(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記pH低下剤が、塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、安息香酸、酢酸及びグルコン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の粒子。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.
製剤の構成
本発明の製剤は、少なくとも下記の粒子を含有する。
【0010】
1.1
粒子
粒子は、有効成分及び界面活性剤を含有する。より詳細には、粒子は、有効成分を含む第1画分、及び界面活性剤を含む第2画分という少なくとも2つの画分を含有する。
【0011】
当該粒子において、第2画分の界面活性剤は、有効成分を含有する第1画分の一部もしくは全面を被覆している。粒子がこのような構成を有していることにより、本発明の製剤は、第1画分の有効成分を徐放させることができる。
【0012】
なお、第1画分と第2画分とは、互いに(好ましくは分子間力によって)結びつきあって集合体を形成していればよい。第1画分の全表面が第2画分で覆われていてもよく、第1画分の全表面が第2画分で覆われていなくともよい。
【0013】
粒子の態様の例として、第1画分がコア部、第2画分がコア部を包摂するシェル部に相当するコアシェル構造体が挙げられる。コアシェル構造体においては、必ずしもコア部の全表面がシェル部で覆われている必要はない。
【0014】
1.1.1
第1画分
第1画分は、少なくとも有効成分とpH調整剤とを含む。
【0015】
有効成分は、生理活性を有する成分である限りにおいて特に限定されない。好ましくは、その生理活性の発揮を目的として配合される成分である。この好ましい態様においては、生理活性を有するものの、配合量、配合方法等の観点から、その生理活性の発揮を目的として配合されていないものは、有効成分に包含されない。有効成分としては、例えば医薬品、化粧品等に有効成分として配合される成分が挙げられる。医薬品や化粧品の有効成分の多くは有機物であることから、有効成分は有機物であってもよい。
【0016】
有効成分は、特に限定されず、幅広く選択することができる。
【0017】
有効成分は、好ましくは、親水性である。
【0018】
有効成分は、親水性である場合、特に限定されないが、典型的には、以下の特性を有するものを用いることができる:
分子量が10000以下であり、かつ
オクタノール水分配係数が−8〜6である。
【0019】
上記において、分子量は、好ましくは、5000以下であり、より好ましくは2000以下である。分子量の下限は特に限定されないが、通常、50以上である。
【0020】
上記において、オクタノール水分配係数は、好ましくは、−6〜5であり、より好ましくは−5〜4である。
【0021】
なお、本発明において、オクタノール水分配係数は、オクタノールとpH7の水系緩衝液を入れたフラスコ中に有効成分を添加後、振とうし、それぞれの相の有効成分濃度から以下の式で算出したものとする。
【0022】
オクタノール水分配係数=Log
10(オクタノール相中濃度/水相中濃度)
【0023】
有効成分としては、薬物である場合、特に限定されないが、全身作用や局所作用が求められるものが好適に用いられる。
【0024】
医薬品に配合される有効成分の具体例としては、特に限定されないが、例えば、認知症治療薬、抗てんかん薬、抗鬱薬、抗パーキンソン病薬、抗アレルギー薬、抗癌剤、糖尿病治療薬、降圧剤、ED治療薬、皮膚疾患薬、局所麻酔薬、並びにそれらの薬学上許容される塩等が挙げられる。より具体的には、ドネペジル、バルデナフィル、リバスチグミン、デュロキセチン、ガランタミン、ニトログリセリン、リドカイン、フェンタニル、男性ホルモン類、女性ホルモン類、ニコチン、クロミプラミン、ジフェンヒドラミン、ナルフラフィン、メトプロロール、フェソテロジン、バルデナフィル、ナルフラフィン、タンドスピロン、ベラプロストナトリウム、タルチレリン、ルラシドン、ネファゾドン、リファキシミン、ベニジピン、ドキサゾシン、ニカルジピン、フォルモテロール、ロメリジン、アムロジピン、オクトレオチド、テリパラチド、ブクラデシン及びクロモグリク酸、並びにそれらの薬学上許容される塩等が挙げられる。薬学上許容される塩としては、特に限定されず、例えば、塩酸ドネペジル、塩酸バルデナフィル及び塩酸デュロキセチン等の塩酸塩、酒石酸リバスチグミン等の酒石酸塩、臭化水素酸ガランタミン等の臭化水素酸塩、フェソテロジンフマル酸塩等のフマル酸塩、タンドスピロンクエン酸塩等のクエン酸塩等が挙げられる。
【0025】
有効成分としては、化粧品用途である場合、皮膚透過が求められるものであれば特に限定されず、例えば、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン成分、ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲン等の保湿成分、トラネキサム酸、アルブチン等の美白成分、ミノキシジル等の発毛成分、FGF(線維芽細胞増殖因子)、EGF(表皮細胞増殖因子)等の美容成分、並びにそれらの塩や誘導体等が挙げられる。
【0026】
粒子に含まれる有効成分の量は、有効成分の種類にもよるが、粒子の全体に対して、例えば、0.1〜50重量%とすることができる。
【0027】
第1画分は、必要に応じて、二種以上の有効成分を含有していてもよい。この場合、少なくとも一種の有効成分は、配合剤として使用できる。
【0028】
本発明において、pH調整剤とは、対象物に添加することで対象物のpHを変化させる化合物を指し、特に限定されない。好ましくは、pH調整剤とは、対象物に添加することによりpHを低下させる化合物(pH低下剤)である。
【0029】
pH調整剤としては、特に限定されない。例えば、無機酸又は有機酸並びにそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種のpH調整剤であってもよい。
【0030】
無機酸の具体例としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。
【0031】
有機酸の具体例としては、特に限定されないが、例えば、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、安息香酸、酢酸及びグルコン酸等が挙げられる。
【0032】
pH調整剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、塩酸塩及びクエン酸塩等が挙げられる。
【0033】
本発明の粒子は、好ましくは、pH調整剤を、有効成分との相対比率が、以下の通りとなるように含んでいる。すなわち、有効成分及びpH調整剤を、有効成分の濃度が0.5重量%となるように溶解した水溶液のpHよりも低くなるような相対比率となるように、本発明の粒子はこれら成分を含んでいる。このような相対比率でpH調整剤を含んでいることにより、本発明の粒子は形状安定性が優れている。
【0034】
上記において、pHの低下の程度は、有効成分の種類に応じて調整することができる。特に限定されないが、一般的に、pHの(値の)低下が1以上であれば好ましく、2以上であればより好ましく、3以上であればさらに好ましく、4以上であればさらにより好ましい。
【0035】
本発明の粒子は、pH調整剤を、粒子全体を基準として、0.01〜2重量%含むことが本発明の粒子の形状安定性の点で好ましい。
【0036】
本発明において、本発明の粒子中のpH調整剤は、以下の工程(1)〜(5)を含む方法によって検出することができる。
(1)蒸留水中に、NaH
2PO
4を5×10
−4M、Na
2HPO
4を2×10
−4M、NaClを1.5×10
−4M、硫酸ゲンタマイシン(和光純薬社製、G1658)を10ppm含有させた液をさらにNaOHでpH7.2に調整した緩衝液(4mL)を調製する。
(2)本発明の粒子を用い、分散溶媒として流動パラフィンを用いて下記に説明する方法により7.5%S/O製剤を調製する。
(3)上記(2)で得られた7.5%S/O製剤(0.8mL)を上記(1)で得られた緩衝液中に添加する。
(4)上記(3)で得られた溶液を一晩攪拌することによりS/O製剤中の薬剤及びpH調整剤を緩衝液中に溶出させる。
(5)上記(4)で得られた溶液中に含まれるpH調整剤を液体クロマトグラフィー等により検出する。
【0037】
第1画分は、有効成分及びpH調整剤に加えてさらに他の成分を少なくとも一種さらに含有していてもよい。
【0038】
他の成分としては、特に限定されないが、例えば、安定化剤、経皮吸収促進剤、皮膚刺激低減剤及び防腐剤等が挙げられる。
【0039】
安定化剤は、粒子の構造を安定化させる作用を有するため、粒子の意図せぬ早期の崩壊を防止することで、有効成分の徐放効果を担保できる。
【0040】
安定化剤としては、特に限定されないが、具体的には、多糖類、タンパク質、及び親水性高分子材料等が挙げられる。安定化剤は、1種または2種以上を含有してもよい。安定化剤の第1画分における含有量は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、有効成分と安定化剤の重量比が、100:1〜1:10となるように配合することもできる。
【0041】
経皮吸収促進剤としては、特に限定されないが、具体的には、高級アルコール、N−アシルサルコシン及びその塩、高級モノカルボン酸、高級モノカルボン酸エステル、芳香族モノテルペン脂肪酸エステル、炭素数2〜10の2価カルボン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩、乳酸、乳酸エステル、並びにクエン酸等が挙げられる。経皮吸収促進剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。経皮吸収促進剤のコア部における含有量は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、有効成分と経皮吸収促進剤の重量比が、100:1〜1:50となるように配合することもできる。
【0042】
皮膚刺激低減剤としては、特に限定されないが、具体的には、ハイドロキノン配糖体、パンテチン、トラネキサム酸、レシチン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸水素ナトリウム、大豆レシチン、メチオニン、グリチルレチン酸、BHT、BHA、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ベンゾトリアゾール、没食子酸プロピル、並びにメルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。皮膚刺激低減剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。皮膚刺激低減剤の第1画分における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.1%〜50%となるように配合することもできる。
【0043】
防腐剤としては、特に限定されないが、具体的には、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノール及びチモール等が挙げられる。防腐剤の第1画分における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.01%〜10%となるように配合することもできる。防腐剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。
【0044】
1.1.2
第2画分
第2画分は、少なくとも界面活性剤を含む。
【0045】
また、複数種の界面活性剤を併用してもよい。
【0046】
界面活性剤は、HLB(Hydrophile Lypophile Balance)値の加重平均値が10以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下のものを用いることができる。
【0047】
界面活性剤は、製剤の吸収性の点で、融点が50℃以下のものであれば好ましく、40℃以下のものであればより好ましい。
【0048】
界面活性剤として、好ましくは、HLB値の加重平均値が10以下であり、かつ融点が50℃以下のものを使用でき、より好ましくは、HLB値の加重平均値が5以下であり、かつ融点が50℃以下のものを使用でき、さらに好ましくは、HLB値の加重平均値が5以下であり、かつ融点が40℃以下のものを使用できる。
【0049】
本発明におけるHLB値は、乳化剤が親水性か親油性かを知る指標となるもので、0〜20の値をとる。
HLB値が小さい程、親油性が強いことを示す。本発明においては下記Griffin式より算出される。
HLB値=20×{(親水部分の分子量)/(全分子量)}
HLB値の加重平均値は、以下のようにして算出する。
例えば、HLB値A、B、Cの界面活性剤原料があり、それぞれの粒子合成時の仕込み重量がx、y、zであったときの加重平均値の算出式は、
(xA+yB+zC)÷(x+y+z)
【0050】
また、本発明における界面活性剤の融点は、示差走査熱量計(DSC)測定における吸熱ピークにより求められる。
【0051】
界面活性剤は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択できる。例えば、外用薬や化粧品として使用可能なもののなかから幅広く選択することができる。
【0052】
界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれであってもよい。
【0053】
非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグリコシド及び脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
【0054】
脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、糖脂肪酸エステルが好ましい。特に、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。具体的には、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸及びベヘニン酸等の脂肪酸とショ糖とのエステル等が挙げられる。
【0055】
その他の脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、グリセリン、ポリグリセリン、ポリオキシエチレングリセリン、ソルビタン、及びポリオキシエチレンソルビット等のうち少なくとも一種と脂肪酸とのエステル等が挙げられる。特に、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
【0056】
陰イオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩及びリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0057】
陽イオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩及びアミン塩類等が挙げられる。
【0058】
両性界面活性剤としては、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン及びアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0059】
界面活性剤は、特に限定されないが、アルキル鎖を有するものであってもよい。アルキル鎖長は、特に限定されないが、8〜30の中から幅広く選択でき、特に10〜24であれば好ましい。
【0060】
アルキル鎖を有する界面活性剤のみを用いる場合、あるいはアルキル鎖を有する界面活性剤をその他の界面活性剤と組み合わせて用いる場合、有効成分と界面活性剤に含まれるアルキル鎖の合計の重量比が、1:1〜1:70であれば、本発明の製剤は、吸収性が優れている。この点では、同重量比を1:2〜1:50とすることが好ましい。
【0061】
第2画分は、界面活性剤に加えてさらに他の成分を少なくとも一種さらに含有していてもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、刺激低減剤、鎮痛剤、吸収促進剤、安定化剤及び防腐剤等が挙げられる。
【0062】
刺激低減剤としては、特に限定されないが、具体的には、ハイドロキノン配糖体、パンテチン、トラネキサム酸、レシチン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸水素ナトリウム、大豆レシチン、メチオニン、グリチルレチン酸、BHT、BHA、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ベンゾトリアゾール、没食子酸プロピル、並びにメルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。刺激低減剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。刺激低減剤の第2画分における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.1%〜50%となるように配合することもできる。
【0063】
鎮痛剤としては、特に限定されないが、具体的には、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、ジブカイン及びプリロカイン等の局所麻酔薬及びその塩等が挙げられる。鎮痛剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。鎮痛剤の第2画分における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.1%〜30%となるように配合することもできる。
【0064】
吸収促進剤としては、特に限定されないが、具体的には、高級アルコール、N−アシルサルコシン及びその塩、高級モノカルボン酸、高級モノカルボン酸エステル、芳香族モノテルペン脂肪酸エステル、炭素数2〜10の2価カルボン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩、乳酸、乳酸エステル、並びにクエン酸等が挙げられる。吸収促進剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。吸収促進剤のシェル部における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.1%〜30%となるように配合することもできる。
【0065】
安定化剤は、粒子を安定化させる作用を有する。安定化剤は粒子の意図せぬ早期の崩壊を防止することで、薬物の徐放効果を担保できる。
【0066】
安定化剤としては、特に限定されないが、具体的には、脂肪酸及びその塩、メチルパラベン,プロピルパラベン等のパラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ペンジルアルコール,フェニルエチルアルコール等のアルコール類、チメロサール、無水酢酸、ソルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、プチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、酢酸トコフェロール、dl−α−トコフェロール、タンパク質及び多糖類等が挙げられる。安定化剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。安定化剤の第2画分における含有量は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、界面活性剤と安定化剤の重量比が、1:0.01〜1:50となるように配合することもできる。
【0067】
防腐剤としては、特に限定されないが、具体的には、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノール及びチモール等が挙げられる。防腐剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。防腐剤の第2画分における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.01%〜10%となるように配合することもできる。
【0068】
1.2
基剤相
本発明の製剤は、さらに基剤を含有する相(基剤相)を含有していてもよい。基剤相が上記粒子を含有していてもよい。このとき、粒子は、基剤相中に分散していてもよい。
【0069】
基剤は、粒子を分散させるのに適切なものの中から使用目的等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。
【0070】
また、複数種の基剤を併用してもよい。
【0071】
基剤としては、特に限定されないが、例えば、植物油、動物油、中性脂質、合成油脂、ステロール誘導体、ワックス類、炭化水素類、モノアルコールカルボン酸エステル類、オキシ酸エステル類、多価アルコール脂肪酸エステル類、シリコーン類、高級(多価)アルコール類、高級脂肪酸類及びフッ素系油剤類等が挙げられる。また、これらを適宜組み合わせて使うこともできる。
【0072】
植物油としては、特に限定されないが、例えば、大豆油、ゴマ油、オリーブ油、やし油、バーム油、こめ油、綿実油、ひまわり油、コメヌカ油、カカオ脂、コーン油、べに花油及びなたね油等が挙げられる。
【0073】
動物油としては、特に限定されないが、例えば、ミンク油、タートル油、魚油、牛油、馬油、豚油及び鮫スクワラン等が挙げられる。
【0074】
中性脂質としては、特に限定されないが、例えば、トリオレイン、トリリノレイン、トリミリスチン、トリステアリン及びトリアラキドニン等が挙げられる。
【0075】
合成油脂としては、特に限定されないが、例えば、リン脂質及びアゾン等が挙げられる。
【0076】
ステロール誘導体としては、としては、特に限定されないが、例えば、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、フィトステロール、コール酸及びコレステリルリノレート等が挙げられる。
【0077】
ワックス類としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス及びエチレン・プロピレンコポリマー等が挙げられる。
【0078】
炭化水素類としては、流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン、ワセリン及び固形パラフィン等が挙げられる。
【0079】
モノアルコールカルボン酸エステル類としては、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、オクタン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、オレイン酸エチル、アボカド油脂肪酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、セバチン酸ジエチル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジブチルオクチル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジオクチル及びクエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0080】
オキシ酸エステル類としては、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル及びモノイソステアリン酸水添ヒマシ油等が挙げられる。
【0081】
多価アルコール脂肪酸エステル類としては、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジオレイン酸プロピレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、デカ(エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ジネオペンタン酸3−メチル−1,5−ペンタンジオール及びジネオペンタン酸2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。
【0082】
シリコーン類としては、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、高重合ジメチコン(高重合ジメチルポリシロキサン)、シクロメチコン(環状ジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン)、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルジメチコン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アミノプロピルジメチコン又はアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、ジメチコンコポリオール等のポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、糖変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、硫酸変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルキルエーテル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、ペプチド変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、カチオン変性又はポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性又はポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性又はポリエーテル変性シリコーン及びポリシロキサン・オキシアルキレン共重合体等が挙げられる。
【0083】
高級(多価)アルコール類としては、セタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール及びダイマージオール等が挙げられる。
【0084】
高級脂肪酸類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、長鎖分岐脂肪酸、ダイマー酸及び水素添加ダイマー酸等が挙げられる。
【0085】
フッ素系油剤類としては、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン及びパーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
【0086】
また、その他の基剤としては、特に限定されないが、軟膏剤、クリーム剤、エアゾール剤、テープ剤、パッチ剤、パップ剤、ゲル剤又はマイクロニードル等に使用される基剤等が挙げられる。
【0087】
基剤としては、上記に例示したものに加えて、適宜他の成分を含有するものを用いてもよい。ゲル化作用を有する添加剤(ゲル化剤)等をさらに含有するものであってもよい。
そのような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、樹脂及びシリコーン等の炭化水素、アミノ酸、環状ペプチド、エポキシ、ロジン、メラミン、及び多糖類、界面活性剤等のペクチン、アルギン酸、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が使用できる。樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、及びポリウレタン等が挙げられる。このような樹脂を含有する基剤として、特に限定されないが、例えば、これらの添加剤を0.1〜50%、好ましくは1〜30%含む基剤を使用できる。このような基剤としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィン、シクロヘキサン、n−オクタン、トルエン、及びキシレン等の炭化水素系基剤、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、及びエチルヘキサン酸セチル等のエステル系基剤が好ましく用いられる。特に限定されないが、このような基剤の具体例として、例えば、流動パラフィン95%、ゲル化剤としてポリエチレン樹脂5%を含む、プラスチベース(Plastibase)(登録商標)(Bristol Myers Squibb)等の炭化水素ゲル軟膏基剤等を使用できる。
【0088】
1.3
その他の添加成分
本発明の製剤は、その剤形や使用目的等に応じて、上記粒子及び上記基剤相に加えてさらにその他の添加成分を含有していてもよい。
【0089】
添加成分としては、特に限定されないが、賦形剤、着色剤、滑沢剤、結合剤、乳化剤、増粘剤、湿潤剤、安定剤、保存剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、緩衝剤、pH調整剤、ゲル化剤、粘着剤、酸化防止剤、吸収促進剤、刺激緩和剤、防腐剤、キレート剤及び
分散剤等が挙げられる。
【0090】
なお、本発明の製剤における界面活性剤の配合量は、本発明の効果が奏される範囲内において適宜設定することができる。例えば、本発明の製剤における有効成分の配合量との重量比を1:3〜1:100とすることができる。このように構成することで形状安定性に優れるだけでなく、吸収性が優れた製剤とすることができる。この点では、本発明の製剤における有効成分の配合量との重量比を1:5〜1:70とすることが好ましい。
【0091】
2.
製剤の製造方法
本発明の製剤は、特に限定されないが、例えば以下のようにして製造することができる。
【0092】
まず、特に限定されないが、本発明の粒子を、例えば以下の工程(1)を含む方法により製造することができる。
(1)有効成分を含有する水(W)相と、界面活性剤を含有する油(O)相とをホモジナイズしてW/Oエマルションを得る工程
【0093】
工程(1)において、水相のpHを低下させると、得られる粒子の形状安定性が優れているため好ましい。従来は、安定化剤を溶解させる目的等のため中性付近でホモジナイズを行うことが多かった。pHの低下は、pH調整剤を含有していない水相を基準として、1以上であれば好ましく、2以上であればより好ましく、3以上であればさらに好ましく、4以上であればさらにより好ましい。このpH調整のために、必要に応じて、前述したpH調整剤を使用することができる。
【0094】
本発明の製剤の製造方法は、さらに必要に応じて、以下の工程を含んでいてもよい。
(2)工程(1)で得られたW/Oエマルションを乾燥する工程。
【0095】
工程(2)において、水相に有効成分を含有するW/Oエマルションの乾燥の方法としては、該エマルション中の溶媒(水性溶媒及び油性溶媒)を除去できる方法である限り特に限定されず、例えば凍結乾燥、減圧乾燥等が、好ましくは凍結乾燥が挙げられる。
【0096】
本発明の製剤の製造方法は、さらに必要に応じて、以下の工程を含んでいてもよい。
(3)工程(2)で得られた凍結乾燥物を、基剤に分散させる工程。
【0097】
本発明の製剤の製造方法の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
有効成分並びに所望により安定化剤、吸収促進剤及び刺激低減剤等の添加成分を純水又はリン酸緩衝液等の溶媒に溶解する。この溶媒のpHを必要に応じてpH調整剤を添加することにより調整することが好ましい。
このようにして得られた溶解液に、界面活性剤並びに所望により刺激低減剤、鎮痛剤、吸収促進剤及び安定化剤等の添加成分を、シクロヘキサン、ヘキサン又はトルエン等の溶剤に溶解した溶液を加え、ホモジナイザー等で撹拌してW/Oエマルションを得る。
その後に凍結乾燥等し、必要に応じてミリスチン酸イソプロピル等の基剤に分散させて、フィルター等の濾過処理やクロマトグラフィー、遠心分離処理等を実施することによって本発明の粒子を調製できる。粒子の生成は、粒度測定や光学顕微鏡を用いて確認することができる。
【0098】
粒子を用いて、例えば、以下のような製剤を製造できる。液状基剤や軟膏剤等の基剤、さらに吸収促進剤、増粘剤及びゲル化剤等の添加成分とともに粒子を所定の割合になるように添加して混合することによって粒子を含有する組成物を得る。このようにして得られた組成物は、そのまま用いてもよいし、用途に応じて、ガーゼ若しくは脱脂綿等の天然織物部材、ポリエステル若しくはポリエチレン等の合成繊維織物部材、又はこれらを適宜組み合わせて織布若しくは不織布等に加工したもの、又は、透過性膜等に積層や含浸等して保持させた状態とし、さらに粘着カバー材等で覆って使用することもできる。
【0099】
また、粒子を用いて、点眼型製剤も製造できる。点眼液には、汎用されている技術を用い、必要に応じて製薬学的に許容される添加剤を添加することができる。点眼液における有効成分の濃度は、通常0.0001〜1重量%とすることができるが、0.0005〜0.5重量%が好ましく、0.001〜0.1重量%が特に好ましい。製剤液に対してはろ過滅菌又はその他の滅菌処理を行なうことができる。滅菌方法は、得られた製剤液を滅菌できる方法であれば特に限定されないが、好ましくは、ポアサイズ0.1〜0.5μmのろ過滅菌フィルターを用いてろ過するろ過滅菌である。
【0100】
また製剤を製造する別の方法としては、例えば、溶液塗工法等が挙げられる。例えば、まず、本発明の粒子及び基剤、並びに吸収促進剤、増粘剤及びゲル化剤等の添加成分を所定の割合になるようにヘキサン、トルエン又は酢酸エチル等の溶剤に添加し、攪拌して均一な溶液を調製する。溶液中の固形分濃度は、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%である。次に、各成分を含有する上記溶液を、例えばナイフコーター、コンマコーター又はリバースコーターなどの塗工機を用いて、剥離ライナー(シリコーン処理したポリエステルフィルム等)上に均一に塗布し、乾燥して有効成分含有層を完成させ、該層の上に支持体をラミネートすることにより、製剤を得ることができる。支持体の種類によっては、支持体に上記層を形成した後、上記層の表面に剥離ライナーをラミネートしても良い。
【0101】
このようにして得られた製剤は、使用用途に応じて楕円形、円形、正方形、長方形などの形状に適宜裁断する。また、必要に応じて周辺に粘着剤層等を設けてもよい。
【0102】
3.
製剤の用途
本発明の製剤は、有効成分の種類に応じて、外用薬や化粧品等の幅広い用途に用いることができる。本発明の製剤は、特に限定されないが、経皮吸収性製剤として用いることができる。この場合、通常、1日〜1週間持続性であり、好ましい態様では1日〜1週間あたり1回適用されるように用いられる。
【0103】
本発明の製剤が外用薬である場合、対象疾患は、有効成分の種類によって異なる。
【0104】
本発明の経皮吸収性製剤は、特に限定されないが、テープ剤(リザーバー型、マトリックス型等)、軟膏剤、ローション剤、エアゾール剤、硬膏剤、水性バップ剤、クリーム剤、ゲル剤、エアゾール剤、パッチ剤及びマイクロニードル等として使用できる。
【0105】
以下、本発明を実施例及び試験例を例に挙げて詳しく説明するが、本発明がこれらの例に限定されるものではない。
【実施例】
【0106】
製造例1
塩酸ドネペジル(pKa=8.9)200mgを40gの純水に溶解し、これに、ショ糖エルカ酸エステル(三菱化学フーズ社製、ER−290;HLB値2)3.0gをシクロヘキサン80gに溶解した溶液を加えた。この溶液を四種用意し、一つはpH未調整(pH5.47)として、残り三種についてそれぞれ低pH(pH1.2、及びpH3.9)及び高pH(pH6.94)となるようにpH調整を室温で行った。pH調整剤として1N塩酸水溶液、1N水酸化ナトリウム水溶液を使用した。低pH溶液及び高pH溶液を調整した際に使用したpH調整剤の量はそれぞれ、5.4mL、1.3mL及び1.3mLであった。
これら四種の溶液をそれぞれ室温でホモジナイザー撹拌(10000rpm)した。この後に2日間凍結乾燥することによって、本発明の粒子を調製した。得られた粒子75mgを925mgのミリスチン酸イソプロピル(和光純薬工業社製)に分散し、本発明の製剤を製造した。
【0107】
製造例2
バルデナフィル塩酸塩(pKa=8.8)200mgを40gの純水に溶解し、これに、ショ糖エルカ酸エステル(三菱化学フーズ社製、ER−290;HLB値2)3.0gをシクロヘキサン80gに溶解した溶液を加えた。この溶液を三種用意し、一つはpH未調整(pH2.74)として、残り二種についてそれぞれ低pH(pH1.2)及び高pH(pH5.53)となるようにpH調整を室温で行った。pH調整剤として1N塩酸水溶液、1N水酸化ナトリウム水溶液を使用した。低pH溶液及び高pH溶液を調整した際に使用したpH調整剤の量はそれぞれ、1.2mLg及び4.1mLgであった。
これら三種の溶液をそれぞれ室温でホモジナイザー撹拌(10000rpm)した。この後に2日間凍結乾燥することによって、本発明の粒子を調製した。得られた粒子75mgを925mgのミリスチン酸イソプロピル(和光純薬工業社製)に分散し、本発明の製剤を製造した。
【0108】
製造例3
リバスチグミン酒石酸塩(pKa=8.9)200mgを40gの純水に溶解し、これに、ショ糖エルカ酸エステル(三菱化学フーズ社製、ER−290;HLB値2)3.0gをシクロヘキサン80gに溶解した溶液を加えた。この溶液を四種用意し、一つはpH未調整(pH3.53)として、残り三種についてそれぞれ低pH(pH1、及びpH2)及び高pH(pH10)となるようにpH調整を室温で行った。pH調整剤として1N塩酸水溶液、1N水酸化ナトリウム水溶液を使用した。低pH溶液及び高pH溶液を調整した際に使用したpH調整剤の量はそれぞれ、3.8mL、1.2mL及び6.8mLであった。
これら四種の溶液をそれぞれ室温でホモジナイザー撹拌(10000rpm)した。この後に2日間凍結乾燥することによって、本発明の粒子を調製した。得られた粒子25mgを925mgのイソノナン酸イシトリデシル(高級アルコール工業社製、KAK139)に分散し、本発明の製剤を製造した。
【0109】
製造例4
デュロキセチン塩酸塩(pKa=9.7)200mgを40gの純水に溶解した。この溶液を四種用意し、一つはpH未調整(pH3.25)として、残り三種についてそれぞれ低pH(pH1、pH2)及び高pH(pH7.47)となるようにpH調整を室温で行った。pH調整剤として1N塩酸水溶液、1N水酸化ナトリウム水溶液を使用した。低pH溶液及び高pH溶液を調整した際に使用したpH調整剤の量はそれぞれ、3.8mL、1.2mL及び5.4mLであった。
これら四種の溶液それぞれに、ショ糖エルカ酸エステル(三菱化学フーズ社製、ER−290;HLB値2)3.0gをシクロヘキサン80gに溶解した溶液を加えて、室温でホモジナイザー撹拌(10000rpm)した。この後に2日間凍結乾燥することによって、本発明の粒子を調製した。得られた粒子75mgを925mgのイソノナン酸イシトリデシル(高級アルコール工業社製、KAK139)に分散して製剤を製造した。
【0110】
形状安定性試験
製造例1〜4により得られたそれぞれの製剤について、形状安定性試験を行った。具体的には、60℃で各製剤を保存し、初期と比較した形状変化が保存開始から何日経過後に観察されるかによって評価した。観察は光学顕微鏡により行った。結果を表1と
図1〜3とに示す。表1において、安定性がpH未調整時よりも改善したものを実施例とし、一方、改善しなかったものをpH未調整のものと合わせて比較例として表示する。
図1〜3は、順に、実施例1、比較例1及び比較例2の製剤の60℃、2日目経過後の光学顕微鏡による観察像をそれぞれ示している。実施例1では形状変化が生じていないのに対し、比較例1及び2においては形状変化が生じている。
【0111】
【表1】