特許第6809833号(P6809833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809833
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】異常状況記録装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20201221BHJP
【FI】
   G05B23/02 301U
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-150781(P2016-150781)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-18468(P2018-18468A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森口 誠治
(72)【発明者】
【氏名】稲熊 富世
(72)【発明者】
【氏名】小川 尚久
(72)【発明者】
【氏名】山田 友美
【審査官】 堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−298835(JP,A)
【文献】 特開2007−065744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00−23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象装置で発生する複数種類の異常を区別して検出する異常検出部と、
前記異常検出部により検出された異常の種類と、異常検出時の前記対象装置の状態とを少なくとも示す異常状況データが記憶される記憶部と
を備えた異常状況記録装置であって、
前記複数種類の異常のうちのいずれかを、前記対象装置の使用開始後に、設定スイッチが特殊操作されること又は当該対象装置と通信可能な通信端末が操作されることで特定異常として設定する特定異常設定部と、
前記異常検出部により異常が検出されたときに、該検出された異常が前記特定異常であるときは、該検出された異常についての前記異常状況データを前記記憶部に記憶すると共に、以後の前記記憶部への新たな前記異常状況データの書き込みを禁止した上書き禁止状態とし、該検出された異常が前記特定異常以外であって前記上書き禁止状態でないときには、該検出された異常についての前記異常状況データを前記記憶部に書き込むデータ書き込み処理部と
を備えていることを特徴とする異常状況記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の異常状況記録装置において、
前記上書き禁止状態を解除して、前記異常検出部により異常が検出されたときに、前記データ書き込み処理部により、該検出された異常についての前記異常状況データが前記記憶部に書き込まれる状態に復帰させる上書き禁止解除部を備えていることを特徴とする異常状況記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の異常が発生した際に、異常発生時の装置の状態を記録する異常状況記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体の異常(エラー)が発生した際に、異常の内容を示すエラーフラグ、異常発生時刻、異常発生時の装置の状態等からなる情報データを、記憶部(電源バックアップされたメモリ)に順次書き込み、予め決定された致命的エラーが発生したときには、それ以降の記憶部への情報データの書き込みを禁止するようにした情報記録再生装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−298835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された情報記録再生装置によれば、軽微な装置異常については、エラー情報を上書きして記憶部に書き込むことで、記憶部の容量を抑えている。また、予め決定された致命的エラーが発生したときには、それ以降の記憶部への情報データの書き込みを禁止することによって、致命的エラーが生じたときの情報データが消失することを回避している。
【0005】
しかしながら、予め設定された致命的なエラー以外に、装置の発売後に発生が確認された機種特有の異常等についても、解析が必要となる場合ある。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、記憶部の容量を抑えつつ、異常解析の対象を拡大することができる異常状況記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の異常状況記録装置は、
対象装置で発生する複数種類の異常を区別して検出する異常検出部と、
前記異常検出部により検出された異常の種類と、異常検出時の前記対象装置の状態とを少なくとも示す異常状況データが記憶される記憶部と
を備えた異常状況記録装置であって、
前記複数種類の異常のうちのいずれかを、前記対象装置の使用開始後に、設定スイッチが特殊操作されること又は当該対象装置と通信可能な通信端末が操作されることで特定異常として設定する特定異常設定部と、
前記異常検出部により異常が検出されたときに、該検出された異常が前記特定異常であるときは、該検出された異常についての前記異常状況データを前記記憶部に記憶すると共に、以後の前記記憶部への新たな前記異常状況データの書き込みを禁止した上書き禁止状態とし、該検出された異常が前記特定異常以外であって前記上書き禁止状態でないときには、該検出された異常についての前記異常状況データを前記記憶部に書き込むデータ書き込み処理部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
かかる本発明によれば、対象装置のメンテナンス作業者等は、対象装置が発売された後であっても、異常解析の対象とする種別の異常を、特定異常設定部により、設定スイッチが特殊操作されること又は対象装置と通信可能な通信端末が操作されることで特定異常として設定することができる。これにより、特定異常が発生したときに、データ書き込み処理部により、特定異常についての異常状況データが記憶部に書き込まれた後に、上書き禁止状態となって、特定異常が発生した時の対象装置の状態を示す異常状況データが記憶部に保持される。そのため、メンテナンス作業者等は、解析の対象とする異常の種類を幅広く設定して、異常解析を容易に行うことができる。また、特定異常以外の軽微な異常が発生したときには異常状況データが記憶部に上書きされるため、記憶部の容量を抑えることができる。
【0009】
また、前記上書き禁止状態を解除して、前記異常検出部により異常が検出されたときに、前記データ書き込み処理部により、該検出された異常についての前記異常状況データが前記記憶部に書き込まれる状態に復帰させる上書き禁止解除部を備えていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、特定異常による対象装置の故障を修理した後に、上書き禁止解除部によって上書き禁止状態を解除することにより、次に特定異常が発生した時の異常解析に備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の異常状況記録装置が搭載されたガスコンロの構成図。
図2図1に示したガスコンロの制御ブロック図。
図3A】エラーコードの設定テーブル。
図3B】上書き禁止設定テーブルの説明図。
図3C】異常状況データの説明図。
図4】異常状況データの書き込み処理の第1のフローチャート。
図5】異常状況データの書き込み処理の第2のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図1図5を参照して説明する。
【0013】
[1.ガスコンロの構成]
図1を参照して、本実施形態のガスコンロ1は、コンロ本体2の上面を覆った天板3から露出した三つのコンロ(左コンロ4、後コンロ6、右コンロ5)を備えている。左コンロ4のバーナは最大火力が最も大きいHバーナであり、後コンロ6のバーナは最大火力が最も小さいSバーナであり、右コンロ5のバーナは最大火力がHバーナよりも小さくSバーナよりも大きいMバーナとなっている。また、コンロ本体2の内部には、図示しないGバーナを備えたグリル7が設けられている。
【0014】
コンロ本体2の前面には、押し操作及び回転操作により左コンロ4の点火/消火及び火力調節を行うためのHバーナ用点火消火スイッチ8が設けられている。同様に、右コンロ5の操作のためのMバーナ用点火消火スイッチ9、後コンロ6の操作のためのSバーナ用点火消火スイッチ10、及びグリル7の操作のためのGバーナ用点火消火スイッチ11が設けられている。
【0015】
さらに、コンロ本体2の前面の各点火消火スイッチ8,9,10,11の下方位置には、開閉自在の前面パネル12,13が設けられている。前面パネル12を開けると、コンロ用操作パネル20が現れる。コンロ用操作パネル20には、コンロ(左コンロ4、後コンロ6、右コンロ5)の調理モード等を設定するためのコンロ用表示部21とコンロ用設定スイッチ22とが設けられている。
【0016】
また、前面パネル13を開けると、グリル用操作パネル30が現れる。グリル用操作パネル30には、グリル7の調理モード等を設定するためのグリル用表示部31とグリル用設定スイッチ32とが設けられている。
【0017】
次に、図2を参照して、ガスコンロ1には、ガスコンロ1の全体的な作動を制御するコントローラ50が備えられている。コントローラ50は、図示しないCPU、メモリ、各種インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたガスコンロ1の制御用プログラムをCPUで実行することによって、燃焼制御部51、異常検出部52、特定異常設定部53、データ書き込み処理部54、及び上書き禁止解除部55として機能する。
【0018】
燃焼制御部51は、各バーナ(Hバーナ、Mバーナ、Sバーナ、Gバーナ)の燃焼運転を制御する。異常検出部52は、各バーナで発生する異常を検出する。特定異常設定部53は、ガスコンロ1のメンテナンス作業者等によるコンロ用設定スイッチ22、及びグリル用設定スイッチ32の特殊操作(使用者による通常のスイッチ操作とは異なる操作、長押し操作、複数スイッチの同時操作等)に応じて、後述する特定異常を設定する。
【0019】
例えば、Hバーナの特定異常を設定する場合、メンテナンス作業者等は、コンロ用設定スイッチ22の特殊操作によって、特定異常の設定用画面(エラーコードが表示される)をコンロ用表示部21に表示させ、コンロ用設定スイッチ22のUP/DOWNスイッチ(図示しない)を操作して特定異常に設定するエラーコードを選択する。そして、メンテナンス作業者等が、コンロ用設定スイッチ22により所定の確定操作を行うことによって、特定異常の設定が完了する。
【0020】
データ書き込み処理部54は、異常発生時に異常検出部52により検出された各バーナの異常の種類と異常発生時のガスコンロ1の状態(バーナの状態等)とを示す異常状況データを、メモリ60(本発明の記憶部に相当する)に書き込む。メモリ60は、不揮発性のメモリ(例えば、EEPROM)である。
【0021】
メモリ60には、詳細は後述するが、各バーナの異常の種類に割り当てられたエラーコードを示すエラーコードテーブル61、各バーナに対して設定された特定異常を示す特定異常設定テーブル62、及び各バーナの異常状況データを保持した異常状況データ記録テーブル63等のデータが保持されている。
【0022】
コントローラ50には、Mバーナ用点火消火スイッチ9、Hバーナ用点火消火スイッチ8、Sバーナ用点火消火スイッチ10、Gバーナ用点火消火スイッチ11、コンロ用設定スイッチ22、及びグリル用設定スイッチ32から操作信号が入力される。また、Mバーナ用センサ70(鍋載置検出センサ、温度センサ、サーモカップル等、他のバーナについても同様)、Hバーナ用センサ71、Sバーナ用センサ72、及びGバーナ用センサ73による検出信号が入力される。
【0023】
また、コントローラ50から出力される制御信号によって、Mバーナ用アクチュエータ80(燃料ガスの供給と遮断を切り替えるガス元弁、燃料ガスの供給流量を変更する流量変更弁等、他のバーナについても同様)、Hバーナ用アクチュエータ81、Sバーナ用アクチュエータ82、Gバーナ用アクチュエータ83、各バーナの点火電極に駆動電圧を印加する点火イグナイタ84、コンロ用表示部21、及びグリル用表示部31の作動が制御される。
【0024】
コントローラ50は、パソコン等の通信端末90との間で有線又は無線による通信を行う機能を有する。メンテナンス作業者等は、メモリ60に保持された各バーナの異常状況データ等を通信端末90により読み出して、異常発生時のガスコンロ1の状況を認識することができる。
【0025】
また、コントローラ50は、メンテナンス作業者等により、コンロ用設定スイッチ22の特殊操作(長押し、複数スイッチの同時操作等、通常の運転時の操作とは異なる操作)がなされたときに、異常状況データ記録テーブル63に保持された各コンロバーナ(H,M,Sバーナ)の異常状況データの内容を、コンロ用表示部21に表示する。メンテナンス作業者等は、この操作によっても、各コンロバーナの異常状況データの内容を確認することができる。
【0026】
同様に、コントローラ50は、メンテナンス作業者等により、グリル用設定スイッチ32の特殊操作(長押し、複数スイッチの同時操作等、通常の運転時の操作とは異なる操作)がなされたときに、異常状況データ記録テーブル63に保持されたGバーナの異常状況データの内容を、グリル用表示部31に表示する。メンテナンス作業者等は、この操作によっても、グリルバーナの異常状況データの内容を確認することができる。
【0027】
コントローラ50が備えた異常検出部52、特定異常設定部53、データ書き込み処理部54、上書き禁止解除部55、及びメモリ60による構成40は、本発明の異常状況記録装置に相当する。
【0028】
[2.メモリに保持されるデータ]
次に、図3A図3Cを参照して、異常検出部52により検出される複数種類の異常にそれぞれ割り当てられたエラーコードを示すエラーコードテーブル61、特定異常設定部53により設定された特定異常のエラーコードが書き込まれる特定異常設定テーブル62、及びデータ書き込み処理部54により各バーナの異常状況データが書き込まれる異常状況データ記録テーブル63とについて説明する。
【0029】
図3Aを参照して、異常検出部52は、各バーナ(M,H,S,Gバーナ)の複数種類の異常(点火エラー、途中失火エラー、ハイカット(過熱異常停止)エラー、等)を、エラーコードテーブルに従って検出する。エラーコードテーブル61は、各異常に対して、エラーコードと検出条件とを割り当てている。例えば、「点火エラー」異常に対しては、「01」のエラーコードが割り当てられ、検出条件として点火電極を所定時間以上作動させても熱電対の起電力が着火判定レベル以上にならないことが設定されている。
【0030】
次に、特定異常設定部53は、図3Bに示したように、メンテナンス作業者等により設定された特定異常の種類を示すエラーコードを、各バーナ毎に特定異常設定テーブル62に設定する。図3Bの例では、Mバーナについて、点火エラーのエラーコード「01」が特定異常として設定されている。
【0031】
次に、データ書き込み処理部54は、異常検出部52により異常が検出されたときに、検出された異常の種類を示すエラーコードと、異常発生時のガスコンロ1の状態を示す異常状況データを、各バーナ毎に書き込む。図3Cの例では、Mバーナの点火異常が検出されたときに、点火異常のエラーコード「01」と、異常発生時のガスコンロ1の作動状態(サーミスタ検出温度、サーモカップル電圧、可変弁位置等)を示す異常状況データを、メモリに書き込む。
【0032】
[3.異常状況データの書き込み処理]
次に、図4図5に示したフローチャートに従って、データ書き込み処理部54による異常状況データのメモリ60への書き込み及び上書き禁止の処理について説明する。
【0033】
図4のSTEP1〜STEP4により、データ書き込み処理部54は、各バーナの異常状況データの異常状況データ記録テーブル63への上書き(更新)を許可する(上書き許可状態)。
【0034】
続くSTEP5〜STEP9は、Mバーナの異常状況データの書き込み及び上書き禁止の処理である。データ書き込み処理部54は、STEP5で、異常検出部52によりMバーナの異常が検出されたか否かを判断する。そして、Mバーナの異常が検出されたときはSTEP6に進み、Mバーナの異常が検出されていないときにはSTEP20に分岐する。
【0035】
STEP6で、データ書き込み処理部54は、Mバーナの異常検出データの上書きが許可されているか否かを判断する。そして、上書きが許可されているときはSTEP7に進み、上書きが禁止されているときにはSTEP20に分岐する。
【0036】
STEP7で、データ書き込み処理部54は、検出されたMバーナの異常に対応したエラーコードと異常発生時のガスコンロ1の状態を示す異常状況データを、メモリ60の異常状況データ記録テーブル63に書き込む。続くSTEP8で、データ書き込み処理部54は、検出されたMバーナの異常が特定異常であるか否かを判断する。そして、検出されたMバーナの異常が特定異常であるときはSTEP9に進み、検出されたMバーナの異常が特定異常でないときにはSTEP20に分岐する。
【0037】
STEP9で、データ書き込み処理部54は、Mバーナの異常状況データの異常状況データ記録テーブルへの上書きを禁止して(上書き禁止状態)、STEP5に進む。STEP9の処理により、特定異常が発生したときには、以後の異常状況データ記録テーブル63への異常対処データの書き込み(上書き)が禁止され、異常状況データ記録テーブル63に、特定異常が発生した時の異常状況データが保持された状態が維持される。
【0038】
次に、図4のSTEP20〜STEP24は、Hバーナの異常状況データの書き込み処理である。データ書き込み処理部54は、STEP20で、異常検出部52によりHバーナの異常が検出されたか否かを判断する。そして、Hバーナの異常が検出されたときはSTEP21に進み、Hバーナの異常が検出されていないときには図5のSTEP30に分岐する。
【0039】
STEP21で、データ書き込み処理部54は、Hバーナの異常検出データの上書きが許可されているか否かを判断する。そして、上書きが許可されているときはSTEP22に進み、上書きが禁止されているときには図5のSTEP30に分岐する。
【0040】
STEP22で、データ書き込み処理部54は、検出されたHバーナの異常の種類に対応したエラーコードと、異常発生時のHバーナの状態を示す異常状況データを、メモリ60の異常状況データ記録テーブル63に書き込む。続くSTEP23で、データ書き込み処理部54は、検出されたHバーナの異常が特定異常であるか否かを判断する。そして、検出されたHバーナの異常が特定異常であるときはSTEP24に進み、検出されたHバーナの異常が特定異常でないときには図5のSTEP30に分岐する。
【0041】
STEP24で、データ書き込み処理部54は、Hバーナの異常状況データの異常状況データ記録テーブル63への上書きを禁止して(上書き禁止状態)、STEP5に進む。STEP24の処理により、特定異常が発生したときには、以後の異常状況データ記録テーブル63への異常対処データの書き込み(上書き)が禁止され、異常状況データ記録テーブル63に、特定異常が発生した時の異常状況データが保持された状態が維持される。
【0042】
次に、図5のSTEP30〜STEP34は、Sバーナの異常状況データの書き込み処理である。データ書き込み処理部54は、STEP30で、異常検出部52によりSバーナの異常が検出されたか否かを判断する。そして、Sバーナの異常が検出されたときはSTEP31に進み、Sバーナの異常が検出されていないときにはSTEP40に分岐する。
【0043】
STEP31で、データ書き込み処理部54は、Sバーナの異常検出データの上書きが許可されているか否かを判断する。そして、上書きが許可されているときはSTEP32に進み、上書きが禁止されているときにはSTEP40に分岐する。
【0044】
STEP32で、データ書き込み処理部54は、検出されたSバーナの異常の種類を示すエラーコードと、異常発生時のSバーナの状態とを示す異常状況データを、メモリ60の異常状況データ記録テーブル63に書き込む。続くSTEP33で、データ書き込み処理部54は、検出されたSバーナの異常が特定異常であるか否かを判断する。そして、検出されたSバーナの異常が特定異常であるときはSTEP34に進み、検出されたSバーナの異常が特定異常でないときにはSTEP40に分岐する。
【0045】
STEP34で、データ書き込み処理部54は、Sバーナの異常状況データの異常状況データ記録テーブルへの上書きを禁止して(上書き禁止状態)、図4のSTEP5に進む。STEP34の処理により、特定異常が発生したときには、以後の異常状況データ記録テーブル63への異常対処データの書き込み(上書き)が禁止され、異常状況データ記録テーブル63に、特定異常が発生した時の異常状況データが保持された状態が維持される。
【0046】
次に、図5のSTEP40〜STEP44は、Gバーナの異常状況データの書き込み処理である。データ書き込み処理部54は、STEP40で、異常検出部52によりGバーナの異常が検出されたか否かを判断する。そして、Gバーナの異常が検出されたときはSTEP41に進み、Gバーナの異常が検出されていないときには図4のSTEP5に分岐する。
【0047】
STEP41で、データ書き込み処理部54は、Gバーナの異常検出データの上書きが許可されているか否かを判断する。そして、上書きが許可されているときはSTEP42に進み、上書きが禁止されているときには図4のSTEP5に分岐する。
【0048】
STEP42で、データ書き込み処理部54は、検出されたGバーナの異常の種類を示すエラーコードと、異常発生時のGバーナの状態とを示す異常状況データを、メモリ60の異常状況データ記録テーブル63に書き込む。続くSTEP43で、データ書き込み処理部54は、検出されたGバーナの異常が特定異常であるか否かを判断する。そして、検出されたGバーナの異常が特定異常であるときはSTEP44に進み、検出されたGバーナの異常が特定異常でないときには図4のSTEP5に分岐する。
【0049】
STEP44で、データ書き込み処理部54は、Gバーナの異常状況データの異常状況データ記録テーブルへの上書きを禁止して(上書き禁止状態)、図4のSTEP5に進む。STEP44の処理により、特定異常が発生したときには、以後の異常状況データ記録テーブル63への異常対処データの書き込み(上書き)が禁止され、異常状況データ記録テーブル63に、特定異常が発生した時の異常状況データが保持された状態が維持される。
【0050】
STEP9、STEP24、STEP34、及びSTEP44で、上書き禁止状態とされた場合、ガスコンロ1のメンテナンス作業者等は、異常状況データ記録テーブル63に保持された特定異常の異常対処データを確認することにより、特定異常が発生した時の各バーナの状態を解析して、異常発生の要因分析等を行うことができる。
【0051】
また、上述した特定異常設定部53の処理により、メンテナンス作業者等は、特定異常とする異常の種類を任意に設定することができるため、市場におけるガスコンロ1の異常の発生状況に応じて、要因の分析を行いたい異常の種別を変更することができる。
【0052】
また、上書き禁止状態とされていない場合には、特定異常ではない軽微な異常が検出される毎に、発生した異常についての異常対処データが、異常状況データ記録テーブル63に上書きされる。このように、軽微な異常については異常対処データを上書きすることにより、メモリ60の容量を抑えることができる。そして、ガスコンロ1のメンテナンス作業者等は、異常状況データ記録テーブル63に保持された直近に発生した異常についての異常対処データを確認して、直近に発生した異常の要因分析等を行うことができる。
【0053】
また、STEP9、STEP24、STEP34、及びSTEP44で、上書き禁止状態とされた場合、メンテナンス作業者等は、H,M,Sバーナに関してはコンロ用設定スイッチ22の特殊操作により、また、Gバーナに関してはグリル用設定スイッチ32の特殊操作により、上書き禁止解除部55による処理によって上書き禁止状態を解除することができる。
【0054】
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、図3Bに示したように、特定異常設定テーブル62に、各バーナ(M,H,S,Gバーナ)の特定異常を一つ設定する(特定異常を示すエラーコードを一つ書き込む)構成を示したが、特定異常を複数設定できるようにしてもよい。
【0055】
上記実施形態では、特定異常の設定をコンロ用設定スイッチ22とグリル用設定スイッチ32の特殊操作によって行う例を示したが、通信端末90の操作によって特定異常を設定するようにしてもよい。
【0056】
上記実施形態では、本発明の異常状況記録装置40をガスコンロ1に搭載した構成を例示したが、本発明の適用はこの構成に限られず、複数種類の異常を検出して異常発生時の装置の状態を記録する必要がある装置であれば、本発明の異常状況記録装置を搭載してその効果を得ることができる。
【0057】
また、上記実施形態では、異常状況データの上書き禁止状態を解除する上書き禁止解除部55を備えた例を示したが、上書き禁止解除部55を備えていない場合であっても本発明の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
1…ガスコンロ、21…コンロ用表示部、22…コンロ用設定スイッチ、31…グリル用表示部、32…グリル用設定スイッチ、50…コントローラ、51…燃焼制御部、52…異常検出部、53…特定異常設定部、54…データ書き込み処理部、55…上書き禁止解除部、60…メモリ、61…エラーコードテーブル、62…特定異常設定テーブル、63…異常状況データ記録テーブル。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5