特許第6809848号(P6809848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ファンケルの特許一覧

<>
  • 特許6809848-キマーゼ阻害用組成物 図000006
  • 特許6809848-キマーゼ阻害用組成物 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809848
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】キマーゼ阻害用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/05 20060101AFI20201221BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20201221BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20201221BHJP
   C07K 5/06 20060101ALN20201221BHJP
   C07K 5/062 20060101ALN20201221BHJP
   C07K 5/065 20060101ALN20201221BHJP
   C07K 5/078 20060101ALN20201221BHJP
   C07K 5/08 20060101ALN20201221BHJP
   C07K 5/083 20060101ALN20201221BHJP
   C07K 5/097 20060101ALN20201221BHJP
   C07K 14/81 20060101ALN20201221BHJP
【FI】
   A61K38/05
   A61K38/06
   A61P43/00 111
   !C07K5/06
   !C07K5/062
   !C07K5/065
   !C07K5/078
   !C07K5/08
   !C07K5/083
   !C07K5/097
   !C07K14/81
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-172520(P2016-172520)
(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公開番号】特開2018-39737(P2018-39737A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(72)【発明者】
【氏名】阿部 征次
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 美里
【審査官】 柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/175001(WO,A1)
【文献】 特開平10−265401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00−38/58
C12N 9/00−9/99
C07K 1/00−19/00
A61P 1/00−43/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジペプチド類及び/又はトリペプチド類を有効成分として含有し、
ジペプチド類が、Ala-Hyp、Leu-Hyp、Ile-Hyp、Phe-HypまたはHyp-Glyであり、トリペプチド類が、Ser-Hyp-Gly、Pro-Hyp-Gly、Gly-Pro-Pro、Gly-Pro-Ser、Gly-Pro-Lys、Gly-Pro-Gln、Ala-Hyp-GlyまたはGly-Pro-Hypであるキマーゼ阻害用組成物。
【請求項2】
前記ジペプチド類及び/又は前記トリペプチド類を0.001〜100質量%含有する請求項1記載のキマーゼ阻害用組成物。
【請求項3】
ジペプチド類が、Ala-Hyp、Leu-Hyp、Ile-HypまたはPhe-Hypであり、トリペプチド類が、Ser-Hyp-Gly、Pro-Hyp-Gly、Gly-Pro-Pro、Gly-Pro-Ser、Gly-Pro-LysまたはGly-Pro-Glnである請求項1または2に記載のキマーゼ阻害用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キマーゼ阻害用組成物に関する。より詳しく言うと、本発明は、キマーゼ活性に由来する高血圧や炎症等の各種疾患の予防、治療及び改善に有効なキマーゼ阻害用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
日本食は恒常的に塩分(ナトリウム)の使用量が多いため、食習慣により塩分過多となる傾向がある。塩分過多は高血圧に繋がりやすく、高血圧は心筋梗塞や脳卒中の原因となる。高血圧の患者は国内に約4,300万人、日本人の約1/3とされており、その大多数は塩分の過剰摂取による食塩依存性の高血圧である。
このような食塩依存性高血圧の対策は、従来より、摂取する塩分量を減らすことに目が向けられていた。
しかし、減塩は味付けが薄味となるため、食事の楽しみが減り、長続きしないという問題がある。また、塩分(ナトリウム)も身体に必要なミネラル成分の一つである。
【0003】
キマーゼは,肥満細胞が産生し、肥満細胞顆粒中に存在するキモトリプシン様セリンプロテアーゼである。この酵素は,アンジオテンシン変換酵素(ACE)と同様、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIへ変換するアンジオテンシンII産生酵素である。アンジオテンシンIIは、血管収縮作用を有し、高血圧の主要な因子であることが知られている。そのため、キマーゼ活性を阻害することにより高血圧及び/又は高血圧性臓器障害を予防、改善することについての提案がある(特許文献1)。特許文献1には、キマーゼ阻害作用を有する特定の化合物を有効成分とするキマーゼ阻害剤が開示されている。
また、キマーゼは、高血圧のみならず、種々の病態組織で酵素的機能を発揮すると考えられている。例えば、アトピー性皮膚炎では、皮膚下層の真皮に存在する肥満細胞がキマーゼを産生し、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIへ変換することにより炎症が起こる。このような皮膚の炎症の対策として、キマーゼ活性阻害を介したアトピー性皮膚炎薬が開発されている(特許文献2、特許文献3)。
なお、ACEもアンジオテンシンII変換酵素であり、ACE阻害剤を含有する機能性表示食品や特定保健用食品が既に存在している。しかし、ACE阻害剤は、非食塩依存性高血圧には効果があるが、食塩依存性高血圧には効果があまりないという問題がある。
このように、塩分過多による高血圧やその他の疾患に有効なサプリメント商品開発のニーズはあったが、有効なサプリメント等の組成物は未だ報告がないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2015/025816A1号公報
【特許文献2】特開2012−121898号公報
【特許文献3】再表2006/059801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、高血圧の対策について発想の転換を行い、体内に入る塩分量の排出を目的とするのではなく、摂取塩分量を減少させずに、体内に入った塩が誘発する高血圧や各種疾患を予防、治療、改善することを目的として、キマーゼ活性阻害作用を利用したサプリメントや健康食品等の組成物の研究を行うこととした。
すなわち、本発明は、キマーゼ活性阻害作用を有する成分を含有し、副作用の心配もない、高血圧及び炎症等の各種疾患に有効な組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その課題の解決のために、キマーゼ活性阻害作用を有する成分を有効成分とする組成物を開発するべく、種々の物質について検索・研究を重ねたところ、コラーゲン由来ペプチド類がキマーゼ活性阻害作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のキマーゼ阻害用組成物を提供するものである。
(1) コラーゲン由来ペプチド類を有効成分として含有するキマーゼ阻害用組成物。
(2) コラーゲン由来ペプチド類を0.001〜100質量%含有する前記(1)記載のキマーゼ阻害用組成物。
(3) コラーゲン由来ペプチド類が、ジペプチド類またはトリペプチド類である前記(1)または(2)に記載のキマーゼ阻害用組成物。
(4)ジペプチド類が、Ala-Hyp、Leu-Hyp、Ile-Hyp、Phe-HypまたはHyp-Glyであり、トリペプチド類が、Ser-Hyp-Gly、Pro-Hyp-Gly、Gly-Pro-Pro、Gly-Pro-Ser、Gly-Pro-Lys、Gly-Pro-Gln、Ala-Hyp-GlyまたはGly-Pro-Hypである(3)に記載のキマーゼ阻害用組成物。
(5) ジペプチド類が、Ala-Hyp、Leu-Hyp、Ile-HypまたはPhe-Hypであり、トリペプチド類が、Ser-Hyp-Gly、Pro-Hyp-Gly、Gly-Pro-Pro、Gly-Pro-Ser、Gly-Pro-LysまたはGly-Pro-Glnである前記(3)に記載のキマーゼ阻害用組成物。
(6) コラーゲン由来ペプチド類を有効成分とし、キマーゼに由来する気管支喘息、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、鼻炎、関節リウマチ、マストサイトーシス、強皮症、心不全、心肥大、うっ血性心疾患、高血圧、アテローム性動脈硬化、心筋虚血、心筋梗塞、経皮的冠動脈形成術後再狭窄、バイパスグラフト術後再狭窄、虚血性末梢循環障害、高アルドステロン症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎炎、腎炎、糸球体硬化症、腎不全、乾癬、固形腫瘍、手術後癒着、緑内障及び高眼圧症から選択される疾患の予防・治療用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、減塩をせずに、食事の楽しみを維持しつつ、高血圧の予防や治療に有効なキマーゼ阻害用組成物が得られる。また、本発明のキマーゼ阻害用組成物は、高血圧以外のキマーゼに由来するいずれの疾患にも有効であるが、特に、上記の各種疾患に有効である。また、本発明のキマーゼ阻害用組成物は、コラーゲン由来ペプチド類を有効成分とするものであるため、副作用の心配もなく安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】試験例1におけるコラーゲン由来ペプチド類のキマーゼ活性阻害率を示すグラフである。
図2】試験例1におけるコラーゲン由来ペプチド類(HACP−01)のキマーゼ活性阻害率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、例を挙げながら詳しく説明する。
本発明のキマーゼ阻害用組成物の有効成分はキマーゼ活性を阻害する作用を有するコラーゲン由来ペプチド類である。コラーゲン由来ペプチド類としては、2または3個のアミノ酸が脱水縮合した、ジペプチド類とトリペプチド類が好ましい例として挙げられる。コラーゲン由来ペプチド類は、美容用サプリメント・食品などにも含まれる安全性の高い成分である。
本発明において用いられるジペプチド類としては、特に限定されないが、Ala-Hyp、Leu-Hyp、Ile-Hyp、Phe-Hyp及びHyp-Glyが好ましく、Ala-Hyp、Leu-Hyp、Ile-Hyp及びPhe-Hypが特に好ましい。
また、本発明において用いられるトリペプチド類としては、特に限定されないが、Ser-Hyp-Gly、Pro-Hyp-Gly、Gly-Pro-Pro、Gly-Pro-Ser、Gly-Pro-Lys、Gly-Pro-Gln、Gly-Pro-Hyp、Ala-Hyp-Gly及びこれらトリペプチドを15%以上含有するHACP−01(トリペプチド高含有コラーゲンペプチド:ゼライス社製)が好ましく、Ser-Hyp-Gly、Pro-Hyp-Gly、Gly-Pro-Pro、Gly-Pro-Ser、Gly-Pro-Lys及びGly-Pro-Glnが特に好ましい。
本発明のキマーゼ阻害用組成物は、コラーゲン由来ジペプチド類及び/またはコラーゲン由来トリペプチドを用いることができ、いずれも1種または2種以上を含有することができる。
【0011】
本発明のキマーゼ活性阻害用組成物は、コラーゲン由来ペプチド類を0.001〜100質量%含有することが好ましい。すなわち、コラーゲン由来ペプチド類のみを本発明の組成物の唯一の成分とすることもできるが、組成物に含まれる各種成分のうちの1成分として用いることもできる。
【0012】
本発明のキマーゼ阻害用組成物は、キマーゼの酵素作用によるアンジオテンシンIのアンジオテンシンIIへの変換によりもたらされる疾患の予防や治療に有効である。このような疾患としては、高血圧が挙げられるが、高血圧のみならず、気管支喘息、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、鼻炎、関節リウマチ、マストサイトーシス、強皮症、心不全、心肥大、うっ血性心疾患、アテローム性動脈硬化、心筋虚血、心筋梗塞、経皮的冠動脈形成術後再狭窄、バイパスグラフト術後再狭窄、虚血性末梢循環障害、高アルドステロン症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎炎、腎炎、糸球体硬化症、腎不全、乾癬、固形腫瘍、手術後癒着、緑内障及び高眼圧症などの各種疾患に対して有効である。
なお、本発明のキマーゼ阻害用組成物は、特に、食塩の過剰摂取に起因する食塩依存性高血圧に有効である。
また、本明細書における「高血圧」は一過性の高血圧のみならず、高血圧の状態が持続した高血圧症も含む。
【0013】
本発明におけるキマーゼ阻害用組成物は、サプリメント、健康食品、医薬品等の種々の形態として用いることができる。
本発明のキマーゼ阻害用組成物は、コラーゲン由来ペプチド類だけでなく、キマーゼ活性阻害作用を有するその他の有効成分を含有することもできる。キマーゼ活性阻害作用を有するその他の有効成分としては、ACE阻害剤や既知の成分等いずれを用いてもよい。特に、本発明のキマーゼ阻害用組成物は、コラーゲン由来ペプチド類とともにACE阻害剤を有効成分とすることにより、さらに優れた効果を得ることができ、食塩依存性高血圧にも非食塩依存性高血圧にも有効なものとなる。
また、本発明の組成物は、サプリメント、健康食品、医薬品等において通常用いられる各種の機能成分や有効成分等を含有してもよく、それらの種類や配合量は限定されない。
本発明のキマーゼ阻害用組成物の投与経路は、経口投与としても非経口投与としてもよい。経口投与とする場合は、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、ゼリー剤、錠剤、半固形剤等のいかなる形態としてもよい。本発明のキマーゼ阻害用組成物は、有効成分のみを用いて製造してもよいが、通常用いられる添加剤を添加して製造することもできる。添加剤としては、任意の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、香料等が挙げられる。なお、錠剤とする場合に用いるコーティング剤は、キマーゼ活性阻害剤の放出を制御するために腸溶性コーティング剤や徐放化コーティング剤等を用いることもできる。なお、これらの添加剤の種類やそれらの配合量は限定されない。
【0014】
本発明のキマーゼ阻害組成物の製造方法は特に限定されず、各形態の製造において慣用されている方法を用いることができる。
【実施例】
【0015】
以下、実施例、試験例等を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
【0016】
(試験例1:キマーゼ活性阻害作用の測定)
本試験例においては、下記表3、表4に示す各種コラーゲン由来ペプチド類のキマーゼ活性阻害作用を調べた。
【0017】
(方法)
本試験は、キマーゼ活性アッセイキット(シグマーアルドリッチ社製)を用いて行った。酵素、基質、アッセイバッファ等は、同キットに含まれている物を使用し、測定は同キットの測定手順に従って行った。
・酵素
キマーゼ(Chymase)
・基質A(Substrate A)
N-Succinyl-Ala-Ala-Pro-Phe p-nitroanilide
・サンプルは、Ala-Hyp(Bachem社製)、Leu-Hyp(Bachem社製)、Ile-Hyp(Bachem社製)、Phe-Hyp(Bachem社製)、Hyp-Gly(Bachem社製)、Pro-Ala(Bachem社製)、Pro-Hyp(Bachem社製)、Pro-Ser(Bachem社製)、Gly-Pro(Bachem社製)(以上、コラーゲン由来ジペプチド)、Ser-Hyp-Gly(Bachem社製)、Pro-Hyp-Gly(Bachem社製)、Gly-Pro-Pro(Bachem社製)、Gly-Pro-Ser(Bachem社製)、Gly-Pro-Lys(Bachem社製)、Gly-Pro-Gln(Bachem社製)、Gly-Pro-Hyp(Bachem社製)、Ala-Hyp-Gly(Bachem社製)及びコラーゲン加水分解物(ゼライス社製)(以上、コラーゲン由来トリペプチド)を超純水に溶解したものを用いて、それぞれについて測定を行った。
・プレートリーダーの設定
37℃、吸光度405nm、20秒間隔10分間
【0018】
(測定の手順)
1.サンプル毎に下記の容量で各試薬を調製した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
2.37℃の恒温槽で、2分間インキュベートし、平衡化した。
3.キマーゼ 1μLを添加して、混合した。
4.405nmにおける吸光度を20秒間隔で10分間測定した。
5.キマーゼ活性阻害率を、下記式に従って算出した。
キマーゼ活性阻害率(%)={(初期活性−阻害後の活性)/初期活性)}×100
【0022】
Ala-Hyp、Leu-Hyp、Ile-Hyp、Phe-Hyp、Hyp-Gly、Pro-Ala、Pro-Hyp、Pro-Ser、Gly-Pro、Ser-Hyp-Gly、Pro-Hyp-Gly、Gly-Pro-Pro、Gly-Pro-Ser、Gly-Pro-Lys、Gly-Pro-Gln、Gly-Pro-Hyp及びAla-Hyp-Glyの各最終濃度を25mMとし、HACP−01の最終濃度を45mg/mL、15mg/mL及び5mg/mLとして、それぞれのキマーゼ活性阻害率を上記式に従って算出した。結果を表3、表4、図1図2に示す。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
(結果)
表3、表4、図1及び図2に示される結果より、コラーゲン由来ジペプチド類としては、Ala-Hyp、Leu-Hyp、Ile-Hyp、Phe-Hyp及びHyp-Gly、特に、Ala-Hyp、Leu-Hyp、Ile-Hyp及びPhe-Hypが優れたキマーゼ活性阻害作用を有することが明らかとなった。それに対して、Pro-Ala、Pro-Hyp、Pro-Ser及びGly-Proにはキマーゼ活性阻害作用がそれほど認められなかった。
また、コラーゲン由来トリペプチドは、Ser-Hyp-Gly、Pro-Hyp-Gly、Gly-Pro-Pro、Gly-Pro-Ser、Gly-Pro-Lys、Gly-Pro-Gln、Gly-Pro-Hyp及びAla-Hyp-Gly、特に、Ser-Hyp-Gly、Pro-Hyp-Gly、Gly-Pro-Pro、Gly-Pro-Ser、Gly-Pro-Lys及びGly-Pro-Glnは、いずれも優れたキマーゼ活性阻害作用を有することが明らかとなった。
その他、トリペプチドやジペプチドを含む混合物(コラーゲンペプチド)であるHACP-01も優れたキマーゼ活性阻害作用を有することが明らかとなった。
【0026】
(実施例1)
HACP−01(ゼライス社製)4000g、粉末還元麦芽糖水飴351g及び結晶セルロース240.8gを流動層造粒機(FD−5S:パウレック社製)にて、6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液2700gを噴霧することにより、流動層造粒した。
流動層造粒後、給気温度70℃で、排気温度48℃まで乾燥を行い、造粒末を得た。その後、整粒機(パワーミル:昭和化学機械社製)にて整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末3318g、パントテン酸カルシウム184.8g、結晶セルロース345.2g、低置換度ヒドロキシプルピルセルロース240g、特殊ケイ酸カルシウム(フローライトRE:エーザイフード・ケミカル社製)24g及びステアリン酸マグネシウム48gを混合機(タンブラー混合機:昭和化学機械社製)にて混合し、得られた混合末をハードカプセル充填機に充填してハードカプセル剤(350mg)を得た。
【0027】
(実施例2)
HACP−01(ゼライス社製)4000g、粉末還元麦芽糖水飴351g及び結晶セルロース240.8gを流動層造粒機(FD−5S:パウレック社製)にて、6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液2700gを噴霧することにより、流動層造粒した。
流動層造粒後、給気温度70℃で、排気温度48℃まで乾燥を行い、造粒末を得た。その後、整粒機(パワーミル、昭和化学機械社製)にて整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末3318g、パントテン酸カルシウム184.8g、結晶セルロース345.2g、低置換度ヒドロキシプルピルセルロース240g、特殊ケイ酸カルシウム(フローライトRE:エーザイフード・ケミカル社製)24g及びステアリン酸マグネシウム48gを混合機(タンブラー混合機:昭和化学機械社製)にて混合し、得られた混合末をロータリー式打錠機で直径8.8mmの臼、曲率半径7.0mmのR面杵にて、1錠当たりの重量300mg、厚み5.2mmとなるように製錠し、素錠を得た。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のキマーゼ阻害用組成物は、コラーゲン由来ペプチド類を有効成分とし、キマーゼ活性に起因する高血圧や各種疾患を抑制できるため、それらの疾患の予防・治療・改善用の安全なサプリメント、健康食品、医薬品等として広い利用が期待される。
図1
図2