特許第6809583号(P6809583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6809583
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】冷媒流路切換装置及び空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/26 20210101AFI20201221BHJP
   F25B 5/02 20060101ALI20201221BHJP
   F25B 6/02 20060101ALI20201221BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20201221BHJP
   F24F 1/32 20110101ALI20201221BHJP
【FI】
   F25B41/04 B
   F25B5/02 510Q
   F25B6/02 J
   F25B43/00 W
   F24F1/32
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-172427(P2019-172427)
(22)【出願日】2019年9月24日
【審査請求日】2020年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】碇 一暉
(72)【発明者】
【氏名】太田 直之
(72)【発明者】
【氏名】今田 洋行
(72)【発明者】
【氏名】下田 順一
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−13273(JP,A)
【文献】 特許第2725849(JP,B2)
【文献】 特開2006−17374(JP,A)
【文献】 特開2015−114049(JP,A)
【文献】 特開2018−9708(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第2451722(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 5/02
F25B 6/02
F25B 41/00
F25B 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機(101)における熱源側ユニット(110)の高低圧ガス連絡管(13)に接続可能な第1ヘッダ管(55)と、前記熱源側ユニット(110)の吸入ガス連絡管(12)に接続可能な第2ヘッダ管(56)と、前記熱源側ユニット(110)の液連絡管(11)に接続可能な第3ヘッダ管(57)と、前記空気調和機における複数の利用側ユニット(120)に対応して設けられ、冷媒の流れを制御する複数の弁(EV1,EV2,EV3)を有する切換ユニット(70)と、前記第1ヘッダ管(55),前記第2ヘッダ管(56),前記第3ヘッダ管(57),及び前記切換ユニット(70)を収容するケーシング(131)と、を備え、前記熱源側ユニット(110)と複数の前記利用側ユニット(120)との間の冷媒の流路を切り換える冷媒流路切換装置(130)であって、
前記第1ヘッダ管(55)の端部と前記第2ヘッダ管(56)の端部と前記第3ヘッダ管(57)の端部とが、前記ケーシング(131)から外部に突出しかつ第1方向(Z)に1列に並べて配置され、
前記切換ユニット(70)における前記複数の弁(EV1,EV2,EV3)が、前記第1ヘッダ管(55)の前記端部に対して、前記第1方向(Z)及び前記端部が延びる方向(X)に垂直な第2方向(Y)へ離れた位置に配置されている、冷媒流路切換装置。
【請求項2】
前記切換ユニット(70)が、前記利用側ユニット(120)に接続可能な利用側ガス配管(61)及び利用側液配管(62)を備えており、
前記第2方向(Y)に関して、前記利用側ガス配管(61)及び前記利用側液配管(62)が、前記第1ヘッダ管(55),前記第2ヘッダ管(56),及び前記第3ヘッダ管(57)よりも複数の前記弁(EV1,EV2,EV3)とは反対側に向けて延びている、請求項1に記載の冷媒流路切換装置。
【請求項3】
前記切換ユニット(70)が、前記第1ヘッダ管(55)と複数の前記弁(EV1,EV2,EV3)に含まれる第1弁(EV1)とを接続する第1冷媒管(P1)を備えており、
前記第1冷媒管(P1)に、冷媒に含まれる異物を除去するフィルタ(F1)が設けられている、請求項1又は2に記載の冷媒流路切換装置。
【請求項4】
前記切換ユニット(70)が、前記第1ヘッダ管(55)と複数の前記弁(EV1,EV2,EV3)に含まれる第1弁(EV1)とを接続する第1冷媒管(P1)を備えており、
前記第1冷媒管(P1)は、前記第2方向(Y)において、前記第1ヘッダ管(55)から前記第1弁(EV1)とは反対側へ向けて延びる第1部分(P1a)と、前記第1部分(P1a)から前記第1弁(EV1)側へ方向転換し、前記第1弁(EV1)に接続される第2部分(P1b,P1c)と、を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷媒流路切換装置。
【請求項5】
前記第1ヘッダ管(55)が、前記第2ヘッダ管(56)及び第3ヘッダ管(57)よりも前記第1方向(Z)の一方側に配置され、
前記第1部分(P1a)が、前記第1ヘッダ管(55)から前記第1方向(Z)の一方側へ向けて斜めに延びており、
前記第1部分(P1a)における前記第1方向(Z)の一方側の端部と、複数の前記弁(EV1,EV2,EV3)のうち最も前記第1方向(Z)の一方側に配置された弁の前記第1方向(Z)の一方側の端部とが、前記第1方向(Z)に関して同じ位置に配置されている、請求項4に記載の冷媒流路切換装置。
【請求項6】
前記第3ヘッダ管(57)の両端部(57a)が、前記第1ヘッダ管(55)の両端部及び前記第2ヘッダ管(56)の両端部と前記第1方向(Z)に並べて配置され、
前記第3ヘッダ管(57)が、その両端部(57a)の間に、前記第1方向(Z)から見て複数の前記切換ユニット(70)における複数の前記弁(EV1,EV2,EV3)の外側を囲む部分(57b,57c)を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷媒流路切換装置。
【請求項7】
前記第3ヘッダ管(57)が、前記第1方向(Z)における前記第1ヘッダ管(55)と前記第2ヘッダ管(56)との間に配置されている、請求項6に記載の冷媒流路切換装置。
【請求項8】
前記第1ヘッダ管(55),第2ヘッダ管(56),及び第3ヘッダ管(57)のうち前記第1方向(Z)の一方側の端部に配置された端部ヘッダ管(55)と、前記切換ユニット(70)における複数の弁(EV1,EV2,EV3)のうち第2の方向において最も前記端部ヘッダ管(55)に近い近接弁(EV1)とによって、前記第2方向における両端が定められ、かつ、前記端部ヘッダ管(55)と前記近接弁(EV1)とを接続する第1冷媒管(P1)と、前記ケーシング(131)の前記第1方向(Z)の一方側の壁(131d)とによって前記第1方向(Z)における両端が定められる空間(S)が、前記ケーシング内に形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷媒流路切換装置。
【請求項9】
熱源側ユニット(110)及び複数の利用側ユニット(120)を有する空気調和機(101)と、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の冷媒流路切換装置(130)と、を備えている、空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒流路切換装置及び空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱源側ユニットと複数の利用側ユニットとを有する空気調和機において、各利用側ユニットで冷房運転と暖房運転とを個別に切り換えて行うために、熱源側ユニットと複数の利用側ユニットとの間の冷媒の流路を切り換える冷媒流路切換装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の冷媒流路切換装置は、熱源側ユニットの高低圧ガス連絡管に接続される第1ヘッダ管、熱源側ユニットの吸入ガス連絡管に接続される第2ヘッダ管、及び、熱源側ユニットの液連絡管に接続される第3ヘッダ管と、各利用側ユニットに対応して設けられ冷媒の流路を切り換える複数の弁を有する複数の切換ユニットと、第1〜第3ヘッダ管と複数の切換ユニットとを収容するケーシングとを備えている。各連絡管に接続される第1〜第3ヘッダ管の端部は、ケーシングの側面から外部に突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−114049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような冷媒流路切換装置は、例えば、空気調和システムが設置されるホテル又はビル等の部屋の天井裏に配置される。
特許文献1記載の冷媒流路切換装置においては、複数の弁が前後に並べて配置され、第2ヘッダ管と第3ヘッダ管とが、複数の弁の下方に配置されている。そのため、冷媒流路切換装置の上下方向の長さが大きくなってしまっていた。
【0005】
本開示は、コンパクト化を図ることができる冷媒流路切換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の冷媒流路切換装置は、空気調和機における熱源側ユニットの高低圧ガス連絡管に接続可能な第1ヘッダ管と、前記熱源側ユニットの吸入ガス連絡管に接続可能な第2ヘッダ管と、前記熱源側ユニットの液連絡管に接続可能な第3ヘッダ管と、前記空気調和機における複数の利用側ユニットに対応して設けられ、冷媒の流れを制御する複数の弁を有する切換ユニットと、前記第1ヘッダ管,前記第2ヘッダ管,前記第3ヘッダ管,及び前記切換ユニットを収容するケーシングと、を備え、前記熱源側ユニットと複数の前記利用側ユニットとの間の冷媒の流路を切り換える冷媒流路切換装置であって、
前記第1ヘッダ管の端部と前記第2ヘッダ管の端部と前記第3ヘッダ管の端部とが、前記ケーシングから外部に突出しかつ第1方向に1列に並べて配置され、
前記切換ユニットにおける前記複数の弁が、前記第1ヘッダ管の前記端部に対して、前記第1方向及び前記端部が延びる方向に垂直な第2方向へ離れた位置に配置されている。
【0007】
このような構成によって、第1方向におけるケーシングの長さを小さくし、ケーシングのコンパクト化を図ることができる。
【0008】
(2)好ましくは、前記切換ユニットが、前記利用側ユニットに接続可能な利用側ガス配管及び利用側液配管を備えており、
前記第2方向に関して、前記利用側ガス配管及び前記利用側液配管が、前記第1ヘッダ管,前記第2ヘッダ管,及び前記第3ヘッダ管よりも複数の前記弁とは反対側に向けて延びている。
【0009】
このような構成によって、第1〜第3ヘッダ管の端部と、利用側ガス配管及び利用側液配管とを近づけて配置することができ、例えば天井に形成された点検口等から、これらの管に対する作業(管の接続や点検等)を容易に行うことができる。
【0010】
(3)好ましくは、前記切換ユニットが、前記第1ヘッダ管と複数の前記弁に含まれる第1弁とを接続する第1冷媒管を備えており、
前記第1冷媒管に、冷媒に含まれる異物を除去するフィルタが設けられている。
【0011】
このような構成によって、第1ヘッダ管にフィルタを設ける場合に比べて、フィルタを小さくすることができる。
【0012】
(4)好ましくは、前記切換ユニットが、前記第1ヘッダ管と複数の前記弁に含まれる第1弁とを接続する第1冷媒管を備えており、
前記第1冷媒管は、前記第2方向において、前記第1ヘッダ管から前記第1弁とは反対側へ向けて延びる第1部分と、前記第1部分から前記第1弁側へ方向転換し、前記第1弁に接続される第2部分と、を有する。
【0013】
(5)好ましくは、前記第1ヘッダ管が、前記第2ヘッダ管及び第3ヘッダ管よりも前記第1方向の一方側に配置され、
前記第1部分が、前記第1ヘッダ管から前記第1方向の一方側へ向けて斜めに延びており、
前記第1部分における前記第1方向の一方側の端部と、複数の前記弁のうち最も前記第1方向の一方側に配置された弁の前記第1方向の一方側の端部とが、前記第1方向に関して同じ位置に配置されている。
【0014】
このような構成によって、切換ユニットおよびヘッダ管を収容するケーシングの壁部を、第1部分の端部と弁の端部との双方に接近させて配置することができ、ケーシング内のスペースを有効に利用することができる。
なお、第1方向に関して「同じ位置」とは、全く同じ位置だけでなく、実質的に同じ位置(例えば、3.0mmの寸法差内)である場合も含む。
【0015】
(6)好ましくは、前記第3ヘッダ管の両端部が、前記第1ヘッダ管の両端部及び前記第2ヘッダ管の両端部と前記第1方向に並べて配置され、
前記第3ヘッダ管が、その両端部の間に、前記第1方向から見て複数の前記切換ユニットにおける複数の前記弁の外側を囲む部分を有する。
【0016】
この構成によれば、第3ヘッダは、その両端部の間に複数の弁の外側を囲む部分を有しているので、複数の弁との干渉を避けつつ第3ヘッダ管の両端部と第1、第2ヘッダ管の両端部と1列に並べて配置することができる。
【0017】
(7)好ましくは、前記第3ヘッダ管が、前記第1方向における前記第1ヘッダ管と前記第2ヘッダ管との間に配置されている。
【0018】
(8)好ましくは、前記第1ヘッダ管,第2ヘッダ管,及び第3ヘッダ管のうち前記第1方向の一方側の端部に配置された端部ヘッダ管と、前記切換ユニットにおける複数の弁のうち第2の方向において最も前記端部ヘッダ管に近い近接弁とによって、前記第2方向における両端が定められ、かつ、前記端部ヘッダ管と前記近接弁とを接続する第1冷媒管と、前記ケーシングの第1方向の一方側の壁部とによって前記第1方向における両端が定められる空間が、前記ケーシング内に形成されている。
【0019】
このような構成によって、ケーシング内の空間を利用して弁のメンテナンス等を行うことができる。
【0020】
(9)本開示の空気調和システムは、熱源側ユニット及び複数の利用側ユニットを有する空気調和機と、
上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の冷媒流路切換装置と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の一実施形態に係る空気調和システムの全体構成である。
図2】空気調和システムの冷媒回路図である。
図3】冷媒流路切換装置の斜視図である。
図4】冷媒流路切換装置の内部構成を示す平面図である。
図5】冷媒流路切換装置の内部構造を示す側面図である。
図6】冷媒流路切換装置の内部構造を示す斜視図である。
図7】冷媒流路切換装置の一つの切換ユニットをある方向から見た斜視図である。
図8】冷媒流路切換装置の一つの切換ユニットを他の方向から見た斜視図である。
図9】第1ヘッダ管、第2ヘッダ管、及び第3ヘッダ管の並びの変形例を示す側面説明図である。
図10】室外ユニットと複数の冷媒流路切換装置の接続例を示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の空気調和システムを詳細に説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
図1は、本開示の一実施形態に係る空気調和システムの全体構成である。
空気調和システム100は、ビルや工場等に設置されて空調対象空間の空気調和を実現する。空気調和システム100は、空気調和機101と、冷媒流路切換装置130とを備えている。空気調和機101は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことで空調対象空間を冷暖房する。
【0024】
空気調和機101は、熱源側ユニットとしての室外ユニット110と利用側ユニットとしての室内ユニット120とを有している。空気調和機101は、1台の室外ユニット110に対して複数台の室内ユニット120が冷媒流路切換装置130を介して接続されている。空気調和機101は、冷媒流路切換装置130によって室内ユニット120毎に冷房運転及び暖房運転を自由に選択して行うことができる。
【0025】
[室外ユニットの構成]
図2は、空気調和システムの冷媒回路図である。
室外ユニット110は、例えば建物の屋上やベランダ等の屋外や、地下に設置される。
室外ユニット110内には、各種の機器が配設され、これらの機器が冷媒配管を介して接続されることで、熱源側冷媒回路RC1が構成されている。熱源側冷媒回路RC1は、液連絡管11、吸入ガス連絡管12及び高低圧ガス連絡管13を介して、冷媒流路切換装置130内の冷媒回路RC3と接続されている。
【0026】
熱源側冷媒回路RC1は、ガス側第1閉鎖弁21、ガス側第2閉鎖弁22、液側閉鎖弁23、アキュームレータ24、圧縮機25、第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、第3流路切換弁28、室外熱交換器30、第1室外膨張弁34、及び第2室外膨張弁35を備えている。熱源側冷媒回路RC1は、これらの機器が複数の冷媒配管を介して接続されることにより構成されている。室外ユニット110内には、室外ファン33や図示しない制御部等が配設されている。
【0027】
ガス側第1閉鎖弁21、ガス側第2閉鎖弁22、及び液側閉鎖弁23は、冷媒の充填やポンプダウン等の際に開閉される手動の弁である。ガス側第1閉鎖弁21の一端は、吸入ガス連絡管12に接続されている。ガス側第1閉鎖弁21の他端は、アキュームレータ24まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0028】
ガス側第2閉鎖弁22の一端は、高低圧ガス連絡管13に接続されている。ガス側第2閉鎖弁22の他端は、第2流路切換弁27まで延びる冷媒配管に接続されている。
液側閉鎖弁23の一端は、液連絡管11に接続されている。液側閉鎖弁23の他端は、第1室外膨張弁34及び第2室外膨張弁35まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0029】
アキュームレータ24は、圧縮機25に吸入される低圧冷媒を一時的に貯留し、ガス冷媒と液冷媒とを分離するための容器である。
【0030】
圧縮機25は、圧縮機用モータを内蔵する密閉式の構造を有しており、例えばスクロール方式やロータリ方式などの容積式の圧縮機である。圧縮機25は、吸入した低圧冷媒を圧縮した後、吐出配管25aから吐出する。圧縮機25の内部には、冷凍機油が収容されている。この冷凍機油は、冷媒とともに冷媒回路内を循環することがある。本実施形態の室外ユニット110は、1台の圧縮機25を備えている。ただし、室外ユニット110は、並列に接続された2台以上の圧縮機25を備えていてもよい。
【0031】
第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、及び第3流路切換弁28は、四路切換弁である。第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、及び第3流路切換弁28は、空気調和機101の運転状況に応じて冷媒の流れを切り換える。第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、及び第3流路切換弁28の一の冷媒流入口には、吐出配管25a又は吐出配管25aから延びる分岐管が接続されている。
【0032】
第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、及び第3流路切換弁28は、運転時において、一の冷媒流路における冷媒の流れが遮断されるように構成されており、事実上、三方弁として機能している。
【0033】
室外熱交換器30は、クロスフィン型式やマイクロチャネル型式の熱交換器である。室外熱交換器30は、第1熱交換部31と、第2熱交換部32とを含んでいる。第1熱交換部31は室外熱交換器30の上部に設けられており、第2熱交換部32は第1熱交換部31よりも下部に設けられている。
【0034】
第1熱交換部31のガス側端は、第3流路切換弁28まで延びる冷媒配管に接続されている。第1熱交換部31の液側端は、第1室外膨張弁34まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0035】
第2熱交換部32のガス側端は、第1流路切換弁26まで延びる冷媒配管に接続されている。第2熱交換部32の液側端は、第2室外膨張弁35まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0036】
第1熱交換部31及び第2熱交換部32を通過する冷媒は、室外ファン33が生成する空気流と熱交換する。室外ファン33は、例えばプロペラファンであり、室外ファン用モータ(図示省略)により駆動される。室外ファン33は、室外ユニット110内に流入し室外熱交換器30を通過して室外ユニット110外へ流出する空気流を生成する。
【0037】
第1室外膨張弁34及び第2室外膨張弁35は、例えば開度調整が可能な電動弁である。第1室外膨張弁34の一端は、第1熱交換部31から延びる冷媒配管に接続されている。第1室外膨張弁34の他端は、液側閉鎖弁23まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0038】
第2室外膨張弁35の一端は、第2熱交換部32から延びる冷媒配管に接続されている。第2室外膨張弁35の他端は、液側閉鎖弁23まで延びる冷媒配管に接続されている。第1室外膨張弁34及び第2室外膨張弁35は、運転状況に応じて開度が調整され、内部を通過する冷媒をその開度に応じて減圧する。
【0039】
圧縮機25、室外ファン33、第1室外膨張弁34、第2室外膨張弁35、第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、第3流路切換弁28は、図示しない制御部により動作制御される。室外ユニット110の制御部は、CPUやメモリ等で構成されるマイクロコンピュータである。室外ユニット110の制御部は、通信線を介して、室内ユニット120の制御部及び冷媒流路切換装置130の制御部と信号の送受信を行う。
【0040】
[室内ユニットの構成]
室内ユニット120は、天井埋込み型、天井吊下げ型、床置き型、又は壁掛け型である。本実施形態の空気調和システム100は、例えば4台の室内ユニット120を備えている。
【0041】
室内ユニット120内には、利用側冷媒回路RC2が設けられている。利用側冷媒回路RC2は、室内膨張弁51と、室内熱交換器52とを備えている。利用側冷媒回路RC2は、室内膨張弁51と室内熱交換器52とが冷媒配管によって接続されることで構成されている。
【0042】
室内ユニット120内には、室内ファン53及び制御部(図示省略)が配設されている。
室内膨張弁51は、開度調整が可能な電動弁である。室内膨張弁51の一端は、液管LPに接続されている。室内膨張弁51の他端は、室内熱交換器52まで延びる冷媒配管に接続されている。室内膨張弁51は、内部を通過する冷媒をその開度に応じて減圧する。
【0043】
室内熱交換器52は、例えば、クロスフィン型式やマイクロチャネル型式の熱交換器である。室内熱交換器52の液側端は、室内膨張弁51から延びる冷媒配管に接続されている。室内熱交換器52のガス側端は、ガス管GPに接続されている。室内熱交換器52に流入した冷媒は、室内ファン53が生成する空気流と熱交換し、室内熱交換器52から排出される。
【0044】
室内ファン53は、例えばクロスフローファンやシロッコファンである。室内ファン53は、室内ファン用モータ(図示省略)によって駆動される。室内ファン53は、室内空間から室内ユニット120内部に流入し、室内熱交換器52を通過してから室内空間へ流出する空気流を生成する。
【0045】
室内膨張弁51及び室内ファン53は、室内ユニット120の制御部(図示省略)によって動作制御される。室内ユニット120の制御部は、CPUやメモリ等で構成されるマイクロコンピュータである。室内ユニット120の制御部には、図示しないリモートコントローラが接続される。室内ユニット120の制御部は、リモートコントローラに入力された設定温度等の運転条件に基づいて室内ファン53や室内膨張弁51を駆動させる。
【0046】
[冷媒流路切換装置の構成]
冷媒流路切換装置130は、室外ユニット110と複数の室内ユニット120との間に設けられている。冷媒流路切換装置130は、室外ユニット110及び各室内ユニット120へ流入する冷媒の流れを切り換える。
【0047】
図3は、冷媒流路切換装置の斜視図である。図4は、冷媒流路切換装置の内部を示す平面図である。図5は、冷媒流路切換装置の内部を示す側面図である。図6は、冷媒流路切換装置の内部を示す斜視図である。
【0048】
図3に示すように、冷媒流路切換装置130は、ケーシング131を有している。ケーシング131は、略直方体状を呈している。ケーシング131内には、複数のヘッダ管55,56,57,58と複数の切換ユニット70とが収容されている。
以下の説明においては、図3図6に示す第1方向Zを上下方向、第2方向Yを前後方向、第3方向Xを左右方向とする。第1方向Z、第2方向Y、及び第3方向Xは、互いに直交している。
【0049】
ケーシング131の後壁131cには、制御ボックス132が設けられている。制御ボックス132内に、冷媒流路切換装置130の制御部が収容されている。
【0050】
制御ボックス132は、図3に2点鎖線で示すように、ケーシング131の側壁131bに設けられていてもよい。この側壁131bには、制御ボックス132が設けられることを想定して、着脱可能な蓋体131fによって閉鎖される開口131eが形成されている。制御ボックス132がケーシング131の側壁131bに設けられる場合、蓋体131fを取り外すことによって、ケーシング131内と制御ボックス132内とを連通させることができる。
【0051】
(ヘッダ管)
複数のヘッダ管55,56,57,58は、第1ヘッダ管55と、第2ヘッダ管56と、第3ヘッダ管57と、第4ヘッダ管58とを含む。
図2に示すように、第1ヘッダ管55は、高低圧ガス連絡管(第1ガス連絡管)13に接続される。第2ヘッダ管56は、吸入ガス連絡管(第2ガス連絡管)12に接続される。第3ヘッダ管57は、液連絡管11に接続される。
【0052】
図4図6に示すように、第1ヘッダ管55は、左右方向Xに沿って一直線状に形成されている。第2ヘッダ管56も、左右方向Xに沿って一直線状に形成されている。第1ヘッダ管55と第2ヘッダ管56とは、上下方向Zに並べて配置されている。第1ヘッダ管55は、第2ヘッダ管56よりも上方に配置されている。第1ヘッダ管55と第2ヘッダ管56とは、互いに平行に配置されている。
【0053】
図3に示すように、第1ヘッダ管55の両端部と第2ヘッダ管56の両端部とは、それぞれケーシング131の左右の側壁131bから突出している。
【0054】
図4図6に示すように、第3ヘッダ管57は、一対の第1部分57aと、一対の第2部分57bと、第3部分57cとを有する。
一対の第1部分57aは、第3ヘッダ管57の両端部を構成している。第1部分57aは、左右方向Xに沿って配置されている。第1部分57aは、略水平に配置されている。
【0055】
第3ヘッダ管57は、第1ヘッダ管55と第2ヘッダ管56との上下方向の間に配置されている。第3ヘッダ管57の第1部分57aは、第1ヘッダ管55及び第2ヘッダ管56と上下方向Zに並べて配置されている。第3ヘッダ管57の第1部分57aは、第1ヘッダ管55及び第2ヘッダ管56と互いに平行に配置されている。第3ヘッダ管57の第1部分57aは、図3に示すように、ケーシング131の左右の側壁131bから突出している。
【0056】
本実施形態では、図5に示すように、第1ヘッダ管55の中心と第2ヘッダ管56の中心と第3ヘッダ管57の第1部分57aの中心とは、上下方向Zに沿って一直線上に並べて配置されている。図5には、第1ヘッダ管55の中心と第2ヘッダ管56の中心と第3ヘッダ管57の第1部分57aの中心とを通る直線が符号L1で示されている。
【0057】
ただし、第1ヘッダ管55の中心と第2ヘッダ管56の中心と第3ヘッダ管57の第1部分57aの中心とは、必ずしも一直線上(直線L1上)に配置されていなくてもよい。例えば、図9に示すように、第3ヘッダ管57の第1部分57aが、第1ヘッダ管55及び第2ヘッダ管56の中心を通る直線L2に沿う方向に、第1ヘッダ管55及び第2ヘッダ管56に重なっている場合(第3ヘッダ管57の第1部分57aがwで示す範囲内に配置されている場合)も、第3ヘッダ管57の第1部分57aが、第1ヘッダ管55及び第2ヘッダ管56と上下方向に並べて配置されているということができる。
【0058】
図4及び図6に示すように、第3ヘッダ管57の一対の第2部分57bは、第1部分57aの左右方向Xの内端部から後方へ屈曲して延びている。第2部分57bは、前後方向Yに沿って配置されている。第2部分57bは、略水平に配置されている。
【0059】
第3ヘッダ管57の第3部分57cは、一対の第2部分57bの後端部同士を接続している。第3部分57cは、左右方向Xに沿って配置されている。第3部分57cは、略水平に配置されている。
第3ヘッダ管57の第1部分57a、第2部分57b、及び第3部分57cは、いずれも同じ高さに配置されている。
【0060】
第3ヘッダ管57の一対の第2部分57b及び第3部分57cは、上方から見て、略U字状に形成され、複数の切換ユニット70における複数の弁EV1,EV2,EV3を外側から囲んでいる。
第2部分57b及び第3部分57cは、ケーシング131内に配置されている。第3ヘッダ管57の第3部分57cには、後述する第5冷媒管P5の一端が接続されている。
【0061】
図4図6に示すように、第4ヘッダ管58は、左右方向Xに沿って配置されている。第4ヘッダ管58は、前後方向Yにおいて、第1ヘッダ管55,第2ヘッダ管56,及び第3ヘッダ管57よりも前側に配置されている。第4ヘッダ管58は、上下方向Zにおいて、第2ヘッダ管56よりも高く第3ヘッダ管57よりも低い位置に配置されている。第4ヘッダ管58の一端は、接続管63によって第2ヘッダ管56に接続されている。この接続管63は、第4ヘッダ管58とともに、後述する第2冷媒管P2を構成する。接続管63は、図5に示すように、第2ヘッダ管56から前斜め上方に延びる第2傾斜部を構成する。
【0062】
(切換ユニット)
冷媒流路切換装置130は、複数の切換ユニット70を備えている。各切換ユニット70は、冷媒流路切換装置130の冷媒回路RC3を形成する。
本実施形態の冷媒流路切換装置130は、図4及び図6に示すように、4個の切換ユニット70を備えている。各切換ユニット70には、それぞれ1台の室内ユニット120が接続される。したがって、本実施形態の冷媒流路切換装置130には、4台の室内ユニット120を接続することができる。ただし、冷媒流路切換装置130のすべての切換ユニット70に室内ユニット120が接続される必要はなく、室内ユニット120が接続されていない切換ユニット70が冷媒流路切換装置130に存在していてもよい。図10を参照して後述するように、複数の冷媒流路切換装置130が相互に接続される場合、全体として5台以上の室内ユニット120を冷媒流路切換装置130に接続することができる。冷媒流路切換装置130は、4個の切換ユニット70に限らず、2個若しくは3個、又は5個以上の切換ユニット70を備えていてもよい。
【0063】
複数の切換ユニット70は、すべて同一の構造であり、左右方向Xに並べて配置されている。各切換ユニット70の冷媒回路RC3は、それぞれ複数の弁EV1,EV2,EV3と、複数の冷媒管と、を備えている。
【0064】
図7は、冷媒流路切換装置の一つの切換ユニットをある方向から見た斜視図である。図8は、冷媒流路切換装置の一つの切換ユニットを他の方向から見た斜視図である。図7及び図8では、ヘッダ管55,56,57の一部のみが示されている。
【0065】
切換ユニット70において、複数の弁EV1,EV2,EV3は、第1弁EV1と、第2弁EV2と、第3弁EV3とを含む。これらの弁EV1,EV2,EV3は、開度を調整可能な電動弁により構成されている。第2弁EV2及び第3弁EV3は、全閉状態、全開状態、及び開度調整状態のいずれかを取るように制御部によって動作制御される。第1弁EV1は、最小開度状態、全開状態、及び開度調整状態のいずれかの状態を取るように制御部によって動作制御される。第1弁EV1は、最小開度の状態であっても冷媒が流れる微小流路(図示省略)がその内部において形成されており、全閉とはならない。
【0066】
第1弁EV1と第2弁EV2とは、前後方向Yに並べて配置されている。具体的に、第1弁EV1が前側に配置され、第2弁EV2が後側に配置されている。第3弁EV3は、図4に示すように、第1弁EV1と第2弁EV2との前後の間であって、左右方向Xにずれた位置に配置されている。
【0067】
図5に示すように、上下方向Zにおいて,第1弁EV1の上端と第2弁EV2の上端とは、略同じ高さに配置されている。第3弁EV3は、第1弁EV1及び第2弁EV2よりも若干低い位置に配置されている。
第1弁EV1、第2弁EV2、及び第3弁EV3は、第1ヘッダ管55、第2ヘッダ管56、及び第3ヘッダ管57よりも後方に離れた位置に配置されている。
【0068】
図7及び図8に示すように、切換ユニット70は、第1ヘッダ管55と、第1弁EV1とを接続する第1冷媒管P1を備えている。この第1冷媒管P1は、第1部分P1aと、第2部分P1b,P1cとを有する。
第1部分P1aは、図5にも示すように、第1ヘッダ管55から前斜め上方へ延びている。この第1部分P1aは、第1傾斜部を構成している。第1部分P1aの上端は、第1ヘッダ管55よりも高い位置に配置されている。第1部分P1aの上端は、第1弁EV1及び第2弁EV2の上端と同一の高さに配置されている。なお、同一の高さとは、第1部分P1aの高さと、第1弁EV1及び第2弁EV2の高さとの差が、3.0mm以内である場合を含む。
【0069】
第1冷媒管P1の第2部分P1b,P1cは、第1部分P1aの前端から折り返して後方へ延びている。第2部分P1b,P1cは、第1部分P1aの前端から下方へ略垂直に延びる垂直部P1bを有する。垂直部P1bの下端は、第1ヘッダ管55よりも低い位置に配置されている。
【0070】
第2部分P1b,P1cは、垂直部P1bの下端から後方へ水平に延びる水平部P1cを有する。水平部P1cの後端は、第1弁EV1の一端に接続されている。
【0071】
第1冷媒管P1の水平部P1cは、第1ヘッダ管55の下方を前後方向Yに通過している。水平部P1cは、第3ヘッダ管57と略同じ高さに配置されている。図4に示すように、第1冷媒管P1の水平部P1cと、第3ヘッダ管57の第2部分57bとは、左右方向Xに並べて互いに平行に配置されている。水平部P1cの途中には、フィルタF1が設けられている。
【0072】
図5に示すように、ケーシング131内には、第1ヘッダ管55と第1弁EV1とによって前後方向Yに区画され、第1冷媒管P1(図6参照)と上壁131dとによって上下方向Zに区画された空間Sが形成されている。この空間Sには、図3に示すように、ケーシング131の側壁131bから蓋体131fを取り外し、開口131eを開けることによって、外部からアクセスすることができる。この空間Sを利用することで、例えば複数の弁EV1,EV2,EV3のメンテナンス等を行い易くすることができる。
【0073】
図7に示すように、切換ユニット70は、第1弁EV1の他端に接続される第3冷媒管P3を備えている。第3冷媒管P3は、第1弁EV1から下方に延びている。
切換ユニット70は、室内ユニット120のガス管GPに接続される利用側ガス配管61を備えている。第3冷媒管P3の下端部は、利用側ガス配管61の長さ方向の中途部に接続されている。
【0074】
利用側ガス配管61は、前後方向Yに沿って延びている。利用側ガス配管61は、略水平に配置された第1部分61aを有している。利用側ガス配管61の第1部分61aは、図5に示すように、第1ヘッダ管55と第2ヘッダ管56との上下方向Zの間を通過し、第1ヘッダ管55及び第2ヘッダ管56よりも前方へ延びている。利用側ガス配管61の第1部分61aは、第3ヘッダ管57よりも低く、第4ヘッダ管58よりも高い位置に配置されている。第1部分61aには、フィルタF3が設けられている。図3に示すように、利用側ガス配管61の第1部分61aは、ケーシング131の前壁131aから前方へ突出している。
【0075】
利用側ガス配管61は、図7に示すように、第2弁EV2の一端に接続される第3部分61cを有している。第3部分61cは、第1部分61aよりも高い位置に略水平に配置され、第1弁EV1よりも後側に配置されている。
【0076】
利用側ガス配管61は、第1部分61aと第3部分61cとの間に第2部分61bを有している。第2部分61bは、第1部分61a及び第3部分61cから下方に屈曲することにより略U字状に形成されている。第3冷媒管P3の下端は、第2部分61bは、第3冷媒管P3の下端に接続されている。
【0077】
図5及び図8に示すように、第2弁EV2の他端には、第4冷媒管P4の後端が接続されている。第4冷媒管P4の前端は、第2ヘッダ管56に接続されている。第4冷媒管P4の途中には、フィルタF4が設けられている。
【0078】
図5に示すように、第4冷媒管P4の前端は、第2ヘッダ管56から後斜め上方に延びる第1部分P4aを有している。第4冷媒管P4は、第1部分P4aから後斜め下方に延びる第2部分P4bを有している。
【0079】
切換ユニット70は、室内ユニット120の液管LPに接続される利用側液配管62を備えている。利用側液配管62は、前後方向Yに沿って延びている。図4に示すように、上方から見て、利用側液配管62は、利用側ガス配管61と平行に配置されている。図3に示すように、利用側液配管62は、ケーシング131の前壁131aから前方へ突出している。
【0080】
図5及び図8に示すように、利用側液配管62の後端は、過冷却熱交換器59に接続されている。過冷却熱交換器59は、前後方向Yに沿って配置される。過冷却熱交換器59の内部には、図2に示すように、第1伝熱管59aと、第2伝熱管59bとが設けられている。過冷却熱交換器59は、第1伝熱管59aを流れる冷媒と第2伝熱管59bを流れる冷媒との間で熱交換を行う。
【0081】
図2及び図5に示すように、利用側液配管62の後端は、第1伝熱管59aの一端(前端)に接続されている。第1伝熱管59aの他端(後端)には、第5冷媒管P5の一端(前端)が接続されている。第5冷媒管P5の他端(後端)は、第3ヘッダ管57における第3部分57cに接続されている。
【0082】
図5及び図8に示すように、切換ユニット70は、第5冷媒管P5の途中から分岐する第6冷媒管P6を備えている。第6冷媒管P6は、第5冷媒管P5から上方へ向けて延びている。第6冷媒管P6の上端部は、第3弁EV3の一端に接続されている。第6冷媒管P6の途中には、フィルタF2が設けられている。
【0083】
第3弁EV3の他端には、第7冷媒管P7の上端が接続されている。第7冷媒管P7の下端部は、図2に示す過冷却熱交換器59の第2伝熱管59bの一端(後端)に接続されている。過冷却熱交換器59の第2伝熱管59bの他端(前端)には、第8冷媒管P8の一端(後端)が接続されている。この第8冷媒管P8の他端(前端)は、第2冷媒管P2に接続されている。
【0084】
本実施形態の第2冷媒管P2は、前述した第4ヘッダ管58と、この第4ヘッダ管58を第2ヘッダ管56に接続する接続管63とを有する。図5に示すように、接続管63は、第2ヘッダ管56から前斜め上方へ延びている。接続管63は、第2傾斜部を構成している。接続管63の上端は、第4ヘッダ管58に接続されている。
【0085】
第8冷媒管P8は、過冷却熱交換器59から前方へ略水平に延びている。第8冷媒管P8の前端部P8aは、前斜め下方へ向けて延び、第4ヘッダ管58に接続されている。
【0086】
後述するが、第4ヘッダ管58には、第3ヘッダ管57から第5冷媒管P5、第6冷媒管P6、第3弁EV3、第7冷媒管P7、過冷却熱交換器59、及び第8冷媒管P8を経て冷媒が流入する。さらに第4ヘッダ管58に流入した冷媒は、接続管63を通って第2ヘッダ管56に流入する。
【0087】
[空気調和システムの運転]
以下、空気調和システム100によって、稼働している室内ユニット120のすべてが冷房を行う場合(以下、「全冷房運転」ともいう)、稼働している室内ユニット120のすべてが暖房を行う場合(以下、「全暖房運転」ともいう)、及び、稼働している室内ユニット120の一部が冷房、他が暖房を行う場合(以下、「冷暖房混合運転」ともいう)について、図2を参照して説明する。
【0088】
(全冷房運転)
全冷房運転では、切換ユニット70の第1弁EV1は、全開とされる。第2弁EV2は、全開とされる。第3弁EV3は、開度調整される。室内膨張弁51は、開度調整される。第1及び第2室外膨張弁34、35は、全開とされる。
【0089】
停止中の室内ユニット120においては、全冷房運転、全暖房運転、及び冷暖房混合運転のいずれを行う場合においても、室内膨張弁51が全閉とされ、この室内ユニット120に対応する第1弁EV1は最小開度とされ、第2弁EV2及び第3弁EV3は全閉とされる。
【0090】
圧縮機25が駆動すると、圧縮機25により圧縮された高圧のガス冷媒は、吐出配管25a、第1流路切換弁26及び第3流路切換弁28等を経て、室外熱交換器30に流入し、凝縮する。室外熱交換器30において凝縮した冷媒は、第1、第2室外膨張弁34,35、液側閉鎖弁23等を通過して液連絡管11に流入する。
【0091】
液連絡管11に流入した冷媒は、冷媒流路切換装置130の第3ヘッダ管57を流れ、各切換ユニット70の第5冷媒管P5へ流入する。第5冷媒管P5へ流入した冷媒は、過冷却熱交換器59の第1伝熱管59aに流入し、さらに利用側液配管62を経て室内ユニット120に流入する。
【0092】
第5冷媒管P5へ流入した冷媒は、第6冷媒管P6にも分岐して流れ、第3弁EV3の開度に応じて減圧され、過冷却熱交換器59の第2伝熱管59bに流入する。この過冷却熱交換器59において、第1伝熱管59aを流れる冷媒と第2伝熱管59bを流れる冷媒との間で熱交換され、第1伝熱管59aを流れる冷媒が過冷却されて室内ユニット120に流入する。
【0093】
過冷却熱交換器59の第2伝熱管59bを流れる冷媒は、第8冷媒管P8から第4ヘッダ管58に流入し、接続管63を経て第2ヘッダ管56に流入する。
室内ユニット120に流入した冷媒は、室内膨張弁51により減圧された後に室内熱交換器52において蒸発する。
【0094】
室内ユニット120において、室内熱交換器52で蒸発した冷媒は、ガス管GPから利用側ガス配管61に流入し、主に第2弁EV2を通過して第2ヘッダ管56に流入する。
第2ヘッダ管56に流入した冷媒は、吸入ガス連絡管12を経て、室外ユニット110に流入し、圧縮機25へ吸入される。
【0095】
利用側ガス配管61に流入した冷媒は第1弁EV1も通過し、第1ヘッダ管55に流入する。第1ヘッダ管55に流入した冷媒(低圧ガス冷媒)は、高低圧ガス連絡管13を通り、第2流路切換弁27及びアキュームレータ24を経て圧縮機25に吸入される。
【0096】
(全暖房運転について)
全暖房運転では、切換ユニット70の第1弁EV1は、全開とされる。第2弁EV2は、全閉とされる。第3弁EV3は、全閉とされる。室内膨張弁51は、全開とされる。第1及び第2室外膨張弁34、35は、開度調整される。
【0097】
圧縮機25が駆動すると、圧縮機25により圧縮された高圧のガス冷媒は、吐出配管25a及び第2流路切換弁27等を経て、高低圧ガス連絡管13に流入する。高低圧ガス連絡管13に流入した冷媒は、冷媒流路切換装置130の第1ヘッダ管55、切換ユニット70の第1冷媒管P1を経て第1弁EV1を通過し、利用側ガス配管61から室内ユニット120のガス管GPに流入する。
【0098】
ガス管GPに流入した冷媒は、室内ユニット120の室内熱交換器52に流入して凝縮する。凝縮した冷媒は、室内膨張弁51を通過して液管LPを流れ、切換ユニット70の利用側液配管62に流入する。利用側液配管62に流入した冷媒は、過冷却熱交換器59、第5冷媒管P5を経て、第3ヘッダ管57に流入する。
【0099】
第3ヘッダ管57に流入した冷媒は、液連絡管11を流れ室外ユニット110に流入し、第1、第2室外膨張弁34,35において減圧される。減圧された冷媒は、室外熱交換器30を通過する際に蒸発し、第1流路切換弁26及び第3流路切換弁28等を経て、圧縮機25に吸入される。
【0100】
(冷暖混合運転について)
稼働している室内ユニット120うち、冷房運転を行う室内ユニット120(以下、「冷房側室内ユニット120」ともいう)に対応する切換ユニット70(以下、「冷房側切換ユニット70」ともいう)において、第1弁EV1は、最小開度とされる。第2弁EV2は、全開とされる。第3弁EV3は、開度調整される。冷房側室内ユニット120の室内膨張弁51は、開度調整される。
【0101】
稼働している室内ユニット120うち、暖房運転を行う室内ユニット120(以下、「暖房側室内ユニット120」ともいう)に対応する切換ユニット70(以下、「暖房側切換ユニット70」ともいう)において、第1弁EV1は、全開とされる。第2弁EV2は、全閉とされる。第3弁EV3は、全閉とされる。暖房側室内ユニット120の室内膨張弁51は、全開とされる。第1室外膨張弁34及び第2室外膨張弁35は、開度調整される。
【0102】
圧縮機25が駆動すると、圧縮機25により圧縮された高圧のガス冷媒の一部は、吐出配管25a及び第2流路切換弁27等を経て、高低圧ガス連絡管13に流入する。圧縮機25により圧縮された高圧のガス冷媒の他の一部は、吐出配管25a及び第3流路切換弁28を経て室外熱交換器30の第1熱交換部31において凝縮され、第1室外膨張弁34を経て液連絡管11に流入する。第1熱交換部31において凝縮された冷媒は、第2室外膨張弁35を経て第2熱交換部32において蒸発し、第1流路切換弁26を経て圧縮機25に吸入される。
【0103】
高低圧ガス連絡管13に流入した冷媒は、冷媒流路切換装置130の第1ヘッダ管55に流入し、暖房側切換ユニット70の第1冷媒管P1、第1弁EV1、利用側ガス配管61を流れて、ガス管GPに流入する。
【0104】
ガス管GPに流入した冷媒は、暖房側室内ユニット120の室内熱交換器52において凝縮する。凝縮した冷媒は、液管LPから暖房側切換ユニット70の利用側液配管62に流入し、過冷却熱交換器59、第5冷媒管P5を流れて第3ヘッダ管57に流入する。
【0105】
室外ユニット110から液連絡管11に流入した冷媒も第3ヘッダ管57に流入する。第3ヘッダ管57に流入した冷媒は、冷房側切換ユニット70の第5冷媒管P5、過冷却熱交換器59、利用側液配管62、液管LPを経て冷房側室内ユニット120に流入する。このとき過冷却熱交換器59を通過した冷媒は、第5冷媒管P5から分岐して第6冷媒管P6を流れ第3弁EV3で減圧された冷媒によって過冷却される。
【0106】
冷房側室内ユニット120に流入した冷媒は、室内膨張弁51において減圧され、室内熱交換器52において蒸発し、室内を冷房する。
蒸発した冷媒は、ガス管GPを流れて、暖房側切換ユニット70の利用側ガス配管61に流入し、第2弁EV2を経て第4冷媒管P4及び第2ヘッダ管56に流入し、吸入ガス連絡管12を流れて圧縮機25に吸入される。
【0107】
(冷媒流路切換装置の接続例)
図10は、室外ユニットと複数の冷媒流路切換装置との接続例を示す平面説明図である。図10に示す例では、複数の冷媒流路切換装置130が、第2方向Yの向きが交互に入れ替わった状態で第3方向Xに並べて配置されている。隣接する冷媒流路切換装置130の第1ヘッダ管55、第2ヘッダ管56、及び第3ヘッダ管57同士が互いに接続されている。複数の冷媒流路切換装置130の並び方向の一端部に配置された冷媒流路切換装置130は、第1ヘッダ管55、第2ヘッダ管56、及び第3ヘッダ管57の一端が、それぞれ室外ユニット110から延びる高低圧ガス連絡管13、吸入ガス連絡管12、及び液連絡管11に直接的に接続されている。したがって、複数の冷媒流路切換装置130は、室外ユニット110に対して直列に接続される。
【0108】
複数の冷媒流路切換装置130は、利用側ガス配管61及び利用側液配管62が第2方向Yの一方側に突出するものと、第2方向Yの他方側に突出するものとが交互に配置されている。したがって、複数の冷媒流路切換装置130に対して第2方向Yの一方側に配置される空調ゾーンAと、他方側に配置される空調ゾーンAとのそれぞれに向けて容易に冷媒配管を配設し、各空調ゾーンAに設置される室内ユニット120に冷媒配管(ガス管GP及び液管LP)を接続することができる。本実施形態では、第1ヘッダ管55の両端部、第2ヘッダ管56の両端部、及び第3ヘッダ管57の両端部57aが上下方向Zに並べて配置されているので、上述のように冷媒流路切換装置130の利用側ガス配管61及び利用側液配管62を第2方向Yの一方側と他方側とに交互に突出させるように複数の冷媒流路切換装置130を並べたとしても、隣接する冷媒流路切換装置130の第1ヘッダ管55同士、第2ヘッダ管56同士、及び第3ヘッダ管57同士を接続することができる。
【0109】
室外ユニット110から流出する冷媒は、複数の冷媒流路切換装置130を通過して流れ、各冷媒流路切換装置130から各室内ユニット120に流入する。各室内ユニット120から流出する冷媒は、それぞれに対応する冷媒流路切換装置130から他の冷媒流路切換装置130を経由して又は直接的に室外ユニット110に流入する。したがって、いずれかの冷媒流路切換装置130に停止中の室内ユニット120が接続されている場合であっても、その冷媒流路切換装置130のヘッダ管55,56,57には冷媒が流れることになる。
【0110】
<本実施形態の作用効果>
以下、上述した実施形態の冷媒流路切換装置130の作用効果について説明する。
(1) 本実施形態の冷媒流路切換装置130は、空気調和機101における室外ユニット110の高低圧ガス連絡管(第1ガス連絡管)13に接続可能な第1ヘッダ管55と、室外ユニット110の吸入ガス連絡管(第2ガス連絡管)12に接続可能な第2ヘッダ管56と、室外ユニット110の液連絡管11に接続可能な第3ヘッダ管57とを備える。さらに冷媒流路切換装置130は、空気調和機101における複数の室内ユニット120に対応して設けられ、冷媒の流れを制御する複数の弁EV1,EV2,EV3を有する切換ユニット70を備える。さらに、冷媒流路切換装置130は、第1ヘッダ管55,第2ヘッダ管56,第3ヘッダ管57,及び切換ユニット70を収容するケーシング131を備える。冷媒流路切換装置130は、室外ユニット110と複数の室内ユニット120との間の冷媒の流路を切り換える。
【0111】
上記実施形態では、図3に示すように、第1ヘッダ管55の端部と第2ヘッダ管56の端部と第3ヘッダ管57の端部とが、ケーシング131から外部に突出しかつ上下方向(第1方向)Zに1列に並べて配置されている。切換ユニット70における複数の弁EV1,EV2,EV3は、第1ヘッダ管55の端部に対して、上下方向Z及び前記端部が延びる左右方向(第3方向)Xに垂直な前後方向(第2方向)Yへ離れた位置に配置されている。
【0112】
冷媒流路切換装置130が以上のような構成を有していることによって、上下方向Zにおけるケーシング131の長さを小さくし、ケーシング131のコンパクト化を図ることができる。そのため、天井裏等の狭いスペースに冷媒流路切換装置130を設置しやすくすることができる。特に、近年においては、部屋の居住空間を広く確保するため、天井裏の空間の上下方向の長さが小さくなる傾向にあるが、本実施形態の冷媒流路切換装置130は、上下方向の長さが小さい空間への設置にも容易に対応することができる。
【0113】
(2)上述した実施形態では、切換ユニット70が、室内ユニット120に接続可能な利用側ガス配管61及び利用側液配管62を備えている。利用側ガス配管61及び利用側液配管62は、前後方向Yに関して、第1ヘッダ管55,第2ヘッダ管56,及び第3ヘッダ管57よりも複数の弁EV1,EV2,EV3とは反対側(前側)に向けて延びている。このような構成によって、第1〜第3ヘッダ管55,56,57の端部と、利用側ガス配管61及び利用側液配管62とを近づけて配置することができる。そのため、例えば天井に形成された点検口等から、これらの管に対する他の管の接続や点検などの作業を容易に行うことができる。
【0114】
(3)上述した実施形態では、切換ユニット70が、第1ヘッダ管55と複数の弁EV1,EV2,EV3に含まれる第1弁EV1とを接続する第1冷媒管P1を備えている。この第1冷媒管P1には、冷媒に含まれる異物を除去するフィルタF1が設けられている。そのため、複数の切換ユニット70の第1冷媒管P1が接続される第1ヘッダ管55にフィルタを設ける場合に比べて、各第1冷媒管P1に設けられるフィルタF1を小さくすることができる。
【0115】
(4)上述した実施形態では、図5に示すように、第1冷媒管P1が、前後方向Yにおいて、第1ヘッダ管55から第1弁EV1とは反対側(前側)へ向けて延びる第1部分P1aと、第1部分P1aから第1弁EV1側(後側)へ方向転換し、第1弁EV1に接続される第2部分P1b,P1cとを有する。第1ヘッダ管55は、第2ヘッダ管56及び第3ヘッダ管57よりも上側(上下方向Zの一方側)に配置され、第1冷媒管P1の第1部分P1aが、第1ヘッダ管55から上側へ向けて斜めに延びている。第1部分P1aにおける上端部(上下方向Zの一方側の端部)と、複数の弁EV1,EV2,EV3のうち最も上側に配置された第1、第2弁EV1,EV2の上端部とが、上下方向Zに関して同じ位置に配置されている。
【0116】
以上のような構成によって、切換ユニット70およびヘッダ管55,56,57を収容するケーシング131の上壁131dを、第1冷媒管P1の第1部分P1aの上端と弁EV1,EV2の上端との双方に接近させて配置することができ、ケーシング131内のスペースを有効に利用することができる。
【0117】
(5)上述した実施形態では、第3ヘッダ管57の両端部57aが、第1ヘッダ管55の両端部及び第2ヘッダ管56の両端部と上下方向Zに並べて配置されている。第3ヘッダ管57は、その両端部57aの間に、上方から見て複数の切換ユニット70における複数の弁EV1,EV2,EV3の外側を囲む第2、第3部分57b,57cを有する。そのため、複数の弁EV1,EV2,EV3との干渉を避けつつ第3ヘッダ管57の両端部57aと第1、第2ヘッダ管55,56の両端部と1列に並べて配置することができる。
【0118】
(6)上述した実施形態では、第1ヘッダ管55,第2ヘッダ管56,及び第3ヘッダ管57のうち上側の端部に配置された端部ヘッダ管(第1ヘッダ管)55と、切換ユニット70における複数の弁EV1,EV2,EV3のうち前後方向Yにおいて最も端部ヘッダ管55に近い近接弁(第1弁)EV1とによって、前後方向Yにおける両端が定められ、かつ、端部ヘッダ管55と近接弁EV1とを接続する第1冷媒管P1と、ケーシング131の上壁131dとによって上下方向Zにおける両端が定められる空間Sが、ケーシング131内に形成されている。この空間Sを利用して、切換ユニット70の弁EV1,EV2,EV3に対する点検やメンテナンス等を行いやすくすることができる。
【0119】
(7) 本実施形態の冷媒流路切換装置130は、空気調和機101における室外ユニット110の高低圧ガス連絡管(第1連絡管)13に接続可能な第1ヘッダ管55と、室外ユニット110の液連絡管11に接続可能な第3ヘッダ管57とを備える。さらに冷媒流路切換装置130は、空気調和機101における複数の室内ユニット120に対応して設けられ、冷媒の流れを制御する複数の弁EV1,EV2,EV3を有する切換ユニット70を備える。さらに冷媒流路切換装置130は、第1ヘッダ管55及び第3ヘッダ管57と切換ユニット70とを収容するケーシング131を備えている。冷媒流路切換装置130は、室外ユニット110と複数の室内ユニット120との間の冷媒の流路を切り換える。
【0120】
上記実施形態では、図5に示すように、切換ユニット70は、第1ヘッダ管(55)に接続される第1冷媒管P1を有し、第1冷媒管P1が、第1ヘッダ管55から斜め上方へ延びる第1部分(第1傾斜部)P1aを有している。
冷媒流路切換装置130が以上のような構成を有していることによって、第1ヘッダ管55を流れる冷媒に含まれる冷凍機油が、停止中の室内ユニット120に対応する切換ユニット70の第1冷媒管P1から切換ユニット70内に流入したり当該切換ユニット70内に溜まり込んだりするのを抑制することができる。
【0121】
(8) 上記実施形態では、図5に示すように、室外ユニット110の吸入ガス連絡管(第2ガス連絡管)12に接続される第2ヘッダ管56を備え、切換ユニット70が、第2ヘッダ管56に接続される第2冷媒管P2を備えており、第2冷媒管P2は、第2ヘッダ管56から斜め上方へ延びる接続管(第2傾斜部)63を有している。そのため、第2ヘッダ管56を流れる冷媒に含まれる冷凍機油が、停止中の室内ユニット120に対応する切換ユニット70の第2冷媒管P2に流入したり当該切換ユニット70内に溜まり込んだりするのを抑制することができる。
【0122】
(9) 上述した実施形態では、図5に示すように、第1冷媒管P1の第1部分(第1傾斜部)P1aと、第2冷媒管P2の接続管(第2傾斜部)63とが、それぞれ第1ヘッダ管55及び第2ヘッダ管56からケーシング131の前側の側壁131aへ向けて延びている。そのため、切換ユニット70への冷凍機油の溜まり込みを抑制するための第1冷媒管P1の第1部分P1aと第2冷媒管P2の接続管63との双方を、ケーシング131の前側の側壁131aと第1ヘッダ管55及び第2ヘッダ管56との間のスペースを利用して配置することができる。
【0123】
(10) 上述した実施形態では、図5に示すように、第2冷媒管P2が、第3ヘッダ管57からの冷媒が流入しかつ接続管63の上端が接続される第4ヘッダ管58を有している。これにより、第3ヘッダ管57から第4ヘッダ管58へ流入した冷媒は、第2ヘッダ管56へ向けて下り勾配に配置された接続管63を流れて第2ヘッダ管56に流入する。そのため、第4ヘッダ管58から第2ヘッダ管56へ冷媒が円滑に流れ、冷媒中の冷凍機油が第4ヘッダ管58及び接続管63で溜まり込むのを抑制することができる。
【0124】
(11) 上述した実施形態では、図5に示すように、第8冷媒管P8が、第4ヘッダ管58に向けて斜め下方に延びる前端部(第3傾斜部)P8aを有している。そのため、第8冷媒管P8から第4ヘッダ管58へも冷媒が円滑に流れ、冷媒中の冷凍機油が第8冷媒管P8に溜まり込むのを抑制することができる。
【0125】
(12) 上述した実施形態では、図4及び図5に示すように、第3ヘッダ管57の両端部(第1部分)57aが、第1ヘッダ管55の両端部と上下方向に並べて配置され、第3ヘッダ管57の両端部57aが延びる左右方向Xに垂直な前後方向Yにおいて、切換ユニット70における複数の弁EV1,EV2,EV3が、第3ヘッダ管57の両端部57aに対して離れた位置に配置され、第3ヘッダ管57が、その両端部57aの間に、上面視において複数の切換ユニット70における複数の弁EV1,EV2,EV3の外側を囲む第2,第3部分57b,57cを有している。これにより、第1ヘッダ管55及び第3ヘッダ管57の両端部57aと複数の弁EV1,EV2,EV3とを上下方向に重ならないように配置することができ、ケーシング131の上下方向の長さを小さくしケーシングのコンパクト化を図ることができる。第3ヘッダ管57は、その両端部57aの間に、複数の弁EV1,EV2,EV3の外側を囲む第2,第3部分57b,57cを有しているので、複数の弁EV1,EV2,EV3との干渉を避けつつ第3ヘッダ管57の両端部57aと第1ヘッダ管55の両端部と上下方向に並べて配置することができる。
【0126】
(13) 上述した実施形態では、ケーシング131が、互いに対向する一対の側壁131bを有し、第1ヘッダ管55の両端部が、一対の側壁131bからケーシング131の外部へ突出している。そのため、図10に示すように、複数の冷媒流路切換装置130の第1ヘッダ管55同士を直列に接続することができる。この場合、いずれかの冷媒流路切換装置130の全ての切換ユニット70に対応する室内ユニット120が運転を停止している状態でも、第1ヘッダ管55には冷媒が流れることになるので、当該冷媒に含まれる冷凍機油が当該切換ユニット70内に溜まり込む機会が増える。そのため、上述のように、第1ヘッダ管55から斜め上方へ延びる第1部分(第1傾斜部)P1aを有する第1冷媒管P1を備えたり、第2ヘッダ管56から斜め上方へ延びる接続管(第2傾斜部)63を有する第2冷媒管P2を備えたりすることが、より有効となる。
【0127】
(14) 上述した実施形態では、図5に示すように、第4冷媒管P4の前端部(第4傾斜部)P4aが、第2ヘッダ管56から斜め上方へ延びている。そのため、第2ヘッダ管56を流れる冷媒に含まれる冷凍機油が、停止中の室内ユニット120に対応する切換ユニット70の第4冷媒管P4に流入したり当該切換ユニット70内に溜まり込んだりするのを抑制することができる。
【0128】
[その他の変形例]
本開示は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、冷媒流路切換装置130は、室内の天井裏以外に設置されるものであってもよい。
【0129】
上記実施形態では、第1方向Zを上下方向、第2方向Yを前後方向、第3方向Xを左右方向として冷媒流路切換装置130が配置される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第1方向Zを水平方向(左右方向又は前後方向)として冷媒流路切換装置130が配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0130】
11 :液連絡管
12 :吸入ガス連絡管
13 :高低圧ガス連絡管
55 :第1ヘッダ管
56 :第2ヘッダ管
57 :第3ヘッダ管
57a :第1部分(両端部)
57b :第2部分
57c :第3部分
58 :第4ヘッダ管
61 :利用側ガス配管
62 :利用側液配管
70 :切換ユニット
100 :空気調和システム
101 :空気調和機
110 :室外ユニット(熱源側ユニット)
120 :室内ユニット(利用側ユニット)
130 :冷媒流路切換装置
131 :ケーシング
EV1 :第1弁
EV2 :第2弁
EV3 :第3弁
F1 :フィルタ
P1 :第1冷媒管
P1a :第1部分(第1傾斜部)
P2 :第2冷媒管
S :空間
X :左右方向(第3方向)
Y :前後方向(第2方向)
Z :上下方向(第1方向)
【要約】
【課題】コンパクト化を図ることができる冷媒流路切換装置を提供する。
【解決手段】冷媒流路切換装置は、熱源側ユニット110の高低圧ガス連絡管13に接続可能な第1ヘッダ管55と、吸入ガス連絡管12に接続可能な第2ヘッダ管56と、液連絡管11に接続可能な第3ヘッダ管57と、複数の利用側ユニット120に対応して設けられ、冷媒の流れを制御する複数の弁EV1,EV2,EV3を有する切換ユニット70と、第1、第2、及び第3ヘッダ管55〜57及び切換ユニット70を収容するケーシング131とを備え、第1ヘッダ管55の端部と第2ヘッダ管56の端部と第3ヘッダ管57の端部とが、ケーシング131から外部に突出しかつ第1方向Zに1列に並べて配置され、切換ユニット70における複数の弁EV1,EV2,EV3が、第1ヘッダ管55の端部に対して、第1方向Z及び端部が延びる方向Xに垂直な第2方向Yへ離れた位置に配置されている。
【選択図】図1
図1
図2
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図10