(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809671
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】微細バブル発生装置
(51)【国際特許分類】
B01F 5/06 20060101AFI20201221BHJP
B01F 3/04 20060101ALI20201221BHJP
B01F 5/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
B01F5/06
B01F3/04 Z
B01F5/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-97223(P2019-97223)
(22)【出願日】2019年5月24日
(65)【公開番号】特開2020-189283(P2020-189283A)
(43)【公開日】2020年11月26日
【審査請求日】2020年5月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519187104
【氏名又は名称】株式会社ナノバブル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100103148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 輝美
(72)【発明者】
【氏名】本田 正
【審査官】
壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03545731(US,A)
【文献】
特表2019−509894(JP,A)
【文献】
特開昭62−156379(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01319435(EP,A2)
【文献】
特開2011−245612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F1/00−5/26
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が収納され、断面が円形の凸部を備えた気体収納管と、
該気体収納管を覆って配設され、円筒形状の外殻槽と、を備えた微細バブル発生装置であって、
前記気体収納管の凸部には円周方向に多孔質部材が配設され、該多孔質部材と前記外殻槽の内周面との間に狭い隙間を形成し、該隙間に前記外殻槽内に送入された液体を高速で流し、前記隙間を減圧状態とし、前記多孔質部材を介して前記気体収納管内の気体を前記隙間に放出させ、前記隙間を高速で流れる液体によって気泡を多孔質部材の表面から引き離し、直後に前記液体の流れの圧力を急速に解放することによって微細な気泡を生成することを特徴とする微細バブル発生装置。
【請求項2】
前記隙間を流れる液体は高速の旋回流であって、前記隙間を高速で流れる旋回流によって気泡を前記多孔質部材の表面から引き離し、直後に液体に混じって旋回を続けたまま圧力を急速に開放することによって微細な気泡を生成することを特徴とする請求項1に記載の微細バブル発生装置。
【請求項3】
生成する前記微細気泡のサイズは前記多孔質部材の選択、又は前記隙間を流れる液体の流速を可変することによって設定できることを特徴とする請求項1、又は2に記載の微細バブル発生装置。
【請求項4】
前記多孔質部材は、グラファイト、又は多孔質セラミック、又はゼオライト、又はポリスチレンであることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の微細バブル発生装置。
【請求項5】
前記気体収納管は、該気体収納管の長手方向の断面が楕円形であることを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の微細バブル発生装置。
【請求項6】
前記気体収納管には異なる気体が収納された複数のボンベから選択された気体が送られ、前記外殻槽には水又はメタノール又はエタノールの液体が送られ、減圧状態の前記隙間部に選択された気体が前記多孔質部材から放出され、直後に隙間を高速で流れる液体の流れの圧力を急速に解放することによって微細な気泡を生成することを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5に記載の微細バブル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロバブルやナノバブル等の微細な気泡を発生させる微細バブル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、マイクロバブルやナノバブル等の微細バブルは、その物性や発生(気泡微細化)のメカニズム、具体的な用途、及びその実用化について研究が急速に進んでいる。例えば、汚染水の浄化や殺菌等の研究や、マイクロオーダ或いはナノオーダの微細気泡を含有する微細バブル含有水を用いて、ウナギ等の水性生物の育成や、水田に微細バブルの含有水を供給して水質の向上を図る研究も行われている。
【0003】
また、例えば土壌粒子に付着した油幕を微細バブルの表面に付着させることによる油汚染土壌の改善や、船体の周りに微細バブルを吹き出すことによって船体が進行する際の船体抵抗の低減や、凹凸のある建造物の内外壁の洗浄、更にオゾンを含むナノバブル化された水による抗菌効果や、ナノバブル水を化粧水として活用する研究も行われている。
【0004】
このような微細バブル発生方法には、旋回液流方式や、加圧溶解方式、オリフィスやベンチュリ管方式、超音波振動の利用や、微細孔フィルタの使用等、多くの方式が提案されている。例えば、特許文献1に開示する微細バブルの発生装置は、その一例を開示する。
【0005】
図4はこの微細バブル発生装置を説明する図であり、気体を圧送する為の圧縮機であるコンプレッサ2と、圧送された気体を微細気泡として液体内へ放出する為の気泡発生媒体3と、微細気泡が放出される液体と同種の液体を噴射する液体噴射装置4とで構成されている。
【0006】
上記コンプレッサ2は、気体供給路を介して、気体を気泡発生媒体3の内部空間3aに圧送し、気泡発生媒体3は高密度複合体で形成され、圧送された気体を例えば直径数μm〜数十μmの微細気泡として気泡発生媒体3の表面から放出する。この微細気泡は上記液体噴射装置4から放出される液体によって気泡発生媒体3の表面から離間され、微細気泡を含む気泡液体として、例えば洗浄や抗菌等の用途に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010―167404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記微細バブル発生装置では、微細気泡を生成する気泡発生媒体3に気体供給路を介して気体を圧送する為のコンプレッサ2が必要である。また、気泡発生媒体3によって生成された微細気泡を気泡発生媒体3の表面から離間させる為の液体噴射装置4も必要である。また、上記微細バブル発生装置を使用して、例えばオゾンを気体とするマイクロバブルやナノバブルの微細バブルを生成する場合、オゾン(気体)を加圧する為、オゾン分子が壊れ、充分な微細バブルの生成を行うことができない。
【0009】
そこで、本発明は気体を圧送する為のコンプレッサや気泡発生媒体の表面から微細気泡を離間させる為の液体噴射装置を必要とすることなく、新しい方式の微細バブル発生装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は本発明によれば、気体が収納され、断面が円形の凸部を備えた気体収納管と、該気体収納管を覆って配設され、円筒形状の外殻槽と、を備えた微細バブル発生装置であって、上記気体収納管の凸部には円周方向に多孔質部材が配設され、該多孔質部材と上記外殻槽の内周面との間に狭い隙間を形成し、この隙間に外殻槽内に送られた液体を高速で流し、上記隙間を減圧状態とし、上記多孔質部材を通して気体収納管内の気体を上記隙間に放出させ、隙間を高速で流れる液体によって気泡を多孔質部材の表面から引き離し、直後に液体の流れの圧力を急速に解放することによってマイクロオーダ或いはナノオーダの微細な気泡を生成する微細バブル発生装置を提供することによって達成できる。
【0011】
また、上記課題は本発明によれば、上記隙間を流れる液体は高速の旋回流であって、隙間を高速で流れる旋回流によって気泡を多孔質部材の表面から引き離し、直後に液体に混じって旋回を続けたまま圧力を急速に開放することによって微細な気泡を生成する微細バブル発生装置を提供することによって達成できる。
【0012】
また、生成する微細気泡のサイズは、例えば所望するサイズの空乏層を有する多孔質部材を選択して使用することによって生成する微細バブルの大きさを設定することができ、また微細バブル発生装置に供給する液体(水)の流量によって隙間に形成する負圧を可変し、生成する微細バブルの大きさを設定することができる。
【0013】
また、上記多孔質部材は、例えばグラファイト、又は多孔質セラミック、ゼオライト、ポリスチレン等であり、上記気体収納管は、例えば該気体収納管の長手方向の断面が楕円形であり、又は長手方向の断面が流線形であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の微細バブル発生装置の断面図である。
【
図2】本実施形態の微細バブル発生装置を使用した微細バブル発生システムを説明する図である。
【
図3】本実施形態の微細バブル発生装置の変形例であり、高速旋回流を使用する微細バブル発生装置の断面図である。
【
図4】従来の微細バブル発生装置の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態の微細バブル発生装置の断面図である。同図において、本実施形態の微細バブル発生装置1は所定の厚さを有する円柱形状の外殻槽11と、この外殻槽11の内部に設けられた気体収納管12で構成されている。外殻槽11への上記気体収納管12の取り付けは、外殻槽11の上部に設けられた上板14と、上下2枚の固定リング15、16、及び上板14と上部固定リング15との間に設けられた固定主軸17によって行われている。
【0016】
すなわち、上板14と上部固定リング15との間に固定主軸17を取り付け、気体収納管12を上下2枚の固定リング15、16によって挟持し、上下2本の固定ボルト19、20によって締着している。
【0017】
気体収納管12には後述するボンベから気体が送られる。この為、上板14と固定主軸17との間にはパッキン21が使用され、上部固定リング15の上下にはパッキン22、23が使用され、下部固定リング16の上下にはパッキン24、25が使用され、気体漏れを防止している。尚、気体収納管12(固定主軸17)の上部には気体供給口27が設けられている。
【0018】
外殻槽11には後述する水槽から水(液体)が供給される。この為、外殻槽11の上方側部には供給水接続口28が設けられている。外殻槽11に供給される水は、上部固定リング15に設けられた開口を介して外殻槽11と気体収納管12との間の狭い隙間30を流れ、下部固定リング16に設けられた開口を介して処理水出力口29から放出される。
【0019】
ここで、上記外殻槽11の中で、上下2枚の固定リング15、16間の領域を、以後気泡発生槽11aと呼ぶ。この気泡発生槽11a内の気体収納管12の形状は、
図1に示すように、気体収納管12の長手方向の断面が楕円形状であり、外殻槽11は円柱形状である。このような形状とすることによって、外殻槽11の内周と気体収納管12の外周との間に狭い隙間30を形成する構造である。すなわち、楕円形状の気体収納管12の円周方向の断面が最も広い位置の気体収納管12の外周面と外殻槽11の内周面との間隔が最も狭く、極めて狭い隙間30を形成している。
【0020】
このように、気泡発生槽11a内に狭い隙間30を形成するのは、後述するように外殻槽11(気泡発生槽11a)内を流れる液体(本例では水)の流れを絞ることによって、流速を増加させて、液体の流れの低速部に比べて低い圧力を発生させる構造である。また、気体収納管12の長手方向の断面が楕円形状であり、上記狭い隙間30の下方の気泡発生槽11aは広がりのある領域となっており、狭い隙間30の直後に液体の流れの圧力を解放することができる構造となっている。
【0021】
さらに、同図に示すように、この位置には、気体収納管12の円周方向に一定の幅で多孔質部材13が配設されている。この多孔質部材13は内部に細かな空乏層が多数存在する材料であり、本例においては、例えば多孔質部材13としてグラファイトを使用する。また、気体収納管12の他の部分は、例えば金属で構成されている。尚、本例では多孔質部材としてグラファイトを使用するが、例えば多孔質セラミック、ゼオライト、ポリスチレン等の多孔質部材を使用することもできる。
【0022】
図2は上記構成の微細バブル発生装置1を使用した微細バブル発生システムを説明する図である。
同図に示すボンベ31a、31b、31cには異なる気体、例えば空気や、オゾン、水素、窒素等の気体が収納され、夫々のボンベ31a、31b、31cには、夫々バルブ32a、32b、32cが取り付けられている。そして、用途に応じて何れかのバルブ32a、32b、32cを開くことによって、選択されたボンベ31a、31b、31cから気体を気体収納管12に供給することができる。尚、同図に示すバルブ32dは、更に他の気体が入ったボンベを取り付ける場合に使用する為の予備のバルブである。
【0023】
また、同図に示すP1は気体の流路33に設けられた圧力インジケータであり、この流路33を流れる気体の圧力を計測する。また、F1は流量インジケータであり、流路33を介して気体収納管12に供給される気体流量を計測する。
【0024】
一方、水槽34には、本例の微細バブル発生装置1に設けられた外殻槽11に供給する液体として、水が蓄えられており、バルブ34a及び35を開くことによって、水槽34に蓄えられた水を微細バブル発生装置1(外殻槽11)に供給することができる。水槽34から供給される水は前述の供給水接続口28から外殻槽11内に供給される。また、本例の微細バブル発生装置1によって微細バブルが形成された微細バブル含有水は所望の用途に使用された後、水槽36に放出される。
【0025】
ポンプ40は水槽34や水槽36に蓄積された水を使用する際に駆動する装置である。例えば、バルブ36aを開き、更にバルブ37〜39を順次開き、ポンプ40を駆動することによって、水槽36に溜まった水を外殻槽11に戻し、再使用する。尚、ポンプ40を駆動し、バルブ37を水槽34側に開き、更にバルブ41を開くことによって、水槽36に溜まった水を水槽34に戻すこともできる。
【0026】
尚、同図に示すP2は水の流路42に設けられた圧力インジケータであり、この流路42を流れる水圧を計測する。また、F2は流量インジケータであり、流路42を介して外殻槽11に供給される水の流量を計測する。
【0027】
さらに、同図に示すEV1は電磁弁であり、ボンベ31a、31b、31cから気体の供給を停止する際駆動し、電磁弁EV2は水槽34又は36からの水の供給を停止する際駆動し、外殻槽11及び気体収納管12内を空気で満たすことによって、微細バブル発生装置1の駆動を停止した際、毛細管現象によって多孔質部材13内の細孔に水等の液体が侵入することを防止する構成である。
【0028】
上記本例の微細バブル発生装置1を使用したシステムにおいて、微細バブルの生成は以下のような処理手順で行われる。
先ず、水槽34から微細バブル発生装置1の外殻槽11に水を供給する。この為、先ずバルブ34a、及び35を開き、水槽34に溜められた水を流路42を介して供給水接続口28から外殻槽11内に供給する。外殻槽11内に送られた水は下方に流れ、流速を増して気泡発生槽11aに流れ込む。その後、気泡発生槽11a内の隙間30に達する。
【0029】
この隙間30は前述のように、外殻槽11の内周面と気体収納管12の外周面(多孔質部材13)に挟まれた極めて狭い領域であり、気泡発生槽11a内を下方に流れる水は更に流速を増し、狭い隙間30を減圧状態とする。すなわち、狭い隙間30において、液体(本例では水)の流れを絞ることによって、流速を増加させて、水の流れの低速部に比べて低い圧力を発生させる。
【0030】
この状態で、ボンベ31の何れかのバルブ32a、32b、32cを開くことによって、気体収納管12に選択された気体が送られる。例えば、本例ではバルブ32aを開き、ボンベ31aに収納された空気を気体収納管12に送るものとすれば、バルブ32aを開くと上記狭い隙間30が負圧状態である為、ボンベ31a内の空気は微細バブル発生装置1に設けられた気体供給口27を介して自動的に気体収納管12内へと吸引される。そして、気泡発生槽11a内の気体収納管12に設けられた多孔質部材13内の細かな空乏層を通って、気体収納管12の気体(空気)は狭い隙間30に吸引され、多孔質部材13の表面に放出される。
【0031】
多孔質部材13の表面に放出された気体は、狭い隙間30を流れる水の流速によって多孔質部材13の表面から引き離され、直後に液体(水)の流れの圧力を急速に解放することによって、水に混じった気泡はマイクロオーダ或いはナノオーダの微細気泡となり、微細気泡含有水となる。この微細気泡含有水は、更に外殻槽11内を流れ、前述の処理水出力口29から放出され、必要な用途に使用される。
【0032】
すなわち、本例の微細バブル発生装置1によれば、狭い隙間30において多孔質部材13から放出された気体を、気泡として水の流速によって多孔質部材13の表面から引き離し、直後に急速に圧力を解放することによってマイクロオーダ或いはナノオーダの微細気泡を生成するものである。
【0033】
その後、バルブ35を閉じ、ポンプ40を駆動してバルブ36a、37〜39を開放することによって、水槽36に放出された水を循環させ、狭い隙間30の負圧状態を維持することによって、ボンベ31aから空気を気体収納管12に自動的に送り、継続的に微細バブル発生装置1の処理水出力口29から微細気泡含有水を出力することができる。
【0034】
以上のように、本例の微細バブル発生装置1を使用することによって、気体をボンベ31から気体収納管12に送る際、気体を加圧する必要がなく、例えば気体としてオゾンを使用する際にもオゾン分子を壊すことなく、充分な微細バブルの生成を行うことができる。尚、加圧して気体を気体収納管12に送る必要がある場合でも、供給圧力を従来に比べて大幅に低減することができる。
【0035】
また、本例の微細バブル発生装置1によって生成する微細バブルの大きさは多孔質部材13の選択、供給する水(液体)の流量によって可変することができる。すなわち、多孔質部材13の空乏層のサイズは材料によって異なり、所望するサイズの空乏層を有する多孔質部材13を選択することによって生成する微細バブルの大きさを設定することができる。また、微細バブル発生装置1に供給する液体(水)の流量によって狭い隙間30に形成する負圧の圧力を可変することができ、生成する微細バブルの大きさを設定することができる。この流量の可変は、例えばポンプ40の駆動力をコンピュータ等によって制御することによって実現することができる。
【0036】
尚、上記実施形態の説明では気体としてボンベ31aに収納した空気を使用したが、他のボンベ31b、31cに、例えば水素や、重水素、酸素、オゾン、窒素、二酸化炭素、塩素、二酸化窒素、硫化水素、ヘリウム、アルゴン、ネオン等の希ガスを収納し、用途に応じて使用する構成としてもよい。
【0037】
また、上記説明では微細バブル発生装置1に使用する液体として水槽34の水を使用したが、水に限らず、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、ヘキサン、トルエン等の有機溶媒や石油等の鉱油でもよい。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の塩基、塗料や乳等のコロイド、塩酸、硫酸、炭酸、リン酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸等の有機酸を使用してもよい。
【0038】
次に、
図3は本発明の微細バブル発生装置の変形例であり、高速旋回方式の構成を加えて微細バブルを生成する微細バブル発生装置10の断面図である。
同図に示すように本例の微細バブル発生装置10は、高速の旋回流を作成する為のカレント制御板44が螺旋状に形成され、このカレント制御板44が気泡発生槽11aを除く外殻槽11内に形成されている。
【0039】
また、前述の
図1において説明した微細バブル発生装置1には供給水接続口28が外殻槽11の上部側面に設けられていたが、本例の微細バブル発生装置10の供給水接続口は外殻槽11の上面の2ヶ所に設けられ、供給水接続口28a、28bを構成している。この供給水接続口28a、28bには前述の水槽34又は36からポンプ40によって加圧された水が供給される。
【0040】
供給水接続口28a、28bの2ヶ所から勢いよく外殻槽11内に供給された水は、外殻槽11内において、上記螺旋状のカレント制御板44によって高速の旋回流45となり、気泡発生槽11aに送られる。そして、気泡発生槽11aに送られた水は、前述の狭い隙間30を高速の旋回流となって流れ、狭い隙間30を負圧状態とする。したがって、前述の微細バブル発生装置1に比べて、本例の微細バブル発生装置10は高速の旋回流が通過し、より大きな負圧が狭い隙間30に発生する。この為、多孔質部材13を通して気体収納管12内の気体が吸引され、多孔質部材13の表面に効率よく気体を放出することあできる。
【0041】
このようにして放出された気体は高速の旋回流によって多孔質部材13の表面から気泡として引き離され、水に混じって旋回を続けたまま圧力が急に解放される。この為、マイクロオーダ或いはナノオーダの微細気泡が効率よく生成され、大量の微細気泡を含む微細気泡含有水となる。この微細気泡含有水は、前述と同様更に外殻槽11内を流れ、処理水出力口29から放出され、必要な用途に使用される。
【0042】
すなわち、本例の微細バブル発生装置10によれば、狭い隙間30において多孔質部材13から放出された気泡を、高速旋回する水(液体)によって多孔質部材13の表面から引き離し、液体に混じって旋回を続けたまま、直後に圧力を解放することによってより効率良くマイクロオーダ或いはナノオーダの微細気泡を生成することができる。
【0043】
尚、本例の微細バブル発生装置10においても、生成する微細バブルの大きさは多孔質部材13の選択、又は供給する水(液体)の流量によって可変することができ、例えば半導体の洗浄用等で微細気泡の浮力を使用する用途の場合、マイクロオーダの微細気泡を生成し、医療用の用途で使用する場合にはナノオーダの微細気泡を生成する。
【0044】
尚、上記実施形態の説明では、
図1に示す微細バブル発生装置1、及び
図3に示す微細バブル発生装置10に使用する気体収納管12の形状は、何れの場合もその長手方向の断面が楕円形であったが、楕円形に限定される訳ではなく、流線形等、外殻槽11の内壁との間に狭い隙間30を形成する気体収納管12の形状であれば、同様に使用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1、10・・微細バブル発生装置
11・・外殻槽
11a・・気泡発生槽
12・・気体収納管
13・・多孔質部材
14・・上板
15・・上部固定リング
16・・下部固定リング
17・・固定主軸
19、20・・固定ボルト
21〜25・・パッキン
27・・気体供給口
28、28a、28b・・供給水接続口
29・・処理水出力口
30・・隙間
31a、31b、31c・・ボンベ
32a、32b、32c、32d・・バルブ
33・・気体流路
34、36・・水槽
34a、35、36a、37〜39・・バルブ
40・・ポンプ
41・・バルブ
42・・液体流路
44・・カレント制御板
45・・旋回流
P1、P2・・圧力インジケータ
F1、F2・・流量インジケータ