【文献】
DIODES,60V Input, 12V 15mA REGULATOR TRANSISTOR,A Product Line of Diodes Incorporated,米国,Diodes Incorporated,2015年 5月,Document number: DS37331 Rev. 1-2,pp. 1-7
【文献】
TEXAS INSTRUMENTS,-36V, -200mA, ULTRALOW-NOISE, NEGATIVE LINEAR REGULATOR,TEXAS INSTRUMENTS Publication,米国,TEXAS INSTRUMENTS,2011年10月,TPS7A3001-EP,pp. 1-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている構造においては、メタライズされた溝部分と引き出し電極とが同電位になっている。電界の引き出し電極の側部と高電圧絶縁碍子の周辺部とにおいては、引き出し電極から高電圧絶縁碍子に向かう電界が存在するので、電子が高電圧絶縁碍子に向かって放出されやすい状態にある。そのため、微少な電子放出が発生し、碍子から二次電子放出が発生すると、高電圧絶縁碍子が正に帯電する。高電圧絶縁碍子が正に帯電すると、引き出し電極と高電圧絶縁碍子との間の電界が強まり、さらに電子放出が増え、ガス放出や電離が発生して、沿面放電が発生しやすくなる。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであって、耐電圧性能の高い絶縁構造、荷電粒子銃及び荷電粒子線応用装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、高圧電源に接続されて用いられる絶縁構造は、第1の電極と、第1の電極に対して電位が高い第2の電極と、第1の電極と第2の電極とに接している固体誘電体と、第3の電極とを備え、
第1の電極、第2の電極及び第3の電極は、高圧電源に接続されており、固体誘電体の表面のうち、第1の電極と第2の電極との間に位置する部位は、真空、気体、又は液体のいずれかに接する境界面であり、第3の電極は、境界面から、固体誘電体側に離れた位置に配置されており、第3の電極の電位は、第1の電極の電位よりも低くなっている。
【0009】
この発明の他の局面に従うと、高圧電源に接続されて用いられる絶縁構造は、第1の電極と、第1の電極に対して電位が高い第2の電極と、第1の電極と第2の電極とに接している固体誘電体と、第3の電極とを備え、
第1の電極、第2の電極及び第3の電極は、高圧電源に接続されており、固体誘電体の表面のうち、第1の電極と第2の電極との間に位置する部位は、真空、気体、又は液体のいずれかに接する境界面であり、第3の電極は、境界面から固体誘電体側に離れた位置に配置されており、第3の電極の電位は、第2の電極の電位よりも高くなっている。
【0010】
この発明のさらに他の局面に従うと、高圧電源に接続されて用いられる絶縁構造は、第1の電極と、第1の電極に対して電位が高い第2の電極と、第1の電極と第2の電極とに接している固体誘電体と、第3の電極とを備え、固体誘電体の表面のうち、第1の電極と第2の電極との間に位置する部位は、真空、気体、又は液体のいずれかに接する境界面であり、第3の電極は、境界面から、固体誘電体側に離れた位置に配置されており、第3の電極の電位は、第1の電極の電位よりも低くなっており、第1の電極と、第2の電極と、第3の電極と、固体誘電体とのそれぞれが、同一の中心軸に対して略軸対称形状を有している。
この発明のさらに他の局面に従うと、高圧電源に接続されて用いられる絶縁構造は、第1の電極と、第1の電極に対して電位が高い第2の電極と、第1の電極と第2の電極とに接している固体誘電体と、第3の電極とを備え、固体誘電体の表面のうち、第1の電極と第2の電極との間に位置する部位は、真空、気体、又は液体のいずれかに接する境界面であり、第3の電極は、境界面から固体誘電体側に離れた位置に配置されており、第3の電極の電位は、第2の電極の電位よりも高くなっており、第1の電極と、第2の電極と、第3の電極と、固体誘電体とのそれぞれが、同一の中心軸に対して略軸対称形状を有している。
【0011】
好ましくは、第1の電極又は第2の電極が接地電位である。
【0012】
この発明のさらに他の局面に従うと、高圧電源に接続されて用いられる絶縁構造は、第1の電極と、第1の電極に対して電位が高い第2の電極と、第1の電極と第2の電極とに接している固体誘電体と、第3の電極とを備え、固体誘電体の表面のうち、第1の電極と第2の電極との間に位置する部位は、真空、気体、又は液体のいずれかに接する境界面であり、第3の電極は、境界面から、固体誘電体側に離れた位置に配置されており、第3の電極の電位は、第1の電極の電位よりも低くなっており、固体誘電体は、第1の電極から第2の電極までの境界面を分断するように形成された溝部を有する。
この発明のさらに他の局面に従うと、高圧電源に接続されて用いられる絶縁構造は、第1の電極と、第1の電極に対して電位が高い第2の電極と、第1の電極と第2の電極とに接している固体誘電体と、第3の電極とを備え、固体誘電体の表面のうち、第1の電極と第2の電極との間に位置する部位は、真空、気体、又は液体のいずれかに接する境界面であり、第3の電極は、境界面から固体誘電体側に離れた位置に配置されており、第3の電極の電位は、第2の電極の電位よりも高くなっており、固体誘電体は、第1の電極から第2の電極までの境界面を分断するように形成された溝部を有する。
【0013】
この発明のさらに他の局面に従うと、上述に記載の絶縁構造を有する、荷電粒子を出射する荷電粒子銃は、固体誘電体は、荷電粒子源を支持する支持部を有し、第1の電極は、支持部に接するように配置されているガードリングであり、第2の電極は、固体誘電体に接し、荷電粒子源の周囲を囲むように配置されている真空チャンバ壁であり、第3の電極は、固体誘電体に対してガードリングの反対側に配置されており、リング形状を有するリング電極であり、荷電粒子銃は、それぞれ導電性を有し、固体誘電体を貫通する複数の貫通部材を有し、荷電粒子源は、複数の貫通部材のうち一対の貫通部材に接続されており、ガードリングは、複数の貫通部材のいずれかに接続されている。
【0014】
好ましくは、真空チャンバ壁は、接地電位に接続されている。
【0015】
好ましくは、荷電粒子源が接続されている一対の貫通部材のうちの1つと、ガードリングとが、電気的に接続されている。
【0016】
好ましくは、ガードリングは、荷電粒子源の電位よりも高い電位に接続されている。
【0017】
好ましくは、ガードリングは、荷電粒子源から荷電粒子源電子を引き出す第一陽極部に電気的に接続されている。
【0018】
好ましくは、荷電粒子銃は、複数の貫通部材のいずれかに接続されており、荷電粒子銃から出射される荷電粒子の量を制限する制限電極をさらに備え、制限電極に接続されている貫通部材は、第3の電極に電気的に接続されている。
【0019】
好ましくは、リング電極の最外周部は、ガードリングの周縁部よりも外側に位置している。
【0020】
好ましくは、固体誘電体は、絶縁部材であり、支持部は、荷電粒子の出射方向に突出するように形成されている。
【0021】
好ましくは、ガードリングは、支持部の突出端部を覆うような凹形状を有し、ガードリングの上端部は、断面に円弧状の部分を有する丸面取り形状を有する。
【0022】
好ましくは、支持部は、荷電粒子の出射方向に対して反対の方向に開口する凹部を有し、リング電極は、凹部の内側に配置されている。
【0023】
好ましくは、複数の貫通部材のそれぞれの電位は、2つ以上の抵抗を用いた分圧回路により与えられている。
【0024】
この発明のさらに他の局面に従うと、荷電粒子線応用装置は、上述に記載の荷電粒子銃と、荷電粒子銃から出射された荷電粒子線を試料に集束させる対物レンズと、荷電粒子線の入射に伴い試料から放出された反射電子を検出する検出器とを備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、耐電圧性能の高い絶縁構造、荷電粒子銃及び荷電粒子線応用装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面は模式的なものであり、寸法や縦横の比率は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0028】
また、以下に示す本発明の実施の形態は、本発明の技術的思想を具現化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0029】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るSEMの概略構成を示す図である。
【0030】
[SEMの概略構成]
図1に示されるように、SEM(荷電粒子線応用装置の一例)100は、一次電子線(荷電粒子線)12を出射して加速する電子銃50と、加速された一次電子線12を集束するコンデンサレンズ15と、一次電子線12の不要な部分を除く対物レンズ絞り16と、一次電子線12を試料23上で二次元的に走査する二段偏向コイル17と、一次電子線12を試料23上に集束させる対物レンズ18と、試料23から放出された信号電子21(二次電子21a、反射電子21b)を検出する二次電子検出器19及び検出器20とを備えた電子線装置である。
【0031】
SEM100は、電磁レンズの制御部として、対物レンズ18の強度を可変する対物レンズ電源41と、対物レンズ電源41を制御する制御装置45とを備える。
【0032】
制御装置45は、対物レンズ18の強度を制御できる。また、図には示していないが、各電源は制御装置45に接続されることで調整できるようになっている。
【0033】
電子銃50は、電子源(荷電粒子源)11と、電子源11から放出される一次電子線(荷電粒子線)12を加速する加速電源14等を有している。
【0034】
電子源11としては、熱電子放出型(熱電子源型)、電界放出型(ショットキー型、又は冷陰極型)を用いることができる。第1の実施の形態では、電子源11に、熱電子放出型のLaB6などの結晶電子源、又はタングステンフィラメントが用いられている。加速電源14は、電子源11と、接地電位とされるアノード板14dとの間に、例えば加速電圧−0.5kVから−30kVを印加する。ウェーネルト電極13には、バイアス電圧により、電子源11の電位よりも負の電位が与えられる。これにより、電子源11から発生した一次電子線12の量がコントロールされる。そして、電子源11のすぐ前方(一次電子線12の出力方向;以下、下方ということがある)に、一次電子線12の一度目の最小径であるクロスオーバー径が作られる。この最小径が、電子源の大きさSoと呼ばれる。
【0035】
加速された一次電子線12は、コンデンサレンズ15により集束され、電子源の大きさSoは縮小される。このコンデンサレンズ15により、縮小率及び試料23に照射される電流(プローブ電流)が調整される。そして、対物レンズ絞り16により、不用な軌道の電子が取り除かれる。この対物レンズ絞り16の穴径によって、試料23に入射するビームの開き角αとプローブ電流とが調整される。
【0036】
対物レンズ絞り16を通過した一次電子線12は、二段偏向コイル17を通過する。SEM100は、二段偏向コイル17の調整によって、試料23上を二次元的に走査する。二段偏向コイル17は、電子源側の上段偏向コイル17aと、試料側の下段偏向コイル17bとを含んでいる。
【0037】
二段偏向コイル17は、上段偏向コイル17aの強度を可変する上段偏向電源43と、下段偏向コイル17bの強度を可変する下段偏向電源44とにより駆動される。上段偏向電源43と下段偏向電源44とは、制御装置45により制御される。
【0038】
二段変更コイル17を通過した一次電子線12は、対物レンズ18を通過する。対物レンズ18により、一次電子線12の焦点が、試料23上に合うように調整される。一次電子線12は、対物レンズ18の下部に設けられた孔部から出射される。
【0039】
一次電子線12は、加速電源14で加速されたエネルギーで試料23上を走査する。試料23から放出された二次電子21aは、二次電子検出器19からの引込み電界により偏向されて二次電子検出器19に捕獲される。すなわち、二次電子検出器19から発生する電界が、荷電粒子によって試料23から放出される二次電子21aを引き付けるように、二次電子検出器19は配置される。
【0040】
[電子銃50の構成]
図2は、電子銃50の概略構成を模式的に示す図である。
【0041】
図2に示されるように、電子銃50は、大まかに、電子銃室(第1の領域の一例)10a側と、電子銃室10aの外側の大気圧(第2の領域の一例)側との両部分に分かれている。電子銃室10aは、Oリング50aを介して碍子(絶縁部材、固体誘電体の一例)51及び真空チャンバ壁(第2の電極の一例)10で囲まれており、真空環境が維持されている。電子銃室10a内には、電子源11と、ウェーネルト電極13と、アノード板14dとが配置されている。
【0042】
碍子51は、大まかに、上方に窪んだ凹型形状を有している。換言すると、碍子51は、略水平の板状である上板部51aの周縁部に下方に突出する周壁部51bが設けられた椀形状を有している。碍子51の上板部51aの中央部には、周壁部51bよりも突出量が少なくなるように下方に突出した支持部51cが形成されている。碍子51の材質は、固体誘電体であり、例えばセラミックス、ガラス、樹脂、およびこれらの混合体などである。
【0043】
電子源11のフィラメント11aの両端部は、2本の、フィラメント側の高圧導入接続ピン(以下、フィラメント接続ピンということがある;貫通部材(第1の貫通部材)の一例)52aに取り付けられている。フィラメント接続ピン52aは、導電性を有し、碍子51の支持部51cを、電子銃室10a側から大気圧側に貫通するように配置されている。フィラメント接続ピン52aは、碍子51により支持されている。すなわち、碍子51は、電子源11を電子銃室10a側に保持している。フィラメント11aは、フィラメント接続ピン52aを介して、大気圧側において、加速電源14に接続された高圧導入ケーブル14aに接続されている。加速電源14によりフィラメント11aに電圧が印加されて、フィラメント11aの先端部から熱電子が放出される。
【0044】
碍子51には、ウェーネルト電極(荷電粒子の量を制限する制限電極の一例)13に電気的に接続されたウェーネルト側の高圧導入接続ピン(以下、ウェーネルト接続ピンということがある;貫通部材(第2の貫通部材)の一例)52bが取り付けられている。ウェーネルト接続ピン52bは、導電性を有し、碍子51の支持部51cを、電子銃室10a側から大気圧側に貫通するように配置されている。ウェーネルト電極13は、ウェーネルト接続ピン52bを介して、大気圧側において、加速電源14に接続された高圧導入ケーブル14aに接続されている。加速電源14は、ウェーネルト電極13にバイアス電圧を印加する。ウェーネルト電極13は、電子源11に対して負の電圧にバイアスされる電極である。
【0045】
電子銃50のうち、チャンバ壁10より上方の大気圧側の部分は、例えば、高圧導入ケーブル14aが外部に貫通するようにして、電子銃カバー58で覆われている。電子銃カバー58の内部には、シリコーンゴム59や樹脂等が充填されている。これにより、高圧となる部位から沿面放電が発生しないようになっている。
【0046】
第1の実施の形態において、碍子51の支持部51cの下部(電子銃室10a側の部位)であってフィラメント11aよりも上方には、ガードリング(第1の電極の一例)54が配置されている。ガードリング54は、電子源11よりも支持部51cに近い位置に配置されている。ガードリング54は、例えば、略水平の円板状である。ガードリング54は、その中央部の軸が一次電子線12が出射される部分を通るようにして配置されている。ガードリング54は、周縁部が支持部51cよりも側方に張り出すようにして配置されている。
【0047】
ガードリング54は、例えば導線等を介して、2本のフィラメント接続ピン52aのうち一方に電気的に接続されている。
【0048】
碍子51の周壁部51bは、チャンバ壁10に接している。沿面放電の経路Rは、ガードリング54から、碍子51の真空に接している境界面を通して、接地電位であるチャンバ壁10に至る経路である。チャンバ壁10は、ガードリング54に対して高電位である。
【0049】
また、第1の実施の形態において、碍子51の上板部51aの上面(大気圧側の表面)には、リング電極(第3の電極の一例)56が配置されている。リング電極56は、導電性の材質であり、例えば予め円環状に成形された金属製の部材である。リング電極56は、碍子51の上面に、碍子51の上面から上方に環状に隆起するようにして配置されている。リング電極56の上部は、例えば断面が半円弧状になるように、丸みを帯びるように成形されている。リング電極56は、その環状部分の内側にフィラメント接続ピン52aやウェーネルト接続ピン52bが位置するようにして配置されている。なお、リング電極56の形状は円環状に限られるものではなく、多角形等の環形状であってもよい。
【0050】
リング電極56は、例えば銅やアルミニウム等を主に含む金属製であるが、これに限られず、例えばグラファイト電極などであってもよい。リング電極56として、例えば銅合金やアルミニウム合金などの比較的熱伝導性に優れた金属を用いた場合には、電子銃50の放熱効果を得ることができる。
【0051】
リング電極56は、例えば、接着剤を用いて、碍子51の上面部に固定されていてもよい。なお、リング電極56は、ウェーネルト接続ピン52bなどに係合する固定部材などを用いて、碍子51の大気圧側の表面に固定されていてもよい。
【0052】
リング電極56は、リング電極56の円環の中央を上下に通る中央軸が一次電子線12が出射される部分を通るようにして配置されている。すなわち、リング電極56の円環部分と、ガードリング54と、電子源11とが略同軸に並んでいる。リング電極56の最外周部は、ガードリング54の周縁部よりも側方に位置する。換言すると、中央軸からリング電極56の最外周部までの距離は、中央軸からガードリング54の周縁部までの距離より少し大きくなっている。なお、中央軸からリング電極56の最外周部までの距離と、中央軸からガードリング54の周縁部までの距離とが略等しくてもよい。例えば、碍子51の電子銃室10a側(
図2において下方)と大気圧側(
図2において上方)とのそれぞれの側の、ガードリング54の最外縁部の位置が、電子銃室10a側又は大気圧側の一方から見て、略重なるようにしてもよい。すなわち、リング電極56の外径寸法は、ガードリング54の、最外周部の位置に応じて設定することができる。
【0053】
リング電極56は、例えば導線等を介して、ウェーネルト接続ピン52bに電気的に接続されている。これにより、ウェーネルト電極13とリング電極56とが同電位になっている。なお、ウェーネルト接続ピン52bに係合する金属製の固定部材などによりリング電極56が固定されるようにし、これによりリング電極56がウェーネルト接続ピン52bに電気的に接続されるようにしてもよい。また、単にウェーネルト接続ピン52bがリング電極56の一部に接触し導通するようにした状態でリング電極56やウェーネルト接続ピン52bが固定されていてもよい。
【0054】
ここで、加速電源14によりフィラメント11aに印加される電圧(フィラメント電位)よりも、ウェーネルト電極13に印加されるバイアス電圧(ウェーネルト電位)の方が、低い電圧とされる。そのため、ガードリング54の電位よりも、リング電極56の電位の方が低くなる。例えば、フィラメント電位はマイナス30kV(キロボルト)であり、ウェーネルト電位はマイナス31kVである。この場合、ガードリング54の電位はマイナス30kVになり、リング電極56の電位はマイナス31kVになる。
【0055】
図3は、電子銃50の碍子51周辺の等電位線の分布を模式的に示す図である。
【0056】
図3において、等電位線の例が二線鎖線で示されている。
図3に示されているように、第1の実施の形態においては、碍子51の電子銃室10a側に、支持部51cよりも外側に張り出すガードリング54が配置されており、碍子51を挟んで上方の大気圧側にリング電極56が配置されている。そして、ガードリング54の電位よりも、リング電極56の電位の方が低くなっている。そのため、ガードリング54とリング電極56との間において、等電位線が、突出した支持部51cの側面に対して平行に近くなっている。すなわち、支持部51cの側面は同電位に近くなり、沿面に沿った力が電子に働かないようになる。さらに、支持部51cの側面から周壁部51bに向かう経路では、リング電極56の電位がガードリング54よりも低いので、電子に働く周壁部51に向かう力が弱くなる。または電子は逆向きの力を受けるので周壁部51への電子の移動が妨げられる。したがって、電子源11に高電圧が印加されたときに、従来では沿面放電を引き起こしかねない電子の放出現象が発生しても、支持部51cの表面部分において電子放出が連鎖しにくくなり、沿面放電の発生が防止される。したがって、電子銃50の耐電圧性能を高くすることができる。ガードリング54及びリング電極56を設けた簡素な構成であるので、電子銃50やそれを用いたSEM100の製造コストを低く抑えることができる。
【0057】
また、碍子51の周辺の電位勾配が急激であると、電子の放出現象や、ガス脱離や電離の発生等が活発になり、放電が発生しやすくなる。放電が発生する可能性を低くするためには、電位が異なる電極同士を離すことが考えられる。このとき、電位勾配への影響を考慮すると、電極同士の間隔を広くしたり、電極を理想的な位置に配置したりすることが考えられる。しかしながら、このように電極を配置すると、電子銃が大型化してしまうという問題がある。これに対して、第1の実施の形態においては、碍子51の上面に環状のリング電極が配置されているので、ガードリング54や支持部51cの周辺における電位勾配は比較的緩やかになる。したがって、電子銃50の小型化と、耐電圧性能の向上とを両立させることができる。
【0058】
なお、リング電極56としては、電子銃50におけるガードリング54の位置や碍子51の形状等に応じて、上述のような向きの電界が生じ、電場の強さの偏りが小さく(等電位線の局所的なゆがみが小さく)なる形状や大きさのものを適宜用いるようにすればよい。これにより、放電が発生する可能性をより低減させ、電子銃を高電圧で安定して駆動させることができる。
【0059】
また、上述のような突出した支持部51cを有する碍子51に代えて、支持部の下面側が平面状に構成された、上方に窪んだ凹型形状を有する碍子を用いてもよい。この場合、ガードリング54の外径よりもリング電極56の外径を大きくするのが好ましい。リング電極56の電位がガードリング54よりも低いので、電子を周壁部に向かわせる力が弱くなる。または、電子は逆向きの力を受けるので、周壁部への電子の移動が妨げられる。この場合も、放電が発生する可能性を低減させることができる。
【0060】
リング電極56は、電子銃50の組立時に、容易に碍子51に取り付けることができる。したがって、例えばメタライズ電極を設けるような複雑な作業工程を要することなく、電子銃50を容易に組み立てることができ、電子銃50の製造コストを低減させることができる。なお、リング電極56として、予め環状に成型されたものを碍子51に取り付けるのではなく、碍子51の上面にメタライズ処理を行うことにより設けられるものを用いるようにしてもよい。
【0061】
ガードリング54は、フィラメント接続ピン52aに接続されてフィラメント電位とされている。そして、リング電極56は、ウェーネルト接続ピンに接続されてウェーネルト電位とされている。したがって、リング電極56の電位をガードリング54の電位よりも低くするために専用の電源や高圧導入ケーブル14aなどの電線を用意する必要がなく、電子銃50の構成を簡易なものにすることができる。
【0062】
[第1の実施の形態の変形例]
図4は、第1の実施の形態の一変形例に係る電子銃250の概略構成を模式的に示す図である。
【0063】
図4に示されるように、電子銃250は、電子銃50と以下の点で相違する。碍子(絶縁部材、固体誘電体の一例)251の支持部51cの内側に、凹部251dが形成されている。ガードリング54とは周縁部近傍の形状が異なるガードリング254が設けられている。リング電極56とは環の内側の形状が異なるリング電極256が設けられている。その他、以下に特に説明しない部分については、電子銃250は電子銃50と同様に構成されている。
【0064】
ガードリング254の周縁部近傍には、上方に突出した形状の突出部254aが設けられている。突出部254aは、支持部51cの下部の外側を囲むように形成されている。突出部254aの上端部は、例えば断面が半円弧状になるように、丸みを帯びるように成形されている。
【0065】
凹部251dは、大気圧側(上方)に開口するように、下方に凹むようにして形成されている。凹部251dの底部の上下方向の位置は、突出部254aの上端と略同じかそれよりも下方になっている。凹部251dの内側面は、フィラメント接続ピン52aよりも側方に位置している。凹部251dの内部において、フィラメント接続ピン52aが大気圧側に露出している。
【0066】
リング電極256は、環状部256aと筒部256dとを有している。環状部256aは、リング電極56と同様に形成されている。筒部256dは、環状部256aの内側下部に繋がっている。筒部256dは、碍子251の上板部51aの上面と凹部251dの内側面とに沿うような形状を有している。筒部256dの下端部は、凹部251dの底部の近傍に位置している。リング電極256は、凹部251dにはめ込まれた状態で、リング電極56と同様の方法で碍子251に固定されている。
【0067】
リング電極256は、環状部256aと筒部256dとが型を用いて一度に成形されたもの(切削品、鋳造品、プレス成形品など)であってもよいし、環状部256aと筒部256dとが別々に成形された後で互いに接合されたものであってもよい。環状部256aと筒部256dとのいずれか一方又は両方がメタライズ電極又は導電性材料の塗装であってもよい。環状部256aと筒部256dとは、同一の素材で構成されていてもよいし、互いに異素材で構成されていてもよい。リング電極256の素材として、例えば銅やアルミニウム等を主に含む金属を用いることができるが、これに限られず、例えばグラファイトなどが用いられてもよい。
【0068】
ガードリング254は、ガードリング54と同様に、フィラメント接続ピン52aに接続されている。また、リング電極256は、リング電極56と同様に、ウェーネルト接続ピン52bに接続されている。すなわち、ガードリング254の電位はフィラメント電位であり、リング電極256の電位はウェーネルト電位である。リング電極256の電位は、ガードリング254の電位よりも低くなっている。
【0069】
本変形例において、電子銃250は上記のように構成されているので、上述の第1の実施の形態に係る電子銃50と概ね同様の効果が得られる。
【0070】
特に本変形例においては、ガードリング254に突出部254aが設けられているので、支持部51cの下部の側面周辺において、電界が弱められている。また、リング電極256に筒部256dが設けられているので、ガードリング254の上端部とリング電極56との間の等電位線は、支持部51cの側面と略平行になる。すなわち、支持部51cの側面の上部と下部とは同電位に近くなり、沿面に沿う方向の力が電子に働くことがなくなる。また、筒部256dの電位は、突出部254aの電位よりも低い。電子銃カバー58は接地電位に接続されているので、支持部51cの側面の電位と突出部254aの電位とが、略同じ程度の高さになる。そのため、ガードリング254の突出部254aから支持部51cの側面に向かう電界も、非常に弱くなっている。したがって、沿面放電の発生をより確実に防止することができ、電子銃250の耐電圧性能をより高くすることができる。
【0071】
図5は、第1の実施の形態のさらに別の変形例に係る電子銃350の概略構成を模式的に示す図である。
【0072】
図5に示されるように、電子銃350は、電子銃50と以下の点で相違する。碍子(絶縁部材、固体誘電体の一例)351の電子銃室10a側の表面(真空に接している境界面)には、碍子351の表面から凹む、環状の溝部351eが形成されている。溝部351eは、例えば、支持部51cの外周面や、上板部51aの下面や、周壁部51bの内周面に形成されている。溝部351eは、ガードリング54から真空チャンバ壁10までの沿面を分断し、沿面放電の経路Rを遮るように形成されている。溝部351eは、例えば、3つ形成されている。なお、溝部351eの位置や数は、これに限られない。その他、以下に特に説明しない部分については、電子銃350は電子銃50と同様に構成されている。
【0073】
このように碍子351に溝部351eが形成されていることにより、沿面放電の経路Rは、逆向きの電界となる経路を経由することになる。したがって、さらに、沿面放電の発生の抑制効果が得られる。
【0074】
なお、溝部351eの数は、1つ又は2つであってもよいし、4つより多くてもよい。溝部351eの凹みの底の形状は、丸みを帯びた形状であるが、これに限られない。
【0075】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態におけるSEMの電子銃の構成について説明する。第1の実施の形態における電子銃と同様の形状又は機能を有する部材については、以下での説明を省略することがある。
【0076】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るSEM、透過型電子顕微鏡、及び開放型エックス線装置の電子銃450の概略構成を模式的に示す図である。
【0077】
電子銃450は、いわゆるショットキー型のものである。
【0078】
図6に示されるように、電子銃450は、大まかに、電子銃室10a側と、電子銃室10aの外側の大気圧側との両部分に分かれている。電子銃450の電子銃室10aは、碍子(絶縁部材、固体誘電体の一例)451、Oリング50a、チャンバ壁10及びカバー458で囲まれており、真空環境が維持される。電子銃室10a内には、電子源411と、サプレッサ電極(荷電粒子の量を制限する制限電極の一例)413と、ガードリング454と、アノード414dとが配置されている。アノード414dとチャンバ壁10とは、接地電位に接続されている。
【0079】
碍子451は、下方に先細になる有底の筒形状を有し、その略全体が、電子の出射方向に突出する支持部451cとなっている。碍子451の底部には、4つの接続ピン(高圧導入接続ピン;貫通部材の一例)452(2本のエミッタ接続ピン(第1の貫通部材の一例)452a、サプレッサ接続ピン(第2の貫通部材の一例)452b、及びガードリング接続ピン452c)が、電子銃室10a側から大気圧側に貫通するように配置されている。各接続ピン452は、高圧導入ケーブル14aに接続されている。
【0080】
第2の実施の形態において、碍子451の内側は大気圧側の凹部となる。碍子451の側面部は、後述する部位を除いて、略均一の厚みを有している。碍子451の内側には、シリコーンゴム459又は樹脂等が充填されている。これにより、高圧となる部位から沿面放電が発生しないようになっている。
【0081】
電子源411は、エミッタ411aを有している。エミッタ411aの両端部は、2本のエミッタ接続ピン452aに取り付けられている。エミッタ411aの先端近傍には、サプレッサ電極413が配置されている。サプレッサ電極413は、サプレッサ接続ピン452bに電気的に接続されている。サプレッサ電極413は、エミッタ411aに印加される電圧(エミッタ電位)よりもわずかに低いサプレッサ電位とされる。サプレッサ電極413は、電子源411に対して負の電圧にバイアスされる電極である。加速電源14によりエミッタ411aに電圧が印加されて、エミッタ411aの先端部から電子が放出される。
【0082】
ガードリング454は、碍子451の下部に取り付けられており、電子源411よりも碍子451に近い位置に配置されている。ガードリング454は、側部から上方に突出する突出部454aと、側部から下方に延びる第一陽極部454bとを有している。
【0083】
突出部454aは、碍子451の下部の外側を囲むように形成されている。突出部454aの上端部は、例えば断面が半円弧状になるように、丸みを帯びるように成形されている。突出部454aの上端の上下方向の位置は、碍子451の内側の底部と略同じかそれよりも上方になっている。
【0084】
第一陽極部454bは、電子源411やサプレッサ電極413を囲むように配置されており、下部中央部から一次電子線12が放出されるように構成されている。ガードリング454には、エミッタ電位よりも高い陽極電位が与えられる。
【0085】
第2の実施の形態において、碍子451の内側の表面のうち、底部に近い部位は、略垂直な面をなすように成形されている。この部位には、碍子451の内面に沿うように円筒状に形成されたリング電極456が配置されている。すなわち、リング電極456は、碍子451の内側の底部近傍から上方に配置されている。リング電極456の素材として、例えば銅やアルミニウム等を主に含む金属を用いることができるが、これに限られず、例えばグラファイトなどの導電性材料が用いられてもよい。
【0086】
なお、リング電極456は、予め成形されたものが碍子451に挿入されて配置されていてもよいし、例えばメタライズ電極として形成されるものであってもよい。リング電極456は、
図6に示されるような薄肉の円筒状のものに限られず、厚みが大きいものであってもよい。碍子451の内側の表面は、底部に近い部位においても傾斜しているように成形されていてもよい。また、リング電極456の径方向(
図6において左右方向)の寸法が略一定ではなくてもよい。例えば、リング電極456は、外側の面が碍子451の表面に沿うように形成されており、内側の面が水平面に対して略垂直になるように形成されていてもよい。
【0087】
リング電極456は、サプレッサ接続ピン452bに電気的に接続されており、サプレッサ電位となっている。第2の実施の形態において、リング電極456の下部の一部は、サプレッサ接続ピン452bに向けて延びており、サプレッサ接続ピン452bに接続されている。
【0088】
このように、電子源411のエミッタ411aは、エミッタ電位とされ、ガードリング454は、エミッタ電位よりも高い陽極電位とされる。また、リング電極456は、サプレッサ電極413と共に、エミッタ電位よりもわずかに低いサプレッサ電位とされる。例えば、エミッタ電位は、マイナス100kVとされる。陽極電位は、マイナス97kVとされる。サプレッサ電位は、マイナス100.3kVとされる。
【0089】
以上のようにガードリング454に陽極電位が与えられ、リング電極456に陽極電位より低いサプレッサ電位が与えられているので、ガードリング454の近傍であってガードリング454の上方の領域において、電位勾配すなわち電界強度が弱められる。ガードリング454の突出部454aから碍子451に向かう電界が弱くなるので、電子が碍子451に向かって放出されにくくなる。あるいは、ガードリング454の近傍の碍子451の表面電位が、ガードリング454の電位より低くなり、ガードリング454からの電子放出が妨げられる。この領域は、従来の技術では、ガードリング454から碍子451に向けて電子が放出されやすい領域である。したがって、電子源411に高電圧が印加されたときに、従来では沿面放電を引き起こしかねない電子の放出現象が発生しにくくなる。碍子451の表面部分において電子放出が連鎖しにくくなり、沿面放電の発生が防止される。したがって、電子銃50の耐電圧性能を高くすることができる。したがって、電子銃450の小型化と、耐電圧性能の向上とを両立させることができる。
【0090】
[その他]
本発明は上記実施形態によって記載したが、この開示の記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。上記の各部の特徴点を適宜組み合わせて電子銃を構成してもよい。ガードリングの電位よりも低い電位の電極を、碍子に対してガードリングの反対側に配置することにより、上述のように沿面放電の発生を防止することができる。
【0091】
碍子やガードリング、リング電極などの細部の形状は、上記のような効果が得られる程度に適宜変更可能である。
【0092】
リング電極やガードリングは、必ずしも高圧導入接続ピンに電気的に接続されていなくてもよい。別の電源から電圧が与えられ、全体としてガードリングよりもリング電極の方が低電位になるように構成されていてもよい。
【0093】
電子銃は、上述の実施の形態の構成に限られない。例えば、真空側において、碍子とウェーネルト電極との間に、リング電極と略同じ外径を有するリング部材を設け、放電の発生を防止するようにしてもよい。
【0094】
碍子の材質として、アルミナなどのセラミックスに代えて、ガラスや樹脂などの絶縁性のある種々の素材を絶縁部材として用いることができる。
【0095】
上記説明によって本発明は、荷電粒子線装置であるEPMA、FIB、電子線描画装置などの荷電粒子応用装置に容易に適用できることが理解できる。
【0096】
また、上記のような電子銃における、上下2つの領域(例えば、電子銃室側(真空側)の第1の領域と大気圧側の第2の領域)を区画する碍子と、その2つの領域に通じるように碍子を貫通する高圧導入接続ピンと、碍子の下方に配置されたガードリングと、碍子の上方に配置されガードリングより低い電位が与えられたリング電極とで構成される絶縁構造を、電子銃以外の物に用いてもよい。この場合においても、沿面放電の発生を防止するという効果を得ることができる。例えば、このような絶縁構造は、絶縁ガスや絶縁オイルで満たされた高圧電源から電力を取り出すための高圧ケーブルのコネクタ部として用いることができる。この場合、例えば、碍子を介して下方に絶縁ガスや絶縁オイルで満たされた領域が配置され、高圧電源に接続された高圧導入接続ピンを通じて碍子の上方の領域から電力を取り出し可能にすることができる。
【0097】
また、絶縁構造は、以下に示すようなものであってもよい。高耐圧を実現できる絶縁構造を高圧電源を利用する種々の用途に用いることができる。
【0098】
図7は、絶縁構造の第1の例について説明する図である。
図8は、絶縁構造の第1の例について説明する側面図である。
【0099】
図7に示されるように、絶縁構造501は、平板状の固体誘電体551を有している。固体誘電体551の上面には、第1の電極554と、第2の電極510とが配置されている。また、固体誘電体551の下面には、第3の電極556が配置されている。固体誘電体551の上面は、真空に接している界面である境界面551xになっている。なお、境界面551xは、気体や液体に接している界面であってもよい。固体誘電体の境界面551x以外の表面は、例えばシリコーンゴム等で覆われていてもよい。
【0100】
第1の電極554と、第2の電極510とは、境界面551xに接するように(すなわち、固体誘電体551に接するように)、互いに離れた位置に配置されている。すなわち、固体誘電体551の表面のうち、第1の電極554と第2の電極510との間に位置する部位は、境界面551xである。第3の電極556は、境界面551xから、下方に離れた位置に、すなわち固体誘電体551側に離れた位置に配置されている。換言すると、第3の電極556は、境界面551xに対し固体誘電体551側に、境界面551xに接触しないように配置されている。第3の電極556は、第1の電極554寄りに配置されている。
【0101】
第1の電極554の電位Va、第2の電極510の電位Vb、及び第3の電極556の電位Vcの関係は、Vc<Va<Vbになっている。そのため、境界面551xのうち第1の電極554と第2の電極510との間の部分の周辺の等電位線は、
図8に2点鎖線で示されるようになる。この境界面551x部分においては、第3の電極556の影響により、第1の電極554と第2の電極510との間で電界が一様の方向とはならない。したがって、第1の電極554から第2の電極510にかけての沿面放電が、発生しにくくなっている。なお、電位Vbは、接地電位であってもよい。
【0102】
図9は、絶縁構造の第2の例について説明する図である。
【0103】
図9に示されるように、絶縁構造601は、ケース659内に、第1の電極654、第2の電極610、第3の電極656、及び固体誘電体651が収納されている構造を有している。ケース659内は、真空状態か、気体又は液体が満たされている状態である。
【0104】
第1の電極654と、第2の電極610と、第3の電極656と、固体誘電体651とは、それぞれ、同一の中心軸に対して略軸対称形状を有している(
図9においてはその中心軸を通る平面における断面が示されている)。すなわち、円柱状の固体誘電体651の下部に、円盤状の第1の電極654が接するように配置されている。中央部が空いた円盤状の第2の電極610は、固体誘電体651の上部に接するように配置されている。第1の電極654の外径寸法及び第2の電極610の外径寸法は、固体誘電体651の径寸法(直径)よりも大きくなっている。固体誘電体651の側周面は、真空、気体、又は液体のいずれかに接する境界面651xになっている。すなわち、固体誘電体651の表面のうち、第1の電極654と第2の電極610との間に位置する部位は、境界面651xである。第3の電極656は、固体誘電体651の内部に、すなわち境界面651xから固体誘電体651側に離れた位置に配置されている。換言すると、第3の電極656は、境界面651xに対し固体誘電体651側に、境界面651xに接触しないように配置されている。第3の電極656は、第1の電極654寄りに配置されている。
【0105】
第1の電極654の電位Va、第2の電極610の電位Vb、及び第3の電極656の電位Vcの関係は、Vc<Va<Vbになっている。また、ケース659は、接地電位に接続されている。そのため、境界面651x部分においては、第3の電極656の影響により、第1の電極654と第2の電極610との間で電界が一様の方向とはならない。第1の電極654から出て第2の電極610に向かおうとする電子は、第3の電極656によって動きを止められたり、動きにくくされたりしている。したがって、第1の電極654から第2の電極610にかけての沿面放電(例えば
図9において点線で示される経路の放電)が、発生しにくくなっている。なお、電位Vbは、接地電位であってもよい。
【0106】
なお、各電極610,654,656の電位は、2つ(3つ以上であってもよい)の抵抗を用いた分圧回路605により与えられている。したがって、1つの電源に接続して絶縁構造601を用いることができる。
【0107】
絶縁構造は、例えば、ガス絶縁機器、高圧リレー、X線管、開放型X線源の高圧部、高圧電源のコネクタ部、又はクライオストロンなどに用いることができる。
【0108】
図10は、絶縁構造の第3の例について説明する図である。
【0109】
図10に示されるように、絶縁構造701は、ケース759内に、第1の電極754、第2の電極710、第3の電極756、及び固体誘電体751が収納されている構造を有している。ケース759内は、上述の構造部分を除いて、例えば、絶縁ゴム、絶縁樹脂、絶縁液、又は絶縁ガス等で満たされている。
【0110】
第1の電極754と、第2の電極710と、第3の電極756と、固体誘電体751とは、それぞれ、同一の中心軸に対して略軸対称形状を有している(
図10においてはその中心軸を通る平面における断面が示されている)。すなわち、円筒状の固体誘電体751の下部に、円盤状の第1の電極754が接するように配置されている。円盤状の第2の電極710は、固体誘電体751の上部に接するように配置されている。第1の電極754の外径寸法及び第2の電極710の外径寸法は、固体誘電体751の径寸法(直径)よりも大きくなっている。固体誘電体751の内部であって第1の電極754と第2の電極710で封止された部分は、真空状態か、気体又は液体が満たされている状態である。固体誘電体751の内周面は、真空、気体、又は液体のいずれかに接する境界面751xになっている。すなわち、固体誘電体751の表面のうち、第1の電極754と第2の電極710との間に位置する部位は、境界面751xである。第3の電極756は、環状であって、固体誘電体751の外周部よりも外側に、すなわち境界面751xから固体誘電体751側に離れた位置に配置されている。換言すると、第3の電極756は、境界面751xに対し固体誘電体751側に、境界面751xに接触しないように配置されている。第3の電極756は、第1の電極754寄りに配置されている。
【0111】
第1の電極754の電位Va、第2の電極710の電位Vb、及び第3の電極756の電位Vcの関係は、Vc<Va<Vbになっている。そのため、境界面751x部分においては、第3の電極756の影響により、第1の電極754と第2の電極710との間で電界が一様の方向とはならない。したがって、第1の電極754から第2の電極710にかけての沿面放電(例えば
図10において点線で示される経路の放電)が、発生しにくくなっている。
【0112】
なお、第2の電極710から第1の電極754に向かって正イオンが移動することが放電の原因になるような場合には、第2の電極710寄りの部分に、第3の電極756と同様の付加電極(第3の電極の別例)756bを設ければよい。付加電極756bに第2の電極710の電位Vbよりも高い電位を与えることで、正イオンの移動を妨げることができる。付加電極756bは、第3の電極756を設けずに配置されていてもよい。なお、このとき、電位Vaは、接地電位であってもよい。
【0113】
上述の実施の形態及び変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。