特許第6809743号(P6809743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6809743-授与品の飾り台および授与品 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6809743
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】授与品の飾り台および授与品
(51)【国際特許分類】
   A47G 33/00 20060101AFI20201221BHJP
【FI】
   A47G33/00 J
   A47G33/00 E
   A47G33/00 G
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-82881(P2020-82881)
(22)【出願日】2020年5月8日
【審査請求日】2020年5月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519377060
【氏名又は名称】株式会社丹澤紙業
(74)【代理人】
【識別番号】100128532
【弁理士】
【氏名又は名称】村中 克年
(72)【発明者】
【氏名】丹沢 英仁
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−205682(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3216481(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00−33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に直交する3個の面をXY平面、XZ平面、YZ平面とするとき、
前記XZ平面に対し、上方に行くほどY軸方向の距離が漸減するように傾斜して正面となる傾斜面と、
前記傾斜面に対向するXZ平面である背面と、
前記傾斜面の一方の側のYZ平面であり、前記傾斜面および前記背面とそれぞれ一辺を共有する辺を有する右側面と、
前記傾斜面の他方の側のYZ平面であり、前記傾斜面および前記背面とそれぞれ他の一辺を共有する他の辺を有する左側面と、
前記傾斜面、前記背面、前記右側面および前記左側面の上端の各辺とそれぞれ一辺を共有する上面と、
前記傾斜面、前記背面、前記右側面および前記左側面の下端の各辺とそれぞれ一辺を共有する底面とを平板状の板材を所定の折線に沿って折り曲げることにより六面体を形成する一方、
前記左側面には、長手方向に伸びる軸を有する長尺状授与品の一点を支持するとともに、前記傾斜面と接する部分が外部に開口した第1の狭窄部となって連続的に奥に伸びる穴である第1の切欠部を有するとともに、前記右側面には、前記Z方向に関する高さ位置が前記第1の切欠部とは異なる高さ位置において、前記長尺状授与品の他の一点を支持するとともに、前記傾斜面と接する部分が外部に開口した第2の狭窄部となって連続的に奥に伸びる穴である第2の切欠部を有し、
さらに前記傾斜面の少なくとも前記第1の切欠部から第2の切欠部に至る部分には前記長尺授与品を嵌め込む為の空間となる経路を形成するとともに、前記傾斜面から前記経路の中央部に下方から上方に向かって一体的に突出して前記経路の一部を覆う凸部を形成したことを特徴とする授与品の飾り台。
【請求項2】
請求項1に記載する授与品の飾り台と、該飾り台の前記空間を貫通して前記第1および第2の切欠部に支持され、前記凸部で一部が覆われた長尺状授与品と、前記長尺状授与品を覆うとともに、前記飾り台の傾斜面を覆うように前記飾り台の傾斜面に配置された平板状授与品とを一体にしたことを特徴とする授与品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は授与品の飾り台および授与品に関し、神社等で配られる各種のお札および破魔矢等を飾る場合に用いて有用なものである。
【背景技術】
【0002】
授与品であるお札とともに一体的に破魔矢を飾るお札立として特許文献1が提案されている。ただ、特許文献1に係るお札立は、お札と破魔矢とを独立して飾る構造となっている。このため、飾るために大きな空間を用意する必要がある。かかる課題を解決するためには、お札と破魔矢とを一体に飾る構造とすることが考えられるが、お札と破魔矢とを単に寄せ集めて飾ったのでは審美性に難がある。すなわち、お札の前方に破魔矢を配して飾ったのではお札に書かれた字を破魔矢が塞いでしまい、お祀りしている意義が半減するような結果を招来する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3167507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術に鑑み、お札と破魔矢とを狭い空間に一体に飾ることができ、同時に破魔矢によりお札の字が隠されて祀りの意義が減損されることがないよう破魔矢とお札のそれぞれの祀りの意義を十分発揮される飾り方が可能になるような授与品の飾り台および授与品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明に係る授与品の飾り台の構成は、
相互に直交する3個の面をXY平面、XZ平面、YZ平面とするとき、
前記XZ平面に対し、上方に行くほどY軸方向の距離が漸減するように傾斜して正面となる傾斜面と、
前記傾斜面に対向するXZ平面である背面と、
前記傾斜面の一方の側のYZ平面であり、前記傾斜面および前記背面とそれぞれ一辺を共有する辺を有する右側面と、
前記傾斜面の他方の側のYZ平面であり、前記傾斜面および前記背面とそれぞれ他の一辺を共有する他の辺を有する左側面と、
前記傾斜面、前記背面、前記右側面および前記左側面の上端の各辺とそれぞれ一辺を共有する上面と、
前記傾斜面、前記背面、前記右側面および前記左側面の下端の各辺とそれぞれ一辺を共有する底面とを平板状の板材を所定の折線に沿って折り曲げることにより六面体を形成する一方、
前記左側面には、長手方向に伸びる軸を有する長尺状授与品の一点を支持するとともに、前記傾斜面と接する部分が外部に開口した第1の狭窄部となって連続的に奥に伸びる穴である第1の切欠部を有するとともに、前記右側面には、前記Z方向に関する高さ位置が前記第1の切欠部とは異なる高さ位置において、前記長尺状授与品の他の一点を支持するとともに、前記傾斜面と接する部分が外部に開口した第2の狭窄部となって連続的に奥に伸びる穴である第2の切欠部を有し、
さらに前記傾斜面の少なくとも前記第1の切欠部から第2の切欠部に至る部分には前記長尺授与品を嵌め込む為の空間となる経路を形成するとともに、前記傾斜面から前記経路の中央部に下方から上方に向かって一体的に突出して前記経路の一部を覆う凸部を形成したことを特徴とする。
【0006】
また、上記目的を達成する本発明に係る授与品の構成は、
上記授与品の飾り台と、該飾り台の前記空間を貫通して前記第1および第2の切欠部に支持され、前記凸部で一部が覆われた長尺状授与品と、前記長尺状授与品を覆うとともに、前記飾り台の傾斜面を覆うように前記飾り台の傾斜面に配置された平板状授与品とを一体にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手前側から奥行方向に向けて平板状授与品および長尺状授与品を順に並べて配設することができるので、奥行方向に直交する幅方向に広がることなく狭い空間に二種類の授与品を良好に飾ることができる。ここで、長尺状授与品は平板状授与品の奥側にあるので、平板状授与品に書かれた祈祷の文字等が長尺状授与品によって隠蔽されることもなく、それぞれの授与品の意義が棄損されることはない。この結果、平板状授与品と長尺状授与品とを狭い空間に一体に飾ることができ、同時に長尺状授与品により平板状授与品の一部(祈祷の文字等)が隠されて祀りの意義が減損されることはなく、それぞれの祀りの意義が十分発揮される飾り方が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る授与品の飾り台、長尺状授与品および平板状授与品が一体となった授与品を示す斜視図である。
図2】本発明に係る授与品の飾り台を示す斜視図である。
図3図2に示す飾り台を展開して示す展開図である。
図4図2に示す飾り台の組み立ての際の一工程を示す展開図である。
図5図2に示す飾り台の組み立ての際の他の工程を示す展開図である。
図6】飾り台に破魔矢を飾る時の態様を示す斜視図である。
図7】飾り台にお札を飾る時の凸部との関係を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る授与品の飾り台、長尺状授与品および平板状授与品が一体となった授与品を示す斜視図である。本形態においては、長尺状授与品として破魔矢、平板状授与品としてお札を例に採り説明するが、勿論これらに限定するものではない。長尺状授与品としては、長手方向に伸びる軸を有する飾りであれば良く、平板状授与品としては平板状の部材で形成した授与品であれば、それ以上の限定は必要ない。したがって、前者の例としては、長尺の軸(柄)を有する熊手、後者の例としては、外形形状が異なる各種のお札が考えられる。
【0013】
図1に示すように、本形態に係る授与品は、飾り台I、長尺状授与品である破魔矢IIおよび平板状授与品であるお札IIIを一体化したものである。ここで、破魔矢IIは飾り台Iの右側面から左側面に斜めに貫通して飾り台Iに飾ってある(詳細は、図6に基づき後に説明する)。お札IIIは飾り台Iの傾斜面(図2参照;以下同じ)にその裏面を当接させて飾り台Iに配設してある。この結果、飾り台Iの手前側から奥側に向かってお札III、破魔矢IIがこの順序で飾り台Iに配設してある。この結果、破魔矢IIとお札IIIとが前後方向で干渉することなく、審美的にも良好に飾り付けられている。
【0014】
さらに、傾斜面1は、お札1の裏側でお札に取付けられた水引11(図1図7参照)を引っかけるよう傾斜面1に一体的に形成された凸部10を有する。
【0015】
図2は、本発明に係る授与品の飾り台を示す斜視図である。ここで、同図に示すように、相互に直交する3個の軸をそれぞれX,Y,Z軸とし、各軸X,Y,Zで形成する面をXY平面、XZ平面、YZ平面として飾り台Iの面を定義する。
【0016】
当該飾り台Iの傾斜面1は、XZ平面に対し、上方に行くほどY軸方向の距離が漸減するように傾斜して正面となる面である。背面2は、傾斜面1に対向するXZ平面である。右側面3は、傾斜面の一方の側(図2では右側)のYZ平面であり、傾斜面1および背面2とそれぞれ一辺を共有する辺を有する面である。左側面4は、傾斜面1の他方の側(図2では左側)のYZ平面であり、傾斜面1および背面2とそれぞれ他の一辺を共有する他の辺を有する面である。上面5は、傾斜面1、背面2、右側面3および左側面4の上端の各辺とそれぞれ一辺を共有する面である。底面6は、傾斜面1、背面2、右側面3および左側面4の下端の各辺とそれぞれ一辺を共有する面である。すなわち、飾り台Iは傾斜面1を有する6面体である。
【0017】
左側面3には、長手方向に伸びる軸を有する破魔矢IIの一点を支持するように形成した第1の切欠部7を有するとともに、右側面3には、Z方向に関する高さ位置が第1の切欠部7とは異なる高さ位置において、破魔矢IIの他の一点を支持するように形成した第2の切欠部8を有している。この結果、XZ平面において、第1の切欠部7から第2の切欠部8に至る斜めの経路となる空間9が飾り台Iの内部に形成されている。破魔矢IIは前記経路を利用して第1の切欠部7から第2の切欠部8に至って飾り台Iに飾るようになっている。また、傾斜面1には、破魔矢IIを覆うようにお札IIIの裏面を当接させて飾るように形成してある。
【0018】
図3は、図2に示す飾り台を展開して示す展開図である。同図に示すように、本形態に係る飾り台Iは、板状のクラフト紙等、適切な強度と可撓性および加工性を兼備する材料を使用してある。図中、1Aは、傾斜面1の裏面、同様に2Aは背面2の、3Aは右側面3の、4A、4’Aは左側面4、4’の、5Aは上面5の、6Aは底面6の裏面をそれぞれ示している。また、3B、3C、4B、4C、4D、4E、5B、5C、6Bは折代であり、4’D、4’Eは切込みである。切込み4’D、4’Eには組み立て時に折代4D、4Eが挿入される。また、突出部6Cは組み立て時に底面6からY軸(図2参照)方向前方に突出し、お札III(図1参照;以下、同じ)の下端面が接してこのお札IIIを展示する。
【0019】
このように展開された飾り台Iは裏面1Aと裏面2A、裏面3Aと裏面4A,4’A、4’E、裏面5Aと裏面6Aがそれぞれ相対向するように折り曲げて所定の六面体を形成していく。
【0020】
図4は、図2に示す飾り台の組み立ての際の、図3の次の工程を示す展開図である。同図中、図3と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。ここで、左側面は傾斜面1の左端部から裏面側に直角に折れ曲がる左側面4と、裏面2の左端部から傾斜面側に直角に折れ曲がる左側面4’を2枚重ねにしたうえで、切込み4’D、4’Eに折代4D、4Eを挿入して形成する。この結果、第2の切欠き部8も左側面4、4’にそれぞれ形成されたものが合わさって形成される。
【0021】
図5は、図2に示す飾り台の組み立ての際の最後の工程を示す展開図である。同図中、図3図4と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。当該工程で、折代4Dを切込み4’Dに挿入するとともに折代4Eを切込み4’Eに挿入する等、各折代4A〜6Bを適宜所定の切込みに挿入することで飾り台Iを完成する。
【0022】
図6は飾り台に破魔矢を飾る時の態様を示す斜視図である。同図に示すように破魔矢IIは、その軸12部分を傾斜面1の外側から背面2側に移動させて第1および第2の切欠き部7,8に挿入する。このことにより第1および第2の切欠き部8に斜めに支持させる。このとき凸部10が破魔矢IIを挿入する際の空間9に至る経路の途中の障害物とならないように凸部10の部分を折り曲げることで破魔矢IIの挿入を担保する。この点に関しては後に詳述する。
【0023】
図7は、飾り台Iにお札IIIを飾る時の凸部との関係を説明するための概略図である。同図に示すように、本形態においては、飾り台Iの傾斜面1にお札IIIを配設する際にお札IIIの裏側の水引11を凸部10に引っかける。このことでお札IIIが前方に倒れる等の不都合を未然に防止して安定にお札IIIを飾ることができる。
【0024】
本形態では、上述の如く傾斜面1に凸部10を形成したので、この凸部10を利用してお札IIIと一体となっている水引11をその裏側で凸部10に引っかけることができ、安定してお札IIIを飾ることができる。しかしながら、破魔矢IIを飾る場合には、凸部10の存在が飾りつけの際の障害となる場合がある。すなわち、破魔矢IIは、基本的には長手方向に伸びる軸12の一端(基端)に矢羽根13を取り付けてなる。この場合には、軸12の径は一定であるので、軸12の先端部を第1の切欠部7から飾り台Iの内部に至り、第2の切欠き部8から外部に突出させて飾ることが可能である。
【0025】
これに対し、軸12の他端(先端)に鏑14を有する鏑矢の場合は、第1の切欠部7の径を鏑14の径に合わせて大きくする必要があるので、現実的ではない。最終的に飾り付けた場合、第1および第2の切欠部7,8と破魔矢IIの軸12の外周面との間の隙間が大きく不必要な遊びが生じてしまうからである。
【0026】
かかる問題は、破魔矢IIを飾り台Iに飾る際、破魔矢IIを第1の切欠部7から第2の切欠部8に向かってその軸方向に移動させるのではなく、飾り台Iの表面に開口する空間である第1の切欠部7から第2の切欠部8に向かう経路を形成しておくことで解決し得る。破魔矢IIを外部から傾斜面1に向けて移動し、前記経路に破魔矢IIの軸12を挿入するとともに、一部を第1および第2の切欠部7,8に支持させて飾ることができるからである。
【0027】
ところが、本形態の如く凸部10を有する場合には、破魔矢IIを経路に挿入する際に、破魔矢IIの軸12と凸部10とが干渉する場合が考えられる。そこで、この場合には、凸部10の部分を傾斜面1から外側に向けて折り曲げ、干渉状態を回避した状態で破魔矢IIを第1および第2の切欠部7,8の間で支持させるようにすれば良い。
【符号の説明】
【0028】
I 飾り台
II 破魔矢
III お札
1 傾斜面
2 背面
3 右側面
4 左側面
5 上面
6 底面
7 第1の切欠部
8 第2の切欠部
9 空間
10 凸部
11 水引

【要約】      (修正有)
【課題】お札と破魔矢とを狭い空間に一体に飾ることができる授与品の飾り台を提供する。
【解決手段】傾斜面、背面、右側面3、左側面、上面および底面を有する六面体である授与品の飾り台Iであって、左側面には、長手方向に伸びる軸を有する長尺状授与品(破魔矢II、お札III)の少なくとも一点を支持するように形成した第1の切欠部7を有するとともに、前記右側面には、Z方向に関する高さ位置が前記第1の切欠部とは異なる高さ位置において、前記長尺状授与品の少なくとも他の一点を支持するように形成した第2の切欠部を有し、さらに前記傾斜面は、前記第1の切欠部と第2の切欠部に当接して前記右側面および左側面に斜めに支持されている前記長尺状授与品を覆うようにお札状の平板状授与品の裏面を当接させて飾るように形成したものである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7