる。
【0110】
図12は、印刷枚数が2枚である場合のラベル作成処理を説明する図である。図12には、感熱テープ42に「A−1」という文字列を示す印刷データD4をラベル2枚分印刷する場合の例を示している。図12における、上下に並んだ2つの感熱テープ42のうちの上側の感熱テープ42には、初期設定位置CH1を印刷開始位置として印刷データD4を印刷する場合の、印刷データD4が印刷される領域を示している。初期設定位置CH1を印刷開始位置とする1回目に印刷データD4を印刷する領域は、1枚目のラベルとなる領域である。ここで、印刷データD4の印刷領域が長さL4であるとすると、2回目に印刷データD4を印刷する領域(すなわち2枚目のラベルとなる領域)の印刷開始位置CH2は、初期設定位置CH1から距離L4だけ離れた位置となる。また、フルカット位置CFは、印刷開始位置CH2から更に距離L4だけ離れた位置となる。
【0111】
このようにラベル2枚分の印刷データD4を連続印刷する場合、従来の印刷装置では、例えば、ラベル1枚分の長さLL(余白領域の長さSとラベル1枚分の印刷データD4を印刷する領域の長さL4との和)が閾値Lhよりも短いと、ハーフカットをするよう設定しているにもかかわらず、ハーフカットをしない場合がある。また、従来の印刷装置では、例えば、ラベル1枚分の長さLLが閾値L0よりも短いと、フルカットをするよう設定にしているにもかかわらず、フルカットがしない場合がある。このため、複数枚分のラベルを一括して作成する場合、個々のラベルが分離していない状態のラベルが印刷装置1から排出されることとなり、利用者が、はさみやカッターを利用して複数枚分のラベルを個々のラベルに切り分ける作業を行うこととなる。
【0112】
これに対し、本実施形態の印刷装置1では、ラベル1枚分の長さLL(余白領域の長さSとラベル1枚分の印刷データD4を印刷する領域の長さL4との和)が閾値Lhよりも短い場合であっても、ラベル全体の長さLLnが閾値Lhよりも長ければハーフカットを行う。このため、図12の上側に示した感熱テープ42のように初期設定位置CH1を印刷開始位置として印刷データD4を印刷して2枚のラベルを作成する場合、ハーフカットをするよう設定されていると、印刷装置1は、印刷開始位置CH1,CH2をハーフカットする。
【0113】
図12の上側に示した感熱テープ42のように初期設定位置CH1を印刷開始位置として印刷データD4を印刷して2枚のラベルを作成する場合、印刷装置1では、印刷位置調整処理(ステップS2)において、まず、ラベル1枚分の長さLLが閾値Lhよりも長いか否かを判定する(ステップS211)。図12の上側に示した感熱テープ42におけるラベル1枚分の長さLL(=S+L4)は閾値Lhよりも短いので、印刷装置1は、次に、ラベル全体の長さLLn(=S+2・L4)が閾値Lhよりも長いか否かを判定する(ステップS212)。図12の上側に示した感熱テープ42におけるラベル全体の長さLLnは閾値Lhよりも長いので、印刷装置1は、印刷開始位置を調整するステップS213を省略し、次に、ラベル1枚分の長さLLが閾値L0よりも長いか否かを判定する(ステップS214)。図12の上側に示した感熱テープ42におけるラベル1枚分の長さLL(=S+L4)は閾値L0よりも短いので、印刷装置1は、次に、ラベル全体の長さLLn(=S+2・L4)が閾値L0よりも長いか否かを判定する(ステップS215)。図12の上側に示した感熱テープ42におけるラベル全体の長さLLnは閾値L0よりも短いので、印刷装置1は、次に、LLn>L0となるよう印刷開始位置を調整する(ステップS216)。ステップS216の処理では、印刷装置1は、図12の下側に示した感熱テープ42のように、ラベル全体の長さLLが閾値L0よりも長くなるよう、先端部分の余白領域の長さをSからS”に変更する。すなわち、ステップS216の処理では、印刷装置1は、初期設定位置CH1から、感熱テープ42の先端42aから距離S”となる位置CH1”に印刷開始位置を変更する。
【0114】
このように、本実施形態の印刷装置1で複数枚のラベルを一括して作成する場合には、ラベル1枚分の長さLLによらず、ラベル全体の長さLLnが閾値Lhよりも長ければハーフカットを行い、ラベル全体の長さLLnが閾値L0よりも長ければフルカットを行う。したがって、ハーフカット及びフルカットをするよう設定して複数枚のラベルを一括して作成した場合に、切断されていないラベルが印刷装置1から排出される事態を防ぐことが可能となる。これにより、利用者がはさみ等を利用して切断する作業を行わなければならない事態の発生を防止することが可能となる。
【0115】
なお、上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。印刷装置1は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、様々な変形、変更が可能である。
【0116】
例えば、図8のフローチャートは、本実施形態の印刷装置1が行う印刷位置調整処理の一例に過ぎない。本実施形態の印刷装置1が行う印刷位置調整処理は、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、印刷装置1が行う印刷位置調整処理は、図8のフローチャートにおけるステップS203及びS204の処理、並びにステップS211〜S213の処理が省略されていてもよい。また、例えば、印刷装置1が行う印刷位置調整処理は、図8のフローチャートにおけるステップS205及びS206の処理、並びにステップS214〜S216の処理が省略されていてもよい。更に、印刷装置1が行う印刷位置調整処理は、例えば、ハーフカット及びフルカットをするよう設定されている場合と、フルカットのみをするよう設定されている場合とで、処理の内容が変更されてもよい。
【0117】
また、印刷開始位置(耳の長さ)を調整する際には、印刷用のテープにおける先端からフルカット位置までの距離が、搬送路におけるフルカット用のカッターから排出口までの距離よりも長くなる位置に調整すればよい。したがって、印刷用のテープにおける印刷開始位置の初期設定位置からフルカット位置までの距離は、搬送路におけるフルカット用のカッターから排出口までの距離よりも短くてもよい。
【0118】
また、本実施形態の印刷装置1において複数枚分のラベルを連続印刷する場合には、1個の印刷データを繰り返し印刷するだけでなく、連番印刷等、内容が異なる複数の印刷データを所定の順序で印刷してもよい。内容が異なる複数の印刷データを所定の順序で印刷する場合、例えば、図8のフローチャートにおけるステップS211では、複数の印刷データの印刷領域の長さのそれぞれのうちの最初に印刷データを印刷する領域の長さと余白領域の長さSとの和をラベル1枚分の長さLLする。
【0119】
また、本実施形態の印刷装置1において複数枚分のラベルを連続印刷する場合のステップS212及びS215の判定は、ラベル全体の長さLLnに限らず、例えば、2〜N−1枚分の長さの和に基づいて行ってもよい。
【0120】
また、印刷装置1における印刷用のテープを供給する方法は、上述した実施形態で説明した方法に限らず、適宜変更可能である。印刷用のテープは、例えば、利用者が被記録媒体40を出し入れすることを想定していない使いきりタイプのテープカートリッジから供給してもよい。
【0121】
また、例えば、上述した実施形態では、入力装置3と表示装置5とを有する印刷装置1を例示したが、印刷装置1は、入力装置や表示装置を有しなくてもよい。すなわち、文字や図形等の印刷データは、例えば、コンピュータ等の、印刷装置1とは別の電子機器から入力されても良い。
【0122】
更に、印刷装置1のコンピュータに実行させるプログラムは、図7のフローチャートにおけるステップS1〜S4の処理だけでなく、他の処理を含むものであってもよい。また、印刷装置1のコンピュータに実行させるプログラムにおけるステップS2の処理は、図8のフローチャートに沿った処理に限らず、適宜変更可能である。更に、印刷装置1のコンピュータに実行させるプログラムにおけるステップS3の処理は、図9のフローチャートに沿った処理に限らず、適宜変更可能である。加えて、印刷装置1のコンピュータに実行させるプログラムにおけるステップS4の処理は、図10のフローチャートに沿った処理に限らず、適宜変更可能である。
【0123】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
テープに印刷データを印刷する印刷手段と、
前記印刷データが印刷されたテープを切断する切断手段と、
前記切断手段によって切断されてなるラベルの長さが閾値以上になるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記閾値以上にならないと判断された場合には、前記テープの長さが閾値以上になるように、前記ラベルの長さを調整する制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【0124】
[付記2]
前記印刷手段によって複数の前記印刷データが連続して印刷される場合に、
前記判断手段は、前記複数の前記印刷データが連続して印刷されたラベル全体の長さが閾値以上であるか否かを判断する
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0125】
[付記3]
前記制御手段は、前記判断手段によって前期閾値以上にならないと判断された場合には、前記ラベルの長さが閾値以上になるように、前記テープの先端から前記印刷データを印刷する印刷領域までの余白領域の長さを調整する
ことを特徴とする付記1又は付記2に記載の印刷装置。
【0126】
[付記4]
前記閾値は、前記切断手段によって、前記テープにおける前記印刷データを印刷する印刷領域と、該印刷領域と隣り合う領域と、が一体的に保持された状態を維持する態様で切断する、ハーフカットによる切断が可能な長さに基づく長さである
ことを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載の印刷装置。
【0127】
[付記5]
前記閾値は、前記切断手段によって前記テープにおける切断する位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される態様で切断するフルカットによって切断する位置から切断した前記テープを排出する排出口までの距離とに基づく長さである
ことを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載の印刷装置。
【0128】
[付記6]
前記閾値は、前記切断手段によって、前記テープにおける前記印刷データを印刷する印刷領域と、該印刷領域と隣り合う別の領域と、が一体的に保持された状態を維持する態様で切断する、ハーフカットによる切断が可能な長さであり、且つ前記切断手段によって前記テープにおける切断する位置を境として隣り合う2つの領域が切り離される態様で切断するフルカットによって切断する位置から切断した前記テープを排出する排出口までの距離の長さである
ことを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載の印刷装置。
【0129】
[付記7]
印刷装置の制御方法であって、該印刷装置が、
印刷データを印刷したテープが切断されてなるラベルの長さが閾値以上になるか否かを判断し、
前記閾値以上にならないと判断した場合には、前記ラベルの長さが閾値以上になるように、前記ラベルの長さを調整する、
処理を実行することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【0130】
[付記8]
印刷装置のコンピュータに、
印刷データを印刷したテープが切断されてなるラベルの長さが閾値以上になるか否かを判断する処理と、
前記閾値以上にならないと判断した場合には、前記ラベルの長さが閾値以上になるように、前記ラベルの長さを調整する処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0131】
1・・・印刷装置、2・・・装置筐体、2a・・・アダプタ収容部、2p・・・排出口、3・・・入力装置、4・・・蓋、4r・・・ボタン、401,402・・・支持部、403・・・アダプタ押さえ部、404・・・窓、5・・・表示装置、6・・・プラテンローラ、7・・・サーマルヘッド、8・・・カッター、801・・・第1の刃、802・・・第2の刃、10・・・アダプタ媒体、40・・・被印刷媒体、41・・・筒状部材、42,42−1,42−2,42−3・・・感熱テープ、42a・・・先端、42b,42c・・・(幅方向の)端部、43・・・バラけ防止シート、44・・・アテンションシート、43a,44a・・・開口、101・・・制御部、102・・・アダプタ検知部、103・・・入力部、104・・・表示部、105・・・搬送処理部、106・・・印刷処理部、107・・・切断処理部、108・・・ラベル長さ判断部、110・・・記憶部、D1,D2,D3,D4・・・印刷データ、CH,CH1・・・初期設定位置、CH’,CH1’,CH2・・・印刷開始位置、CF・・・フルカット位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12