特許第6809823号(P6809823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6809823振り込め詐欺防止装置、振り込め詐欺防止方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809823
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】振り込め詐欺防止装置、振り込め詐欺防止方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/18 20120101AFI20201221BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20201221BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   G06Q20/18
   G08B21/24
   G08B25/04 E
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-132589(P2016-132589)
(22)【出願日】2016年7月4日
(65)【公開番号】特開2018-5615(P2018-5615A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月14日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 広純
(72)【発明者】
【氏名】伊西 哲也
(72)【発明者】
【氏名】実藤 真琴
(72)【発明者】
【氏名】木村 直之
(72)【発明者】
【氏名】逢坂 文博
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−122794(JP,A)
【文献】 特開2009−294816(JP,A)
【文献】 特開2009−064119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G08B 21/24
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動取引装置に対応して設けられた人感センサによって自動取引装置の利用者が検知された後に、複数の自動取引装置周辺における前記利用者による携帯端末の通話時間が所定時間を経過した場合に所定情報を送信する検知装置から、前記所定情報を受信する受信部と、
前記受信部によって前記所定情報が受信された場合、前記利用者が利用している自動取引装置を特定し、特定した自動取引装置において振込取引が行われているか否か判定する判定部と、
前記判定部によって振込取引が行われていると判定された場合、警告情報を生成する生成部と、
を有することを特徴とする振り込め詐欺防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振り込め詐欺防止装置であって、
複数の自動取引装置には、警告装置が対応して設けられており、
前記生成部によって生成された警告情報を、前記判定部が特定した自動取引装置に対応して設けられた警告装置に送信する送信部、
をさらに有することを特徴とする振り込め詐欺防止装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の振り込め詐欺防止装置であって、
前記生成部が警告情報を生成した後、前記利用者が振込取引を中止しなかったために自動取引装置が振込取引を保留した場合、コールセンタへ通報する通報処理部、
をさらに有することを特徴とする振り込め詐欺防止装置。
【請求項4】
請求項3に記載の振り込め詐欺防止装置であって、
コールセンタから取引再開の指示があった場合、振込取引を保留した自動取引装置に対し、振込取引の再開指示を行う取引処理部、
をさらに有することを特徴とする振り込め詐欺防止装置。
【請求項5】
請求項3に記載の振り込め詐欺防止装置であって、
振込取引を保留した自動取引装置から暗証番号を含むジャーナルが出力されるように制御する出力処理部、
をさらに有することを特徴とする振り込め詐欺防止装置。
【請求項6】
請求項5に記載の振り込め詐欺防止装置であって、
前記ジャーナルに含まれている暗証番号と前記利用者が自動取引装置に入力した暗証番号とが一致する場合、保留した振込取引を再開する取引処理部、
をさらに有することを特徴とする振り込め詐欺防止装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の振り込め詐欺防止装置であって、
前記受信部によって第1の所定情報が受信された後、第2の所定情報が受信された場合、複数の自動取引装置に設けられたインターホンの通話回線が超過しているか否か判定する回線処理部、
をさらに有することを特徴とする振り込め詐欺防止装置。
【請求項8】
請求項7に記載の振り込め詐欺防止装置であって、
前記回線処理部によってインターホンの通話回線が超過していると判定された場合、前記第1の所定情報における利用者情報と前記第2の所定情報における利用者情報とに基づいて、前記第1の所定情報と前記第2の所定情報との受付優先順位を判定する優先判定部、
をさらに有することを特徴とする振り込め詐欺防止装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の振り込め詐欺防止装置であって、
前記生成部は、前記判定部によって出金取引が行われていると判定された場合、警告情報を生成する、
ことを特徴とする振り込め詐欺防止装置。
【請求項10】
コンピュータに、
複数の自動取引装置に対応して設けられた人感センサによって自動取引装置の利用者が検知された後に、複数の自動取引装置周辺における前記利用者による携帯端末の通話時間が所定時間を経過した場合に所定情報を送信する検知装置から、前記所定情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって前記所定情報が受信された場合、前記利用者が利用している自動取引装置を特定し、特定した自動取引装置において振込取引が行われているか否か判定する判定ステップと、
前記判定ステップによって振込取引が行われていると判定された場合、警告情報を生成する生成ステップと、
を実行させることを特徴とする振り込め詐欺防止方法。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の自動取引装置に対応して設けられた人感センサによって自動取引装置の利用者が検知された後に、複数の自動取引装置周辺における前記利用者による携帯端末の通話時間が所定時間を経過した場合に所定情報を送信する検知装置から、前記所定情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって前記所定情報が受信された場合、前記利用者が利用している自動取引装置を特定し、特定した自動取引装置において振込取引が行われているか否か判定する判定ステップと、
前記判定ステップによって振込取引が行われていると判定された場合、警告情報を生成する生成ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振り込め詐欺防止装置、振り込め詐欺防止方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「ATM前の所定の領域内において携帯電話で通話をしている人を確実に検出し、その人および従業員等のATM管理者にのみ振り込み詐欺発生の可能性があるという旨の警告を発する、携帯電話使用検出警報装置およびATM装置」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−294816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、所定の領域内への人間の侵入の有無を検出すると共に、携帯電話の発信電波の有無を検出する。そして、特許文献1では、所定の領域内への人間の進入があり、かつ携帯電話の発信電波が検出された場合にのみ、振り込め詐欺発生に関する警告を行う。
【0005】
そのため、特許文献1では、振込取引以外の手続(例えば、残高照会等)を行う利用者が、携帯電話を使用している場合でも、誤って警告してしまう場合がある。
【0006】
そこで本発明は、振り込め詐欺にあいそうな利用者に対し、より適切に警告することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。上記課題を解決すべく、本発明に係る振り込め詐欺防止装置は、複数の自動取引装置に対応して設けられた人感センサによって自動取引装置の利用者が検知された後に、複数の自動取引装置周辺における前記利用者による携帯端末の通話時間が所定時間を経過した場合に所定情報を送信する検知装置から、前記所定情報を受信する受信部と、前記受信部によって前記所定情報が受信された場合、前記利用者が利用している自動取引装置を特定し、特定した自動取引装置において振込取引が行われているか否か判定する判定部と、前記判定部によって振込取引が行われていると判定された場合、警告情報を生成する生成部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記の振り込め詐欺防止装置においては、前記生成部によって生成された警告情報を、複数の自動取引装置に対応して設けられた警告装置に送信する送信部、をさらに有することを特徴とするものであってもよい。
【0009】
また、上記の振り込め詐欺防止装置においては、前記生成部が警告情報を生成した後、前記利用者が振込取引を中止しなかったために自動取引装置が振込取引を保留した場合、コールセンタへ通報する通報処理部、をさらに有することを特徴とするものであってもよい。
【0010】
また、上記の振り込め詐欺防止装置においては、コールセンタから取引再開の指示があった場合、振込取引を保留した自動取引装置に対し、振込取引の再開指示を行う取引処理部、をさらに有することを特徴とするものであってもよい。
【0011】
また、上記の振り込め詐欺防止装置においては、振込取引を保留した自動取引装置から暗証番号を含むジャーナルが出力されるように制御する出力処理部、をさらに有することを特徴とするものであってもよい。
【0012】
また、上記の振り込め詐欺防止装置においては、前記ジャーナルに含まれている暗証番号と前記利用者が自動取引装置に入力した暗証番号とが一致する場合、保留した振込取引を再開する取引処理部、をさらに有することを特徴とするものであってもよい。
【0013】
また、上記の振り込め詐欺防止装置においては、前記受信部によって第1の所定情報が受信された後、第2の所定情報が受信された場合、複数の自動取引装置に設けられたインターホンの通話回線が超過しているか否か判定する回線処理部、をさらに有することを特徴とするものであってもよい。
【0014】
また、上記の振り込め詐欺防止装置においては、前記回線処理部によってインターホンの通話回線が超過していると判定された場合、前記第1の所定情報における利用者情報と前記第2の所定情報における利用者情報とに基づいて、前記第1の所定情報と前記第2の所定情報との受付優先順位を判定する優先判定部、をさらに有することを特徴とするものであってもよい。
【0015】
また、上記の振り込め詐欺防止装置においては、前記生成部は、前記判定部によって出金取引が行われていると判定された場合、警告情報を生成する、ことを特徴とするものであってもよい。
【0016】
また、本発明に係る振り込め詐欺防止方法は、コンピュータに、複数の自動取引装置に対応して設けられた人感センサによって自動取引装置の利用者が検知され、複数の自動取引装置周辺における携帯端末の通話時間が所定時間を経過した場合に所定情報を送信する検知装置から、前記所定情報を受信する受信ステップと、前記受信ステップによって前記所定情報が受信された場合、前記利用者が利用している自動取引装置を特定し、特定した自動取引装置において振込取引が行われているか否か判定する判定ステップと、前記判定ステップによって振込取引が行われていると判定された場合、警告情報を生成する生成ステップと、実行させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータに、複数の自動取引装置に対応して設けられた人感センサによって自動取引装置の利用者が検知され、複数の自動取引装置周辺における携帯端末の通話時間が所定時間を経過した場合に所定情報を送信する検知装置から、前記所定情報を受信する受信ステップと、前記受信ステップによって前記所定情報が受信された場合、前記利用者が利用している自動取引装置を特定し、特定した自動取引装置において振込取引が行われているか否か判定する判定ステップと、前記判定ステップによって振込取引が行われていると判定された場合、警告情報を生成する生成ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、振り込め詐欺にあいそうな利用者に対し、より適切に警告することができる。上記した以外の課題、構成、および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係る振り込め詐欺防止装置を適用した振り込め詐欺防止システムの構成例を示した図である。
図2】振り込め詐欺防止システムのブロック構成例を示した図である。
図3】電波検知装置の機能ブロック構成例を示した図である。
図4】ATMの機能ブロック構成例を示した図である。
図5】警告装置の機能ブロック構成例を示した図である。
図6】振り込め詐欺防止装置の機能ブロック構成例を示した図である。
図7】顧客マスタDBのデータ構成例を示した図である。
図8】取引履歴DBのデータ構成例を示した図である。
図9】ATMDBのデータ構成例を示した図である。
図10】振り込め詐欺防止システムの動作例を示したシーケンス図である。
図11】振り込め詐欺防止システムの動作例を示したシーケンス図である。
図12】第2の実施の形態に係る振り込め詐欺防止装置の動作例を説明するフローチャートである。
図13】第3の実施の形態に係る振り込め詐欺防止システムの動作例を示したシーケンス図である。
図14】振り込め詐欺防止装置のハードウェア構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
近年、携帯端末を用いてATM等の自動取引装置の操作を指示して振込をさせる、成りすまし詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金詐欺(総称して、以下、振り込め詐欺という)が増加している。以下で説明する振り込め詐欺防止システムは、このような振り込め詐欺の発生を抑制する。
【0022】
図1は、第1の実施の形態に係る振り込め詐欺防止装置を適用した振り込め詐欺防止システムの構成例を示した図である。図1には、振り込め詐欺防止システムとともに、銀行等の金融機関に設置されているATM(Automated Teller Machine)ブースが示してある。図1に示すように、振り込め詐欺防止システムは、振り込め詐欺防止装置1と、電波検知装置2と、人感センサ3a〜3dと、警告装置4a〜4dと、ATM5a〜5dと、コールセンタ6とを有している。振り込め詐欺防止装置1、電波検知装置2、警告装置4a〜4d、ATM5a〜5d、およびコールセンタ6は、例えば、インターネット、専用回線等のネットワーク7を介して接続されている。
【0023】
ATM5a〜5dのそれぞれは、利用者のATM5a〜5dの操作が他人に見られないよう、ATMブース内に設置されている。
【0024】
人感センサ3a〜3dは、例えば、各ATMブースの上方にある天井に設置されている。すなわち、人感センサ3a〜3dは、ATM5a〜5dのそれぞれに対応して設けられている。
【0025】
人感センサ3a〜3dは、ATM5a〜5dの前に立った利用者(ATM5a〜5dを利用する利用者)を検知する。人感センサ3a〜3dは、ATM5a〜5dの前に立った利用者を検知すると、利用者を検知した旨の信号を、電波検知装置2に送信する。以下では、この利用者を検知した旨の信号を、利用者検知信号と呼ぶことがある。
【0026】
電波検知装置2は、例えば、ATMブースの上方の天井裏に設置されている。電波検知装置2は、人感センサ3a〜3dと接続され、人感センサ3a〜3dから送信される利用者検知信号を受信する。
【0027】
電波検知装置2は、ATMブース周辺における、携帯端末が発する通話電波を検知する電波検知部(図3参照)を有している。通話電波を発する携帯端末は、例えば、携帯電話やスマートホンである。
【0028】
電波検知装置2の電波検知部は、携帯端末が通話電波を発しているか否かを判定できるが、通話電波を発している携帯端末の位置を把握することができない。すなわち、電波検知装置2の電波検知部は、利用者が携帯端末で通話しながら、どのATM5a〜5dを操作しているか判定できない。そこで、電波検知装置2は、人感センサ3a〜3dから送信される利用者検知信号によって、携帯端末で通話しながらATM5a〜5dを操作している利用者を特定する。
【0029】
電波検知装置2は、人感センサ3a〜3dから利用者検知信号を受信し、携帯端末から発せられる通話電波を所定時間検知すると、所定の情報を振り込め詐欺防止装置1に送信する。所定の情報は、例えば、ATM5a〜5dを操作しながら所定時間通話している利用者がいることを示す情報である。以下では、この所定の情報を、通話利用者情報と呼ぶことがある。
【0030】
ここで、振り込め詐欺では、一般的に詐欺を行う者が携帯端末で指示しながら、利用者に振込取引を指示する。従って、ATM5a〜5dを操作しながら、携帯端末で所定時間通話(または所定時間を超えて通話)している利用者は、振り込め詐欺にあっている可能性が高い。
【0031】
一方、携帯端末で通話しながら、振込取引以外の取引を行っている利用者もいる。例えば、携帯端末で所定時間通話しながら預金をし、通帳記入等の操作を行っている利用者もいる。このような、利用者は、振り込め詐欺にあっている可能性は低い。
【0032】
そこで、振り込め詐欺防止装置1は、電波検知装置2から通話利用者情報を受信し、利用者が振込取引を行っている場合に、利用者に振り込め詐欺の警告を行う。言い換えれば、振り込め詐欺防止装置1は、電波検知装置2から通話利用者情報を受信しても、利用者が、振込取引を行っていなければ、利用者に振り込め詐欺の警告を行わない。これにより、振り込め詐欺防止装置1は、振り込め詐欺にあいそうな利用者に対し、より適切に警告することができる。
【0033】
振り込め詐欺防止装置1は、電波検知装置2から通話利用者情報を受信し、利用者がATM5a〜5dで振込取引を行っている場合に、警告情報を生成する。利用者が振込取引を行っているか否かの判定については、以下で詳述するが、例えば、利用者がATM5a〜5dの取引種類を選択する画面において、振込取引の開始ボタンを押下していた場合に、利用者は振込取引を行っていると判定できる。
【0034】
振り込め詐欺防止装置1は、生成した警告情報を、通話しながら操作されているATM5a〜5dに設けられた警告装置4a〜4dに送信する。
【0035】
ATM5a〜5dの上部には、警告装置4a〜4dが設置されている。すなわち、警告装置4a〜4dは、ATM5a〜5dのそれぞれに対応して設けられている。
【0036】
警告装置4a〜4dは、振り込め詐欺防止装置1から警告情報を受信すると、例えば、振り込め詐欺を警告する情報を表示する。例えば、図1の例の場合、警告装置4bは、振り込め詐欺を警告する情報(円に斜線のマーク)を表示装置に表示している。
【0037】
なお、人感センサ3a〜3dは、ATM5a〜5dに備えられてもよい。また、振り込め詐欺防止装置1は、銀行等の金融機関施設に設置されてもよいし、例えば、振り込め詐欺の防止サービスを提供するデータセンタ等の外部施設に設置されていてもよい。また、人感センサ3a〜3d、ATM5a〜5d、および警告装置4a〜4dの設置数は、図1の例に限られない。また、警告装置4a〜4dは、ATM5a〜5dが備えてもよい(ATM5a〜5dと一体化されてもよい)。
【0038】
また、図1には示していないが、ATM5a〜5dは、インターホンを備えている。コールセンタ6は、ATM5a〜5dのインターホンを発呼できるようになっている。後述するが、振り込め詐欺防止装置1は、警告情報を生成し、所定の条件を満たした場合、振り込め詐欺の可能性をコールセンタ6に通報する。そして、コールセンタ6は、ATM5a〜5dのインターホンを発呼し、利用者に振り込め詐欺の注意を促す。
【0039】
図2は、振り込め詐欺防止システムのブロック構成例を示した図である。図2において、図1と同じものには同じ符号が付してある。図2に示すように、人感センサ3a〜3dは、電波検知装置2に接続されている。電波検知装置2は、ネットワーク7を介して振り込め詐欺防止装置1と接続されている。
【0040】
警告装置4a〜4dは、ネットワーク7を介して、振り込め詐欺防止装置1と接続されている。ATM5a〜5dは、ネットワーク7を介して、振り込め詐欺防止装置1と接続されている。コールセンタ6は、ネットワーク7を介して、振り込め詐欺防止装置1と接続されている。
【0041】
図3は、電波検知装置2の機能ブロック構成例を示した図である。図3に示すように、電波検知装置2は、通信部11と、電波検知部12と、制御部13とを有している。
【0042】
通信部11は、人感センサ3a〜3dと通信を行う。通信部11は、人感センサ3a〜3dから利用者検知信号を受信する。また、通信部11は、振り込め詐欺防止装置1と通信を行う。通信部11は、後述する制御部13が生成した通話利用者情報を、振り込め詐欺防止装置1に送信する。
【0043】
電波検知部12は、ATM5a〜5d周辺における、携帯端末が発する通話電波を検知する。
【0044】
制御部13は、通信部11によって、利用者検知信号が受信され、かつ電波検知部12によって、携帯端末が発する通話電波が所定時間検知された場合、通話利用者情報を生成する。すなわち、制御部13は、ATM5a〜5dを操作している利用者が、携帯端末で所定時間通話(所定時間を超えて通話)している場合、通話利用者情報を生成する。通話利用者情報には、例えば、利用者が利用しているATM5a〜5dに関する情報と、利用者が所定時間通話していることを示す情報とが含まれている。
【0045】
図4は、ATM5aの機能ブロック構成例を示した図である。図4に示すように、ATM5aは、通信部21と、表示部22と、入力部23と、印刷部24と、制御部25とを有している。
【0046】
通信部21は、振り込め詐欺防止装置1と通信を行う。
【0047】
表示部22は、ATM5aが備えるLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置に取引内容を表示する。例えば、表示部22は、振込取引や出金等の取引区分や、取引が行われる金額等を表示装置に表示する。
【0048】
入力部23は、利用者の操作を受付ける。例えば、ATM5aの備える表示装置には、タッチパネルが備えられ、入力部23は、そのタッチパネルから利用者の操作情報を受付ける。
【0049】
印刷部24は、ATM5aが備えるプリンタから、例えば、利用明細等が示されたジャーナルを出力する。
【0050】
制御部25は、ATM5aの取引動作やキャッシュカードの出し入れ制御、コールセンタ6との通信制御等を行う。
【0051】
なお、図4では、ATM5aの機能ブロック構成例を示したが、ATM5b〜5dも図4と同様の機能ブロック構成例を有する。
【0052】
図5は、警告装置4aの機能ブロック構成例を示した図である。図5に示すように、警告装置4aは、通信部31と、表示部32とを有している。
【0053】
通信部31は、振り込め詐欺防止装置1と通信を行う。通信部31は、振り込め詐欺防止装置1から警告情報を受信する。
【0054】
表示部32は、振り込め詐欺防止装置1から送信された警告情報が、通信部31によって受信されると、振り込め詐欺を警告する情報を表示装置に表示する。表示装置は、例えば、利用者に振込取引の中止を促す、予め決められた所定のマークや文字等を点灯するLED(Light Emitting Diode)パネルである。または、表示装置は、LCDであってもよい。
【0055】
なお、図5では、警告装置4aの機能ブロック構成例を示したが、警告装置4b〜4dも図5と同様の機能ブロック構成例を有する。また、警告装置4a〜4dは、振り込め詐欺を警告する音声を発する音声部を有していてもよい。
【0056】
図6は、振り込め詐欺防止装置1の機能ブロック構成例を示した図である。図6に示すように、振り込め詐欺防止装置1は、通信部41と、判定部42と、警告情報生成部43と、コールセンタ処理部44と、ATM制御部45と、顧客マスタDB(DB:Data Base)46と、取引履歴DB47と、ATMDB48とを有している。
【0057】
通信部41は、電波検知装置2と通信を行う。通信部41は、電波検知装置2から送信される通話利用者情報を受信する。また、通信部41は、警告装置4a〜4dおよびATM5a〜5dと通信を行う。通信部41は、後述する警告情報生成部43が生成した警告情報を、警告装置4a〜4dおよびATM5a〜5dに送信する。また、通信部41は、コールセンタ6と通信を行う。
【0058】
判定部42は、通信部41によって、通話利用者情報が受信されると、利用者が利用しているATM5a〜5dを特定し、特定したATM5a〜5dにおいて振込取引が行われるか否か判定する。利用者が利用しているATM5a〜5dの特定および特定したATM5a〜5dにおいて振込取引が行われるか否かの判定方法については、後述する。
【0059】
警告情報生成部43は、判定部42によって振込取引が行われていると判定された場合、警告情報を生成する。すなわち、警告情報生成部43は、利用者がATM5a〜5dにて、所定時間通話しながら、振込取引の操作をしている場合に警告情報を生成する。
【0060】
警告装置4a〜4dにより、振り込め詐欺の警告が利用者に促されても、利用者が振込取引を中止せずに継続した場合、ATM5a〜5dは、振込取引を一時保留する。コールセンタ処理部44は、ATM5a〜5dが振込取引を一時保留した場合、コールセンタ6に対しその旨を通報する。
【0061】
ATM制御部45は、ATM5a〜5dの取引動作を制御する。例えば、ATM制御部45は、コールセンタ6から取引再開の指示があった場合、振込取引を一時保留したATM5a〜5dに対し、振込取引の再開指示を行う
【0062】
顧客マスタDB46、取引履歴DB47、およびATMDB48のデータ構成例について説明する。
【0063】
図7は、顧客マスタDB46のデータ構成例を示した図である。顧客マスタDB46には、ATM5a〜5dを利用する利用者(顧客)に関する情報が記憶される。図7に示すように、顧客マスタDB46には、顧客を識別する顧客ID(identification)46aと、顧客の口座番号46bと、顧客の氏名46cと、顧客の性別46dと、顧客の年齢46eと、顧客の住所46fと、顧客の電話番号46gと、顧客の過去の振り込め詐欺の被害有無を示す被害情報46hとが記憶される。
【0064】
図8は、取引履歴DB47のデータ構成例を示した図である。取引履歴DB47には、ATM5a〜5dで行われた取引の履歴情報が記憶される。図8に示すように、取引履歴DB47には、取引を識別する取引ID47aと、取引が行われた取引日時47bと、出金や振込等の取引区分を示す取引区分47cと、取引金額である取引金額47dと、取引によって変動した口座残高47eと、高額振込等、必要に応じて立てられる注意フラグ47fとが記憶される。
【0065】
図9は、ATMDB48のデータ構成例を示した図である。ATMDB48には、ATM5a〜5dに関する情報が記憶される。図9に示すように、ATMDB48には、ATM5a〜5dを識別するための、電波検知装置2または人感センサ3a〜3dに付与されたIP(Internet Protocol)情報48aと、ATM5a〜5dの設置場所(例えば、ATM5a〜5dを設置している銀行等)を識別する設置場所48bと、同一設置場所におけるATM5a〜5dを区別するためのATM番号48cとが記憶される。
【0066】
なお、振り込め詐欺防止装置1は、顧客マスタDB46、取引履歴DB47、およびATMDB48を有していなくてもよい。例えば、振り込め詐欺防止装置1は、顧客マスタDB46、取引履歴DB47、およびATMDB48を有している銀行等の金融機関のシステムにアクセスし、これらDBの情報を取得してもよい。
【0067】
図10および図11は、振り込め詐欺防止システムの動作例を示したシーケンス図である。図10図11は、図中に示す1〜4の番号において処理がつながっている。なお、利用者は、ATM5a〜5dを操作し、人感センサ3a〜3dは、ATM5a〜5dを操作している利用者を検知したとする。そして、人感センサ3a〜3dは、利用者検知信号を電波検知装置2に送信したとする。
【0068】
電波検知装置2の通信部11は、人感センサ3a〜3dから利用者検知信号を受信する(ステップS1)。
【0069】
次に、電波検知部12は、ATM5a〜5d周辺の、携帯端末が発する通話電波を検知する(ステップS2)。
【0070】
次に、制御部13は、ステップS2による通話電波の検知時間が所定時間を経過したか否か判定する(ステップS3)。制御部13は、通話電波の検知時間が所定時間を経過しなかった場合(S3の「No」)、当該処理を終了する。
【0071】
一方、制御部13は、通話電波の検知時間が所定時間を経過した場合(S3の「Yes」)、通話利用者情報を振り込め詐欺防止装置1に送信する(ステップS4)。すなわち、制御部13は、ATM5a〜5dを操作している利用者が、携帯端末で所定時間通話している場合、通話利用者情報を振り込め詐欺防止装置1に送信する。
【0072】
なお、通話利用者情報には、利用者が利用しているATM5a〜5dの情報が含まれている。例えば、通話利用者情報には、図9のATMDB48に示したような、ATM5a〜5dに関する情報が含まれている。これにより、振り込め詐欺防止装置1は、携帯端末で所定時間通話している利用者が利用しているATM5a〜5dを特定することができる。
【0073】
次に、振り込め詐欺防止装置1の判定部42は、電波検知装置2から通話利用者情報を受信すると、利用者が利用しているATM5a〜5dを特定する(ステップS5)。
【0074】
次に、判定部42は、特定したATM5a〜5dにおいて振込取引が行われているか否か判定する(ステップS6)。例えば、判定部42は、ATM5a〜5dが備える表示装置に表示される振込取引の開始ボタンが押下されていた場合、ATM5a〜5dにおいて振込取引が行われていると判定する。
【0075】
なお、判定部42は、ステップS5にて特定したATM5a〜5dの情報を用いて、利用者が操作しているATM5a〜5dにアクセスできる。これにより、判定部42は、利用者が操作しているATM5a〜5dから、例えば、振込取引の開始ボタンが押下されているか否かの情報を取得でき、利用者が振込取引を行っているか否か判定できる。
【0076】
判定部42は、ステップS6にて、振込取引が行われていないと判定した場合(ステップS6の「No」)、処理を終了する。これにより、ATM5a〜5dは、利用者が行っている取引(振込取引以外の通帳記入や出金等の取引)を実行することができる。
【0077】
一方、判定部42が、ステップS6にて、振込取引が行われていると判定した場合(ステップS6の「Yes」)、警告情報生成部43は、警告情報を生成する(ステップS7)。
【0078】
そして、警告情報生成部43は、ステップS7にて生成した警告情報を、ステップS5にて特定したATM5a〜5dと、ステップS5にて特定したATM5a〜5dに対応して設けられた警告装置4a〜4dとに送信する(ステップS8)。すなわち、警告情報生成部43は、振り込め詐欺にあっている可能性が高い利用者が操作しているATM5a〜5dと、警告装置4a〜4dとに警告情報を送信する。
【0079】
警告装置4a〜4dの表示部32は、ステップS8にて送信された警告情報により、表示装置に警告を表示する(ステップS9)。
【0080】
ATM5a〜5dの入力部23は、ステップS8にて送信された警告情報の受信を受けて、利用者から、振込取引の中止操作を受付けたか否か判定する(ステップS10)。ATM5a〜5dの入力部23は、利用者から、振込取引の中止操作を受付けた場合(S10の「Yes」)、振込取引を終了する。
【0081】
一方、ATM5a〜5dの入力部23は、利用者から、振込取引の中止操作を受付けなかった場合(S10の「No」)、振込取引を一時保留する(ステップS11)。そして、入力部23は、振込取引を一時保留した旨を振り込め詐欺防止装置1へ送信する(ステップS12)。
【0082】
振り込め詐欺防止装置1のコールセンタ処理部44は、ステップS12にて送信された一時保留した旨の情報を受信すると、ステップS5にて特定したATM5a〜5dを操作している利用者の情報を取得する(ステップS13)。例えば、コールセンタ処理部44は、図7に示した顧客マスタDB46を参照して、利用者の情報を取得する。より具体的には、コールセンタ処理部44は、利用者が振込取引を行う際に入力した口座番号46bから、利用者の氏名46cや年齢46e、被害情報46hなどの情報を取得する。
【0083】
次に、コールセンタ処理部44は、振り込め詐欺の被害にあっている可能性の高い利用者がいることを、コールセンタ6に通報する(ステップS14)。その際、コールセンタ処理部44は、ステップS5にて特定したATM5a〜5dの情報と、ステップS13にて取得した利用者の情報とをコールセンタ6へ送信する。
【0084】
コールセンタ6は、ステップS14にて送信された通報を受信すると、ATM5a〜5dが備えるインターホンを発呼する(ステップS15)。
【0085】
なお、ステップS14にて送信される通報には、利用者が利用しているATM5a〜5d(ステップS5にて特定されたATM5a〜5d)の情報が含まれている。これにより、コールセンタ6は、振り込め詐欺にあっている可能性の高い利用者が操作しているATM5a〜5dのインターホンを発呼することができる。また、ステップS14にて送信される通報には、利用者の情報が含まれている。これにより、コールセンタ6は、例えば、インターホンをとって応答する利用者に対し、氏名で問いかけることができる。また、コールセンタ6は、利用者の被害情報に基づいて、利用者に対し様々なアドバイスや警告が可能となる。
【0086】
次に、ATM5a〜5dの制御部25は、利用者がインターホンをとったか(応答したか)否か判定する(ステップS16)。制御部25は、利用者がインターホンで応答しなかった場合(S16の「No」)、利用者に対し、キャッシュカードを返却する(ステップS17)。
【0087】
一方、利用者がインターホンで応答した場合(S16の「Yes」)、コールセンタ6は、ATM5a〜5dのインターホンとの通話を開始する(ステップS18)。これにより、コールセンタ6は、利用者に対し、取引内容の確認や警告、アドバイス等を行うことができる。
【0088】
コールセンタ6は、オペレータから、利用者の振込取引が正常な取引であるか否か受付ける(ステップS19)。
【0089】
コールセンタ6は、オペレータから、利用者の振込取引が正常な取引でないと受付けた場合(S19の「No」)、処理をステップS17へ移行する。これにより、ATM5a〜5dは、利用者のキャッシュカードを返却する(ステップS17)。
【0090】
一方、コールセンタ6は、オペレータから、利用者の振込取引が正常な取引であると受付けた場合(S19の「Yes」)、振り込め詐欺防止装置1に対し、振込取引の再開指示を行う(ステップS20)。
【0091】
振り込め詐欺防止装置1のATM制御部45は、ステップS20による振込取引の再開指示を受けて、ATM5a〜5dに対し、振込取引の再開指示を行う(ステップS21)。
【0092】
ATM5a〜5dの制御部25は、ステップS21による振込取引の再開指示を受けて、振込取引を再開する(ステップS22)。また、振り込め詐欺防止装置1のATM制御部45は、取引履歴DB47を更新する(ステップS23)。
【0093】
以上説明したように、電波検知装置2は、複数のATM5a〜5dに対応して設けられた人感センサ3a〜3dによってATM5a〜5dの利用者が検知され、複数のATM5a〜5d周辺における携帯端末の通話時間が所定時間を経過した場合、通話利用者情報を振り込め詐欺防止装置1に送信する。振り込め詐欺防止装置1の通信部41は、電波検知装置2から、通話利用者情報を受信し、判定部42は、通信部41によって通話利用者情報が受信された場合、利用者が利用しているATM5a〜5dを特定し、特定したATM5a〜5dにおいて振込取引が行われているか否か判定する。そして、振り込め詐欺防止装置1の警告情報生成部43は、判定部42によって振込取引が行われていると判定された場合、警告情報を生成する。これにより、振り込め詐欺防止装置1は、振り込め詐欺にあいそうな利用者に対し、より適切に警告することができる。
【0094】
また、コールセンタ処理部44は、警告情報生成部43が警告情報を生成した後、利用者が振込取引を中止しなかったためにATM5a〜5dが振込取引を保留した場合(例えば、図10のS10,S11を参照)、コールセンタ6へ通報する。これにより、振り込め詐欺防止装置1は、振り込め詐欺にあいそうな利用者に対し、より適切に警告することができる。
【0095】
また、コールセンタ処理部44は、コールセンタ6から振込取引の取引再開の指示があった場合、振込取引を保留したATM5a〜5dに対し、振込取引の再開指示を行う。これにより、振り込め詐欺防止装置1は、振り込め詐欺にあっていなかった利用者に対し、振込取引を再開することができる。
【0096】
なお、上記では、振り込め詐欺防止装置1は、振込取引が行われている場合に、警告情報を生成したが、出金取引が行われている場合にも警告情報を生成してもよい。例えば、利用者は、出金したお金を詐欺グループに渡すこともあるからである。
【0097】
[第2の実施の形態]
複数のATMが設置されたATMコーナーであっても、効率化を理由に、インターホンの通話回線数が、ATMの台数より少ない場合がある。この場合、複数のATMで、インターホンの通話回線数を超過する、振り込め詐欺の可能性が発生した場合、コールセンタは、ATMのインターホンに発呼できなくなる。そこで、第2の実施の形態では、複数のATMで、インターホンの通話回線数を超過する、振り込め詐欺の可能性が発生した場合、インターホンを発呼する優先順位を判定する。
【0098】
図12は、第2の実施の形態に係る振り込め詐欺防止装置1の動作例を説明するフローチャートである。図12に示すフローチャートの処理は、図10に示したステップS14のコールセンタ6への通報処理を詳細にしたものである。
【0099】
以下では、電波検知装置2から送信される(図10のS4で送信される)通話利用者情報の最新の送信を第2報と呼び、それより前の通話利用者情報の送信を第1報と呼ぶ。また、以下では、第1報中に第2報があるとする。
【0100】
まず、振り込め詐欺防止装置1のコールセンタ処理部44は、第2報におけるATM5a〜5dの設置場所と、第1報におけるATM5a〜5dの設置場所とが同じであるか否か判定する(ステップS31)。コールセンタ処理部44は、第2報におけるATM5a〜5dの設置場所と、第1報におけるATM5a〜5dの設置場所とが同じでないと判定した場合(S31の「No」)、処理をステップS36に移行し、振り込め詐欺の被害にあっている可能性の高い利用者がいることを、コールセンタ6に通報する。
【0101】
一方、コールセンタ処理部44は、第2報におけるATM5a〜5dの設置場所と、第1報におけるATM5a〜5dの設置場所とが同じであると判定した場合(S31の「Yes」)、第2報における設置場所のATM5a〜5dのインターホンの通話回線が超過しているか(全ての通話回線がビジーとなっているか)否か判定する(ステップS32)。
【0102】
コールセンタ処理部44は、第2報における設置場所のATM5a〜5dのインターホンの通話回線が超過していないと判定した場合(S32の「No」)、処理をステップS36に移行し、振り込め詐欺の被害にあっている可能性の高い利用者がいることを、コールセンタ6に通報する。
【0103】
一方、コールセンタ処理部44は、第2報における設置場所のATM5a〜5dのインターホンの通話回線が超過していると判定した場合(S32の「Yes」)、第2報における利用者が高齢者であるか否か判定する(ステップS33)。例えば、コールセンタ処理部44は、第2報における利用者の年齢が所定の年齢以上であると判定した場合、高齢者と判定する。なお、利用者の年齢は、図10のステップS13にて取得されている。
【0104】
コールセンタ処理部44は、ステップS33にて、第2報における利用者が高齢者であると判定した場合(S33の「Yes」)、優先対応情報を生成する(ステップS34)。例えば、コールセンタ処理部44は、第2報における利用者に対し、優先してコールすべき旨の情報を生成する。なお、コールセンタ処理部44は、ステップS36のコールセンタ通報の際、生成した優先対応情報を含めて通報する。これにより、コールセンタ6は、第2報の高齢者の利用者に対し、優先して振り込め詐欺の警告を行うことができる。
【0105】
一方、コールセンタ処理部44は、ステップS33にて、第2報における利用者が高齢者でないと判定した場合(S33の「No」)、第2報における利用者が過去に振り込め詐欺の被害にあっているか否か判定する(ステップS35)。なお、利用者の過去の被害歴は、図10のステップS13にて取得されている。
【0106】
コールセンタ処理部44は、ステップS35にて、第2報における利用者が過去に振り込め詐欺の被害にあっていると判定した場合(S35の「Yes」)、優先対応情報を生成する(ステップS34)。そして、コールセンタ処理部44は、処理をステップS36に移行し、生成した優先対応情報を含む、コールセンタ6への通報を行う。これにより、コールセンタ6は、第2報の振り込め詐欺被害にあったことのある利用者に対し、優先して振り込め詐欺の警告を行うことができる。
【0107】
一方、コールセンタ処理部44は、ステップS35にて、第2報における利用者が過去に振り込め詐欺の被害にあっていないと判定した場合(S35の「No」)、優先対応情報を生成せず、コールセンタ6への通報を行う(ステップS36)。これにより、コールセンタ6は、高齢者でなく、また、過去に振り込め詐欺にあったことのない第2報の利用者を優先せず、第1報の利用者との通話が終了した後に、第2報の利用者と通話を行う。
【0108】
以上説明したように、コールセンタ処理部44は、複数の通話利用者情報を受信した場合、複数のATM5a〜5dに設けられたインターホンの通話回線が超過しているか否か判定する。そして、コールセンタ処理部44は、インターホンの通話回線が超過している場合、第1報における利用者の利用者情報と、第2報における利用者の利用者情報とに基づいて、第1報の利用者と第2報の利用者との受付優先順位を判定する。これにより、コールセンタ6は、インターホンの通話回線が超過している場合であっても、高齢者や過去に振り込め詐欺にあったことのある利用者に対し、優先して警告することが可能となる。
【0109】
なお、コールセンタ処理部44は、振込金額の大小や、ATM5a〜5dの設置場所に金融機関の職員が不在であるか否かによって、優先対応情報を生成してもよい。
【0110】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、利用者がインターホンに応答しない場合、またはインターホンの通話回線が超過している場合、振り込め詐欺の注意喚起をするためにATM5a〜5dからジャーナルを出力する。
【0111】
図13は、第3の実施の形態に係る振り込め詐欺防止システムの動作例を示したシーケンス図である。第3の実施の形態に係るシーケンスは、第1の実施の形態の図10および図11のシーケンスのステップS13まで同じであり、ステップS14以降が異なる。以下では、第1の実施の形態に係るシーケンスと異なる部分について説明する。
【0112】
振り込め詐欺防止装置1のコールセンタ処理部44は、第2報におけるATM5a〜5dの設置場所と、第1報におけるATM5a〜5dの設置場所とが同じであるか否か判定する(ステップS41)。コールセンタ処理部44は、第2報におけるATM5a〜5dの設置場所と、第1報におけるATM5a〜5dの設置場所とが同じでないと判定した場合(S41の「No」)、振り込め詐欺の被害にあっている可能性の高い利用者がいることを、コールセンタ6に通報する(ステップS42)。
【0113】
一方、コールセンタ処理部44は、第2報におけるATM5a〜5dの設置場所と、第1報におけるATM5a〜5dの設置場所とが同じであると判定した場合(S41の「Yes」)、第2報における設置場所のATM5a〜5dのインターホンの通話回線が超過しているか否か判定する(ステップS43)。コールセンタ処理部44は、第2報における設置場所のATM5a〜5dのインターホンの通話回線が超過していないと判定した場合(S43の「No」)、振り込め詐欺の被害にあっている可能性の高い利用者がいることを、コールセンタ6に通報する(ステップS44)。一方、コールセンタ処理部44が、第2報における設置場所のATM5a〜5dのインターホンの通話回線が超過していると判定した場合(S43の「Yes」)、ATM制御部45は、暗証番号を生成する(ステップS50)。そして、ATM制御部45は、生成した暗証番号をATM5a〜5dに送信する。
【0114】
コールセンタ6は、ステップS42,S44にて送信された通報を受信すると、ATM5a〜5dが備えるインターホンを発呼する(ステップS45)。
【0115】
ATM5a〜5dの制御部25は、利用者がインターホンをとったか(応答したか)否か判定する(ステップS46)。制御部25が、利用者がインターホンで応答しなかったと判定した場合(S46の「No」)、振り込め詐欺防止装置1のATM制御部45は、暗証番号を生成する(ステップS50)。そして、ATM制御部45は、生成した暗証番号をATM5a〜5dに送信する。
【0116】
一方、利用者がインターホンで応答した場合(S46の「Yes」)、コールセンタ6は、ATM5a〜5dのインターホンとの通話を開始する(ステップS47)。これにより、コールセンタ6は、利用者に対し、取引内容の確認を行うことができる。
【0117】
コールセンタ6は、オペレータから、利用者の振込取引が正常な取引であるか否か受付ける(ステップS48)。
【0118】
コールセンタ6は、オペレータから、利用者の振込取引が正常な取引であると受付けた場合(S48の「Yes」)、振り込め詐欺防止装置1に対し、振込取引の再開指示を行う(ステップS49)。
【0119】
一方、コールセンタ6が、オペレータから、利用者の振込取引が正常な取引でないと受付けた場合(S48の「No」)、振り込め詐欺防止装置1のATM制御部45は、暗証番号を生成する(ステップS50)。そして、ATM制御部45は、生成した暗証番号をATM5a〜5dに送信する。
【0120】
ATM5a〜5dの制御部25は、ステップS50にて生成された暗証番号を受信すると、例えば、振り込め詐欺の注意文と、受信した暗証番号と、その暗証番号をATM5a〜5dに入力しなければ振込取引が再開されないことを示す文章とを記載したジャーナルを発行する(ステップS51)。そして、制御部25は、利用者から暗証番号を受付け、受付けた暗証番号を振り込め詐欺防止装置1に送信する(ステップS52)。
【0121】
振り込め詐欺防止装置1のATM制御部45は、ステップS52にて送信された暗証番号を受信すると、その受信した暗証番号と、ステップS50にて生成した暗証番号とが一致するか否か判定する(ステップS53)。ATM制御部45が、ステップS52にて送信された暗証番号と、ステップS50にて生成した暗証番号とが一致しないと判定した場合(S53の「No」)、ATM5a〜5dの制御部25は、利用者のキャッシュカードを返却する(ステップS54)。なお、ATM5a〜5dの制御部25は、ステップS51にて、暗証番号を記載したジャーナルを発行した後、利用者が所定時間を経過しても暗証番号を入力しなかった場合も、利用者のキャッシュカードを返却してもよい(ステップS54)。
【0122】
一方、ATM制御部45は、ステップS52にて送信された暗証番号と、ステップS50にて生成した暗証番号とが一致すると判定した場合(S53の「Yes」)、ATM5a〜5dに対し、振込取引の再開指示を行う(ステップS55)。なお、ATM制御部45は、ステップS49による取引再開指示を受けた場合も、ATM5a〜5dに対し、振込取引の再開指示を行う(ステップS55)。
【0123】
ATM5a〜5dの制御部25は、ステップS55による振込取引の再開指示を受けて、振込取引を再開する(ステップS56)。また、振り込め詐欺防止装置1のATM制御部45は、取引履歴DB47を更新する(ステップS57)。
【0124】
以上説明したように、振り込め詐欺防止装置1のATM制御部45は、振込取引を保留したATM5a〜5dから暗証番号を含むジャーナルが出力されるように制御する。これにより、振り込め詐欺防止装置1は、振り込め詐欺をより抑制することができる。
【0125】
また、振り込め詐欺防止装置1のATM制御部45は、ジャーナルに含まれている暗証番号と、利用者がATM5a〜5dに入力した暗証番号とが一致する場合、保留した振込取引を再開する。これにより、振り込め詐欺防止装置1は、振り込め詐欺にあいそうな利用者に対し、より適切に警告することができる。
【0126】
また、利用者が携帯電話での通話のため、インターホンに出ない場合でも、警告装置4a〜4dおよびジャーナルで振り込め詐欺の注意を促すことができる。
【0127】
以下、各実施の形態に係る振り込め詐欺防止装置1のハードウェア構成例について説明する。
【0128】
図14は、振り込め詐欺防止装置1のハードウェア構成例を示した図である。振り込め詐欺防止装置1は、例えば、図14に示すような、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置101と、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置102と、HDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置103と、有線又は無線により通信ネットワークと接続するための通信インターフェイス(I/F)104と、マウス、キーボード、タッチセンサーやタッチパネルなどの入力装置105と、液晶ディスプレイなどの表示装置106と、DVD(Digital Versatile Disk)などの持ち運び可能な記憶媒体に対する情報の読み書きを行う読み書き装置107と、を備えるコンピュータで実現することができる。
【0129】
振り込め詐欺防止装置1の各部の機能は、例えば、補助記憶装置103などから主記憶装置102にロードされた所定のプログラムを演算装置101が実行することで実現される。また、振り込め詐欺防止装置1の各記憶部は、例えば、演算装置101が主記憶装置102または補助記憶装置103を利用することで実現される。
【0130】
上記の所定のプログラムは、例えば、読み書き装置107により読み取られた記憶媒体からインストールされてもよいし、通信I/F104を介してネットワークからインストールされてもよい。
【0131】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、各実施形態を組み合わせることもできる。
【0132】
また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0133】
また、上述した振り込め詐欺防止装置1の機能構成は、その構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。振り込め詐欺防止装置1の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0134】
また、上述したシーケンスおよびフローチャートの各処理単位は、振り込め詐欺防止装置1の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。振り込め詐欺防止装置1の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、本発明は、振り込め詐欺防止装置1の機能を実現するプログラム、および当該プログラムを記憶した記憶媒体として提供することもできる。
【符号の説明】
【0135】
1…振り込め詐欺防止装置、2…電波検知装置、3a〜3d…人感センサ、4a〜4d…警告装置、5a〜5d…ATM、6…コールセンタ、7…ネットワーク、11…通信部、12…電波検知部、13…制御部、21…通信部、22…表示部、23…入力部、24…印刷部、25…制御部、31…通信部、32…表示部、41…通信部、42…判定部、43…警告情報生成部、44…コールセンタ処理部、45…ATM制御部、46…顧客マスタDB、47…取引履歴DB、48…ATMDB。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14