(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内筒の一端側には、外部機関から送り込まれた排気ガスであって、燃焼中の前記燃焼空間内の温度よりも温度が低い排気ガスを前記内筒の内周面に沿って前記燃焼空間内に噴射可能な排ガス噴射孔または排ガス噴射ノズルを有する排気ガス噴射部を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃焼装置。
前記筒体の一端側には、外部機関から送り込まれた排気ガスであって、燃焼中の前記燃焼空間内の温度よりも温度が低い排気ガスを前記筒体の内周面に沿って前記燃焼空間内に噴射可能な排ガス噴射孔または排ガス噴射ノズルを有する排気ガス噴射部を備えていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の燃焼装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の燃焼装置の実施形態について図を参照して説明する。まず、
各実施形態の説明の前に、本発明
に関連する技術をガス処理装置に適用した
参考形態を
図1〜
図7に基づいて説明する。
【0028】
[
参考形態]
参考形態のガス処理装置10は、例えば、BOG(ボイルオフガス)等を燃焼して処理する焼却装置であり、船舶に搭載される舶用の燃焼装置である。
図1〜
図4に示すように、ガス処理装置10は、主に、外筒11、内筒12、バーナユニット13、バーナホルダ17、排気筒19、第1ファン2、第2ファン3等により構成されている。
【0029】
外筒11は、例えば、有底の円筒形状をなす筒体であり、鋼板により構成されている。即ち、円筒状に形成されている周壁部11aに対して、外筒11の一端側が内曲げのフランジ形状をなす円環状の基端部11bにより囲まれるように開口しており、また外筒11の他端側が円形平板状の先端部11cにより閉塞されている。周壁部11aには、外筒11の径方向に円筒状に延びる接続部11dが形成されており、先端に設けられるフランジ部11eを介して排気筒19を連結可能にしている。また周壁部11aには、吸気口11f,11gも開口しており、これらには、後述の第1吸気ダクト6や第2吸気ダクト7が接続される。基端部11bの開口は、後述するように、円形平板状の外筒基端プレート15により覆われて閉塞される。
【0030】
内筒12は、外筒11の内部に収容されるとともに、内部に燃焼空間を形成する筒体であり、外筒11と同様に、有底の円筒形状に形成されている。内筒12は、円筒状の周壁部12aの一端側が基端部12bとしての内筒基端プレート16により閉塞されており、また他端側も円形平板状の先端部12cにより閉塞されている。周壁部12aの他端側付近には、排煙等を外部に放出する排気部12dが形成されている。即ち、周壁部12aには、外筒11の接続部11dの内側に向けて円筒形状に延びる排気部12dが形成されており、内筒12の燃焼空間と排気筒19の内側空間とを連通可能にしている。なお、内筒12の他端側は、先端部12c等により閉塞することなく、開口可能に構成しても良い。
【0031】
このような内筒12の内周面には、耐火材14が設けられている。内筒12は、後述するように一端側の基端部12b(内筒基端プレート16)にバーナユニット13が設けられて、そのバーナ部13aから内筒12内、つまり燃焼空間に火炎が形成される。そのため、内筒12の内周面に耐火材14を配置して、周壁部12a、基端部12bおよび先端部12cを火炎の輻射熱等から保護する。耐火材14は、例えば、キャスタブルと呼ばれる耐火コンクリートと耐火骨材を混合したものである。本
参考形態では、例えば、V字形状のフック(またはアンカー)を内筒12の内周面の複数箇所に取り付けるとともに、これらのフックを骨材としてアルミナセメント等を厚肉に塗布することで、耐火材14を形成している。なお、本
参考形態を含めて以下に説明する各実施形態においては、図面表現上の便宜から、耐火材14の断面部分には網かけ状のハッチングを施しており、また耐火材14の表面部分には薄墨色の塗りつぶしを施していることに注意されたい。
【0032】
排気筒19は、その本体が外筒11と同様に円筒形状に形成されている。排気筒19の基端側は、外筒11の接続部11dに接続可能に開口するとともに外曲げされたフランジ部19aを備えており、外筒11の接続部11dのフランジ部11eに連結可能に構成されている。これらの連結は、例えば、両フランジ部11e,19aを貫通する複数のボルトにナットがねじ締結することにより行われる。一方、排気筒19の先端側は、円形平板状に閉塞されているとともに本体の径方向に延出する接続部19bが形成されている。この接続部19bが船舶内の排気ダクト等に連結される。
【0033】
バーナユニット13は、内筒12の基端部12b、つまり内筒基端プレート16の中心を貫通するように設けられている。即ち、内筒基端プレート16は、耐火材14が塗布された厚肉状の円盤形状に形成されており、その中心部分をバーナユニット13が貫通するとともに、その周囲を取り囲むように複数の貫通孔14aが形成されている。バーナユニット13は、外筒11の一端側を閉塞する外筒基端プレート15に取り付けられている。本
参考形態では、バーナユニット13はバーナホルダ17を介して外筒基端プレート15に固定されている。バーナユニット13には、BOG等の燃料が供給される燃料パイプ90が接続されている。バーナユニット13、内筒基端プレート16およびバーナホルダ17の構成については、後で
図5および
図6を参照しながら詳述する。
【0034】
このように構成される炉体においては、外筒11と内筒12との間に隙間が形成されている。即ち、内筒12(周壁部12a、基端部12bおよび先端部12c)の外側面と外筒基端プレート15を含む外筒11の内側面との間には空気流通路Ra,Rbが形成されている。空気流通路Raは、外筒11の周壁部11aに形成されている吸気口11fに連通しており、また空気流通路Rbは、周壁部11aに形成されている吸気口11gに連通している。本
参考形態では、外筒11の周壁部11aと内筒12の周壁部12aとを接続して、これらの空気流通路Ra,Rbを区画する分割プレート18が設けられている。また、吸気口11fには、第1ファン2の送風口にフランジ部6aを介して連結された第1吸気ダクト6が接続されており、吸気口11gには、第2ファン3の送風口にフランジ部7aを介して連結された第2吸気ダクト7が接続されている。
【0035】
第1ファン2および第2ファン3は、いずれも電動モータを駆動源としてインペラが回転する送風ファンである。第1ファン2は第1吸気ポート4に接続されており、また第2ファン3は第2吸気ポート5に接続されて、それぞれの吸気口4a,5aから吸入した空気を送風口から吐出(圧送)する。本
参考形態では、第1ファン2から圧送された空気は、第1吸気ダクト6を経由して外筒11の吸気口11fに送り込まれる。また、第2ファン3から圧送された空気は、第2吸気ダクト7を経由して外筒11の吸気口11gに送り込まれる。これにより、吸気口11f,11gからそれぞれ空気流通路Ra,Rbに流入した空気は、例えば、
図3や
図4に表されている点線矢印の方向に流れる。したがって、外部から送り込まれた空気が内筒12の外側面に接触することで、内筒12を空気冷却することが可能になる。
【0036】
なお、空気流通路Raと空気流通路Rbは、分割プレート18により分離されている。本
参考形態では、第1送風ファン2は、主に、バーナユニット13から離れた炉体の中間部と先端部を冷却する空気を送り、第2送風ファン3は、バーナユニット13に近い炉体の基端部や燃焼空間内に噴射させる空気を送る。つまり、空気流通路Rbを流れる空気は、後述するように、内筒12の基端部12b(内筒基端プレート16)の貫通孔14aを経由して内筒12の燃焼空間にも流入する。炉体内に空気を送り込む送風ファンを、第1送風ファン2と第2送風ファン3に分けることにより、必要に応じて送風量(空気の圧送量)を個別に制御することが可能になる。そのため、例えば、内筒12の温度データに基づいて空気流通路Rbを流れる空気の送風量を制御することができる。
【0037】
このように構成されるガス処理装置10は、ベースフレーム1上に設けられている。本
参考形態では、例えば、外筒11や内筒12等からなる炉体は、ベースフレーム1の長手方向に複数箇所に立設されるレグ8aと、ベースフレーム1の長手方向に沿ってこれらのレグ8aに固定される2本のサイドメンバ8bとからなるレグフレーム8によって、ベースフレーム1上で支えられている。また、2機の送風ファン2,3や吸気ポート4,5は、固定金具やステー等によってベースフレーム1に固定されている。
【0038】
次に
図5および
図6を参照して、バーナユニット13、内筒基端プレート16、バーナホルダ17等の構成について説明する。外筒11の基端部11bには、中心部に円形状のバーナ取付口15aが開口する円形平板状の外筒基端プレート15がボルトおよびナットにより固定されている。バーナ取付口15aは、バーナユニット13を保持するバーナホルダ17を挿通した状態で外筒基端プレート15に固定可能にする円形穴であり、本
参考形態では、バーナ取付口15aの機械的強度を高めるため、その内周に沿って内曲げのフランジ部が環状に形成されている。
【0039】
バーナユニット13は、主に、バーナ部13aとスカート部13bにより構成されている。バーナ部13aは、例えば、先端に円錐台形状のノズル部を備えているとともに、燃料を供給する燃料パイプ90が接続されている。バーナ部13aの径方向周囲は、筒状のスカート部13bに覆われている。スカート部13bは、バーナ部13aのノズル部方向に向く先端側が拡径しているのに対して、後端側は同径の円筒形状をなしている。バーナユニット13は、バーナホルダ17に保持され外筒基端プレート15に固定された状態においては、バーナ部13aが内筒12の内部空間、つまり燃焼空間内に露出して燃料パイプ90から供給される燃料をノズル部から噴射する。スカート部13bの後端側の周囲には、バーナホルダ17内において空間部
(バーナ周囲空間部)が形成されており、空気流通路Rbを流れる空気流の一部がこの空間部を介して
図5に示す実線矢印の経路でスカート部13b内に流入する。この空気は、バーナ部13aのノズル部から噴射された燃料の燃焼に寄与する。
【0040】
バーナホルダ17は、円筒部17a、保持体17b、外側プレート17c等により構成されている。円筒部17aは、外曲げのフランジ部が両端に形成されており、先端部は、外筒基端プレート15のバーナ取付口15aの内径よりも僅かに小さい外径寸法に設定されている。この先端部がバーナ取付口15aに挿入された状態で、バーナ取付口15aの環状フランジ部の高さ分だけ先端部よりも後端側に設けられるフランジ部(両端のフランジ部の一方)がボルトおよびナットにより外筒基端プレート15に固定されることで、バーナホルダ17が外筒基端プレート15に取り付けられる。円筒部17aに収容される保持体17bは、図略の固定構造によりバーナユニット13を円筒部17aの軸中心に保持する構造体である。外側プレート17cは、円筒部17aの後端側開口を閉塞する円形平板であり、円筒部17aの他方のフランジ部にボルトおよびナットにより固定される。
【0041】
内筒基端プレート16は、内筒12の基端部12bに相当する円盤形状の部材であり、内筒12の周壁部12aおよび先端部12cとともに燃焼空間を形成している。本
参考形態では、周壁部12aの内径よりも周壁部12aの内周面に塗布された耐火材14の肉厚寸法だけ小径になるように内筒基端プレート16の外径寸法が設定されている。内筒基端プレート16の中心部には、バーナユニット13のスカート部13bの後端側同径部の外径よりも僅かに大きい内径寸法に設定されたバーナ貫通口16aが形成されている。また、内筒基端プレート16の外周縁には、周壁部12aに組み付けられた状態で、燃焼空間側に向けて立ち上がるフランジ部16cが環状に形成されている。さらに、バーナ貫通口16aとフランジ部16cとの間には、燃焼空間側に向けて突出する複数の空気噴射ノズル16bが内筒基端プレート16と同心円の周上に形成されている。
【0042】
即ち、
図6に示すように、複数の空気噴射ノズル16bは、内筒基端プレート16の中心部に配置されるバーナユニット13の周囲を取り囲むようにフランジ部16cの近傍に配置されている。本
参考形態では、例えば、内筒基端プレート16の中心角22.5度間隔で16本の空気噴射ノズル16bを設けている。この数量は一例であり、後述する空気流の効果が発揮され得る範囲内で適宜設定される。また、空気噴射ノズル16bは等間隔に設ける必要はない。内筒基端プレート16が周壁部12aに組み付けられた状態においては、このような空気噴射ノズル16bは、その内側空間が空気流通路Rbに連通する。そのため、第2送風ファン3から圧送されて吸気口11gから空気流通路Rbに流入した空気は、例えば、
図5に示す破線矢印のように、空気噴射ノズル16bを経由して周壁部12aの内部空間、つまり燃焼空間内に噴射される。なお、同図においては、図面表現上の便宜から、特定の空気噴射ノズル16bから空気が噴射される様子が図示されているが、すべての空気噴射ノズル16bから空気が噴射される。
【0043】
周壁部12aに組み付けられた状態で燃焼空間側に向く内筒基端プレート16の内側面には、内筒12と同様に、例えば、V字形状のフック(またはアンカー)が取り付けられている。また、これらのフックを骨材としてアルミナセメント等を厚肉に塗布した耐火材14がこのような内側面に形成されている。なお、
参考形態では、空気噴射ノズル16bを火炎の輻射熱等から保護する必要上、耐火材14の厚さが空気噴射ノズル16bの軸長を超えるように耐火材14が形成されている。そのため、空気噴射ノズル16bの噴射孔に連通する貫通孔14aが耐火材14に形成されている。
【0044】
このように本
参考形態のガス処理装置10では、内筒基端プレート16においてフランジ部16cの近傍に複数の空気噴射ノズル16bを環状に設ける構成を採る。そのため、内筒基端プレート16が周壁部12aに組み付けられた状態では、周壁部12aに塗布された耐火材14の表面近傍かつ耐火材14の内周のほぼ全周に亘って複数の空気噴射ノズル16bが配置される。これにより、第2送風ファン3から圧送された空気流通路Rb内の空気は、空気噴射ノズル16bから燃焼空間内に噴射されると、燃焼空間を形成する耐火材14の表面を沿うように流れる。
【0045】
つまり、空気噴射ノズル16bから噴射された空気は、内筒12の内周面(耐火材14の表面)に沿った空気流になって燃焼空間内を流れることから、内筒12の内周面(耐火材14の表面)がこの空気流により冷却される。そのため、このような複数の空気噴射ノズル16bが設けられていない場合に比べて、耐火材14の厚さを薄くすることが可能になるので、ガス処理装置10の装置重量を軽量化することができる。
【0046】
特に、燃料パイプ90から供給される燃料がBOG等の気体燃料である場合には、軽油、A重油や廃油等の石油系燃料に比べて炭素含有量が少ないため、バーナ部13aによって形成される火炎からの輻射伝熱量よりも、対流伝熱量分が相対的に大きくなる。そのため、ガス処理装置10がBOG等の揮発性液体燃料から発生した不要なガスを焼却処理する場合には、内筒12の内周面は、バーナ部13aの火炎による輻射熱量よりも対流伝熱量の方が影響を受け易い。したがって、内筒12の内周面(耐火材14の表面)に沿って空気噴射ノズル16bから空気流を噴射することにより、その空気流に当該内周面が覆われる。これにより、輻射伝熱量が相対的に少なくなったことに加えて、内筒12の内周面(耐火材14の表面)に到達する対流伝熱量も減少させることが可能になるため、内筒12の内周面の温度を下げることができる。よって、耐火材14の厚さを薄くすることが可能になり、ガス処理装置10の装置重量を減少させることができる。また、空気流量の最適化によって耐火材14を不要とすることもできる場合があり、ひいてはその分小型化が可能になる。
【0047】
また、第2送風ファン3による送風能力を高めて空気噴射ノズル16bから噴射される空気の流量を増加させる構成を採ることによって、内筒12の内周面の温度を一層低下させることも可能になる。これにより、例えば、耐火材14自体を廃止した構成(いわゆるメタルスロート)にすることも可能になるので、ガス処理装置10の装置重量をさらに軽量化することができる。なお、このような第2送風ファン3による送風能力や、空気噴射ノズル16bの数量、配置やその間隔等は、実験や計算機シミュレーションの結果に基づいて上述したような空気流の効果が発揮され得る範囲内で適宜設定される。
【0048】
なお、上述した
参考形態では、ガス処理装置10により焼却処理される対象(燃料パイプ90から供給される燃料)として、BOGの場合を例示して説明したが、焼却処理の対象は、例えば、廃油等の石油系燃料であっても良い。また、外筒11および内筒12に、廃棄物投入口とこの投入口を開閉自在に覆う蓋部とを設けることにより、ガス処理装置10を固形廃棄物を燃焼する廃棄物焼却装置として使用することも可能である。この場合には、燃料パイプ90から供給される燃料は、例えば、BOG、軽油やA重油等が想定される。
【0049】
また、本
参考形態のガス処理装置10を、燃焼ガス供給装置(高温ガス発生装置)として機能させることができる。例えば、ディーゼルエンジンを推進機関とする船舶において、この燃焼ガス供給装置を用いて供給される高温ガス(燃焼ガス)中に尿素水を噴射し加水分解させて還元剤ガス(アンモニア)を生成し、この還元剤ガスを含む高温ガスを、ディーゼルエンジンからの排ガス中に供給することによって、NOxを脱硝装置により浄化することも可能である。この場合には、
図7(A)に示すように、本
参考形態の接続部11dまたは排気筒19の出口に、尿素水加水分解ユニット104を配置し、その下流側にディーゼルエンジン(外部機関)の排気ガスが流れる配管100を接続する。なお、この場合には、燃料パイプ90から供給される燃料は、例えば、液化天然ガス、軽油やA重油等が想定される。また、尿素水加水分解ユニット104と燃焼ガス供給装置とを一体化させて尿素水加水分解装置とすることも可能である。
【0050】
また、
図7(B)に示すように、
参考形態のガス処理装置10の接続部11dまたは排気筒19をディーゼルエンジン(外部機関)の排気ガスが流れる配管100の途中に接続して使用しても良い。この場合には、既設の配管100に接続部101を形成しそれに対してガス処理装置10の接続部11dまたは排気筒19を連結して、配管100の内側空間(排ガス流通路)と内筒12の内側空間(燃焼空間)とが連通するように構成する。配管100や接続部101の周囲には、耐火材103を配置して高温状態の配管100等が外部に露出することを防止する。
【0051】
これにより、接続部11dまたは排気筒19から排出される高温排気が排ガス流通路に流れ込んでディーゼルエンジン(外部機関)の排気ガスと混ざる。そのため、脱硝触媒が十分に活性する温度まで排ガス温度を上昇させた状態で下流側の脱硝装置に送り込むことが可能になる。つまり、
図7(B)に示す使用例においては、ガス処理装置10を排ガス加熱装置として機能させることができる。なお、
図7(B)において、紙面右側を配管100の上流側(下流側)にしても良いし、また紙面左側を配管100の上流側(下流側)にしても良い。
【0052】
既設の配管100に対する接続態様は、例えば、
図7(C)に示すように構成しても良い。即ち、外筒11の筒軸Jに沿って突出するように先端部11cに接続部11dまたは排気筒19を接続したガス処理装置10Aにおいても、当該ガス処理装置10Aを配管100の接続部101に接続することにより、
図7(B)の場合と同様に、当該ガス処理装置10Aを排ガス加熱装置として機能させることができる。なお、
図7(C)において、紙面上側を配管100の上流側(下流側)にしても良いし、また紙面下側を配管100の上流側(下流側)にしても良い。
【0053】
[第
1実施形態]
次に、本発明の燃焼装置を排ガス加熱装置に適用した第
1実施形態を
図8〜
図17に基づいて説明する。第
1実施形態の排ガス加熱装置20は、例えば、ディーゼルエンジン(外部機関)の排気ガスが流れる配管100の途中に接続することにより脱硝触媒が十分に活性する温度まで排ガス温度を上昇させる加熱装置であり、船舶に搭載される舶用の燃焼装置である。なお、
参考形態のガス処理装置10と実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を簡略にする。
【0054】
図8〜
図11に示すように、排ガス加熱装置20は、主に、外筒21、内筒22、排ガス噴射部26、バーナユニット13、バーナホルダ17、第1ファン2、第2ファン3等により構成されている。
【0055】
外筒21は、例えば、有底の円筒形状をなす筒体であり、鋼板により構成されている。即ち、円筒状に形成されている周壁部21aに対し、その一端側が内曲げのフランジ形状をなす円環状の基端部21bにより囲まれるように開口しており、また他端側が円形平板状の先端部21cにより閉塞されている。周壁部21aには、外筒21の径方向に円筒状に延びる接続部21d,21gが形成されており、先端にはフランジ部21h,21eがそれぞれ設けられている。即ち、外筒21(または内筒22)の筒軸Jに対して直交する方向(軸Kに沿う方向)またはほぼ直交する方向に接続部21d,21gが延出するように形成されている(既設の配管100に対して直交方向またはほぼ直交方向に筒軸Jを向けて外筒21または内筒22を配置する)。
【0056】
接続部21d、21gは、それぞれの筒軸が同じ軸Kになるように配置されており、また接続部21d、21gやそれぞれのフランジ部21e,21hは、船舶内に既に設けられている配管100に接続可能な形状仕様に設定されている。これにより、例えば、既設の配管100の位置を変更することなく、当該配管100の途中に排ガス加熱装置20の接続部21d、21gを連結可能にしている。本第
1実施形態では、配管100のうち、ディーゼルエンジン(外部機関)が接続されている排ガス上流側の上流管100aには、フランジ部21eを介して接続部21dが連結され、また排ガス下流側の下流管100bには、フランジ部21hを介して接続部21gが連結される。排ガス上流側の接続部21dには、排気ガスを取り込むための取入口21fが形成されている。
【0057】
この取入口21fは、その上方(各図に示す座標系のZ軸の矢印先端方向)が、上流管100a方向に開口しかつ燃焼空間方向を閉塞するカバー27により覆われている。これにより、上流管100aから流れ込む排気ガスの一部が取入口21fに流れ込み易くなるようにカバー27により排気ガスの流れを制御している。また取入口21fには、排ガスダクト28が接続されている。この排ガスダクト28は、後述の排ガス噴射部26に接続されている。これにより、取入口21fから流れ込んだ排気ガスを当該排ガス噴射部26に導入可能にしている。周壁部21aには、このほかに吸気口21i,21jも開口しており、これらには後述の第1吸気ダクト6や第2吸気ダクト7が接続される。基端部21bの開口は、後述するように、円形平板状の外筒基端プレート23により覆われて閉塞される。
【0058】
内筒22は、外筒21の内部に収容されるとともに、内部に燃焼空間を形成する筒体であり、外筒21と同様に、有底の円筒形状に形成されている。内筒22は、円筒状の周壁部22aの一端側が基端部22bとしての内筒基端プレート24により閉塞されており、また他端側も円形平板状の先端部22cにより閉塞されている。周壁部22aの他端側付近には、上流管100aから排気ガスを内筒22内、つまり燃焼空間に流入させるための流入部22dと、燃焼空間から下流管100bに排気ガスを流出させるための流出部22eとがそれぞれ形成されている。即ち、周壁部22aには、外筒21の接続部21dに接続される流入部22dが形成されており、内筒22の燃焼空間と上流管100aの内側空間とを連通可能にしている。また、接続部21gの内側に向けて円筒形状に延びる流出部22eが形成されており、内筒22の燃焼空間と下流管100bの内側空間とを連通可能にしている。なお、内筒22の他端側は、先端部22c等により閉塞することなく、開口可能に構成しても良い。
【0059】
このような内筒22の内周面には、耐火材14が設けられている。即ち、内筒22は、一端側の基端部22b(内筒基端プレート24)にバーナユニット13が設けられ、そのバーナ部13aから内筒22の燃焼空間に火炎が形成される。本第
1実施形態では、バーナユニット13に対して燃料パイプ90から石油系燃料(例えば、軽油、A重油等)が供給される。そのため、内筒22の内周面に耐火材14を配置して、周壁部22a、基端部22bおよび先端部22cを火炎の輻射熱等から保護する。耐火材14は、前述の
参考形態の場合と同様に、例えばキャスタブルである。なお、耐火材14、バーナユニット13、バーナホルダ17は、前述の
参考形態の場合と同様に構成されており、
参考形態においてそれぞれについて記載した内容をほぼ引用することができる。この場合、
参考形態の外筒基端プレート15に関する記載は、外筒基端プレート23に置き換える必要があることに注意されたい。即ち、外筒基端プレート15は外筒基端プレート23に、またバーナ取付口15aはバーナ取付口23aに、それぞれ置き換える必要がある。
【0060】
このように構成される炉体においては、外筒21と内筒22との間に隙間が形成されている。即ち、内筒22(周壁部22a、基端部22bおよび先端部22c)の外側面と外筒基端プレート23を含む外筒21の内側面との間には空気流通路Ra,Rbが形成されている。空気流通路Raは、外筒21の周壁部21aに形成されている吸気口21iに連通しており、また空気流通路Rbは、周壁部21aに形成されている吸気口21jに連通している。本第
1実施形態の場合にも、空気流通路Ra,Rbを区画する分割プレート18が設けられている。
【0061】
本第
1実施形態では、内筒22の基端部22bと外筒21の外筒基端プレート23との間に排ガス噴射部26を設けている。この排ガス噴射部26は、排ガスダクト28に接続されており、排ガスダクト28から導入される排気ガスを排ガスギャラリー26aや
排ガス噴射ノズル26dを介して内筒22の燃焼空間内に噴射可能にしている。排ガス噴射部26の構成については、後で
図12および
図13を参照しながら詳述する。
【0062】
また、吸気口21iには、第1ファン2の送風口にフランジ部6aを介して連結された第1吸気ダクト6が接続されており、吸気口21jには、第2ファン3の送風口にフランジ部7aを介して連結された第2吸気ダクト7が接続されている。第1送風ファン2、第2送風ファン3、第1吸気ポート4、第2吸気ポート5、第1吸気ダクト6、第2吸気ダクト7も、前述の
参考形態の場合と同様にそれぞれ構成されている。そのため、これらの構成に関しても、
参考形態のところでそれぞれについて記載した内容をほぼ引用することができる。
【0063】
第1ファン2から圧送された空気は、第1吸気ダクト6を経由して外筒21の吸気口21iに送り込まれ、第2ファン3から圧送された空気は、第2吸気ダクト7を経由して外筒21の吸気口21jに送り込まれる。これにより、吸気口21i,21jからそれぞれ空気流通路Ra,Rbに流入した空気は、例えば、
図10や
図11に表されている点線矢印の方向に流れて内筒22の外側面に接触することにより、内筒22を空気冷却することを可能にしている。
【0064】
なお、空気流通路Raと空気流通路Rbは、分割プレート18により分離されている。本第
1実施形態においても、第1送風ファン2は、主に、バーナユニット13から離れた炉体の中間部と先端部を冷却する空気を送り、第2送風ファン3は、バーナユニット13に近い炉体の基端部や燃焼空間内に噴射させる空気を送る。つまり、空気流通路Rbを流れる空気は、後述するように、内筒22の基端部22b(内筒基端プレート24)の貫通孔14aを経由して内筒22の燃焼空間にも流入する。炉体内に空気を送り込む送風ファンを、第1送風ファン2と第2送風ファン3に分けることにより、必要に応じて送風量(空気の圧送量)を個別に制御することが可能になる。そのため、例えば、内筒22の温度データに基づいて空気流通路Rbを流れる空気の送風量を制御することができる。
【0065】
このように構成される排ガス加熱装置20も、
参考形態のガス処理装置10と同様に、ベースフレーム1上に設けられている。ベースフレーム1およびレグフレーム8も、
参考形態の場合と同様に構成されており、
参考形態のところでそれぞれについて記載した内容をほぼ引用することができる。
【0066】
次に
図12および
図13を参照して、バーナユニット13、バーナホルダ17、内筒基端プレート24、排ガス噴射部26等の構成について説明する。外筒21の基端部21bには、中心部に円形状のバーナ取付口23aが開口するとともに、接続部21d側寄り(
図12に表されている座標系のY軸の矢印根元方向側寄り)に排ガス入力管取付口23bが開口する円形平板状の外筒基端プレート23がボルトおよびナットにより固定されている。バーナ取付口23aは、バーナユニット13を保持するバーナホルダ17を挿通した状態で外筒基端プレート23に固定可能にする円形穴であり、
参考形態の外筒基端プレート15のバーナ取付口15aと同様に構成されている。また、排ガス入力管取付口23bは、排ガス噴射部26の排ガス入力管26cの外径よりも僅かに大きい内径寸法に設定されており、排ガス入力管26cの貫通を可能にしている。
【0067】
内筒基端プレート24は、内筒22の基端部22bに相当する円盤形状の部材であり、内筒22の周壁部22aおよび先端部22cとともに燃焼空間を形成している。本第
1実施形態では、周壁部22aの内径よりも周壁部22aの内周面に塗布された耐火材14の肉厚寸法だけ小径になるように内筒基端プレート24の外径寸法が設定されている。内筒基端プレート24の中心部には、バーナユニット13のスカート部13bの後端側同径部の外径よりも僅かに大きい内径寸法に設定されたバーナ貫通口24aが形成されている。また、内筒基端プレート24の外周縁には、周壁部22aに組み付けられた状態で、燃焼空間側に向けて立ち上がるフランジ部24cが環状に形成されている。さらに、バーナ貫通口24aとフランジ部24cとの間には、燃焼空間側に向けて突出する複数の空気噴射ノズル24bが内筒基端プレート24と同心円の周上に形成されている。
【0068】
本第
1実施形態では、内筒基端プレート24は、このように内筒基端プレート24と同心円の周上に形成される空気噴射ノズル24bのほかに、同じ円周上に貫通孔24dを形成している。例えば、空気噴射ノズル24bと貫通孔24dとが同じ円周上で等間隔で交互に位置するように配置されている。この貫通孔24dには、排ガス噴射部26の排ガス噴射ノズル26dが挿通される。
【0069】
排ガス噴射部26は、内筒22の外径とほぼ同じ外径寸法に設定された中空の円盤形状に形成されており、内部に円環状の排ガスギャラリー26aを備えている。また排ガスギャラリー26aは、中央部にバーナホルダ17の円筒部17aが貫通可能な貫通口26bを形成している。排ガス噴射部26は、例えば、図略の取付構造を介してバーナホルダ17に組み付けられる。バーナホルダ17に組み付けられた排ガス噴射部26は、バーナホルダ17の円筒部17aを取り囲むように内筒基端プレート24と外筒基端プレート23との間に配置される。
【0070】
また、排ガス噴射部26は、外筒基端プレート23側に突出する排ガス入力管26cと、
内筒基端プレート24側に突出する複数の噴射ノズル26dとを備えている。これらはいずれも排ガスギャラリー26aに連通している。排ガス入力管26cは、排ガスダクト28に連結されており、排ガスダクト28から導入された排気ガスが排ガス入力管26cを経由して排ガスギャラリー26aに流入する。また、排ガス入力管26cから排ガスギャラリー26aに流入した排気ガスは、複数の排ガス噴射ノズル26dから噴射される。このような排ガス噴射ノズル26dは、前述の内筒基端プレート24の貫通孔24dに挿通されることにより、内筒22の燃焼空間内に排気ガスを噴射することが可能になる。
【0071】
なお、空気噴射ノズル24bおよび排ガス噴射ノズル26dを火炎の輻射熱等から保護する必要上、耐火材14の厚さが空気噴射ノズル24bの軸長や排ガス噴射ノズル26dの挿通部分の軸長を超えるように耐火材14が形成されている。そのため、空気噴射ノズル24bの噴射孔に連通する貫通孔14aが耐火材14に形成されている。また、排ガス噴射ノズル26dの噴射孔に連通する貫通孔14bが耐火材14に形成されている。周壁部22aに組み付けられた状態で燃焼空間側に向く内筒基端プレート24の内側面には、内筒22と同様に、例えば、V字形状のフック(またはアンカー)が取り付けられている。また、これらのフックを骨材としてアルミナセメント等を厚肉に塗布した耐火材14がこのような内側面に形成されている。
【0072】
即ち、
図13に示すように、複数の空気噴射ノズル24bと複数の排ガス噴射ノズル26dは、内筒基端プレート24の中心部に配置されるバーナユニット13の周囲を取り囲むようにフランジ部24cの近傍に配置されている。本第
1実施形態では、例えば、内筒基端プレート24の中心角45度間隔で円周上に8本の空気噴射ノズル24bを設けるとともに、同じ円周上において同中心角22.5度だけずらした位置に同中心角45度間隔で8本の排ガス噴射ノズル26dを設ける。これにより、空気噴射ノズル24b(貫通孔14a)と排ガス噴射ノズル26d(貫通孔14b)とが、同中心角22.5度間隔で交互に配置される。
【0073】
なお、空気噴射ノズル24bや排ガス噴射ノズル26dの数量は一例であり、後述する空気流や排ガス流の効果が発揮され得る範囲内で適宜設定される。また、空気噴射ノズル24bや排ガス噴射ノズル26dは、それぞれ等間隔に設ける必要はない。内筒基端プレート24が周壁部22aに組み付けられた状態においては、これらの空気噴射ノズル24bは、その内側空間が空気流通路Rbに連通する。そのため、第2送風ファン3から圧送されて吸気口
21jから空気流通路Rbに流入した空気は、例えば、
図12に示す破線矢印のように、空気噴射ノズル24bを経由して周壁部22aの内部空間、つまり燃焼空間内に噴射される。
【0074】
また、排ガス噴射部26がバーナホルダ17に組み付けて排ガス噴射ノズル26dが内筒基端プレート24の貫通孔24dに挿通された状態においては、排ガス噴射部26の排ガスギャラリー26aが排ガスダクト28に連通する。そのため、上流管100aに連結された接続部21dの取入口21fから取り込まれて、排ガスダクト28に流入した排気ガスは、例えば、
図12に示す一点鎖線矢印のように、排ガスギャラリー26aおよび排ガス噴射ノズル26dを経由して周壁部22aの燃焼空間内に噴射される。なお、排ガス温度は、300℃以下であるのに対して、バーナ部13aによって燃焼されたBOG等(燃焼ガス)の温度は1000℃を超える。つまり、排気ガスの温度は、バーナ部13aからの燃焼ガスの温度よりも低い。なお、同図においては、図面表現上の便宜から、特定の空気噴射ノズル24bや排ガス噴射ノズル26dから、空気や排ガスが噴射される様子が図示されているが、内筒基端プレート24に設けられるすべての空気噴射ノズル24bから空気が噴射され、また排気ガス噴射部26に設けられるすべての排ガス噴射ノズル26dから排ガスが噴射される。
【0075】
このように本第
1実施形態の排ガス加熱装置20では、内筒基端プレート24においてフランジ部24cの近傍に複数の空気噴射ノズル24bを環状に設けるとともに、排気ガス噴射部26においてもフランジ部24cの近傍に複数の排ガス噴射ノズル26dを環状に設ける構成を採る。そのため、内筒基端プレート24および排気ガス噴射部26が周壁部22a等に組み付けられた状態では、周壁部22aに塗布された耐火材14の表面近傍かつ耐火材14の内周のほぼ全周に亘って複数の空気噴射ノズル24bおよび排ガス噴射ノズル26dが配置される。これにより、第2送風ファン3から圧送された空気流通路Rb内の空気は、空気噴射ノズル24bから燃焼空間内に噴射されると、燃焼空間を形成する耐火材14の表面を沿うように流れる。また、上流管100aに接続される接続部21dから排ガスダクト28を経由して排気ガス噴射部26に導入された排気ガスも、排ガス噴射ノズル26dから燃焼空間内に噴射されると、燃焼空間を形成する耐火材14の表面を沿うように流れる。
【0076】
これにより、空気噴射ノズル24bから噴射された空気は、内筒22の内周面(耐火材14の表面)に沿った空気流となって燃焼空間内を流れ、また排ガス噴射ノズル26dから噴射された排気ガスも、内筒22の内周面(耐火材14の表面)に沿った排ガス流となって燃焼空間内を流れる。排ガス温度は300℃以下である。そのため、内筒22の内周面(耐火材14の表面)は、このような空気流と排ガス流の両方により冷却されることから、このような複数の空気噴射ノズル24bや排ガス噴射ノズル26dが設けられていない場合に比べて、耐火材14の厚さをさらに薄くすることが可能になる。したがって、ガス処理装置10の装置重量を一層軽量化することができる。即ち、本第
1実施形態の排ガス加熱装置20は、
参考形態のガス処理装置10に比べてさらに装置重量を削減することができる。
【0077】
なお、上述の排ガス加熱装置20では、燃料パイプ90から供給される燃料として軽油やA重油等の石油系燃料を例示して説明したが、例えば、液化天然ガス等の気体燃料を燃料パイプ90から排ガス加熱装置20に供給しても良い。液化天然ガス等の気体燃料は、石油系燃料に比べて炭素含有量が少ない。そのため、気体燃料による火炎からの輻射伝熱量よりも、対流伝熱量分が相対的に大きくなる。したがって、内筒22の内周面(耐火材14の表面)に沿って空気噴射ノズル24bから空気流を噴射したり、排ガス噴射ノズル26dから排ガス流を噴射したりすることにより当該内周面が覆われる。これにより、輻射伝熱量が相対的に少なくなったことに加えて、内筒12の内周面(耐火材14の表面)に到達する対流伝熱量も減少させることが可能になるため、内筒22の内周面の温度を下げることができる。よって、耐火材14の厚さを薄くすることが可能になり、排ガス加熱装置20の装置重量を減少させることができる。
【0078】
また、ディーゼルエンジン(外部機関)の排気ガスが流通する既設の配管100に対し配管の配置を変更することなく、配管100の途中において排ガス加熱装置20の接続部21d,21gを接続するため、既存の設備に容易に適用することが可能になる。これにより、旧型式のものを改造してその後も使用可能な新型式のものに変更する、いわゆるレトロフィットに容易に対応することができる。これに対して、例えば、[背景技術]の欄において挙げた特許文献3(特開2012−82804号公報)の技術では、同文献の
図2および
図3に開示されているように、当該装置(同文献;バーナー部15)の形状に合わせて既設の配管(同文献;煙道24)の配置を変更する必要があり、その周囲空間に配置された機器装置や他の配管等のレイアウト変更も余儀なくされ得る。これに伴いメンテナンス作業も困難になり得る。つまり、特許文献3の技術は、レトロフィットに馴染み難いという問題がある。
【0079】
なお、第2送風ファン3による送風能力を高めて空気噴射ノズル24bから噴射される空気の流量を増加させる構成を採ることによって、内筒22の内周面の温度を一層低下させることも可能になる。これにより、例えば、耐火材14自体を廃止した構成(いわゆるメタルスロート)にすることも可能になるので、排ガス加熱装置20の装置重量をさらに軽量化することができる。なお、このような第2送風ファン3による送風能力や、空気噴射ノズル24bの数量、配置やその間隔等は、実験や計算機シミュレーションの結果に基づいて上述したような空気流の効果が発揮され得る範囲内で適宜設定される。
【0080】
なお、上述した構成例では、円盤形状に形成される排気ガス噴射部26に対して、その軸方向から排ガス入力管26cを接続したが、例えば、円盤形状の排気ガス噴射部26に対して接線方向または径方向から排ガス入力管26cを接続する構成を採っても良い。排ガスギャラリー26aはその空間が円環状であることから、排ガス入力管26cを軸方向に接続する場合に比べて排気ガスの流入抵抗を減少させることが可能になる。そのため、排ガスギャラリー26aに流入する排気ガスの流入量が増加するので、排気ガス噴射部26から噴射される排気ガスの噴射量を増加させることができる。
【0081】
<第
1実施形態の改変例1>
排ガス加熱装置20の改変例1として、例えば、空気流通路Rb内に設けていた排気ガス噴射部26を、内筒22内に設ける構成を採っても良い。これにより、例えば、
参考形態のガス処理装置10の構成をベースにして、本第
1実施形態の排ガス加熱装置20相当のものを容易に構成することが可能になる。
【0082】
図14および
図15に示すように、排ガス加熱装置20の改変例1では、内筒22の内側空間、つまり燃焼空間に排気ガス噴射部29を設ける。排気ガス噴射部29は、前述の排気ガス噴射部26に対して、排ガス噴射ノズル29dの本数が半減する代わりに、排ガス噴射ノズルの減少分だけその該当箇所に空気流通路29cを有する点が、前述の排気ガス噴射部26と異なる。
【0083】
内筒基端プレート25は、
参考形態の内筒基端プレート16に近い構成を採る。即ち、内筒基端プレート25は、前述の内筒基端プレート16が備える複数の空気噴射ノズル16bを1本飛びごとに削除した構成を採ること以外は、内筒基端プレート16と同様に構成される。そのため、バーナ貫通口16aはバーナ貫通口25aに、空気噴射ノズル16bは空気噴射ノズル25bに、フランジ部16cはフランジ部25cに、それぞれ相当するため、各構成の説明は省略する。内筒基端プレート25では、例えば、内筒基端プレート25の中心角45度間隔で8本の空気噴射ノズル25bが設けられている。
【0084】
排気ガス噴射部29は、内筒基端プレート25の外径とほぼ同じ外径寸法に設定されるとともにバーナユニット13のスカート部13bの開口径よりも大きい内径寸法に設定された中空の円環形状に形成されている。
排気ガス噴射部29は、その内部に排ガスギャラリー29aを備えており、排ガスダクト28に接続された図略の排ガス入力管が連通している。排気ガス噴射部29は、図略の固定構造により内筒基端プレート25に組み付けられる。また、排ガス噴射部29は、内筒基端プレート25側と燃焼空間側とを連通する複数の空気流通路29cと、燃焼空間側に突出する複数の噴射ノズル29dとを備えている。排ガス噴射ノズル29dは排ガスギャラリー29aに連通し、内筒基端プレート25に組み付けた状態において内筒基端プレート25の空気噴射ノズル25bと連通する。
【0085】
これにより、
図15に示すように、複数の空気流通路29cと複数の排ガス噴射ノズル29dとが、内筒基端プレート25の中心部に配置されるバーナユニット13の周囲を取り囲むようにフランジ部25cの近傍に配置される。この改変例1では、例えば、内筒基端プレート25の中心角45度間隔で円周上に8本の空気流通路29cを設けるとともに、同じ円周上において同中心角22.5度だけずらした位置に同中心角45度間隔で8本の排ガス噴射ノズル29dを設ける。これにより、空気流通路29cと排ガス噴射ノズル29dとが、同中心角22.5度間隔で交互に配置される。なお、空気流通路29cや排ガス噴射ノズル29dの数量は一例であり、空気流や排ガス流の効果が発揮され得る範囲内で適宜設定される。また、空気流通路29cや排ガス噴射ノズル29dは、それぞれ等間隔に設ける必要はない。
【0086】
排ガス加熱装置20の改変例1では、内筒基端プレート25および排気ガス噴射部29をこのように構成することにより、これらが周壁部22aに組み付けられた状態においては、空気流通路29cはその内側空間が空気流通路Rbに連通する。そのため、第2送風ファン3から圧送されて吸気口
21jから空気流通路Rbに流入した空気は、例えば、
図14に示す破線矢印のように、空気噴射ノズル24bを経由して周壁部22aの内部空間、つまり燃焼空間内に噴射される。また、排ガス噴射ノズル29dからは、上流管100aに連結された接続部21dの取入口21fから取り込まれて排ガスダクト28に流入した排気ガスが、例えば、
図14に示す一点鎖線矢印のように、周壁部22aの燃焼空間内に噴射される。なお、同図においては、図面表現上の便宜から、特定の空気流通路29cや排ガス噴射ノズル29dから、空気や排ガスが噴射される様子が図示されているが、排気ガス噴射部29に設けられるすべての空気流通路29cから空気が噴射され、またすべての排ガス噴射ノズル29dから排ガスが噴射される。
【0087】
なお、上述の排ガス加熱装置20では、既設の配管100に対して直交方向またはほぼ直交方向に筒軸Jを向けて外筒21または内筒22が配置されるように構成したが、これに限られることなく、配管100(上流管100aおよび下流管100b)の既設レイアウト(既存配置)に合わせて様々な構成が可能である。
【0088】
例えば、
図16(A)に示すように、前述した排ガス加熱装置20の構成に対して、外筒21(または内筒22)の筒軸Jに沿って先端部21cから接続部21dが突出するように排ガス加熱装置20Aを構成しても良い。また、これとは逆に、接続部21gが外筒21の筒軸Jに沿って先端部21cから突出するように構成しても良い。これにより、例えば、当該筒軸Jに対して、上流管100aまたは下流管100bのいずれか一方が同軸若しくはほぼ同軸に配置され、残りの他方がそれに直交若しくはほぼ直交する方向に配置されている場合において、このようなL字形状の屈曲箇所で上流管100aを接続部21dに接続し、また下流管100bを接続部21gに接続することが可能になる。
【0089】
また、例えば、
図16(B)に示すように、前述した排ガス加熱装置20の構成に対して、接続部21dまたは接続部21gのいずれか一方が外筒21(または内筒22)の筒軸Jを中心に90度回転した方向に突出するように排ガス加熱装置20Bを構成しても良い。これにより、例えば、上流管100aおよび下流管100bが当該筒軸Jに直交する方向にL字形状に配置されている場合において、このようなL字形状の屈曲箇所で上流管100aを接続部21dに接続し、また下流管100bを接続部21gに接続することが可能になる。
【0090】
さらに、例えば、
図16(C)に示すように、接続部21dおよび接続部21gが同一平面上において直交またはほぼ直交するように配置するとともにその平面が外筒21(または内筒22)の筒軸Jを含むように、周壁部21aおよび先端部21cから両方の接続部21d,21gがV字形状に突出するように排ガス加熱装置20Cを構成しても良い。これにより、例えば、直交する上流管100aおよび下流管100bが当該筒軸Jに沿うようにしてV字形状に配置されている場合において、このようなV字形状の屈曲箇所で上流管100aを接続部21dに接続し、また下流管100bを接続部21gに接続することが可能になる。
【0091】
このように排ガス加熱装置20A〜20Cを構成することによって、既設の配管100が直交する箇所において、配管100の既設レイアウトを変更することなく、排ガス加熱装置20A〜20Cをレトロフィットさせることができる。なお、
図16に例示した配管100は、いずれも上流管100aと下流管100bが直交する場合を前提にしたものであるが、これらの配管が屈曲する角度は、90度に限られることはなく、例えば、45度、60度や120度等であっても良い。
【0092】
<第
1実施形態の改変例2>
また、排ガス加熱装置20の改変例2として、例えば、上流管100aに接続される接続部21d内に縮径形状を有する内管21xを設けても良い。これにより、上流管100aから流入する排気ガスを内筒22の燃焼空間内に引き込み易くすることが可能になる。
【0093】
図17(A)に示すように、改変例2の排ガス加熱装置20Dでは、既設の配管100から排気ガスを流入させる接続部21dの内部空間内に内管21xを設ける。内管21xは、接続部21d内に設けられた状態において、その排気ガスの上流側にあたる先端部21x-1がその先端方向(排気ガスの上流方向)に向けて拡径する中空の円錐台形状(逆テーパ形状)に形成されている。換言すると、先端部21x-1がその先端側から基端方向(排気ガスの下流方向)に向けて縮径する中空の円錐台形状(テーパ形状)に形成されている。また、内管21xの排気ガスの下流側にあたる基端部21x-2が先端部21x-1の最小径部分に接続されてそれと同径の円筒形状に形成されている。基端部21x-2の下流側端は、内筒22の筒軸Jよりも接続部21g側(排気ガス下流側)にまで延びている。
【0094】
これにより、上流管100aから接続部21d内に流れ込む排気ガスがこの内管21xに流入すると、先端部21x-1よりも内径が小さい基端部21x-2において排気ガスの流速が増加することによって、基端部21x-2の出口部の圧力が下がるため、バーナ部13aによって発生した内筒22内の燃焼ガスを、基端部21x-2の出口部に向かって引き込み易くすることができる。
【0095】
このような内管21xに代えて、接続部21dの形状を排気ガス下流側に向けて縮径するテーパ形状に構成しても良い。即ち、
図17(B)に示すように、接続部21d’は、配管100の上流管100aとほぼ同径に形成される先端部21d’-1と、内筒22の内部空間(燃焼空間)、つまり排気ガス下流側に向かって縮径するテーパ形状に形成される基端部21d’-2とを備えている。基端部21d’-2の周囲表面には、複数のV字形状のフック(またはアンカー)が取り付けられており、これらのフックを骨材としてアルミナセメント等が厚肉に塗布されて耐火材14が形成されている。なお、基端部21d’-2の先端には、排気ガスの流れを安定させたり、耐火材14の形成を容易にしたりするため、円筒部分が形成されている。
【0096】
これにより、上流管100aから接続部21d’内に流れ込む排気ガスがこのテーパ形状の基端部21d’-2に流入すると、先端部21d’-1よりも排気ガスの流速が増加することによって、基端部21d’-2の出口部の圧力が下がるため、バーナ部13aによって発生した内筒22内の燃焼ガスを、基端部21d’-2の出口部に向かって引き込み易くすることができる。
【0097】
[第
2実施形態]
続いて、本発明の燃焼装置を複数バーナタイプの排ガス加熱装置に適用した第
2実施形態を
図18〜
図20に基づいて説明する。第
2実施形態の排ガス加熱装置30も、第
1実施形態の排ガス加熱装置20と同様に、例えば、ディーゼルエンジン(外部機関)の排気ガスが流れる配管100の途中に接続することにより脱硝触媒が十分に活性する温度まで排ガス温度を上昇させる加熱装置であり、船舶に搭載される舶用の燃焼装置である。
【0098】
排ガス加熱装置30は、複数のバーナユニット33を備えており、これらのバーナユニット33が内筒32の周壁部22aに設けられている点が、第
1実施形態の排ガス加熱装置20と異なる。なお、
参考形態のガス処理装置10や第
1実施形態の排ガス加熱装置20と実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0099】
図18〜
図20に示すように、排ガス加熱装置30は、主に、外筒31、内筒32、バーナユニット33、排ガス噴射管38、第1ファン2、第2ファン3等により構成されている。
【0100】
外筒31は、第
1実施形態の外筒21とほぼ同様に構成されているが、外筒31の基端部21bの開口を閉塞する円形平板状の外筒基端プレート23の構成が若干異なる。即ち、外筒基端プレート23は、その中心部に排ガス入力管取付口23bが形成されており、この排ガス入力管取付口23bに排ガス噴射管38が挿通されて外筒基端プレート23に取り付けられる。排ガス噴射管38は、排ガスダクト28に連結されており、接続部21dの取入口21fから取り込まれた排気ガスが、排ガスダクト28を介して排ガス噴射管38に導入される。これにより、排ガス噴射管38は、内筒32の内部空間、つまり燃焼空間内に排気ガスを噴射することが可能になる。
【0101】
内筒32も、第
1実施形態の内筒22とほぼ同様に構成されているが、周壁部22aに複数のバーナユニット33を取り付け可能に構成されている点が異なる。即ち、内筒32は、径方向外側に突出するバーナホルダ32aを備えており、このバーナホルダ32aに複数のバーナホール32bを形成している。バーナホール32bは、バーナユニット33を取り付けるための取付孔である。本第
2実施形態では、内筒32には、段違いに対向する
3つのバーナホルダ32aのそれぞれ
にバーナホール32bが形成されている。即ち、本第
2実施形態の排ガス加熱装置30の内筒32は、6つのバーナユニット33を備えている。
【0102】
バーナユニット33は、主に、バーナ部33aとケース33bにより構成されている。バーナ部33aは、例えば、先端に円錐台形状のノズル部を備えているとともに、燃料を供給する燃料パイプ90が接続されている。バーナ部33aの径方向周囲は、筒状のケース部33bに覆われている。ケース部33bは、内筒32のバーナホルダ32aに形成されるバーナホール32bに取り付けられてバーナユニット33を内筒32に固定可能に構成されている。バーナホルダ32aはカバー部35に覆われている。本第
2実施形態では、
図20に示すように、段違いに対向するとともに周壁部22aを接線方向に沿って火炎が放射されるようにバーナユニット33が配置されており、それぞれ3つのバーナユニット33が筒軸J方向に並ぶように位置している。これにより、バーナ部33aの火炎により燃焼されたガスを周壁部22aに沿って周方向に旋回させることが可能になる。
【0103】
このように本第
2実施形態の排ガス加熱装置30では、内筒32の周壁部22aに複数のバーナユニット33を接線方向に沿って火炎が放射されるように設けるとともに、内筒32の基端部22bの中心部に排ガス噴射管38を設け、かつ、フランジ部24cの近傍に複数の空気噴射ノズル24bを環状に設ける構成を採る。そのため、内筒基端プレート24が周壁部22aに組み付けられた状態では、周壁部22aに塗布された耐火材14の表面近傍かつ耐火材14の内周のほぼ全周に亘って複数の空気噴射ノズル24bが配置される。また、内筒32の中心軸Jに排ガス噴射管38が配置される。
【0104】
これにより、第2送風ファン3から圧送された空気流通路Rb内の空気は、空気噴射ノズル24bから燃焼空間内に噴射されると、燃焼空間を形成する耐火材14の表面を沿うように流れる。また上流管100aに接続される接続部21dから排ガスダクト28を経由して排ガス噴射管38に導入された排気ガスは、排ガス噴射管38から噴射されると、筒軸Jに沿って燃焼空間の中心軸を流れて先端部22cの方向(燃焼空間の先端方向)に向かう気流の発生を誘発する。一方、バーナユニット33のバーナ部33aからは、周壁部22aを周方向に沿うように火炎が放射される。
【0105】
このため、内筒32の内周面(耐火材14の表面)は、空気噴射ノズル24bからの空気流により冷却されることから、このような複数の空気噴射ノズル24bが設けられていない場合に比べて、耐火材14の厚さをさらに薄くすることが可能になる。また、バーナ部33aの火炎により燃焼されたガスは、周壁部22aを周方向に旋回しながら、排ガス噴射管38からの燃焼空間の中心軸を流れる排ガス流によって燃焼空間の先端方向に送り出される。そのため、燃焼空間内のほぼ全体に亘って排気ガスを加熱することが可能になる。したがって、燃焼効率を高めることができるとともに、排ガス加熱装置30の装置重量を軽量化することができる。
【0106】
なお、このようなバーナユニット33や空気噴射ノズル24bの数量、配置やその間隔等は、実験や計算機シミュレーションの結果に基づいて上述したような燃焼効率に対する効果が発揮され得る範囲内で適宜設定される。
【0107】
[第
3実施形態]
続いて、本発明の燃焼装置を縦型タイプの排ガス加熱装置に適用した第
3実施形態を
図21〜
図25に基づいて説明する。第
3実施形態の排ガス加熱装置40も、第
1実施形態の排ガス加熱装置20や第
2実施形態の排ガス加熱装置30と同様に、例えば、ディーゼルエンジン(外部機関)の排気ガスが流れる配管100の途中に接続することにより脱硝触媒が十分に活性する温度まで排ガス温度を上昇させる加熱装置であり、船舶に搭載される舶用の燃焼装置である。
【0108】
排ガス加熱装置40は、複数のバーナユニット33を備えておりこれらのバーナユニット33が内筒42の基端部42bに設けられている点と、炉体が縦型である点とが、第
1実施形態の排ガス加熱装置20と異なる。なお、
参考形態のガス処理装置10、第
1実施形態の排ガス加熱装置20や第
2実施形態の排ガス加熱装置30と実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を簡略にする。
【0109】
図21〜
図25に示すように、排ガス加熱装置40は、主に、外筒41、内筒42、外管43、内管44、バーナユニット33、第1ファン2、第2ファン3等により構成されている。
【0110】
外筒41は、例えば、有底の角筒形状をなす筒体であり、鋼板により構成されている。即ち、角筒状に形成されている周壁部41aに対して、外筒41の一端側が内曲げのフランジ形状をなす角環状の基端部41bにより囲まれるように開口しており、また外筒41の他端側が矩形平板状の先端部41cにより閉塞されている。本第
3実施形態では、外筒41は、後述する外管43と筒軸が並列に並んだ状態で周壁部同士を接続する。そのため、周壁部41aを形成する4面の壁体のうち、外管43側に位置する壁体が省略されている。つまり、外筒41の周壁部41aは、3面の壁体で構成されている。
【0111】
内筒42は、外筒41の内部に収容されるとともに、内部に燃焼空間を形成する筒体であり、外筒41と同様に、有底の角筒形状に形成されている。内筒42は、角筒状の周壁部42aの一端側が基端部42bにより閉塞されており、また他端側も矩形平板状の先端部42cにより閉塞されている。周壁部42aの他端側付近には、排気ガスが流通するとともに外管43に周囲を覆われる内管44に連通する接続部42dが形成されている。即ち、周壁部42aには、内管44の周壁部44aに向けて角筒形状に延びる接続部42dが形成されており、内筒42の燃焼空間と内管44の内側空間とを連通可能にしている。
【0112】
このような内筒42の内周面には、耐火材14が設けられている。内筒42は、後述するように一端側の基端部42bにバーナユニット33が設けられて、そのバーナ部33aから内筒42内、つまり燃焼空間に火炎が形成される。そのため、内筒42の内周面に耐火材14を配置して、周壁部41a、基端部41bおよび先端部41cを火炎の輻射熱等から保護する。耐火材14は、例えば、キャスタブルと呼ばれる耐火コンクリートと耐火骨材を混合したものである。本第
3実施形態では、例えば、
図略のV字形状のフック(またはアンカー)を内筒12の内周面の複数箇所に取り付けるとともに、これらのフックを骨材としてアルミナセメント等を厚肉に塗布することで、耐火材14を形成している。
【0113】
外管43は、内管44の周壁部44aを覆う円筒形状をなす筒体であり、その軸方向長さが外筒41の軸方向長さと同じになるように設定されている。外管43は、内管44の周壁部
44aのほかに、内筒42との間に形成される空気流通路Rbの両端部も覆う。そのため、外管43は、両端部が内曲げのフランジ形状をなすように基端部43bおよび先端部43cが形成されている。基端部43bおよび先端部43cには、排気ガスが流通する配管と連結可能なフランジ部45,46がそれぞれ接続される。フランジ部45,46は、本第
3実施形態では、外周形状が円形状をなしているため、排気ガスが流れる配管として、例えば、前述の第
1実施形態や第
2実施形態で説明したような円筒形状の配管100を接続することができる。
【0114】
内管44は、両端が開口する角筒形状をなす筒体であり、既設の配管等から流入した排気ガスが流れるものである。前述したように内筒42が角筒形状の筒体であるため、その内筒42との接合の容易さや圧力損失の面等から当該内管44の形状も角筒形状に設定している。なお、排気ガスが流れる配管に円筒形状のものが多用されること等を考慮して、当該内管44の周囲に設ける筒体を前述したような円筒形状の外管43に設定している。
【0115】
バーナユニット33は、前述の第
2実施形態の場合と同様に構成されており、第
2実施形態においてそれぞれについて記載した内容をほぼ引用することができる。なお、バーナユニット33のケース部33bは、内筒42の基端部42bに形成されるバーナホール42fに取り付け可能に構成されているため、これによりバーナユニット33は内筒42の基端部42bに固定される。本第
3実施形態では、バーナユニット33は、例えば、3行2列(または2行3列)に配置されており、合計6つのバーナユニット33が内筒42に取り付けられている。
【0116】
第1送風ファン2、第2送風ファン3、第1吸気ポート4、第2吸気ポート5は、前述の
参考形態の場合とほぼ同様にそれぞれ構成されている。そのため、これらの構成に関しては、
参考形態のところでそれぞれについて記載した内容をほぼ引用することができる。なお、第1ファン2から圧送された空気は、第1吸気ダクト6を経由して外筒41の吸気口41iに送り込まれる。また、第2ファン3から圧送された空気は、第2吸気ダクト7を経由して外管43の吸気口43jに送り込まれる。これにより、吸気口41iから空気流通路Raに流入した空気は、内筒42の外側面に接触することにより、内筒42を空気冷却することを可能にしている。また、吸気口43jから空気流通路Rbに流入した空気は、内管44の外側面に接触することにより、内管44を空気冷却することを可能にしている。
【0117】
なお、空気流通路Raと空気流通路Rbは、分割プレート48により分離されている。本第
3実施形態では、分割プレート48は、外管43の周壁部43aがその機能を果たしている。そのため、第1〜第
3実施形態で説明したように、分割プレートとしての専用部材(分割プレート18)を別に設ける必要がない。また、排ガス加熱装置40も、図示していないが、ベースフレーム上に設けられている。
【0118】
このように本第
3実施形態の排ガス加熱装置40では、内筒42の筒軸Jが上下方向(各図に示す座標系のZ軸方向)に立ち上がるように炉体(外筒41および内筒42)を構成している。また、バーナユニット33を炉体の上端に設けることによりバーナ部33aから下方(重力方向)に向かって火炎が形成されるように構成している。これにより、炉体が横向き(各図に示す座標系においてXY平面の拡がり方向)に配置される場合に比べて排ガス加熱装置40の横幅を狭くすることが可能になる。
【0119】
このため、例えば、船舶内の機関室やボイラー室のように、比較的床面積が狭い場所であっても高さ方向に余裕がある場合には、当該排ガス加熱装置40を設置することが可能になる。また、ディーゼルエンジン(外部機関)から排出される排気ガスが流れる配管が、上下方向にレイアウト(配置)されている場合には、そのような既設の配管途中に当該排ガス加熱装置40を介在させて脱硝触媒が十分に活性する温度まで排ガス温度を上昇させることが可能になる。つまり、レトロフィットに容易に対応することができる。
【0120】
[第
4実施形態]
続いて、本発明の燃焼装置を縦型タイプの排ガス加熱装置に適用した第
4実施形態を
図26〜
図30に基づいて説明する。第
4実施形態の排ガス加熱装置50は、第
3実施形態の排ガス加熱装置40の構成を改変して炉体を2機にしたものである。そのため、第
3実施形態の排ガス加熱装置40と実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0121】
図26〜
図30に示すように、排ガス加熱装置50は、主に、外筒41,51、内筒42,52、外管43、内管44、バーナユニット33、第1ファン2、第2ファン3等により構成されている。
【0122】
外筒41、内筒42、耐火材14、バーナユニット33等により構成される一方の炉体と、外筒51、内筒52、耐火材14、バーナユニット33等により構成される他方の炉体とは、排気ガスが流れる内管44とその周壁部44aを囲む外管43を挟んで、左右対称に構成されている。そのため、符号41や符号41x(xは、a,b,c等)を、符号51や符号51x(xは、a,b,c等)に置き換えることによって、第
3実施形態で説明した内容を当該他方の炉体にも適用することができる。なお、筒軸Jは筒軸Lに置き換える。また、第1ファン2に接続されている第1吸気ダクト6は、その途中で2経路に分配されて一方が外筒41の吸気口41iに接続され、他方が外筒51の吸気口51iに接続される。
【0123】
このように本第
4実施形態の排ガス加熱装置50では、外筒41、内筒42、耐火材14、バーナユニット33等により構成される一方の炉体の対称位置に、外筒51、内筒52、耐火材14、バーナユニット33等を配置し、排気ガスが流れる内管44とその周壁部44aを囲む外管43を挟んで、左右対称に構成されている。また、第
3実施形態と比較して、本第
4実施形態では、複数のバーナユニット33を左右対称に振り分けている。これにより、内管44を流れる排気ガスに対し、左右均等に燃焼ガスが供給されるため、温度ムラが減少することで、排ガス温度を脱硝触媒が十分に活性する温度まで短時間に上昇させることができる。第
3実施形態の排ガス加熱装置40に比べて炉体が倍増している(排ガス加熱装置40は炉体が1機であるのに対して、排ガス加熱装置50は炉体が2機である)。これにより、内管44を流れる排気ガスに対する加熱能力が2倍程度に高まるため、排ガス温度を脱硝触媒が十分に活性する温度まで短時間に上昇させることができる。また、炉体が2機に増えても、いずれの炉体も、内筒42の筒軸Jや内筒52の筒軸Lが上下方向(各図に示す座標系のZ軸方向)に立ち上がるように炉体を構成しているため、いずれかまたは両方の炉体が横向き(各図に示す座標系においてXY平面の拡がり方向)に配置される場合に比べて排ガス加熱装置50の横幅を狭くすることが可能になる。
【0124】
なお、上述した各実施形態では、舶用の燃焼装置を例示して説明したが、本発明の燃焼装置は、船舶に使用される燃焼装置に限られることはなく、例えば、建物内に設備される燃焼装置にも適用することができる。
【0125】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示するものである。