(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0033】
先ず、本発明に係るナフトールレッドについて述べる。
【0034】
本発明に係るナフトールレッドの一次粒子の軸比(平均長軸径/平均短軸径)は1.0〜2.0の範囲である。軸比が2.0を超える場合には、分散が困難になり、発色性に劣る。また、軸比が1.0より小さいことはありえない。好ましい軸比は1.0〜1.9の範囲であり、より好ましくは1.1〜1.8の範囲である。
【0035】
本発明に係るナフトールレッドの一次粒子の平均長軸径は、0.02〜0.20μmが好ましい。平均長軸径が0.02μm未満の場合は分散が困難になりやすい。平均長軸径が0.2μmより大きい場合は発色性に劣る。より好ましい平均長軸径は0.03〜0.18μmである。
【0036】
本発明に係るナフトールレッドの一次粒子の平均短軸径は、0.02〜0.20μmが好ましい。平均短軸径が0.02μm未満の場合は分散が困難になりやすい。平均短軸径が0.2μmより大きい場合は発色性に劣る。より好ましい平均短軸径は0.03〜0.15μmである。
【0037】
本発明に係るナフトールレッドの一次粒子の平均粒径は、0.02〜0.20μmが好ましい。一次粒子の平均粒径が0.02未満の場合は分散が困難になりやすい。一次粒子の平均粒径が0.20より大きい場合は発色性に劣る。より好ましい一次粒子の平均粒径は、0.02〜0.15μmである。
【0038】
本発明に係るナフトールレッドの粉体pHは、4.0〜9.0の範囲である。粉体pHが4.0未満の場合には、樹脂などへの分散が阻害される恐れがある。粉体pHが9.0を超える場合には、水などへの分散が阻害される恐れがある。より好ましい粉体pHは4.1〜8.5、より好ましくは4.2〜8.0である。
【0039】
本発明に係るナフトールレッドの顔料濃度5%のポリエステル樹脂塗膜にて、膜厚3μmでのヘイズ値は10〜20%が好ましい。ヘイズ値が20%よりも大きい場合、塗膜の透明度が優れているとは言い難く、分散不良と云える。より好ましいヘイズ値は12〜19%である。
【0040】
本発明に係るナフトールレッドの顔料濃度5%のポリエステル樹脂塗膜にて、膜厚3μmでの彩度c
*は60以上が好ましく、発色性に優れているといえる。彩度c
*が60未満の場合は発色性が優れているとは言い難い。より好ましい表色指数c
*は65以上である。さらに、より好ましい表色指数c
*は70以上である。
【0041】
本発明に係るナフトールレッドの顔料濃度5%のポリエステル樹脂塗膜にて、膜厚3μmでの a
*、b
*は、特に限定されるものではないが、通常、レッドを表現する場合は、a
*、b
*はともに0以上、マゼンタを表現する場合は、a
*は0以上、b
*は0未満であることが好ましい。
【0042】
本発明に係るナフトールレッドは、分散性、発色性などを向上させるために、表面処理を行われていてもよい。表面処理材料としては、特に限定されるものではないが、アルキルアルコール、脂肪酸、アルキルアミンなどの界面活性剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などのポリマー、シランカップリング剤、シランなどの有機ケイ素化合物などの有機表面処理剤、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの無機微粒子などの無機表面処理剤、ロジン−カルシウム、ロジン−マグネシウムなどの有機無機表面処理剤などが挙げられ、あるいは、それらが2つ以上組み合わさったもので処理されたものも良い。
【0043】
次に、本発明に係るナフトールレッドの製造方法について述べる。
【0044】
本発明に係るナフトールレッドは、化7で示される芳香族アミン(正式名称:3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド)のアゾニウム塩冷却溶液を、化8で示されるナフトール(正式名称:N−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシアミド)冷却溶液に注入攪拌させることによって反応し、反応が完結する前に、化9で示される親水性ナフトール誘導体、あるいは、化10で示される親水性フェノール誘導体を加えて反応することで軸比の小さな微細な粒子となる。これを冷却しながら一定時間攪拌した後、加熱処理をして顔料化させる。その後、pHを調整して、濾過、水洗、乾燥を行った後、粉砕して本発明に係るナフトールレッドを得ることができる。
【0049】
本発明に係るナフトールレッドは、化8で示されるナフトール冷却溶液を、化7で示される芳香族アミンのアゾニウム塩冷却溶液に注入攪拌させることによって反応し、反応が完結する前に、化9で示される親水性ナフトール誘導体、あるいは、化10で示される親水性フェノール誘導体を加えて反応することで、軸比の小さい微細な粒子となる。これを冷却しながら一定時間攪拌した後、加熱処理をして顔料化させる。その後、pHを調整して、濾過、水洗、乾燥を行った後、粉砕して本発明に係るナフトールレッドを得ることができる。
【0050】
芳香族アミンのジアゾニウム塩冷却溶液をナフトール冷却溶液に加えて製造される方法を正カップリングといい、ジアゾニウム塩を用いたカップリングでは、最も一般的である。正カップリングにおいては、活性種であるジアゾニウム塩冷却液が、徐々にナフトール冷却液に加えられ、逐次に反応するため、反応性が高く、副反応が起こりにくい。
【0051】
ナフトール冷却溶液を芳香族アミンのジアゾニウム塩冷却溶液に加えて製造される方法を逆カップリングといい、ジアゾニウム塩を用いたカップリングでは、よく採用されている。この場合、正カップリングほど反応性は高くはないが、ナフトール冷却液の反応性が低い場合、ジアゾニウム塩冷却液大過剰の状態で反応できるため、反応が進行しやすい。
【0052】
アゾカップリングの方法においては、正カップリング、逆カップリングのどちらかが優れているというわけではなく、化学種、求められる品質などによって、選ばれる。
【0053】
芳香族アミンのジアゾニウム塩冷却溶液は、化7で示される芳香族アミンを酸の冷却水溶液に溶解し、これに、亜硝酸ナトリウム水溶液などを加えることにより調製される。また、過剰な亜硝酸塩を除くため、微量のスルファミン酸を加えて亜硝酸塩を除くことが好ましい。その後、酸、塩基、緩衝液などで所定のpHに調整して用いられる。ジアゾニウム塩調製および、保存、反応においては、ジアゾニウム塩が熱に極めて弱いため、0〜5℃にて行われる。0℃以下では凍ってしまう可能性があり、使いづらい。10℃よりも温度が高くなるとジアゾニウム塩が分解してしまう。
【0054】
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、アジピン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。
【0055】
ナフトール冷却溶液は、化8で示されるナフトールを塩基水溶液に懸濁し、これを80℃加熱することで溶解し、0〜5℃に冷却することが好ましい。保存、反応は0〜5℃にて行われる。0℃以下では凍ってしまう可能性があり、使いづらい。5℃よりも温度が高くなると反応するジアゾニウム塩が分解してしまう。また、化8で示されるナフトールは、溶解させず用いることもできる。
【0056】
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基、メチルアミン、トリエチルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
【0057】
反応温度は、特に限定されるものではないが、アゾカップリング反応は0〜10℃、好ましくは、0〜5℃で反応させればよい。
【0058】
親水性ナフトール誘導体は、1−ナフトール、2−ナフトール、あるいは、1−ナフトール、2−ナフトールに1つ以上の親水性官能基のついた誘導体が好ましい。例えば、1−ナフトール、2−ナフトール、1,2−ジハイドロキシナフタレン、1,3−ジハイドロキシナフタレン、1,5−ジハイドロキシナフタレン、1,6−ジハイドロキシナフタレン、1,7−ジハイドロキシナフタレン、2,3−ジハイドロキシナフタレン、2,6−ジハイドロキシナフタレン、2,7−ジハイドロキシナフタレン、1−ナフトール−3−カルボン酸、2−ナフトール−3−カルボン酸、1−ナフトール−5カルボン酸、2−ナフトール−5−カルボン酸、1−ナフトール−6−カルボン酸、2−ナフトール−6−カルボン酸、1−ナフトール−8−カルボン酸、2−ナフトール−8−カルボン酸、2−ナフトール−3,6−ジカルボン酸、2−ナフトール−3,8−ジカルボン酸、2−ナフトール−6,8−ジカルボン酸、2−ナフトール−3,6,8−トリカルボン酸、2−ナフトール−3−カルボキシアミド、2−ナフトール−3−カルボキシアミドフェニル−4−スルホン酸、1−ナフトール−3−スルホン酸、1−ナフトール−4−スルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、1−ナフトール−8−スルホン酸、1−ナフトール−3,6−ジカルボン酸、1−ナフトール−3,8−ジカルボン酸、2−ナフトール−3−スルホン酸、2−ナフトール−4−スルホン酸、2−ナフトール−5−スルホン酸、2−ナフトール−6−スルホン酸、2−ナフトール−7−スルホン酸、2−ナフトール−8−スルホン酸、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、2−ナフトール−3,8−ジスルホン酸、2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸、2−ナフトール−3,6,8−トリスルホン酸、1,8−ナフタレンジオール−3−スルホン酸、1,8−ナフタレンジオール−3,6−スルホン酸、2,8−ナフタレンジオール−6−スルホン酸、2−ナフトール−3−リン酸、2−ナフトール−5−リン酸、2−ナフトール−6−リン酸、2−ナフトール−8−リン酸、2−ナフトール−3,6−ジリン酸、2−ナフトール−3,8−ジリン酸、2−ナフトール−6,8−ジリン酸、2−ナフトール−3,6,8−トリリン酸、あるいは、それらのナトリウムやカリウムなどの塩、など、無数に例が挙げられる。
【0059】
親水性フェノール誘導体は、フェノール、あるいは、フェノールに1つ以上の親水性官能基のついた誘導体が好ましい。例えば、フェノール、カテコール、ハイドロキノン、ベンゼントリオール、フロログルシノール、サリチル酸、アミノフェノール、フェノール−3−スルホン酸、あるいは、それらのナトリウムやカリウムなどの塩、など、無数に例が挙げられる。
【0060】
親水性ナフトール誘導体、あるいは、親水性フェノール誘導体の添加量は、合成されるナフトールレッドに対して、1〜10重量%が好ましい。より好ましくは、1〜5重量%である。
【0061】
親水性ナフトール誘導体、あるいは、親水性フェノール誘導体は、水、あるいは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、などの親水性溶媒に溶解し、0〜5℃に冷却して添加することが好ましい。
【0062】
また、アゾカップリング反応終了後、顔料化させるため、攪拌しながら、90℃まで加熱することが好ましい。
【0063】
pHは酸剤、あるいは、アルカリ剤を加えることにより、4.0〜9.0の範囲に調整されることが好ましい。さらに、好ましくは、pH4.0〜8.0の範囲である。
【0064】
酸剤としては、無機化合物、有機化合物のいずれかでもよい。無機化合物としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸が挙げられ、有機化合物としては、蟻酸、酢酸、クエン酸、アジピン酸、パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0065】
アルカリ剤としては、無機化合物、有機化合物のいずれでもよい。無機化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属や炭酸ナトリウムなどの炭酸塩などが挙げられ、有機化合物としては、トリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンなどのトリアルカノールアミンなどが挙げられる。
【0066】
pHを調整した後、常法によって濾過、水洗し、乾燥、粉砕すれば、目的の本発明に係るナフトールレッドを得ることができる。
【0067】
次に、本発明に係る樹脂組成物について述べる。
【0068】
本発明に係る樹脂組成物は、本発明に係るナフトールレッド、周知の熱可塑性樹脂、必要により、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤などの添加物が配合され構成される。
【0069】
本発明に係る樹脂組成物中におけるナフトールレッドの配合割合は、構成基剤100重量部に対し0.01〜200重量部の範囲内で使用することができ、樹脂組成物のハンドリングを考慮すれば、好ましくは0.05〜100重量部、さらに、好ましくは0.1〜50重量部である。
【0070】
添加物の量は、ナフトールレッドと熱可塑性樹脂との総和に対して50重量%以下であればよい。添加物の含有量が50重量%を超える場合には、成形性が低下する。
【0071】
本発明に係る樹脂組成物の色相は、後述する評価方法によって測定した表色指数のうち、L
*値、a
*値、b
*値、c
*値を指す。
【0072】
次に、本発明に係る樹脂組成物の製造方法について述べる。
【0073】
本発明に係る樹脂組成物は、樹脂原料とナフトールレッドとをあらかじめよく混合し、次に、混練機もしくは押出機を用いて加熱下で強いせん断作用を加えて、ナフトールレッドの凝集体を破壊し、樹脂中にナフトールレッドを均一に分散させた後、目的に応じた形状に成形加工して使用する。
【0074】
次に、本発明に係る水系分散体について述べる。
【0075】
本発明に係る水系分散体は、本発明に係るナフトールレッド、水、必要に応じて体質顔料、水系溶剤、界面活性剤、顔料分散剤、樹脂、pH調整剤、消泡剤などが配合され、構成される。
【0076】
本発明に係る水系分散体におけるナフトールレッドの配合割合は、分散体構成基材100重量部に対し、0.1〜200重量部の範囲で使用することができ、分散体のハンドリングを考慮すれば、好ましくは0.1〜100重量部、さらに、好ましくは0.1〜50重量部である。
【0077】
体質顔料としては、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの無機顔料、アクリル微粒子、ポリエステル微粒子などのポリマーなどが挙げられる。
【0078】
水系溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、グリセリン、ブチルセロソルブ等を使用することができる。
【0079】
界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、アルキルポリオキシエチレンスルホン酸などのアニオン系界面活性剤、アルキルポリオキシエチレンなどのノニオン系界面活性剤、ドデシルアミン塩酸塩などのカチオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0080】
顔料分散剤としては、高分子アニオン顔料分散剤、高分子ノニオン顔料分散剤、高分子カチオン顔料分散剤などが挙げられる。
【0081】
樹脂としては、通常使用される水溶性アルキッド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性アクリル樹脂、各種エマルジョン樹脂を用いることができる。
【0082】
消泡剤としては、ノプコ8034(商品名)、SNデフォーマー477(商品名)、SNデフォーマー5013(商品名)、SNデフォーマー247(商品名)、SNデフォーマー382(商品名)(以上、いずれもサンノプコ製)、アンチホーム08(商品名)、エマルゲン903(商品名)(以上、いずれも花王製)等の市販品を使用することができる。
【0083】
本発明に係る水系分散体の粘度は、20.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは15.0mPa・s以下である。さらに、より好ましくは10.0mPa・s以下である。分散体の粘度が20mPa・sを越える場合には、発色性に劣る。水系分散体の粘度の下限値は1.0mPa・s程度である。
【0084】
本発明に係る水系分散体の保存安定性評価は、後述する評価方法によって測定した粘度変化率において±10%未満が好ましく、より好ましくは±6%以下、更により好ましくは±5%以下である。
【0085】
本発明に係る水系分散体の色相は、後述する評価方法によって測定した表色指数のうち、L
*値、a
*値、b
*値、c
*値を指す。
【0086】
次に、本発明に係る水系分散体の製造方法について述べる。
【0087】
本発明に係る水系分散体は、ナフトールレッド、水、添加剤を混合し、ビーズミルなどのメディア分散機、あるいは、クレアミックス、フィルミクックス、超音波ホモジナイザイーなどのメディアレス分散機を用いて分散され、濾過などの後処理をされて製造される。分散安定性を高めるために、自己分散処理や、マイクロカプセル処理をして製造されてもよい。
【0088】
次に、本発明係る溶剤系分散体について述べる。
【0089】
本発明に係る溶剤系分散体は、本発明の係るナフトールレッド、樹脂、溶剤、必要に応じて、体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤などが配合され、構成される。
【0090】
本発明に係る溶剤系分散体におけるナフトールレッドの配合割合は、分散体構成基材100重量部に対し、0.1〜200重量部の範囲で使用することができ、分散体のハンドリングを考慮すれば、好ましくは0.1〜100重量部、さらに好ましくは、0.1〜50重量部である。
【0091】
樹脂としては、通常使用されるアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂などを用いることができる。
【0092】
溶剤としては、通常使用されるトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、エチルソロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、脂肪族炭化水素などを用いることができる。
【0093】
本発明に係る溶剤系分散体の粘度は、20.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは10.0mPa・s以下である。20mPa・sを越える場合には、分散性が劣り発色性が劣る。溶剤系分散体の粘度の下限値は2.0mPa・s程度である。
【0094】
本発明に係る溶剤系分散体の保存安定性評価は、後述する評価方法によって測定した粘度変化率において±15%未満が好ましく、より好ましくは±12%以下、更により好ましくは±10%以下である。
【0095】
本発明に係る溶剤系分散体の色相は、後述する評価方法によって測定した表色指数のうち、L
*値、a
*値、b
*値、c
*値を指す。
【0096】
次に、本発明に係る溶剤系分散体の製造方法について述べる。
【0097】
本発明に係る溶剤系分散体は、ナフトールレッド、溶剤、添加剤、樹脂を混合し、ビーズミルなどのメディア分散機、あるいは、クレアミックス、フィルミックス、超音波ホモジナイザーなどのメディアレス分散機を用いて分散され、濾過などの後処理をされて製造される。分散安定性を高めるために、自己分散処理や、マイクロカプセル処理をして製造してもよい。
【0098】
<作用>
本発明に係るナフトールレッドは、一次粒子の軸比が小さく、分散性、発色性に優れたナフトールレッドとして好適である。
【0099】
本発明に係るナフトールレッドの製造方法は、アゾカップリング反応の終盤で親水性ナフトール誘導体、あるいは、親水性フェノール誘導体を表面処理することによって、顔料表面が極性を持ち、結晶成長が抑えられるため、一次粒子の軸比が小さい粒子が得られるものである。軸比が小さいので、分散性、発色性に優れており、発色性、透明性に優れたナフトールレッドの製造方法として好適である。
【0100】
本発明に係るナフトールレッドによって着色した樹脂組成物は、分散性、発色性に優れるので樹脂組成物として好適である。また、本発明に係るナフトールレッドによって着色した水系分散体、および、溶剤系分散体は、分散性、発色性に優れるので、各種分散体として好適である。
【実施例】
【0101】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0102】
一次粒子の平均長軸径と平均短軸径は、いずれも透過型電子顕微鏡JEM−1200EX II(日本分光製)による顕微鏡写真に示される一次粒子350個の粒子径の長軸径と短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0103】
一次粒子の軸比は前出の平均長軸径の平均短軸径に対する比(平均長軸径/平均短軸径)として示した。
【0104】
一次粒子の平均粒径は、平均長軸径と平均短軸径の平均値として示した。
【0105】
粉体pH値は、試料5gを300mlの三角フラスコには秤取り、煮沸した純水100mlを加え、加熱して煮沸状態を約5分間保持した後、栓をして常温まで放冷し、減量に相当する水を加えて再び栓をして1分間振り混ぜ、5分間静置した後、得られた上澄み液のpHをJIS Z8802−7に従って測定し、得られた値を粉体pH値とした。
【0106】
ヘイズ値は、後述実施例で作製した溶剤系分散体をキャスコート紙上にWET膜厚24μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約3μm)を作製し、該塗布片について、ヘイズメーター(日本電色工業製Haze Meter NDH4000)を用いてヘイズ値を測定した値で示した。
【0107】
本発明に係るナフトールレッドの分散性の判定は、ヘイズ値により、10%以上15%未満のものを◎、15%以上20%未満のものを○、20%以上25%未満のものを△、25%以上のものを×とした。
【0108】
色相は、後述実施例で調製した溶剤系分散体をキャスコート紙上にWET膜厚24μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約3μm)を作製し、該塗布片について、分光測色計X−Rite939(X−Rite製)を用いてJIS Z8729に定めるところに従って表色指数L
*値、a
*値、b
*値をそれぞれ測定した値で示した。彩度c
*はa
*値、b
*値を用い、下記数1で求めた。
【0109】
<数1>
c
*=((a
*)
2+(b
*)
2)
1/2
【0110】
本発明に係るナフトールレッドの発色性の判定は、彩度c
*により、65以上のものを◎、60以上65未満のものを○、55以上60未満ものを△、55未満のものを×とした。
【0111】
本発明に係る樹脂組成物の分散性は、後述する組成の樹脂組成物を下記組成にてエポキシモノマーに分散して60℃、24時間静置硬化して、ペレットを作製した。
(エポキシ樹脂包埋)
樹脂組成物 1mg
電子顕微鏡用エポキシ樹脂包埋剤Quetol−812 3.0g
(日新EM製)
DDSA(硬化剤) 1.0g
(日新EM製)
MNA(硬化剤) 2.0g
(日新EM製)
DMP−30(重合加速剤) 0.01g
(日新EM製)
そして、このペレットをこのRMCウルトラミクロトームMT2C(盟和商事)にて2μmの膜厚にスライスして、これを透過型電子顕微鏡にて観察し、下記4段階で分散性を評価した。
◎:未分散物が認められない。
○:100μm
2当たりに未分散物が1〜10個認められる。
△:100μm
2当たりに未分散物が11〜50個認められる。
×:100μm
2当たりに未分散物が51個以上認められる。
【0112】
本発明に係る樹脂組成物の発色性は、樹脂組成物を粉砕後、2.0g秤量し、8.0gのテトラヒドロフランに浸漬して、キャストコート紙上にWET膜厚24μmのバーコーターを用いて塗布した塗付片(膜厚:約3μm)を作製し、該塗付片について、分光測色機X−Rite939(X−Rite製)を用いてJIS Z8729に定めるところに従って表色指数L
*値、a
*値、b
*値をそれぞれ測定した値で示した。彩度c
*はa
*値、b
*値を用い、下記数2で求めた。彩度c
*が60以上の樹脂組成物は実用上問題なく使用できるものである。
【0113】
<数2>
c
*=((a
*)
2+(b
*)
2)
1/2
【0114】
本発明に係る水系分散体の粘度はE型粘度計TV−30(東機産業社製)を用いて測定した。
【0115】
本発明に係る水系分散体の保存安定性評価は、初期粘度と、25℃で1週間後の経時粘度をE型粘度計TV−30(東機産業社製)を用いて測定した。この初期粘度から経時粘度への変化率を下記数3で算出し、下記3段階で評価した。
【0116】
<数3>
[粘度変化率]=([経時粘度]−[初期粘度])/[初期粘度]×100
【0117】
○:粘度変化率が±10%未満
△:粘度変化率が±10%以上±30%未満
×:粘度変化率が±30%以上
【0118】
本発明に係る水系分散体の分散性については、後述実施例で作製した水系分散体をキャスコート紙上にWET膜厚24μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約3μm)を作製し、該塗布片について、ヘイズメーター(日本電色工業製Haze Meter NDH4000)を用いてヘイズ値を測定した値で示した。分散性の判定は、ヘイズ値が、10%以上15%未満のものを◎、15%以上20%未満のものを○、20%以上25%未満のものを△、25%以上のものを×とした。
【0119】
本発明に係る水系分散体の色相については、後述実施例で作製した水系分散体を用いた塗布膜の色相を、分光測色計X−Rite939(X−Rite製)を用いてJIS Z8729に定めるところに従って表色指数L
*値、a
*値、b
*値をそれぞれ測定した値で示した。彩度c
*はa
*値、b
*値を用い、下記数4で求めた。彩度c
*が60以上の水系分散体は実用上問題なく使用できるものである。
【0120】
<数4>
c
*=((a
*)
2+(b
*)
2)
1/2
【0121】
本発明に係る溶剤系分散体の粘度はE型粘度計TV−30(東機産業社製)を用いて測定した。
【0122】
本発明に係る溶剤系分散体の保存安定性評価は、初期粘度と、25℃で1週間後の経時粘度をE型粘度計TV−30(東機産業社製)を用いて測定した。この初期粘度から経時粘度への変化率を下記数5で算出し、下記3段階で評価した。
【0123】
<数5>
[粘度変化率]=([経時粘度]−[初期粘度])/[初期粘度]×100
【0124】
○:粘度変化率が±15%未満
△:粘度変化率が±15%以上±30%未満
×:粘度変化率が±30%以上
【0125】
本発明に係る溶剤系分散体の分散性については、後述実施例で作製した溶剤系分散体をキャスコート紙上にWET膜厚24μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約3μm)を作製し、該塗布片について、ヘイズメーター(日本電色工業製Haze Meter NDH4000)を用いてヘイズ値を測定した値で示した。分散性の判定は、ヘイズ値が、10%以上15%未満のものを◎、15%以上20%未満のものを○、20%以上25%未満のものを△、25%以上のものを×とした。
【0126】
本発明に係る溶剤系分散体の色相については、後述実施例で作製した溶剤系分散体を用いた塗布膜の色相を、分光測色計X−Rite939(X−Rite製)を用いてJIS Z8729に定めるところに従って表色指数L
*値、a
*値、b
*値をそれぞれ測定した値で示した。彩度c
*はa
*値、b
*値を用い、下記数6で求めた。彩度c
*が60以上の溶剤系分散体は実用上問題なく使用できるものである。
【0127】
<数6>
c
*=((a
*)
2+(b
*)
2)
1/2
【0128】
<ナフトールレッドの製造>
実施例1
35%HCl水溶液12.5重量部を氷水187.5重量部中に加え攪拌し、温度を5℃以下に調節した。これに、3−アミノ−4−メトキシベンズアニライド8重量部加えて攪拌して、3−アミノ−4−メトキシベンズアニライドの溶解と、3−アミノ−4−メトキシベンズアニライドの塩酸塩の析出を確認し、30分間5℃以下で攪拌した。その後、30%亜硝酸ナトリウム水溶液7.8重量部を加えて60分間5℃以下で攪拌し、スルファミン酸0.3重量部を加えて亜硝酸を消去した。さらに、酢酸ナトリウム8重量部、90%酢酸12重量部を添加し、ジアゾニウム塩冷却溶液とした。また、別にN−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシアミド11重量部を秤量し、純水150g、水酸化ナトリウム4重量部を加え、攪拌しながら90℃まで加熱して、溶解した。さらにこれを攪拌しながら、5℃まで冷却してナフトール冷却溶液とした。そして、ジアゾニウム塩冷却溶液を0.5mmのシリンジを搭載したシリンジポンプに入れ、10℃以下でナフトール冷却溶液攪拌液中に15重量部/分の割合で液中へインジェクションし、5℃以下で30分300rpmにて反応液を攪拌した。その後、2−ナフトール−3カルボン酸、0.4重量部を氷水20重量部に溶解した溶液を調製し、それを、5℃以下まで冷却した。そして、その溶液を、5℃以下で反応液に添加し、さらに1時間300rpmにて攪拌した。その後、90℃まで加熱して、そのまま1時間300rpmにて攪拌した。さらに、1N塩酸、あるいは、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0に調整し、濾過、水洗をして、80℃にて10時間乾燥し、粉砕して、本発明に係るナフトールレッドを得た。(赤色顔料−1)
【0129】
実施例2〜4
追加添加する親水性ナフトール誘導体、あるいは、親水性フェノール誘導体の種類と量、反応条件を種々変化させた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係るナフトールレッドを得た。(赤色顔料−2〜4)
【0130】
実施例5
実施例1と同様にして、ジアゾニウム塩冷却溶液、ナフトール冷却溶液を得た。
そして、ナフトール冷却溶液を0.5mmのノズルを搭載したシリンジポンプに入れ、10℃以下でジアゾニウム塩冷却溶液攪拌液中に15重量部/分の割合で液中へインジェクションし、5℃以下で30分300rpmにて攪拌した。その後、2−ナフトール−3カルボキシアミド、0.4重量部を氷水20重量部に溶解した溶液を調製し、それを、5℃以下まで冷却した。そして、その溶液を、5℃以下で反応液に添加し、さらに1時間300rpmにて攪拌した。そして、90℃まで加熱して、そのまま1時間1200rpmにて攪拌した。さらに、1N塩酸、あるいは、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0に調整し、濾過、水洗をして、80℃にて10時間乾燥し、粉砕して、本発明に係るナフトールレッドを得た。(赤色顔料−5)
【0131】
実施例6〜8
追加添加する親水性ナフトール誘導体、あるいは、親水性フェノール誘導体の種類と量、反応条件を種々変化させた以外は、前記実施例5と同様にして本発明に係るナフトールレッドを得た。(赤色顔料−6〜8)
【0132】
このときの製造条件を表1に、得られたナフトールレッドの諸特性を表2に示す。
【0133】
比較例1(特開平11−272014の製造例1の追試実験)
3−アミノ−4−メトキシベンズアニライド50重量部を水1000重量部に分散させ、氷を加えて0〜5℃の温度条件に設定し、35%HCl水溶液60重量部を加えて20分間攪拌した。その後、30%亜硝酸ソーダ水溶液50重量部を加えて60分間攪拌後、スルファミン酸2重量部を加えて亜硝酸を消去した。更に酢酸ソーダ50重量部、90%酢酸75重量部を添加し、ジアゾニウム溶液とした。これとは別にN−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシアミド68重量部を水1000重量部、苛性ソーダ25重量部と共に80℃以下で溶解させ、(A)成分としてミネライト100を3重量部添加し、カップラー溶液とした。この溶液を10℃以下の温度条件で上記ジアゾニウム塩溶液に添加し、カップリング反応を行い、90℃の加熱処理を行った。次に、濾過、水洗を行った後、100℃で乾燥し、粉砕を行って、モノアゾ系顔料を得た。(赤色顔料−9)
【0134】
このときの製造条件を表1に、得られたモノアゾ系顔料の諸特性を表2に示す。
【0135】
比較例2(特開2000−186241号公報の製造例1の追試実験)
3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド60重量部を水1000重量部に分散させ、氷を加えて0〜5℃の温度条件に設定し、35%HCl水溶液72重量部を加えて20分間攪拌した。その後、30%亜硝酸ソーダ水溶液60重量部を加えて60分間攪拌後、スルファミン酸2.3重量部を加えて亜硝酸を消去した。更に酢酸ソーダ60重量部、90%酢酸89重量部を添加し、ジアゾニウム塩溶液とした。これとは別に、N−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシアミド82重量部を水1000重量部、苛性ソーダ30重量部と共に温度80℃以下で溶解させ、(A)成分としてネオペレックスF−25を12重量部(顔料に対して2.16重量%)添加し、カップラー溶液とした。この溶液を10℃以下の温度条件で上記ジアゾニウム塩溶液に添加し、カップリング反応を行い、90℃の加熱処理を行った。次に、濾過、水洗を行った後、100℃で乾燥し、粉砕を行い、モノアゾ系顔料を得た。(赤色顔料−10)
【0136】
このときの製造条件を表1に、得られたモノアゾ系顔料の諸特性を表2に示す。
【0137】
比較例3(特開2005−31275公報の実施例2の追試実験)
C.I.Pigment Red122 50重量部とC.I.Pigment Red269 50重量部を室温にて硫酸に溶解し、顔料の硫酸溶液を溶液に対し8倍量の10℃の冷水に添加して加水分解することにより、混晶顔料を得た。(赤色顔料−11)
【0138】
このときの製造条件を表1に、得られた混晶顔料の諸特性を表2に示す。
【0139】
比較例4(特開2000−248191公報の実施例1の追試実験)
3−アミノ−4−メトキシベンズアニライド50重量部を水1000重量部に分散させ、氷を加えて0〜5℃の温度条件に設定し、35%HCl水溶液55重量部を加えて30分攪拌した。その後、30%亜硝酸ソーダ水溶液50重量部を加えて60分間攪拌後、スルファミン酸2重量部を加えて過剰の亜硝酸を消去した。更に、酢酸ソーダ40重量部、90%酢酸58重量部を添加して、ジアゾニウム塩溶液とした。これとは別に、N−(5−クロロ−2−メトキシフェニル−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシアミド59重量部と3−ヒドロキシナフトエ酸5重量部を水1000重量部、苛性ソーダ25重量部と共に温度80℃以下で溶解させ、カップラー溶液とした。この溶液を10℃以下の温度条件で上記ジアゾニウム塩溶液に添加し、カップリング反応を行い、90℃で加熱処理した。この反応混合物を濾過し、水洗を行った後、100℃で乾燥し、粉砕を行い、モノアゾ系赤色顔料を得た。(赤色顔料−12)
【0140】
このときの製造条件を表1に、得られたモノアゾ系赤色顔料の諸特性を表2に示す。
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
以上のように、実施例のナフトールレッドは、いずれも、軸比が1.0〜2.0の範囲であり、分散性、発色性に優れることは明らかである。
【0144】
<樹脂組成物の製造>
実施例9
実施例1で得た赤色顔料−1 3.0重量部とポリエステル樹脂DIACRON ER561(三菱レイヨン製)57.0重量部を秤量し、サンプルミルにて粉砕した。これをラボプラストミル(東洋精機製)にて120℃、25rpmで10分間混練し、取り出した後、室温まで冷却した。この後、超遠心粉砕機(レッチェ製ZM200)を用いて12000rpmにて粉砕し、樹脂組成物を得た。
【0145】
実施例10〜16、比較例5〜8
ナフトールレッドの種類を種々変化させた以外は、前記実施例9と同様にして樹脂組成物を得た。
【0146】
このときに得られた樹脂組成物の諸特性を表3に示す。
【0147】
【表3】
【0148】
以上のように、実施例の樹脂組成物は、分散性に優れ、発色性に優れることは明らかである。
【0149】
<水系分散体の製造>
実施例17
140mlのガラスビンに、実施例1で得たナフトールレッド0.5重量部を用い、水系分散体組成を下記割合で配合して1.5mmφガラスビーズ50重量部とともにペイントシェーカーで60分間混合分散し、水系分散体を得た。
【0150】
水系分散体は、下記の割合で配合した。
ナフトールレッド 0.50重量部、
アニオン系界面活性剤 0.05重量部、
(ネオペレックスGS:花王製)
アクリルエマルジョン(固形分33%) 28.79重量部、
(ニカゾールRX−3002E:日本カーバイド製)
消泡剤 0.05重量部、
(エンバイロジェムAD−01 :日信化学工業製)
純水 20.61重量部。
【0151】
実施例18〜24、比較例9〜12
ナフトールレッドの種類を種々変化させた以外は、前記実施例17と同様にして水系分散体を得た。
【0152】
このときに得られた水系分散体の諸特性を表4に示す。
【0153】
【表4】
【0154】
以上のように、実施例の水系分散体は、保存安定性に優れ、分散性に優れ、発色性に優れることは明らかである。
【0155】
<溶剤系分散体の製造>
実施例25
140mlのガラスビンに、実施例1で得たナフトールレッド0.50重量部を用い、溶剤系分散体組成を下記割合で配合して1.5mmφガラスビーズ50重量部とともにペイントシェーカーで60分間混合分散し溶剤系分散体を作製した。
【0156】
溶剤系分散体は、下記の組成で配合した。
ナフトールレッド 0.50重量部、
ポリエステル樹脂DIACRON ER561 9.50重量部、
(三菱レイヨン製)
テトラヒドロフラン 40.00重量部。
【0157】
実施例26〜32、比較例13〜16
ナフトールレッドの種類を種々変化させた以外は、前記実施例25と同様にして溶剤系分散体を得た。
【0158】
このときに得られた溶剤系分散体の諸特性を表5に示す。
【0159】
【表5】
【0160】
以上のように、実施例の溶剤系分散体は、保存安定性に優れ、分散性に優れ、発色性に優れることは明らかである。