特許第6809684号(P6809684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6809684
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】液位計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/56 20060101AFI20201221BHJP
【FI】
   G01F23/56 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-151572(P2020-151572)
(22)【出願日】2020年9月9日
【審査請求日】2020年9月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517078057
【氏名又は名称】Innovation Farm株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岡田 昇一
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平2−14036(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の液体の液位を計測する液位計測装置であって、
投光したレーザー光が受光素子に戻ってくるまでの時間を距離に換算することで測定対象までの距離を計測する光センサと、
前記光センサと所定のサーバとの間の信号を無線で通信する通信部と、
内部が中空に形成された不透明なパイプであって、一方の端部が密閉され他方の端部が開口された測定パイプと、
前記所定の液体に浮遊可能に構成され、且つその内部に磁石が配置されたリング状のフロートであって、その内径側に前記測定パイプが挿入されることで該測定パイプの外周面に沿って上下に移動するフロートと、
前記測定パイプに収容され、前記光センサからのレーザー光が照射される測定子であって、前記フロートに配置されたフロート側磁石と対になって運動する磁石である測定子側磁石を有し、該測定子側磁石の運動によって該測定パイプの内周面に沿って上下に摺動する測定子と、
前記光センサが収容された不透明なケースであって、前記測定パイプの開口端を遮光するように該測定パイプの開口端に装着されるセンサケースと、
を備える液位計測装置であって、
前記測定パイプの外周面にOリングを装着することによって、測定パイプとセンサーケースが嵌合されることを特徴とする、
液位計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光センサを用いて液体の液位を計測する液位計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水田や河川等の水位を計測する技術が知られている。例えば、水田では、稲の生育段階や気象条件に応じて水田の水位を変える水管理を行うことが必要である。そして、この水管理を行うために、水田内に配置された電極間の電気抵抗値から水田の水位を検出する水田用水位計が実用化されている。また、連続的に水位変化を計測する方法として、投げ込み法やエアー・バブル法が知られている。投げ込み法は、ダイヤフラムおよび圧力センサ/トランスミッタを備えた密水容器を水底に沈め、水圧を測ることにより水位を求める方法である。エアー・バブル法は、空気源より水中に差し込まれた空気吹き込み管を通じて常に一定量の空気を水中に吹き込み、空気吹き込み管内の圧力を圧力センサで測定して水位を求める方法である。また、例えば、河川では、ダムのゲート制御によって下流域の水位が上昇することがあり、安全のためにダムの下流域には放流警報システムが設置されている。そして、このようなシステムが設置されている河川の流域における水位測定には、その多くにフロート式と呼ばれる浮きの上下する位置で水位を測定する方式の水位計が使用されている。
【0003】
このような接触式の水位計測技術が知られている一方で、非接触式の水位計測技術も知られている。例えば、超音波測定は、所定範囲の周波数で信号波を送出し、対象物である液面に当たって戻ってくるエコー(反射波)のタイミングのずれを測定することによって、液面までの距離計算をするものである。
【0004】
ここで、従来技術として、特許文献1には、内部中空の測定パイプの上部に超音波センサを配し、液面とともに上下遊動するフロートの動きに応じて上下動する可動磁石までの距離を計測する液面測定装置が開示されている。これによれば、液面が激しく運動する液面条件においても、その影響を抑制して超音波測定をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−340657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から実用化されている電極式の水田用水位計では、泥や異物を含む水田の水質により導電率が変化するために水位を正確に検出することができないという問題があった。また、投げ込み法により水位変化を計測する場合、構造が複雑となりコストも高くなる傾向があり、エアー・バブル法により水位変化を計測する場合、常に適切にコントロールされた流量の空気を水中に吹き込む必要があり正確な測定が困難になる虞がある。
【0007】
一方、非接触式の水位計測技術では、直接液面に向かって信号波を送出するため、液面条件の影響を受けやすいという問題があった。ここで、従来技術(特許文献1)によれば、外乱の影響を受けやすい液面ではなく可動磁石に向かって信号波を送出するため外乱の影響を抑制でき、非接触式の水位計測技術における問題を解決できるようにも思われる。しかしながら、超音波センサは消費電力が大きく、液体の液位を計測する技術については、未だ改良の余地を残すものである。
【0008】
本開示の目的は、比較的簡単な構造で、省電力ながら正確に液位を計測可能な液位計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の液位計測装置は、所定の液体の液位を計測する装置である。そして、この液位計測装置は、投光したレーザー光が受光素子に戻ってくるまでの時間を距離に換算することで測定対象までの距離を計測する光センサと、前記光センサと所定のサーバとの間の信号を無線で通信する通信部と、内部が中空に形成された不透明なパイプであって、一方の端部が密閉され他方の端部が開口された測定パイプと、前記所定の液体に浮遊可能に構成され、且つその内部に磁石が配置されたリング状のフロートであって、その内径側に前記測定パイプが挿入されることで該測定パイプの外周面に沿って上下に移動するフロートと、前記測定パイプに収容され、前記光センサからのレーザー光が照射される測定子であって、前記フロートに配置されたフロート側磁石と対になって運動する磁石である測定子側磁石を有し、該測定子側磁石の運動によって該測定パイプの内周面に沿って上下に摺動する測定子と、前記光センサが収容された不透明なケースであって、前記測定パイプの開口端を遮光するように該測定パイプの開口端に装着されるセンサケースとを備え、前記測定パイプの外周面にOリングを装着することによって、測定パイプとセンサーケースが嵌合される液位計測装置である。


【0010】
上記の構成によると、測定パイプの密閉された一方の端部が液底(水田、河川の底や貯留容器の底等が含まれる。)に着地するように配置されると、フロートが液面に浮遊することになる。そして、このとき、測定子は、フロート側磁石の磁界作用によって測定子側磁石に働く力と、重力と、が釣り合う位置に存在することになる。本開示の液位計測装置では、この状態における光センサと測定子との距離を計測することで、所定の液体の液位が計測される。このように、本開示の液位計測装置によれば、比較的簡単な構造で液位を計測することができる。
【0011】
ここで、光センサは、超音波センサよりも消費電力が少ない。そのため、液体の液位の計測に光センサを用いれば、超音波センサを用いる場合よりも省電力で計測することができる。しかしながら、光センサは、投光したレーザー光が受光素子に戻ってくるまでの時間を距離に換算するという原理上、レーザー光以外の光の影響を受けると正確に計測できないという問題があった。そこで、本開示の液位計測装置では、レーザー光以外の光の影響を抑制するために、測定子が収容された測定パイプの内部が遮光される。これによれば、省電力ながら正確に液位を計測することができる。
【0012】
なお、本開示の液位計測装置では、上記の構成において、前記光センサは、前記所定の液体の液位の計測において、前記測定子までの距離を複数回続けて計測し、前記通信部は、前記光センサによる複数回の計測結果を前記所定のサーバに送信してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、比較的簡単な構造で、省電力ながら正確に液位を計測可能な液位計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態における液位計測装置の概略構成を示す図である。
図2】センサケースによる測定パイプの開口端の遮光を説明するための図である。
図3】第1実施形態における、所定の液体の液位を計測する方法を説明するための図である。
図4】液位計測装置の概略構成とともにサーバの構成要素を示す図である。
図5】第2実施形態における所定の液体の液位を計測する計測システムの動作の流れを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0016】
<第1実施形態>
第1実施形態における液位計測装置の概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における液位計測装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る液位計測装置100は、所定の液体の液位を計測する装置であって、測定対象までの距離を計測する光センサ110と、光センサ110と所定のサーバとの間の信号を無線で通信する通信アンテナ113と、内部が中空に形成された不透明な測定パイプ140と、所定の液体に浮遊可能に構成されたフロート130と、測定パイプ140に収容され光センサ110からのレーザー光が照射される測定子120と、光センサ110が収容された不透明なセンサケース160と、を備える。
【0017】
光センサ110は、投光したレーザー光が受光素子に戻ってくるまでの時間を距離に換算することで測定対象までの距離を計測する、所謂TOF(Time Of Flight)方式のセンサである。光センサ110は、センサ素子111と基板112とバッテリ114とを含んで構成される。センサ素子111は、レーザー光を投光するレーザー発振器と、反射光を受ける受光素子と、を含む。基板112は、センサ素子111を用いて距離を計測するための回路を含む。バッテリ114は、光センサ110を作動させるための電力源である。また、光センサ110の基板112には、通信アンテナ113が配置され、基板112は無線通信回路を含んで構成される。なお、光センサ110と所定のサーバとの間の無線通信には、Bluetooth(登録商標)LowEnergy規格(BLE)によるデータ通信や、NFC(Near Field Communication)、UWB(Ultra Wideband)、WiFi(登録商標)、携帯電話等のセルラー通信網、LPWA(Low Power Wide Area)などを利用することができる。
【0018】
測定パイプ140は、非磁性で不透明な材質、例えば、ポリ塩化ビニル等の樹脂系のパイプを用いることができる。この測定パイプ140は、一方の端部が密閉され他方の端部が開口されるように構成される。本実施形態では、両端が開口した汎用のポリ塩化ビニルパイプの一方の端部が、密閉栓150によって密閉されることで、測定パイプ140が構成される。そうすると、本実施形態の測定パイプ140では、一方の端部が密閉栓150によって密閉され、他方の端部が開口端140aとなる。なお、後述するように、測定パイプ140における密閉栓150が装着された側は、所定の液体に液没される。したがって、液体が測定パイプ140内に侵入しないように、密閉栓150は測定パイプ140の端部を完全にシールするように装着される。また、密閉栓150は、測定パイプ140の端部を遮光するように装着される。
【0019】
フロート130は、浮遊体131とフロート側磁石132とを含んで構成される。浮遊体131は、例えばポリスチレン内にブタンなど炭化水素系の発泡剤を閉じ込め、スチームで加熱膨張させた発泡スチロール等からなる浮力を有する発泡系素材によってリング状に形成され、所定の液体の液面に浮かべられる。そして、フロート130は、浮遊体131の内径側に測定パイプ140が挿入されることで該測定パイプ140の外周面に沿って上下に移動する。また、フロート側磁石132は、浮遊体131の内部に配置され、浮遊体131と一体となって測定パイプ140の外周面に沿って上下に移動する。なお、本実施形態では、フロート側磁石132もリング状に形成される。
【0020】
測定子120は、測定子本体121と測定子側磁石122とを含んで構成される。測定子本体121は、冠面とスカートとを有するピストン状に形成され、冠面に光センサ110からのレーザー光が照射され、冠面とスカートとの間に形成された外周溝にリング状の測定子側磁石122が配置される。ここで、測定子側磁石122は、フロート側磁石132と対になって運動する磁石である。詳しくは、測定子側磁石122の下面(スカート側)の極性と、フロート側磁石132の上面(液面と反対側)の極性と、が反対の関係となるように、測定子120とフロート130とが測定パイプ140の内外に配置されることで、図1(b)に示すように、フロート側磁石132の磁界作用で測定子側磁石122が浮き上がる。そうすると、フロート側磁石132が浮遊体131と一体となって測定パイプ140の外周面に沿って上下に移動すると、測定子側磁石122は、該磁石に働く反発力と重力とが釣り合うようにフロート側磁石132の上下動に応じて運動することになる。そして、このような測定子側磁石122が装着された測定子120は、該測定子側磁石122と一体となって、測定パイプ140の内周面に沿って上下に摺動する。
【0021】
センサケース160は、光センサ110が収容された不透明なケースである。センサケース160は、その内部に台座161を備えていて、台座161に基板112が載せられることで光センサ110が収容される。なお、センサケース160には開口が形成されていて、センサ素子111が該開口を向くように、センサケース160に光センサ110が収容される。そして、センサケース160の開口が測定パイプ140の外周面に嵌合されることで、センサケース160が測定パイプ140に装着される。
【0022】
以上に述べた構成によれば、図1(b)に示すように、光センサ110のセンサ素子111と、測定子120の冠面と、が対向するように配置される。そうすると、光センサ110と測定子120との距離を計測することが可能となる。これによって、後述するように液体の液位を計測することができる。
【0023】
そして、本開示の液位計測装置100によれば、センサケース160が、測定パイプ140の開口端140aを遮光するように測定パイプ140に装着される。
【0024】
ここで、上述した光センサ110は、超音波センサよりも消費電力が少ない。そのため、液体の液位の計測に光センサ110を用いれば、超音波センサを用いる場合よりも省電力で計測することができる。しかしながら、光センサは、投光したレーザー光が受光素子に戻ってくるまでの時間を距離に換算するという原理上、レーザー光以外の光の影響を受けると正確に計測できないという問題があった。そこで、本開示の液位計測装置100では、レーザー光以外の光の影響を抑制するために、測定子120が収容された測定パイプ140の内部が遮光される。
【0025】
図2は、センサケース160による測定パイプ140の開口端140aの遮光を説明するための図である。本実施形態では、Oリング(O−ring)170を用いて測定パイプ140の外周面とセンサケース160との隙間が密閉される。図2(a)に示すように、測定パイプ140の開口端140a側の外周面には溝140bが形成されていて、そこにOリング170が装着される。なお、Oリング170は、不透明(例えば黒色)であって、周知のゴムによって形成される。そして、図2(b)に示すように、Oリング170が装着された測定パイプ140の外周面と嵌合するように、センサケース160が装着される。そうすると、センサケース160によってOリング170が潰され、測定パイプ140の外周面とセンサケース160との隙間が密閉されることになる。つまり、センサケース160が、測定パイプ140の開口端140aを遮光するように測定パイプ140に装着されることになる。これによって、光センサ110を用いてレーザー光以外の光の影響を抑制しながら、比較的簡単な構造で省電力且つ正確に液体の液位を計測することが可能となる。
【0026】
次に、所定の液体の液位を計測する方法について、図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態における、所定の液体の液位を計測する方法を説明するための図である。なお、本実施形態では、液位計測装置100によって水田の水位が計測される。詳しくは、測定パイプ140が、密閉された一方の端部である密閉栓150が底に着地するように水田に配置され、光センサ110は、水田の水に浮遊するフロート130に対応する位置に存在する測定子120までの距離を計測することで、水田の水位を計測する。
【0027】
ここで、図3(a)には、水位を計測する前の基準位置にフロート130が配置された基準状態が示される。本実施形態では、フロート130が重力によって測定パイプ140の外周面から脱落しないように、密閉栓150の外径がフロート130の浮遊体131の内径よりも大きくされている。つまり、密閉栓150が、測定パイプ140の外周面に沿って上下に移動するフロート130の下限側のストッパーとなっている。そして、フロート130がストッパーである密閉栓150に接触している状態が、上記の基準位置となる。本実施形態では、水位を計測する前の基準距離として、図3(a)に示す距離a(基準位置にあるフロート130に対応する位置に存在する測定子120の冠面と、光センサ110のセンサ素子111と、の距離)の数値を光センサ110によって計測する。なお、このとき、密閉栓150と一体化されている測定パイプ140の下端と、フロート130の下端と、の距離は、図3(a)に示す距離bである。
【0028】
そして、図3(b)には、測定パイプ140の下端が水田の底に着地するように液位計測装置100が水田に配置された、水位計測状態が示される。図3(b)によると、フロート130が水田の液面に浮遊していて、測定子120がフロート130に対応する位置に存在している。本実施形態では、この状態における測定子120の冠面と光センサ110のセンサ素子111との距離cの数値を光センサ110によって計測する。そうすると、水田の水位を表す距離dが下記式1によって示される。
d=a−c+b ・・・式1
このように、水田の水位は、基準状態におけるフロート130の位置と、水位計測状態におけるフロート130の位置と、に基づいて、これらを計測した数値を演算することによって算出される。
【0029】
このような計測方法によれば、センサや測定子等の計測手段を直接水に触れさせる必要がないので、泥詰まりなどの故障の原因が少なくなり、水田のように汚れやすい環境でも水位の変化を正確に計測できる保守性のよい液位計測装置を提供することができる。なお、水田の状態によっては、測定パイプ140の下端が水田の底に入り込んでいく場合がある。また、測定パイプ140を自立させるために、測定パイプ140の下端を水田の底に敢えて植え込む場合もある。このような場合には、測定パイプ140の下端を水田の底に刺すための挿入代を予め定めておき、その挿入代の数値を用いて上記式1を補正することで水田の水位を算出してもよい。このとき、実際に測定パイプ140の下端が水田の底に入り込む長さが予め定められた挿入代に制御できるように、測定パイプ140の下端側の外周面に別の部材(これは、例えば円盤状のプレートであって、該プレートは水田の底に刺さり難いため、該プレートから測定パイプ140の下端までの部分が水田の底に入り込むことになる。)が設けられてもよい。
【0030】
本開示の液位計測装置100では、光センサ110を用いて計測した液位に関する情報を含んだ信号が通信アンテナ113(液位計測装置100における通信部)を介してサーバ300に無線通信される。
【0031】
図4は、液位計測装置100の概略構成とともにサーバ300の構成要素を示す図である。ここで、サーバ300は、汎用のコンピュータにより構成してもよい。そして、サーバ300は、機能部として通信部301、記憶部302、制御部303を有しており、補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各機能部等が制御されることによって、各機能部における所定の目的に合致した各機能を実現することができる。通信部301は、サーバ300をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部301は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。サーバ300は、通信部301を介して、液位計測装置100やその他の外部装置と通信可能に接続される。記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部303によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部303において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。制御部303は、サーバ300が行う制御を司る機能部である。制御部303は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
【0032】
このように、光センサ110とサーバ300との間で信号を無線で通信する構成によれば、配線を接続させることなく、光センサ110を用いて計測した液位に関する情報をサーバ300に送信することができ、該情報をサーバ300の記憶部302に記憶させることで、液位に関する情報を管理することができる。また、上述したように、光センサ110はバッテリ114を含んで構成される。つまり、光センサ110が外部に対して配線されないことになる。そのため、センサや測定子等の計測手段が収容された空間であって、測定パイプ140とセンサケース160とによって画定される内部空間が、密閉され遮光されることになる。なお、光センサ110とサーバ300との間の無線通信が予め定められたタイミングで定期的に行われることによって、光センサ110を用いて計測した液位に関する情報がサーバ300に送信されてもよい。
【0033】
以上に述べた液位計測装置100によれば、光センサ110と測定子120とフロート130と測定パイプ140とを用いた比較的簡単な構造で、且つ超音波センサを用いる場合よりも省電力で液体の液位を計測することができる。また、センサケース160が、測定パイプ140の開口端140aを遮光するように測定パイプ140に装着されるとともに、光センサ110が外部に対して配線されない。そのため、光センサ110を用いてレーザー光以外の光の影響を抑制しながら、比較的簡単な構造で省電力且つ正確に液体の液位を計測することが可能となる。
【0034】
<第2実施形態>
第2実施形態における液位計測装置について、図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態における所定の液体の液位を計測する計測システムの動作の流れを例示する図である。本実施形態では、サーバ300と液位計測装置100とを含んで上記の計測システムが構成される。図5では、計測システムにおける各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。
【0035】
本実施形態では、先ず、サーバ300によって、液位計測装置100を用いて所定の液体の液位を計測するための計測指令が生成される(S101)。ここで、計測指令は、計測システムのユーザによる入力に基づいて生成されてもよいし、予め定められたスケジュールに基づいて生成されてもよい。そして、サーバ300は、生成した計測指令を液位計測装置100に送信する(S102)。
【0036】
液位計測装置100は、通信アンテナ113を介して計測指令を取得する(S103)。そうすると、光センサ110は、所定の液体の液位の計測において、測定子120までの距離を複数回続けて計測する(S104)。そして、液位計測装置100は、通信アンテナ113を介して、光センサ110による複数回の計測結果をサーバ300に送信する(S105)。
【0037】
次に、サーバ300は、液位計測装置100から送信された複数回の計測結果を取得する(S106)。そして、サーバ300は、取得した複数回の計測結果に基づいて、所定の液体の液位を演算する(S107)。ここで、センサを用いた計測において、該センサ自体の誤差等の影響で計測結果にばらつきが生じることがある。そこで、本実施形態では、取得した複数回の計測結果に対して平均化の処理を行うことで液位を演算する。なお、液位の演算には、平均化以外の周知の手法を用いることもできる。これによれば、より正確に液体の液位を計測することが可能となる。
【0038】
また、サーバ300は、演算した液位の数値を含む液位情報を表示させる(S108)。サーバ300は、ディスプレイ等の表示機器に上記の情報を表示させてもよいし、計測システムのユーザが有するタブレット端末等に上記の情報を送信して該端末に表示させてもよい。これにより、計測システムのユーザが液位を把握することが可能となる。
【0039】
以上に述べた液位計測装置100によっても、比較的簡単な構造で省電力且つ正確に液体の液位を計測することができる。
【0040】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。上記の実施形態では、液位計測装置100によって水田の水位が計測される例について説明したが、液位計測装置100は、例えば、河川の水位の計測に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0041】
100・・・液位計測装置
110・・・光センサ
111・・・センサ素子
113・・・通信アンテナ
120・・・測定子
122・・・測定子側磁石
130・・・フロート
132・・・フロート側磁石
140・・・測定パイプ
140a・・開口端
160・・・センサケース
【要約】
【課題】比較的簡単な構造で、省電力ながら正確に液位を計測可能な液位計測装置を提供。
【解決手段】本開示の液位計測装置は、所定の液体の液位を計測する装置である。液位計測装置は、投光したレーザー光が受光素子に戻ってくるまでの時間を距離に換算することで測定対象までの距離を計測する光センサと、光センサと所定のサーバとの間の信号を無線で通信する通信部と、内部が中空に形成された不透明なパイプであって、一方の端部が密閉され他方の端部が開口された測定パイプと、その内部に磁石が配置され内径側に測定パイプが挿入されることで該測定パイプの外周面に沿って上下に移動するフロートと、フロート側磁石と対になって運動する測定子側磁石を有し該測定子側磁石の運動によって測定パイプの内周面に沿って上下に摺動する測定子と、測定パイプの開口端を遮光するように該測定パイプの開口端に装着されるセンサケースと、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5